(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 2/02 20060101AFI20220822BHJP
A61N 2/04 20060101ALI20220822BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
A61N2/02 Z
A61N2/04
A61B5/055 390
A61B5/055 370
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574951
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2020067095
(87)【国際公開番号】W WO2020260149
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス ステフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン マルク トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘレ ミヒャエル ギュンター
【テーマコード(参考)】
4C096
4C106
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AD03
4C096AD07
4C096AD19
4C096BB02
4C096FC20
4C106AA06
4C106BB21
4C106CC03
4C106FF12
(57)【要約】
本発明は、前記磁気刺激ユニット(20)と前記処理ユニット(30)とを有する刺激装置に関する。前記処理ユニットは、前記磁気刺激ユニットを制御して、前記患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を与えるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激装置であって、
磁気刺激ユニットと、
処理ユニットと、
少なくとも1つの磁気刺激コイルであって、前記処理ユニットは、前記磁気刺激ユニットを制御して、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように構成される、 磁気刺激コイルと
を有し、
前記処理ユニットは前記少なくとも1つの磁気刺激コイルを制御して、前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的及び/又は時間的な態様で前記患者に提供するように構成され、及び/又は前記処理ユニットは前記磁気刺激ユニットを制御して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を前記患者に提供して、前記患者に情報を提供するように構成され、
前記装置は前記神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの応答を取得するように構成される、
刺激装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの磁気刺激コイルの1つの磁気刺激コイルの少なくとも一部を選択して、前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的態様で前記患者に提供するように構成される、請求項1に記載の刺激装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁気刺激コイルは複数の磁気刺激コイルを有し、前記処理ユニットは、前記複数の磁気刺激コイルの一つ又はそれより多くの磁気刺激コイルの少なくとも一部を選択して、前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激を前記所定の空間的態様で前記患者に提供するように構成される、請求項1乃至2の何れか一項に記載の刺激装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記磁気刺激ユニットを制御して、前記患者の複数の異なる位置に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように構成される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の刺激装置。
【請求項5】
前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの磁気刺激コイルに印加される電流の波形を制御して、前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激を前記患者に所定の時間的態様で提供するように構成される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の刺激装置。
【請求項6】
前記装置は複数の磁気刺激コイル駆動増幅器を備え、前記少なくとも1つの磁気刺激コイルは複数の磁気刺激コイルを備え、各磁気刺激コイルは少なくとも1つの増幅器によって駆動されるように構成され、各増幅器は1つの磁気刺激コイルのみを駆動するように構成され、前記処理ユニットは前記複数の増幅器を制御して、前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激を、所定の空間的及び/又は時間的な態様で前記患者に提供するように構成される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の刺激装置。
【請求項7】
第1の磁気刺激コイルは第1の増幅器によって駆動されるように構成され、第2の磁気刺激コイルは第2の増幅器によって駆動されるように構成され、随意に、第3の磁気刺激コイルは第3の増幅器によって駆動されるように構成される、請求項6に記載の刺激装置。
【請求項8】
前記処理ユニットは、前記神経及び/又は筋肉刺激に応答して前記少なくとも1つの患者の利用を有する前記鎮静される患者の鎮静状態を決定するように構成される、請求項1乃至7の何れか一項に記載の刺激装置。
【請求項9】
画像取得システムであって、
画像取得ユニットと、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の刺激装置と
を有し、前記画像取得ユニットは患者の画像データを取得するように構成され、
前記刺激装置は意図的な神経及び/又は筋肉刺激を前記患者の末梢身体部分に提供するように構成される、
画像取得システム。
【請求項10】
前記磁気共鳴画像取得システムは前記患者の画像データを取得するように構成され、前記刺激装置の前記処理ユニットは前記刺激装置の前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激に使用される波形を、前記磁気共鳴撮像システムの磁気共鳴撮像に使用される波形にインターリーブするように構成される、請求項1乃至8の何れか一項に記載の刺激装置を備える、磁気共鳴撮像システム。
【請求項11】
患者を刺激する方法であって、
処理ユニットによって磁気刺激ユニットを制御して、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を供給するステップと、
前記処理ユニットによって少なくとも1つの磁気刺激コイルを制御して、所定の空間的及び/又は時間的な態様で前記患者に前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供し、及び/又は意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように前記磁気刺激ユニットを制御して、前記患者に情報を提供する、ステップと、
前記神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの応答を取得するステップと
を有する、方法。
【請求項12】
磁気共鳴画像システムによる画像取得のための方法であって、前記方法は、
請求項11に記載の方法による前記磁気刺激ユニットによって患者に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するステップと、
請求項10に記載の磁気共鳴撮像システムを用いて前記患者の画像データを取得するステップと、
前記処理ユニットによって、前記意図的な神経及び/又は筋肉刺激のために使用される波形を磁気共鳴撮像のために使用される波形にインターリーブするステップと
を有する、方法。
【請求項13】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の装置及び/又は請求項9に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素であって、プロセッサによって実行されるとき、請求項11に記載の方法を実行するように構成され、及び/又は請求項10に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素であって、プロセッサによって実行されるとき、請求項12に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺激装置、画像取得磁気共鳴撮像システム化システム、患者を刺激する方法、及び磁気共鳴撮像システムを用いた画像取得方法、ならびにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
US2018/133467A1は、末梢神経刺激(PNS)を評価するためのシステム及び方法を記載する。システムは撮像システム内に配置された被検体の少なくとも関心領域(ROI)に適用される撮像パルスシーケンスを受け取り、撮像パルスシーケンスは、少なくとも1つのコイルに関連するコイルパラメータを識別する。システムは、ROI内の複数の組織タイプ及び対応する電磁特性を含む第1のモデルを取得する。次いで、システムはROI内の1つ又は複数の神経追跡の位置、向き、及び生理学的特性の少なくとも1つを示す第2のモデルを取得する。システムは、第1のモデル、第2のモデル、神経膜モデル、及びコイルパラメータを使用して、撮像システムに印加される撮像パルスシーケンスによって引き起こされるROI内の複数のPNS閾値を推定する。
【0003】
US2014/031605A1では、神経/筋に対する繰り返しの周辺磁気刺激(シータバーストエン刺激、TBS)がセンサイモトール制御を改善することをサポートするために新しいエビデンスが提供されると述べている。慢性腰痛(CLBP)は一次運動野(M1)の不適応再編成と相関して、予測的姿勢調節(APA)中の腹横筋(TrA)の不完全な随意活性化とその遅延収縮に関連し、神経の反復磁気刺激は脳興奮性に影響し、硬直(Parkinson疾患)、痙縮(脳卒中、ABI、脳性麻痺)さえ減少させ、脳卒中、慢性腰痛、ABI、脳性麻痺、未熟性及びパーキンソン疾患における運動制御及び関数の改善に寄与することを述べた。慢性腰痛患者のモータ腹部関数及び脳損傷者の足の関数に対する神経又は筋肉(末梢TBS、PTBS)にTBSを適用し、臨床プロフィールと比較して被検体ごとにTBSプロトコルを調整する後効果を初めて試験することを述べた。これらのパイロット研究は、運動障害に関連する慢性疼痛、硬直及び痙縮における末梢神経刺激の長期的影響を実証すると述べている。US2016/015995A1は、低頻度で焦点を絞った磁気流動を治療領域に導くためのtMS刺激装置を使用して、末梢神経の痛みを治療する装置及び方法を説明している。tMS刺激器と有線及び電力通信する制御モジュールと、制御モジュールと無線通信する携帯型電子デバイスとは、治療パラメータに関するフィードバック及び制御設定を受信し、生成し、送信する。tMS刺激器は様々なパルス及び磁場強度を提供するために、異なるサイズ及び形状で構成されてもよい。誘導ツール及び測定センサが、磁束の位置決め及び指向を補助するために設けられてもよいことが記載されている。
【0004】
US2017/354831A1は、電磁誘導治療のための特定の変形、システム、及び/又は方法を記載する。1つ以上の人間工学的又は身体輪郭のアプリケータが含まれ得ることが記載される。アプリケータは、コイルに近接して配置された標的神経、筋肉、又は他の身体組織に集束された電磁場又は磁場を生成するように構成された1つ又は複数の導電性コイルを含む。1つ以上のセンサが刺激を検出し、印加された電磁誘導治療の効力についてのフィードバックを提供するために利用されてもよく、コントローラがセンサによって、又は患者によって提供されるフィードバックに基づいて、標的神経、筋肉、又は他の身体組織に集束される磁場を調整するために、コイルを通る電流を変化させるように調整可能であってもよいことが記載される。特定のシステム又は方法において、パルス磁場は、馴化を引き起こすことなく、標的神経、筋肉、又は組織に断続的に印加され得ることが記載される。
【0005】
US2001/020120A1は、傾斜システムの効率を最適に使用するために磁気共鳴断層撮影装置における傾斜コイルシステムの効率を増加させるための方法及び装置において、末梢神経刺激(PNS)に関する各患者の個別に異なる感度が可変電場を印加することによってMR検査の前に決定され、対応する最大磁場がスケーリングによって決定され、MR装置が対応して調整されることを記載している。
【0006】
磁気共鳴画像(MRI)取得ユニットが利用されている場合、コンピュータトモグラフィ(CT)画像取得ユニットが利用されている場合、又は陽電子放出断層撮影(PET)画像取得ユニットが利用されている場合、又はデジタルX線ラジオグラフィ(DXR)画像取得ユニットが利用されている場合など、医療画像環境における患者との相互作用は困難である。例えば、客観的な鎮静状態の識別は適応されたタイミングシーケンスで正しいプロトコルを選択し、また、次のステップを決定するために鎮静状態がどのように変化しているかを識別するために、撮像にとって重要な問題の1つ。スキャナシステムの雑音の多い環境において鎮静状態を評価することは特に困難である。患者との相互作用が望まれる他の状況は例えば、患者の位置を変えること、不安な患者を落ち着かせること、患者が息を止めるのを助けることであり、これらの全ては、このようなスキャナシステムの騒々しく且つ忙しい環境では困難である。
【0007】
これらの問題に対処する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医用スキャンを受けている患者と相互作用する改善された手段を有することは有益であろう。本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態が従属請求項に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に説明する本発明の態様及び例は、刺激装置、画像取得システム、磁気共鳴撮像システム、患者を刺激する方法、及び磁気共鳴撮像システムを用いた画像取得方法、ならびにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0010】
第1の態様では、磁気刺激ユニット及び処理ユニットを有する刺激装置が提供される。処理ユニットは、磁気刺激ユニットを制御して、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を与えるように構成されている。
【0011】
一例では、装置が少なくとも1つの磁気刺激コイルを備える。処理ユニットは、少なくとも1つの磁気刺激コイルを制御して、所定の空間的及び/又は時間的な方法で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように構成される。
【0012】
一例では、処理ユニットが少なくとも1つの磁気刺激コイルの1つの磁気刺激コイルの少なくとも一部を選択して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的態様で患者に提供するように構成される。
【0013】
一例では、少なくとも1つの磁気刺激コイルが複数の磁気刺激コイルを含む。処理ユニットは、複数の磁気刺激コイルの1つ又は複数の磁気刺激コイルの少なくとも一部を選択して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的態様で患者に提供するように構成される。
【0014】
一例では、処理ユニットが患者の複数の異なる位置に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように磁気刺激ユニットを制御するように構成される。
【0015】
一例では、処理ユニットが少なくとも1つの磁気刺激コイルに印加される電流の波形を制御して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の時間的態様で患者に提供するように構成される。
【0016】
一例では装置が複数の磁気刺激コイル駆動増幅器を備え、少なくとも1つの磁気刺激コイルは複数の磁気刺激コイルを備える。各磁気刺激コイルは少なくとも1つの増幅器によって駆動されるように構成され、各増幅器は1つの磁気刺激コイルのみを駆動するように構成され、処理ユニットは所定の空間的及び/又は時間的な方法で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように複数の増幅器を制御するように構成される。
【0017】
一例では第1の磁気刺激コイルが第1の増幅器によって駆動されるように構成され、第2の磁気刺激コイルは第2の増幅器によって駆動されるように構成される。
【0018】
一例では、第3の磁気刺激コイルが第3の増幅器によって駆動されるように構成される。
【0019】
このようにして、1つのコイルを増幅器によって駆動して、単一の傾斜(例えば、x傾斜)を与えることができる。しかしながら、1つのコイルが1つの増幅器によって駆動され、第2のコイルが第2の増幅器によって駆動される場合には、2つの独立した傾斜を生成することができる(例えば、x,y)。また、第3のコイルが第3の増幅器によって駆動されるとき、第3の独立した傾斜を生成することができる(x,y,z)。増幅器は、傾斜磁場である必要のない独立した磁気刺激磁場(x,y,z)を提供することができることに留意されたい。
【0020】
一例では、処理ユニットが患者に情報を提供するために意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように磁気刺激ユニットを制御するように構成される。
【0021】
一例では、装置が神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの患者応答を取得するように構成される。処理ユニットは、神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの患者応答の利用を含む、鎮静された患者の鎮静状態を決定するように構成される。第2の態様では、画像取得システムが提供される。第1の態様に記載の画像取得ユニット及び刺激装置。画像取得ユニットは、患者の画像データを取得するように構成される。刺激装置は、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように構成されている 第3の態様では、第1の態様に記載の刺激装置を有する磁気共鳴撮像システムが提供される。
【0022】
磁気共鳴画像取得システムは、患者の画像データを取得するように構成される。刺激装置の処理ユニットは、刺激装置の意図的な神経及び/又は筋肉刺激のために使用される波形を、磁気共鳴撮像システムの磁気共鳴撮像のために使用される波形とインターリーブするように構成される。
【0023】
第4の態様では、患者を刺激する方法が提供される。処理ユニットによって、磁気刺激ユニットを制御して、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を与える。
【0024】
第5の態様では、磁気共鳴撮像システムによる画像取得方法であって、第4の態様の方法による磁気刺激ユニットによる意図的な神経及び/又は筋肉刺激の患者へ提供するステップと、 磁気共鳴撮像システムで患者の画像データを取得するステップと、意図的な神経及び/又は筋肉刺激に使用される波形を、磁気共鳴撮像に使用される波形と処理ユニットによってインターリーブするステップとを有する方法が提供される。
【0025】
別の態様によれば、コンピュータプログラム要素が処理ユニットによって実行される場合に、前述の方法の1つ又は複数を実行するように適合された、前述の装置の1つ又は複数を制御するコンピュータプログラム要素が提供される。
【0026】
別の態様によれば、前述したような記憶されたコンピュータ要素を有するコンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータプログラム要素は例えば、ソフトウェアプログラムであってもよいが、FPGA、PLD、又は任意の他の適切なデジタル手段であってもよい。
【0027】
有利なことに、上記の態様のいずれかによって提供される利点は、他の態様のすべてに等しく適用され、その逆も同様である。
【0028】
上記の態様及び実施例は以下に記載される実施形態から明らかになり、そしてそれを参照して説明される。
【0029】
以下、添付図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】磁気共鳴撮像システムの一例の概略セットアップを示す図である。
【
図5】磁気共鳴撮像システムによる画像取得方法の一例を示す図である。
【
図6】MR画像取得ユニット又はスキャナのための傾斜コイルの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、磁気刺激ユニット20と、処理ユニット30とを備える刺激装置10の一例を示す。処理ユニットは、磁気刺激ユニットを制御して、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を与えるように構成されている。
【0032】
一例では、磁気刺激ユニットが磁気共鳴画像取得ユニットの少なくとも一部である。
【0033】
一例では、刺激装置が神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの応答を取得するように構成された少なくとも1つのセンサデバイス40を備える。
一実施形態では少なくとも1つのセンサ装置がカメラ、EMGセンサ、移動センサ、傾斜センサ、加速度計、マイクロフォンを含み、少なくとも1つのセンサ装置は画像取得モードで動作する場合、磁気共鳴画像取得ユニット自体とすることができる。
【0034】
一例では、末梢身体部分が脚の一部、足の一部、腕の一部、手の一部を含む。
【0035】
一例では、末梢身体部分が頭部以外の身体の任意の部分を手段し、例えば背中/背骨を含む。
【0036】
一例では、処理ユニットが意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するための特定の命令セットを実装するように構成される。
【0037】
一例によれば、装置は、少なくとも1つの磁気刺激コイル50を備える。処理ユニットは、少なくとも1つの磁気刺激コイルを制御して、所定の空間的及び/又は時間的な方法で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように構成される。
【0038】
一例では、少なくとも1つの磁気刺激コイルが磁気共鳴画像取得ユニットの一部である。
【0039】
一例では、少なくとも1つの磁気刺激コイルが少なくとも1つの傾斜コイルを含む。
【0040】
一例によれば、処理ユニットは、少なくとも1つの磁気刺激コイルの1つの磁気刺激コイルの少なくとも一部を選択して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的態様で患者に提供するように構成される。
【0041】
一例によれば、少なくとも1つの磁気刺激コイルは、複数の磁気刺激コイルを含む。処理ユニットは、複数の磁気刺激コイルの1つ又は複数の磁気刺激コイルの少なくとも一部を選択して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的態様で患者に提供するように構成される。
【0042】
一例では、少なくとも1つの磁気刺激コイルがMRIユニット又はシステムの少なくとも1つの傾斜コイルによって表される。
【0043】
一例では、磁気刺激コイルへの言及がMRIユニット又はシステムの傾斜コイルの一部を指すことができる。
【0044】
一例によれば、処理ユニットは、患者の複数の異なる位置に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように磁気刺激ユニットを制御するように構成される。
【0045】
一例によれば、処理ユニットは、少なくとも1つの磁気刺激コイルに印加される電流の波形を制御して、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の時間的態様で患者に提供するように構成される。
【0046】
一例では、印加電流が高い最大電流振幅を有する。
【0047】
一例では、波形がバイポーラ台形傾斜波形を含む。
【0048】
一例では処理ユニットが神経及び/又は筋肉刺激のパルスを提供するように構成され、パルスは0.1ms乃至100msの順序の持続時間を有する。
【0049】
一例によれば、装置は、複数の磁気刺激コイル駆動増幅器60を備える。少なくとも1つの磁気刺激コイルは、複数の磁気刺激コイルを含む。各磁気刺激コイルは、少なくとも1つの増幅器によって駆動されるように構成される。各増幅器は、1つの磁気刺激コイルのみを駆動するように構成される。処理ユニットは、所定の空間的及び/又は時間的な方法で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように複数の増幅器を制御するように構成される。
【0050】
一例によれば、第1の磁気刺激コイルは第1の増幅器によって駆動されるように構成され、第2の磁気刺激コイルは第2の増幅器によって駆動されるように構成される。
【0051】
一例では、第3の磁気刺激コイルが第3の増幅器によって駆動されるように構成される。上述の議論では、コイルは単一のコイルを意味することができる。しかし、コイルは、いくつかの個々のコイルを有するコイル装置を意味することもできる。したがって、コイルの一部は、多数のコイルを有するコイル装置のコイルを指すことができる。これは、以下の
図6を参照してさらに説明される。
【0052】
一例によれば、処理ユニットは、患者に情報を提供するために意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように磁気刺激ユニットを制御するように構成される。
【0053】
一例では、患者に提供される情報が患者が磁気共鳴画像取得ユニット内で患者の少なくとも一部を再配置することを可能にする。
【0054】
一例では、患者に提供される情報が呼吸ガイダンスに関する。
【0055】
一例では、患者に提供される情報が患者を落ち着かせるように構成される。
【0056】
一例では、患者を落ち着かせるために患者に提供される情報が介護者からの安心する介護又は接触を示唆する神経及び/又は筋肉刺激を含む。
【0057】
一例によれば、装置は、神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの患者応答を取得するように構成される。
処理ユニットは、神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの患者応答の利用を含む、鎮静された患者の鎮静状態を決定するように構成される。
【0058】
一例では、装置が鎮静した患者の鎮静状態を出力するように構成された出力ユニット70を備える。言い換えれば、例えば医療スキャン手順において利用するために患者の鎮静レベルを決定することができる鎮静レベル決定システムが提供される。
【0059】
一例では、出力ユニットを使用して、応答に基づいて医療スキャン手順を適応させることができる。
【0060】
図2は、画像取得ユニット110と、
図1に関して説明したような刺激装置10とを備える画像取得システム100の一例を示す。画像取得ユニットは、患者の画像データを取得するように構成される。刺激装置は、患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を与えるように構成されている。
【0061】
一例では、画像取得ユニットが磁気共鳴画像取得ユニット(MRI)、コンピュータ断層撮影画像取得ユニット(CT)、陽電子放出断層撮影画像取得ユニット(PET)、デジタルX線ラジオグラフィ画像取得ユニット(DXR)、又は任意の他の医用画像取得ユニットである。
【0062】
一例では、処理ユニットが患者の決定された鎮静状態の利用を含む画像データの取得のために、少なくとも1つのスキャンプロトコルを決定し、かつ/又は画像取得ユニットのための少なくとも1つのスキャンプロトコルを終了するように構成される。このように、困難な医療画像環境において、患者と相互作用する新しい効果的な方法が提供される。
【0063】
図3は、
図1に関して説明したような刺激装置10を備える磁気共鳴撮像システム200の一例を示す。磁気共鳴画像取得システムは、患者の画像データを取得するように構成される。刺激装置の処理ユニットは、刺激装置の意図的な神経及び/又は筋肉刺激のために使用される波形を、磁気共鳴撮像システムの磁気共鳴撮像のために使用される波形とインターリーブするように構成される。したがって、MRIスキャナーのボア内の患者と触覚的に対話することが可能になり、このための追加デバイスを必要としない。したがって、末梢神経刺激は、MRシステム自体の傾斜コイルシステムを使用して制御された方法で印加される。
【0064】
一例では、刺激装置が磁気共鳴画像取得ユニット内に含まれる。
【0065】
一例では、刺激装置のコイルがMR撮像の一部として使用される磁気共鳴画像取得システムのコイルである。
【0066】
図4は、患者を刺激する方法300を示す。
患者の末梢身体部分に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するために、磁気刺激ユニットを処理ユニットによって310に制御する。
【0067】
一例では、磁気刺激ユニットが磁気共鳴画像取得ユニットの少なくとも一部である
【0068】
一例では、この方法が少なくとも1つのセンサ装置によって、神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの応答を取得することを含む。
【0069】
一例では、本方法が患者に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するための特定の命令セットを処理ユニットによって実施するステップ320を含む。
【0070】
一例では、本方法が所定の空間的及び/又は時間的態様で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するために、処理ユニットによって少なくとも1つの磁気刺激コイルを制御するステップ330を含む。
【0071】
一例では、少なくとも1つの磁気刺激コイルが磁気共鳴画像取得ユニットの一部である。
【0072】
一例では、少なくとも1つの磁気刺激コイルが少なくとも1つの傾斜コイルを含む。
【0073】
一例では、本方法が所定の空間的態様で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するために、少なくとも1つの磁気刺激コイルの1つの磁気刺激コイルの少なくとも一部を処理ユニットによって選択するステップ340を含む。
【0074】
一例では、この方法が複数の磁気刺激コイルの1つ又は複数の磁気刺激コイルの少なくとも1つの部分を選択して(350)、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の空間的様式で患者に提供することを含む。
【0075】
一例では、本方法が患者の複数の異なる位置に意図的な神経及び/又は筋肉刺激を提供するように磁気刺激ユニットを制御するステップ360を含む。
【0076】
一例では、この方法が少なくとも1つの磁気刺激コイルに印加される電流の波形を制御して(370)、意図的な神経及び/又は筋肉刺激を所定の時間的様式で患者に提供することを含む。
【0077】
一例では、印加電流が高い最大電流振幅を有する。
【0078】
一例では、波形がバイポーラ台形傾斜波形を含む。
【0079】
一例では本方法が神経及び/又は筋肉刺激の380パルスを提供することを含み、パルスは0.1ms乃至100msの順序の持続時間を有する。
【0080】
一例では、複数の磁気刺激コイルの各磁気刺激コイルが複数の磁気刺激コイル駆動増幅器の少なくとも1つの増幅器によって駆動されるように構成される。各増幅器は、1つの磁気刺激コイルのみを駆動するように構成される。次いで、この方法は所定の空間的及び/又は時間的な方法で意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように、複数の増幅器を処理ユニットによって制御するステップ390を含むことができる。
【0081】
一例では、この方法が少なくとも2つの異なる増幅器によって各磁気刺激コイルを駆動することを含む。
【0082】
一例では、方法が患者に情報を提供するために意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するように磁気刺激ユニットを制御するステップ400を含む。
【0083】
一例では、患者に提供される情報が患者が磁気共鳴画像取得ユニット内で患者の少なくとも一部を再配置することを可能にする。
【0084】
一例では、患者に提供される情報が呼吸ガイダンスに関する。
【0085】
一例では、患者に提供される情報が患者を落ち着かせるように構成される。
【0086】
一例では、患者を落ち着かせるために患者に提供される情報が介護者からの安心する介護又は接触を示唆する神経及び/又は筋肉刺激を含む。
【0087】
一例では、方法が神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの患者応答を取得するステップ410と、神経及び/又は筋肉刺激に対する少なくとも1つの患者応答を利用するステップを含む、鎮静された患者の鎮静状態を処理ユニットによって決定するステップ420とを含む。
【0088】
一例では、本方法が鎮静された患者の鎮静状態を出力ユニットによって出力することを含む。
【0089】
一例では、この方法が少なくとも1つの応答に基づいて医療スキャン手順を適合させることを含む。
【0090】
一例では、方法が患者の決定された鎮静状態の利用を含む画像データの取得のための画像取得ユニットのための少なくとも1つのスキャンプロトコルを、処理ユニットによって決定すること(430)及び/又は終了させること(440)を含む。
【0091】
図5は、
図4に関連して説明した方法による磁気刺激ユニットによって意図的な神経及び/又は筋肉刺激を患者に提供するステップ510と、 磁気共鳴撮像システムを用いて患者の画像データを取得するステップ520と、意図的な神経及び/又は筋肉刺激のために使用される波形を、磁気共鳴撮像のために使用される波形と処理ユニットによってインターリーブするステップ530とを有する、磁気共鳴撮像システムによる画像取得の方法500を示す。
【0092】
一例では、磁気刺激ユニットが磁気共鳴画像取得ユニット内に含まれる。
【0093】
刺激装置、画像取得磁気共鳴撮像システム化システム、患者を刺激する方法、及び磁気共鳴撮像システムを用いた画像取得の方法は、ここで、特定の詳細な実施形態に関してより詳細に記載される。
【0094】
本発明者らは、末梢神経刺激(PNS)として知られる効果を、医用撮像環境において有益に使用できることを認識した。MRI処置中に磁気共鳴傾斜コイルに印加される強い電流は、患者の感覚神経及び運動神経を励起する望ましくない副作用を有することが知られている。患者はこれを、典型的にはアーム又は背部で、チクチクする感覚又は自発的なわずかな筋収縮として感じる。上述したように、この効果は、通常、望ましくないと考えられ、MRIスキャン中に可能であれば回避される。規格MRIシステムは三つの独立した傾斜コイルX,Y,Zを有し、各コイルは全て同じ電流を流すように直列に接続された幾つかのコイル部分から成り、傾斜コイル増幅器X,Y,Zの一つにより駆動される。本発明者らは、PNS効果がMRIスキャン中に患者を刺激するために意図的に利用され得、ここで、MRI画像取得ユニットの一部が利用され得、そして改変を伴って、さらなる有益な効果が提供され得ることを認識した。また、患者を刺激するために使用可能な専用の磁気刺激装置を、例えばCT、PET、及びDXRを用いた通常のスキャンへのアドオンとして使用することができることも理解された。
【0095】
以下の議論はMRI画像環境を中心としているが、上記で明らかにされたように、装置、システム、及び方法はCT、PET、及びDXRなどの他の撮像環境においてより広い有用性を有する。したがって、患者に触覚感覚が生成される、患者との触覚的相互作用が提供される。追加のデバイスなしでは実用的ではないであろう。これは特に、MRIシステムとしての閉鎖ボアシステムの場合であり、これはスキャン手順中にボアへの直接的なアクセスがないからである。これはまた、一般に、患者との直接的な人間の対話のために最小限のスタッフが存在するか、又はスタッフが全く存在しない、自律的な撮像環境の場合にも当てはまる。
【0096】
MRI環境では、本発明者らがスキャナ内の患者への触覚通信経路を導入する基礎として、MR画像の望ましくないPNS副作用を利用することが可能であることを理解した。したがって、患者が感じるPNSの量を低減しようとする代わりに、本発明者らは、制御された方法で患者にPNSを意図的に誘導する、新しいMRスキャンシーケンスを含むことができる新しい技法を導入した。したがって、MRIシステムでは、MRIに使用される傾斜コイルの少なくとも一部を意図的な磁気刺激に使用することができる。したがって、これらの電流の波形がMRIに使用されるスキャンシーケンスの波形とインターリーブされるように、PNSを誘導するために、MR傾斜コイルに強い電流が印加される。インターリーブのための状態の詳細はMRシーケンス設計の当業者に知られており、以下の実施形態で部分的に説明される。強い電流は、所定の空間的及び時間的な方法で患者の感覚神経及び運動神経を興奮させるために使用される。時間的挙動は注入電流の波形に支配される。空間的挙動は、3重傾斜(x、y、及びz)を生成するために使用される、3つの関連する増幅器を伴う、例えば3つのコイルを伴う、特定のコイルの選択によって支配される。傾斜コイルの特定の部分であっても使用することができ、単一のコイル及び増幅器が単一の傾斜、例えばx、y又はzを生成することができる場合には留意されたい。したがって、2つの増幅器を有する2つのコイルを使用して、二重傾斜、例えば(x、y)、又は(x、z)、又は(y、z)を生成することができる。その結果、患者はこれを、局所的な触覚、例えば、アーム又は背中に局所化されたティックリング感覚又は自発的なわずかな筋肉収縮として感じる。1つ又は複数の位置で単一又は複数の触覚信号を誘導することによって、一連の相互作用を実現することができる。これは、以下の特定の実施形態においてより詳細に論じられる。
【0097】
以下の詳細な実施形態は、刺激装置、画像取得磁気共鳴撮像システム化システム、患者を刺激する方法、及び磁気共鳴撮像システムを用いた画像取得の方法が当業者によって理解されるように、どのように実現され得るかについてのさらなる詳細を提供する。
【0098】
実施形態1:PNSを介した触覚インタラクション及びMRスキャンとのそれらの統合を誘導するための適切な波形
【0099】
傾斜コイルには0.1msから100msのオーダの大電流振幅とパルス持続時間を持つ典型的にはバイポーラ台形傾斜波形を適用した。これらは、MR画像を妥協することなく、当技術分野で知られている技法を使用して、MR画像に使用される波形とインターリーブすることができる。ここでのインターリーブとは広い意味で、次のように定義される。刺激パルスはRFパルス送信の時間及びMR信号受信の時間を除いて、任意の傾斜コイル又は傾斜コイルの任意の部分上でのMRスキャンの間、常に再生され得る。MRシーケンス設計で知られているように、このようなMRスキャンとの近いインターリーブはまた、刺激パルスの波形が例えば、等しい負及び正のローブを有する双極刺激パルスを使用することによって、刺激パルスの終わりに、時間その電流積分がゼロに等しいという状態を満たすことを必要とする。PNSパルスの振幅は患者による感覚の強さが変化するように、経時的に変化させることができる。いくつかの実施形態では、感覚の強さは同時多感覚刺激と同期して変化させることができる。PNSは記載される技術を使用して全ての患者において誘導され得るが、PNSに対する感受性は患者によって異なることに留意されたい。したがって、最初に患者のPNSに対する感受性、及びそれらの値(耐性、感受性など)を評価し、個人化された感覚応答モデルを作成することが有益であることが見出されている。
【0100】
実施形態2:PNSの誘導のためのコイル及びコイル部分の適切な選択
【0101】
図6は、MR画像取得ユニット又はスキャナのための傾斜コイルの概略図を示す。あらゆる傾斜コイル及びコイル部分は、コイルリードの空間的配置から生じる特性磁界分布を生成する。したがって、あらゆる傾斜コイル(X、Y、又はZ)も、PNSが生じる場所の特定の分布を有する。これは、異なる位置で触覚感覚を提供するために使用される。加えて、特定の実施形態では、1つのコイル装置のコイル部分が別個の増幅器に接続される。ここで、コイル装置は例えば、2つの別個のコイル、3つの別個のコイル又は4つの別個のコイルから形成することができる。規格MRシステムでは、1つの傾斜コイル装置のすべてのコイル部分が直列に接続され、このシリーズは1つの増幅器のみに接続される。したがって、例えば規格MRIでは、zコイル装置の2つの別個のコイル部分における電流が逆平行方向に流れ、1つの増幅器によって電力を供給することができる。まれにしか、各コイル部品は別々の増幅器で駆動される。これは、より速いMR画像のために傾斜コイルをより速く駆動するためにのみ行われ、全ての増幅器は同じ又はほぼ同じ波形を生成する。しかしながら、本技術では、コイル部品がこれらの部品を介して非常に異なる波形を有する電流を駆動するために、別々の増幅器に接続されている。したがって、本技術では
図6に示すように、2つのzコイルを別個増幅器によって駆動することができ、実際には2つのコイルの1つだけを活性化して、患者に意図的にPNSを誘導することができる。したがって、単純な例では強い電流がコイル装置の2つのコイル部分の1つを通してのみ駆動することができるが、そのコイル装置の2つのコイル部分は電流を流さない。これは、コイル部分1の磁場にさらされる身体部分においてのみPNSを誘導するために使用される。効果的には、これは全体の傾斜コイルのみを使用する場合よりも、より集束された方法で、体内の特定の位置においてPNSを選択的に誘導するために使用され得る。また、本技術においては、4つの別個のコイルを有するxコイル装置が各コイル部分を個別に駆動するために4つの別個の増幅器を有することができ、ここで、1つ、2つ、3つ又は全ての4つのコイルを作動させて意図的にPNSを誘導することができるという手段もある。しかしながら、MRIスキャナーの通常のコイルは、患者にPNSを意図的に誘導するために利用することができる。
【0102】
実施形態1に記載されたタイミング及び波形状態に従って、刺激パルスをMRスキャンインターリーブすることは以下の2つの場合又はその変形例を含むことさえできる。第1の場合において、x傾斜コイルの4つの部分すべてがMRスキャンに必要な特定の波形を再生する一方で、刺激パルスはy傾斜コイル又はz傾斜コイルの少なくとも1つの部分上で再生されてもよい。第2のケースではx傾斜コイルの4つの部分の全てが、MRスキャン必要な特定の波形を再生する一方で、刺激パルスがx傾斜コイル自体の少なくとも1つの部分上で再生されてもよい。
【0103】
したがって、
図6を参照すると、上述のコイルはより小さくすることができ、必要であれば、患者の一人部のみに局所化することができ、CT、PET、減衰X線などの画像スキャナと連動して動作して、患者に意図的にPNSを誘発することができる刺激装置を形成することができる。
【0104】
図6におけるコイルの表現は単に概略的なものであり、コイルは、実際にはy傾斜コイルを示す
図7に示されるように非常に複雑に成形されていることに留意されたい。
【0105】
実施の形態3:鎮静状態を決定するための神経筋刺激
第3の実施形態では、PNSによって誘発される触覚が患者に物理的に触れる必要なく患者の鎮静レベルを評価するための刺激として作用するために使用される。この実施形態では、既知の鎮静レベル評価方法のいずれかを使用して、PNS刺激に対する患者の応答を評価し、したがって鎮静状態を評価することができる。これは、例えば、自動鎮静状態決定を伴う、手動評価、又はセンサベースの評価を含み得る。ここで、PNSは身体の同一又は異なる部分に、単一又は複数回適用することができる。また、PNSの強度(コイル内の電流振幅による)をスキャンして鎮静レベルを評価し、MRI検査中に鎮静レベルを追跡することができる。鎮静薬の投薬へのフィードバックも提供することができる。
スキャンシーケンスの適応
各鎮静状態に対応する持続時間があり、これは患者の反応に基づいて測定される場合があることを考慮すると、患者の状態を考慮して適切なレベルの順序を優先できるように、特定のスキャンシーケンスが自動的に調整される。
実施の形態4:患者の体位変換のための神経筋刺激
【0106】
第4の実施形態では、PNSによって誘発される触覚が患者に物理的に触れる必要なく、患者をMRIスキャナーのボア内に再配置するための刺激として作用するために使用される。この実施形態では、カメラ、直接視覚、又は任意の公知の方法を使用して、PNS刺激に対する患者の応答を評価し、再配置が成功したかどうかを見ることができる。さらなる再配置が必要とされる場合、PNSは再び、身体の同じ部分又は異なる部分に、単独で又は複数回適用され得る。また、PNSの強度(コイル内の電流振幅)を変更して、例えば、より小さい又はより大きい動きが必要であることを患者に示唆することができる。
実施の形態5:呼吸誘導のための神経筋刺激
【0107】
第5の実施形態では、PNSによって誘発される触覚が患者に物理的に触れる必要なく、MRIスキャナーのボア内の患者の呼吸をガイドする刺激として作用するために使用される。この実施形態では、PNS刺激に対する患者の呼吸の応答を評価し、呼吸ガイダンスが成功したかどうかを調べるために、任意の既知の方法(視覚的、ひずみゲージ付きベルトなど)を使用することができる。この実施形態において、PNSは、患者の所望の呼吸速度で、かなり周期的な様式で、身体の同じ部分又は異なる部分に再び複数回適用され得る。また、PNSの強度(コイル内の電流振幅)は例えば、もはや適切にガイダンスに従わないことを患者に示唆するように変更することができる。
実施の形態6:神経質な患者を落ち着かせるための神経筋刺激
第6の実施形態では、PNSによって誘発される触覚が患者に物理的に触れる必要なしに、MRIスキャナーのボア内の不安な患者を落ち着かせるための刺激として作用するために使用される。この実施形態では、既知の方法(GSR、心拍数変動、視覚など)のいずれかを使用して、PNS刺激に対する患者の不安レベルの応答を評価し、鎮静刺激が成功したかどうかを調べることができる。この実施形態では、PNSが再び、身体の同じ部分又は異なる部分に複数回適用することができる。また、PNSの強度(コイル内の電流振幅)を変更して、例えば介護者が腕を打っていることを患者に示唆することができる。
【0108】
別の例示的な実施形態では、適切なシステム上で、前述の実施形態の1つによる方法の方法ステップを実行するように構成されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。したがって、コンピュータプログラム要素は、実施形態の一部であってもよいコンピュータユニットに格納されてもよい。この計算ユニットは、上述の方法のステップの実行を実行又は誘導するように構成されてもよい。さらに、上記の装置及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成することができる。計算ユニットは自動的に動作するように、及び/又はユーザの順序を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードすることができる。したがって、データプロセッサは、前述の実施形態の1つによる方法を実行するように装備されてもよい。本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートの手段によって現存するプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。さらに、コンピュータプログラム要素は、上述のプロシージャの例示的な実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することができる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CDROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はその上に格納されたコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素は、前述のセクションによって説明される。コンピュータプログラムは他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布することができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して他の形態で配布することもできる。しかしながら、コンピュータプログラムはワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示することもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードすることもできる。
【0109】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロードに利用可能なコンピュータプログラム要素を作成するための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態の1つによる方法を実行するように構成される。本発明の実施形態は、異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は方法タイプの特許請求の範囲を参照して説明され、他の実施形態は装置タイプの特許請求の範囲を参照して説明される。
【0110】
しかしながら、当業者は上記及び以下の説明から、別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組合せに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組合せも、本出願で開示されると考えられることを理解するのであろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計よりも多い相乗効果を提供することができる。
【0111】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び従属請求項の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。
【0112】
特許請求の範囲において、単語「有する」は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲において引用されるいくつかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において引用されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】