(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】デジタルバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20220822BHJP
G16H 20/30 20180101ALI20220822BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220822BHJP
A61B 5/091 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H20/30
A61B10/00 H
A61B5/091
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575286
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020066664
(87)【国際公開番号】W WO2020254343
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】グーセンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リプスマイヤー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ デトレフ
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB12
4C038VC20
5L099AA04
(57)【要約】
現在のところ、筋障害、特にSMAと診断された被験者における症状の重症度および進行の評価は、6か月から12か月ごとの診療所での被験者の監視および試験を伴う。しかしながら、被験者をより頻繁に監視および試験することが好ましいが、診療所での監視および試験の頻度を増すことは、コストがかかり、被験者にとって不便になる可能性がある。したがって、本明細書に記載のように、診療所環境の外部での被験者の遠隔監視および試験による症状の重症度および進行の評価は、コスト、監視の容易さ、および被験者にとっての利便性において利点を提供する。本開示にかかるシステム、方法、および装置は、被験者の能動的試験によって、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するための診断を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するための診断装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記装置に関連付けられた1つ以上のセンサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリであって、
前記コンピュータ可読命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置に、
前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信すること、
受信した前記第1のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記肺気量に関連する第1の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第1の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記肺気量の第1の評価を決定すること
を実行させる、
メモリと
を備える、装置。
【請求項2】
前記コンピュータ可読命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置に、
前記被験者に対して、長い「アー(aaah)」音を発する診断タスクを実行するように促すこと、
前記被験者が前記診断タスクを実行したことに応答して、前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信すること、
受信した前記第2のセンサデータから、前記被験者の前記肺気量に関連する第2の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第2の複数の特徴に基づいて、前記被験者のピッチ変動の第2の評価を決定すること
をさらに実行させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンピュータ可読命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置に、
前記被験者に対して、完全吸気から完全呼気まで強制的に息を吹きながら長い「アー(aaah)」音を発する前記診断タスクを実行するように促すこと、
前記被験者が前記診断タスクを実行したことに応答して、前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信すること、
受信した前記第2のセンサデータから、前記被験者の前記肺気量に関連する第2の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第2の複数の特徴に基づいて、前記被験者のピッチ変動の第2の評価を決定すること
をさらに実行させる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
スマートフォンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記診断タスクが、強制肺活量試験のうちの少なくとも1つに関連付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記診断タスクが、少なくとも、前記患者がこの「アー(aaah)」音を発するのに費やす時間を測定することに関連付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するためのコンピュータ実装方法であって、
装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信した前記第1のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出した前記第1の複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記肺気量の第1の評価を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記被験者に対して、1つ以上の診断タスクを実行するように促すことと、
前記被験者が前記1つ以上の診断タスクを実行したことに応答して、前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信した前記第2のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記肺気量に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、
少なくとも、抽出した前記第2のセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記肺気量の第2の評価を決定することと
をさらに含む、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記被験者の肺気量が、能動的試験に基づいて、特に前記被験者が長い「アー(aaah)」音を発する持続時間に基づいて評価され、より具体的には、前記被験者が長いまたは大きい「アー(aaah)」を発しながら完全吸気から完全呼気まで強制的に息を吹くのに費やす時間が測定される、請求項7~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記被験者が人間である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置または請求項7~9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するための方法をプロセッサに実行させるための機械可読命令を含む、非一時的な機械可読記憶媒体であって、
前記方法が、
装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信することと、
受信した前記センサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記肺気量に関連する複数の特徴を抽出することと、
抽出した前記複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記肺気量の評価を決定することと
を含む、
非一時的な機械可読記憶媒体。
【請求項12】
被験者の筋障害、特にSMAを評価するためのコンピュータ実装方法であって、
i) 毎日、特に少なくとも週に5回、より具体的には少なくとも週に1回、前記被験者が「アー(aaah)」音を発する持続時間を測定することと、
ii) 決定されたスコアを臨床アンカーの基準スコアと比較することと、
iii) 筋障害、特にSMAの重症度を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項13】
筋障害、特にSMAを有する被験者であるかを識別するコンピュータ実装方法であって、
i) 被験者が長い「アー(aaah)」音を発する診断タスクについて前記被験者をスコア付けすることと、
ii) 決定されたスコアを基準と比較することであって、それにより、筋障害、特にSMAが評価される、比較することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項14】
筋障害、特にSMAの進行の可能性を下げるために、医薬活性剤を前記被験者に投与することをさらに含み、
特に、前記医薬活性剤が、被験者のSMAの処置に適しており、特にm7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1調節剤、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシング調節剤、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2調節剤、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤であり、より具体的にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムである、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤がリスジプラムである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記被験者が人間である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
本明細書に記載したとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本明細書に記載の態様は、改善された被験者の試験および被験者の分析のための医療装置に関する。より具体的には、本明細書に記載される態様は、被験者における筋障害、特に脊髄性筋萎縮症(SMA)の症状の重症度および進行を被験者の能動的試験によって評価するための診断装置、システム、および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、近位脊髄性筋萎縮症および5q脊髄性筋萎縮症とも呼ばれる常染色体劣性疾患である。これは、運動ニューロンの喪失および進行性の筋消耗に関連する患者数は少ないが生命を脅かす神経筋障害である。
【0003】
SMAは、健康問題になっており、保険制度に関する重大な経済的負担にもなっている。SMAは、臨床的に非一様なCNSの疾患であるため、現在の疾患の状態および症状の進行について信頼できる診断および識別を可能にし、したがって正確な処置を支援することができる診断ツールが必要である。
【0004】
SMAと診断された被験者の症状の重症度および進行を測定するために、いくつかの標準化された方法および試験が存在する。この試験は、身体機能を実行する被験者の能力を医師が測定することを含む。これらの標準化された試験は、被験者の強制肺活量(FVC)に関連するピッチ変動を測定することによって様々な症状、特に肺気量の評価を提供することができ、これらの症状の変化を経時的に追跡するのを助けることができる。したがって、標準化された方法および試験を使用して症状の重症度および進行を評価することは、処置および治療の選択肢を導くのを助けることができる。
【0005】
現在のところ、筋障害、特にSMAと診断された被験者における症状の重症度および進行の評価は、6か月から12か月ごとの診療所での被験者の監視および試験を伴う。被験者をより頻繁に監視および試験することが理想的であるが、診療所での監視および試験の頻度を増すことは、コストがかかり、被験者にとって不便になり得る。
【発明の概要】
【0006】
簡単な概要
以下、本明細書に記載の様々な態様の簡略化された概要を示す。本概要は、広範な概説ではなく、主要または重要な要素を特定したり、特許請求の範囲を詳細に説明したりすることを意図するものではない。以下の概要は、以下に提供されるより詳細な説明への導入の前置きとして、いくつかの概念を簡略化された形式で提示するにすぎない。本明細書に記載の態様は、筋障害、特にSMAと診断された被験者について、症状の重症度および進行を評価するための特別な医療装置を説明する。試験および監視を遠隔で診療所環境の外部において行うことができるため、より低いコスト、より高い頻度、ならびに簡略化された容易さおよび便利を被験者に提供することができ、結果として、症状の進行の検出が改善され、より良好な処置につながる。
【0007】
一態様によれば、本開示は、被験者における筋障害、特にSMAの肺気量を評価するための診断装置に関する。本装置は、少なくとも1つのプロセッサと、装置に関連付けられた1つ以上のセンサと、コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含み、コンピュータ可読命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信すること、受信した第1のセンサデータから、被験者における筋障害、特にSMAのFVCに関連する第1の複数の特徴を抽出すること、および抽出した第1の複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAのFVCの第1の評価を決定することを、装置に実行させる。
【0008】
1)筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するための診断装置であって、装置が、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記装置に関連付けられた1つ以上のセンサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリであって、
前記コンピュータ可読命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置に、
前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信すること、
受信した第1のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量に関連する第1の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した第1の複数の特徴に基づいて、被験者の肺気量の第1の評価を決定すること
を実行させる、
メモリと
を備える、装置。
【0009】
2)コンピュータ可読命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に、
被験者に対して、長い「アー(aaah)」音を発する診断タスクを実行するように促すこと、
前記被験者が前記診断タスクを実行したことに応答して、前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信すること、
受信した第2のセンサデータから、被験者の肺気量に関連する第2の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した第2の複数の特徴に基づいて、被験者のピッチ変動の第2の評価を決定すること
をさらに実行させる、E1の装置。
【0010】
3)スマートフォンである、E1~2のいずれか1つの装置。
【0011】
4)診断タスクは、強制肺活量試験のうちの少なくとも1つに関連付けられる、E1~3のいずれか1つの装置。
【0012】
5)筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するためのコンピュータ実装方法であって、
装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信した第1のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出した第1の複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量の第1の評価を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【0013】
6)前記被験者に対して、1つ以上の診断タスクを実行するように促すことと、
前記被験者が前記1つ以上の診断タスクを実行したことに応答して、前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信した第2のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、
少なくとも、抽出した第2のセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量の第2の評価を決定することと
をさらに含む、E5のコンピュータ実装方法。
【0014】
7)被験者の肺気量が、能動的試験に基づいて、特に被験者が長い「アー(aaah)」音を発する持続時間に基づいて評価され、より具体的には、音が、被験者が完全吸気から完全呼気まで強制的に息を吹き出している間に発せられる、E5~6のいずれか1つのコンピュータ実装方法。
【0015】
8)被験者が人間である、E1~4のいずれか1つの装置またはE5~7のいずれか1つのコンピュータ実装方法。
【0016】
9)筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量を評価するための方法をプロセッサに実行させるための機械可読命令を含む、非一時的な機械可読記憶媒体であって、方法が、
装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信することと、
受信したセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量に関連する複数の特徴を抽出することと、
抽出した複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の肺気量の評価を決定することと
を含む、
非一時的な機械可読記憶媒体。
【0017】
10)被験者の筋障害、特にSMAを評価するためのコンピュータ実装方法であって、
i)毎日、特に少なくとも週に5回、より具体的には少なくとも週に1回、前記被験者が「アー(aaah)」音を発する持続時間を測定することと、
ii)決定されたスコアを臨床アンカーの基準スコアと比較することと、
iii)筋障害、特にSMAの重症度を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【0018】
11)被験者が筋障害、特にSMAを有する被験者であるかを識別するコンピュータ実装方法であって、
i)被験者が長い「アー(aaah)」音を発する診断タスクについて被験者をスコア付けすることと、
ii)決定されたスコアを基準と比較することであって、それにより、筋障害、特にSMAが評価される、比較することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【0019】
12)筋障害、特にSMAの進行の可能性を下げるために、医薬活性剤を被験者に投与することをさらに含み、
特に、医薬活性剤が、被験者のSMAの処置に適しており、特にm7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1調節剤、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシング調節剤、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2調節剤、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤であり、より具体的にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムである、
E11の方法。
【0020】
13)前記薬剤がリスジプラムである、E13の方法。
【0021】
14)被験者が人間である、E10~13の方法。
【0022】
15)本明細書に記載したとおりの発明。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に記載の態様およびそれらの利点のより完全な理解が、添付の図面を考慮して以下の説明を参照することによって得られることができる。添付の図面において、同様の参照符号は同様の特徴を示している。
【0024】
【
図1】例示的な実施形態にかかる被験者における筋障害、特にSMAの肺気量を評価するための診断装置が提供される例示的な環境の図である。
【
図2】例示的な実施形態にかかる被験者の肺気量の能動的試験に基づいて被験者における筋障害、特にSMAのピッチ変動を評価する方法のフロー図である。
【
図3】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実施するために使用されることができるネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置の一例を示している。
【
図4】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる診断アプリケーションを示す一例を示している。
【
図5】実施例1にかかるセンサ特徴の結果を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
以下の様々な態様の説明においては、説明の一部を形成しており、本明細書に記載の態様が実施されることができる様々な実施形態を例示として示されている添付の図面が参照される。記載される態様および実施形態の範囲から逸脱することなく、他の態様および/または実施形態が利用されることができ、構造的および機能的変更が行われることができることを理解されたい。本明細書に記載の態様は、他の実施形態で可能であり、様々な方法で実施または実行されることができる。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。むしろ、本明細書で使用される語句および用語には、最も広い解釈および意味が与えられるべきである。「含む」および「備える」ならびにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物、ならびに追加の項目およびそれらの均等物を包含することを意味する。用語「取り付け」、「接続」、「結合」、「配置」、「係合」、および同様の用語の使用は、直接的および間接的の双方の取り付け、接続、結合、配置、および係合を含むことを意味する。
【0026】
本明細書に記載のシステム、方法、および装置は、被験者における筋障害、特にSMAの肺気量を評価するための診断を提供する。いくつかの実施形態では、診断は、モバイル装置、特にスマートフォンにインストールされたソフトウェアアプリケーションとして被験者に提供されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、診断は、被験者が日常生活の活動を行うときに、モバイル装置に関連付けられた1つ以上のセンサからセンサデータを取得または受信する。いくつかの実施形態では、センサは、スマートフォンなどのモバイル装置またはスマートウォッチなどのウェアラブルセンサ内にあってもよい。いくつかの実施形態では、筋障害、特にSMAの症状に関連するセンサ特徴が、受信または取得したセンサデータから抽出される。いくつかの実施形態では、被験者における筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価が、抽出されたセンサ特徴に基づいて決定される。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示にかかるシステム、方法、および装置は、被験者の能動的試験に基づいて被験者における筋障害、特にSMAのピッチ変動を評価するための診断を提供する。いくつかの実施形態では、診断は、被験者に対して、診断タスクを実行するように促す。いくつかの実施形態では、診断タスクは、確立された方法および標準化された試験の後にアンカリングまたはモデル化される。いくつかの実施形態では、被験者が診断タスクを実行したことに応答して、診断は、1つ以上のセンサを介してセンサデータを取得または受信する。いくつかの実施形態では、センサは、モバイル装置内にあってもよく、または被験者によって装着されるウェアラブルセンサ内にあってもよい。いくつかの実施形態では、筋障害、特にSMAの症状に関連するセンサ特徴が、受信または取得したセンサデータから抽出される。いくつかの実施形態では、被験者における筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価が、センサデータの抽出された特徴に基づいて決定される。
【0029】
本開示にかかる診断を用いた筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価は、臨床結果に基づく評価と十分に相関しており、したがって臨床的な被験者の監視および試験を置き換えることができる。本開示にかかる例示的な診断は、診療所環境の外部で使用可能であり、したがって、コスト、被験者の監視の容易さ、および被験者にとっての利便性において利点を有する。これは、特に毎日などの頻繁な被験者の監視および試験を容易とし、結果として、疾患段階のより良好な理解をもたらし、臨床および研究のコミュニティの双方にとって有用な疾患に関する洞察を提供する。本開示にかかる例示的な診断は、被験者における筋障害、特にSMAのピッチ変動における小さな変化でさえも早期に検出することができ、したがって個人に合わせた治療を含むより良い疾患の管理に使用されることができる。
【0030】
図1は、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量を評価するための診断装置105が設けられる例示的な環境の図である。いくつかの実施形態では、装置105は、スマートフォン、スマートウォッチ、または他のモバイルコンピューティング装置であってもよい。装置105は、ディスプレイ画面160を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ画面160は、タッチスクリーンであってもよい。装置105は、少なくとも1つのプロセッサ115と、少なくとも1つのプロセッサ115によって実行されると、装置105に筋障害、特にSMAの肺気量を評価させる症状監視アプリケーション130用のコンピュータ命令を記憶するメモリ125とを含む。装置105は、装置105に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。いくつかの実施形態では、装置に関連付けられた1つ以上のセンサは、装置内に配置されたセンサ、または被験者によって装着され且つ装置と通信するように構成されたセンサのうちの少なくとも一方である。
図1において、装置105に関連付けられたセンサは、装置105内に配置された第1のセンサ120aと、被験者110によって装着されることができる第2のセンサ120bとを含む。装置105は、被験者110が活動を行う際に、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。
【0031】
装置105は、受信した第1のセンサデータおよび第2のセンサデータから、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量に関連する特徴を抽出する。いくつかの実施形態では、被験者110における筋障害、特にSMAの症状は、被験者110のFVCを表す症状、被験者110の肺気量を表す症状を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、装置105に関連付けられたセンサ120は、BluetoothおよびWiFi機能に関連付けられたセンサを含むことができ、センサデータは、センサ120により受信されたBluetoothおよびWiFi信号に関連付けられた情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、装置105は、受信した第1のセンサデータおよび第2のセンサデータから、装置105またはセンサによって受信または送信されたBluetoothおよびWiFi信号の密度に対応するデータを抽出する。いくつかの実施形態では、被験者110のピッチ変動による肺気量の評価は、抽出されたBluetoothおよびWiFi信号データに基づくことができる(例えば、被験者の社交性の評価は、ピックアップされたBluetoothおよびWiFi信号の密度に部分的に基づくことができる)。
【0033】
装置105は、受信した第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定する。いくつかの実施形態では、装置105は、抽出された特徴をネットワーク180を介してサーバ150に送信する。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、サーバのプロセッサ155によって実行されると、プロセッサ155に、サーバ150が受信した装置105からの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定させる症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令を記憶するメモリ161とを含む。いくつかの実施形態では、症状評価アプリケーション170は、装置105から受信したセンサデータの抽出された特徴と、メモリ160に記憶された被験者データベース175とに基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定することができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、被験者データおよび/または臨床データを含むことができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、筋障害、特にSMAの被験者からのベースラインの長期的なピッチ変動による肺気量の診療所におけるセンサに基づく測定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、サーバ150から独立していてもよい。いくつかの実施形態では、サーバ150は、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量について決定された評価を装置105に送信する。いくつかの実施形態では、装置105は、筋障害、特にSMAの肺気量の評価を出力することができる。いくつかの実施形態では、装置105は、評価に基づいて被験者110に情報を伝達することができる。いくつかの実施形態では、筋障害、特にSMAの肺気量の評価は、評価に基づいて被験者110についての個人ごとの治療を決定することができる臨床医に伝達されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、症状監視アプリケーション130用のコンピュータ命令は、少なくとも1つのプロセッサ115によって実行されると、装置105に、被験者110の能動的試験に基づいて被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量を評価させる。装置105は、被験者110に対して1つ以上のタスクを実行するように促す。いくつかの実施形態では、被験者に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促すことは、被験者に対して予め指定された文を転記するように促すこと、または被験者に対して1つ以上の動作を実行するように促すことを含む。いくつかの実施形態では、診断タスクは、筋障害、特にSMAを診断および評価するために十分に確立された方法および標準化された試験の後にアンカリングまたはモデル化される。
【0035】
被験者110が1つ以上の診断タスクを実行したことに応答して、診断装置105は、装置105に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。上述したように、装置105に関連付けられたセンサは、装置105内に配置された第1のセンサ120aと、被験者110によって装着される第2のセンサ120bとを含むことができる。装置105は、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。いくつかの実施形態では、1つ以上の診断タスクは、ピッチ変動の測定、特に最長の「アー(aaah)」の測定に関連付けられてもよい。
【0036】
装置105は、受信した複数の第1のセンサデータおよび受信した複数の第2のセンサデータから、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量に関連する特徴を抽出する。被験者110における筋障害、特にSMAの症状は、被験者110の肺気量を表す症状を含むことができる。いくつかの実施形態では、被験者110における筋障害、特にSMAのピッチ変動は、肺気量を表す。
【0037】
装置105は、受信した第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定する。いくつかの実施形態では、装置105は、抽出された特徴をネットワーク180を介してサーバ150に送信する。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、サーバのプロセッサ155によって実行されると、プロセッサ155に、サーバ150が受信した装置105からの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定させる症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令を記憶するメモリ161とを含むことができる。いくつかの実施形態では、症状評価アプリケーション170は、装置105から受信したセンサデータの抽出された特徴と、メモリ160に記憶された被験者データベース175とに基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定することができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、被験者データおよび/または臨床データを含むことができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、筋障害、特にSMAの被験者からのベースラインの長期的なピッチ変動の測定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、筋障害、特にSMAの他の段階にある被験者からのデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、サーバ150から独立していてもよい。いくつかの実施形態では、サーバ150は、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量について決定された評価を装置105に送信する。いくつかの実施形態では、装置105は、筋障害、特にSMAの肺気量の評価を出力することができる。いくつかの実施形態では、装置105は、評価に基づいて被験者110に情報を伝達することができる。いくつかの実施形態では、筋障害、特にSMAの肺気量の評価は、評価に基づいて被験者110についての個人ごとの治療を決定することができる臨床医に伝達されることができる。
【0038】
図2は、
図1の例示的な装置105を使用した被験者の能動的試験に基づいて被験者における筋障害、特にSMAの肺気量を評価するための例示的な方法を示している。
図3は、
図1を参照して説明されるが、
図3の方法の各ステップが他のシステムによって実行されてもよいことに留意されたい。本方法は、被験者に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促すこと(205)を含む。本方法は、被験者が1つ以上のタスクを実行したことに応答して、1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信すること(ステップ210)を含む。本方法は、受信したセンサデータから、筋障害、特にSMAの肺気量に関連する複数の特徴を抽出すること(215)を含む。本方法は、少なくとも、抽出したセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定すること(ステップ220)を含む。
【0039】
図2は、
図1の例示的な装置105を使用した被験者110の能動的試験に基づいて筋障害、特にSMAの肺気量を評価するための例示的な方法を示している。いくつかの実施形態では、装置105を使用した被験者110の能動的試験は、症状監視アプリケーション130のユーザインタフェースを介して選択されてもよい。
【0040】
本方法は、被験者に対して、1つ以上の診断タスクを実行するように促すことを含むステップ205に進むことによって開始する。装置105は、被験者110に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促す。いくつかの実施形態では、被験者に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促すことは、被験者に対して1つ以上の動作を実行するように促すことを含む。いくつかの実施形態では、診断タスクは、筋障害、特にSMAを診断および評価するために十分に確立された方法および標準化された試験の後にアンカリングまたはモデル化される。
【0041】
いくつかの実施形態では、診断タスクは、モンスターを応援してゴールラインを越えさせるために可能な限り大きな「アー(aaah)」音を発することを含むことができる。
【0042】
本発明の特定の実施形態では、長いまたは大きい「アー(aaah)」音は、被験者がその音を発しながら完全吸気から完全呼気まで強制的に息を吹くのに費やす時間を測定することを可能にする。
【0043】
本発明の別の実施形態では、本発明は、被験者が長いまたは大きい「アー(aaah)」を発しながら完全吸気から完全呼気まで強制的に息を吹くのに費やす時間の測定を含む。
【0044】
本明細書において使用される「試験」という用語は、被験者が本明細書に記載の診断タスクを実行するように求められる試験を表す。
【0045】
本方法は、被験者が1つ以上の診断タスクを実行したことに応答して、1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することを含むステップ210に進む。被験者110が1つ以上の診断タスクを実行したことに応答して、診断装置105は、装置105に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。上述したように、装置105に関連付けられたセンサは、装置105内に配置された第1のセンサ120aと、被験者110によって装着される第2のセンサ120bとを含む。装置105は、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。
【0046】
本方法は、受信したセンサデータから、筋障害、特にSMAの肺気量に関連する第2の複数の特徴を抽出することを含むステップ215に進む。装置105は、受信した第1のセンサデータおよび第2のセンサデータから、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量に関連する特徴を抽出する。被験者110における筋障害、特にSMAの症状は、被験者110の肺気量を表す症状を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の第1および第2のセンサデータの抽出された特徴は、ピッチ変動などの筋障害、特にSMAの症状を表すことができる。
【0047】
本方法は、少なくとも、抽出されたセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定することを含むステップ220に進む。装置105は、受信した第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定する。いくつかの実施形態では、装置105は、抽出された特徴をネットワーク180を介してサーバ150に送信することができる。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、プロセッサ155によって実行されると、サーバ150が受信した装置105からの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定する症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令を記憶するメモリ160とを含む。いくつかの実施形態では、症状評価アプリケーション170は、装置105から受信したセンサデータの抽出された特徴と、メモリ160に記憶された被験者データベース175とに基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量の評価を決定することができる。被験者データベース175は、様々な臨床データを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の装置は、1つ以上のウェアラブルセンサであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の装置は、慣性計測ユニット(IMU)を有する動きセンサを含む任意の装置であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の装置は、いくつかの装置またはセンサであってもよい。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、サーバ150から独立していてもよい。いくつかの実施形態では、サーバ150は、被験者110における筋障害、特にSMAの肺気量について決定された評価を装置105に送信する。
図1に示されるようないくつかの実施形態において、装置105は、装置105のディスプレイ160上に、筋障害、特にSMAの肺気量の評価を出力することができる。
【0048】
上述したように、本開示にかかる診断を使用した筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価は、臨床結果に基づく評価に十分に相関しており、したがって臨床的な被験者の監視および試験を置き換えることができる。本開示にかかる診断は、筋障害を有する被験者の群、特にSMAの被験者において研究された。被験者に、肺気量の試験、特に「モンスターを応援せよ」と呼ばれる試験を含むスマートフォンアプリケーションを提供した。
【0049】
図3は、
図1および
図2に記載の態様など、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実施するために使用されることができるネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置の一例を示している。様々なネットワークノード303、305、307、および309が、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)301を介して相互接続されてもよい。プライベートイントラネット、企業ネットワーク、LAN、無線ネットワーク、パーソナルネットワーク(PAN)を含む他のネットワークもまた、または代わりに使用されてもよい。ネットワーク301は、説明のためのものであり、より少数または追加のコンピュータネットワークによって置き換えられてもよい。ローカルエリアネットワーク(LAN)は、任意の既知のLANトポロジのうちの1つ以上を有することができ、イーサネットなどの様々なプロトコルのうちの1つ以上を使用することができる。装置303、305、307、309および他の装置(図示せず)は、ツイストペアワイヤ、同軸ケーブル、光ファイバ、電波、または他の通信媒体を介して、ネットワークのうちの1つ以上に接続されてもよい。
【0050】
本明細書において使用されて図面に表される「ネットワーク」という用語は、遠隔記憶装置が1つ以上の通信経路を介して互いに結合されるシステムだけでなく、記憶機能を有するそのようなシステムに随時結合可能であるスタンドアロン装置も指す。したがって、「ネットワーク」という用語は、「物理ネットワーク」だけでなく、全ての物理ネットワークにわたって存在する-単一のエンティティに帰属する-データから構成される「コンテンツネットワーク」も含む。
【0051】
構成要素は、データサーバ303、ウェブサーバ305、およびクライアントコンピュータ307、309を含むことができる。データサーバ303は、本明細書に記載の1つ以上の具体的な態様を実行するためのデータベースおよび制御ソフトウェアの全体的なアクセス、制御および管理を提供する。データサーバ303は、ユーザが対話し且つ要求されたデータを取得するウェブサーバ305に接続されることができる。あるいは、データサーバ303は、それ自体ウェブサーバとして動作し、インターネットに直接接続されてもよい。データサーバ303は、ネットワーク301(例えば、インターネット)を介して、直接的もしくは間接的な接続を介して、または他のいくつかのネットワークを介して、ウェブサーバ305に接続されてもよい。ユーザは、遠隔コンピュータ307、309を使用して、例えば、ウェブブラウザを使用して、ウェブサーバ305によってホストされた1つ以上の外部に公開されたウェブサイトを介してデータサーバ303に接続することにより、データサーバ303と対話することができる。クライアントコンピュータ307、309は、データサーバ303に記憶されたデータにアクセスするためにデータサーバと連携して使用されることができ、あるいは他の目的のために使用されることができる。例えば、クライアント装置307から、ユーザは、当該技術分野において知られているようなインターネットブラウザを使用して、あるいはコンピュータネットワーク(インターネットなど)を介してウェブサーバ305および/またはデータサーバ303と通信するソフトウェアアプリケーションを実行することによって、ウェブサーバ305にアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ307は、スマートフォン、スマートウォッチ、または他のモバイルコンピューティング装置であってもよく、
図1に示す装置105などの診断装置を実装してもよい。いくつかの実施形態では、データサーバ303は、
図1に示すサーバ150などのサーバを実装することができる。
【0052】
サーバおよびアプリケーションは、同じ物理的機器上で組み合わせられ、別の仮想アドレスまたは論理アドレスを保持してもよく、あるいは別々の物理的機器上に存在してもよい。
図1は、使用可能なネットワークアーキテクチャの単なる一例を示しており、当業者であれば、本明細書にさらに記載されるように、使用される特定のネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置が様々であってもよく、それらが提供する機能に対して二次的であることを理解するであろう。例えば、ウェブサーバ305およびデータサーバ303によって提供されるサービスは、単一のサーバ上に組み合わせられてもよい。
【0053】
各構成要素303、305、307、および309は、任意の種類の既知のコンピュータ、サーバ、またはデータ処理装置であってもよい。データサーバ303は、例えば、レートサーバ303の全体的な動作を制御するプロセッサ311を含むことができる。データサーバ303は、RAM313、ROM315、ネットワークインタフェース317、入出力インタフェース319(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタなど)、およびメモリ321をさらに含むことができる。I/O319は、データまたはファイルの読み取り、書き込み、表示、および/または印刷を行うための様々なインタフェースユニットおよび駆動部を含むことができる。メモリ321は、データ処理装置303の全体的な動作を制御するためのオペレーティングシステムソフトウェア323、本明細書に記載の態様を実行するようにデータサーバ303に指示するための制御ロジック325、および本明細書に記載の他の態様と組み合わせて使用されてもよくあるいはされなくてもよい二次的なサポート機能および/または他の機能を提供する他のアプリケーションソフトウェア327をさらに記憶してもよい。制御ロジックは、本明細書ではデータサーバソフトウェア325と呼ばれることもある。データサーバソフトウェアの機能は、制御ロジックにコード化されたルールに基づいて自動的に行われる動作または決定、システムに入力を提供することによってユーザによって手動で行われる動作または決定、および/またはユーザ入力に基づく自動処理の組み合わせ(例えば、クエリ、データ更新など)を指すことができる。
【0054】
さらに、メモリ321は、第1のデータベース329および第2のデータベース331を含む、本明細書に記載の1つ以上の態様の実行に使用されるデータを記憶することができる。いくつかの実施形態では、第1のデータベースは、第2のデータベースを(例えば、別のテーブル、レポートなどとして)含んでもよい。すなわち、情報は、システムの設計に応じて、単一のデータベースに記憶されても、異なる論理、仮想、または物理データベースに分離されてもよい。装置305、307、および309は、装置303に関して説明したアーキテクチャと同様または異なるアーキテクチャを有することができる。当業者であれば、本明細書に記載のデータ処理装置303(または装置305、307、および309)の機能が複数のデータ処理装置に分散されて、例えば、処理負荷を複数のコンピュータに分散させたり、地理的位置、ユーザのアクセスレベル、サービスの質(QoS)などに基づいてトランザクションを分離したりすることができることを理解するであろう。
【0055】
本明細書に記載の1つ以上の態様は、本明細書に記載の1つ以上のコンピュータまたは他の装置によって実行される1つ以上のプログラムモジュールなどにおけるコンピュータにとって使用可能なまたは読み取り可能なデータおよび/またはコンピュータ実行可能命令に具現化されることができる。一般に、プログラムモジュールは、コンピュータまたは他の装置のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。モジュールは、実行のために後にコンパイルされるソースコードプログラミング言語で書かれてもよく、HTMLまたはXML(ただし、これらに限定されない)などのスクリプト言語で書かれてもよい。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッドステートメモリ、RAMなどのコンピュータ可読媒体に記憶されることができる。当業者であれば理解されるように、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望に応じて組み合わされ、または分散されてもよい。さらに、機能は、全部的にまたは部分的に、ファームウェアや、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのハードウェア均等物で具現化されることができる。特定のデータ構造は、1つ以上の態様をより効果的に実施するために使用されることができ、そのようなデータ構造は、本明細書に記載のコンピュータ実行可能命令およびコンピュータ使用可能データの範囲内で想定される。
【0056】
図4は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を表している。ユーザは、タスクを開始するために「開始」を選択する必要がある。
【0057】
図5は、
図1A~
図1Bに示した診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。これは、ミリリットル単位の強制体積肺活量(FVC)とモンスター応援試験からの結果との相関を示している。センサ特徴の結果は、双方の研究において臨床アンカー(FCV)と一致している。
【0058】
本主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述した特定の特徴または動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述した具体的な特徴および動作は、特許請求の範囲の実施の例示的な形態として開示されているにすぎない。
【実施例】
【0059】
実施例1
2つの異なる研究において収集された分析対象の患者集団の特性。
i)OLEOS研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02628743)
分析対象の参加者:20
データ分析の期間:最後の2回の来院の間のスマートフォンデータ(176日間)
【0060】
ii)JEWELFISH 研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03032172?term=BP39054)
分析対象の参加者:19
共変量:FVC、SD=標準偏差
ICC:級内相関係数
【0061】
圧力測定による指の強さの圧力測定のための試験を、携帯電機話(iPhone)で実施した。患者は、人差し指でモンスターをタップすることで、モンスターを巣に戻すものとする。電話機はテーブルの上に置かれる必要がある。モンスターは可能な限り速くタップされる必要がある。患者は、使用する好ましい手を選択しなければならない。患者は、単一のタップの最大圧力、モンスターが出現してからモンスターをタップするまでの時間の中央値、ならびに30秒の期間内にタップしたモンスターの総数を得ることを目的として、30秒間にわたってゲームをプレイする必要がある。最大圧力の標準偏差、最大圧力の中央値、単一のタップの最大圧力、モンスターが出現してからモンスターをヒットするまでの時間の中央値、ならびに30秒間のうちに得られたモンスターのヒットの総数を決定した。真のモンスターのヒットは、試験によってプロトコルされたイベントであった。このデータは転送され、モンスターのヒットのタイムスタンプを使用して、モンスターをヒットするまでの時間の中央値を計算した。
【国際調査報告】