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特表2022-537761プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス
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  • 特表-プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス 図1
  • 特表-プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/36 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
G01N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575892
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2021-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2021073771
(87)【国際公開番号】W WO2021159954
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】202010084586.X
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517353932
【氏名又は名称】大連医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】隋 鴻錦
(72)【発明者】
【氏名】張 健飛
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AB11
2G052AB16
2G052AB27
2G052AD12
2G052AD32
2G052AD52
2G052DA05
2G052DA22
2G052DA23
2G052FA01
2G052GA31
2G052JA02
2G052JA07
2G052JA08
2G052JA11
2G052JA16
(57)【要約】
【要約】
本発明はプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックスに関し、対向して設置される2枚のパネル及び2枚のパネル内に設けられるシール部を含み、2枚のパネルの間は固定部材によって固定され、シール部は2枚のパネルの間に固着される垂直シールストリップ及び水平シールストリップを含み、2つの垂直シールストリップの下部の間に水平シールストリップが設けられ、それにより上端が開放され、他の三面がシールされた扁平な垂直空間が形成され、包埋ボックスは使用中に垂直に配置され、薬液がこぼれることがない。従来の解決手段に比べて、シール口が一面少なく、含浸中にアセトンが気泡の形態で包埋ボックスの上方から散逸するため、硬化前にポリマーを2回添加する必要がなく、プロセスステップ及び薬品の消費を削減し、さらに、垂直に設置された包埋ボックスは水槽に入れて硬化させることができ、温度の制御が容易であり、破裂現象が発生せず、良品率が高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設置される2枚のパネル及び2枚のパネル内に設けられるシール部を含み、前記シール部は2枚のパネルの間に固着される垂直シールストリップ及び水平シールストリップを含み、前記垂直シールストリップは2つ設置され、2つの前記垂直シールストリップの下部の間に水平シールストリップが設けられることを特徴とする、プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【請求項2】
2枚の前記パネルの間は固定部材によって固定されることを特徴とする、請求項1に記載のプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【請求項3】
前記固定部材とパネルとの間は取り外し可能に接続されることを特徴とする、請求項2に記載のプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【請求項4】
前記固定部材は複数の固定クリップを含み、各前記固定クリップはそれぞれパネルの両側及びパネルの底辺に設けられることを特徴とする、請求項3に記載のプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【請求項5】
前記パネルは強化ガラスであることを特徴とする、請求項1に記載のプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【請求項6】
前記垂直シールストリップ及び水平シールストリップの材質はシリコーンゴム、クロロプレンゴム又はポリウレタンであることを特徴とする、請求項2に記載のプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【請求項7】
前記垂直シールストリップと水平シールストリップとの間は端と端が接続されて一体成形されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオテクノロジー検査分野に関し、特にプラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体組織プラスティネーション切片の作製においては、まずシャーレのような周囲を密封したモールドを準備する必要があり、プラスティネーション切片をまず脱水した後、さらにポリマー内に入れて含浸し、含浸が完了した切片を垂直に置かれたシャーレに入れて、位置を整え、再びポリマーを注入してから、その周囲をシールし、且つ水平に置き、硬化等のプロセスフローを開始する。作製プロセスには以下のような課題が存在する。第一に、従来のモールドは操作中に使いにくく、薬液がこぼれやすい。第二に、従来のモールドは水平に置くため、四面をシールしなければならず、薬液内に発生する気泡及びアセトンガスが排出されにくく、まず含浸してから、硬化する前にポリマーを2回添加する必要があり、それによりポリマーの消費量が多くなり、薬品を浪費する。第三に、従来のモールドを用いる硬化プロセスでは、平置きして硬化させることしかできず、対流空気を利用して温度を制御するが、放熱が悪く、破裂しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は従来技術に存在する欠点を解消し、プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下の技術的解決手段によって実現される。
【0005】
プラスティネーションスライス専用の垂直包埋ボックスであって、対向して設置される2枚のパネル及び2枚のパネル内に設けられるシール部を含み、前記シール部は2枚のパネルの間に固着される垂直シールストリップ及び水平シールストリップを含み、前記垂直シールストリップは2つ設置され、2つの前記垂直シールストリップの下部の間に水平シールストリップが設けられることを特徴とする。
上記技術的解決手段に基づき、好ましくは、2枚の前記パネルの間は固定部材によって固定される。
上記技術的解決手段に基づき、好ましくは、前記固定部材とパネルとの間は取り外し可能な接続である。
【0006】
上記技術的解決手段に基づき、好ましくは、前記固定部材は複数の固定クリップを含み、各前記固定クリップは、それぞれパネルの両側及びパネルの底辺に設けられる。
上記技術的解決手段に基づき、好ましくは、前記パネルは強化ガラスである。
【0007】
上記技術的解決手段に基づき、好ましくは、前記垂直シールストリップ及び水平シールストリップの材質はシリコーンゴム、クロロプレンゴム又はポリウレタンである。
上記技術的解決手段に基づき、好ましくは、前記垂直シールストリップと水平シールストリップとの間は端と端が接続されて一体成形される。
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0008】
第一に、包埋ボックスは使用中に垂直に配置され、2つの垂直シールストリップの下部の間に水平シールストリップが設けられ、それにより上端が開放され、他の三面がシールされた扁平な垂直空間が形成され、スライス標本はこの垂直空間内で含浸、硬化のプロセスが完了し、従来の解決手段に比べて、シール口が一面少なく、標本の露出面が小さく、且つ垂直に入れられた薬液がこぼれない。第二に、包埋ボックスの上端がシールされないため、真空含浸中にアセトンが気泡の形態で包埋ボックスの上方から散逸するため、硬化前にポリマーを2回添加する必要がなく、プロセスステップ及び薬品の消費を削減し、それと同時に、硬化中に発生する微小な気泡も随時排出することができ、完成品内の気泡の残留を減少させる。第三に、垂直に設置された包埋ボックスは水槽に入れて硬化させることができ、温度の制御が容易であり、破裂現象が発生せず、良品率が高い。さらに、標本の両面にいずれもモールドとしてのパネルがあるため、最終的な完成品は滑らかで変形しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】は本発明の正面構造概略図である。
図2】は本発明の側面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者が本発明の技術的解決手段をよりよく理解するために、以下に図面及び最適な実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
図に示すように、本発明は対向して設置される2枚のパネル1及び2枚のパネル1内に設けられるシール部を含み、前記シール部は2枚のパネル1の間に固着される垂直シールストリップ3及び水平シールストリップ5を含み、前記垂直シールストリップ3は2つ設置され、2つの前記垂直シールストリップ3の下部の間に水平シールストリップ5が設けられる。包埋ボックスは使用中に垂直に配置され、スライス標本4はこの垂直空間内で含浸、硬化のプロセスが完了し、従来の解決手段に比べて、シール口が一面少なく、標本4の露出面が小さく、且つ垂直に入れられた薬液がこぼれない。包埋ボックスの上端がシールされないため、真空含浸中にアセトンが気泡の形態で包埋ボックスの上方から散逸するため、硬化前にポリマーを2回添加する必要がなく、プロセスステップ及び薬品の消費を削減し、それと同時に、硬化中に発生する微小な気泡も随時排出することができ、完成品内の気泡の残留を減少させる。垂直に設置された包埋ボックスは水槽に入れて硬化させることができ、温度の制御が容易であり、破裂現象が発生せず、良品率が高い。さらに、標本4の両面にいずれもモールドとしてのパネル1があるため、最終的な完成品は滑らかで変形しない。
【0012】
上記実施例に基づき、好ましくは、2枚の前記パネル1の間は固定部材によって固定され、固定部材は2枚のパネル1の両側及び底辺に設けられ、2枚のパネル1の周囲の三面の補助的な固定に用いられ、密封を保証する。
【0013】
上記実施例に基づき、好ましくは、前記固定部材とパネル1との間は取り外し可能に接続され、薬液が完全に重合した後、両側の強化ガラスを取り外して完成品の切片を取り出しやすくするために用いられる。
【0014】
上記実施例に基づき、好ましくは、前記固定部材は複数の固定クリップ2を含み、各前記固定クリップ2はそれぞれパネル1の両側及びパネル1の底辺に設けられる。
上記実施例に基づき、好ましくは、前記パネル1は強化ガラスであり、作業者は包埋ボックス内の標本4の硬化状況をリアルタイムに観察しやすい。
【0015】
上記実施例に基づき、好ましくは、前記垂直シールストリップ3及び水平シールストリップ5の材質はシリコーンゴム、クロロプレンゴム又はポリウレタンであり、シリコーンゴムはシール材質として突出した耐熱、耐低温特性、及び良好な疎水性、通気性及び絶縁性能を有し、クロロプレンゴムはシール材質として良好な耐薬品性及び接着性を有し、使用温度範囲は-30~+120℃であり、ポリウレタンはシール材質として良好な弾性を有し、機械的特性が優れている。
【0016】
上記実施例に基づき、好ましくは、前記垂直シールストリップ3と水平シールストリップ5との間は端と端が接続されて一体成形される。2枚のパネル1の間にシール部を作製する時、垂直シールストリップ3と水平シールストリップ5の間は端と端を接続して一体成形することもでき、成形操作が簡単であり、シール部はU字形を呈し、それにより上端が開放され、他の三面が密封された扁平な垂直空間が形成される。
【0017】
本発明は使用中に、1枚の強化ガラスの表面に垂直シールストリップ3及び水平シールストリップ5を塗布し、シール部を介して2枚の強化ガラスを対向して設置し、2枚の強化ガラスの周囲の三面を固定クリップ2で補助的に固定することにより、形成された上端が開放され、他の三面が密封された扁平な垂直空間に、包埋ボックスを垂直に配置し、標本4を上の開口から2枚の強化ガラスの間に入れ、さらに予備重合されたp45薬液を注ぐことで、真空ボックスに入れた真空含浸を行うことができ、次いで水槽に入れて硬化させ、薬液が完全に重合した後、両側の強化ガラスを取り外すことにより完成品の切片を得ることができる。さらに、包埋ボックスを作製する場合、まず標本4を1枚の強化ガラスの表面に置いてから、標本4の周囲の強化ガラスの表面に垂直シールストリップ3及び水平シールストリップ5を塗布し、シール部を介して2枚の強化ガラスを対向して設置してもよい。
【0018】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。第一に、包埋ボックスは使用中に垂直に配置され、2つの垂直シールストリップ3の下部の間に水平シールストリップ5が設けられ、それにより上端が開放され、他の三面が密封された扁平な垂直空間が形成され、スライス標本4はこの垂直空間内で含浸、硬化のプロセスが完了し、従来の解決手段に比べて、シール口が一面少なく、標本4の露出面が小さく、且つ垂直に入れられた薬液がこぼれない。第二に、包埋ボックスの上端がシールされないため、真空含浸中にアセトンが気泡の形態で包埋ボックスの上方から散逸するため、硬化前にポリマーを2回添加する必要がなく、プロセスステップ及び薬品の消費を削減し、それと同時に、硬化中に発生する微小な気泡も随時排出することができ、完成品内の気泡の残留を減少させる。第三に、垂直に設置された包埋ボックスは水槽に入れて硬化させることができ、温度の制御が容易であり、破裂現象が発生せず、良品率が高い。さらに、標本4の両面にいずれもモールドとしてのパネル1があるため、最終的な完成品は滑らかで変形しない。
【0019】
以上の記載は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当然のことながら、当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない前提でさらにいくらかの改良及び修飾を行うことができ、それらの改良及び修飾も本発明の保護範囲と見なされる。
【符号の説明】
【0020】
1 パネル
2 固定クリップ
3 垂直シールストリップ
4 標本
5 水平シールストリップ

図1
図2
【国際調査報告】