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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】食料塊から食品を成形するシステム
(51)【国際特許分類】
   A22C 7/00 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A22C7/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021576170
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020066979
(87)【国際公開番号】W WO2020254503
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】19181227.0
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514054823
【氏名又は名称】ジーイーエイ・フード・ソリューションズ・バーケル・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・ガーウェン,ヘンドリカス・ペトリュス・ジェラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・エルプ,ヨースト
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011AA04
(57)【要約】
本発明は、食料塊から食品を成形するためのシステムに関する。システムは、製造装置を含む。製造装置は、多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムを有する。各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列は1つの通路に接続されており、通路は好ましくは1つのフロントエンドからドラムの中心軸と平行に延びている。製造中、型ドラムは、キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して回転し、洗浄を目的としてフレームから取り外することが可能である。製造装置は、充填位置において製品キャビティに食料塊を供給する食料塊送給手段と、排出位置において通路に接続される気体圧力源であって、気体が製品キャビティから成形された食品を押し出すために使用される、気体圧力源と、をさらに有し、システムは、型ドラム洗浄装置をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料塊から食品を成形するためのシステムであって、
製造装置であって、
多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムであって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列が1つの通路に接続され、前記通路が好ましくは1つのフロントエンドからドラムの中心軸と平行に延びており、製造中、前記キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して回転し、及び、洗浄を目的として前記フレームから取り外すことが可能である、型ドラムと、
前記充填位置において前記製品キャビティに食料塊を供給する食料塊供給手段と、
前記排出位置において前記通路(7、13)に接続される気体圧力源であって、気体が前記製品キャビティから成形された食品を押し出すために使用される、気体圧力源と、
を有する、製造装置と、
洗浄を目的として洗浄流体を前記通路(7、13)及び/又は多孔質の前記製品キャビティに流すため、洗浄流体源(11)を前記通路(7、13)に接続するように適合された型ドラム洗浄装置(8)であって、
前記型ドラム(1)の洗浄を制御する制御システムと、
前記型ドラム(1)の外周面を洗浄する手段(12)と、
前記型ドラム(1)の洗浄中に前記型ドラムを動かす手段及び/又は前記型ドラムの前記外周面を洗浄する前記手段(12)を動かす手段と、
前記洗浄流体を回収する回収トラフと、
前記型ドラム(1)の洗浄が閉鎖チャンバ内で行われるようにするためのカバーと、
を含む、型ドラム洗浄装置と、
前記型ドラム(1)を前記製造装置と前記洗浄装置との間で搬送する搬送手段と、
を含み、
前記制御装置は、多孔質の前記製品キャビティが前記洗浄流体で洗い流されている間及び/又はその後に前記型ドラム(1)の外周面の洗浄が少なくとも部分的に行われるように、前記型ドラムの洗浄を自動的に制御する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記型ドラム(1)は、洗浄中に自動的に回転され、及び/又は持ち上げられることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記洗浄の進捗状況を監視する手段を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通路(7,13)及び前記製品キャビティ(2)を乾燥させる手段を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記通路及び/又は多孔質の前記製品キャビティは、静菌源に接続されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
多孔質の前記製品キャビティのそれぞれは、多孔質底壁(3)と多孔質側壁(4)とを含み、前記多孔質側壁(4)を通る前記洗浄流体の流れと前記多孔質底壁(3)を通る前記洗浄流体の流れとが異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つ又は請求項1のプリアンブルに記載のシステム。
【請求項7】
前記多孔質側壁(4)の流れ抵抗が前記多孔質底壁(3)の流れ抵抗と異なることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記側壁(4)及び前記底壁(3)には、異なる機械加工が施され、及び/又は異なる再開通加工が施されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの導電率センサ及び/又は少なくとも1つのpHセンサを含み、
前記センサは、好ましくは、水タンク内及び/又は化学薬品タンク内及び/又は回収トラフ内に、及び/又は、排液パイプ/排液システムの入口に及び/又は前記排液パイプ/排液システムの入口よりも下流側に配置されている、
請求項1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
多数の列(9)をなす多数の製品キャビティ(2)を有する型ドラム(1)を洗浄する方法であって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁(3,4)を有し、1つのキャビティ列が1つの通路(7,13)に接続され、前記通路(7,13)は好ましくは1つのフロントエンド(10)から前記型ドラム(1)の中心軸と平行に延びており、
制御装置が設けられ、前記制御装置は多孔質の前記キャビティが前記洗浄流体で洗い流されている間及び/又はその後に前記型ドラム(1)の外周面の洗浄が行われるように、前記型ドラムの洗浄を自動的に制御することを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項11に記載の方法であって、
少なくとも1つの導電率センサ及び/又は少なくとも1つのpHセンサを含む洗浄装置が設けられ、前記1つ又は複数のセンサは、好ましくは、排液パイプ/排液システムの入口及び/又は前記排液パイプ/排液システムの入口よりも下流側に配置されており、
リンス水/フラッシュ水が十分にきれいであることが計測された場合、洗浄プロセスにおける特定の洗浄ステップが停止可能である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料塊から食品を成形するためのシステムに関する。このシステムは、
製造装置であって、
多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムであって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列が1つの通路に接続され、前記通路が好ましくは1つのフロントエンドからドラムの中心軸と平行に延びており、製造中、前記キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して回転し、及び、洗浄を目的として前記フレームから取り外することが可能である、型ドラムと、
前記充填位置において製品キャビティに食料塊を供給する食料塊供給手段と、
前記排出位置において前記通路に接続される気体圧力源であって、気体が製品キャビティから成形された食品を押し出すために使用される、気体圧力源と、
を有する、製造装置と、
型ドラム洗浄装置と、
を含む。
【背景技術】
【0002】
食品、特に肉食品、肉代用食品、魚食品、乳食品、ポテト食品、及び野菜食品などの人が消費する食品やペットフードを成形するために、型ドラムを利用することが知られている。成形は、型キャビティにおいて行われる。具体的には、食料塊が型キャビティに押し込まれて、成形された食品が型キャビティから排出される。有利には、キャビティは、少なくとも部分的に多孔質材料で形成され、これにより、充填時にキャビティ内の空気を排出し、及び/又は成形された製品を加圧流体によって取り出すことが可能となる。成形プロセス中、多孔質構造体が食料塊によって詰まることで型部材からの食品の取り出し量が減少することが防止されている。また、食品加工産業で使用されるすべての機械、工具、及び部品は、衛生的な要求を満たすため、定期的に十分に洗浄されることが重要である。
【0003】
型部材、特に、型ドラムを洗浄する装置及び方法は、例えば、欧州特許第2253219号明細書(EP2253219B1)に記載されている。この文献は、少なくとも部分的に多孔質の焼結キャビティを有する型部材を特に対象としている。しかし、この文献に開示されている洗浄方法は、処理時間が非常に長く、型ドラムを成形品の製造のために利用できる時間が短くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、より効率的に洗浄することができる型ドラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の構成を有する、食料塊から食品を成形するためのシステムによって達成される。すなわち、食料塊から食品を成形するためのシステムは、
製造装置であって、
多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムであって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列が1つの通路に接続され、前記通路は好ましくは1つのフロントエンドからドラムの中心軸と平行に延びており、製造中、前記キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して回転し、及び、洗浄を目的として前記フレームから取り外すことが可能である、型ドラムと、
前記充填位置において前記製品キャビティに食料塊を供給する食料塊供給手段と、
前記排出位置において前記通路に接続される気体圧力源であって、気体が製品キャビティから成形された食品製品を押し出すために使用される、気体圧力源と、
を有する、製造装置と、
洗浄を目的として洗浄流体を前記通路及び/又は多孔質の前記製品キャビティに流すため、洗浄流体源を前記通路に接続するように適合された型ドラム洗浄装置であって、
前記型ドラムの洗浄を制御する制御システムと、
前記型ドラムの外周面を洗浄する手段と、
前記型ドラムの洗浄中に前記型ドラムを動かす手段及び/又は前記型ドラム(1)の外周面を洗浄する手段(12)を動かす手段と、
洗浄流体を回収する回収トラフと、
前記型ドラムの洗浄が閉鎖されたチャンバ内で行われるようにするためのカバーと、
を含む、型ドラム洗浄装置と、
前記型ドラムを前記製造装置と前記洗浄装置との間で搬送する搬送手段と、
を含み、
前記制御装置は、多孔質の前記製品キャビティが洗浄流体で洗い流されている間及び/又はその後に前記型ドラムの外周面の洗浄が少なくとも部分的に行われるように、前記型ドラムの洗浄を自動的に制御する。
【0006】
本発明のこの実施形態に関してなされる開示は、他の実施形態にも適用され、逆もまた同様である。本発明のこの主題に関してなされる開示は、本発明の他の主題と組み合わせることができる。
【0007】
本発明は、型ドラムを含むシステムに関し、型ドラムは、その外周面に多数の製品キャビティを有し、多数の製品キャビティは、多数の列をなし、各列は、好ましくはドラムの長手方向の中心軸に平行に延びている。ドラム及びキャビティは、成形プロセス中に生じる機械的な力に耐えるのに十分な強度を有する任意の材料又は異なる材料の組み合わせで形成され得る。また、このような材料は、食品製造用として認められている必要がある。少なくともPE、PET、UHMW-PEのようなプラスチックは、多孔質構造体のための材料として使用可能である。好ましくは、各キャビティは、少なくとも部分的に多孔質の底壁及び/又多孔質の側壁を有する。各キャビティは、成形品の製造中に、大気、圧力源、又は真空に接続された流体通路に接続され、この流体通路は、型ドラムの1つのフロントエンドから、好ましくは、第1のフロントエンドから第2のフロントエンドへと、型ドラムの長手方向に、すなわち、好ましくはドラムの中心軸に平行に延びている。型ドラムの設計によっては、通路を個々のキャビティに接続するさらなるチャネルが設けられてもよい。各チャネルは、気体、液体、及び/又は気体と液体との混合流体を運ぶように設計される。
【0008】
成形品の製造中、ドラムは、食品成形装置内で回転し、少なくとも部分的に多孔質のキャビティが食料塊によって充填される。多孔質構造体及び充填されたキャビティに接続される流体通路を介して食肉に圧力及び/又は真空が加えられ、これによってキャビティから周囲への通気が行われ、その結果、成形された食品にはエアポケットが存在せず、及び/又は各キャビティが食品によって完全に充填されることになる。成形された食品を排出する際には、圧縮流体、好ましくは、圧縮空気が通路及び製品キャビティの多孔質構造に強制的に流されることで、成形された食品をキャビティから取り出すことができる。洗浄の際には、通路及び多孔質構造に洗浄流体が強制的に流されることとなる。
【0009】
型キャビティは、好ましくは、円筒形の多孔質構造体又はリング状のセグメントとして形作られた多孔質構造体に機械加工される。これらの構造体は、国際特許出願公開第2015/169812号(WO2015/169812)に詳細に記載されている。この文献は、参照することによってここに組み込まれ、本発明の開示の一部をなすものとする。キャビティが多孔質材料に機械加工される前、後、又はその最中に、多孔質の円筒体又は多孔質のセグメントの外面の細孔が塞がれると、これらの細孔が少なくとも本質的に空気を通さなくなる。多孔質材料にキャビティを機械加工する間、細孔が少なくとも部分的に変形し、すなわち、圧縮されて塞がれるので、少なくとも部分的に再開通させる必要がある。この細孔の再開通によって、成形された食品を取り出すために空気がこの層を通って逃げることが可能になり、又は、洗浄流体がこの表面層を通過することが可能になる。好ましくは、側壁の表面層の細孔構造は、空気及び/又は洗浄流体の流れに対し、底壁の表面の細孔構造とは異なる流れ抵抗を有する。
【0010】
製造中、型ドラムは、フレーム内に配置され、キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品製品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して相対的に回転する。型ドラムは、洗浄を目的として、フレームから取り外すことが可能である。
【0011】
システムは、充填位置において製品キャビティに食料塊を供給するための食料塊供給手段と、排出位置において通路に接続される気体圧力源であって、気体が製品キャビティから成形された食品を押し出すために使用される、気体圧力源と、をさらに含む。
【0012】
型ドラムが食品成形装置から離れて配置された洗浄装置において洗浄されることで、ある型ドラムが洗浄されている間、別の型ドラムによって成形品の製造を継続することが可能になる。
【0013】
そのため、システムは、型ドラム洗浄装置を含み、型ドラム洗浄装置は、洗浄を目的として洗浄流体を通路及び/又は多孔質の製品キャビティに強制的に流すため、洗浄流体源を通路に接続するように適合されている。洗浄流体は、好ましくは水、好ましくは温水であり、洗剤、水垢除去剤、及び/又は消毒剤を含んでもよい。洗浄装置は、型ドラムの外周面を洗浄する手段、例えば、1つ又は複数のノズルをさらに含む。これらのノズルは、好ましくは、スプレーバー(噴霧バー)として提供される。ノズルは、フレームに対して静止していてもよいし、回転してもよい。各ノズルから放出される流体は、定常状態であってもよいし、パターンに従って変化してもよく、好ましくは以下に開示される制御システムによって制御される。
【0014】
型ドラムの外周面を洗浄する手段から放出された洗浄流体、及び/又は型キャビティから排出された洗浄流体を回収するために回収トラフ(回収容器)が設けられている。洗浄流体は、好ましくは、再利用される。再利用するため、洗浄流体は、好ましくは、清浄化され、例えば、濾過される。新鮮な水及び/又は新鮮な洗剤が、洗浄流体に追加されてもよい。
【0015】
型ドラムの洗浄が閉鎖されたチャンバ内で行われるようにするためにカバーが設けられている。好ましくは、カバーは、検査用開口部、例えば、窓を有する。
【0016】
洗浄装置は、型ドラムの洗浄を制御する制御システムをさらに含む。制御システムは、PLC、センサ、及び/又はタイマーを含むとよい。制御システムは、好ましくは、型ドラムの動きを制御し、及び/又は、型ドラムの外周面を洗浄する手段、好ましくは、スプレーバー、すなわち、型ドラムの外周面を洗浄する手段及び/又は洗浄流体源の動きを制御する。
【0017】
洗浄中、ドラムは、回転し、及び/又は停止位置にある。ドラムの外周面を洗浄するため、好ましくは、多数のノズルを有するスプレーバーが利用される。
【0018】
洗浄中にドラムが回転するか否かにより、スプレーバーが回転するか及び/又は停止位置にあるかが決定される。多孔質構造体を洗浄するために、洗浄流体は、各通路に個別に導かれてもよいし、洗浄時間を短縮するためにすべての通路に一度に導かれてもよい。後者は、洗浄装置内及び/又はドラム内の分配器によって行うことができる。洗浄流体は、各通路から各多孔質キャビティの周りの多孔質構造を通過し、次いで、キャビティから流出して回収トラフに流れることとなる。
【0019】
製造中、食料塊は、型ドラムのキャビティに押し込まれる。したがって、多孔質構造の細孔は外側から内側に向かって詰まる。成形された食品を排出する際に、排出流体、主に空気は、内側から外側へと導かれ、多孔質構造の透過性を回復させるのに役立つ。それでも、多孔質構造は、細菌のコロニー形成と増殖を防止するため、食料粒子、蛋白質、他の望ましくない物質/粒子、及び/又はバイオフィルム、例えば、多孔質構造の外面及び多孔質構造の厚さにわたるすべての内面に付着するバイオフィルムを除去するために洗浄される必要がある。バイオフィルムは、表面に付着する膜であって、有機物の残骸と増殖した微生物とから構成される。バイオフィルムは、純水中に存在する細菌が細孔表面に付着することによっても形成される。細孔開口構造であるため、細孔面とバイオフィルムとの間の全表面積が大きくなる。洗浄してバイオフィルムの全体を除去することによってはじめて、表面の消毒がなされたことになる。
【0020】
本発明によれば、制御装置は、多孔質のキャビティが洗浄流体で洗い流されている間及び/又はその後に後に型ドラムの外周面の洗浄が少なくとも部分的に行われるように、型ドラムの洗浄を自動的に制御する。好ましくは、まずキャビティの洗い流しが開始され、次いで外周面の洗浄が行われる。より好ましくは、キャビティの洗い流しが終了する前に外周面の洗浄が終了される。本発明のこの好ましい実施形態により、先行技術によるシステムを用いる場合に比べて洗浄時間が短縮される。キャビティから除去された粒子は、外周面の洗浄のために利用される洗浄流体によって勢いよく洗い流される。
【0021】
洗浄ステップの順序及びそれらの時間は、制御システムによって制御される。また、制御システムは、型ドラム及び/又はスプレーバーを回転させ、及び/又は必要に応じて型ドラムを持ち上げる。制御システムは、好ましくは、少なくとも1つの洗浄プログラムを記憶する記憶ユニットを含み、この洗浄プログラムは、特定の型ドラムに適用される。好ましくは、種々の用途に応じて、及び/又は型ドラムの種々の汚れの程度に応じて多数の洗浄プログラムが用意される。洗浄プログラムは、型ドラムの使用時間、及び/又は、洗浄サイクルの数及び/又は種類、並びに、型ドラムが晒される洗剤/化学薬品に依存するものであり得る。
【0022】
その後、大気圧を超える圧力の空気を用いて通路を乾燥させることができる。空気は、好ましくは、複数の通路及びドラム全体の多孔質構造を乾燥させるために、複数の通路を経由し、次いで型ドラムの多孔質構造を通って流れる。
【0023】
好ましくは、システムは、洗浄の進捗状況を監視する手段を含む。この手段は、画像解析システムと組み合わされたカメラとすることができる。画像解析システムは、好ましくは、ドラムの汚れの程度をリアルタイムで判断し、より好ましくは、それに応じて洗浄プロセスを適合させる。この手段は、型ドラムの表面の細菌数をカウントし、より好ましくは、それに応じて洗浄プロセスを適合させるシステムとすることもできる。好ましくは、通路及び/又は多孔質の製品キャビティは、静菌源に接続される。静菌源への接続は、好ましくは、洗浄流体によって多孔質キャビティの洗い流しが行われた後に行われ、より好ましくは、制御システムによって自動的に行われる。
【0024】
本発明の別の進歩的な又は好ましい実施形態によれば、多孔質の製品キャビティのそれぞれは、多孔質底壁及び多孔質側壁を含み、多孔質側壁を通る洗浄流体の流れと、多孔質底壁を通る洗浄流体の流れとが異なる。
【0025】
本発明のこの実施形態に関してなされる開示は、他の実施形態にも適用され、その逆も同様である。本発明の主題に関してなされる開示は、本発明の他の主題と組み合わされることができる。
【0026】
本発明のこの実施形態の利点は、多孔質キャビティが1つの洗浄流体源に接続されていても、異なる流速、したがって、異なる強さの洗浄流体によって側壁と底壁とを洗い流すことができることにある。好ましくは、側壁及び底壁のそれぞれを通る流量は、キャビティを多孔質材料に機械加工した後に再開通される細孔の程度によって調整することができる。前述したように、キャビティを多孔質材料に機械加工する際に、キャビティの表面層の細孔は、塑性変形して、少なくとも部分的に塞がれるので、再開通される必要がある。側壁及び底壁の表面層は、側壁を通る洗浄流体の流量が底壁を通る洗浄流体の流量と異なるように再開通される。好ましくは、側壁を通る流量は、底壁を通る流量よりも小さい。
【0027】
好ましくは、多孔質側壁の流れ抵抗が、多孔質底壁の流れ抵抗とは異なる。洗浄流体に対する流れ抵抗の違いにより、側壁を通る流体流れと、底壁を通る流体流れとは異なることになる。
【0028】
好ましくは、側壁と底壁とには、異なる機械加工が施され、及び/又は異なる再開通加工が施される。異なる機械加工及び再開通加工は、同一の工具及び/又は同一の加工パラメータによっても達成可能である。
【0029】
本発明の他の主題は、多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムを洗浄する方法であり、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列は1つの通路に接続され、通路は好ましくは1つのフロントエンドから前記型ドラムの中心軸と平行に延びる。この方法においては、制御装置が設けられ、制御装置は、多孔質キャビティが洗浄流体で洗い流されている間及び/又は洗い流された後に型ドラムの外周面の洗浄が少なくとも部分的に行われるように、型ドラムの洗浄を自動的に制御する。
【0030】
本発明のこの実施形態に関してなされる開示は、他の実施形態にも適用され、その逆も同様である。本発明の主題に関してなされる開示は、本発明の他の主題と組み合わされることができる。
【0031】
本発明は、成形食品を製造するための型ドラムを洗浄する方法に関する。食品は、少なくとも部分的に多孔質構造を有するキャビティにおいて成形される。各キャビティは、好ましくはドラムの長手方向の回転軸に平行に延びる通路に接続される。この通路は、ドラムの少なくとも1つのフロントエンドまで延びている。
【0032】
好ましくは、通路及び多孔質構造体は、いわゆる逆流フラッシングにより、すなわち、洗浄材料がドラムの1つのフロントエンドから多孔質構造を通って周囲に流れ、そこから好ましくはトラフに流れることにより、洗浄される。
【0033】
洗浄プロセスは、型ドラムを乾燥させることによって終了される。
【0034】
好ましい実施形態では、ドラムは、少なくとも部分的に洗浄液に浸漬される。この洗浄方法は、好ましくは、壊れやすいドラム、及び/又は、壊れやすい多孔質構造体、及び/又は、軸方向の長さが600mmを超えるドラムに適用可能である。洗浄中、ドラムは、洗浄液内で動かされ、好ましくは、回転され得る。前述したような通路及び多孔質構造の細孔を通る流体流れが利用されてもよい。型ドラムを浸漬させるさらなる利点は、ドラム全体が少なくとも本質的に同じ温度に保たれること、例えば、ほぼ均一に加熱されることである。主な洗浄方法として逆流フラッシングを用いる洗浄の実施形態では、加熱された流体をポンプによって通路を介して少なくとも部分的に多孔質の構造体に供給すると、ドラムを構成するいくつかの部分の間(ドラムの内側部分と外側部分との間)に温度差、したがって、熱応力が発生し、使用材料の熱膨張係数の差によってさらなる熱応力がもたらされることとなる。そのため、洗浄流体は、型ドラムの内側にも供給されることが好ましい。
【0035】
好ましくは、特にドラムが洗浄流体に浸漬されない場合、型部材の異なる場所の間でのさらなる熱応力を防ぐため、洗浄流体は、すべての通路に同時に供給されるとよい。型ドラムを浸漬させる場合には、流体がすべての部分に一度に供給されることになる。
【0036】
少なくとも部分的に浸漬されたドラムに関しては、あらゆる種類の洗浄プロセスを用いることができる。一実施形態において、型ドラムは、好ましくは液体形態の又は泡としての化学薬品又は洗剤に所定時間浸漬される。これにより、細孔表面と捕捉粒子などとの間の付着力が除去されて粒子などが分離される。好ましい実施形態において、タンク内の洗浄液は、洗浄液が多孔質構造の厚さ全体にわたってすべての細孔を確実に満たすことができるような圧力下におかれる。この圧力は、重力によるものであってもよいが、ドラムが少なくとも部分的に浸漬されるタンクの全体がそのような圧力下に設置されてもよい。
【0037】
最終ステップにおいて、型ドラムは、気体、好ましくは、空気を用いて、例えば、逆流フラッシングを介して乾燥されてもよいし、及び/又はドラムの全体を好ましくは所定時間加熱することによって乾燥されてもよい。
【0038】
好ましくは、過酢酸が洗浄液として用いられる。
【0039】
多孔質型部材を洗浄するために用いられる流体圧力及び温度は、主に型部材に用いられる材料に依存する。ステンレス鋼製の多孔質構造体の場合、洗浄流体の圧力は、好ましくは最大4バールであり、最高温度は90℃である。特に、温度は、用いられる洗浄剤の種類に依存し、好ましくは、多孔質構造体が必要以上に処理されることを防ぐために70℃であるとよい。プラスチック製の多孔質構造体の場合、多孔質型部材を洗浄するために用いられる流体圧は、最大1バールであるが、通路の入口では、好ましくは、大気圧よりも最大0.5バール高くなっているとよい。洗浄流体の温度は、好ましくは40℃未満であるが、より好ましくは30℃である。
【0040】
好ましくは、洗浄の後に、洗い流し、好ましくは無菌水による洗い流しが行われる。その後、型ドラムは、最終ステップにおいて、好ましくは逆流フラッシングによる空気によって、又はドラムの全体を所定期間にわたって暖めることによって、乾燥され得る。
【0041】
好ましくは、洗浄プロセスの終了直後に、洗浄された型部材の透過性が検証されるとよい。これは、例えば、型キャビティの表面を検査するビジョンシステムを用いて、及び/又は、ある速度及び/又はある温度における気体及び/又は流体の流れの圧力損失、好ましくは、一定の空気流れの圧力損失を計測することによって行うことができる。いくつかの圧力センサがドラム内に含まれてもよく、これによって、局所的な差圧を計測し、洗浄が不十分な領域を特定することができる。圧力センサが型ドラムの入口に設置され、1つ又は複数のキャビティ列又はドラムの全体における洗浄流体及び/又は空気の流れの流れ抵抗が計測されもよい。
【0042】
透過性がある特定の範囲内にない場合には、型部材が保管されているときに細菌が繁殖したり、ドラムが製造に戻された直後に多孔質構造体の細孔が急速に詰まったりすることを防止するために、洗浄が行われる必要がある。洗浄流体は、濾過されて再利用することが可能である。
【0043】
型ドラムの洗浄手順において有益なのは、ドラムがいつきれいになるかを知ることであり、多孔質構造体がいつ開通し、及びきれいになるかを知ることである。これにより、一方では洗浄プロセスが不必要に延長されることがなく、他方ではドラム及び型キャビティの多孔質構造体が十分にきれいになることが保証される。本発明の好ましい又は進歩的な実施形態によれば、洗浄プロセスは、制御ステップによって適合及び/又は制御され、そこでは、1つのキャビティ列の少なくとも一つのキャビティの多孔質構造の流れ抵抗、好ましくは1つのキャビティ列全体の流れ抵抗、さらに好ましくは、各キャビティ列の流れ抵抗が計測されて基準値と比較され、及び/又は経時的に分析される。流れ抵抗、これは例えばある特定の洗浄流体又は空気の流量を達成するのに必要な圧力、及び/又は、多孔質構造での圧力損失、及び/又は、多孔質構造の前の圧力に従って計測され得るが、流れ抵抗が、ある圧力損失、好ましくは新しいドラムの圧力損失まで減少しない限り、洗浄工程は、終了されない。他の好ましい又は進歩的な実施形態又はさらに好ましい実施形態によれば、初期の圧力損失が計測され、そして、洗浄プロセス、例えば、その期間、及び/又は、洗浄流体の温度、及び/又は、使用される洗浄物質が選択される。多孔質構造体での圧力損失の変化が経時的に監視される場合、好ましくは、多孔質構造体での圧力損失が低下し続けている限り、洗浄は終了されず、及び/又は、洗浄方法、例えば、流体の温度、流体の圧力、及び/又は洗浄物質が変更される。好ましくは、各列が個別に洗浄され得る。この場合、上記したことは、各列について適用される。この場合、ドラムの多孔質材料の1つの列が他の列よりも強く洗浄されてもよい。圧力損失は、多孔質構造体が乾燥される前に、及び/又は多孔質構造体が乾燥された後に計測され得る。
【0044】
洗浄プロセス中、流体源、例えば、水及び/又は洗剤は、通路を介してドラムの多孔質構造体に圧送される。洗浄プロセス中、流体源の圧力及び/又は流量は、好ましくは、連続的に監視される。このデータは、記憶されるとよい。洗浄プロセスが長くなるほど、最終値、すなわち、ドラムがきれいなときの値に到達するまで、圧力がより低下し、及び/又は流量がより増加する。この値は、ドラム構成、例えば、列の数、キャビティの数、キャビティの形状、多孔質材料の厚みなどに依存することが分かっている。
【0045】
ドラムを最初に製造に用いる前に、好ましくは、ドラムの圧力損失、及び/又は、ドラムの1つ以上の通路又はすべての通路とそれぞれに接続された多孔質キャビティとを通るある特定の空気又は洗浄流体の流れを達成するための洗浄流体の圧力の基準計測が行われる必要があり、そのデータがドラムごとに個別に記憶されて基準値として用いられる必要がある。好ましくは、この値は、多孔質材料の特性、例えば、細孔の大きさ、多孔率、及び/又はドラム構成、例えば、列の数、キャビティの数、キャビティの形状、及び/又は多孔質材料の厚みを反映する。これらの値は、ドラムが開通されているかどうか、すなわち、ドラムの多孔質構造及び/又は流体通路が十分に清浄化されているかどうかを後で判断するための基準値とすることができる。この基準値は、1つのキャビティ列の少なくとも1つのキャビティについて計測することができ、キャビティ列の全体について計測することができ、さらに好ましくは、列ごとに独立して計測して各ドラムの列ごとにて個別に記憶される。
【0046】
洗浄プログラム、洗浄結果、圧力及び/又は流量の基準計測値、並びに、監視された圧力値及び/又は流量値は、ドラムが洗浄される洗浄装置内に、及び/又は、中央データ記憶装置に、及び/又は、RFIDなどのドラムの記憶装置に格納することができる。洗浄プログラムは、好ましくは各洗浄ステップにおいてどの洗剤が必要とされるか及び/又はどれくらいの量の特定の洗剤が必要とされるかを示すデータ、並びに、好ましくは各洗浄ステップにおいてどれくらいの期間にわたって洗剤が必要とされるかを示すデータを含むことができる。好ましくは、水及び/又は洗剤の1つの圧力が臨界レベルにある場合、洗浄プログラムは開始されない。洗浄中に水及び/又は洗剤の1つの圧力が臨界レベルに近づいた場合、洗浄プロセスを続行してもよいが、洗浄中に用いられた特定の洗剤が少なすぎるという通知と共に用いられた洗剤の期間及び量が洗浄結果の一部として登録される。しかしながら、好ましくは、貯蔵タンク内に適正レベルの洗剤が供給されるまで、洗浄プログラムが停止され、及び/又は警報が作動される。
【0047】
ドラムがデータ記憶素子、例えば、RFIDを有する場合、成形装置及び/又は洗浄装置内でドラムを認識することが可能である。洗浄プログラム及び/又は洗浄結果などの前回の洗浄履歴に対して、圧力及び/又は流量の基準計測値、及び/又は、監視された圧力及び/又は流量のそれぞれの値を追加することが可能である。洗浄結果は、洗浄プログラム中の計測値や警報を含むことができ、これによって、特定の型ドラムに洗浄上の問題があったかどうかを後で判断することができる。
【0048】
洗浄履歴は、ドラムの記憶素子に記憶されてもよいし、又はドラムを洗浄する装置に記憶されてもよい。多数の洗浄装置を用いる場合、好ましくは、特定のドラムの記憶素子が十分に更新されなかったり、メモリ不足になったりすることを防ぐために、履歴は、好ましくは、中央データシステムに追加的に記憶されるとよい。
【0049】
洗浄流体源の圧力及び/又は流量は、洗浄プロセス中、好ましくは、連続的に監視される。洗浄プロセスが長くなるほど、最終値、すなわち、ドラムがきれいなときの値に達するまで、圧力がより低下し、及び/又は流量がより増加する。流体源の圧力及び流量を連続的に監視することによって、圧力及び流量が目的の値に達した時点で洗浄プロセスを停止することも可能である。一方、洗浄プロセスの終了時に、圧力及び/又は流量が所望の値に到達しない場合、所望の値に到達するまで洗浄プロセスを延ばすことができる。
【0050】
好ましくは、洗浄プログラムは、複数の洗浄ステップを含む。考えられる洗浄プログラムは、冷水によってキャビティを洗い流すステップ、洗剤によってキャビティを洗浄するステップ、ドラム外周面を洗い流すステップ、キャビティ及びドラム外周面を洗い流すステップ、消毒剤によってキャビティを洗浄するステップ、キャビティ及びドラム外周面を洗い流すステップ、及び、気体、好ましくは、空気によってドラムを乾燥させるステップのうちの1つ又は複数を含む。
【0051】
好ましくは、洗浄プログラムにおける各洗浄ステップの後に、その結果が計測及び検証され、制御システムは、所望の洗浄結果を得るために、次の洗浄ステップを開始するか又は現在の洗浄ステップを続行するかを決定する。流体源の圧力と流量を連続的に監視することにより、圧力及び流量が所望の値に達したときに、洗浄ステップの途中で洗浄を停止し、洗浄ステップをスキップして次の洗浄ステップに進むことが可能である。また、圧力と流量が所望の値に達したときに、現在の洗浄ステップをスキップして、次の洗浄ステップに進むことも可能である。
【0052】
流体流れの圧力損失のすべての計測は、空気及び/又は洗浄流体が型ドラムの外周面から漏れないように又は殆ど漏れないように、外周面が閉じられた型ドラムで行われることが好ましい。キャビティにおける多孔質材料のみが透過性を有する。
【0053】
好ましくは、システムは、例えば、磁場を形成する磁石を含む水垢防止システム(anti-limescale system)を含む。好ましくは、カルシウム鉱物及びマグネシウム鉱物は除去されないが、結晶化しない。したがって、石灰は、もはや設備及び/又は工具に付着せず、洗浄装置の水線内及び型ドラムの多孔質構造体内に硬い石灰層が形成されることがない。これにより、水垢除去ステップを用いる必要がなくなって、洗浄手順が短縮されることとなる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、洗浄プロセスの1つの洗浄ステップは、プラズマ活性化水(PAW)を用いて行われ得る。PAWは、優れた抗菌特性及び抗バイオフィルム特性を有している。少なくとも部分的に多孔質構造を有するドラムを含む食品加工装置のPAWによる洗浄を記載する国際特許出願公開第2019/091972号(WO2019091971)を参照されたい。例えば、消毒ステップをプラズマ活性化ステップに置き換えることによって、化学薬品が不要とされ、限られた量の水しか必要とされないこととなる。PAWは、最終的な洗い流し(すすぎ)ステップにも適用可能である。国際特許出願公開第2019/091972号は、参照によってここに組み込まれ、その開示内容は本開示の一部をなすものとする。PAWは、洗浄装置の外部で生成されてもよいが、別の実施形態では、洗浄装置が、PAWを生成するための装置及び/又はPAWを貯蔵するためのリザーバーを含み、及び/又はPAWを生成するための大気圧プラズマ装置を有してもよい。
【0055】
本発明の別の好ましい実施形態において、洗浄装置は、計測対象に応じて少なくとも1つの導電率センサを含み、導電率センサは、水タンク内に及び/又は化学薬品タンク内に及び/又は回収トラフ内に、及び/又は、排液管/排液システムの入口及び/又は排液管/排液システムの入口よりも下流側に、配置され得る。
【0056】
少なくとも1つの導電率センサは、化学薬品を投入するために及び/又は化学薬品を水にたいして正しい配合で投入するために用いられ得る。導電率センサを用いた(事前)投与により、洗浄プロセスを短縮することができる。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの導電率センサを用いて洗浄プロセスを検証することができる。例えば、洗い流し水であるリンス水/フラッシュ水の導電率を計測することにより、リンス水/フラッシュ水が、化学薬品残留物、洗剤残留物、及び汚染物をまだ含んでいるかどうかを検証することができる。少なくとも1つの導電率センサは、リンス水/フラッシュ水の排液システム内に配置される必要がある。リアルタイム監視を行う場合、この検証を適用することにより、リンス水/フラッシュ水が十分にきれいであることが計測された場合に、洗浄プロセスの特定の洗浄ステップが停止され得る。その結果、洗い流された型ドラムは、洗剤/消毒剤の残留物や汚染物を含まず、このような洗浄プロセスの洗浄ステップは、必要以上の時間をかけることなく、限られた量の水を用いて行うことができる。
【0058】
リンス水/フラッシュ水の検証以外に、十分な洗浄剤(洗剤、消毒剤等)が用いられているかどうかを検証するために、導電率の計測が適用されてもよい。計測値は、制御ユニットに入力され、これにより、洗浄プロセスを制御することができ、例えば、洗浄剤が十分でない場合に洗浄をすぐに停止させることができる。
【0059】
好ましくは、全ての計測値及びその結果としての警報並びに制御の介入は、メモリに記憶される。洗浄プロセスを制御/調整するために洗浄流体を確認する導電率センサは、個々の洗浄ステップ内/後に、及び/又は洗浄プロセスの最終的な洗浄ステップに適用されてもよい。
【0060】
本発明の別の実施形態において、洗浄装置は、計測対象に応じて少なくとも1つのpHセンサを含み、pHセンサは、水タンク内に及び/又は化学薬品タンク内に及び/又は回収トラフ内に、及び/又は、排液管/排液システムの入口及び/又は排液管/排液システムの入口よりも下流側に、配置され得る。
【0061】
pHセンサは、導電率センサについて前述したのと同様の用途において、すなわち、リンス水/フラッシュ水の投入、計測/分析、十分な洗浄剤が用いられているかどうかの判断などのために用いることができる。
【0062】
さらなる実施形態において、洗浄装置は、計測対象に応じて少なくとも1つの導電率センサと少なくとも1つのpHセンサとの組み合せを含み、これらのセンサは、水タンク内に及び/又は化学薬品タンク内に及び/又は回収トラフ内に、及び/又は、排液管/排液システムの入口及び/又は排液管/排液システムの入口よりも下流側に配置され得る。計測/分析の信頼性を可能な限り高めるため、少なくとも2つのセンサが同じタンク及び/又は異なるタンクに用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明の実施の形態による型部材、ここでは型ドラムを示す図である。
図2】洗浄装置の第1の実施形態を示す図である。
図3】表面洗浄手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明を図1図3に従って説明する。但し、これらの説明は、単なる例示にすぎず、保護の範囲を制限するものではない。
【0065】
図1は、本発明の実施の形態による型部材、ここでは型ドラム1を示している。本実施形態において、型ドラム1は、エンドキャップ6を有している。製品キャビティ2は、ドラムの外周面上に配置され、表面に向かって開口している。型ドラムは、その軸線に沿って、それそれが多数のキャビティを有する複数の列を含む。このドラムの実施形態では、多数のキャビティが互いに平行に配置されている。1つのキャビティ列の個々のキャビティは、多孔質構造体を介して通路7に流体連通している。本実施形態において、1つのキャビティ列は、16個のキャビティを含み、これらのキャビティは、同時に充填され、及び同時に空にされる。少なくともキャビティ2の底壁3は、好ましくはさらに側壁4も、多孔質材料で、好ましくは、焼結金属又は焼結プラスチックで形成されている。型ドラムの円筒状の外周面5は、充填中に多孔質構造への食料塊の侵入を防ぎ、及びキャビティ2からの成形食品の排出を向上させるために、閉塞されている。
【0066】
図2は、洗浄装置8の第1の実施形態を示している。この洗浄装置は、支持フレームを含む。支持フレームは、ここでは円筒チューブの部分セグメントとして設計されている。この支持フレーム内に型ドラムが配置される。本発明の洗浄装置は、両側面に、軸方向に移動可能なカバー及び固定手段を含む。ドラムが支持フレーム内に配置された後、カバー及び/又は固定手段が、ドラムのそれぞれのフロントエンドに接触するまでドラムに向かって移動させられることで、洗浄が閉鎖チャンバ内で行われるようになる。駆動手段、好ましくは、モータ駆動手段が、特に洗浄プロセスを自動化するため、この移動のために利用され得る。しかし、当業者であれば、カバー及び/又は固定手段が手動で移動させられ得ることを理解するだろう。各カバー及び/又は固定手段は、望ましくない漏れ、特にドラムとカバーとの間の洗浄流体及び/又は乾燥流体の望ましくない漏れを避けるため、ドラムとの接触側にシール手段を有している。洗浄中、型ドラムは静止しており、表面洗浄手段、ここでは多数のノズルを有するスプレーバーがドラムの周りを回転することができるようになっている。表面洗浄手段(図3)は、モータによって駆動されてもよいし、及び/又は各ノズルからの噴流の衝撃によって回転されてもよい。あるいは、スプレーバーが静止し、ドラムが回転してもよい。ドラムの外側に噴霧された洗浄流体は、ドラムの表面及びキャビティの表面を洗浄し、好ましくは、肉粒子又は脂肪粒子のような粗いデブリを除去する。さらに、カバー及び/又は固定手段は、洗浄流体接続部及び/又は気体接続部を含む。この洗浄流体接続部/洗浄流体源を介して、洗浄流体及び/又は気体がカバー内に導入され、そこから単相流又は2相流として、型ドラムのすべての通路に接続された分配手段へと流れることとなる。このため、複数の通路及び/又は複数のキャビティの多孔質構造が同時に洗浄され得る。しかしながら、洗浄流体源を型ドラムに一列ずつ接続することも可能である。洗浄装置は、洗浄流体が回収されるトラフを有する。好ましくは、洗浄流体は、再利用される。したがって、洗浄流体をトラフから通路7、13及び型キャビティ2を通して、及び/又は表面洗浄手段12を通して圧送するポンプが設けられている。好ましくは、洗浄流体が再利用される前又は再利用している間に洗浄流体を濾過するフィルターが設けられている。新鮮な洗浄液が連続的に又は断続的に洗浄プロセスに追加されてもよく、使用済みの洗浄流体が排液処理プラントに排出されてもよい。洗浄流体を加熱するための加熱手段が設けられてもよい。
【0067】
本発明によれば、型ドラムの表面5の洗浄は、通路7、13の洗い流し及び/又は多孔質の型キャビティの洗い流しが開始された後に開始される。この実施形態の利点は、手段12、好ましくは、スプレーノズルによるドラムの表面の洗浄が開始される前に、キャビティ内の粒子がすでに型ドラムの表面に洗い出されていることである。好ましくは、手段12によるドラムの表面の洗浄は、多孔質の製品キャビティの洗い流しが終了する前に完了される。
【符号の説明】
【0068】
1 型ドラム
2 多孔質の製品キャビティ
3 キャビティの多孔質底壁
4 キャビティの多孔質側壁
5 ドラム壁
6 エンドキャップ
7 通路
8 洗浄装置
9 キャビティ列
10 ドラムのフロントエンド
11 洗浄流体源
12 型ドラムの外周面を洗浄する手段、噴霧ノズル
13 通路
14 カバー
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料塊から食品を成形するためのシステムであって、
製造装置であって、
多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムであって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列が1つの通路に接続され、前記通路がフロントエンドからドラムの中心軸と平行に延びており、製造中、前記キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して回転し、及び、洗浄を目的として前記フレームから取り外すことが可能である、型ドラムと、
前記充填位置において前記製品キャビティに食料塊を供給する食料塊供給手段と、
前記排出位置において前記通路(7、13)に接続される気体圧力源であって、気体が前記製品キャビティから成形された食品を押し出すために使用される、気体圧力源と、
を有する、製造装置と、
洗浄を目的として洗浄流体を前記通路(7、13)及び/又は多孔質の前記製品キャビティに流すため、洗浄流体源(11)を前記通路(7、13)に接続するように適合された型ドラム洗浄装置(8)であって、
前記型ドラム(1)の洗浄を制御する制御装置と、
前記型ドラム(1)の外周面を洗浄する手段(12)と、
前記型ドラム(1)の洗浄中に前記型ドラムを動かす手段及び/又は前記型ドラムの前記外周面を洗浄する前記手段(12)を動かす手段と、
前記洗浄流体を回収する回収トラフと、
前記型ドラム(1)の洗浄が閉鎖チャンバ内で行われるようにするためのカバーと、
を含む、型ドラム洗浄装置と、
前記型ドラム(1)を前記製造装置と前記洗浄装置との間で搬送する搬送手段と、
を含み、
前記制御装置は、多孔質の前記製品キャビティが前記洗浄流体で洗い流されている間及び/又はその後に前記型ドラム(1)の外周面の洗浄が少なくとも部分的に行われるように、前記型ドラムの洗浄を自動的に制御する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記型ドラム(1)は、洗浄中に自動的に回転され、及び/又は持ち上げられることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記洗浄の進捗状況を監視する手段を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通路(7,13)及び前記製品キャビティ(2)を乾燥させる手段を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記通路及び/又は多孔質の前記製品キャビティは、静菌源に接続されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
多孔質の前記製品キャビティのそれぞれは、多孔質底壁(3)と多孔質側壁(4)とを含み、前記多孔質側壁(4)を通る前記洗浄流体の流れと前記多孔質底壁(3)を通る前記洗浄流体の流れとが異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
前記多孔質側壁(4)の流れ抵抗が前記多孔質底壁(3)の流れ抵抗と異なることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記側壁(4)及び前記底壁(3)には、異なる機械加工が施され、及び/又は異なる再開通加工が施されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの導電率センサ及び/又は少なくとも1つのpHセンサを含み、
前記センサは、水タンク内及び/又は化学薬品タンク内及び/又は回収トラフ内に、及び/又は、排液パイプ/排液システムの入口に及び/又は前記排液パイプ/排液システムの入口よりも下流側に配置されている、
先行する請求項の1つに記載のシステム。
【請求項10】
多数の列(9)をなす多数の製品キャビティ(2)を有する型ドラム(1)を洗浄する方法であって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁(3,4)を有し、1つのキャビティ列が1つの通路(7,13)に接続され、前記通路(7,13)がフロントエンド(10)から前記型ドラム(1)の中心軸と平行に延びており、
制御装置が設けられ、前記制御装置は多孔質の前記キャビティが前記洗浄流体で洗い流されている間及び/又はその後に前記型ドラム(1)の外周面の洗浄が行われるように、前記型ドラムの洗浄を自動的に制御することを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
少なくとも1つの導電率センサ及び/又は少なくとも1つのpHセンサを含む洗浄装置が設けられ、前記1つ又は複数のセンサは、排液パイプ/排液システムの入口及び/又は前記排液パイプ/排液システムの入口よりも下流側に配置されており、
リンス水/フラッシュ水が十分にきれいであることが計測された場合、洗浄プロセスにおける特定の洗浄ステップが停止可能である、方法。
【請求項12】
食料塊から食品を成形するためのシステムであって、
製造装置であって、
多数の列をなす多数の製品キャビティを有する型ドラムであって、各キャビティは多孔質の底壁及び/又は側壁を有し、1つのキャビティ列が1つの通路に接続され、前記通路がフロントエンドからドラムの中心軸と平行に延びており、製造中、前記キャビティが食料塊によって充填される充填位置から成形された食品がキャビティから取り出される排出位置へとフレームに対して回転し、及び、洗浄を目的として前記フレームから取り外すことが可能である、型ドラムと、
前記充填位置において前記製品キャビティに食料塊を供給する食料塊供給手段と、
前記排出位置において前記通路(7、13)に接続される気体圧力源であって、気体が前記製品キャビティから成形された食品を押し出すために使用される、気体圧力源と、
を有する、製造装置と、
洗浄を目的として洗浄流体を前記通路(7、13)及び/又は多孔質の前記製品キャビティに流すため、洗浄流体源(11)を前記通路(7、13)に接続するように適合された型ドラム洗浄装置(8)であって、
前記型ドラム(1)の洗浄を制御する制御装置と、
前記型ドラム(1)の外周面を洗浄する手段(12)と、
前記型ドラム(1)の洗浄中に前記型ドラムを動かす手段及び/又は前記型ドラムの前記外周面を洗浄する前記手段(12)を動かす手段と、
前記洗浄流体を回収する回収トラフと、
前記型ドラム(1)の洗浄が閉鎖チャンバ内で行われるようにするためのカバーと、
を含む、型ドラム洗浄装置と、
前記型ドラム(1)を前記製造装置と前記洗浄装置との間で搬送する搬送手段と、
を含み、
多孔質の前記製品キャビティのそれぞれは、多孔質底壁(3)と多孔質側壁(4)とを含み、前記多孔質側壁(4)を通る前記洗浄流体の流れと前記多孔質底壁(3)を通る前記洗浄流体の流れとが異なる、
ことを特徴とする、システム。
【国際調査報告】