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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】作動工具
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/06 20060101AFI20220822BHJP
   H02K 33/02 20060101ALI20220822BHJP
   H02K 41/035 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B25C1/06
H02K33/02 A
H02K41/035
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576185
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2020067348
(87)【国際公開番号】W WO2021001196
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19184363.0
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ティロ ディットリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ノアベルト ヘーブ
(72)【発明者】
【氏名】エマヌエル クルト
(72)【発明者】
【氏名】チャフィック アブ アントゥン
【テーマコード(参考)】
3C068
5H633
5H641
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC08
3C068JJ20
5H633BB04
5H633GG02
5H633GG16
5H633HH14
5H641BB03
5H641BB19
5H641GG02
5H641HH06
(57)【要約】
本発明は、工具、特に手持ち工具であって、作動軸に沿って移動する作動ピストンと、作動ピストンを作動軸に沿って駆動するための駆動部とを有し、この駆動部は、コンデンサと、作動ピストンに配置されたかご形ローターと、コンデンサの急速放電中に電流が流れる励起コイルであって、作動ピストンを加速する磁場を生成する励起コイルとを有する。ここで工具は、励起コイルを囲み、且つ作動軸に対して周方向に延在する、軟磁性導電材料で作られたフレームを有し、このフレームは、作動軸に対してフレームの半径方向の範囲の大部分にわたって延在する1つ又は複数の少なくとも部分的な中断部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具、特に手持ち工具であって、作動軸に沿って移動する作動ピストンと、前記作動ピストンを前記作動軸に沿って駆動する駆動部とを有し、前記駆動部は、電気コンデンサと、前記作動ピストンに配置されたかご形ローターと、前記コンデンサの急速放電中に電流が流れる励起コイルであって、前記作動ピストンを加速する磁場を生成する励起コイルとを有し、前記工具は、前記励起コイルを囲み、且つ前記作動軸に関して周方向に延在する軟磁性導電材料のフレームを有し、前記フレームは、前記作動軸に関して前記フレームの半径方向の範囲の大部分にわたって延在する1つ又は複数の少なくとも部分的な中断部を有する、工具、特に手持ち工具。
【請求項2】
留め付け要素を保持するためのホルダを含む、留め付け要素を基板に留め付けるための設定工具として構成され、前記作動ピストンは、前記ホルダに保持された留め付け要素を前記作動軸に沿って前記基板に移送し、前記駆動部は、前記作動軸に沿って前記作動ピストンを前記留め付け要素に駆動する、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記1つ又は複数の中断部は、前記フレームの前記半径方向の範囲の内縁まで延在する、請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
前記1つ又は複数の中断部は、前記フレームの前記半径方向の範囲の外縁まで延在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の工具。
【請求項5】
前記1つ又は複数の中断部は、前記作動軸に関して前記フレームの軸方向の範囲の終縁まで延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の工具。
【請求項6】
前記1つ又は複数の中断部は、前記フレームを完全に通過する、請求項1~5のいずれか一項に記載の工具。
【請求項7】
前記1つ又は複数の中断部は、スリットの形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の工具。
【請求項8】
前記1つ又は複数の中断部は、半径方向に延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の工具。
【請求項9】
前記1つ又は複数の中断部は、前記半径方向に対して傾いて延在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の工具。
【請求項10】
前記1つ又は複数の中断部は、前記作動軸に関して軸方向に延在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の工具。
【請求項11】
前記1つ又は複数の中断部は、前記作動軸に関して軸方向に対して傾いて延在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の工具。
【請求項12】
前記フレームは、前記1つ又は複数の中断部によって互いに分離される前記軟磁性導電材料の複数の層によって構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の工具。
【請求項13】
前記軟磁性導電材料の前記層は、前記作動軸に対して特に直角に傾いている積層方向に重ねて積層される、請求項12に記載の工具。
【請求項14】
前記軟磁性導電材料の前記層は、前記作動軸と特に平行に向けられる巻き軸の周りに巻かれる、請求項12又は13に記載の工具。
【請求項15】
前記軟磁性導電材料の前記層は、ほぼ平坦である、請求項12又は13に記載の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、留め付け要素を基板(被留め付け材)に留め付けるための設定工具などの工具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような工具は、多くの場合、作動軸に沿って移動する作動ピストンを有する。作動ピストンは、作動ピストンを加速する駆動部によって駆動される。特許文献1は、コンデンサと、作動ピストンに配置されたかご形ローターと、コンデンサの急速放電中に電流が流れる励起コイルであって、作動ピストンを加速する磁場を生成する励起コイルとを有する駆動部を記述している。
【0003】
設定工具は、通常、留め付け要素のためのホルダを有し、このホルダ内に保持された留め付け要素は、設定軸に沿ってホルダから基板に移送される。このために、作動要素は、駆動部によって設定軸に沿って留め付け要素に向けて駆動される。特許文献2は、コンデンサ及びコイルを有する駆動部を備えた設定工具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/104406号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6830173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高効率及び/又は良好な設定品質が保証される上述の種類の設定工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、好ましくは、作動軸に沿って移動する作動ピストン、作動ピストンを作動軸に沿って駆動するための駆動部を有する手持ち工具であって、駆動部は、コンデンサと、作動ピストンに配置されたかご形ローターと、コンデンサの急速放電中に電流が流れる励起コイルであって、作動ピストンを加速する磁場を生成する励起コイルとを有し、この工具は、励起コイルを囲み、且つ作動軸に関して周方向に延在する軟磁性導電材料のフレームを有し、フレームは、作動軸に関してフレームの半径方向の範囲の大部分にわたって延在する1つ又は複数の少なくとも部分的な中断部を有する、手持ち工具により達成される。
【0007】
本発明に関連して、コンデンサは、電荷及び付随するエネルギーを電場に蓄積する電気素子を意味する。特に、コンデンサは、2つの導電性電極を有し、電極が異なって帯電された場合、それらの間に電場が生じる。本発明に関連して、留め付け要素は、例えば釘、ピン、クランプ、クリップ、鋲、特にねじ付きスタッド等を意味する。
【0008】
本発明に関連して、軟磁性材料は、高い磁気飽和磁束密度を有する材料を意味し、従って材料を通過する磁場を強める。特に、フレームの軟磁性材料の飽和磁束密度は、少なくとも1.0T、好ましくは少なくとも1.3T、特に好ましくは少なくとも2Tである。本発明に関連して、導電材料は、高い比導電率を有するため、材料を通過する磁場が材料内で渦電流を生成させる材料を意味する。特に、フレームの導電材料は、少なくとも10S/m、好ましくは少なくとも10S/m、特に好ましくは少なくとも10S/mの比導電率を有する。フレームの軟磁性導電材料は、好ましくは、強磁性材料、特に好ましくは強磁性金属、例えば鉄、コバルト、ニッケル又は1種類又は複数種類の強磁性金属を主成分とする合金からなる。
【0009】
本発明に関連して、中断部は、フレームの導電材料よりも大幅に低い比導電率を有するため、フレームを流れる電流が抑制又は中断される領域を意味する。特に、中断部の比導電率は、最大で10S/m、好ましくは最大で10S/m、特に好ましくは最大で10-2S/mである。好ましくは、中断部は、間隙、例えば空隙若しくは真空間隙又は非導電性、気体状液体及び/若しくは固体材料、例えばプラスチック、セラミック、ガラス等を含む。中断部は、好ましくは、「電気化学的加工」、例えば切断ディスクによる鋸引き、フライス加工、放電加工、水ジェット切断、エッチング又はレーザー切断によって形成される。
【0010】
少なくとも1つの中断部は、作動軸に関してフレームの半径方向の範囲の大部分にわたって延在し、好ましくは作動軸に沿って軸方向の大部分にわたって延在するため、作動軸に関して周方向にフレームを流れる電流は、抑制又は中断される。好ましくは、フレームは、少なくとも1つの中断部によって半径方向及び/又は軸方向に完全に通過される。フレームの半径方向又は軸方向の範囲の大部分は、フレームの半径方向又は軸方向の範囲の好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%を意味する。中断部の方向の中断部の厚さは、好ましくは、0.3mm~0.8mm、特に好ましくは0.4mm~0.5mmの範囲である。
【0011】
本発明の1つの有利な態様では、工具が、留め付け要素を保持するためのホルダを含む、留め付け要素を基板に留め付けるための設定工具として構成され、作動ピストンが、ホルダに保持された留め付け要素を作動軸に沿って基板に移送するために備えられ、駆動部が、作動軸に沿って作動ピストンを留め付け要素上に駆動するために備えられることを特徴とする。
【0012】
1つの有利な態様では、フレームが、フレームの半径方向の範囲の大部分にわたって延在する少なくとも4つ及び/又は最大で50、好ましくは最大で36の中断部を有することを特徴とする。これにより、フレームの十分な機械的安定性が保証される。
【0013】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部がフレームの半径方向の範囲の少なくとも80%、好ましくはフレームの半径方向の範囲の少なくとも90%にわたって延在することを特徴とする。1つの有利な態様では、1つ以上の中断部がフレームの半径方向の範囲の内縁まで延在することを特徴とする。別の有利な態様では、1つ又は複数の中断部がフレームの半径方向の範囲の外縁まで延在することを特徴とする。
【0014】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部が作動軸に関してフレームの軸方向の範囲の少なくとも80%、好ましくはフレームの軸方向の範囲の少なくとも90%にわたって延在することを特徴とする。1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部が作動軸に関してフレームの軸方向の範囲の端縁まで延在することを特徴とする。
【0015】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部がフレームを完全に通過することを特徴とする。
【0016】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部がスリットの形態であることを特徴とする。
【0017】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部が気体、特に空気若しくは液体で満たされるか、又は空であることを特徴とする。
【0018】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部が非導電材料からなることを特徴とする。中断部の比抵抗は、好ましくは、少なくとも0.12μΩm、特に好ましくは少なくとも0.3μΩm及び/又は最大で0.9μΩmである。
【0019】
1つの有利な態様では、フレームが金属又は合金からなることを特徴とする。好ましくは、フレームは、鋼、特に好ましくは鉄の含有量が少なくとも95%であり、且つ/又はシリコン含有量が1%~3%である鋼からなる。
【0020】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部が半径方向に延在することを特徴とする。別の有利な態様では、1つ又は複数の中断部が、半径方向に対して傾いて延在することを特徴とする。
【0021】
1つの有利な態様では、1つ又は複数の中断部が作動軸に関して軸方向に延在することを特徴とする。別の有利な態様では、1つ又は複数の中断部が、作動軸に関して軸方向に対して傾いて延在することを特徴とする。
【0022】
1つの有利な態様では、フレームが、1つ又は複数の中断部によって互いに分離される軟磁性導電材料の複数の層によって構成されることを特徴とする。好ましくは、軟磁性導電材料の層は、作動軸に対して傾いている積層方向に重ねて積層される。特に好ましくは、積層方向は、作動軸に対して直角に傾いている。
【0023】
1つの有利な態様では、軟磁性導電材料の層が巻き軸の周りに巻かれることを特徴とする。好ましくは、巻き軸は、作動軸と平行に向けられる。1つの有利な態様では、軟磁性導電材料の層がほぼ平坦であることを特徴とする。
【0024】
1つの有利な態様では、駆動部が、急速放電を起動するスイッチング回路を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明は、図面に示すいくつかの実施例で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】設定工具を示す長手方向の断面図である。
図2】設定工具の駆動部を示す長手方向の断面図である。
図3】フレームの透視図である。
図4】フレームの透視図である。
図5】フレームの透視図である。
図6】フレームの透視図である。
図7】フレームの透視図である。
図8】フレームのセグメントの透視図である。
図9】フレームの透視図である。
図10】フレームの透視図である。
図11】フレームの透視図である。
図12】フレームの透視図である。
図13】フレームの透視図である。
図14】フレームを示す長手方向の透視断面である。
図15】フレームの透視図である。
図16】フレームの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、図示しない基板(被留め付け材)に留め付け要素を留め付けるための手持ち設定工具10を示す長手方向の断面図である。設定工具10は、釘として構成された留め付け要素30が、(図1の左側の)設定軸Aに沿って基板内に挿入されるように保持される、スタッドガイドとして構成されたホルダ20を有する。ホルダに留め付け要素を供給する目的のため、設定工具10は、留め付け要素が、個々に収納された状態又は留め付け要素ストリップ50の形態で保持され、1つずつホルダ20に搬送されるマガジン40を含む。この目的のため、マガジン40は、具体的に示さないばね式供給要素を有する。設定工具10は、ピストンプレート70及びピストンロッド80を含む作動ピストン60を有する。作動ピストン60は、留め付け要素30をホルダ20から設定軸Aに沿って基板に移送するために備えられる。この過程において、作動ピストン60は、そのピストンプレート70により、設定軸Aに沿ってガイドシリンダ95内において誘導される。
【0028】
作動ピストン60自体は、ピストンプレート70に配置されたかご形ローター90、励起コイル100、軟磁性フレーム105、スイッチング回路200及び5mΩの内部抵抗を有するコンデンサ300を含む駆動部65によって駆動される。かご形ローター90は、ホルダ20とは逆向きのピストンプレート70の側のピストンプレート70にぴったり沿うように留め付けされた、例えばねじ込み、鋲着、はんだ付け、溶接、接着、クランプ又は接続された、電気抵抗が低い、例えば銅製の、好ましくは環状、特に好ましくは円環状の要素からなる。図示しない実施例において、ピストンプレート自体は、かご形ローターとして構成される。スイッチング回路200は、既に充電されたコンデンサ300を急速放電させ、それによりフレーム105に埋め込まれた励起コイル100を通して流れる放電電流を伝達するために備えられる。
【0029】
作動ピストン60の設定準備完了位置(図1)において、作動ピストン60は、かご形ローター90が励起コイル100から短い距離に配置されるように、ピストンプレート70と共にフレーム105の特に表記しない環状凹部に入る。その結果、励起コイルを通して流れる励起電流の変化によって生じる励起磁場は、かご形ローター90を通過し、励起磁場自体は、環状に循環する二次電流をかご形ローター90内に誘導する。この二次的な電流は、強度が上昇し、従って変化し、次いで励起磁場とは逆向きの二次磁場を生成し、その結果、かご形ローター90は、励起コイル100によって反発されて、ホルダ20及びホルダ20に保持された留め付け要素30に向けて作動ピストン60を駆動するローレンツ力を受ける。
【0030】
設定工具10は、駆動部65が保持される筐体110、トリガーとして構成された動作要素130を有するハンドル120、再充電可能電池として構成された電気エネルギー蓄積部140、制御部150、トリッピングスイッチ160、接触圧スイッチ170、フレーム105に配置された温度センサ180として構成された励起コイル100の温度検出手段及び制御部150を電気エネルギー蓄積部140、トリッピングスイッチ160、接触圧スイッチ170、温度センサ180、スイッチング回路200及びコンデンサに300に各々接続する電気接続線141、161、171、181、201、301を更に含む。図示しない実施例において、設定工具10は、電気エネルギー蓄積部140の代わりに又はそれに加えて、電力線によって電気エネルギーを供給される。制御部は、印刷回路基板上で好ましくは互接続されて1つ又は複数の電気制御回路、特に1つ又は複数マイクロプロセッサを構成する電子構成部品を含む。
【0031】
図示しない(図1の左側の)基板に設定工具10が押圧された場合、特に表記しない接触圧要素が接触圧スイッチ170を動作させ、その結果、接続線171を介して接触圧信号を制御部150に送信する。これにより、制御部150が起動されてコンデンサ充電処理を開始し、コンデンサ300に充電するために、電気エネルギーが接続線141を介して電気エネルギー蓄積部140から制御部150に、且つ接続線301を介して制御部150からコンデンサ300に伝達される。この目的のため、制御部150は、電気エネルギー蓄積部140からの電流をコンデンサ300向けに適当な充電電流に変換する、特に表記しないスイッチングコンバータを含む。コンデンサ300が充電されて、作動ピストン60が、図1に示す設定準備完了位置にある場合、設定工具10は、設定準備完了状態にある。コンデンサ300の充電は、基板に押圧された設定工具10のみによって行われるため、この領域内の人々の安全を高めるため、設定工具10が基板に押し付けられる場合にのみ設定処理が可能である。図示しない実施例において、設定工具がオンにされるか若しくは設定工具が基板から持ち上げられるか、又は先行挿入処理が完了している場合、制御部は、既にコンデンサ充電処理を開始している。
【0032】
設定工具10が設定準備完了している状態で、動作要素130が、例えばハンドル120を保持する手の人さし指を用いて引っ張ることによって動作された場合、動作要素130は、トリッピングスイッチ160を動作させ、その結果、接続線161を介してトリッピング信号を制御部150に送信する。これにより、制御部150が起動されてコンデンサ放電処理を開始し、コンデンサ300に蓄積された電気エネルギーは、放電中のコンデンサ300を介してスイッチング回路200によってコンデンサ300から励起コイル100に伝達される。
【0033】
この目的のため、図1に概略的に示すスイッチング回路200は、コンデンサ300励起コイル100に接続する2つの放電線210、220を含み、少なくとも1つの放電線210が常開放電スイッチ230によって中断される。スイッチング回路200は、励起コイル100及びコンデンサ300を有する電気発振回路を構成する。この発振回路の往復振動及び/又はコンデンサ300の負の充電は、潜在的に駆動部65の効率に悪影響を及ぼし得るが、フリーホイーリングダイオード240を利用して抑制され得る。放電線210、220は、例えば、ハンダ付け、溶接、ねじ込み、クランプ又はぴったり沿う接続により、ホルダ20に対向するコンデンサ300の終端側360に配置されたコンデンサ300の電気接点370、380を介して、いずれの場合にもコンデンサ300の1つの電極310、320に電気的に接続される。放電スイッチ230は、好ましくは、高い電流強度を有する放電電流を切り替えるのに適しており、例えばサイリスタとして構成される。加えて、放電線210、220は、互いに近距離にあるため、それによって誘導される寄生磁場は、極力低く抑えられる。例えば、放電線210、220が組み合わされて母線を構成し、適当な手段、例えば保持装置又はクランプによってまとめて保持される。図示しない実施例において、フリーホイーリングダイオードは、放電スイッチと並列に電気的に接続される。図示しない更なる実施例において、回路にフリーホイーリングダイオードが設けられていない。
【0034】
コンデンサ放電処理を開始する目的のため、制御部150は、接続線201によって放電スイッチ230を閉じ、その結果、高い電流強度を有するコンデンサ300の放電電流が励起コイル100を通して流れる。急速に上昇する放電電流により、かご形ローター90を通過する励起磁場が誘導され、磁場自体は、環状に循環する二次電流をかご形ローター90内に誘導する。この二次的な電流は、強度が上昇し、次いで励起磁場とは逆向きの二次磁場を生成し、その結果、かご形ローター90は、励起コイル100によって反発されて、ホルダ20及びホルダ20に保持された留め付け要素30に向けて作動ピストン60を駆動するローレンツ力を受ける。作動ピストン60のピストンロッド80が留め付け要素30の特に表記しないヘッドに当接すると直ちに、留め付け要素30は、作動ピストン60によって基板に挿入される。作動ピストン60の過剰な運動エネルギーは、ピストンプレート70と共に制動要素85に向かって移動し、停止するまで後者によって制動される作動ピストン60を用いて、バネ弾性及び/又は減衰材料、例えばゴム製の制動要素85によって吸収される。作動ピストン60は、次いで、特に表記しない再設定装置によって設定準備完了位置に再設定される。
【0035】
コンデンサ300、特にその重心は、設定軸A上の挿入要素60の後に配置されるのに対して、ホルダ20は、挿入要素60の前に配置される。従って、設定軸Aに関して、コンデンサ300は、軸方向に挿入要素60に対してずれて且つ半径方向に挿入要素60と重なって配置される。その結果、一方では、放電線210、220の長さを短縮できる結果、抵抗を減少させることができ、従って駆動部65の効率を向上させることができる。他方では、設定工具10の重心と設定軸Aとの間の距離を短縮することができる。その結果、挿入処理中に設定工具10の反発発生時の傾斜モーメントが小さい。図示しない実施例において、コンデンサは、挿入要素の周りに配置される。
【0036】
電極310、320は、例えば、キャリア膜330の金属化、特に蒸着によって巻き軸の周りに巻かれたキャリア膜330の両側に配置され、巻き軸は、設定軸Aと一致する。図示しない実施例において、電極を有するキャリア膜は、巻き軸に沿った通路が残るように巻き軸の周りに巻かれる。特に、コンデンサは、この場合、例えば設定軸の周りに配置される。キャリア膜330は、コンデンサ300の充電電圧が1500Vであれば2.5μm~4.8μmの範囲の膜厚を、コンデンサ300の充電電圧が3000Vであれば例えば9.6μmの膜厚を有する。図示しない実施例において、キャリア膜自体は、層として重ねて配置された2つ以上の個々の膜で構成される。電極310、320は、50Ω/□のシート抵抗を有する。
【0037】
コンデンサ300の表面は、シリンダ状、特に円筒状であり、そのシリンダ軸は、設定軸Aと一致する。巻き軸方向におけるシリンダの高さは、巻き軸に垂直に測定されて直径とほぼ同じサイズである。シリンダの直径に対する高さの比が小さいため、コンデンサ300の相対的に高い容量に対して低い内部抵抗及び少なからず設定工具10のコンパクトな構造が実現される。電極310、320の線断面が大きいため、特に電極310、320の層厚が厚いため、コンデンサ300の内部抵抗も低くすることができる。ここにおいて、コンデンサ300の自己回復効果及び/又はサービス寿命に対する層厚が考慮されなければならない。
【0038】
コンデンサ300は、減衰要素350によって減衰するように設定工具10の台座に載置される。減衰要素350は、軸Aに沿った他の設定工具10の台座に相対的なコンデンサ300の移動を減衰させる。減衰要素350は、コンデンサ300の終端側360に配置され、終端側360を完全に覆う。その結果、キャリア膜330の個々の巻き線は、設定工具10の反発によって均一な負荷を受ける。この場合、電気接点370、380は、終端面360から突出して減衰要素350を通過する。この目的のため、減衰要素350は、いずれの場合にも電気接点370、380が突出する間隙を有する。接続線301は、コンデンサ300と設定工具10の台座との間の相対的な移動を補償するための、詳細に示していない歪み解放及び/又は展開ループをそれぞれ有する。図示しない実施例において、更なる減衰要素は、コンデンサ、例えばホルダとは逆向きのコンデンサの終端側上に配置される。コンデンサは、次いで、好ましくは2つの減衰要素、すなわちプレストレスによってコンデンサに押圧された減衰要素間にクランプされる。図示しない更なる実施例において、接続線は、コンデンサからの距離が遠くなるにつれて連続的に減少する剛性を有する。
【0039】
図2は、図示しない基板に留め付け要素を留め付けるための設定工具410を示す長手方向断面の概略図である。設定工具410は、釘として構成された留め付け要素430が、(図2の左側の)設定軸Bに沿って基板に挿入されるように保持される、スタッドガイドとして構成されたホルダ420を有する。設定工具410は、ピストンプレート470と、ガイドシリンダ495内において設定軸Bに沿って誘導されるピストンロッド480とを有する作動ピストン460を含む。作動ピストン460は、ピストンプレート470に配置されたかご形ローター490、励起コイル500、軟磁性フレーム505、これ以上具体的に表記しないスイッチング回路及びコンデンサ590を含む駆動部465によって駆動される。かご形ローター490は、ホルダ420とは逆向きのピストンプレート470の側のピストンプレート470に留め付けされる。
【0040】
コンデンサ590は、設定軸B上の挿入要素460の後に配置されるのに対して、ホルダ420は、挿入要素460の前に配置される。設定軸Bに関して、コンデンサ590は、挿入要素460に対して軸方向及び半径方向にずれて、しかし半径方向に重なって配置される。コンデンサ590は、減衰要素595によって設定工具410の台座に減衰するように載置され、減衰要素595は、ホルダ420に対向するコンデンサ590の終端面591から、ホルダ420とは逆向きのコンデンサ590の終端面592まで延在する。
【0041】
作動ピストン460の設定準備完了位置(図2)において、作動ピストン460は、ピストンプレート470と共に、かご形ローター490が励起コイル500から短い距離に配置されるようにフレーム505の環状凹部506に入る。図示しない実施例において、かご形ローターは、フレームの凹部に入らず、励起コイルから短い距離に配置される。設定処理の終了時点において、作動ピストン460は、いくつかの条件下で特にピストンプレート470と共に制動要素485に当接し、その後、特にその直後に、これ以上具体的に表記しない再設定装置によって設定準備完了位置に戻される。
【0042】
図3は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入できるフレーム600の透視図である。フレーム600は、金属、例えば鉄又は合金、例えば飽和密度が1.6T及び比導電率が8×106S/mの鋼からなり、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Cに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Cと一致する。フレーム600は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Cに関して軸方向にフレーム600を完全に通過する中心貫通孔610を作動軸Cに関して有する。
【0043】
更に、フレーム600は、18の中断部620を有し、中断部620は、作動軸Cに関してフレーム600の半径方向の範囲の94%にわたって延在し、軸方向にフレーム600を完全に通過する。中断部620は、スリット形状であり、特に空気スリットとして構成され、フレーム600の半径方向の範囲の外縁630まで延在するため、フレーム600には外側からスリットが設けられる。図示しない実施形態において、中断部は、別の気体若しくは液体で満たされるか、又は空である。図示しない更なる実施例において、中断部は、非導電材料、例えばプラスチック、ゴム、接着剤等の埋め込み用樹脂からなる。中断部620は、図3で隠されているフレーム600の前端縁まで且つフレーム600の後端縁640まで軸方向に延在するため、フレーム600を中断部620が軸方向に完全に通過する。中断部620は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。
【0044】
中断部620は、フレーム600内の渦電流を抑制する効果を有するため、渦電流によって生じ得る不要な磁場が減少し、駆動部及び工具の効率が向上する。
【0045】
図4は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム700の透視図である。フレーム700は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Dに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Dと一致する。フレーム700は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Dに関して軸方向にフレーム700を完全に通過する中心貫通孔710を作動軸Dに関して有する。
【0046】
更に、フレーム700は、16の中断部720を有し、中断部720は、作動軸Dに関してフレーム700の半径方向の範囲の96%にわたって延在し、軸方向にフレーム700を完全に通過する。中断部720は、スリット形状であり、フレーム700の半径方向の範囲の内縁750まで延在するため、フレーム700には内側からスリットが設けられる。中断部720は、図4で隠されているフレーム700の前端縁まで且つフレーム700の後端縁740まで軸方向に延在するため、フレーム700を中断部720が軸方向に完全に通過する。中断部720は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。
【0047】
図5は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム800の透視図である。フレーム800は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Eに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Eと一致する。フレーム800は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Eに関して軸方向にフレーム800を完全に通過する中心貫通孔810を作動軸Eに関して有する。
【0048】
更に、フレーム800は、18の中断部820を有し、中断部820は、作動軸Eに関してフレーム800の半径方向の範囲の95%にわたって延在し、フレーム800を軸方向に完全に通過する。中断部820は、スリット形状であり、フレーム800の半径方向の範囲の外縁830及び内縁850まで交互に延在するため、フレーム800には外側及び内側から交互にスリットが設けられる。中断部820は、図5で隠されているフレーム800の前端縁860まで且つフレーム800の後端縁まで軸方向に延在するため、フレーム800を中断部820が軸方向に完全に通過する。中断部820は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。
【0049】
図6は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム900の透視図である。フレーム900は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Fに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Fと一致する。フレーム900は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Fに関して軸方向にフレーム900を完全に通過する中心貫通孔910を作動軸Fに関して有する。
【0050】
更に、フレーム900は、18の中断部920を有し、中断部920は、作動軸Fに関してフレーム900を半径方向に完全に通過し、フレーム900の軸方向の範囲の94%にわたって延在する。中断部920は、スリット形状であり、フレーム900の半径方向の範囲の前端縁950まで軸方向に延在するため、フレーム900には正面からスリットが設けられる。中断部920は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。
【0051】
図7は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム1000の透視図である。フレーム1000は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Gに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Gと一致する。フレーム1000は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Gに関して軸方向にフレーム1000を完全に通過する中心貫通孔1010を作動軸Gに関して有する。
【0052】
更に、フレーム1000は、18の中断部1020を有し、中断部1020は、フレーム1000を完全に、すなわち作動軸Gに関して半径方向及び軸方向に、従って図7で隠されているフレーム1000の前端縁からフレーム700の後端縁1040まで通過する。結果的に、フレーム1000は、18の各セグメント1070で構成され、その各々が20°の角度にわたって周方向に延在する。中断部1020は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。
【0053】
図8は、このような1つのセグメント1070の透視図である。セグメント1070は、いくつかのセグメントにわたって不要な渦電流を抑制するために、その表面に例えば非導電層1080が被覆されている。
【0054】
図9は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム1100の透視図である。フレーム1100は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Hに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Hと一致する。フレーム1100は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Hに関して軸方向にフレーム1100を完全に通過する中心貫通孔1110を作動軸Hに関して有する。
【0055】
更に、フレーム1100は、18の中断部1020を有し、中断部1020は、フレーム1100を完全に、すなわち作動軸Hに関して半径方向及び軸方向に通過する。結果的に、フレーム1100は、18の各セグメント1170で構成され、その各々が20°の角度にわたって周方向に延在する。中断部1120は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。フレーム1100には、特にリング状に構成され、半径方向の外縁でセグメント1170を囲む支持要素1190が設けられる。支持要素1190は、特に動作中に例えば磁場に起因して生じた半径方向外向きに作用する力に抗してセグメント1170を支持する。支持要素1190は、好ましくは、非導電材料、例えば繊維強化プラスチックからなるため、支持要素1190内の不要な渦電流が避けられる。
【0056】
図10及び11は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム1200の透視図である。フレーム1200は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Jに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Jと一致する。フレーム1200は、軟磁性導電材料からなり、作動軸Jに関して軸方向にフレーム1200を完全に通過する中心貫通孔1210を作動軸Jに関して有する。
【0057】
更に、フレーム1200は、18の中断部1220を有し、中断部1220は、スリット形状であり、特に空気スリットとして構成され、フレーム1200の半径方向の範囲の外縁1230まで延在するため、フレーム1200には外側からスリットが設けられる。中断部1220は、フレーム1200の前端縁1260まで且つフレーム1200の後端縁1240まで軸方向に延在するため、フレーム1200を中断部1220が軸方向に完全に通過する。中断部1220は、半径方向及び軸方向に延在し、半径方向又は軸方向に対して傾いていない。更に、フレーム1200は、外縁1230に配置された冷却要素1290を有する。冷却要素は、冷却リブとして構成され、フレーム1200の表面のサイズを増大させ、従ってフレーム1200と周辺との間の熱伝達を支援する。図示しない実施形態において、冷却要素は、代替的又は追加的に、前端縁及び/又は後端縁に配置される。図示しない更なる実施例において、冷却要素は、ピン若しくはナブ又は凹部として構成される。
【0058】
図12は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム1300の透視図である。フレーム1300は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Kに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Kと一致する。フレーム1300は、作動軸Kに関して軸方向にフレーム1300を完全に通過する中心貫通孔1310を作動軸Kに関して有する。
【0059】
フレーム1300は、巻き軸の周りに巻かれた軟磁性導電材料の可撓性金属シート1305で構成される。巻き軸は、この場合、作動軸Kと平行に向けられ、特に作動軸Kと一致する。巻きの結果、シート1305は、複数の中間層によって互いに分離され、積層方向に重ねて積層された複数の層1315を構成し、積層方向は、作動軸Kに対して特に直角に傾いており、巻き軸に関してほぼ半径方向に全体的に延在する。積層に起因して、特に上述の積層方向において、層1315は、フレーム1300に埋め込まれた図示しない励起コイルを、特に動作中に例えば磁場に起因して生じた半径方向外向きに作用する力に抗して支持する。
【0060】
本発明に関連して、中間層は、作動軸Kに関して内側から外向き螺旋状に延在する単一の中断部1320を構成する。中断部1320は、フレーム1300の外縁1330まで且つフレームの内縁1350まで延在するため、フレーム1300を中断部1320が半径方向に完全に通過する。中間層は、図12に示していないフレーム1300の前端縁1360まで且つフレーム1300の後端縁まで軸方向に延在するため、フレーム1300を中断部1320が軸方向に完全に通過する。その螺旋形状に起因して、中断部1320は、半径方向に傾いており、軸方向に延在し、軸方向に対して傾いていない。
【0061】
図13、14及び15は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム1400及びフレーム1400を通る透視的長手方向断面(図14)の透視図である。フレーム1400は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Lに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Lと一致する。
【0062】
フレーム1400は、各々が軟磁性導電材料のいくつかの平面層1415によって構成され、作動軸Lの周りに特に星形に配置された、いくつかのサブブロック1445を含む。層1415は、例えば、金属シートによって構成される。層1415は、いくつかの中間層によって互いに分離され、作動軸Lに対して特に直角に傾いており、各サブブロック1445で同様であるが、サブブロック毎に異なる積層方向に重ねて積層される。サブブロック1445間の中間層及び中間空間は、各サブブロック1445を完全に通過する、すなわち作動軸Lに垂直な方向及び軸方向に完全に通過する中断部1420を構成する。中断部1420は、作動軸Lに垂直な方向及び軸方向に延在し、軸方向に対して傾いていない。層1415は、好ましくは、非導電材料で被覆されるため、中断部1420は、この材料からなる。
【0063】
励起コイル1495は、フレーム1400に埋め込まれ、これ以上具体的に表記しないフレーム1400の凹部に配置される。フレーム1400には、特にリング状に構成され、半径方向の外縁でサブブロック1445を囲む支持要素1490が設けられる。支持要素1490は、特に動作中に例えば磁場に起因して生じた半径方向外向きに作用する力に抗してサブブロック1445を支持する。支持要素1490は、好ましくは、非導電材料、例えば繊維強化プラスチックからなるため、支持要素1490内の不要な渦電流が避けられる。例えば、支持要素1490は、サブブロック1445及び特に励起コイル1495が鋳造される射出成形部分からなる。第2の支持要素1496は、フレーム1400を軸方向に支持し、好ましくは非導電材料からなり、且つ/又は好ましくは同様に中断部が設けられる。
【0064】
図16は、工具、例えば図1に示す設定工具10又は図2に示す設定工具410に挿入可能なフレーム1500の透視図である。フレーム1500は、ほぼシリンダ状、特に円筒状の外側輪郭を有し、工具の作動軸Mに関して周方向に延在する。特に、外側輪郭のシリンダ軸は、作動軸Mと一致する。フレーム1500は、作動軸Mに関して軸方向にフレーム1500を完全に通過する中心貫通孔1510を作動軸Mに関して有する。更に、フレーム1500は、作動ピストン及び/又はかご形ローターが入る環状凹部1555を有する。凹部1555は、内壁1565、外壁1575及び底部1585を有し、図示しない励起コイルが底部1585に配置されるため、かご形ローターが設けられていれば励起コイルから短い距離に配置される。
【0065】
フレーム1500は、複数の中間層によって互いに分離された軟磁性導電材料のいくつかの平面層1515によって構成される。層1515は、例えば、金属シートによって構成される。層1515は、作動軸Mに対して特に直角に傾いており、全体フレーム1500で同様である積層方向1525に重ねて積層される。中間層は、フレーム1500を完全に通過する、すなわち作動軸Mに垂直な方向1535且つ軸方向に完全に通過する中断部1520を構成する。中断部1520は、作動軸Mに垂直な方向1535及び軸方向に延在し、軸方向に対して傾いていない。層1515が平坦な形態であり、シリンダ軸に関して大部分が平行にずれているという事実は、中断部1520が半径方向に対して傾いた特定の領域にあることを意味する。層1515は、好ましくは、非導電材料で被覆されるため、中断部1520は、この材料からなる。
【0066】
図示しない実施例において、いくつかの層が他の層に関して軸方向及び/又は半径方向に突出して冷却要素を構成する。フレームの冷却は、いくつかの条件下において、かご形ローターに伝達されるエネルギーの一定性を向上させる。
【0067】
本発明について、図面に示す一連の実施例及び図示しない実施例を用いて記述してきた。各種の実施例の個々の特徴は、互いに矛盾しない限り、個々に又は互いの所望の組み合わせで適用され得る。本発明による設定工具が他の用途にも使用可能であることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】