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▶ アプタル ラドルフツエル ゲーエムベーハの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】吸入器及びそのための評価ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576394
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2020071931
(87)【国際公開番号】W WO2021032471
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】19192926.4
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512245713
【氏名又は名称】アプタル ラドルフツエル ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】カルゲ, マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムリンガー, ミヒャエル
(57)【要約】
本発明は、評価ユニット(60)を有する吸入器(10)、及び評価ユニット自身に関する。吸入器は、従来のようにマウスピース(22)と容器ユニット(50)が中にあるチャンバー(12)とを有するハウジング(20)を有し、容器ユニットを押し下げて媒体を吐出する。容器ユニットと壁(24)の間に環状間隙(14)があり、それを通って空気が吸引され、放出開口(32)を出る媒体と混合する。評価ユニットは、容器ユニットに装着される。それは容器(52)とともに押し下げられることができ、環状間隙を通って吸引される空気を検出する。評価ユニットは、測定通路(70)を含み、それは、周囲からチャンバーの開放端に流入する空気の第一流路(100)の部分を形成し、測定通路を通って流れる空気を検出する流量センサー(94)を有する。周囲からチャンバーの開放端に流入する空気の第二流路(110)も与えられ、第二流路の流れ抵抗は、第一流路のそれ以下である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能な媒体を吐出するための吸入器(10)であって、
(a)吸入器(10)が、マウスピース(22)と容器ユニット(50)のためのチャンバー(12)とを有するハウジング(20)を有し、そのチャンバー(12)が、チャンバー壁(24)によって包囲され、かつ一端を開放されており、
(b)吸入器(10)が、チャンバー(12)内に配置された容器ユニット(50)を有し、
(c)容器ユニット(50)が、連通態様でハウジング(20)の放出通路(30)に取り付けられる出口コネクター(56)と、放出前に媒体を貯蔵するための容器(52)とを有し、出口コネクター(56)に対して容器(52)を動かすことによって、容器ユニット(50)の出口弁(54)が開放されることができ、
(d)容器ユニット(50)の容器(52)が押し下げられ、それによって出口弁(54)を開放し、媒体が放出通路(30)を通って放出通路(30)の端の放出開口(32)に移動されるように、容器ユニット(50)の容器(52)がチャンバー(12)の開放端に面し、
(e)容器(52)とチャンバー(12)のチャンバー壁(24)との間に環状間隙(14)が与えられ、その環状間隙(14)を通って空気が吸入時に吸引され、放出開口(32)を通って外に流れる媒体と混合し、
(f)吸入器(10)が、出口コネクターから離れて面する容器(52)の端の上に位置されかつ容器(52)とともに押し下げられることができる評価ユニット(60)を有し、評価ユニット(60)が、マウスピース(22)で吸引される空気を検出するように設計され、
(g)評価ユニット(60)が、測定通路入口及び測定通路出口を有する測定通路(70)を含み、測定通路(70)が、環境からチャンバーの開放端中に流れる空気のための第一流路(100)の部分を形成し、測定通路入口と測定通路出口の間に、測定通路(70)を通って流れる空気を検出するための流量センサー(94)を有し、
(h)環境からチャンバーの開放端中に流れる空気のための第二流路(110)が与えられ、その第二流路(110)が、測定通路(70)を通って導かれず、
(i)第一流路(100)と第二流路(110)が、第一流路(100)の流れ抵抗が少なくとも第二流路(110)の流れ抵抗に相当するように互いに整合されることを特徴とする吸入器(10)。
【請求項2】
以下のさらなる特徴の少なくとも一つを有する、請求項1に記載の吸入器(10):
(a)環境(2)からマウスピース(22)までの第一流路(100)の流れ抵抗が、少なくとも1000000N・s/m、好ましくは少なくとも5000000N・s/mであり、
(b)環境(2)からマウスピース(22)までの第二流路(110)の流れ抵抗が、1000000N・s/mの最大値、好ましくは500000N・s/mの最大値であり、
(c)第一流路(100)の流れ抵抗が、第二流路(110)の流れ抵抗より少なくとも10倍大きく、好ましくは少なくとも25倍大きく、特に好ましくは少なくとも35倍大きい。
【請求項3】
以下のさらなる特徴を有する、請求項1又は2に記載の吸入器(10):
(a)流量センサー(94)が、熱式流量センサー(94)として設計され、かつ二つの温度センサー(96,98)と、それらの間に配置された加熱素子(97)とを有する。
【請求項4】
以下のさらなる特徴を有する、請求項1~3のいずれかに記載の吸入器(10):
(a)測定通路(70)が内部を通って延びる測定通路コネクター(76)が、測定通路(70)の出口開口の方向に、特に連続的に先細の形状で先細になる形状を有する。
【請求項5】
以下のさらなる特徴を有する、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器(10):
(a)評価ユニット(60)が、頭部分(60A)と、そこからチャンバー壁(24)の方向に360°未満の角度範囲で延びるエプロン部分(60B)とを有し、エプロン部分(60B)が、測定通路コネクター(76)の外側に配置され、測定通路コネクター(76)を通って測定通路(70)が延びる。
【請求項6】
(a)評価ユニット(60)とチャンバー(12)のチャンバー壁(24)とが、それらの形状に関して、評価ユニット(60)が規定された回転位置又は規定された回転位置範囲で容器(52)の上に配置されることができるように互いに整合され、
特に以下のさらなる特徴の少なくとも一つを有する、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器(10):
(b)評価ユニット(60)が、頭部分(60A)と、そこからチャンバー壁(24)の方向に延びるエプロン部分(60B)とを有し、エプロン部分(60B)が、回転に対する固定を与えるようにチャンバー壁(24)の非回転対称外部形状にフォームフィット係合するために適応される内側に面する形状を有し、
(c)容器(52)とチャンバー壁(24)の内側面との間の環状間隙(14)が、不均一な内側幅を有し、測定通路(70)が内部を延びる測定通路コネクター(76)を収容するために周囲に十分な寸法を持たず、
(d)評価ユニット(60)が容器(52)の上に配置されることができる回転位置又は回転位置範囲において、測定通路(70)が、マウスピース(22)とは反対側に配置される。
【請求項7】
(a)少なくとも容器(52)が押し下げられるときに環状間隙(14)に測定通路(70)の測定通路出口が配置され、
好ましくは以下のさらなる特徴を有する、請求項1~6のいずれかに記載の吸入器(10):
(b)容器(52)が押し下げられないときに環状間隙(14)に測定通路(70)の測定通路出口が既に配置されている。
【請求項8】
(a)評価ユニット(60)が、直線状でないセンサー通路(92)、特に二度曲げられ、各場合において90°曲げられているセンサー通路(92)を有するセンサーハウジングを有する流量センサーユニット(90)を有し、
好ましくは以下のさらなる特徴を有する、請求項1~7のいずれかに記載の吸入器:
(b)評価ユニット(60)が、電子構成要素を受容するための主ボード(80)を有し、その主ボード(80)が、評価ユニット(60)の頭部分(60A)における容器(52)の変位の方向に対して直角に与えられ、流量センサーユニット(90)が、主ボード上に直接固定され、センサー通路(92)の入口及び/又はセンサー通路(92)の出口が、好ましくは環状間隙(14)の方向に向いている。
【請求項9】
(a)評価ユニット(60)のハウジング(62,64)が、空気が測定通路(70)中に流れるための少なくとも一つの開口(65)を有し、
特に以下のさらなる特徴の少なくとも一つを有する、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器(10):
(b)空気が流入する少なくとも一つの開口(65)が、評価ユニットの頭部分の上面に与えられ、
(c)空気が流入する少なくとも一つの開口(65)が、評価ユニット(60)の側面、特にチャンバー壁(24)の方向に延びるエプロン部分(60B)に与えられる。
【請求項10】
(a)第二流路(110)が、流入間隙(8)を通って走り、流入間隙(8)が、一方ではチャンバー壁(24)の上端によって、他方では評価ユニット(60)の頭部分(60A)によって形成され、
特に以下のさらなる特徴の少なくとも一つを有する、請求項1~9のいずれかに記載の吸入器(10):
(b)流入間隙(8)が、少なくとも180°の角度範囲で、好ましくは200°~340°の角度範囲で容器(52)を包囲し、
(c)流入間隙(8)が、少なくとも1mmの頭部分(60A)とチャンバー壁(24)の一つの上端との間の幅を有する。
【請求項11】
以下の特徴を有する、吸入可能な媒体を吐出するための吸入器(10)のための評価ユニット(60):
(a)評価ユニット(60)が、吸入器(10)と共に使用されるために与えられ、吸入器(10)が、マウスピース(22)とチャンバー(12)とを有するハウジング(20)を有し、チャンバー(12)が、チャンバー壁(24)によって包囲され、その中に挿入された容器ユニット(50)を有し、容器ユニット(50)の容器(52)とチャンバー(12)のチャンバー壁(24)との間に環状間隙(14)が与えられ、その環状間隙(14)を通って空気が吸入時に吸引され、放出開口を通って容器(52)から外に流れる媒体と混合し、
(b)評価ユニット(60)が、容器(52)の底部を挿入方向に挿入するための挿入領域(78)を有する固定部分を有し、
(c)評価ユニット(60)が、挿入方向に平行に延びる測定通路コネクター(76)を有し、測定通路コネクター(76)を通って測定通路(70)が延び、測定通路(70)を通って吸入時に流入するある割合の空気が環状間隙(14)に到達し、測定通路コネクター(76)が、上から環状間隙(14)中に突出するように与えられ、
(d)測定通路(70)が、測定通路(70)を通って流れる空気を検出するための流量センサー(94)を有する。
【請求項12】
(a)評価ユニット(60)が、流量センサー(94)からの出力信号を受けとりかつこれらの流量信号を評価するために与えられる制御回路を有し、
特に以下の特徴を少なくとも一つを有する、請求項1~11のいずれかに記載の吸入器(10)又は評価ユニット(60):
(b)評価ユニット(60)が、第一及び第二流路(100,110)に沿った全空気流量を計算するために第一流路(100)に沿った空気流量を使用するように設計され、評価ユニット(60)がまた、特に第一流路(100)における空気流量と全空気流量との間の非線形関係に基づいて全空気流量を計算するように設計され、
(c)評価ユニット(60)が、検出された又は計算された空気流量をその強度に関して及び/又はその容器(52)の押し下げのタイミングに関して評価し、
(d)評価ユニット(60)が、使用者に視覚、触覚又は聴覚のフィードバックを与えるように設計され、評価ユニット(60)が、吸入手順中及び/又は吸入手順後にフィードバックを与えるように設計されることができる。
【請求項13】
以下のさらなる特徴の少なくとも一つを有する、請求項1~12のいずれかに記載の吸入器(10)又は評価ユニット(60):
(a)評価ユニット(60)が、ワンピース内部構成要素(62)を有し、ワンピース内部構成要素(62)が、容器(52)に固定するための挿入領域(78)を直接画定し、ワンピース内部構成要素(62)が、測定通路(70)を少なくとも部分的に画定し、特にそれを通って延びる測定通路(70)を有し、
(b)評価ユニット(60)が、少なくとも二つの部分からなる固定部分を有し、それが、挿入領域を画定し、挿入領域のサイズが、その少なくとも二つの部分を動かすことによって適応可能であり、
(c)評価ユニット(60)が、電池(67)、特にボタン電池のための受器を有し、好ましくは電池を収容するために引き出し電池キャリア(66)が与えられ、電池キャリア(66)が、特に好ましくは固定部分を形成し、それにより評価ユニット(60)の内部構成要素(62)及び外部構成要素(64)が互いに固定されることができる。
【請求項14】
以下のさらなる特徴の少なくとも一つを有する、請求項1~13のいずれかに記載の吸入器(10)又は評価ユニット(60):
(a)評価ユニット(60)が、加速度を検出するため及び/又は振とう運動を検出するためのセンサー(86)を有し、
(b)評価ユニット(60)が、特に圧縮されるときに電気抵抗を変化するセンサーフィルムの形で、容器(52)に対して上から評価ユニットに及ぼされる作動力を検出するためのセンサー(84)を有し、
(c)評価ユニット(60)が、ディスプレイの形、少なくとも一つの信号光の形、及び/又は音響信号発生器の形で出力装置(88)を有し、
(d)評価ユニット(60)が、特に携帯電話のような移動端末の形で、外部通信サイトとの通信のための通信装置(89)を有し、通信装置(89)が、好ましくはWi-Fi規格、ブルートゥース規格、又は車載無線機規格に従う通信のために設計されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能な媒体、特に霧化液体を吐出するための吸入器に関する。本発明による吸入器は、吸入器の容器上に装着される評価ユニットによって特徴づけられる。かかる評価ユニットを有する吸入器に加えて、本発明はまた、評価ユニット自体に関する。
【0002】
本発明による吸入器は、本発明による評価ユニットを与えられ、特にMDIディスペンサー(定量吸入器)として設計されることができる。かかるMDIディスペンサーは、通常、多かれ少なかれL形状であり、鉛直方向に配向された主本体を持ち、それは、容器ユニットのためのチャンバー、及び主本体の下端に接続されかつ主本体に対して角度を付けられるマウスピースを含む。
【背景技術】
【0003】
一般的な吸入器の使用は、使用者が自分の唇の間にマウスピースを配置し、それを通して空気が吸入器のハウジングを通って吸引されるように吸入することを伴なう。この空気は、通常、容器ユニットとチャンバーの周囲壁の間の間隙を通ってハウジング中に流れる。吸入するために明らかな努力が必要とされないように流れ抵抗は低い。息を吸い込みながら、使用者は、上から容器ユニットを押し、それによって霧化液体を空気流れ中に放出させ、従って吸入された空気は、液体の滴と混合され、使用者によって吸入される。
【0004】
吸入の希望の医療効果は、かなりの程度、意図したパラメーター(即ち、特に十分に強く吸入し、液体が正しい時間で放出させられること)に従う使用者に依存する。
【0005】
従来技術は、これらのパラメーターの遵守を監視し、もし必要なら使用者にフィードバックを与えるか、又はもし必要ならディスペンサーの使用及びパラメーターの遵守についてのデータも特に医者による評価のために送るディスペンサーを既に開示している。
【0006】
吸入器のハウジングに対して容器とともに使用者によって押し下げられるために、本発明にも与えられた方法で容器床の上に配置される評価ユニットも既に知られている。
【0007】
WO2017/205824A1は、ハウジング壁と容器の間の吸入器の環状間隙から圧力センサーが与えられているボードまで導く圧力管を有する吸入ディスペンサーのための評価ユニットを開示する。それは、上述の環状間隙における圧力を検出するために使用される。
【0008】
US2016/0144141A1は、吸入ディスペンサーのための評価ユニットを開示し、そこでは吸入される空気は、評価ユニットの通気スロットを通って吸引され、そこには内部圧力センサーがさらに与えられ、内部圧力センサーは、使用者による空気の吸引時に評価ユニット中に作られる負圧を検出するように設計される。
【0009】
使用者による吸入を検出することによる問題は、空気流を完全に検出することが難しいことである。特に、空気流を検出するための測定装置は、流れ抵抗をかなり増加し、従って使用者による正しい吸入に関して不利になる危険があることである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、評価ユニット、及び評価ユニットとともに吸入器を利用可能にすることであり、それは、快適で努力なしの吸入を可能にすると同時に十分な信頼性を持って吸入される空気の量を検出することを可能にするものである。
【0011】
本発明によれば、公知の吸入器に従って、マウスピースとチャンバー壁によって包囲された容器ユニットのためのチャンバーとを有するハウジングを有する吸入器が提案される。チャンバーは、一端を開放されるように設計され、従って容器ユニットがこの開放端でチャンバー中に挿入可能である。
【0012】
容器ユニット自体は、一般的な態様では、ハウジングの放出通路に接続されかつハウジングの放出通路に連通する出口コネクター、及び放出前に媒体を貯蔵するための容器を有する。容器ユニットの出口弁は、出口コネクターに対して容器を動かすことによって開放されることができる。特に、容器は、出口弁が開放されるときに含有される媒体を、特に媒体の予め分離されかつ規定された量を自動的に放出するために、圧力下にあることができる。二つの弁、及びそれらの間に配置されたポンプチャンバーを有するポンプを有する設計もまた知られ、本発明によってカバーされる。
【0013】
挿入後、容器は、チャンバーの開放端の方に面し、従ってそれは、使用者によって押し下げられることができ、それによって出口弁を開放して媒体を放出通路を通って放出通路の端の放出開口に逃がすことが可能である。
【0014】
作動しない状態では、容器は、チャンバーから外に突出することが好ましい。
【0015】
放出は、使用者による同時吸入とともに行なわれることを意図される。それゆえ、環状間隙は、容器とチャンバー壁の間に与えられ、その環状間隙を通って空気が吸入時に吸引される。意図したように、この空気は、放出開口を通って容器の外に流れる媒体と混合する。混合物は、使用者によって吸入される。
【0016】
最初に既に述べたように、本発明による吸入器は、使用を評価するための評価ユニットを有する。この評価ユニットは、出口コネクターから離れた方に向きかつチャンバーの開放端の方に向く容器の端に配置される。評価ユニットは、容器とともに押し下げられることができる。本発明によれば、評価ユニットは、マウスピースで、特に環状間隙を通って吸引される空気を検出するように設計され、この目的のために測定通路入口及び測定通路出口を有する測定通路を含み、測定通路は、環境からチャンバーの開放端中に流れる空気のための第一流路の部分を形成し、測定通路入口と測定通路出口の間に、測定通路を通って流れる空気を検出するための流量センサーを有する。測定通路を通る第一流路に加えて、環境からチャンバーの開放端中に流れる空気のための第二流路も存在し、この第二流路は、測定通路を通るように導かない。代わりに、それは、環状間隙を通って及び/又は吸入器のハウジング中の他の開口を通って測定通路を過ぎて導かれる。
【0017】
第一流路及び第二流路は、第一流路の流れ抵抗が少なくとも第二流路の流れ抵抗に相当するように互いに調和される。これは、空気がマウスピースで吸引されるとき、空気の最大半分が測定通路を通って移動されることを意味する。
【0018】
本発明による評価ユニットを有する、本発明による吸入器は、吸入時に環境からハウジング中に流れ、マウスピースに到達する空気の少なくとも半分、好ましくはほとんどが前記第二流路に沿って吸引され、それは、測定通路を通って導かれないことを特徴とする。第二流路が本発明の文脈で述べられる場合、これは、測定通路をうかいすることによって環境からマウスピースに導く流路の全体を意味する。
【0019】
空気の最大半分だけ、好ましくはずっと少ない割合が測定通路を通って吸引され、従って比較的高い流れ抵抗をそこで受ける。
【0020】
本発明は、第一流路に沿って空気流量を単に評価することによって、吸引される空気の全量(即ち、測定通路を通る第一流路及び測定通路を通る第二流路に沿って吸引される空気の量)を十分な精度で決定することができるという知見に基づく。最も簡単な場合には、空気流量の間に略線形的な関係がある。もしこれが当てはまらないなら、第二流路における空気流量は、追加の式に基づく関係によって又は表に記憶される試験セットを使用することによって第一流路を通る空気流量から計算されることができる。評価のタイプによっては、第二流路を通る空気流量を計算する必要はない。なぜなら第一流路のみの検出された空気流量の評価が吸入の評価のために十分であるからである。
【0021】
測定通路を与える評価ユニットは、それが容器ユニットの容器の端の上に配置されるように設計される。吐出のために容器床を押す代わりに、使用者は、この評価ユニットを押し、それは、次いで容器とともに押し下げられる。評価ユニットはまた、電子構成要素を含み、従って比較的高価である。そのため、評価ユニットは、複数の吸入器又は少なくとも複数の容器ユニットでの繰り返し使用のために与えられることが普通であり、従って吸入器又は容器ユニットが交換された後、前の容器ユニットから分離された評価ユニットは、新しい容器ユニットの上に配置される。
【0022】
測定通路は、この評価ユニットに一体化され、前記測定通路入口から前記測定通路出口まで延びる。測定通路入口及び測定通路出口は、互いに離間されている。測定通路自体は、周囲を閉じられ、流量センサーを含む。流量センサーは、様々な方法で設計されることができ、熱式流量センサーが好ましい。測定通路の平均断面積は、0.2mm~4mmの範囲であることが好ましい。測定通路の最も狭い断面積は、0.1mm~2mmの範囲であることが好ましい。長さは、10mm~60mmの範囲であることが好ましい。
【0023】
既に述べたように、測定通路を過ぎて第二流路を通る流れ抵抗は、最大で第一流路のそれに相当する。しかしながら、第一流路を通る流れ抵抗は、第二流路のそれよりかなり高いことが好ましく、第二流路を通る流れ抵抗の少なくとも10倍に相当することが好ましく、特に好ましくは第二流路を通る流れ抵抗の少なくとも25倍、さらに好ましくは少なくとも35倍である。
【0024】
第一流路に沿った流れ抵抗は、少なくとも1000000N・s/mであり、第二流路に沿った流れ抵抗は、最大で1000000N・s/mであることが好ましい。第一流路に沿った流れ抵抗は、少なくとも5000000N・s/mであることが好ましい。さらに好ましくは、第二流路に沿った流れ抵抗は、最大で500000N・s/mである。
【0025】
この流れ抵抗において好ましく与えられた大きな差が第一流路に沿ってかつ測定通路を通って流れる吸引された空気の小さな割合のみをもたらすという事実にかかわらず、第一流路を通る空気流れの十分な精度の検出により、吸引される空気の全量が信頼性高く推定されうることが示された。
【0026】
空気の全量又は全空気流量を希望の精度で計算できるために、又は測定された空気流量だけに基づいて適切な評価を可能にするために、もし測定通路を通って流れる空気流量が比較的精度良く検出されるなら有利である。原則として、流量センサーを実施するために極めて異なるセンサーを使用することができる。例えば、復元力に対抗して偏位可能な要素が測定通路に与えられ、その要素の変位が空気流量の尺度として検出され使用されることが可能である。例えば、測定通路に回転状要素を回転自在に与え、その要素の回転スピードを空気流量の尺度として検出し使用することもできる。
【0027】
しかしながら、測定通路を通って案内される空気の好ましくは少ない割合だけが熱式/熱量測定式流量センサーとして設計される流量センサーによって特に正確かつ有利に測定されることができることが示された。かかる熱量測定式センサーは、二つの温度センサーを有し、それらの間に加熱素子が配置されている。
【0028】
熱式流量センサーは、加熱素子によってセンサー通路において加熱領域を発生し、二つの温度センサーで生じた温度上昇を測定するように設計される。もしセンサー通路を通って流れる空気が全くないなら、両温度センサーでは加熱素子に対して同一の距離のために同じ温度が検出される。しかしながら、もしセンサー通路を通って空気が流れるなら、加熱は非対称である。温度差が大きいほど、センサー通路を通って流れる空気が多い。
【0029】
測定通路は、少なくとも部分的に測定通路コネクターに与えられることが好ましく、それを通って測定通路が長手方向に延びる。この測定通路コネクターは、評価ユニットから吸入器のチャンバーの方向に延びる。それは、測定通路の出口開口の方向に先細りとなる形状、特に連続的に先細りになる形状を有することが好ましい。これは、測定通路コネクターを容器とチャンバー壁の間の環状間隙中に挿入することを容易にする。測定通路の端は、この測定通路コネクターの遠位端に与えられることが好ましい。
【0030】
評価ユニットは、その外部輪郭に対して実質的に回転対称であるように設計されることができる。しかしながら、評価ユニットが容器の上に配置されかつその底部で静止する頭部分を有する設計が有利であり、そこでは頭部分からチャンバー壁の方向に360°未満の角度範囲で延びるエプロン部分が追加して与えられ、それは、容器の側部を下って延びる。このエプロン部分は、測定通路コネクターの外側に配置されることが好ましく、それを通って測定通路が延びる。
【0031】
エプロン部分は、様々な機能を果たすことができる。これらの機能は、特に評価ユニットが容器ユニットを交換する目的のために容器ユニットから分離される状況において、測定通路コネクターの外側に配置されることによって測定通路コネクターを保護できることを含む。
【0032】
特に、エプロン部分を有する前述の設計は、回転に対する固定を達成するために良く適している。評価ユニット及びチャンバーのチャンバー壁は、それらの形状に関して互いに整合され、評価ユニットが規定された回転位置又は規定された回転位置範囲においてのみ容器上に配置されることができることが好ましい。第一流路に沿って検出された空気流量に基づく全空気流量の十分に正確な計算のため、又は第一流路に沿った空気流量にのみ基づく吸入の評価のため、第一流路がそのコースに関して大きく変化できないことが重要であることが示された。上述の回転に対する固定は、測定通路(特に測定通路入口及び測定通路出口)が吸入器の他の構成要素に対して常に同じ位置にあることを確実にする。従って、特に測定通路入口及び測定通路出口が、マウスピースから離れて面する吸入器の側に与えられることができる。なぜならここではマウスピースでの乱流による測定結果の影響は最小だからである。
【0033】
この回転に対する固定を達成するためには、特に評価ユニットが上述の頭部分、及びそこからチャンバー壁の方向に延びるエプロン部分を有することが好ましい。エプロン部分は、回転に対する固定を与えるためにチャンバー壁の非回転対称外部形状にフォームフィット係合するように適応される内側に面する形状を有することができる。エプロン部分は、押し下げられないときにチャンバー壁と既に重なることが好ましい。
【0034】
エプロン部分によるチャンバー壁の外部の重なりによって達成される回転に対する固定に加えて又はそれに代えて、容器とチャンバー壁の内側面の間の環状間隙が不均一な内側幅を有し、測定通路が内部を延びる測定通路コネクターを受けるように周囲を十分に寸法決定されないようにすることができる。従って、かかる構成では、環状間隙は、規定された角度範囲でのみ十分に大きく、従って測定通路コネクターは、評価ユニットが嵌合されるときにここに挿入されるだけでありうる。
【0035】
もし測定通路及び/又はエプロン部分が、評価ユニットが容器上に配置されるときにマウスピースから反対側に配置されるなら、特に有利である。これは、吸入器のより快適な取扱いに導く。なぜならエプロン部分は、吸入器が使用されている間は使用者の顔の方向に向いていないからである。さらに、この配置は、測定通路中の乱流を避けるための上述の方法で有利であり、前記乱流は、測定のために不利である。
【0036】
さらに、少なくとも容器が押し下げられるとき、測定通路、特に測定通路が内部を通って延びる測定通路コネクターが、チャンバー壁と容器の間の環状間隙に配置される設計が好ましい。これは、吸入された空気の少なくとも実質的に再現可能な割合が測定通路を通って流れることを確実にする。特に好ましくは、測定通路の出口開口は、容器が押し下げられないときに環状間隙に既に配置され、従って容器が押し下げられるときに測定通路又は測定通路コネクターがチャンバー壁と衝突する危険が減少される。
【0037】
もし評価ユニットが直線状でないセンサー通路を有するセンサーハウジングを有する流量センサーユニットを有するなら、特に好ましい。これは、少なくとも一回偏向されるセンサー通路として理解されるべきである。かかる流量センサーユニットは、評価ユニットを組み立てるときに極めて簡単に取扱われることができ、センサー通路の一端又は好ましくは両端がよじれ、特にチャンバー及びそこの環状間隙の方向に下方を向きながら、主ボードに平行に走るセンサー通路の部分で、評価ユニットの頭部分において水平方向の主ボードの下側にそれを配置することを可能にする。
【0038】
流量センサーユニットの端、特にセンサー通路の下流端の向きは、前記測定通路コネクターによって形成された直線的に延びる測定通路部分が組み立て時に直接ふさがれることを可能にする。それゆえ、測定通路コネクターは、極めて簡単でかつ容易に変形可能なプラスチック部分として設計されることができる。特に、測定通路コネクターは、評価ユニットの内部構成要素の一体部分であることができ、それは、外部構成要素とともに電子構成要素の保護された配置のための内部空間を形成する。
【0039】
第一流路に沿って流入し、従って測定通路を横断し、ここで検出される空気は、評価ユニットとチャンバー壁の間の間隙を通って流入することができる。しかしながら、代替的又は追加的に、評価ユニットのハウジングに、環境から測定通路入口に空気を流すことができる少なくとも一つの開口を与えることも可能である。かかる開口は有利である。なぜなら空気は、測定通路からの空気の外側の流れに影響を与えずにそれらを通って流入することができるからである。それゆえ、流量センサーユニットの測定結果は、特に高い程度で再現可能である。
【0040】
空気の内側の流れのための少なくとも一つの開口は、評価ユニットの頭部分の上面に与えられることができる。代替的に又は追加的に、空気の内側の流れのための少なくとも一つの開口は、評価ユニットの側面、特にチャンバー壁の方向に延びるエプロン部分の上に与えられることができる。評価ユニットを通って、特に評価ユニットの外側ハウジング構成要素を通って延びる流入開口が有利でありうる。なぜならそれらは、必要とされる空気流の偏向がより少なくなることを意味し、乱流の危険がより少なくなることと関連するからである。これは、測定精度に関して有利である。
【0041】
第二流路は、本発明によれば、最大で第一流路の流れ抵抗に相当するが、好ましくはずっとそれより低い流れ抵抗を有する。吸入器のハウジング中の他の開口が測定通路を過ぎる内側の流れ又は空気を可能とするが、第二流路は、少なくとも部分的に容器とチャンバー壁の間の環状間隙を通って同様に走ることが好ましい。この第二流路内への入口は、一方ではチャンバー壁の上端によって、他方では評価ユニットの頭部分によって形成される流入間隙によって形成されることが好ましい。
【0042】
この流入間隙は、少なくとも1mmの内側幅を有することが好ましく、これは、容器が押し下げられない状態と容器が押し下げられる状態の両方で適用することが特に好ましい。流入間隙は、全周囲にわたって均一に与えられることができる。しかしながら、もしそれが評価ユニットの上述のエプロン部分によって中断されるなら、有利である。但し、これは、エプロン部分の下に流入して第二流路に沿ってマウスピースに到達できる空気が全くないことを必ずしも意味しない。しかしながら、スカート部分の下の明確な間隙は、より小さいことが好ましい。
【0043】
好ましくはエプロン部分によって少なくとも部分的に制限される流入間隙は、好ましくは少なくとも180°の角度範囲で、より好ましくは200°~340°の角度範囲で容器を包囲する。これは、この角度範囲では、評価ユニットが、嵌合した評価ユニットのない状況と比較して環状間隙中への空気の流入を実質的に制限しないことを意味し、特にこの角度範囲での流れ抵抗は、評価ユニットの存在によって最大10%だけ増加される。
【0044】
吸入器全体に加えて、本発明はまた、吸入可能な媒体を吐出するための吸入器のための評価ユニットに関する。この評価ユニットに関する上述の情報の全ては、吸入器の一部としての評価ユニットにだけでなく、一般的な吸入器に結合するために与えられる本発明による評価ユニット自体にも適用する。同様に、以下に記載される評価ユニットの特徴は、吸入器の一部として上述の評価ユニットにも与えられることが好ましい。
【0045】
本発明による評価ユニットは、慣習的に特にMDIディスペンサーのために、マウスピースとチャンバー壁によって包囲されるチャンバーとを有するハウジングを、その中に挿入される容器ユニットとともに有する吸入器で使用するために与えられる。上で既に述べたように、環状間隙が容器ユニットとチャンバーのチャンバー壁の間に与えられ、その環状間隙を通って吸入時に空気が吸引され、前記空気は、放出開口を通って容器から外に流れる媒体と混合する。
【0046】
評価ユニットは、容器の底部を挿入方向に挿入するための挿入領域を有する固定部分を有する。この固定部分は、容器とのクランプ接続中に入るように設計されることが好ましい。この目的のため、挿入領域は、外部輪郭、特に容器の直径に適応されることが好ましい。代替的に、固定部分はまた、様々な寸法の容器の上に配置されるために調整可能であることができる。この目的のため、評価ユニットは、挿入領域を画定する少なくとも二つの部分からなる固定部分を有することができ、挿入領域のサイズは、二つの部分を動かすことによって適応されることができる。
【0047】
本発明による評価ユニットはまた、測定通路コネクターを有し、測定通路コネクターは、挿入方向に平行に延び、測定通路コネクターを通って測定通路が延び、その測定通路を通って吸入時に流入する空気のある割合が環状間隙中に進むことができ、測定通路コネクターは、上から環状間隙中に突出するように与えられる。
【0048】
測定通路を通って流れる空気を検出するために測定通路に流量センサーが与えられる。上で既に述べたように、様々なタイプの流量センサーがここでは可能である。既述した熱式流量センサーの使用が好ましく、それは、加熱要素を有し、加熱要素の下流及び上流の二つの温度センサーで加熱要素によって起こされる温度増加を検出する。上述のように、測定通路の平均断面積は、0.2mm~4mmの範囲であることが好ましく、測定通路の長さは、10mm~60mmの範囲であることが好ましい。
【0049】
最初に既に記載したように、使用者によって吸入される空気のある割合、好ましくは少ない割合のみが測定通路を通って流れる。この割合のみが流量センサーによって検出される。
【0050】
評価ユニットは、流量センサーから出力信号を受ける制御回路を有することが好ましく、これらの流量信号を評価するために与えられる。評価ユニットは、第一及び第二流路に沿った全空気流量を計算するために第一流路に沿った空気流量を使用するように設計される。最も簡単な場合において、全空気流量は、検出された空気流量に、流れ抵抗に基づいて決定された因子を掛けることによって計算される。
【0051】
評価ユニットはまた、第一流路における空気流量と全空気流量の間の非線形的な関係に基づいて全空気流量を計算するように設計されることが好ましい。測定通路の幾何学形状によっては、簡単な因子を使用する全空気流量の計算では十分でないことがわかった。それゆえ、評価ユニットの制御回路は、そこに記憶された表データ又は非線形的な式関係に基づいて全空気流量を決定できることが好ましい。
【0052】
評価ユニットは、さらなる検出されたデータの文脈において両流路に沿って合計された空気流量又は第一流路に沿って検出された空気流量を置くように設計されることが好ましい。特に、評価ユニットは、容器の押し下げとのそのタイミングに関して空気流量を評価することができる。この目的のため、評価ユニットはまた、評価ユニットに付与される力及び/又は評価ユニット及び容器の押し下げを検出することができる少なくとも一つのセンサーを有することが好ましい。このセンサーは、特に力又は圧力センサーとして作用するボタン又はフィルムであることができ、そのボタン又はフィルムは、評価ユニットの上面と容器底部の間に配置され、評価ユニット及び容器が押し下げられるとき、ここに作用する力が検出されることができ、放出に関して結果が導かれることができる、代替的に、センサーはまた、ボタンが壁の反対面の上に押され、それによって放出を検出可能にすることによって、チャンバーの壁に対する評価ユニットの相対的変位を検出するボタンなどの形で与えられることができる。
【0053】
評価ユニットは、十分な空気流量が放出のときに使用者によって吸入されたかどうか、そして医薬(特に霧化液体)がその意図したターゲット、特に肺に到達することを確実にするために放出後に吸入が十分に長く続いたかどうかを評価することができる。
【0054】
評価ユニットによって検出されたセンサーデータ、及びセンサーデータに基づいてなされた評価からの結果データは、医者のような第三者がそれらにアクセスできるように後での分析のために記憶されるために又は中央サーバーに移されるためにのみ使用されることができる。しかしながら、評価ユニットは、特にディスプレイ、ステイタスLED、又はラウドスピーカによって検出された又は決定されたデータに関する視覚、触覚、聴覚フィードバックを使用者に与えるように設計されることが好ましい。設計によっては、このフィードバックは、使用者がフィードバックに従って直接使用を適応できるように吸入手順中に既に行なわれることができる。しかしながら、フィードバックはまた、使用者が完了した吸入の検出データから導かれる結果を知らせられるように吸入手順後に行なわれることができる。
【0055】
評価ユニットは、ワンピース内部構成要素を有することが好ましく、ワンピース内部構成要素は、容器に固定するための挿入領域を直接画定し、少なくとも部分的に測定通路を画定する(特にそれを通って延びる測定通路を有する)。前記内部構成要素によって形成される測定通路部分は、純粋に直線的な態様で延びることが好ましく、従って内部構成要素は、容易に変形可能なプラスチック構成要素として設計されることができる。特に、内部構成要素は、既に述べた測定通路連続部をワンピースで形成することが好ましく、それは、容器を包囲する環状間隙中に延びる。
【0056】
評価ユニットの外側ハウジングは、前記内部構成要素及び対応する外部構成要素によって形成されることが好ましく、それらは一緒に、電子構成要素及び/又はセンサーが配置されることができる内部領域を画定する。特に、測定通路はまた、この内部領域を通って延びることができる。内部構成要素及び外部構成要素は、例えばラッチングによって互いに接続されることができる。
【0057】
特に、評価ユニットは、電池(特にボタン電池)のための受器を持つことができることが好ましく、そこでは引き出し電池キャリアが電池を収容するために与えられることが好ましい。特に、電池キャリアは、固定部分を形成することができ、それによって評価ユニットの内部構成要素及び外部構成要素は、互いの上に固定されることができる。
【0058】
本発明にとって不可欠である流量センサー、及び上から容器に対して評価ユニットに及ばされる作動力を検出するための上述のセンサーに加えて、本発明による評価ユニットはまた、さらなるセンサーを持つことができる。これらは、特に加速度センサーによって通常実施される振とうセンサーを含み、それは、使用者がディスペンサーを使用する前に十分に容器を振とうしたかどうかを検出することができる。設計によっては、このセンサーはまた、他の加速度、特に使用者によるディスペンサーの把握と関連したものを検出することができる。
【0059】
流量センサー以外の評価ユニットのセンサーはまた、特に比較的多量のエネルギーを要求する流量センサーがこれらの他のセンサーからの出力データに従ってのみ活性されるようにするために使用されることができる。
【0060】
評価ユニットの電子構成要素はまた、外部通信サイトと通信するための通信装置、特に好ましくは無線通信装置を含むことが好ましい。通常の規格の通信装置は、ここでは特にWi-Fi規格(IEEE 802.11ax,802.11ac,802.11n,802.11g,802.11b,802.11)に従って、ブルートゥース(登録商標)規格(ブルートゥース(登録商標) 1.0,1.0B,1.1,1.2,2.0,2.0+EDR,2.1,2.1+EDR,3.0,3.0+HS,3.0+DER,4.0,4.1,4.2,5.0,5.1)に従って、又は車載無線機規格(GSM,EDGE,3G,4G,5G,6G)に従って可能である。節電ブルートゥース(登録商標)通信装置が特に好ましく、それによって評価ユニットは、携帯電話又は別の携帯端末に結合されることができ、それは、次にインターネットを介する通信されたデータの評価及び/又はデータの送信を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明のさらなる利点及び態様は、図面を参照して以下に証明される本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の記述及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【0062】
図1図1は、一般的な吸入器、及びそれにまだ結合されていない本発明による評価ユニットからなる、本発明による吸入器を示す。
【0063】
図2図2は、結合された評価ユニットを有する本発明による吸入器を示す。
【0064】
図3図3は、吸入器を断面図で示す。
【0065】
図4図4は、評価ユニットの個々の構成要素が見える分解図を示す。
【0066】
図5図5は、評価ユニットの流量センサーユニットの断面図を示す。
【0067】
図6-7】図6及び図7は、それぞれ容器のまだ押し下げられていない状態及び押し下げられた状態の使用時の吸入器、及び評価ユニットを示す。
【0068】
図8-9】図8及び図9は、吸入器の使用時の空気の流路を異なる断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、本発明による吸入器10を示し、それは、本質的に一般的な吸入器と本発明に従って設計された評価ユニット60とから構成される。図2は、評価ユニット60の追加後の吸入器10を示す。図3は、その断面図を示す。
【0070】
本質的に一般的なタイプの吸入器は、ハウジング20を含み、それは、MDIディスペンサーのために慣習的な態様で略L形状を有する。ハウジング20は、特に鉛直方向の主要部を有し、それは、容器ユニット50のためのチャンバー12、及びマウスピース22を形成し、マウスピース22は、主要部に対して角度を付けられ、保護キャップを取り付けられた状態で図1に示されている。
【0071】
チャンバー12は、チャンバー壁24によって画定され、上部を開放するように設計され、容器ユニット50がここに挿入されることができる。図3を参照すると、容器ユニット50は、液体を受けるために与えられた容器52、及び出口コネクター56を有することがわかる。出口コネクター56は、出口弁54の弁ばねの力に対抗して容器52の方向に変位されることができ、それによって出口弁54を開放する。図3で見られるように、容器ユニット50は、ひっくり返された位置でチャンバー12に収容される。出口コネクター56は、ハウジング20の受容構造中に突出し、それは、放出通路30、及び放出通路30の端の放出開口32を有する。もし容器52が押し下げられるなら、液体は、出口コネクター56及び放出通路30及び放出開口32を通ってマウスピース22の方向に放出され、同時に使用者によって吸入される空気と混合する。この空気は、容器52とチャンバー壁24の間の環状間隙14を通って吸入器10中に吸引される。
【0072】
評価ユニット60(図1ではまだ取り付けられていない)は、頭部分60A、及びそこから側方に突出するエプロン部分60Bを有し、頭部分60Aは、図2及び3の取り付けられた状態では、容器52の上に優勢的に位置される。続く図からわかるように、エプロン部分60Bは、チャンバー壁24に対応するように設計され、従って図2及び3の取り付けられた状態では、それは、評価ユニット60が全体として容器52の主軸のまわりで回転できることを妨げる。評価ユニット60が取り付けられたときであっても、評価ユニット60とチャンバー壁24の上縁の間に幅広い流入間隙8が残る。この距離は、使用者がわずかな流れ抵抗のみに対抗して環状間隙14を通って空気を吸入することを確実にするので重要である。
【0073】
図3からわかるように、また続く説明で詳細に説明されるように、評価ユニット60は、測定通路コネクター76を有し、測定通路コネクター76は、それを通って走る測定通路70を有し、測定通路コネクター76は、チャンバー壁24と容器52の間の環状間隙14中に突出する。さらに、評価ユニット60は、容器52の寸法に適応される挿入領域78を有し、従ってそれは、容器52とのクランプ接続に入り、大きな力の付与なしで解放されることができる。
【0074】
図3はまた、評価ユニット60が主に内部構成要素62及び外部構成要素64によって外側から閉じられることを示し、それらは一緒に、主ボード80、及びそれに取り付けられた流量センサーユニット90を有する内部領域を画定する。
【0075】
評価ユニット60の個々の構成要素は、特に図4から見ることができる。
【0076】
図4では、内部構成要素62及び外部構成要素64に加えて、評価ユニット60が特に主ボード80を含み、主ボード80が図示されてはいないが外部構成要素64に接続され、その下側に電池67のための受容穴、及び電池67の電池トレー66を有する。電池キャリア66がここに挿入されるとき、内部構成要素62及び外部構成要素64は、互いの上に固定される。主ボード80と外部構成要素64の間に、作動面61がまた与えられ、それは、力検出のためのフィルム84と相互作用する。これは、特にそれが一緒に押されるときに電気抵抗の変化を受けるフィルムであることができる。処理装置82、加速度センサー86及び小型ラウドスピーカ88、及びブルートゥース(登録商標)通信装置89もまた、ボードに取り付けられる。
【0077】
しかしながら、本発明の文脈において、ボード80の上の最も本質的な構成要素は、流量センサーユニット90であり、それは、ボード80の下側に装着され、図5の断面では180°傾斜した位置で示されている。この流量センサーユニット90は、センサー通路92を有し、それは、各場合において90°で二度角度を付けられ、既に述べた測定通路70の部分である。このセンサー通路92には、流量センサー94が与えられ、それは、複数の要素(即ち、二つの温度センサー96,98)から構成され、それらの間に加熱要素97が配置される。もしセンサー通路92を通って空気が流れないなら、そのとき加熱要素97による加熱は、両温度センサーでの空気の同一加熱を対称的に生じる。空気が点線に沿って流量センサーユニット90を通って流れるとき、加熱が非対称的に起こる。空気流量が大きいほど、温度センサー96での温度が低くなり、温度センサー98での温度が高くなる。
【0078】
図6~9は、吸入器の使用、及び行なわれている評価を示す。図6の状態から進むと、使用者は、自分の顔の正面で図で明確に示された方向に吸入器10を保持し、自分の唇でマウスピース22を包囲する。彼は、次いで空気を吸入し、図7で示された方法で指で作動面61を押し、それによって評価ユニット60は全体として、容器52とともに、矢印4の方向に押し下げられ、従って放出開口32を通る霧化液体の放出が行なわれる。
【0079】
一方、吸引された空気は、大部分が間隙8を通って容器52とチャンバー壁24の間の環状間隙14中に流れる。より少ない割合の空気は、外部構成要素64中の開口65を通って環状間隙14中にさらに流れる。
【0080】
図8を参照すると、空気の大部分が点線で示された流路110に沿って流入することがわかるだろう。流入間隙8及び環状間隙14はともに流れ抵抗をほとんど生じないので、この流路110に流れる空気は、大部分が妨げられずにマウスピース22に流れる。しかしながら、同時に、空気はまた、流路100に沿ってマウスピース22に流れる。この流路100は、開口65、及び内部構成要素62の開口を通って測定通路70中に走る。この測定通路70の最も本質的な部分は、図5に示された流量センサーユニット90におけるセンサー通路92である。そこで、空気流量は、流量センサー94を使用して測定される。空気は、既に述べた測定通路コネクター76を通って走る測定通路70の部分の中に進むように流れ、かくして、それは、環状間隙14に到達する。
【0081】
両流路110,100の全空気流量の比較的少ない割合(本ケースでは全空気流量の約1%~2%)が、ここでは流路100に沿って測定通路70を通って流れる空気によって形成されるが、流路110,100に沿った空気流量間の規定された関係のため、全空気流量に関する結論を導くことが可能である。
【0082】
従って、力センサー84によって検出された吸入手順の完了後、例えば評価ユニット60の処理装置82が、吸入が希望の方法で行なわれたかどうか、特に使用者が十分に深く吸入したかどうか、そして吸入及び放出の開始が互いに関して正しく時間を合わされたかどうかを計算することが可能である。もしこれが当てはまるなら、ラウドスピーカー88は、好適な音を放出するために使用されることができる。もし放出手順が希望のパラメーター内で行なわれないなら、別の種類の音によってこれを使用者に明確にすることができる。
【0083】
詳細に示されていない方法では、使用者へのすぐの通知に加えて、データが関連する他の人々、例えば処方医によって後の時点で評価されることができるようにデータを例えば携帯電話に記憶又は伝達することもできる。通信装置89は、この目的のために使用されることができる。特に、これは、スマートフォンへの接続を確立し、それからデータを送ることができる。検出されたデータはまた、吸入器自体によって又はスマートフォンによって測位データを補足されることができる。
【0084】
異なる流路100,110は、使用者にとって吸入をあまり難しくしないということを可能にしつつ、吸入された空気流量の正確な測定が同時に可能であるという効果を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-7】
図8-9】
【国際調査報告】