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特表2022-537807治療送達用のプラットフォーム、組成物、および方法
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  • 特表-治療送達用のプラットフォーム、組成物、および方法 図1
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  • 特表-治療送達用のプラットフォーム、組成物、および方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(54)【発明の名称】治療送達用のプラットフォーム、組成物、および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20220823BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220823BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220823BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220823BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220823BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220823BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220823BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220823BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
C12N5/071 ZNA
C12N5/10
C12N15/62 Z
C12N15/12
C07K19/00
C07K14/705
A61P37/02
A61K48/00
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P3/10
A61P25/00
A61P1/04
A61P19/02
A61P27/02
A61P11/00
A61K35/28
A61K35/12
A61K47/64
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574169
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2020038816
(87)【国際公開番号】W WO2020257710
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/864,566
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/875,001
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521544045
【氏名又は名称】エンテレクソ バイオセラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】リアジファー,ミラード
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,チャールズ キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】シューア,トッド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA25
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC09
4C076CC10
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF68
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB051
4C084ZB052
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZC021
4C084ZC022
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087MA02
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB05
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB15
4C087ZC02
4C087ZC35
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
【解決手段】本明細書には、細胞外小胞を生成するためのプラットフォームが記載される。また、細胞外小胞の組成物も記載される。さらに、細胞外小胞を治療用送達に使用する方法も本明細書に記載される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外小胞を含む組成物であって、該細胞外小胞が、
a.VISTA、PD-L1、CTLA-4、またはそれらの任意の組合せを含む免疫チェックポイント部分と、
b.CD63を含む膜貫通部分であって、該CD63は3つの膜貫通ドメインを含む、膜貫通部分と
を含み、
前記免疫チェックポイント部分は、前記膜貫通部分に結合される、組成物。
【請求項2】
前記免疫チェックポイント部分が、修飾されたCD63を生成するために前記CD63の細胞外ループに結合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記細胞外ループが、前記修飾されたCD63の大型細胞外ループまたは第2の細胞外ループである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記修飾されたCD63が、配列番号6~17に明記されるアミノ酸配列のうちいずれか1つに少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記修飾されたCD63が、配列番号6~17に明記されるアミノ酸配列のうちいずれか1つに少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記修飾されたCD63が、配列番号6~17に明記されるアミノ酸配列のうちいずれか1つを含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
細胞外小胞を含む組成物であって、該細胞外小胞が、
a.PD-L1を含む免疫チェックポイント部分と、
b.ラクトアドヘリンを含む膜貫通部分と
を含み、
前記免疫チェックポイント部分は、前記膜貫通部分に結合される、組成物。
【請求項8】
細胞外小胞を含む組成物であって、該細胞外小胞が、
a.T細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)、PD-L1、CTLA-4、またはそれらの任意の組合せを含む免疫チェックポイント部分と、
b.グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を含む膜貫通部分と
を含み、
前記免疫チェックポイント部分は、前記膜貫通部分に結合される、組成物。
【請求項9】
細胞外小胞を含む組成物であって、該細胞外小胞が、
a.免疫チェックポイント部分、および
b.膜貫通部分
のうち、少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項10】
前記免疫チェックポイント部分が、細胞外小胞に封入される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記免疫チェックポイント部分が、細胞外小胞の表面に発現される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記免疫チェックポイント部分が、細胞外小胞により分泌される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記免疫チェックポイント部分が、前記膜貫通部分と複合体を形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記免疫チェックポイント部分が、前記膜貫通部分と共有結合される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記免疫チェックポイント部分が、VISTA、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、B7-H3(CD276)、B7-H2、B7-H4(VTCN1)、HVEM(CD270、TNFRSF14)、ガレクチン9、ガレクチン3、CEACAM1(CD66a)、OX-2(CD200)、PVR(CD155)、PVRL2(ネクチン-2、CD112)、FGL-1、PECAM-1、TSG-6、CD47、スタビリン-1(Clever-1)、ニューロピリン1、ニューロピリン2、CD158(ファミリー)、IGSF2(CD101)、CD155、GITRL、CD137L、OX40L、LIGHT、CD70、PD-1、RGMB、CTLA-4(CD152)、BTLA、CD160、Tim-3、CD200R、TIGIT、CD112R(PVRIG)、LAG-3(CD223)、PECAM-1、CD44、SIRPα(CD172a)、またはこれらの組合せを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記免疫チェックポイント部分が、VISTA、PD-L1、CTLA-4、またはこれらの組合せを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記免疫チェックポイント部分がPD-L1を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記膜貫通部分が、14-3-3タンパク質ゼータ/デルタ、4-3-3タンパク質イプシロン、78kDaグルコース調節タンパク質、アセチルコリンエステラーゼ/AChE-S、AChE-E、アクチン、細胞質1(ACTA)、ADAM10、アルカリンホスファターゼ、α-エノラーゼ、α-シヌクレイン、アミノペプチダーゼN、アミロイドβ A4/APP、アネキシン5A、アネキシンA2、AP-1、ATF3、ATPシトレートリアーゼ、ATPアーゼ、βアクチン(ACTB)、β-アミロイド42、カベオリン1、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD14、CD142、CD146、CD163、CD24、CD26/DPP4、CD29/ITGB1、CD3、CD37、CD41、CD42a、CD44、CD45、CD47、CD49、CD49d、CD53、CD63、CD64、CD69、CD73 CD81、CD82、CD9、CD90、クローディン、クローディン1、コフィリン-1、補体結合タンパク質CD55およびCD59、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90α、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90β、EBV LMP1、EBV LMP2A、EF-1α-1、EF2、EFGR EGFR VIII、エムプリン/CD147、エノラーゼ1α(ENO1)、EPCAM、ERBB2、テトラスパニン(CD9、CD63、およびCD81)、脂肪酸シンターゼ、フェツインA、フロチリン-1、フロチリン-2、フルクトース二リン酸アルドラーゼA、グリセリンアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、グリコホリンA、GPC1、GPIアンカー5’ヌクレオチダーゼ、GTPアーゼ、熱ショックタンパク質8(HSPA8)、熱ショックタンパク質(HSP70およびHSP90)、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ヘパリナーゼ、ヘテロ三量体Gタンパク質、HIV Gag、HIV Nef、HLA-DRA、HLA-G、HSV gB、HTLV-1 Tax、ハンチンチン、ICAM1、インテグリン、ラクトアドヘリン、LAMP1/2、ロイシンリッチ受容体キナーゼ2、L-乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、リソソーム関連膜糖タンパク質1、リソソーム関連膜糖タンパク質2、MHCクラスI、MHCクラスII、MUC1、多剤耐性関連タンパク質、筋肉ピルビン酸キナーゼ(PKM2)、N-カドヘリン、NKCC2、PDCD6IP/Alix、PECAM1、ホスホグリセレートキナーゼ、胎盤プリオンタンパク質、前立腺特異抗原(PSA)、ピルビン酸キナーゼ(PKM)、Rab-14、Rab-5a、Rab-5b、Rab-5c、Rab-7、Rap 1B、レジスチン、ソニックヘッジホッグ(SHH))、サバイビング、シンデカン-1、シンデカン-4、シンテニン-1、トランスフェリン受容体(TFR2)、TSG101、TSPAN8、腫瘍関連糖タンパク質テトラスパニン-8、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、TYRP-2、液胞選別タンパク質35、またはゼータポリペプチド(YWHAZ)からなる群から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記膜貫通部分がラクトアドヘリンを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記膜貫通部分が、LAMP2、あるいはその変形またはフラグメントを含み、該LAMP2は、配列番号4のペプチド配列と少なくとも70%同一である、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記膜貫通部分が、CD63、あるいはその変形またはフラグメントを含み、該CD63は、配列番号5のペプチド配列と少なくとも70%同一である、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記CD63が、修飾されたCD63である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記修飾されたCD63が、トランケートされたCD63である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記修飾されたCD63が、少なくとも1つの追加のCD63膜貫通ドメインを含むように修飾される、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記修飾されたCD63が、1つの膜貫通ドメインを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記修飾されたCD63が、2つの膜貫通ドメインを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記修飾されたCD63が、3つの膜貫通ドメインを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項28】
前記修飾されたCD63が、4つの膜貫通ドメインを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項29】
前記修飾されたCD63が、5つの膜貫通ドメインを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項30】
前記免疫チェックポイント部分が、前記修飾されたCD63の細胞外ループにおいて、前記修飾されたCD63と複合体を形成する、請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記免疫チェックポイント部分が、前記修飾されたCD63の大型細胞外ループにおいて、前記修飾されたCD63と複合体を形成する、請求項1から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
標的化部分をさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記標的化部分が、サイトカインを標的とするペプチドを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記標的化部分が、癌細胞マーカーを標的とするペプチドを含む、請求項32または33に記載の組成物。
【請求項35】
融合性部分をさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記融合性部分が、ウイルス融合性部分である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記融合性部分が、哺乳動物融合性部分を含む、請求項35または36に記載の組成物。
【請求項38】
免疫回避部分をさらに含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記免疫回避部分がCD47を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
除核細胞を含まない、請求項1から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記細胞外小胞が、エキソソーム、微小小胞体、レトロウイルス様粒子、アポトーシス小体、アポプトソーム、オンコソーム、エキソファー、外膜ウイルス、エキソマー、またはその他非常に大きな細胞外小胞を含む、請求項1から40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記細胞外小胞がエキソソームを含む、請求項1から41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記細胞外小胞が複数の免疫チェックポイント部分を含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の組成物チェックポイント部分。
【請求項44】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも10,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも9,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも8,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも7,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも6,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項49】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも5,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項50】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも3,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項51】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも2,500ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項52】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも2,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項53】
前記細胞外小胞が、細胞外小胞1つにつき少なくとも1,500ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項54】
複数のエキソソームを含む、請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
治療上有効量のエキソソームを含む、請求項1から54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
少なくとも10^6のエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項57】
少なくとも10^7のエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項58】
少なくとも10^8のエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項59】
少なくとも1μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項60】
少なくとも10μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項61】
少なくとも20μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項62】
少なくとも50μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項63】
少なくとも100μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項64】
少なくとも150μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項65】
少なくとも200μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項66】
少なくとも250μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項67】
少なくとも500μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項68】
少なくとも750μgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項69】
少なくとも1mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項70】
少なくとも2mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項71】
少なくとも3mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項72】
少なくとも4mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項73】
少なくとも5mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項74】
少なくとも6mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項75】
少なくとも7mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項76】
少なくとも100mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項77】
少なくとも200mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項78】
少なくとも300mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項79】
少なくとも400mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項80】
少なくとも500mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項81】
少なくとも600mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項82】
少なくとも700mgのエキソソームを含む、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項83】
細胞由来である、請求項1から82のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
冷凍保存される、請求項1から83のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項85】
凍結乾燥される、請求項1から84のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
37℃で24時間安定する、請求項1から85のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
37℃で48時間安定する、請求項1から86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
37℃で72時間安定する、請求項1から87のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項89】
請求項1から88のいずれか一項に記載の細胞外小胞を生成するように構成される細胞。
【請求項90】
幹細胞である、請求項89に記載の細胞。
【請求項91】
ヒト細胞である、請求項89に記載の細胞。
【請求項92】
非ヒト細胞である、請求項89に記載の細胞。
【請求項93】
間葉系幹細胞である、請求項89から92のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項94】
遺伝的に修飾された細胞である、請求項89から93のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項95】
1つ以上の免疫チェックポイント部分を発現するように構成された細胞外小胞を精製する方法であって、
a.細胞外小胞の異種集団を得る工程と、
b.前記免疫チェックポイント部分との複合体を形成するために、前記細胞外小胞の異種集団を、検出部分を含む検出アッセイ溶液にさらす工程と、
c.前記免疫チェックポイント部分と前記検出部分との間に形成される複合体から生じるシグナルを検出する工程であって、前記シグナルの強度は、発現した免疫チェックポイント部分のユニットに比例する、工程と、
d.前記シグナルの強度に基づき前記細胞外小胞の亜集団を単離する工程と
を含む方法。
【請求項96】
前記検出部分が抗体を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記検出部分が、抗VISTA抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4、またはこれらの組合せを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記検出部分が、前記免疫チェックポイント部分のリガンドを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記検出アッセイ溶液が、前記免疫チェックポイント部分に結合するように構成されたペプチドをさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
前記免疫チェックポイント部分に結合するように構成されたペプチドが、PD-1、CD80、CD86、またはこれらの組合せを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
請求項1から88のいずれか一項に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項102】
薬学的に許容可能な担体を含む、請求項101に記載の医薬組成物。
【請求項103】
少なくとも1つの追加の活性薬剤を含む、請求項101の医薬組成物。
【請求項104】
鞘内投与、眼内投与、硝子体内投与、網膜投与、静脈内投与、筋肉内投与、脳室内投与、大脳内投与、小脳内投与、側脳室内投与、実質内投与、皮下投与、またはこれらの組合せのために製剤化される、請求項101に記載の医薬組成物。
【請求項105】
自己免疫疾患を処置する方法であって、請求項101から104のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項106】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、1型糖尿病、多発性硬化症、炎症性腸疾患、セリアック病、クローン病、グレーブス病、若年性関節炎、慢性ライム病、視神経炎、乾癬性関節炎、強膜炎、強皮症、潰瘍性大腸炎(UC)、ブドウ膜炎、炎症性眼疾病、白斑、COPD、臓器移植由来の合併症、または移植片対宿主病である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記自己免疫疾患が関節リウマチである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
必要とする患者のCD8+CD25+細胞を抑制する方法であって、請求項1から88のいずれか一項に記載の組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項109】
請求項101から104のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項110】
請求項1から88のいずれか一項に記載の組成物を生成するための構成要素を含むプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年6月21日出願の米国仮特許出願第62/864,566号、および2019年7月17日出願の米国仮特許出願第62/875,001号に基づく利益を主張するものであり、これら全体は本明細書中で参照により引用される。
【0002】
参照による引用
本明細書で言及される刊行物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により引用されるように具体的かつ個々に指示されるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に引用される。本出願は、「Riazifar M, Mohammadi MR,Pone EJ,et al.Stem Cell-Derived Exosomes as Nanotherapeutics for Autoimmune and Neurodegenerative Disorders.ACS Nano.2019;13(6):6670-6688.doi:10.1021/acsnano.9b01004」を引用しており、その全体は本明細書中で参照により引用される。
【背景技術】
【0003】
治療薬を標的細胞に送達するのに有効な手段は、近代医療の基礎の1つである。細胞外小胞は、治療薬を標的細胞に送達するためのキャリアとして調査され、利用されている。
【発明の概要】
【0004】
現行の細胞外小胞を介して治療薬を送達する方法には、欠点がある。細胞外小胞は、サイズ、数、膜特性、または安定性の観点で不均一の場合がある。細胞外小胞により送達可能な治療薬の量は、不均一または予測不能な場合があり、処置が無効になるという結果が生じてしまう。いくつかの例では、細胞外小胞の収率は不適当な場合がある。加えて、細胞外小胞をin vivo標的細胞に向けることは依然として困難であり、循環中の細胞外小胞の大部分が、肝臓、脾臓、および腎臓に蓄積するからである。このため、十分な量の治療薬を標的細胞に送達するための細胞外小胞を含む組成物および医薬組成物が、必要とされ続けている。また、十分な量の治療薬を標的細胞に送達するための細胞外小胞を産生するプラットフォームおよび方法も必要とされ続けている。さらに、治療薬を送達するために細胞外小胞を使用する方法、および疾患または疾病を処置するために細胞外小胞を使用する方法も必要とされ続けている。
【0005】
本開示の態様は、細胞外小胞を含む組成物を含んでおり、該細胞外小胞は、VISTA、PD-L1、CTLA-4、またはこれらの任意の組合せを含む免疫チェックポイント部分と、CD63を含む膜貫通部分であって、該CD63は3つの膜貫通ドメインを含む、膜貫通部分とを含み、前記免疫チェックポイント部分は、前記膜貫通部分に結合される。いくつかの実施形態では、前記免疫チェックポイント部分は、修飾されたCD63を生成するために前記CD63の細胞外ループに結合される。いくつかの実施形態では、前記細胞外ループは、前記修飾されたCD63の大型細胞外ループまたは第2の細胞外ループである。いくつかの実施形態では、前記修飾されたCD63は、配列番号6~17に明記されるアミノ酸配列のうちいずれか1つに少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、前記修飾されたCD63は、配列番号6~17に明記されるアミノ酸配列のうちいずれか1つに少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、前記修飾されたCD63は、配列番号6~17に明記されるアミノ酸配列のうちいずれか1つを含む。細胞外小胞を含む組成物であって、前記細胞外小胞は、PD-L1を含む免疫チェックポイント部分と、ラクトアドヘリンを含む膜貫通部分とを含み、前記免疫チェックポイント部分は、前記膜貫通部分に結合される。細胞外小胞を含む組成物であって、前記細胞外小胞は、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)、PD-L1、CTLA-4、またはこれらの任意の組合せを含む免疫チェックポイント部分と、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を含む膜貫通部分とを含み、前記免疫チェックポイント部分は、前記膜貫通部分に結合される。細胞外小胞を含む組成物であって、前記細胞外小胞は、免疫チェックポイント部分、および膜貫通部分のうち、少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞に封入される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞の表面に発現される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞により分泌される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、膜貫通部分と複合体を形成する。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、膜貫通部分と共有結合される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、VISTA、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、B7-(CD80)、B7-2(CD86)、B7-H3(CD276)、B7-H2、B7-H4(VTCN1)、HVEM(CD270、TNFRSF14)、ガレクチン9、ガレクチン3、CEACAM1(CD66a)、OX-2(CD200)、PVR(CD155)、PVRL2(ネクチン-2、CD112)、FGL-1、PECAM-1、TSG-6、CD47、スタビリン-1(Clever-1)、ニューロピリン1、ニューロピリン2、CD158(ファミリー)、IGSF2(CD101)、CD155、GITRL、CD137L、OX40L、LIGHT、CD70、PD-1、RGMB、CTLA-4(CD152)、BTLA、CD160、Tim-3、CD200R、TIGIT、CD112R(PVRIG)、LAG-3(CD223)、PECAM-1、CD44、SIRPα(CD172a)、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、VISTA、PD-L1、CTLA-4、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、PD-L1を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、14-3-3タンパク質ゼータ/デルタ、4-3-3タンパク質イプシロン、78kDaグルコース調節タンパク質、アセチルコリンエステラーゼ/AChE-S、AChE-E、アクチン、細胞質1(ACTA)、ADAM10、アルカリンホスファターゼ、α-エノラーゼ、α-シヌクレイン、アミノペプチダーゼN、アミロイドβ A4/APP、アネキシン5A、アネキシンA2、AP-1、ATF3、ATPシトレートリアーゼ、ATPアーゼ、βアクチン(ACTB)、β-アミロイド42、カベオリン1、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD14、CD142、CD146、CD163、CD24、CD26/DPP4、CD29/ITGB1、CD3、CD37、CD41、CD42a、CD44、CD45、CD47、CD49、CD49d、CD53、CD63、CD64、CD69、CD73 CD81、CD82、CD9、CD90、クローディン、クローディン1、コフィリン-1、補体結合タンパク質CD55およびCD59、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90α、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90β、EBV LMP1、EBV LMP2A、EF-1α-1、EF2、EFGR EGFR VIII、エムプリン(emmprin)/CD147、エノラーゼ1α(ENO1)、EPCAM、ERBB2、テトラスパニン(CD9、CD63、およびCD81)、脂肪酸シンターゼ、フェツインA、フロチリン-1、フロチリン-2、フルクトース二リン酸アルドラーゼA、グリセリンアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、グリコホリンA、GPC1、GPIアンカー5’ヌクレオチダーゼ、GTPアーゼ、熱ショックタンパク質8(HSPA8)、熱ショックタンパク質(HSP70およびHSP90)、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ヘパリナーゼ、ヘテロ三量体Gタンパク質、HIV Gag、HIV Nef、HLA-DRA、HLA-G、HSV gB、HTLV-1 Tax、ハンチンチン、ICAM1、インテグリン、ラクトアドヘリン、LAMP1/2、ロイシンリッチ受容体キナーゼ2、L-乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、リソソーム関連膜糖タンパク質1、リソソーム関連膜糖タンパク質2、MHCクラスI、MHCクラスII、MUC1、多剤耐性関連タンパク質、筋肉ピルビン酸キナーゼ(PKM2)、N-カドヘリン、NKCC2、PDCD6IP/Alix、PECAM1、ホスホグリセレートキナーゼ、胎盤プリオンタンパク質、前立腺特異抗原(PSA)、ピルビン酸キナーゼ(PKM)、Rab-14、Rab-5a、Rab-5b、Rab-5c、Rab-7、Rap 1B、レジスチン、ソニックヘッジホッグ(SHH))、サバイビング(surviving)、シンデカン-1、シンデカン-4、シンテニン-1、トランスフェリン受容体(TFR2)、TSG101、TSPAN8、腫瘍関連糖タンパク質テトラスパニン-8、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、TYRP-2、液胞選別タンパク質35、またはゼータポリペプチド(YWHAZ)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、ラクトアドヘリンを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、LAMP2、あるいはその変形またはフラグメントを含み、該LAMP2は、配列番号4のペプチド配列と少なくとも70%同一である。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、CD63、あるいはその変形またはフラグメントを含み、該CD63は、配列番号5のペプチド配列と少なくとも70%同一である。いくつかの実施形態では、CD63は、修飾されたCD63である。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、トランケートされたCD63である。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、少なくとも1つの追加のCD63膜貫通ドメインを含むように修飾される。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、1つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、2つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、3つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、4つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、5つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、修飾されたCD63の細胞外ループにおいて、修飾されたCD63と複合体を形成する。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、修飾されたCD63の大型細胞外ループにおいて、修飾されたCD63と複合体を形成する。いくつかの実施形態では、前記組成物は、標的化部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、サイトカインを標的とするペプチドを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、癌細胞マーカーを標的とするペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、融合性部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、融合性部分は、ウイルス融合性部分を含む。いくつかの実施形態では、融合性部分は、哺乳動物融合性部分を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、免疫回避部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、免疫回避部分は、CD47を含む。前記組成物は、除核細胞を含まない。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、エキソソーム、微小小胞体、レトロウイルス様粒子、アポトーシス小体、アポプトソーム、オンコソーム、エキソファー(exopher)、外膜ウイルス、エキソマー(exomere)、またはその他非常に大きな細胞外小胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、エキソソームを含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、複数の免疫チェックポイント部分を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも10,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも9,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも8,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも7,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも6,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも5,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、100nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも3,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも2,500ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも2,000ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞外小胞1つにつき少なくとも1,500ユニットの免疫チェックポイント部分を含み、50nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、複数のエキソソームを含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、治療上有効量のエキソソームを含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも10^6のエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも10^7のエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも10^8のエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも10μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも20μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも50μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも
100μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも150μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも200μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも250μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも500μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも750μgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも2mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも3mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも4mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも5mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも6mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも7mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも100mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも200mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも300mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも400mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも500mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも600mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも700mgのエキソソームをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、細胞由来である。いくつかの実施形態では、前記組成物は、冷凍保存される。いくつかの実施形態では、前記組成物は、凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、前記組成物は、37℃で24時間安定している。いくつかの実施形態では、前記組成物は、37℃で48時間安定している。いくつかの実施形態では、前記組成物は、37℃で72時間安定している。
【0006】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれか1つの細胞外小胞またはエキソソームを生成するように構成された細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞は幹細胞である。いくつかの実施形態では、前記細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記細胞は非ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記細胞は間葉系幹細胞である。いくつかの実施形態では、前記細胞は、遺伝的に修飾された細胞である。いくつかの実施形態では、前記細胞は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに記載される細胞外小胞またはエキソソームを産生するために遺伝的に修飾される。
【0007】
本開示の他の態様は、1つ以上の免疫チェックポイント部分を発現するように構成された細胞外小胞を精製する方法を含み、該方法は、細胞外小胞の異種集団を得る工程と、前記免疫チェックポイント部分との複合体を形成するために、前記細胞外小胞の異種集団を、検出部分を含む検出アッセイ溶液にさらす工程と、前記免疫チェックポイント部分と前記検出部分との間に形成される複合体から生じるシグナルを検出する工程であって、前記シグナルの強度は、発現した免疫チェックポイント部分のユニットに比例する、工程と、前記シグナルの強度に基づき前記細胞外小胞の亜集団を単離する工程とを含む。いくつかの実施形態では、検出部分は抗体を含む。いくつかの実施形態では、検出部分は、抗VISTA抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、検出部分は、免疫チェックポイント部分のリガンドを含む。いくつかの実施形態では、検出アッセイ溶液は、前記免疫チェックポイント部分に結合するよう構成されたペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記免疫チェックポイント部分に結合するように構成されたペプチドは、PD-1、CD80、CD86、またはこれらの組合せを含む。
【0008】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの組成物を含む医薬組成物を含んでいる。いくつかの実施形態では、この医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、少なくとも1つの追加の活性薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、鞘内投与、眼内投与、硝子体内投与、網膜投与、静脈内投与、筋肉内投与、脳室内投与、大脳内投与、小脳内投与、側脳室内投与、実質内投与、皮下投与、またはこれらの組合せのために製剤化される。
【0009】
本開示の他の態様は、自己免疫疾患を処置する方法を含み、該方法は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれか1つの医薬組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、1型糖尿病、多発性硬化症、炎症性腸疾患、セリアック病、クローン病、グレーブス病、若年性関節炎、慢性ライム病、視神経炎、乾癬性関節炎、強膜炎、強皮症、潰瘍性大腸炎(UC)、ブドウ膜炎、炎症性眼疾病、白斑、COPD、臓器移植由来の合併症、または移植片対宿主病である。いくつかの実施形態では、前記自己免疫性疾患は、関節リウマチである。
【0010】
本開示の他の態様は、必要とする患者のCD8+CD25+細胞を抑制する方法を含み、該方法は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれか1つの組成物を投与する工程を含む。
【0011】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれか1つの医薬組成物を含むキットを含んでいる。
【0012】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の実施形態のうちいずれか1つの組成物を生成するための構成要素を含むプラットフォームを含んでいる。
【0013】
本特許出願は、色付きで作成された少なくとも1つの図面を包含する。色付き図面を伴うこの特許または特許出願のコピーは、必要な料金の請求と支払い後に当局により提供されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)を検出する、ヒトMSCにより誘導されたエキソソームに対するプロテオーム解析を例示する図である。
図2】PD-L1の遮断がどのようにCD8+T細胞に影響を及ぼすのかを判定するための、PD-L1の遮断に対する実験デザインを例示する図である。
図3】PD-L1抗体の遮断の存在が、CD25+CD8+細胞に対するPD-L1の効果を消失させたことを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され記載されているが、こうした実施形態はほんの一例として提供されるに過ぎないことは、当業者に明白である。多数の変形、変更、および置換えが、本開示から逸脱することなく当業者により現在想到されるであろう。本明細書に記載される開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施に利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定すること、かつ本特許請求の範囲内の方法と構造、およびその等価物が本開示に包含されることが意図されている。
【0016】
絶対的または連続的な用語、例えば「will」、「will not」、「shall」、「shall not」、「must」、「musut not」、「第1の(first)」、「最初に(initially)」、「次に(next)」、「の前に(before)」、「の後に(after)」、「最後に(lastly)」、および「最終的に(finally)」の使用は、本明細書に開示される本実施形態の範囲を限定するものではなく、例示的なものであることを意味する。
【0017】
本明細書では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別の意味を示していると判断されない限り、同様に複数形を含むように意図される。さらに、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「含んだ(with)」、またはそれらの変形が、詳細な説明および/または特許請求の範囲に使用される程度に、かかる用語は、「含んでいる(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図されている。
【0018】
本明細書で使用するとき、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、ならびに「および/または」という句は、使用時(in operation)に接続的かつ弁別的の両方である。例えば、「A、B、およびCのうち少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうち少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうち1つ以上」、「A、B、またはCのうち1つ以上」、ならびに「A、B、および/またはC」という表現はそれぞれ、A単独、B単独、C単独、AとB、AとC、BとC、あるいはA、B、およびCを意味する。
【0019】
本明細書に記載のあらゆるシステム、方法、ソフトウェア、およびプラットフォームは、モジュール式であり、連続的な工程に限定されない。したがって、「第1の」および「第2の」などの用語は、必ずしも優先順、重要度順、または作用順を示すものではない。
【0020】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、当業者が判定するような特定の値の許容可能な誤差範囲内にあることを意味し、部分的には、その値がどのように測定または判定されるか、例えば、測定システムの制限に左右される。例えば、「約」は、所与の値での実施ごとに1以上の標準偏差内にあることを意味する場合がある。特定の値が本出願と請求項に記載されている場合、別段の定めのない限り、「約」という用語は、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味するものであると仮定されねばならない。
【0021】
「増加した」または「増加する」という用語は、本明細書では、概して統計的に有意な量の増加を意味するように使用される。いくつかの実施形態では、「増加した」または「増加する」という用語は、基準値と比較して少なくとも10%の増加、例えば、基準値、標準、または対照と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%の増加、あるいは10~100%の間での任意の増加を意味する。他の「増加する」の例として、基準値と比較して少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれより多くの増加が挙げられる。
【0022】
「減少した」または「減少する」という用語は、本明細書では、概して統計的に有意な量の減少を意味するように使用される。いくつかの実施形態では、「減少した」または「減少する」は、基準値と比較して少なくとも10%の減少、例えば、基準値と比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%の減少(例えば、基準値と比較して存在しないか検出不能な値)、あるいは10~100%の間での任意の減少を意味する。マーカーまたは症状の文脈では、これらの用語は、かかる値の統計的に有意な減少を意味する。この減少は、例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%以上であってもよく、好ましくは所与の疾患がない個体に対して正常な範囲内で容認される値に低下する。
【0023】
用語「個体」、「患者」、または「対象」は、交換可能に使用される。これら用語はいずれも、医療従事者(例えば医師、正看護師、ナースプラクティショナー、医師助手、用務員、またはホスピス職員)の監督(例えば、持続的または断続的)を特徴とする状況を要求せず、または制限するものではない。
【0024】
本明細書で使用するとき、「細胞」は、概して生物学的な細胞を指す。細胞は、生体の塩基の構造的、機能的、および/または生物学的な単位であり得る。細胞は、1つ以上の細胞を有する任意の生物体に由来する場合がある。一部の非限定的な例として、原核細胞、真核細胞、細菌細胞、古細菌細胞、単細胞真核生物の細胞、原虫類細胞、植物由来の細胞(例えば、作物、果実、野菜、穀類、大豆、コーン、トウモロコシ、小麦、種子、トマト、米、キャッサバ、サトウキビ、カボチャ、まぐさ、ジャガイモ、綿、カンナビス、タバコ、顕花植物類針葉樹、裸子植物、シダ、ヒカゲノカズラ、マツモ、苔類、苔由来の細胞)、藻細胞(例えば、Botryococcus braunii、Chlamydomonas reinhardtii、Nannochloropsis gaditana、Chlorella pyrenoidosa、Sargassum patens C.Agardhなど)、海草(例えばケルプ)、真菌細胞(例えば酵母菌、キノコ由来の細胞)、動物細胞、無脊髄動物(例えば、ショウジョウバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫など)、脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物)、哺乳動物由来の細胞(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯類、ラット、マウス、非ヒト霊長類、ヒトなど)などが挙げられる。時折、細胞は、天然の生物体に由来するものではない(例えば、細胞は合成される場合があり、その場合は人工細胞と称される)。
【0025】
「ヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用するとき、概して塩基-糖-リン酸塩の組合せを指す。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドを含む場合がある。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドアナログを含む場合がある。ヌクレオチドは、核酸配列(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA))の単量体単位の場合がある。ヌクレオチドという用語は、リボヌクレオシド三リン酸アデノシン三リン酸(ATP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シトシン三リン酸(CTP)、グアノシン三リン酸(GTP)、およびdATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP、またはこれらの誘導体といったデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含む場合がある。このような誘導体は、例えば、[αS]dATP、7-デアザ-dGTPおよび7-デアザ-dATP、ならびにこれらを包含する核酸分子にヌクレアーゼ耐性を与えるヌクレオチド誘導体を含む場合がある。ヌクレオチドという用語は、本明細書で使用するとき、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTPs)およびそれらの誘導体を指す場合がある。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の例示的な例として、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、ddTTPを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ヌクレオチドには、ラベルが付されていないか、周知の技法により検出可能にラベルを付されている場合がある。ラベル付けはさらに、量子ドットにより行うことができる。検出可能なラベルとして、例えば、放射性同位体、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、および酵素ラベルを挙げることができる。ヌクレオチドの蛍光ラベルとして、フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’7’-ジメトキシ-4’5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、ローダミン、6-カルボキシローダミン(R6G)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、4-(4’ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、カスケードブルー、オレゴングリーン、テキサスレッド、シアニン、および5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。蛍光標識したヌクレオチドの特異的な例として、カリフォルニア州フォスターシティのPerkin Elmerから入手可能な[R6G]dUTP、[TAMRA]dUTP、[R110]dCTP、[R6G]dCTP、[TAMRA]dCTP、[JOE]ddATP、[R6G]ddATP、[FAM]ddCTP、[R110]ddCTP、[TAMRA]ddGTP、[ROX]ddTTP、[dR6G]ddATP、[dR110]ddCTP、[dTAMRA]ddGTP、および[dROX]ddTTP、イリノイ州アーリントンハイツのAmershamから入手可能なFluoroLink DeoxyNucleotides、FluoroLink Cy3-dCTP、FluoroLink Cy5-dCTP、FluoroLink Fluor X-dCTP、FluoroLink Cy3-dUTP、およびFluoroLink Cy5-dUTP、インディアナ州インディアナポリスのBoehringer Mannheimから入手可能なFluorescein-15-dATP、Fluorescein-12-dUTP、Tetramethyl-rodamine-6-dUTP、IR770-9-dATP、Fluorescein-12-ddUTP、Fluorescein-12-UTP、およびFluorescein-15-2’-dATP、ならびにオレゴン州ユージーンのMolecular Probesから入手可能なChromosome Labeled Nucleotides、BODIPY-FL-14-UTP、BODIPY-FL-4-UTP、BODIPY-TMR-14-UTP、BODIPY-TMR-14-dUTP、BODIPY-TR-14-UTP、BODIPY-TR-14-dUTP、Cascade Blue-7-UTP、Cascade Blue-7-dUTP、fluorescein-12-UTP、fluorescein-12-dUTP、Oregon Green 488-5-dUTP、Rhodamine Green-5-UTP、Rhodamine Green-5-dUTP、tetramethylrhodamine-6-UTP、tetramethylrhodamine-6-dUTP、Texas Red-5-UTP、Texas Red-5-dUTP、およびTexas Red-12-dUTPを挙げることができる。ヌクレオチドはさらに、化学的修飾によりラベル付けまたはマーク付けされる場合がある。化学的に修飾された単一ヌクレオチドは、ビオチン-dNTPであり得る。ビオチン化dNTPの一部の非限定的な例として、ビオチン-dATP(例えばbio-N6-ddATP、ビオチン-14-dATP)、ビオチン-dCTP(例えばビオチン-11-dCTP、ビオチン-14-dCTP)、およびビオチン-dUTP(例えばビオチン-11-dUTP、ビオチン-16-dUTP、ビオチン-20-dUTP)を挙げることができる。
【0026】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、一本鎖、二本鎖、または多重鎖の形態にある任意の長さのヌクレオチド、すなわち、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、あるいはそれらのアナログの高分子形態を指すように、交換可能に使用される。ポリヌクレオチドは、細胞外生または細胞内にある場合がある。ポリヌクレオチドは、無細胞環境に存在する場合がある。ポリヌクレオチドは、遺伝子またはそのフラグメントの場合がある。ポリヌクレオチドは、DNAの場合がある。ポリヌクレオチドは、RNAの場合がある。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有し、既知または未知の機能を実行することができる。ポリヌクレオチドは、1つ以上のアナログ(例えば改変されたバックボーン、糖、または核酸塩基)を含む場合がある。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーのアセンブリの前または後に与えられる場合がある。アナログの一部の非限定的な例として、5-ブロモウラシル、ペプチド核酸、ゼノ核酸、モルホリノ、ロックド核酸、グリコール核酸、トレオース核酸、ジデオキシヌクレオチド、コルジセピン、7-デアザ-GTP、フルオロフォア(例えば糖に結合されるローダミンまたはフルオレセイン)、チオール、ヌクレオチド、ビオチン結合ヌクレオチド、蛍光塩基アナログ、CpG島、メチル-7-グアノシン、メチル化ヌクレオチド、イノシン、チオウリジン、シュードウリジン、ジヒドロウリジン、キューオシン、およびワイオシンが挙げられる。ポリヌクレオチドの非限定的な例として、遺伝子または遺伝子フラグメントのコード領域またはノンコーディング領域、連鎖解析から定義された座位、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列から単離されたDNA、任意の配列から単離されたRNA、無細胞DNA(cfDNA)および無細胞RNA(cfRNA)を含む無細胞ポリヌクレオチド、核酸プローブ、およびプライマーが挙げられる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により妨げられる場合がある。
【0027】
「トランスフェクション」または「トランスフェクトされた」という用語は、概して非ウイルスまたはウイルスベースの方法による核酸の細胞への導入を指す。核酸分子は、完全タンパク質またはその機能部分をコードする遺伝子配列の場合がある。例えば、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,18.1-18.88を参照されたい。
【0028】
「発現」または「発現する」という用語は、ポリヌクレオチドがDNA鋳型から(mRNAまたは他のRNA転写産物などへと)転写される1つ以上のプロセス、および/または転写されたmRNAが、引き続きペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質へと翻訳されるプロセスを指す。転写産物およびコードされたポリペプチドは、総じて「遺伝子産物」と称される場合がある。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞中のmRNAのスプライシングを含む場合がある。発現に関して「アップレギュレートされた」とは、概して、ポリヌクレオチド(例えばmRNAなどのRNA)および/またはポリペプチド配列の発現レベルがその野生型状態のレベルと比較して上昇したことを指し、一方で「ダウンレギュレートされた」とは、概して、ポリヌクレオチド(例えばmRNAなどのRNA)および/またはポリペプチド配列の発現レベルがその野生型状態のレベルと比較して低下したことを指す。
【0029】
用語「遺伝子」は、本明細書で使用するとき、任意選択でプロモータ、オペレータ、ターミネータなどの関連制御領域とともに、個々のタンパク質またはRNAをコードする核酸の部分(「コード配列」または「コード領域」とも称される)を指し、この関連制御領域は、コード配列の上流または下流に位置していてもよい。「遺伝子」という用語は、広く解釈されるものであり、遺伝子のmRNA、cDNA、cRNA、およびゲノムDNA形態を包含する場合がある。一部の用途では、「遺伝子」という用語は、5’および3’の未翻訳領域(5’-UTRおよび3’-UTR)を含む転写された配列、エクソン、およびイントロンを包含する。いくつかの遺伝子では、転写された領域は、ポリペプチドをコードする「オープンリーディングフレーム」を包含する。この用語の一部の用途では、「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするのに必要なコード配列(例えば「オープンリーディングフレーム」または「コード領域」)のみを含む。いくつかの態様では、遺伝子は、ポリペプチド、例えばリボソームRNA遺伝子(rRNA)や転移RNA(tRNA)遺伝子をコードしない。いくつかの態様では、「遺伝子」という用語は、転写された配列以外に、上流および下流の制御領域を含む非転写領域、エンハンサ、およびプロモータを含む。「遺伝子」という用語は、遺伝子のmRNA、cDNA、およびゲノム形態を包含する場合がある。
【0030】
本明細書で使用するとき、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーに関連して本明細書で交換可能に使用される。タンパク質は、コーディングオープンリーディングフレームから翻訳されるか、その成熟形態へと処理されるような完全長のポリペプチドを指し、一方でポリペプチドまたはペプチドは、特定のタンパク質へと固有または同一にマッピングされるタンパク質の分解フラグメントまたは処理フラグメントを指す場合がある。ポリペプチドは、隣接したアミノ酸残基のカルボキシル基とアミノ基との間のペプチド結合により一体的に結合されるアミノ酸の単一の線状ポリマー鎖であり得る。ポリペプチドは、例えば、炭水化物の追加やリン酸化などにより修飾される場合がある。タンパク質は、1以上のポリペプチドを含む場合がある。
【0031】
本明細書で使用するとき、「フラグメント」という用語、またはその同義語は、長さがタンパク質の全長未満であるとともに、任意選択でタンパク質の機能を維持するタンパク質の部分を指す場合がある。さらに、このタンパク質の部分がタンパク質に対して分芽(blasted)されると、タンパク質配列の部分は、例えば、少なくともタンパク質配列の一部に対し80%の同一性をもって位置合わせすることができる。
【0032】
「補体(complement)」、「補体(complements)」、「相補的」、および「相補性」という用語は、本明細書で使用するとき、概して所与の配列に対して完全に相補的であるとともにハイブリダイズ可能な配列を指す。場合により、例えばA-T、A-U、G-C、およびG-Uの塩基対が形成されるように、所与の領域にわたり塩基の配列が、その結合パートナーの配列と相補的に結合可能である場合、所与の核酸でハイブリダイズされる配列は、所与の分子の「補体」または「逆補体」と称される。一般に、第2の配列にハイブリダイズ可能な第1の配列は、第2の配列に特異的または選択的にハイブリダイズ可能であり、その結果、第2の配列またはそのセットに対するハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション反応中に非標的配列とのハイブリダイゼーションに対して優先する(例えば、当該技術分野でよく使用される厳密な条件など、所与の条件のセット下で熱力学的により安定した条件)。典型的に、ハイブリダイズ可能な配列は、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および100%の配列相補性を含む、25%~100%の相補性など、それぞれの長さのすべてまたは一部にわたる配列相補性の程度を共有している。相補性の割合を評価するためなどの配列同一性は、任意の適切なアライメントアルゴリズムにより測定可能であり、このアルゴリズムとして、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、任意選択でデフォルト設定を伴うwww.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlにて利用可能なEMBOSS Needleアライナーを参照)、BLASTアルゴリズム(例えば、任意選択でデフォルト設定を伴うblast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiにて利用可能なBLASTアライメントツールを参照)、またはSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、任意選択でデフォルト設定を伴うwww.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlにて利用可能なEMBOSS Waterアライナーを参照)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。最適なアライメントは、デフォルトパラメータを含む選択されたアルゴリズムのあらゆる適切なパラメータを使用して評価することができる。
【0033】
「パーセント(%)同一性」という用語は、本明細書で使用するとき、概して候補となる配列のアミノ酸(または核酸)残基の割合を指し、この残基は、必要に応じて最大のパーセント同一性を達成するべく配列のアライメントおよびギャップの導入後の参照配列のアミノ酸(または核酸)残基と同一のものである(すなわち、ギャップは、最適なアライメントのために候補配列および参照配列のうち1つまたは両方に導入することができ、比較目的のために非相同的な配列は無視される場合がある)。パーセント同一性を決定するためのアライメントは、例えば、BLAST、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの、公に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術分野内にある様々な方法で達成することができる。2つの配列のパーセント同一性は、BLASTを用いて被験配列を比較配列とアライメントし、比較配列の同じ位置にあるアミノ酸またはヌクレオチドと同一であるアライメントされた被験配列におけるアミノ酸またはヌクレオチドの数を判定し、および同一のアミノ酸またはヌクレオチドの数を、比較配列中のアミノ酸またはヌクレオチドの数で割ることにより、算出することができる。
【0034】
「ミスマッチ」という用語は、概してアライメントされたときの2つのヌクレオチド間の相補性の欠如を指す。DNAの相補塩基は、ATおよびG-Cである。RNAの相補塩基は、A-UおよびG-Cである。このため、ミスマッチは、2つのオリゴヌクレオチド配列が、DNA中でAがTと対にならず、またはGがCと対にならず、あるいはRNA中でAがUと対にならず、またはGがCと対にならない1つ以上のヌクレオチド位置においてアライメントされるときに生じる。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「in vivo」は、対象の身体に生じる事象を説明するために使用することができる。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「ex vivo」は、対象の身体の外部に生じる事象を説明するために使用することができる。「ex vivo」アッセイは、対象に対して実行することができない。むしろ、対象とは別の試料に対して実行することができる。Ex vivoは、対象の身体の外部で無傷の細胞に生じる事象を説明するために使用することができる。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「in vitro」は、材料が入手される生きた生物学的ソースの生物体から分離されるように、検査試薬を保持するために容器に含めたときに生じる事象を説明するために使用することができる。in vitroアッセイは、生存または死亡している細胞が利用される細胞ベースの分析を包含し得る。in vitroアッセイはさらに、無傷の細胞が利用されない無細胞分析を包含し得る。
【0038】
「処置すること」または「処置」は、治療上の処置および予防的(prophylactic or preventative)措置の両方を指す場合があり、対象において標的とされた疾病または障害が予防または遅延(緩和)されることとなる。処置を必要とする者には、既に障害を抱える者に加えて、障害を抱える傾向がある者、または障害が予防されるべき者が挙げられる。治療利益は、処置される症状あるいは根底にある障害の根絶または寛解を指す場合がある。また、治療利益は、対象が依然として根底にある障害の影響を受ける可能性があるにもかかわらず、対象に改善が観察されるように、根底にある障害に関連した生理学的症状のうち1以上の根絶または寛解により達成することができる。予防利益として、疾患もしくは疾病の出現を遅延、予防、または排除すること、疾患もしくは疾病の症状の発症を遅延または排除すること、疾患もしくは疾病の進行を遅くする、止める、または逆転させること、あるいはそれらの任意の組合せを挙げることができる。予防利益において、特定の疾患を進行させる危険のある対象、または疾患の生理学的症状のうち1つ以上を報告する対象は、この疾患の診断を行うことができなかった場合であっても、処置を受ける場合がある。
【0039】
「有効量」および「治療上有効量」という用語は、本明細書で交換可能に使用するとき、概して必要とする対象への投与に際して所望の活性をもたらすのに十分な組成物、例えば、本開示の系を含むリンパ球(例えばTリンパ球および/またはNK細胞)などの免疫細胞を含む組成物の量を指す。本開示の文脈内で、「治療上有効」という用語は、徴候を遅らせる、進行を阻止する、あるいは本開示の方法により処置される障害の少なくとも1つの症状を軽減または緩和するのに十分な組成物の量を指す。
【0040】
「薬学的に許容可能な担体」、「薬学的に許容可能な賦形剤」、「生理学的に許容可能な担体」、または「生理学的に許容可能な賦形剤」という用語は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、あるいは封入材料など、薬学的に許容可能な材料、組成物、または溶媒を指す。化合物は、医薬製剤の他の成分と適合可能という意味で「薬学的に許容可能」な場合がある。化合物はさらに、合理的なベネフィット・リスク比と比例して、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、あるいはその他の問題または合併症がないヒトおよび動物の組織または器官に接して使用するのに適切な場合がある。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition、Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005、Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition”、Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005、Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition、Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004)を参照されたい。
【0041】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示される化合物と、希釈剤または担体などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物体への化合物の投与を容易にすることができる。化合物投与のあらゆる技法が当該技術分野に存在しており、経口投与、注射、エアロゾル投与、非経口投与、および局所投与が挙げられるがこれらに限定されない。
【0042】
本開示は、PD-L1を用いて操作された間葉系幹細胞エキソソーム、すなわち自己免疫疾患および移植における耐性を誘導する新規な無細胞治療薬(cell free therapeutics)を対象とする。エキソソームや微小小胞体(脱粒小胞(shedding vesicle)とも知られる)などの細胞外小胞は、細胞外環境および免疫系に影響を及ぼす生物活性分子を運ぶものである。エキソソームPD-L1には細胞表面PD-L1と同じ膜トポロジーがあり、その細胞外ドメインはエキソソームの表面上に露出していることが認められている。エキソソームPD-L1は、濃度に依存する様式でPD-1に結合し、この相互作用は、PD-L1-遮断抗体により破壊される場合がある。高レベルのエキソソームPD-L1は、T細胞の「枯渇」を、T細胞が抗PD-1処置によりこれ以上回復することのできない段階へと反映する場合がある。さらに、IFN-γに応じてエキソソームPD-L1が増加すると、腫瘍細胞はCD8 T細胞を適応的に不活化することができる。
【0043】
間葉系幹は、先ず健康な個体から単離される。これら細胞は、一旦拡張すると、さらなる使用のために保管される場合がある。次いで、これら細胞は、PD-L1を用いて操作することができる。このために、PDL1遺伝子は、ラクトアドヘリン遺伝子と融合することができる。これにより、PD-L1分子はエキソソームの外部で挿入可能となる。操作の完遂を確認するに際し、これら細胞は、バイオリアクター上で成長し、調整培地は、エキソソームを単離するために採取される場合がある。エキソソーム単離において、エキソソームを採取し精製するために、タンジェント流濾過が使用される。これらエキソソームには、特定のCD8+およびCD25+エフェクター細胞の免疫系を抑える能力がある。すべての自己免疫疾患の病院および移植における拒絶過程で重要となるのは、これらエフェクター細胞である。これらエキソソームは、一旦cGMP施設において生成され、すべての効力および他の要件を通過すると、患者の処置に使用することができる。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞エキソソームは、その抑制活性を増強するためにPD-L1により操作することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1により操作された間葉系幹細胞エキソソームは、I型糖尿病、多発性硬化症、COPD、ループス、炎症性腸疾患、関節リウマチ、または乾癬を含むすべての自己免疫疾患および移植に対する処置であり得る。いくつかの実施形態では、PD-L1により操作された間葉系幹細胞エキソソームの機能は、操作された制御性T細胞が低酸素症条件下で培養される場合に増加する可能性がある。いくつかの実施形態では、PD-L1により操作された間葉系幹細胞エキソソームには、活性化された自己免疫系、具体的には患者のCD8+CD25+細胞を抑制する能力がある場合がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームを使用すると、他のあらゆる細胞またはエキソソームは、間葉系幹細胞および間葉系幹細胞由来のエキソソームと同様に、PD-L1を含むように操作される場合がある。いくつかの実施形態では、PD-L1により操作された間葉系幹細胞エキソソームは、cGMP施設において調製可能である。いくつかの実施形態では、PD-L1により操作された間葉系幹細胞エキソソームは、すべての自己免疫疾患、および移植処置として何らかの器官を提供された患者を処置するための臨床グレードのエキソソームと見なされる場合がある。
【0044】
本開示は、VISTA/PD-L1/CTLA-4を用いて操作された間葉系幹細胞エキソソーム、すなわち自己免疫疾患および移植における耐性を誘導する新規な無細胞治療薬を対象とする。エキソソームや微小小胞体(脱粒小胞とも知られる)などの細胞外小胞は、細胞外環境および免疫系に影響を及ぼす生物活性分子を運ぶものである。エキソソームPD-L1には細胞表面PD-L1と同じ膜トポロジーがあり、その細胞外ドメインはエキソソームの表面上に露出していることが認められている。エキソソームPD-L1は、濃度に依存する様式でPD-1に結合し、この相互作用は、PD-L1-遮断抗体により破壊される場合がある。高レベルのエキソソームPD-L1は、T細胞の「枯渇」を、T細胞が抗PD-1処置によりこれ以上回復することのできない段階へと反映する場合がある。さらに、IFN-γに応じてエキソソームPD-L1が増加すると、腫瘍細胞はCD8 T細胞を適応的に不活化することができる。T細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)は、造血細胞に発現されるT細胞機能の有力な負の調節因子である。VISTAレベルは腫瘍微小環境内で高くなり、そこでは、このレベルを遮断することでマウスの抗腫瘍免疫応答を増強することができる。VISTAは、発現が骨髄細胞系列内で最高となる造血区画内で優勢的に発現される。VISTA-Igは、T細胞の増殖を抑え、T細胞サイトカイン類および活性化マーカーの産生を鈍化させた。VISTAは、抗原提示細胞に発現されるとCD4+およびCD8+ T細胞活性化を抑える阻害型の免疫チェックポイント分子である。VISTAは、TLR7刺激の後、DC、およびIL-17-産生TCRγδ+ならびにCD4+Th17 T細胞により媒介した炎症反応を決定的に調節する。CTLA4またはCTLA-4(細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4)は、CD152(分化152のクラスタ)としても知られており、免疫チェックポイントとして機能するとともに免疫応答をダウンレギュレートするタンパク質受容体である。CTLA4は、構成上制御性T細胞に発現されるが、活性化、癌においてとりわけ顕著な現象後の従来のT細胞でのみアップレギュレートされる。CTLA4は、抗原提示細胞の表面上でCD80またはCD86に結合すると「オフ」スイッチとして作用する。
【0045】
いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞は、先ず健康な個体から単離可能である。これら細胞は、一旦拡張すると、さらなる使用のために保管される場合がある。次いで、これらの細胞は、VISTA/PD-L1/CTLA-4単独、またはこれらの組合せにより操作することができる。以下の免疫チェックポイントは、代わりに、またはVISTA、PD-L1、およびCTLA-4と組み合わせて使用可能である:PD-L2、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、B7-H3(CD276)、B7-H2、B7-H4(VTCN1)、HVEM(CD270、TNFRSF14)、ガレクチン9、ガレクチン3、CEACAM1(CD66a)、OX-2(CD200)、PVR(CD155)、PVRL2(ネクチン-2、CD112)、FGL-1、PECAM-1、TSG-6、CD47、スタビリン-1(Clever-1)、ニューロピリン1、ニューロピリン2、CD158(ファミリー)、IGSF2(CD101)、CD155、GITRL、CD137L、OX40L、LIGHT、CD70、PD-1、RGMB、CTLA-4(CD152)、BTLA、CD160、Tim-3、CD200R、TIGIT、CD112R(PVRIG)、LAG-3(CD223)、PECAM-1、CD44、またはSIRPα(CD172a)。
【0046】
このために、本明細書に記載の免疫チェックポイント遺伝子のうち1つまたはその組合せは、ラクトアドヘリン遺伝子、GPIタンパク質、あるいはその他のタンパク質またはリンカーと融合することができる。これにより、チェックポイントタンパク質はエキソソームの外部で挿入可能となる。操作の完遂を確認するに際し、これら細胞は、バイオリアクター上で成長し、調整培地は、エキソソームを単離するために採取される場合がある。エキソソーム単離において、エキソソームを採取し精製するために、タンジェント流濾過が使用可能である。これらエキソソームには、特定のCD4+/CD25+、すなわちCD8+CD25+エフェクター細胞または樹状細胞およびB細胞の免疫系を抑える能力がある。この抑制は、エキソソームの表面上でのチェックポイント分子の組合せに左右される。すべての自己免疫疾患の病院および移植における拒絶過程で重要となるのは、これらエフェクター細胞である。これらエキソソームは、一旦cGMP施設において生成され、すべての効力および他の要件を通過すると、患者の処置に使用することができる。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞エキソソームは、その抑制活性を増強するためにチェックポイント分子により操作することができる。このチェックポイントは、VISTA/PD-L1/CTLA-4の組合せ、またはいずれか単独であり得る。いくつかの実施形態では、チェックポイントは、本明細書に記載の免疫チェックポイント遺伝子の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、チェックポイントを装飾した間葉系幹細胞エキソソームは、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、1型糖尿病、多発性硬化症、炎症性腸疾患、セリアック病、クローン病、グレーブス病、若年性関節炎、ライム病、視神経炎、乾癬性関節炎、強膜炎、強皮症、潰瘍性大腸炎(UC)、ブドウ膜炎、炎症性眼疾病、白斑、COPD、または臓器移植を含むがこれらに限定されない、すべての自己免疫疾患および移植に対する処置であり得る。いくつかの実施形態では、他のあらゆる細胞またはエキソソームは、本明細書に記載のプラットフォームの利用により、(間葉系幹細胞およびそのヒト線維芽細胞エキソソームと同様)免疫チェックポイントにより操作することができる。いくつかの実施形態では、チェックポイント分子を装飾したエキソソームは、注射、点眼薬、ネブライザーまたはスプレー、クリーム、および薬剤として認められる局所軟膏または他の任意の形態30として製造可能である。いくつかの実施形態では、これらエキソソームは、cGMP施設において調整可能であり、すべての自己免疫疾患、および移植処置として何らかの器官を提供された患者を処置するための臨床グレードのエキソソームと見なされる場合がある。
【0047】
I.組成物
本明細書中のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法から生成される細胞外小胞を含む組成物が記載される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞により分泌された膜結合型粒子である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、in vitroで生成された膜結合型粒子である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、ex vivoで生成された膜結合型粒子である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞を用いることなく生成された膜結合型粒子である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、エキソソーム、微小小胞体、レトロウイルス様粒子、アポトーシス小体、アポプトソーム、オンコソーム、エキソファー、外膜ウイルス、エキソマー、またはその他非常に大きな細胞外小胞である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞はエキソソームである。
【0048】
いくつかの例では、細胞外小胞は、約1nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの例では、細胞外小胞は、約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約50nm、約1nm~約100nm、約1nm~約200nm、約1nm~約500nm、約1nm~約1,000nm、約1nm~約2,000nm、約1nm~約5,000nm、約1nm~約10,000nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約50nm、約5nm~約100nm、約5nm~約200nm、約5nm~約500nm、約5nm~約1,000nm、約5nm~約2,000nm、約5nm~約5,000nm、約5nm~約10,000nm、約10nm~約20nm、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約200nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約2,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約20nm~約50nm、約20nm~約100nm、約20nm~約200nm、約20nm~約500nm、約20nm~約1,000nm、約20nm~約2,000nm、約20nm~約5,000nm、約20nm~約10,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約200nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約2,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約100nm~約200nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約2,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約200nm~約500nm、約200nm~約1,000nm、約200nm~約2,000nm、約200nm~約5,000nm、約200nm~約10,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約2,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約1,000nm~約2,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約2,000nm~約5,000nm、約2,000nm~約10,000nm、または約5,000nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの例では、細胞外小胞は、約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。いくつかの例では、細胞外小胞は、最小で約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nmまたは約5,000nmの直径を含む。いくつかの例では、細胞外小胞は、最大で約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも約1nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約50nm、約1nm~約100nm、約1nm~約200nm、約1nm~約500nm、約1nm~約1,000nm、約1nm~約2,000nm、約1nm~約5,000nm、約1nm~約10,000nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約50nm、約5nm~約100nm、約5nm~約200nm、約5nm~約500nm、約5nm~約1,000nm、約5nm~約2,000nm、約5nm~約5,000nm、約5nm~約10,000nm、約10nm~約20nm、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約200nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約2,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約20nm~約50nm、約20nm~約100nm、約20nm~約200nm、約20nm~約500nm、約20nm~約1,000nm、約20nm~約2,000nm、約20nm~約5,000nm、約20nm~約10,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約200nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約2,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約100nm~約200nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約2,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約200nm~約500nm、約200nm~約1,000nm、約200nm~約2,000nm、約200nm~約5,000nm、約200nm~約10,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約2,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約1,000nm~約2,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約2,000nm~約5,000nm、約2,000nm~約10,000nm、または約5,000nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも最小で約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nmまたは約5,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも最大で約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、組成物は、複数の細胞外の小胞の異種集団を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、約1nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約50nm、約1nm~約100nm、約1nm~約200nm、約1nm~約500nm、約1nm~約1,000nm、約1nm~約2,000nm、約1nm~約5,000nm、約1nm~約10,000nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約50nm、約5nm~約100nm、約5nm~約200nm、約5nm~約500nm、約5nm~約1,000nm、約5nm~約2,000nm、約5nm~約5,000nm、約5nm~約10,000nm、約10nm~約20nm、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約200nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約2,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約20nm~約50nm、約20nm~約100nm、約20nm~約200nm、約20nm~約500nm、約20nm~約1,000nm、約20nm~約2,000nm、約20nm~約5,000nm、約20nm~約10,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約200nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約2,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約100nm~約200nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約2,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約200nm~約500nm、約200nm~約1,000nm、約200nm~約2,000nm、約200nm~約5,000nm、約200nm~約10,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約2,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約1,000nm~約2,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約2,000nm~約5,000nm、約2,000nm~約10,000nm、または約5,000nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、最小で約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、または約5,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、最大で約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、少なくとも約1nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、少なくとも約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約50nm、約1nm~約100nm、約1nm~約200nm、約1nm~約500nm、約1nm~約1,000nm、約1nm~約2,000nm、約1nm~約5,000nm、約1nm~約10,000nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約50nm、約5nm~約100nm、約5nm~約200nm、約5nm~約500nm、約5nm~約1,000nm、約5nm~約2,000nm、約5nm~約5,000nm、約5nm~約10,000nm、約10nm~約20nm、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約200nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約2,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約20nm~約50nm、約20nm~約100nm、約20nm~約200nm、約20nm~約500nm、約20nm~約1,000nm、約20nm~約2,000nm、約20nm~約5,000nm、約20nm~約10,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約200nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約2,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約100nm~約200nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約2,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約200nm~約500nm、約200nm~約1,000nm、約200nm~約2,000nm、約200nm~約5,000nm、約200nm~約10,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約2,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約1,000nm~約2,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約2,000nm~約5,000nm、約2,000nm~約10,000nm、または約5,000nm~約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、少なくとも約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、少なくとも最小で約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、または約5,000nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の異種集団は、少なくとも最大で約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1,000nm、約2,000nm、約5,000nm、または約10,000nmの直径を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は、複数の細胞外の小胞の同種集団を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の同種集団は、約10nm~約150nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の同種集団は、約10nm~約30nm、約10nm~約40nm、約10nm~約50nm、約10nm~約60nm、約10nm~約70nm、約10nm~約80nm、約10nm~約90nm、約10nm~約100nm、約10nm~約110nm、約10nm~約120nm、約10nm~約150nm、約30nm~約40nm、約30nm~約50nm、約30nm~約60nm、約30nm~約70nm、約30nm~約80nm、約30nm~約90nm、約30nm~約100nm、約30nm~約110nm、約30nm~約120nm、約30nm~約150nm、約40nm~約50nm、約40nm~約60nm、約40nm~約70nm、約40nm~約80nm、約40nm~約90nm、約40nm~約100nm、約40nm~約110nm、約40nm~約120nm、約40nm~約150nm、約50nm~約60nm、約50nm~約70nm、約50nm~約80nm、約50nm~約90nm、約50nm~約100nm、約50nm~約110nm、約50nm~約120nm、約50nm~約150nm、約60nm~約70nm、約60nm~約80nm、約60nm~約90nm、約60nm~約100nm、約60nm~約110nm、約60nm~約120nm、約60nm~約150nm、約70nm~約80nm、約70nm~約90nm、約70nm~約100nm、約70nm~約110nm、約70nm~約120nm、約70nm~約150nm、約80nm~約90nm、約80nm~約100nm、約80nm~約110nm、約80nm~約120nm、約80nm~約150nm、約90nm~約100nm、約90nm~約110nm、約90nm~約120nm、約90nm~約150nm、約100nm~約110nm、約100nm~約120nm、約100nm~約150nm、約110nm~約120nm、約110nm~約150nm、または約120nm~約150nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の同種集団は、約10nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、約120nm、または約150nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の同種集団は、最小で約10nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、または約120nmの直径を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の同種集団は、最大で約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、約120nm、または約150nmの直径を含む。
【0053】
免疫チェックポイント部分
本明細書中のいくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分を含む細胞外小胞を含む組成物が記載される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は複数の免疫チェックポイント部分を含み、そこでは、免疫チェックポイント部分は同じまたは異なる場合がある。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞に封入される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞の表面に発現される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞により分泌される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞に封入される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞の表面に発現されるか、細胞外小胞により分泌されるか、細胞外小胞により標的細胞または標的微小環境に送達されるか、またはこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、疾患または障害を処置するための治療特性を含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、自己免疫性疾患である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分を含む細胞外小胞を含む組成物は、疾患または障害を処置するために対象に投与することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、VISTA、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、B7-(CD80)、B7-2(CD86)、B7-H3(CD276)、B7-H2、B7-H3、B7-H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、A2AR、HVEM(CD270、TNFRSF14)、ガレクチン9、ガレクチン3、CEACAM1(CD66a)、OX-2(CD200)、PVR(CD155)、PVRL2(ネクチン-2、CD112)、FGL-1、PECAM-1、TSG-6、CD47、スタビリン-1(Clever-1)、ニューロピリン1、ニューロピリン2、CD158(ファミリー)、IGSF2(CD101)、CD155、GITRL、CD137L、OX40L、LIGHT、CD70、PD-1、RGMB、CTLA-4(CD152)、BTLA、CD160、Tim-3、CD200R、TIGIT、CD112R(PVRIG)、LAG-3(CD223)、PECAM-1、CD44、またはSIRPα(CD172a)をコードするペプチド配列を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、VISTA、その変形、またはそのフラグメントをコードするペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、配列番号1に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、配列番号1(表1)に対して100%同一のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、PD-L1、その変形、またはそのフラグメントをコードするペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、配列番号2(表1)に対して100%同一のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、CTLA-4、その変形、またはそのフラグメントをコードするペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、配列番号3に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、配列番号3(表1)に対して100%同一のペプチド配列を含む。
【0055】
【表1】
【0056】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、mRNA、rRNA、SRP RNA、tRNA、tmRNA、snRNA、snoRNA、gRNA、aRNA、crRNA、lncRNA、miRNA、ncRNA、piRNA、siRNA、およびshRNAを含む。場合により、異種ポリヌクレオチドは、mRNA含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、VISTA、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、B7-(CD80)、B7-2(CD86)、B7-H3(CD276)、B7-H2、B7-H3、B7-H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、A2AR、HVEM(CD270、TNFRSF14)、ガレクチン9、ガレクチン3、CEACAM1(CD66a)、OX-2(CD200)、PVR(CD155)、PVRL2(ネクチン-2、CD112)、FGL-1、PECAM-1、TSG-6、CD47、スタビリン-1(Clever-1)、ニューロピリン1、ニューロピリン2、CD158(ファミリー)、IGSF2(CD101)、CD155、GITRL、CD137L、OX40L、LIGHT、CD70、PD-1、RGMB、CTLA-4(CD152)、BTLA、CD160、Tim-3、CD200R、TIGIT、CD112R(PVRIG)、LAG-3(CD223)、PECAM-1、CD44、またはSIRPα(CD172a)の核配列をコードする。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、VISTAをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、PD-L1をコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、CTLA-4をコードする異種ポリヌクレオチドを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、サイトカインをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、サイトカインのペプチド配列を含むポリペプチドを含む免疫チェックポイント部分として利用可能な例示的なサイトカインとして、4-1BBL、アシル化刺激タンパク質、アディポカイン、アルブインターフェロン、APRIL、Arh、BAFF、Bcl-6、CCL1、CCL1/TCA3、CCL11、CCL12/MCP-5、CCL13/MCP-4、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17/TARC、CCL18、CCL19、CCL2、CCL2/MCP-1、CCL20、CCL21、CCL22/MDC、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L3、CCL4、CCL4L1/LAG-1、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCR10、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CD153、CD154、CD178、CD40LG、CD70、CD95L/CD178、Cerberus(タンパク質)、ケモカイン、CLCF1、CNTF、コロニー刺激因子、共通b鎖(CD131)、共通g鎖(CD132)、CX3CL1、CX3CR1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CXCL2、CXCL2/MIP-2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL9、CXCR3、CXCR4、CXCR5、EDA-A1、Epo、エリスロポエチン、FAM19A1、FAM19A2、FAM19A3、FAM19A4、FAM19A5、Flt-3L、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド、Foxp3、GATA-3、GcMAF、G-CSF、GITRL、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、肝細胞増殖因子、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA2、IFNA4、IFNA5/IFNaG、IFNA7、IFNA8、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNZ、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFNω/IFNW1、IL-1、IL-10、IL-10 family、IL-10-like、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-17ファミリー、IL-17A-F、IL-18、IL-18BP、IL-19、IL-1A、IL-1B、IL-1F10、IL-1F3/IL-1RA、IL-1F5、IL-1F6、IL-1F7、IL-1F8、IL-1F9、IL-1-like、IL-1RA、IL-1RL2、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-28A、IL-28B、IL-29、IL-3、IL-31、IL-33、IL-35、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6-like、IL-7、IL-8/CXCL8、IL-9、インフラマソーム、インターフェローム、インターフェロン、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ、I型インターフェロン、II型インターフェロン、III型インターフェロン、インターフェロン、インターロイキン、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、インターロイキン8、IRF4、レプチン、白血病抑制因子 (LIF)、白血球促進因子、LIGHT、LTA/TNFB、LT-β、リンホカイン、リンホトキシン、リンホトキシンα、リンホトキシンβ、マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージ炎症タンパク質、マクロファージ活性化因子、M-CSF、MHCクラスIII、様々なヘマトポエチン、モノカイン、MSP、ミオカイン、ミオネクチン、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、オンコスタチンM(OSM)、オプレルベキン、OX40L、血小板因子4、プロメガポエチン、RANKL、SCF、STAT3、STAT4、STAT6、ストローマ細胞由来因子1、TALL-1、TBX21、TGF-α、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TNF、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF14、TNFSF15、TNFSF4、TNFSF8、TNF-α、TNF-β、Tpo、TRAIL、TRANCE、TWEAK、血管内皮成長阻害薬、XCL1、またはXCL2が挙げられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、本明細書に記載の膜貫通部分と複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、本明細書に記載の膜貫通部分と非共有結合的に複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、本明細書に記載の膜貫通部分と共有結合により複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、免疫チェックポイント部分と膜貫通部分の両方を含む融合タンパク質の一部として発現可能である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、免疫チェックポイント部分と膜貫通部分のフラグメントとの両方を含む融合タンパク質の一部として発現可能である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分のN末端は、膜貫通部分に融合可能である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分のC末端は、本明細書に記載の膜貫通部分に縮合可能である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、免疫チェックポイント部分のN末端とC末端の両方にある膜貫通部分により融合され、かつ該膜貫通部分と隣接する場合がある。例えば、免疫チェックポイント部分は、融合ペプチドの一部として膜貫通部分へと挿入することができ、この場合、融合ペプチドのN末端は、膜貫通部分のフラグメントを含み、続いて免疫チェックポイント部分(あるいはその変形またはフラグメント)、そして膜貫通部分の他のフラグメントを含む融合ペプチドのC末端を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は融合ペプチドを含み、ここで免疫チェックポイント部分は、膜貫通部分に融合される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、膜貫通部分と複合体を形成する免疫チェックポイント部分を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、膜貫通部分と非共有結合的に複合体を形成する免疫チェックポイント部分を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、膜貫通部分と共有結合により複合体を形成する免疫チェックポイント部分を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、本明細書に記載の複数の免疫チェックポイント部分を含む。いくつかの実施形態では、複数の免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞に封入される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも1、10、100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、またはそれより多くの免疫チェックポイント部分のユニットを封入する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、封入された免疫チェックポイントを標的細胞または標的微小環境に送達する。
【0060】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、本明細書に記載の複数の免疫チェックポイント部分を分泌する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも1、10、100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、またはそれより多くの免疫チェックポイント部分のユニットを分泌する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、封入された免疫チェックポイントを標的細胞または標的微小環境に分泌する。
【0061】
いくつかの実施形態では、複数の免疫チェックポイント部分は、細胞外小胞の表面に発現される。いくつかの実施形態では、複数の免疫チェックポイント部分は、免疫のチェックポイント部分および膜貫通部分を含む融合ペプチドの一部として発現される。いくつかの例では、細胞外小胞の表面に発現された免疫チェックポイント部分を含む細胞外小胞は、標的細胞または標的環境と接触する。
【0062】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の寸法と、免疫チェックポイント部分を含む発現された免疫チェックポイント部分または発現された融合ペプチドの寸法との比により求められる理論最大値により制限される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞を生成し、選択することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも30%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも70%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも75%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも85%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも95%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームおよび方法は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を生成し、選択することができ、先の免疫チェックポイント部分のユニット数は、細胞外小胞の表面に発現可能な免疫チェックポイント部分のユニット数の理論最大値の少なくとも95%である。
【0063】
いくつかの実施形態では、各細胞外小胞は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現し、このユニット数は、約5ユニット~約1,000,000ユニットであり得る。いくつかの実施形態では、各細胞外小胞は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現し、このユニット数は、約5ユニット~約10ユニット、約5ユニット~約50ユニット、約5ユニット~約100ユニット、約5ユニット~約500ユニット、約5ユニット~約1,000ユニット、約5ユニット~約5,000ユニット、約5ユニット~約10,000ユニット、約5ユニット~約50,000ユニット、約5ユニット~約100,000ユニット、約5ユニット~約500,000ユニット、約5ユニット~約1,000,000ユニット、約10ユニット~約50ユニット、約10ユニット~約100ユニット、約10ユニット~約500ユニット、約10ユニット~約1,000ユニット、約10ユニット~約5,000ユニット、約10ユニット~約10,000ユニット、約10ユニット~約50,000ユニット、約10ユニット~約100,000ユニット、約10ユニット~約500,000ユニット、約10ユニット~約1,000,000ユニット、約50ユニット~約100ユニット、約50ユニット~約500ユニット、約50ユニット~約1,000ユニット、約50ユニット~約5,000ユニット、約50ユニット~約10,000ユニット、約50ユニット~約50,000ユニット、約50ユニット~約100,000ユニット、約50ユニット~約500,000ユニット、約50ユニット~約1,000,000ユニット、約100ユニット~約500ユニット、約100ユニット~約1,000ユニット、約100ユニット~約5,000ユニット、約100ユニット~約10,000ユニット、約100ユニット~約50,000ユニット、約100ユニット~約100,000ユニット、約100ユニット~約500,000ユニット、約100ユニット~約1,000,000ユニット、約500ユニット~約1,000ユニット、約500ユニット~約5,000ユニット、約500ユニット~約10,000ユニット、約500ユニット~約50,000ユニット、約500ユニット~約100,000ユニット、約500ユニット~約500,000ユニット、約500ユニット~約1,000,000ユニット、約1,000ユニット~約5,000ユニット、約1,000ユニット~約10,000ユニット、約1,000ユニット~約50,000ユニット、約1,000ユニット~約100,000ユニット、約1,000ユニット~約500,000ユニット、約1,000ユニット~約1,000,000ユニット、約5,000ユニット~約10,000ユニット、約5,000ユニット~約50,000ユニット、約5,000ユニット~約100,000ユニット、約5,000ユニット~約500,000ユニット、約5,000ユニット~約1,000,000ユニット、約10,000ユニット~約50,000ユニット、約10,000ユニット~約100,000ユニット、約10,000ユニット~約500,000ユニット、約10,000ユニット~約1,000,000ユニット、約50,000ユニット~約100,000ユニット、約50,000ユニット~約500,000ユニット、約50,000ユニット~約1,000,000ユニット、約100,000ユニット~約500,000ユニット、約100,000ユニット~約1,000,000ユニット、または約500,000ユニット~約1,000,000ユニットであり得る。いくつかの実施形態では、各細胞外小胞は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現し、このユニット数は、約5ユニット、約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、約500,000ユニット、または約1,000,000ユニットであり得る。いくつかの実施形態では、各細胞外小胞は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現し、このユニット数は、最小で約5ユニット、約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、または約500,000ユニットであり得る。いくつかの実施形態では、各細胞外小胞は、細胞外小胞の表面に免疫チェックポイント部分のユニット数を発現し、このユニット数は、最大で約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、約500,000ユニット、または約1,000,000ユニットであり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、細胞外小胞の表面に、本明細書に記載の免疫のチェックポイント部分の任意のユニット数を発現する細胞外小胞の異種集団を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、細胞外小胞の表面上に、ある範囲の免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する細胞外小胞の均質集団を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、約5ユニット~約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、約5ユニット~約10ユニット、約5ユニット~約50ユニット、約5ユニット~約100ユニット、約5ユニット~約500ユニット、約5ユニット~約1,000ユニット、約5ユニット~約5,000ユニット、約5ユニット~約10,000ユニット、約5ユニット~約50,000ユニット、約5ユニット~約100,000ユニット、約5ユニット~約500,000ユニット、約5ユニット~約1,000,000ユニット、約10ユニット~約50ユニット、約10ユニット~約100ユニット、約10ユニット~約500ユニット、約10ユニット~約1,000ユニット、約10ユニット~約5,000ユニット、約10ユニット~約10,000ユニット、約10ユニット~約50,000ユニット、約10ユニット~約100,000ユニット、約10ユニット~約500,000ユニット、約10ユニット~約1,000,000ユニット、約50ユニット~約100ユニット、約50ユニット~約500ユニット、約50ユニット~約1,000ユニット、約50ユニット~約5,000ユニット、約50ユニット~約10,000ユニット、約50ユニット~約50,000ユニット、約50ユニット~約100,000ユニット、約50ユニット~約500,000ユニット、約50ユニット~約1,000,000ユニット、約100ユニット~約500ユニット、約100ユニット~約1,000ユニット、約100ユニット~約5,000ユニット、約100ユニット~約10,000ユニット、約100ユニット~約50,000ユニット、約100ユニット~約100,000ユニット、約100ユニット~約500,000ユニット、約100ユニット~約1,000,000ユニット、約500ユニット~約1,000ユニット、約500ユニット~約5,000ユニット、約500ユニット~約10,000ユニット、約500ユニット~約50,000ユニット、約500ユニット~約100,000ユニット、約500ユニット~約500,000ユニット、約500ユニット~約1,000,000ユニット、約1,000ユニット~約5,000ユニット、約1,000ユニット~約10,000ユニット、約1,000ユニット~約50,000ユニット、約1,000ユニット~約100,000ユニット、約1,000ユニット~約500,000ユニット、約1,000ユニット~約1,000,000ユニット、約5,000ユニット~約10,000ユニット、約5,000ユニット~約50,000ユニット、約5,000ユニット~約100,000ユニット、約5,000ユニット~約500,000ユニット、約5,000ユニット~約1,000,000ユニット、約10,000ユニット~約50,000ユニット、約10,000ユニット~約100,000ユニット、約10,000ユニット~約500,000ユニット、約10,000ユニット~約1,000,000ユニット、約50,000ユニット~約100,000ユニット、約50,000ユニット~約500,000ユニット、約50,000ユニット~約1,000,000ユニット、約100,000ユニット~約500,000ユニット、約100,000ユニット~約1,000,000ユニット、または約500,000ユニット~約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、少なくとも約5ユニット、約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、約500,000ユニット、または約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、少なくとも最小で約5ユニット、約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、または約500,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、少なくとも最大で約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、約500,000ユニット、または約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。
【0065】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、多くとも約5ユニット~約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、多くとも約5ユニット~約10ユニット、約5ユニット~約50ユニット、約5ユニット~約100ユニット、約5ユニット~約500ユニット、約5ユニット~約1,000ユニット、約5ユニット~約5,000ユニット、約5ユニット~約10,000ユニット、約5ユニット~約50,000ユニット、約5ユニット~約100,000ユニット、約5ユニット~約500,000ユニット、約5ユニット~約1,000,000ユニット、約10ユニット~約50ユニット、約10ユニット~約100ユニット、約10ユニット~約500ユニット、約10ユニット~約1,000ユニット、約10ユニット~約5,000ユニット、約10ユニット~約10,000ユニット、約10ユニット~約50,000ユニット、約10ユニット~約100,000ユニット、約10ユニット~約500,000ユニット、約10ユニット~約1,000,000ユニット、約50ユニット~約100ユニット、約50ユニット~約500ユニット、約50ユニット~約1,000ユニット、約50ユニット~約5,000ユニット、約50ユニット~約10,000ユニット、約50ユニット~約50,000ユニット、約50ユニット~約100,000ユニット、約50ユニット~約500,000ユニット、約50ユニット~約1,000,000ユニット、約100ユニット~約500ユニット、約100ユニット~約1,000ユニット、約100ユニット~約5,000ユニット、約100ユニット~約10,000ユニット、約100ユニット~約50,000ユニット、約100ユニット~約100,000ユニット、約100ユニット~約500,000ユニット、約100ユニット~約1,000,000ユニット、約500ユニット~約1,000ユニット、約500ユニット~約5,000ユニット、約500ユニット~約10,000ユニット、約500ユニット~約50,000ユニット、約500ユニット~約100,000ユニット、約500ユニット~約500,000ユニット、約500ユニット~約1,000,000ユニット、約1,000ユニット~約5,000ユニット、約1,000ユニット~約10,000ユニット、約1,000ユニット~約50,000ユニット、約1,000ユニット~約100,000ユニット、約1,000ユニット~約500,000ユニット、約1,000ユニット~約1,000,000ユニット、約5,000ユニット~約10,000ユニット、約5,000ユニット~約50,000ユニット、約5,000ユニット~約100,000ユニット、約5,000ユニット~約500,000ユニット、約5,000ユニット~約1,000,000ユニット、約10,000ユニット~約50,000ユニット、約10,000ユニット~約100,000ユニット、約10,000ユニット~約500,000ユニット、約10,000ユニット~約1,000,000ユニット、約50,000ユニット~約100,000ユニット、約50,000ユニット~約500,000ユニット、約50,000ユニット~約1,000,000ユニット、約100,000ユニット~約500,000ユニット、約100,000ユニット~約1,000,000ユニット、または約500,000ユニット~約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、多くとも約5ユニット、約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、約500,000ユニット、または約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、多くとも最小で約5ユニット、約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、または約500,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、多くとも最大で約10ユニット、約50ユニット、約100ユニット、約500ユニット、約1,000ユニット、約5,000ユニット、約10,000ユニット、約50,000ユニット、約100,000ユニット、約500,000ユニット、または約1,000,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。
【0066】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、約1,000ユニット~約10,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、約1,000ユニット~約1,500ユニット、約1,000ユニット~約2,000ユニット、約1,000ユニット~約2,500ユニット、約1,000ユニット~約3,000ユニット、約1,000ユニット~約4,000ユニット、約1,000ユニット~約5,000ユニット、約1,000ユニット~約6,000ユニット、約1,000ユニット~約7,000ユニット、約1,000ユニット~約8,000ユニット、約1,000ユニット~約9,000ユニット、約1,000ユニット~約10,000ユニット、約1,500ユニット~約2,000ユニット、約1,500ユニット~約2,500ユニット、約1,500ユニット~約3,000ユニット、約1,500ユニット~約4,000ユニット、約1,500ユニット~約5,000ユニット、約1,500ユニット~約6,000ユニット、約1,500ユニット~約7,000ユニット、約1,500ユニット~約8,000ユニット、約1,500ユニット~約9,000ユニット、約1,500ユニット~約10,000ユニット、約2,000ユニット~約2,500ユニット、約2,000ユニット~約3,000ユニット、約2,000ユニット~約4,000ユニット、約2,000ユニット~約5,000ユニット、約2,000ユニット~約6,000ユニット、約2,000ユニット~約7,000ユニット、約2,000ユニット~約8,000ユニット、約2,000ユニット~約9,000ユニット、約2,000ユニット~約10,000ユニット、約2,500ユニット~約3,000ユニット、約2,500ユニット~約4,000ユニット、約2,500ユニット~約5,000ユニット、約2,500ユニット~約6,000ユニット、約2,500ユニット~約7,000ユニット、約2,500ユニット~約8,000ユニット、約2,500ユニット~約9,000ユニット、約2,500ユニット~約10,000ユニット、約3,000ユニット~約4,000ユニット、約3,000ユニット~約5,000ユニット、約3,000ユニット~約6,000ユニット、約3,000ユニット~約7,000ユニット、約3,000ユニット~約8,000ユニット、約3,000ユニット~約9,000ユニット、約3,000ユニット~約10,000ユニット、約4,000ユニット~約5,000ユニット、約4,000ユニット~約6,000ユニット、約4,000ユニット~約7,000ユニット、約4,000ユニット~約8,000ユニット、約4,000ユニット~約9,000ユニット、約4,000ユニット~約10,000ユニット、約5,000ユニット~約6,000ユニット、約5,000ユニット~約7,000ユニット、約5,000ユニット~約8,000ユニット、約5,000ユニット~約9,000ユニット、約5,000ユニット~約10,000ユニット、約6,000ユニット~約7,000ユニット、約6,000ユニット~約8,000ユニット、約6,000ユニット~約9,000ユニット、約6,000ユニット~約10,000ユニット、約7,000ユニット~約8,000ユニット、約7,000ユニット~約9,000ユニット、約7,000ユニット~約10,000ユニット、約8,000ユニット~約9,000ユニット、約8,000ユニット~約10,000ユニット、または約9,000ユニット~約10,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、約1,000ユニット、約1,500ユニット、約2,000ユニット、約2,500ユニット、約3,000ユニット、約4,000ユニット、約5,000ユニット、約6,000ユニット、約7,000ユニット、約8,000ユニット、約9,000ユニット、または約10,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、最小で約1,000ユニット、約1,500ユニット、約2,000ユニット、約2,500ユニット、約3,000ユニット、約4,000ユニット、約5,000ユニット、約6,000ユニット、約7,000ユニット、約8,000ユニット、または約9,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団は、最大で約1,500ユニット、約2,000ユニット、約2,500ユニット、約3,000ユニット、約4,000ユニット、約5,000ユニット、約6,000ユニット、約7,000ユニット、約8,000ユニット、約9,000ユニット、または約10,000ユニットの免疫チェックポイント部分のユニット数を発現する。
【0067】
膜貫通部分
本明細書中のいくつかの実施形態では、膜貫通部分を含む細胞外小胞を含む組成物が記載される。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、完全長タンパク質、その変形、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、14-3-3タンパク質ゼータ/デルタ、4-3-3タンパク質イプシロン、78kDaグルコース調節タンパク質、アセチルコリンエステラーゼ/AChE-S、AChE-E、アクチン、細胞質1(ACTA)、ADAM10、アルカリンホスファターゼ、α-エノラーゼ、α-シヌクレイン、アミノペプチダーゼN、アミロイドβ A4/APP、アネキシン5A、アネキシンA2、AP-1、ATF3、ATPシトレートリアーゼ、ATPアーゼ、βアクチン(ACTB)、β-アミロイド42、カベオリン1、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD14、CD142、CD146、CD163、CD24、CD26/DPP4、CD29/ITGB1、CD3、CD37、CD41、CD42a、CD44、CD45、CD47、CD49、CD49d、CD53、CD63、CD64、CD69、CD73、CD81、CD82、CD9、CD90、クローディン、クローディン1、コフィリン-1、補体結合タンパク質CD55およびCD59、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90α、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90β、EBV LMP1、EBV LMP2A、EF-1α-1、EF2、EFGR EGFR VIII、エムプリン/CD147、エノラーゼ1α(ENO1)、EPCAM、ERBB2、テトラスパニン(CD9、CD63、およびCD81)、脂肪酸シンターゼ、フェツインA、フロチリン-1、フロチリン-2、フルクトース二リン酸アルドラーゼA、グリセリンアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、グリコホリンA、GPC1、GPIアンカー5’ヌクレオチダーゼ、GTPアーゼ、熱ショックタンパク質8(HSPA8)、熱ショックタンパク質(HSP70およびHSP90)、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ヘパリナーゼ、ヘテロ三量体Gタンパク質、HIV Gag、HIV Nef、HLA-DRA、HLA-G、HSV gB、HTLV-1 Tax、ハンチンチン、ICAM1、インテグリン、ラクトアドヘリン、LAMP1/2、LAMP2b、ロイシンリッチ受容体キナーゼ2、L-乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、リソソーム関連膜糖タンパク質1、リソソーム関連膜糖タンパク質2、MHCクラスI、MHCクラスII、MUC1、多剤耐性関連タンパク質、筋肉ピルビン酸キナーゼ(PKM2)、N-カドヘリン、NKCC2、PDCD6IP/Alix、PECAM1、ホスホグリセレートキナーゼ、胎盤プリオンタンパク質、前立腺特異抗原(PSA)、ピルビン酸キナーゼ(PKM)、Rab-14、Rab-5a、Rab-5b、Rab-5c、Rab-7、Rap 1B、レジスチン、ソニックヘッジホッグ(SHH))、サバイビング、シンデカン-1、シンデカン-4、シンテニン-1、トランスフェリン受容体(TFR2)、TSG101、TSPAN8、腫瘍関連糖タンパク質テトラスパニン-8、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、TYRP-2、液胞選別タンパク質35、またはゼータポリペプチド(YWHAZ)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、ラクトアドヘリンを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、ラクトアドヘリンのC1C2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、LAMP2を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、LAMP2のLAMP様ドメイン1を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、LAMP2bを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、配列番号4(表2)に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のペプチドを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、配列番号4に対して100%同一のペプチドを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、GPIのグリカン部分を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、GPIの脂質部分を含む。場合により、膜貫通部分は、CD63を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、配列番号5(表2)に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のペプチドを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、配列番号5に対して100%同一のペプチドを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、修飾されたCD63を含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、少なくとも1つのCD63膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、CD63の膜貫通ドメイン1(TM1)、CD63の膜貫通ドメイン2(TM2)、CD63の膜貫通ドメイン3(TM3)、CD63の膜貫通ドメイン4(TM4)、またはこれらの任意の組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くのCD63の膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、1つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、2つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、3つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、4つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、5つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、6つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、7つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、8つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、9つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、10の膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、少なくとも1つの膜貫通ドメインが取り除かれるトランケートされたCD63であってもよい。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、CD63のトランケーション、およびCD63の少なくとも1つの膜貫通ドメインの追加であってもよい。例えば、修飾されたCD63は、TM1を取り除くためにN末端においてトランケートされ、さらには追加のTM3とTM4を含むことで、膜貫通ドメインをCD63、TM2、TM3、TM4、TM3、TM4の順で含む修飾されたCD63をもたらす場合がある。
【0068】
【表2】
【0069】
いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、修飾されたCD63の非膜貫通ドメイン(細胞質ループまたは細胞外ループのいずれか)を挿入または置換することを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、免疫チェックポイント部分により挿入または置換される細胞質ループを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたCD63は、免疫チェックポイント部分により挿入または置換される細胞外ループを含む。例えば、免疫チェックポイント部分を含むポリペプチドは、修飾されたCD63の細胞外ループへと挿入可能である。代替的に、免疫チェックポイント部分を含むポリペプチドは、修飾されたCD63の細胞外ループのフラグメントを置換可能である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、修飾されたCD63のトランケートされたバージョンに融合可能である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、修飾されたCD63のN末端に融合可能であり、この場合、修飾されたCD63は、膜貫通ドメインのうち少なくとも1つおよび/または非膜貫通ドメインのうち少なくとも1つを取り除くためにN末端においてトランケートされる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、修飾されたCD63のN末端に融合可能であり、この場合、修飾されたCD63は、膜貫通ドメインのうち少なくとも1つおよび/または非膜貫通ドメインのうち少なくとも1つを取り除くためにN末端においてトランケートされる。
【0070】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、リンカーを介してCD63などの膜貫通部分に融合可能である。いくつかの実施形態では、リンカーはリンカーペプチドである。リンカーペプチドは、膜貫通部分同士を接続する役目を果たす以外にも、場合により、協同的なドメイン間相互作用を維持し、生物活性を維持するなど、他の多くの機能を提供する(Gokhale RS,Khosla C.Role of linkers in communication between protein modules.Curr Opin Chem Biol.2000;4:22-27、Ikebe M,Kambara T,Stafford WF,Sata M,Katayama E,Ikebe R.A hinge at the central helix of the regulatory light chain of myosin is critical for phosphorylation-dependent regulation of smooth muscle myosin motor activity.J Biol Chem.1998;273:17702-17707、およびChen XY,Zaro J,and Shen WC.Fusion protein linkers:property,design and functionality.Adv Drug Deliv Rev 2014;65,1357-1369が、本明細書で引用される)。リンカーペプチドは、小型、中型、および大型のリンカーにグループ分け可能であり、それぞれ、平均長が最大4.5±0.7、9.1±2.4、および21.0±7.6以上または未満の残基があるが、これら3つの範囲で定められる組の中にあるあらゆる例も、企図される。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、5~200のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、5~25のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、切断可能である(例えば、Tevプロテアーゼにより認識かつ切断可能なペプチド配列を含むリンカーペプチド)
【0071】
配列番号6~17は、膜貫通部分CD63に融合する免疫チェックポイント部分PD-L1の様々な配置を例示する(表3)。
【0072】
【表3-1】
【0073】
【表3-2】
【0074】
【表3-3】
【0075】
【表3-4】
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号6に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号6に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号6に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号7に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号7に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号7に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号8に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号8に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号8に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号9に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号9に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号9に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号10に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号10に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号10に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号11に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号11に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号11に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号12に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号12に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号12に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号13に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号13に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号13に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号14に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号14に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号14に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号15に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号15に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号15に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号16に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号16に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号16に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号17に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞は、配列番号17に対して100%同一のポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、配列番号17に相当する発現されたポリペプチドは、部分的に細胞外小胞の膜に埋め込まれ、部分的に細胞外小胞の表面に発現される。
【0088】
いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、本明細書に記載の免疫チェックポイント部分と複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、本明細書に記載の免疫チェックポイント部分と非共有結合的に複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、本明細書に記載の免疫チェックポイント部分と共有結合により複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、膜貫通部分のN末端にて本明細書に記載の免疫チェックポイント部分に融合可能である。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、膜貫通部分のC末端にて本明細書に記載の免疫チェックポイント部分に融合可能である。
【0089】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、疾患または障害を処置するための治療特性を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、本明細書に記載の自己免疫疾患を処置するための治療特性を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、免疫細胞の活性を標的とし、調節する。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、およびTヘルパー細胞を含むT細胞であり得る。
【0090】
標的化部分
本明細書中のいくつかの実施形態では、標的化部分を含む細胞外小胞が記載される。いくつかの実施形態では、標的化部分は、細胞外小胞の表面に発現される場合がある。いくつかの実施形態では、標的化部分は、細胞外小胞により分泌される場合がある。標的細胞または標的環境において局在化する標的化部分を含む細胞外ビヒクルは、標的化部分を欠く細胞外小胞の局在化と比較して少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または10,000倍高い。いくつかの実施形態では、標的化部分は、CD19+B細胞を標的とするEBV糖タンパク質350を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、ニューロン上のアセチルコリン受容体を標的とするLamp2bを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、免疫細胞または血液細胞を標的とするラクトアドヘリンのC1C2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、EGFRを発現するEGFRまたは細胞を標的とするPDGFRを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、GPIアンカー膜タンパク質を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、細胞表面タンパク質、または標的細胞により分泌されるタンパク質を標的とする場合がある。細胞表面タンパク質または分泌タンパク質の非限定的な例は、本明細書に記載のケモカイン類のいずれか1つを含む。
【0092】
医薬組成物
本明細書には、本明細書に記載の組成物を含む医薬組成物が記載される。いくつかの実施形態では、この医薬組成物は、細胞外小胞を含む組成物と、細胞外小胞を分泌する細胞との両方を含む。医薬組成物は、本明細書で使用するとき、細胞外小胞を含む治療薬を、担体、賦形剤、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香料、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、保湿剤、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存料、またはこれらの1つ以上の組合せなどの他の化学成分(すなわち、薬学的に許容可能な不活性成分)と混合したものを指す。任意選択で、組成物は、本明細書で論じられるような2つ以上の治療薬(例えば、1つ以上の治療薬および1つ以上の追加の薬剤)を含む。本明細書に提供される処置または使用の方法を実施する際に、本明細書に記載の治療上有効量の治療薬は、医薬組成物に含めて、処置される疾患、障害、または疾病、例えば自己免疫疾患を抱える哺乳動物に投与される。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。治療上有効量は、疾患の重症度、対象の年齢と相対的な健康状態、使用される治療薬の効能、および他の要因に応じて変動する場合がある。本明細書に記載の治療薬は、単独で、または混合物の成分として1つ以上の治療薬と組み合わせて使用可能である。
【0093】
本明細書に記載の医薬製剤は、静脈内、動脈内、経口、非経口、頬側、局所、経皮、直腸、筋肉内、皮下、骨内、口腔粘膜、吸入、または腹腔内を含むがこれらに限定されない適切な投与経路により対象に投与される。本明細書に記載の医薬製剤として、水性液体分散液、自己乳化分散液、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、ならびに即時混合および制御放出製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
治療薬を含む医薬組成物は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、粒状化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入、圧縮のプロセスなどの従来様式で製造される。
【0095】
医薬組成物は、遊離酸または遊離塩基形態、または薬学的に許容可能な塩形態の活性成分として、少なくとも1つの治療薬を含む場合がある。加えて、本明細書に記載の方法と医薬組成物は、N-オキシド(適切な場合)、結晶形態、非結晶相に加え、同じ種類の活性を有する先述の化合物の活性代謝物の使用を含む。いくつかの実施形態では、治療薬は、非溶媒和形態、または水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在する。治療薬の溶媒和形態は、本明細書に開示されるものとしても考慮される。
【0096】
いくつかの実施形態では、治療薬は互変異性体として存在する。互変異性体はすべて、本明細書で提供される薬剤の範囲内に含まれる。そのため、治療薬またはその塩は、互変異性の現象を示す場合があり、それにより2つの化学化合物は、2つの原子間で水素原子を交換することにより容易に相互転換することができ、そのいずれかに対して共有結合を形成することを理解されたい。互変異性体化合物は、互いに平衡移動状態で存在するため、同化合物の異なる異性体形態とみなされてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、治療薬は、エナンチオマー、ジアステレオマー、または他の立体異性体の形態として存在する。本明細書に開示される薬剤は、すべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびエピマーの形態のほか、それらの混合物も含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療薬は、プロドラッグとして調製されてもよい。「プロドラッグ」とは、in vivoで親薬物へと変換される薬剤を指す。プロドラッグがしばしば有効な理由としては、状況に応じてプロドラッグは親薬物よりも投与が容易な場合があるためである。プロドラッグは、例えば経口投与により生物学的に利用可能な場合があるが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物中の溶解度が親薬物以上に改善されている場合がある。プロドラッグの非限定的な例は、本明細書に記載の治療薬である。該治療薬は、水溶解度が移動度に害を及ぼす細胞膜全体にわたる伝達を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、水溶性が有益となる細胞内部に入ると、活性部分であるカルボン酸へ代謝的に加水分解される。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが代謝されることで活性部分を明らかにする酸基に結合される短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であってもよい。ある実施形態では、インビボでの投与に際し、プロドラッグは、治療薬の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態へと化学的に変換される。ある実施形態では、プロドラッグは、1つ以上の工程またはプロセスにより、治療薬の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される。
【0099】
プロドラッグがin vivoで代謝されると本明細書に明記されるような薬剤を生成する、治療薬のプロドラッグ形態は、特許請求の範囲内に含まれる。プロドラッグがin vivoで代謝されると本明細書に明記されるような薬剤を生成する、本明細書に記載の治療薬のプロドラッグ形態は、特許請求の範囲内に含まれる。場合により、本明細書に記載の治療薬の一部は、別の誘導体または活性化合物に対するプロドラッグであってもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ヒドラゾンは、in vivoで代謝されることで治療薬を産生する。
【0100】
ある実施形態では、本明細書に提供される組成物は、微生物活性を阻害するために1つ以上の保存料を含む。適切な保存料として、メルフェン(merfen)やチオメルサールなどの水銀含有物質、安定した二酸化塩素、および塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジウムなどの第四アンモニウム化合物が挙げられる。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、および他の一般的な安定化剤から利益を得る。このような安定化剤の例として、(a)グリセロール約0.5%~約2%w/v、(b)メチオニン約0.1%~約1%w/v、(c)モノチオグリセロール約0.1%~約2%w/v、(d)EDTA約1mM~約10mM、(e)アスコルビン酸約0.01%~約2%w/v、(f)ポリソルベート80 0.003%~約0.02%w/v、(g)ポリソルベート20 0.001%~約0.05%w/v、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートなどのヘパリノイド、(m)マグネシウムや亜鉛などの二価カチオン、または(n)これらの組合せが挙げられる。
【0102】
本明細書に記載の医薬組成物は、経口分散水溶液、液体、ゲル、シロップ、エリキシル、スラリー、懸濁液、固体経口剤形、エアロゾル、制御放出製剤、速溶製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、粉末剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、ならびに即時放出および制御放出製剤の混合を含むがこれらに限定されない、任意の好適な剤形へと製剤化される。一態様では、本明細書で論じられるような治療薬、例えば治療薬は、筋肉内、皮下、または静脈内注射に適切な医薬組成物へと製剤化される。一態様では、筋肉内、皮下、または静脈内注射に適切な製剤として、生理学的に許容可能な滅菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、あるいはエマルジョン、および滅菌した注射溶液または分散液へと再構築される滅菌粉末剤が挙げられる。適切な水溶性および非水溶性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモホールなど)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には所望の粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。いくつかの実施形態では、皮下注射に適切な製剤はまた、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの添加剤を含有する。微生物増殖の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤により確実にすることができる。場合により、糖や塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましい。注射可能な医薬品形態の長期間吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の使用により引き起こすことができる。
【0103】
静脈内注射、点滴、または注入では、本明細書に記載の治療薬は、水溶液、好ましくはハンクス液、リンガー液、または緩衝生理食塩水などの生理学的に適合可能な緩衝液中で製剤化される。口腔粘膜投与では、浸透対象の障壁に適切な浸透剤が、製剤に使用される。こうした浸透剤は、概して当該技術分野で知られている。他の非経口注射では、適切な製剤は、好ましくは生理学的に適合可能な緩衝液または賦形剤とともに、水溶液または非水溶液を含む。かかる賦形剤は、既知のものである。
【0104】
非経口注射は、ボーラス注射または持続注射を必要とする場合がある。注射用の製剤は、追加の保存料とともに単位剤形で、例えばアンプルまたは複数回用量容器に入れて提供されてもよい。本明細書に記載の医薬組成物は、油性または水性溶媒中の滅菌懸濁液、溶液、あるいはエマルジョンとして非経口注射に適した形態であってもよく、かつ懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含んでもよい。一態様では、活性成分は、使用前に、適切な溶媒、例えば、発熱性物質除去蒸留水を含む構成のための粉末形態にある。
【0105】
吸入投与では、治療薬は、エアロゾル、ミスト、または粉末剤としての使用のために製剤化される。本明細書に記載の医薬組成物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体を用いて、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー提供の形態で都合良く送達される。加圧エアロゾルの場合、投与ユニットは、バルブを設けて計量済の量を送達することにより決定されてもよい。ほんの一例として、吸入器または注入器に使用されるゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジは、本明細書に記載の治療薬と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基材との粉末混合物を包含して製剤化されてもよい。
【0106】
代表的な鼻腔内製剤は、例えば米国特許第4,476,116号、5,116,817号、および6,391,452号に記載されている。治療薬を含む製剤は、当該技術分野で知られるベンジルアルコールまたは他の適切な保存料、フルオロカーボン、および/あるいは他の可溶化剤または分散剤を利用して、生理食塩水中の溶液として調製される。例えば、Ansel,H.C.et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Sixth Ed.(1995)を参照されたい。好ましくは、これら組成物と製剤は、薬学的に許容可能な適切な無毒の成分とともに調製される。これら成分は、鼻腔剤形の調製において当業者に知られており、これらの一部は、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,21st edition,2005において確認できる。適切な担体の選択は、所望の鼻腔剤形、例えば溶液、懸濁液、軟膏、またはゲルの正確な性質に左右される。鼻用剤形は、全体として有効成分に加えて大量の水を含有している。pH調節剤、乳化剤または分散剤、防腐剤、界面活性剤、ゲル化剤、あるいは緩衝化剤、ならびに他の安定化剤および可溶化剤などの他の成分も、任意選択で少量で存在する。好ましくは、鼻用剤形は、鼻の分泌物と等張である必要がある。
【0107】
経口用の医薬調製物は、1つ以上の固体の賦形剤を、本明細書に記載の1つ以上の治療薬と混合し、結果生じる混合物を任意選択で粉砕し、必要に応じて適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コア(dragee cores)を得ることにより得られる。適切な賦形剤として、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、あるいはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)やリン酸カルシウムなどのその他賦形剤が挙げられる。必要に応じて、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩といった崩壊剤が添加される。いくつかの実施形態では、活性な治療薬の投与量の同定のために、またはそれらの様々な組合せを特徴づけるために、染料または色素が、錠剤または糖衣錠コーティングに添加される。
【0108】
いくつかの実施形態では、治療薬の医薬製剤は、ゼラチン製の押込み式カプセルのほか、ゼラチン、およびグリセロールやソルビトールなどの可塑剤で作られた密封された軟カプセルを含むカプセルの形態にある。押込み式カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/あるいはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意選択で安定剤との混合物中に活性成分を含む。軟カプセルでは、活性治療薬は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁される。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。カプセルは、例えばカプセル内部に治療薬の製剤の大量の混合物を入れることにより調製することができる。いくつかの実施形態では、製剤(非水性懸濁液および溶液)は、軟ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの標準のゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、スプリンクル(sprinkle)カプセルに入れられる。このカプセルは、カプセル全体が飲み込まれる、または開封してから食事前に食物の上に中身が散布される(sprinkled)ものである。
【0109】
経口投与用の製剤はすべて、このような投与に適した剤形である。一態様では、固形経口剤形は、治療薬と、抗酸化剤、芳香剤、ならびに、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体材料(carrier materials)のうち1つ以上とを混合することにより調製される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される固形剤形は、錠剤(懸濁錠剤、速溶錠剤、咬合崩壊錠剤(bite-disintegration tablet)、急速崩壊錠剤(rapid-disintegration tablet)、発泡錠剤、またはカプレットを含む)、丸剤、粉末剤、カプセル剤、固形分散剤、固溶体、生体内分解性の剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多微粒子剤形、ビーズ、ペレット剤、果粒剤の形態である。他の実施形態では、医薬製剤は、粉末剤の形態にある。圧縮錠剤は、上述の製剤のバルク混合物の圧縮により調製される固形剤形である。様々な実施形態では、錠剤は1つ以上の芳香剤を含む。他の実施形態では、この錠剤は、最終圧縮された錠剤を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、製剤からの治療薬の放出を遅くすることができる。他の実施形態では、フィルムコーティングは、患者のコンプライアンスを補助する(例えばOpadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、一般的に錠剤の約1重量%~約3重量%に及ぶ。いくつかの実施形態では、固形剤形、例えば錠剤、発泡錠剤、およびカプセル剤は、治療薬の粒子を1つ以上の医薬賦形剤と混合してバルク混合組成物を形成することにより調製される。バルク混合物は、錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの等しく有効な単位剤形へと容易に細分化される。いくつかの実施形態では、個々の単位用量は、フィルムコーティングを含む。これら製剤は、従来の製剤技法により製造される。
【0110】
別の態様では、剤形は、マイクロカプセル化製剤を含む。いくつかの実施形態では、その他1つ以上の適合性材料が、マイクロカプセル化材料に存在する。例示的な材料として、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、ならびに結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的で有用なマイクロカプセル化材料として、Klucel(登録商標)またはNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L-HPC)、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)-E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843などのヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)-A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレートAqoat(HF-LS、HF-LG、HF-MS)、Metolose(登録商標)などのメチルセルロースポリマー、エチルセルロース(EC)とその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)、Opadry AMBなどのポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)-CMCなど、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、修飾食物デンプン、アクリルポリマー、アクリルポリマーとEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D-55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40Dなどのセルロースエーテルとの混合物、酢酸フタル酸セルロース、HPMCとステアリン酸との混合物などのセピフィルム(sepifilms)、シクロデキストリン、ならびにこれら材料の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
経口投与用の液体製剤の剤形は、任意選択で、薬学的に許容可能な経口分散水溶液、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、およびシロップ剤を含むがこれらに限定されない群から選択された懸濁水溶液である。例えば、Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.754-757(2002)を参照されたい。治療薬に加えて、液体剤形は任意選択で、(a)崩壊剤、(b)分散剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも1つの防腐剤、(e)粘性促進剤、(f)少なくとも1つの甘味料、および(g)少なくとも1つの香料などの添加剤を含む。いくつかの実施形態では、分散水溶液は、結晶形成阻害剤をさらに含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、自己乳化式薬物送達システム(SEDDS)である。エマルジョンは、別の形態、通常は液滴形態にある1つの不混和相の分散液である。通常、エマルジョンは活発な機械的分散によって作製される。SEDDSは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンとは対照的に、任意の外部の機械的分散または撹拌を必要とすることなく過剰量の水に添加されると、エマルジョンを自発的に形成する。SEDDSの利点は、溶液全体に液滴を分布させるのに必要なのは軽い混合のみであるという点である。加えて、水または水相は、任意選択で投与直前に添加され、これにより不安定または疎水性の有効成分の安定性が確保される。ゆえにSEDDSは、疎水性活性成分の経口および非経口送達に効果的な送達システムを提供する。いくつかの実施形態では、SEDDSは、疎水性活性成分のバイオアベイラビリティを改善する。自己乳化剤形を産生する方法として、米国特許第5,858,401号、6,667,048号、および6,960,563号が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
治療薬を含む頬側剤形は、当該分野で既知の様々な剤形を用いて投与される。例えばこのような製剤として、米国特許第4,229,447号、4,596,795号、4,755,386号、および5,739,136号が挙げられるが、これらに限定されるものではない。加えて、本明細書に記載の頬側剤形は、頬粘膜に剤形を付着させる役目も果たす生体内分解性(加水分解性)のポリマー担体をさらに含むことができる。頬側または舌下投与では、組成物は、従来様式で製剤化された錠剤、ロゼンジ、またはゲル剤の形態を呈してもよい。
【0114】
静脈内注射では、治療薬は、水溶液中で、好ましくはハンク液、リンガー液、または緩衝生理食塩水などの生理学的に適合可能な緩衝剤に入れて製剤化される。口腔粘膜投与では、浸透対象の障壁に適切な浸透剤が、製剤に使用される。他の非経口注射では、適切な製剤は、好ましくは生理学的に適合可能な緩衝液または賦形剤とともに、水溶液または非水溶液を含む。
【0115】
非経口注射は、任意選択でボーラス注射または持続注射を必要とする。注射用製剤は、任意選択で単位剤形、例えば、アンプルまたは複数回用量の容器に入れて、追加の保存料とともに提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、油性または水性溶媒中の滅菌懸濁液、水溶液、またはエマルジョンとして非経口注射に適切な形態にあり、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの調合剤を含有する。非経口投与用の医薬製剤は、水溶液形態で頚動脈小体の活性を調節する薬剤の水溶液を含む。加えて、頚動脈小体の活性を調節する薬剤の懸濁液は、任意選択で適切なもの、例えば油性注射懸濁液として調製される。
【0116】
従来の製剤技法として、例えば以下の方法の1つまたは組合せが挙げられる:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥または非水性の造粒、(5)湿式造粒法、あるいは(6)融合。他の方法として、例えば噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えばウースターコーティング)、接点コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押出しなどが挙げられる。
【0117】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な担体として、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な充填剤として、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な崩壊剤として、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然デンプン、α化デンプン、またはデンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、例えば、メチル結晶性セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、クロスカルメロース、または架橋結合セルロース、例えば架橋結合ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋結合カルボキシメチルセルロース、または架橋結合クロスカルメロース、架橋デンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、架橋結合ポリマー、例えばクロスポビドン、架橋結合ポリビニルピロリドン、アルギネート、例えばアルギン酸またはアルギン酸の塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、またはトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
結合剤は、固形経口剤形製剤に粘着性を付与する。粉末を充填したカプセル製剤では、結合剤は、軟シェルまたは硬シェルのカプセルに充填可能な栓の形成を補助し、錠剤製剤では、圧縮後に錠剤が確実に無傷で残るようにし、圧縮または充填の工程前に均一な混合の確保を支援する。本明細書に記載の固形剤形中の結合剤として使用される適切な材料として、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、および微結晶性セルロース、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガント、デキストリン、糖、例えばスクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクトース、天然または合成ガム、例えばアカシア、トラガント、ガティガム、イサポールハスクの粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン、カラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
一般に、20~70%の結合剤レベルが、粉末を充填したゼラチンカプセル製剤に使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮、または、それ自体が適度の結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤のいずれかを使用することで変動する。錠剤製剤では、最大70%の結合剤レベルが一般的である。
【0122】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な潤滑剤または流動促進剤として、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール、またはメトキシポリエチレングリコール、例えばCarbowax(登録商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン(glyceryl palmitostearate)、安息香酸グリセリル、マグネシウム、あるいはラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な希釈剤として、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、多糖類(デキストラートおよびバクガデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な湿潤剤として、例えばオレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが挙げられる。
【0125】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な界面活性剤として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などが挙げられる。
【0126】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な懸濁剤として、ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000、約3350~約4000、または約7000~約5400の分子量を有する)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えば、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖類、セルロース系、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポビドンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
本明細書に記載の固形剤形に使用される適切な抗酸化剤として、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロールが挙げられる。
【0128】
本明細書に記載の固形剤形に使用される添加剤間には、相当な重なりが存在することを理解されたい。ゆえに、上で列記した添加剤は、本明細書に記載の医薬組成物の固形剤形に含めることができる添加剤の種類の単なる例示に過ぎず、限定的なものと解釈されるべきではない。このような添加剤の量は、所望される特定の特性に応じて当業者が容易に決定することができる。
【0129】
様々な実施形態では、治療薬および1つ以上の賦形剤の粒子は、乾燥混合され、錠剤などの塊に圧縮される。この塊は、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満でほぼ分解され、それにより製剤を胃腸液へ放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬さを有する。
【0130】
他の実施形態では、治療薬を含む粉末剤は、1つ以上の医薬賦形剤および香料を含むように製剤化される。このような粉末剤は、例えば治療薬と、任意選択で医薬賦形剤とを混合してバルク混合組成物を形成することにより調製される。追加の実施形態は、懸濁化剤および/または湿潤剤も含む。このバルク混合物は、単位投与パッケージまたは複数回投与パッケージのユニットへと均一に細分化される。
【0131】
また他の実施形態では、発泡散剤も調製される。発泡塩は、経口投与用に水中で薬を分散させるために使用されている。
【0132】
いくつかの実施形態では、医薬剤形は、治療薬の制御放出を提供するために製剤化される。制御放出とは、長期間にわたり所望の特性に従い組み込まれる剤形から治療薬が放出されることをいう。制御放出特性として、例えば持続放出、長期放出、パルス放出、および遅延放出特性が挙げられる。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、所定の特性に従い長期間にわたり対象への薬剤送達を可能にする。このような放出速度は、長期間にわたり治療上有効なレベルの薬剤を提供し、それにより、より長期間の薬理反応を提供しながら、従来の急速放出剤形と比べて副作用を最小限に抑える。こうした長期間の反応により、対応する短時間作用型の即時放出調製物では達成されない多くの固有の利益がもたらされる。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の固形剤形は、腸溶コーティングされた遅延放出経口剤形として、すなわち、本明細書に記載されるような医薬組成物の経口剤形として製剤化されるものであり、小腸または大腸での放出に影響を及ぼす腸溶コーティングを利用する。一態様では、腸溶コーティングされた剤形は、それら自体がコーティングされるかコーティングされない活性成分および/または他の組成物成分の顆粒、粉末、ペレット、ビーズ、または粒子を包含する圧縮、成形、または押出し型の錠剤/モールド(コーティングあり、またはコーティングなし)である。一態様では、腸溶コーティングされた経口剤形は、ペレット、ビーズ、または顆粒剤を含むカプセル剤の形態にあり、その中には、コーティングされるか、コーティングされない治療薬が含まれる。
【0134】
あらゆるコーティングは、全体がpH約5未満では胃腸液に溶けないが、pH5以上では溶けるような十分な厚みで適用する必要がある。コーティングは、一般的にはセラック(このコーティングはpH>7の媒体に溶解する)、アクリルポリマー(適切なアクリルポリマーの例として、メタクリル酸コポリマーやメタクリル酸アンモニウムコポリマーが挙げられる)のいずれかから選択される。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNE(Rohm Pharma)は、有機溶剤、水分散液、または乾燥粉末中で可溶化されるものとして利用可能である。EudragitシリーズRL、NE、およびRSは、胃腸管では不溶性であるが、透過性であり、主として結腸の標的化に使用される。EudragitシリーズEは、胃で溶解する。EudragitシリーズL、L-30D、およびSは、胃では不溶性であり、腸で溶解する。ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP)は、pH>5で溶解し、水蒸気および胃液に対する透過性が少ない。スプレーコーティングまたはパンコーティングなどの従来のコーティング技法が、コーティングを施すために使用される。コーティングの厚みは、腸管を対象とする局所送達の所望部位に到達するまで、経口剤形が無傷な状態で残るのを確実にするほどの厚みでなければならない。
【0135】
他の実施形態では、本明細書に記載の製剤は、パルス剤形を使用して送達される。パルス剤形は、遅延時間の調整後の所定の時点で、または特定の部位において1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。例示的なパルス剤形およびその製造方法は、米国特許第5,011,692号、5,017,381号、5,229,135号、5,840,329号、および5,837,284号に開示されている。一実施形態では、パルス剤形は、粒子の少なくとも2つの群(すなわち多微粒子)を含み、それぞれが本明細書に記載の製剤を含有している。粒子の第1の群は、哺乳動物による摂取後に実質的に即時の投与量の治療薬を提供する。粒子の第1の群は、コーティングされない、あるいはコーティングおよび/あるいはシーラントを含む場合がある。一態様でが、粒子の第2の群は、コーティングされた粒子を含む。粒子の第2の群に対するコーティングは、第2の投与量の放出前に、摂取後約2時間~約7時間の遅延をもたらす。医薬組成物に適切なコーティングは、本明細書に記載されるか、当該技術分野で知られる。
【0136】
いくつかの実施形態では、対象への経口投与のために治療薬と少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤との粒子を含む医薬製剤が提供される。この製剤は、懸濁用の粉末および/または顆粒であってもよく、水と混合すると、ほぼ均一な懸濁液が得られる。
【0137】
いくつかの実施形態では、制御放出のために製剤化される粒子は、ゲル、パッチ、または創傷包帯に組み込まれる。
【0138】
一態様では、経口投与用、および/または洗浄剤としての局所投与用の液体製剤の剤形は、薬学的に許容可能な経口分散水溶液、エマルジョン、溶液、エリキシル、ゲル、およびシロップを含むがこれらに限定されない群から選択される水性懸濁液の形態にある。例えば、Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.754-757(2002)を参照されたい。治療薬の粒子に加えて、液体剤形は、(a)崩壊剤、(b)分散剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも1つの保存料、(e)粘性促進剤、(f)少なくとも1つの甘味料、および(g)少なくとも1つの香料などの添加剤を含む。いくつかの実施形態では、分散水溶液は、結晶阻害剤をさらに含む場合がある。
【0139】
いくつかの実施形態では、液体製剤はまた、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤などの当該技術分野でよく用いられる不活性希釈剤を含む。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、綿実油などの油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれら物質の混合物などである。
【0140】
さらに医薬組成物は、任意選択で、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基、およびシトラート/デキストロース、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む、pH調整剤または緩衝化剤を含む。このような酸、塩基、および緩衝剤は、組成物のpHを許容可能な範囲に維持するのに必要な量で含まれる。
【0141】
加えて、医薬組成物は、任意選択で医薬組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1つ以上の塩を含む。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、またはアンモニウムカチオン、および塩化物アニオン、クエン酸塩アニオン、アスコルビン酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、重炭酸塩アニオン、硫酸塩アニオン、チオ硫酸塩アニオン、または亜硫酸水素塩アニオンを有するものを含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸アンモニウムを含む。
【0142】
他の医薬組成物は、微生物の活性を阻害する1つ以上の防腐剤を任意選択で含む。適切な保存料として、メルフェン(merfen)やチオメルサールなどの水銀含有物質、安定した二酸化塩素、および塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジウムなどの第四アンモニウム化合物が挙げられる。
【0143】
一実施形態では、本明細書に記載の懸濁水溶液と分散液は、少なくとも4時間、The USP Pharmacists’Pharmacopeia(2005 edition,chapter 905)に規定されるように均質な状態で残る。一実施形態では、懸濁水溶液は、1分未満持続する物理的撹拌により均質な懸濁液へと再懸濁される。また別の実施形態では、均質な分散水溶液を維持するために撹拌は必要とされない。
【0144】
水性懸濁液および分散液に使用される崩壊剤の例として、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然デンプン、α化デンプン、あるいはデンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、例えばメチル結晶性セルロース、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋結合セルロース、例えば架橋結合ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋結合カルボキシメチルセルロース、または架橋結合クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸などのアルギン酸塩またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、またはトラガカントなどのガム、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、シトラスパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、組み合わせたデンプン中のラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の水性懸濁液および分散液に適した分散剤として、例えば、親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン、および炭水化物系の分散剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースアセテートステアレート、非結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、酸化エチレンおよびホルムアルデヒド(チロキサポールとしても知られる)を含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロクサマー、ならびにポロキサミンが挙げられる。他の実施形態では、分散剤は、以下の薬剤:親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースアセテートステアレート、非結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロクサマー、またはポロキサミンのうち1つを含まない群から選択される。
【0146】
本明細書に記載の水性懸濁液および分散液に適した湿潤剤として、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween 20(登録商標)やTween 80(登録商標)などの市販のTween(登録商標))、ポリエチレングリコール、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクセート、トリアセチン、ビタミンE TPGS、タウロコール酸ナトリウム、シメチコン、ホスファチジルコリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
本明細書に記載の水性懸濁液または分散液に適した保存料として、例えばソルビン酸カリウム、パラベン(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコールまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、あるいは塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物が挙げられる。保存料は、本明細書で使用するとき、微生物増殖を阻害するのに十分な濃度で剤形に組み込まれる。
【0148】
本明細書に記載の水性懸濁液または分散液に適した粘度増強剤として、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Plasdon(登録商標)S-630、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギネート、アカシア、キトサン、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。粘度増強剤の濃度は、選択される薬剤および所望の粘度に左右される。
【0149】
本明細書に記載の水性懸濁液または分散液に適した甘味料の例として、例えばアカシアシロップ、アセスルファムK、アリターム、アスパルテーム、チョコレート、シナモン、シトラス、ココア、シクラメート、デキストロース、フルクトース、ショウガ、グリシルレチネート、カンゾウ(リコリス)シロップ、グリチルリチン酸モノアンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール(malitol)、マンニトール、メントール、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、Prosweet(登録商標)Powder、サッカリン、ソルビトール、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、スクラロース、タガトース、タウマチン、バニラ、キシリトール、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0150】
いくつかの実施形態では、治療薬は経皮剤形として調製される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の経皮製剤は、少なくとも3つの成分として(1)治療薬と、(2)浸透促進剤と、(3)任意選択で水性アジュバントとを含む。いくつかの実施形態では、経皮製剤として、ゲル化剤、クリーム、軟膏基剤などの追加の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、経皮製剤は、パッチまたは創傷包帯として提供される。いくつかの実施形態では、経皮製剤は、吸収を促進するとともに皮膚から経皮製剤が外れるのを防ぐために、織布裏当て材または不織布裏当て材をさらに含む。他の実施形態では、本明細書に記載の経皮製剤は、皮膚への分散を促すために飽和または過飽和の状態を維持することができる。
【0151】
一態様では、本明細書に記載の治療薬の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを利用するものであり、ポリマーまたは接着剤中で溶解および/あるいは分散される脂溶性エマルジョンまたは緩衝水溶液であり得る。一態様では、このようなパッチは、医薬品の連続送達、パルス送達、またはオンデマンド送達のために構築される。さらに、本明細書に記載の治療薬の経皮送達は、イオン泳動的なパッチなどにより達成することができる。一態様では、経皮パッチは治療薬を制御送達する。一態様では、経皮デバイスは、裏当て部材(backing member)、任意選択で担体を含む治療薬を含有するリザーバ、任意選択で長期間にわたり制御かつ所定の速度で治療薬を宿主の皮膚に送達するための律速バリア、およびデバイスを皮膚に固定するための手段を含む包帯(bandage)の形態にある。
【0152】
さらなる実施形態では、局所製剤は、ゲル製剤(例えば、皮膚に付着するゲルパッチ)を含む。このような実施形態の一部では、ゲル組成物は、身体に接触するとゲルを生じさせる任意のポリマーを含む(例えば、ヒアルロン酸、プルロニック(登録商標)ポリマー、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)系のポリマーなどを含むゲル製剤)。一部の組成物の形態では、製剤は、限定されないが脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスを、任意選択ではじめに融解するココアバターと組み合わせて含む。任意選択で、製剤は保湿剤をさらに含む。
【0153】
ある実施形態では、例えばリポソームやエマルジョンなどの医療用治療薬のための送達システムが、利用されてもよい。ある実施形態では、本明細書に提供される組成物は、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、およびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーも含む場合がある。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療薬は、局所投与される場合があり、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、鎮痛剤、クリーム、または軟膏などの局所投与可能な様々な組成物へと製剤化される場合がある。このような医療用治療薬は、可溶化剤、安定剤、等張増強剤、緩衝剤、および保存料を包含する場合がある。
【0155】
経鼻投与用のエアロゾル製剤は、全体として滴剤またはスプレーに入れて鼻路に投与されるように設計された水溶液である。鼻溶液は、一般的には等張であり、約5.5~約6.5のpHを維持するためにわずかに緩衝化されるが、この範囲外のpH値も付加的に使用可能であるという点で、鼻の分泌物と同様であってもよい。抗菌薬または保存料も、製剤に含めることができる。
【0156】
吸入剤および吸入薬用のエアロゾル製剤は、薬剤または薬剤同士の組み合わせが、経鼻または経口の呼吸経路により投与されると、対象の呼吸樹へと運ばれるように設計されてもよい。吸入溶液は、例えば噴霧器により投与可能である。微粉化薬物または液体薬物を含む吸入剤または吹送剤は、例えば分配を補助するために、噴射剤中の薬剤または薬剤同士の組合せの溶液あるいは懸濁液の医薬用エアロゾルとして、呼吸器系に送達可能である。噴射剤は、ハロゲン化炭素、例えばフッ素化塩素化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、およびヒドロクロロカーボンなどのフルオロカーボン、ならびに炭化水素および炭化水素エーテルを含む液化ガスであり得る。
【0157】
ハロゲン化炭素噴射剤は、水素がすべてフッ素と置き換えられるフルオロカーボン噴射剤、水素がすべて塩素および少なくとも1つのフッ素と置き換えられるクロロフルオロカーボン噴射剤、水素含有フルオロカーボン噴射剤、ならびに水素含有クロロフルオロカーボン噴射剤を含む場合がある。有用な炭化水素噴射剤は、例えば、プロパン、イソブタン、n-ブタン、ペンタン、イソペンタン、およびネオペンタンを含む。炭化水素の混合物も、噴射剤として使用可能である。エーテル噴霧剤は、例えばジメチルエーテルのほか、エーテルも含む。エアロゾル製剤はまた、1より多くの噴射剤を含む場合がある。例えば、エアロゾル製剤は、2以上のフルオロカーボンなど、同じクラスから1より多くの噴射剤、あるいはフッ化炭化水素と炭化水素など、様々なクラスからの1より多く、2より多く、および3より多くの噴射剤を含む場合がある。本開示の医薬組成物はまた、圧縮ガス、例えば二酸化炭素、亜酸化窒素、または窒素などの不活性ガスで分注される場合がある。
【0158】
エアロゾル製剤はまた、他の成分、例えばエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールのほか、界面活性剤または油や洗浄剤などの他の成分を含む場合がある。これら成分は、製剤を安定させる、および/またはバルブ要素を潤滑させる役割を果たすことができる。
【0159】
エアロゾル製剤は、圧力下で包装することができ、溶液、懸濁液、エマルジョン、粉末、および半固形調製物を使用してエアロゾルとして製剤化される場合がある。例えば、エアロゾル製剤溶液は、(実質的に)純粋な噴射剤に入れて、または噴射剤と溶剤の混合物として、輸送体、担体、またはイオンチャネル阻害剤などの薬剤の溶液を含む場合がある。溶剤は、薬剤を溶かすために、および/または噴射剤の蒸発を遅らせるために使用可能である。溶剤は、例えば水、エタノール、およびグリコールを含む場合がある。あらゆる適切な溶剤の組合せが使用可能であり、任意選択で保存料、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分と組み合わされる。
【0160】
エアロゾル製剤は、分散液または懸濁液であり得る。エアロゾル製剤懸濁液は、薬剤または薬剤同士の組合せ、例えば輸送体、担体、イオンチャネル阻害剤、分散剤からなる懸濁液を含む場合がある。分散剤は、例えばソルビタントリオレアート、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチン、およびトウモロコシ油を含む場合がある。エアロゾル製剤懸濁液はさらに、潤滑剤、保存料、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分を含む場合がある。
【0161】
エアロゾル製剤は、同様にエマルジョンとして製剤化されてもよい。エアロゾル製剤エマルジョンは、例えばエタノールなどのアルコール、界面活性剤、水、および噴射剤のほか、薬剤または薬剤同士の組合せ、例えば輸送体、担体、イオンチャネルを含む場合がある。使用される界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であり得る。エアロゾル製剤エマルジョンの一例は、例えばエタノール、界面活性剤、水、および噴射剤を含む。エアロゾル製剤エマルジョンの別の例は、例えば植物油、モノステアリン酸グリセリル、およびプロパンを含む。
【0162】
キット
本明細書中のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を使用するためのキットが開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットは、対象の疾患または障害を処置する、処置の対象を選択する、および/または本明細書に開示される処置をモニタリングするために使用することができる。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法を行うために使用可能な本明細書に記載の組成物を含む。キットは、組成物のうち少なくとも1つを含む材料または構成要素の集合体である。このため、いくつかの実施形態では、キットは、自己免疫疾患の処置用に、医薬組成物を含む組成物を含有している。
【0163】
いくつかの例では、本明細書に記載のキットは、細胞外小胞の均質集団を選択するための構成部分を含む。いくつかの実施形態では、キットは、細胞外小胞の表面に発現される免疫チェックポイント部分のユニット数を解析するための構成部分を含む。いくつかの実施形態では、キットは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、単一分子配列(Simoa)、PCR、qPCRなどの分析を実行するための構成部分を含む。キットに構成される構成部分の正確な性質は、その意図した目的に左右される。例えば、一部の実施形態は、対象における本明細書に開示される疾患または疾病(例えば自己免疫疾患)を処置するために構成される。いくつかの実施形態では、キットは、特に哺乳動物対象を処置するために構成される。いくつかの実施形態では、キットは、特にヒト対象を処置するために構成される。
【0164】
使用説明書がキットに含まれる場合がある。任意選択で、キットはさらに、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容可能な担体、シリンジ、カテーテル、塗布具、ピペッティングツール、測定ツール、包帯材料、またはその他の有用な道具一式など、他の有用な構成部分を含む。キット内で組み立てられる材料または構成部分は、医療従事者に提供され、その操作性および有用性を保つのに都合が良く適切な方法で保管することができる。例えば、構成部分は、溶解、脱水、または凍結乾燥された形態にあり、これらは室温、冷却温度、または冷凍温度で提供される場合がある。構成部分は、一般的には適切な包装材料に包含される。本明細書で利用するとき、「包装材料」という句は、組成物などのキットの内容物を収容するために使用される1つ以上の物理的構造を指す。包装材料は、好ましくは汚染物質がない滅菌環境を提供するために周知の方法により構築される。キットに利用される包装材料は、遺伝子発現アッセイ、および処置の実施において慣例的に利用されるものである。本明細書で使用するとき、「包装」という用語は、個々のキット構成部分を保持可能である、ガラス、プラスチック、紙、ホイルなどの適切な固形マトリクスまたは材料を指す。このため、例えばパッケージは、適切な量の医薬組成物を包含するために使用されるガラスバイアルまたはプレフィルドシリンジであり得る。包装材料には、キットおよびその構成部分の内容物および/または目的を示す外部ラベルがある。
【0165】
II.プラットフォーム
本明細書中のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞外小胞を生成するためのプラットフォームが記載される。いくつかの実施形態では、このプラットフォームは、適正製造基準(GMP)の標準に一致する。いくつかの実施形態では、細胞外小胞を含む組成物は、適正製造基準(GMP)に従い生成される。いくつかの実施形態では、組成物は、病原体がほとんどない病原体レベルを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、不純物がほとんどない不純物レベルを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、低免疫原性を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、低張処理および遠心分離により生成かつ単離される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、MSCが破裂し、細胞外小胞が放出されるように、主に低張処理を使用して細胞外小胞を発現する間葉系幹細胞(MSC)から単離される。いくつかの例では、MSCは、細胞の腫脹を誘導するために低張液中で再懸濁される。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、細胞の腫脹をモニタリングするための位相差顕微鏡を含む。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、腫脹した細胞を破裂させて細胞外小胞を放出させるためにホモジナイザーを含む。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、勾配(例えば蔗糖勾配)における破裂した細胞を分離して細胞外小胞を分離させるための手段を含む。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、軽度の音波粉砕、凍結解凍、フレンチプレス、またはニードルパッセージング(needle-passaging)などのMSCを溶解する他の手法により細胞外小胞を生成するための他の構成部分を含む。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、細胞外小胞を含む分画を遠心分離機にかけて単離するための遠心分離機を含む。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、不連続の蔗糖密度勾配において浮上分離により細胞外小胞を含む分画を分離するための手段を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、プラットフォームは、押出しにより細胞外小胞を生成するための手段を含む。いくつかの実施形態では、押出しプロセスは、細胞外小胞のサイズまたは直径に基づき細胞外の小胞を分離かつ単離する。例示的な押出しプロセスは、孔径が様々な膜の使用を含む。この膜は、破裂したMSCを含む溶液から細胞外小胞のサイズまたは直径に基づき、細胞外小胞を分離することができる。細胞外小胞はさらに、膜孔径が次第に小さくなり150nm~10nmに及ぶ押出し後の継続的な押出しにより単離され、サイズを小さくされる場合がある。最後の押出しが完了すると、細胞外小胞は、遠心分離によりペレット状にされる場合がある。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、音波粉砕、押出し、高圧/均質化、微小溶液操作、または洗浄剤透析(detergent dialysis)を行うための構成部分を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、プラットフォームは、細胞外小胞あたりの免疫チェックポイント部分のユニット数を求めるための構成部分を含む。
【0169】
III.方法
細胞外小胞の生成
本明細書中のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のプラットフォームを利用して、本明細書に記載の組成物を生成する方法が記載される。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞から単離されるか、細胞により分泌される場合がある。例えば、細胞外小胞は、細胞外小胞を放出するために細胞を溶解することにより生成可能である。場合により、細胞は細胞外小胞を分泌して、後にこの細胞外小胞は単離される場合がある。
【0170】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞を生成するための細胞は、細胞株、幹細胞、初代細胞、または分化細胞に由来し得る。いくつかの実施形態では、細胞外小胞のドナー細胞は、ヒト胚線維芽細胞(HEF)、樹状細胞、間葉系幹細胞、骨髄由来樹状細胞、骨髄由来間質細胞、脂肪間質細胞、内皮細胞、除核細胞、神経幹細胞、未成熟樹状細胞、および免疫細胞、骨髄間質細胞、骨髄由来の成人始原細胞(MAPC)、内皮始原細胞(EPC)、芽細胞脳室下帯に形成される中間始原細胞、神経幹細胞、筋肉幹細胞、衛星細胞、肝臓幹細胞、造血幹細胞、骨髄間質細胞、表皮幹細胞、胚性幹細胞、臍帯幹細胞、前駆細胞、筋肉前駆細胞、筋芽細胞、心筋芽細胞、神経前駆細胞、神経膠前駆細胞、ニューロン前駆細胞、または肝芽細胞からなる群から選択することができる。
【0171】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞を生成するための細胞は、遺伝的に修飾された細胞であってもよく、この場合、遺伝的修飾部分は、修飾された細胞へと導入される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子をコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドは、修飾された細胞へと導入される。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の免疫チェックポイント部分のうちいずれか1つをコードする。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の標的化部分のうちいずれか1つをコードする。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の膜貫通部分のうちいずれか1つをコードする。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の融合ペプチドのうちいずれか1つをコードする。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の免疫回避部分のうちいずれか1つをコードする。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、修飾された細胞の染色体へと統合される場合がある。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、修飾された細胞の染色体へと統合されない。
【0172】
いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、異種ポリヌクレオチドの発現を調節する。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、異種ポリヌクレオチドの発現を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、CRISPR-Casポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、例えば、Class 1 CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、Class 2 Casポリペプチド、I型Casポリペプチド、II型Casポリペプチド、III型Casポリペプチド、IV型Casポリペプチド、V型Casポリペプチド、およびVI型、CRISPR関連RNA結合タンパク質、またはこれらの機能性フラグメントであり得る。本開示での使用に適切なCasポリペプチドは、Cas9、Cas12、Cas13、Cpf1(またはCas12a)、C2C1、C2C2(またはCas13a)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2C3、Casl、CaslB、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(CasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a、Cas8al、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Csnl、Csxl2、Cas10、Cas10d,CaslO、CaslOd、CasF、CasG、CasH、Csyl、Csy2、Csy3、Csel(CasA)、Cse2(CasB)、Cse3(CasE)、Cse4(CasC)、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csbl、Csb2、Csb3、Csxl7、Csxl4、CsxlO、Csxl6、CsaX、Csx3、Csxl、Csxl5、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、またはCul966、およびこれらの誘導体、変異体、または任意のフラグメントを含む場合がある。いくつかの実施形態では、Cas13は、Cas13a、Cas13b、Cas13c、およびCas13d(例えばCasRx)を含む場合があるが、これらに限定されるものではない。CRISPR/Casは、DNAおよび/またはRNA切断であるか、切断活性の低下を呈する場合がある。遺伝的修飾部分は、少なくとも1つの異種RNAポリヌクレオチドと複合体を形成するように構成される場合がある。場合により、遺伝的修飾部分は、転写アクチベータまたは転写リプレッサと融合することもある。
【0173】
任意の適切なヌクレアーゼ(例えばエンドヌクレアーゼ)が、遺伝的修飾部分として使用可能である。適切なヌクレアーゼとして、CRISPR関連(Cas)タンパク質、またはI型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、II型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、III型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、IV型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、V型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、およびVI型CRISPR関連(Cas)ポリペプチドを含むCasヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ヌクレアーゼアクチベータ様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、RNA結合タンパク質(RBP)、CRISPR関連RNA結合タンパク質、レコンビナーゼ、フリッパーゼ、トランスポサーゼ、アルゴノート(Ago)タンパク質(例えば、原核生物アルゴノート(pAgo)、古細菌アルゴノート(aAgo)、真核生物アルゴノート(eAgo)、および高度好塩菌アルゴノート(Natronobacterium gregoryi Argonaute)(NgAgo))、RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)、CIRT、PUF、ホーミングエンドヌクレアーゼ、あるいはこれらの任意の機能性フラグメント、任意の誘導体、ならびにこれらの変異体、および任意のフラグメントを含むが、これらに限定されるものではない。
【0174】
本明細書に開示されるような遺伝的修飾部分は、遺伝子発現の調節に関与しない付加的なペプチド配列、例えばリンカー配列、標的化配列などに結合(例えば、連結または融合)することができる。「標的化配列」という用語は、本明細書で使用するとき、ヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を指すものであり、これらは、細胞内位置、例えば、細胞膜、あるいは所与の細胞小器官、核、サイトゾル、ミトコンドリア、小胞体(ER)、ゴルジ、葉緑体、アポプラスト、ペルオキシソーム、または他の細胞小器官の膜へのタンパク質の局在化(または保持)を媒介する標的化ポリペプチドをコードする。例えば、標的化配列は、タンパク質(例えばレセプターポリペプチドまたはアダプターポリペプチド)を、核移行シグナル(NLS)を利用する核、核輸出シグナル(NES)を利用する細胞の核の外部(例えば細胞質)、ミトコンドリア標的化シグナルを利用するミトコンドリア、ER保持シグナルを利用する小胞体(ER)、ペルオキシソーム標的化シグナルを利用するペルオキシソーム、膜局在化シグナルを利用する細胞膜、またはこれらの組合せに向けることができる。
【0175】
本明細書に開示されるような遺伝的修飾部分は、融合構築物(例えば融合タンパク質)の一部であり得る。本明細書で使用するとき、「融合」は、1つ以上の非天然配列(例えば部分)を含むタンパク質および/または核酸を指す場合がある。融合は、同じ非天然配列のうち1つ以上を含む場合がある。融合は、異なる非天然配列のうち1つ以上を含む場合がある。融合は、キメラであり得る。融合は、核酸アフィニティータグを含む場合がある。融合は、バーコードを含む場合がある。融合は、ペプチドアフィニティータグを含む場合がある。融合は、部位に向けられたポリペプチドの細胞内局在化(例えば、核へと標的化するための核移行シグナル(NLS)、ミトコンドリアへと標的化するためのミトコンドリア局在化シグナル、葉緑体へと標的化するための葉緑体局在化シグナル、小胞体(ER)保持シグナルなど)を提供する場合がある。融合は、追跡または精製に使用可能な非天然の配列(例えばアフィニティータグ)を提供する場合がある。融合は、ビオチンなどの小分子、またはAlexa fluor染料、Cyanine3染料、Cyanine5染料などの染料であり得る。
【0176】
融合は、機能効果を持つ任意のタンパク質を指す場合がある。例えば、融合タンパク質は、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、ジスムターゼ活性、アルキル化活性、脱プリン活性、酸化活性、ピリミジン二量体形成活性、インテグラーゼ活性、トランスポサーゼ活性、レコンビナーゼ活性、ポリメラーゼ活性(例えば逆転写酵素活性)、リガーゼ活性、ヘリカーゼ活性、ホトリアーゼ活性またはグリコシラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、ユビキチンリガーゼ活性、脱ユビキチン化活性、アデニル化活性、脱アデニル化活性、SUMO化活性、脱SUMO化活性、リボシル化活性、脱リボシル化活性、ミリストイル化活性、リモデリング活性、プロテアーゼ活性、オキシドレダクターゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ヒドロラーゼ活性、リアーゼ活性、イソメラーゼ活性、シンターゼ活性、シンテターゼ活性、あるいは脱ミリストイル化活性を含む場合がある。作用因子タンパク質は、ゲノム座を修飾する場合がある。融合タンパク質は、Casタンパク質における融合であり得る。融合タンパク質は、Casタンパク質における非天然配列であり得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、1つ以上の転写リプレッサドメイン、アクチベータドメイン、後成的ドメイン、レコンビナーゼドメイン、トランスポサーゼドメイン、フリッパーゼドメイン、ニッカーゼドメイン、またはこれらの任意の組合せに融合可能である。アクチベータドメインは、タンパク質のカルボキシル末端に位置する1つ以上のタンデム活性化ドメインを含む場合がある。場合により、遺伝的修飾部分は、タンパク質のカルボキシル末端に位置する1つ以上のタンデムリプレッサドメインを含む。例示的な活性化ドメインとして、GAL4、単純ヘルペス活性化ドメインVP16、VP64(単純ヘルペス活性化ドメインVP16の四量体)、NF-κB p65サブユニット、エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、Chavez et al.,Nat Methods,2015,12(4):326-328に記載されている。例示的なリプレッサドメインとして、Kox1のKRAB(Kruppel関連ボックス)ドメイン、Mad mSIN3相互作用ドメイン(SID)、ERFリプレッサドメイン(ERD)が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、Chavez et al.,Nat Methods,2015,12(4):326-328の記載されている。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、タンパク質のアミノ末端に位置する1つ以上のタンデムリプレッサドメインを含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヌクレアーゼは、核酸切断活性を欠くタンパク質であり得る。場合により、Casタンパク質は、死Casタンパク質である。死Casタンパク質は、核酸切断活性を欠くタンパク質であり得る。Casタンパク質は、野生型Casタンパク質の修飾形態を含む場合がある。野生型Casタンパク質の修飾形態は、Casタンパク質の核酸切断活性を低下させるアミノ酸変化(例えば欠失、挿入、または置換)を含む場合がある。例えば、Casタンパク質の修飾形態は、野生型Casタンパク質(例えばS.pyogenes由来のCas9)において90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満の核酸切断活性を有する場合がある。Casタンパク質の修飾形態は、実質的な核酸切断活性がない場合もある。Casタンパク質は、実質的な核酸切断活性がない修飾形態であるとき、酵素的に不活性および/または「死」(「d」により省略される)として称される場合がある。死Casタンパク質(例えばdCas、dCas9)は、標的ポリヌクレオチドに結合可能であるが、標的ポリヌクレオチドを切断しない場合がある。いくつかの態様では、死Casタンパク質は、死Cas9タンパク質である。
【0179】
いくつかの実施形態では、dCas(例えばdCas9)ポリペプチドは、標的DNAの転写を活性化または抑制するために単一のガイドRNA(sgRNA)と会合することができる。sgRNAは、操作されたキメラ受容体ポリペプチドを発現する細胞へと導入可能である。場合により、このような細胞は、同じ核酸を標的とする1つ以上の異なるsgRNAを包含する。その他の場合、sgRNAは、細胞中の異なる核酸を標的とする。
【0180】
いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、触媒的に不活性のCasポリペプチドを含む場合があり、この場合、Casポリペプチドのヌクレアーゼ活性は、排除、または実質的に排除される。
【0181】
いくつかの例では、遺伝的修飾部分は、触媒的に不活性化されたCas9(dCas9)、その任意の誘導体、変異体、または任意のフラグメントを含む場合がある。
【0182】
いくつかの例では、遺伝的修飾部分は、触媒的に不活性化されたCas12(dCas12)、その任意の誘導体、変異体、または任意のフラグメントを含む場合がある。
【0183】
いくつかの例では、遺伝的修飾部分は、触媒的に不活性化されたCas13(dCas13)、その誘導体、変異体、または任意のフラグメントを含む場合がある。
【0184】
いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、本明細書に記載されるような少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドと複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドは、異種DNAポリヌクレオチドまたは異種RNAポリヌクレオチドのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、少なくとも1つの異種RNAポリヌクレオチドと複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの異種RNAポリヌクレオチドとの複合体形成は、遺伝的修飾部分を異種ポリヌクレオチドの部分に向けて、標的とする。
【0185】
場合により、本明細書に記載の組成物および方法は、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含む。場合により、本明細書に記載の組成物および方法は、複数の異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)であり得る。場合により、DNA配列は、一本鎖または二本鎖であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの異種核酸ポリヌクレオチドは、リボ核酸(RNA)であり得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分は、少なくとも1つの異種RNAポリヌクレオチドと複合体を形成することができる。少なくとも1つの異種RNAポリヌクレオチドは、遺伝的修飾部分に依存する標的化の特異性のために本明細書に記載の部分のいずれか1つをコードする異種ポリヌクレオチドの核酸配列に対して相補的な配列を含む核酸標的化領域を含む場合がある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの異種RNAポリヌクレオチドは、二重ガイド核酸と称することができる2つの別個の核酸分子を含むガイド核酸(またはガイドRNA)、または単一ガイド核酸(例えばsgRNA)と称することができる単一核酸分子を含むガイド核酸であり得る。いくつかの実施形態では、ガイド核酸は、融合CRISPR RNA(crRNA)および転写活性化crRNA(tracrRNA)を含む単一ガイド核酸である。いくつかの実施形態では、ガイド核酸は、crRNAを含む単一ガイド核酸である。いくつかの実施形態では、ガイド核酸は、crRNAを含むがtracRNAを欠く単一ガイド核酸である。いくつかの実施形態では、ガイド核酸は、非融合crRNAおよびtracrRNAを含む二重ガイド核酸である。例示的な二重ガイド核酸は、crRNA様分子およびtracrRNA様分子を含む場合がある。例示的な単一ガイド核酸は、crRNA様な分子を含む場合がある。例示的な単一ガイド核酸は、融合crRNA様な分子とtracrRNA様分子を含む場合がある。
【0187】
crRNAは、ガイド核酸の核酸標的化セグメント(例えばスペーサ領域)、およびガイド核酸のCasタンパク質結合セグメントの二本鎖二重鎖(duplex)の半分を形成可能なヌクレオチドの伸張部を含む場合がある。
【0188】
tracrRNAは、gRNAのCasタンパク質結合セグメントの二本鎖二重鎖の他半分を形成するヌクレオチドの伸張部を含む場合がある。crRNAのヌクレオチドの伸張部は、ガイド核酸のCasタンパク質結合ドメインの二本鎖二重鎖を形成するために、tracrRNAのヌクレオチドの伸張部と相補的であり、これにハイブリダイズする場合がある。
【0189】
crRNAおよびtracrRNAは、ガイド核酸を形成するためにハイブリダイズ可能である。crRNAはさらに、標的核酸認識配列(例えばプロトスペーサ)にハイブリダイズする単鎖核酸標的化セグメント(例えばスペーサ領域)を提供する場合がある。スペーサ領域を含むcrRNA分子またはtracrRNA分子の配列は、ガイド核酸が使用される種に特異的となるように設計可能である。
【0190】
いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域は、長さ18~72ヌクレオチドの場合がある。ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー領域)は、約12ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの長さを有する場合がある。例えば、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー領域)は、約12ヌクレオチド(nt)~約80nt、約12nt~約50nt、約12nt~約40nt、約12nt~約30nt、約12nt~約25nt、約12nt~約20nt、約12nt~約19nt、約12nt~約18nt、約12nt~約17nt、約12nt~約16nt、または約12nt~約15ntの長さを有する場合がある。代替的に、DNA標的化セグメントは、約18nt~約20nt、約18nt~約25nt、約18nt~約30nt、約18nt~約35nt、約18nt~約40nt、約18nt~約45nt、約18nt~約50nt、約18nt~約60nt、約18nt~約70nt、約18nt~約80nt、約18nt~約90nt、約18nt~約100nt、約20nt~約25nt、約20nt~約30nt、約20nt~約35nt、約20nt~約40nt、約20nt~約45nt、約20nt~約50nt、約20nt~約60nt、約20nt~約70nt、約20nt~約80nt、約20nt~約90nt、または約20nt~約100ntの長さを有する場合がある。核酸標的化領域の長さは、最小で5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、またはそれより多くのヌクレオチドであり得る。核酸標的化領域(例えばスペーサー領域)の長さは、最大で5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、またはそれより多くのヌクレオチドであり得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ20ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ19ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ18ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ17ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ16ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ21ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ガイド核酸の核酸標的化領域(例えばスペーサー)は、長さ22ヌクレオチドである。
【0192】
標的核酸のヌクレオチド配列(標的配列)に相補的なガイド核酸のヌクレオチド配列は、例えば、少なくとも約12nt、少なくとも約15nt、少なくとも約18nt、少なくとも約19nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約35nt、または少なくとも約40ntの長さを有する場合がある。標的核酸のヌクレオチド配列(標的配列)に相補的なガイド核酸のヌクレオチド配列は、約12ヌクレオチド(nt)~約80nt、約12nt~約50nt、約12nt~約45nt、約12nt~約40nt、約12nt~約35nt、約12nt~約30nt、約12nt~約25nt、約12nt~約20nt、約12nt~約19nt、約19nt~約20nt、約19nt~約25nt、約19nt~約30nt、約19nt~約35nt、約19nt~約40nt、約19nt~約45nt、約19nt~約50nt、約19nt~約60nt、約20nt~約25nt、約20nt~約30nt、約20nt~約35nt、約20nt~約40nt、約20nt~約45nt、約20nt~約50nt、または約20nt~約60ntの長さを有する場合がある。
【0193】
標的とされたポリヌクレオチドのプロトスペーサ配列は、関心領域内のPAMを同定し、プロトスペーサとして所望のサイズのPAMの上流または下流領域を選択することにより、同定可能である。対応するスペーサ配列は、プロトスペーサ領域の相補的配列を判定することにより設計可能である。
【0194】
スペーサ配列は、コンピュータプログラム(例えば機械可読コード)を使用して同定可能である。コンピュータプログラムは、予測融解温度、二次構造形成、および予測アニーリング温度などの変数、配列同一性、ゲノムコンテキスト、クロマチンアクセシビリティ、%GC、ゲノム発生頻度、メチル化状態、SNPの存在などを使用する場合がある。
【0195】
核酸を標的化する配列(例えば、本明細書に開示されるような少なくとも1つの異種ポリペプチドのスペーサ配列)と標的核酸(例えば、本明細書に記載される部分のいずれか1つをコードする異種ポリヌクレオチドのプロトスペーサ配列)との相補性の割合は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%である。核酸を標的化する配列と標的核酸との相補性の割合は、約20の隣接するヌクレオチドにわたり、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%であり得る。
【0196】
ガイド核酸のCasのタンパク結合セグメントは、互いに相補的であるヌクレオチドの2つの伸張部(例えばcrRNAおよびtracrRNA)を含む場合がある。このような互いに相補的であるヌクレオチドの2つの伸張部(例えばcrRNAおよびtracrRNA)は、介入するヌクレオチド(例えば、単一のガイド核酸の場合にはリンカー)により共有結合可能である。互いに相補的であるヌクレオチドの2つの伸張部(例えばcrRNAおよびtracrRNA)は、Casタンパク結合セグメントの二本鎖RNA二重鎖またはヘアピンを形成し、そうしてステムループ構造をもたらすようにハイブリダイズ可能である。crRNAおよびtracrRNAは、crRNAの3’末端およびtracrRNAの5’末端を介して共有結合可能である。代替的に、tracrRNAおよびcrRNAは、tracrRNAの5’末端およびcrRNAの3’末端を介して共有結合可能である。
【0197】
ガイド核酸のCasタンパク質結合セグメントは、約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、例えば約10ヌクレオチド(nt)~約20nt、約20nt~約30nt、約30nt~約40nt、約40nt~約50nt、約50nt~約60nt、約60nt~約70nt、約70nt~約80nt、約80nt~約90nt,または約90nt~約100ntの長さを有する場合がある。例えば、ガイド核酸のCasタンパク質結合セグメントは、約15ヌクレオチド(nt)~約80nt、約15nt~約50nt、約15nt~約40nt、約15nt~約30nt、または約15nt~約25ntの長さを有する場合がある。
【0198】
ガイド核酸のCasのタンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖は、約6塩基対(bp)~約50bpの長さを有する場合がある。例えば、タンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖は、約6bp~約40bp、約6bp~約30bp、約6bp~約25bp、約6bp~約20bp、約6bp~約15bp、約8bp~約40bp、約8bp~約30bp、約8bp~約25bp、約8bp~約20bp、または約8bp~約15bpの長さを有する場合がある。例えば、タンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖は、約8bp~約10bp、約10bp~約15bp、約15bp~約18bp、約18bp~約20bp、約20bp~約25bp、約25bp~約30bp、約30bp~約35bp、約35bp~約40bp、または約40bp~約50bpの長さを有する場合がある。
【0199】
いくつかの実施形態では、Casタンパク結合セグメントのdsRNA二重鎖は、36塩基対の長さを有する場合がある。タンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖を形成するようにハイブリダイズするヌクレオチド配列間の相補性の割合は、少なくとも約60%である。例えば、タンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖を形成するようにハイブリダイズするヌクレオチド配列間の相補性の割合は、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。場合により、タンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖を形成するようにハイブリダイズするヌクレオチド配列間の相補性の割合は、100%である。
【0200】
リンカー(例えば、単一のガイド核酸中でcrRNAおよびtracrRNAを結合する)は、約3ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの長さを有する場合がある。例えば、リンカーは、約3ヌクレオチド(nt)~約90nt、約3ヌクレオチド(nt)~約80nt、約3ヌクレオチド(nt)~約70nt、約3ヌクレオチド(nt)~約60nt、約3ヌクレオチド(nt)~約50nt、約3ヌクレオチド(nt)~約40nt、約3ヌクレオチド(nt)~約30nt、約3ヌクレオチド(nt)~約20nt、または約3ヌクレオチド(nt)~約10ntの長さを有する場合がある。例えば、リンカーは、約3nt~約5nt、約5nt~約10nt、約10nt~約15nt、約15nt~約20nt、約20nt~約25nt、約25nt~約30nt、約30nt~約35nt、約35nt~約40nt、約40nt~約50nt、約50nt~約60nt、約60nt~約70nt、約70nt~約80nt、約80nt~約90nt、または約90nt~約100ntの長さを有する場合がある。いくつかの実施形態では、DNA標的化RNAのリンカーは、4ntである。
【0201】
本開示のガイド核酸は、追加の望ましい特徴(例えば、修飾または調節された安定性、細胞内標的化、蛍光標識による追跡、タンパク質またはタンパク質複合体の結合部位など)を提供する修飾または配列を含む場合がある。このような修飾の例として、例えば、5’キャップ(7-メチルグアニレートキャップ(m7G))、3’ポリアデニル化尾部(3’ポリ(A)尾部)、リボスイッチ配列(例えば、安定性の調節、ならびに/あるいはタンパク質および/またはタンパク質複合体によるアクセシビリティの調節を可能にするもの)、安定性調節配列、dsRNA二重鎖(ヘアピン)を形成する配列、細胞内位置(例えば核、ミトコンドリア、葉緑体)に対してRNAを標的とする修飾または配列、追跡を提供する修飾または配列(例えば、蛍光分子への直接コンジュゲーション、蛍光検出を容易にする部分へのコンジュゲーション、蛍光検出を可能とする配列など)、タンパク質に結合部位を提供する修飾または配列(例えば、転写活性化因子、転写リプレッサ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、およびこれらの組合せを含む、DNAに作用するタンパク質)が挙げられる。
【0202】
ガイド核酸は、新規または強化された特徴(例えば安定性の改善)を伴う核酸を提供するために、1つ以上の修飾(例えば、塩基修飾、バックボーン修飾)を含む場合がある。ガイド核酸は、核酸親和性タグを含む場合がある。ヌクレオシドは、塩基と糖の組合せであり得る。ヌクレオチドの塩基部分は、複素環式塩基であり得る。プリンおよびピリミジンは、このような複素環式塩基に最もよくみられる2つの分類である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されるリン酸基をさらに含むヌクレオシドであり得る。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドでは、リン酸基は、糖の2’、3’、または5’ヒドロキシル部分に結合可能である。ガイド核酸の形成において、リン酸基は、直鎖高分子化合物を形成するために互いに隣接するヌクレオシドに共有結合可能である。次いで、この直鎖高分子化合物の末端はそれぞれ、環状化合物を形成するためにさらに結合する場合がある。しかし、直鎖化合物が適切な場合がある。加えて、直鎖化合物は、内部ヌクレオチド塩基相補性を有し、そのため、完全または部分的に二本鎖の化合物を産生するような形で折り重なる場合がある。さらに、ガイド核酸内では、リン酸基は、よくガイド核酸のヌクレオシド間バックボーンを形成すると言われる場合もある。ガイド核酸の結合またはバックボーンは、3’~5’ホスホジエステル結合であり得る。
【0203】
ガイド核酸は、修飾されたバックボーンおよび/または修飾されたヌクレオシド間結合を含む場合がある。修飾されたバックボーンは、バックボーン中でリン原子を保持するもの、およびバックボーン中でリン原子を有していないものを含む場合がある。
【0204】
リン原子を中に包含する適切な修飾されたガイド核酸バックボーンは、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル、ならびに3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、キラルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホラミダイトとアミノアルキルホスホラミダイトを含むホスホラミダイト、ホスホロジアミデート、チオノホスホラミダイト、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート、および正常な3’-5’結合、2’-5’結合アナログ、および逆極性を有するボラノホスフェートなどの他のアルキルホスホネートを含み、ここで、1つ以上のヌクレオチド間結合は、3’-3’、5’-5’、または2’-2’結合である。逆極性を有する適切なガイド核酸は、最も3’-ヌクレオチド間結合(3’-most internucleotide linkage)における単一の3’-3’結合(核酸塩基が欠失しているか、その適所にヒドロキシル基を有する単一の逆ヌクレオシド残基など)を含む場合がある。様々な塩(例えば、塩化カリウムまたは塩化ナトリウム)、混合塩、および遊離酸形態も、含まれる場合がある。
【0205】
ガイド核酸は、1つ以上のホスホロチオエートおよび/またはヘテロ原子のヌクレオシド間結合、具体的には-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-(メチレン(メチルイミノ)またはMMIバックボーン)、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-、および-O-N(CH3)-CH2-CH2-を含む場合がある(ここで、天然リン酸ジエステルのヌクレオチド間結合は、-O-P(=O)(OH)-O-CH2-として表される)。
【0206】
ガイド核酸は、モルホリノバックボーン構造を含む場合がある。例えば、核酸は、リボース環の代わりに6員モルホリノ環を含む場合がある。これらの実施形態の一部では、ホスホロジアミデートまたは他の非リン酸ジエステルのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合に代わる。
【0207】
ガイド核酸は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子、およびアルキルまたはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、あるいは1つ以上の短鎖ヘテロ原子または複素環式ヌクレオシド間結合により形成される、ポリヌクレオチドバックボーンを含む場合がある。これらは、(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される)モルホリノ結合、シロキサンバックボーン、スルフィド、スルホキシド、およびスルホンのバックボーン、ホルムアセチルバックボーン、チオホルムアセチルバックボーン、メチレンホルムアセチルバックボーン、チオホルムアセチルバックボーン、リボアセチルバックボーン、アルケン含有バックボーン、スルファメートバックボーン、メチレンイミノバックボーン、メチレンヒドラジノバックボーン、スルホネートバックボーン、スルホンアミドバックボーン、アミドバックボーン、ならびにN、O、S、およびCH2構成部分の混合物を有する他のものを含む場合がある。
【0208】
ガイド核酸は、核酸模倣物を含む場合がある。「模倣物」という用語は、フラノース環のみ、またはフラノース環とヌクレオチド結合の両方が、非フラノース基と置き換えられるポリヌクレオチドを含むよう意図されている場合があり、フラノース環のみの置換えは、糖代替(sugar surrogate)とも称される場合がある。複素環式塩基部分または修飾された複素環式塩基部分は、適切な標的核酸でのハイブリダイゼーションのために維持される場合がある。かかる核酸の1つは、ペプチド核酸(PNA)であってもよい。PNAでは、ポリヌクレオチドの糖バックボーンは、アミドを包含するバックボーン、具体的にはアミノエチルグリシンバックボーンと置き換えられる場合がある。ヌクレオチドは、保持され、バックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合することができる。PNA化合物中のバックボーンは、アミドを包含するバックボーンをPNAに与える、結合した2つ以上のアミノエチルグリシンのユニットを含む場合がある。複素環式塩基部分は、バックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合することができる。
【0209】
ガイド核酸は、複素環式塩基がモルホリノ環に付いた結合モルホリノユニット(モルホリノ核酸)を含む場合がある。結合基は、モルホリノ核酸中でモルホリノ単量体ユニットを結合可能である。非イオン性モルホリノベースのオリゴマー化合物では、細胞タンパク質との望ましくない相互作用が少ない。モルホリノベースのポリヌクレオチドは、ガイド核酸の非イオン性模倣物の場合がある。モルホリノクラス内の様々な化合物は、様々な結合基を使用して結合可能である。さらなるポリヌクレオチド模倣物のクラスは、シクロヘキセニル核酸(CeNA)と称される場合もある。核酸分子に通常存在するフラノース環は、シクロヘキセニル環と置き換えることができる。CeNA DMTで保護されたホスホラミダイト単量体は、ホスホラミダイトの化学的性質を使用したオリゴマー化合物合成のために調製および使用することができる。CeNA単量体を核酸鎖へ組み込むことで、DNA/RNAハイブリッドの安定性を増大することができる。CeNAオリゴアデニレートは、天然複合体と同様の安定性をもって核酸補体と複合体を形成することができる。さらなる修飾は、2’-ヒドロキシル基が糖環の4’-炭素原子に結合し、それにより2’-C,4’-C-オキシメチレン結合が生じ、二環式糖部分が生じるロックド核酸(LNA)を含む場合がある。この結合は、メチレン(-CH2-)、すなわち2’酸素原子および4’炭素原子を架橋する基であってもよく、ここで、nは1または2である。LNAおよびLNAアナログは、相補的核酸では非常に高い二重の熱安定性(Tm=+3~+10℃)、3’-エキソヌクレアーゼ(exonucleolytic)分解に向かう安定性、および良好な溶解度特性を示す場合がある。
【0210】
ガイド核酸は、置換された1つ以上の糖部分を含む場合がある。適切なポリヌクレオチドは、OH、F、O-アルキル、S-アルキル、N-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N-アルキニル、またはO-アルキル-O-アルキルから選択される糖置換基を含む場合がある。ここで、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換のC1~C10アルキル、あるいはC2~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。特に適切なのは、O((CH2)nO)mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON((CH2)nCH3)2であり、nとmは1~約10である。糖置換基は、C1~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリル、O-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物質、ガイド核酸の薬物動態特性を改善するための基、またはガイド核酸の薬力学特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基から選択される場合がある。適切な修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとして知られる2’-O-CH2CH2OCH3、アルコキシアルコキシ基)を含む場合がある。さらに適切な修飾は、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、(2’-DMAOEとしても知られるO(CH2)2ON(CH3)2基)、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’-O-ジメチル-アミノ-エトキシ-エチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、2’-O-CH2-O-CH2N(CH3)2を含む場合がある。
【0211】
他の適切な糖置換基は、メトキシ(-O-CH3)、アミノプロポキシ(-O CH2 CH2NH2)、アリル(-CH2-CH=CH2)、-O-アリル(--O--CH2-CH=CH2)、およびフルオロ(F)を含む場合がある。2’-糖置換基は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置にあってもよい。適切な2’-アラビノ修飾は、2’-Fである。同様の修飾も、オリゴマー化合物の他の位置、具体的には3’末端ヌクレオシド上または2’~5’結合ヌクレオチド中の糖の3’位置、ならびに5’末端ヌクレオチドの5’位置に作られる場合がある。オリゴマー化合物はさらに、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣物を有する場合がある。
【0212】
ガイド核酸はさらに、核酸塩基(または「塩基」)修飾あるいは置換を含む場合がある。本明細書で使用するとき、「未修飾」または「天然」核酸塩基は、プリン塩基(例えばアデニン(A)およびグアニン(G))、およびピリミジン塩基(例えばチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U))を含む場合がある。修飾された核酸塩基は、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニル(-C=C-CH3)ウラシルおよびシトシンなどの他の合成および天然核酸塩基、ならびに他のピリミジン塩基のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、シトシン、およびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン、3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンを含む場合がある。修飾された核酸塩基は、フェノキサジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾチアジン-2(3H)-オン)などの三環式ピリミジン、置換フェノキサジンシチジン(例えば9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド(4,5-b)インドール-2-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド(4,5-b)インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド(3’,2’;4,5)ピロロ(2,3-d)ピリミジン-2-オン)などのGクランプを含む場合がある。
【0213】
複素環式塩基部分は、プリンまたはピリミジン塩基が、他の複素環式化合物、例えば7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、および2-ピリドンと置き換えられるものを含む場合がある。核酸塩基は、ポリヌクレオチド化合物の結合親和性を増大させるのに有用な場合がある。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンを含むN-2、N-6、およびO-6置換プリンを含む場合がある。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6~1.2℃増大可能であり、適切な塩基置換であり得る(例えば2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせたときに)。
【0214】
ガイド核酸の修飾は、ガイド核酸の活性、細胞分布、または細胞取込みを増強可能な1つ以上の部分またはコンジュゲートを、ガイド核酸に化学的に結合することを含む場合がある。これらの部分またはコンジュゲートは、一次または二次ヒドロキシル基などの官能基に共有結合したコンジュゲート基を含む場合がある。コンジュゲート基は、介入物質、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学特性を増強する基、およびオリゴマーの薬物動態特性を増強可能な基を含む場合があるが、これらに限定されるものではない。コンジュゲート基は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および染料を含む場合があるが、これらに限定されるものではない。薬力学特性を増強する基は、取込みを改善し、分解への抵抗性を増強し、および/または標的核酸での配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基を含む。薬物動態特性を増強可能な基は、核酸の取込み、分布、代謝、または排泄を改善する基を含む。コンジュゲート部分は、コレステロール部分などの脂質部分、コール酸、チオエテール(例えばヘキシル-S-トリチルチオ)、チオコレステロール、脂肪族鎖(例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基)、リン脂質(例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分を含む場合があるが、これらに限定されるものではない。
【0215】
本明細書中のいくつかの実施形態では、crRNAを含む異種RNAポリヌクレオチドが記載される。いくつかの実施形態では、cRNAは、本明細書に記載の部分のうちいずれか1つをコードする異種ポリヌクレオチドに相補的な配列を標的とすることを含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、crRNAは、5nt~100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、5nt~6nt、5nt~7nt、5nt~8nt、5nt~9nt、5nt~10nt、5nt~15nt、5nt~20nt、5nt~25nt、5nt~50nt、5nt~100nt、6nt~7nt、6nt~8nt、6nt~9nt、6nt~10nt、6nt~15nt、6nt~20nt、6nt~25nt、6nt~50nt、6nt~100nt、7nt~8nt、7nt~9nt、7nt~10nt、7nt~15nt、7nt~20nt、7nt~25nt、7nt~50nt、7nt~100nt、8nt~9nt、8nt~10nt、8nt~15nt、8nt~20nt、8nt~25nt、8nt~50nt、8nt~100nt、9nt~10nt、9nt~15nt、9nt~20nt、9nt~25nt、9nt~50nt、9nt~100nt、10nt~15nt、10nt~20nt、10nt~25nt、10nt~50nt、10nt~100nt、15nt~20nt、15nt~25nt、15nt~50nt、15nt~100nt、20nt~25nt、20nt~50nt、20nt~100nt、25nt~50nt、25nt~100nt、または50nt~100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、50nt、または100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、最小で5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、または50ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、最大で6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、50nt、または100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、少なくとも5nt~100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、少なくとも5nt~6nt、5nt~7nt、5nt~8nt、5nt~9nt、5nt~10nt、5nt~15nt、5nt~20nt、5nt~25nt、5nt~50nt、5nt~100nt、6nt~7nt、6nt~8nt、6nt~9nt、6nt~10nt、6nt~15nt、6nt~20nt、6nt~25nt、6nt~50nt、6nt~100nt、7nt~8nt、7nt~9nt、7nt~10nt、7nt~15nt、7nt~20nt、7nt~25nt、7nt~50nt、7nt~100nt、8nt~9nt、8nt~10nt、8nt~15nt、8nt~20nt、8nt~25nt、8nt~50nt、8nt~100nt、9nt~10nt、9nt~15nt、9nt~20nt、9nt~25nt、9nt~50nt、9nt~100nt、10nt~15nt、10nt~20nt、10nt~25nt、10nt~50nt、10nt~100nt、15nt~20nt、15nt~25nt、15nt~50nt、15nt~100nt、20nt~25nt、20nt~50nt、20nt~100nt、25nt~50nt、25nt~100nt、または50nt~100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、少なくとも5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、50nt、または100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、少なくとも最小で5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、または50ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、少なくとも最大で6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、50nt、または100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、多くとも5nt~100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、多くとも5nt~6nt、5nt~7nt、5nt~8nt、5nt~9nt、5nt~10nt、5nt~15nt、5nt~20nt、5nt~25nt、5nt~50nt、5nt~100nt、6nt~7nt、6nt~8nt、6nt~9nt、6nt~10nt、6nt~15nt、6nt~20nt、6nt~25nt、6nt~50nt、6nt~100nt、7nt~8nt、7nt~9nt、7nt~10nt、7nt~15nt、7nt~20nt、7nt~25nt、7nt~50nt、7nt~100nt、8nt~9nt、8nt~10nt、8nt~15nt、8nt~20nt、8nt~25nt、8nt~50nt、8nt~100nt、9nt~10nt、9nt~15nt、9nt~20nt、9nt~25nt、9nt~50nt、9nt~100nt、10nt~15nt、10nt~20nt、10nt~25nt、10nt~50nt、10nt~100nt、15nt~20nt、15nt~25nt、15nt~50nt、15nt~100nt、20nt~25nt、20nt~50nt、20nt~100nt、25nt~50nt、25nt~100nt、または50nt~100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、多くとも5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、50nt、または100ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、多くとも最小で5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、または50ntを含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、多くとも最大で6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、15nt、20nt、25nt、50nt、または100ntを含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分および異種ポリヌクレオチドは、発現ベクターの使用により細胞へ送達可能である。発現ベクターの観点では、このベクターは、当該技術における任意の方法により宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母菌、昆虫細胞へと容易に導入可能である。例えば、発現ベクターは、物理的手段、化学的手段、または生物学的手段により宿主細胞へ移すことができる。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分および異種ポリヌクレオチドは、リン酸カルシウム沈降反応、リポフェクション、粒子爆撃、マイクロインジェクション、遺伝子銃、エレクトロポレーションなどの物理的方法により細胞へ送達可能である。ベクターおよび/または外生核酸を含む細胞を産生する方法は、本明細書中の方法に適している(例えば、Sambrook et al.,2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,volumes1-4,Cold Spring Harbor Press,NYを参照)。宿主細胞へとポリヌクレオチドを導入する方法の1つは、リン酸カルシウムトランスフェクションである。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分および異種ポリヌクレオチドは、DNAおよびRNAベクターの使用といった生物学的方法により細胞へ送達可能である。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞へ遺伝子を挿入するのに最も広く使用される方法となっている。いくつかの実施形態では、他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純疱疹ウイルスI、アデノウイルス、アデノ関連性ウイルスなどに由来する。例示的なウイルスベクターとして、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター(AAV)、ポックスベクター、パルボウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、または単純疱疹ウイルスベクター(HSV)が挙げられる。いくつかの例では、レトロウイルスベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV、MMLV、MuLV、またはMLV)、あるいはマウス幹細胞ウイルス(MSCV)ゲノムに由来するベクターなどの、γレトロウイルスベクターを含む。いくつかの例では、レトロウイルスベクターはさらに、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノムに由来するものといったレンチウイルスベクターを含む。いくつかの例では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9血清型を含む。いくつかの例では、ウイルスベクターは、2つ以上のウイルスからのウイルス部分を含むキメラウイルスベクターである。さらなる例では、ウイルスベクターは、組換えウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分および異種ポリヌクレオチドは、高分子複合体、ナノカプセル剤、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの系といった化学的手段により細胞へ送達可能である。in vitroおよびin vivoでの送達媒体として使用される例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば人工膜小胞)である。標的とされたナノ粒子または他の適切なサブミクロンサイズの送達系によるポリヌクレオチドの送達など、その他最先端技術における核酸の標的化送達の方法も、利用可能である。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分および異種ポリヌクレオチドは、非ウイルス送達系により細胞へ送達可能である。非ウイルス送達系は、リポソームであり得る。脂質製剤の使用は、宿主細胞への核酸の導入(ex vivo、in vivo、またはin vitro)に対して企図される。他の態様では、核酸は脂質に関連する。いくつかの実施形態では、脂質に関連する核酸は、リポソームの水性内部(aqueous interior)に封入され、リポソームの脂質二重層内に点在し、リポソームとオリゴヌクレオチド療法に関連する結合分子を介してリポソームに付けられ、リポソーム中に閉じ込められ、リポソームと複合体を形成し、脂質を含有する溶液中で分散し、脂質と混合され、脂質と組み合わされ、懸濁液として脂質に包含され、ミセルに包含されるかそれと複合体を形成し、あるいはその他の方法で脂質に関連づけられる。脂質、脂質/DNA、または脂質/発現ベクターに関連する組成物は、溶液中のいかなる特定の構造にも限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、これら組成物は、二重層構造においてミセルとして、または「崩壊」構造とともに存在する。代替的には、単に溶液中で点在するだけであり、これによりサイズまたは形状が均一でない凝集体を生じさせる可能性がある。脂質は、いくつかの実施形態で自然に生じるか合成される脂肪物質である。例えば脂質は、細胞質に自然に生じる脂肪滴のほか、脂肪酸、アルコール類、アミン類、アミノアルコール類、およびアルデヒド類などの長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を包含する化合物の分類を含む。使用に適した脂質は、商業的供給源から得られる。例えば、いくつかの実施形態では、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,Moから得られる。いくつかの実施形態では、ジセチルホスフェート(「DCP」)は、K&K Laboratories(Plainview,N.Y.)から得られる。いくつかの実施形態では、コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから得られる。ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、しばしばAvanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,Ala.)から得られる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質貯蔵液は、しばしば約-20℃で保管される。クロロホルムは、メタノールよりも蒸発しやすいため、唯一の溶剤として使用される。「リポソーム」は、封入された脂質二重層または凝集体の生成により形成される様々な単層および多層状の脂質溶媒を包含する総称である。リポソームは、しばしばリン脂質二重層膜および内部水性媒体を持つ多孔質構造を有することを特徴とする。多層状リポソームは、水性媒体により複数の脂質層に分離される。リン脂質が過剰な水溶液中に浮遊すると、それらは自然に生じる。脂質成分は、閉鎖構造の形成前に自己再配列を受けて、脂質二重層間に水および溶質を閉じ込める(Ghosh et al.,1991 Glycobiology 5:505-10)。しかし、溶液中で正常な多孔質構造とは異なる構造を有する組成物も、含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、脂質はミセル構造を呈するか、脂質分子の不均一凝集体としてのみ存在する。また、リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。いくつかの実施形態では、遺伝的修飾部分および異種ポリヌクレオチドは、細胞に送達可能、細胞外小胞を介して細胞に封入かつ送達可能である。細胞外小胞は、任意の膜結合型粒子であり得る。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、少なくとも1つの細胞により分泌される任意の膜結合型粒子であり得る。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、in vitroで合成された膜結合型粒子である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、細胞を用いることなく合成された膜結合型粒子である。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、エキソソーム、微小小胞体、レトロウイルス様粒子、アポトーシス小体、アポプトソーム、オンコソーム、エキソファー、外膜ウイルス、エキソマー、またはその他非常に大きな細胞外小胞であり得る。
【0218】
細胞外小胞の均質集団の同定と単離
本明細書中のいくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団を含む組成物を生成するために本明細書に記載のプラットフォームを利用する方法が記載される。いくつかの実施形態では、この方法は、細胞外小胞の寸法(例えば直径またはサイズ)に基づき、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞外小胞の質量に基づき細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞外小胞の表面上で封入、分泌、または発現される免疫チェックポイント部分のユニット数に基づき、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞外小胞の表面上で封入、分泌、または発現される免疫チェックポイント部分の寸法とユニット数の組合せに基づき、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞外小胞の表面上で発現される免疫チェックポイント部分のユニット数に基づき、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。
【0219】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する方法は、密度に基づき細胞外の小胞の均質集団を単離するために差動的超遠心分離を実行する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、重量またはサイズに基づき細胞外小胞の均質集団を単離するために濾過または限外濾過を実行する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、HPLCを実行する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞外小胞の沈降反応を実行する工程を含む。ここでは、ポリエチレングリコール(PEG)などの水除外ポリマー(water-excluding polymer)が水分子と結びつき、可溶性成分が溶液からほとんど出ないようにすることができる。そのため、細胞外小胞を含む沈降物は、低速遠心分離または濾過のいずれかにより単離可能である。いくつかの実施形態では、前記方法は、免疫親和性により細胞外小胞を捉えることにより、親和性に基づく捕捉を実行する工程を含む。細胞外小胞の表面に表示されるタンパク質またはエピトープの例は、CD9、CD63、CD81、Alix、カベオリン-1、CD41、CD4、フロチリン、Rab5、HSC70、およびLamp-3を含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、サイズ、密度、および免疫親和性に基づき細胞外小胞の均質集団の単離するために細胞外小胞に対してマイクロ流体工学に基づく単離方法を実行する工程を含み、音響操作、電気泳動操作、電磁気的操作などの革新的な選別機構が実施可能である。このようなデバイスの使用では、試料の体積、試薬消費、および単離時間の有意な減少が予想される。
【0220】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する方法は、細胞外小胞の表面に発現される免疫のチェックポイント部分の数に基づく工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、免疫チェックポイント部分を認識する抗体が使用されるイムノアッセイを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、検出可能な標識にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分を認識してこれに結合する抗体から検出したシグナルは、細胞外小胞の表面に発現される免疫チェックポイント部分の数に相関する。例示的な検出可能な部分は、酵素部分(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光染料、発光部分、放射部分、比色標識、着色ラテックス粒子またはナノ粒子、および金属ナノ層、金属ナノ粒子、金属ナノシェルがコンジュゲートした部分などの金属がコンジュゲートした部分を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、比色測定法(例えば、HRPまたはβガラクトシダーゼ活性の検出用)、光学顕微鏡を用いた目視検査、免疫蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー(FACS)による共焦点顕微鏡、オートラジオグラフィ電子顕微鏡検査、免疫染色、または細胞下分画のために、直接または間接的にタグ付けされる。
【0221】
いくつかの実施形態では、細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する方法は、細胞外小胞の表面に発現される免疫のチェックポイント部分の直径とユニット数両方に基づき細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する工程を含む。例えば、前記方法は、細胞外小胞の表面に発現される直径約50nmおよび約2000ユニットの細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞外小胞の表面に発現される直径約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、またはそれ以上、および500ユニット、1000ユニット、1500ユニット、2000ユニット、2500ユニット、3000ユニット、3500ユニット、4000ユニット、4500ユニット、5000ユニット、5500ユニット、6000ユニット、7500ユニット、8000ユニット、8500ユニット、9000ユニット、9500ユニット、10000ユニット、11000ユニット、12000ユニット、13000ユニット、14000ユニット、15000ユニット、またはそれ以上の細胞外小胞の均質集団を同定かつ単離する。
【0222】
処置
本明細書中のいくつかの実施形態では、対象の疾患または障害を処置する方法が開示され、該方法は、本明細書に記載の組成物または医薬組成物を治療上有効量で対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は自己免疫疾患であり、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、1型糖尿病、多発性硬化症、炎症性腸疾患、セリアック病、クローン病、グレーブス病、若年性関節炎、慢性ライム病、視神経炎、乾癬性関節炎、強膜炎、強皮症、潰瘍性大腸炎(UC)、ブドウ膜炎、炎症性眼疾病、白斑、COPD、臓器移植による合併症、または移植片対宿主病が挙げられる。
【0223】
いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞を本明細書に記載の組成物または医薬組成物と接触させる工程を含み、この接触に際して、免疫チェックポイント部分は標的細胞に送達される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント部分は、標的細胞の免疫応答を調節する。いくつかの実施形態では、接触させる工程は、in vivo、ex vivo、またはin vitroで行われる。いくつかの実施形態では、組成物または医薬組成物は、対象に直接投与可能である。
【0224】
いくつかの実施形態では、組成物または医薬組成物は、単独で対象に投与可能である(例えば、独立型処置)。いくつかの実施形態では、組成物は、追加の薬剤と併用して投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、疾患または疾病に対する第1選択処置である。いくつかの実施形態では、組成物は、自己免疫疾患に対する第2、第3、または第4選択処置である。
【0225】
一般的に、本明細書に開示される方法は、組成物を経口投与する工程を含む。しかし、いくつかの例では、この方法は、組成物を腹腔内注射により投与する工程を含む。いくつかの例では、前記方法は、組成物を肛門坐薬の形態で投与する工程を含む。いくつかの例では、前記方法は、組成物を静脈内(i.v.)投与する工程を含む。さらに、本明細書に開示される組成物を、皮下注射、筋肉注射、皮内注射、経皮注射、経皮投与、鼻腔内投与、リンパ内注射、直腸投与、胃内投与、または他のあらゆる適切な非経口投与などの他の経路により投与できることも考えられる。いくつかの実施形態では、損傷または炎症部位付近への局所送達用の経路は、好ましくは全身経路にわたる。治療薬投与の経路、用量、時点、および持続期間は、調整可能である。いくつかの実施形態では、治療薬の投与は、疾患または疾病の急性、慢性、またはその両方の症状の発症前、あるいは発症後に行われる。
【0226】
本明細書中の自己免疫疾患を予防または処置するのに有効な組成物の投与量および用量は、自己免疫疾患または疾病に関連して観察された有益な反応、または自己免疫疾患の症状により定められる。いくつかの例では、有益な反応は、自己免疫疾患症状の低減を含む。さらなる有益な反応として、自己免疫疾患の予防、緩和、阻止、または治癒が挙げられる。組成物が治療上有効でないか、疾患または疾病、あるいは疾患または疾病の症状の十分な緩和をもたらしていない場合、投与量および/または投与経路は変更可能であり、または、追加の薬剤を組成物にとともに対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、患者は、組成物のレジメンを開始すると、第2の処置レジメンを中止される(例えば段階的に投与量が減らされる)。
【0227】
対象への投与に適切な投与量および用量は、特定の組成物、疾患の状態および重症度、処置を必要とする対象の同一性(例えば体重、性別、年齢)を含むがこれらに限定されない因子により定められ、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、処置される疾病、および処置される対象を含む症例を取り囲む特定環境に応じて定めることができる。
【0228】
いくつかの実施形態では、組成物の投与は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、または10年に1回行われる。有効な用量範囲は、対象の処置に対する反応に基づき調整可能である。一部の投与経路は、他の経路よりも高濃度の有効量の治療薬を必要とする。
【0229】
患者の疾病が改善されない特定の実施形態では、医師の裁量により、組成物の投与は慢性的に行われる。すなわち、患者の疾患または疾病の症状を改善、あるいはその他の方法で制御または制限するために、患者の生涯にわたり投与される。患者の状況が改善する特定の実施形態では、投与される組成物の投与量は、一定期間にわたり一時的に減少させるか、一時的に中止される場合がある(休薬期間)。特定の実施形態では、休薬期間は、2日から1年の間であり、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日より長い期間が挙げられる。休薬期間中の投与量減少は、10%~100%であり、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%が挙げられる。ある実施形態では、投与される薬物の投与量は、一定期間にわたり一時的に減少させるか、一時的に中止される場合がある(「薬物転用(drug diversion)」)。特定の実施形態では、薬物転用の期間は、2日から1年の間であり、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日より長い期間が挙げられる。薬物転用中の投与量減少は、10%~100%であり、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%が挙げられる。適切な期間の経過後、任意選択で正常な投薬スケジュールに戻される。
【0230】
いくつかの実施形態では、一旦患者の症状が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。その後、特定の実施形態では、投与量または頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルまで減少される。しかし、ある実施形態では、患者は症状の再発時に長期間にわたり間欠的処置を必要とする。
【0231】
こうした治療レジメンの毒性と治療効果は、LD50とED50の判定を含むがこれらに限定されない、細胞培養物または実験動物における標準の製薬手順により判定される。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、これはLD50とED50との比として表される。ある実施形態では、細胞培養アッセイと動物試験から得たデータは、ヒトを含む哺乳動物に使用するための治療上有効な一日量の範囲および/または治療上有効な単位用量を製剤化するのに使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物の一日量は、毒性が最小限であるED50を含む循環濃度の範囲内にある。ある実施形態では、一日量の範囲および/または単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
【0232】
組成物は、単独で、または追加の薬剤と組み合わせて使用できる。場合により、「追加の薬剤」は、本明細書で使用するとき、単独で投与される。組成物および追加の薬剤は、一緒に、または連続して投与可能である。併用療法薬は、同じ日に投与されるか、1日以上、数週間、数か月、または数年の間隔を空けて投与可能である。追加の薬剤の例は、サイトカイン類または小分子を標的とする抗体などの他の免疫モジュレータを含むことができる。
【0233】
本発明の好ましい実施形態を本明細書中で示しかつ記載してきたが、このような実施形態は、ほんの一例として提供されることは、当業者に明白である。本明細書内で提供される特定の例により、本発明が限定されることは意図されていない。本発明は、前述の明細書に関して記載されているが、本明細書中の実施形態の記載と例示は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。多数の変形、変更、および置換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。さらに、本発明の態様はすべて、様々な条件と変数に依存する、本明細書で述べた特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案は、本発明の実施に利用可能であることを理解されたい。それゆえ本発明は、任意のそのような代替案、修正、変形、または同等物にも及ぶと考えられる。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法と構造は、それにより包含されることが、意図されている。
【実施例
【0234】
以下の例示的な実施例は、本明細書に記載される刺激、システム、および方法の実施形態の表すものであり、あらゆる形で限定されるようには意図したものではない。
【実施例1】
【0235】
間葉系幹細胞(MSC)およびその対応する細胞外小胞(EV)は、PD-L1を含む。
PD-L1がMSCおよびその対応する細胞外小胞に存在することは、ウエスタンブロットにより認められた。図1に示すように、サイズ45kDaの透明なバンド(clear band)を、MSCおよび対応するエキソソーム上で検出した。飢餓培地を陰性対照として使用し、アイランドエキソソーム(islet exosomes)を陽性対照として使用した。これらの結果を標準化するために、同じ分析を、3つの異なる臍帯MSCドナーから得たMSC EV上で行った。
【0236】
MSC溶解物およびMSC EV試料を音波粉砕により調製した。MSC溶解物およびMSC EV試料の量は、タンパク質25μgに相当する。勾配プレキャストポリアクリルアミドゲル(Mini-PROTEAN;Bio-Rad laboratories,Hercules,CA,USA)を使用して、これら試料を解析した。次いで、試料をニトロセルロース膜上へと移し、これをトリス緩衝生理食塩水(TBS)中で2時間、5%ブロッティンググレードBlocker Non-Fat Dry Milk(Bio-Rad Laboratories)を用いて遮断した。続いて、精製された抗ヒトCD274(B7-H1、PD-L1)抗体(Biolegend、cat#329701)に対する一次抗体を用いて、TBS-Tween(TBST)中の0.25%ブロッティンググレードBlocker Non-Fat Dry Milkにおいて4℃で一晩、膜をインキュベートした。次いで、膜を10分かけてTBSTで3回洗浄した。二次抗体ECL抗マウスIgGホースラディッシュペルオキシダーゼに結合したF(ab’)2フラグメントを、TBST中の0.25%ブロッティンググレードBlocker Non-Fat Dry Milkに希釈し、膜とともに1.5時間インキュベートした。最後に、ECL Prime Western Blotting Detection(GE Healthcare)およびVersaDoc 4000 MP(Bio-Rad Laboratories)を用いて、膜を解析した。
【実施例2】
【0237】
MSC EVはCD25+CD8+免疫細胞を抑制する。
有意なCD25+CD8+免疫細胞の抑制を、6日間IL-2(500U/ml)で刺激したヒト末梢血単核球(PBMC)中で観察した。この抑制は、PBMCがPD-L1遮断抗体にも接触した実験群において減少したことも観察した。本実験のスキームを図2に表す。
【0238】
図3の代表的なフローサイトメトリープロットより、PD-L1の遮断の存在下で、CD8+CD25+集団に対するMSC EVの抑制活性は大幅に減少することを認めた。さらに、一方でアイソタイプ調節抗体を含む対照群は、MSC EV単独と同様の抑制活性を呈した。これらの結果より、MSC EVの抑制活性は、主にPD-L1の存在によるものと認めた。
【実施例3】
【0239】
MSCを遺伝的に修飾し、野生型MSCより多くのエキソソームPD-L1を産生する。
MSCを健康なドナーの臍帯から採取する。これらMSCを採取した後、さらなる実験のために培養する。膜貫通CD63を、公知技法(例えばCRISPR/Cas9)による遺伝的修飾の標的とする。PD-L1の細胞外ドメインをCD63に融合させる。CD63のアミノ酸配列からなる様々な特異的な部分集合を、PD-L1融合の特に都合の良い領域、RDKVMSE直後、NNNFRQQ直後、およびYPKNNHT直後として同定した。このようなCD63の部分を、CD63のLarge Extracellular Loop(LEL)に認めた。1、2、3、またはそれより多くのG4Sリンカーを使用し、PD-L1の細胞外ドメインをCD63に融合させる。
【0240】
MSCの遺伝的修飾の後、遺伝的に修飾したMSCSを培養する。遺伝的に修飾したMSC溶解物および遺伝的に修飾したMSC EVの試料を、実施例1のプロトコルに従い調製する。これら試料をウエスタンブロットにより解析し、PD-L1の存在に関する試験を行う。サイズ45kDaの透明なバンドを、遺伝的に修飾したMSCおよびその対応するエキソソーム中で検出する。これらバンドの色は、実施例1のウエスタンブロット解析よりも暗いものであったため、遺伝的に修飾したMSCおよびその対応するエキソソームは、野生型MSCが産生する野生型MSCおよびEVより多くのPD-L1を産生することを認めた。飢餓培地を陰性対照として、アイランドエキソソームを陽性対照として使用した。
【実施例4】
【0241】
MSCを遺伝的に修飾し、エキソソーム免疫チェックポイント阻害剤を産生する。
実施例3の方法を利用し、VISTA、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、B7-H3(CD276)、B7-H2、B7-H4(VTCN1)、HVEM(CD270、TNFRSF14)、ガレクチン9、ガレクチン3、CEACAM1(CD66a)、OX-2(CD200)、PVR(CD155)、PVRL2(ネクチン-2、CD112)、FGL-1、PECAM-1、TSG-6、CD47、スタビリン-1(Clever-1)、ニューロピリン1、ニューロピリン2、CD158(ファミリー)、IGSF2(CD101)、CD155、GITRL、CD137L、OX40L、LIGHT、CD70、PD-1、RGMB、CTLA-4(CD152)、BTLA、CD160、Tim-3、CD200R、TIGIT、CD112R(PVRIG)、LAG-3(CD223)、PECAM-1、CD44、SIRPα(CD172a)、またはこれらの組合せから選択した任意の免疫チェックポイント阻害剤を転写する。
【0242】
遺伝的に修飾したMSCおよびその対応するEVに対してウエスタンブロット解析を行い、選択された免疫チェックポイント阻害剤の存在に関する試験を行う。
【実施例5】
【0243】
遺伝的に修飾した有力なMSCおよびその対応するEVの生成/精製
実施例3の遺伝的に修飾したMSCおよびその対応するEVを分析し、実施例2の結果と比較してCD25+CD8+免疫細胞抑制が増大した十分なMSCおよびその対応するEVを生成する。
【0244】
実施例3の遺伝的に修飾したMSCおよびその対応するEVを、検出可能な標識および可溶性PD-1でコンジュゲートした抗PD-L1抗体を含む溶液中で調製する。可溶性PD-1は、エキソソームPD-L1に結合する。可溶性PD-1とエキソソームPD-L1がMSCおよびその対応するEV上で相互に作用するため、検出可能な標識でコンジュゲートした抗PD-L1抗体は、MSCおよびEVと比較して高量のエキソソームPD-L1を発現する試料中で、MSCおよびEVに選択的に結合し、ここで、試料に存在する可溶性PD-1が、対応するエキソソームPD-L1を占有する。
【0245】
この分析を使用して、有力なMSCおよびEVを試料から生成/精製する。
【実施例6】
【0246】
遺伝的に修飾した有力なMSCおよびその対応するEVは、CD25+CD8+免疫細胞抑制の向上を示す。
実施例5の有力なMSCおよびEVを、実施例2の実験において解析する。有力なMSCおよびEVを含む実験群は、図3の結果と比較して大幅に増大したCD25+CD8+免疫細胞抑制を示す。
【実施例7】
【0247】
関節リウマチの処置用の遺伝的に修飾した有力なMSCおよびその対応するEV
実施例5および6の有力なEVと薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を調製し、関節リウマチ患者を処置する。この医薬組成物は、約10^~約10^のEV、または約1μg~約700mgのEVを含む。
【0248】
関節リウマチ患者の炎症部位に、医薬組成物を投与する。EVのCD25+CD8+免疫細胞抑制の増大は、関節リウマチの処置に十分なものである。
【実施例8】
【0249】
腎臓移植を受ける患者を対象とする移植片対宿主病の処置用の遺伝的に修飾した有力なMSCおよびその対応するEV。
実施例5および6の有力なEVと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を調製し、腎臓移植を受ける患者における移植片対宿主病患者を処置する。この医薬組成物は、約10^~約10^のEV、または約1μg~約700mgのEVを含む。
【0250】
腎臓移植を受ける患者における移植片対宿主病患者の炎症部位に、医薬組成物を投与する。EVのCD25+CD8+免疫細胞抑制の増大は、腎臓移植を受ける患者における移植片対宿主病の処置に十分なものである。
【0251】
前述の開示は、明確性と理解のために幾分詳細に記載されているが、形態と詳細に対する様々な変更は、本開示の真の範囲から逸脱することなく行うことが可能であることは、本開示を読み取ることで当業者に明白となる。例えば、上述のあらゆる技法および装置を、様々な組合せで使用することができる。本出願で引用される刊行物、特許、特許出願、および/またはその他の文書はすべて、あたかも個々の刊行物、特許、特許出願、および/またはその他の文書が、あらゆる目的のために参照により組み込まれるものと個々にかつ別個に示されている場合と同じ程度にまで、あらゆる目的のために全体を参照することで組み込まれている。
図1
図2
図3
【配列表】
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【国際調査報告】