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特表2022-537821レボドパとカルビドパの胃内滞留剤形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(54)【発明の名称】レボドパとカルビドパの胃内滞留剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20220823BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220823BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K47/14
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/32
A61P25/16
A61K9/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576120
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020038086
(87)【国際公開番号】W WO2020257250
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/867,731
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/865,039
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/039573
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520460959
【氏名又は名称】カシーヴ バイオサイエンシズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】カンジ・メグパラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイディープ・ヴァガシヤ
(72)【発明者】
【氏名】ディペン・デサイ
(72)【発明者】
【氏名】ワンタニー・プアプラディット
(72)【発明者】
【氏名】ナブニット・エイチ・シャー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076AA45
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD21
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD47
4C076EE10
4C076EE23
4C076FF04
4C076FF31
4C076GG01
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA56
4C206KA01
4C206KA17
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA01
(57)【要約】
本開示は、1日1回又は2回の投与に適した、自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供する。前記組成物は、市場に流通しているCD/LD製品に比べて向上したLDの薬物動態特性、例えば、ラグタイムの短縮、低トラフレベルの回避、及びピーク対トラフ比(Cmax/Cmin)の低下を伴う持続放出を提供する。前記組成物は、システムの胃内滞留特性(GRS特性)を失うことなく約8~約14時間、CD/LDの持続放出を提供し、薬物(CD/LD)の少なくとも約80%のシステムからの放出後に、崩壊/圧搾する。本開示の組成物は、服用されたとき、又は胃の状態の擬似的な媒体と接触したとき、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで膨潤し、膨潤状態を維持し、安定した治療濃度の薬物を長期間、例えば、約8~14時間放出する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形であって、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、溶解媒体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記CDと前記LDの少なくとも約80%の放出後、前記幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾することを特徴とする、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形。
【請求項2】
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、前記溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約150%の体積増加を示し、約22時間で150%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、前記溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で200%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する、請求項1に記載の剤形。
【請求項4】
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、前記溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約250%の体積増加を示し、約22時間で250%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、前記溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約300%の体積増加を示し、約22時間で300%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する、請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、前記溶解媒体との接触時から少なくとも約8時間、前記膨潤状態を維持する、請求項1に記載の剤形。
【請求項7】
前記溶解媒体が、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項8】
前記少なくとも1つの可塑剤は、トリエチルシトレート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチルセバケート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれかに記載の剤形。
【請求項9】
前記酸は、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、ステアリン酸、酒石酸、ホウ酸、安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の剤形。
【請求項10】
前記プル層及び前記プッシュ層は、それぞれ、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む、請求項1から9のいずれかに記載の剤形。
【請求項11】
前記プッシュ層中の前記水溶性親水性ポリマーは、600KDa以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである、請求項10に記載の剤形。
【請求項12】
前記ポリエチレンオキシドポリマーは、約600KDa、約700KDa、約800KDa、約900KDa、約1MDa、約2MDa、約3MDa、約4MDa、約5MDa、約6MDa、約7MDa、又はそれら間の値の平均分子量を有する、請求項11に記載の剤形。
【請求項13】
前記プル層中の前記水溶性親水性ポリマーは、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとの混合物である、請求項10に記載の剤形。
【請求項14】
前記プル層中の前記水溶性親水性ポリマーは、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとの混合物である、請求項10に記載の剤形。
【請求項15】
前記約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、前記約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとが、1:99~10:90の重量比で存在する、請求項14に記載の剤形。
【請求項16】
前記ガス発生剤は、NaHCO、CaCO、又はそれらの混合物である、請求項1から15のいずれかに記載の剤形。
【請求項17】
前記剤形は、少なくとも約8時間の前記CD及び前記LDの持続放出を提供する、請求項1から16のいずれかに記載の剤形。
【請求項18】
浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形であって、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、45分以内で浮遊し、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤することを特徴とする、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形。
【請求項19】
前記プル層及び前記プッシュ層は、それぞれ、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む、請求項18に記載の剤形。
【請求項20】
前記プッシュ層中の前記水溶性親水性ポリマーは、600KDa以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである、請求項19に記載の剤形。
【請求項21】
前記プル層中の前記水溶性親水性ポリマーは、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとの混合物である、請求項19から20のいずれかに記載の剤形。
【請求項22】
浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形であって、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、前記溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で150%以下の体積増加まで崩壊することを特徴とする、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形。
【請求項23】
前記プル層は、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとを更に含む、請求項22に記載の剤形。
【請求項24】
前記プッシュ層は、少なくとも約600KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーを含む、請求項22から23のいずれかに記載の剤形。
【請求項25】
浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形であって、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、約12mm~約22mmの長さの長軸と、約8mm~約12mmの長さの短軸とを含む、水平方向に圧縮された楕円形の二層錠剤であり、
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、少なくとも約8時間、前記膨潤状態を維持することを特徴とする、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形。
【請求項26】
前記剤形は、CD及びLDを含む即時放出薬物層を更に含み、前記即時放出薬物層は、前記透過性弾性膜を取り囲む、請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形であって、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、薬物の少なくとも約80%の放出後、前記幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾することを特徴とする、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形。
【請求項28】
パーキンソン病を治療するための方法であって、自己制御性の浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を対象に投与することを含み、前記自己制御性の浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形は、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、少なくとも約8時間、前記膨潤状態を維持し、前記CD及び前記LDの少なくとも約80%の放出後、前記幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾することを特徴とする、方法。
【請求項29】
脳炎後パーキンソニズムを治療するための方法であって、自己制御性の浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を対象に投与することを含み、前記自己制御性の浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形は、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、少なくとも約8時間、前記膨潤状態を維持し、前記CD及び前記LDの少なくとも約80%の放出後、前記幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾することを特徴とする、方法。
【請求項30】
一酸化炭素中毒又はマンガン中毒後に発症し得るパーキンソニズムを治療するための方法であって、自己制御性の浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を対象に投与することを含み、前記自己制御性の浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形は、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、少なくとも約8時間、前記膨潤状態を維持し、前記CD及び前記LDの少なくとも約80%の放出後、前記幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾することを特徴とする、方法。
【請求項31】
LDのバイオアベイラビリティを改善するための方法であって、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を患者に投与することを含み、前記浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形は、
a)多層コアと;
b)少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;
c)CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含み、
前記多層コアは、
(i)CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と;
(ii)プッシュ層とを含み、
前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含み、
前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、
前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、
前記透過性弾性膜の前記オリフィスは、前記プル層と流体連通しており、
前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、少なくとも約8時間、前記膨潤状態を維持し、前記CD及び前記LDの少なくとも約80%の放出後、前記幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾することを特徴とする、方法。
【請求項32】
浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を製造するための方法であって、
(a)CD/LD共顆粒及び顆粒外成分を含むプル層ブレンドを調製することと、
(b)プッシュ層ブレンドを調製することと、
(c)前記プル層ブレンドと前記プッシュ層ブレンドを多層錠剤コアに圧縮することと、
(d)前記錠剤コアを機能性コートでコーティングし、機能性コーティング錠剤コアを得ることと、
(e)前記機能性コートにオリフィスを開け、前記プル層と流体連通するオリフィスを含む機能性コーティング錠剤コアを得ることと、
(f)CD及びLDと少なくとも1つのバインダーとを含む即時放出薬物層でオリフィスを含む前記機能性コーティング錠剤コアをコーティングすることとを含み、
前記CD/LD共顆粒は、CD、LD、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、少なくとも1つの酸、少なくとも1つのバインダー、及び少なくとも1つの安定化剤を含み、
前記顆粒外成分は、少なくとも1つのガス発生剤を含み、
前記プッシュ層は、600KDa以上の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーと、少なくとも1つのオスモゲン(osmogen)とを含み、
前記機能性コートは、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含むことを特徴とする、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本願は、2019年6月21日出願の米国仮特許出願第62/865,039号及び2019年6月27日出願の米国仮特許出願第62/867,731号の優先権を主張し、これらの開示内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
2.技術分野
本開示は、1日1回又は2回の投与に適した、レボドパ(LD)及びカルビドパ(CD)の自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留組成物[CD/LD組成物]を提供する。前記組成物は、市場に流通しているCD/LD製品に比べて向上したLDの薬物動態特性、例えば、ラグタイムの短縮、低トラフレベルの回避、及びピーク対トラフ比(Cmax/Cmin)の低下を伴う持続放出を提供する。前記組成物は、システムの胃内滞留特性(GRS特性)を失うことなく約8~約14時間、CD/LDの持続放出を提供し、システムからの薬物の実質的又は完全な放出後に圧搾(squeeze)/崩壊(collapse)する。本開示の組成物は、服用されたとき、又は胃の状態の擬似的な媒体と接触したとき、45分以内に浮遊し、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで膨潤し、膨潤状態を維持し、治療濃度の薬物を長期間、例えば、約8~14時間放出する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
LDとCDの組合せは、パーキンソン病(PD)の症状を治療するためものとして、当技術分野で知られている。残念なことに、初期段階ではLDにポジティブな応答を示す多くのパーキンソン病患者も、最終的に、「オフ」期間(薬剤がウェアリングオフとなり、パーキンソン症状が再発する)及びLD誘発性ジスキネジアなどの運動合併症を発症する。治療域(therapeutic window)の狭まりにより、これらの合併症は、患者の苦痛と障害の主因となることがある。そのため、PD療法開発の重要な側面は、ジスキネジアの発症を誘発することなく「オフ」期間を短縮することである。経口的に開発されたLD組成物は、変動するLD血漿レベルと予測不能な運動応答をもたらす。
【0004】
米国で承認された十二指腸内注入療法であるDUOPA経腸懸濁液は、運動合併症の大幅な低減と「オフタイム」の短縮を示す。DUOPAの経験は、標準的な経口製剤と比較して、LDの安定した治療血漿濃度の維持と低トラフレベルの回避が、障害性ジスキネジアを伴わずにオフタイムを短縮し、「オン」タイムを延長し、ジスキネジアの重篤度を軽減するのに効果的である可能性を示す。しかし、かかる注入療法は、患者にとって非常に不便である。
【0005】
DUOPA注入療法の結果は、PD症状の緩和を最適化し、オフタイムとジスキネジアを最小限に抑えるために、LDの比較的安定した治療血漿濃度を提供する治療法の開発の理論的根拠を提供する。PD患者のオフタイムを短縮し、オンタイムを延長するために、比較的安定した治療血漿濃度のLDを提供することができる持続放出経口剤形の必要性が依然として存在する。現在利用可能な持続放出CD/LD組成物は、LDの安定した治療血漿レベルを維持しながら、長期間に亘ってLDの持続放出性を提供することを意図している。しかし、かかる持続放出剤形を服用したパーキンソン病(PD)患者は、翌朝目覚めて、前日/前夜に服用した用量のウェアリングオフによる運動性が殆どない又は全くない状態になる(オフタイム)。一旦、前回用量が減ってしまうと、患者は通常、持続放出剤形がLDの必要血漿レベルを送達するのに要する長い期間を待つことを望まない又は待つことすらできない。LDの即時放出製剤を使用すると、この「待機時間」を短縮することができるものの、LDの即時放出製剤を使用すると、より頻繁な投与が必要になり、血漿LD濃度のより大きな変動を伴う。ラグタイムを短縮し、毎日の投薬におけるピーク対トラフ(Cmax/Cmin)の変動を低減することにより、LDの安定した治療血漿レベルを提供することで、患者のコンプライアンスを改善することができる、1日1回又は2回の投与に適した持続放出経口剤形の必要性が依然として存在する。PD患者に対して、オフタイムを短縮し、障害性ジスキネジアを伴わないオンタイムを延長することができる、LDの安定した治療血漿濃度を提供する持続放出経口剤形の必要性が依然として存在する。
【0006】
更に、LDは主に近位小腸で吸収されるので、胃内容排出は、従来の経口製剤の摂取後の血漿LDレベルを決定する上で重要な役割を果たす。不規則な胃内容排出がPD患者によく見られ、経口投与されたLDで観察されるLD血漿レベルの変動と予測不能な運動応答の一因となることがある。したがって、患者の胃内でLDの持続放出を提供することによって、LD血漿レベルの不規則な変動を回避することができるLDの胃内滞留経口剤形を開発する必要性が依然として存在する。本発明は、所望の薬物動態特性、即ち、市場に流通しているCD/LD組成物と比較して、長期間に亘って実質的に安定したLD及びCDの治療血漿レベルを提供する自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供することによって、この必要性を充足する。
【0007】
具体的には、本発明は、1日1回又は2回の投与に適しており、投与期間中のLDの安定した血漿レベルを提供して、PD患者の脳により安定的なドーパミン作動性刺激を与えると共にその後の臨床症状の改善をもたらす自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供する。本開示の胃内滞留LD組成物は、(1)ラグタイムが短縮されたLDの安定な治療血漿レベル及び(2)LD療法の治療効果を維持し、LD療法の喪失作用を低減するためのLDのより長い連続放出を提供する。
【発明の概要】
【0008】
4.概要
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層とプッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、プル層と流体連通している。前記剤形は、溶解媒体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、CDとLDの少なくとも約80%の放出後、幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾する。
【0009】
特定の実施形態では、前記剤形は、0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約150%の体積増加を示し、約22時間で150%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0010】
特定の実施形態では、前記剤形は、0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で200%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0011】
特定の実施形態では、前記剤形は、0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約250%の体積増加を示し、約22時間で250%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0012】
特定の実施形態では、前記剤形は、0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約300%の体積増加を示し、約22時間で300%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0013】
特定の実施形態では、前記剤形は、0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から少なくとも約8時間、膨潤状態を維持する。
【0014】
特定の実施形態では、前記溶解媒体は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む。
【0015】
特定の実施形態では、前記少なくとも1つの可塑剤は、トリエチルシトレート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチルセバケート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
特定の実施形態において、前記酸は、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、ステアリン酸、酒石酸、ホウ酸、安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0017】
特定の実施形態では、前記プル層及び前記プッシュ層は、それぞれ、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む。特定の実施形態では、前記プッシュ層中の水溶性親水性ポリマーは、600,000Da以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである。特定の実施形態では、前記プッシュ層中のポリエチレンオキシドポリマーは、約600KDa、約700KDa、約800KDa、約900KDa、約1MDa、約2MDa、約3MDa、約4MDa、約5MDa、約6MDa、約7MDa、又はそれら間の値の平均分子量を有する。特定の実施形態では、前記プル層中の水溶性親水性ポリマーは、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとの混合物である。特定の実施形態では、前記プル層中の水溶性親水性ポリマーは、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとの混合物である。特定の実施形態では、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーは、1:99~10:90の重量比で存在する。
【0018】
特定の実施形態では、前記ガス発生剤は、NaHCO3、CaCO3、又はそれらの混合物である。
【0019】
特定の実施形態では、前記剤形は、少なくとも約8時間のCD及びLDの持続放出を提供する。
【0020】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、前記プル層と流体連通している。前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、45分以内で浮遊し、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記膨潤状態を少なくとも8時間維持する。
【0021】
特定の実施形態では、前記プル層及び前記プッシュ層は、それぞれ、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む。特定の実施形態では、前記プッシュ層中の水溶性親水性ポリマーは、600KDa以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである。特定の実施形態では、前記プル層中の水溶性親水性ポリマーは、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとの混合物である。
【0022】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、前記プル層と流体連通している。前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から、約60分以内で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で150%以下の体積増加まで崩壊する。
【0023】
特定の実施形態では、前記プル層は、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとを更に含む。特定の実施形態では、前記プッシュ層は、少なくとも約600KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーを含む。
【0024】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、前記プル層と流体連通している。剤形は、約12mm~約22mmの長さの長軸と、約8mm~約12mmの長さの短軸とを含む、水平方向に圧縮された楕円形の二層錠剤である。特定の実施形態では、前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記膨潤状態を少なくとも8時間維持する。特定の実施形態では、前記剤形は、CD及びLDを含む即時放出薬物層を更に含む。特定の実施形態では、即時放出薬物層は、透過性弾性膜を取り囲む。
【0025】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層とプッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、プル層と流体連通している。前記剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、薬物の少なくとも約80%の放出後、幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾する。
【0026】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を、対象に投与することによってパーキンソン病を治療するための方法を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、プル層と流体連通している。前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記膨潤状態を少なくとも約8時間維持し、CD及びLDの少なくとも約80%の放出後、幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾する。
【0027】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を、対象に投与することによって脳炎後パーキンソニズムを治療するための方法を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、プル層と流体連通している。前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記膨潤状態を少なくとも約8時間維持し、CD及びLDの少なくとも約80%の放出後、幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾する。
【0028】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜と;CD及びLDを含み、前記透過性弾性膜を取り囲む即時放出薬物層とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を、対象に投与することによって脳炎後パーキンソニズムを治療するための方法を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、プル層と流体連通している。前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記膨潤状態を少なくとも約8時間維持し、CD及びLDの少なくとも約80%の放出後、幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾する。
【0029】
特定の実施形態では、本開示は、CD、LD、酸、及びガス発生剤を含むプル層と、プッシュ層とを含む多層コアと;少なくとも1つのオリフィスを含み、前記多層コアを取り囲む透過性弾性膜とを含む浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を、対象に投与することによってLDのバイオアベイラビリティを改善するための方法を提供する。前記透過性弾性膜は、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。前記可塑剤は、コポリマー重量の約10重量%~約25重量%の量で存在し、前記ガス発生剤は、プル層重量の約10重量%~約50重量%の量で存在し、前記透過性弾性膜のオリフィスは、プル層と流体連通している。前記剤形は、胃内流体に接触すると、60分以内に幽門括約筋の通過を妨げる膨潤状態まで膨潤し、前記膨潤状態を少なくとも約8時間維持し、CD及びLDの少なくとも約80%の放出後、幽門括約筋を通過して完全に排出されるように崩壊/圧搾する。
【0030】
特定の実施形態では、本開示は、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を製造するための方法を提供する。前記方法は、(a)CD/LD共顆粒及び顆粒外成分を含むプル層ブレンドを調製すること、(b)プッシュ層ブレンドを調製すること、(c)前記プル層ブレンドと前記プッシュ層ブレンドを多層錠剤コアに圧縮すること、(d)前記錠剤コアを機能性コートでコーティングし、機能性コーティング錠剤コアを得ること、(e)前記機能性コートにオリフィスを開け、前記プル層と流体連通するオリフィスを含む機能性コーティング錠剤コアを得ること、及び(f)CD及びLDと少なくとも1つのバインダーとを含む即時放出薬物層でオリフィスを含む前記機能性コーティング錠剤コアをコーティングすることを含む。前記CD/LD共顆粒は、CD、LD、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、少なくとも1つの酸を含む。少なくとも1つのバインダー、及び少なくとも1つの安定化剤を含み;前記顆粒外成分は、少なくとも1つのガス発生剤を含み;前記プッシュ層は、600KDa以上の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーと、少なくとも1つのオスモゲン(osmogen)とを含み;前記機能性コートは、60℃~70℃のガラス転移温度を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
5.図面の簡単な説明
図1図1は、特定の実施形態に係る、胃内滞留剤形の概略図であり、プッシュ層とプル層とを含む二層錠剤コア、錠剤コアを取り囲むシールコート-1、シールコート-1を取り囲む透過性弾性膜を含む機能性コート、機能性コートを取り囲むシールコート-2、シールコート-2上の薬物層、薬物層上の化粧コート、及びシールコート-1、機能性コート、及びシールコート-2を貫通するオリフィスが示され、オリフィスはプル層と流体連通している。
【0032】
図2図2は、USP溶解装置III-Biodisレシプロシリンダを使用して、約25dpm及び約37℃で、約250mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体中の錠剤1と錠剤2の浮遊ラグタイムを比較する。錠剤1は、その機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含み、錠剤2は、その機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図2は、錠剤1と錠2が、コーティングの重量増加の違いに関わらず、溶解媒体との接触時から測定して、15分以内の浮遊ラグタイムを示す。
【0033】
図3図3は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約200mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体中での錠剤1と錠剤2の体積膨潤を比較する。錠剤1は、その機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含み、錠剤2は、その機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図3は、溶解媒体との接触時から測定した、18時間に亘る錠剤1及び錠剤2の体積増加を示す。図3は、溶解媒体との接触時の錠剤の体積に関して測定したときに、錠剤1及び錠剤2が、1時間未満、例えば、約30分で約100%の体積増加、約2時間で少なくとも125%の体積増加、約4時間で少なくとも300%の体積増加を示し、約4時間から約16時間まで約300%の体積増加を維持し、約16時間で約200%の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0034】
図4図4は、USP溶解装置I-カスタムバスケットを使用して、約100rpm及び約37℃で、約900mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体における錠剤1及び錠剤2のレボドパ(「LD」)の溶解プロファイルを比較する。錠剤1は、その機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含み、錠剤2は、その機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図4は、錠剤1及び錠剤2が、溶解媒体との接触時から測定したときに、約2時間でLDの溶解が20%未満であることを示す。
【0035】
図5図5は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約200mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体における錠剤1及び錠剤2のLDの溶解プロファイルを比較する。錠剤1は、その機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含み、錠剤2は、その機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図5は、錠剤1及び錠剤2が、溶解媒体との接触時から測定したときに、約2時間でLDの溶解が30%未満であることを示す。
【0036】
図6図6は、USP III-Biodisレシプロシリンダを使用して、約25dpm及び約37℃での約250mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体中の錠剤1と錠剤2からのLDの溶解プロファイルを比較する。錠剤1は、その機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含み、錠剤2は、その機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図6は、錠剤1及び錠剤2が、溶解媒体との接触時から測定したときに、約2時間でLDの溶解が30%未満であることを示す。
【0037】
図7図7は、USP III-Biodisレシプロシリンダを使用した、約25dpm及び約37℃で、錠剤1と錠剤2からのLDの周期的溶解プロファイルを示す。初期溶解は、約250mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体中であり、続いて、約250mlの0.01NのHClを含む溶解媒体中の溶解であり、最後に、約250mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体中の溶解である。錠剤1は、その機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含み、錠剤2は、その機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図7は、錠剤1及び錠剤2が、pH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体との接触時から測定したときに、約2時間でLDの溶解が30%未満であることを示す。
【0038】
図8図8は、USP I-カスタムバスケットを使用して、約100rpm及び約37℃で、約0.001のNHClと約10mMのNaClを含む約900mlの溶解媒体中の錠剤5(約240mgのLD)及び錠剤6(約320mgのLD)のLDの溶解プロファイルを比較する。図8は、錠剤5及び錠剤6が、溶解媒体との接触時から測定したときに、約2時間でLDの溶解が約40%であることを示す。
【0039】
図9図9は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸塩、クエン酸、及び糖(ライトミール媒体)を約200ml含む水性媒体を含む溶解媒体中での錠剤5(約240mgのLD)と錠剤6(約320mgのLD)の体積膨潤を比較する。図9は、8時間に亘る錠剤5と錠剤6の体積増加を示す。同図は、錠剤5及び錠剤6が、溶解媒体との接触時の錠剤の体積に対して測定したときに、約3時間で約100%の体積増加を示すことを示す。
【0040】
図10図10は、錠剤1及び錠剤2の単回経口投与によるLDの薬物動態プロファイルを示す。錠剤1は、約54mgのCD、約200mgのLD、及び機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含んだ。錠剤2は、約54mgのCD、約200mgのLD、及び機能性コートに約200mgのコーティング重量増加を含んだ。図10は、錠剤1及び錠剤2の単回投与により、約9時間で少なくとも300ng/mlのLD血漿濃度が得られたことを示す。
【0041】
図11図11は、錠剤5及び錠剤6の単回経口投与によるLDの薬物動態プロファイルを示す。錠剤5は、約240mgのLD、約64.80mgのCD、及び約51.50mgのPARTECK(登録商標)M200を含んだ。錠剤6は、約320mgのLD、約86.40mgのCDを含み、PARTECK(登録商標)M200は含まなかった。錠剤5及び錠剤6は、機能性コーティングに約150mgのコーティング重量増加と、等規定量(equinormal amounts)のコハク酸及びガス発生剤(重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムの混合物)を含んだ。図11は、錠剤5及び錠剤6の単回投与により、約10時間で少なくとも500ng/mlのLD血漿濃度が得られたことを示す。図11は更に、錠剤5及び錠剤6が、錠剤1及び錠剤2と比較してバイオアベイラビリティが約30%上昇し(例えば、図10の錠剤1及び錠剤2を参照)、240mgと320mgとの錠剤強度間に用量比例性を示したことを示す。
【0042】
図12図12は、摂食条件下での健常な対象における錠剤5(CD/LD-約60/240mgの錠剤(造影剤として黒色酸化鉄を含む))の非盲検、単一処置、単一期間MRI試験(open label,single-treatment,single period MRI study)でのMRIスキャンを示す。この研究は、投与後8、10、12、16、及び24時間(±30分)での錠剤の挙動を決定するように設計された。図12は、造影剤が分散したポリエチレンオキシドを含むプッシュ層が、投与後16時間~24時間で錠剤から放出されていることを示す。
【0043】
図13図13は、USP I-カスタムバスケットを使用して、約100rpm及び約37℃での約0.01のNHCl及び約150mMのNaClを含む約900mlの溶解媒体における、錠剤13(約150mgの機能コート重量増加)及び錠剤14(約200mgの機能コート重量増加)からのLDの溶解プロファイルを比較する。錠剤13及び錠剤14は、等規定量のコハク酸及びガス発生剤(重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムの混合物)を含んだ。図13は、溶解媒体との接触時から測定したときに、錠剤13が約4時間で約35%のLDの溶解を示し、錠剤14が約4時間で約17%のLDの溶解を示すことを示す。
【0044】
図14図14は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中の錠剤13及び錠剤14の、溶解媒体との接触時の形態からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。図14は、約150mgの機能性コート重量増加を伴う錠剤13が、約8時間で約127%の重量増加を示し、約200mgの機能性コート重量増加を伴う錠剤14が、約8時間で約153%の重量増加を示すことを示す。
【0045】
図15図15は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約200mlの約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体中での錠剤5及び錠剤6の、溶解媒体との接触時の形態からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。錠剤5は、約240mgのLD、約64.80mgのCD、及び約51.50mgのPARTECK(登録商標)M200を含んだ。錠剤6は、約320mgのLD、約86.40mgのCDを含み、PARTECK(登録商標)M200は含まなかった。錠剤5及び錠剤6は、等規定量のコハク酸及びガス発生剤(重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムの混合物)を含み、機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含んだ。図15は、錠剤5が、約8時間で約125%の重量増加を示し、錠剤6が、約8時間で約112%の重量増加を示すことを示す。
【0046】
図16図16は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体における錠剤5及び錠剤6の、溶解媒体との接触時の錠剤体積に関して測定された体積膨潤を比較する。錠剤5及び錠剤6は、等規定量のコハク酸及びガス発生剤(重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムの混合物)を含み、機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含んだ。図16は、22時間に亘る錠剤5及び錠剤6の体積増加を示す。図16は、錠剤5及び錠剤6が1時間未満、例えば、約30分で約100%の体積増加、約2時間で約200%の体積増加を示し、約22時間で約100%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。
【0047】
図17図17は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中における錠剤13及び錠剤14の、溶解媒体との接触時からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。錠剤13は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤14は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約200mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図17は、錠剤13が、約8時間で約127%の重量増加、約14時間で約161%の重量増加、約18時間で約108%の重量増加、及び約22時間で約93%の重量増加を示し、錠剤14が、約8時間で約153%の重量増加、約14時間で約118%の重量増加、約18時間で約85%の重量増加、及び約22時間で約72%の重量増加を示すことを示す。
【0048】
図18図18は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体約200ml中における錠剤13及び錠剤14の、溶解媒体との接触時の錠剤体積に関して測定された体積膨潤を比較する。錠剤13は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤14は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約200mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図18は、22時間に亘る錠剤3及び錠剤14の体積増加を示す。図18は、錠剤13が、1時間未満で約100%の体積増加、約2時間~約18時間で約200%の体積増加を示し、約22時間で約150%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。図18は更に、錠剤14が、約1時間未満で約100%の体積増加、約2時間~約18時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で約150%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。
【0049】
図19図19は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体約200ml中における錠剤17及び錠剤18の、溶解媒体との接触時の錠剤体積に関して測定された体積膨潤を比較する。錠剤17及び錠剤18は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図19は、22時間に亘る錠剤17及び錠剤18の体積増加を示す。図19は、錠剤17及び錠剤18が、約30分で少なくとも約100%、約1時間で約200%、約2時間~約14時間で少なくとも300%の体積増加を示し、約14時間~約22時間で約250%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。
【0050】
図20図20は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中での錠剤19及び錠剤20の、溶解媒体との接触時からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。錠剤19は、約86.40mgのCDと約320.0mgのLDとを含み、錠剤20は、約64.80mgのCDと約240.0mgのLDとを含んだ。図20は、錠剤20が、6時間で約114%の重量増加、約22時間で68%の重量増加を示し、錠剤19が、約6時間で約95%の重量増加、約22時間で68%の重量増加を示すことを示す。
【0051】
図21図21は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体約200ml中における錠剤19及び錠剤20の、溶解媒体との接触時の錠剤体積に関して測定された体積膨潤を比較する。錠剤19は、約86.40mgのCDと約320.0mgのLDとを含み、錠剤20は、約64.80mgのCDと約240.0mgのLDとを含んだ。錠剤19及び錠剤20は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図21は、22時間に亘る錠剤19及び錠剤20の体積増加を示す。図21は、錠剤19及び錠剤20が、約1時間で少なくとも約100%、約4時間で少なくとも約200%、約14時間で少なくとも250%の体積増加を示し、約22時間で約100%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。
【0052】
6.詳細な説明
本開示は、PD患者におけるLDの安定した血漿濃度を提供する自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供する。本開示のCD/LD組成物は、市場に流通しているCD/LD製品と比較して、ラグタイムを短縮し、低トラフレベルを回避し、ピーク対トラフ比(Cmax/Cmin)の低下を示す。ピーク対トラフ比(Cmax/Cmin)のかかる狭まり、及び薬物放出のラグタイムの短縮は、PD患者の「オフタイム」を短縮し、「オンタイム」を延長する。
【0053】
本開示の自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物は、幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで約60分以内に急速に膨張し、長期間、例えば、約8~14時間、膨張状態を維持する。本開示の浸透圧性浮遊性胃内滞留CD/LD組成物は、剤形を長期間胃内に維持し、胃又は上部消化管における薬物の放出を延長することにより、薬物のバイオアベイラビリティを改善する。本開示の浸透圧性浮遊性胃内滞留CD/LD組成物によって提供される持続性放出を伴うかかる長期間の胃内滞留は、薬物のバイオアベイラビリティを改善し、薬物の浪費を低減し、薬物の溶解度を改善する。更に、胃内でのLDの持続性放出は、PD患者によく見られる不規則な胃内容排出の影響を回避し、それによって、LD血漿レベルの変動と予測不能な運動応答を最小限に抑える。
【0054】
限定ではなく明確化のために、この詳細な説明は、以下のサブセクションに分けられる。
6.1.定義、
6.2.自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留剤形、
6.3.治療方法、
6.4.製造方法、及び
6.5.剤形の特徴。
【0055】
6.1.定義
本開示で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明すること目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書においては、特許請求の範囲及び/又は明細書における用語「含む(comprising)」と併せて使用される場合の「a」又は「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は1超」の意味とも一致する。更に、用語「有する(having)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、及び「含む(comprising)」は、相互交換可能であり、当技術分野の当業者は、これらの用語がオープンエンドの用語であることを認識する。
【0056】
本明細書においては、「及び/又は」は、関連するリストされた項目の1以上の任意の全ての可能な組合せを意味し、これを包含する。
【0057】
本明細書において使用される用語「約」又は「略」は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、該当する値がどのように測定又は決定されるか、即ち、測定系の制約に一部依存する。例えば、「約」は、当技術分野の慣行にしたがって、3標準偏差以内又は3標準偏差超を意味することができる。或いは、「約」は、所定値の最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、最大1%、最大0.5%、更には最大0.1%の範囲を意味することができる。
【0058】
本明細書においては、「治療的に有効な」、「治療的」、又は「治療的に許容される」量は、対象において治療的に有用な応答を誘発する量を意味し、製剤において必要であると考えられる有効成分の更なる量又は過剰量を含み、投与時に所望量を提供する。治療的に有用な応答は、対象の少なくとも1つの臨床症状のいくらかの緩和、軽減、及び/又は低減を提供することができる。当業者は、治療的に有用な応答は、対象に何らかの利益が提供される限り、完全又は治癒的である必要はないことを理解する。
【0059】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「安定した血漿濃度」、「安定した血漿レベル」、「安定した治療血漿濃度」、及び「安定した治療血漿レベル」は、対象において治療的に有用な応答を誘発し、製剤において必要であると考えられる有効成分の更なる量又は過剰量を含み、投与時に所望量を提供するLDの一貫した血漿レベル/濃度を意味する。
【0060】
用語「浸透圧性胃内滞留剤形」、「自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留剤形/」などは、食物と比較して遅い胃内容排出を提供する自己制御性、プッシュプル浸透性、浮遊性剤形(例えば、食物の滞留を超える胃内滞留)を意味する。
【0061】
本明細書においては、用語「治療」、「治療する」、及び「治療している」は、本明細書に記載の疾患又は障害の発症を改善、緩和、遅延、及び/又はその進行を阻害することを意味する。いくつかの実施形態では、治療は、1以上の症状が発症した後に行うことができる。他の実施では、治療は、症状がない状態で行うことができる。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状の病歴に照らして、及び/又は遺伝的又は他の感受性因子に照らして)感受性の高い個体に行うことができる。症状が解消した後、例えば再発を予防又は遅延させるために、治療を継続することもできる。
【0062】
本明細書においては、用語「自己制御性」は、浮遊し、膨張し、最終的に崩壊して、消化管及び患者からの剤形の喪失を可能にする胃内滞留剤形を意味する。
【0063】
本明細書においては、用語「浸透圧性剤形」などは、プル層及びプッシュ層を含むプッシュプル浸透圧性剤形を意味し、プッシュ層が膨潤して、プル層を剤形からオリフィスを通して押し出す。特定の実施形態では、プル層は、2以上の層を含むことができる。
【0064】
本明細書においては、用語「浸透」は、半透膜又は透過膜を介した、低溶質濃度の溶液から溶質又は高溶質濃度の溶液への溶媒の移動を意味する。用語「浸透圧剤」は、膨潤性親水性ポリマー、及び無機塩からなるオスモゲン/イオン性化合物を含む。
【0065】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「活性剤」、「有効成分」、「活性医薬剤」、「活性医薬成分」、及び「薬物」は、パーキンソン病(PD)、脳炎後パーキンソニズム、及び一酸化炭素中毒又はマンガン中毒後に発症し得るパーキンソン病治療における治療又は予防効果をもたらすLD及びCD(CD/LD)の組合せを意味する。
【0066】
開示された主題の医薬組成物に関連して使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、生理学的に許容可能であり、ヒトに投与されたときに、通常、有害な反応を生じない分子実体及び組成物を意味する。本明細書においては、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認されていること、又はU.S. Pharmacopeia, National Formulary and Drug Standard Laboratory (NF)若しくは動物、より具体的には、ヒトにおける使用のための、その他の一般的に認められている薬局方に掲載されていることを意味し得る。
【0067】
本明細書においては、用語「バイオアベイラビリティ」は、Cmax、Tmax、AUC0-t、及びAUC0-infなどの様々な薬物動態メトリクスによって測定される、体循環に到達する投与薬物の割合を意味する。
【0068】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「剤形」、「製剤」、「組成物」、及び「医薬組成物」は、特定の構成(例えば、錠剤、カプセル、粒子)における有効医薬成分と不活性な賦形剤との特定の混合物として、使用のために市場に流通しており、特定用量に分配される形態の医薬品を意味する。
【0069】
本明細書においては、用語「疑似胃内流体」は、インビトロで胃内媒体の化学的環境を模倣するために使用される流体媒体を意味する。
【0070】
本明細書においては、用語「胃内流体(gastric fluid)」は、個体の胃内で生じる媒体を意味する。
【0071】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「溶解媒体」及び「胃内状態の擬似媒体」は、胃内流体状態を模倣する生体関連媒体を意味する。特定の実施形態では、溶解媒体は、pH4.5の酢酸緩衝液;0.01NのHCl;約0.001NのHCl及び約10mMのNaCl;又は150mMのNaClを含む0.01NのHCLを含む。特定の実施形態では、前記生体関連媒体は、「ライトミール媒体」を含む。
【0072】
本明細書においては、用語「ライトミール媒体」は、軽食の消費後の個体の胃内媒体の擬似媒体を意味する。用語「ライトミール媒体」は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素カリウム、塩化カルシウム、クエン酸、及び糖を含む水性媒体を意味する。
【0073】
本明細書においては、用語「分解性」は、該当期間内に、例えば、患者の体内で、化学的及び/又は物理的に修飾、溶解、又は分解され得ることを意味する。
【0074】
本明細書においては、用語「長期間」などは、少なくとも8時間、例えば、約8時間~約14時間続く期間を意味する。長期間としては、8、9、10、11、12、13、14、又はそれ以上の時間が挙げられる。特定の実施形態では、長期間は、最大24時間を含むことができる。
【0075】
本明細書においては、用語「膨潤可能」及び「膨潤性」は、相互変換可能に使用することができ、流体を吸収する及び/又はCOを捕捉することによって膨潤する錠剤コア又は錠剤コアに存在するポリマーを意味する。
【0076】
膜に関して本明細書に使用される用語「膨張性」及び「膨張」は、相互変換可能に使用することができ、膜状の外向きの圧力(例えば、ガス圧、又はコア内のポリマーの膨潤による圧力)による膜の伸長又は膨満を意味する。
【0077】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「体積膨張」及び「体積膨張パーセンテージ」は、溶解媒体との接触時の剤形の体積に基づく剤形の体積の増加%を意味する。
【0078】
本明細書においては、用語「重量%の変化」は、溶解媒体との接触時の剤形の重量に基づく剤形の重量の変化%を意味する。
【0079】
胃内滞留剤形に関して本明細書において相互変換可能に使用される用語「急速に膨張する」及び「急速に膨潤する」は、流体の吸収及びCOの生成によるコアの膨潤より速い膜の初期膨張による剤形の急速な膨張を意味する。特定の実施形態では、用語「急速に膨張する」は、溶解媒体との接触時の剤形の体積に基づいて、60分以内で剤形の体積を少なくとも100%増加させる膜の膨張を意味する。
【0080】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「剪断」及び「剪断作用」は、特に摂食状態において、胃体中央から幽門に移動する蠕動波を意味する。
【0081】
本明細書においては、用語「細孔形成剤」などは、機能性コート/膜に細孔又はチャネルを形成する(即ち、チャネリング剤として挙動する)ことによって、膜の透過性を上昇させる水溶性ポリマー及び/又は水溶性低分子を意味する。用語「細孔形成剤」は、半透膜又は透過膜を介して一定量の拡散を生成して、所望の持続放出プロファイルを達成するために使用される分子を含む。
【0082】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「透過性膜」及び「透過性弾性膜」は、溶質の通過及び流体/溶媒の通過に対して実質的に透過性であるポリマー弾性膜/フィルムを意味する。「透過性膜」は、約50℃~約70℃のTg(ガラス転移温度)を有する、水不溶性透過性ポリアクリレート/ポリメタクリレートコポリマー(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー)を含む。特定の実施形態では、「透過性膜」は、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO)を含むことができる。特定の実施形態では、透過性膜は、約50℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、「透過性膜」は、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RL PO)を含む。特定の実施形態では、「透過性膜」は、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.1)のコポリマーを含む(EUDRAGIT(登録商標)RS PO)を含む。
【0083】
本明細書においては、用語「半透膜」は、薬物及び他の賦形剤/成分を含む溶質の通過に対して実質的に不透過性であり、流体/溶媒の通過に対して実質的に透過性である高分子膜又はフィルムを意味する。半透膜は、セルロースエーテル、セルロースエステル、及びセルロースエステルエーテルを含む様々なセルロース系ポリマーを含むことができる。半透膜は、50℃~70℃のTgを有する透過性ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレートコポリマーを含まない。
【0084】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「ポリアクリレートコポリマー」及び「ポリメタクリレートコポリマー」は、約50℃~約70℃のTg(ガラス転移温度)を有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマーを意味する。
【0085】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「ガラス転移温度」又は「Tg」は、ポリマー構造が粘稠な液体又はゴム状になる温度を意味する。また、アモルファスポリマーが、冷却時に脆さ、硬さ、及び剛性などの特徴的なガラス状態の特性を示す温度としても定義される。
【0086】
本明細書においては、用語「多層」錠剤コアは、少なくとも2つの層を含む圧縮錠剤コアを意味する。特定の実施形態では、「多層錠剤コア」は、プッシュ層とプル層とを含む「二層錠剤コア」である。
【0087】
本明細書においては、用語「実質的に含まない」は、剤形の以下の特性:浮遊ラグタイム、体積膨張、放出プロファイル、及び薬物放出までのラグタイムに寄与する又は影響する任意の量を意味する、任意の機能的な(例えば、汚染ではない)量を含まないことを意味する。
【0088】
本明細書において相互変換可能に使用される用語「オリフィス」及び「穴」は、限定するものではないが、浸透圧性胃内滞留組成物のコーティングにおいて、プル層との流体連通を提供するための少なくとも1つの開口/出口手段を含む。開口部(基本的には、送達ポート)は、膜コートとシールコートに手動又はレーザーで穴を空けることにより、多くの場合プル層に面する側に形成することができる。オリフィス/穴は、即時放出(IR)薬物層、化粧コート/オーバーコート又は最終コート/クリアコートに存在することはできない。
【0089】
本明細書においては、用語「患者」は、本開示の浸透圧性胃内滞留剤形を投与する必要があり得るヒト又は非ヒト哺乳動物を意味する。
【0090】
本明細書においては、用語「上部消化管」は、胃、及び小腸の近位部分、例えば、十二指腸及び空腸を意味する。
【0091】
本明細書においては、用語「下部消化管」は、小腸の遠位部分、例えば、回腸、並びに結腸、盲腸、及び直腸を含む大腸の全部を意味する。
【0092】
本明細書で「浮遊性胃内滞留剤形」などと併せて使用される本明細書における用語「浮遊」などは、胃内流体及び擬似胃内流体(SGF)より、かさ密度が低い剤形を意味する。かかる剤形は、それらが胃の胃内流体又はSGFにおいて、目的の期間に亘って浮力を維持するという点で「浮遊」している。
【0093】
本明細書においては、用語「浮遊ラグタイム」は、剤形の媒体への添加と、剤形が、(例えば、インビトロ条件において)媒体の表面に浮遊し始めるまでの時間との間の時間、又はユーザによる剤形の摂取と、剤形が、(例えば、インビボ条件において)胃内流体の表面に浮遊し始める時間との間の時間を含む。
【0094】
本明細書においては、用語「溶解ラグタイム」は、剤形の媒体への添加と、活性剤が媒体中に溶解し始めるまでの時間との間の時間を意味する。
【0095】
本明細書においては、用語「媒体」は、インビトロ条件での溶解媒体及びインビボ条件での胃内流体を意味する。
【0096】
本明細書においては、用語「粘度勾配」は、本開示の多層胃内滞留剤形の隣接する層の間の粘度差を意味する。本明細書においては、用語「粘度勾配の低下」は、プッシュ層からプル層への粘度の低下(プッシュ層とプル層とは互いに隣接している)又は隣接するプル層間の粘度低下を意味する。
【0097】
本明細書においては、用語「調節放出」は、投与後、対応する即時放出期間より長い所望の期間に亘って薬物放出及び薬物のバイオアベイラビリティを調節するように処方され、投与頻度の減少を可能にする剤形又は組成物を意味する。調節放出剤形又は組成物としては、限定するものではないが、「持続放出」、「制御放出」、「制御持続放出」、「遅延放出」、及び「脈動放出」剤形又は組成物が挙げられる。
【0098】
本明細書においては、用語「持続放出」、「制御放出」、及び「制御持続放出」は、相互変換可能に使用することができ、即時放出剤型として表される薬物と比較して、投与後、長期間に亘って、投与薬物の標的濃度を提供及び維持するように処方される調節放出剤形又は組成物を意味する。
【0099】
6.2.自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留剤形
本開示は、向上した薬物動態学的特性を有する自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供する。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、ラグタイムが短縮されたLDの持続放出を提供し、ピーク対トラフ比(Cmax/Cmin)を狭め、長期間に亘る安定したLD血漿レベルをもたらす。本開示の胃滞留組成物は、透過性弾性膜及びプッシュプル浸透圧コアの存在により、中程度の可溶性を有する薬物、例えば、LDの安定した送達を提供することができる。これは、透過性弾性膜が、薬物の胃内滞留及び受動拡散を可能にし、プッシュプルシステムが、薬物濃度が経時で低下するときに、薬物排出に更なる推力を提供することができるからである。
【0100】
本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで60分以内に急速に膨張し、前記膨張状態を維持して、長期間、例えば、約8~14時間、CD及びLDの持続放出を提供する。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、対象の胃内に剤形を長期間滞留させ、胃又は上部消化管におけるCD及びLDの放出を延長することにより、LDのバイオアベイラビリティを改善する。本開示の胃内滞留CD/LD組成物によって提供される持続放出を伴うかかる長期間の胃内滞留は、薬物のバイオアベイラビリティを改善し、薬物の浪費を低減し、薬物の溶解度を改善する。更に、胃内でのLDの持続放出は、PD患者によく見られる状態である不規則な胃内容排出の影響を回避/最小化し、それによって、LD血漿レベルの変動と予測不能な運動応答を最小限に抑える。
【0101】
本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、胃内流体に接触すると、45分以内に浮遊し、約60分以内に、幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで急速に膨張し、膨張状態を、長期間、例えば、約8~14時間維持する高度な自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留薬物送達システムを含む。本開示の胃内滞留組成物は、i)プル層とプッシュ層とを含む膨潤性多層錠剤コア;及びii)膨潤性コアを取り囲む急速に膨張する透過性弾性膜を含み、前記膜は、可塑剤と、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)の少なくとも1つのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RLPO)とを含む。特定の実施形態では、胃滞留組成物は、CD及びLDを含む即時放出(IR)薬物層を更に含む。特定の実施形態では、IR薬物層は、透過性弾性膜/機能性コートの上に存在する。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、剤形のサイズ及び浮力に依存して、剤形を長期間胃内に滞留させる。本開示の組成物は、胃内滞留システムとプッシュプル浸透圧システムの利点を組み合わせることによって、約8~14時間の胃内滞留をもたらし、少なくとも同期間、LDの安定した血漿濃度を提供する。
【0102】
本開示の特定の実施形態では、約60分以内に幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで膨潤し、少なくとも8時間、膨潤状態を維持し、その後、胃から排出のために崩壊/圧搾する自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物は、(i)CD及びLD、ガス発生剤、約1M(100万)Da以下の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマー、及び1MDa超の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーを含むプル層と、約600K(600,000)Da以上の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマー、及び少なくとも1つのオスモゲンを含むプッシュ層とを含む膨潤性多層錠剤コア、(ii)多層錠剤コア上に、プル層と流体連通するオリフィス/穴を含み、可塑剤と、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RLPO)とを含む透過性弾性膜と;(iii)CD及びLDを含み、透過性弾性膜を取り囲むIR薬物層とを含む。特定の実施形態では、多層錠剤コアは、二層錠剤コアである。特定の実施形態では、胃内滞留組成物は、60分以内で幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで膨潤し、45分未満の浮遊ラグタイムを提供し、約8~14時間、膨潤状態を維持し、約8~14時間、CD/LDの持続放出をもたらす。
【0103】
特定の実施形態では、本開示の浸透圧性、制御性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物は、LDの分解を低減し、約600KDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドを含む膨潤性水溶性親水性ポリマー(例えば、POLYOXTM60(MW~2MDa))をプッシュ層中に含有することにより、プッシュ層は、胃内流体からの水の吸収によって急速に膨潤し、(1)剤形のサイズを大きくして胃内滞留を促進し、(2)薬物分散液/溶液を含むプル層に対してプッシュ層から一定圧力を提供することにより、浸透圧的に薬物の放出を制御し、(3)膜を支持し、膨潤状態で錠剤の完全性を維持し、及び(4)浮力を提供するために生成されたガス(例えば、CO)を閉じ込めて、消化管におけるCD及びLDの安定した送達を提供する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、約200KDaの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドと、任意に、600KDa以上、例えば、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドがプル層中に存在することにより、消化管におけるCD及びLDの安定した送達を提供する。特定の実施形態では、膜は、その高い弾性及び引張強度のために、生成されたCOガスによる膜に対する外向きの圧力で急速に膨張する。特定の実施形態では、剤形が溶解媒体に接触すると、膜の高い透過性が溶解媒体の急速な流入及びCOの生成を可能にし、膜の高弾性がCOの生成に伴う膜の急速な膨張を可能にし、その後、コアが膨潤して、膜を支持し、剤形の完全性を維持する。特定の実施形態では、錠剤コアは、剤形に浮力を提供するために膨潤し、COを捕捉する。特定の実施形態では、錠剤コアの膨潤は、プル層及びプッシュ層の膨潤によるものである。
【0104】
限定ではなく例示目的で、図1は、特定の実施形態に係る、胃内滞留剤形の概略図であり、プッシュ層とプル層とを含む二層錠剤コア、錠剤コアを取り囲むシールコート-1、シールコート-1を取り囲む透過性弾性膜、透過性弾性膜を取り囲むシールコート-2、シールコート-2上のIR薬物層、IR薬物層を取り囲む化粧コート、及びシールコート-1、膜、及びシールコート-2を貫通するオリフィスが示され、オリフィスはプル層と流体連通している。
【0105】
膨潤性多層錠剤コア
特定の実施形態では、膨潤性多層錠剤コアは、少なくとも1つのプッシュ層と、少なくとも1つのプル層とを含む。特定の実施形態では、プッシュ層及びプル層は、多層錠剤コアに圧縮される。特定の実施形態では、多層錠剤コアは、水平方向に圧縮された二層錠剤コアである。特定の実施形態では、プル層及びプッシュ層の水平方向の圧縮は、胃内滞留のための錠剤浮力を高める。特定の実施形態では、多層錠剤コアは、2つのプル層の間にプッシュ層を含む。特定の実施形態では、錠剤コアにおけるプル層とプッシュ層との重量%比は、約1:1~約6:1である。特定の実施形態では、錠剤コア中のプル層とプッシュ層の重量%比は、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.5:1、約6:1、又はそれらの間の任意の比である。
【0106】
プル層
特定の実施形態では、プル層は、CD、LD、膨潤性の水溶性親水性ポリマー、酸、及びガス発生剤を含む。特定の実施形態では、膨潤性の水溶性親水性ポリマーは、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、又はポリエチレンオキシドポリマー(POLYOX(登録商標))を含む。特定の実施形態では、プル層は、約1M(100万)Da未満の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーを含む。特定の実施形態では、プル層は、約1M(100万)Da以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとを含む。特定の実施形態では、約1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー及び約1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーは、1:99~10:90の重量比で存在する。特定の実施形態では、約1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー及び約1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーは、1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、又は約10:90の重量比で存在する。
【0107】
特定の実施形態では、プル層は、200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー(POLYOX(登録商標)N80)と、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー(POLYOX(登録商標)303)とを含む。特定の実施形態では、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー及び約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーは、1:99~10:90の重量比で存在する。特定の実施形態では、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー及び約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーは、1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、又は約10:90の重量比で存在する。
【0108】
特定の実施形態では、プル層は、約100K、約200K、約300K、約400K、約500K、約600K、約700K、約800K、約900K、約1MDaの平均分子を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーと、約2MDa、約4MDa、約5MDa、約7MDa、又はそれらの間の任意の値の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーとを含む。特定の実施形態では、プル層は、バインダー、ポリエチレンオキシドポリマーの分解を防止する安定剤、及び崩壊剤を更に含む。特定の実施形態では、崩壊剤の存在は任意である。特定の実施形態では、プル層は、CD及びLDを含む中間体薬物顆粒(CD/LD共顆粒)を含む。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、顆粒外成分と混合されて、プル層ブレンドを提供する。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、乾式造粒又は湿式造粒により製造される。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、湿式造粒によって製造される。特定の実施形態では、湿式造粒プロセスに使用される溶媒は、エタノール200プルーフ、イソプロピルアルコール(99%v/v)、水、又はそれらの混合物を含む。特定の実施形態では、湿式造粒プロセスに使用される溶媒は、水を実質的に含まない。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、CD、LD、約1M(100万)Da以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、酸、バインダー、安定化剤、及び任意に、崩壊剤を含む。特定の実施形態では、顆粒外成分は、少なくとも1つのガス発生剤を含む。特定の実施形態では、ガス発生剤は、CD/LD共顆粒及び/又は顆粒外成分に存在する。特定の実施形態では、顆粒外成分は、フィラー、滑剤、及び/又は潤滑剤を更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、ガス発生剤からのCOの生成を加速する及び/又はCDを安定化させるために、少なくとも1つの酸を含む。特定の実施形態では、酸は、剤形の急速な膨張及び浮遊のためにCOの生成を加速する及びCDの安定性を高めるために微細化される。特定の実施形態では、酸は、CD/LD共顆粒及び/又は顆粒外成分に存在する。
【0109】
特定の実施形態では、プル層は、バインダー及び/又は懸濁剤としてポリエチレンオキシドポリマーを含む。特定の実施形態では、プル層は、放出制御剤としてポリエチレンオキシドポリマーを含む。特定の実施形態では、プル層中のポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量は、剤形からのCD/LD薬物放出に影響を及ぼし、例えば、ポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量の上昇は、プル層の粘度を上昇させ、薬物放出に対する制御を高める。特定の実施形態では、プル層の粘度を調整して、所望の安定した薬物放出プロファイルを提供することができる。特定の実施形態では、プル層の粘度は、約1M超の平均分子量を有する少量のポリエチレンオキシドポリエチレンオキシドポリマー(例えば、POLYOX(登録商標)303)を、約1MDa以下の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマー(例えば、POLYOX(登録商標)N80)と混合することによって変更することができる。特定の実施形態では、プル層は、約100K、200K、300K、400K、500K、600KDa、600KDa、800KDa、900KDa、1MDa、又はそれらの間の任意の値の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、約2MDa、約4Mda、約5MDa、又は約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとを含む。特定の実施形態では、プル層は、約200KDaの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーと、約2M、約4M、約5M、又は約7MDaの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーとを含む。特定の実施形態では、プル層は、(1)約1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー及び(2)約1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーを、約1:99~約10:90の比で含む。特定の実施形態では、プル層中のポリエチレンオキシドポリマーの総量は、プル層の総重量に基づいて、約5重量%~約80重量%、約10重量%~約75重量%、約15重量%~約70重量%、約20重量%~約65重量%、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約55重量%、約35重量%~約50重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%、約10重量%、約5重量%、又はそれらの間の任意の重量%である。
【0110】
特定の実施形態では、プル層は、限定するものではないが、ポビドンK90、ヒプロメロース、デンプン、アカシア、ジェランガム、低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(5%w/w水溶液で75~150cpの粘度)、メチルセルロース、ナトリウムメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート(例えば、KOLLICOAT(登録商標)SR)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アルギネート、ペグ化ポリビニルアルコール、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるバインダーを含む。特定の実施形態では、バインダーは、低粘度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0111】
特定の実施形態では、バインダーは、プル層の総重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%の量で存在する。特定の実施形態では、バインダーは、プル層の総重量に基づいて、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0112】
特定の実施形態では、プル層は、ポリエチレンオキシドポリマーの分解を防止又は低減するための少なくとも1つの安定化剤を含む。特定の実施形態では、安定化剤は、限定するものではないが、アスコルビン酸及びその塩、α-トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、硫化ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗酸化剤である。特定の実施形態では、抗酸化剤は、α-トコフェロールである。特定の実施形態では、安定化剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.01重量%~約20重量%の量で存在する。特定の実施形態では、安定化剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.10重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0113】
特定の実施形態では、プル層は、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、ステアリン酸、酒石酸、ホウ酸、安息香酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの酸を含む。特定の実施形態では、酸は、コハク酸である。特定の実施形態では、酸は、プル層の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で存在する。特定の実施形態では、酸は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。特定の実施形態では、ガス発生剤からのCOの生成は、酸の粒子サイズに依存し、例えば、より小さな粒子サイズは、COのより速い生成をもたらす。特定の実施形態では、プル層中のコハク酸の存在により、LDの分解を低減するCDを安定化する。特定の実施形態では、コハク酸の粒子サイズは、CD及びLDの安定性に影響する。特定の実施形態では、コハク酸のD90粒子サイズは、約10ミクロン~約150ミクロンである。
【0114】
特定の実施形態では、プル層は、剤形の急速な膨張及び浮遊のための少なくとも1つのガス発生剤を含む。ガス発生剤は、剤形における胃内流体の吸収に伴ってCOを発生する。特定の実施形態では、プル層中の酸の存在は、剤形中の胃内流体の吸収を伴うCOのより速い生成をもたらす。プル層中に存在するガス発生剤の例としては、限定するものではないが、酸と相互作用してその場でガスを発生させることができるあらゆる有機及び無機炭酸塩、例えば、アルカリ及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、ガス発生剤は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、及び/又は炭酸カルシウムである。特定の実施形態では、炭酸カルシウム及び重炭酸ナトリウムの混合物は、COの所望の持続放出をもたらす。特定の実施形態では、ガス発生剤は、プル層重量の少なくとも約5重量%~約50重量%の量で存在する。特定の実施形態では、ガス発生剤は、プル層の総重量に基づいて、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0115】
特定の実施形態では、ガス発生剤は、重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムとの混合物を含む。特定の実施形態では、プル層は、ガス発生剤としての重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムとの混合物、及びガス発生剤と相互作用してCOを発生するコハク酸を含む酸を含む。特定の実施形態では、プル層は、等規定量の酸及びガス発生剤(例えば、炭酸カルシウムと重炭酸ナトリウムとの混合物)を含む。
【0116】
特定の実施形態では、プル層は、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(N-ビニル-2-ピロリドンの架橋ホモポリマー)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコレートナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸、アルギン酸塩、アクリル酸誘導体、及び各種デンプン、又はそれらの任意の組合せを含む崩壊剤を含むことができる。
【0117】
特定の実施形態では、プル層は、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミチン酸、タルク、カルナウバワックス、ステアリン酸カルシウムナトリウム(calcium stearate sodium)、ラウリル硫酸ナトリウム又はマグネシウム、カルシウム石鹸、ステアリン酸亜鉛、ポリオキシエチレンモノステアレート、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、水素化植物油脂、ステアリン酸、及びそれらの任意の組合せを含む群から選択される少なくとも1つの潤滑剤を含む。特定の実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。特定の実施形態では、潤滑剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.5重量%~約5重量%の量で存在する。特定の実施形態では、潤滑剤は、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約5.0重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0118】
特定の実施形態では、プル層は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、リン酸三カルシウム、及びそれらの任意の組合せを含む群から選択される少なくとも1つの滑剤を含む。特定の実施形態では、滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。特定の実施形態では、滑剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。特定の実施形態では、滑剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、又はそれらの間の値の量で存在する。
【0119】
特定の実施形態では、プル層は、マンニトールを更に含む。特定の実施形態では、マンニトールは、フィラー及び/又は圧縮助剤として使用される。特定の実施形態では、マンニトールは、二次浸透圧剤として使用される。特定の実施形態では、マンニトールは、プル層の約1重量%~約20重量%の量で存在する。
【0120】
特定の実施形態では、プル層は、CD及びLDを含む複数の層を含み、薬物濃度の上昇に伴って薬物放出を提供する。
【0121】
プッシュ層
特定の実施形態では、プッシュ層は、膨潤性の水溶性親水性ポリマー、オスモゲン、潤滑剤、及び着色顔料を含む。特定の実施形態では、膨潤性の水溶性親水性ポリマーは、ポリエチレンオキシドポリマーである。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドポリマーは、約600KDa超の平均分子量を有する。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量は、約600K、約700K、約800K、約900K、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、約6M、約7MDa、又はそれらの間の任意の値である。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドポリマーの量は、CD及びLDの実質的に完全な回収を提供するのに十分であり(即ち、プル層は実質的に排出される)、プッシュ層のみを有する残りの剤形は、消化管及び患者から組成物を完全に失くすために崩壊/収縮する。特定の実施形態では、ポリエチレンオキシドポリマーは、プッシュ層の総重量に基づいて、約50重量%~約95重量%の量で存在する。特定の実施形態では、ポリエチレンオキシドポリマーは、プッシュ層の総重量に基づいて、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドポリマーは、コーティングされた錠剤組成物の総重量に基づいて、10重量%~約30重量%の量で存在する。特定の実施形態では、ポリエチレンオキシドポリマーは、コーティングされた錠剤組成物の総重量に基づいて、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0122】
特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドの量及び平均分子量は、薬物放出プロファイルに影響を与える。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドの平均分子量は、所望の期間で実質的に完全な薬物回収のためにプッシュ層の実質的な膨張をもたらすように選択される。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドの平均分子量は、剤形を無傷に維持しながら、実質的に完全な薬物回収を提供する。
【0123】
特定の実施形態では、プッシュ層は、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミチン酸、タルク、カルナウバワックス、ステアリン酸カルシウムナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム又はマグネシウム、カルシウム石鹸、ステアリン酸亜鉛、ポリオキシエチレンモノステアレート、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、水素化植物油脂、ステアリン酸、及びそれらの任意の組合せを含む群から選択される潤滑剤を含む。特定の実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。特定の実施形態では、潤滑剤は、プッシュ層の総重量に基づいて、約0.5重量%~約2重量%の量で存在する。特定の実施形態では、潤滑剤は、プッシュ層の総重量に基づいて、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0124】
特定の実施形態では、プッシュ層は、少なくとも1つのオスモゲンを含む。特定の実施形態では、オスモゲンは、組成物中への液体の浸透圧流のための濃度差を提供する無機塩のイオン性化合物を含む。プッシュ層中の水溶性ポリマーが水を吸収する速度は、プッシュ層によって生成される浸透圧と膜コーティングの透過性とに依存する。プッシュ層中の水溶性ポリマーが水を吸収すると、体積が膨張し、プル層に存在する薬液/懸濁液/分散液が錠剤コアから膜のオリフィスを通って押し出される。特定の実施形態では、剤形中に存在するガス発生剤及び酸によるCOの生成は、膜内に過剰な圧力の蓄積をもたらし得るが、膜のオリフィスの存在により、この過剰な圧力の蓄積を解放する。過剰な圧力の蓄積のかかる解放は、膜に亀裂が生じることを防ぎ、剤形を無傷に保つ。特定の実施形態では、オリフィスは、例えば、プッシュ層による、剤形の膨潤中に過剰な圧力の蓄積を解放し、消化管の流体力学的条件下で膜を無傷に維持することを可能にする。特定の実施形態では、オスモゲンは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、ラクトース及びスクロースの組合せ、ラクトース及びデキストロースの組合せ、スクロース、デキストロース、マンニトール、二塩基性リン酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択されるイオン性化合物である。特定の実施形態では、オスモゲンは、塩化ナトリウムである。特定の実施形態では、オスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、約5重量%~約30重量%の量で存在する。特定の実施形態では、オスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0125】
特定の実施形態では、プッシュ層は、多層錠剤コア中のプッシュ層を識別するための少なくとも1つの顔料を含む。特定の実施形態では、プッシュ層中の顔料は、コーティングされた多層錠剤の薬物層側(プル層側)に送達オリフィスを開けながら、プッシュ層側を識別するのに有用である。特定の実施形態では、プッシュ層は、酸化鉄又はレーキ系の色を含む少なくとも1つの顔料を含む。特定の実施形態では、顔料は、レーキ系の色である。特定の実施形態では、顔料は、酸化鉄顔料、例えば、オキシドピグメントブラック又はレッドブラックである。特定の実施形態では、顔料は、プッシュ層の総重量に基づいて、約0.5重量%~約2重量%の量で存在する。
【0126】
膜/機能性コート
本開示の組成物は、多層錠剤コアを取り囲む水不溶性の透過性弾性膜である膜を含む。膜は、胃内流体の組成物中への流れがプル層中に存在するガス発生剤からのガスの生成を開始することを可能にし、膜の柔軟性は、発生したガス(例えば、CO)による組成物の初期の急速な膨張及び浮遊を可能にする。特定の実施形態では、膜は、約50℃~約70℃のTg(ガラス転移温度)を有する少なくとも1つの水不溶性透過性ポリアクリレート/ポリメタクリレートコポリマー(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー)(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30D、及びEUDRAGIT(登録商標)RS 30D)を含む。特定の実施形態では、膜は、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートの少なくとも1つのコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及びEUDRAGIT(登録商標)RS PO)を含む。特定の実施形態では、膜は、約50℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)の少なくとも1つのコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及びEUDRAGIT(登録商標)RL 30D)を含む。特定の実施形態では、膜は、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)の少なくとも1つのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RL PO)を含む。
【0127】
特定の実施形態では、膜は、可塑剤と、約63℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)の少なくとも1つのコポリマー(EUDRAGI(登録商標)RL PO)とを含む。EUDRAGI(登録商標)RL POコポリマーは、その特徴的な高い透過性と約63℃の好ましいTgとにより、高い透過性の弾性膜を提供する。特定の実施形態では、膜は、ガス発生剤及び酸からのガスの生成を伴う膜の急速な膨張のために膜弾性を実質的に向上させることができる量の可塑剤を更に含む。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL POコポリマーの総重量に基づいて、約10~25%w/wの量で存在する。可塑剤は膜の弾性を高め、膨張時に膜が破裂しないことを確実にし、且つ、浸透圧性胃内滞留薬物送達システムが、薬物放出、流体力学的バランス、及び機械的強度が、摂食又は絶食状態の胃内のpH及び剪断の変化に耐えることを確実にする所望の特性を提供する。特定の実施形態では、錠剤コアにおける活性剤の溶解が進行するにつれて、可塑剤が膜から浸出する。特定の実施形態では、可塑剤の浸出に関わらず、膜は、剤形に存在する薬物の総重量に基づいて、薬物の少なくとも75%、例えば約80%が放出されるまで、剤形を無傷に保つのに十分な弾性を維持する。特定の実施形態では、可塑剤の浸出に関わらず、膜は、薬物の総重量に基づいて約80%w/wが剤形から放出された後、幽門括約筋を通して剤形を胃から搾り出すのに十分な弾性である。特定の実施形態では、膜は、親水性又は親油性の可塑剤を含む。本開示に適した親水性可塑剤としては、限定するものではないが、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、及びソルビトールソルビタン溶液が挙げられる。本開示に適した親油性可塑剤としては、限定するものではないが、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、ジブチルセバケート、フタル酸ジエチル、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、gelucire39/01、及びgelucire43/01が挙げられる。特定の実施形態では、可塑剤は、様々なポリエチレングリコール、グリセリン、及び/又はトリエチルシトレートを含む。本開示の好ましい実施形態では、可塑剤は、トリエチルシトレートである。
【0128】
特定の実施形態では、膜は、水不溶性ポリマーと、可塑剤と、水溶性非イオン性ポリマーを含む少なくとも1つの細孔形成剤とを含む。特定の実施形態では、細孔形成剤及び可塑剤は、膜透過性、膜弾性、及び引張強度を変更する。特定の実施形態では、膜は、いかなる細孔形成剤も含まない。特定の実施形態では、透過性弾性膜の水不溶性透過性成分の例としては、限定するものではないが、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL 30D、EUDRAGIT(登録商標)RS 30D、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、又はEUDRAGIT(登録商標)RS PO)が挙げられる。
【0129】
特定の実施形態では、膜は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、及びリン酸三カルシウム、及びそれらの任意の組合せを含む群から選択される少なくとも1つの粘着防止剤を更に含む。特定の実施形態では、粘着防止剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0130】
特定の実施形態では、膜の強度は、コーティング組成物中に存在する水不溶性ポリマーの適合性/均一性に依存する。特定の実施形態では、錠剤コアは、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートの少なくとも1つのコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS PO)、可塑剤、及び粘着防止剤を適切な溶媒中の含むコーティング組成物でコーティングされる。特定の実施形態では、コーティングに使用される溶媒は、アセトン、水、エタノール、イソプロピルアルコール、又はそれらの混合物を含む。特定の実施形態では、溶媒は、アセトンと水との混合物、エタノールと水との混合物、エタノールとイソプロピルアルコールとの混合物、イソプロピルアルコールと水との混合物、又は水と、エタノールと、イソプロピルアルコールとの混合物である。特定の実施形態では、溶媒は、アセトンと水との混合物である。特定の実施形態では、溶媒と水との比は、約80:20~約99:1である。特定の実施形態では、アセトンと水との比は、約80:20、約85:15、約90:10、及び約95:5である。
【0131】
特定の実施形態では、コーティング組成物は、透過性を改善するために、EUDRAGIT(登録商標)RL PO又はEUDRAGIT(登録商標)RS POのうちの少なくとも1つを含み、機械的強度(引張強度)を改善するために、少なくとも1つの可塑剤を含む。特定の実施形態では、コーティング組成物は、EUDRAGIT(登録商標)分散液、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 30D又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30DなどのEUDRAGIT(登録商標)分散物に代えて、EUDRAGIT(登録商標)RL PO又はEUDRAGIT(登録商標)RS POなどのEUDRAGIT(登録商標)の粉末形態を使用して調製される。予想外なことに、EUDRAGIT(登録商標)RL POコポリマーを含むコーティング組成物でコーティングされた胃内滞留組成物は、EUDRAGIT(登録商標)RL 30Dを含むコーティング組成物でコーティングされた胃内滞留組成物と比較して、(これらの2種のコポリマーが同様の透過性を有するにもかかわらず)優れた胃内滞留特性をもたらすことが観察された。更に予想外なことに、EUDRAGIT(登録商標)RL POコポリマーを含むコーティング組成物でコーティングされた胃内滞留組成物は、EUDRAGIT(登録商標)RS POを含むコーティング組成物でコーティングされた胃内滞留組成物と比較して、(これらの2種のコポリマーが同様のTgを有するにもかかわらず)優れた胃内滞留特性をもたらすることが観察された。特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び可塑剤を含む透過性弾性膜を含む本開示の胃内滞留剤形は、優れた胃滞留特性、例えば、短い浮遊ラグタイム、急速な体積膨張、及び長期間に亘る持続的薬物放出を提供した。
【0132】
特定の実施形態では、膜の透過性、弾性、及び引張強度は、本開示の浸透性胃内滞留送達システムの浮遊時間及び浮遊ラグタイムを決定する。特定の実施形態では、膜透過性、弾性、及び引張強度は、膜に存在するポリマーの透過性及び弾性に基づく。特定の実施形態では、本開示の組成物は、膜透過性の上昇に伴い、浮遊時間の延長及び浮遊ラグタイムの短縮を示す。特定の実施形態では、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマーの透過性は、塩化物アニオンを他のアニオンと交換することで高められる。特定の実施形態では、塩化物アニオンは、硝酸イオン、硫酸イオン、コハク酸イオン、又は酢酸イオンと交換される。特定の実施形態では、塩化物アニオンを、より高度に水和されたアニオン半径のアニオンと交換することで、膜透過性が改善される。
【0133】
特定の実施形態では、透過性弾性膜の透過性は、約45分未満の浮遊ラグタイム及び約8時間~約14時間の浮遊時間を提供するように調整される。特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS POを含む膜を含む本開示の自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留剤形は、約45分未満の浮遊ラグタイム及び約8時間~約14時間の浮遊時間を示す。
【0134】
特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS POは、膜組成物の総重量に基づいて、約70%~約90%w/wの量で存在し、所望の引張強度、膜の急速な拡張のための弾性を提供する。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS POの総重量に基づいて、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、それらの間の任意の範囲の量で存在し、所望の引張強度、膜の急速な拡張のための弾性を提供する。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS POの総重量に基づいて、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、及び少なくとも約25重量%の量で存在する。
【0135】
特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30Dを含む膜を含む本開示の自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留剤形は、約45分未満の浮遊ラグタイム及び約8時間~約14時間の浮遊時間を示す。
【0136】
特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30Dは、膜組成物の総重量に基づいて、約70%~約90%w/wの量で存在し、所望の引張強度、膜の急速な拡張のための弾性を提供する。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30Dの総重量に基づいて、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、それらの間の任意の範囲の量で存在し、所望の引張強度、膜の急速な拡張のための弾性を提供する。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30Dの総重量に基づいて、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、及び少なくとも約25重量%の量で存在する。
【0137】
特定の実施形態では、透過性弾性膜は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、可塑剤、及びタルクを含む。特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL POは、膜組成物の総重量に基づいて、約70%~約90%w/wの量で存在し、所望の引張強度、膜の急速な拡張のための弾性を提供する。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL POの総重量に基づいて、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、それらの間の任意の範囲の量で存在し、所望の引張強度、膜の急速な拡張のための弾性を提供する。特定の実施形態では、可塑剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL POの総重量に基づいて、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、及び少なくとも約25重量%の量で存在する。
【0138】
特定の実施形態では、粘着防止剤は、コポリマー、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30Dの総重量に基づいて、約5重量%~約30重量%の量で存在する。特定の実施形態では、粘着防止剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30Dの総重量に基づいて、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0139】
特定の実施形態では、粘着防止剤は、コポリマー、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS POの総重量に基づいて、約5重量%~約30重量%の量で存在する。特定の実施形態では、粘着防止剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO及び/又はEUDRAGIT(登録商標)RS POの総重量に基づいて、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0140】
特定の実施形態では、粘着防止剤は、コポリマー、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL POの総重量に基づいて、約5重量%~約30重量%の量で存在する。特定の実施形態では、粘着防止剤は、EUDRAGIT(登録商標)RL POの総重量に基づいて、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0141】
特定の実施形態では、膜は、プル層と流体連通する送達オリフィスを含む。特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RS POを含む膜を含む本開示の胃内滞留組成物は、主にオリフィスを通して薬物を放出する。特定の実施形態では、薬物は、プッシュ層及びプル層におけるポリエチレンオキシドの平均分子量に基づいて、所望の放出速度で、分散液/懸濁液としてオリフィスを通して放出される。特定の実施形態では、プッシュ層におけるポリエチレンオキシドの膨潤速度は、オスモゲンの量、及びプッシュ層に存在するポリエチレンオキシドの平均分子量に依存する。特定の実施形態では、膜のオリフィスのサイズ及びプル層のポリエチレンオキシドの平均分子量は、剤形からのCD及びLDの放出を制御する。特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)RL POを含む膜を含む本開示の胃内滞留組成物は、主に膜拡散を介して薬物を放出する。特定の実施形態では、オリフィスのサイズは、EUDRAGIT(登録商標)RL POを含む膜を含む本開示の胃内滞留組成物の薬物放出速度に影響しない。
【0142】
即時放出薬物層
特定の実施形態では、本開示の自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留組成物は、同一薬物、例えば、CD及びLDの即時放出及び持続放出を含む二相性薬物放出を提供する。特定の実施形態では、二相性薬物放出を提供する胃内滞留CD/LD組成物は、オリフィスを含む透過性弾性膜上に1以上の即時放出薬物層を含む。特定の実施形態では、即時放出薬物層は、即時放出のためのCD及びLD、フィルム形成ポリマー、及び任意に、当技術分野で知られる他の賦形剤を含む。特定の実施形態では、IR薬物層は、CDを安定化するために、少なくとも1つの酸を更に含む。特定の実施形態では、即時放出薬物層は、更なる層、例えば、剤形のそれ自体への接着を防止する粉末又はフィルムを含む最も外側のコート、で更にコーティングされる。特定の実施形態では、IR薬物層を含む本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、化粧コート/オーバーコートを更に含む。特定の実施形態では、IR薬物層は、化粧コート/オーバーコートの直下に存在する。特定の実施形態では、化粧コート/オーバーコートは、透過性又は半透性の膜又は即時放出薬物層を取り囲む。特定の実施形態では、即時放出薬物層は、シールコート-2、シールコート-2上の化粧コート/オーバーコート、及び化粧コート上の最終コート/クリアコートに囲まれており、最終コート/クリアコートが最外層である。特定の実施形態では、即時放出薬物層は、シールコート-2、及び化粧品コート/オーバーコートに囲まれており、化粧コート/オーバーコートが最外層である。
【0143】
特定の実施形態では、IR薬物層は、IR薬物層の総重量に基づいて、約70重量%~約90重量%の合計重量でCD及びLDを含む。特定の実施形態では、IR薬物層は、IR薬物層の総重量に基づいて、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、又はそれらの間の任意の値のCDとLDとの合計重量を含む。
【0144】
即時放出薬物層で使用することができる可溶性フィルム形成ポリマーの例としては、限定するものではないが、可溶性セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒプロメロース;様々なグレードのポビドン;ポリビニルアルコール及びその誘導体、例えば、KOLLICOAT(登録商標)IR;可溶性ガム;及びその他を挙げることができる。特定の実施形態では、フィルム形成ポリマーは、低粘度のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。特定の実施形態では、HPCは、IR薬物層の総重量に対して、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0145】
特定の実施形態では、IR薬物層は、抗酸化剤、界面活性剤、可塑剤、及び保湿剤、例えば、PEG、様々なグレードのポリソルベート、並びにラウリル硫酸ナトリウムを更に含む。特定の実施形態では、IR薬物層は、CDの分解を防ぐために少なくとも1つの安定化剤を含む。特定の実施形態では、安定化剤は、限定するものではないが、アスコルビン酸及びその塩、α-トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、硫化ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。特定の実施形態では、抗酸化剤は、α-トコフェロールである。特定の実施形態では、安定化剤は、薬物層の総重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%の量で存在する。特定の実施形態では、安定化剤は、IR薬物層の総重量に基づいて、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.10重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0146】
特定の実施形態では、IR薬物層は、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、ステアリン酸、酒石酸、ホウ酸、安息香酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの酸を含む。特定の実施形態では、酸はコハク酸である。特定の実施形態では、酸は、IR薬物層の総重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%の量で存在する。特定の実施形態では、酸は、IR薬物層の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約5.5重量%、約6重量%、約6.5重量%、約7重量%、約7.5重量%、約8重量%、約8.5重量%、約9重量%、約9.5重量%、約10重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0147】
シールコート、オーバーコート/化粧コート、最終コート/クリアコート
特定の実施形態では、透過性弾性膜は、OPADRY(登録商標)II、ピンク(二酸化チタン、タルク、グアーガム、部分加水分解ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、HPMC、中鎖グリセリド、赤色酸化鉄、及び青色酸化鉄の混合物)、OPADRY(登録商標)II、グリーン(二酸化チタン、タルク、グアーガム、部分加水分解ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、HPMC、中鎖グリセリド、FD&Cブルー/ブリリアントブルー、アルミニウムレーキ、及びFD&Cイエロー/タートラジンアルミニウムレーキ、アルミニウムレーキの混合物)、又はOPADRY(登録商標)II、ブルー(二酸化チタン、タルク、グアーガム、部分加水分解ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、HPMC、中鎖グリセリド、FD&Cブルー/インジゴカーマインアルミニウムレーキブルーの混合物)を含む化粧コート/オーバーコートでコーティングされる。特定の実施形態では、オーバーコート/化粧コートは、錠剤を、その実際のサイズよりも小さく見せる。特定の実施形態では、オーバーコートは、OPADRY(登録商標)EZクリア(タルク、グアーガム、マルトデキストリン、HPMC、及び中鎖グリセリドの混合物)を含む最終コートで覆われる。特定の実施形態では、最終コートは、特に小児及び老人の集団が、錠剤を容易に飲み込むのに役立つ。特定の実施形態では、オーバーコート/化粧コートは、唾液と接触したときに錠剤を滑り易くする。
【0148】
特定の実施形態では、組成物は、多層錠剤コアと透過性弾性膜/機能性コートとの間にシールコート(シールコート-1)を含む。特定の実施形態では、組成物は、透過性弾性膜とオーバーコートとの間にシールコート(シールコート-2)を含む。特定の実施形態では、組成物は、シールコート(シールコート-1)、シールコート-1上の透過性弾性膜、透過性弾性膜上の更なるシールコート(シールコート-2)、及びシールコート-2上にオーバーコート/化粧コートでコーティングされた多層錠剤コアを含む。特定の実施形態では、IR薬物層を有する組成物は、シールコート-2上のIR薬物層、IR薬物層上のシールコート-3、及びシールコート-3上の化粧コート/オーバーコートを更に含む。特定の実施形態では、IR薬物層と化粧コート/オーバーコートとの間にシールコートは存在しない。
【0149】
特定の実施形態では、シールコートは、ヒプロメロース(HPMC)ベースのポリマー又はポリ酢酸ビニルベースのポリマーを含む、pH非依存性の水溶性ポリマーを含む。特定の実施形態では、シールコートは、ポビドンを含む。特定の実施形態では、シールコート(シールコート-1及びシールコート-2)は、ポリビニルアルコール、タルク、ポリエチレングリコール、及びポリソルベート80(OPADRY(登録商標)II、クリア)の混合物を含む。特定の実施形態では、シールコート-1は、未コーティングコアの約0.5重量%~約5重量%の量で存在する。特定の実施形態では、シールコート-1は、シールコート-1を含まない錠剤コアの総重量に基づいて、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。特定の実施形態では、シールコート-2は、シールコート-1及び機能性コートを含むコアの総重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。特定の実施形態では、シールコート-2は、シールコート-1及び機能性コートを有するコアの総重量に基づいて、約0.1重量%、約0.5重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、又はそれらの間の任意の値の量で存在する。
【0150】
特定の実施形態では、組成物は、シールコート-1、シールコート-1上の透過性弾性膜/機能性コート、透過性弾性膜/機能コート上のシールコート-2、及びシールコート-2上の化粧コート/オーバーコートでコーティングされた多層錠剤コアを含む。特定の実施形態では、IR層を有する組成物は、シールコート-2上のIR薬物層、及びIR薬物層上の化粧コート/オーバーコートを含む。特定の実施形態では、シールコート-3は、IR薬物層と化粧コート/オーバーコートとの間に存在する。
【0151】
胃内滞留用量組成物
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、オリフィスを含む透過性膜でコーティングされた多層コアを含む。特定の実施形態では、多層錠剤コアは、プル層とプッシュ層とを含む。特定の実施形態では、プル層は、約100mg~約400mg、約150mg~約350mg、約200mg~約350mg、約240mg~約320mg、約200mg、約240mg、約270mg、約315mg、又は約320mgのLDを含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約50mg~約100mg、約55mg~約95mg、約60mg~約90mg、約75mg~約85mg、約70mg~約80mg、約55mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、又は約85mgのCDを更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約140mg~約200mg、約145mg~約195mg、約150mg~約190mg、約155mg~約185mg、約160mg~約180mg、約141mg、約148mg、約190mg、約193mg、約200mgのPOLYOXTM N80を更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約1mg~約10mg、又は約5mgのPOLYOXTM N303を更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約5mg~約10mg、又は約8mgのヒドロキシプロピルセルロースを更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約50mg~約125mg、約60mg~約100mg、約50mg、約75mg、約100mg、又は約125mgのコハク酸を更に含みことができる。特定の実施形態では、プル層は、約25mg~約125mg、約50mg、又は約100mgの重炭酸ナトリウムを更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約20mg~約150mg、約50mg~約100mg、約25mg、約75mg、又は約138mgの炭酸カルシウムを更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約0.1mg~約2mg、約1mg~約1.5mg、約0.5mg、又は約2mgのα-トコフェロールを更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約1mg~約5mg、又は約3.5mgのCab-O-Sil(登録商標)を更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約40mg~約55mg、約44mg、又は約52mgのマンニトール(PARTECK(登録商標)M200)を更に含むことができる。特定の実施形態では、プル層は、約1mg~約20mg、約10mg~約15mg、約10mg、又は約13mgのステアリン酸マグネシウムを更に含むことができる。
【0152】
特定の実施形態では、プッシュ層は、約175mg~約250mg、約200mg~約225mg、約197mg、約218mg、約219mg、約220mg、又は約221mgのPOLYOXTM N60を含むことができる。特定の実施形態では、プッシュ層は、約20mg~約30mg、約22mg、又は約25mgの塩化ナトリウムを更に含むことができる。特定の実施形態では、プッシュ層は、約1mg~約5mg、又は約3mgのステアリン酸マグネシウムを更に含むことができる。特定の実施形態では、プッシュ層は、約1mg~約5mg、約2mg、約3mg、又は約4mgの着色顔料を更に含むことができる。
【0153】
特定の実施形態では、シールコート-1は、約20mg~約50mg、約25mg、約30mg、約35mg、又は約40mgのヒドロキシプロピルセルロースベースのポリマー(OPADRY(登録商標)EZクリア)を含むことができる。特定の実施形態では、シールコート-2は、約1mg~15mg、約5mg、又は約15mgのヒドロキシプロピルセルロースベースのポリマー(OPADRY(登録商標)EZクリア)を含むことができる。
【0154】
特定の実施形態では、機能性コート/膜は、約100mg~約200mg、約125mg~約175mg、約145mg~約150mg、約111.2mg、約129.7mg、又は約148mgの、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RL PO)を含むことができる。特定の実施形態では、機能性コート/膜は、約10mg~約30mg、約15mg~約25mg、約16.7mg、約19.4mg、又は約22.20mgのトリエチルシトレートを更に含むことができる。特定の実施形態では、機能性コートは、約20mg~約40mg、約22.2mg、約25.9mg、又は約29.6mgのタルクを更に含むことができる。
【0155】
特定の実施形態では、胃内滞留錠剤は、CD、LD、ヒドロキシプロピルセルロース、α-トコフェロール、及びコハク酸を含む即時放出(IR)薬物層を含むことができる。特定の実施形態では、IR薬物層は、約10mg~約20mg、約13.5mg、又は約17.5mgのCDを含むことができる。特定の実施形態では、IR薬物層は、約50mg~約75mg、又は約65mgのLDを含むことができる。特定の実施形態では、IR薬物層は、約10mg~約20mg、約11.6mg、又は約15mgのヒドロキシプロピルセルロースを更に含むことができる。特定の実施形態では、IR薬物層は、約0.1mg~約1mg、約0.4mg、又は約0.5mgのα-トコフェロールを更に含むことができる。特定の実施形態では、IR薬物層は、約1mg~約5mg、約2.5mg、又は約3.25mgのコハク酸を更に含むことができる。
【0156】
特定の実施形態では、胃内滞留錠剤は、最終的に、化粧コート/オーバーコートでコーティングされる。特定の実施形態では、化粧コート/オーバーコートは、約15mg~約20mg、約15mg、約17mg、又は約20mgのOPADRY(登録商標)IIピンク、OPADRY(登録商標)IIグリーン、又はOPADRY(登録商標)IIブルーを含むことができる。
【0157】
6.3.治療方法
特定の実施形態では、本開示は、CD及びLDの自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留組成物を投与することを含む、PDを治療するための方法を提供する。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、LDの安定した治療血漿濃度を提供及び維持し、PDの治療のためにFDAによって承認された市場で流通している持続放出CD/LD組成物より優れている。かかる剤形のPD患者は、翌朝目覚めて、前日/前夜に服用した用量のウェアリングオフにより運動性が殆どない又は全くない状態になる(オフタイム)。一旦、前回用量が減ってしまうと、患者は通常、持続放出剤形がLDの必要血漿レベルを送達するのに要する長い期間を待つことを望まない又は待つことすらできない。LDの即時放出製剤を使用すると、この「待機時間」を短縮することができるものの、LDの即時放出製剤を使用すると、より頻繁な投与が必要になり、血漿LD濃度のより大きな変動を伴う。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、ラグタイムが短縮された持続放出と、LDの安定した治療血漿レベルを提供する。本開示の胃滞留組成物は、透過性弾性膜及びプッシュプル浸透圧コアの存在により、中程度の可溶性を有する薬物、例えば、LDの安定した送達を提供することができる。これは、透過性弾性膜が、薬物の胃内滞留及び受動拡散を可能にし、プッシュプルシステムが、薬物濃度が経時で低下するときに、薬物排出に更なる推力を提供することができるからである。
【0158】
特定の実施形態では、本開示は、自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を投与することを含む、パーキンソン病を治療し、「オフ」期間及びLD誘発性ジスキネジアを低減するための方法を提供する。
【0159】
特定の実施形態では、本開示は、自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を投与することを含む、脳炎後パーキンソニズムを治療し、「オフ」期間及びLD誘発性ジスキネジアを低減するための方法を提供する。
【0160】
特定の実施形態では、本開示は、自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を投与することを含む、一酸化炭素中毒又はマンガン中毒後に発症し得るパーキンソニズムを治療するための方法を提供する。
【0161】
特定の実施形態では、本開示は、PD患者のコンプライアンスを改善するための方法を提供する。この方法は、PD患者において、自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物の1日1回又は1日2回の投与を提供することを含む。本開示のCD/LD組成物は、少なくとも約8時間、例えば、約8時間~約14時間、又は約10時間~約14時間、CD及びLDの安定した治療血漿濃度を伴う持続放出を提供する。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、標準的な経口持続放出性製剤と比較して、「オフ時間」を短縮し、障害性ジスキネジアを伴うことなく「オン」時間を増加させて、ジスキネジアの重篤度を低減する。
【0162】
特定の実施形態では、本開示は、PD患者におけるラグタイムを最小限とし、コンプライアンスを改善することを提供する。前記方法は、ラグタイム/待機時間を最小限とするために、CD/LDの即時放出を提供するIR薬物層を含む本開示の経口浸透圧性制御浮遊性胃内滞留CD/LD組成物、及び少なくとも約8時間、例えば、約8時間~約14時間、又は約10時間~約14時間、安定した治療的血漿濃度でCD及びLDの持続放出を提供する持続放出ポーションを、PD患者に投与することを含む。
【0163】
特定の実施形態では、本開示は、LDのバイオアベイラビリティを改善する方法を提供する。前記方法は、CD及びLDの薬物動態学的特性の向上、例えば、低トラフレベルの回避、及びピーク対トラフ比(Cmax/Cmin)の低下を伴う持続性放出を提供することができる自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を、対象に投与することを含む。前記組成物は、胃内の酸性微小環境でCD及びLDを放出することによって薬物の溶解性を高め、吸収部位近傍で薬物を放出することによってCD/LDの吸収を高める。本開示の胃内滞留CD/LD組成物は、システムの胃内滞留特性(GRS特性)を失うことなく、約8~約14時間のCD及びLDの持続放出を提供し、システムからの薬物の完全放出後に崩壊する。
【0164】
特定の実施形態では、本開示は、胃内容排出を回避し、一般に、経口CD/LD剤形に関連するピーク対トラフの変動を低減することができる本開示の胃内滞留CD/LD組成物を投与することによって、患者のコンプライアンスを改善するための方法を提供する。LDは、主に近位小腸で吸収されるので、胃内容排出は、従来の経口製剤の服用後の血漿LDレベルを決定する上で重要な役割を果たす。不規則な胃内容排出はPD患者によく見られ、経口投与されたLDで観察されるLD血漿レベルの変動と予測不能な運動応答の一因となることがある。本発明は、所望の薬物動態特性、即ち、市場に流通しているCD/LD組成物と比較して、長期間に亘って実質的に安定したLD及びCDの血漿濃度/レベルを提供する自己制御性、経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供することによって、この必要性を充足する。本開示の胃内滞留経口CD/LD剤形は、患者の胃におけるLDの持続放出を提供することによって、LD血漿レベルの不規則な変動を避ける。
【0165】
特定の実施形態では、本開示は、CD及びLDの経口バイオアベイラビリティを改善する、経口性、浸透圧制御性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供する。本開示の胃内滞留組成物は、胃の蠕動運動及び機械的収縮性(剪断又は剪断作用)に耐える能力により、CD及びLDの吸収及びバイオアベイラビリティを著しく改善し、特に、近位消化管におけるそれらの吸収及びバイオアベイラビリティを改善し、結果として、その吸収部位の近傍にて、消化管の非吸収領域への早期の通過なしに、長期的に薬物を放出する。これは、正常な腸内細菌叢を変化させ、吐き気、嘔吐、及びその他の生命を脅かす影響を引き起こす危険な毒素を放出する可能性がある結腸ではなく、吸収部位近傍で薬物を放出することにより、副作用を回避/低減し、患者のコンプライアンスを改善する。
【0166】
6.4.製造方法
特定の実施形態では、本開示は、浸透圧性浮遊性胃内滞留剤形を製造するための方法であって、CD/LD共顆粒及び顆粒外成分を含むプル層ブレンドを調製することと;プッシュ層ブレンドを調製することと;プル層ブレンド及びプッシュ層ブレンドを多層錠剤コアに圧縮し、錠剤コアを機能性コートでコーティングして、機能性コーティング錠剤コアを提供することと;機能性コートにオリフィスを開けて、オリフィス含む機能性コーティング錠剤コアを提供することと;オリフィスを含む機能性コーティング錠剤コアを、CD及びLDと少なくとも1つのバインダーとを含む即時放出薬物層でコーティングすることとを含む方法を提供する。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、CD、LD、1MDa以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、1MDa超の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、酸、少なくとも1つのバインダー、及び少なくとも1つの安定化剤を含み;顆粒外成分は、少なくとも1つのガス発生剤を含む。特定の実施形態では、ガス発生剤は、中間薬物顆粒及び/又は顆粒外成分に存在する。特定の実施形態では、顆粒外成分は、フィラー、滑剤、及び/又は潤滑剤を更に含むことができる。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーと、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーとを含む。特定の実施形態では、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー及び約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーは、約1:99~10:90の各重量比で存在する。特定の実施形態では、プッシュ層は、600KDa以上の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドポリマーと、少なくとも1つのオスモゲンとを含む。特定の実施形態では、機能性コートは、60℃~70℃のガラス転移温度を有するエチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。
【0167】
特定の実施形態では、プル層は、CD及びLDを含むCD/LD共顆粒と;プル層ブレンドにブレンドされた顆粒外成分とを含む。特定の実施形態では、CD/LD共顆粒は、乾式造粒又は湿式造粒によって作製される。特定の実施形態では、CD及びLDは、ホットメルト押出又は噴霧乾燥によって賦形剤とブレンドされて、プル層ブレンドが得られる。
【0168】
特定の実施形態では、組成物は、以下の順で様々なコートを含むコーティングシステムでコーティングされた多層錠剤コアを含む:シールコート-1、シールコート-1上の透過膜/機能性コート、透過膜/機能性コート上のシールコート-2;シールコート-2上のIR薬物層;IR薬物層上の化粧コート、及び任意に化粧コート上のクリアコートでコーティングされた多層錠剤コアを含む。特定の実施形態では、多層錠剤コアは、二層錠剤コアである。
【0169】
特定の実施形態では、シールコートは、OPADRY(登録商標)IIクリアを含むことができ;機能性コートは、EUDRAGIT(登録商標)RL POを含むことができ;化粧コートは、OPADRY(登録商標)II、ピンク/グリーン/ブルーを含むことができ;最終コートは、OPADRY(登録商標)EZクリアを含むことができる。
【0170】
特定の実施形態では、IR薬物層は、即時放出のためのCD及びLDと、タルクと、及びバインダーとを含むことができる。
【0171】
特定の実施形態では、コーティングシステムは、オリフィスを含むことができる。特定の実施形態では、オリフィスは手動で開けられる、又はレーザーで開けられる。特定の実施形態では、IR薬物層、化粧コート、及びクリアコートは、オリフィスを含まない。特定の実施形態では、コーティングシステムのオリフィスは、プル層と流体連通することができる。
【0172】
6.5.剤形の特徴
本開示は、自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留CD/LD組成物を提供する。特定の実施形態では、本開示のCD/LD組成物は、薬物の初期濃度とは無関係に、薬学的に有効な量のLD及びCDを放出する。特定の実施形態では、CD及びLDの放出は、一部透過性弾性膜を介して、一部オリフィスを介して行われる。特定の実施形態では、自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留組成物からのLD及びCDの放出は、消化管内の様々な生理学的要因と無関係である。組成物は、消化管の生理学的要因とは無関係に急速に膨張及び膨潤し、膨潤状態(例えば、少なくとも約100%の体積増加を含む膨潤状態)で錠剤の完全性を維持することにより、胃のpHに関係なく、長期間、例えば、約8時間~約14時間、胃内に留まることができ、様々な流体力学的及びpH条件下でのLD及びCDの持続放出を提供する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、消化管流体との接触時の剤形の体積に基づいて、少なくとも約8時間、少なくとも約200%の体積増加を維持する。
【0173】
本開示の自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留組成物は、安定した治療血漿濃度及び最小の薬物動態学的変動で、CD及びLDの持続放出を提供する。
【0174】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、軽食又はボリュームのある食事条件で、幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで膨潤し、膜は、胃の運動性(剪断作用)及びpH変化による流体力学的条件下、長期間に亘って膨潤状態でシステムの完全性を維持する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで60分以内に膨潤し、少なくとも約8時間膨潤状態を維持し、薬物の少なくとも約80%が放出された後、幽門括約筋を通って完全に排出するように崩壊/圧搾する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、少なくとも約6時間、例えば、約10時間~約24時間、膨潤状態を維持する。更に、活性薬剤、例えば、LD及びCDを含むプル層がオリフィスから放出され、プッシュ層が膨潤し続けると、例えば、活性薬剤の少なくとも約80%が放出されると、剤形は十分に空になり、最終的に、幽門括約筋を通って完全に排出するように崩壊する。特定の実施形態では、剤形は、少なくとも約70%~約100%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、又はそれらの間の値の薬物が放出された後、十分に空になる。特定の実施形態では、本開示の経口性、浸透圧性、制御放出性、浮遊性胃内滞留組成物は、胃から胃内滞留組成物を空にすることを可能にするために、時間の関数としてコアの膨潤及び膜弾性を調節する。
【0175】
特定の実施形態では、胃内滞留組成物からのCD及びLDの放出は、消化管内の様々な生理学的要因と無関係であり、組成物の放出特性は、活性薬剤及び組成物の性質から予測することができる。組成物は、消化管の生理学的要因とは無関係に急速に膨張し、膨潤状態で錠剤の完全性を維持することにより、胃のpHに関係なく、長期間、例えば、約8時間~約24時間、胃内に留まることができ、様々な流体力学的及びpH条件下で、CD及びLDの持続放出を提供する。
【0176】
特定の実施形態では、プル層及びプッシュ層は、それぞれ、制御された薬物放出を提供し、過量放出(dose dumping)を防止するために、少なくとも1つの膨潤性の親水性水溶性ポリマーを含む。
【0177】
特定の実施形態では、プッシュ層及びプル層中の膨潤性の水溶性親水性ポリマー、例えば、ポリエチレンオキシドが、様々な流体力学的及びpH条件下でのCD及びLDの放出を制御する。特定の実施形態では、組成物からのCD及びLDの制御放出は、プル層に存在するポリエチレンオキシドの平均分子量に依存し、例えば、プル層中のポリエチレンオキシドの平均分子量が高いと、薬物の放出速度を低下させる。特定の実施形態では、プッシュ層は、約600KDa超の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレンオキシドを含む。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドの平均分子量が、CD及びLDの放出速度を決定する。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドの平均分子量の上昇は、水の吸収によるポリエチレンオキシドの膨潤速度及び膨潤体積を増加させる。特定の実施形態では、プッシュ層中のポリエチレンオキシドの平均分子量の上昇は、プル層からの薬物の放出速度を上げる。特定の実施形態では、プッシュ層は、約2MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー(POLYOXTM N60)を含み、プル層は、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー(POLYOXTM N80)を含む。特定の実施形態では、プル層は、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドとを含み、これらは、それぞれ約1:99~約10:90の重量比で存在する。特定の実施形態では、プル層とプッシュ層中のポリエチレンオキシドの平均分子量は、2つの層の混合を防ぎ、プッシュ層からプル層に向かって低下する粘度勾配を提供するのに十分な程度に異なる。
【0178】
特定の実施形態では、錠剤コアのプル層とプッシュ層中の膨潤性の水溶性親水性ポリマーと、プル層と流体連通するオリフィスを含む、錠剤コア上の透過性弾性膜とは、長期間のCD及びLDの放出を制御する。
【0179】
特定の実施形態では、胃内滞留組成物は、組成物への胃内流体の浸透圧流を促進するための濃度勾配を提供する少なくとも1つのオスモゲンを含む。特定の実施形態では、オスモゲンは、プッシュ層に存在する。特定の実施形態では、オスモゲンは、プル層とプッシュ層とに存在する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、高透過性を有するコポリマー、例えば、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマー、例えば、EUGRAGIT(登録商標)RLコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO又はEUDRAGIT(登録商標)RL 30D))を含む透過性膜を含む。特定の実施形態では、透過性の高いEUDRAGIT RL POコポリマーは、高弾性で、約60℃~約70℃のガラス転移温度を有し、剤形の急速な膨潤を可能にする。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、約60℃~約70℃のTgを有する高透過性コポリマーを含む透過性膜、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL PO(1:2:0.2)を含み、COガスが生成されているときの膜の迅速な膨張を容易にする。
【0180】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体中で、約60分未満、約55分未満、約40分未満、約35分未満、約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、又はそれらの間の任意の時間の浮遊ラグタイムを示す。
【0181】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、pH4.5の酢酸緩衝液中で、約60分未満、約55分未満、約40分未満、約35分未満、約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、又はそれらの間の任意の時間の浮遊ラグタイムを示す。
【0182】
特定の実施形態では、本開示の経口性、浸透圧性、制御放出性、浮遊性胃内滞留組成物は、消化管流体を含むインビボ溶解媒体中で、約30分間~約60分間の浮遊ラグタイムを示す。
【0183】
特定の実施形態では、浮遊ラグタイムは、溶解媒体のpHと無関係である。
【0184】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、pH4.5の酢酸緩衝液中、緩衝液との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約125%の体積増加、約4時間で少なくとも約300%の体積増加を示し、約16時間で約200%以下の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0185】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体中、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約150%の体積増加、約2時間で少なくとも約200%の体積増加、約4時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で約100%以下の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0186】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体中、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約200%の体積増加、約2時間で少なくとも約200%の体積増加、約4時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で約150%以下の体積増加まで崩壊する。
【0187】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体中、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約300%の体積増加、約4時間で少なくとも約300%の体積増加を示し、約22時間で約250%以下の体積増加まで崩壊する。
【0188】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体中、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約150%の体積増加、約4時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で約100%以下の体積増加まで崩壊する。
【0189】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約150%の体積増加を示し、約22時間で150%以下の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0190】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約200%の体積増加を示し、約22時間で200%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0191】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約250%の体積増加を示し、約22時間で250%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0192】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留剤形は、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体に接触すると、溶解媒体との接触時から測定して、約60分以内で少なくとも約100%の体積増加、約2時間で少なくとも約300%の体積増加を示し、約22時間で300%未満の体積増加まで崩壊/圧搾する。
【0193】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、胃の蠕動運動及び機械的収縮性(剪断又は剪断作用)に耐える能力により、CD及びLDの吸収及びバイオアベイラビリティを著しく改善し、特に、近位消化管におけるそれらの吸収及びバイオアベイラビリティを改善し、結果として、その吸収部位の近傍にて、消化管の非吸収領域への早期の移行なしに、長期的に薬物を放出する。特定の実施形態では、胃内滞留を最大8~10時間維持するために高カロリー食及び高脂肪食を必要とする当技術分野の他の製剤と異なり、本開示の胃内滞留組成物は、低カロリー又は中カロリーの食事条件で、消化管の非吸収領域における早期の移行なしに、少なくとも約8時間、NAW(例えば、CD及びLD)を有する活性薬剤の胃内滞留を提供する。
【0194】
特定の実施形態では、膜にオリフィスが存在することにより、膜に亀裂が生じることを防ぎ、剤形を長期間無傷に保つ。オリフィスは、剤形の膨潤、例えば、プッシュ層の膨潤中に、蓄積された過剰な圧力を解放し、薬物の少なくとも80%が放出されるまで膜を無傷のままにすることを可能にする。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、約6~24時間、約8~16時間、又は約10時間~約14時間の、CDとLDの胃内滞留及び持続放出を提供する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、最大8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、又はそれらの間の期間、CDとLDの胃内滞留及び持続放出を提供する。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、少なくとも約10時間~約14時間の、CDとLDの胃内滞留及び持続放出を提供する。特定の実施形態では、剤形は、溶解媒体と接触したときの剤形の体積に基づいて、約8~14時間、少なくとも約150%の体積増加を含む膨潤状態に留まる。特定の実施形態では、剤形は、溶解媒体と接触したときの剤形の体積に基づいて、約8~14時間、少なくとも約200%の体積増加を含む膨潤状態に留まる。
【0195】
特定の実施形態では、膜透過性は、組成物の浮遊ラグタイム及び浮遊時間に影響する。特定の実施形態では、剤形への胃内流体の透過、及びガス発生剤からのCOの生成は、膜透過性の増加と共に増加する。特定の実施形態では、浮遊ラグタイムは、膜透過性の増加と共に短縮される。特定の実施形態では、膜は、約60℃~約70℃のTgを有する、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレートの高透過性コポリマーを含む。
【0196】
特定の操作理論に拘束されることを意図するものではないが、多層錠剤コア中、及びEUDRAGIT(登録商標)RLコポリマー(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)のコポリマー)を含む水不溶性透過性弾性膜中の、膨潤性の水溶性親水性ポリエチレンオキシドポリマー(例えば、POLYOX(登録商標))、ガス発生剤、及び酸の存在が、摂食及び絶食状態での胃のpH変動及びせん断効果に耐える薬物放出、流体力学的バランス、及び機械的強度のための所望の特性を有する、急速に膨潤/膨張する持続放出胃内滞留組成物を提供すると考えられる。
【0197】
特定の実施形態では、本開示の剤形は、嚥下を容易にするために楕円形、改変された楕円形、又はカプセル形状に水平に圧縮された多層錠剤を含む。特定の実施形態では、驚くべきことに、水平方向に圧縮された錠剤が、垂直方向に圧縮された錠剤と比較して優れた胃内滞留特性をもたらすことが観察された。特定の実施形態では、錠剤は、楕円形、改変された楕円形、カプセル形状の、又は任意の他の成形ツールを使用して圧縮される。特定の実施形態では、水平方向に圧縮された多層錠剤は、約12mm~約22mmの長さを有する長軸と、約8mm~約11mmの長さを有する短軸とを含む。特定の実施形態では、多層錠剤は、約12m、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、又はそれらの間の任意の長さの長軸を有する。特定の実施形態では、多層錠剤は、約8m、約9mm、約10mm、約11mm、又はそれらの間の任意の長さの短軸を有する。特定の実施形態では、水平方向に圧縮された多層錠剤は、約20±2mmの長さを有する長軸と、約10±2mmの間の長さを有する短軸とを含む。
【0198】
特定の実施形態では、初期錠剤サイズ(例えば、約19mm×10mmの長軸×短軸)は、嚥下のし易さのために適度に小さく、一旦嚥下されると、錠剤は、コア内で二酸化炭素(CO)を急速に発生し、浮力を高めるするように設計されている。特定の実施形態では、錠剤は、擬似胃内媒体と接触してから30分以内に、浮遊し始め、長軸と短軸がそれぞれ約26mm及び18mmの長さを有する長方形に変形し、これが12時間超維持される。剤形が一定サイズに達すると、プッシュプルシステムが活性になり、薬物が一定速度で約8~14時間放出される。
【0199】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、胃内流体又は胃内状態を模した媒体に接触すると、約30~60分以内に、ヒトの幽門括約筋の通過を妨げるサイズまで膨張し、約60分未満、例えば、約45分未満、約40分未満、約40分未満、約35分未満、約30分未満、約29分未満、約28分未満、約27分未満、約26分未満、約25分未満、約24分未満、約23分未満、約22分未満、約21分未満、約20分未満、約19分未満、約18分未満、約17分未満、約16分未満、約15分未満、約14分未満、約13分未満、約12分未満、約11分未満、約10分未満、又は約9分未満の浮遊ラグタイムを示す。特定の実施形態では、錠剤の形状及びサイズ、例えば、長さ約20±2mmを有する長軸と長さ約10±2mmを有する短軸とを含む楕円形状の水平に圧縮された錠剤は、胃内流体中での錠剤の体積増加が僅か50%でその幽門括約筋の通過を妨げる。
【0200】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、15N以上の破断強度を示す。
【0201】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、約5kp~約20kpの硬度を示す。特定の実施形態では、二層錠剤コアの硬度は、約5kp、約6kp、約7kp、約8kp、約9kp、約10kp、約11kp、約12kp、約13kp、約14kp、約15kp、約16kp、約17kp、約18kp、約19kp、約20kp、又はそれらの間の任意の値である。
【0202】
特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、1日1回又は2回の投与に適している。特定の実施形態では、本開示の胃内滞留組成物は、摂食及び絶食条件下で、約8~14時間、CD及びLDの持続放出を提供する。
【0203】
特定の実施形態では、本開示は、約54mgのCD及び200mgのLD、60mgのCD及び約240mgのLD;約65mgのCD及び240mgのLD、約70mgのCD及び約280mgのLD、又は約80mgのCD及び約320mgのLD、約86mgのCD及び約320mgのLD、約103mgのCD及び約380mgのLD、約87mgのCD及び約320mgのLD、約100mgのCD及び約370mgのLD、並びに約78mgのCD及び約290mgのLDを含む医薬胃内滞留組成物を、それを必要とする対象に1日1回又は2回投与することを含む投薬レジメンを提供する。
【0204】
前記のように、特定の実施形態では、多層錠剤コアは、酸性環境、例えば胃内流体中でCOを発生するガス発生剤、例えば、炭酸塩及び重炭酸塩を含む。特定の実施形態では、多層錠剤コアは、例えば、胃のpHとは無関係に、水性環境における炭酸塩/重炭酸塩と反応して、COガスを発生させる有機酸及び/又は無機酸を更に含む。特定の実施形態では、膜は、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、及び塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート(1:2:0.2)の高透過性コポリマー、並びに少なくとも1つの可塑剤の存在により、高い弾性/柔軟性を有し、生成されたCOガスから膜に対する外向きの圧力で急速に膨張する。特定の実施形態では、多層錠剤コアの膨潤速度は、膜の膨張速度と同期しており、その結果、多層錠剤コアは、膨張する膜と共に膨張する。特定の実施形態では、錠剤コアは、膨潤したコアのプル層が膨張した膜のオリフィスに面し、オリフィスを通して薬物放出を提供するような速度で膨潤する。特定の実施形態では、膜膨張は、剤形の初期の急速な膨張/膨潤を司り、膜内の膨潤性多層錠剤コアは、膨張した膜を支持する。
【0205】
特定の実施形態では、膨張した剤形は、溶解媒体との接触時間に基づいて、約16時間以内、約14時間、約12時間、又はそれらの間の値で約200%以下の体積増加まで崩壊する。特定の実施形態では、拡張した剤形は、溶解媒体との接触時間に基づいて、約16時間以内、約14時間、約12時間、又はそれらの間の値で約150%以下の体積増加まで崩壊する。特定の実施形態では、剤形は、錠剤コアからの薬物及び賦形剤の放出、並びに膜を通って周囲環境にCOを流出するために圧搾することができる。
【0206】
特定の実施形態では、多層錠剤コアは、膨張した透過性弾性膜を支持することができるサイズまで膨潤する。特定の実施形態では、オリフィスを含む透過性弾性膜は、多層錠剤コアを長期間に亘って膨潤状態で無傷に保ち、用量は、長期間、例えば、8~14時間に亘って薬物の持続放出を提供する。
【0207】
特定の実施形態では、COの生成速度及び膜の膨張速度は、膜透過性の増加と共に上昇する。特定の実施形態では、膜の膨張は、錠剤コアの膨潤よりも速い。錠剤コアの膜膨張膨潤におけるかかる時間差は、生成されたCOを収容するための、錠剤コアと膜との間に空の空間を生成し、これは剤形を膨潤状態に長期間保ち、その胃内滞留時間を延長する。
【0208】
特定の実施形態では、剤形は、25dpmでBioDisレシプロシリンダ法を使用して測定された、約250mlのpH4.5の酢酸緩衝液中で、少なくとも約12時間の、CD及びLDの持続放出を提供する。
【0209】
特定の実施形態では、剤形は、100rpmでカスタムバスケット法を使用して測定された、900mlのpH4.5の酢酸緩衝液中で、少なくとも約12時間の、CD及びLDの持続放出を提供する。
【0210】
特定の実施形態では、剤形は、15rpmで回転ボトル法を使用して測定された、200mlのpH4.5の酢酸緩衝液中で、少なくとも約12時間の、CD及びLDの持続放出を提供する。
【0211】
本開示の胃内滞留組成物は、バイオアベイラビリティを失うことなく、持続放出プロファイル、又は即時放出プロファイルと持続放出プロファイルの組合せで、CD及びLDを好都合に放出することができる。胃内滞留は、主に膨潤と浮遊メカニズムに依存するので、膨潤挙動を、重量分析による膨潤(水分摂取)と体積分析による膨潤(サイズの増加)の観点から評価した。図3、16、18、19、及び21は、試験配合物の膨潤速度(体積分析)を示す。図14、15、17、及び20は、試験配合物の重量分析による膨潤を示す。重炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カルシウムと酸及び/又はSGFとの反応によって生成された、その場で発生した二酸化炭素の捕捉として、浮遊ラグタイムも測定した(図2)。更に、かかる力の影響のより高い識別を提供する剪断力に耐える錠剤の能力の複数の試験も利用した。即ち、100rpmでのカスタムバスケット法(図4)、15rpmでの回転ボトル法(図5)、及び25dpmでのBioDisレシプロシリンダ法(図6及び7)。最後に、溶解試験を、食物の存在下及び非存在下での消化管条件を模倣する溶解媒体で行った。例えば、pH4.5の酢酸緩衝液;約10mMのNaClを含む約0.001NのHCl;150mMのNaClを含む0.01NのHCl;又は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸水素カリウム、塩化カルシウム、クエン酸、及び糖を含む水性媒体を含むライトミール媒体において溶解試験を行った。これらの性質を測定するための試験手順を、以下の実施例に記載する。
【実施例
【0212】
7.実施例
本開示の詳細な説明は、以下の実施例によって更に記載されるが、これらは例示に過ぎず、開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例の変形例及び等価物は、本明細書における本開示、図面、及び特許請求の範囲に照らして当業者に明らかである。
【0213】
実施例1:持続放出CD/LD錠の調製
本実施例は、表1~3に概説されるような持続放出CD/LD錠剤の様々な製剤を提供する。14種類の錠剤を調製した。
表1:CD/LD錠剤の処方
【表1-1】
【表1-2】
表2:CD/LD錠剤の処方
【表2-1】
【表2-2】
表3:CD/LD錠剤の処方
【表3-1】
【表3-2】
表4:CD/LD錠剤の処方
【表4-1】
【表4-2】
【0214】
錠剤1~4及び12は、100mgの重炭酸ナトリウムと25mgの炭酸カルシウムとを含み、錠剤5~11、13、14、及び16~20は、50mgの重炭酸ナトリウムと75mgの炭酸カルシウムとを含み、錠剤15は、50mgの重炭酸ナトリウムと138.5mgの炭酸カルシウムとを含んだ。錠剤1~4、及び12は、50mgのコハク酸を含み、錠剤5、6、11、及び13~20は、125mgのコハク酸を含み、錠剤7及び8は、75mgのコハク酸を含み、錠剤9及び10は、100mgのコハク酸を含んだ。錠剤12、15、及び17~20は、IR薬物層を更に含んだ。IR薬物層は、以下の量でCDとLDとを含んだ。即ち、錠剤12は、17.55mgのCDと65mgのLDとを含み、錠剤15と17~20は、13.5mgのCDと50mgのLDと含んだ。錠剤17~20は、機能性コートとIR薬物層との間にシールコート-2を含んだ。
【0215】
各錠剤は、以下の一般的な手順にしたがって製造した。
【0216】
製造手順:
A.プル層ブレンド:
LD、CD、約200KDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー(POLYOX(登録商標)N80)、約7MDaの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー(POLYOX(登録商標)N303)、コハク酸、ヒドロキシプロピルセルロース、及びα-トコフェロールを乾燥、粉砕し、エタノール200プルーフ又はイソプロピルアルコールを使用してCD/LD共顆粒に湿式造粒し;CD/LD共顆粒を、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil(登録商標))、マグネシウムステアレート、及び任意にマンニトール(PARTECK(登録商標)M200)とブレンドして、均一なプル層ブレンドを得た。
B.プッシュ層ブレンド:
POLYOX(登録商標)N60、塩化ナトリウム、レッドピグメントブレンド/オキシドピグメントブラック、及びマグネシウムステアレートをブレンドして、均一なプッシュ層ブレンドを得た。
C.二層錠剤コア:
工程Aで得たプル層ブレンド及び工程Bで得たプッシュ層ブレンドを、適切な錠剤プレスを使用して、二層錠剤コア状に水平にプレスした。
D.シールコート-1及び機能性コート:
工程Cで得た二層錠剤コアを、有孔パンコータ(perforated pan coater)を使用して、OPADRY(登録商標)II,クリアを含むシールコート-1でコーティングし;トリエチルシトレート、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、及びタルクを含む機能性コートを、シールコート-1の上にコーティングした。
E.レーザー穴開け:
工程Dから、プル層と流体連通するレーザー穴を、シールコート-1と機能性コートに開けた。
F.シールコート-2及びOPADRY(登録商標)EZクリア
工程Eで得たレーザー穴開き二層錠剤を、有孔パンコータを使用して、OPADRY(登録商標)II,クリア(錠剤16~20)を含むシールコート-2又はOPADRY(登録商標)EZ,クリア(錠剤11、13、及び14)を含む最終コートでコーティングした。
G.IR薬物層:
工程Fで得た二層錠剤を、有孔パンコータを使用して、CD、LD、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、dl-α-トコフェロール、及びコハク酸を含むIR薬物層でコーティングした。
H.オーバーコート/化粧コート及び最終コート:
工程Eで得たレーザー穴開き錠剤を、OPADRY(登録商標)II,ピンク/グリーン/ブルーを含む化粧コートで更にコーティングし;任意に、OPADRY(登録商標)EZ,クリアを含む最終コートでコーティングした。工程GのIR薬物層を有する錠剤を、OPADRY(登録商標)II,ピンク/グリーン/ブルーを含む化粧コートで更にコーティングした。コーティングはいずれも、有孔パンコータを使用して行った。
【0217】
実施例2:体積分析による膨潤の測定
錠剤の体積は、体積分析による膨張を計算するために決定した。体積を計算するために、膨潤した錠剤を、一定体積の溶解媒体で満たしたメスシリンダに入れ、溶解媒体レベルの上昇を14時間に亘って記録した。体積分析による膨張率は、次の式を使用して計算した。
【数1】
は、膨潤した錠剤の体積(特定時点)であり、Vは、乾燥した錠剤の体積(初期)である。
【0218】
図3は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約200mlのpH4.5酢酸緩衝液を含む溶解媒体中での錠剤1と錠剤2の体積膨潤を比較する。錠剤2は、錠剤1(未コーティング錠剤コアの約12重量%)より大きい機能性コートのコーティング重量増加(未コーティング錠剤コアの約15重量%)を含んだ。図3は、20時間に亘る、溶解媒体との接触時の初期体積から測定された、錠剤1及び2の体積増加を示す。同図は、各錠剤が1時間未満、例えば約45分で、約100%の体積増加で膨潤したことを示す。
【0219】
図9は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸塩、クエン酸、及び糖を含む水性媒体約200mlを含むライトミール媒体中での錠剤5(約240mgのLD)と錠剤6(約320mgのLD)の体積膨潤を比較する。図9は、8時間に亘る錠剤5と錠剤6の体積増加を示す。同図は、錠剤5及び錠剤6が、約3時間で約100%の体積増加で膨潤したことを示す。
【0220】
図16は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体における錠剤5及び錠剤6の、溶解媒体との接触時の初期体積から測定された体積膨潤を比較する。錠剤5及び錠剤6は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図16は、22時間に亘る錠剤5及び錠剤6の体積増加を示す。図16は、錠剤5及び錠剤6が1時間未満で約100%の体積増加;約2時間で約200%の体積増加で膨潤し;約22時間、約200%の体積増加を維持し;最終的に、約22時間で約100%の体積増加まで崩壊/圧搾したことを示す。
【0221】
図18は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中における錠剤13及び錠剤14の、溶解媒体との接触時の初期体積から測定された体積膨潤を比較する。錠剤13は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤14は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約200mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図18は、22時間に亘る錠剤3及び錠剤14の体積増加を示す。図18は、錠剤13が、1時間未満で約100%の体積増加、約2時間で約200%の体積増加で膨潤し;約18時間、約200%の体積増加で維持し;最終的に、約22時間で約150%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。同様に、錠剤14が、約1時間未満で約100%の体積増加、約2時間で約400%の体積増加、約4時間~約18時間で約200%の体積増加で膨潤し、約22時間で約150%の体積増加まで崩壊/圧搾したことを示す。
【0222】
図19は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中における錠剤17及び錠剤18の、溶解媒体との接触時の初期体積に関して測定された体積膨潤を比較する。錠剤17及び錠剤18は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図19は、22時間に亘る錠剤17及び錠剤18の体積増加を示す。図19は、錠剤17及び錠剤18が、約30分で少なくとも約100%の体積増加、約1時間で約200%の体積増加、約2時間~約14時間で少なくとも300%の体積増加で膨張したことを示し;最終的に、約14時間~約22時間で約250%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。
【0223】
図21は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中における錠剤19及び錠剤20の、溶解媒体との接触時の初期体積に関して測定された体積膨潤を比較する。錠剤19及び錠剤20は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図21は、22時間に亘る錠剤19及び錠剤20の体積増加を示す。図21は、錠剤19及び錠剤20が、約1時間で少なくとも約100%の体積増加、約4時間で少なくとも約200%の体積増加、約14時間で少なくとも250%の体積増加で膨張し;最終的に、約22時間で約100%の体積増加まで崩壊/圧搾することを示す。
【0224】
実施例3:浮遊ラグタイムの測定
錠剤が胃内媒体中に浮遊するのに必要な時間は、胃内滞留の重要な尺度である。これは、迅速な浮遊への移行は、剤形が胃内から偶発的に失われる(喪失する)可能性を低くするからである。実施例1で得た最終コーティングされた錠剤(錠剤1及び錠剤2)を、約25dpmで、USP溶解装置III-BioDis中の約250mLのpH4.5酢酸緩衝液に入れた。錠剤が媒体の表面に浮き始めるまで注意深く観察した。経過時間を、浮遊ラグタイムとして記録及び報告した。
【0225】
図2は、USP溶解装置III-BioDisレシプロシリンダを使用して、約25dpm及び約37℃で、約250mlのpH4.5酢酸緩衝液中の錠剤1と錠剤2の浮遊ラグタイムを比較する。錠剤2は、錠剤1(未コーティング錠剤のコア重量の約12重量%)よりも、機能性コートの高いコーティング重量増加(未コーティング錠剤のコア重量の約15重量%)を含んだ。図2は、溶解媒体との接触時から測定された、各錠剤が約12分以内の浮遊ラグタイムであったことを示す。
【0226】
錠剤5及び錠剤6の浮遊ラグタイムを、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体約200ml中で決定した。錠剤5及び錠剤6は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤5及び錠剤6は、溶解媒体との接触時から20分未満の浮遊ラグタイムであった。溶解媒体との接触時から測定して、錠剤5は、約12分の浮遊ラグタイムであり、錠剤6は、約17分の浮遊ラグタイムであった。
【0227】
錠剤13及び錠剤14の浮遊ラグタイムを、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体約200ml中で決定した。錠剤13は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤14は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約200mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤13及び錠剤14は、25分未満の浮遊ラグタイムであった。錠剤13は、溶解媒体との接触時から測定して、約20分の浮遊ラグタイムであった。錠剤14は、溶解媒体との接触時から測定して、約25分の浮遊ラグタイムであった。
【0228】
錠剤19及び錠剤20の浮遊ラグタイムを、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体約200ml中で決定した。錠剤19及び錠剤20は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤19及び錠剤20は、45分未満の浮遊ラグタイムであった。溶解媒体との接触時から測定して、錠剤19は、約37分の浮遊ラグタイムであり、錠剤20は、約16分の浮遊ラグタイムであった。
【0229】
実施例4:溶解プロファイルの測定
剤形からの薬物の溶解は、薬物の制御、延長された送達を達成するための重要な尺度である。溶解試験を、pH、緩衝液、及びせん断力に関する、様々な生理学的及び流体力学的条件の影響を評価する各種条件を使用して行った。米国薬局方(USP)が、開発及び品質管理の目的で医薬品のインビトロ性能を測定する標準化された溶解装置を定めている。これらの標準的な手順は、インビボ吸収の代わりとしてインビトロ溶解度を使用する。錠剤の浮遊性のため、バスケットをサンプルホルダーとして使用するUSP溶解装置Iを使用して、これらの錠剤からの薬物の放出を時間の関数として評価した。更に、絶食状態と摂食状態での剪断条件の影響を模倣するために、回転ボトル溶解法とUSP溶解装置III-BioDisレシプロシリンダ法を使用した溶解試験も行った。この目的で使用される様々な溶解方法を、以下に記載する。
【0230】
USP溶解装置I(カスタムバスケット):
カスタムサイズのバスケットを備えたDistek自動溶解装置を使用した。溶解試験は、摂食条件を模倣するために、約900mLのpH4.5酢酸緩衝液中で行った。約100rpmの回転速度を使用した。薬物放出を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定した。CD及びLDを含む溶解媒体(5ml)のサンプルを、2、4、6、8、10、12、及び14時間の指定された時間間隔で取り出し、LD含量をHPLCで測定した。図4は、USP溶解装置I-カスタムバスケットを使用して、約100rpmで、約900mlのpH4.5酢酸緩衝液中での錠剤1及び錠剤2のLDの溶解プロファイルを比較する。同図は、錠剤1及び錠剤2が、溶解媒体との接触時から約2時間で、個体の摂食状態を模倣する溶解媒体において、LDの約10%の溶解をもたらしたことを示す。
【0231】
回転ボトル法:
回転ボトル法を使用して、胃内の高剪断状態を模倣した。錠剤1及び錠剤2を、約10gのガラスビーズ(3mm)を含むガラスボトル中の溶解媒体約200mlに入れた。ボトルを、約37℃に維持した恒温水浴内に配された装置の回転アームに固定した。ボトルを約15rpm又は約30rpmの速度で回転させて、摂食状態の胃内の様々な剪断条件の影響を模倣した。CD及びLDを含む溶解媒体(約5~10ml)のサンプルを、2、4、6、8、及び14時間の指定された時間間隔で取り出し、HPLCを使用してLD含量を測定した。図5は、約200mlのpH4.5酢酸緩衝液中、約15rpmで、回転ボトル法を使用した錠剤1と錠剤2のLDの溶解プロファイルを比較する。同図は、錠剤1及び錠剤2が、溶解媒体との接触時から約2時間で、個体の摂食状態を模倣する溶解媒体において、LDの約10%の溶解をもたらしたことを示す。
【0232】
USP III(BioDisレシプロシリンダ法):
回転ボトル法の流体力学を、剤形を異なる溶解媒体及び攪拌速度に曝露するための設備と関連付けるレシプロシリンダ法を使用して、胃内の高剪断条件を模倣した。投与単位を、スクリーンを含むプラスチックキャップで両端が閉じられたガラス管からなる内部シリンダに挿入した。内部シリンダを、溶解容器/外部シリンダ内で浸漬及び上昇運動(往復運動)を行う金属製の棒に接続した。アッセイ中に溶解媒体の体積が変化しないようにするために、蒸発防止システムを容器上に配した。図6は、USP III-BioDisレシプロシリンダを使用して、約5dpm及び約37℃での約250mlのpH4.5酢酸緩衝液中の錠剤1と錠剤2からのLDの溶解プロファイルを比較する。CD及びLDを含む溶解媒体のサンプルを2、4、6、8、及び14時間の指定された時間間隔で取り出し、HPLCを使用して薬物濃度を測定した。錠剤2は、錠剤1(未コーティング錠剤コアの約12重量%)より大きい機能性コートのコーティング重量増加(未コーティング錠剤コアの約15重量%)を含んだ。同図は、錠剤1及び錠剤2が、溶解媒体との接触時から約120分未満で、個体の摂食状態を模倣する溶解媒体において、LDの約10%の溶解をもたらしたことを示す。
【0233】
図7は、12時間の胃内状態、例えば、摂食状態、絶食状態、それに続く摂食状態(各状態で4時間ずつ)を模倣するUSP溶解装置III-BioDisを使用した、錠剤1及び錠剤2からのLDの周期的溶解プロファイルを示す。図7は、錠剤1及び錠剤2からのLDの周期的溶解プロファイルを示し、初期溶解は、250mlのpH4.5酢酸緩衝液中で、それに続いて250mlの0.01NのHCl中での溶解、最後に、250mlのpH4.5酢酸緩衝液中で溶解させる(各溶解期間約4時間)。錠剤2は、錠剤1(未コーティング錠剤コアの約12重量%)より大きい機能性コートのコーティング重量増加(未コーティング錠剤コアの約15重量%)を含んだ。
【0234】
実施例5:約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む溶解媒体における溶解プロファイルの測定
以下の溶解試験は、約0.001のNHCLと約10mMのNaClとを含む溶解媒体を使用して行た。図8は、USP I-カスタムバスケットを使用して、約100rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを含む約900mlの溶解媒体中での錠剤5(240mgのLD)と錠剤6(320mgのLD)とのLDの溶解プロファイルを比較する。CD及びLDを含む溶解媒体サンプルを、1、2、4、6、8、10、12、16、及び20時間の指定された時間間隔で取り出し、HPLCを使用してLD濃度を測定した。図8は、錠剤5及び錠剤6が、溶解媒体との接触時から約120分でLDの少なくとも約40%の溶解をもたらしたことを示す。
【0235】
実施例6:約0.01NのHCl及び約150mMのNaClを含む溶解媒体における溶解プロファイルの測定
以下の溶解試験は、0.01NのHCLと約150mMのNaClとを含む溶解媒体を使用して行った。図13は、USP I-カスタムバスケットを使用して、約100rpm及び約37℃で、0.01NのHClと150mMのNaClとを含む溶解媒体900ml中での、錠剤13(320mgのLD及び150mgの機能コート重量増加)及び錠剤14(320mgのLD及び200mgの機能コート重量増加)からのLDの溶解プロファイルを比較する。CD及びLDを含む溶解媒体のサンプルを、2、3、4、5、6、8、12、16、20、及び24時間の指定された時間間隔で取り出し、HPLCを使用してLD濃度を測定した。図13は、溶解媒体との接触時から、錠剤13は、約4時間でLDの約35%の溶解をもたらし、錠剤14は、約4時間でLDの約17%の溶解をもたらしたことを示す。
【0236】
実施例7:本開示の組成物の重量膨潤:
溶解媒体との接触時から測定される重量増加%を計算するために、錠剤の重量を決定した。錠剤の重量は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体に錠剤を入れる前後で決定した。
【0237】
図14は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中の錠剤13及び錠剤14の、溶解媒体との接触時の形態からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。図14は、錠剤13が、約8時間で約127%重量増加し、錠剤14が、約8時間で約153%重量増加したことを示す。
【0238】
図15は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中での錠剤5及び錠剤6の、溶解媒体との接触時の形態からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。錠剤5は、約240mgのLD、約64.80mgのCD、及び約51.50mgのPARTECK(登録商標)M200を含んだ。錠剤6は、約320mgのLD、約86.40mgのCDを含み、PARTECK(登録商標)M200は含まなかった。錠剤5及び錠剤6は、等規定量のコハク酸及びガス発生剤(重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウム)を含み、機能性コートに約150mgのコーティング重量増加を含んだ。図15は、錠剤5が、約8時間で約125%重量増加し、錠剤6が、約8時間で約112%重量増加したことを示す。
【0239】
図17は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中における錠剤13及び錠剤14の、溶解媒体との接触時からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。錠剤13は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約150mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。錠剤14は、機能性コーティング前の錠剤の総重量に基づいて、約200mgの機能性コーティング重量増加を含んだ。図17は、錠剤13が、約8時間で約127%重量増加し、約14時間で約161%重量増加し、約18時間で約108%重量増加し、約22時間で約93%重量増加し;錠剤14が、約8時間で約153%重量増加し、約14時間で約118%重量増加し、約18時間で約85%重量増加し、約22時間で約72%重量増加したことを示す。
【0240】
図20は、回転ボトル法を使用して、約15rpm及び約37℃で、約0.001NのHClと約10mMのNaClとを約200ml含む溶解媒体中での錠剤19及び錠剤20の、溶解媒体との接触時からの重量増加%として測定される重量膨張を比較する。錠剤19は、約86.4mgのCDと約320mgのLDとを含み、錠剤20は、約64.8mgのCDと約240mgのLDとを含んだ。図20は、錠剤20が、6時間で約114%重量増加し、約22時間で68%重量増加し;錠剤19が、約6時間で約95%重量増加し、約22時間で68%の重量増加したことを示す。
【0241】
実施例8:錠剤1及び錠剤2のCD及びLDの経口バイオアベイラビリティ
単回投与薬物動態(PK)試験は、錠剤1及び錠剤2を使用して、本開示の経口性、浸透圧性、制御放出性、浮遊性胃内滞留剤形のPK性能を評価するために、摂食条件下にて健常ボランティアで行った。非盲検、単回投与、クロスオーバー比較バイオアベイラビリティ試験(open-label,single dose,cross-over comparative bioavailability study)を、高脂肪、高カロリーの朝食条件下で、24名の正常で健常な成人ヒト対象で行った。
【0242】
図10は、LDの平均(n=24)血漿濃度曲線を示す。錠剤1及び錠剤2を投与された24名のボランティア全員で、約9時間、LDの治療濃度(約300ng/ml~約500ng/ml)を与える持続放出が観察された。CD及びLDの薬物動態パラメータを、それぞれ、表4と表5にまとめる。
表4:CDの薬物動態
【表4】
表5:LDの薬物動態
【表5】
【0243】
この試験で得られたデータ(表4及び表5/図10)は、本開示の経口性、浸透圧性、制御放出性、浮遊性胃内滞留組成物(錠剤1及び錠剤2)が、約12時間の薬物の持続放出をもたらしたこと、1日1回又は2回の投与に適していることを示した。錠剤1及び錠剤2は、1日2回の投与及び12時間を超える持続放出プロファイルに基づくと、ベースラインからの「オフ」タイムの割合を低減し、「オン」タイムの割合を増加させて、覚醒時の煩わしいジスキネジアを伴わないという点で、非胃内滞留製剤より優れている。
【0244】
実施例9:錠剤5及び錠剤6のCD及びLDの経口バイオアベイラビリティ
単回投与薬物動態(PK)試験は、錠剤5及び錠剤6を使用して、本開示の経口性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留剤形のPK性能を評価するために、摂食条件下にて健常ボランティアで行った。非盲検、非無作為化、単回投与、2処置、ワン-ウェイクロスオーバー比較バイオアベイラビリティ試験(open-label,nonrandomized,single-dose,two-treatment,one-way crossover,comparative bioavailability study)を、高脂肪、高カロリーの朝食条件下で、24名の正常で健常な成人ヒト対象で行った。
【0245】
CD及びLDの薬物動態パラメータを、それぞれ、表6と表7にまとめる。
表6:CDの薬物動態
【表6】
表7:CDの薬物動態
【表7】
【0246】
この試験で得られたデータ(表6及び表7/図11)は、本開示の自己制御性、浸透圧性、浮遊性胃内滞留組成物(錠剤5及び錠剤6)が、錠剤1及び錠剤2と比較して、約30%高いバイオアベイラビリティをもたらしたことを示す。図11は、LDの平均(n=24)血漿濃度曲線を与えた。図11は、錠剤5及び錠剤6が、それぞれ約7時間と約10時間、少なくとも約400ng/mlのLDの持続放出をもたらしたことを示す。図11は、更に、240mgと320mgの錠剤強度間の用量比例性を示す。
【0247】
実施例10:胃内滞留剤形の自己制御を示すMRI試験
Siemens Magnetom Symphony 1.5 Teslaシステムを使用して、錠剤5(CD/LD-60mg/240mg持続放出性錠剤(MRI造影剤として黒色酸化鉄を含む))の非盲検、単一処置、単一期間、磁気共鳴イメージング(MRI)試験(open label,single-treatment,single period,Magnetic Resonance Imaging (MRI) study)を行った。この試験は、摂食条件下にて健常な成人対象で行った。対象の胃と腸の腹部MRIスキャンを実施して、投与後8、10、12、16、及び24時間(±30分)の対象における錠剤の挙動を確認した。錠剤は、黒色酸化鉄の存在により、胃内に黒い斑点/穴として観察できた。図12は、剤形を服用している対象のうちの1名の胃と腸の投与後MRIスキャンを示す。図12は、24時間で黒い斑点が胃全体に広がったことを示し、これは、投与後16時間~24時間の間のある時点で錠剤が崩壊したことを示している。
【0248】
本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって、その範囲が限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載されているものに加えて、本開示の様々な修正が、前述の記載から当業者に明らかである。更に、本開示の範囲は、本明細書に記載されているプロセス、機械、製造者、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者が本開示の主題から容易に理解するように、現存する又は後に開発される、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同一の機能を果たす又は実質的に同一の結果を達成するプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又は工程を、本開示の主題にしたがって用いることができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、かかるプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又は工程を含むことが意図される。
【0249】
特許、特許出願、刊行物、製品説明書、及びプロトコルは、本願全体で引用されるが、それらの開示内容全体を、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】