(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(54)【発明の名称】燃料電池で動かされる車両のための水を提供する水タンクシステム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220823BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20220823BHJP
B60L 58/30 20190101ALI20220823BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20220823BHJP
H01M 8/04291 20160101ALI20220823BHJP
B04C 5/20 20060101ALI20220823BHJP
B01D 45/12 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01M8/04 N
B60L50/70
B60L58/30
H01M8/04119
H01M8/04291
B04C5/20
B01D45/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576784
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2020065812
(87)【国際公開番号】W WO2021004714
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102019209932.7
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マリノ,ミヒャエル ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ファング,ラルフ レオナルド
【テーマコード(参考)】
4D031
4D053
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
4D031AC04
4D031BB04
4D031EA01
4D053AA01
4D053AB02
4D053BA01
4D053BB02
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4D053CF01
4D053DA10
5H125AA01
5H125AC07
5H125BD07
5H125BD12
5H125BD14
5H125FF09
5H127AB04
5H127AC03
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB18
5H127BB34
5H127DB86
5H127DC87
5H127EE23
5H127FF10
(57)【要約】
【課題】 本発明は、燃料電池で動かされる車両のための水タンクシステム(100)に関する。
【解決手段】 水タンクシステムは、燃料電池スタックからの水蒸気を収容するための供給管(106)と、分離水を外へ出すための導出管(110)とを有する、水蒸気から水を分離するように設定された水分離器(104)を備えている。水タンクシステム(100)は、水分離器(104)からの水を貯蔵するように設定された水タンク(102)と、水タンク(102)に分離水を充填するように設定されていて、水分離器(104)の前記導出管と接続された充填開口(110)と、水タンク(102)からの水を取り出すための取出し装置(108)と、をさらに有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池で動かされる車両のための水タンクシステム(100)であって、
燃料電池スタックからの水蒸気を収容するための供給管(106)と、分離水を外へ出すための導出管(110)とを有する、水蒸気から水を分離するように設定された水分離器(104)と、
前記水分離器(104)からの水を貯蔵するように設定された水タンク(102)であって、前記水タンク(102)に分離水を充填するための、前記水分離器(104)の前記導出管と接続された充填開口(110)を有する水タンクと、を備える水タンクシステム。
【請求項2】
前記水分離器(104)は、前記供給管(106)を含めて少なくとも部分的に前記水タンク(102)に組み込まれている、請求項1に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項3】
前記水分離器(104)は、前記水分離器(104)から出る残りの水蒸気を収容する、およびその中に含まれる水を凝結させる、および前記凝結水を放出するように設定されている凝縮器に連結されている、請求項1または2に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項4】
前記水タンクシステム(100)は、さらに、前記水タンク(102)および/または前記凝縮器(302)からの水を、水を利用するために水を提供するべくアクチュエータに供給するように設定されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項5】
機器支持体(310)をさらに有し、前記機器支持体に前記アクチュエータ(312、314)が組み付けられ、前記機器支持体がセンサ、および/または前記水を前記水タンク(102)から圧力管(112)に送るためのポンプ(314)をさらに有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項6】
前記機器支持体(310)が前記水タンク(102)に溶接固定されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項7】
水タンクシステム(100)が、前記水タンク(102)内へ、または前記ポンプ(314)へ戻る前記ポンプ(314)のリターンフローを提供するように設定されている、ポンプ・リターンフローアセンブリを有する取出し装置(108)をさらに備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項8】
前記ポンプ(314)は、オーバーフローデバイスを有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項9】
1つのセンサまたは複数のセンサのセンサデータを検出するための、および水タンクシステム(100)における前記センサデータにもとづいて1つのアクチュエータまたは複数のアクチュエータ(312、314)を制御するための制御機器(320)をさらに有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)。
【請求項10】
車両(500)であって、請求項1から9までのいずれか1項に記載の水タンクシステム(100)を有する、車両。
【請求項11】
燃料電池(502)で動かされる車両(400)のための水タンクシステム(100)によって水を提供する方法(400)であって、
凝結水を生成するために、前記燃料電池(502)の燃料電池反応からの水蒸気を、供給管を介して水分離器(104)に供給するステップ(402)と、
水タンク(102)内に凝結水を収集するステップ(404)と、
利用するために前記凝結水を提供するべく前記水タンク(102)から前記凝結水を送出するステップ(406)と、を包含する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池で動かされる車両のための水を提供する水タンクシステム、このような水タンクシステムを有する車両、およびこのような水タンクシステムにより水を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池では、電解質によってアノードの水素原子から電子が分離される。電子が導体によってカソードへ導かれるのに対して、水素イオンは、電解質を通ってカソード側へ移動し、そこで水素イオンが電子および酸素原子と結合し、それにより水分子が生じる。この場合、液体物質または固体物質からなり得る異なった電解質を用いることができる。このプロセスで熱が放出される。その際、使用される電解質によって動作温度が決まる。例えば、動作温度は、苛性カリ溶液AFCでは80°であり、高分子膜PEMFCでは70~90°であり、固体膜DMFCでは80~130°である。プロセスで生じる水または水蒸気は高純度であり、通常、利用されることなく外へ放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、燃料電池(Brennstoffstelle)で生じる水を利用するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、独立請求項の主題により解決される。有利な実施形態は、従属請求項、以下の記載、および図の主題である。
【0005】
一態様によれば、燃料電池で動かされる車両のための水タンクシステムが提供される。水タンクシステムは、水分離器、例えばサイクロンまたはサイクロン分離器と、水タンクとを有する。水分離器は、水蒸気から水を分離するように設定され、かつ燃料電池スタックからの水蒸気を収容するための供給管と、分離水を外へ出すための導出管とを有する。水タンクは、水分離器からの水を貯蔵するように設定され、このために水分離器の導出管と接続された、タンクに分離水を充填するための充填開口と、水タンクから水を取り出すための取出し装置とを有する。水蒸気および水のための供給管および導出管はプラスチックからなることが有利である。
【0006】
水分離器は、例えば金属格子からなることができ、この金属格子の熱導出性(Waermeableitfaehigkeit)にもとづいて、水蒸気に含まれる水がこの金属格子に凝結する。一般に、水分離器は、水を凝結させるアセンブリである。このようなアセンブリの一形式は、例えばサイクロンである。したがって本明細書中でサイクロンまたはサイクロン分離器とは、外壁に沿って横から流れ込む空気がらせん状に、例えば下に向かって回転し、次いで、らせん内で上に向かって導出されるように、例えば漏斗形、円錐形、または円筒形に成形された容器から実質的になる水分離器と解される。外壁が冷却されると、それと同様に冷却された内壁の表面に水蒸気の水が大面積で凝結することができ、下方で受け止められるか、または導出され得る。サイクロンの内壁には、さらに、水蒸気の滴形成および凝結のための格子を取り付けることができる。
【0007】
取出し装置は、能動コンポーネントおよび/または受動コンポーネントを有することができる。最も簡単な事例では、水タンクはオーバーフロー管のみを有する。しかし所望の使用を実現するためには、後から説明するように、例えばポンプなどの能動コンポーネントが必要である。
【0008】
したがって、第1態様では、水蒸気に含まれる水は、周囲環境に直接放出されるのではなく、まず水タンクに収集され、それにより様々な用途に利用するために使用できるようになる。例えば空気を燃料電池スタックに供給する場合に水の吹き付けによって空気圧縮を最適化すること、および水の吹き付けによるカソードエアまたはアノードパスをフレキシブルに加湿することがこれに属する。
【0009】
さらに、車両のコンポーネントの過熱が起こりそうな場合に用いることができる非常用冷却リザーバを提供することができる。しかし一般に、水を計量して部品に提供することにより、余分な水を冷却されるべき部品の気化冷却のために使用することもできる。
【0010】
別の用途は、車両の室内空気の加湿または空調である。これは、例えばタンクから取り出された水が噴霧され、空調設備の空気流に付加されることにより達成される。
【0011】
さらに、水を電気分解のために利用することができる。電解槽と結合することによって、水の純度にもとづいて電気分解に特に良好に適している。この結合は、例えば車両を自宅に停めた後に行うことができる。
【0012】
水は、高純度であるため、飲料水として使用することもできる。この場合、水に任意的にミネラル添加もでき、例えば適切な管路を介して蛇口、例えばホットドリンクまたはコールドドリンクのための活栓または自動装置で車両乗員に提供することもできる。飲料水として使用する他に雑用水として利用することが可能である。例えばバスまたはキャンピングカーなどの、特に比較的大きい乗客輸送車では、トイレの水洗またはシャワーのためにこの水を使用することができる。他の用途は、例えばフロントガラス、ライトその他のウィンドウワイパなどのための水の利用である。これによって、これらの設備の保守間隔が延長される。余分な水を目的に合わせて排出することができる。
【0013】
一実施形態では、水分離器は、供給管を含めて少なくとも部分的に水タンクに組み込まれている。これによってタンクの利用空間が少なくなるが、その一方で、有利にも車両に水タンクシステムを取り付けるために必要なスペースも少なくなる。水分離器のみを水タンクに部分的に組み込むこともでき、供給管は水タンクの外側に取り付けられるが、これは省スペース効果を減じさせる。組み込み、または部分的組み込みにより、水タンクのフレキシブルな形態と相俟って、異なったタイプの車両の様々な空間条件に応じたフレキシブルな取付けが可能である。
【0014】
一実施形態では、水分離器が水分離器から出る残りの水蒸気を収容する、およびその中に含まれる水を凝結させる、および凝結水を放出するように設定されている凝縮器に連結されている。凝縮器に冷却リブが取り付けられてもよく、それにより凝縮器は、リブの熱導出によって、水蒸気または凝結水の温度を低下させ(reduziert wird)、したがって凝縮器は熱交換器としても機能することができる。したがって本明細書中で提案される凝縮器は水分離器と熱交換器の機能を有する。
【0015】
一実施形態では、水分離器により分離され、水タンクに収集された水、および/または凝縮器からの凝結水は、例えば上記の用途のうちの1つに利用するべく提供するようにアクチュエータに供給される。凝縮器からの凝結水を直接使用することができ、例えば冷却に使用するために提供することができるが、この水を水タンクに送って、そこに収集することもできる。
【0016】
一実施形態では、水タンクシステムは、機器支持体をさらに有し、この機器支持体にアクチュエータが組み付けられる。機器支持体は、少なくとも1つのセンサ、および水タンクからの水を圧力管に送るためのポンプをさらに有する。水タンクおよび組込み部品および機器支持体は氷圧耐性であり、それにより、水が凍結したとしても損害は生じ得ない。さらに、低温での氷形成を阻止または解消するために、機器支持体に加熱器を取り付けることができる。少なくとも1つのセンサは、例えば水位を測定するための充填レベルセンサ、水温度を検出するための温度センサ、または水を圧力管へ圧送するための測定および調節システムの構成要素としての圧力センサであり得る。
【0017】
一実施形態では、機器支持体は、水タンク、すなわちタンク嚢(Tankblase)に、例えばプラスチック溶接によって溶接固定(eingeschweisst)もしくは密溶接(dichtgeschweisst)される。これによって、水タンクを機器支持体とともにモジュールとして製造することができる。これは(Die)、フレキシブルな、それぞれの車両/構造空間に適合させたタンク嚢と、標準化された機器支持体とを可能にする。管路はフレキシブルプラスチックからなり得る。したがって、簡単な組付けでコンパクトかつ省スペース的な構造が可能である。
【0018】
一実施形態では、取出し装置が、水タンク内へ、またはポンプへ戻るポンプのリターンフローを提供するように設定されているポンプ・リターンフローアセンブリ(Pumpen-Ruecklaufanordnung)を有する。水のための様々なフィードポンプを使用することができる。水を供給するためのポンプは、オーバーフローバルブ、圧力バルブ、またはオーバープレッシャバルブを装備することができる。実現形態は、例えば制御されたオーバーフローバイパスを有するポンプ、オーバーフローバイパスとしてのスロットルを有するポンプ、または水タンクへのリターンフローを有するオーバーフローバイパスとしてのスロットルを有するポンプである。さらに、制御されたオーバーフローバイパスバルブを有する変形形態も可能であり、リターンフローがタンクに直接導かれる。
【0019】
水タンクシステムにおいて、水を異なった消費体に提供するために、圧力管が分岐を有することができる。分岐の管路は異なった圧力および温度を有することができる。したがって分岐の1つまたは複数に加熱器を組み込むことができる。それぞれの加熱器の制御は、同じか、または異なることができ、それにより用途または消費体に応じて個別の温度が利用可能である。さらに、分岐から消費体への水の提供を計量デバイス、例えば計量バルブを介して行うことができ、それにより水の流量が制限される。
【0020】
したがって、水という同じ媒体の様々に異なるフレキシブルな、かつ必要に応じた利用のための水タンクシステムが提供され、それにより、特に水不足の地域における使用についても責任感をともなう水の取り扱いが可能にされる。周囲環境への生産水の放出が低減される。例えば、赤色信号で冬季に凍結するたまり水が回避される。分離水は、任意の利用のために使用することができる。組み込まれ閉じた系によって、湿気および温度管理による有利な資源利用が可能である。製造の経済性に関しては、標準化可能な機器支持体によって大きい個数、したがってコスト低減を達成することができ、フレキシブルなタンク嚢は、様々な車両および構造空間へのフレキシブルな組み込みを可能にする。
【0021】
別の実施形態では、水タンクシステムは、1つのセンサまたは複数のセンサのセンサデータを検出するための、および水タンクシステムにおけるセンサデータにもとづいて1つのアクチュエータまたは複数のアクチュエータを制御するための制御機器を有する。センサデータは、例えば、水タンク、管路、または場合によっては車両における冷却されるべき部品内の水の温度データであり、これらのデータにもとづいてポンプ、バルブ、または加熱器を制御することができる。充填レベルを考慮に入れることにより、オーバーフローまたは空運転、あるいは、例えば水がないときのポンプのスイッチオンを阻止することができる。制御機器は、例えばFPGA、CPLD、プロセッサ、マイクロプロセッサ、ASIC、または簡単な論理モジュールなどの論理構成素子の形の論理回路、ならびにアナログおよびデジタルの制御スイッチング回路、センサとのインターフェース、およびアクチュエータを有する。制御機器は、アナログ・デジタルおよび/またはデジタル・アナログ変換器、ならびにセンサデータ、特性値、およびプログラム要素を記憶できる、組み込まれた、または外部の記憶セルをさらに有することができる。
【0022】
一実施例ではプログラム要素が提供され、プログラム要素は、上記の水タンクシステムの制御機器で実行される場合に、水タンクシステムに以下のステップを実施させる:
-水タンクに収集される水を分離するために、燃料電池反応からの水蒸気を、供給管を介して水分離器に供給するステップ、
-水タンク内の水位を検知するために、センサデータを検出および処理するステップ、
-検出されたセンサデータおよび/またはユーザ入力にもとづいてアクチュエータを制御するステップ、ならびに
-利用のための水を提供するべく水タンクから水を送出するステップ。
したがって、プログラム要素はセンサデータを評価するための、およびアクチュエータを制御するためのロジックを含む。プログラム要素は、例えば水タンクシステムによって水を特定の温度および量で提供するために、例えばデジタルまたはアナログのボタンの操作に応答するためのユーザインターフェースを有することもできる。
【0023】
一実施例では、例えば上述の組み込まれた、または外部の記憶セルなどのコンピュータ可読媒体が提供され、コンピュータ可読媒体にプログラム要素が記憶されている。
【0024】
第2の態様によれば、上記の水タンクシステムを有する車両が提供される。
【0025】
第3の態様によれば、燃料電池で動かされる車両のための水タンクシステムにより水を提供する方法が提案される。方法は、
-凝結水を生成するために、燃料電池の燃料電池反応からの水蒸気を、供給管を介して、例えばサイクロンなどの水分離器に供給するステップと、
-水タンクに凝結水を収集するステップと、
-利用のために、凝結水を提供するべく水タンクから凝結水を送出するステップと、を包含する。
この手法は、水タンクシステムの説明に従ってさらなるステップを包含することができる。特に水分離器への供給後の残りの水蒸気を、例えば凝縮器などの別の水分離器に供給することができ、それにより残りの水蒸気の水を凝結させることができ、別の導出管を介して、使用のため、または水タンクへの供給のために利用可能である。さらに、水タンクからの凝結水の送出を、特にポンプによって行うことができ、ポンプは、上述の特性、例えばリターンフローアセンブリおよび/またはオーバーフローデバイスを有することができる。さらに、水タンクから送出された水または凝結水を、分岐する圧力管または分岐するレールを介して、かつ計量バルブを介して複数の異なった用途に供給することができる。さらに、水を水タンクまたは管路内で加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施例による水タンクシステムのブロック図である。
【
図2】第2実施例による水タンクシステムのブロック図である。
【
図3】第3実施例による水タンクシステムのブロック図である。
【
図4】一実施例による水タンクシステムにより水を提供する手法のフローチャートである。
【
図5】一実施例による水タンクシステムを有する車両のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、模式図を用いて本発明の実施例を詳しく説明する。
【0028】
図1は、タンク102と、水分離器としてのサイクロン104と、充填開口110と、取出し装置108とを有する水タンクシステムを示す。サイクロン104は、燃料電池に生じる水蒸気をサイクロン104に移送する供給管106を有する。水蒸気はサイクロン104内でらせん状に回転する。サイクロンを取り囲む新鮮外気によって冷却されるサイクロン内壁に水蒸気の水が凝結し、この水は充填開口110を介して水タンク102内に滴下するか、または流れる。この水を、導出管112を介して水タンクから再び取り出すことができ、水は、取出し装置108を介して、例えばポンプによって、または、水タンクのオーバーフローを防ぐバルブによって能動的に取り出すことができる。供給管106を介してサイクロン100に入る空気流は、管路114を介して導出される。
【0029】
この場合、水蒸気が燃料電池、または燃料電池スタックから間接的に来ることも可能である。例えば、水素との反応のために燃料電池に供給される圧縮空気を加湿器によって湿らせることができる。このために燃料電池からの水蒸気(dem)を使用することができ、水蒸気(die)は、まず加湿器に供給され、そこからサイクロンへさらに送られる。
【0030】
図2は、サイクロン104が部分的に水タンク102に組み込まれた水タンクシステム100の別の実施例を示す。サイクロン104への供給管106も同様に水タンク102に組み込まれている。これによって、水タンクシステム100を組み付けるために必要な空間は少なくなるが、水タンク容積を犠牲にする。
【0031】
図3は、水タンク102とサイクロン104の他にさらに凝縮器302、ならびに機器支持体310および制御機器320を有する水タンクシステム100の第3実施例を示す。サイクロン104から管路114を介して導出される空気流は、冷却格子を含む凝縮器内に流れ込み、サイクロン104を貫流した後に残る水蒸気の水が冷却格子に凝結し、管路306を介して下の方へ導出される。凝縮器302内の空気流は、最終的に管路304を介して、排気として例えば周囲環境へ放出される。サイクロン104は冷却リブ308をさらに有し、それによりサイクロンの壁が効果的に冷却され、サイクロンの内壁に水が凝結するための有利な条件が作り出される。凝結水は充填管片316を介して水タンク102内に到達する。
【0032】
さらに、
図3は、タンク充填時に管路318を介して空気を逃がすことができる空気抜き装置312を示す。空気抜き装置312は、殊に、例えば通気性膜を使用することにより、周辺からの汚れの侵入に対して保護される。タンク空気抜きを任意的に能動的に、すなわちバルブを用いて行うことができる。
【0033】
機器支持体310は、加熱器312と、ポンプ314と、例えば超音波原理で設計された、例えば任意的な充填レベルセンサ、任意的な圧力センサ、任意的な温度センサ、または他のセンサなどのいくつかのセンサを有する。加熱器は、ポンプの吸込み管片の領域において凍結水または凍結水の少なくとも一部分を局所的に溶かすことができる。この場合、様々な加熱原理が可能である。一変形形態では、加熱器は電気加熱器である。これに代えて、水タンクシステムにおける凍結水を燃料電池の冷却剤によって完全または部分的に溶かすことも可能である。この変形形態では、機器支持体は、冷却剤のためのコネクタを含む。機器支持体310は、アクチュエータおよびセンサの電気的/電子的接続のためのプラグと、任意的に、ポンプの吸込み領域にフィルタをさらに有する。
【0034】
機器支持体とタンク嚢は、例えばプラスチック溶接による密な接合によって接続されている。
【0035】
したがって、水タンクからの水を水のためのフィードポンプ314を介して制御して圧力管112またはレールに圧送することができ、それにより水を使用することができる。そのために、圧力管112のための少なくとも1つの接続管片が実装される。水のためのフィードポンプ314は、基本的に、様々に異なる供給原理と、例えば回転モータ、ソレノイド等々の駆動装置によって形成することができる。好ましくは、オーバーフロースロットルまたはオーバーフローバルブを有するポンプを使用することができる。ポンプのあり得るリターンフローを、タンクまたはポンプの吸込み通路内へ直接行うことができる。水を例えば計量バルブなどのデバイスを介して計量して、圧力管112から使用のために移送することができる。計量バルブとして、例えば燃焼器技術からの、例えばガソリン噴射のためのバルブなどの安価な計量バルブを使用することができる。レールは、水を様々に利用できるようにするために供給することを可能にする。レールは、フレキシブルな圧力ホースを備えて実現することができ、いくつかの分岐を含むことができる。任意的に、管路系に加熱器を組み込んで形成することができる。管路は、氷圧耐性に設計することができ(フレキシブル材料)、および/または凍結の危険のある場合に空にすることもできる。一部を空にすることも可能である。
【0036】
雨水を車両のボディから粒子フィルタ、および場合によってはさらに、例えば活性炭フィルタなどの化学フィルタを介して水タンクシステム100に送ることにより、システム100をさらに拡張することができる。
【0037】
図4は、一実施例による水タンクシステムにより水を提供するための手法400のフローチャートを示す。この手法400は以下の、
-凝結水を生成するために、燃料電池502の燃料電池反応からの水蒸気を、供給管を介して水分離器104に供給するステップ402と、
-水タンク102内の凝結水を収集するステップ404と、利用のために凝結水を提供するべく水タンク102から凝結水を送出するステップ406と、
を包含する。
【0038】
図5は、車両500における水タンクシステム100を示す。凝縮熱が再びスタックに移ることを回避するために、凝結の場所は、例えば十分な距離または絶縁によってスタックから可能な限り良好に熱的に遮蔽されていることが有利である。殊に、タンク嚢が車両の構造空間に適合させた形状を有することができるのに対して、アクチュエータ、センサおよびコネクタを有する機器支持体は一定であることができ、このことはコストと個数を犠牲にして相応に良い影響をもたらす。
【0039】
燃料電池502から出る温かい、ないし熱い水蒸気が凝結され、蒸気および管路の温度に応じて、後からの使用のために水タンク102内に収集されるか、あるいは高温の場合、大きい表面積の暖房器(Kamin)内に凝結され、燃料電池502に戻され、すなわち外領域の表面に導かれるか、または燃料電池502と接触する凝縮器302もしくは熱交換器に導かれる。所望の凝結の箇所に、例えば針金格子などの水分離器104を凝縮器として取り付けることができる。供給管106にはさらに、凝結を容易ならしめるサイクロン104を取り付けることができる。
【0040】
これに加えて、冷却のためにサイクロン104を取り囲む外気504が水タンクシステム100に供給される。サイクロン104または凝縮器302からの空気流114、304は周辺に放出される。凝結水は、水タンク102または凝縮器306から管路112または306に提供される。データ検出およびアクチュエータの制御のための制御機器320は、インターフェースを介して水タンクシステム100と接続されている。
【符号の説明】
【0041】
100 水タンクシステム
102 水タンク
104 サイクロン、水分離器
106 供給管
108 取出し装置
110 導出管、充填開口
112 導出管、圧力管
114 管路、空気流
302 凝縮器
304 管路、空気流
306 管路
308 冷却リブ
310 機器支持体
312 加熱器、空気抜き装置
314 ポンプ、フィードポンプ
316 充填管片
318 管路
320 制御機器
400 手法
402 供給するステップ
404 収集するステップ
406 送出するステップ
500 車両
502 燃料電池
504 外気
【国際調査報告】