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  • 特表-排ガス後処理のための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(54)【発明の名称】排ガス後処理のための装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/26 20060101AFI20220823BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220823BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
F01N3/26 F
F01N3/28 H
F01N3/20 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576955
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2020067594
(87)【国際公開番号】W WO2020260337
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】102019209301.9
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブリュック
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヒルト
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン シェーパース
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト オーデンタール
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA10
3G091AB01
3G091AB14
3G091BA04
3G091CA03
3G091CA04
3G091FC04
3G091GA02
3G091GA16
3G091GB01X
3G091HA45
(57)【要約】
本発明は、排ガス後処理のための装置、特に環状触媒コンバータ(1)であって、第1の管状の流路(8)と、変向チャンバと、第2の環状の流路(2)とを備えており、管状の流路(8)は半径方向外側に向かって内管によって画定されており、第2の環状の流路(2)は半径方向内側に向かって内管によって、半径方向外側に向かって外管によって画定されており、変向チャンバは、管状の流路(8)からの排ガス流を環状の流路(2)内へと変向するために形成されており、環状触媒コンバータ(1)は少なくとも1つの環状の担体本体(3,6)を有しており、担体本体には触媒活性コーティングが施されており、担体本体は環状の流路(2)内に配置されている、排ガス後処理のための装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス後処理のための装置、特に環状触媒コンバータ(1)であって、第1の管状の流路(8)と、変向チャンバと、第2の環状の流路(2)とを備えており、前記管状の流路(8)は半径方向外側に向かって内管によって画定されており、前記第2の環状の流路(2)は半径方向内側に向かって前記内管によって、半径方向外側に向かって外管によって画定されており、前記変向チャンバは、前記管状の流路(8)からの排ガス流を前記環状の流路(2)内へと変向するために形成されている、装置において、
前記環状触媒コンバータ(1)は少なくとも1つの環状の担体本体(3,6)を有しており、前記担体本体には触媒活性コーティングが施されており、前記担体本体は前記環状の流路(2)内に配置されていることを特徴とする、排ガス後処理のための装置。
【請求項2】
前記担体本体(3,6)は、複数の金属フィルムから生成されており、前記金属フィルムの間に、流れ方向に沿って貫流可能な複数の流れ通路を形成している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記金属フィルムの少なくともいくつかは空所(5)を有しており、これにより、互いに隣接する流れ通路の間に溢流通路が形成される、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記担体本体(3,6)は、少なくとも部分的に構造化された金属フィルムと、平滑な金属フィルムとから形成されており、前記両フィルムは互いに重ねられて巻き付けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記金属フィルムにおける前記空所(5)は、前記担体本体(3)の、前記変向チャンバに面した端部領域(4)に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記環状の流路(2)内に、電気的に加熱可能な加熱ディスク(7)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記電気的に加熱可能な加熱ディスク(7)は、排ガスの流れ方向で、前記担体本体(3,6)の手前に配置されている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記環状触媒コンバータ(1)の前記外管、または前記外管を内部に収容しているジャケットは、加熱エレメントを有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記加熱エレメントは、前記ジャケットまたは前記外管の周囲に巻き付けられている加熱コイル(9)によって形成されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記加熱エレメントは、前記ジャケットのまたは前記外管の周囲に沿って分配配置されている複数の加熱装置によって形成されている、請求項8記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス後処理のための装置、特に環状触媒コンバータであって、第1の管状の流路と、変向チャンバと、第2の環状の流路とを備えており、管状の流路は半径方向外側に向かって内管によって画定されており、第2の環状の流路は半径方向内側に向かって内管によって、半径方向外側に向かって外管によって画定されており、変向チャンバは、管状の流路からの排ガス流を環状の流路内へと変向するために形成されている、排ガス後処理のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可能な限り迅速かつ効率的な排ガス後処理を保証するために、触媒コンバータの担体本体上の触媒活性コーティングが、その完全な作用を発揮するいわゆるライトオフ温度に、可能な限り迅速に到達する必要がある。この温度に達したときに初めて、触媒コンバータにおいて、内燃機関の排ガスから生じる各有害物質の化学反応を開始することができる。したがって、可能な限り迅速に高い排ガス温度を発生させ、ひいては、触媒コンバータ自体においても高い温度を発生させるために、触媒コンバータは、好適には排ガス源の近傍に配置される。
【0003】
排ガス源の近傍への配置に対して代替的に、例えば、内燃機関の排ガスによって駆動されるターボチャージャのすぐ後ろへの配置、またはこれに加えて付加的に、排ガス温度を電気的な追加加熱によって高めるために、電気的に加熱される構成要素を使用することができる。
【0004】
ターボチャージャのすぐ後ろに触媒コンバータを配置する際の欠点は、特に、排ガスが貫流する流路の横断面にわたる流れの分布が、ターボチャージャのすぐ後ろでは最適ではなくなり、これにより後続の触媒コンバータにおける排ガス後処理も最適ではあり得ないということである。
【0005】
まずは管状の流路を有し、続いて変向チャンバ、次いで環状の流路を有している、いわゆる環状触媒コンバータを使用する場合には特に、少なくとも、管状の流路および変向チャンバの領域でさらなる温度降下が生じ、これにより実際の触媒担体における排ガス温度は著しく低くなる。したがって、環状触媒コンバータの管状の流路内側での良好な混合という利点は、排ガス温度の降下によって相殺されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、流れる排ガスの良好な混合を行い、かつ排ガス温度の著しい降下を抑制する、または排ガス温度の上昇を活性化させる、排ガス後処理のための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
装置に関するこの課題は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。
【0008】
本発明の実施例は、排ガス後処理のための装置、特に環状触媒コンバータであって、第1の管状の流路と、変向チャンバと、第2の環状の流路とを備えており、管状の流路は半径方向外側に向かって内管によって画定されており、第2の環状の流路は半径方向内側に向かって内管によって、半径方向外側に向かって外管によって画定されており、変向チャンバは、管状の流路からの排ガス流を環状の流路内へと変向するために形成されており、環状触媒コンバータは少なくとも1つの環状の担体本体を有しており、担体本体には触媒活性コーティングが施されており、担体本体は環状の流路内に配置されている、排ガス後処理のための装置に関する。
【0009】
環状触媒コンバータの基本的な構造は、従来技術から公知である。実質的な特徴は、環状触媒コンバータの中心における、特に排ガス流の改善された混合を可能にする管状の流路にある。ディーゼルエンジンが排ガス源である場合、この流路は、例えば排ガスを、気化した尿素溶液と混合させるために利用することができ、これにより、その下流では、環状触媒コンバータに配置された触媒の触媒活性担体本体の均一な負荷が可能である。
【0010】
排ガスは、管状の流路から出て変向チャンバを通り、この変向チャンバ内で、半径方向外側に向かって変向されて、最終的に、管状の流路内の流れとは逆向きの流れ方向で、環状の流路を通って流れる。環状触媒コンバータは、特に、内部における流路の実際の長さと比較して構成長さが短い点で優れている。
【0011】
流路内には様々な触媒を配置することができ、これらの触媒は、排ガスの種類に応じて、排ガスの様々な成分の反応に合わせて設計されている。
【0012】
触媒コンバータの担体本体は、例えば金属であってよく、重ねられ巻き付けられた金属フィルムから形成されていてよい。被覆されたセラミック材料の使用も想定可能である。
【0013】
担体本体は複数の金属フィルムから生成されており、金属フィルムの間に、流れ方向に沿って貫流可能な複数の流れ通路を形成していると、特に好適である。複数の流れ通路は、排ガスが溢流することができる、可能な限り大きな活性面積を生成するために好適である。
【0014】
金属フィルムの少なくともいくつかは空所を有しており、これにより、互いに隣接する流れ通路の間に溢流通路が形成されていても好適である。空所は、例えば、金属フィルムにおける穴であってよい。互いに隣接する流れ通路間での排ガスの溢流を促進する刻印された成形部およびプロフィールを、空所の縁部に設けることもできる。
【0015】
空所によってさらに、実質的に、担体本体の熱質量の低減が得られ、これによりライトオフ温度への担体本体の加熱が加速される。
【0016】
1つの好適な実施例は、担体本体が、少なくとも部分的に構造化された金属フィルムと、平滑な金属フィルムとから形成されていて、これら両フィルムは互いに重ねられて巻き付けられていることを特徴とする。このような担体本体の生成は広く知られており、したがって、各使用目的に合わせた様々な担体本体を、簡単に複数製作することができる。
【0017】
金属フィルムにおける空所は、担体本体の、変向チャンバに面した端部領域に配置されていても好適である。特に、排ガスが流れ通路内に流入する、担体本体の領域における熱容量が低いために迅速な加熱が生じるので、このような構成は好適である。したがって、可能な限り迅速にライトオフ温度に到達することが保証される。
【0018】
環状の流路内に、電気的に加熱可能な加熱ディスクが配置されていると、さらに好適である。電気的に加熱可能な加熱ディスクは、例えば、金属フィルムから形成されている金属性の担体本体であってもよい。さらに、加熱ディスクは、電圧源に接続された、したがって電気抵抗を利用して担体本体を加熱するために機能することができる、1つ以上の導電体を有している。導電体は、担体本体の金属フィルムの間に巻き付けられてもよいし、または例えば加熱ディスクの流入側に取り付けられてもよい。
【0019】
電気的に加熱可能な加熱ディスクが、排ガスの流れ方向で、担体本体の手前に配置されていると、さらに好適である。この構成は、流れる排ガスの温度上昇を触媒活性担体本体のできるだけ手前で達成するために好適である。
【0020】
環状触媒コンバータの外管、または外管を内部に収容しているジャケットが、加熱エレメントを有していても有利である。このような加熱エレメントは特に、環状触媒コンバータを外側から加熱する働きをし、熱放射によって、ジャケットおよび/または外管から排ガスへとエネルギを伝達する働きをする。
【0021】
さらに、加熱エレメントは、ジャケットまたは外管の周囲に巻き付けられている加熱コイルによって形成されていると好適である。加熱コイルは、好適には、外管またはジャケットの周囲に巻き付けられている、電流を通す導体によって形成することができる。このようにして、外管またはジャケットを、目的に合わせて必要に応じて加熱することができ、熱は、内部で熱放射および伝熱を介して、流れる排ガスおよび/または担体本体へと放出される。
【0022】
加熱エレメントは、ジャケットのまたは外管の周囲に沿って分配配置されている複数の加熱装置によって形成されていると、さらに有利である。例えば、外管またはジャケットに分配配置され、したがって、各構造の加熱を行うPTC加熱エレメントが設けられていてよい。
【0023】
本発明の好適な別の構成は、従属請求項と以下の図面の説明に記載されている。
【0024】
以下に、本発明を複数の実施例について図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】環状触媒コンバータの断面図であって、環状の流路内の担体本体はその流入側に穴を有している。
図2】環状触媒コンバータの断面図であって、流れ方向で見て環状の担体本体の手前には加熱ディスクが配置されている。
図3】環状触媒コンバータの断面図であって、外管の周囲には加熱コイルが巻き付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、環状触媒コンバータ1の断面図を示しており、環状の流路2内に配置された担体本体3は、そのガス流入側4に複数の空所5を有している。例えば、担体本体3を形成する個々の金属フィルム内に設けられている空所5によって、担体本体3の熱容量を減じることができ、これによって、より迅速な加熱、ひいてはより迅速なライトオフ温度への到達が可能である。
【0027】
図2は、既に図1に示したような環状触媒コンバータ1を示している。担体本体6の手前には、この実施例では、電気的に加熱可能な加熱ディスク7が配置されている。
【0028】
加熱ディスク7は、環状の流路2内に完全に配置されていてもよいし、またはそのやや上流で変向チャンバ内に配置されていてもよく、固有の構造によって、管状の流路8および環状の流路2を延長することができる。
【0029】
加熱ディスク7は、図示されていない電気コンタクトを介して、電圧源に接続されていてよく、これによって電気的に加熱されることができる。
【0030】
図3は、前述した図1および図2と同様の環状触媒コンバータ1を示しており、この場合、環状触媒コンバータの外管または外側ジャケットの周囲には加熱コイル9が巻き付けられている。この加熱コイル9は、例えば加熱導体によって形成されていてよい。
【0031】
図3に示したように、加熱コイル9は、環状の流路2の軸方向の延在全体に沿って配置することができ、これにより、全長にわたって外側からの加熱が達成される。代替的に、部分領域のみに加熱コイルを巻き付けることもできる。このような場合には特に、担体本体3のガス流入側に巻き付けられる。
【0032】
個々の実施例の異なる特徴は、互いに組み合わせられてもよい。したがって、図1図2および図3に示した特徴を、1つの共通の実施例で統合させることもでき、これにより、外管の加熱コイルが、電気的な加熱ディスク、および担体本体の金属フィルム内の空所と協働する。個々の実施例のその他すべての組み合わせも、本発明によれば可能である。
【0033】
図1から図3の実施例は、何ら限定的な特徴を有しておらず、本発明の思想を明らかにするために役立つ。
図1
図2
図3
【国際調査報告】