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特表2022-537841磁気的に作動されるディスプレイ媒体をアドレス指定するためのスタイラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(54)【発明の名称】磁気的に作動されるディスプレイ媒体をアドレス指定するためのスタイラス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1673 20190101AFI20220823BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G02F1/1673
G06F3/03 400F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507402
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020045360
(87)【国際公開番号】W WO2021026431
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/884,665
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス, エバン
(72)【発明者】
【氏名】モリル, サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】パオリニ, リチャード ジェイ. ジュニア
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA05
2K101BB22
2K101BB29
2K101BB43
2K101BC02
2K101BD61
2K101BE09
2K101BE32
2K101BE71
2K101BE81
2K101EB95
2K101EC11
2K101EE12
2K101EK35
(57)【要約】
例えば、グレーの安定中間状態を達成する能力も伴って、白色状態と黒色状態との間で、従来の電気泳動ディスプレイと同一方法において電気的に切り替えられることができる磁気粒子を含有する磁気泳動媒体等の磁気書込媒体と相互作用するためのスタイラス。スタイラスは、第1の端部および第2の端部を有するハンドル部分と、ハンドル部分の第1の端部に結合される先端部分とを含み、先端部分は、略円錐の形状であり、(スタイラスが平坦表面と垂直に保持されるときに測定されるような)40~75度の円錐角を有する。スタイラスは、先端内で整列される磁性球および金属円柱を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気応答性ディスプレイ表面上に画像を作成するためのスタイラスであって、前記スタイラスは、
第1の端部および第2の端部を有するハンドル部分と、
前記ハンドル部分の前記第1の端部に結合される先端部分であって、前記先端部分は、略円錐の形状であり、前記スタイラスが平坦表面と垂直に保持されるときに40~75度の円錐角を有する、先端部分と、
半径rを有する磁性球であって、前記磁性球は、前記先端部分の遠位端内に配置され、前記先端部分の遠位端を越えて延在する前記磁性球の半球未満を有する、磁性球と、
前記先端部分の遠位端内の前記磁性球に近位に配置される金属円柱であって、前記金属円柱は、0.5r~2rの半径を有し、かつ、少なくとも3rの長さを有する、金属円柱と
を備える、スタイラス。
【請求項2】
前記金属円柱は、強磁性材料を備える、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項3】
前記磁性球は、北磁極および南磁極を有し、前記北磁極および前記南磁極は、前記スタイラスの長手方向軸に沿って整列される、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項4】
前記磁性球の前記整列は、前記磁性球および前記先端部分と接触するまたは前記磁性球および前記金属円柱と接触する結合剤によって保定される、請求項3に記載のスタイラス。
【請求項5】
前記先端部分は、第1のポリマーを備える、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項6】
前記金属円柱の半径は、rである、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項7】
前記円錐角は、50~70度である、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項8】
前記磁性球は、球体の表面において、300~3,000ガウスの磁場強度を有する、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項9】
前記先端部分の遠位端を越えて延在する前記磁性球の一部は、第2のポリマーでコーティングされる、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項10】
前記第2のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルコキシアルカンのフッ素重合体、およびそのコポリマーから選択される、請求項9に記載のスタイラス。
【請求項11】
前記ハンドル部分の前記第2の端部に配置される第2の磁石をさらに備える、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項12】
rは、0.5mm~6mmである、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項13】
書込デジタイザと相互作用するように構成される電子回路をさらに備える、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項14】
磁気書込システムであって、
磁気泳動ディスプレイであって、
第1の光透過性電極層と、
第2の電極層と、
前記第1の光透過性電極層および前記第2の電極層との間に配置される磁気泳動媒体層と
を含む、磁気泳動ディスプレイと、
請求項1に記載のスタイラスと
を備える、磁気書込システム。
【請求項15】
前記磁気泳動媒体層は、非極性溶媒内に分散される磁場および電場の両方内を移動する粒子を含む、請求項14に記載の磁気書込システム。
【請求項16】
前記磁気泳動媒体層の前記粒子は、マイクロカプセルまたはマイクロセル内にカプセル化される、請求項15に記載の磁気書込システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/884,665号に対する優先権を主張する。開示される全ての特許、特許出願、および参考文献は、参照によりその全体が援用される。
【0002】
本明細書に説明される技術は、磁気的にアドレス指定可能なディスプレイならびに関連する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
数十年にわたって、紙上への書込の体験に匹敵させること、または、より大きいフォーマットにおける、黒板またはホワイトボード上への描画の感覚および外観を模倣することが、電子ペーパー研究の目標とされてきた。A. Henzen, J. van de Kamer, “The present and future of electronic paper,”Journal of the S.I.D.14/5,437-442(2006)を参照されたい。電気泳動ディスプレイは、屋内および直接太陽光下の両方において優れたコントラスト比を伴う周囲光のランバート反射体であるため、それらは、紙状読取および視認体験を提供する。しかしながら、書込可能電気泳動デバイスの現在の商業用実施形態は、電気画像リフレッシュ毎に、数十ミリ秒を要求する。したがって、スタイラスがタッチセンサを介してディスプレイ媒体と相互作用するとき、ディスプレイコントローラによってレンダリングされるべき線についての情報を伝達することに付加的遅延が存在する。結果として、約50~100ミリ秒であり得る待ち時間が書込の作用とディスプレイ上への画像の出現との間に生じる。例えば、E Ink Corporationによって製造された電気泳動ディスプレイを含むSONY DPT-RP1(書込可能タブレット)を参照されたい。
【0004】
活性層に非常に近接して位置し、それによって、スタイラスを移動させて下方に作成される画像が見えることの自然なフィードバックを増加させ得るスタイラスを用いて、電子/再書込可能インク上に直接書き込むための方法を有することが好ましい。そのような応答を伴う単純デバイスが、しばらく前から、公知であるが、しかしながら、それらは、より典型的には、玩具の中に組み込まれている。例えば、磁気ペンまたは磁気スタンプによってアドレス指定される強磁性粒子の懸濁液を含む磁気描画ボードである。この技術を含む基本的製品は、1970年代にPilot Corporationによって開発されたものであり、これは、子供用玩具MAGNA DOODLE(現在は、Cra-Z-Art(Randolph, NJ)によって生産されている)となって改良された。米国特許第4,143,472号を参照されたい。
【0005】
この時点以降、E Ink Corporation、SiPix Imaging Inc.、およびSeiko Epsonは全て、従来の電子紙ディスプレイにおいて使用される荷電顔料粒子の少なくとも一部が荷電強磁性粒子によって置換されている磁気的にアドレス指定可能な電気泳動ディスプレイ設計を開示している。米国特許第6,583,780号、第6,831,771号、第6,870,661号、および第7,352,353号を参照されたい。開示される構造は、電場および磁場の両方に応答する反射性(太陽光可読)ディスプレイ媒体を生産している。したがって、これらの磁気泳動ディスプレイは、磁気スタイラスを用いてまたは電場を用いて、アドレス指定され得る。加えて、電子ディスプレイは、例えば、デジタイザを使用して、それにわたってスタイラスが通過されたものに対応するピクセルをアクティブ化するように同期され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,143,472号明細書
【特許文献2】米国特許第6,583,780号明細書
【特許文献3】米国特許第6,831,771号明細書
【特許文献4】米国特許第6,870,661号明細書
【特許文献5】米国特許第7,352,353号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A. Henzen, J. van de Kamer, “The present and future of electronic paper,”Journal of the S.I.D.14/5,437-442(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、磁気書込表面と相互作用するように特別に設計されるスタイラスを含む。スタイラスは、スタイラスの端部に適合するのに適して定寸される小磁気要素の対向磁極によって作成される「陰影」を回避しながら、より円滑な書込体験を提供するようにエンジニアリングされる。
【0009】
概して、本発明は、磁気応答性ディスプレイ表面上に画像を作成するためのスタイラスを含む。スタイラスは、第1の端部および第2の端部を有するハンドル部分と、ハンドル部分の第1の端部に結合される先端部分とを含み、先端部分は、略円錐の形状であり、(スタイラスが平坦表面と垂直に保持されるときに測定されるような)40~75度の円錐角を有する。先端部分の遠位端に配置されるものは、半径rを有する磁性球である。磁性球の半球未満が、先端部分の遠位端を越えて延在する。磁性球に加えて、先端部分の遠位端はまた、磁性球に近位に配置される金属円柱を含む。金属円柱は、半径0.5r~2rを有し、少なくとも3rの長さを有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、先端部分内に配置される金属円柱は、強磁性材料を備える。いくつかの実施形態では、先端部分は、ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、円柱の半径は、rである。いくつかの実施形態では、円錐角は、50~70度である。いくつかの実施形態では、磁性球は、球体の表面において300~3,000ガウスの磁場強度を有する。いくつかの実施形態では、先端部分の遠位端を越えて延在する球体を延在する磁性球の一部は、第2のポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルコキシアルカンのフッ素重合体、またはこれらのフッ素重合体を含むコポリマー)でコーティングされる。いくつかの実施形態では、第2の磁石は、スタイラスのハンドル部分の第2の端部に配置される。いくつかの実施形態では、rは、0.5mm~6mmである。高度な実施形態では、スタイラスは、加えて、書込デジタイザと相互作用するように構成される電子回路を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願の種々の側面および実施形態が、以下の図を参照して説明される。図は、必ずしも、正確な縮尺で描かれていないことを理解されたい。複数の図中に現れる項目は、それらが現れる全図において、同一参照番号によって示される。
【0012】
図1図1は、黒色磁気泳動粒子と白色非磁気電気泳動粒子とを含む磁気泳動ディスプレイを描写する概略図である。黒色粒子および白色粒子は、反対電気電荷を有する。例示的磁気スタイラスは、磁気粒子の連鎖を引き起こすことによって、ディスプレイの光学状態の局所的変化を引き起こし、それによって、観察者は、黒色磁気泳動粒子の下方に白色顔料を見ることができる。
【0013】
図2図2は、磁気泳動ディスプレイをアドレス指定するための磁気スタイラスの使用を図示する。
【0014】
図3図3は、テーパ状先端と、書込性能を改良する金属円柱とともに先端の遠位端に配置される磁気金属球体とを含む、本発明のスタイラス先端の実施形態を描写する。
【0015】
図4図4は、テーパ状先端と、書込性能を改良する金属円柱とともに先端の遠位端に配置される磁気金属球体とを含む、本発明のスタイラス先端の実施形態を描写する。
【0016】
図5図5は、球状磁気要素のみを有するスタイラスが磁気書込媒体上に線を描くために使用されるときに現れる陰影を図示する。陰影は、磁気顔料と球状磁気要素の対向磁極との間の相互作用によって引き起こされる可能性が高い。
【0017】
図6図6は、球状磁気要素と強磁性円柱との両方を有するスタイラスが図5におけるように同一の線を描くために使用されるときの改良される書込体験を図示する。
【0018】
図7図7は、図5に示される先端の磁場線の概念図である。
【0019】
図8図8は、図6に示される先端の磁場線の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本発明は、例えば、グレーの安定中間状態を達成する能力も伴って、白色状態と黒色状態との間で、従来の電気泳動ディスプレイと同一方法において電気的に切り替えられることができる磁気粒子を含有する磁気泳動媒体等の磁気書込媒体との相互作用のためのスタイラスに関する。
【0021】
図1および2に示されるように、磁気スタイラスを用いてアドレス指定されると、磁気泳動媒体流体は、極端な電気泳動白色状態と黒色状態との間の光学密度の中間であるグレー状態を呈する。したがって、白色状態から開始すると、磁気スタイラスは、比較的に暗画像を生産することができる一方、黒色状態から開始すると、より明るい画像が、形成されることができる。磁気泳動媒体ディスプレイは、区画化された電極と組み合わせられ、非常に大面積の書込可能表面を生産する(すなわち、磁気的にアドレス指定可能な書込ボード)、または、TFTバックプレーンと併用され、グラフィック対応ディスプレイを作製することができ、グラフィック対応ディスプレイは、電気的にアドレス指定されることができるが、可視待ち時間を伴わずに磁気スタイラスを用いて書込可能な付加的能力を有する。所望に応じて、最初に生産された、磁気的に書き込まれた画像は、続いて、電気アドレス指定によってリフレッシュされ、より高いコントラスト、より直線の線、デジタル化された文字等を提供することができる。
【0022】
用語「書込具」または「スタイラス」は、本明細書で使用される場合、鉛筆、ペン、またはマーカのように成形されるもの等の任意の適したハンドヘルドデバイスを含む。例えば、磁気マーカは、磁場を発生させてもよく、磁化可能材料の領域を磁化させるために使用されてもよい。
【0023】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用される場合、本明細書では、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する材料を指し、材料は、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態に変化される。光学特性は、典型的には、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または、機械読取のために意図されるディスプレイの場合には可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であってもよい。
【0024】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で本明細書において使用され、ピクセルの2つの極限光学状態の中間の状態を指し、これらの2つの極限状態の間の黒色と白色の遷移を必ずしも意味するわけではない。例えば、下記に参照されるいくつかのE Inkの特許および公開された出願は、極限状態が白色および濃青色でありかつその結果として中間の「グレー状態」が実際には薄青になる電気泳動ディスプレイを説明している。実際、既述のように、光学状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒色」および「白色」は、ディスプレイの2つの極限光学状態を指すように以降で使用される場合があり、例えば、厳密には黒色および白色ではない極限光学状態(例えば、前述の白色および濃青色状態)を通常含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをその2つの極限光学状態のみに駆動させる駆動スキームを指すために使用され得る。さらに、本明細書で使用される場合、極限状態は、ディスプレイを磁気的に駆動することから結果として生じる暗および明状態を含み、これは、典型的には、極限黒色および白色状態を達成しないが、暗グレー(ほぼ黒色)および明グレー(ほぼ白色)状態を達成する。
【0025】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において、固体であるが、材料は、内部液体空間またはガス充填空間を有してもよく、多くの場合、有する。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0026】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で本明細書において使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイを指し、第1の表示状態または第2の表示状態のうちのいずれか一方を呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動された後、アドレス指定パルスが終了した後に、その状態は、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)続く。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限黒色および白色状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切には、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0027】
本明細書で使用されるように、「画像」は、空間表現を指し、少なくともいくつかの実施形態では、そこから画像が導出さ得るデータ(例えば、デジタル1および0)と区別されるべきである。下記にさらに説明されるように、本願の実施形態による画像は、写真、テキスト、形状、または任意の他のパターンを含んでもよく、いくつかの実施形態では、磁気応答性ディスプレイ上に転写または再現され得る磁気記録層の磁化された領域の任意の配列またはパターンとして具現化されてもよい。画像は、例えば、説明されたばかりのように、ディスプレイ上に生産されると、可視となり得る。しかしながら、「画像」は、本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、少なくとも裸眼では、不可視であり得る。例えば、本明細書に説明される場合、画像は、磁気記録層の磁化された領域として具現化されてもよい。磁化された領域の空間表現は、裸眼では不可視であるが、それにもかかわらず、画像(例えば、写真、テキスト、および/または形状)を表し得る。
【0028】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡されたまたはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、そのそれぞれはそれ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルはそれ自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第6,870,661号、第7,002,728号、および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(d)バックプレーン、接着層、および他の補助層、ならびにディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(e)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(f)ディスプレイを駆動させるための方法(例えば、米国特許第7,012,600号、第7,304,787号、および第7,453,445号参照)
(g)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(h)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、第6,950,220号、第7,420,549号、第8,319,759号、および第8,994,705号、ならびに米国特許出願第公開第2012/0293858号参照)
【0029】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生産し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴が、各個々の液滴と関連付けられる離散カプセル膜が存在しない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0030】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体(典型的には、高分子フィルム)内に形成される複数の空洞内に留保される。例えば、現E Ink California, Inc.の名称であるSipix Imaging, Incの名称下の米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0031】
多くの場合、電気泳動媒体は、不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタ」モードで動作するように作製され得、「シャッタ」モードでは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、第6,184,856号、第7,304,787号、および第7,999,787号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能なことがある。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用されてもよく、そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより遠くにある第2の層を暴露または隠蔽する。
【0032】
2つの粒子(例えば、黒色および白色粒子)を有する磁気的にアドレス指定可能なディスプレイでは、磁気アドレス指定は、可変明度または暗度のグレー状態のみを発生させる。磁場は、所望のグレー状態に調整されてもよい。電気切替、すなわち、電気光学ディスプレイが、完全黒色および白色光学状態を達成するために、粒子を駆動するために要求される。磁気的にアドレス指定可能なディスプレイでは、黒色状態は、完全に黒色であるように要求されず、単に、暗色である。同様に、白色状態は、完全に白色であるように要求されず、単に、明色である。画像を表示するために、背景と磁気的にアドレス指定される面積との間の差異に焦点が当てられる。本明細書で使用される場合、黒色状態は、電気アドレス指定と関連付けられる完全に黒色状態を含む暗状態を指し、白色状態は、電気アドレス指定と関連付けられる完全に白色状態を含む明状態を指す。光学状態(暗または明)のいずれかから、磁気スタイラスは、顔料粒子をグレー状態に向かって駆動する。黒色または暗状態から、磁気スタイラスは、光学状態をより明るいグレー状態に向かって切り替える。白色状態または明状態から、磁気スタイラスは、光学状態をより暗いグレー状態に向かって切り替える。
【0033】
磁気スタイラスまたは印刷ヘッドを用いたアドレス指定の代替として、記録層(例えば、磁気泳動媒体を含む)内の磁化可能材料の領域が、固定された磁気書込具を介して、磁化されてもよい。記録層は、続いて、磁気応答性のディスプレイ層と近接させられ、それによって、書込具によって以前に磁化された磁化可能材料の領域の複写を生産し得る。いくつかの実施形態では、磁化可能材料の領域は、書込具が磁化可能材料の領域の磁化に加えてディスプレイ層の光学状態の変化の両方を引き起こすように、磁気書込具によって、磁気応答性のディスプレイ層に近接する間、磁化されてもよい。記録層は、ディスプレイ層から分離され、続いて、同一または異なるディスプレイ層と接近させられてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態によると、電子ディスプレイシステム内の磁気応答性のディスプレイ層は、粒子ベースのディスプレイ層であってもよい。ある場合には、粒子は、1つまたはそれを上回るタイプの顔料を含んでもよい。単一顔料ディスプレイでは、顔料は、電気的および磁気的の両方において制御可能である。多顔料ディスプレイでは、顔料タイプのうちの少なくとも1つは、電気的および磁気的の両方において制御可能であってもよい。多顔料ディスプレイの一実施例は、白色顔料粒子および黒色顔料粒子を含むディスプレイである。黒色顔料粒子は、実施例として、電気的および磁気的の両方で制御可能であってもよい。いくつかの実施形態によると、磁気応答性(非電子)のディスプレイシステム内の磁気応答性ディスプレイ層は、粒子ベースのディスプレイ層であってもよい。ある場合には、粒子は、1つまたはそれを上回るタイプの顔料を含んでもよい。単一顔料ディスプレイでは、顔料は、電気的および磁気的の両方で制御可能であってもよい。多顔料ディスプレイでは、顔料タイプのうちの少なくとも1つが、電気的および磁気的の両方で制御可能であってもよい。多顔料ディスプレイの一実施例は、白色顔料粒子と黒色顔料粒子とを含むディスプレイである。黒色顔料粒子は、実施例として、電気的および磁気的の両方で制御可能であってもよい。多顔料ディスプレイでは、顔料色は、黒色および白色以外の色であってもよい。多顔料ディスプレイでは、カラーオーバーレイが、特に白色顔料粒子が含まれるときに、顔料粒子の知覚された色を変化させるために使用されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態によると、粒子ベースのディスプレイ層は、白色および黒色顔料粒子を含んでもよく、黒色顔料粒子は、いくつかの状態では、入射光が主として黒色粒子によって吸収されるように、ディスプレイの正面に向かって位置してもよい。アドレス指定磁石(例えば、磁気スタイラス)によって生産される磁場は、黒色粒子が、ともに群がる、集まる、または連鎖し、それによって、入射光が黒色粒子の下層の白色粒子によって反射されることを可能にするように、ディスプレイの光学状態を変化させてもよい。光学状態の変化は、加えて、ディスプレイ内の白色および/または黒色粒子の移動を含んでもよい。代替として、多顔料ディスプレイは、代わりに、入射光が主として白色粒子によって反射されるように、白色顔料粒子をディスプレイの正面に向かって位置させるように構成されてもよい。スタイラスによって生産される磁場は、次いで、入射光のより多くが黒色粒子によって吸収されるように、ディスプレイの光学状態を変化させてもよい。そのような実施形態では、磁場を使用して黒色粒子がディスプレイの正面に向かって移動されると、極限黒色状態ではなく、暗グレー状態が、生じる。同様に、磁場を使用して白色磁気泳動粒子がディスプレイの正面に向かって移動されると、明グレーまたは白色グレー状態が、生じる。
【0036】
粒子ベースの電気光学ディスプレイは、1つまたはそれを上回る顔料タイプを含んでもよい。多顔料ディスプレイでは、顔料タイプのうちの少なくとも1つは、電気的および磁気的の両方で制御可能であってもよい。多顔料ディスプレイの実施例は、白色顔料粒子と黒色顔料粒子とを含むディスプレイである。黒色顔料粒子は、実施例として、電気的および磁気的の両方で制御可能であってもよい。黒色または白色顔料は、強磁性または常磁性であってもよい。Bayferrox8600、8610;Northern Pigments604、608;Magnox104、TMB-100;Columbian Mapico Black;Pfizer CX6368およびCB5600、ならびに同等物等の市販の磁気粒子が、単独でまたは他の公知の顔料と組み合わせて使用され、電気的および磁気的の両方において制御可能な顔料を生成してもよい。一般に、磁化率50~100、保磁性40~120エルステッド(Oe)、飽和磁化20~120emu/g、および残留磁気7~20emu/gを有する磁気粒子が、好ましい。加えて、粒子は、直径100~1,000ナノメートル(nm)を有することが有益であり得る。具体的であるが、非限定的実施例として、電気光学ディスプレイの顔料は、いくつかの実施形態では、磁鉄鉱(Bayferrox318M等の酸化鉄)、酸化ネオジム(Sigma Aldrich634611酸化ネオジム(III)等)、酸化鉄および酸化銅(Sigma Aldrich銅フェライト等)、または鉄およびコバルトあるいは鉄およびニッケルの合金(Sigma Aldrich鉄-ニッケル合金粉末およびAmerican Elemnets鉄-コバルト合金ナノ粉末等)の形態であってもよい。
【0037】
スタイラスによって生産される磁場の強度はまた、電気光学ディスプレイの有益な動作を提供するために選択されたレベルであってもよい。例えば、書込具(例えば、スタイラス)によって生産される磁場は、磁気要素の表面で測定されるように、少なくとも30ミリテスラ(mT)(300ガウス)であってもよい。実践では、インクの内側における1T(10,000ガウス)を超える磁場の発生は、技術的および経済的に手が出ない場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、印加される磁場は、30mT~300T(例えば、300ガウス~3,000ガウス)(例えば、800ガウス~2,000ガウス)であってもよい。
【0038】
図1は、磁気応答性の書込材料として使用され得る磁気泳動ディスプレイ層を描写する。ディスプレイ100は、それぞれ、正面および背面電極101および102を含む。正面電極101は、光透過性である一方、背面電極102も、随意に、光透過性である。正面電極は、典型的には、PET-ITOまたはPEDOT等の透明伝導性ポリマー媒体から形成されるが、伝導性添加剤(金属、ナノ粒子、フラーレン、グラフェン、塩、伝導性モノマー)でドープされた代替的な光透過性ポリマー(ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン)もまた、使用に適している。背面電極102は、正面電極101に関して列挙された構成要素のいずれかを備えてもよいが、背面電極はまた、金属箔、黒鉛電極、またはある他の伝導性材料であることができる。(区画化またはTFTバックプレーンもまた、背面電極102の代わりに使用され、印刷情報およびグラフィック情報を表示する際、より多用途性を追加することができる。)多くの実施形態では、正面および背面電極101および102は両方とも、それぞれ、可撓性であり、したがって、ディスプレイ100全体もまた、可撓性である。ディスプレイ100は、多くの場合、基板130によって支持され、これもまた、光透過性および/または可撓性であってもよい。図1に示されないが、1つまたはそれを上回る接着性層が、構造的完全性と同様に、ロールツーロール処理を促進するために、構造内に含まれることを理解されたい。また、図1に示されないものは、マイクロカプセル110間の間隙を充填するために使用される結合剤である。ディスプレイ100は、加えて、正面電極101がスタイラスまたは他の機械的相互作用によって損傷されないように保護するための上部保護シート(図示せず)を含み得る。色を変化させるためのまたは媒体をUV暴露から保護するためのフィルタ層(図示せず)もまた、含まれてもよい。
【0039】
ディスプレイ100は、ディスプレイ層105を含み、これは、電気泳動媒体の部分を分離するための複数のコンテナを含む、電極101と102との間の粒子ベースのディスプレイ媒体である。図1の事例では、コンテナは、マイクロカプセル110であり、マイクロカプセル110内には、液体媒体と、1つまたはそれを上回るタイプの着色顔料粒子とがあり、少なくとも1つのタイプの粒子は、磁気応答性である。図1に示されるように、これは、白色顔料粒子121と、黒色顔料粒子122とを含む。顔料121および122の一方または両方は、磁場内を移動し得る、または、他の態様で磁場に応答し得る。例えば、一方または両方のタイプの顔料粒子は、磁場線に沿って整列し得、および/または粒子の鎖を形成し得る。そのような場合、顔料121および122の一方または両方は、電気的に荷電されてもよい。顔料粒子121および/または122は、(例えば電極101-102によって生産される)電場を用いて、制御(変位)され、したがって、アドレス指定されると、ディスプレイ100を電気泳動ディスプレイとして動作させてもよい。加えて、図1に描写されるように、黒色顔料粒子122は、磁気応答性である。カプセル110は、上記の特許および特許出願に議論されるように、マイクロセルまたはポリマー分散液滴と置換され得ることを理解されたい。
【0040】
いくつかの使用例では、顔料121および122は両方とも、電場内で変位されるように構成されてもよい。例えば、顔料121および122のうちの1つは、カプセル110を横断して印加される電場が、顔料粒子をカプセルの対向側に分離させるように、正に荷電されてもよく、他の顔料は、負に荷電されてもよい。電場の方向を調節することによって、ディスプレイ100の視認側上に位置する顔料が、選択され、それによって、ディスプレイのユーザによって視認されるような白色または黒色状態のいずれかを生産してもよい。
【0041】
図1に示されるように、一般化されたスタイラス308は、ディスプレイ100の光学状態の変化を引き起こす。スタイラス108は、黒色顔料粒子122に鎖を形成させる場線110によって部分的に描写される磁場を生産する。黒色顔料粒子の鎖の形状および構造に起因して、視認側からディスプレイ100に進入する光は、主として、黒色顔料鎖122の傍を通過し、白色顔料粒子121から反射され得る。故に、図1に示される構成では、カプセル126および127は、ディスプレイ100の視認側上において、白色(すなわち、明グレー)で現れる一方、カプセル125および128は、黒色(すなわち、暗グレー)で現れる。故に、スタイラス108が、顔料粒子122の連鎖をカプセル126および127内等に引き起こす場合、スタイラス108の運動を表す描かれる画像の複写が、ディスプレイ100の視認表面で可視となる。また、下記に説明される図2を参照されたい。
【0042】
図1は、磁気スタイラスによって黒色状態から白色状態に改変されるディスプレイの実施例を図示するが、ディスプレイは、同様に、磁気スタイラスによって白色状態から黒色状態に改変されるように生産されてもよいこと、および、図1は、それとともに本明細書に説明されるような磁気泳動ディスプレイが使用され得るディスプレイの1つの例証的実施例にすぎないことを理解されたい。
【0043】
図2は、磁気的に作動される媒体を含む書込可能タブレット200を図示する。書込可能タブレット200は、カプセル化された磁気泳動ディスプレイ220と、ディスプレイ層と相互作用するスタイラス280とを含む。図2に示されるように、書込可能タブレット200は、筐体210と、実際または仮想上のものであり得るインターフェース制御240とを含む従来の電子書込可能タブレットに類似する。ユーザが、スタイラス280を用いて書込可能媒体220上に「書き込む」につれて、それによって、その中で磁気顔料粒子が連鎖している(上記に議論される)カプセルの面積に対応する「ストローク」290を作成する。いくつかの実施形態では、スタイラスの「ストローク」はまた、例えば、誘導信号を通して、スタイラスと相互作用するデジタル化層によって記録されてもよい。図2に示されるように、スタイラスは、暗い背景上に、白色である「ストローク」290をもたらす。しかしながら、これは、白色磁気顔料を使用することによって、または、書込前に非磁気白色顔料を書込表面に駆動することによって、黒色を白色背景上に書き込むことがまた、可能性として考えられるため、限定されない。
【0044】
スタイラス280は、ハンドル部分283と、先端部分285とを含む。スタイラス280は、加えて、先端部分285から対向するハンドル部分283の端部に位置する第2の磁石287を含んでもよい。先端部分は、カプセル化された磁気泳動ディスプレイ220と相互作用する磁気要素を格納する。
【0045】
磁性球320と金属円柱340とを含む例示的スタイラス先端300が、図3に示される。磁性球320は、300~3,000ガウスの磁場強度を有するネオジム磁石(N42、N45、N50、またはN52;K&J Magnetics, Pipersville, PA)であってもよい。金属円柱340は、低カーボンスチールワイヤ(McMaster-Carr, Robbinsville, NJ)等の鉄含有ワイヤであってもよい。金属円柱340は、鋼鉄、鋳鉄、鉄合金等の磁気領域を有する種々の金属から構築されてもよい。いくつかの実施形態では、金属円柱は、ポリマーまたは強磁性セラミック内で不動化される遊離した強磁性材料から構築されてもよい。磁性球320は、標準的な方法で(すなわち、球体の中心から球体の表面まで)定義される半径rを有する。図5を詳細に参照されたい。金属円柱340は、典型的には、磁性球320とほぼ同一の幅であるが、磁性球320の直径より長い。一般に、金属円柱340の半径r’と、金属円柱340の高さhと、磁性球320の半径rとの間の関係は、2r≦r’≦0.5rおよび50r≦h≦3rである。大部分の実施形態では、rは、0.5mm~6mmである。一般に、r=r’である。
【0046】
図3に示されるように、磁性球の極に関して、スタイラス先端300の長手方向軸(鎖線)と整列されることが、好ましい。故に、狭および対称磁場は、スタイラスが磁気的にアドレス指定可能な媒体をアドレス指定するために使用されるとき、より狭い特徴を生産するために、先端から放射状に広がる。いくつかの実施形態では、結合剤330が、磁性球320を先端部分360および金属円柱340の両方に対して定位置に保定するために使用されてもよい。結合剤は、先端のコンポーネントを定位置に保つために硬化する樹脂またはある他のポリマーであってもよい。例えば、結合剤は、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリイソシアネート、またはシアノアクリレートを備えてもよい。いくつかの実施形態では、結合剤は、スタイラス先端300の組立前、磁性球320を金属円柱340に結合するために使用されてもよい。他の実施形態では、結合剤330は、先端部分360内に配置され得、次いで、磁性球320および金属円柱340は、結合剤330が硬化される前、先端部分360の中に挿入される。磁性球320は、外部磁気での硬化の間、スタイラス先端300の長手方向軸と整列されることができる。
【0047】
先端部分360は、書込体験を改良するために、円錐として成形される。典型的には、先端部分360は、図3に示されるようにスタイラスが平坦表面と垂直に保持されるとき、40~75度の円錐角Фを有する。先端部分360は、任意の非磁気材料から形成されてもよいが、ABSプラスチックおよびナイロン等の高強度ポリマーは、良好に機能する傾向にある。代替として、木材または木材複合材が、使用されてもよい。典型的には、磁性球320は、磁性球320の半球未満が先端部分360の遠位端を越えて延在するように、スタイラスの先端部分の遠位端によって保定される。球状磁気書込インターフェースは、これらの他の形状が磁気泳動ディスプレイを引っ掻く鋭的縁を有するため、長方形、円柱形、または円錐形磁気書込インターフェースより優れていることが見出されている。
【0048】
第2の例示的スタイラス先端400が、図4に示される。スタイラス先端400は、図3のスタイラス先端300と機能的に同じであるが、スタイラス先端400の円錐角Фは、図3のスタイラス先端300とは対照的に、より大きく、鉛筆の感触をより良好に再現し、これは、ペンのようにより感じる。加えて、磁性球320の半径は、スタイラス400におけるものより小さいため、結果として生じる「ストローク」は、より細い。図3または4に示されないが、潤滑性ポリマー(例えば、フッ素重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルコキシアルカンのフッ素重合体、またはそのコポリマー))でスタイラス先端(300または400)の端部を被覆することが、適している。
【0049】
本発明の磁気スタイラス先端の利点が、図5および6に図示される。図5に示されるように、先端部分360内に配置される磁性球320のみを有するスタイラス先端500は、磁気泳動ディスプレイ220上の黒色に白色を書き込むとき、綺麗な「ストローク」290を生産するが、多くの場合、ストローク290と並んで現れる「ゴーストライン」295が存在する。これは、磁性球320の対向極と磁気粒子との間の相互作用に起因する可能性が高い。可視化は、磁気粒子の連鎖と、(視認者に向かった白色粒子の運動とは対照的に)黒色顔料の下方の白色顔料の後続可視化とによって駆動されるため、磁石の北極と南極との両方の間の相互作用は、色変化を引き起こす。(北および南は、図では完全に恣意的であり、単に、両方の極との相互作用であることを理解されたい。)磁気連鎖プロセスのさらなる詳細に関して、米国特許公開第2020/0,201,454号(参照によりその全体が援用される)を参照されたい。
【0050】
先端部分360内の磁性球320のみを使用することと対照的に、金属円柱340を磁性球320の近位に追加することは、最適な書込「感触」を達成することが可能であるが「ゴーストライン」295を伴わない十分に磁場線の形状を変化させることが発見されている。そのようなスタイラス先端600は、優れた書込体験を生産する。金属円柱340による場線の成形は、磁気フィルム(図示せず)を伴って視覚化することができる。磁性球320の場線720は、予期されるように、球状に対称であり、図7に示されるように、磁性球320の北極と南極との間に延在する。金属円柱340と組み合わせられる磁性球320の場線820は、細長いハートの形状を生産するように、金属円柱340の領域によって歪曲される。図8を参照されたい。場線歪曲の結果として、この構成を有するスタイラス先端600は、磁気書込媒体と相互作用するとき、磁気顔料の意図されない連鎖を引き起こさない。図6を参照されたい。
【0051】
本明細書に説明されるスタイラスは、電子タッチスクリーンインターフェースを利用する他の電子書込デバイスに関して認知可能なスタイラス遅れのいずれも伴わずに、1m/秒超の速度で、10:1超のコントラストで、高速の自然な手書きを可能にする。いくつかの実施形態では、本発明のスタイラスは、加えて、ハンドル部分の第2の端部の近位の第2の磁石を含んでもよく、これは、フェライト磁石または縞状極磁石であり、10~500ガウス(例えば、50~200ガウス)の磁場強度を有してもよい。スタイラス1308はまた、無線送信機(例えば、BLUETOOTH(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)、またはWIFI)と、無線送信機に動作可能に接続される、スタイラス1308の本体1310上のスイッチ1340とを含んでもよい。したがって、磁気泳動ディスプレイ220をアドレス指定するために使用されるとき、スタイラス280は、鉛筆またはペンに類似する様式で使用され、スタイラスが設置された場所に、テキストの線、図面等を作成してもよい。図2を参照されたい。さらに、電力を磁気泳動ディスプレイに供給する必要はなく、書込は、さらなる電力消費を伴わずに、その外観を無限に維持する。
【0052】
いくつかの実施形態では、システムは、局所的および大域的消去の両方を含んでもよい。すなわち、書込の一部のみを消去することが所望されるとき、ユーザは、電極間にある程度の電圧を印加する回路と相互作用することによって、閾値下電磁アドレス指定(「消去」として知られる)モードをアクティブ化する。代替として、磁気泳動ディスプレイ220は、大域的消去スイッチ240および/または局所的消去スイッチ245を含み、それによって、上記に説明されるように、コントローラに、適した波形を提供させてもよい。大域的消去はまた、スタイラス上の別個のスイッチ(図示せず)を用いて、アクティブ化されてもよい。無線送信機が信号を電圧コントローラに送信すると、電圧コントローラは、閾値下電圧波形をディスプレイ全体に提供する。いくつかの実施形態では、スタイラスは、画像の部分を局所的に消去するために十分である第2の磁石287を含んでもよい。典型的には、第2の磁石287は、先端部分360内に配置される球状磁石320より弱い。
【0053】
本願の技術のいくつかの側面および実施形態をこのように説明したが、種々の改変、修正、および改良が、当業者に容易に想起されることを理解されたい。そのような改変、修正、および改良は、本願に説明される技術の精神および範囲内であることが意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施するための、および/または、結果および/または利点のうちの1つまたはそれを上回るものを取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正はそれぞれ、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、本明細書に説明される具体的実施形態の多くの均等物を認識する、またはルーチン実験のみを使用してそれらを確認することが可能である。したがって、前述の実施形態が実施例としてのみ提示されること、および、添付される請求項およびその均等物の範囲内で発明的実施形態が、具体的に説明されるものとは他の態様で実践され得ることを理解されたい。加えて、本明細書に説明される2つまたはそれを上回る特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に一貫する場合、本開示の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】