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特表2022-537844煙道ガス処理を最適化したバイオマス暖房システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(54)【発明の名称】煙道ガス処理を最適化したバイオマス暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F23B 30/04 20060101AFI20220823BHJP
   F23B 80/02 20060101ALI20220823BHJP
   F23B 90/04 20110101ALI20220823BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20220823BHJP
   F23J 1/02 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
F23B30/04
F23B80/02
F23B90/04
F23J15/00 Z
F23J1/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528203
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2020074584
(87)【国際公開番号】W WO2021043895
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】19195118.5
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19210080.8
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19210444.6
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522082126
【氏名又は名称】エスエル-テクニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゾンマーラウアー,ティロ
【テーマコード(参考)】
3K046
3K070
3K161
【Fターム(参考)】
3K046AA07
3K046AA17
3K046AB06
3K046AC06
3K046AD08
3K046BA01
3K046BA04
3K046BA09
3K046FA01
3K070DA07
3K070DA09
3K070DA30
3K070DA48
3K161AA02
3K161AA16
3K161AA23
3K161CA01
3K161DB12
3K161LA02
3K161LA12
3K161LA53
(57)【要約】
燃焼装置(2)を有するボイラー(11)と、入口(33)および出口を有する熱交換器(3)と、を備え、燃焼装置(2)が、一次燃焼ゾーン(26)と、その下流に設けられた二次燃焼ゾーン(27)と、を有する燃焼室(24)を備え、燃焼装置(2)が、燃料を乗せて燃焼させることができる回転火格子(25)を有し、燃焼室(24)の二次燃焼ゾーン(27)が、熱交換器(3)の入口(33)と流体的に接続され、一次燃焼ゾーン(26)が、複数の燃焼室レンガ(29)によって横方向に囲まれている、ペレットおよび/または木質チップの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システム(1)が開示されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット及び木質チップの少なくとも1つの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システム(1)であって、
燃焼装置(2)を有するボイラー(11)と、
入口(33)および出口を有する熱交換器(3)と、を備え、
前記燃焼装置(2)が、一次燃焼ゾーン(26)と、その下流に設けられた二次燃焼ゾーン(27)と、を有する燃焼室(24)を備え、
前記燃焼装置(2)が回転火格子(25)を備え、前記回転火格子(25)の上で前記燃料を燃焼させることができ、
前記燃焼室(24)の前記二次燃焼ゾーン(27)が、前記熱交換器(3)の前記入口(33)と流体的に接続され、
前記一次燃焼ゾーン(26)が、複数の燃焼室レンガ(29)によって横方向に囲まれている、バイオマス暖房システム(1)。
【請求項2】
前記燃焼装置(2)における前記燃料の燃焼時に発生する煙道ガスを再循環させるための再循環装置(5)をさらに備え、
前記再循環装置(5)は、
前記熱交換器(3)の前記出口の下流に設けられ、前記熱交換器(3)の前記出口と流体的に接続された再循環入口(53)と、
一次空気を供給するための一次空気ダクト(58)と、
一次混合ダクト(55)及び一次混合室(542)を有し、前記一次混合室(542)が前記再循環入口(53)および前記一次空気ダクト(58)との下流に設けられるとともに流体的に接続されている、一次混合ユニット(5a)と、
前記一次混合室(542)の入口側に設けられた少なくとも2つの空気弁(52)と、
前記一次混合ダクト(55)の下流に設けられ、前記一次混合ダクト(55)と流体的に接続され、前記回転火格子(25)の上流に設けられた、前記一次燃焼ゾーン(26)への一次通路(54)と、を備え、
前記一次混合ユニット(5a)は、前記一次混合室(542)の前記少なくとも2つの空気弁(52)によって前記再循環入口(53)からの前記煙道ガスを前記一次空気ダクト(58)からの前記一次空気と混合するように配置されている、
請求項1に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項3】
前記一次混合ダクト(55)は、
前記一次混合室(542)の一次混合室出口(543)に直接接続され、前記一次混合室(542)の下流に設けられている、
請求項1または2に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項4】
前記一次混合ダクト(55)は直線状にのびており、始点から終点までの最小の長さが700mmである、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項5】
前記一次混合室(542)の前記空気弁(52)はゲートバルブ(52s)である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項6】
前記一次混合室(542)は、出口側に一次混合室出口(543)を有するとともに、入口側に少なくとも2つの弁通路開口(526)を有し、
前記一次混合室(542)は、前記少なくとも2つの弁通路開口(526)と前記一次混合室出口(543)とが前記一次混合室(542)を通して互いに向き合うことがないように配置されているため、前記少なくとも2つの弁通路開口(526)を通って前記一次混合室(542)に入る前記流れが前記一次混合室(542)内で偏向または方向転換される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項7】
前記再循環装置(5)は、
二次空気を供給するための二次空気ダクト(59)と、
前記二次空気ダクト(59)の下流に設けられ、前記二次空気ダクト(59)と流体的に接続されている、二次温度制御ダクト(55a)と、
前記二次温度制御ダクト(55a)と前記二次空気ダクト(59)との間で前記二次温度制御ダクト(55a)の入口側に設けられた、少なくとも1つの空気弁(52)と、
前記燃焼室レンガ(29)に設けられ、横方向に前記燃焼室(24)の中に向けられ、前記二次温度制御ダクト(55a)の下流に設けられるとともに前記二次温度制御ダクト(55a)と流体的に接続されている、二次空気ノズル(291)と、を備え、
二次温度制御ダクト(55a)が、前記煙道ガスが前記燃焼室(24)に入る前に前記煙道ガスを加熱するように配置されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項8】
前記煙道ガスを濾過するための静電フィルター装置(4)と、
前記フィルター装置(4)の下流に設けられ、前記フィルター装置(4)と流体的に接続された煙道ガス復水器(49)と、をさらに備え、それによって、
前記煙道ガス復水器(49)は、前記煙道ガス復水器(492)を通して熱交換媒体を流すための第1の流体接続部(491)および第2の流体接続部(492)を有し、
前記煙道ガス復水器(49)は、複数のU字型の熱交換器管(493)を持ち、
前記複数のU字型の熱交換器管(493)は、第1の方向に互いに平行にグループで配置され、
前記熱交換器管(493)の前記グループは、第2の方向で互いに平行に配置され、
前記熱交換器管(493)の前記グループは、前記第1の流体接続部(491)と前記第2の流体接続部(492)との間で直列に流体接続され、
前記複数のU字型の熱交換器管(493)は、前記複数の熱交換器管(493)を通る前記煙道ガスの流れ(OS1)に関して十字流-向流構成を形成するように配置されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項9】
前記複数のU字型の熱交換器管(493)は、前記煙道ガスを流す(OS1)ための、前記第2の方向に流体的に連続した通路を形成するように配置され、前記通路は、最小幅(SP2)が6.0mm±2mmである、
請求項8に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項10】
すべてのU字型の熱交換器管(493)の端部が、板状の管板部材(4932)に収容され、
7~12本、好ましくは8~10本のU字型の熱交換器管(493)が、それぞれ前記第1の方向にグループとして配置され、
8~14本、好ましくは10~12本のU字型の熱交換器管(493)のグループが、前記第2の方向に配置されている、
請求項8または9に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項11】
前記U字型の熱交換器管(493)は、最大長が421mm±50mmであるという特徴、および、材料が1.4462であるという特徴のうち少なくとも1つを有する、
請求項8から10のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項12】
燃焼残渣を前記ボイラー(11)の外に搬送するための灰排出スクリュー(71)を備え、
前記灰排出スクリュー(71)が、移行部スクリュー筐体(75)に回転可能に収容され、かつ、逆巻部(731)を有する移行部スクリュー(73)を備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項13】
前記バイオマス暖房システム(1)が、前記燃焼室(24)と前記熱交換器(3)の前記出口との間の前記燃焼残渣が、前記煙道ガスに対して少なくとも大部分が気密的に分離または封止されるように、前記移行部スクリュー筐体(75)内の前記燃焼残渣が前記灰排出スクリュー(71)の回転時に圧縮されるように設定されている、
請求項12に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項14】
前記移行部スクリュー筐体(75)は、漏斗要素(755)によって囲まれる、上方向に開いた開口(751)を有し、
前記移行部スクリュー(73)の前記逆巻部(731)は、前記灰排出スクリュー(71)が回転するときに前記燃焼残渣が前記開口(751)から上方向に排出されるように配置されている、
請求項12または13に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項15】
前記灰排出スクリュー(71)は、前記移行部スクリュー(73)の一方の側で、前記移行部スクリュー(73)の他方の側よりも直径が大きい、
請求項12、13または14に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙道ガス処理を最適化したバイオマス暖房システムに関する。
【0002】
特に、本発明は、少なくとも1つの混合室ならびに、煙道ガス復水器および移行部スクリューを備えたバイオマス暖房システム用の再循環装置に関する。
【背景技術】
【0003】
出力レンジ20~500kWのバイオマス暖房システム、特にバイオマスボイラーが知られている。バイオマスは、安価で危機に強く、環境にも優しい国産燃料であるといえる。可燃性のバイオマスや固体のバイオ燃料としては、木質チップや木質ペレットがある。
【0004】
ペレットは通常、木屑、おがくず、バイオマスなどの材料を、直径約3~15mm、長さ5~30mmの小さな円盤状または円柱状に圧縮して作られる。木質チップ(鉋屑、木片、木材チップとも呼ばれる)とは、木材を切削工具で細断したものである。
【0005】
ペレットや木質チップの形での燃料を用いるバイオマス暖房システムの基本的な特徴として、燃焼室(燃焼炉)を持つボイラーと、それに接続された熱交換装置とを備えていることがあげられる。多くの国で厳しい法規制がなされていることから、バイオマス暖房システムのなかには、粉塵フィルターを装備したものも存在する。その他、通常は、燃料供給装置、制御装置、プローブ、安全サーモスタット、圧力スイッチ、煙道ガスまたは排ガス用の再循環システム、ボイラー清掃装置、独立した燃料タンクなど、様々な付帯設備が用意されている。
【0006】
一般に、燃焼室には、燃料を供給するための装置、空気を供給するための装置、燃料用の点火装置が備えられている。空気を供給するための装置には通常、燃焼室での燃焼時に熱力学的要因に有利な影響を与えるために、低圧送風機が設けられているという特徴がある。燃料を供給するための装置には、例えば、横方向への挿入(いわゆる横挿入焚き)を備えることができる。この場合、燃料は、側面からスクリューまたはピストンによって燃焼室に供給される。
【0007】
固定床炉の燃焼室には一般に、燃料を実質的に連続的に供給して燃焼させる燃焼火格子も含まれる。この燃焼火格子には燃焼用の燃料が蓄えられ、燃料への一次空気として燃焼用空気の一部を通過させる、溝などの開口部が設けられている。さらに、火格子は、固定式であっても可動式であってもよい。燃焼用空気が火格子を通らず、側面だけから供給される火格子炉もある。
【0008】
火格子の中を一次空気が流れると、火格子も冷却され、特に材料が保護される。また、空気の供給が不十分であると、火格子でスラグが形成されることがある。特に、本開示が特に関係する、異なる燃料が供給される炉には、燃料ごとに灰融点や含水率、燃焼挙動も異なるという固有の問題がある。このため、異なる燃料に等しく適合する暖房システムを提供することには課題が多い。さらに、燃焼室を、一次燃焼ゾーン(燃焼用空気をさらに供給する前に、火格子とその上のガス空間で燃料を即時燃焼)と二次燃焼ゾーン(空気をさらに供給した後の煙道ガスの後燃焼ゾーン)とに規則的に区分することができる。燃焼室では、燃料の乾燥、熱分解およびガス化と、木炭のバーンアウトが行われる。また、得られた可燃性ガスを完全に燃焼させるために、二次燃焼ゾーンの開始時に、1段以上で追加の燃焼用空気(二次空気または三次空気)も導入される。
【0009】
乾燥後のペレットや木質チップの燃焼には、大きく分けて2つの段階がある。第一段階では、少なくとも部分的に、高い温度と燃焼室に注入可能な空気とによって燃料が熱分解されてガスに変換される。第二段階では、ガスに変換された(一)部分の燃焼が行われるとともに、残った固体(例えば木炭)の燃焼も行われる。この点で、燃料が脱ガスされ、それによって発生するガスとその中に存在する木炭も一緒に燃やされる。
【0010】
熱分解とは、固体物質が酸素のない状態で熱によって分解されることである。熱分解は、一次熱分解と二次熱分解に分けられる。一次熱分解では熱分解コークスと熱分解ガスが生成物になり、熱分解ガスは、室温で凝縮できるガスと凝縮できないガスとに分けられる。一次熱分解はおおむね250~450℃、二次熱分解は約450~600℃でなされる。その後の二次熱分解は、一次熱分解で生じる熱分解生成物をさらに反応させるものである。揮発性のCH化合物が粒子から逃げるため、乾燥と熱分解の少なくとも大部分は空気を使用せずに行われ、粒子の表面に空気が到達しない。ガス化を酸化の一部とみることができ、さらに熱を加えることで反応がなされるのは、熱分解時に形成された固体、液体、気体の生成物である。この反応は、空気、酸素、水蒸気などのガス化剤を添加することで行われ、二酸化炭素ですらもガス化剤として添加される。ガス化時のラムダ値は0より大きく、1未満である。ガス化は300~850℃前後、あるいは最大1,200℃でも行われる。続いて、これらの工程にさらに空気を加えることで、過剰な空気による完全な酸化(ラムダ値が1より大きい)が行われる。反応の最終生成物は、基本的に二酸化炭素、水蒸気および灰である。どの段階でも、境界は厳密ではなく流動的である。燃焼プロセスについては、ボイラーの排ガス出口に設置されたラムダセンサーによって都合よく制御することが可能である。
【0011】
一般論として、ペレットをガスに変換することで、気体燃料が燃焼用空気と一層よく混ざってより完全に変換されるため、燃焼効率が上がり、汚染物質の排出が少なく、未燃粒子や灰(フライアッシュまたは粉塵粒子)の発生が少なくなる。
【0012】
バイオマスの燃焼により、炭素、水素、酸素を主成分とするガス状の燃焼生成物または空気によって運ばれる燃焼生成物が生じる。これらは、完全酸化による排出物、不完全酸化による排出物、微量元素や不純物に由来する物質に分けられる。完全酸化による排出物は、主に二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)である。バイオマスの炭素から二酸化炭素が得られれば、放出されるエネルギーを一層有効に利用することができるため、二酸化炭素の生成が燃焼の目的である。二酸化炭素(CO2)の放出量は、燃やした燃料の炭素含有量にほぼ比例する。このため、二酸化炭素は、供給される有用なエネルギーにも依存する。基本的に、削減は効率を高めることでしか達成できない。また、灰やスラグなどの燃焼残渣も発生する。
【0013】
しかしながら、上述したような複雑な燃焼過程を制御するのは容易ではない。一般論として、バイオマス暖房システムにおける燃焼過程の改善が求められている。
【0014】
燃焼室に空気を供給するだけでなく、ボイラーからの排ガスを燃焼室に戻し、冷却と再燃焼を行う、煙道ガスまたは排ガスの再循環装置も知られている。従来技術では、燃焼室には通常、燃焼室につながる一次空気ダクトを通して一次空気を供給するための開口が設けられ、二次空気ダクトからの二次空気、場合によっては新鮮な空気を供給するための円周方向の開口も設けられている。煙道ガスの再循環については、火格子の下で行っても上で行ってもよい。さらに、煙道ガスの再循環を、燃焼用空気と混合して行うことも、別々に行うことも可能である。
【0015】
燃焼室での燃焼で生じる煙道ガスまたは排ガスは熱交換器に送られるため、高温の燃焼ガスが熱交換器を流れ、通常は約80℃(通常は70℃~110℃)の水である熱交換媒体に熱が伝達される。ボイラーには通常、燃焼室に組み込まれた輻射セクションと、対流セクション/輻射部(これに接続された熱交換器)とが備えられている。
【0016】
点火装置は通常、熱風装置またはアニール装置である。前者の場合、燃焼室に熱風を供給することで燃焼が開始され、熱風は電気抵抗器によって加熱される。2つ目の場合、点火装置にグロープラグ/グローロッドまたは複数のグロープラグを含み、燃焼が始まるまでペレットまたは木質チップと直接接触させてこれを加熱する。また、点火段階ではグロープラグとペレットや木質チップとの接触を維持し、グロープラグが炎にさらされ続けることがないようにこれを後退させるモーターが、グロープラグに備えられている場合もある。この方法は消耗を生じやすく、コストもかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
基本的に、従来のバイオマス暖房システムの問題点は、気体または固体の排出量が多すぎること、効率が悪すぎること、粉塵の排出量が多すぎることである。また、燃料の含水率や燃料の硬さがまちまちであることから燃料の品質にばらつきがあり、燃料を低エミッションで均一に燃焼させるのが難しいという問題もある。特に、種類の異なる生物燃料やバイオ燃料に適しているとされるバイオマス暖房システムでは、燃料の品質や粘稠度にばらつきがあるため、バイオマス暖房システムの効率を常に高く維持することが困難になっている。この点で、相当に最適化が必要とされている。
【0018】
従来のペレット用バイオマス暖房システムの欠点のひとつとして、燃焼室に落下したペレットが火格子から転がり落ちたり、滑り落ちたり、火格子から離れたり、火格子の横に落ちたりして、燃焼室の温度が低めの領域や空気があまり供給されない領域に入ったり、ボイラーの下層室や灰シュートに落下したりする場合があることである。火格子に残らないペレットは不完全燃焼を起こし、効率の悪さの原因となり、過剰な灰や一定量の未燃焼の汚染粒子が発生する。同じことは、ペレットだけでなく、木材チップにもあてはまる。
【0019】
このような理由から、ペレット用の公知のバイオマス暖房システムには、例えば火格子および/または燃焼ガスの出口の近傍に、燃料要素を特定の場所に保持するためのバッフル板が設けられている。ボイラーによっては、ペレットがボイラーの灰除去若しくは灰排出部または下層室、あるいは灰除去若しくは灰排出部及び下層室に落ちるのを防ぐために、燃焼室内に段差が設けられている。しかしながら、このバッフルやオフセットに燃焼残渣が詰まり、それによって清掃がしにくくなり、場合によっては燃焼室内の空気の流れが阻害されることもある。その結果、効率が低下することになる。また、これらのバッフル板は、それ自体、製造や組み立てに手間がかかる。同じことは、ペレットだけでなく木材チップにもあてはまる。
【0020】
ペレットまたは木質チップ用のバイオマス暖房システムには、さらに次のような欠点や問題点がある。
【0021】
一つの問題は、火格子からの燃料の分配が不均一であり、さらには空気と燃料との混合状態が最適ではないがゆえ、不完全燃焼によって、燃焼火格子に直接つながる空気入口開口を通して、あるいは火格子の端から空気ダクトまたは空気供給領域に、未燃灰が蓄積されたり落下したりしやすくなる点にある。
【0022】
これは特に問題が大きく、清掃などのメンテナンス作業のために頻繁に中断を引き起こすことになる。これらの理由から、通常は燃焼室内で大幅に過剰な空気が維持されているが、それによって火炎温度や燃焼効率が低下し、(スワール増加などによる)未燃ガス(CO、CyHyなど)、NOx、粉塵の排出量が増加することになる。
【0023】
圧力ヘッドの低い送風機を使用すると、燃焼室内で空気の適切な渦流が得られないため、空気と燃料とを最適な状態で混合することができない。一般に、従来の燃焼室では、最適な渦流を形成するのが困難である。
【0024】
また、空気ステージングを行わない公知のバーナーでは、ペレットのガスへの変換と燃焼の2つの段階が、同量の空気によって燃焼室全体で同時に行われ、効率が低下するという問題がある。
【0025】
さらに、従来技術におけるバイオマス暖房システムの熱交換器の最適化が特に求められている。すなわち、これらの熱交換器の効率を高めることができるであろう。また、従来の熱交換器では清掃が面倒で非効率的である場合が多いという点に関連して、改善も求められている。
【0026】
このことは、バイオマス暖房システムの通常の電気集塵機/フィルターでも同様である。スプレーやセパレータの電極が燃焼残渣で目詰まりし、濾過のための電界の形成状態が悪化し、濾過効率が低下する。
【0027】
本発明の課題は、ハイブリッド技術におけるバイオマス暖房システムであって、(特に細塵、CO、炭化水素、NOxの)排出量が少なく、燃料面で柔軟な方法で木質チップおよびペレットを用いて稼働させることができ、効率が良く、場合によっては最適な煙道ガス処理設備を有するバイオマス暖房システムを提供することであり得る。
本発明によれば、上記に加えて、以下の考慮事項が何らかの役割を果たすであろう。
【0028】
ハイブリッド技術では、含水率8~35重量%のペレットと木質チップの両方を使用できるようにする必要がある。
【0029】
ガス排出量を可能な限り低くする(乾燥煙道ガスおよび13容量%のO2基準で50mg/Nm3未満または100mg/Nm3未満)。
【0030】
電気集塵機を稼働させない場合は15mg/Nm3未満、電気集塵機を稼働させる場合は5mg/Nm3未満という、極めて低い粉塵排出量を目標とする。
【0031】
(供給燃料エネルギー(発熱量)基準で)最大98%の高い効率を実現する。
【0032】
さらに、システムの動作を最適化すべきことも考慮することができる。例えば、灰の除去/排出が容易であること、清掃が容易であること、あるいはメンテナンスが容易であることがあげられる。
【0033】
さらに、システムの可用性が高いことも必要である。
【0034】
この文脈において、上述した課題または潜在的な個々の問題が、例えば燃焼室、熱交換器または煙道ガス復水器など、システム全体の下位の態様と関連する場合もある。
【0035】
煙道ガス処理の最適化とは、煙道ガスや燃焼を改善するためのあらゆる対策をいう。これには、例えば、バイオマス暖房システムを、より排出量が少なく、よりエネルギー効率が良く、あるいはより低コストにする対策であって、煙道ガスの流動的および/または物理的な処理を伴う対策が含まれる場合がある。また、煙道ガス処理という総称的な用語には、例えば、後述する煙道ガスの凝縮、同じく後述する煙道ガスの再循環も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上述した課題は、独立請求項が対象とするものによって解決される。別の態様ならびに有利な追加の実施形態については、従属請求項の対象である。
【0037】
本開示の一態様によれば、ペレットおよび/または木質チップの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムが提供され、このプラントは、燃焼装置を有するボイラーと、入口および出口を有する熱交換器と、を備え、燃焼装置が、一次燃焼ゾーンと、その下流に設けられた二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、燃焼装置が回転火格子を備え、この回転火格子の上で燃料を燃焼させることができ、燃焼室の二次燃焼ゾーンが、熱交換器の入口と流体的に接続され、一次燃焼ゾーンが、複数の燃焼室レンガによって横方向に囲まれている。
【0038】
この構成の利点ならびに以下の態様の利点は、関連する実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。
【0039】
上述した態様をさらに発展させたものによれば、燃焼装置における燃料の燃焼時に発生する煙道ガスを再循環させるための再循環装置をさらに備え、再循環装置は、熱交換器の出口の下流に設けられ、熱交換器の出口と流体的に接続された再循環入口と、一次空気を供給するための一次空気通路と、一次混合室および一次混合通路を有する一次混合ユニットであって、一次混合室は、再循環入口および一次空気通路の下流に設けられ、再循環入口および一次空気通路と流体的に接続されている、一次混合ユニットと、一次混合室の入口側に設けられた少なくとも2つの空気弁と、一次混合ダクトの下流に設けられ、一次混合ダクトと流体的に接続された、一次燃焼ゾーンへの一次通路と、を備え、一次通路は回転火格子の上流に設けられ、一次混合ユニットが、一次混合室の少なくとも2つの空気弁によって再循環入口からの煙道ガスを一次空気ダクトからの一次空気と混合するようにされている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0040】
上述した態様のさらに別の態様によれば、一次混合ダクトは一次混合室の一次混合室出口に直接接続され、一次混合室の下流に設けられている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0041】
上述した態様のさらに別の実施形態によれば、一次混合ダクトは直線状にのびており、始点から終点までの最小の長さが700mmである、バイオマス暖房システムが提供される。
【0042】
上述した態様のさらに別の実施形態によれば、一次混合室の空気弁はゲートバルブである、バイオマス暖房システムが提供される。
【0043】
上述した態様のさらに別の態様によれば、一次混合室は、出口側に一次混合室出口を有するとともに、入口側に少なくとも2つの弁通路開口を有し、一次混合室は、少なくとも2つの弁通路開口と一次混合室出口とが一次混合室を通して互いに向き合うことがないように配置されているため、少なくとも2つの弁通路開口を通って一次混合室に入る前記流れが一次混合室内で偏向または方向転換される、バイオマス暖房システムが提供される。
【0044】
上述した態様のさらに別の態様によれば、再循環装置が、二次空気を供給するための二次空気ダクトと、二次混合室と二次混合ダクトとを有する二次混合ユニットであって、二次混合室は、再循環入口および二次空気ダクトの下流に設けられ、再循環入口および二次空気ダクトと流体的に接続されている二次混合ユニットと、二次混合室の上流に設けられた少なくとも2つの空気弁と、燃焼室レンガに設けられ、横方向に一次燃焼ゾーンの中に向けられた二次空気ノズルであって、二次混合ダクトの下流に設けられて二次混合ダクトと流体的に接続されている二次空気ノズルと、を備え、二次混合ユニットは、二次混合室の少なくとも二つの空気弁によって再循環入口からの煙道ガスを二次空気ダクトからの二次空気と混合するように配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0045】
上述した態様をさらに発展させたものによれば、再循環装置は、二次空気を供給するための二次空気ダクトと、二次空気ダクトの下流に設けられ、二次空気ダクトと流体的に接続されている、二次温度制御ダクトと、二次温度制御ダクトと二次空気ダクトとの間で二次温度制御ダクトの上流に設けられた、少なくとも1つの空気弁と、燃焼室レンガに設けられ、横方向に燃焼室の中に向けられた二次空気ノズルであって、二次温度制御ダクトの下流に設けられ、二次温度制御ダクトと流体的に接続されている、二次空気ノズルと、を備え、二次温度制御ダクトが、煙道ガスが燃焼室に入る前に煙道ガスを加熱するようにされている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0046】
上述した態様をさらに発展させたものによれば、煙道ガスを濾過するための静電フィルター手段と、静電フィルター手段の下流に設けられ、静電フィルター手段と流体的に接続された煙道ガス復水器と、をさらに備え、煙道ガス復水器は、煙道ガス復水器を通して熱交換媒体を流すための第1の流体接続部および第2の流体接続部を備え、煙道ガス復水器は、複数のU字型の熱交換管を備え、複数のU字型の熱交換管は、第1の方向に互いに平行にグループで配置され、熱交換器管のグループは、第2の方向で互いに平行に配置され、熱交換器管のグループは、第1の流体接続部と第2の流体接続部との間で互いに直列に流体接続され、複数のU字型の熱交換器管は、複数の熱交換器管を通る煙道ガスの流れに関して十字流-向流構成を形成するように配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0047】
上述した態様をさらに発展させたものによれば、複数のU字型の熱交換器管は、煙道ガスを流すための、第2の方向に流体的に連続したレーンを形成するように配置され、このレーンは、(第1の方向に)最小幅SP2が6.0mm±2mmである、バイオマス暖房システムが提供される。
【0048】
上述した態様のさらに別の態様によれば、すべてのU字型の熱交換器管の端部が板状の管板部材に収容されて配置され、7~12本、好ましくは8~10本の熱交換器管493が、それぞれ第1の方向にグループとして配置され、8~14本、好ましくは10~12本の熱交換器管のグループが、第2の方向に配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0049】
上述した態様をさらに発展させたものによれば、U字型の熱交換器管は、最大長が421mm±50mmであるおよび/または(本願の出願日に有効な、この材料で規定されるバージョンで)材料1.4462で作られている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0050】
上述した態様のさらに別の態様によれば、燃焼残渣をボイラーの外に搬送するための灰排出スクリューをさらに備え、灰排出スクリューが、移行部スクリュー筐体に回転可能に収容され、かつ、逆巻部を有する移行部スクリューを備える、バイオマス暖房システムが提供される。
【0051】
上述した態様のさらに別の実施形態によれば、燃焼室と熱交換器の出口との間の燃焼残渣が、煙道ガスに対して少なくとも実質的に気密的に分離またはシールされるように、移行部スクリュー筐体内の燃焼残渣が灰排出スクリューの回転時に圧縮される、バイオマス暖房システムが提供される。
【0052】
上述した態様のさらに別の実施形態によれば、移行部スクリュー筐体は、漏斗要素によって包囲される/囲まれる、上方向に開いた開口を有し、移行部スクリューの逆巻部は、灰排出スクリューが回転するときに燃焼残渣が開口から上方向に排出されるように配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0053】
上述した態様のさらに別の実施形態によれば、灰排出スクリューは、移行部スクリューの一方の側で、移行部スクリューの他方の側よりも直径が大きい、バイオマス暖房システムが提供される。
【0054】
この文脈での「水平」とは、ボイラーも水平に設置されると仮定して軸または断面の平らな向きをいう場合があり、それによって、例えば、地面の高さ位置が基準となる場合がある。あるいは、本明細書で使用する「水平」は、一般に定義されるように、ボイラーの基準平面に対して「平行」であることを意味する場合もある。さらに、特に基準となる面がない場合、「水平」は、火格子の燃焼面に対して単に「平行」であることを意味すると理解されてもよい。
【0055】
本発明の一態様ならびにその態様の実施形態についての上述した特徴および詳細は、いずれもバイオマス暖房システムおよび再循環装置との関連で説明されているが、それらの個々の特徴および詳細それ自体は、バイオマス暖房システムとは独立して開示されてもいる。
【0056】
特に、煙道ガス再循環装置、移行部スクリュー、一次混合ユニット、二次混合ユニットおよび煙道ガス復水器は、バイオマス暖房システムとは独立して記載されており、それに応じて独立して権利請求をすることが可能である。
【0057】
この点に関して、燃焼装置における燃料の燃焼時に発生する煙道ガスを再循環させるための再循環装置が追加で開示されており、この再循環装置は、熱交換器の出口の下流に設けられ、熱交換器の出口と流体的に接続されるようにされた再循環入口と、一次空気を供給するための一次空気通路と、一次混合室および一次混合ダクトを有する一次混合ユニットであって、一次混合室は、再循環入口および一次空気通路の下流に設けられ、再循環入口および一次空気通路と流体的に接続されている、一次混合ユニットと、一次混合室の入口側に設けられた少なくとも2つの空気弁と、一次混合ダクトの下流に設けられ、一次混合ダクトと流体的に接続された、一次燃焼ゾーンへの一次通路と、を備え、一次混合ユニットが、一次混合室の少なくとも2つの空気弁によって再循環入口からの煙道ガスを一次空気ダクトからの一次空気と混合するようにされている。
【0058】
この再循環装置を、当業者が技術的に可能であると考えるように、本明細書に開示される本開示の他の態様および個々の特徴と組み合わせてもよい。
【0059】
煙道ガス再循環のオプションは、一次空気と一緒に火格子の下で煙道ガスだけを再循環させるか、火格子の上下(すなわち一次空気と二次空気)で煙道ガスを再循環させるかのいずれかにすることができる。火格子経由での煙道ガスの再循環は、燃焼室および燃焼室レンガ内での温度制御と混合を改善するのに役立つ。火格子の下での煙道ガスの再循環も、温度制御にも使用され(ただし、ここでは燃料層の温度制御)、燃料層の燃焼時間に影響する。これによって、例えば、木質チップとペレットとの間の差を補正または低減することができる。
【0060】
ボイラーの排ガス出口に接続可能な煙道ガス復水器がさらに開示されている。この煙道ガス復水器は、煙道ガス復水器まで熱交換媒体を流すための第1の流体接続部および第2の流体接続部を備え、煙道ガス復水器は、複数のU字型の熱交換管を備え、複数のU字型の熱交換管は、第1の方向に互いに平行にグループで配置され、熱交換器管のグループは、第2の方向で互いに平行に配置され、熱交換器管のグループは、第1の流体接続部と第2の流体接続部との間で互いに直列に流体接続され、複数のU字型の熱交換器管は、複数の熱交換器管を通る煙道ガスの流れに関して十字流-向流構成を形成するように配置されている。
【0061】
この煙道ガス復水器を、当業者が技術的に可能であると考えるように、本明細書に開示される他の態様および個々の特徴と組み合わせてもよい。特に、煙道ガス復水器と電気フィルター装置との有利な組み合わせが開示されている。
【0062】
さらに、バイオマス暖房システムのボイラーから燃焼残渣を搬送するための灰排出スクリューであって、移行部スクリュー筐体内に回転可能に収容され、逆巻を有する移行部スクリューを備える、灰排出スクリューが開示される。
【0063】
この灰排出スクリューを、当業者が技術的に可能であると考えるように、本明細書に開示される他の態様および個々の特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
以下、本発明によるバイオマス暖房システムを、実施形態の例および個別の態様において、図面を参照して一層詳細に説明する。
図1】本発明の一実施形態によるバイオマス暖房システムの三次元概略図を示す。
図2】断面線SL1に沿って作成され、側面視野Sから見た状態として示された、図1のバイオマス暖房システムの断面図を示す。
図3】断面線SL1に沿って作成され、側面視野Sから見た状態として示された、流路の表示を含む図1のバイオマス暖房システムの断面図を示す。
図4図2および図3のボイラーの燃焼室の幾何学形状を示す、図2の部分図を示す。
図5図4の垂直断面線A2に沿った、ボイラーまたはボイラーの燃焼室の断面図を示す。
図6図4の回転火格子を用いた燃焼室の一次燃焼ゾーンの三次元断面図を示す。
図7図6と同様の燃焼室レンガの分解図を示す。
図8図2の断面線A1から見た、回転火格子要素を有する回転火格子の上面図を示す。
図9図2の回転火格子が閉じた位置にあり、すべての回転火格子要素が水平に整列しているか、閉じている状態を示す。
図10】グローメンテナンスモードで部分的に清掃した状態にある、図9の回転火格子を示す。
図11】好ましくはシステムの停止中に実施される完全清掃状態にある、図9の回転火格子を示す。
図12】一次燃焼ゾーンを囲む燃焼室レンガを有する例示的な再循環装置を強調して示した斜視図を示す。
図13図12の再循環装置を強調して示した半透過斜視図を示す。
図14図12および図13の再循環装置5の側面図を示す。
図15図12図14のバイオマス暖房システムおよび再循環装置の個々の構成要素それぞれにおけるフローパターンを示す概略ブロック図を示す。
図16図12および図13の外観図に対応する、例示的な一次混合室を斜めの視野角からみた断面図ならびに、(一次)弁控え/予備室525を有する2つの入口側(一次)空気弁52を斜めの視野角からみた断面図を示す。
図17図12および図13の外観図に対応する、オプションの二次再循環に関する、例示的な二次混合室を斜めの視野角からみた断面図ならびに、(二次)弁予備室を有する2つの入口側(二次)空気弁を斜めの視野角からみた断面図を示す。
図18】外側のケーシング/外装を追加し、煙道ガス復水器を追加した、図1のバイオマス暖房システムの三次元概略図を示す。
図19a図18の煙道ガス復水器49を、図18の矢印Hの方向から見た側面図で示す。
図19b図18の煙道ガス復水器49を、図18の矢印Vの方向から見た側面図で示す。
図20図19aおよび図18の煙道ガス復水器の内側の図を示す。
図21】煙道ガス復水器の煙道ガス供給ライン用の開口を上から見た状態で、煙道ガス復水器を示す。
図22図18の煙道ガス復水器を上から見た水平断面図を示す。
図23】管板部材と管支持部材とを有する複数の熱交換器管の三次元図を示す。
図24図23の複数の熱交換器管の側面図を示す。
図25図23の複数の熱交換器管の上面図を示す。
図26図23の複数の熱交換器管の上面図を示す。
図27a図2および図3から抽出した、移行部スクリューを有する灰排出スクリューの断面図を示す。
図27b図27aの灰排出スクリューの三次元斜視図を示す。
図28】移行部スクリューの筐体の三次元斜視図を示す。
図29図27aの移行部スクリューを有する灰排出スクリューの断面図の詳細図を示す。
図30】別の実施形態による再循環装置を強調した半透過斜視図を示す。
図31】別の実施形態によるバイオマス暖房システムおよび図31の再循環装置の個々の構成要素それぞれにおけるフローパターンを明らかにする概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、添付の図面を参照して、本開示の様々な実施形態を例としてのみ開示する。しかしながら、実施形態ならびにそこで用いる用語は、本開示を特定の実施形態に限定することを意図したものではなく、本開示の実施形態による様々な改変、等価物および/または代替物を含むように解釈されるべきである。
【0066】
図示の特徴または要素について、より一般的な用語を使用して説明する場合、当業者のために、特定の特徴または要素のみならず、より一般的な技術的教示内容も図に開示することを意図している。
【0067】
図の説明に関して、類似の要素または技術的に対応する要素を示すために、個々の図で同一の参照符号を使用する場合がある。さらに、分かりやすくするために、個々の詳細な図面または断面図では、概略図よりも多くの要素または特徴を参照符号で示すことができる。これらの要素または特徴は、概略図に明示的に記載されていなくても、当該概略図で適宜開示されているものと仮定することができる。
【0068】
ある物体に対応する名詞の単数形は、文脈から明らかにそうでない場合を除き、1つ以上のものを含むことができると理解されたい。
【0069】
本開示において、「AまたはB」、「『Aまたは/およびB』のうちの少なくとも1つ」または「『Aまたは/およびB』のうちの1つ以上」などの表現は、一緒に記載された特徴の全ての可能な組み合わせを含む場合がある。本明細書で使用する「第1の」、「第2の」、「一次」または「二次」などの表現は、その順序および/または意味を問わず異なる要素を表す場合があり、対応する要素を限定するものではない。ある要素(例えば、第1の要素)が他の要素(例えば、第2の要素)に「動作可能に」または「通信可能に」結合または接続されると説明される場合、その要素は他の要素に直接接続されてもよいし、もう1つの要素(例えば、第3の要素)を介して、他の要素に接続されてもよい。
【0070】
例えば、本開示で使用する「~するように構成された」(または「設定された」)という表現を、技術的に可能であれば、「~に適した」、「~に適合した」、「~に作られた」、「~ができる」または「~に設計された」と置き換えてもよい。あるいは、特定の状況において、「~するように構成された装置」または「~するように設定された」という表現は、その装置が別の装置または構成要素と連携して動作すること、あるいは対応する機能を実行できることを意味する場合がある。
【0071】
寸法については、いずれも「mm」単位で示してあり、他の公差や範囲を明示しない限り、表示値の前後±1mmの寸法範囲として理解されるものとする。
【0072】
本明細書では、個々の態様、例えば、回転火格子、燃焼室またはフィルター装置は、バイオマス暖房システムとは別にあるいは独立して個々の部品または個々の装置として開示されていることに注意されたい。したがって、個々の態様またはシステム部分は、分離されていても本明細書に開示されていることは、当業者には自明である。本明細書において、システムの個々の態様または部分は、特に括弧で示したサブチャプターに開示されている。また、これらの個々の態様は、別々に権利請求することが可能であると考えられる。
【0073】
さらに、明確にするために、すべての特徴および要素を図面に個別に示してあるわけではなく、繰り返されている場合はなおさらである。むしろ、要素および特徴を、それぞれ例として示してある。さらに、類似の要素または等しい要素も、そのように理解される。同じことは、例えば、図16aの投入方向にもあてはまる。
(バイオマス暖房システム)
【0074】
図1に、本発明の一実施形態によるバイオマス暖房システム1の三次元概略図を示す。
【0075】
図中、矢印Vはシステム1を正面から見た状態を示し、矢印Sはシステム1を側面から見た状態を示す。
【0076】
バイオマス暖房システム1は、ボイラー架台12に支持されたボイラー11を備えている。ボイラー11は、例えば鋼板製のボイラー筐体13を有する。
【0077】
ボイラー11の前部には、燃焼装置2(図示せず)があり、これにはシャッター21を有する第1のメンテナンス開口を通してアクセスすることが可能である。回転火格子25(図示せず)用の回転機構装着部22が回転機構23を支持し、これを、回転火格子25用のベアリング回転軸81に駆動力を伝達するのに使用することができる。
【0078】
ボイラー11の中央部には、熱交換器3(図示せず)があり、これにはシャッター31の付いた第2のメンテナンス開口を通して上からアクセスすることが可能である。
【0079】
ボイラー11の後部には、電極44(図示せず)を有するオプションのフィルター装置4(図示せず)がある。この電極は、絶縁性の電極支持部/ホルダー43で吊り下げられ、電極給電ライン42を介して通電される。バイオマス暖房システム1の排ガスは、フィルター装置4の(流体的に)下流側に設けられた排ガス出口41を通して排出される。ここにファンを設けてもよい。
【0080】
ボイラー11の下流には再循環装置5が設けられ、燃焼過程での冷却と、燃焼過程における再利用のために、再循環チャネル51、53、54およびフラップ52を通して煙道ガスまたは排ガスの一部を再循環させる。この再循環装置5については、後で図12図17を参照して詳細に説明する。
【0081】
また、バイオマス暖房システム1は、一次燃焼ゾーン26の燃焼装置2まで制御された方法で側面から燃料を搬送し、回転火格子25に乗せる燃料供給装置6を有する。燃料供給装置6は、燃料供給装置開口/ポート65が設けられた回転弁61を有し、回転弁61は、制御電子部品を含む駆動モーター66を有する。駆動モーター66によって駆動される回転軸62によって並進機構63が駆動される。この並進機構は、燃料が燃料供給ダクト64で燃焼装置2に供給されるように燃料供給スクリュー67(図示せず)を駆動することができる。
【0082】
バイオマス暖房システム1の下部には、灰除去/排出装置7が設けられている。これは、モーター72によって動作する灰排出ダクトに灰排出スクリュー71を有する。
【0083】
ここで、図2に、断面線SL1に沿って作成され、側面視野Sから見た状態として示された、図1のバイオマス暖房システム1の断面図を示す。分かりやすくするために、図2と同一の断面を示す対応する図3には、煙道ガスの流れと流体断面を概略的に示す。図3については、個々の領域を図2よりも薄く示した点に注意されたい。これは、図3を明瞭にして、流れを示す矢印S5、S6、S7を視認しやすくするだけのためのものである。
【0084】
図2の左から右に、ボイラー11の燃焼装置2、熱交換器3および(オプションの)フィルター装置4を示す。ボイラー11は、ボイラー架台/脚12上に支持され、水などの流体の熱交換媒体が循環可能な多壁ボイラー筐体13を有している。熱交換媒体の供給および排出用に、ポンプ、弁、パイプ、チューブなどを備えた水循環装置14が設けられている。
【0085】
燃焼装置2は、炉心で燃料の燃焼処理が行われる燃焼室24を有する。燃焼室24は、詳細については後述するマルチピースの回転火格子25を有し、その上に燃料層28がある。多部品の回転火格子25は、複数のベアリング回転軸81によって回転可能に取り付けられている。
【0086】
さらに図2を参照すると、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26が(複数の)燃焼室レンガ29で囲まれており、それによって燃焼室レンガ29が一次燃焼ゾーン26の幾何学形状を画定している。(例えば)水平断面線A1に沿った一次燃焼ゾーン26の断面は、実質的に楕円形(例えば380mm±60mm×320mm±60mm;上記の大きさの組み合わせによっては、断面が円形になる場合もあることに注意されたい)である。二次空気ノズル291からの流れを矢印S1で概略的に示すが、この流れ(文字どおり概略である)には、煙道ガスの混合を改善するために二次空気ノズル291によって誘発されるスワールがある。
【0087】
二次空気ノズル291は、(燃焼室レンガ29によって予熱された)二次空気を、断面が楕円形の燃焼室24に接線方向に導入するように設計されている。これによって、渦状またはスワール状の流れS1が形成される。この流れは、螺旋状に、ほぼ上に向かって流れる。すなわち、垂直軸を中心に回転しながら上に向かって流れる、螺旋状の流れが形成されることになる。
【0088】
このように、二次空気ノズル291は、二次空気を、水平面で見て接線方向に燃焼室24の中に導入するような向きで配置されている。すなわち、二次空気ノズル291はそれぞれ、燃焼室の中心に向けられない二次空気の入口として設けられている。なお、燃焼室の幾何学形状が円形である場合にも、このような接線方向の入口を用いることができる。
【0089】
ここで、二次空気ノズル291はいずれも、各々が時計回りまたは反時計回りのいずれかの流れを生じるような向きに配置されている。この点、各々の二次空気ノズル291を同じような向きにすることで、二次空気ノズル291を渦流の発生に寄与させることができる。上記に関して、例外的に、個々の二次空気ノズル291を(中心に向かう)中立の向きまたは逆の向き(反対の向き)で配置してもよいが、そのようにすると配置の流体効率が悪化する場合がある点に注意されたい。
【0090】
燃焼室レンガ29は、一次燃焼ゾーン26の内張りをなし、熱を蓄え、火に直接曝される。このため、燃焼室レンガ29によって、燃焼室24の他の材料、例えば鋳鉄が、燃焼室24内で直接火炎に曝露されないように保護することもできる。燃焼室レンガ29を、火格子25の形状に合わせてあると好ましい。また、燃焼室レンガ29は、燃焼プロセスへの再参加のため、特に必要に応じて冷却を行うために、煙道ガスを一次燃焼ゾーン26に再循環させる二次空気ノズルまたは再循環ノズル291をさらに含む。この点に関して、二次空気ノズル291は、一次燃焼ゾーン26の中心に向かって配置されているわけではなく、一次燃焼ゾーン26に流れのスワール(すなわち、スワールおよび渦流であり、これについては後に詳細に説明する)を作り出すために中心から外れる向きで配置されている。この燃焼室レンガ29の詳細については、後述する。ボイラー管の入口に、断熱材311が設けられている。一次燃焼ゾーン26(およびノズル)の楕円形の断面形状ならびに二次空気ノズル291の長さと位置がゆえ、好ましくは燃焼室24の天井に向かう渦流を、都合よく形成し、維持しやすい。
【0091】
二次燃焼ゾーン27は、(機能面または燃焼面から考慮される)燃焼室ノズル291のレベルまたは(純粋に構造面または建設上の理由で考慮される)燃焼室ノズル203のレベルで、燃焼室26の一次燃焼ゾーン26と接続され、燃焼室26の輻射部を画定している。輻射セクション/対流部では、主に熱放射によって、燃焼中に生じた煙道ガスの熱エネルギーが、特に、熱交換媒体38用の2つの左チャンバーに配置された熱交換媒体に伝達される。対応する煙道ガスの流れを、純粋に例として図3に矢印S2およびS3で示す。これらの渦流には、おそらく、純粋に概略的な矢印S2およびS3で示していないわずかな逆流や追加の乱流も含まれる。しかしながら、矢印S2およびS3から当業者には燃焼室24内での流れ特性の基本原理が明らかであり、あるいは計算可能である。
【0092】
二次空気の噴射によって、隔離されているか閉じ込められた燃焼室24に、顕著なスワール流または回転流または渦流が形成される。特に、燃焼室の楕円形の幾何学形状24は、渦流を乱すことなく最適な状態で発達させるのに役立つ。
【0093】
これらの渦流を再び集合させるノズル203を出た後、ろうそく炎状の回転流S2が現れる。この流れは燃焼室天井204まで都合よく到達することができ、燃焼室24の利用可能な空間が一層良く活用される。この場合、渦流は燃焼室の中央A2に集められ、二次燃焼ゾーン27の空間が理想的な状態で活用される。さらに、燃焼室ノズル203によって渦流の範囲が狭くなるため回転流が緩和され、それによって、空気と煙道ガスとの混合物の混合を改善するための乱流が発生する。このように、燃焼室ノズル203によって範囲が狭く限定されることで、クロスミキシングが生じる。しかしながら、燃焼室ノズル203の上では流れの回転運動が少なくとも一部は維持され、これらの流れの燃焼室天井204に対する伝搬が維持される。
【0094】
このように、二次空気ノズル291は、その長さと向きによって煙道ガスと二次空気との混合物を回転させることで、最低限の過剰な空気、よって最大の効率で完全燃焼を可能にする(上に位置する燃焼室ノズル203との組み合わせによって、再び強調される)渦流を誘発するように、燃焼室24の長円形または楕円形の断面に統合される。これを、図19図21にも示す。
【0095】
二次空気供給は、高温の燃焼室レンガ29の周囲を流れることでこれを冷却し、代わりに二次空気自体を予熱するように設計されているため、煙道ガスの燃焼速度が速く、極端な部分負荷(例えば、公称負荷の30%)でも完全燃焼させることができる。
【0096】
第1のメンテナンス開口21は、例えばVermiculite(商標)などの断熱材で断熱されている。この二次燃焼ゾーン27は、煙道ガスを確実に燃やしきるように配置されている。二次燃焼ゾーン27の具体的な幾何学設計については、後に詳細に説明する。
【0097】
二次燃焼ゾーン27の後、煙道ガスは、互いに平行に設けられたボイラー管32の束のある熱交換装置3へ流入する。ここで、煙道ガスは、図3に矢印S4で示すように、ボイラー管32の中を下向きに流れる。ボイラー管の壁面では煙道ガスの放熱が基本的に強制対流によって行われるため、この部分の流れを対流部分とも呼ぶことができる。熱交換媒体、例えば水中で、ボイラー11内に生じる温度勾配によって、水の自然対流が生じる。これは、ボイラー水の混合に好都合である。
【0098】
ボイラー管32には、熱交換装置4の効率を向上させるために、スプリングタービュレーター36およびスパイラルタービュレーターまたはバンドタービュレーター37が配置されている。これについては、後で詳細に説明する。
【0099】
ボイラー管32の出口は、反転/ターニングチャンバー入口34を経由してターニングチャンバー35に開口している。この場合、ターニングチャンバー35は、このターニングチャンバー35から燃焼室24に直接煙道ガスが戻ることがないように、燃焼室24から隔離されている。ただし、それでも、ボイラー11の全流域で生じ得る燃焼残渣用に、共通の(排出)搬送路が用意されている。フィルター装置4がない場合、煙道ガスはボイラー11内で再び上に向かって排出される。オプションのフィルター装置4の他の例を、図2および図3に示す。ターニングチャンバー35の後、煙道ガスは再び上昇し、本例では静電フィルター装置4であるフィルター装置4に送られる(矢印S5参照)。フィルター装置4の入口44に、フィルターに流入する煙道ガスの流れをならすフローバッフルを設けてもよい。
【0100】
電気集塵装置すなわち電気集塵機は、静電気の原理を利用して気体から粒子を分離するための装置である。これらのフィルター装置は、特に、排ガスを電気的に浄化するのに用いられる。電気集塵機では、スプレー電極のコロナ放電により粉塵粒子が帯電し、対向する帯電電極(集塵極)に引き寄せられる。コロナ放電は、この目的に適した、電気集塵機内で帯電させた高圧電極(スプレー電極としても知られている)で行われる。(スプレー)電極については、先端が突出し、場合によっては鋭いエッジを持つように設計しておくことが好ましい。なぜなら、力線密度、ひいては電界強度がそこで最大となり、コロナ放電が有利になるためである。対向する電極(集塵極)は通常、接地した排気管を電極の周囲に取り付けて構成される。電気集塵機の分離効率は、特にフィルター系での排ガスの滞留時間と、スプレー電極と分離電極との間の電圧に依存する。そのために必要な整流された高電圧は、高電圧発生装置(図示せず)から供給される。不要な漏れ電流を防ぎ、システム1の耐用年数をのばすために、高電圧発生装置および電極用のホルダーを粉塵や汚染から保護する必要がある。
【0101】
図2に示すように、フィルター装置4のほぼ煙突状の内部には、ほぼ中央に、棒状の電極45(細長い板状の鋼製ばねのような形状が好ましい;図15を参照のこと)が支持されている。電極45は、少なくとも大部分が高品質のばね鋼またはクロム鋼からなり、高電圧絶縁体すなわち電極絶縁体46を介して、電極支持部43/電極ホルダー43に支持されている。
【0102】
(噴霧)電極45は、揺れ動くことが可能な状態で、フィルター装置4の内部で下向きに垂れ下がっている。例えば、電極45は、電極45の長手方向の軸に対して横方向に往復して振動することができる。
【0103】
ケージ48が、対向電極とフィルター装置4用のクリーニング機構を兼ね備えている。ケージ48は、アース電位に接続されている。上述したように、優位な電位差がゆえ、フィルター装置4内を流れる煙道ガスまたは排ガスが濾過される(矢印S6参照)。フィルター装置4を清掃する場合、電極45の通電を解除する。ケージ48は、好ましくは、例えば図13から明らかなように、正規断面の形状が八角形である。ケージ48は、製造時にレーザーで切断可能なものであると好ましい。
【0104】
熱交換器3を(その出口から)出た後、煙道ガスは、ターニングチャンバー入口34を通ってフィルター装置4の入口44に流入する。
【0105】
ここで、(オプションの)フィルター装置4は、ボイラー11と完全に一体で設けられていてもよい。それによって、熱交換器3に面して熱交換媒体が流れる壁面が、フィルター装置4の方向からも熱交換に使用され、システム1の効率がさらに改善される。このように、フィルター装置4の壁の少なくとも一部に熱交換媒体を流すことが可能であり、それによって、この壁の少なくとも一部がボイラー水で冷却される。
【0106】
フィルターの出口47では、矢印S7で示すように、清浄化後の排ガスがフィルター装置4から流出する。フィルターを出た後、排ガスの一部は、再循環装置5を通って一次燃焼ゾーン26に戻される。これについても、後に詳細に説明する。このような再循環を目的とした排ガスまたは煙道ガスを、略して「再循環ガス」と呼ぶことがある。排ガスの残りは、排ガス出口41を通ってボイラー11の外に導かれる。
【0107】
ボイラー11の下部には、灰除去部7/灰排出部7が配置されている。灰排出スクリュー71によって、例えば燃焼室24、ボイラー管32およびフィルター装置4から分離して落下した灰が、ボイラー11から横方向に排出される。
【0108】
本実施形態の燃焼室24およびボイラー11について、CFDシミュレーションを用いて計算した。また、CFDシミュレーションの結果を確認するために、現場での実験も行った。100kWのボイラーでの計算を検討の出発点としたが、20~500kWの出力範囲を考慮に入れた。
【0109】
CFDシミュレーション(CFD=Computational Fluid Dynamics;数値流体力学)とは、流れや熱伝導の過程を空間的、時間的に分解してシミュレーションすることである。流れのプロセスは、層流および/または乱流の場合もあれば、化学反応を伴って生じる場合もあり、多相系の場合もある。このため、CFDシミュレーションは、設計や最適化のツールとして適している。本発明では、CFDシミュレーションを用いて、上述した本発明の課題を解決するような方法で流体パラメータを最適化した。特に、その結果、ボイラー11、燃焼室24、二次空気ノズル291および燃焼室ノズル203の機械的な設計と寸法が、CFDシミュレーションによって、また、関連する実用的な実験によって、ほぼ規定された。これらのシミュレーション結果は、熱伝導を考慮した流動シミュレーションに基づくものである。
【0110】
以下、CFDシミュレーションの結果である、バイオマス暖房システム1およびボイラー11の上記の構成要素について、より詳細に説明する。
(燃焼室)
【0111】
課題ごとの要件を満たすには、燃焼室の形状設計が重要である。燃焼室の形状または幾何学形状は、煙道ガスダクトの断面における流れの乱流混合と均一化を可能な限り最適化し、燃焼容積を最小限に抑え、過剰な空気を減らして再循環率を下げ(効率、運転コスト)、COおよびCxHxの排出量、NOx排出量、粉塵排出量を低減し、局所的な温度ピークを抑え(ファウリング、スラグ)、局所的な煙道ガス速度ピークを抑えること(材料ストレスおよび侵食)などを目的として意図されている。
【0112】
図2の部分図である図4と、垂直断面線A2に沿ったボイラー11を通る断面図である図5に、例えば20~500kWの広い出力範囲でバイオマス暖房システムに対する上述した要件を満たす燃焼室の幾何学形状を示す。さらに、垂直断面線A2を、楕円形の燃焼室24の中心または中心軸として理解することも可能である。
【0113】
約100kWの例示的なボイラーついてのCFD計算結果および実用的な実験により求めた寸法ならびに、図3および図4に示す寸法は、以下の通りである。
BK1=172mm±40mm、好ましくは±17mm。
BK2=300mm±50mm、好ましくは±30mm。
BK3=430mm±80mm、好ましくは±40mm。
BK4=538mm±80mm、好ましくは±50mm。
BK5=(BK3-BK2)/2=例えば65mm±30mm、好ましくは±20mm。
BK6=307mm±50mm、好ましくは±20mm。
BK7=82mm±20mm、好ましくは±20mm。
BK8=379mm±40mm、好ましくは±20mm。
BK9=470mm±50mm、好ましくは±20mm。
BK10=232mm±40mm、好ましくは±20mm。
BK11=380mm±60mm、好ましくは±30mm。
BK12=460mm±80mm、好ましくは±30mm。
【0114】
寸法や大きさはいずれも、あくまで例として理解されるものである。
【0115】
これらの値により、本例では燃焼室24の一次燃焼ゾーン26と二次燃焼ゾーン27の両方の幾何学形状が最適化される。標記の大きさの範囲は、厳密に標記の値を用いた場合と同様に(近似的に)要件が充足される範囲である。
【0116】
好ましくは、一次燃焼ゾーン26と燃焼室24のチャンバーの幾何学形状(または燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の内容積)を、以下の基本パラメータに基づいて定義することができる。
【0117】
寸法380mm±60mm(好ましくは±30mm)×320mm±60mm(好ましくは±30mm)、高さ538mm±80mm(好ましくは±50mm)の楕円形の水平基部を有する空間。
【0118】
上記のサイズデータを、縮尺だけ変更して他の出力クラス(例えば50kWまたは200kW)のボイラーに適用することも可能である。
【0119】
さらに別の実施形態として、上で定義した空間に、燃焼室24の二次燃焼ゾーン27に設けられた燃焼室ノズル203の形で上部開口を含んでもよく、これには、好ましくは熱交換媒体38を含む、二次燃焼ゾーン27に突出した燃焼室斜面202が含まれる。燃焼室斜面202によって、二次燃焼ゾーン27の断面積が小さくなる。ここで、燃焼室斜面202は、水平または直線状の架空の燃焼室天井H(図4の水平破線Hを参照)に対して、少なくとも5%の角度k、好ましくは少なくとも15%の角度k、さらに好ましくは少なくとも19%の角度kで設けられる。
【0120】
また、燃焼室天井204も、入口33に向かって上に傾斜して設けられている。このように、二次燃焼ゾーン27の燃焼室24では、熱交換器3の入口33に向かって上に傾斜して燃焼室天井204が設けられている。この燃焼室天井204は、図2の断面において少なくとも実質的に直線状か、あるいは直線状に、傾斜してのびている。直線状または平坦な燃焼室天井204の(架空の)水平方向に対する傾斜角を、好ましくは4~15°とすることができる。
【0121】
燃焼室天井204によって入口33の前方で燃焼室24に別の斜面(天井)が設けられ、これと燃焼室斜面202とによって、漏斗が形成される。この漏斗は、上向きのスワールまたは渦流を横に向け、その流れをほぼ水平に方向転換させる。すでに乱れている上向きの流れと入口33の前方の漏斗形状により、すべての熱交換器管32またはボイラー管32で均一の流れが保証され、すべてのボイラー管32で煙道ガスの流れが均一になる。その結果、熱交換器3での熱伝導がかなり最適化される。
【0122】
特に、対流ボイラーの入口の幾何学形状として、二次燃焼ゾーンの垂直方向の斜面203と水平方向の斜面204とを組み合わせることで、対流ボイラー管への煙道ガスの均一な分配を実現することができる。
【0123】
燃焼室斜面202は、熱交換器3の方向での流れS3、ひいてはボイラー管32への流れを均一にする役割を果たす。これにより、煙道ガスが個々のボイラー管にできるだけ均等に分配されるようになり、そこでの熱伝導が最適化される。
【0124】
具体的には、斜面とボイラーの入口断面との組み合わせることで、煙道ガスの流れまたは流量がそれぞれのボイラー管32にできるだけ均等に分配されるように、煙道ガス流を回転させることができる。
【0125】
従来技術では、燃焼室とノズルが矩形または多角形である燃焼室がよくみられるが、燃焼室とノズルの形状が不規則で、それらが相互作用するのは、すでに認識されているように、空気の分布を均一にして空気と燃料とを良好な状態で混合し、良好な燃焼を達成する上での障害となる。特に、燃焼室の幾何学形状に角があると、流れの筋または優先的な流れが生じてしまい、都合の悪いことに、これが熱交換器管32内の不均一な流れにつながる。
【0126】
したがって、本例では、死角やデッドエッジのない燃焼室24を提供する。
【0127】
このように、燃焼室(およびボイラー内の流路全体)の幾何学形状が、バイオマス暖房システム1を最適化するための検討において重要な役割を果たすことが認識された。そこで、(通常の矩形または多角形または純粋に筒形の形状から離れて)本明細書で説明した死角のない楕円形または円形の基本的な幾何学形状を選択した。また、この燃焼室の基本的な幾何学形状と、上述した寸法/寸法範囲での設計も、100kWのボイラーに対して最適化されている。これらの寸法/寸法範囲は、特に、品質の異なる(例えば、含水率の異なる)様々な燃料(木質チップやペレット)を極めて高効率で燃焼させることができるように選択されている。これは、現場での試験とCFDシミュレーションで示されたことである。
【0128】
特に、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26には、好ましくは外周の水平断面が楕円形またはほぼ円形の空間を含んでもよい(このような断面を、図2のA1に例示する)。さらに好ましくは、この水平断面が燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の床面積を表していてもよい。両端矢印BK4で示す高さ全体で、燃焼室24の断面がほぼ一定であってもよい。この点で、一次燃焼ゾーン24は、ほぼ楕円筒形の空間を有していてもよい。好ましくは、一次燃焼ゾーン26の側壁と底面(火格子)とが互いに垂直であってもよい。この場合、上述した斜面203、204を、燃焼室24の壁として一体に設けてもよく、これらの斜面203、204は、熱交換器33の入口33に開口してそこで断面が最も小さくなる漏斗を形成している。
【0129】
上記で「ほぼ」という語を用いたのは、例えば燃焼室レンガ29同士の継ぎ目で、いうまでもなく個々の切り欠き、設計による誤差や若干の非対称が存在し得るためである。しかしながら、これらの小さな誤差は、流れという点ではほぼ何の役割も果たさない。
【0130】
燃焼室24の水平断面、特に燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の水平断面も、同様に好ましくは規則的な設計であってよい。さらに、燃焼室24の水平断面、特に燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の水平断面は、好ましくは、正楕円(および/または左右対称の楕円)であってもよい。
【0131】
また、一次燃焼ゾーン26の水平断面(外周部)が所定の高さ(例えば20cm)にわたって一定となるように設計することも可能である。
【0132】
このように、本例では、燃焼室24の楕円筒形の一次燃焼ゾーン26が提供され、CFD計算によれば、従来技術の矩形の燃焼室よりも燃焼室24内の空気の分布をはるかに均一かつ良好にすることができる。また、デッドスペースがないため、燃焼室内に空気の流れが悪い部分がなく、効率が増し、スラグの発生も抑えられる。
【0133】
同様に、燃焼室24のノズル203は、流れ条件をさらに最適化するために、楕円形またはほぼ円形の狭窄部として構成されている。本発明による特別に設計された二次空気ノズル291によって生じる、上述した一次燃焼ゾーン26内の流れのスワールにより、ほぼ螺旋状またはスパイラル状に上向きのフローパターンが生じる。このため、等しく楕円形またはほぼ円形のノズルは、このフローパターンに都合がよく、従来の矩形のノズルのように干渉することがない。この最適化されたノズル203は、回転しながら上に流れる煙道ガスと空気との混合物を集合させ、より良い混合、二次燃焼ゾーン27における渦流の保存、完全燃焼を保証する。これにより、過剰な空気の必要量が最小限になり、燃焼プロセスが改善され、効率が向上する。
【0134】
したがって、特に、上述した二次空気ノズル291と、それによって引き起こされる渦流と、最適化したノズル203との組み合わせは、上向きに回転する煙道ガスと空気との混合物を集合させる役割を果たす。これにより、二次燃焼ゾーン27での少なくともほぼ完全な燃焼が提供される。
【0135】
このように、ノズル203を通るスワール流が集合されて上に向けられ、この流れが、従来技術で一般的であるよりもさらに上に達する。これは、角運動量に関する物理法則から当業者に明らかなように、ノズル203によって強制される回転中心軸またはスワール中心軸に対する気流のスワール距離が減少した結果として生じるものである(ピルエット効果の物理を類推のこと)。
【0136】
また、詳細については後述するように、本例では、二次燃焼ゾーン27内と二次燃焼ゾーン27からボイラー管32までのフローパターンが最適化されている。
【0137】
CFD計算によれば、図2および図3でも参照符号なしで確認することができ、燃焼室25(またはその断面)が底部から頂部に向かって少なくともほぼ直線的に先細りになっている図4の燃焼室斜面202によって、熱交換器4の方向での煙道ガス流の均一性を保証し、その効率を高めることができる。ここで、燃焼室25の水平断面積は、燃焼室斜面202の始点から終点まで少なくとも5%テーパ状であることが好ましい。この場合、燃焼室斜面202は、燃焼室25の熱交換装置4に面する側に設けられ、テーパが最大となる箇所で丸みがつけられている。従来技術においては、(煙道ガスの流れを妨げないように)テーパのない平行または直線的な燃焼室壁が一般的である。また、入口33の方向と水平な方向に対して斜め上にのびる燃焼室天井204が個別にまたは組み合わせで設けられ、二次燃焼ゾーン27内の渦流を横方向に偏向させることで、流速分布を揃えることができる。
【0138】
多管式熱交換器の上流での煙道ガス流の流入または偏向は、管への不均一な流入が可能な限り回避されるように設計されている。これは、個々のボイラー管32での温度ピークを低く抑えることが可能であって、熱交換器4での熱伝導を改善(熱交換器の表面を可能な限り最適に利用)することが可能であることを意味する。その結果、熱交換装置4の効率を高めることができる。
【0139】
詳細に説明すると、煙道ガスの気体体積流は、燃焼室の傾斜した壁203を通って、(燃焼条件が異なる場合であっても)均一な速度で熱交換器管またはボイラー管32に導かれる。この効果は、燃焼室の傾斜した天井204によってさらに高められ、漏斗効果が生じる。その結果、個々のボイラー管32の熱交換器表面の熱分布が均一になり、熱交換器表面の利用率が改善される。このため、排ガス温度が低下し、効率が高まる。特に図3に示す指示線WT1での流量分布は、従来技術に比べて大幅に均一である。線WT1は、熱交換器3の入口面を表す。指示線WT3は、(特に、フィルター装置4の入口のフローバッフルとターニングチャンバー35の幾何学形状に起因して)ボイラー管32の断面全体で流れがほぼ均等に分配されるか、流れが可能な限り均一に設定される、フィルター装置4を通る例示的な断面線を示す。フィルター装置3または最後のボイラーパスを通る均一な流れによって、ストランディングが最小限に抑えられ、フィルター装置4の分離効率とバイオマス暖房システム1内の熱の伝達も最適化される。
【0140】
さらに、燃焼室25の下部では、燃料層28の位置に点火装置201が設けられている。これにより、燃料の初期着火または再着火を行うことができる。点火装置201がグローイグナイターであってもよい。都合がよいことに、点火装置は固定され、燃料が導入される場所に対して水平方向にオフセットされている。
【0141】
さらに、フィルター装置からの煙道ガスの出口の後(すなわち、S7の後)に、ラムダセンサー(図示せず)を(任意に)設けることができる。このラムダセンサーによって、コントローラ(図示せず)がそれぞれの発熱量を検出できるようになる。このように、ラムダセンサーを用いることで、燃料と酸素供給との間の理想的な混合比を確保することができる。燃料の品質が異なるにもかかわらず、結果として、高効率および高能率が達成される。
【0142】
図5に示す燃料層28は、燃料が図5の右側から供給されることによる大まかな燃料分布を示している。この燃料層28には、再循環装置5から供給される煙道ガス/新鮮な空気の混合物が下から流入する。都合のよいことに、この煙道ガス/新鮮な空気の混合物は、センサーによって検出される様々な測定値とこれに付随する空気弁52とに基づいて詳細には図示しないシステムコントローラによって制御されるため、あらかじめ調質されて理想的な量(マスフロー)と理想的な混合比になっている。
【0143】
さらに図4および図5に示すのは、二次燃焼ゾーン27が設けられ、煙道ガス流を加速して集合させる燃焼室ノズル203である。その結果、煙道ガス流をさらによく混合し、後燃焼ゾーン27または二次燃焼ゾーン27で、より効率的に燃焼させることができる。燃焼室ノズル203の面積比は25%~45%の範囲であるが、好ましくは30%~40%であり、例えば100kWのバイオマス暖房システム1の場合、理想的には36%±1%(ノズル203の実測入力面積と実測出力面積との比)である。
【0144】
その結果、一次燃焼ゾーン26の燃焼室の幾何学形状についての上述した詳細が、二次空気ノズル291およびノズル203の幾何学形状とともに、本開示の有利な別の実施形態を構成する。
(燃焼室レンガ)
【0145】
図6に、回転火格子25を有する燃焼室24の一次燃焼ゾーン26ならびに二次燃焼ゾーン27の分離された部分、特に燃焼室レンガ29の特別なデザインの(斜め上からの)三次元断面図を示す。図7には、図6に対応する燃焼室レンガ29の分解図を示す。図6および図7の図を、上記にて列挙した図4および図5の寸法で設計することが可能であると好ましい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0146】
燃焼室24の一次燃焼ゾーン26のチャンバー壁には、複数の燃焼室レンガ29がモジュール構成で備えられ、これによって特に製造とメンテナンスが容易になっている。特に、個々の燃焼室レンガ29を取り外すことが可能であることから、メンテナンスが容易である。
【0147】
燃焼室レンガ29のベアリング面/支持面260に、ポジティブロック溝261と突起262(図6では、冗長性を避けるために、このうち例として数個だけ各図に例示している)を設け、機械的かつ大部分が気密な接続状態を達成して、ここでも邪魔になる外気の侵入を防止している。好ましくは、少なくとも大幅に対称的な2つの燃焼室レンガの各々で(二次空気用または再循環された煙道ガス用の開口を可能な限り除いて)完全なリングが形成されている。さらに、好ましくは、3つのリングを積み重ねることで、燃焼室24の楕円形の円筒形状あるいは少なくともほぼ円形の(後者は図示せず)一次燃焼ゾーン26が形成されている。
【0148】
上側のリング263に確実に嵌め込まれた、2つの保持用レンガ264によって環状のノズル203を支持した状態で、さらに3つの燃焼室レンガ29が上端として設けられている。適切な突起262および/または適切なシール材の挿入用に、すべての支持面260に溝261が設けられている。
【0149】
好ましくは対称的である取付用ブロック264には、好ましくは、回転火格子25上へのフライアッシュの掃き出しを容易にするために、内側に傾斜した斜面265がある。
【0150】
燃焼室レンガ29の下側のリング263は、回転火格子25の底板251の上に乗っている。この燃焼室レンガ29の下側のリング263の間で内側の縁に灰が次第に堆積し、バイオマス暖房システム1の稼働時に、この継ぎ目の部分を独立して都合よく封止する。
【0151】
燃焼室レンガ29の中央のリングに、再循環ノズル291または二次空気ノズル291用の(オプションの)開口が設けられている。この場合、二次空気ノズル291は、燃焼室レンガ29における燃焼室24の少なくともほぼ同じ(水平方向の)高さに設けられる。
【0152】
本例では、燃焼室レンガ29のリングを3つ設けたが、これは製造上もメンテナンス上も最も効率的であるからである。あるいは、2個、4個、5個のリングを設けてもよい。
【0153】
燃焼室レンガ29は、高温炭化ケイ素製であると好ましく、そのようにすることで、耐摩耗性に優れたレンガになる。
【0154】
燃焼室レンガ29は、成形レンガとして提供される。燃焼室レンガ29は、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の内部空間が楕円形の水平断面を有するように成形されており、煙道ガスと空気との混合物が通常は最適な状態では流れないことから燃料の燃焼も最適な状態にならないデッドスポットまたはデッドスペースを、人間工学的な形状によって回避している。このような燃焼室レンガ29の形状がゆえ、火格子25を通る一次空気の流れが火格子25上の燃料の分布に適合し、渦流が妨げられにくくなり、結果として、燃焼効率が高まる。
【0155】
燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の楕円形の水平断面は、最小の内径BK3と最大の内径BK11を有する点対称および/または正楕円形であることが好ましい。これらの寸法は、CFDシミュレーションと実用的な試験とを用いて燃焼室24の一次燃焼ゾーン26を最適化した結果である。
(回転火格子)
【0156】
図8に、図2の断面線A1から見た、回転火格子25の上面図を示す。
【0157】
図8の上面図を、上記にて列挙した寸法で設計することが可能であると好ましい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0158】
回転火格子25は、底板251を基本要素としている。底板251のほぼ楕円形の開口には、回転可能に支持された、第1の回転火格子要素252、第2の回転火格子要素253、第3の回転火格子要素254の間の隙間を埋めるためのつなぎ要素255が設けられている。このように、回転火格子25は、3つの独立した要素を有する回転火格子として提供されている。すなわち、3つ折回転火格子とも称することができる。回転火格子要素252、253、254には、一次空気を流すための空気孔が設けられている。
【0159】
回転火格子要素252、253、254は、例えば金属鋳物からなる平坦で耐熱性の金属板であり、上側に少なくとも大部分が平坦に構成された表面を有し、下側は例えば中間の支持要素を介してベアリング回転軸81に接続されている。上から見ると、回転火格子要素252、253、254は、湾曲して相補的な側面または輪郭を有している。
【0160】
特に、回転火格子要素252、253、254の側面が相互に相補的で湾曲していてもよい。第2の回転火格子要素253の側面が、それぞれ隣接する第1および第3の回転火格子要素252、254に対して凹状であると好ましく、第1および第3の回転火格子要素252、254の側面が、それぞれ第2の回転火格子要素253に対して凸状であると好ましい。このようにすることで、破砕の長さが長くなり、破砕のために作用する力(ハサミに似ている)が一層狙い通りに作用するため、回転火格子要素の破砕機能が改善される。
【0161】
回転火格子要素252、253および254(ならびにつなぎ要素255としての囲いの部分)は、まとめて平面図で見ると外形がほぼ楕円形である。このようにすることで、燃焼が最適にならなかったり望ましくないほど灰が蓄積したりする原因になり得る、デッドコーナーまたはデッドスペースが回避される。この回転火格子要素252、253、254の外形の最適な寸法を、図8に両端矢印DR1、DR2で示す。DR1およびDR2を以下のように規定すると好ましいが、これは排他的ではない。
DR1=288mm±40mm、好ましくは±20mm
DR2=350mm±60mm、好ましくは±20mm
【0162】
これらの値は、CFDシミュレーションとその後の実用的な試験において最適な値(範囲)であることが明らかになった。これらの寸法は、図4および図5における寸法に相当する。これらの寸法は、20~200kWの出力範囲で、異なる燃料すなわち燃料タイプの木質チップやペレットを燃焼させる場合(ハイブリッド燃焼)に特に有利である。
【0163】
この場合、回転火格子25の燃焼領域は楕円形であり、従来の矩形の燃焼領域よりも燃料の分布、燃料空気の流れ、燃料の燃焼の点で有利である。燃焼領域258は、回転火格子要素252、253、254の表面によって(水平状態で)コアに形成されている。したがって、燃焼領域は、回転火格子要素252、253、254の上に向いた表面である。この楕円形の燃焼領域は、好都合なことに、回転火格子25の側面に適用されるか押されるときに燃料支持面に対応している(図9図10図11の矢印Eを参照のこと)。特に、回転火格子25の楕円形の燃焼領域の長いほうの中心軸(長軸)に平行な方向から燃料を供給してもよい。
【0164】
第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254は、好ましくは、その燃焼領域258が同一であってもよい。さらに、第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254は、互いに同一であるか同一の構造であってもよい。これは、例えば、第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254とが同一の形状を有する図9で確認することができる。
【0165】
さらに、第2の回転火格子要素253は、第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254との間に配置されている。
【0166】
回転火格子25には、ほぼ点対称の楕円形の燃焼領域258があると好ましい。
【0167】
同様に、回転火格子25によって、DR2が長軸の寸法であり、DR1が短軸の寸法である、ほぼ楕円形の燃焼領域258が形成されていてもよい。
【0168】
さらに、回転火格子25の燃焼領域258が、当該燃焼領域258の中心軸に対して軸対称である、ほぼ楕円形のものであってもよい。
【0169】
さらに、回転火格子25の燃焼領域258が、ほぼ円形であってもよいが、これは燃料の供給と分配の点でいくぶん不利である。
【0170】
さらに、回転火格子要素252、253、254を適宜回転させるために、回転機構23の2つのモーターまたは駆動部231が設けられている。この回転火格子25の特定の機能および利点の詳細については、図9図10および図11を参照して後述する。
【0171】
特に、ペレットおよび木質チップの暖房システムでは(特にハイブリッドバイオマス暖房システムでは)、燃焼室24、特に回転火格子25上でのスラグの形成により、次第に故障が起こりやすくなる可能性がある。スラグは、燃焼過程で余燼が灰融点よりも高い温度になるたびに形成される。その後、灰が軟化し、互いに融合し、冷却後に固体となり、暗色のスラグになることも多い。このプロセスは焼結としても知られており、燃焼室24にスラグが蓄積されると、燃焼室24が誤動作すなわち停止するため、バイオマス暖房システム1では望ましくない。通常、燃焼室24を開放し、スラグを除去しなければならない。
【0172】
灰溶融範囲(焼結点から降伏点まで)は、使用する燃料材によって大きく異なる。例えば、スプルース材の臨界温度は約1,200℃である。しかしながら、燃料の灰溶融範囲が大幅に変動する可能性もある。木材に含まれる鉱物の量や組成によって、燃焼過程での灰の挙動が変化する。
【0173】
スラグの生成に影響を与えうる別の要因として、木質ペレットまたは木材チップの搬送と保管があげられる。これらは、できるだけ破損していない状態で燃焼室24に投入される必要がある。燃焼プロセスに入るときに木質ペレットがすでに砕かれていると、グローベッドの密度が高くなる。その結果、さらに大きなスラグが形成される。特に、ここでは貯蔵室から燃焼室24への搬送が重要である。特に長い経路、曲がった部分や角度が、木質ペレットの損傷や磨耗につながる。
【0174】
もうひとつの要因として、燃焼過程の管理がある。これまで、可能なかぎり最良の燃焼状態と低エミッションを達成するために、むしろ温度を高く保つことが目標とされてきた。燃焼室の幾何学形状と回転火格子25の燃焼ゾーン258の幾何学形状を最適化することで、火格子では燃焼温度を低めに保ち、二次空気ノズル291の領域では高く保つことができ、火格子でのスラグの形成を抑制することができる。
【0175】
さらに、回転火格子25の特定の形状と機能により、発生するスラグ(および灰)を都合よく除去することができる。これについて、以下、図9図10および図11を参照してより詳細に説明する。
【0176】
図9図10図11に、底板251、第1の回転火格子要素252、第2の回転火格子要素253、第3の回転火格子要素254を含む回転火格子25の三次元図を示す。図9図10および図11の図を、上記にて列挙した寸法に対応させることができると好ましい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0177】
この図では、回転火格子25を、回転火格子機構23および駆動部231を備えた露出したスライドイン部品として示してある。回転火格子25は、モジュールシステムのようにして個別にあらかじめ製造し、ボイラー11に設けられた細長い開口にスライドイン部品として挿入して設置することができるように、機械的に設けられている。そのようにすることで、この摩耗しやすい部品の保守が容易になる。こうして、回転火格子25をモジュール設計にしておくことができると好ましく、それによって、回転火格子機構23と駆動部231を備えた完全な構成要素として、迅速かつ効率的に取り外し、挿入しなおすことが可能である。また、モジュール化された回転火格子25を、手軽に解放される固定具で組み立てたり分解したりすることもできる。これに対して、従来技術における回転火格子は、通常は固定されており、メンテナンスや設置が困難である。
【0178】
駆動部231には、別々に制御可能な2つの電動機が含まれていてもよい。これらが回転火格子機構23の側面に設けられていると好ましい。電動機に、減速ギアを備えることも可能である。さらに、回転火格子要素252、253、254の端の位置に対するエンドストップを提供するために、エンドストップスイッチを設けてもよい。
【0179】
回転火格子機構23の個々の構成要素は、交換可能であるように設計されている。例えば、歯車は取り付け可能なように設計されている。このようにすることで、メンテナンスが容易になり、必要に応じて、組み立て時に機構を側面から交換することができる。
【0180】
上述した開口256は、回転火格子25の回転火格子要素252、253、254に設けられている。回転火格子要素252、253、254については、ここでは2つのモーター231である駆動部231によって回転機構23を介して駆動されるそれぞれのベアリング軸81を介して、それぞれのベアリング軸または回転軸81を中心に少なくとも90度、好ましくは少なくとも120度、さらに好ましくは170度、回転させることが可能である。ここで、最大回転角は、火格子リップ257で許容されるように、180度あるいは180度よりわずかに小さい角度であればよい。この点で、回転機構23は、第3の回転火格子要素254が第1の回転火格子要素252および第2の回転火格子要素243とは独立して個別に回転できるように、かつ、第1の回転火格子要素252と第2の回転火格子要素243とが、第3の回転火格子要素254とは独立して一緒に回転できるように配置されている。回転機構23は、例えば、インペラ、歯付きベルトまたは駆動ベルトおよび/または歯車によって、適宜提供すればよい。
【0181】
回転火格子要素252、253、254は、正確な形状を確実に保てるようにするために、レーザー切断して鋳造火格子として製造可能なものであると好ましい。これは特に、燃料層28を通る空気流をできるだけ正確に規定し、回転火格子要素252、253、254の縁で空気のストランドなどの空気流が乱れるのを回避するためである。
【0182】
回転火格子要素252、253、254の開口256は、通常のペレット材料および/または木材チップが落下しない程度に小さく、燃料が十分に通気される程度に大きくなるように配置されている。さらに、開口256は、灰粒子や不純物が詰まる程度の大きさである(例えば、燃料中の石ではない)。
【0183】
ここで、図9に、すべての回転火格子要素252、253、254が水平に整列しているか、閉じている、閉鎖位置の回転火格子25を示す。これは、制御モードでの位置である。複数の開口256を均一に配置することで、回転火格子25の燃料層28(図9には図示せず)を通る燃料の均一な流れが保証される。この点で、ここでは最適な燃焼状態を作り出すことができる。燃料は、矢印Eの方向から回転火格子25に投入される。この点で、燃料は図9の右側から回転火格子25上に押し上げられることになる。
【0184】
稼働時、回転火格子25、特に回転火格子要素252、253、254に、灰およびまたはスラグが蓄積される。ここでは、回転火格子25を使用することで、回転火格子25を効率的に清掃することができる。
【0185】
図10に、余燼メンテナンスモードで回転火格子25の部分的な清掃を行った状態で、回転火格子を示す。この目的で、第3の回転火格子要素254だけが回転される。3つの回転火格子要素のうちの1つだけを回転させることで、第1の回転火格子252および第2の回転火格子要素253上に余燼が残り、同時に灰とスラグを落下させて燃焼室24から出すことができる。その結果、運転再開のための外からの点火が不要になる(これにより、点火エネルギーが最大90%節約される)。別の結果として、点火装置(例えば、点火棒)の摩耗が減り、電力が節約される。さらに、好都合なことに、灰の清掃をバイオマス暖房システム1の稼働時に行うことができる。
【0186】
また、図10には、(既に十分な場合も多い)部分清掃時にアニーリングが行われた状態も示す。好都合なことに、このようにシステム1の動作をより連続的にすることができる。これは、従来の火格子の通常の完全清掃とは対照的に、数十分かかる可能性がある長時間の完全点火を行う必要がないことを意味する。
【0187】
さらに、第3の回転火格子要素254の2つの外縁における潜在的なスラグ形成または蓄積は、その回転時に(分断)され、第3の回転火格子要素254の曲がった外縁により、従来技術の既存の矩形要素より大きい全長にわたって剪断が生じるだけでなく、外縁に対する運動の不均一な分布でも剪断が生じる(下縁および上縁よりも中央のほうが大きな運動が生じる)。このため、回転火格子25の破砕機能が大幅に向上する。
【0188】
図10では、第2の回転火格子要素253の火格子リップ257(両側)が見えている。これらの火格子リップ257は、第1の回転火格子要素252および第3の回転火格子要素254がその閉鎖状態で火格子リップ257の上側に乗るように配置されている。このため、回転火格子要素252、253、254は、互いに隙間なく密着した状態で提供されている。これにより、グローベッドを流れる不均一で不要な一次空気の流れや空気のストランドが防止される。好都合なことに、これによって燃焼効率が改善される。
【0189】
図11に、好ましくはシステムの停止中に実施される完全清掃状態にある回転火格子25を示す。この場合、3つの回転火格子要素252、253、254がいずれも回転され、第1の回転火格子要素252および第2の回転火格子要素253が、第3の回転火格子要素254とは反対方向に回転されると好ましい。一方では、これによって回転火格子25を完全に空にすることができ、他方では灰とスラグが4つの不揃いな外縁で分断される。すなわち、都合のよい4倍の破砕機能が実現される。外縁の幾何学形状について図9を参照して上述した内容は、図10に関してもあてはまる。
【0190】
要約すると、この回転火格子25では、好都合なことに通常運転(図9参照)に加えて2通りの清掃(図10および図11参照)が実現され、部分清掃ではシステム1の稼働時の清掃が可能になる。
【0191】
それに比べて、市販の回転火格子システムは人間工学的に優れておらず、幾何学形状が長方形であるため一次空気が燃料中を最適な状態では流れず、空気のストランドが発生しやすい死角がある。また、この死角部分ではスラグが発生する。このため、燃焼状態が悪くなり、効率も劣る。
【0192】
この回転火格子25の単純な機械的設計により、堅牢で信頼性が高く、耐久性に優れた回転火格子になる。
(再循環装置)
【0193】
CFDシミュレーション、さらなる検討と実用的な試験を再度行い、上記で簡単に説明した再循環装置5を最適化した。これには、バイオマス暖房システムについて後述する煙道ガスの再循環が含まれる。
【0194】
計算では、公称負荷での稼働例で、燃料を変えて(例えば含水率30%の木質チップ)、20~500kWの負荷範囲について例えば100kWのボイラーのシミュレーションを行った。本例では、煙道ガスと接触するすべての表面について、軽い汚れやファウリング(厚さ1mmのいわゆるファウリング)も考慮した。このようなファウリング層の放射率を0.6と仮定した。
【0195】
この最適化の結果と、それに伴う考察を、図12図17に示す。図12図14は、図1図3で見ることができる再循環装置5の異なる図を示している。
【0196】
図12に、一次燃焼ゾーン26を囲む燃焼室レンガ29を有する再循環装置5を強調して示した斜視図を示す。図13には、図12の再循環装置5を強調して示した半透過斜視図を示す。図14には、図12および図13の再循環装置5の側面図を示す。それぞれの例において、図12から図14の矢印Sは、バイオマス暖房システム1の側面図の方向を示す図1の矢印Sに対応する。
【0197】
以下、再循環装置5について、図12図13図14図15を参照してさらに詳細に説明する。
【0198】
再循環装置5は、再循環入口チャネル531と再循環入口チャネル仕切り532とを有する再循環入口53を有する。再循環入口53および再循環入口チャネル531は、熱交換器3の後または(オプションの)フィルター装置4の後に、バイオマス暖房システム1の煙道ガス出口における送風機15(図3参照)の下流に設けられている。再循環入口チャネル仕切り532によって、再循環される煙道ガスすなわち再循環ガスを、一次再循環チャネル56とオプションの二次再循環チャネル57に分岐させることができる。二次再循環がない場合は、再循環入口チャネル仕切り532は不要である。
【0199】
一次再循環チャネル56は、空気弁52、例示的にはロータリーバルブ52を介して一次混合室542に開口している。さらに、一次混合室542には、別の空気弁52、この例では例示的にロータリースライドバルブ52を介して一次空気ダクト58も開口し、これは、例えば室内の空気または新鮮な空気(対応させて新鮮な一次空気と称する)用の一次空気入口581を有する。一次空気ダクト58には、一次空気センサー582(例えば、新鮮な一次空気の温度および/または酸素含有量を検知するためのもの)が含まれていてもよい。
【0200】
混合されていない一次空気、すなわち新鮮な空気または周囲空気は、一次空気入口581および一次空気ダクト58および空気弁52を通って一次混合室542に入り、周囲空気は、そこで空気弁52の弁位置に従って一次再循環チャネル56からの再循環された煙道ガスと混合される。一次混合室542の下流には、(新鮮な)一次空気と煙道ガスとの混合物がさらに混合される、一次混合ダクト54が設けられている。一次混合室542は、その弁52および一次混合ダクト54とともに、一次混合ユニット5aを形成している。
【0201】
二次再循環チャネル57は、空気弁52、例示的にはロータリースライドバルブ52を経由して、二次混合室552に開口している。さらに、二次混合室552には、別の空気弁52、この例ではロータリースライドバルブ52を経由して、新鮮な二次空気用の二次空気入口591を有する二次空気ダクト59も開口している。二次空気ダクト59には、二次空気センサー592(例えば、二次空気の温度および/または酸素含有量を検知するためのもの)が含まれていてもよい。
【0202】
二次空気入口591および二次空気ダクト59を通り、空気弁52を経由して、新鮮な二次空気、すなわち周囲空気が二次混合室552に入り、周囲空気は、そこで空気弁52の弁位置に応じて二次再循環チャネル57からの再循環された煙道ガスと混合される。二次混合室552の下流には、新鮮な二次空気と煙道ガスとの混合物がさらに混合される、二次混合ダクト55が設けられている。二次混合室552は、その弁52および二次混合ダクト55とともに、二次混合ユニット5bを形成している。
【0203】
4つの空気弁52のそれぞれの位置は、例えば電動機であってもよいバルブアクチュエーター521によって調整される。図12では、分かりやすくするために、4つのバルブアクチュエーター521のうち1つだけを示してある。
【0204】
一次混合ダクト54は、最小の長さL1を有する。最小の長さL1は、例えば、一次混合室542からの通路における一次混合ダクト54の始点から一次混合ダクト54の終点まで、少なくとも700mmである。混合を良好にするための一次混合ダクト54の長さL1は、これよりも長く、好ましくは少なくとも800mm、理想的には1200mmとすべきであることが示されている。また、長さL1は、設計上および印刷上の理由から、好ましくは、例えば2000mmを超えないようにすべきである。一次混合ダクト54は、その上流側の始点に、一次混合ダクト54の終点に向かって先細りになる入口漏斗を有していてもよい。特にダクト54の上流側では、温度差によって発生する場合があるため、このようにすることで、ダクト54の上流側の始点で流れを中央に集中させ、さらによく混合することができる。好都合なことに、一次混合ダクト54の始点を先細にすることでこのストランド形成が打ち消される。
【0205】
(オプションの)二次混合ダクト55は、最小の長さL2を有する。最小の長さL2は、例えば、二次混合室552からの通路における二次混合ダクト55の始点から二次混合ダクト55の終点まで、少なくとも500mmである。また、混合を良好にするための二次混合ダクト55の長さL2は、これよりも長く、好ましくは少なくとも600mm、理想的には1200mmとすべきであることが示されている。さらに、長さL2は、例えば設計上および印刷上の理由から、2000mmを超えないようにすべきである。二次混合ダクト55は、その上流側の始点に、二次混合ダクト55の下流側の終点に向かって先細りになる入口漏斗を有していてもよい。
【0206】
一次混合ダクト54および(オプションの)二次混合ダクト55については、それぞれの内幅が160mm±30mm(垂直)/120mm±30mm(垂直)、内厚(水平)が50mm±15mmの矩形の断面になるように設計することが可能である。このような一次混合ダクト54と二次混合ダクト55がそれぞれ熱交換器3および燃焼装置に隣接する長い平坦なダクトである設計のために、いくつかの有利な効果が達成される。まず、煙道ガスと(新鮮な)一次空気/(新鮮な)二次空気との混合物が、燃焼に到達する前に、都合よく予熱される。例えば、公称負荷での例において、一次混合室542の下流で+25℃である混合物の温度を、一次混合ダクト54の下流端で15℃高くすることができる。一方、断面および長手方向の延長部分は、混合室542、552の後でも混合を継続して、流れの均一性を改善するのに十分な大きさに選択される。これによって、経路の始点で既に乱流となっている流れをさらに混合するのに十分な経路が提供される。
【0207】
言葉をかえると、細長い一次混合ダクト54は、一次混合室542の下流にさらなる混合のための経路を提供し、一次混合室542は、経路の始点でかなりの乱れを作り出すように意図的に提供されている。ダクト54、55のオプションの混合ダクトも、これに寄与する場合がある。
【0208】
好ましくは、2つの長さL1とL2を、一定の公差(±10mm)内で一致させることができる。
【0209】
あらかじめ「新鮮な」一次空気と十分に混合されている、再循環された煙道ガスは、下方から一次通路541を通って回転火格子25に供給される。その開口256を通って、この再循環された煙道ガスと新鮮な一次空気(すなわち、燃焼室24用の一次空気)との混合物が燃焼室24の一次燃焼ゾーン26に入る。この点、煙道ガスと新鮮な一次空気との混合物を再循環させるための一次再循環は、一次燃焼ゾーン26に下から入るように設けられている。
【0210】
あらかじめ「新鮮な」二次空気、すなわち新鮮な二次空気(または二次再循環を省略する場合は(新鮮な)一次空気)と十分に混合されている、再循環された煙道ガスは、燃焼室レンガ29の周りの(オプションの)二次通路551とそれに続く環状ダクト50(図13参照)を通って、(同じくオプションの)再循環ノズルまたは二次空気ノズル291に供給される。この点、上述したように、二次空気ノズル291は一次燃焼ゾーン26の中心とは整列されておらず、一次燃焼ゾーン26から二次燃焼ゾーン27まで上にのびる流れのスワール(すなわち、垂直方向のスワール軸を有する上向きのスワール流)を引き起こすように中心からずれて配置されている。この点、煙道ガスと新鮮な二次空気との混合物を少なくとも部分的に二次燃焼ゾーン27に再循環させるために二次再循環を設けてもよい。
【0211】
図13および図14では、図12に対応して、再循環装置5における空気、再循環された煙道ガス、煙道ガスと空気との混合物の流れの道筋を、(概略で)流れを示す矢印S8~S16によって示してある。矢印S1~S16は、流体構成、すなわち、バイオマス暖房システム1における様々なガスまたは移動する塊の流れの道筋を示している。本明細書における構成要素または特徴の多くは流体的に接続されており、これは間接的に(すなわち他の構成要素を介して)なされることもあれば、直接的になされることもある。
【0212】
図13および図14からそれぞれ分かるように、熱交換後に熱交換器3から流れ出て、オプションのフィルター装置4からも流れ出た煙道ガスは、再循環装置5の再循環入口531を通って再循環入口5に入る(参照:矢印S8)。(オプションの)再循環入口チャネル仕切り532による煙道ガス流の(任意の)分岐の後、一次再循環の煙道ガスは、調節可能な空気弁52のうちの1つの位置に応じて、一次再循環チャネル56を通って一次混合室541に流入する(矢印S10参照)。ここで煙道ガスは新鮮な一次空気と混合され、同じく調節可能なもう1つの空気弁52の位置に応じて、一次空気ダクト58を通って一次混合室541に流入する(矢印S12参照)。
【0213】
その結果、一次混合ダクト54では、煙道ガスと新鮮な一次空気の混合流(矢印S14参照)が生じ、乱流と一次混合ダクト54の長さとにより、これらの2つの成分が都合よく混合される。一次混合ダクト54の端では、煙道ガスと新鮮な一次空気との均一な混合物が生み出され、この混合物が一次通路541を通って一次燃焼ゾーン26まで流れる(矢印S16参照)。
【0214】
二次再循環(流れの点では一次再循環と類似)が設けられている場合、煙道ガスは、再循環入口チャネル仕切り532で分岐された後、別の調整可能な空気弁52を介して二次再循環チャネル57を通って二次混合室552に流入し(矢印S9参照)、ここで煙道ガスは、同様に二次空気ダクト59と別の調整可能な弁52を通って二次混合室552に流入する新鮮な二次空気(矢印S11参照)と混合される。この煙道ガスと新鮮な二次空気との混合は、二次混合ダクト(矢印S13参照)において継続され、両成分の混合が改善される。そのようにして得られた、都合よく均一な混合物は、二次通路551を通って燃焼室レンガ29の周りの環状ダクト50に流入し、再循環ノズル291を通って燃焼室24に流入する(矢印S15参照)。
【0215】
図15の概略ブロック図は、再循環装置5の個々の構成要素それぞれとバイオマス暖房システム1の、図12図14を参照して上述したフローパターンを示している。図15のブロック図では、一次再循環とオプションの二次再循環の両方を完全な回路として示してある。再循環装置5は、一次再循環だけを有するものであっても構わない。
【0216】
再循環させることで、煙道ガスは原則として燃焼後の新鮮な空気と混合され、特に酸素含有量を高めた状態で再燃焼に供給される。これは、従来は未使用のまま煙突から排出されていた煙道ガス中の可燃性の残渣が、燃焼に寄与することができるようになることを意味する。
【0217】
それぞれの弁52は、一次混合室541および(好ましくはほぼ水平にのびる)一次混合ダクト54とともに、一次混合ユニット5aを形成する。また、それぞれの弁52が、二次混合室552および二次混合ダクト55とともに、二次混合ユニット5bを形成してもよい。図14で隠れているフローガイドの部分については、図3およびこれに付随する説明を参照のこと。
【0218】
また、図15には、本例で外乱要因として考慮されている、いわゆる偽空気の取り込みも示す。この場合、環境からの偽空気が、漏れによって燃焼室24、特に燃料供給装置に入ることから、混合物の混合比を調整する際に考慮すべき燃焼用空気の別の供給源になる。したがって、本例では、バイオマス暖房システム1は、公称負荷での稼働例で偽空気の取り込みが新鮮な一次空気と再循環された煙道ガスとの混合物の空気量(および二次再循環が存在する場合には、新鮮な二次空気と再循環された煙道ガスとの混合物の空気量および新鮮な一次空気と再循環された煙道ガスとの混合物の空気量)の6%未満、好ましくは4%未満に制限されるように設定されることが好ましい。
【0219】
都合の悪いことに、偽空気が、燃焼後に煙道ガスの別の流路を通って、例えば通常の灰の排出時に、燃焼室24に入ることもあり得る。この問題に対する解決策のひとつは、後に詳述する移行部スクリュー73によって提供され、それによって煙道ガス再循環5、ひいては煙道ガス処理を改善することができる。
(弁付き一次混合室および二次混合室)
【0220】
図16に、一次混合室542を斜めの視野角からみた断面図ならびに、(一次)弁予備室525を有する2つの入口側(一次)空気弁52を斜めの視野角からみた断面図を示す(図12および図13における対応する外観図を参照のこと)。
【0221】
再循環された煙道ガスは、管状の一次再循環チャネル56を経由し、一次再循環弁入口544を通って、任意に設けられて本例では例示的にのみ配置され、上側の(一次)空気弁52の弁箱524によって囲まれている上部の(一次)弁予備室525に流入する。弁予備室525の代わりに、例えば、一次再循環チャネル56を、断面が空気弁52に向かって連続的に広がるように設定することも可能である。そのようにすることで、別個の予備室を不要とすることができる。
【0222】
新鮮な一次空気は、一次空気ダクト58を経由し、一次空気入口545を通って、任意に設けられて本例では例示的にのみ配置された下部の(一次)弁室525に流入する。これも、下側の(一次)空気弁52の弁箱524/弁本体524によって囲まれている。
【0223】
あるいは、再循環された煙道ガスを下側の弁予備室525に供給する一方で、新鮮な一次空気を上側の弁予備室に供給するようにしてもよい。
【0224】
(一次)空気弁52の(一次)弁予備室525は、ほぼ円錐台形または円筒形であり、一次再循環チャネル56の断面と比較して、煙道ガスを流すための、本例では例示的な上側の空気弁52の断面積を大きくする。このため、一方では、より断面の小さな一次再循環チャネル56を提供することができるため材料と空間を節約することが可能であり、他方では、空気弁52を通る流れを制御(または調節)するために、より大きな有効弁面積を提供することができる。このように大きな弁面積には、汚染(煤煙を含む)の影響を受けにくく、断面が大きいため開放状態での圧力損失が少ないという、特別な利点がある。
【0225】
本例では、空気弁52は、ロータリーベーンバルブ52である。
【0226】
上側と下側の(一次)空気弁52を、一致する設計にしてもよい。
【0227】
ロータリースライドバルブ52としての2つの空気弁52は、それぞれ、回転可能に取り付けられた弁作動軸522を回転可能な電動機などのバルブアクチュエーター521と、弁作動軸522に取り付けられ、作動軸取付部材および少なくとも1つの弁葉523を含む弁本体527と、を含む。それぞれの空気弁52の弁本体527の少なくとも1つの弁葉523は、弁予備室525の下流端に設けられている。バルブアクチュエーター軸522は、一次混合室542を貫通している。このため、それぞれの空気弁52のバルブアクチュエーター521は、一次混合室542の一方の側に設けられ、弁本体527は、一次混合室542のバルブアクチュエーター521とは反対側に設けられている。
【0228】
少なくとも1つの弁葉523が、少なくとも2箇所の異なる位置まで移動または回転して空気弁52での通過流量を調整するように配置されている。
【0229】
例えば、位置の第1において、少なくとも1つの弁ポート526の少なくとも一部が、弁葉523によって提供される遮断面によって流体的に遮断され、煙道ガスが少なくとも1つの弁ポート526のその部分を通って一次混合室542に流入できないようにされている。第2の位置では、バリア面は、サブ領域を少なくとも部分的にクリアにして、煙道ガスがサブ領域を通って流れることができるようにする。
【0230】
第1の位置において、空気弁52が完全に閉じており、少なくとも1つの弁葉523の遮断面が、対応する少なくとも1つの弁開口部526の通路面を完全に覆っていることが好ましい場合がある。図16において、この閉弁位置は、下側の空気弁52によって例示されている。
【0231】
さらに、第2の位置において、空気弁52は、好ましくは、少なくとも1つの弁葉523の遮断面が、対応する少なくとも1つの弁開口部526の通路面を完全にクリアして、完全に開放されてもよい。図17では、この開弁位置は、上側の空気弁52によって例示されている。完全に開いた状態では、空気弁の通路面積を、例えば5300mm2±500mm2とすることができる。好ましくは、空気弁52は、完全に開いた状態と完全に閉じた状態との間で自由に調整することができるものである。
【0232】
本例では、各空気弁52に2つの弁葉523が設けられ、それぞれが一次混合室542への弁通路開口526を2つ有する(すなわち、弁本体がファンバルブを形成している)。しかしながら、1つのみ、あるいは複数の弁葉と、それに対応する数の弁開口部526とを設けてもよい。
【0233】
さらに、図16には、一次混合室筐体546によって形成され、弁通路開口526が設けられた弁領域528が示されている。弁本体527の任意の位置で、弁翼523が弁領域528に乗るか接触することができると好ましい。
【0234】
弁による圧力降下を最適化するために、空気弁52は、弁通路526の開口面積が一次再循環弁入口544(および一次空気(弁)入口545)の断面積より大きくなるように構成されていると好ましい。
【0235】
2つの弁ブレード523は、弁作動軸522の中心軸に対して鏡面対称(点対称)に設けられている。さらに、2つの弁葉523は、三日月形である。従って、対応する2つの弁開口部526も同様に三日月形であってもよい。三日月の形状は、例えば、三日月の外側の端にある点に向かって先細りになるように設けることができる。
【0236】
少なくとも1つの弁葉523がこのような三日月形であることで、少なくとも1つの弁オリフィス526を通る流れの断面形状がさらに不規則になるが、圧力降下が大きくなりすぎないようにすることができる。これにより、一次混合室542における混合が改善される。
【0237】
ロータリースライドバルブとしての空気弁52の上記の設計は、さらに、バイオマス暖房システム1のいわゆる低負荷運転またはまたスイッチオン運転、すなわち低温でのみ運転される場合にも関連する。低温のため、煙道ガス中の煤が原因で、従来のフラップバルブ/フラップが特に汚れる場合がある。この汚れの結果、通常の弁では困難な稼働しかできず、負荷が大きくなり、結果的に不都合な摩耗が進む。空気弁52の本実施形態は、この問題を軽減する。
【0238】
(例示的な上側の)空気弁52、この場合は例示的にロータリースライドバルブ52によって、(新鮮な)一次空気と混合する前に、再循環された煙道ガスの量を必要に応じて調整することが可能である。従って、新鮮な一次空気用の別の空気弁52によって、供給される新鮮な一次空気の量を制御することが可能になる。これにより、新鮮な一次空気と再循環された煙道ガスとの混合比を有利に調整することができる。したがって、混合比を異なる動作点または燃焼の最適な動作点に合わせることができる。
【0239】
また、上側のロータリーバルブ52を、一次煙道ガス再循環弁と称する場合がある。
【0240】
下側のロータリースライドバルブ52についても、新鮮な一次空気供給弁と称する場合がある。
【0241】
ロータリースライドバルブ52の代わりに、他の種類の弁、例えば、スライド式のスライドバルブ、ライナースライドバルブ、ボール弁などを使用することも可能である。
【0242】
2つの空気弁52の流れの方向で下流側に配置された一次混合室542は、再循環された煙道ガスを、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26に供給される新鮮な一次空気と合わせるために使用される。一次混合室542および2つの(一次)弁52は、一次混合ユニット5aの一部であり、煙道ガスと新鮮な一次空気とを調節可能に混合するために使用される。
【0243】
一次混合室542は、一次混合室筐体546によって形成されている。一次混合室筐体546は、ほぼ立方体状または箱形であり、一次混合室出口543を含む。一次混合室出口543は、2つの弁通路526/弁開口部526の下流側に設けられている。一次混合室出口543は、一次混合室筐体546の、2つの弁通路開口526とは反対側にも設けられている。
【0244】
一次混合室出口543と弁開口部526を有する一次混合室筐体546は、チャンバーの空間を介して互いに直接対面しないように配置されてもよい。すなわち、一次混合室542の弁開口部526と一次混合室542からの出口ポート543は、煙道ガスと新鮮な一次空気を合わせた流れが、一層よく混合されるように設けられている。
【0245】
例えば、図16の一次混合室542では、新鮮な一次空気が一次混合室542に入る直前に、煙道ガスの(すべての)流れが上側の空気弁52によって強制的に下方に偏向される。これにより、2つの流れが都合よく集合され、これらを一層よく混合することができる。
【0246】
また、上側の空気弁52を通る煙道ガスの流れと下側の空気弁52を通る新鮮な一次空気の流れ(例えば図16では左に向かう)の両方が一次混合室筐体546の壁に衝突し、低流速でも強制的に空気の乱れが形成されることになる。これにより、煙道ガスと新鮮な一次空気との均一な混合が促進される。
【0247】
さらに、一次混合室542への新鮮な一次空気および煙道ガスの入口流は三日月形であり、一次混合室542に入るときにも乱流を発生させる追加の要素が提供されている。
【0248】
再循環された煙道ガスと新鮮な一次空気との良好な混合または均一な混合は、重要である。そうでなければ、燃焼に供給される空気にストランディング(すなわち永久的な不均一性)が発生し、燃焼プロセスに有害な影響が生じるためである。例えば、(新鮮な)一次空気と再循環された煙道ガスとの混合が不均一であると、バイオマス暖房システム1の汚染物質排出量が増加する。
【0249】
その結果、上記の構成では、単純な構造で煙道ガスと新鮮な一次空気との混合が都合よく改善される。
【0250】
図17は、二次再循環に関して、二次混合室552を斜めの視野角からみた断面図ならびに、(二次)弁予備室525を有する2つの入口側(二次)空気弁52を斜めの視野角からみた断面図を示す(図12および図13における対応する外観図を参照のこと)。図17の同一の特徴または類似の特徴は、図16のものと構造的および機能的に対応するため、繰り返しを避けるために、大幅に類似する図16の前述の説明を参照のこと。
【0251】
再循環された煙道ガスは、管状の二次再循環チャネル57を経由して、二次再循環弁入口554を通り、任意に設けられて本例では上側の(二次)空気弁52の弁箱524によって囲まれた下側の(二次)弁予備室525に流入する。
【0252】
新鮮な二次空気(新鮮な空気)は、二次空気ダクト58を経由して、二次空気(弁)入口555を通り、任意に設けられて本例では下側の(二次)空気弁52の別の弁箱524/弁本体524によって囲まれた上側の(二次)弁予備室525に流入する。
【0253】
本例では、再循環チャネル56、57の弁予備室525への入口の位置(よって、煙道ガス用に設けられた弁52の位置)を、再循環チャネル56、57をできるだけ長い距離にわたって平行に案内できるような配置とした。したがって、再循環チャネル56、57に共通の断熱材を提供することができ、再循環チャネル56、57の距離にわたる熱損失を都合よく抑えることができる。
【0254】
あるいは、新鮮な二次空気を下側の(二次)弁室525に供給しながら、再循環された煙道ガスを上側の(二次)弁室525に供給してもよい。
【0255】
二次混合室552には、一次混合室542と同様の混合室容積と二次混合室出口553とを有する二次混合室筐体556が含まれる。
【0256】
図17の2つの空気弁52も、図16と同様に、ロータリースライドバルブとして設計されている。上側と下側の(二次)空気弁52を、一致する設計にしてもよい。
【0257】
また、下側のロータリーバルブ52を、二次煙道ガス再循環弁と称する場合がある。図17の下側のロータリーバルブ52は、全開の状態で示されている。
【0258】
上側のロータリースライドバルブ52についても、新鮮な二次空気供給弁と称する場合がある。図17の上側のロータリーバルブ52は、部分的にしか開いていない状態で示されている。
【0259】
2つの二次回転スプール弁52は、図16の2つの一次回転スプール弁52とほぼ同様に設けられる。特に、弁葉523の三日月形がそうである。
【0260】
2つの空気弁52の下流に位置する二次混合室552は、再循環された煙道ガスを、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26に供給される新鮮な一次空気と合わせるために使用される。一次混合室542および2つの(一次)弁52は、一次混合ユニット5aの一部であり、煙道ガスと新鮮な一次空気とを調節可能に混合するために使用される。
【0261】
二次混合室552は、二次混合室筐体556によって形成されている。二次混合室筐体556は、ほぼ立方体状または箱形で提供され、二次混合室出口553を含む。二次混合室出口553は、2つの弁通路526の下流側に設けられている。二次混合室出口553は、二次混合室筐体556の、2つの弁通路開口526とは反対側にも設けられている。
【0262】
二次混合室出口553と弁開口部526を有する二次混合室筐体556は、チャンバーの空間を介して互いに直接対面しないように構成されていてもよい。すなわち、二次混合室552の入口ポート526と二次混合室552からの出口ポート553は、煙道ガスと新鮮な一次空気を合わせた流れが、一層よく混合されるように設けられている。
【0263】
図16の一次混合室542の構成とは対照的に、二次混合室552では、二次混合室552の入口開口526と二次混合室552からの出口開口553の別の構成が示されている。ここで、出口開口553は、2つの入口開口526(または弁通路開口526)の間に位置する。したがって、上側の入口開口526からの新鮮な二次空気流と下側の入口開口526からの煙道ガス流は、二次混合室552のほぼ中央で合流するように偏向され、そこで渦を形成しながら混ざり合い、出口開口553から共通の流れとして出ていく。このようにして何回か方向を変えて2つの流れを組み合わせることにより、一次混合室542の場合と同様に、新鮮な二次空気と新鮮な一次空気との均一な混合を都合よく達成することができる。
【0264】
このように、図17の二次混合室552の構成の効果は、参照した図16の一次混合室542の構成の効果に類似する。
【0265】
新鮮な一次空気または新鮮な二次空気と再循環された煙道ガスとの良好な(均一な)混合は、バイオマス暖房システム1での燃焼プロセスの最適化に重要な貢献を果たす。例えば、公称負荷での稼働例で、新鮮な一次空気および新鮮な二次空気の酸素含有量は通常、約21%であり、再循環された煙道ガスでは酸素含有量がわずか約4~5%である。再循環時に混合が不均一になると、燃料層28には、下側から、また一次燃焼ゾーン26から不均一に酸素の供給がなされることになる。最悪の場合、再循環時にストランディングが多発すると、燃焼用に、酸素含有量が極めて少ない空気が一部の燃料に送り込まれることになる。そのため、この部分の燃焼過程が著しく損なわれる。
【0266】
しかしながら、一次混合ユニット5aと(オプションの)二次混合ユニット5bによって、新鮮な一次空気および新鮮な二次空気と、再循環された煙道ガスとが均一に混合される。均一な混合による別の利点として、温度ピーク(ファウリングやスラグの原因になり得る)の低下、煙道ガス速度ピーク(材料応力や装置の侵食を増やす)の低下があげられる。
【0267】
本例では、二次循環用の二次空気ノズルまたは再循環ノズル291を、上述したものと同じ観点に基づいて設計した。
【0268】
二次空気ノズルまたは再循環ノズル291は、燃焼室24の断面を横切る流れの乱流を混合し、均一化するように配置されている。特に、二次空気ノズルまたは再循環ノズル291は、燃焼室24にスワール流を誘発することができるような配置と向きになっている。
【0269】
特に、上記で説明した二次空気ノズル291の設計によって、燃焼量が最小限に抑えられるだけでなく、排出量の低減にもつながる。
【0270】
一次再循環のみが提供される場合、バイオマス暖房システム1における燃焼の最適な動作点に達するか、少なくともほぼ達するように、再循環された煙道ガスと新鮮な一次空気との混合物の混合比と質量流量(kg/h)の両方を、2つの(一次)空気弁52によって都合よく制御することが可能である。
【0271】
二次再循環と一次再循環を設ける場合、都合がよいことに、これらを独立して制御することができる。これは、一次再循環混合物の質量流量(kg/h)および混合比と、二次再循環混合物の質量流量(kg/h)および混合比とを、互いに独立して設定可能であることを意味する。
【0272】
これにより、従来から知られている偽空気の取り込みを考慮しても、燃焼を動作点で都合よく柔軟に調整し、最適化することができる。すなわち、特に2つ(一次再循環のみ)または4つ(一次再循環および二次再循環)の独立に調整可能な空気弁52を使用することで、再循環装置5に通常よりも大きな制御範囲が提供される。
【0273】
稼働時には、特に、一次空気の流量範囲とオプションで二次空気の流量範囲を、制御システムで完全に自動制御することができる。このようにすると、性能と燃焼が最適化され、燃焼室での灰融点未満になることでスラグの形成が低減され、高効率、低NOx排出量での極めて低い粒子状物質値が保証される。これは、異なる燃料および燃料品質で、再循環装置5が、このように異なる燃料を用いるハイブリッド燃焼に特に適しているためである。
【0274】
以上のとおり、再循環装置4によって、煙道ガス処理が改善される。
(煙道ガス復水器)
【0275】
さらに、バイオマス暖房システム1に煙道ガス復水器を設け、凝縮技術を提供してもよい。煙道ガス復水器は、特殊な熱交換器である。
【0276】
燃料と供給空気の組成、それらの湿度、燃料中の化学結合した水素原子の含有量に応じて、燃焼時、煙道ガスで様々な量の水蒸気や他の凝縮可能な物質が形成される。仮に、これを煙道ガス復水器で露点未満まで冷却すると、水蒸気や随伴物質を凝縮することができ、放出される凝縮熱を伝熱媒体に伝えることができる。これによって、煙道ガスの潜熱を利用することができ、結果として、燃料の使用量やCO2の排出量を削減することができる。
【0277】
通常は不完全である生物材料の燃焼時(特に木質チップ暖房システムやペレット暖房システムの場合)、煙道ガスが冷えると、煤、フライアッシュ、浮遊粉塵、木タールまたはタール、場合によっては未燃炭化水素が堆積する。これらは熱交換器の表面を激しく汚し、通常は固まって排ガス/煙道ガスや煙突の通気を妨げたり、詰まらせたりする。このような理由から、例えば煙道ガス凝縮システムのない薪ストーブやタイルストーブは、煙道ガスの温度が120℃を超えるようにして動作するようになっている。しかし、これはエネルギー効率が悪く不利になる。また、結果的に分離されなかった汚染物質や水蒸気(凝縮熱と残留エネルギーで発熱量の約70%を占める場合がある)は、良くない状態で環境中に放出される。
【0278】
したがって、ハイブリッド技術のバイオマス暖房システム1用の煙道ガス復水器の場合、そのような中でもファウリングの影響を受けにくい、高効率で最適化された煙道ガス復水器を提供することが課題になる。
【0279】
図18に、外装材16(例えば断熱材16)を追加し、煙道ガス復水器49を追加した、図1のバイオマス暖房システム1の三次元概略図を示す。煙道ガス復水器49は、取付装置499によってボイラー11に隣接して配置され、煙道ガスまたは排ガス供給ライン411を介して、ボイラー11の煙道ガスまたは排ガス出口41に接続されている。煙道ガスは、煙道ガス復水器49を流れ、煙道ガス出口412から外に出る。煙道ガス復水器49には、ここでは閉じたメンテナンス開口を有する側面498を含む。
【0280】
さらに、フランジ497には、煙道ガス復水器49の内側に突出するスプレーバー(図示せず)を支持するための開口が設けられている。フランジから水平に突出している、このスプレーバーは、下向きの(スプレー)ノズルを有し、給水源に接続されている。給水源を作動させると、排ガス復水器49の中を洗浄することができる。
【0281】
図18の煙道ガス復水器49では、煙道ガス復水器49のヘッド要素495に、熱交換媒体用の第1の流体ポート491/第1の流体接続部491と、第2の流体ポート492/第2の流体接続部492とが、さらに設けられている。一方の接続部は入口であり、他方は出口である。通常、熱交換媒体を回路に循環させることで、熱交換媒体が吸収した熱を利用することができる。
【0282】
煙道ガス復水器49の下側には、煙道ガス復水器49の内部で発生した復水を排出することができる復水出口496が設けられている。
【0283】
図19aに、図18の煙道ガス復水器49を図18の矢印Hの方向から見た側面図を示す。図19bには、図18の煙道ガス復水器49を図18の矢印Vの方向から見た側面図を示す。
【0284】
矢印OS1は、煙道ガス復水器49の内部における煙道ガスの流れまたは流動を、おおむね上から下へ、すなわち煙道ガス入口411から煙道ガス出口412に向けて模式的に示すものである。この場合、煙道ガスの流れは、おおむね下方向に向けられており、煙道ガス復水器49に入った後、その内部空間に分布している。
【0285】
図20に、図19aおよび図18の煙道ガス復水器49の内部の図を示す。
【0286】
煙道ガス復水器49の内部には、複数の熱交換器管493が主流量方向を横切って配置されている。これらのU字型の熱交換器管493には熱交換媒体が流れ、その周囲を煙道ガスが流れている。その過程で、熱交換が行われる。特に、煙道ガスの凝縮は、熱交換器管493で行われ、それによって煙道ガスの成分(特に水)が煙道ガス復水器で分離される。複数の熱交換器管493を、熱交換器管束493と称することもある。
【0287】
煙道ガス復水器49の下部には、復水を回収するための復水回収漏斗4961が設けられており、復水を回収して復水出口496に排出する。そこから、復水を廃棄することができる。また、復水回収漏斗4961は、煙道ガス復水器49の下側の部分における煙道ガスの流れを、煙道ガス出口412に向かって横方向または水平方向に偏向させるように配置されている。
【0288】
復水出口496に向かう煙道ガスの下降流は、都合よく復水の排出を加速させる。
【0289】
複数のU字型の熱交換器管493は、管支持部材4931によって一面を支持されている。複数のU字型の熱交換器管493の端は、さらに、管板部材4932に、溶接などの方法で取り付けられている。管板部材4932は、熱交換器管493用に複数の開口部を有する板状の部材である。管板部材4932は、ヘッド部材495の内側部分を形成している。ヘッド要素495は、複数のU字型の熱交換器管493がそれぞれグループで直列に接続されるように、第1の流体ポート491と第2の流体ポート492との間にチャンバー状のフローガイドを含んでいる。例えば、所定数のU字型の熱交換器管493が並列に流体接続されて、U字型の熱交換器管493のグループを形成してもよく、そのグループが順次、互いに直列に流体接続されていてもよい。この流動案内は、特にヘッド要素495内のキャビティを個々の流体セクションに分岐させる仕切り板4951を含むヘッド要素フローガイド4951によって提供されてもよい。これは、図20および図23の概要から特に明らかである。
【0290】
熱交換器管493は、一道のグループ化された構成で提供される。この一煙道設計では、必要な洗浄ノズルが一組だけであるため、洗浄が容易であり、煙道ガスの一層均一な流入と流れが提供される。
【0291】
熱交換流体は、流体ポート491、492のうちの一方を通って排ガス復水器49に流入した後、仕切り板4951によって、管寄せ要素495とU字型の熱交換器管493とを交互に通過し、他方の流体ポートから再び流出する。この過程で、煙道ガス復水器49を流れる熱交換媒体は、煙道ガスから熱を吸収する。
【0292】
煙道ガス復水器49は、熱交換器管493を有する平滑管熱交換器を形成している。この場合、熱交換管493に熱交換媒体が配置され、熱交換管493の周囲を煙道ガスが流れる。
【0293】
熱交換器管493は、例えば、材料1.4462または1.4571で製造されていてもよい。ステンレス鋼材料1.4462(好ましくはX2CrNiMoN22-5-3)のほうが、材料1.4462(V4A)よりも耐性が高く良好であることが証明されている。詳細には、1.4462は(特に応力腐食割れと化学腐食に対して)特に高い耐食性と極めて優れた機械特性(例えば強度)を示し、100℃から250℃の温度での使用に適し、容易に溶接可能かつ研磨可能である。また、従来のオーステナイトよりもニッケル含有量が少ないため、材料特性に優れているにもかかわらず、著しく高価になることがなく、経済的な観点からも1.4462を活用すると都合がよい。
【0294】
熱交換プロセスの効率を最適化するための重要な要因のひとつに、複数のU字型の熱交換器管493の面積とその流れの最適化がある。これについては、図21図26を参照しながら、以下で詳細に説明する。
【0295】
図21に、煙道ガス復水器の煙道ガス供給ライン411用の開口を上から見た状態で、煙道ガス復水器49を示す。複数の熱交換器管493が、煙道ガスの流れと交差する構造を形成し、その中で、複数の熱交換器管493が互いに垂直方向に並んでいることが分かる。このように、本煙道ガス復水器49では、熱交換媒体(例えば、水)の流れが煙道ガスの流れの方向(OS1)に交差する。熱交換器管493の間には、一定幅の空間(隙間)が設けられている。
【0296】
図22に、図18の煙道ガス復水器49を上から見た水平断面図を示す。この場合、熱交換器管493は、熱交換器管493同士の間の第1の(水平方向の)隙間4934と、熱交換器管493と煙道ガス復水器49の外壁との間の第2の(水平方向の)隙間4935が、少なくともおおむね一定の幅を有するように、煙道ガス復水器49の断面全体にわたって配置されている。ただし、熱交換器管493のループで形成される折り返し点4933には、上記に対する若干の例外が存在する場合がある。なぜなら、必然的に変化し、もっと大きいこともある隙間が、そこに存在するためである。このように、U字型の熱交換器管493では、2本の個別の直線管の間に折り返し点4933がある。
【0297】
図22から明らかなように、第1の空間4934は、熱交換器管493の間で一種の垂直で直線的な「細い通路」を形成し、そこを煙道ガスが垂直に流れることができる。これによって、圧力降下を減らしつつ、平滑管を有する現在の設計で効率的な熱交換を保証することができる。
【0298】
熱交換器管493の間の第1の空間4934と、熱交換器管493と煙道ガス復水器49の外壁との間の第2の空間4935については、第1の空間4934の水平方向の幅が第2の空間4935よりも大きくなるように設けられていてもよい。
【0299】
隙間4934、4935を突出した配置にすることで、都合のよいことに、煙道ガス流の分布が均一になり、より均一で効率的な熱交換が可能になる。
【0300】
図23に、管板部材4932と管支持部材4931とを有する複数の熱交換器管493の三次元図を示す。管保持部材4931の作製には、例えば、U字型の熱交換器管493用に開口を打ち抜いた金属板を用いることができる。管支持部材4931は、熱交換器管493を支持し、管板部材4932にかかる熱交換器管493の端部の機械的応力を低減するのに使用される。板状の管板部材4932は熱交換器管493に接続され、熱交換器管493に対応する通路4936が管板部材4932に設けられて熱交換媒体が管板部材4932を流れるようにされている。
【0301】
複数の熱交換器管493(管束)および管板要素4932の外形寸法については、例えば、642×187×421mmとすることができ、極めてコンパクトな構造を実現することができる。
【0302】
熱交換器管493は、U字型のまま垂直方向に配置されている。これによって、U字型の熱交換器管493ごとに、2本の管(または管セクション)が上下に並んで設けられることになる。
【0303】
図24に、図23の複数の熱交換器管493の側面図を示す。好ましくは、第2の流体ポート/接続部492を熱交換流体用の入口とすることができ、熱交換流体用の出口は、第1の流体ポート491であってもよい。この場合について、図24では、熱交換器媒体の流れを熱交換器管493の上や中の矢印で示す。また、OS1と付した3本の矢印は、煙道ガスの流れを模式的に示している。熱交換器媒体の流れは、左から右またはその逆へと交互につながり、また、流れの方向に対して下から上へと蛇行している。この点で、本煙道ガス復水器49は、十字流-向流構成を有している。この構成は、熱回収に最適であることが証明されている。また、煙道ガス復水器49は、容易に洗浄することが可能な平滑管復水器であると都合がよい。
【0304】
図25に、図23の複数の熱交換器管493の全体的な幾何学形状を説明するための、図23の複数の熱交換器管493の上面図を示す。
【0305】
煙道ガスは、熱交換器管493を上から通過する。すなわち、図25の視点から、煙道ガス用の通路を見ることができる。これらの通路は、煙道ガスが分散して管493の大きな表面被覆で通過しなければならない細長い隙間または細い通路である。
【0306】
この文脈において、第1のインタースペース/空間4934は、(例えば、水平方向の)幅SP2(第1の方向における煙道ガス用の隙間またはレーンの幅)を有することができ、好ましくは、これを6.0mm±2mmとすることができる。このように、この幅SP2は、通常よりもはるかに狭いため、効率が増す。
【0307】
例えば、幅SP2を、幅SP1以下にすることが可能である(最小距離)。
【0308】
例えば、熱交換器管493の管外径を、12.0mm±1mmとしてもよい。このため、煙道ガス復水器49の横方向のピッチの距離については、例えば、12.0mm+6mm=18mm±1.5mmとすることが可能である。
【0309】
全体的な構造、特に幅SP2は、都合のよいことに、高い熱伝達率、よって全体的な効率(>107%)を非常に小さな容積要件で達成できるような寸法にされている。都合のよいことに、複数の熱交換器管493すべてと一致する細い通路として幅SP2を提供してもよい。
【0310】
図23に示す複数の熱交換器管493では、管束が垂直方向に11本、水平方向に9本設けられている。これは、構造のコンパクトさ、熱交換器の効率、煙道ガスの圧力降下、熱交換媒体の圧力降下、機械構造の複雑さなどの間で、良い妥協点となることが分かっている。よって、例えば、合計99本のU字型の熱交換器管493を設けることができる。
【0311】
このように、熱交換器管493の水平方向の管束は、第1の方向(この例では、水平方向)にグループ化され、互いに平行に配置されている。そのようなグループの1つを、図25に示す。
【0312】
また、この水平方向の管束のグループは、図24に例示するように、第2の方向にも互いに平行に(例えば、垂直方向に互いに上下の関係で)配置される。第1の方向と第2の方向は、好ましくは、互いに直交し得る。
【0313】
計算と実用的な試験の結果、縦横の管の本数を、
-U字型の熱交換器管493として垂直方向に8~14本、好ましくは10~12本と、
-U字型の熱交換器管として水平方向に7~12本、好ましくは8~10本
の範囲にすることで、上記の意味での最適な熱交換器が得られることが明らかになった。
個別の管でみれば、
-(単一の)管として垂直方向に16~28本、好ましくは20~24本と、
-(単一の)管として水平方向に7~12本、好ましくは8~10本
の範囲にすることができる(一例)。
【0314】
U字型の熱交換器管493には、垂直方向から見ると個別の管が2本、水平方向から見ると個別の管が1本含まれる。
【0315】
図26に、図23の1本の(強調表示された)例示的なU字型の熱交換器管493と、そのサイジングを示す。しかしながら、熱交換器管493のサイジングが異なっていてもよい。例えば、6mm±2mmという細い通路の幅SP2も、熱交換器管493の異なるディメンショニングで維持することができる。
【0316】
図26の左側に示す中心線は、U字型の熱交換器管493の中心線を表している。複数のU字型の熱交換器管493すべての中心線が、互いに平行であると好ましい。
【0317】
また、この設計には、同一のU字型の熱交換器管493を大量生産することができるという利点もある。個別に製作された熱交換器管493は、管支持部材4931に挿入される前または後に、管板部材4932に溶接される。
【0318】
小道の幅SP2を狭くすることができるのは、特に、上述したバイオマス暖房システム1が、その効率と「クリーンな」燃焼がゆえ、熱交換器管493のファウリングをほとんど生じないためである。これは、特に上流側の静電フィルター装置4によって達成することができる。また、煙道ガス復水器49は、例えば水噴霧ノズルによる自動洗浄がなされてもよい。これらの水噴霧ノズルは、例えば一定間隔で制御装置によって自動的に作動し、残渣を洗い流すか噴射で落とすことができる。この洗浄水を、復水出口496経由で煙道ガス復水器49から排出することが可能である。これにより、復水出口496で2つの機能を兼ね備えることができる。その結果、煙道ガス復水器49も積極的に汚染物質を洗浄することができるので、小道の幅を狭くすることができる。
【0319】
このため、煙道ガス復水器49を、特に、流れの観点から上流に接続された静電フィルター装置4と組み合わせることができる。これにより、煙道ガス中の粉塵含有量を極めて少なくすることができ、シェルアンドチューブ式熱交換器として十字流-向流設計の熱交換器束間の隙間幅6±2mm、好ましくは5±1mmの極めてエネルギー効率の良い設計を達成することが可能となる。
【0320】
上記の構成により、計算上、煙道ガス側の圧力降下を100Pa未満(より好ましくは約60Pa)に抑えることができる一方で、水銀度は数学的に約14ケルビンを達成することが可能である。熱交換容量は、上に示した例示的な寸法で約19.1kWに設計されている。特に、従来技術とは対照的に、本煙道ガス復水器49は、公称ボイラー出力20~500kWの広い出力範囲を有するバイオマス暖房システム用に設計され、それに適している。
【0321】
このように、煙道ガス復水器49は、煙道ガス処理を改善する。
【0322】
要約すると、小道の幅SP2が狭い本煙道ガス復水器49は、煙道ガスから顕熱を回収し、さらに特に潜熱を回収する。その結果、システム全体の効率を、ペレットを燃料とする場合(M7)では最大105%、木質チップを燃料とする場合(M30)では最大110%以上と、大幅に高めることができる(いずれの場合も供給燃料エネルギー(熱量)に基づく)。
(トランジションスネイル)
【0323】
図2および図3のバイオマス暖房システム1の下部には、灰排出装置7が示されている。これは、モーター72によって作動すなわち回転される、灰排出ダクトに移行部スクリュー73を有する灰排出スクリュー71(搬送スクリュー)を備える。
【0324】
灰除去システム7の灰排出スクリュー71は、燃焼残渣をボイラー11の下部から図18に例示する灰受け74に効率的に除去する役割を果たす。また、灰排出スクリュー71の移行部スクリュー73は、ボイラー11の個々の流域を分離する役割を果たし(矢印S1およびS5参照)、したがって、燃焼室24をターニングチャンバー35から分離する役割を果たす。ここで、熱交換器3を通過した後、制御されない方法で燃焼に戻る煙道ガスが発生しないようにする必要がある。
【0325】
例示的な課題のひとつに、ボイラーの煙道ガスに対して効率的な分離を行うとともに、低摩耗かつ低コストである灰排出スクリュー71を提供することがある。
【0326】
図27aに、図2および図3から抽出した、移行部スクリュー73を有する灰排出スクリュー71の断面図を示す。図27bには、図27aの灰排出スクリュー71の三次元斜視図を示す。図28には、移行部スクリュー73の筐体75の三次元斜視図を示す。図29には、図27aの移行部スクリュー73を有する灰排出スクリュー71の詳細図を示す。
【0327】
灰排出スクリュー71は、その右端(すなわちボイラー11の後端)で軸711を介してモーター72(図27a、図27b、図28図29では図示せず)で回転して駆動され、灰などの燃焼残渣を灰受け74まで左に搬送する役割を果たす。この一般的な搬送方向を、図27a、図27bおよび図29では矢印ASで示す。
【0328】
図27a、図27b、図28および図29の灰排出スクリュー71は、移行部スクリュー73のセクションをさらに含む。移行部スクリュー73は、移行部スクリュー筐体75内に位置する灰排出スクリュー71のセクションである。
詳細には、灰排出スクリュー71は、
1)バーナーセクション714すなわちバーナー領域に位置する灰排出スクリュー71の部分714(図27A図27Bおよび図29で左側に示す)、
2)熱交換器セクション713すなわち熱交換器セクションに位置する灰排出スクリュー71の部分713(図27a、図27b、図29で右側に示す)、
3)これらの2つのセクションの間にある、移行部スクリュー73すなわち移行部スクリュー筐体75内にある移行部スクリュー73のセクション
という3つのセクションを有する。
【0329】
熱交換器セクション713とバーナーセクション714のピッチ方向すなわち旋進性は一致する。すなわち、これらのセクションは、どちらも時計回りまたは反時計回りのいずれかで設けられている。その結果、モーター72(図27a、図27b、図28図29では図示せず)が灰排出スクリュー71を回転させると、熱交換器セクション713での燃焼残渣の搬送方向と、バーナーセクション714での燃焼残渣の搬送方向が同一になる。しかしながら、移行部スクリュー73は、そこから一部が逸れて設けられている。これについては、後に図28および図29を参照してより詳細に説明する。
【0330】
図27a、図27b、図28図29の灰排出スクリュー71は、移行部スクリュー73の左側のほうが移行部スクリューの右側よりも直径が大きい。このため、例えば、灰排出スクリュー71の3つのセクションすべてに設けられたスクリュー軸711に、より大きな直径を有するスクリューパーツを、一緒に、あるいは一体で、あるいは(一緒に差し込むことができる)複数の部品で、設けるか差し込むことができる。直径の違いによって、より多くの燃焼残渣が燃焼室24で発生し、燃焼残渣の除去が最適化される。
【0331】
図27a、図27b、図28図29の移行部スクリュー筐体75は、上部に開口751を有する。移行部スクリュー筐体75は、境界板752と、円筒形の本体部75と、取付分離部材754と、漏斗部材755とをさらに含む。
【0332】
締結分離部材754は、筐体75の外側部分でボイラー11の2つの流域を分離しつつ、円筒形の本体セクション753を支持する。この2つの領域を図29では「バーナー」および「熱交換器」という用語で示し、両者の間の破線は2つの領域の区切りを模式的に示すためのものである。また、締結要素と分離要素を別々に設けてもよい。あるいは、例えば本体部753が容器11の仕切り壁に完全に一体で設けられる場合、仕切り部材が設けられないこともある。いずれにしても、本体セクション753は、煙道ガスおよび/または新鮮な空気用の2本の流域を分離するようにボイラー11に配置されるが、灰の排出に関しては接続部を形成する。
【0333】
円筒形の本体セクション753は、移行部スクリュー73を受け入れる。それにより、トランジションウォーム73は、本体セクション753内で自由に回転することができる。このため、本体セクション753の内径は、移行部スクリュー73の(最大)外径に距離寸法を加えたものに対応するように配慮されている。この距離寸法は、移行部スクリュー73が自由に回転できるようにすると同時に、過度のクリアランスが回避されるように設定されている。
【0334】
さらに、スクリュー軸711には、軸711を本体セクション753でセンタリングし、任意に支持するためのセンタリングディスク712が設けられている。センタリングディスク712が、本体セクション753の内部空間を閉鎖するようになっていてもよい。
【0335】
ホッパー部材755は、上記で設けられた開口751を囲むように設けられている。ホッパー部材755は、その水平断面領域が開口751に向かって下向きに先細りになっている。すなわち、ホッパー部材755は、開口751の周囲(周囲)で上に向かって開口するように設けられている。
【0336】
移行部スクリュー73には、さらに2つのサブセクションがあり、それぞれのサブセクションにピッチ方向または旋進性がある。すなわち、トランジションオーガ73には、2つのサブセクション731、732があり、そのうちの一方は左向きの上昇オーガ、他方は右向きの上昇オーガを有する。
【0337】
詳細には、灰排出スクリュー71の熱交換器セクション713のピッチは、移行部スクリュー73に移行する際に、右側のサブセクション732で変更されないままであってもよい。現在、サブセクション732には、右向きの上昇オーガが設けられている。逆に、左側のサブセクション731には、左向きの上昇オーガが設けられている。
【0338】
より一般的には、トランジションオーガ73には、旋進性が逆のオーガを有する2つのサブセクション731、732がある。このように、移行部スクリュー73は、一体の逆巻部731を有する。
【0339】
以上のような構成により、以下のことが実現される。
熱交換器3の下の空間またはターニングチャンバー35からの燃焼残渣、場合によってはオプションのフィルター装置4からの燃焼残渣は、熱交換器セクション713のスクリューの回転によって、筐体73で形成された本体セクション753に搬送される。これを、図29に矢印AS1で模式的に示す。
【0340】
これらの燃焼残渣AS1と、図29に矢印AS2で模式的に示す、燃焼室24から漏斗に落下する燃焼残渣は、移行部スクリュー73のほぼ中央に達し、それを越えて移行部スクリュー73の左側のサブセクション731に達する(矢印AS3を参照のこと)。しかしながら、サブセクション731のスクリューのギア性が逆であることから、燃焼残渣は再び逆方向へ駆動される。これを、矢印AS4で模式的に示す。
【0341】
このように、燃焼残渣は、移行部スクリュー73の2つのサブセクション731、732の間で一緒にされる。このため、オーガを有するサブセクション731、732は、軸711が回転するときに、燃焼残渣が互いに向かって駆動されるように配置される。
【0342】
すなわち、移行部スクリュー73の逆巻部731によって、移行部スクリュー筐体75内で燃焼残渣が圧密(および圧縮)されることになる。
【0343】
容積に限りがあるため、燃焼残渣は開口751の下で圧縮され、個々の成分(例えばその灰粒子)としては移動可能であるが、それでも高密度の栓を形成する。時間が経過して体積が増すと、燃焼残渣は開口751に向かって上方向に押し出されるか、排出される。この点で、移行部スクリュー筐体75に移動する固体の栓が形成され、ガスに対して封止される。しかしながら、この栓は、材料の除去を可能にする。
【0344】
境界板752は、図29に矢印AS5で模式的に示すように、これらの燃焼残渣を横方向に偏向させる。筐体75から押し出されたこれらの燃焼残渣は、その後、左側で排熱スクリュー71のバーナーセクションの上または中に落下し、最終的にボイラー11の外に搬送される(矢印ASを参照のこと)。
【0345】
その結果、「バーナー」および「熱交換器」の流域は、煙道ガスまたは新鮮な空気の流れに関しては互いに分離されるが、燃焼残渣に関しては接続されており、燃焼残渣の排出が可能である。
【0346】
従来技術では、不利な費用追加を伴ってボイラー内の個々の流域に2つの別々の灰排出スクリューを設けるか、移行片を経由してボイラーのシール中間壁を通って灰排出スクリューの軸を平軸受によって案内しているのが一般的である。平軸受は、少なくとも大幅にシールするように設計されなければならない。平軸受には、燃料中の異物、スラグ、余燼、水、高温に曝露されるため、摩耗しやすいという欠点がある。そのような平軸受は、製造、ボイラーへの組み込み、メンテナンスに相当なコストがかかる。
【0347】
上記の設計では、このような滑り軸受を完全に回避することができ、単純(したがって安価)で効率的になっている。
【0348】
さらに、燃焼室24への潜在的な逆流に対して煙道ガスが良好にシールされるため、煙道ガス再循環時の誤った空気流を回避することで、煙道ガスの取り扱いが改善される。
【0349】
移行部スクリュー筐体75の初期充填を確実に行うために、バイオマス暖房システム1の初期試運転を工場で実施してもよい。このプロセスには、充填用に十分な量の燃焼残渣を発生させる最初の加熱工程を含む。それによって、ここではまだシール機能が保証されていないことは無関係である。
(別の実施形態での煙道ガス再循環)
【0350】
図30に、別の実施形態による再循環装置を強調した半透過斜視図を示す。
【0351】
この別の実施形態では、二次空気供給は、図13の実施形態のような再循環を含まず、むしろ単純に制御または調節された新鮮な空気の供給である。この点で、この別の実施形態は、製造がより単純で安価であり、それでもなお、図13の実施形態における上述した利点の多くを提供することができる。特に、実用的な試験が示すように、この実施形態でも、設定された効率目標を達成することができよう。
【0352】
図30における対応する参照符号は、本質的に図13と同じ教示内容を開示している。このことから、繰り返しを避けるために、基本的に2つの実施形態における相違点のみ説明する。
【0353】
図13の実施形態のロータリーベーンバルブは、図13の別の実施形態では、スライディングベーンバルブに置き換えられている。さらに、図30の別の実施形態では、再循環ガスと新鮮な空気との二次混合は行わず、再循環ノズル291への新鮮な空気の供給(量)だけを制御または調節する。この場合、二次混合ダクト55は、二次温度制御ダクト55aとして保持され、新鮮な空気を調質する機能を果たしていた。ここで、二次温度制御ダクト55aは、ボイラー11の壁面に沿って設けられていることから、二次空気ダクト59から供給される新鮮な空気は、燃焼室24に導入される前にボイラー11の熱で予熱される(矢印S13a参照)。したがって、二次温度制御ダクト55aは、その断面が(水平方向の)厚みよりも(垂直方向の)高さのほうが大きい矩形である。これにより、二次温度制御ダクト55aがボイラー壁を「抱く」ことになり、熱交換の面積が大きく保たれることになる。予熱された二次空気は、燃焼効率を高める。二次温度制御ダクト55aの設計の詳細については、二次混合ダクト55のコメントも参照されたい。
【0354】
矢印S15は、二次空気流が二次通路551を通って燃焼室レンガ29の周囲の環状ダクト50に入り、再循環ノズル291を通って燃焼室24に入ることを示している。これにより、二次空気がさらに都合よく加熱されるだけでなく、燃焼室レンガ29が都合よく冷却され、例えば、燃焼室レンガ上でのスラグの形成が低減される(スラグ形成の最低温度に関する上記の説明を参照のこと)。
【0355】
矢印S8、S10は、熱交換器3(またはオプションのフィルター装置4)の下流側の煙道ガスのうち、本実施形態ではより単純で安価な設計の一次混合ユニット5aへの流れのみを示している。
【0356】
図31に、別の実施形態によるバイオマス暖房システムおよび図30の再循環装置の個々の構成要素それぞれにおけるフローパターンを明らかにする概略ブロック図を示す。
【0357】
図31の同一参照符号は、基本的に図15と同じ教示内容を開示している。このことから、繰り返しを避けるために、基本的に相違点のみ説明する。
【0358】
ここでは、新鮮な空気と再循環ガスとの二次空気混合が存在しない。この点、二次混合室552もバルブ52も再循環ガス用に設けられていない。同様に、再循環入口チャネル仕切り532も省略される。二次混合ダクト55は、図15の実施形態と機械的に同一であってもよいが、機能的には、新鮮な空気と再循環ガスとを混合するためのダクトセクションではなく、新鮮な空気を燃焼室24に導入する前に予め調質する役割(これは依然として図15の実施形態と同一)を果たすだけである。
【0359】
別の実施形態において、さらに、二次空気の供給を完全に省略してもよく、その場合、バイオマス暖房システム1は、一次再循環のみを備えてもよい。
(他の実施形態)
【0360】
本発明は、上述した実施形態および態様に加えて、他の設計原理を認めるものである。したがって、当業者にとって実行可能であることが明らかである限り、様々な実施形態および態様の個々の特徴を、所望の形で互いに組み合わせることもできる。
【0361】
ここでは、一次再循環と二次再循環を有する再循環装置5について説明している。しかしながら、基本的な構成において、再循環装置5が一次再循環のみを有し、二次再循環を持たないようにすることも可能である。したがって、この再循環装置の基本構成では、二次再循環に必要な構成要素を完全に省略することができ、例えば、再循環入口チャネル仕切り532、二次再循環チャネル57および後述の付随する二次混合ユニット5bならびに再循環ノズル291を省略することができる。
【0362】
あるいは、二次混合ユニット5bおよび付随するダクトを省略するが、一次再循環の混合物が回転火格子25の下に供給されるだけでなく、(例えば別のダクトを経由して)本変形例に設けられた再循環ノズル291にも供給されるようにして、一次再循環のみを設けることも可能である。この変形例は機械的に単純であり、より安価であるが、それでも燃焼室24内の流れをスワールさせるために再循環ノズル291を備えている。
【0363】
煙道ガス再循環装置5の入力には、空気流量センサー、バキュームボックス、温度センサー、排ガスセンサーおよび/またはラムダセンサーが設けられてもよい。
【0364】
さらに、3つの回転火格子要素252、253および254だけを用いる代わりに、2つ、4つまたはそれ以上の回転火格子要素を提供してもよい。例えば、提示した3つの回転火格子要素と同一の対称性および機能性で、5つの回転火格子要素を配置することもできるであろう。さらに、回転火格子要素を互いに異なる形に成形または形成することも可能である。また、回転火格子要素を増やせば、粉砕機能が増すという利点がある。
【0365】
他の寸法や寸法の組み合わせも提供可能であることに注意されたい。
【0366】
回転火格子要素252、254の凸状の側面の代わりに、凹状の側面を設けてもよく、回転火格子要素253の側面が順に相補的な凸状であってもよい。これは機能的にほぼ同等である。
【0367】
バイオマス暖房システムの燃料としては、木質チップまたはペレット以外の燃料を使用することも可能である。
【0368】
また、本明細書に開示するバイオマス暖房システムでは、1種類の燃料のみ、例えば、ペレットのみを用いた燃焼も可能である。
【0369】
さらに、燃焼室レンガ29に再循環ノズル291がなくてもよい。これは特に、二次再循環をしない場合に適用することができる。
【0370】
燃焼室24内の回転流または渦流は、時計回り方向であっても反時計回り方向であってもよい。
【0371】
また、燃焼室天井204に段差をつけるなどして、部分的に傾斜させてもよい。
【0372】
二次(再)循環では、二次空気または新鮮な空気だけを供給することができ、この点では、煙道ガスを再循環させるのではなく、単に新鮮な空気を供給するにとどまる。
【0373】
二次空気ノズル291は、燃焼室レンガ291に設けられた純粋な円筒形の穴に限定されるものではない。これらは、円錐台形の開口や側面がくびれた開口の形であってもよい。
【0374】
表記の寸法や大きさは一例であり、変更することも可能である。
【0375】
現段階では、図12の実施形態において、一次再循環と二次再循環を有する再循環装置5について説明している。しかしながら、基本的な構成において、再循環装置5が一次再循環のみを有し、二次再循環を持たないようにすることも可能である。したがって、この再循環装置の基本構成では、二次再循環に必要な構成要素を完全に省略することができ、例えば、再循環入口チャネル仕切り532、二次再循環チャネル57、後述の付随する二次混合ユニット5bならびに再循環ノズル291を省略することができる。
【0376】
あるいは、二次混合ユニット5bおよび付随するダクトを省略するが、一次再循環の混合物が回転火格子25の下に供給されるだけでなく、(例えば別のダクトを経由して)本変形例に設けられた再循環ノズル291にも供給されるようにして、一次再循環のみを設けることも可能である。この変形例は機械的に単純であり、より安価であるが、それでも燃焼室24内に渦流またはスワール流を生じるために再循環ノズル291を備えている。
【0377】
煙道ガス再循環装置5の入力には、空気流量センサー、バキュームボックス、温度センサー、排ガスセンサーおよび/またはラムダセンサーが設けられてもよい。
【0378】
移行部スクリュー73の場合、灰排出スクリュー71のそれとは反対側に逆巻部を設けることも可能である(鏡面対称である)。
【0379】
本明細書に開示の実施形態は、開示された技術的事項を説明し理解するために提供されたものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本開示の範囲には、本開示の技術的意図に基づく改変または他の様々な実施形態が含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0380】
1 バイオマス暖房システム
11 ボイラー
12 ボイラー脚
13 ボイラー筐体
14 水循環装置
15 送風機
16 外装
2 燃焼装置
21 燃焼装置用の第1のメンテナンス開口
22 回転機構ホルダー
23 回転機構
24 燃焼室
25 回転火格子
26 燃焼室の一次燃焼ゾーン
27 燃焼室の二次燃焼ゾーンまたは輻射部
28 燃料層
29 燃焼室レンガ
A1 第1の水平断面線
A2 第1の垂直断面線
201 点火装置
202 燃焼室斜面
203 燃焼室ノズル
204 燃焼室天井
211 Vermiculiteなどの断熱材
231 回転機構の駆動部またはモーター
251 回転火格子の底板またはベースプレート
252 第1の回転火格子要素
253 第2の回転火格子要素
254 第3の回転火格子要素
255 つなぎ要素
256 開口
257 火格子リップ
258 燃焼領域
260 燃焼室レンガの支持面
261 溝
262 リード/横梁
263 リング
264 保持用石/取付用ブロック
265 取付用ブロックの斜面
291 二次空気ノズルまたは再循環ノズル
3 熱交換器
31 熱交換器用のメンテナンス開口
32 ボイラー管
33 ボイラー管の入口
34 ターニングチャンバーエントリ/入口
35 ターニングチャンバー
36 スプリングタービュレーター
37 ベルトタービュレーターまたはスパイラルタービュレーター
38 熱交換媒体
331 ボイラー管の入口の断熱材
4 フィルター装置
41 排ガス出口
42 電極給電ライン
43 電極ホルダー
44 フィルターの入口
45 電極
46 電極絶縁体
47 フィルターの出口
48 ケージ
49 煙道ガス復水器
411 煙道ガス復水器への煙道ガス供給ライン
412 煙道ガス復水器からの煙道ガス出口
481 ケージ装着部
491 第1の流体接続部
491 第2の流体接続部
493 熱交換器管
4931 管保持要素
4932 管状フロア要素
4933 ループ/折り返し点
4934 熱交換器管同士の間の第1の空間
4935 煙道ガス復水器の外壁に対する熱交換器管/ダクトの第2の中間空間
4936 通路
495 ヘッド要素
4951 ヘッド要素フローガイド
496 復水排出口
4961 復水回収漏斗
497 フランジ
498 メンテナンス開口付きの側面
499 煙道ガス復水器用の支持装置
5 再循環装置
50 燃焼室レンガ周囲のリングダクト
52 空気弁
52s ゲートバルブ
53 再循環チャネル
54 一次混合ダクト
55 二次混合ダクト
55a 二次混合ダクト
56 一次再循環チャネル
57 二次再循環チャネル
58 一次空気ダクト
59 二次空気ダクト
5a 一次混合ユニット
5b 二次混合ユニット
521 バルブアクチュエーター
522 弁作動軸
523 弁葉
524 弁本体
525 弁控え室
526 弁開口部
527 弁本体
528 弁領域
531 再循環入口チャネル
532 再循環入口チャネル仕切り
541 一次通路
542 一次混合室
543 一次混合室出口
544 一次再循環弁挿入部
545 一次空気弁入口
546 一次混合室筐体
551 二次通路
552 二次混合室
553 二次混合室出口
554 二次再帰弁挿入部
555 二次空気弁入口
556 二次混合室筐体
581 一次空気入口
582 一次空気センサー
591 二次空気入口
592 二次空気センサー
6 燃料供給装置
61 回転弁
62 燃料供給装置軸
63 並進メカニクス/機構
64 燃料供給装置ダクト
65 燃料供給装置開口/ポート
66 駆動モーター
67 燃料スクリューコンベア
7 灰除去部/灰排出部
71 灰排出スクリューコンベア
711 スクリュー軸
712 センタリングディスク
713 熱交換器セクション
714 バーナーセクション
72 メカニクスを有する灰除去モーター
73 移行部スクリュー
731 右側のサブセクション-スクロールは左に上昇
732 左側のサブセクション-右に上昇するスクロール
74 灰受け
75 移行部スクリュー筐体
751 移行部スクリュー筐体の開口
752 境界板
753 筐体の本体セクション
754 締結分離要素
755 漏斗要素
81 ベアリング回転軸
82 燃料レベルフラップの回転軸
83 燃料レベルフラップ
831 主領域
832 中心軸
833 表面平行
834 開口
84 軸受ノッチ/支持ノッチ
85 センサーフランジ
86 グローベッド高さ測定機構
9 清掃装置
91 清掃用駆動部
92 清掃用シャフト
93 シャフトホルダー
94 突出部
95 タービュレーターホルダー/ブラケット
951 ピボット軸受取付部
952 突出部
953 カルバート
954 凹部
955 ピボット軸受連結部
96 2腕ハンマー/インパクトレバー
97 インパクトヘッド
E 燃料の投入方向
S* 流れを示す矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19a
図19b
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27a
図27b
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット及び木質チップの少なくとも1つの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムであって、
燃焼装置を有するボイラーと、
入口および出口を有する熱交換器と、
さらに、前記燃焼装置における前記燃料の燃焼時に発生する煙道ガスを再循環させるための再循環装置と、を備え、
前記燃焼装置が、一次燃焼ゾーンと、その下流に設けられた二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、
前記燃焼室の前記二次燃焼ゾーンが、前記熱交換器の前記入口と流体的に接続され、
前記一次燃焼ゾーンが、複数の燃焼室レンガによって横方向に囲まれており、
前記再循環装置は、
前記熱交換器の前記出口の下流に設けられ、前記熱交換器の前記出口と流体的に接続された再循環入口と、
一次空気を供給するための一次空気ダクトと、
一次混合ダクト及び一次混合室を有し、前記一次混合室が前記再循環入口および前記一次空気ダクトとの下流に設けられるとともに流体的に接続されている、一次混合ユニットと、
前記一次混合室の入口側に設けられた少なくとも2つの空気弁と、
前記一次混合ダクトの下流に設けられるとともに流体的に接続された、前記一次燃焼ゾーンへの一次通路と、を備え、
前記一次混合ユニットは、前記一次混合室の前記少なくとも2つの空気弁によって前記再循環入口からの前記煙道ガスを前記一次空気ダクトからの前記一次空気と混合するように配置されている、
バイオマス暖房システム。
【請求項2】
前記一次混合ダクトは、
前記一次混合室の一次混合室出口に直接接続され、前記一次混合室の下流に設けられている、
請求項1に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項3】
前記一次混合ダクトは直線状にのびており、始点から終点までの最小の長さが700mmである、
請求項1または2に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項4】
前記一次混合室の前記空気弁は、ロータリースライドバルブであり、
前記ロータリースライドバルブの各々は、少なくとも1つの三日月形の弁葉と、対応する少なくとも1つの三日月形の弁通路開口部と、を持つ弁本体を有し、
前記弁通路開口部は、前記一次混合室に開口する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項5】
前記一次混合室は、出口側に一次混合室出口を有するとともに、入口側に少なくとも2つの弁通路開口を有し、
前記一次混合室は、前記少なくとも2つの弁通路開口と前記一次混合室出口とが前記一次混合室を通して互いに向き合うことがないように配置されているため、前記少なくとも2つの弁通路開口を通って前記一次混合室に入る流れが前記一次混合室内で偏向または方向転換される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項6】
前記再循環装置は、
二次空気を供給するための二次空気ダクトと、
二次混合ダクト及び二次混合室を有する二次混合ユニットであって、前記二次混合室は前記再循環入口及び前記二次空気ダクトの下流に設けられ、前記再循環入口及び前記二次空気ダクトと流体的に接続する、二次混合ユニットと、
前記二次混合室の入口側に設けられる少なくとも2つの弁と、
前記燃焼室レンガに設けられ、横方向に前記一次燃焼ゾーンに向けられた二次空気ノズルであって、前記二次混合ダクトの下流に設けられるとともに前記二次混合ダクトと流体的に接続する二次空気ノズルと、
前記二次混合ユニットは、前記再循環入口からの前記前記煙道ガスを、前記二次空気ダクトからの前記二次空気と、前記二次混合室の前記少なくとも2つの弁によって混合できるように配置される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット及び木質チップの少なくとも1つの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムであって、
燃焼装置を有するボイラーと、
入口および出口を有する熱交換器と、
さらに、前記燃焼装置における前記燃料の燃焼時に発生する煙道ガスを再循環させるための再循環装置と、を備え、
前記燃焼装置が、一次燃焼ゾーンと、その下流に設けられた二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、
前記燃焼室の前記二次燃焼ゾーンが、前記熱交換器の前記入口と流体的に接続され、
前記一次燃焼ゾーンが、複数の燃焼室レンガによって横方向に囲まれており、
前記再循環装置は、
前記熱交換器の前記出口の下流に設けられ、前記熱交換器の前記出口と流体的に接続された再循環入口と、
一次空気を供給するための一次空気ダクトと、
一次混合ダクト及び一次混合室を有し、前記一次混合室が前記再循環入口および前記一次空気ダクトとの下流に設けられるとともに流体的に接続されている、一次混合ユニットと、
前記一次混合室の入口側に設けられた少なくとも2つの空気弁と、
前記一次混合ダクトの下流に設けられるとともに流体的に接続された、前記一次燃焼ゾーンへの一次通路と、を備え、
前記一次混合ユニットは、前記一次混合室の前記少なくとも2つの空気弁によって前記再循環入口からの前記煙道ガスを前記一次空気ダクトからの前記一次空気と混合するように配置されている、
バイオマス暖房システム。
【請求項2】
前記一次混合ダクトは、
前記一次混合室の一次混合室出口に直接接続され、前記一次混合室の下流に設けられている、
請求項1に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項3】
前記一次混合ダクトは直線状にのびており、始点から終点までの最小の長さが700mmである、
請求項1または2に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項4】
前記一次混合室の前記空気弁は、ロータリースライドバルブであり、
前記ロータリースライドバルブの各々は、少なくとも1つの三日月形の弁葉と、対応する少なくとも1つの三日月形の弁通路開口部と、を持つ弁本体を有し、
前記弁通路開口部は、前記一次混合室に開口する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項5】
前記一次混合室は、出口側に一次混合室出口を有するとともに、入口側に少なくとも2つの弁通路開口を有し、
前記一次混合室は、前記少なくとも2つの弁通路開口と前記一次混合室出口とが前記一次混合室を通して互いに向き合うことがないように配置されているため、前記少なくとも2つの弁通路開口を通って前記一次混合室に入る流れが前記一次混合室内で偏向または方向転換される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項6】
前記再循環装置は、
二次空気を供給するための二次空気ダクトと、
二次混合ダクト及び二次混合室を有する二次混合ユニットであって、前記二次混合室は前記再循環入口及び前記二次空気ダクトの下流に設けられ、前記再循環入口及び前記二次空気ダクトと流体的に接続する、二次混合ユニットと、
前記二次混合室の入口側に設けられる少なくとも2つの弁と、
前記燃焼室レンガに設けられ、横方向に前記一次燃焼ゾーンに向けられた二次空気ノズルであって、前記二次混合ダクトの下流に設けられるとともに前記二次混合ダクトと流体的に接続する二次空気ノズルと、を備え、
前記二次混合ユニットは、前記再循環入口からの前記前記煙道ガスを、前記二次空気ダクトからの前記二次空気と、前記二次混合室の前記少なくとも2つの弁によって混合できるように配置される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【国際調査報告】