(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ヘリコプタ用抗トルクロータ
(51)【国際特許分類】
B64C 27/82 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
B64C27/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2020564732
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2020054977
(87)【国際公開番号】W WO2020254894
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518160436
【氏名又は名称】レオナルド・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミケーレ・デッリ・パオリ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ・ナンノーニ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヴァンニ
(57)【要約】
抗トルクロータ(4)は、ヘリコプタ(1)に関して説明されており、このヘリコプタは、
第1軸(A)回りに回転可能なマスト(6)と、
前記マスト(6)にヒンジ接続された複数のブレード(8)であって、上記第1軸(A)に対して横方向の第2軸(B)に沿って各別に延在し、上記第2軸(B)回りに各別に回転可能であり、迎角を各別に変更する、ブレードと、
マスト(6)に対してスライドしかつ回転し、上記ブレード(8)に動作式に接続された制御素子(16)であって、第1軸(A)に沿う上記素子(16)お平行移動に続いて上記ブレード(8)を第2軸(B)回りに各別に回転させる、制御素子と、
前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿って軸方向にスライドし、前記第1軸(A)に対して角度方向で固定された制御ロッド(10)と、
制御ロッド(10)と制御素子(16)との間に介装され、マスト(6)に対してかつ制御ロッド(10)と一体的に第1軸(A)に沿ってスライドする接続素子(17)と、
を備え、
抗トルクロータ(4)が、上記制御ロッド(10)と上記接続素子(17)との間に介装された減摩性材料で形成された接触面(18、93)をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリコプタ(1)のための抗トルクロータ(4、4’)であって、
-第1軸(A)回りに回転可能なマスト(6)と、
-前記マスト(6)にヒンジ接続された複数のブレード(8)であって、前記第1軸(A)に対して横方向の第2軸(B)に沿って各別に延在し、前記第2軸(B)回りに各別に回転可能であり、迎角を各別に変更する、ブレードと、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記マスト(6)と一体的に回転し、前記ブレード(8)に動作式に接続された制御素子(16)であって、前記軸(A)に沿う当該素子(16)の平行移動に続いて前記ブレード(8)を前記第2軸(B)回りに各別に回転させる、制御素子と、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿って軸方向にスライドし、前記第1軸(A)に対して角度方向で固定された制御ロッド(10)と、
-前記制御ロッド(10)と前記制御素子(16)との間に介装され、前記マスト(6)に対してかつ前記制御ロッド(10)と一体的に前記第1軸(A)に沿ってスライドする接続素子(17)であって、正常動作状態において前記制御素子(16)が前記制御ロッド(10)に対して前記第1軸(A)回りに相対回転できるように構成された、接続素子と、
を備え、
当該抗トルクロータが、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に介装された減摩性材料で形成された接触面(120)であって、それにより、前記接続素子(17)の故障時において前記接続素子(17)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して回転できるようにする、接触面と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に径方向で介装され、前記制御ロッド(10)及び前記接続素子(17)と一体的に軸方向にスライドする管状素子(90)と、
をさらに備え、
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)のうち前記制御ロッド(10)と接触するように構成された第1面(94)を少なくとも備え、それにより、前記管状素子(90)が前記制御ロッド(10)に対して前記接続素子(17)と共に回転できるようにし、
当該抗トルクロータ(4、4’)が、前記環状素子(90)の回転を検出するように構成された第1センサ(53)をさらに少なくとも備え、
前記接続素子(17)が、減摩性軸受(17)を備え、
前記軸受(17)が、
-前記第1軸(A)回りに前記制御素子(16)と一体的に回転する第1リング(30)と、
-前記第1軸(A)に対して前記第1リング(30)の径方向内側にあり、前記第1軸(A)に沿って前記制御ロッド(10)と一体的にスライドする第2リング(31)と、
-前記第1及び第2リング(30、31)間に介装され、前記第1及び第2リング(30、31)の各別の軌道(33、34)を転動するように構成された複数の転動体(32)と、
を備え、
前記第2リング(31)が、前記第1軸(A)に対する径方向に沿って前記転動体(32)の反対側において前記管状素子(90)と接触し、
当該ロータ(4、4’)が、前記制御ロッド(10)にかつ前記制御素子(16)に動作式に接続された伝達ユニット(45)をさらに備え、
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)の平行移動に続いて、前記第1軸(A)に沿って前記制御素子(16)をスライドさせる動作構成と、
-当該伝達ユニットが前記制御素子(16)から係合解除される非動作構成と、
を選択的にとることができ、
前記伝達ユニット(45)が、前記軸受(17)が故障している場合に前記動作構成に配設され、前記軸受(17)が軸方向負荷を前記ロッド(10)から前記制御素子(16)へもはや伝達できず、前記ロッド(10)の軸方向の平行移動に続いて、前記素子(16)の両方向における軸方向の平行移動を引き起こし、
前記伝達ユニット(45)が、前記第1軸受(17)によって前記素子(16)が前記ロッド(10)に対して相対的に回転することを正確に可能としかつ前記素子(16)と前記ロッド(10)との間の相対的な平行移動を防止する場合に、前記非動作構成に配設されることを特徴とする抗トルクロータ。
【請求項2】
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)全体を含むことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)のうち延長部を有しかつ前記第1面(94)と接触するように配設された第2面(18)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記管状素子(90)が、
-前記接続素子(17)と前記制御ロッド(10)との間に径方向で介装された主本体(91)と、
-前記主本体(91)から前記接続素子(17)に向けて径方向に突出する軸端隆起部(92)と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項5】
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)の肩部に当接するように配設された前記軸端隆起部(92)の第3面(122)を備えることを特徴とする請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)のうち前記第3面(122)と接触する前記肩部(121)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記伝達ユニット(45)が前記動作構成にあることに関連する信号を発生させるように構成された第2センサ(52)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項8】
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)と軸方向で一体でありかつ前記制御ロッド(10)から径方向に突出する環状隆起部(61)と、
-前記第2隆起部(61)に係合しかつ前記制御素子(16)と角度方向で一体である座部(64)と、
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項9】
前記伝達ユニット(45)が、前記制御ロッド(10)に同軸に取り付けられたスリーブ(60)を備え、前記環状隆起部(61)が、前記制御ロッド(10)とは径方向反対側において前記スリーブから突出し、
前記第2リング(31)が、前記スリーブ(60)と前記管状素子(90)のうち径方向で突出する前記軸端隆起部(92)との間で軸方向に阻止されており、
前記接触面(120)が、前記スリーブ(60)のうち前記第2リング(31)と接触するように配設された第4面(140)を備えることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に従属する場合の請求項8に記載のロータ。
【請求項10】
ヘリコプタ(1)のための抗トルクロータ(4、4’)であって、
-第1軸(A)回りに回転可能なマスト(6)と、
-前記マスト(6)にヒンジ接続された複数のブレード(8)であって、前記第1軸(A)に対して横断する各別の第2軸(B)に沿って延在し、各別の前記第2軸(B)回りに回転可能であり、各別の迎角を変更する、複数のブレードと、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記マスト(6)と一体的に回転し、前記ブレード(8)と動作式に接続された制御素子(16)であって、当該制御素子(16)の前記第1軸(A)に沿った平行移動に続いて、前記ブレード(8)を各別の前記第2軸(B)回りに回転させる、制御素子と、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿って軸方向でスライドし、前記第1軸(A)に対して角度方向で固定された制御ロッド(10)と、
-前記制御ロッド(10)と前記制御素子(16)との間に介装され、前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記制御ロッド(10)と一体的である接続素子(17)であって、正常動作状態において前記制御素子(16)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して相対的に回転できるように構成された、接続素子と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に介装された減摩性材料で形成された接触面(120)であって、それにより、前記接続素子(17)の故障時において前記接続素子(17)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して回転できるようにする、接触面と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に径方向で介装され、前記制御ロッド(10)及び前記接続素子(17)と一体的に軸方向にスライドする管状素子(90)と、
を備え、
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)のうち前記制御ロッド(10)と接触するように構成された第1面(94)を少なくとも備え、それにより、前記管状素子(90)が前記制御ロッド(10)に対して前記接続素子(17)と共に回転できるようにし、
当該抗トルクロータ(4、4’)が、前記環状素子(90)の回転を検出するように構成された少なくとも第1センサ(53)をさらに備え、
前記管状素子(90)が、
-前記接続素子(17)と前記制御ロッド(10)との間に径方向で介装された主本体(91)と、
-前記主本体(91)から前記接続素子(17)に向けて径方向で突出した軸端隆起部(92)と、
を備え、
前記接触面(120)が、前記軸端隆起部(92)のうち前記制御ロッド(10)の肩部(121)に当接して配設された第3面(122)をさらに備え、
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)のうち前記第3面(122)と接触する前記肩部(121)をさらに備えることを特徴とする抗トルクロータ。
【請求項11】
前記接続素子(17)が、減摩性軸受(17)であり、
前記減摩性軸受(17)が、
-前記制御素子(16)と一体的に前記第1軸(A)回りに回転する第1リング(30)と、
-前記第1軸(A)に対して前記第1リング(30)の径方向内側にあり、前記第1軸(A)に沿って前記制御ロッド(10)と一体的にスライドする第2リング(31)と、
-前記第1及び第2リング(30、31)間に介装され、前記第1及び第2リング(30、31)の各別の軌道(33、34)を転動するように構成された複数の転動体(32)と、
を備え、
前記第2リング(31)が、前記第1軸(A)に対する径方向に沿って前記転動体(32)とは反対側で前記管状素子(90)と接触していることを特徴とする請求項10に記載の抗トルクロータ。
【請求項12】
前記制御ロッド(10)及び前記制御素子(16)に動作式に接続された伝達ユニット(45)を備え、
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)の平行移動に続いて、前記第1軸(A)に沿って前記制御素子(16)をスライドさせる動作構成と、
-当該伝達ユニットが前記制御素子(16)から係合解除される非動作構成と、
を選択的にとることができ、
前記伝達ユニット(45)が、前記軸受(17)が故障している場合に前記動作構成に配設され、前記軸受(17)が軸方向負荷を前記ロッド(10)から前記制御素子(16)へもはや伝達できず、前記ロッド(10)の軸方向の平行移動に続いて、前記素子(16)の両方向における軸方向の平行移動を引き起こし、
前記伝達ユニット(45)が、前記第1軸受(17)によって前記素子(16)が前記ロッド(10)に対して相対的に回転することを正確に可能としかつ前記素子(16)と前記ロッド(10)との間の相対的な平行移動を防止する場合に、前記非動作構成に配設されることを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
前記伝達ユニット(45)が前記動作構成にあることに関連する信号を発生させるように構成された第2センサ(52)を備えることを特徴とする請求項11または12に記載のロータ。
【請求項14】
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)と軸方向で一体でありかつ前記制御ロッド(10)から径方向に突出する環状隆起部(61)と、
-前記第2隆起部(61)に係合しかつ前記制御素子(16)と角度方向で一体である座部(64)と、
を備えることを特徴とする請求項12または13に記載のロータ。
【請求項15】
前記伝達ユニット(45)が、前記制御ロッド(10)に同軸に取り付けられたスリーブ(60)を備え、前記環状隆起部(61)が、前記制御ロッド(10)とは径方向反対側において前記スリーブから突出し、
前記第2リング(31)が、前記スリーブ(60)と前記管状素子(90)のうち径方向で突出する前記軸端隆起部(92)との間で軸方向に阻止されており、
前記接触面(120)が、前記スリーブ(60)のうち前記第2リング(31)と接触するように配設された第4面(140)を備えることを特徴とする請求項14に記載のロータ。
【請求項16】
-胴体(2)と、
-主ロータ(3)と、
-請求項1から15のいずれか1項に記載の抗トルクロータ(4、4’)と、
を備えることを特徴とするヘリコプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年6月17日に出願した欧州特許出願第19180441.8号の優先権を主張しており、この出願の全開示を参考として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ヘリコプタ用抗トルクロータに関する。
【背景技術】
【0003】
ヘリコプタは、基本的に、胴体、胴体の頂部に位置付けられてそれ自体の軸回りに回転する主ロータ、及び、胴体の尾端部に位置する抗トルクロータを備えるとして公知である。
【0004】
ヘリコプタは、同様に、公知の態様で、例えばタービンのような1以上の動力ユニット、タービンと主ロータとの間に介装されてタービンからの原動力を主ロータに伝達するように構成された伝達ユニットを備える。
【0005】
より詳細には、次に、抗トルクロータは、基本的に、
-第1軸回りに回転可能なマスト、
-第1軸回りに回転可能なハブ、及び、
-上記ハブにヒンジ接続された複数のブレードであって、片持ち支持状態でハブから突出し、第1軸に交差する第2軸に沿って各別に延在する、ブレード、
を備える。
【0006】
抗トルクロータのマストは、主伝達ユニットによって駆動される一組の歯車によって回転駆動される。
【0007】
抗トルクロータのブレードは、第1軸回りにマストと一体的に回転し、第2軸に関して選択的に傾き得、それにより、各別の迎角を変更し、その結果、抗トルクロータがかける推進力を調整することができる。
【0008】
ブレードそれぞれの迎角を調整するために、抗トルクロータは、
-機械的接続部またはフライ・バイ・ワイヤリンクを介してパイロットによって動作可能であるペダルに動作式に接続され、第1軸に関して角度的に固定されているが第1軸に沿ってマストの内側をスライドするロッドと、
-第1軸回りにマストと共に一体的に回転し、関連する第2軸に関して偏心位置でブレードに各別に接続された複数の腕体が備え付けられた「スパイダー」としても公知の制御素子と、
-第1軸に関してスライドする態様で装着され、ロッドと制御素子との間に介装され、ロッドからの軸方向負荷を制御素子に伝達するように構成された減摩性軸受と、
を備える。
【0009】
そして、より具体的には、減摩性軸受は、
-制御素子に固定された径方向外側リングと、
-制御ロッドに固定された径方向内側リングと、
-径方向内側リング及び径方向外側リングによって画成された各別の軌道内で転動する複数の回転体と、
を備える。
【0010】
軸受の通常動作状態において、転動体により、外側リングが内側リングに関して回転し、その結果、制御素子がロッドに関して回転することを可能とする。
【0011】
ペダルの動作により、制御ロッドは、第1軸と平行にスライドさせられる。このようにスライドすることによって、減摩性軸受を介して、制御素子は、所定の移動経路に沿って第1軸と平行にスライドさせられる。
【0012】
このようにスライドすることによって、ブレードが関連する第2軸回りに回転することを引き起こし、それにより、所定の移動経路に関連付けられた等量だけ各別の迎角を変更する。
【0013】
上述から、減摩性軸受の可能性のある故障が抗トルクロータを効果的に制御不能としてヘリコプタに関して危険な状況を引き起こす危険とあるということになる。
【0014】
特に、第1故障状況は、例えば、軸受の内側に異物が偶発的に導入されること、潤滑油が損失すること、または、軌道もしくは転動体の表面に損傷が生じること、に起因して、転動体及び/または内側及び外側リングの軌道が損傷される場合に生じ得る。
【0015】
この状態において、制御ロッドに対して制御素子を相対的に回転させることを可能とすることに替えて、減摩性軸受は、捻れモーメントを外側リングから内側リングへ不正確に移送させ、これは、長期間にわたって進行的に増大する。
【0016】
この捻れモーメントは、制御ロッドに伝達され、制御ロッドを損傷させる危険性を発生させる。
【0017】
この第1故障状況に関して、この産業では、これら捻れモーメントが制御ロッドを不可逆的に損傷させる危険性を低減する必要があることに気付いている。
【0018】
第2故障状況は、内側リングが転動体から取り外された結果として転動体が破損する場合に生じ得る。この場合において、軸受は、もはや第1軸と平行にスライド可能でなく、ロッドは、制御素子の平行移動をもはや引き起こさない。
【0019】
この産業では、減摩性軸受の故障状況を正確に検出し、ヘリコプタが完全に制御不能となる前にパイロットが迅速に着陸し得ることが必要であることに気づいている。
【0020】
同様に、この産業では、減摩性軸受の故障の場合であっても抗トルクロータの正確な制御を保証することが必要であることに気付いている。
【0021】
特許文献1には、抗トルクロータが記載されている。
【0022】
より詳細には、特許文献1には、マストと、ロッドと、直列に配設された第1及び第2軸受と、を備える抗トルクロータが記載されている。
【0023】
第1軸受は、マスト及び第2リングと共に回転する第1リングを備える。
【0024】
第2軸受は、第3リング及び第4リングを備える。
【0025】
第2軸受の第3リングと第1軸受の第1リングとは、回転不能な形態で互いに接続されている。
【0026】
抗トルクロータは、同様に、ロックデバイスを備えており、このロックデバイスは、第3及び第4リング間に介装され、第3リングが第4リングに対して回転することを防止するように構成されている。このロックデバイスは、第1軸受が故障している場合において破断可能でありかつ第1軸受が正確に動作している場合において破断可能ではない素子を備えている。
【0027】
特許文献1に示す解決法は、2つの減摩性軸受及びロックデバイスを使用することを必要としているので、特に複雑である。
【0028】
特許文献2は、請求項1及び10の前段にかかる抗トルクロータを開示する。
【0029】
特許文献3は、フェールセーフのセグメント化された駆動シャフトシステムを開示しており、この駆動シャフトシステムは、故障検出のために振動プローブが内部に配置されている弾性ダンパ内に配設された二次的な回転のためのジャーナル軸受内に配設された一次的な回転のためのボール軸受を備えるセグメント支持組立体と、セグメント間の一次的な可撓性連結のための可撓性ダイアフラムとダイアフラムが故障すると二次的な連結のために係合する歯車とを備える連結組立体と、を有する。歯は、回転軸と同軸とはなっておらず、そのため、振動は、一次的な可撓性連結の不良を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第9359073号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3216696号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第5407386号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明の目的は、簡素かつ高価でない態様で上述した要求のうちの少なくとも1つを満足することができる抗トルクロータを提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的は、請求項1及び10に規定されるように抗トルクロータに関している限りにおいて、本発明によって達成される。
【0033】
本発明をより理解するために、単純に非限定的な例としてかつ添付の図面を参照して、2つの好ましい実施形態を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる抗トルクロータを備えるヘリコプタを示す斜視図である。
【
図6】
図1から
図5における第2実施形態にかかる抗トルクロータのさらなる細部を示す高拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、参照符号1は、特にヘリコプタを示しており、このヘリコプタは、基本的に、
-胴体2、
-1以上のタービン5、
-胴体2の頂部に位置しかつ軸A回りに回転可能である主ロータ3、及び、
-胴体2の尾端部に位置しかつ軸Aに対して横方向である自身の軸回りに回転可能である抗トルクロータ4、
を備える。
【0036】
ヘリコプタ1は、同様に、伝達ユニット11を備えており、この伝達ユニットは、タービン5からの原動力を主ロータ3に伝達させる。
【0037】
そして、伝達ユニット11は、
-タービン5からの原動力をロータ3に伝達させるギアトレイン12、及び、
-原動力をギアトレイン12からロータ4に伝達させるシャフト13、
を備える。
【0038】
公知の態様で、ロータ3は、ヘリコプタ1の離陸及び前方飛行をできるようにする方位付け可能な推進力を提供するように構成されている。
【0039】
ロータ4は、胴体2にカウンタトルクを引き起こす推進力を発生させる。
【0040】
このカウンタトルクは、ロータ3がかけるトルクとは反対方向に向けられている。
【0041】
したがって、ロータ4が発生させた推進力量により、所望のヨー角度に従ってヘリコプタ1を方位付けることができる、または、実行したい操縦に応じて上記ヨー角度を変更できる。
【0042】
図2から
図5を参照すると、ロータ4は、基本的に、
-軸A回りに回転可能でありかつ公知の態様でシャフト13に動作するように接続されたマスト6、
-図示の場合において計3本である複数のブレード8であって、軸Aに対して横方向の各別の軸Bに沿って片持ち支持状に延在する、複数のブレード、及び、
-マスト6の一部に恒久的に固定されたハブ9であって、軸A回りにマスト6と共に一体的に回転し、当該ハブにはブレード8がヒンジ接続されている、ハブ、
を備える。
【0043】
より具体的には、ブレード8は、ハブ9にヒンジ接続されており、それにより、
-軸A回りにハブ9及びマスト6と共に一体的に回転可能であり、
-同じ角度だけ同時に各別の軸B回りに傾斜可能であり、それにより、各別の迎角を変化させる。
【0044】
特に、ハブ9は、ブレード8へ各別に接続するために軸Aに対して径方向に突出する複数の接続素子27を備える。ブレード8それぞれは、同様に、軸Aに対して径方向内側に配設されかつハブ9の関連する接続素子27にヒンジ接続された根元部分14を備える。
【0045】
上述した迎角を変化させるため、ロータ4は、同様に、
-パイロットによって動作可能である飛行制御部15(
図1に概略的にのみ示す)、例えばペダル、
-機械的接続部またはフライ・バイ・ワイヤリンクを介して、軸Aに平行にスライドし、飛行制御部15によって動作可能である制御ロッド10、
-軸A回りにマスト6と共に一体的に回転し、関連する軸Bに対して偏心した態様でブレード8に接続された素子16、及び、
-ロッド10と素子16との間に介装され、軸Aと平行にロッド10と共にスライドする軸受17、
を備える。
【0046】
より具体的には、マスト6は、中空である。
【0047】
マスト6は、同様に、
-軸端部20、
-開口しかつ端部20とは反対側にある軸端部21、及び、
-軸端部20及び21間に介装されハブ9が嵌合されている主部分22、
を備える(
図4及び
図5)。
【0048】
主部分22は、同様に、シャフト13からの原動力を受けるように構成されたフランジ19を画成する。
【0049】
より詳しくは、マスト6は、フランジ19において最大径を有し、径は、フランジ19から端部20及び21に向かうにしたがって進行して減少する。
【0050】
ロッド10は、マスト6の内側に部分的に収容されている。
【0051】
ロッド10は、同様に、
-端部23、
-端部23の軸方向反対側にある端部24、及び、
-マスト6の端部20及び21を通って延在する主本体25、
を備える。
【0052】
端部23及び24は、マスト6の外側にかつ端部20及び21の側部に各別に位置する。
【0053】
主本体25は、レバー機構(図示略)によってまたは無線制御リンクによって飛行制御部15に動作式に接続されている。
【0054】
そして、素子16は、
-マスト6内に部分的に収容されかつ軸Aに対してスライドする態様でマスト6に接続され、ロッド10を部分的に収容する管状体40、
-軸Aに直交に延在し、マスト6の反対側にある端部において管状体40に固定されているフランジ42、及び、
-各別の軸C回りフランジ42にヒンジ接続されかつ関連する軸Bに対して偏心位置で各別のブレード8にヒンジ接続された複数のレバー43(
図4)、
を備える(
図5)。
【0055】
フランジ42及び軸受17は、マスト6の外側に収容されており、ロッド10を囲む。
【0056】
より具体的には、フランジ42及び軸受17は、端部21及び24に対して端部20及び23とは反対側の端部に配設されている。
【0057】
フランジ42は、単一の可変長の蛇腹状連結部44によってマスト6に接続されており、この蛇腹状連結部は、軸Aに沿ってスライドできるようにする。
【0058】
レバー43は、軸Aに対して全体的に傾斜しており、フランジ42から端部20及び23に向けて延在する。
【0059】
ロッド10が軸Aに沿って平行移動することにより、軸受17を介して、素子16を平行移動させる。
【0060】
素子16が軸Aに沿ってスライドすることに続き、レバー43は、同じ相互同一角度だけ軸Aに対するこれらレバーの傾斜角を変化させ、同じ相互均等角度だけブレードそれぞれの軸B回りにブレード8を同時に回転させる。
【0061】
特に、レバー43は、各別のブレード8の根元部分14にヒンジ接続されている。
【0062】
軸受17は、両方向で軸Aに平行な軸方向負荷を伝達できる。
【0063】
すなわち、軸受17は、ロッド10が両方向で平行移動することによって素子16を同じ方向で平行移動させるように構成されている。
【0064】
このため、軸受17は、伝達ユニットを規定し、この伝達ユニットは、軸方向で一体にかつ軸Aに対して角度方向で移動可能な態様でロッド10及び素子16を接続する。
【0065】
そして、軸受17は、
-素子16と共に回転する外側リング30、
-ロッド10と共にスライドする内側リング31、及び、
-リング30及び31によって各別に画成された各別の軌道33及び34それぞれを転動する複数の転動体32、図示の場合において二重リングのボール、
を備える。
【0066】
図示の場合において、リング31は、互いに反対側において2つの肩部35及び36を有し、これら肩部は、リング30に向けて径方向に突出し、転動体32のための各別の軸方向当接面を画成する。転動体32は、特に、肩部35及び36間に軸方向に介装されている。
【0067】
さらに、リング31は、図示の場合において互いに接触するように軸方向に配設されている2つの半リングで形成されている。
【0068】
リング30は、肩部35及び36間に軸方向に介装された肩部37を備えており、この肩部は、リング31に向けて径方向に突出し、転動体32のための各別の軸方向当接面を画成する。肩部37は、軸Aに対して径方向で軸受17の対称面において転動体32間に軸方向に介装されている。
【0069】
さらに、外側リング30は、軸Aに対して径方向でフランジ42の反対側の端部において素子16の管状体40に固定されている。
【0070】
ロータ4は、同様に、ロッド10にかつ素子16に動作式に接続されたさらなる原動力伝達ユニット45を備える。
【0071】
伝達ユニット45は、
-上記ロッド10が軸Aに沿って平行移動することに続いて素子16を軸Aに沿ってスライドさせる動作構成と、
-素子16から係合解除されている非動作構成と、
で利用可能である。
【0072】
より詳細には、伝達ユニット45は、軸受17の故障時に動作構成に設定される。
【0073】
この説明の以降において、用語軸受17の「故障」は、軸受17がもはや軸方向負荷をロッド10から素子16へ伝達できない、すなわち、ロッド10の軸方向の平行移動に続いて素子16が両方向で軸方向に平行移動させることができない動作状態を意味する。
【0074】
非限定的な例を用いて、第1「故障」動作状態は、軸受17の内側リング31が転動体32によって回転駆動され、摩擦に起因してロッド10の捻れモーメントを発生させると、生じる。
【0075】
第2「故障」動作状態は、軸受17の転動体32が破損し、それにより、ロッド10が素子16に対して軸方向に移動可能となると、生じる。
【0076】
そうでなければ、伝達ユニット45は、軸受17がロッド10に対して素子16が相対的に回転することを正確に可能としかつ素子16とロッド10との間の相対的な平行移動を防止すると、非動作構成に設定される。
【0077】
ロータ4は、同様に、検出手段50を備え、この検出手段は、
-軸受17の故障に関連する第1信号を発生させるように構成されたセンサ51、及び/または、
-伝達ユニット45が動作構成にあることをに関連する第2信号を発生させるように構成されたセンサ52、
を備える。
【0078】
伝達ユニット45は、基本的に、
-ロッド10と一体的である筒状体60、図示の場合においてナットであって、ロッド10とは反対側から径方向に突出する環状隆起部61を備える、筒状体、及び、
-素子16と一体的であるリング63であって、軸Aに向けて開口する座部64が設けられて隆起部61に係合する、リング、
を備える(
図4及び
図5参照)。
【0079】
隆起部61は、互いに反対側にある2つの壁部65及び66によって軸方向で境界付けられている。
【0080】
図示の場合において、隆起部61は、台形状外郭を有しており、壁部65及び66間に軸方向に介装されたさらなる壁部67を備える。特に、壁部67は、軸Aに平行に延在する。
【0081】
特に、壁部65及び66は、軸Aに対して互いに傾斜しており、ロッド10に対して軸Aの反対側で収束する平面に各別に位置し、軸Aに対して径方向の平面に対して対称に延在している。
【0082】
座部64は、互いに反対側にある2つの壁部71及び72によって軸方向で区切られている。
【0083】
図示の場合において、座部64は、台形状外郭を有し、壁部71及び72間に軸方向に介装されたさらなる壁部73を備える。特に、壁部73は、軸Aに平行に延在する。
【0084】
壁部65及び66と同様に、壁部71及び72は、軸Aに対して互いに傾斜しており、ロッド10に対して軸Aの反対側で収束する平面に各別に位置し、軸Aに対して径方向の平面に対して対称に延在する。
【0085】
隆起部61は、軸Aに対して軸方向及び径方向の遊びを有して座部64に係合している。
【0086】
より具体的には、伝達ユニット45が非動作構成に設定されると、隆起部61は、座部64から軸方向に離れる、すなわち、
図5に示すように、隆起部61の壁部66及び67双方は、座部64の壁部71及び72から各別に離れる。
【0087】
反対に、伝達ユニット45が動作構成に設定されると、隆起部61は、座部64と軸方向で接触する。より具体的には、壁部71は、壁部65と接触し、または、壁部72は、壁部66と接触し、ロッド10が軸Aと平行に沿う方向でスライドすることによって素子16を両方向でスライドさせることを保証する。
【0088】
さらに座部64の壁部73は、隆起部61の壁部67から径方向で離れる。
【0089】
特に、筒状体60は、ネジ接続部80によってロッド10に接続されている。
【0090】
伝達ユニット45は、同様に、ロックナット81を備え、このロックナットは、ロッド10に螺着され、軸受17の軸方向反対側の端部にある筒状体60に軸方向で当接して配設されている。
【0091】
特に、ロックナット81は、ロッド10の端部24に螺着されている。
【0092】
リング63は、2つの半リング82及び83によって形成されており、これら半リングは、互いに軸方向で接触している。
【0093】
より具体的には、半リング83は、半リング82と軸受17との間に軸方向で介装されている。
【0094】
半リング83は、同様に、軸受17と軸方向で接触している。
【0095】
半リング82及び83は、座部64の位置を各別に規定する。
【0096】
特に、隆起部61及び座部64は、低摩擦材料150で被覆されている。
【0097】
より具体的には、壁部71は、壁部65と接触する、または、壁部72は、壁部66と接触する。
【0098】
好ましくは、ロータ4は、同様に、スリーブ90を備えており、このスリーブは、リング31とロッド10との間に径方向で介装されており、ロッド10の筒状体60との間で軸方向に介装されている。
【0099】
より詳細には、スリーブ90は、ロッド10と同軸に延在している。
【0100】
スリーブ90は、基本的に、
-主本体91、及び、
-主本体91よりも直径が大きく、軸Aとは反対側から素子16に向けて主本体91から径方向に突出する軸端隆起部92、
を備える。
【0101】
より詳細には、主本体91は、
-軸受17のリング31と接触する径方向外面93、及び、
-軸Aに対して径方向外方にあるロッド10の表面18と接触する径方向内面94、
を備える。
【0102】
隆起部92は、スリーブ90の軸端部を画成し、この軸端部は、ロッド10の端部23を向き、ロッド10の環状肩部121に当接して配設されている。
【0103】
筒状体60は、同様に、端面140を備えており、この端面は、径方向に延在しかつリング31と接触して配設されている。
【0104】
ロータ4は、ロッド10と軸受17との間に介装された減摩性材料で形成された接触面120を備えており、それにより、軸受17が故障した場合に、軸受17全体が軸A回りにロッド10に対して回転することを可能とする。
【0105】
接触面120は、軸方向に延在しかつスリーブ90の表面94に及びロッド10の表面18に配設された減摩性材料である第1被覆を備える。
【0106】
接触面120は、同様に、肩部121に及び隆起部92のうち肩部121と接触しかつ軸受17のリング31の軸方向反対側にある表面122において径方向に延在する第2被覆を備える。
【0107】
接触面120は、軸A回りにおけるロッド10の望まない回転を防止するように構成されている。この望まない回転は、軸受17の故障状態に続いて転動体32がリング31に、結果として摩擦によってスリーブ90に、捻れモーメントを伝達させると生じ得る。
【0108】
図示した場合において、スリーブ90は、鋼鉄で形成されており、表面93及び94は、硬質な酸化タングステンで被覆されている。
【0109】
あるいは、スリーブ90は、銅で形成されており、潤滑剤を取り込むキャビティを有する構造を有する。
【0110】
表面18並びに表面93及び94の材料は、上述した故障状態においてスリーブ90の望まない回転が捻れモーメントであってロッド10の望まない回転を引き起こすのに十分な捻れモーメントをロッド10に伝達させることを回避するような摩擦係数を有する。
【0111】
接触面120は、同様に、軸受17のリング31と接触する表面140に堆積された第3被覆を備える。
【0112】
軸受17のリング30は、素子16の管状体40とリング63との間において互いに軸方向の反対側にある部品それぞれによって軸方向に固定されている。
【0113】
軸受17のリング31は、スリーブ90の隆起部92と筒状体60との間において互いに軸方向の反対側にある部品によって軸方向に固定されている。
【0114】
検出手段50は、同様に、センサ53を備えており、このセンサは、軸A回りにおけるスリーブ90の回転に関連する第3信号を発生させるように構成されている。
【0115】
さらに、センサ51は、軸受17及び/またはスリーブ90の温度及び加速度のうちの少なくとも1つを検出するように構成されている。
【0116】
使用時において、ロータ3の動作は、推進力を発生させ、この推進力は、ヘリコプタ1を空中で維持すること及びヘリコプタ1の前方飛行をできるようにする。
【0117】
ロータ3の動作は、同様に、胴体2にトルクを発生させ、このトルクは、ロータ4の推進力が発生させたカウンタトルクによって均衡がとられる。
【0118】
ヘリコプタ1のヨー角度を制御するために、パイロットは、飛行制御部15を動作し、それにより、ロータ4のブレード8のピッチを、結果としてロータ4が発生させる推進力を調整する。
【0119】
ロータ4の動作中において、マスト6は、シャフト13によって軸A回りに回転駆動され、ハブ9、素子16及びブレード8を軸A回りに回転駆動させる。その替わりに、ロッド10は、軸Aに対して角度方向で固定されたままである。
【0120】
ロータ4の動作を後述し、軸受17が正確に動作して結果として伝達ユニット45を非動作構成に設定した状態から開始する。
【0121】
この状態において、飛行制御部15の動作により、軸Aに沿う所定方向でロッド10の平行移動を引き起こす。
【0122】
この平行移動により、軸Aに沿う軸受17及び素子16の一体的な平行移動を引き起こす。
【0123】
結果として、素子16は、ブレード8から離間移動し(または接近移動し)、軸Bに対するレバー43の傾斜を変更し、ブレード8の迎角を増加させる(または減少させる)。
【0124】
このレバー43の移動により、ブレードが関連する軸B回りに均等な角度だけ同時に回転すること、結果としてブレード8の迎角の調整を引き起こす。
【0125】
軸受17の故障に続いて転動体32が捻れモーメントをリング31にひいてはスリーブ90に不正確に移送する場合、接触面120の第1及び第2被覆は、ロッド10が回転駆動されることを防止する。
【0126】
より具体的には、第1被覆を形成する表面94及び18の並びに第2被覆を形成する表面122及び肩部121の減摩性材料は、スリーブ90の望まない回転が捻れモーメントであってロッド10の望まない回転を引き起こすのに十分な捻れモーメントをロッド10に伝達することを防止する。
【0127】
表面140に堆積されている接触面120の第3被覆の減摩性材料は、軸受17のリング31の望まない回転がリング63及びロッド10の望まない回転を引き起こすことを防止する。
【0128】
スリーブ90の望まない回転の場合において、センサ53は、パイロットに危険な状態を知らせる第3信号を発生させる。
【0129】
また、センサ51は、軸受17の及びスリーブ90の温度及び加速度を検出し、これら値が軸受17の故障状態に関与する場合に、第1信号を発生させる。
【0130】
さらに、上述した状況において、隆起部61の壁部65及び66は、
図5に示すように、座部64の壁部71及び72それぞれから軸方向に離れている。
【0131】
結果として、筒状体60及びリング63によって形成された伝達ユニット45は、ロッド10から素子16へ移動を伝達させることにおいて積極的な役割を行わない。
【0132】
故障時において、軸受17は、ロッド10から素子16へ軸方向負荷をもはや伝達できない、すなわち、軸Aと平行なロッド10及び素子16の一体的な平行移動をもはや引き起こせない。
【0133】
この状況において、伝達ユニット45は、活性され、これにより、少なくとも所定期間にわたって抗トルクロータ4の制御性を保存することができる。
【0134】
より詳細には、飛行制御部15の動作により、隆起部61がリング63の座部64と軸方向で接触する位置まで、ロッド10及びリング63の平行移動を引き起こす。
【0135】
より具体的に、隆起部61の壁部65(66)は、まず、リング63の座部64の壁部71(72)に接触し、その後、壁部71(72)を軸方向に押す。
【0136】
このようにして、伝達ユニット45は、動作構成にあり、ロッド10の平行移動は、筒状体60及びリング63を介して、素子16の平行移動を引き起こし続ける。
【0137】
伝達ユニット45の活性は、進行にわたって対応する素子16の小さな遊び量を発生させ、そのため、隆起部61を座部64に当接させるために覆っていなければならない。
【0138】
センサ52は、第2信号を発生させ、この第2信号は、パイロットに伝達ユニット45が動作構成にあることを通知する。
【0139】
図6を参照すると、参照符号4’は、本発明の第2実施形態にかかる抗トルクロータを示す。
【0140】
ロータ4’は、ロータ4と同様であり、ロータ4との差異に関してのみ後述し、可能であれば、ロータ4及び4’の同一のまたは等価な部品は、同じ参照符号で示される。
【0141】
特に、ロータ4’は、隆起部61と座部64との間の摩擦を低減するために、
-隆起部61の壁部65と座部64の壁部71との間に介装された軸受100、及び、
-隆起部61の壁部66と座部64の壁部72との間に介装された軸受101、
を備える点で、ロータ4とは異なる。
【0142】
好ましくは、軸受100及び101は、ころ軸受または玉軸受または針状ころ軸受である。
【0143】
特に、軸受100(101)それぞれは、
-壁部66(67)に固定されたリング103、
-壁部71(72)に固定されたリング104、及び、
-リング103及び104間に介装された複数の転動体105、
を備える。
【0144】
図示した場合において、リング103及び104は、円錐台状タイプである。
【0145】
図示した場合において、転動体105は、軸Aに対して傾斜した各別の軸を有する針状体である。
【0146】
ロータ4’の動作は、ロータ4の動作と同様であり、したがって、詳細には説明しない。
【0147】
本発明にかかるロータ4及び4’の特性試験から、これら特性と共に実現され得る利点は、明白である。
【0148】
転動体32がリング31及びスリーブ90に捻れモーメントを不正確に伝達して、軸受17の故障に続いてこれらリング及びスリーブを回転させる場合、減摩性材料の接触面102は、この捻れモーメントがロッド10に伝達される危険性を十分に制限する。
【0149】
このようにして、本説明の導入部で述べた公知のタイプの解決法とは異なり、さらなる軸受を設けることなく、この捻れモーメントによってロッド10が損傷し結果としてロータ4または4’が制御不能になる危険性を十分に制限する。
【0150】
センサ53は、第3信号を発生させ、この第3信号は、パイロットに危険な状態にありできるだけ早く着陸することが望ましいことを通知する。
【0151】
特に、動作構成に設定されると、伝達ユニット45は、ロッド10を軸Aと平行に平行移動させることに続いて、素子16をスライドさせる。
【0152】
このために、伝達ユニット45は、軸受17に関してロッド10から素子16までの追加のかつ冗長的な伝達経路を規定する。
【0153】
このようにして、伝達ユニット45は、軸受17が故障している場合においても、ブレード8の迎角の制御性を保証する。
【0154】
より具体的には、リング31及び30の物理的な分離の結果として転動体32に損傷がある場合において、ロッド10の平行移動により、隆起部61は、座部64に当接させられる。このようにして、素子16の正確な平行移動ひいてはブレード8及びロータ4の迎角の制御性を保証する。
【0155】
いったん隆起部61が座部64に当接すると、センサ52は、第2信号を発生させ、この第2信号は、パイロットに伝達ユニット45が動作構成にあることを通知する。このようにして、パイロットは、できるだけ早く着陸することが望ましいことが通知される。
【0156】
最後に、明確であることは、特許請求の範囲によって規定された範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されかつ示されたロータ4及び4’に関して改変及び変更をなし得ること、である。
【0157】
特に、接触面102は、第1、第2及び第3被覆のうちの1つまたは2つのみを備え得る。
【符号の説明】
【0158】
1 ヘリコプタ、2 胴体、3 主ロータ、4,4’ 抗トルクロータ、6 マスト、8 ブレード、10 制御ロッド、16 制御素子、17 接続素子,減摩性軸受,第1軸受、18 第2面,表面,接触面、30 第1リング,外側リング、31 第2リング,内側リング、32 転動体、33,34 軌道、45 原動力伝達ユニット、53 第1センサ、60 スリーブ,筒状体、61 環状隆起部,第2隆起部、64 座部、90 管状素子,環状素子、91 主本体、92 軸端隆起部、94 第1面,表面,径方向外面、120 接触面、121 環状肩部、122 第3面,表面、140 第4面,表面、A 第1軸、B 第2軸
【手続補正書】
【提出日】2020-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリコプタ(1)のための抗トルクロータ(4、4’)であって、
-第1軸(A)回りに回転可能なマスト(6)と、
-前記マスト(6)にヒンジ接続された複数のブレード(8)であって、前記第1軸(A)に対して横方向の第2軸(B)に沿って各別に延在し、前記第2軸(B)回りに各別に回転可能であり、迎角を各別に変更する、ブレードと、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記マスト(6)と一体的に回転し、前記ブレード(8)に動作式に接続された制御素子(16)であって、前記軸(A)に沿う当該素子(16)の平行移動に続いて前記ブレード(8)を前記第2軸(B)回りに各別に回転させる、制御素子と、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿って軸方向にスライドし、前記第1軸(A)に対して角度方向で固定された制御ロッド(10)と、
-前記制御ロッド(10)と前記制御素子(16)との間に介装され、前記マスト(6)に対してかつ前記制御ロッド(10)と一体的に前記第1軸(A)に沿ってスライドする接続素子(17)であって、正常動作状態において前記制御素子(16)が前記制御ロッド(10)に対して前記第1軸(A)回りに相対回転できるように構成された、接続素子と、
を備え、
当該抗トルクロータ
(4、4’)が、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に介装された減摩性材料で形成された接触面(120)であって、それにより、前記接続素子(17)の故障時において前記接続素子(17)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して回転できるようにする、接触面と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に径方向で介装され、前記制御ロッド(10)及び前記接続素子(17)と一体的に軸方向にスライドする管状素子(90)と、
をさらに備え、
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)のうち前記制御ロッド(10)と接触するように構成された第1面(94)を少なくとも備え、それにより、前記管状素子(90)が前記制御ロッド(10)に対して前記接続素子(17)と共に回転できるようにし、
当該抗トルクロータ(4、4’)が、前記環状素子(90)の回転を検出するように構成された第1センサ(53)をさらに少なくとも備え、
前記接続素子(17)が、減摩性軸受(17)を備え、
前記軸受(17)が、
-前記第1軸(A)回りに前記制御素子(16)と一体的に回転する第1リング(30)と、
-前記第1軸(A)に対して前記第1リング(30)の径方向内側にあり、前記第1軸(A)に沿って前記制御ロッド(10)と一体的にスライドする第2リング(31)と、
-前記第1及び第2リング(30、31)間に介装され、前記第1及び第2リング(30、31)の各別の軌道(33、34)を転動するように構成された複数の転動体(32)と、
を備え、
前記第2リング(31)が、前記第1軸(A)に対する径方向に沿って前記転動体(32)の反対側において前記管状素子(90)と接触し、
当該ロータ(4、4’)が、前記制御ロッド(10)にかつ前記制御素子(16)に動作式に接続された伝達ユニット(45)をさらに備え、
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)の平行移動に続いて、前記第1軸(A)に沿って前記制御素子(16)をスライドさせる動作構成と、
-当該伝達ユニットが前記制御素子(16)から係合解除される非動作構成と、
を選択的にとることができ、
前記伝達ユニット(45)が、前記軸受(17)が故障している場合に前記動作構成に配設され、前記軸受(17)が軸方向負荷を前記ロッド(10)から前記制御素子(16)へもはや伝達できず、前記ロッド(10)の軸方向の平行移動に続いて、前記素子(16)の両方向における軸方向の平行移動を引き起こし、
前記伝達ユニット(45)が、前記第1軸受(17)によって前記素子(16)が前記ロッド(10)に対して相対的に回転することを正確に可能としかつ前記素子(16)と前記ロッド(10)との間の相対的な平行移動を防止する場合に、前記非動作構成に配設され
、
当該抗トルクロータが、前記伝達ユニット(45)が前記動作構成にあることに関連する信号を発生させるように構成された第2センサ(52)を備えることを特徴とする抗トルクロータ。
【請求項2】
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)全体を含むことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)のうち延長部を有しかつ前記第1面(94)と接触するように配設された第2面(18)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記管状素子(90)が、
-前記接続素子(17)と前記制御ロッド(10)との間に径方向で介装された主本体(91)と、
-前記主本体(91)から前記接続素子(17)に向けて径方向に突出する軸端隆起部(92)と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項5】
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)の肩部に当接するように配設された前記軸端隆起部(92)の第3面(122)を備えることを特徴とする請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)のうち前記第3面(122)と接触する前記肩部(121)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)と軸方向で一体でありかつ前記制御ロッド(10)から径方向に突出する環状隆起部(61)と、
-前記第2隆起部(61)に係合しかつ前記制御素子(16)と角度方向で一体である座部(64)と、
を備えることを特徴とする
請求項1から6のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項8】
前記伝達ユニット(45)が、前記制御ロッド(10)に同軸に取り付けられたスリーブ(60)を備え、前記環状隆起部(61)が、前記制御ロッド(10)とは径方向反対側において前記スリーブから突出し、
前記第2リング(31)が、前記スリーブ(60)と前記管状素子(90)のうち径方向で突出する前記軸端隆起部(92)との間で軸方向に阻止されており、
前記接触面(120)が、前記スリーブ(60)のうち前記第2リング(31)と接触するように配設された第4面(140)を備えることを特徴とする
請求項7に記載のロータ。
【請求項9】
ヘリコプタ(1)のための抗トルクロータ(4、4’)であって、
-第1軸(A)回りに回転可能なマスト(6)と、
-前記マスト(6)にヒンジ接続された複数のブレード(8)であって、前記第1軸(A)に対して横断する各別の第2軸(B)に沿って延在し、各別の前記第2軸(B)回りに回転可能であり、各別の迎角を変更する、複数のブレードと、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記マスト(6)と一体的に回転し、前記ブレード(8)と動作式に接続された制御素子(16)であって、当該制御素子(16)の前記第1軸(A)に沿った平行移動に続いて、前記ブレード(8)を各別の前記第2軸(B)回りに回転させる、制御素子と、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿って軸方向でスライドし、前記第1軸(A)に対して角度方向で固定された制御ロッド(10)と、
-前記制御ロッド(10)と前記制御素子(16)との間に介装され、前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記制御ロッド(10)と一体的である接続素子(17)であって、正常動作状態において前記制御素子(16)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して相対的に回転できるように構成された、接続素子と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に介装された減摩性材料で形成された接触面(120)であって、それにより、前記接続素子(17)の故障時において前記接続素子(17)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して回転できるようにする、接触面と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に径方向で介装され、前記制御ロッド(10)及び前記接続素子(17)と共に軸方向にスライドする管状素子(90)と、
を備え、
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)のうち前記制御ロッド(10)と接触するように構成された第1面(94)を少なくとも備え、それにより、前記管状素子(90)が前記制御ロッド(10)に対して前記接続素子(17)と共に回転できるようにし、
当該抗トルクロータ(4、4’)が、前記環状素子(90)の回転を検出するように構成された少なくとも第1センサ(53)をさらに備え、
前記管状素子(90)が、
-前記接続素子(17)と前記制御ロッド(10)との間に径方向で介装された主本体(91)と、
-前記主本体(91)から前記接続素子(17)に向けて径方向で突出した軸端隆起部(92)と、
を備え、
前記接触面(120)が、前記軸端隆起部(92)のうち前記制御ロッド(10)の肩部(121)に当接して配設された第3面(122)をさらに備え、
前記接触面(120)が、前記制御ロッド(10)のうち前記第3面(122)と接触する前記肩部(121)をさらに備えることを特徴とする抗トルクロータ。
【請求項10】
前記接続素子(17)が、減摩性軸受(17)であり、
前記減摩性軸受(17)が、
-前記制御素子(16)と一体的に前記第1軸(A)回りに回転する第1リング(30)と、
-前記第1軸(A)に対して前記第1リング(30)の径方向内側にあり、前記第1軸(A)に沿って前記制御ロッド(10)と一体的にスライドする第2リング(31)と、
-前記第1及び第2リング(30、31)間に介装され、前記第1及び第2リング(30、31)の各別の軌道(33、34)を転動するように構成された複数の転動体(32)と、
を備え、
前記第2リング(31)が、前記第1軸(A)に対する径方向に沿って前記転動体(32)とは反対側で前記管状素子(90)と接触していることを特徴とする
請求項9に記載の抗トルクロータ。
【請求項11】
前記制御ロッド(10)及び前記制御素子(16)に動作式に接続された伝達ユニット(45)を備え、
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)の平行移動に続いて、前記第1軸(A)に沿って前記制御素子(16)をスライドさせる動作構成と、
-当該伝達ユニットが前記制御素子(16)から係合解除される非動作構成と、
を選択的にとることができ、
前記伝達ユニット(45)が、前記軸受(17)が故障している場合に前記動作構成に配設され、前記軸受(17)が軸方向負荷を前記ロッド(10)から前記制御素子(16)へもはや伝達できず、前記ロッド(10)の軸方向の平行移動に続いて、前記素子(16)の両方向における軸方向の平行移動を引き起こし、
前記伝達ユニット(45)が、前記第1軸受(17)によって前記素子(16)が前記ロッド(10)に対して相対的に回転することを正確に可能としかつ前記素子(16)と前記ロッド(10)との間の相対的な平行移動を防止する場合に、前記非動作構成に配設されることを特徴とする
請求項10に記載のロータ。
【請求項12】
前記伝達ユニット(45)が前記動作構成にあることに関連する信号を発生させるように構成された第2センサ(52)を備えることを特徴とする
請求項10または11に記載のロータ。
【請求項13】
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)と軸方向で一体でありかつ前記制御ロッド(10)から径方向に突出する環状隆起部(61)と、
-前記第2隆起部(61)に係合しかつ前記制御素子(16)と角度方向で一体である座部(64)と、
を備えることを特徴とする
請求項11または12に記載のロータ。
【請求項14】
前記伝達ユニット(45)が、前記制御ロッド(10)に同軸に取り付けられたスリーブ(60)を備え、前記環状隆起部(61)が、前記制御ロッド(10)とは径方向反対側において前記スリーブから突出し、
前記第2リング(31)が、前記スリーブ(60)と前記管状素子(90)のうち径方向で突出する前記軸端隆起部(92)との間で軸方向に阻止されており、
前記接触面(120)が、前記スリーブ(60)のうち前記第2リング(31)と接触するように配設された第4面(140)を備えることを特徴とする請求項13に記載のロータ。
【請求項15】
ヘリコプタ(1)のための抗トルクロータ(4、4’)であって、
-第1軸(A)回りに回転可能なマスト(6)と、
-前記マスト(6)にヒンジ接続された複数のブレード(8)であって、前記第1軸(A)に対して横方向の第2軸(B)に沿って各別に延在し、前記第2軸(B)回りに各別に回転可能であり、迎角を各別に変更する、ブレードと、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿ってスライドし、前記マスト(6)と一体的に回転し、前記ブレード(8)に動作式に接続された制御素子(16)であって、前記軸(A)に沿う当該素子(16)の平行移動に続いて前記ブレード(8)を前記第2軸(B)回りに各別に回転させる、制御素子と、
-前記マスト(6)に対して前記第1軸(A)に沿って軸方向にスライドし、前記第1軸(A)に対して角度方向で固定された制御ロッド(10)と、
-前記制御ロッド(10)と前記制御素子(16)との間に介装され、前記マスト(6)に対してかつ前記制御ロッド(10)と一体的に前記第1軸(A)に沿ってスライドする接続素子(17)であって、正常動作状態において前記制御素子(16)が前記制御ロッド(10)に対して前記第1軸(A)回りに相対回転できるように構成された、接続素子と、
を備え、
当該抗トルクロータ(4、4’)が、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に介装された減摩性材料で形成された接触面(120)であって、それにより、前記接続素子(17)の故障時において前記接続素子(17)が前記第1軸(A)回りに前記制御ロッド(10)に対して回転できるようにする、接触面と、
-前記制御ロッド(10)と前記接続素子(17)との間に径方向で介装され、前記制御ロッド(10)及び前記接続素子(17)と共に軸方向にスライドする管状素子(90)と、
をさらに備え、
前記接触面(120)が、前記管状素子(90)のうち前記制御ロッド(10)と接触するように構成された第1面(94)を少なくとも備え、それにより、前記管状素子(90)が前記制御ロッド(10)に対して前記接続素子(17)と共に回転できるようにし、
当該抗トルクロータ(4、4’)が、前記環状素子(90)の回転を検出するように構成された第1センサ(53)をさらに少なくとも備え、
前記接続素子(17)が、減摩性軸受(17)を備え、
前記軸受(17)が、
-前記第1軸(A)回りに前記制御素子(16)と一体的に回転する第1リング(30)と、
-前記第1軸(A)に対して前記第1リング(30)の径方向内側にあり、前記第1軸(A)に沿って前記制御ロッド(10)と一体的にスライドする第2リング(31)と、
-前記第1及び第2リング(30、31)間に介装され、前記第1及び第2リング(30、31)の各別の軌道(33、34)を転動するように構成された複数の転動体(32)と、
を備え、
前記第2リング(31)が、前記第1軸(A)に対する径方向に沿って前記転動体(32)の反対側において前記管状素子(90)と接触し、
当該ロータ(4、4’)が、前記制御ロッド(10)にかつ前記制御素子(16)に動作式に接続された伝達ユニット(45)をさらに備え、
前記伝達ユニット(45)が、
-前記制御ロッド(10)の平行移動に続いて、前記第1軸(A)に沿って前記制御素子(16)をスライドさせる動作構成と、
-当該伝達ユニットが前記制御素子(16)から係合解除される非動作構成と、
を選択的にとることができ、
前記伝達ユニット(45)が、前記軸受(17)が故障している場合に前記動作構成に配設され、前記軸受(17)が軸方向負荷を前記ロッド(10)から前記制御素子(16)へもはや伝達できず、前記ロッド(10)の軸方向の平行移動に続いて、前記素子(16)の両方向における軸方向の平行移動を引き起こし、
前記伝達ユニット(45)が、前記第1軸受(17)によって前記素子(16)が前記ロッド(10)に対して相対的に回転することを正確に可能としかつ前記素子(16)と前記ロッド(10)との間の相対的な平行移動を防止する場合に、前記非動作構成に配設され、
前記伝達ユニット(45)が、前記制御ロッド(10)に同軸に取り付けられたスリーブ(60)を備え、前記環状隆起部(61)が、前記制御ロッド(10)とは径方向反対側において前記スリーブから突出し、
前記第2リング(31)が、前記スリーブ(60)と前記管状素子(90)のうち径方向で突出する前記軸端隆起部(92)との間で軸方向に阻止されており、
前記接触面(120)が、前記スリーブ(60)のうち前記第2リング(31)と接触するように配設された第4面(140)を備えることを特徴とする抗トルクロータ。
【請求項16】
-胴体(2)と、
-主ロータ(3)と、
-請求項1から15のいずれか1項に記載の抗トルクロータ(4、4’)と、
を備えることを特徴とするヘリコプタ。
【国際調査報告】