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特表2022-537880自動車両ホイールのサスペンション装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】自動車両ホイールのサスペンション装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/02 20060101AFI20220824BHJP
   B60G 7/00 20060101ALI20220824BHJP
   B60T 5/00 20060101ALI20220824BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
F16D65/02 E
B60G7/00
B60T5/00 A
F16D65/00 A
F16D65/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565016
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2020055612
(87)【国際公開番号】W WO2020254957
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】19181616.4
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513318515
【氏名又は名称】シー.アール.エフ. ソシエタ コンソルティレ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンドリ、シルヴァノ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェシオ、カルロ
(72)【発明者】
【氏名】スカンタムブルロ、ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】バディノ、レナト
(72)【発明者】
【氏名】ルカ、ステファノ
【テーマコード(参考)】
3D301
3J058
【Fターム(参考)】
3D301AA69
3D301AA79
3D301CA11
3D301DB20
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA66
3J058AA69
3J058AA73
3J058AA84
3J058AA87
3J058BA21
3J058BA23
3J058BA37
3J058BA61
3J058CC22
3J058CD14
3J058DD11
3J058DE02
3J058DE13
3J058DE14
3J058EA02
3J058EA13
3J058FA06
(57)【要約】
自動車両ホイールのサスペンション装置(1)が、1つまたは複数のサスペンション部材(B1、B2)によって自動車両の構造体に接続可能な、自動車両ホイールの支持部材(2)と、自動車両ホイールに接続されて回転するブレーキディスク(D)と、ブレーキディスク(D)と関連するブレーキキャリパ(3)と、ブレーキディスクカバー(4)とを備える。ブレーキキャリパ(3)は、付加製造技術によって、自動車両ホイールの支持部材(2)と一体的に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両ホイールのサスペンション装置であって、
1つまたは複数のサスペンション部材によって自動車両の構造体に接続可能な、自動車両ホイールの支持部材と、
前記自動車両ホイールに接続されて回転するブレーキディスクと、
前記ブレーキディスクと関連するブレーキキャリパと、
前記支持部材に強固に接続され、且つ前記ブレーキディスクを少なくとも部分的に取り囲むブレーキディスクカバーと
を備え、
前記ブレーキキャリパが付加製造技術によって前記支持部材と一体的に形成される、サスペンション装置。
【請求項2】
前記ブレーキディスクカバーが前記支持部材および前記ブレーキキャリパと一体的に形成される、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項3】
前記サスペンション装置が、前記サスペンション装置の中に気流を均一に運ぶように配置された吸気口を備え、前記自動車両に対して制動段階を実行している間に前記ブレーキディスクが発生する熱を放散するようにする、請求項1または2に記載のサスペンション装置。
【請求項4】
前記吸気口が、前記ブレーキキャリパの反対側の、前記サスペンション装置の側部に位置し、前記吸気口がテーパー状であり、一方の端部が前記ブレーキディスクカバーに結合されている、請求項3に記載のサスペンション装置。
【請求項5】
前記ブレーキディスクカバーが、周縁部を含み、前記ブレーキディスクを少なくとも部分的に取り囲み、前記周縁部に沿って径方向に配置され且つ前記気流を前記ブレーキディスクの方に向けるように配置された複数の開口部を有する、請求項3または4に記載のサスペンション装置。
【請求項6】
前記サスペンション装置が、複数の軽減孔と、自動車両のアクスルシャフトの一端を中に収容するように配置された中央穿孔部とを含むボディを有する、請求項2に記載のサスペンション装置。
【請求項7】
前記サスペンション装置が、組み立てられた状態で前記自動車両の内側の方を向くように意図された内面に、上側ピボットアームをボールジョイントに接続するための上側取り付け部と、下側ピボットアームをボールジョイントに接続するための下側取り付け部とを備え、前記上側取り付け部および前記下側取り付け部がそれぞれ実質的に鉛直方向に延在する主軸を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
【請求項8】
前記サスペンション装置が、前記上側取り付け部の近くに、ステアリングシステムをボールジョイントに接続するために配置された追加の取り付け部を備える、請求項7に記載のサスペンション装置。
【請求項9】
前記サスペンション装置が、ステアリングシステムのボールジョイントと、上側ピボットアームのボールジョイントとを、それぞれカバーするように配置された第1の周縁カバー部および第2の周縁カバー部を備える、請求項6から8のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
【請求項10】
前記支持部材が、前記中央穿孔部の近くに、前記支持部材を前記自動車両の別のサスペンション部材に接続するための複数の穴を有する、請求項6に記載のサスペンション装置。
【請求項11】
前記ブレーキキャリパが、前記ブレーキディスクに対して固定して取り付けられる本体を含み、前記本体が、前記ブレーキディスクのそれぞれの制動面にそれぞれが面する2つの細長い側部を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
【請求項12】
前記ブレーキキャリパが、前記本体に形成された少なくとも1対の着座部を有し、前記着座部が、前記本体の中に配置されるブレーキパッド搭載ボディの動きを誘導するように構成され且つ前記ブレーキディスクに制動作用を加えるそれぞれの油圧式シリンダを収容するように配置される、請求項11に記載のサスペンション装置。
【請求項13】
前記ブレーキキャリパが複数の構造補強アームを有する、請求項11または12に記載のサスペンション装置。
【請求項14】
前記複数の構造補強アームが、格子パターンを形成するために、互いに対して異なる向きをした複数の細いアームである、請求項13に記載のサスペンション装置。
【請求項15】
前記複数の構造補強アームが、
前記ブレーキキャリパの下側領域、具体的には前記ブレーキキャリパの2つの細長い側部の間の下側領域に位置する第1の一連の構造補強アームと、
前記ブレーキキャリパの上側領域、具体的には前記2つの細長い側部の間の上側領域に位置する第2の一連の構造補強アームと
を有する、請求項14に記載のサスペンション装置。
【請求項16】
前記サスペンション装置をさらに補強するために、一部の補強アームが、両端を前記ブレーキキャリパの一部と前記ブレーキディスクカバーの周縁領域とにそれぞれ接続される、請求項14または15に記載のサスペンション装置。
【請求項17】
少なくとも1対の、請求項1から16のいずれか一項に記載のサスペンション装置を有する自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に挙げる部材を含む種類の、自動車両ホイールのサスペンション装置に関する。その部材には、1つまたは複数のサスペンション部材によって自動車両の構造体に接続可能な、自動車両ホイールの支持部材と、自動車両のホイールに接続されて回転するブレーキディスクと、上記ブレーキディスクと関連するブレーキキャリパと、上記支持部材に強固に接続され、且つ上記ブレーキディスクを少なくとも部分的に取り囲むブレーキディスクカバーとが含まれる。
【背景技術】
【0002】
添付図面のうちの図1および図2は、上述した種類の自動車両ホイール用サスペンション装置を示しており、これはすでに同じ出願人が過去に開発している。
【0003】
具体的には図1を参照すると、そこには既知の種類の装置に関する斜視図が示されており、サスペンション装置が自動車両ホイールの支持部材2を備え、この支持部材は、いくつかのサスペンション部材(具体的には、2対のピボットアームB1、B2)によって自動車両の構造体に接続され得る。支持部材2は、自動車両のアクスルシャフトの一端を中に収容するように配置された中央穿孔部26を備え、自動車両のアクスルシャフトはホイールピンに接続されて回転し、ホイールピンとホイールハブの中央ボディとで構成される組立品が支持部材2によって回転可能に支持されるようになる。ピボットアームB1、B2を自動車両の構造体に固定する方法と、自動車両ホイールを支持部材2に接続する方法とに関する構造上の詳細はここに提示しない。なぜならば、これらの詳細は何らかの既知の方法で作られ得るものであり、またこうした詳細を図面から削除した方が簡単に理解しやすくなるからである。
【0004】
図1に示すように、既知の種類の現行装置は、自動車両のホイールに接続可能であり回転するブレーキディスクDを備える。統合された手法によれば、ディスクDは、例えば鋳鉄または鋼鉄で作られ、自動車両のホイールと一体となった、ディスクブレーキ型の制動システムの一部を形成する。
【0005】
支持部材2はさらに、摩擦材で作られた1対のパッドをブレーキディスクDの2つの対向制動面に押しつけることで自動車両に制動作用を加えるように構成されたブレーキキャリパ3と接続するために配置された1対の取り付け部18を備える。
【0006】
図1、2に示す既知の種類の装置では、ブレーキキャリパ3は固定型であり、それぞれがディスクDの制動面に面する1対の細長い側部24を有する本体と、1対の細長い側部24の端部同士を接続して通気孔19を画定する1対のブリッジ部とを備える。パッド搭載ボディ17がキャリパ3の1対の細長い側部24の間に配置されて、ブレーキディスクDの制動面と連携するように配置される。
【0007】
1対の細長い側部24は、ディスクDの制動面に面したそれぞれの表面に少なくとも2つの凹部を有し、この凹部は、パッド搭載ボディ17に搭載されたブレーキパッドに推進作用を加えてブレーキパッドをディスクDの制動面に停止させることで自動車両に制動作用を加えるように構成されたアクチュエータ(例えば、油圧式)を収容するように配置されている。ブレーキキャリパ3の本体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で作られてよい。
【0008】
ブレーキディスクカバーなどの補助システムの使用は、ディスクブレーキ制動システムの機能性を向上させることが従来から知られている。
【0009】
具体的には図2の斜視図に示すように、ここにはブレーキディスクDおよびピボットアームB1、B2を省いた図1の詳細を示しているが、ブレーキディスクカバー4が支持部材2に強固に接続されており、ブレーキディスクDを少なくとも部分的に取り囲むように構成される。
【0010】
ブレーキディスクカバー4は、自動車両サスペンションの支持部材2に固定部材25によって強固に接続され、組み立てられた状態では、支持部材2とブレーキディスクDとの間に挿入されることになる。カバー4は、支持部材2の開口部26と実質的に同心の中央開口部27を有しており、自動車両のアクスルシャフトの通過が可能になっている。カバー4の主要機能は、サスペンション部品をブレーキディスクDが放散する熱から保護し、且つ具体的には、特に凹凸道および/または未舗装路を自動車両で走行している間、ブレーキディスクDを異物(一般に、石、ごみ、泥など)による干渉から保護することである。
【0011】
[本発明の目的]
【0012】
本発明の目的は、本明細書の初めに示した特徴を有する、自動車両ホイール用のサスペンション装置を提案することであり、本装置は、既知の種類の装置と比較して、軽量の構造体を有し、また低コストで製造できるが、設計された各機能を実行する際に効果が低くなることはない。
【0013】
本発明のさらなる目的は、本明細書の初めに示した種類の自動車両ホイール用サスペンション装置を提供することであり、本装置は、既知の解決手段と比較して、自動車両制動システムの冷却を向上させ、特に凹凸面または未舗装面を自動車両で走行することから生じる騒音および振動を抑制する。
【発明の概要】
【0014】
前述した目的の実現を考慮すると、本発明は、本説明の初めに示した特徴を有する装置に関し、さらに、付加製造技術によって上記ブレーキキャリパが上記支持部材と一体的に形成されることを特徴とする。
【0015】
本明細書およびこの後に続く特許請求の範囲において、用語「付加製造」とは、レーザビームまたはプラズマビームなどのエネルギー源を用いて、様々なサイズの金属材料またはプラスチック材料の粉末またはワイヤの層を選択的に溶融して、金属材料またはプラスチック材料の部品を一層ずつ形成する、当技術分野で知られている方法のことである。
【0016】
例えば、付加製造を用いて部品を作る装置が特許文献EP3148784A1で知られており、同じ出願人による欧州特許出願EP3470248A1では、自動車両サスペンションの分野における上述した構成技術の適用に関する一例が示されている。
【0017】
付加製造技術によって、自動車両ホイールの支持部材を備えた一体型ブレーキキャリパを製造できるようになったために、本発明による装置では、自動車両ホイールの支持機能を製造し且つブレーキディスクに制動作用を加えるのに通常用いられる部品数の削減が可能になり、したがって既知の解決手段と比較して、特に軽量且つ製造するのに経済的な単一部材を製造できる。
【0018】
好ましくは、ブレーキディスクカバーも、上記支持部材および上記ブレーキキャリパと一体的に形成される。この特徴によって、本発明による装置は、重量およびコストの合理化、また自動車両が走行している間に各部品の動きから生じる騒音および振動の抑制の観点から見ると、さらにいっそう効率的になる。
【0019】
好ましい一実施形態によれば、本発明の装置は、上記装置の中に気流を均一に運ぶように配置された吸気口を備え、ブレーキディスクによって発生する熱を放散するようにする。さらに、ブレーキディスクカバーは周縁部を含む。周縁部は、ブレーキディスクを少なくとも部分的に取り囲み、前述した周縁部に沿って径方向に配置された複数の開口部を有し、上記気流をブレーキディスクの方へ向けるように配置される。
【0020】
こうした特徴によって、本発明による装置は、自動車両が走行している間にブレーキディスクの効果的な冷却を可能とし、長時間の制動段階においてディスクおよびそこに接続された部材の過熱を防ぐので、ディスクおよびブレーキパッドの過熱による制動システムの性能低下を防ぐことができる。
【0021】
上記目的の全てが、次の特許請求の範囲で想起するこうした特徴および他の特徴を有する装置によって実現される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点が、単に非限定的な例として提供される添付図面を参照して、この後に続く説明から明らかになるであろう。
【0023】
図1】すでに上述したものであり、本明細書では既知であり且つ検討された自動車両ホイールのサスペンション装置を示している。
図2】すでに上述したものであり、本明細書では既知であり且つ検討された自動車両ホイールのサスペンション装置を示している。
【0024】
図3】自動車両のステアリング駆動ホイールと関連し得る本発明による装置の好ましい一実施形態の斜視図である。
【0025】
図4図3に示す詳細の別の斜視図である。
【0026】
図5】別のサスペンション部材に接続された、図3に示す装置の別の斜視図を示している。
図6】別のサスペンション部材に接続された、図4に示す装置の別の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、様々な具体的詳細が、各実施形態の十分な理解を目的として示される。各実施形態は、こうした具体的な詳細のうちの1つまたは複数がなくても、または他の方法、部品、材料などを用いても実現され得る。他の事例では、既知の構造体、構造上の詳細、材料、または動作が、詳細に示されず、また説明されることもない。なぜならば、何らかの既知の方法で製造することができ、本発明の範囲に含まれていないためでもある。
【0028】
図3図6は、本発明による自動車両ホイールのサスペンション装置1に関する好ましい一実施形態を示している。図3図6では、すでに説明した既知の種類の装置と共通した様々な部品が、図1および図2で用いられている同じ参照番号で示されている。
【0029】
図面に示す事例では、サスペンション装置1は、フロントステアリング方式および駆動ホイールサスペンションと関連し得る。しかしながら本発明は、例えば、非駆動ホイールおよび自動車両のリアホイールサスペンションと関連した、異なるアーキテクチャのサスペンションおよびホイールにも適用できる。
【0030】
図1および図2で説明した既知の種類のサスペンション装置についてすでに述べたように、装置1は自動車両ホイールの支持部材2を含み、この支持部材は複数のサスペンション部材B1、B2によって自動車両の構造体に接続されてよく、ブレーキディスクD(図5および図6に示されている)が自動車両のホイールに接続されて回転し、ブレーキキャリパ3がブレーキディスクDと関連しており、ブレーキディスクカバー4がブレーキディスクDを少なくとも部分的に取り囲んでいる。
【0031】
本発明の極めて重要な特徴によれば、ブレーキキャリパ3は、「付加製造」技術によって、ホイールの支持部材2と一体的に形成される。用語「付加製造」とは、レーザビームまたはプラズマビームなどのエネルギー源を用いて、様々なサイズの金属材料またはプラスチック材料の粉末またはワイヤの層を選択的に溶融して、金属材料またはプラスチック材料の部品を一層ずつ形成する、当技術分野で知られている方法のことである。この製造手法は、特に複雑な構造を持つ部品を1回の成形工程で作るのに特に適している。従来こうした部品は、いくつかの個々の要素として製造可能であり、その後に組み立てられる。
【0032】
図面に示す実施形態の場合では、支持部材2と一体的に作られたブレーキキャリパ3は、ブレーキディスクDと関連した本体であって、ブレーキディスクDの2つの対向制動面に面する1対の細長い側部24を有した本体と、1対の側部24の端部同士を接続して少なくとも1つの通気孔19を画定する1対のブリッジ部とを備える。
【0033】
図1および図2に示す既知の装置の場合と同じように、パッド搭載ボディがキャリパ3の1対の細長い側部24の間に配置されてよく、またブレーキディスクDの制動面と連携するように配置される。具体的には図3および図4に示すように、1対の細長い側部24は、パッドに推進作用を加えてパッドをディスクDの制動面に停止させることで車両に対して制動作用を果たすように構成されたそれぞれのアクチュエータを収容するように配置された2対の着座部11を有する。好ましい一実施形態によれば、アクチュエータは油圧式であり、上記着座部11を画定する壁は、キャリパ3のボディを構成するのと同じ材料で作られている。パッド搭載ボディおよび油圧式シリンダに関連した別の構造上の詳細は、ここに提示しない。なぜならば、こうした詳細は何らかの既知の方法で実現できるからであり、またこうした詳細を図面から削除した方が簡単に理解しやすくなるからである。
【0034】
具体的には図4の斜視図を参照すると、ここには、組み立てられた状態で自動車両の方を向くように意図された、装置1の表面13が示されている。装置1は、ブレーキキャリパ3のボディの近くに配置された複数の構造補強アーム12を備える。構造補強アーム12を設けるという特徴は、本発明の場合には、サスペンション装置1が一体的に作られていることによって特に適切なものである。好ましくは、ブレーキキャリパ3の下側領域には、第1の一連の構造補強アーム12が設けられており、具体的には、1対の細長い側部24の間の領域に設けられている。同じように、ブレーキキャリパ3の上側領域にも、第2の一連の構造補強アーム12が設けられている。構造補強アーム12は、ブレーキキャリパ2のそれぞれの細長い側部24とそれぞれ結合した両端を有する。
【0035】
好ましくは、一連の構造補強アームは、格子パターンを形成するために、互いに対して異なる向きをした複数の細いアームで作られる。一部の構造補強アーム12は、ブレーキキャリパ3の1対の細長い側部24のうちの一方とそれぞれ結合した両端を有する。その他に、本装置をさらに補強するために、一部の補強アーム12は、両端をブレーキキャリパ3の一部とブレーキディスクカバー4の周縁領域とにそれぞれ接続される。
【0036】
ホイールの支持部材2と一体的にブレーキキャリパ3を製造することによって、上述した特徴によれば、本発明による装置1は、自動車両ホイールの支持機能をもたらすのに通常用いられる部品数の削減を可能にして、ブレーキディスクに制動作用を加える。したがって、特に軽量であるのと同時に十分に強固な単一部材が、自動車両ホイールの支持部材に必要なものとして製造される。
【0037】
図3図6に示すものに対応する特定の一実施形態によれば、ブレーキディスクカバー4も、ホイールの支持部材2およびブレーキキャリパ3と一体的に形成される。これまで、ブレーキディスクカバーは、とりわけ、自動車両が特に凹凸および/または未舗装の路面を走行しているときに、ブレーキディスクを異物(一般に、石、ごみ、および泥など)による干渉から保護するために、ブレーキディスクを少なくとも部分的に取り囲むように構成されている。
【0038】
図3および図4を参照すると、本実施形態はここで、より詳細に説明されている。
【0039】
装置1は、ホイールピンを有する自動車両のアクスルシャフトの一端を中に収容するように配置される中央穿孔部6を、ホイールピンとホイールハブの中央ボディとで構成される組立品が装置1によって回転可能な方式で支持されるような方法で備える。好ましくは、上記中央穿孔部6の近くに、装置1の中央ボディも、複数の軽減孔および/または通気孔8と、上記支持部材2を自動車両の別のサスペンション装置に接続するための複数のねじ穴7とを有する。
【0040】
本発明の1つの重要な特徴によれば、装置1は、自動車両を使用している間にブレーキディスクDによって発生する熱を放散するために、装置1の中に気流を均一に運ぶように形成される吸気口20を有する。好ましくは、吸気口20は、ブレーキキャリパ3の反対側の、本装置の側部に設けられる。吸気口20はテーパー状になっており、一方の端部がブレーキディスクカバーと結合している。
【0041】
ディスクDを効果的に冷却するために、装置1は複数の開口部5も有し、この開口部は、ブレーキディスクDを取り囲む装置1の周縁部に連続して径方向に配置され、且つ吸気口20に入ってくる空気の流れをブレーキディスクDの方に向けるように配置されている。
【0042】
吸気口20および開口部5を設けることによって、本発明による装置1は、自動車両の制動作用を働かせる可能性と関連した自動車両のホイールを支持する機能に加えて、熱機能も提供する。なぜならば、装置1は制動段階においてブレーキディスクDを効果的に冷却するために構成されているからである。もちろん、吸気口20および開口部5は、図3図6に示したものと異なった向きおよび形をしていてもよく、ブレーキキャリパ3のボディに搭載されたブレーキパッドと、ブレーキディスクDの制動面との間の干渉によって発生する熱の効果的な冷却を同時に実現する。
【0043】
具体的には図4図6を参照すると、組み立てられた状態で自動車両の内側の方を向くように意図された内面13に、装置1は、上側ピボットアームB1をボールジョイント21に接続するための上側取り付け部15と、下側ピボットアームB2をボールジョイント22に接続するための下側取り付け部16とを含む。上側取り付け部15および下側取り付け部16はそれぞれ、車両の要求性能に対応する軸および特定の値のサスペンション角を得るために、理想の方向に延在する主軸を有する。図面に示す例では、上側ピボットアームB1および下側ピボットアームB2はそれぞれ、三角形のピボットアームを形成するような形をした1対のロッドを有する。接続部材が、伸縮性のあるブッシュの形で各ロッドの端部に配置され、ピボット方式で自動車両の車体に接続されることを目的としている。図面に示した実施形態では、伸縮性のあるブッシュは、ボールジョイント21、22の主軸と実質的に直角の方向に向けられた主軸を有する。
【0044】
図4を参照すると、装置1は、自動車両と関連するステアリングシステムSをボールジョイント23に接続するために、上記上側取り付け部15の近くに配置された、追加の取り付け部14を備える。
【0045】
好ましくは、装置1は、第1の周縁カバー部9および第2の周縁カバー部10を備え、各周縁カバー部は、ステアリングシステムSのボールジョイント23と上側ピボットアームB1のボールジョイント21とをそれぞれカバーするように構成され、サスペンション部材、ステアリングシステムSの接続ロッド、およびそれぞれのジョイント21,23、並びにブレーキディスクDを、使用中に石または泥による衝突から保護するようにする。
【0046】
上述した全ての特徴によって、本発明による装置1は、次に挙げる利点の実現を可能にする。
【0047】
第1に、前述した支持部材と一体的に組み込まれるブレーキキャリパによって、前述の装置を作成するのに通常用いられる部品数の削減が可能になり(通常、ブレーキキャリパは支持部材のボディに作られた取り付け部に固定部材によって強固に接続される)、したがって軽量且つ低コストで製造できる構造体が形成される。
【0048】
第2に、ブレーキディスクカバーも付加製造手法によって一体的に組み込んだ装置を提供することによって、従来の解決手段と比較して、重量およびコストのさらなる合理化を達成すること、従来の解決手段と比較して、優れた剛性とNVH(騒音(Noise)、振動(Vibration)、不快感(Harshness))性能とを示す装置を提供すること、並びに摩擦材のごみの回収にも貢献する装置を提供することが可能である。
【0049】
さらに、吸気口と、カバーの周縁部に連続して径方向に配置された複数の開口部とを設けた装置の構造によって、本装置は、制動段階においてブレーキディスクを効果的に冷却する働きもする。
【0050】
第3に、上述した特徴によって、本装置は軽量でも十分に強固であり、こうしたことは、ホイールを支持し、サスペンション部材を安定した方式でホイールに接続しなければならない自動車両サスペンション装置に必要である。
【0051】
さらに、本発明は、本発明による少なくとも2つの装置を備える自動車両(例えば、非駆動ホイールに1対の装置および/またはステアリング駆動ホイールに1対の装置)も対象にしている。
【0052】
もちろん、本発明の原理を損なうことなく、また本発明の範囲から逸脱することなく、構造の詳細および実施形態が、単に例として説明され且つ示されたものと比較して大きく異なってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】