(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】エルトロンボパグの投与計画
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4152 20060101AFI20220824BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61K31/4152
A61P7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568408
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2019032171
(87)【国際公開番号】W WO2020231407
(87)【国際公開日】2020-11-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521497752
【氏名又は名称】ノバルティス ファーマシューティカルズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】スタンコビッチ,ミオナ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ガニマ,ウェールド
(72)【発明者】
【氏名】ザジャ,フランセスコ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA10
4C086ZA53
(57)【要約】
本発明は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を患者に投与することによって、免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を、その必要がある患者に投与することを含む、免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法であって、
a.完全奏効が達成されるまで、初回用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程と、
b.任意に、地固めフェーズ中に前記初回用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を続ける工程と、
c.任意に、漸減レジメンに従って、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩をより少ない用量で投与する工程と、
d.エルトロンボパグ又は薬剤として許容される塩の投与を中断する工程と、を含み、
前記患者が、中断された投与後に無治療寛解を達成する、方法。
【請求項2】
前記初回用量が、1日に100mg、75mg、50mg、又は25mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の血小板数が、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、少なくとも80,000/mL、少なくとも90,000/mL、又は少なくとも100,000/mL、適切には少なくとも100,000/mLである場合に、完全奏効が達成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記地固めフェーズが、少なくとも1ヵ月、1ヵ月、少なくとも2ヵ月、又は2ヵ月、適切には2ヵ月である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記地固めフェーズ中に、前記患者の血小板数が、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、又は少なくとも80,000/mL、適切には少なくとも70,000/mLである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記漸減レジメンが、1つ又は複数の漸減用量を含み、2つの隣接する漸減用量間に減分がある、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記漸減レジメンが、1つ、2つ、3つ、又は4つの漸減用量を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
2つの隣接する漸減用量間に50%減分がある、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
2つの隣接する漸減用量間に25mg減分がある、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記漸減レジメンの最後の漸減用量が、1日に25mg、1日に12.5mg、又は隔日で25mgである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各漸減用量が、1週間、2週間、3週間、又は4週間、適切には2週間投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記漸減レジメン中、前記患者の血小板数が、少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者の血小板数が少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである場合に、無治療寛解が達成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を、その必要がある患者に投与することを含む、特に第1ラインステロイド後に不応性であるか、又は再発した患者における免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法であって、
a.完全奏効が達成されるまで、初回用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程と、
b.地固めフェーズ中に前記初回用量で2か月間、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を続ける工程と、
c.エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の1つ、2つ、又は3つの漸減用量を、それぞれ1つの用量につき2週間投与する工程であって、前記初回用量が25mgである場合を除いて、前記第1漸減用量が、前記初回用量よりも25mg少なく、最後の漸減用量が、1日に25mg又は1日に12.5mg又は隔日で25mgのいずれかである工程と、
d.エルトロンボパグ又は薬剤として許容される塩の投与を中断する工程と、を含み、
前記患者が、中断された投与後に無治療寛解を達成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を患者に投与することによって、免疫性血小板減少症(ITP)、特に慢性ITPを治療する方法に関する。特に、その方法は、エルトロンボパグの中断後に無治療寛解を維持すると同時に、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与の中断に関する。その方法はさらに、寛解を維持すると同時に、漸減レジメンでのエルトロンボパグの投与に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板(栓球)は、血液凝固に必要である。血小板数が非常に低い患者は失血、出血、又は出血から死亡するリスクがある。ITPは、様々な程度の失血を伴う、血小板数の一過性又は持続性減少を特徴とする自己免疫疾患である。エルトロンボパグは、ITPの非常に有効な治療法である。それは、長期間の治療、生涯にわたる治療にさえ使用される。エルトロンボパグでの長期間の治療はかなりの費用がかかり、耐用性及びコンプライアンスの問題を伴う。
【0003】
最近、ITP患者におけるエルトロンボパグの短期間の反復使用[例えば、Bussel 2013,Br.J.Haematol.]、漸減[例えば、Bussel 2015,Blood]、又は中断[例えば、Ghadaki 2013,Transfusion;Mahevas 2014,Br.J.Haematol.;Cervinek 2015,Int.J.Haematol.]について2、3の報告がされている。
【0004】
しかしながら、エルトロンボパグの中断後の無治療寛解のために、何の条件を満たす必要があるのかは不明であり、中断を開始する最適な段階、中断の様式、並びに中断後の寛解の割合及び持続時間はまだ明確ではなく、未解決である。エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を使用して成果が上がる治療をする方法、及び無治療寛解を維持すると同時にその後の中断を提供することは有利であるだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を、その必要がある患者に投与することを含む、免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法に関し、
a)完全奏効が達成されるまで、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を初回用量で投与し、
b)任意に、地固めフェーズ中にエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を初回用量と同じ用量で投与し、
c)任意に、漸減レジメンに従って、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与し、
d)エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を中断する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
導入
本発明は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を、その必要がある患者に投与することを含む、免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法であって、
a)完全奏効が達成されるまで、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を初回用量で投与する工程と、
b)任意に、地固めフェーズ中にエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を初回用量で投与し続ける工程と、
c)任意に、漸減レジメンに従って、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩をより少ない用量で投与する工程と、
d)エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を中断する工程と、を含み、
中断された投与後に患者が無治療寛解を達成する、方法を提供する。
【0007】
代替的に、本発明は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩をその必要がある患者に投与することを含む、ITPの治療であって、
a)完全奏効が達成されるまで、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を初回用量で投与する工程と、
b)任意に、地固めフェーズ中にエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を初回用量で投与し続ける工程と、
c)任意に、漸減レジメンに従って、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩をより少ない用量で投与する工程と、
d)エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を中断する工程と、を含み、
中断された投与後に患者が無治療寛解を達成する、ITPの治療に使用される、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態において、ITPは慢性ITPを意味する。
【0009】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容される塩は、そのビス-モノエタノールアミン(ビス-オラミン)塩の形態で存在する。
【0010】
本発明の他の実施形態において、初回用量は、1日に100mg、75mg、50mg、又は25mg、適切には1日に50mgである。
【0011】
本発明の他の実施形態において、前記患者の血小板数が、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、少なくとも80,000/mL、少なくとも90,000/mL、又は少なくとも100,000/mL、適切には少なくとも100,000/mLである場合に、完全奏効が達成される。通常、完全奏効を達成した患者は、出血もない。
【0012】
本発明の他の実施形態において、地固めフェーズは、少なくとも1ヵ月、1ヵ月、少なくとも2ヵ月、又は2ヵ月、適切には2ヵ月である。
【0013】
本発明の他の実施形態において、地固めフェーズ中には、前記患者の血小板数は、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、又は少なくとも80,000/mL、又は少なくとも100,000/mL、適切には少なくとも70,000/mLである。通常、完全奏効を達成した患者は、出血もない。
【0014】
本発明の他の実施形態において、漸減レジメンは、1つ又は複数の漸減用量を含み、2つの隣接する漸減用量の間に減分がある。
【0015】
本発明の他の実施形態において、漸減レジメンは、1つ、2つ、3つ、又は4つの漸減用量を含む。
【0016】
本発明の他の実施形態において、2つの隣接する漸減用量の間に50%の減分がある。
【0017】
本発明の他の実施形態において、第1漸減用量と第2漸減用量の間に50%の減分がある。
【0018】
本発明の他の実施形態において、第2漸減用量と第3漸減用量の間に50%の減分がある。
【0019】
本発明の他の実施形態において、第3漸減用量と第4漸減用量の間に50%の減分がある。
【0020】
本発明の他の実施形態において、2つの隣接する漸減用量の間に25mgの減分がある。
【0021】
本発明の他の実施形態において、アジア系の患者について、2つの隣接する漸減用量の間に12.5mgの減分があり、それぞれの漸減用量が2週間投与される。
【0022】
本発明の他の実施形態において、第1漸減用量と第2漸減用量の間に25mgの減分がある。
【0023】
本発明の他の実施形態において、漸減レジメンの最後の漸減用量は、1日に25mg、1日に12.5mg、又は隔日で25mgである。
【0024】
本発明の他の実施形態において、初回用量は1日に100mgであり、第1漸減用量は1日に75mgであり、第2漸減用量は1日に50mgであり、第3漸減用量は1日に25mgであり、任意に第4漸減用量は1日に12.5mg又は隔日で25mgである。
【0025】
本発明の特定の実施形態において、初回用量は1日に75mgであり、第1漸減用量は1日に50mgであり、第2漸減用量は1日に25mgであり、任意に第3漸減用量は1日に12.5mg又は隔日で25mgである。
【0026】
本発明の他の特定の実施形態において、初回用量は1日に50mgであり、第1漸減用量は1日に25mgであり、第2漸減用量は1日に12.5mg又は隔日に25mgである。
【0027】
本発明の他の実施形態において、初回用量は1日に25mgであり、漸減用量は1日に12.5mg又は隔日で25mgである。
【0028】
本発明の他の実施形態において、各漸減用量が、1週間、2週間、3週間、又は4週間、適切には2週間の期間投与される。前記期間は、それぞれの漸減用量に対して異なる長さであり得る。
【0029】
本発明の他の実施形態において、漸減レジメン中、前記患者の血小板数は、少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである。通常、完全奏効を達成した患者は、出血もない。
【0030】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を中断した後、無治療寛解が達成される。
【0031】
本発明の他の実施形態において、前記患者の血小板数が少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである場合に、無治療寛解が達成される。通常、完全奏効を達成した患者は、出血もない。
【0032】
本発明の他の実施形態において、無治療寛解は、少なくとも1ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも1年、1~12ヵ月、3~12ヵ月、6~12ヵ月、12~18ヵ月、又は12~24ヵ月の間維持される。
【0033】
本発明の他の実施形態において、少なくとも30,000/mLの血小板数が出血なしに、つまり出血有害事象がなく、又はいずれかの救急治療、例えば静脈内免疫グロブリンを使用することなく維持される場合に、無治療寛解が達成される。
【0034】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩でのITPの治療は、無治療寛解状態が失われて少なくとも1ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも6ヵ月、又は少なくとも1年後に再開することができる。
【0035】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、初回用量と同じ用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程を含む。
【0036】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、初回用量よりも少ない用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程を含む。「初回用量よりも少ない」とは、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩のいずれかが、投与ごとにより少ない用量で投与されること、又は用量を変更しないまま各投与の間隔が長くなること、又はその両方であると理解される。
【0037】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、初回用量よりも少なくとも25%又は少なくとも50%少ない用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程を含む。
【0038】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、初回用量よりも25mg少ない用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程を含む。
【0039】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を隔日で投与する工程を含む。
【0040】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、1日に25mgの用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程を含む。
【0041】
本発明の他の実施形態において、治療の再開は、特に東アジア系の患者に、1日に25mgの用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程を含む。
【0042】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、ステロイドと組み合わせて投与することができる。
【0043】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグは、デキサメタゾンと組み合わせて投与することができる。
【0044】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、第1ライン治療として投与される。
【0045】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、第2ライン治療として投与される。
【0046】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、ITP未治療患者に投与される。
【0047】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、第1ラインのステロイド後に、不応性であるか、又は再発した患者に投与される。
【0048】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、その血小板数が30,000/mL未満であるITP患者に投与される。
【0049】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩は、救急治療として使用される静脈内免疫グロブリンと共に、又はなしで、ステロイド療法の第1ラインクールに対する初期応答後に再発した患者、つまり、ステロイド再発又はステロイド不応性の患者に投与される。この実施形態において、第1ラインステロイド療法は、プレドニゾン/プレドニゾロン0.5~1mg/kg/日を最低で2週間、又は高用量デキサメタゾン20~40mg/日を最低で1クール、静脈内免疫グロブリン(救急治療として使用される)を使用して、若しくは使用せず連続4日間と定義され、高用量ステロイド治療(ステロイド漸減時間は排除)への最大曝露は、高用量プレドニゾン/プレドニゾロン4週間、又は高用量デキサメタゾン3クールに限定され、ステロイドへの総曝露は、用量漸減期間を含む3か月未満である。
【0050】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグは、血小板数30,000/mL未満を有し、且つ治療の必要がある、新たに診断された一次性ITP患者に投与され、診断からの時間は3か月以内であり、任意に、エルトロンボパグ投与前に静脈内免疫グロブリンで14日間、又はエルトロンボパグ投与前に3日間いずれかのITPに対する療法で治療された。
【0051】
一実施形態において、新たに診断された一次性ITP患者は、連続して4日間(1~4日目)デキサメタゾン40mg/日と、1日目に開始する50mg QDの開始用量でのエルトロンボパグと、からなる治療を開始する。
【0052】
更なる一実施形態において、1日目にエルトロンボパグを開始した後、治療から2週間後に、血小板数が<50,000/mLのままである場合には、25mg刻みで増やすことによって、用量を最大用量75mg QDへと調節しなければならない。
【0053】
一実施形態において、エルトロンボパグ治療は、地固めフェーズの継続期間に血小板数≧50,000/mLを達成し、且つ維持するのに必要な最低投与量で続けられる。一実施形態において、地固めフェーズは約20~22週間の長さである。
【0054】
一実施形態において、地固めフェーズに続いて、漸減フェーズが行われる。一実施形態において、漸減フェーズは約4~6週間である。
【0055】
一実施形態において、漸減フェーズ中の用量の減少は、2週毎に25mg刻みで低減することによって行われ、治療中断まで2週間以内で次の低減が行われることを意味する。
【0056】
本発明の他の実施形態において、デキサメタゾンと組み合わせられるエルトロンボパグによって、無治療応答が誘導される。
【0057】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグは、4週目までに少なくとも1回の完全奏効を誘導する。
【0058】
本発明の他の実施形態において、エルトロンボパグは、1、2、4、12、26及び52週に、ベースラインから血小板数を増加する。
【0059】
定義
本明細書で使用される、「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」及び本発明を説明する文脈における同様な言及は、本明細書において別段の指定がない限り、又は文脈で明確に否定されていない限り、単数と複数の両方を含むと解釈される。複数形が化合物、塩等に使用される場合、これは、単一の化合物、塩等も意味すると解釈される。
【0060】
「又は」という用語は、明確に文脈に指定がない限り、「及び/又は」という用語を意味するために使用され、「及び/又は」という用語と区別なく使用される。
【0061】
本明細書に記載の数値は、近似値として理解されるべきである。これは一般に、測定値の性質若しくは精度、及び/又はいずれかの基本的な生物学的/化学的/物理的変動が原因の、測定値の許容可能な程度の誤差を含む。誤差の例示的な程度は、所定の値の20%以内、一般に10%以内、より一般的に5%以内である。指定値として本明細書において血小板数を記載する場合、実測値は、記載の量から20%まで変動し得る。第1に、測定方法の技術的限界のために、測定された血小板数の正確な量が、血流中の実際の血小板数と異なり得ることが認識され、第2に、血小板数が、様々な理由で患者において変化、変動、又は動揺し得て、個々の範囲外の測定値は、血小板数の全体的な評価及びそれから導き出す結論に影響を及ぼすべきではないと認識される。
【0062】
「含む(comprising)」及び「包含する(including)」という用語は、別段の指定がない限り、制約のない、且つ非制限的な意味で、本明細書において使用される。
【0063】
血小板数は測定方法に限界があるために、測定間で変化し、上下し、又は変動し得、若しくは不正確であり得る。したがって、本明細書に記載のいずれかの血小板数値からの20%の変動、10%の変動、又は5%の変動は許容すべきである。測定の頻度は、処置する医師によって調整することができる。一部の実施形態において、血小板数は、1日に1回、隔日に1回、週に1回、隔週で1回、1か月に1回、隔月に1回、又は6か月ごとに1回測定される。適切には、血小板数は最初は毎週測定され、安定な血小板数が達成されたら、血小板数は毎月測定される。エルトロンボパグでの治療を開始する前に、漸減レジメンを含む治療全体を通して、及びエルトロンボパグでの治療を中断した後に、血小板数は測定され得る。エルトロンボパグの初回用量の調整中には、エルトロンボパグの安定な初回用量の次の確立よりも多い頻度で測定しなければならない場合がある。
【0064】
「完全奏効」又は「完全寛解」は、血小板数が規定のレベルに達した場合に達成される。規定のレベルは通常、血小板数が、少なくとも70,000/mL、少なくとも80,000/mL、少なくとも90,000/mL、少なくとも100,000/mL、少なくとも110,000/mL、又は同じ患者のベースライン血小板数の少なくとも2倍、若しくは少なくとも3倍である場合であると理解される。特定の実施形態において、規定のレベルは少なくとも100,000/mLである。
【0065】
「地固めフェーズ」という用語は、血小板数が、完全奏効の規定のレベルよりも低い値であり得る規定の値を超えて維持される期間を意味する。一部の実施形態において、前記レベルは、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、又は少なくとも80,000/mLである。特定の実施形態において、前記レベルは少なくとも70,000/mLである。一部の実施形態において、地固めフェーズは、少なくとも1ヵ月、1ヵ月、少なくとも2ヵ月、又は2ヵ月である。特定の実施形態において、地固めフェーズは2か月である。
【0066】
「漸減レジメン」という用語は、漸減用量が段階的に低減される、つまりそれぞれの用量がその先行する用量よりも少ない、1、2、3、又は4つの漸減用量からなる投与計画を意味する。1、2、3、又は4つの用量低減の工程があり得る。一部の実施形態において、各漸減用量は、1、2、3、又は4週間の期間で投与される。他の実施形態において、各漸減用量は異なる期間で投与され、例えば第1漸減用量は2週間投与され、第2漸減用量は4週間投与される。特定の実施形態において、漸減用量は2週間の期間で投与される。用量減分は、特定のパーセンテージ、例えば先行する用量の50%であり得るか、又は絶対的な減分、例えば先行する用量の25mgであり得る。漸減レジメンフェーズでは、血小板数は、漸減レジメン中に少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL又は少なくとも50,000/mLに維持される。特定の実施形態において、血小板数は漸減レジメン中に少なくとも30,000/mLである。
【0067】
「用量」という用語は、特定の頻度で投与されるエルトロンボパグの特定の量、例えば1日に100mg、1日に75mg、1日に50mg、1日に25mg、又は1日に12.5mgを意味する。ある量で市販されていない場合には、異なる量で使用し、同じ総用量に到達するように頻度を調節することが可能であり、例えば、1日12.5mgの代わりに、用量は隔日で25mgであり得る。別段の指定がなければ、用量は1日量である。
【0068】
「初回用量」という用語は、患者が完全奏効に達するように投与される用量を意味する。特定の初回用量は1日50mgである。1日25mgの低減された用量は特に、東アジア系、例えば中国人、日本人、台湾人、又は韓国人の患者に対する用量である。初回用量は、患者の応答に応じて変更することができる。応答が弱すぎる場合、例えば血小板数が減少する、増加しない、又は増加するのが遅すぎる場合には、用量を例えば75mg又は100mgに増加することができる。応答が強すぎる場合、例えば血小板の増加が急速すぎる場合には、用量を例えば25mgに減らすことができる。患者に最適な初回用量に達するように、1回又は複数回、初回用量を調節することができる。初回用量は、漸減レジメンの開始前に投与される用量である。
【0069】
「漸減用量」という用語は、患者が初回用量で処置された後に投与される用量である。漸減用量は初回用量よりも少ない。
【0070】
「中断する」及び「中断」という用語は、治療の終了を意味する。その薬物は、ある期間中には患者にそれ以上投与されない。この期間は、薬物投与がその後に再開される休薬期間であるか、又は最終的な中断であり得る。薬物投与が再開される場合、用量は、先行の初回用量と同じであるか、又はそれ以下であり得る。
【0071】
「無治療寛解」という用語は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を中断した後に維持される寛解を意味する。無治療寛解の間の患者の血小板数は、少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである。血小板数が30,000/mL未満に低下した場合、又は少なくとも2週若しくは少なくとも1ヵ月の期間、出血事象が起こった場合に、寛解反応の喪失が達成される。
【実施例】
【0072】
実施例1:第1ラインステロイド(漸減)後に不応性であるか、又は再発したITPを有する対象における持続寛解を誘導するエルトロンボパグの能力を評価するための、フェーズII、非盲検、前向き、単一群研究
目的
この試験の目的は、ステロイドでの初回治療後に反応しなかった、又は再発したITP患者における持続無治療寛解を誘導する、エルトロンボパグの能力を評価することである。
【0073】
ITP診断後のエルトロンボパグの早期の使用によって、薬物の漸減後に、より高い割合の対象が持続寛解を達成することを可能にするという、制限のある主に後向きの証拠がある。臨床的に、より短い治療間隔で応答及び持続寛解を提供する毒性の低いレジメンが必要とされている。この試験は、これを評価するように設計される。
【0074】
目標
第1の目標は、再発した、又は第1ラインステロイド治療に応答しなかったITP対象において、持続寛解を誘導するエルトロンボパグの能力を12か月目で評価することである。主要評価項目は、12か月目で持続寛解を有する対象の割合であり、持続寛解は以下の通りに定義される:
・血小板数≧100,000/mLに達する(完全奏効)
・血小板数約100,000/mLを2ヵ月間維持する(70,000/mL未満の血小板数はないことを意味する)
・治療中断までの薬物を漸減する
・12か月目まで、出血なしで(出血有害事象なし)、又は救急治療を用いることなく、血小板数≧30,000/mLを維持する。
【0075】
主な第2の目標は以下である:
・治療中断後の持続寛解の持続時間を評価すること。エンドポイント:持続寛解の持続時間中央値(週数)は、持続寛解を有する対象に関して、エルトロンボパグの最終用量から12か月目までカウントした。
・1か月目で初期応答を誘導するエルトロンボパグの能力を評価すること。エンドポイント:出血なく、救急治療なく、1か月目(最初の月)に少なくとも1回、血小板数≧50,000/mLを有する対象の数(%)。
・エルトロンボパグの漸減中又は漸減後に応答が減少した場合における、回復応答を誘導するエルトロンボパグの能力を評価すること。エンドポイント:出血なく、且つ救急治療のない応答の減少の場合(<30,000/mL及び/又は出血事象)における、エルトロンボパグを再導入した後の、少なくとも1つの血小板数≧30,000/mLを有する対象の数(%)。
・ベースラインから3、6、9、12ヵ月目までの血小板数を定量化すること。エンドポイント:ベースラインから3、6、9、12ヵ月目及び試験終了までの血小板数の絶対的及び相対的変化。
・12ヵ月以内に血小板数≧30,000/mlを維持するエルトロンボパグの能力を評価すること。エンドポイント:出血なく、且つ救急治療のない、そのレベルに達する初回から、3、6、9、12か月目及び試験終了まで血小板数≧30,000/mLを維持する対象の数(%)。
【0076】
母集団
この研究は、救急治療として±静脈内免疫グロブリン(IVIG)を使用して、又は使用することなく、ステロイド療法の第1ラインクールに対する初回応答後に、応答しなかった、又は再発した(ステロイド再発又はステロイド不応性)一次性ITPを有する成人対象を含むように設計される。血小板数は<30,000/mLであり、必要な治療として評価される(医師の自由裁量に従って)。ステロイド療法の第1ラインは以下のように定義される:プレドニゾン/プレドニゾロン0.5~1mg/kg/日を最低2週間、又は高用量デキサメタゾン20~40mg/日を連続4日間±IVIG(救急治療として使用される)を最低で1クール。高用量ステロイド治療(ステロイド漸減時間は排除)への最大曝露は、高用量プレドニゾン/プレドニゾロンを4週間、又は高用量デキサメタゾンを3クールに限定されるべきである。ステロイドへの全体的な曝露は、用量漸減期間を含み、3ヵ月以下でなければならない。主要な除外基準は以下である:
1.ステロイド/IVIGを除いて、ITPに対するITP第2ライン療法、トロンボポエチン受容体アゴニストで以前に治療されたITP対象。
2.ステロイド療法の第1ライン完全クールが終了して1年を超えた後に再発した対象。
3.続発性血小板減少症の診断を有する対象。
4.研究者の自由裁量に従って、生命にかかわる出血合併症を有する対象。
【0077】
治療
対象は、標的血小板数≧100,000/mLに達するように、エルトロンボパグ1日50mg(QD)で2週間治療される。標的血小板数に2週間以内に達しない対象については、エルトロンボパグの用量を75mg QDに増加する。エルトロンボパグ75mg/日で治療された後に、標的血小板数≧100,000/mLに達しない対象は、12か月目までエルトロンボパグを続ける。エルトロンボパグでの治療は、血小板数約100,000/mLを達成し、2か月間維持するのに必要な最低投与量で続けられる。
【0078】
血小板数≧100,000/mLと定義される完全奏効(CR)に達し、且つ血小板数約100,000/mL(70,000/mL未満はカウントしない)を2か月間維持した場合には、対象は漸減及び治療中断に適格である。
【0079】
漸減の持続時間は、個別化され、且つ開始用量及び対象の応答に応じて異なる:用量の減少は、2週毎に25mgの減少で行われる。血小板数が安定であれば次の低減は2週間以内に行うべきであり、治療が完全に中断されるまで25mgを隔日で2週間投与する。
【0080】
25mg QDの低減された初回投薬量は、アジア系の対象に推奨される。アジア系の対象におけるエルトロンボパグの用量は、非アジア人母集団と比較して、これらの対象において確認される低いエルトロンボパグクリアランス(CL/F)を考慮に入れて低減される。したがって、アジア系の対象に対する薬物漸減は、2週毎に減分12.5mgで行われる。
【0081】
出血なく、又は救急治療を用いることなく、漸減に成功した、つまりエルトロンボパグの中断及び血小板数≧30,000/mLの維持に成功した対象は、トライアルの期間(12か月目まで)を通してフォローアップされる。再発の場合には、この時間枠内にて用量50mgで開始して、エルトロンボパグ治療の新規なクールが提供される。
【0082】
出血のある、又は重篤な出血のリスクが認められる対象は、血小板数とは無関係に、医師の判断に従って救急治療を受けることが許される。
【0083】
血小板数は、対象の適格性を評価するためにスクリーニング来診1で行われる。血小板数を含む血液学は、治療の最初の8週間に、1週目/1日目及び毎週評価される。対象の応答に基づき、血液学はその後、治療終了まで隔週で実施される。研究者の臨床的判断に従って必要とされる場合には、血小板数の更なる評価は、隔週スケジュールよりも頻繁に行われ得る。出血事象は、各来診で評価される。
【0084】
実施例2:漸減II
目的
このトライアルの目的は、ステロイドで初回治療した後に応答しなかった、又は再発した、且つエルトロンボパグでの治療を受けるITP対象において持続無治療寛解を誘導するエルトロンボパグの能力を評価することである。
【0085】
目標
第1の目標は、第2ラインのエルトロンボパグで治療され、以前にCRを達成したITP対象において6か月目にて持続性応答無治療を誘導するエルトロンボパグの能力を評価することである。主要評価項目は、6か月目で持続性応答無治療を有する対象の割合であり、持続性応答無治療は以下の通りに定義される:
・血小板数≧100,000/mL(完全奏効)に達し、次いで血小板数約100,000/mLを2ヵ月間維持する(70,000/mL未満はカウントしない)
・治療中断まで薬物を漸減すると同時に、
・6か月目まで、出血なしで(出血有害事象なし)、又は救急治療を利用することなく、血小板数≧30,000/mLを維持する。
【0086】
母集団
この研究は、第1ラインステロイド治療後に応答しなかった、又は再発し、且つエルトロンボパグでの治療を受けるITPを有する成人対象を含むように設計される。血小板数は≧100,000/mLであり、2か月間安定である(70,000/mLを超える)。
【0087】
治療
対象は、1日目にエルトロンボパグ用量の段階的な低減を開始する。再発の場合には、対象はエルトロンボパグで再治療される。再発は、血小板数<30,000/mLと定義される。再治療は、試験終了までエルトロンボパグ50~75mgで行われる。6か月目での持続性応答無治療における対象は、1年の経過観察期間に入る。持続性応答無治療は以下のように定義される:
・血小板数は100,000/mL(完全奏効)に達し、次いで血小板数約100,000/mLを2ヵ月間維持し(70,000/mL未満はカウントしない)、次いで
・治療中断まで薬物を漸減すると同時に、
・6か月目まで、出血なしで(出血有害事象なし)、又は救急治療を利用することなく、血小板数≧30,000/mLを維持する。
試験終了は1.5年後である。
【0088】
任意に、この研究は、第2ラインステロイド上の患者である第2アームを含む。ステロイドは1日目に中断され、再発後にはステロイド又はエルトロンボパグでの再治療がある。第2アームのタイミング及びエンドポイントは同じであり、6か月目の持続性応答無治療における対象もまた、1年の経過観察期間に入る。
【0089】
実施例3:新たに免疫性血小板減少症と診断された成人患者における第1ライン治療としての、デキサメタゾンと比較して、デキサメタゾンと組み合わせたエルトロンボパグの有効性及び安全性を評価するための、フェーズII、無作為化(1:1)非盲検研究
目的
このトライアルの目的は、第1ライン療法の強化が、優れた長期間寛解率を誘導し得るかを評価することである。自然寛解は、成人の患者の約10%で起こる。従来の第1ライン薬剤は、2~14日以内に高い初回応答率(70~80%)を達成するが、最適以下の耐久性を有する。コルチコステロイドの中断後の持続性血小板応答は、1年目以内に患者の<30%に起こる。患者の約50%は、6か月目に再発し、さらに25%は1年を超えて再発する。コルチコステロイドの長期間投与は、副作用の発症によって制限される。
【0090】
したがって、より短い治療間隔で応答及び持続寛解を提供する毒性の低いレジメンに対する、まだ対処されていない医学的必要性がある。この目的は、慢性的なステロイドの使用(病的状態と関連する高用量のステロイド)を減らすこと、及び無治療寛解を改善することである。
【0091】
母集団
この研究は、血小板数≦30,000/mL及び治療の必要性を有する、新規に診断された成人一次性ITP患者(診断から3か月以内の時間)を含むように設計される。血小板数が非常に低く、及び/又は出血が著しいために臨床上必要がある場合には、無作為化前に静脈内免疫グロブリンでの治療が14日間許可される(代替法:無作為化の3日前に、いずれかのITPに対する療法が許可され得る)。他の点では、ITPの先行する治療履歴は除外基準である。
【0092】
目標
第1目標は、52週目に無治療応答を誘導する、デキサメタゾンと組み合わせたエルトロンボパグの能力を評価することである。無治療応答は、出血≧グレードIIがなく、又はいずれかの救急薬物療法を用いることなく、治療中断後に血小板数≧30,000/mLを維持すると定義される。
主要な第2目標は以下である:
・治療中断後に無治療応答の持続時間を評価する。エンドポイント:治療中断の時点から、血小板数<30,000/mL又は出血≧グレードII、又はいずれかの救急治療の使用までを計算した無治療応答の持続時間中央値。
・78週目に無治療応答を誘導する、デキサメタゾンと組み合わせたエルトロンボパグの能力を評価する。エンドポイント:78週目に無治療応答に達する患者の割合。
・4週目で総合効果(総合的応答)を誘導するエルトロンボパグの能力を評価する。エンドポイント:4週目で少なくとも1回、血小板数≧30,000/mLを有し、且つ出血がなく、且つ少なくとも1度も救急治療していない患者の割合。
・4週目で完全奏効を誘導するエルトロンボパグの能力を評価する。エンドポイント:4週目で少なくとも1回、血小板数≧100,000/mLを有し、且つ出血がなく、且つ少なくとも1度も救急治療していない患者の割合。
・ベースラインから1、2、4、12、26及び52週目までの血小板数の増加を定量化する。エンドポイント:ベースラインから1、2、4、12、26及び52週目までの血小板数の絶対的及び相対的変化。
・応答する時間を評価する。エンドポイント:治療を開始する時点から、応答を達成する時点までの時間。
【0093】
治療
1:1の比で2つの治療アームのうちの1つに患者を無作為化する。アームAは、デキサメタゾンと組み合わせたエルトロンボパグであり、アームBは、デキサメタゾン単独である。
【0094】
アームAは、1日目から、エルトロンボパグの漸減を含む26週目までの治療からなる。エルトロンボパグの漸減は、誘導療法を22週間行った後の4週間又は誘導療法を20週間行った後の6週間である。「誘導療法」という用語は、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩が、用量が低減される前に投与されるその合計期間として理解される。通常、誘導療法は、患者が治療されて完全奏効を達成する期間、及び患者が治療されて寛解(地固めフェーズ)を維持する次の期間を含む。
【0095】
治療は、連続4日間のデキサメタゾン40mg/日(1~4日目)及び1日目に開始する50mg QDの開始用量でのエルトロンボパグからなる。1日目にエルトロンボパグを開始した後に、治療して2週間後に血小板数が<50,000/mLを維持する場合には、用量は、25mg増分で最大用量75mg QDに調節しなければならない。エルトロンボパグ治療は、誘導期間(20週目又は22週目まで)に血小板数≧50,000/mLに達し、且つ維持するのに必要な最低投与量で続けられ、その後に、4週間又は6週間で漸減して、エルトロンボパグが中断される。エルトロンボパグの漸減中に、用量の減少が2週毎に25mg刻みの低減で行われ、これは次の低減が治療中断までの2週間以内に行われることを意味する。
【0096】
アームBは、1日目から12週目までの治療からなる。治療は、4週間隔にて連続4日間(1~4日目)の、パルス式デキサメタゾン40mg/日の1~3サイクルからなる。血小板数が>150,000/mLであれば、デキサメタゾンでの次のサイクルは開始されない。6か月目の両方の研究アームの対象は、主要評価項目に対して観察される、最大1つの観察期間に入る。その後、78週目に経過観察がある。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を、
免疫性血小板減少症(ITP)の治療の必要がある患者に投与することを含む、免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法
における使用のための、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を含む医薬組成物であって、
前記治療方法が、
a.完全奏効が達成されるまで、初回用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程と、
b.任意に、地固めフェーズ中に前記初回用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を続ける工程と、
c.任意に、漸減レジメンに従って、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩をより少ない用量で投与する工程と、
d.エルトロンボパグ又は薬剤として許容される塩の投与を中断する工程と、を含み、
前記患者が、中断された投与後に無治療寛解を達成する、
前記医薬組成物。
【請求項2】
前記初回用量が、1日に100mg、75mg、50mg、又は25mgである、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
前記患者の血小板数が、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、少なくとも80,000/mL、少なくとも90,000/mL、又は少なくとも100,000/mL、適切には少なくとも100,000/mLである場合に、完全奏効が達成される、請求項
1に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
前記地固めフェーズが、少なくとも1ヵ月、1ヵ月、少なくとも2ヵ月、又は2ヵ月、適切には2ヵ月である、請求項
1に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記地固めフェーズ中に、前記患者の血小板数が、少なくとも50,000/mL、少なくとも60,000/mL、少なくとも70,000/mL、又は少なくとも80,000/mL、適切には少なくとも70,000/mLである、請求項
1に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
前記漸減レジメンが、1つ又は複数の漸減用量を含み、2つの隣接する漸減用量間に減分がある、請求項1~5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
前記漸減レジメンが、1つ、2つ、3つ、又は4つの漸減用量を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
2つの隣接する漸減用量間に50%減分がある、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
2つの隣接する漸減用量間に25mg減分がある、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
前記漸減レジメンの最後の漸減用量が、1日に25mg、1日に12.5mg、又は隔日で25mgである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
各漸減用量が、1週間、2週間、3週間、又は4週間、適切には2週間投与される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
前記漸減レジメン中、前記患者の血小板数が、少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項13】
前記患者の血小板数が少なくとも20,000/mL、少なくとも30,000/mL、少なくとも40,000/mL、又は少なくとも50,000/mL、適切には少なくとも30,000/mLである場合に、無治療寛解が達成される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項14】
エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を、
免疫性血小板減少症(ITP)の治療の必要がある患者に投与することを含む、特に第1ラインステロイド後に不応性であるか、又は再発した患者における免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法
における使用のための、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を含む医薬組成物であって、
前記治療方法が、
a.完全奏効が達成されるまで、初回用量でエルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩を投与する工程と、
b.地固めフェーズ中に前記初回用量で2か月間、エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の投与を続ける工程と、
c.エルトロンボパグ又は薬剤として許容されるその塩の1つ、2つ、又は3つの漸減用量を、それぞれ1つの用量につき2週間投与する工程であって、前記初回用量が25mgである場合を除いて、前記第1漸減用量が、前記初回用量よりも25mg少なく、最後の漸減用量が、1日に25mg又は1日に12.5mg又は隔日で25mgのいずれかである工程と、
d.エルトロンボパグ又は薬剤として許容される塩の投与を中断する工程と、を含み、
前記患者が、中断された投与後に無治療寛解を達成する、
前記医薬組成物。
【国際調査報告】