(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】生体センシングのための共振器アセンブリおよび電磁波を利用したバイオセンサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1459 20060101AFI20220824BHJP
G01N 22/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61B5/1459
G01N22/00 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568443
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2020006304
(87)【国際公開番号】W WO2020256282
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0074031
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0053397
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ビエン,フランクリン ドン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KM01
4C038KX02
4C038KY01
(57)【要約】
一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンサは、共振器アセンブリ、電力供給部、およびプロセッサを含んでよい。共振器アセンブリは、給電領域の外郭に沿って配置され、前記給電領域に電力をフィーディングすることが可能な少なくとも1つの給電線、および前記給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって前記給電線から電力を受信することが可能なパターンワイヤを含んでよい。電力供給部は、前記共振器アセンブリに電力を供給してよい。プロセッサは、前記電力の周波数がスイープされる間に、前記共振器アセンブリの周辺に存在する対象被分析物の濃度に対応する生体データとして、前記共振器アセンブリの共振周波数と関連するパラメータを取得してよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振器アセンブリ(resonator assembly)であって、
一面で給電領域の外郭に沿って配置され、前記給電領域に電力をフィーディングすることが可能な少なくとも1つの給電線(feeding line)、および
前記一面で前記給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって前記給電線から電力を受信することが可能なパターンワイヤ(pattern wire)
を含む、共振器アセンブリ。
【請求項2】
前記共振器アセンブリの共振周波数は、前記共振器アセンブリの周辺に存在する対象被分析物(target analyte)の濃度によって変化する、
請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項3】
前記一面に沿って前記給電領域内に配置される閉ループワイヤ(closed-loopwire)
をさらに含み、
前記パターンワイヤは、
前記閉ループワイヤによって定義される内部領域に配置され、前記閉ループワイヤを経由して前記給電線と容量性カップリングを形成する、
請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項4】
前記閉ループワイヤで前記給電線の一部に隣接するパートは、前記給電線の一部と同じ形態で平行に離隔して配置される、
請求項3に記載の共振器アセンブリ。
【請求項5】
前記閉ループワイヤは、
多角形および円形(circular shape)のうちの1つの形態である、
請求項3に記載の共振器アセンブリ。
【請求項6】
前記パターンワイヤは、
前記一面で前記少なくとも1つの給電線(feeding line)と隣接するように配置されて容量性カップリング(capacitive coupling)を形成する第1結合部分(first coupling portion)、
前記一面で前記給電線、閉ループワイヤ、および追加のパターンワイヤのうちの少なくとも1つと隣接するように配置されて容量性カップリングを形成する第2結合部分、および
前記一面で前記第1結合部分と前記第2結合部分とをパターンに沿って連結する連結部分(connecting portion)
を含む、請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項7】
前記連結部分は、
前記第1結合部分と前記第2結合部分を横切る仮想の線を基準として互いに反対側に配置される第1パート(first part)と第2パート(second part)を含む、
請求項6に記載の共振器アセンブリ。
【請求項8】
前記第1パートと前記第2パートは、前記第1結合部分から前記第2結合部分まで交互に配置される、
請求項7に記載の共振器アセンブリ。
【請求項9】
前記第1パートと前記第2パートは、前記一面上で点対称形状である、
請求項6に記載の共振器アセンブリ。
【請求項10】
前記連結部分は、
正弦波形態(sinusoidal shape)、鋸歯形態(sawtooth shape)、長方形(rectangular shape)、三角形(triangular shape)のうちの1つの形態のパターンに沿って配置される、
請求項6に記載の共振器アセンブリ。
【請求項11】
前記パターンワイヤおよび前記給電線のうちの少なくとも1つと容量性カップリングを形成することが可能なように前記一面に配置される1つ以上の追加のパターンワイヤをさらに含む、
請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項12】
前記パターンワイヤおよび前記1つ以上の追加のパターンワイヤは、メタサーフェス(metasur face:MTS)を形成する、
請求項11に記載の共振器アセンブリ。
【請求項13】
前記パターンワイヤおよび前記1つ以上の追加のパターンワイヤは、
互いに同じ形態のパターンで配置される、
請求項11に記載の共振器アセンブリ。
【請求項14】
前記一面で前記パターンワイヤおよび前記1つ以上の追加のパターンワイヤそれぞれを個別に囲む複数の閉ループワイヤをさらに含む、
請求項11に記載の共振器アセンブリ。
【請求項15】
前記1つ以上の追加のパターンワイヤは、
前記パターンワイヤを基準として一軸に沿って離隔して配置される、
請求項11に記載の共振器アセンブリ。
【請求項16】
前記一面は、
円筒状支持部材(cylindrical support member)の側面(side)に沿って配置される曲面である、
請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの給電線は、
前記一面に配置され、両端に他の素子と連結するポートを含む第1給電線、および
前記一面で前記第1給電線から離隔して配置され、両端に他の素子と連結するポートを含む第2給電線を含み、
前記給電領域は、前記第1給電線と前記第2給電線の間の領域である、
請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの給電線は、
電力を受信するポートを含む単一給電線で構成され、
前記給電領域は、
前記単一給電線によって囲まれる領域である、
請求項1に記載の共振器アセンブリ。
【請求項19】
電磁波を利用したバイオセンサであって、
給電領域の外郭に沿って配置され、前記給電領域に電力をフィーディングすることが可能な少なくとも1つの給電線、および前記給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって前記給電線から電力を受信することが可能なパターンワイヤを含む共振器アセンブリ、
前記共振器アセンブリに電力を供給する電力供給部、および
前記電力の周波数がスイープ(sweep)される間に、前記共振器アセンブリの周辺に存在する対象被分析物の濃度に対応する生体データとして、前記共振器アセンブリの共振周波数と関連するパラメータを取得するプロセッサ
を含む、電磁波を利用したバイオセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、生体センシングのための共振器アセンブリおよび電磁波を利用したバイオセンサを提供する。
【背景技術】
【0002】
欧米化した現代人の食生活は、糖尿病、高脂血症、血栓患者などのような成人病を引き起こす原因となっている。このような成人病の進度状況を知るための簡単な方法として血液内の生体成分測定が存在する。生体成分測定では、血糖、貧血、血液凝固などのように血液中に含まれた様々な成分量を知ることができ、特定の成分の数値が正常領域であるか非正常領域であるかを、一般人であっても病院に行かずに簡単に判断できるという長所がある。
【0003】
生体成分測定の簡単な方法の1つとして、指先から採血した血液をテストストリップに注入した後、電気化学的あるいは光度法によって出力信号を定量分析する方法がある。このような方法は、測定器に該当の成分量が表示されるため、専門知識のない一般人に適した方法である。
【0004】
バイオセンサは、スマート機器と結合させて使用することもでき、バイオセンサがセンシングしたデータのエラーを正確に判別するための技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態に係るバイオセンサは、電磁波を利用して被分析物の濃度をセンシングすることができる。
【0006】
一実施形態に係るバイオセンサは、メタ表面を利用して被分析物の濃度をセンシングすることができる。
【0007】
一実施形態に係るバイオセンサは、比誘電率を利用して被分析物の濃度をセンシングすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る共振器アセンブリ(resonator assembly)は、一面で給電領域の外郭に沿って配置され、前記給電領域に電力をフィーディングすることが可能な少なくとも1つの給電線(feeding line)、および前記一面で前記給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって前記給電線から電力を受信することが可能なパターンワイヤ(pattern wire)を含んでよい。
【0009】
前記共振器アセンブリの共振周波数は、前記共振器アセンブリの周辺に存在する対象被分析物(target analyte)の濃度によって変化してよい。
【0010】
共振器アセンブリは、前記一面に沿って前記給電領域内に配置される閉ループワイヤ(closed-loop wire)をさらに含み、前記パターンワイヤは、前記閉ループワイヤによって定義される内部領域に配置され、前記閉ループワイヤを経由して前記給電線と容量性カップリングを形成してよい。
【0011】
前記閉ループワイヤで前記給電線の一部に隣接するパートは、前記給電線の一部と同じ形態で平行に離隔して配置されてよい。
【0012】
前記閉ループワイヤは、多角形および円形(circular shape)のうちの1つの形態であってよい。
【0013】
前記パターンワイヤは、前記一面で前記少なくとも1つの給電線(feeding line)と隣接するように配置されて容量性カップリング(capacitive coupling)を形成する第1結合部分(first coupling portion)、前記一面で前記給電線、閉ループワイヤ、および追加のパターンワイヤのうちの少なくとも1つと隣接するように配置されて容量性カップリングを形成する第2結合部分、および前記一面で前記第1結合部分と前記第2結合部分とをパターンに沿って連結する連結部分(connecting portion)を含んでよい。
【0014】
前記連結部分は、前記第1結合部分および前記第2結合部分を横切る仮想の線を基準として互いに反対側に配置される第1パート(first part)および第2パート(second part)を含んでよい。
【0015】
前記第1パートと前記第2パートは、前記第1結合部分から前記第2結合部分まで交互に配置されてよい。
【0016】
前記第1パートおよび前記第2パートは、前記一面上で点対称形状であってよい。
【0017】
前記連結部分は、正弦波形状(sinusoidal shape)、鋸歯形状(sawtooth shape)、長方形(rectangular shape)、三角形(triangular shape)のうちの1つの形態のパターンに沿って配置されてよい。
【0018】
共振器アセンブリは、前記パターンワイヤ、および前記給電線のうちの少なくとも1つと容量性カップリングを形成することが可能なように前記一面に配置される1つ以上の追加のパターンワイヤをさらに含んでよい。
【0019】
共振器アセンブリは、前記パターンワイヤおよび前記1つ以上の追加のパターンワイヤは、メタサーフェス(meta surface:MTS)を形成してよい。
【0020】
前記パターンワイヤおよび前記1つ以上の追加パターンワイヤは、互いに同じ形態のパターンで配置されてよい。
【0021】
共振器アセンブリは、前記一面で前記パターンワイヤおよび前記1つ以上の追加のパターンワイヤそれぞれを個別に囲む複数の閉ループワイヤをさらに含んでよい。
【0022】
前記1つ以上の追加のパターンワイヤは、前記パターンワイヤを基準として一軸に沿って離隔して配置されてよい。
【0023】
前記一面は、円筒状支持部材(cylindrical support member)の側面(side)に沿って配置される曲面であってよい。
【0024】
前記少なくとも1つの給電線は、前記一面に配置され、両端に他の素子と連結するポートを含む第1給電線、および前記一面で前記第1給電線から離隔して配置され、両端に他の素子と連結するポートを含む第2給電線を含み、前記給電領域は、前記第1給電線と前記第2給電線の間の領域であってよい。
【0025】
前記少なくとも1つの給電線は、電力を受信するポートを含む単一給電線で構成され、前記給電領域は、前記単一給電線によって囲まれる領域であってよい。
【0026】
一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンサは、給電領域の外郭に沿って配置され、前記給電領域に電力をフィーディングすることが可能な少なくとも1つの給電線、および前記給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって前記給電線から電力を受信することが可能なパターンワイヤを含む共振器アセンブリ、前記共振器アセンブリに電力を供給する電力供給部、および前記電力の周波数がスイープ(sweep)される間に、前記共振器アセンブリの周辺に存在する対象被分析物の濃度に対応する生体データとして、前記共振器アセンブリの共振周波数と関連するパラメータを取得するプロセッサを含んでよい。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態に係るバイオセンサは、電磁波を利用することにより、利用者が痛みを感じない非浸湿式によって被分析物をセンシングすることができる。
【0028】
一実施形態に係るバイオセンサは、メタ表面を利用して、被分析物に対して高感度で正確に濃度をセンシングすることができる。
【0029】
一実施形態に係るバイオセンサは、被分析物の濃度に比誘電率が対応するため、共振周波数を算出することによって低い演算複雑度で被分析物の濃度を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンシングシステムを示した図である。
【
図2】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサのための共振器アセンブリを示した図である。
【
図3a】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサのための共振器アセンブリを示した図である。
【
図3b】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサのための共振器アセンブリを示した図である。
【
図4】一実施形態における、パターンワイヤの一例を示した図である。
【
図5】一実施形態における、パターンワイヤの一例を示した図である。
【
図6】一実施形態における、パターンワイヤの一例を示した図である。
【
図7】一実施形態における、共振器アセンブリの追加の一例を示した図である。
【
図8】一実施形態における、共振器アセンブリの追加の一例を示した図である。
【
図9】一実施形態における、共振器アセンブリの追加の一例を示した図である。
【
図10】一実施形態における、共振器アセンブリの追加の一例を示した図である。
【
図11】一実施形態における、共振器アセンブリの追加の一例を示した図である。
【
図12】一実施形態における、共振器アセンブリの追加の一例を示した図である。
【
図13】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの2ポートの一例を示した図である。
【
図14】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの1ポートの一例を示した図である。
【
図15】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの散乱パラメータと対象被分析物濃度の関係を説明するための図である。
【
図16】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの散乱パラメータと対象被分析物濃度の関係を説明するための図である。
【
図17】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの散乱パラメータと対象被分析物濃度の関係を説明するための図である。
【
図18】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの概略的な構成を示したブロック図である。
【
図19】一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの例示的なアプリケーションを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について詳しく説明する。しかし、実施形態には多様な変更が加えられてよく、特許出願の権利範囲がこのような実施形態によって制限されたり限定されたりしてはならない。実施形態に対するすべての変更、均等物、あるいは代替物は、権利範囲に含まれるものと理解されなければならない。
【0032】
実施形態で使用する用語は、説明を目的に使用するものに過ぎず、限定しようとする意図として解釈されてはならない。単数の表現は、文脈上で明らかに異なるように意味しない限り複数の表現も含む。本明細書において「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0033】
異なるように定義されない限り、技術的や科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、実施形態が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解しているものと同じ意味を含んでいる。一般的に使用される事前に定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を含んでいると解釈されなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的あるいは過度に形式的な意味として解釈されてはならない。
【0034】
また、添付の図面を参照した説明は、図面符号にかかわらず、同一する構成要素には同一する参照符号を付与したし、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態を説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が実施形態の要旨を不必要に不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0035】
また、実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することもあるが、このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、このような用語によって該当の構成要素の本質や順番、または順序などが限定されてはならない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」、または「接続」されると記載される場合、その構成要素がその他の構成要素に直接連結したり接続したりする場合もあるが、各構成要素の間に他の構成要素が「連結」、「結合」、または「接続」される場合もあると理解されなければならない。
【0036】
いずれか1つの実施例に含まれた構成要素と共通する機能を含む構成要素は、他の実施例でも同じ名称を使用して説明する。反対となる記載がない限り、いずれか1つの実施例に記載された説明が他の実施例に適用されてもよく、重複する範囲で具体的な説明は省略する。
【0037】
図1は、一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンシングシステムを示した図である。
【0038】
一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンシングシステム100は、バイオセンサ110および外部装置120を含んでよい。
【0039】
バイオセンサ110は、電磁波を利用して対象被分析物(target analyte)193をセンシングするセンサであってよい。対象被分析物193は、生体(livingbody)と関連する物質(material)であって、生体物質(analyte)と表現されてもよい。参考までに、本明細書において、対象被分析物193は主に血糖として説明しているが、これに限定されてはならない。
【0040】
バイオセンサ110は、皮膚191の下の皮下層192に挿入および/または移植(implanted)されてよい。皮下に移植されたバイオセンサ110は、電磁波を利用して、血管194および皮下層192に存在する対象被分析物193をモニタリングしてよい。例えば、バイオセンサ110は、以下で説明する共振器アセンブリの共振周波数と関連するパラメータを測定してよい。本明細書において、パラメータは、バイオセンサを解釈するために使用される回路網パラメータ(circuit network parameter)を示してよく、以下では、説明の便宜のために散乱パラメータを例に挙げて説明するが、これに限定されてはならない。パラメータとして、例えば、アドミタンスパラメータ、インピーダンスパラメータ、ハイブリッドパラメータ、および送信パラメータなどが使用されてもよい。共振器アセンブリの共振周波数は、共振器アセンブリの周辺に存在する対象被分析物193の濃度によって変化してよい。例えば、共振周波数は、以下の数式(1)のように共振器アセンブリのキャパシタンスおよびインダクタンスとして表現されてよい。
【0041】
【0042】
上述した数式(1)において、fは共振器アセンブリの共振周波数を、Lは共振器アセンブリのインダクタンスを、Cは共振器アセンブリのキャパシタンスを示してよい。共振器アセンブリのキャパシタンスCは、以下の数式(2)のように比誘電率(relative dielectric constant)
に比例してよい。
【0043】
【0044】
共振器アセンブリの比誘電率は、周辺の対象被分析物193の濃度に影響を受けてよい。対象被分析物193の濃度変化によって共振器アセンブリの比誘電率が変化するため、共振器アセンブリの共振周波数もともに変化する。したがって、一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンシングシステム100は、バイオセンサ110の共振器アセンブリの共振周波数に基づいて対象被分析物193の濃度を決定することができる。
【0045】
参考までに、一実施形態に係る共振器アセンブリは、対象被分析物193のセンシングのために設計されてよい。例えば、
図2および
図3aを参照しながら説明する構造の共振器アセンブリは、対象被分析物193の濃度変化によって変化する共振周波数に対して相対的に高いQファクタ(Q-factor)を有してよい。言い換えれば、対象被分析物193の濃度変化による共振周波数の変化範囲内で、共振器アセンブリの散乱パラメータ(scattering parameter)(以下、「Sパラメータ」)に対応する周波数応答特性(frequency response characteristic)が相対的にシャープ(sharp)な曲線を描くようになる。共振器アセンブリは、対象被分析物193の濃度変化による比誘電率の変化に対して高い敏感度を示す。したがって、一実施形態に係るバイオセンサ110は、共振器アセンブリの共振周波数を正確に決定することができる上に、共振周波数に対応する対象被分析物193の濃度も正確に推定することができる。
【0046】
例えば、対象被分析物193が血糖(glucose)である場合、共振器アセンブリは、以下の表1のような詳細(specification)を備えるように設計されてよい。ただし、これは例示的なものに過ぎず、これに限定されてはならない。
【0047】
【0048】
一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンサ110は、外部装置120との通信を無線で樹立してよい。バイオセンサ110は、対象被分析物193の濃度に対応する生体データを取得および収集してよく、生体データを外部装置120に送信してよい。生体データは、対象被分析物193の濃度および/または量と関連するデータであって、例えば、上述したように共振器アセンブリの共振周波数と関連するパラメータであってよい。ただし、これに限定されてはならず、生体データは、被分析物の濃度に対応する共振周波数、共振周波数を算出するための散乱パラメータ、および散乱パラメータに対応する周波数応答特性などを含んでもよい。バイオセンサ110は、無線通信によって外部装置120に生体データを送信してよい。また、バイオセンサ110は、外部装置120からの電力供給を無線で受けてよい。バイオセンサ110は、無線送信された電力を利用して生体データをモニタリングしてよい。
図2、
図3a、および
図3bは、一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンサのための共振器アセンブリを示している。
【0049】
図2は、共振器アセンブリ210の一例を示した図である。
【0050】
一実施形態に係る共振器アセンブリ210は、給電線211(feeding line)、閉ループワイヤ213(closed loop wire)、およびパターンワイヤ212(pattern wire)を含んでよい。
【0051】
給電線211は、一面250で給電領域の外郭に沿って配置され、給電領域に電力をフィーディングすることが可能な導線(conducting wire)を示してよい。一面250の給電線211内部の領域を給電領域と表現してよい。共振器アセンブリ210は、少なくとも1つの給電線211を含んでよく、
図2は、共振器アセンブリ210が2つの給電線211を含む例を示している。給電線211が2つある場合、給電線211の間の領域が給電領域となってよい。
図2では、2つの給電線211それぞれが、上側には第1ポート291、下側には第2ポート292を備える2ポート構造を示した。ただし、これに限定されてはならず、1ポート構造の一例については
図14を参照しながら説明する。
【0052】
閉ループワイヤ213は、一面250に沿って給電領域内に配置されてよい。閉ループワイヤ213によって定義される内部領域内に、以下で説明するパターンワイヤ212が配置されてよい。閉ループワイヤ213は、多角形(例えば、四角形(rectangular shape))および円形(circular shape)のうちのいずれかの形態であってよい。
図2では四角形の例について説明する。閉ループワイヤ213は、給電線211と容量性カップリングを形成し、給電線211から電力が給電されてよい。閉ループワイヤ213から給電線211の一部に隣接するパート213a、213bは、給電線211の一部と同じ形態であり、平行に離隔して配置されてよい。閉ループワイヤ213は、小型化されたフォームファクタ内でもインピーダンスマッチングを提供することができる。したがって、閉ループワイヤ213がない場合に目標共振周波数(例えば、対象被分析物に対応する共振周波数)を達成するために必要とされる面積よりも、閉ループワイヤ213を備えた共振器アセンブリ210は、より小さい面積で目標共振周波数を達成することができる。
【0053】
パターンワイヤ212は、一面250で給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって給電線211から電力を受信することが可能な導線を示してよい。パターンワイヤ212は、パターンによるインダクタンス成分を示してよい。パターンワイヤ212は、給電線211と容量性カップリングを形成してよい。例えば、パターンワイヤ212のパート212a、212bそれぞれは、給電線211で隣接したパート211a、211bと容量性カップリングを形成してよい。また、パターンワイヤ212は、閉ループワイヤ213を経由して給電線211と容量性カップリングを形成してよい。例えば、パターンワイヤ212のパート212a、212bそれぞれは、閉ループワイヤ213で隣接したパート213a、213bと容量性カップリングを形成してよい。パターンワイヤ212の多様な形態については、
図4~6を参照しながら説明する。
【0054】
参考までに、
図2に示した共振器アセンブリ210構造の一例は、高さ(h)=26mm、幅(w)=14mmで設計されているが、これに限定されてはならない。また、
図2に示した共振器アセンブリ210が配置される一面250が平面で構成されたものが示されているが、これに限定されてはならない。
図3aでは、共振器アセンブリ210が曲面に配置される例について説明する。
【0055】
図3aおよび
図3bは、共振器アセンブリが配置される一面が曲面で形成された円筒の側面に沿って配置される例について説明する。
【0056】
図3aに示した共振器アセンブリ310は、
図2に示した共振器アセンブリ210と同じ構造であり、曲面350に沿って配置されてよい。共振器アセンブリ310の表面電流分布390も図に示した。表面電流分布390の単位をA/mで表示した。共振器アセンブリ310および表面電流分布390において、共振器アセンブリ310の縦軸はy軸で示した。円筒状構造でも、共振器アセンブリ310は、周辺の対象被分析物の濃度に対して共振周波数が高感度で変化した。
図3aに示した円筒状共振器アセンブリ310は、高さ(h)=26mm、円筒の直径(d)=3.96mmであり、
図2に示した平面形共振器アセンブリ210よりも小さいフォームファクタ(form factor)を示した。
【0057】
図3bは、
図3aに示した共振器アセンブリ310において、各導線の間隔による共振周波数の変化およびQファクタ(Q-factor)の変化を示した図である。
【0058】
共振器アセンブリ310は、パターンワイヤで繰り返し出現するパターンおよび閉ループワイヤによってインピーダンス成分(例えば、抵抗成分およびキャパシタンス成分)を得てよく、インピーダンス成分によって共振周波数が決定されてよい。また、共振器アセンブリ310が、複数の閉ループワイヤのうちの任意の閉ループワイヤが1つ以上の閉ループワイヤを含む場合、多重共振現象が発生することある。
【0059】
パターンワイヤおよび閉ループワイヤの間隔によってキャパシタンスが増加または減少し、各導線の厚さ、幅、高さ、および長さなどによって抵抗が増加または減少する。キャパシタンスおよび抵抗によって共振器アセンブリ310のQファクタが決定されてよい。以下では、導線の間隔によるキャパシタンスの変化と、これによる共振周波数の変化について説明する。
【0060】
一実施形態によると、共振器アセンブリ310のキャパシタンスは、各導線の間隔によって変化してよい。例えば、曲面350に沿って配置された共振器アセンブリ310において、第1給電線のうちの長さ方向(例えば、y軸方向)に対応する部分と第2給電線のうちの長さ方向に対応する部分との間隔303(以下、「給電線の間隔」)によって共振器アセンブリ310のキャパシタンスが変化してよい。給電線の間隔303が減少すれば、共振器アセンブリ310のキャパシタンスが増加してよい。したがって、数式(1)に基づき、給電線の間隔303の減少によって共振器アセンブリ310の共振周波数は低くなり、Qファクタは高くなる。言い換えれば、共振器アセンブリ310の共振周波数における周波数応答特性は、シャープ(sharp)になる。例えば、
図3bでは、給電線の間隔303が第1間隔である場合の周波数応答特性による第1共振地点393a、第2間隔である場合の周波数応答特性による第2共振地点393b、および第3間隔である場合の周波数応答特性による第3共振地点393cを示している。第3間隔は第2間隔よりも狭く、第2間隔は第1間隔よりも狭い。第3共振地点393cの共振周波数は第2共振地点393bの共振周波数よりも低く、第2共振地点393bの共振周波数は第1共振地点393aの共振周波数よりも低い。さらに、第1共振地点393aから第3共振地点393cまでの各共振地点で減殺程度が増加するため、間隔の減少によってQファクタが増加することが分かる。これとは反対に、給電線の間隔303の増加によって共振器アセンブリ310の共振周波数が増加し、Qファクタは低くなる。
【0061】
図3bでは、給電線の間隔による共振周波数およびQファクタの変化について説明したが、他の導線の間隔によっても共振周波数およびQファクタは変化する。例えば、パターンワイヤと閉ループワイヤの間隔301と給電線と閉ループワイヤの間隔302によっても、共振周波数およびQファクタは変化する。減少した間隔301、302、303を有する共振器アセンブリ310は、減少した共振周波数および増加したQファクタを示してよい。これとは反対に、増加した間隔301、302、303を有する共振器アセンブリ310は、増加した共振周波数および減少したQファクタを示してよい。
【0062】
図3aでは、円筒状共振器アセンブリ310の導線の間隔による共振周波数の変化について説明したが、これに限定されてはならず、
図2に示した共振器アセンブリ210でも、円筒状共振器アセンブリ310と同じように、導線の間隔によって共振周波数が変化するようになる。
【0063】
図4~6は、一実施形態における、パターンワイヤの一例を示した図である。
【0064】
図4は、正弦波形態のパターンを有するパターンワイヤ420について説明する。
【0065】
パターンワイヤ420は、第1結合部分421(first coupling portion)、第2結合部分422(second coupling portion)、および連結部分423(connecting portion)を含んでよい。
【0066】
第1結合部分421および第2結合部分422は、パターンワイヤ420で他の導線と容量性カップリングを形成する部分を示してよい。例えば、第1結合部分421は、一面で少なくとも1つの給電線(feeding line)と隣接するように配置されて容量性カップリング(capacitive coupling)を形成してよい。第2結合部分422は、一面で給電線、閉ループワイヤ、および追加のパターンワイヤのうちの少なくとも1つと隣接するように配置されて容量性カップリングを形成してよい。追加のパターンワイヤは、基本のパターンワイヤに加えて追加で配置されるパターンワイヤであるが、これについては
図9~11を参照しながら説明する。追加のパターンワイヤの第1結合部分および第2結合部分は、他のパターンワイヤと容量性カップリングを形成してもよい。
【0067】
例えば、第1結合部分421は、給電線で第1結合部分421に隣接するパートと同じ形状であり、隣接するパートから平行に離隔してよい。他の例として、第1結合部分421は、パターンワイヤが閉ループワイヤ内の領域に配置される場合、閉ループワイヤで第1結合部分421に隣接するパートと同じ形状であり、隣接するパートから平行に離隔してよい。第2結合部分422は、給電線、閉ループワイヤ、および追加のパターンワイヤのうちで隣接するように配置された導線で第2結合部分422に隣接したパートと同じ形状であり、隣接するパートから平行に離隔してよい。
【0068】
連結部分423は、一面で第1結合部分421および第2結合部分422をパターンに沿って連結してよい。例えば、連結部分423は、第1結合部分421および第2結合部分422を横切る仮想の線490を基準に、互いに反対側に配置される第1パート(first part)491および第2パート(second part)492を含んでよい。第1パート491および第2パート492は、第1結合部分421から第2結合部分422まで交互に配置されてよい。例えば、第1パート491および第2パート492は、一面上で点対称形状であってよい。
図4に示したパターンワイヤ420は正弦波形態であって、第1パート491および第2パート492は曲線部を含んでよい。連結部分423のパターンに沿って、共振器アセンブリは、インダクタンス成分を有してよい。このとき、連結部分423は、給電線、閉ループワイヤ、および他のパターンワイヤとの容量性カップリングを防ぐように、給電線、閉ループワイヤ、および他のパターンワイヤから離隔してよい。
【0069】
連結部分423のパターンが
図4に示した例に限定されてはならず、連結部分423は、正弦波形態(sinusoidal shape)、鋸歯形態(sawtooth shape)、長方形(rectangular shape)、三角形(triangular shape)のうちのいずれかの形態のパターンに沿って配置されてよい。
【0070】
図5は、三角形のパターンに沿ったパターンワイヤについて説明する。
【0071】
パターンワイヤ520の第1結合部分521、第2結合部分522、仮想の線590は、
図4と同じであるため、これについての説明は省略する。三角形のパターンに沿ったパターンワイヤ520は、仮想の線590と交差する直線部591、592を含んでよい。
【0072】
図6は、長方形のパターンに沿ったパターンワイヤについて説明する。
【0073】
パターンワイヤ620の第1結合部分621、第2結合部分622、仮想の線690は、
図4と同じであるため、これについての説明は省略する。長方形のパターンに沿ったパターンワイヤ620は、仮想の線690に平行でありながら、仮想の線690を基準として互いに反対側に配置される直線部691、692を含んでよい。
【0074】
図7~12は、一実施形態における、共振器アセンブリの追加の例を示した図である。
【0075】
図7は、閉ループワイヤがない共振器アセンブリの例を示している。
【0076】
一実施形態に係る共振器アセンブリ700は、閉ループワイヤがない状態で給電線およびパターンワイヤ720を含んでよい。
図7において、2つの給電線711、712は給電領域719として定義されてよく、2つの給電線711、712それぞれは、給電領域719の外郭の少なくとも一部に沿って配置されてよい。
【0077】
パターンワイヤ720の結合部分721、722は、給電線と容量性カップリングを形成してよい。例えば、パターンワイヤ720の第1結合部分721は、第1給電線711のパート711aと容量性カップリングを形成してよく、パターンワイヤ720の第2結合部分722は、第2給電線712のパート712aと容量性カップリングを形成してよい。参考までに、
図7では、第1給電線711と第2給電線712に分離された2ポートの例について説明したが、これに限定されてはならず、第1給電線711および第2給電線712の代わりに単一給電線で実現されてもよい。
【0078】
図8は、異なるように整列されたパターンワイヤおよび1つ以上の閉ループワイヤを含む共振器アセンブリを示した図である。
【0079】
一実施形態に係る共振器アセンブリ800において、パターンワイヤ820は、給電線に対して多様に整列されてよい。例えば、
図1~7において、パターンワイヤ820の結合部分は、給電線のポートの間の導線に隣接するように配置されたが、
図8に示したパターンワイヤ820の結合部分は、給電線のポートに隣接するように配置されてよい。
【0080】
また、共振器アセンブリ800は、1つ以上の閉ループワイヤを含んでよい。例えば、給電線811、812によって定義される給電領域内に複数の閉ループワイヤが配置されてよい。複数の閉ループワイヤ831、832のうちの少なくとも1つは、他の閉ループワイヤによって定義される内部領域に配置されてよい。例えば、
図8において、第1閉ループワイヤ831は、一面で給電領域内に配置され、第2閉ループワイヤ832は、第1閉ループワイヤ831によって定義される内部領域に配置されてよい。パターンワイヤ820は、第2閉ループワイヤ832によって定義される内部領域に配置されてよい。
【0081】
一実施形態によると、共振器アセンブリは、追加のパターンワイヤをさらに含んでよい。例えば、1つ以上の追加のパターンワイヤは、パターンワイヤおよび給電線のうちの少なくとも1つと容量性カップリングを形成することが可能なように一面に配置されてよい。
【0082】
図9は、追加のパターンワイヤ922が給電線と容量性カップリングを形成することが可能なように配置された例を示している。共振器アセンブリ900は、基本のパターンワイヤ921に加えて追加のパターンワイヤ922をさらに含んでよい。共振器アセンブリ900は、給電線910によって定義される給電領域内に配置される閉ループワイヤ930を含んでよい。閉ループワイヤ930によって定義される領域内に、基本のパターンワイヤ921と追加のパターンワイヤ922が配置されてよい。追加のパターンワイヤ922と基本のパターンワイヤ921は、互いに並列的に配置されてよい。例えば、追加のパターンワイヤ922は、基本のパターンワイヤ921の第1結合部分と第2結合部分を横切る第1軸901に垂直する第2軸902に沿って、基本のパターンワイヤ921から離隔して配置されてよい。さらに、
図9では、追加のパターンワイヤ922が1つしか示されていないが、これに限定されてはならず、1つ以上の追加のパターンワイヤ922が給電領域内に配置されてもよい。
【0083】
図10は、他のパターンワイヤと容量性カップリングを形成する追加のパターンワイヤの例を示している。例えば、第2パターンワイヤ1022は、一面で第2軸1002に沿って第1パターンワイヤ1021から離隔して配置されてよい。第3パターンワイヤ1023は、一面で第1軸1001に沿って第1パターンワイヤ1021から離隔して配置されてよい。第4パターンワイヤ1024は、第1軸1001に沿って第2パターンワイヤ1022から離隔して配置されてよい。第1パターンワイヤ1021および第3パターンワイヤ1023は、直接あるいは他の追加のパターンワイヤを経由して容量性カップリングを形成してよい。第2パターンワイヤ1022および第4パターンワイヤ1024は、直接あるいは他の追加のパターンワイヤを経由して容量性カップリングを形成してよい。
図10では4つのパターンワイヤしか示されていないが、これに限定されてはならない。第1軸1001に沿ってn個のパターンワイヤが離隔して配置されてもよく、第2軸1002に沿ってm個のパターンワイヤが離隔して配置されてもよい。したがって、共振器アセンブリ1000は、n×m個のパターンワイヤを含んでよい。ここで、n、mは、1以上の定数であってよい。
【0084】
また、
図10には、給電線1010によって定義される領域内に単一閉ループワイヤ1030だけを示したが、これに限定されてはならない。共振器アセンブリ1000は、給電領域内に1つまたは複数の閉ループワイヤを含んでよく、各閉ループワイヤは、内部に1つまたは複数のパターンワイヤを含んでよい。
図10は、複数の閉ループワイヤ1131、1132、1133、1134それぞれが単一パターンワイヤを含む一例を示している。
【0085】
図11は、
図10に示した構造において、個別のパターンワイヤを囲む閉ループワイヤ1131、1132、1133、1134を含む構造の一例を示した図である。一実施形態によると、共振器アセンブリ1100は、給電線1110によって定義される給電領域内に複数の閉ループワイヤ1131、1132、1133、1134を含んでよい。複数の閉ループワイヤ1131、1132、1133、1134は、一面でパターンワイヤ1121および1つ以上の追加のパターンワイヤ1122、1123、1124それぞれを個別に囲んでよい。
【0086】
図10および
図11において、パターンワイヤおよび1つ以上の追加のパターンワイヤは、互いに同じ形態のパターンで配置されてよい。このとき、パターンワイヤおよび1つ以上の追加のパターンワイヤは、メタサーフェス(meta surface:MTS)を形成してよい。
【0087】
上述では四角形の給電領域について説明したが、これに限定されてはならない。
【0088】
図12は、円形の給電領域を有する共振器アセンブリ1200を示した図である。給電線1211、1212は、円形の給電領域の外郭に沿って配置されてよい。閉ループワイヤ1230は、給電領域の形態に合わせて円形で構成されてよい。パターンワイヤ1220は、円形の給電領域内に配置されてよい。このとき、パターンワイヤ1220の結合部分は、給電線1211、1212と閉ループワイヤ1230の形態に対して平行に離隔してよく、円周の一部となる形態で構成されてよい。
【0089】
図13は、一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの2ポートの例を示した図である。
【0090】
一実施形態に係る共振器アセンブリ1310は、2ポートで実現されてよい。例えば、第1給電線は一面に配置され、両端に他の素子と連結するポートを含んでよい。第2給電線は、一面で第1給電線から離隔して配置され、両端に他の素子と連結するポートを含んでよい。給電領域は、第1給電線と第2給電線の間の領域であってよい。
【0091】
一実施形態に係るバイオセンサ1300は、2ポートで実現された共振器アセンブリ1310を利用して生体データをセンシングしてよい。
【0092】
測定部1330は、共振器アセンブリ1310に周波数をもつ信号を印加しながら、共振器アセンブリ1310の周波数応答特性を測定してよい。例えば、測定部1330は、発振周波数を調節することが可能な発振回路および共振器アセンブリ1310に入力/出力される電圧、電流、電力、および信号波形などを検出する信号検出回路を含んでよい。ただし、測定部1330の回路構成が上述したものに限定されてはならず、設計によって異なってよい。
【0093】
一実施形態によると、バイオセンサ1300の測定部1330は、共振器アセンブリ1310に印加される電力の周波数をスイープ(sweep)してよい。測定部1330は、予め決定された対象周波数範囲(target frequencyrange)内で周波数を変更することにより、電力の周波数をスイープしてよい。測定部1330は、対象周波数範囲の下限(lower limit)から上限(upper limit)まで電力周波数を順に増加させるか、対象周波数範囲の上限から下限まで電力周波数を順に減少させてよい。被分析物が血糖である場合、対象周波数範囲は、例えば、2.54GHzを含む範囲として2~3.6GHzまでの範囲であってよい。ただし、これに限定されてはならず、5.8GHzを含む範囲であってもよい。対象周波数範囲は、被分析物の種類によって異なるように設定されてよい。ただし、これは一例に過ぎず、周波数スイープがこれに限定されてはならず、多様な方式が使用されてよい。
【0094】
バイオセンサ1300の測定部1330は、共振器アセンブリ1310に印加される電力の周波数がスイープされる間に、共振器アセンブリ1310の周波数特性と関連する情報(例えば、周波数応答特性および共振周波数など)を測定してよい。例えば、測定部1330は、電圧センサであって、共振器アセンブリ1310の第1ポートに入力/出力される電圧(V
1
+、V
1
-)および第2ポートに入力/出力される電圧(V
2
+、V
2
-)を測定してよい。バイオセンサ1300のプロセッサ(図示せず)は、第1ポートおよび第2ポートに入力/出力される電圧に基づいて散乱パラメータを決定してよい。プロセッサ(図示せず)は、周波数がスイープされる間に散乱パラメータを収集し、収集した散乱パラメータに基づいて共振器アセンブリ1310の共振周波数を決定してよい。散乱パラメータは、例えば、1番ポートに入力された電圧および出力された電圧の比を示すS
11パラメータ、および1番ポートに入力された電圧および2番ポートから出力された電圧の比を示すS
21パラメータなどを含んでよい。散乱パラメータに対応する応答特性については、
図15および
図16を参照しながら説明する。
【0095】
上述したように、血管1394の血液に含まれた被分析物1393の濃度により、皮下層1392で共振器アセンブリ1310と関連する比誘電率に変化が起こる。したがって、バイオセンサ1300は、散乱パラメータに基づいて共振周波数を決定することにより、被分析物の濃度を推定することができる。ただし、これに限定されてはならず、バイオセンサ1300は、周波数がスイープされる間に生体データとして散乱パラメータだけを収集し、収集した散乱パラメータを外部装置に送信してもよい。このとき、外部装置は、受信した散乱パラメータに基づいて共振周波数を決定し、共振周波数に対応する被分析物の濃度を決定してよい。
【0096】
図14は、一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの1ポートの一例を示した図である。
【0097】
一実施形態に係る共振器アセンブリ1410は、1ポートで実現されてよい。例えば、共振器アセンブリ1410の少なくとも1つの給電線は、電力を受信するポートを含む単一給電線で構成されてよい。このとき、給電領域は、単一給電線によって囲まれる領域であってよい。
【0098】
プロセッサは、測定部1430から共振器アセンブリ1410に印加される電力の周波数がスイープされる間に、測定部1430が1ポートで実現された共振器アセンブリ1410に対して第1ポートに入力/出力される電圧を測定してよい。プロセッサは、1ポートに入力/出力される電圧に基づいてS11パラメータを算出してよい。プロセッサは、測定部1430から、周波数がスイープされる間にS11パラメータに対応する周波数応答特性を取得してよい。プロセッサは、周波数応答特性に基づいて共振器アセンブリ1410の共振周波数を決定してよい。バイオセンサ1400は、散乱パラメータ、散乱パラメータに対応する周波数応答特性、共振周波数、共振周波数に対応する被分析物濃度のうちの少なくとも1つを生体データとして外部装置に出力してよい。
【0099】
図15~17は、一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの散乱パラメータと対象被分析物濃度の関係を説明するための図である。
【0100】
図15は、各比誘電率のS
11パラメータの周波数応答特性曲線1500を示した図である。周波数応答特性曲線1500の縦軸は反射損失であって単位はdBであり、横軸は周波数であって単位はGHzである。周波数応答特性曲線1500で反射損失(return loss)が最小となる周波数が共振周波数であってよい。例えば、バイオセンサが散乱パラメータのうちのS
11パラメータをモニタリングする場合、バイオセンサは、対象周波数範囲内でS
11パラメータが最小である周波数を検索し、検索した周波数を共振周波数として決定してよい。
【0101】
図16は、S
21パラメータの周波数応答特性1600を示した図である。周波数応答特性1600において、縦軸は散乱パラメータの強度(magnitude)であって単位はdBであり、横軸は周波数であって単位はGHzである。周波数応答特性1600では、最大強度を示す周波数が共振周波数となってよい。例えば、バイオセンサが散乱パラメータのうちのS
21パラメータをモニタリングする場合、バイオセンサは、対象周波数範囲内でS
21パラメータが最大である周波数を検索し、検索された周波数を共振周波数として決定してよい。
【0102】
図17は、比誘電率の変化による共振周波数の変化を示したグラフ1700である。グラフ1700において、縦軸はS
11パラメータであって単位はdBであり、横軸は周波数であって単位はGHzである。グラフ1700は、各血糖値の周波数の変化によるS
11パラメータの曲線を含んでよい。血糖値が100mg/dL、150mg/dL、200mg/dL、および300mg/dLに増加するほど、S
11パラメータが最小値である共振周波数が増加する様子が示されている。各血糖濃度には、共振アセンブリの共振周波数が予め算出されてマッピングされてよい。血糖濃度と共振周波数の関係は、マッピングテーブル(例えば、ルックアップテーブル(lookup table:LUT))に記録されてよい。バイオセンサは、共振周波数に対応する被分析物濃度をルックアップテーブルから決定してもよい。
【0103】
図18は、一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサの概略的な構成を示したブロック図である。
【0104】
一実施形態に係る電磁波を利用したバイオセンサ1800は、共振器アセンブリ1810、プロセッサ1820、電力供給部1830、通信部1840、および測定部1850を含んでよい。
【0105】
共振器アセンブリ1810は、給電領域の外郭に沿って配置され、給電領域に電力をフィーディングすることが可能な少なくとも1つの給電線、および給電領域内にパターンに沿って配置され、容量性カップリングによって給電線から電力を受信することが可能なパターンワイヤを含んでよい。共振器アセンブリ1810については、
図2~12を参照しながら説明したとおりであるため、詳しい説明は省略する。
【0106】
プロセッサ1820は、共振器アセンブリ1810に供給される電力の周波数がスイープ(sweep)される間に、共振器アセンブリ1810の周辺に存在する対象被分析物の濃度に対応する生体データとして、共振器アセンブリ1810の共振周波数と関連するパラメータを取得してよい。例えば、プロセッサ1820は、測定部1850によって共振器アセンブリ1810に供給される信号の周波数が対象周波数の範囲内でスイープされる間に、個別の周波数に対して散乱パラメータを収集してよい。プロセッサ1820は、収集した散乱パラメータに基づいて共振周波数を決定してよい。プロセッサ1820は、共振周波数から被分析物の濃度を決定してよい。
【0107】
電力供給部1830は、プロセッサ1820、通信部1840、および測定部1850に電力を供給してよい。電力供給部1830は、外部装置から無線で電力を受信し、バイオセンサ1800内の各素子に電力を供給してもよい。電力供給部1830は、例えば、バッテリーを含んでよく、外部装置から受信した電力をバッテリーに充電してよい。電力供給部1830は、バッテリーに充電された電力を利用して、測定部1850を経て共振器アセンブリ1810などに電力を供給してもよい。
【0108】
通信部1840は、生体データを外部装置に送信し、外部装置から情報を受信してもよい。例えば、通信部1840は、外部装置との無線通信を樹立してよい。生体データは、散乱パラメータ、共振周波数、および被分析物の濃度のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0109】
測定部1850は、共振器アセンブリ1810に供給される信号の周波数を対象周波数の範囲内でスイープし、周波数がスイープされる間に共振器アセンブリ1810のパラメータと関連する情報を測定してよい。例えば、測定部1850は、共振器アセンブリ1810の電気的データ(electrical data)を測定してよい。測定部1850は、共振器アセンブリ1810のポートに対する電圧を測定する電圧センサを含んでよい。測定部1850は、プロセッサ1820の制御にしたがって周波数をスイープしてよく、例えば、プロセッサ1820によって決定されたスイープ周波数間隔で、対象周波数の範囲内でスイープされる周波数としての信号を共振器アセンブリ1810に提供してよい。ただし、これに限定されてはならず、測定部1850は、プロセッサ1820を備えずに、自主的な発振回路構造によって周波数をスイープしてもよい。
【0110】
図19は、一実施形態における、電磁波を利用したバイオセンサのアプリケーションの一例を示した図である。
【0111】
一実施形態に係る給電線1911、閉ループワイヤ1913、およびパターンワイヤ1912は、一面上に配置されてよい。一面上に配置された共振器アセンブリ1910は、曲面を囲むように構成されてよい。例えば、共振器アセンブリ1901が配置される一面は、円筒型支持部材(cylindrical support member)1940の側面(side)に沿って配置される曲面であってよい。
【0112】
円筒状共振器アセンブリ1900の断面A-A’は、断面
図1990のように示されてよい。断面
図1990を参照すると、円筒状支持部材1930によって共振器アセンブリ1910が支持されてよい。共振器アセンブリ1910の画面は、生体適合素材によってパッケージングされてよい。生体適合素材は、例えば、PMMA(Poly Methyl Methacrylate)素材であってよいが、これに限定されてはならない。円筒状支持部材1930の内部空間は、システムオンチップ(System On Chip)を収容してよい。システムオンチップ1920は、
図18を参照しながら説明したプロセッサ1820、電力供給部1830、通信部1840、および測定部1850が実現された単一チップを示してよい。ただし、これは一例に過ぎず、これに限定されてはならず、システムオンチップ1920は、プロセッサ1820、電力供給部1830、通信部1840、および測定部1850のうちの少なくとも1つが統合されて実現されたチップであってもよい。
【0113】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0114】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付される特許請求の範囲に属する。
【国際調査報告】