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特表2022-537891追跡システム視野を配置するシステムおよび方法
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  • 特表-追跡システム視野を配置するシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】追跡システム視野を配置するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220824BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20220824BHJP
   A61F 2/38 20060101ALI20220824BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20220824BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20220824BHJP
   A61F 2/44 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/10
A61F2/38
A61F2/46
G06F3/0346 422
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569221
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2020038657
(87)【国際公開番号】W WO2020257594
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/863,624
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520104329
【氏名又は名称】シンク サージカル,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ボニー,ダニエル,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ズハース,ジョエル
【テーマコード(参考)】
4C097
5B087
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097MM09
5B087AA07
5B087AA09
5B087BC32
(57)【要約】
【解決手段】
コンピュータ支援の外科手術用手順中に、光学追跡システムの視野(FOV)を配置するのを支援する方法およびシステムが提供される。当該方法は、ディスプレイ上に、可視光線検出器からのビューを表示する工程と、ディスプレイ上のオーバーレイとして、可視光線検出器からの表示されたビュー上に、2以上の光学追跡検出器のFOVの輪郭を生成する工程と、を含む。ユーザーは、その後、可視光線検出器からの前記表示されたビューと生成された輪郭とに基づいて、a)2以上の光学追跡検出器、または、b)追跡されたオブジェクト、の少なくとも1つを配置する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援の外科手術用手順中に、光学追跡システムの視野(FOV)を配置するための方法であって、前記方法は、
ディスプレイ上に、可視光線検出器からのビューを表示する工程と、
前記ディスプレイ上のオーバーレイとして、前記可視光線検出器からの表示されたビュー上に、2以上の光学追跡検出器のFOVの輪郭を生成する工程と、
前記可視光線検出器からの前記表示されたビューと生成された輪郭とに基づいて、a)前記2以上の光学追跡検出器、または、b)追跡されるオブジェクト、の少なくとも1つを配置する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記光学追跡システムは、外科手術用ランプまたは外科手術用スタンドに取り付けられているか、またはその内部に一体化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2以上の光学追跡検出器は、追跡されるオブジェクトに取り付けられた、または追跡されるオブジェクトと一体化された、基準マーカーのセットから放射された、または反射された、赤外線を検出するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可視光線検出器は、前記2以上の光学追跡検出器に対する位置に固定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイ上のオーバーレイとしての輪郭は、境界された幾何学的形状、半透明のシェードがかかった領域、または斜線パターンで塗り潰された領域の形態である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ディスプレイ上のオーバーレイとして、前記可視光線検出器からの表示されたビュー上に、前記2以上の光学追跡検出器の前記FOVの中心を示すマーキングを生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マーキングは十字線である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1以上の追加的輪郭を生成する工程であって、前記追加的輪郭の各々は、前記FOV中の固有の追跡されるオブジェクトに対応する、工程、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2以上の光学追跡検出器に対する、追跡されるオブジェクトの距離に基づいて、前記2以上の光学追跡検出器の前記FOVの変化を反射するために、前記1以上の追加的輪郭を自動的に更新する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記自動的に更新する工程は、追跡コンピュータまたはデバイスコンピュータによって実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上の追加的輪郭の各々は、前記1以上の追加的輪郭を互いから区別するために、異なるしるしまたはカラーコードを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上の追加的輪郭の各々は、前記1以上の追加的輪郭を互いから区別するために、前記固有の追跡されるオブジェクトに一致するラベルを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記可視光線検出器からの前記FOV中の固有の追跡されるオブジェクトに取り付けられた追跡アレイ上に、実際のマーカーの仮想の輪郭または指示表示を生成する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記2以上の光学追跡検出器は、電荷結合素子(CCD)カメラ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、光学スキャナ、または他の光感知デバイス、の少なくとも1つであり、前記2以上の光学追跡検出器は、フィルタ、または内蔵ソフトウェアによって、赤外線を検出するように調整されている、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記赤外線は、700ナノメートルから1ミリメートルの間のいずれかの波長領域を有する電磁放射を指し、可視光線は、380ナノメートルから740ナノメートルの間のいずれかの波長領域を有する電磁放射を指す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータ支援の外科手術用システムであって、前記システムは、
可視光線検出器と2以上の光学追跡検出器とを備える追跡システムと、
ソフトウェアを実行する1以上のプロセッサであって、ここで、前記1以上のプロセッサは、基準マーカーのセットの位置を追跡する追跡システムと、またはその一部と、通信している、1以上のプロセッサと、
前記可視光線検出器からのビューを表示するためのディスプレイであって、ここで、前記ソフトウェアは、プロセッサによって実行される時、プロセッサに、前記2以上の光学追跡検出器のFOVの前記ディスプレイ上のオーバーレイとして、前記可視光線検出器からの前記表示されたビュー上に、輪郭を生成させる、ディスプレイと、を含む、システム。
【請求項17】
前記光学追跡システムは、外科手術用ランプまたは外科手術用スタンドに取り付けられているか、またはその内部に一体化されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記2以上の光学追跡検出器は、追跡されるオブジェクトに取り付けられた基準マーカーのセットから放射された、または反射された、赤外線を検出するように構成される、請求項16~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
追跡されるハンドヘルド外科手術用デバイス、または外科手術用ロボットの追跡されるエンドエフェクタをさらに含む、請求項16~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ソフトウェアは、プロセッサによって実行される時、プロセッサに、前記2以上の光学追跡検出器の前記FOVの中心を示す前記ディスプレイ上のオーバーレイとして、前記可視光線検出器からの前記表示されたビュー上に、マーキングを生成させる、請求項16~17のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年6月19日に出願された、米国仮特許出願第62/863,624号の優先権利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に光学追跡システムに関し、そしてより具体的には、コンピュータ支援外科手術用手順中に、ユーザーが光学追跡システムの視野を配置するのを支援するための、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ支援の外科手術は、全関節形成術(TJA)、骨折修復、顎顔面再建、および脊椎再建に応用できる拡大分野である。現在の当分野のコンピュータ支援の整形外科手術用システムとしては、RIO(登録商標)、ロボティックアームインタラクティブ整形外科システム(Robotic Arm Interactive Orthopedic System)(Stryker-Mako,Kalamazoo,MI)、Navio(商標)外科手術用システム(Smith&Nephew,London,United Kingdom)、およびROSA(登録商標)、ロボティックシステム(Zimmer-Biomet,Warsaw,IN)が挙げられる。各システムは、ロボットティックデバイスと光学追跡システムとを利用して、骨が計画された位置および配向(POSE)でインプラントを受け入れる準備を支援する。光学追跡システムは、患者の生体構造に対するロボティックデバイスの位置を追跡することによって、骨が計画された通りに確実に準備されるようにする。光学追跡システムは、多くのコンピュータ支援の外科手術用システムにとってのキーとなるコンポーネントであり、そして手術室(OR)で広く使用されている。
【0004】
図1を参照すると、先行技術の、光学追跡システム(12)を備えるコンピュータ支援の外科手術用システム(10)の具体例は、手術室の状況において示される。コンピュータ支援の外科手術用システム(10)は、光学追跡システム(12)、追跡されるハンドヘルド外科手術用デバイス(14)、およびディスプレイ(16)を含む。ハンドヘルド外科手術用デバイス(14)は、本出願の譲受人に譲渡され、かつ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2018/0344409号にさらに記載されている通り、膝関節全置換術(TKA)手順中に、1以上の平面的骨切除を行うのを支援するための、2つの自由度で作動されるエンドエフェクタ(15)を含む。ディスプレイ(16)は、ワークフロー指示、プロンプト、患者情報、デバイスデータなどの、外科手術用手順に対する情報を表示し、そして、以下に説明されるように、光学追跡システム(12)の視野をさらに一時的に表示してもよい。
【0005】
光学追跡システム(12)は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,601,644号にさらに説明される通り、2以上の光学検出器(18a、18b)(例えば光学カメラ)と、光学検出器(18a、18b)の視野(FOV)中のオブジェクトの位置および配向(POSE)を追跡するための1以上のプロセッサとを含む。光学検出器(18a、18b)は、最適なビューアングルのために、外科手術用ランプ(22)の外部に取り付けられていてもよく、またはその内部に一体化されていてもよい。一般に、光学検出器(18a、18b)は、剛体上に配置された、または追跡されるデバイス上に直接一体化された、3以上の基準マーカー(例えばアクティブ発光ダイオード(LED)、逆反射球体)から放射された、または反射された、光を検出する。剛体上に配置された基準マーカーは、集合的に追跡アレイ(20a、20b、20c)と呼ばれ、各追跡アレイ(20)は、追跡システム(12)が追跡されている異なるオブジェクト間で区別がつくように、基準マーカーの固有の配置または固有の送信波長/周波数を有する。基準マーカーを背景オブジェクトから区別するために、光学検出器(18a、18b)は、フィルタまたは他のメカニズムによってのみ、赤外線を検出するように構成されている。基準マーカーは、同様に、赤外線を反射するか、または放射する。これにより、プロセッサは、可視光の干渉無しに、各基準マーカーの位置をピンポイントで特定し、そして三角法で測定することができる。
【0006】
図1に示されるように、脛骨(T)、大腿骨(F)、およびハンドヘルド外科手術用デバイス(14)は、脛骨(T)にアセンブルされた第1の追跡アレイ(20a)、大腿骨(F)にアセンブルされた第2の追跡アレイ(20b)、およびハンドヘルド外科手術用デバイス(14)と一体化された第3の追跡アレイ(20c)を介して追跡される。外科手術用手順中にこれらのオブジェクト(例えば、大腿骨(F)、脛骨(T)、外科手術用デバイス(14))の各々を正確に追跡するためには、各追跡アレイ(20)上の少なくとも3つの基準マーカーが、光学検出器(18a、18b)のFOV内にあることが不可欠である。ユーザーが光学検出器(18a、18b)を配置するのを支援するために、光学検出器(18a、18b)からのビューは、ユーザーが光学検出器(18a、18b)の位置を調節している間、ディスプレイ(16)上に表示されていてもよい。しかし、光学検出器(18a、18b)が赤外線のみを検出するように調整されているので、基準マーカーは、図1に示される通りの、ディスプレイ(16)上に見える唯一のものであり、ここで各黒色ドット(24)は、基準マーカーを表わし、そして、黒色ドットの各クラスターは、追跡アレイ(20a、20b、20c)を表わす。この限定的な情報では、ユーザーにとって、光学検出器(18a、18b)を正しい場所に向けることは困難となり得る。加えて、FOV中にあるはずの他の関連アイテム(例えば患者、外科手術部位)が存在し、それらは赤外線スペクトルにおいては可視的でなく、かつ、外科手術用手順中の、追跡されるオブジェクトのその後の位置に関連し得る。
【0007】
従って、コンピュータ支援の外科手術用手順中に、ユーザーが光学追跡システムのFOVを最適化するのを支援するシステムおよび方法が必要であり、当該システムおよび方法で、赤外線光学追跡システムには見えない、ORにおける追加的な関連アイテムを把握する。
【発明の概要】
【0008】
コンピュータ支援の外科手術用手順中に、光学追跡システムの視野(FOV)を配置するのを支援する方法が、提供される。方法は、ディスプレイ上に、可視光線検出器からのビューを表示する工程と、ディスプレイ上のオーバーレイとして、可視光線検出器からの表示されたビュー上に、2以上の光学追跡検出器のFOVの輪郭を生成する工程と、を含む。ユーザーは、その後、可視光線検出器からの前記表示されたビューと生成された輪郭とに基づいて、a)2以上の光学追跡検出器、または、b)追跡されるオブジェクト、の少なくとも1つを配置する。
【0009】
コンピュータ支援の外科手術用システムが提供される。システムは、可視光線検出器と2以上の光学追跡検出器とを備える追跡システム、1以上のプロセッサ、およびディスプレイを含む。1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行し、そして、基準マーカーのセットの位置を追跡する追跡システムと、またはその一部と、通信している。ディスプレイは、可視光線検出器からのビューを表示するために使用され、ここで、ソフトウェアは、プロセッサによって実行される時、プロセッサに、2以上の光学追跡検出器のFOVのディスプレイ上のオーバーレイとして、可視光線検出器からの表示されたビュー上に、輪郭を生成させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の図面を参照してさらに詳述されるが、それらの図面は、本発明の特定の態様を示すように意図されてはいるが、本発明の実践に対する限定として解釈されるべきではない。
図1】手術室の状況において示される、先行技術の、光学追跡システムを有するコンピュータ支援の外科手術用システムの例である。
図2A】本発明の実施形態に係る、外科手術用ランプに取り付けられた光学追跡システムを示す。
図2B】本発明の実施形態に係る、スタンドに取り付けられた光学追跡システムを示す。
図3A】本発明の実施形態に係る、外科手術用ランプに配置された可視光線検出器からのビューを表示しているディスプレイを示す。
図3B】本発明の実施形態に係る、光学検出器からの追跡されるオブジェクトの距離に基づいて変化する、光学追跡検出器FOVのサイズの可変的変化を表示している、図3Aのディスプレイを示す。
図4】本発明の実施形態に係る、図2Aの光学追跡システムと使用するための、ハンドヘルド外科手術用デバイスを備える手術室(OR)の状況における、外科手術用システムを示す。
図5】本発明の実施形態に係る、図2Bの新規の光学追跡システムと使用するための、外科手術用ロボットを備える手術室(OR)の状況における、外科手術用システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、コンピュータ支援の外科手術用手順中に、ユーザーが光学追跡システムの視野(FOV)を最適化するのを支援するシステムおよび方法としての実用性を有する。本発明は、ここで、以下の実施形態を参照して説明されるだろう。これらの説明によって明らかなように、本発明は、異なる形態で具現化することができ、そして、本明細書に説明される実施形態に限定的であると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全となるように、そして本発明の範囲を当業者に十分に伝えように、提供される。例えば、一実施形態に関して示される特徴を他の実施形態に組み込むことができ、そして、ある特定の実施形態に関して示される特徴をその実施形態から削除することもできる。加えて、本明細書で示唆される実施形態に対する多数の変形と追加は、本開示に照らして当業者に明らかになり、それは本発明から逸脱しない。従って、以下の明細書は、本発明のいくつかの具体的な実施形態を示し、そしてその全ての順列、組み合わせ、および変形を徹底的に特定することはないと、意図される。
【0012】
さらに、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、コンピュータ支援の整形外科手術用手順に言及するが、当該システムおよび方法が他の医療用および非医療用用途に適用され得ることが認識されるべきである。しかし、外科手術用の設定は、手術室(OR)のスペースが限られているため(光学検出器を配置する際のエラーの余地がより少ないため)、そして、コンピュータ支援の外科手術に必要な臨床的かつ技術的考察によって、本発明にとっては特に適切である。
【0013】
本明細書で言及されている公開、特許出願、特許、および他の参照は、すべて、参照によってその全体が組み込まれる。
【0014】
値の範囲が提供される場合には、その範囲は、範囲の終点値だけでなく、その範囲内に明示的に含まれ、かつその範囲の最後の有効数字によって変化する、範囲の中間値をも包含することが意図されていることを理解されたい。例として、1から4の記載された範囲は、1-2、1-3、2-4、3-4、および1-4を含むことが意図されている。
【0015】
特に定義されていないないかぎり、本明細書に使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。本発明の説明において本明細書で使用される術語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を制限することを意図されてはいない。
【0016】
明示的または文脈による別段の示唆が無い限り、以下の用語が下に説明されているように本明細書で使用される。
【0017】
本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用される時、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数形も含むことが意図されている。
【0018】
また、本明細書で使用される時、「および/または(and/or)」は、関連する列挙された項目の1以上のいずれか、および全ての可能な組み合わせ、ならびに代替の(「または(or)」)で解釈される時のそれらの組み合わせの欠如を指し、かつ包含する。
【0019】
本明細書で使用される時、「リアルタイム(real-time)」という用語は、計算値が計算開始の2秒以内に利用可能になるように、数ミリ秒以内に入力データを処理することを指す。
【0020】
本明細書で使用される時、「デジタイザ(digitizer)」という用語は、三次元空間における物理的座標を計測することができる測定デバイスを指す。例えば、「デジタイザ」は、米国特許第6,033,415号に記載されている、高解像度の電子機械式センサアームなどの、パッシブリンクやジョイントを有する「機械式デジタイザ」、例えば米国特許第7,043,961号に記載されている通りの、非機械的に追跡されるデジタイザプローブ(例えば、光学的に追跡される、電磁的に追跡される、音響的に追跡される、およびそれらの同等物)、または、ロボット用デバイスのエンドエフェクタ、であってもよい。
【0021】
本明細書で使用される時、「ディジタル化(digitizing)」という用語は、デジタイザを使用して空間内の物理的ポイントを収集、測定、および/または記録することを指す。
【0022】
また、「コンピュータ支援の外科手術用システム」が本明細書に記載される。コンピュータ支援の外科手術用システムは、コンピュータが外科手術用手順を支援すること必要とする任意のシステムを指す。コンピュータ支援の外科手術用システムの例としては、米国特許第5,086,401号、7,206,626号、8,876,830号、8,961,536号、および9,707,043号、そしてPCT公開WO2017/058620に記載されている通りの、1-N自由度ハンドヘルド外科手術用システム、追跡システム、追跡されるパッシブ機器、アクティブまたはセミアクティブハンドヘルド外科手術用デバイスおよびシステム、自律型直列連鎖マニピュレータシステム、触覚直列連鎖マニピュレータシステム、並列ロボティックシステム、またはマスター-スレーブロボティックシステムが挙げられる。ロボットティック外科手術用システムは、アクティブ/自動制御、セミアクティブ/半自動制御、触覚制御、電力制御、またはそれらの任意の組み合わせを提供してもよい。特定の外科手術用システムの例は、図4図5とを参照して、下に説明される。
【0023】
また、外科手術用計画が、本明細書で参照される。文脈上、外科手術用計画は、術前または術中のいずれかで、立案ソフトウェアを使用するユーザーによって作成される。立案ソフトウェアは、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、X線、超音波画像データセットから、または術中に骨上に集められたポイントのセットから、患者の骨の生体構造の三次元(3-D)モデルを生成するために使用されてもよい。メーカーのプロテーゼの3Dコンピュータ支援設計(CAD)モデルのセットがソフトウェアに事前ロードされており、これによって、ユーザーは所望のプロテーゼのコンポーネントを骨生体構造の3Dモデルに配置して、骨に対するインプラントの、最適にフィットする位置および配向を指定することができる。
【0024】
また、用語「光学通信」が本明細書で使用され、当該用語は、本出願の譲受人に譲渡され、かつ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,507,063号に記載されている通りの、赤外線または可視光線を介した無線データ転送を指す。
【0025】
ここで図面を参照すると、図2A図2Bとは、ユーザーが光学追跡システム(30A、30B)のFOVを最適化するのを支援するための、新規の光学追跡システム(30A、30B)の実施形態を示し、ここで、図2Aは、外科手術用ランプ(22)に取り付けられた新規の光学追跡システム(30A)を示し、そして、図2Bは、スタンド(33)に取り付けられた新規の光学追跡システム(30B)を示す。新規の光学追跡システム(30A、30B)の実施形態は、2以上の光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)(図2Aでは4つの検出器が示され、そして図2Bでは2つの検出器が示される)、少なくとも1つの可視光線検出器(32)、および1以上の追跡コンピュータ(34)を含む。光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)は、追跡されるオブジェクトに取り付けられた基準マーカーから放射された、または反射された、赤外線を検出するように構成される。光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)は、CCDカメラ、CMOSカメラ、光学スキャナ、または、フィルタ、内臓ソフトウェア、あるいは当技術分野で既知の他の技術によって赤外線を検出するように調整された他の光感知デバイスであってもよい。可視光線検出器(32)は、以下にさらに説明されるように、可視光線検出器(32)のFOVが光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)のFOVを超過することができるように、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)に対する位置に固定される。可視光線検出器(32)は、電荷結合素子(CCD)カメラ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、または可視光線を検出する他の光感知デバイスであってもよい。本明細書で使用される時、赤外線は、700ナノメートル~1ミリメートルの間のいずれかの波長領域を有する電磁放射を指し、そして、可視光線は、380ナノメートルから740ナノメートルの間のいずれかの波長領域を有する電磁放射を指す。1以上の追跡コンピュータ(34)は、ハードウェア(例えばプロセッサ、不揮発性メモリ、および/またはコントローラ)と、基準マーカーのPOSE、追跡アレイ、および/または3D空間でオブジェクトを検出するためのソフトウェアとを含む。2以上の光学検出器とプロセッサとでオブジェクトを追跡する方法は、米国特許第6,601,644号に記載される追跡システムなど、当技術分野で既知である。
【0026】
ユーザーが新規の光学追跡システム(30A、30B)の実施形態のFOVを最適化するのを支援する方法は、ここで、図3A図3Bの補助によって説明されるだろう。図3Aは、可視光線検出器(32)からのビューを表示するディスプレイ(16)を示す。ここで、可視光線検出器(32)は、可視光線検出器を備える手術台の上の外科手術用ランプ(22)に配置され、そこの外科手術用デバイス(14)、脛骨(T)、および大腿骨(F)を捕捉している。制御ソフトウェアを実行する1以上のプロセッサまたはコンピュータ(例えば、図4または図5に関連して説明されている通りの、追跡コンピュータ(34)あるいはデバイスコンピュータ)は、ディスプレイ(16)に、光学追跡検出器FOVの輪郭(36)を、可視光線検出器(32)からの表示されたビュー上に重ねさせる。光学追跡検出器FOVの輪郭(36)は、境界された幾何学的形状(例えば長方形、円形、楕円形)形態であるかもしれず、半透明のシェードがかかった領域であるかもしれず、斜線パターンで塗り潰されている境界された領域であるかもしれず、または光学追跡検出器FOVを示すことができる他の形態であるかもしれない。1以上のプロセッサは、さらに、ディスプレイ(16)に、光学追跡検出器FOVの中心を示すマーキング(37)を重ねさせてもよい。マーキング(37)は、可視光線検出器(32)からの表示されたビュー上に重ねられた、十字線、ダイヤモンド、円、または他の幾何学的形状の形態をしていてもよい。光学追跡検出器FOVが確実に、可視光線検出器(32)からの表示されたビュー上に正確に描かれるように、当技術分野で知られている較正技術を外科手術用手順に先立って実行してもよい。システムの正確さを維持するために、可視光線検出器(32)と光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置は、互いと関連して固定されてもよい。ORでは、ユーザーが光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置を調節すると、表示された輪郭(36)は光学追跡検出器FOVを反射する。これにより、ユーザーは、光学追跡検出器FOVの位置を最適化することができ、そして光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)に見えていない、ORにおける追加的オブジェクト(例えば、外科手術部位、患者)を把握することができるようになる。
【0027】
新規の光学追跡システム(30A、30B)の実施形態を使用する方法は、以下の工程を含んでもよい。光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)と可視光線検出器(32)とは、第1の位置に配置され、手術室の1以上の追跡されるオブジェクトを可視化する。1以上のプロセッサは、ディスプレイに、可視光線検出器(32)からのビューを、光学追跡検出器FOVの輪郭(36)と共に出力させる。表示された輪郭(36)は、ユーザーが2以上の光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置を調節すると、光学追跡検出器FOVを反射する。これにより、ユーザーが、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置を決定するのを支援し、それによって、光学追跡検出器FOVの位置が最適化される。外科手術用手順は、最適化された位置にある光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)から始まる。外科手術用手順中のいずれの時点でも、ユーザーは、表示された輪郭(36)を使用して光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置を再調節して、光学追跡検出器FOVを再配置してもよい。
【0028】
別の実施形態では、ユーザーは、任意の追跡されるオブジェクトの位置を、2以上の光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置に対して調節してもよい。2以上の光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置が変わらない状態で、ユーザーは、表示された輪郭(36)を使用して、1以上の追跡されるオブジェクト(例えば追跡される外科手術用デバイス、追跡される骨)を、表示された輪郭(36)に対して、動かすか、あるいは配置してもよい。さらなる実施形態では、ユーザーは、表示された輪郭(36)をガイドとして使用して、2以上の光学検出器の位置と任意の追跡されるオブジェクトとの両方を調節して、それらの位置を互いに対して最適化してもよい。
【0029】
図3Bを参照すると、新規の光学追跡システム(30A、30B)は、光学検出器(18a、18b、18c、18d)からの追跡されるオブジェクトの距離に基づいて変化する光学追跡検出器FOVのサイズの可変的変化を、さらに把握してもよい。光学追跡システム(立体鏡または多重検出器)を使用する時、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)のFOVは、対象の追跡されるオブジェクトが光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)からどのくらい遠くに離れているかに応じて、面内のサイズを変化させてもよい。例えば、光学追跡検出器FOVは、光学検出器(18a、18b、18c、18d)からより遠い追跡されるオブジェクトと比較して、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)により近い追跡されるオブジェクトに対して、さらに大きくてもよい。サイズのこの変化は、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)が、追跡されている異なるオブジェクト間で前後に焦点合わせを行う結果であるかもしれない。サイズのこの可変的変化を把握するために、新規の光学追跡システム(30A、30B)は、以下の1以上を実行してもよい。本発明のある具体的な実施形態では、光学追跡検出器FOVの単一の輪郭(36)がディスプレイ(16)上に表示され、ここで、単一の輪郭(36)は、光学追跡検出器FOVを、光学検出器(18)に最も近い追跡されるオブジェクトに対して反射する。光学追跡システム(30A、30B)は、最も近い追跡されるオブジェクトの位置/深度を知っており、従って、それに基づいて単一の輪郭(36)を調節してもよい。本発明の別の実施形態では、複数の輪郭(36、38)がディスプレイ(16)上に表示されてもよく、ここで、各輪郭(36、38)は、光学追跡検出器FOVを、追跡されるオブジェクトの各々に対して反射する。例えば、図3Bを参照すると、第1の輪郭(36)は、光学追跡検出器FOVを、追跡される外科手術用デバイス(14)に対して反射してもよく、その間、第2の輪郭(38)は、光学追跡検出器FOVを、大腿骨(F)と脛骨(T)とに対して反射する。従って、各輪郭(36、38)は、光学追跡検出器FOV中の別の追跡されるオブジェクトの深度に対応する。各輪郭(36、38)は、該輪郭(36、38)を互いから区別するために、異なるしるし(例えば色またはパターン)を有してもよい。さらに、各輪郭(36、38)は、追跡されるオブジェクト、またはその追跡されるオブジェクトに関連する追跡アレイと一致するしるし、またはラベルを有してもよい。例えば、第1の輪郭(36)は、外科手術用デバイス(14)と一体化された青色の追跡アレイと一致する、青色であってもよい。第2の輪郭(38)は、大腿骨(F)などに取り付けられた黄色の追跡アレイと一致する、黄色であってもよい。
【0030】
別の問題が、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)を配置する間に生じるかもしれない。追跡アレイ上の実際のマーカーは、可視光線検出器からの表示されたビュー上に可視化することがより困難であるかもしれないと、考えられる。従って、本発明の特定の実施形態では、実際のマーカーの仮想の輪郭または指示表示は、可視光線検出器からのビュー中に表示されてもよい。例えば、図1に示されるようなマーカーの位置は、可視光線検出器(32)からのビュー上に重ねられてもよい。このことは、ユーザーに、可視光線検出器(32)のFOV中にマーカーの正確なビューを提供する。実際のマーカーの仮想の輪郭または指示表示は、光学追跡検出器のFOVの1以上の輪郭(36、38)の表示と併せて、または併されずに、表示されてもよい。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、図2A図2Bを再び参照すると、新規の光学追跡システム(30A、30B)は、少なくとも1つの運動検出デバイス(39)をさらに含んでもよい。運動検出デバイス(39)は、2以上の光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の任意の動きを検出するように構成される。運動検出デバイス(39)は、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の稼働および非稼働時に、制御ソフトウェアに対してシグナル伝達を行うようにさらに構成されており、その結果、制御ソフトウェアはそれに応じて、ディスプレイに、調節モードおよび非調節モードを自動的に開始させたり終了させたりすることができる。例えば、(例えば、ユーザーが光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の位置を調節しているために)光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)の動きを検出する運動検出デバイス(39)に応じて、制御ソフトウェアは、ディスプレイ(16)に、自動的に、可視光線カメラ(32)からのビューを表示して輪郭(36)のオーバーレイを生成させてもよい。このことは、ユーザーが光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)を配置するのを支援する(つまり調節モード)。一旦、運動検出デバイス(39)がもはや動きを感知しなくなると、制御ソフトウェアは調節モードを終了して、ディスプレイ(16)に、可視光線カメラ(32)および/または輪郭(36)からのビュー以外の何かを表示させてもよい。
【0032】
運動検出デバイス(39)は、例として、加速度計、ジャイロスコープ、慣性計測装置(IMU)、歪みゲージ、または第2の光学追跡システムであってもよい。運動検出デバイス(39)は、外科手術用ランプまたはスタンドに取り付けられていてもよく、またはそれらに一体化されていてもよく、あるいは光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)に取り付けられていてもよく、またはそれらに一体化されていてもよい。しかし、運動検出デバイス(39)のための他のいくつかの位置が存在してもよく、その位置は運動検出デバイス(39)が2以上の光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)のあらゆる運動を検出することを可能にするものであることが、認識されるべきである。運動検出デバイス(39)は、さらに、制御ソフトウェアを実行する1以上の先述のプロセッサまたはコンピュータと、有線通信または無線通信している。
【0033】
外科手術用システム
図4は、本明細書に記載される新規の光学追跡システム(30A)と使用するための、ハンドヘルド外科手術用デバイス(14)を備える手術室(OR)の状況における、外科手術用システム(100)を示す。図5は、本明細書に記載される新規の光学追跡システム(30B)と使用するための、外科手術用ロボット(202)を備える手術室(OR)の状況における、外科手術用システム(200)を示す。図4図5とに示されるシステムは、共通の要素が同一の参照番号を有する単一の議論で説明される。
【0034】
図4の外科手術用システム(100)は、本出願の譲受人に譲渡された、米国特許公開第2018/0344409号により詳細に記載される。2-DOF外科手術用システム(100)は、一般に、コンピューティングシステム(102)、追跡アレイ(20c)を備えるハンドヘルド連結型外科手術用デバイス(hand-held articulating surgical device)(14)、および光学追跡システム(30A)の本発明に関する実施形態を含む。外科手術用システム(100)は、整形外科手術に対して、ユーザーが正確に、骨上にピンを配置するのを、または骨上で切断を行うのを、導くことができ、かつ支援することができる。
【0035】
コンピューティングシステム(102)は、プロセッサを含むナビゲーションコンピュータ(108)と、プロセッサを含む立案コンピュータ(110)と、プロセッサを含む追跡コンピュータ(34)と、周辺デバイスと、を含んでもよい。プロセッサはコンピューティングシステム(102)で作動し、本発明のシステムおよび方法に関連した計算を実行する。プロセッサ機能は、コンピュータ(108)、(110)、(34)、またはそのサブセット、リモートサーバ、クラウドコンピューティング設備、またはその組み合わせ、の間で共有されてもよいことが認識される。
【0036】
本発明の具体的な実施形態では、ナビゲーションコンピュータ(108)は、1以上のプロセッサ、コントローラ、ソフトウェア、データ、および、RAM、ROMまたは他の不揮発性あるいは揮発性メモリなどのデータ記憶メディアを含んで、外科手術用手順に関係する機能を実行してもよい。これらの機能は、例として、外科手術用ワークフローの制御、ユーザーへのガイダンスの提供、術前計画の外科手術用データの解釈、および外科手術用デバイス(14)の操作の制御、の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、ナビゲーションコンピュータ(108)は光学追跡システム(30A)と直接通信しており、その結果、光学追跡システム(106)は視界(FOV)中の追跡可能なデバイスを識別してもよく、そして、ナビゲーションコンピュータ(108)は、それに応じて、追跡されるオブジェクト(例えば外科手術用デバイス(14)、大腿骨(F)、脛骨(T))のアイデンティティーとPOSEに基づいて、ワークフローを制御することができる、および/または、外科手術用デバイス(14)を制御することがでる。いくつかの実施形態では、ナビゲーションコンピュータ(108)は、ハンドヘルド外科手術用デバイス(14)のハンドヘルド部分に収容されて、外科手術用デバイス(14)に局所的制御を提供する。新規の光学追跡システム(30A)は、情報データ、追跡データ、および/または手術データを、ナビゲーションコンピュータ(108)に、有線接続または無線接続を介して伝達してもよい。無線接続は、本出願の譲受人に譲渡され、そして参照によって本明細書にその全体が組み込まれる、米国特許第10,507,063号に記載される通りの、可視光線通信を介するものであってもよい。さらに、ナビゲーションコンピュータ(108)と追跡コンピュータ(34)とは、示されるような別個の存在であってもよく、あるいは、それらの操作は、外科手術用システム(100)の構成に応じて、わずか1または2のコンピュータ上で実行されてもよいと考えられる。例えば、追跡コンピュータ(34)は、手術データを有して、ナビゲーションコンピュータ(108)を必要とすることなく、ワークフローを直接制御してもよい。あるいは、ナビゲーションコンピュータ(108)は手術データまたは制御ソフトウェアを含んで、光学追跡検出器(18a、18b、18c、18d)から検出されたデータを直接読んで、および/または、ディスプレイ(16)に可視光線検出器(32)からのビューを表示させて、追跡コンピュータ(34)を必要とすること無く、輪郭(36)を生成してもよい。
【0037】
周辺デバイスは、ユーザーが、外科手術用システム(100)と相互作用することを可能にし、ディスプレイまたはモニタ(16)などの、1以上のユーザーインタフェースを、キーボード(114)、マウス(122)、ペンデント(pendent)(124)、ジョイスティック(126)、フットペダル(128)、またはタッチスクリーン機能を有し得るモニタ(16)を例として含む、様々なユーザー入力メカニズムと、を含んでもよい。
【0038】
立案コンピュータ(110)は、好ましくは、術前または術中のいずれかで手順の立案に奉仕する。例えば、立案コンピュータ(110)は、ハードウェア(例えばプロセッサ、コントローラ、および不揮発性メモリ)、ソフトウェア、データ、および、医療用撮像データを受信しかつ読むことができ、撮像データを分割することができ、三次元(3D)の仮想モデルを構築かつ操作することができ、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルを保存かつ提供することができ、システム(100)で使用するための外科手術用計画データを生成することができ、そして他の様々な機能を提供することができるユーティリティを含んで、ユーザーが外科手術用手順を計画するのを補助してもよい。最終外科手術用計画データは、骨の画像データセット、骨登録データ、被験体識別情報、骨に対するインプラントのPOSE、骨に対して定義された1以上の標的面のPOSE、および任意の組織改変指示を含んでもよい。最終外科手術用計画は、ナビゲーションコンピュータ(108)および/または追跡コンピュータ(34)に、手術室(OR)中の有線通信または無線通信を通じて容易に伝送されるか、あるいは、立案コンピュータ(110)がORの外に位置する場合には、非一時的データ記憶メディア(例えばコンパクトディスク(CD)、ポータブルなユニバーサルシリアルバス(USBドライブ))を介して伝送される。
【0039】
外科手術用システム(100)は、上に記載されるような新規の光学追跡システム(30A)をさらに含む。新規の光学追跡システム(30A)は、ユーザーが光学追跡カメラ(18a、18b、18c、18d)のFOVの位置を最適化するのを支援して、外科手術用手順中にハンドヘルド外科手術用デバイス(14)、大腿骨(F)、および脛骨(T)を正確に追跡することを支援する。追跡システムコンピュータ(34)は、追跡ハードウェア、ソフトウェア、データ、および、局所的または広範な座標フレーム中で、オブジェクト(大腿骨(F)や脛骨(T)などの骨や、外科手術用デバイス(14))のPOSEを決定するユーティリティを含んでもよい。オブジェクトのPOSEは、本明細書ではPOSEデータまたは追跡データと呼ばれ、ここで、POSEデータはナビゲーションコンピュータ(108)に容易に伝達される。追跡システムコンピュータ(34)は、有線または無線で、ディスプレイモニタ(16)と通信しており、表示モニタ(16)に対して、図3A図3Bに示される通り、可視光線検出器(32)からの表示されたビュー上に、光学追跡検出器(18)のFOVのオーバーレイ(36)を表示させる。
【0040】
外科手術用システム(100)は、追跡されるデジタイザプローブ(130)をさらに含む。デジタイザプローブ(130)は、追跡されるデジタイザプローブ(130)に取り付けられているか、またはそれと一体化されている追跡アレイ(20d)を介して追跡される。追跡されるデジタイザプローブ(130)は、3D空間におけるポイントの収集、計測、または記録を補助する。ポイントの収集は、外科手術用計画通りの骨の登録を容易にするために使用されてもよい。
【0041】
ここで図5の外科手術用システム(200)を参照すると、ここでは同様の番号が付された態様は、前述の図に関してそれらの態様に帰する意味を有し、外科手術用ロボット(202)は、可動式のベース(208)、ベース(208)に接続されたマニピュレータアーム(210)、マニピュレータアーム(210)の遠位端(212)に位置するエンドエフェクタ(211)、およびエンドエフェクタ(211)の近位に配置され、エンドエフェクタ(211)上にかかる力を感知するための、力センサ(214)を含んでもよい。。ベース(208)は、ベース(208)を操作するためのホイールのセット(217)を含み、当該ホイールのセット(217)は、液圧ブレーキなどの制動機構を使用して位置に固定されてもよい。ベース(208)は、マニピュレータアーム(210)の高さを調節するためのアクチュエータをさらに含んでもよい。マニピュレータアーム(210)は、様々なジョイントやリンクを含んで、エンドエフェクタ(211)を様々な自由度で操作する。ジョイントは、例として、プリズム状、外巻き状、球状、またはそれらの組み合わせである。外科手術用ロボット(202)は、エンドエフェクタ(211)の位置を追跡するための、追跡アレイ(20c)をさらに含む。追跡アレイ(20c)は、エンドエフェクタ(211)に取り付けられて、エンドエフェクタ(211)を直接追跡してもよく、あるいは、外科手術用ロボット(202)のベース(208)またはリンクに位置してもよく、ここで、外科手術用ロボットの器械運動が追跡データと共に使用されてエンドエフェクタ(211)のPOSEを追跡する。
【0042】
コンピューティングシステム(204)は、一般に、立案コンピュータ(216)と、デバイスコンピュータ(218)と、追跡コンピュータ(34)と、周辺デバイスと、を含む。立案コンピュータ(216)、デバイスコンピュータ(218)、および追跡コンピュータ(34)は、外科手術用システムに従属する別個の存在、同様物の1つ、またはその組み合わせであってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、立案コンピュータ(216)の組み合わせ、デバイスコンピュータ(218)、および/または追跡コンピュータ(34)は、有線通信または無線通信を介して接続される。周辺デバイスは、ユーザーが外科手術用システムのコンポーネントに接続することを可能にし、そして、ディスプレイまたはモニタ(16)などの、1以上のユーザーインタフェースと、キーボード(114)、マウス(122)、ペンデント(pendent)(124)、ジョイスティック(126)、フットペダル(128)、または、いくつかの本発明に関係する実施形態ではタッチスクリーン機能能力を有するモニタ(16)などの、ユーザー入力機構と、を含んでもよい。
【0043】
立案コンピュータ(216)は、ハードウェア(例えばプロセッサ、コントローラ、および/またはメモリ)、ソフトウェア、データ、および本発明のいくつかの実施形態で、外科手術用手順の立案に術前または術中で奉仕するユーティリティ、を含む。これは、医療的撮像データを読むこと、撮像データを分割すること、三次元(3D)の仮想モデルを構築すること、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルを保存すること、様々な機能または小型装置を提供することを含んで、ユーザーが外科手術用手順を立案するのを、そして外科手術用計画データを生成するのを支援してもよい。最終の外科手術用計画は、術前骨データ、患者データ、術前骨データに対して定義されたポイントPのセットのPOSEを含む登録データ、および/または手術データを含んでもよい。手術データは、骨の体積を自律的に修正するための切除-ファイル中の切除パラメータ(例えば、切除経路、速度)などの、生体に対して定義された組織の体積の変更のための指示のセット、骨を修正するために、ツールを定義された境界内に触覚的に拘束するように定義された仮想境界のセット、骨にピンやトンネルをドリルするための平面またはドリル穴のセット、あるいは組織を修正するためのグラフィック的にナビゲートされた指示のセット、であってもよい。具体的な実施形態では、手術データは、特に、自動的に骨の体積を修正するために、外科手術用ロボットによって実行される切除-ファイルを特に含み、これは、精度および有用性の観点から有利である。立案コンピュータ(216)から生成された外科手術用計画データは、デバイスコンピュータ(218)および/または追跡コンピュータ(34)に、手術室(OR)中の有線通信または無線通信を通じて伝送されるか、あるいは、立案コンピュータ(216)がORの外に位置する場合には、非一時的データ記憶メディア(例えばコンパクトディスク(CD)、ポータブルなユニバーサルシリアルバス(USBドライブ)を介して伝送される。特定の実施形態では、デバイスコンピュータ(218)への外科手術用計画データの無線通信は、可視光線通信を介して遂行される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態のデバイスコンピュータ(218)は、可動式のベース(208)に収容されており、そして、ハードウェア、ソフトウェア、データ、および好ましくは外科手術用ロボットデバイス(202)の操作に奉仕するユーティリティを含んでいる。これは、外科手術用デバイス制御、ロボットマニピュレータ制御、運動学的および逆運動学的データの処理、登録アルゴリズムの実行、較正ルーチンの実行、手術データ(例えば切除ファイル、触覚型拘束)の実行、座標変換処理、ユーザーへのワークフロー指示の提供、および追跡システム(30B)からの位置および配向(POSE)データの利用、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外科手術用システム(200)は、ベース(208)に取り付けられた機械的デジタイザアーム(205)を含む。デジタイザアーム(205)は、それ自体のデジタイザコンピュータを有していてもよく、あるいは、デバイスコンピュータ(218)に直接接続されていてもよい。機械的デジタイザアーム(205)は、機械的デジタイザアーム(205)の遠位端にアセンブルされているデジタイザプローブとして機能してもよい。本発明の他の実施形態では、システムは、プローブ先端および追跡アレイ(20d)を備える、追跡されるデジタイザプローブ(130)を含む。
【0045】
外科手術用システム(100)は、上に記載されるような新規の光学追跡システム(30B)をさらに含む。新規の光学追跡システム(30B)は、ユーザーが光学追跡カメラ(18)のFOVの位置を最適化するのを支援して、外科手術用手順中に外科手術用ロボット(202)、大腿骨(F)、および脛骨(T)を正確に追跡する。追跡システムコンピュータ(34)は、ハードウェア、ソフトウェア、データ、および、局所的または広範な座標フレーム中で、オブジェクト(大腿骨(F)や脛骨(T)などの骨や、外科手術用ロボットデバイス(202)のエンドエフェクタ(211))のPOSEを決定するユーティリティを含んでもよい。オブジェクトのPOSEは、本明細書ではPOSEデータまたは追跡データと呼ばれ、ここで、POSEデータはデバイスコンピュータ(218)に容易に伝達される。追跡システムコンピュータ(34)は、有線または無線で、ディスプレイ(16)と通信しており、ディスプレイ(16)に、可視光線検出器(32)からの表示されたビュー中に、光学追跡検出器(18)のFOVのオーバーレイ(36)を表示させる。
【0046】
POSEデータまたは追跡データは、新規の光学追跡システム(30B)によって、光学追跡検出器(18)と、画像処理、画像フィルタリング、三角測量アルゴリズム、幾何学的関係処理、登録アルゴリズム、較正アルゴリズム、および座標変換処理などの動作/処理とから、検出された位置データを使用して、決定される。
【0047】
POSEデータは、マニピュレータアーム(210)および骨(F、T)が手術中に動くので、外科手術用手順中にコンピューティングシステム(204)によって使用されて、骨(B)のPOSEおよび/または座標変換、外科手術用計画、および外科手術用ロボット(202)を更新し、その結果、外科手術用ロボット(202)は正確に外科手術用計画を実行することができる。
【0048】
他の実施形態
少なくとも1つの例示的な実施形態が先述の詳細な説明において提示されてきたが、膨大な数の変化形が存在することが認識されるべきである。例示的な実施形態(複数可)は例に過ぎず、そして説明される実施形態の範囲、利用可能性、または構成を、いかなる方法によっても制限するものであるとは意図されていない。むしろ、先述の詳細な説明は、当業者に対して、例示的な実施形態(複数可)を実装するための便利なロードマップを提供するだろう。添付の特許請求の範囲およびその法的等価物に明記される通りの範囲から逸脱することなく、様々な変更が要素の機能と配置においてなされ得ることが、理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】