(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】循環流体間の接触を促進するためにチャンバの内部に配置されるライニング
(51)【国際特許分類】
B01J 19/32 20060101AFI20220824BHJP
B01J 8/02 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B01J19/32
B01J8/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570266
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2020067780
(87)【国際公開番号】W WO2020260434
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510063177
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ラフィナージュ シミ
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ラブワンヌ,ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】デルアン,セリーヌ
【テーマコード(参考)】
4G070
4G075
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AA03
4G070AB04
4G070BB05
4G070CA17
4G070CB17
4G070DA22
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA56
4G075BA05
4G075BD14
4G075BD23
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB09
4G075EC09
4G075EE12
4G075FA01
4G075FA06
4G075FA12
4G075FB02
(57)【要約】
本発明はチャンバの内部で循環する流体の間の接触を促進するために、チャンバ(1)の内部に位置付けられるライニング(10)に関し、ライニングは、複数の別個の十字公差ストリップ(12):第1の方向(D1)と平行で、互いに離間された複数の第1の平面を画定する第1のストリップ(12.1i)、第1の方向(D1)と角度を形成する第2の方向(D2)と平行で、互いに離間された複数の第2の平面を画定する第2のストリップ(12.2i)を備える。各第1の平面において、自由空間が、第1の方向に垂直な方向に2つの第1の隣接したストリップを分離して、第2のストリップを受け、第1及び第2のストリップは一緒に固定されている。少なくとも1つの段のそれぞれの別個のストリップは、穴をあけられ(12)、スタンピングされた金属シートから作られるストリップ及びエキスパンデッドメタルシートから作られるストリップから選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ(1)の内部で循環する流体の間の接触を促進するために、前記チャンバ(1)の内部に位置付けるのに適したパッキング要素(10)であって、前記パッキング要素が少なくとも2つの積み重ねられた段を備え、各段が複数の別個のブレード(12)から形成され、
- 複数の第1のブレード(12.1i)が、第1の方向(D1)と平行に延在して、互いに離間した複数の第1の平面を画定し、
- 複数の第2のブレード(12.2i)が、前記第1の方向(D1)と角度を形成する第2の方向(D2)と平行に延在して、互いに離間した複数の第2の平面を画定し、
各第1の平面において、自由空間が、前記第1の方向に垂直な方向に2つの隣接する第1のブレードを分離して、第2のブレードを受け、前記第1のブレード及び前記第2のブレードが互いに堅固に接続されている、
パッキング要素(10)において、
少なくとも1つの段のそれぞれの別個のブレード(12)が、穴をあけられ、スタンピングされた金属シートから作られたブレード及びエキスパンデッドメタルシートから作られたブレードから選択される
ことを特徴とする
パッキング要素(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの段のブレード(12)の前記穴(14)が、前記ブレードの表面積の15%~95%を占め、この表面積が、複数のブレードによって画定される平面に平行又は略平行な表面積として定義される
ことを特徴とする、
請求項1に記載のパッキング要素(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴をあけられたブレード(12)が、少なくとも1つの非平面状面を有し、この面が、複数のブレードによって画定される平面に平行又は略平行な面として定義される
ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載のパッキング要素(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴をあけられたブレード(12)が、
- 所定のブレードの前記穴(14)が、特に、規則的に、ブレードの長手方向に離間している、
- 所定のブレードの前記隣接する長手方向に離間した穴(14)が、前記ブレードの前記方向に対して垂直な短手方向において、前記短手方向の穴の寸法より小さい距離だけ互いに対してオフセットされている
という特徴のうちの1つ又は複数を備える
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のパッキング要素(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴をあけられたブレード(12)が、それが取り付けられるフレームによって囲まれた、エキスパンデッドメタルシートから作られる部分から形成されるブレードである
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載のパッキング要素(10)。
【請求項6】
前記エキスパンデッドシートから作られる部分が、前記ブレードの長手方向に対して垂直な方向に延在する平行又は略平行の穴を有する
ことを特徴とする、
請求項5に記載のパッキング要素(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴をあけられたブレード(12)が、スタンピングされた金属シートから作られるブレードであり、その各穴が、前記穴を作成するためにスタンピングされる前記材料から形成されて、前記穴の2つの対向する縁部を接続するデフレクタ(16)によって覆われ、各デフレクタが、前記ブレードの前記平面とともに流路を画定し、前記流路の軸が、前記ブレードが延在する方向と平行である
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載のパッキング要素(10)。
【請求項8】
前記所定のブレードのデフレクタ(16)が、前記ブレードの同じ側に配置されること、又は、
前記所定の平面を画定するブレードのデフレクタが、前記平面の同じ側に配置されること
を特徴とする、
請求項7に記載のパッキング要素(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの段の穴のあいたブレード(12)が、軸(X)を有する容積に含まれることと、
前記第1の方向及び前記第2の方向が、前記軸(X)と所定の角度を形成することと、
前記第1及び第2のブレードの前記穴の前記デフレクタが、前記軸の方向における前記ブレードの同じ側に配置されることと
を特徴とする、
請求項7又は8に記載のパッキング要素(10)。
【請求項10】
固体板から形成されるブレードの段、及び波形固体板から形成されるブレードの段から選択される少なくとも1つの段を備える
ことを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載のパッキング要素(10)。
【請求項11】
2つの積み重ねられた隣接する段が、一方を他方の上に直接置く、又は、互いに離間して、スペーサによって堅固に接続される
ことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載のパッキング要素(10)。
【請求項12】
ある段の前記第1及び第2のブレードが、積み重ね方向のまわりの回転によって、1つ又は複数の他の段の前記第1及び第2のブレードに対して角度オフセットされる
ことを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載のパッキング要素(10)。
【請求項13】
流体循環方向に循環する流体を接触させるためのチャンバ(1)であって、その内部に、請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのパッキング要素(10)が配置され、前記パッキング要素が、前記第1の方向及び前記第2の方向が前記流体循環方向と所定の角度を形成するように配置される、
チャンバ(1)。
【請求項14】
前記チャンバが、
ストリッピング装置の、特に、流動接触分解ユニットのチャンバ、及び
パイプの、特に、再生器の回収井戸の一部
から選択される、
請求項13に記載のチャンバ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内で循環する流体間の接触を促進するために使用される内部パッキング要素に関する。本発明は、特に、石油化学製品、化学反応、流体間の密接な接触を必要とするプロセスにおける精製の分野における、チャンバの内部において向流様式で循環する流体間の接触の促進により適しており、最も特には、循環するガスと液体又は固体粒子との間の密接な接触を得るのにより適している。
【背景技術】
【0002】
石油化学製品の分野では、内部パッキング要素の使用が知られており、よく確立されている。この種類のパッキング要素は特に、液体とガスとの間の接触、又は、特に、ストリッピングチャンバの固体粒子とガスとの間の接触を促進するために使用される。
【0003】
ストリッピングは、ここでは、固体(たとえば、触媒)の粒子の間に含有された、固体の多孔質ネットワークに捕捉された炭化水素を抽出するガス状流体を使用すること、又は、液体に含有された低分子量分子を抽出するためにガスを使用すること、からなる操作として理解される。
【0004】
この種類の用途は、たとえば、流動接触分解(FCC)ユニットで見られる。そのようなユニットの炭化水素原料は、クラッキング反応を起こすために、多孔質の固体微粒子から構成される触媒と接触させられる。この反応の後、触媒は、二次反応を避けるために、クラッキングされた生成物から可及的速やかに分離される。この操作が行われるエンクロージャ又はチャンバは一般に、ディスエンゲージャと呼ばれる。この分離の後、クラッキング生成物は、触媒の多孔質ネットワーク内、及び、粒間空間内に捕捉されたままである。これらの捕捉されたクラッキング生成物は、触媒の流れとは逆に注入されるガスを使用するストリッピング操作によって回収される。この操作は、一般的にストリッパと呼ばれるエンクロージャ内で行われる。この操作の効率を改善するために、内部要素を、このエンクロージャ内に存在させて、ストリッピングガスと触媒との間の接触を促進することができる。
【0005】
したがって、たとえば、
【特許文献1】国際公開第200035575A1号パンフレットは、交互配置されたブレードを備えるパッキング要素を説明している。ブレードは平行平面内で延在し、あるブレードは第1の方向と平行に延在し、他のブレードは第2の方向と平行に延在し、所定の平面を画定する第1の方向と平行なブレードは互いに離間し、第2の方向と平行に延在するブレードはこれらの空間のそれぞれに挿入されている。これらのブレードは、中実である、又は、穴をあけられる可能性がある。ブレードのこれらの配置は、小さいモジュールに集められて、それらの設置をより容易にする。モジュールの複数の段は重ねることができる。その向きは、各モジュールのレベルで変えることができる。
【0006】
この種類のパッキング要素は、良好な結果をもたらすが、重く、且つ、製造費がかさむままである。さらに、この種類のパッキング要素の床の数は、最適な効率を得るために大きい可能性がある。たとえば、既存のFCCユニットの変更中、ストリッパのサイズが固定されており、場合によっては小さいという事実は、不完全なストリッピングにつながり、それは、技術の最適化で改善される可能性がある。さらに、FCCユニットにおけるこの種類のパッキング要素の効率の改善により、ストリッピングガスの必要な量が減少する可能性もあり、それは、操作のコストに関して、又は、ユニットのエネルギー消費に関してさえ、節約をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、チャンバの内部で循環する流体の間の接触を促進するために、パッキング要素を改善する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の主題は、チャンバの内部で、特に、向流様式で、循環する流体の間の接触を促進するために、チャンバの内部に位置付けられるように設計されたパッキング要素に関し、前記パッキング要素は少なくとも2つの積み重ねられた段を備え、各段は複数の別個のブレードから形成され、
- 複数の第1のブレードは、第1の方向と平行に延在して、互いに離間した複数の第1の平面を画定し、
- 複数の第2のブレードは、第1の方向と角度を形成する第2の方向と平行に延在して、互いに離間した複数の第2の平面を画定し、
各第1の平面において、自由空間が、第1の方向に垂直な方向に2つの隣接する第1のブレードを分離して、第2のブレードを受け、第1のブレード及び第2のブレードは、特に、それらが交差する接触点において、互いに堅固に接続されている。
【0009】
したがって、パッキング要素の第1のブレード及び第2のブレードは交互に配置され、それが、このパッキング要素を通過する流体の間の接触を促進する。本発明によると、少なくとも1つの段のそれぞれの別個のブレードは、穴をあけられ、スタンピングされた金属シートから作られたブレード及びエキスパンデッドメタルシートから作られたブレードから選択される。穴の存在により、流体の間の、特に、穴を通過する上昇ガスとブレード上を細流する下降流体との間の接触をさらに促進することが可能となり、ここで、この下降する流体は、液体又は固体粒子とすることができる。したがって、より正確には、下降する液体又は固体粒子の一部が穴を通過し、流体又は粒子のその他の部分がブレード上を細流し、このその他の部分は、液体又は粒子の半分以上を占める可能性がある。
【0010】
有利なことには、少なくとも1つの段のブレードのすべては、スタンピングされた金属シートから作ることができる、又は、少なくとも1つの段のブレードのすべては、エキスパンデッドメタルシートから作ることができる。エキスパンデッドメタルシートの場合、ブレードの長手方向は、金属シートがその製作中に引っ張られる方向に対して垂直である可能性がある。
【0011】
有利なことには、前記少なくとも1つの段のブレードの穴は、ブレードの表面積の15%~95%を占める可能性があり、この表面積は、複数のブレードによって画定される平面に平行又は略平行な表面積として定義される。ブレードがスタンピングされた金属シートから作られるとき、穴は、ブレードの表面積の15~30%を占める可能性がある。ブレードがエキスパンデッドメタルシートから作られるとき、穴は、ブレードの表面積の30~95%、特に、表面積の40~90%を占める可能性がある。
【0012】
有利なことには、前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴のあいたブレードは、少なくとも1つの非平面状面を有し、この面は、複数のブレードによって画定される平面に平行又は略平行な面として定義され、それは、流体間の接触を促進することができる。
【0013】
有利なことには、前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴のあいたブレードは、以下の特徴のうちの1つ又は複数を備えることができる。
- 所定のブレードの穴は、穴を通過する流体間のより均一な接触のために、ブレードに沿って、特に、規則的に、離間している。
- 所定のブレードの隣接する長手方向に離間した穴は、ブレードの方向に対して垂直な短手方向において、前記短手方向の穴の寸法より小さい距離だけ互いに対してオフセットされている。これにより、流体の混合を促進することを可能にすることができる。
【0014】
1つの実施形態において、前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴のあいたブレードは、エキスパンデッドメタルシートから作られるブレードとすることができる。エキスパンデッドシートから作られるブレードは、コイル又は金属の板をナイフプレスにおいて切断及び伸長させることによって得られる。この技術により、穴のあいたブレードを得ることが可能となり、その表面は、切断(すなわち、穴あけ)部分の伸長のために平坦でない。
【0015】
別の実施形態において、前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴のあいたブレードは、それが取り付けられるフレームによって囲まれた、エキスパンデッドメタルシートから作られる部分から形成されるブレードとすることができる。その場合、穴がブレードの大きな表面積を占めることができ、フレームは、その機械的完全性を保証するために、ブレードを十分に補強することが可能になる。
【0016】
エキスパンデッドシートから作られる部分は、ブレードの長手方向に対して垂直な方向に延在する平行又は略平行の穴を有することができる。
【0017】
別の実施形態において、前記少なくとも1つの段のそれぞれの穴のあいたブレードは、スタンピングされた金属シートから作られるブレードとすることができ、その各穴は、穴を作成するためにスタンピングされる材料から形成されて、穴の2つの対向する縁部を接続するデフレクタで覆われ、各デフレクタは、ブレードの平面とともに流路を画定し、流路の軸は、ブレードが延在する方向と平行である。この構造により、流体間の接触を改善することができる。
【0018】
有利なことには、所定のブレードのデフレクタは、ブレードの同じ側に配置することができる。これにより、特に、デフレクタが互いに対して短手方向にオフセットされるときに、しかしながら、優先的な流路を発生させることなく、ブレードの穴を通過する流体間の接触を促進することを可能にすることができる。
【0019】
有利なことには、より良好な混合のために、前記少なくとも1つの段の中の所定の平面を画定するブレードのデフレクタは、前記平面の同じ側に配置することができる。特に、第1のブレードのデフレクタは、前記第1のブレードによって画定される平面の同じ側に配置することができ、第2のブレードのデフレクタは、前記第2のブレードによって画定される平面の同じ側に配置することができる。
【0020】
一般に、1つの段のブレードは、軸を有する容積に含むことができ、第1の方向及び第2の方向は、前記軸と所定の角度を形成する。たとえば、この角度は、30~70°、たとえば、35~55°とすることができる。
【0021】
有利なことには、前記少なくとも1つの段の第1及び第2のブレードの穴のデフレクタは、ブレードを含む容積の軸の方向におけるブレードの同じ側に配置することができる。
【0022】
本発明によるパッキング要素は、ブレードの少なくとも2つの段、好ましくは、少なくとも3つ又はそれ以上の段を含む。パッキング要素は、たとえば、ブレードの6つ以上の段を備えることができる。
【0023】
これらの段のそれぞれは、前述のような穴のあいたブレードから構成することができる。特に、1つ又は複数の段は、スタンピングされた穴のあいたブレードから構成することができ、1つ又は複数の段は、フレームの有無にかかわらず、エキスパンデッドシートから作られる穴のあいたブレードから構成することができる。
【0024】
変形形態として、パッキング要素は、固体板から形成されるブレードの段、及び波形固体板から形成されるブレードの段から選択される少なくとも1つの段を備えることができる。
【0025】
したがって、本発明によるパッキング要素は、異なる種類のブレードの複数の段を備えることができる。たとえば、本発明による穴のあいたブレードの段を、固体板から形成されるブレードの段及び波形固体板から形成されるブレードの段と代えることが可能である。本発明は、段の少なくとも1つが前述のような穴のあいたブレードを有するならば、パッキング要素を形成する段のそれぞれの特定の構造に限定されない。
【0026】
本発明によるパッキング要素は、特に、第1の方向及び第2の方向のそれぞれと角度を形成する積み重ね方向に積み重ねられた、少なくとも2つの積み重ねられた段を備える。そして、各段は、積み重ね方向に垂直又は略垂直である2つの平面の間で延在する。
【0027】
2つの積み重ねられた隣接する段は、一方を他方の上に直接置くことができる、又は、互いに離間して、スペーサによって堅固に接続することができる。
【0028】
さらに、ある段の第1及び第2のブレードは、積み重ね方向のまわりの回転によって、1つ又は複数の他の段の第1及び第2のブレードに対して角度オフセットすることができる。これにより、向流様式で循環する流体の間の接触を促進することができる。この角度オフセットは、30~150°、好ましくは、60~120°、又は、より好ましくは90°とすることができる。
【0029】
本発明は、流体循環方向に循環する流体を接触させるためのチャンバにも関し、その内部に、本発明による少なくとも1つのパッキング要素が配置され、前記パッキング要素は、第1の方向及び第2の方向が前記流体循環方向と所定の角度を形成するように配置される。この角度は、上記のようにすることができる。
【0030】
特に、少なくとも1つの段のブレードがデフレクタを有するとき、第1及び第2のブレードの穴のデフレクタは、流体循環方向、特に、チャンバの頂部に向かう方向におけるブレードの同じ側に配置することができる。換言すれば、デフレクタは、有利なことには、ブレードの、下降する液体又は粒子が細流する側にあるようにすることができる。これにより、上昇するガス流れについて、方向を変えて、下降する流体又は粒子に、より遭遇させることができる。下降する流体(液体、又は固体粒子)の一部はデフレクタの下の空間を通過して、ブレードの穴を経由して次のブレード上に落下し、落下するにつれて、上昇するガス流れ(たとえばストリッピングガス)と向流接触し、その一部は穴を反対方向に通過する。これらのデフレクタのまわりを通る下降する流体は、次に、穴から来る上昇するガス流れに遭遇し、ある程度は、このガス流れによってもストリッピングされる。ブレードの頂部に到着するガス流れは、下降する流体の流れを乱して、ブレードと接触する連続的な細流を制限することができるが、それは、そのような連続的な細流はガス/流体接触を引き起こさないためである。
【0031】
特に、このチャンバは、ストリッピング装置の、特に、流動接触分解ユニットのチャンバとすることができる。同様に、チャンバは、パイプの、特に、再生器の回収井戸の一部とすることができる。この場合、FCCユニットのライザへの再注入前の良好な流動化及び循環を保証するために、使用されるガスと回収井戸に存在する触媒粒子との間の接触を改善することにより、これらの触媒粒子の適切な通気を維持することができる。
【0032】
ここで、本発明は、添付の非限定的な図面に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の1つの実施形態によるパッキング要素が設けられたチャンバを部分的に示す。
【
図2】
図2のa、bは発明の1つの実施形態によるパッキング要素が設けられたチャンバを部分的に示す。
【
図3】本発明の1つの実施形態によるパッキング要素のブレードを部分的に示す。
【
図4】本発明の別の実施形態によるパッキング要素のブレードの正面図を概略的に示す。
【
図5】
図4のブレードのその長手方向における側面図を概略的に示す。
【
図6】
図4のブレードのその短手方向における側面図を概略的に示す。
【
図7】第1及び第2のブレードの側面図を概略的に示し、それぞれが
図4に示される構造を有している。
【
図8】本発明の1つの実施形態によるパッキング要素のブレードを部分的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
略平行又は垂直は、最大で±20°、さらには最大で10°、又は最大で5°、平行な平面又は垂直な平面からずれている平面を意味する。
【0035】
面が凹凸を有するとき、面は非平面状であり、非平面状面は平面に平行又は略平行に延在する表面を画定することができることが理解される。
【0036】
図1は、チャンバ1、ここでは、ストリッピング装置のチャンバを部分的に示す。ここで、このチャンバは、軸Xのシリンダの形状である。この軸Xは、垂直方向、すなわち、重力の方向に延在する。この軸は、一般的に、チャンバ内部の流体の循環の方向に対応する。
【0037】
このチャンバ1の内部に、パッキング要素10が位置付けられ、その機能は、このチャンバの内部で循環する流体間の接触を、特に、向流様式で促進することである。
【0038】
このパッキング要素10は、特に、ここではチャンバの軸Xと一致する積み重ね方向に積み重ねられた、少なくとも2つの積み重ねられた段S1、S2を備える。したがって、積み重ね方向は、パッキング要素に入る流体の循環の方向に対応する。
【0039】
したがって、各段は、有利なことには軸Xに垂直である2つの平面の間で延在し、交互に配置されて、堅固に接続された一連の第1及び第2のブレードから構成される。
図1では、明瞭さのために、1つの段S1だけが示されている。
図2では、2つの段S1及びS2が示されている。しかしながら、本発明は、段の数によって限定されず、段の数は、チャンバの大きさに従って選択することができる。
【0040】
図2において、示されている2つの積み重ねられた隣接する段S1、S2は、積み重ね方向に分離されて、スペーサ20によって堅固に接続されている。
【0041】
図2の実施形態(a)は、第1及び第2のブレードの2つの段S1、S2から形成されるパッキング要素10を示し、第1及び第2のブレードは、1つの段から次の段まで同じ向きを有する。換言すれば、段S1の第1のブレード12.1iは、段S2の第1のブレード12’.1iと平行であり、段S1の第2のブレード12.2iは、段S2の第2のブレード12’.2iと平行である。
【0042】
図2の実施形態(b)において、第2の段S2の第1のブレード12’.1i及び第2のブレード12’.2iは、軸Xのまわりの回転によって、第1の段S1の第1のブレード12.1i及び第2のブレード12.2iに対して角度オフセットされている。本発明は、同様に、隣接する積み重ねられた段S1、S2、が交差する角度によって限定されない。
【0043】
図2において、スペーサ20は概略的に示されている。これらは、軸Xに垂直に延在し、接続される2つの段のブレードの対向する端部で、たとえば溶接によって堅固に接続された板とすることができ、これらの板は、軸Xに沿って延在する1つ又は複数のロッドによって互いに接続されている。本発明は本実施形態に限定されず、任意の他の形態のスペーサを想定することができる。たとえば、雄雌タイプの入れ子構成によって、段の分解可能な入れ子構成を可能にするスペーサを提供することが可能であり、チャンバ内部のパッキング要素の組立て及び分解の両方を容易にする。したがって、スペーサの存在により、パッキング要素の設置を容易にし、パッキング要素内での流体の拡散を改善することができる。
【0044】
示されていない1つの変形形態において、スペーサ20は排除される可能性がある。それゆえ、2つの隣接する段S1、S2は、一方を他方の上に直接置くことができる。
【0045】
各段は、後述するように配置された複数の別個のブレード12から構成される。
【0046】
複数の第1のブレード12.1は、第1の方向D1と平行に延在し、互いに離間した複数の第1の平面を画定する。図において、平面「i」(ゼロ以外の整数)を画定する第1のブレード12.1は、参照番号12.1iによって示されている。したがって、
図1は3列の第1のブレード12.11、12.12、及び12.13を示し、第1のブレードの各列は別個の平面を画定する。
【0047】
複数の第2のブレード12.2は、第1の方向D1と角度を形成する第2の方向D2と平行に延在し、互いに離間した複数の第2の平面を画定する。
図1において、平面「i」(ゼロ以外の整数)を画定する第2のブレード12.2は、参照番号12.2iによって示されている。したがって、
図1は、3列の第2のブレード12.21、12.22、及び12.23を示し、第2のブレードの各列は別個の平面を画定する。
【0048】
第2の方向D2は、第1の方向D1と60~140°の角度を形成する。好ましくは、示されるように、各方向D1、D2は、チャンバの軸Xの方向と30~70°の角度を形成する。有利なことには、各方向と軸Xとの間に同じ角度が形成される。
【0049】
本発明は、段の数によって限定されず、段の数は、パッキング要素を受け入れるチャンバの大きさ、及び、ブレードの大きさに依存する。
【0050】
ブレードは、ブレードが含まれる容積を画定することは気付かれるであろう。換言すれば、ブレードは容積内に収まり、この容積の大きさにより、パッキング要素をチャンバ内部に導入することが可能となる。この容積は、略円筒形であり、換言すれば、形状がチャンバの内部形状と類似している。したがって、容積は、チャンバの軸と一致する軸Xを有する。この軸Xは、パッキング要素に入る流体の循環の方向に対応する。しかしながら、本発明は、ブレードが収まる容積の特定の形状に限定されず、この形状は使用されるチャンバの形状に依存する。
【0051】
各ブレードが細長形状を有し、その長手方向Lは第1の方向D1又は第2の方向D2のうちの1つに対応し、その短手方向Tは長手方向に垂直であることは気付かれるであろう。ブレードのこれらの方向、長手方向L及び短手方向Tは、ブレードの平面を画定する。この平面に垂直な方向のブレードの寸法はその厚さを定義し、その値は、その長手方向及び短手方向の大きさよりかなり小さい。
【0052】
ブレード12.1iで画定される各第1の平面iにおいて、自由空間Eiは、2つの隣接する第1のブレードを、第1の方向D1に垂直な方向に分離する。各自由空間Eiは、第2のブレード12.2iを受け入れる。したがって、
図1では、第2のブレード12.21は、第1のブレード12.11の間に挿入されている。
【0053】
さらに、これらのブレードが組立体を形成するように、第1及び第2のブレードは互いに堅固に接続される。ブレードは金属シートから作られるので、それらは、このように交互配置されるブレードの接触の点で、溶接又は任意の他の適切な方法によって堅固に接続することができる。
【0054】
例において、第1及び第2のブレードは比較的短く、各第1のブレードがただ1つの第2のブレードと接触し、その逆も同じである。しかしながら、本発明はこの配置に限定されず、各第1のブレードは、たとえば、より長いブレードを使用して、複数の第2のブレードと接触する可能性があり、その逆も同じである。一般に、
図1又は
図7に示される交互配置されたブレードは、同一の段の部分である。したがって、各段は、有利なことには軸Xに垂直である2つの平面の間で延在し、交互配置されて、堅固に接続された一連の第1及び第2のブレードから構成される。そして、本発明によるパッキング要素は、特に、異なる向きで一方を他方の上に直接置く、複数の垂直に重ねられた段を備えることができる。したがって、ある段の第1及び第2のブレードは、軸Xのまわりの回転によって、1つ又は複数の他の段の第1及び第2のブレードに対して角度オフセットすることができる。これにより、流体の混合、よって、これらの間の接触を促進することができる。
【0055】
本発明によると、パッキング要素の少なくとも1つの段は、複数の別個の穴のあいたブレード12から構成される。さらに、各ブレード12は、複数の穴14を有する。
【0056】
本発明によると、それぞれの穴のあいたブレードは、スタンピングされた金属シートから作られたブレード、及び、エキスパンデッドメタルシートから作られたブレードから選択される。
【0057】
一般に、ブレードの穴14は、ブレードの平面において、ブレードの表面積の15~95%を占める。穴のこの表面積は、ブレードを作成するために使用される方法に応じて変えることができる。
【0058】
さらに、穴の形状は、1つのブレードから次のブレードにかけて、且つ、1つの段から次の段にかけて変えることができる。
【0059】
よって、エキスパンデッドシートから作られる穴のあいたブレードは、コイル又は金属の板をナイフプレスにおいて切断及び伸長させることによって得られる。したがって、穴の表面積は、伸長及び切断の長さに依存する。エキスパンデッドメタルシートの使用により、その厚さ、その重量、したがってそのコストを低減しながら、パッキング要素の効率を増加させることができる。
【0060】
また、一般に、それぞれの穴のあいたブレードは、少なくとも1つの非平面状面を有し、この面は、複数のブレードによって画定される平面に、換言すれば、ブレードの平面に平行又は略平行な面として定義される。エキスパンデッドメタルシートから形成される穴のあいたブレードの場合、ブレードの2つの面の非平面状の性質は、伸長が金属シートの変形を引き起こす製造方法の結果である。スタンピングされた金属シートから形成されるブレードの場合、一方又は両方の面の非平面状の性質は、特に、スタンピングされた材料がブレードから取り外されないときの、製造方法の結果でもある可能性がある。
【0061】
図3は、エキスパンデッドシートから作られた穴のあいたブレードを部分的に示す。示されている例において、穴14は、蜂の巣状に配置された同一の六角形を形成する、換言すれば、六角形の両側部は、隣接する六角形と共有される。これらの六角形は、たとえば、ブレードの長手方向に垂直な短手方向に、直線状の互いに平行な切り込みを作ることによって得ることができ、これらの切り込みは、千鳥状に配置される。そして、穴は、ブレードの表面積の30~95%、或いは、表面積の40~95%、50~95%、又は40~90%を占める。
【0062】
しかしながら、本発明は穴のこの形状に限定されず、切断の形状及び/又は相対位置を修正することによって他の形状を得ることが可能である。
【0063】
よって、
図8に示されるように、穴のあいたブレード12は、エキスパンデッドメタルシートから作られる中央部分12aと、中央部分を囲むフレーム12bとから構成することができる。フレーム及び中央部分は、たとえば、溶接又は任意の他の好適な取付手段(リベット結合、ネジ接続など)によって互いに取り付けられる。この構造により、その機械的強度を維持しながら、ブレードの穴のあいた表面積を増加させることができる。この場合、穴14は、上記のように配置することができる、又は、
図8に示されるように、中央部分の全幅にわたって延在する。
【0064】
穴は好ましくは、その形状がどのようなものであっても、ブレードの長手方向に、特に、規則的に離間していることは気付かれるであろう。
【0065】
さらに、隣接して長手方向に離間する穴は、ブレードの方向に垂直な短手方向に、前記短手方向の穴の寸法より小さい距離だけ、互いに対してオフセットすることができる。換言すれば、それらは、ブレードの長手方向に見たときに、部分的に重なる可能性がある。
図3及び7の例において、ブレードが伸長される方向が、ブレードが配置される方向D1又はD2に垂直な方向に対応するように、ブレードは作成される。換言すれば、ブレードの長手方向は、シートの作成時の伸長方向に垂直である。
【0066】
図4~6は、1つの特定の実施形態による、スタンピングされたシートから形成された穴のあいたブレードを示し、穴を作成するためにスタンピングされた材料は、ブレードに取り付けられたままである。
【0067】
よって、
図5及び6においてより詳細には示されるように、各穴14は、穴を作成するためにスタンピングされた材料から形成された材料ブリッジ16によって覆われる。この材料ブリッジ16は、デフレクタを形成し、穴14の2つの対向する縁部を接続し、ここでは、長方形である。よって、デフレクタ16は、
図5に示されるように、同様に長方形である側面図を有する。ここで、デフレクタ16は、
図6に示されるように、短手方向で湾曲する断面を有する。
【0068】
穴の他の形状は、スタンピングによって作ることができるが、四辺形状は、より単純であり、より作成しやすい。
【0069】
示されている例において、穴14は、特に、規則的に、ブレードの長手方向に分布する。穴14はまた、ブレードの短手方向Tの穴の寸法d_perfより小さい距離dだけ、短手方向にオフセットされる。これは、ブレードをその長手方向に沿って見るとき、デフレクタ16が
図6に示されるように重なることを意味する。示されている例において、デフレクタ16のすべてがブレードの同じ側に配置されること、及び、
図6に示されるように、すべてのブレードが同様に向けられることがさらに気付かれるであろう。換言すれば、所定の平面を画定する第1のブレード12.1iのデフレクタは、前記平面の同じ側に配置され、これは、この複数の第1のブレード12.1iによって画定される平面のそれぞれの場合である。これは、第2のブレード12.2iについても同じである。
【0070】
さらに、第1及び第2のブレードの穴のデフレクタ16は、チャンバの軸Xの方向におけるブレードの同じ側に、ここでは、
図6に示されるようなチャンバの頂部の方に配置される。
【0071】
示されるチャンバは、FCCユニットのストリッピングチャンバとすることができる。そして、ストリッピングチャンバは、チャンバの軸Xに沿って互いに間隔をあけて配置される(ブレードの2つ以上の段の)1つ又は複数のパッキング要素を備えることができる。そして、チャンバは、1つ又は複数のストリッピングガス分配装置22も備え、この種類の少なくとも1つの装置は、
図2に示されるように、最も低いパッキング要素の下に配置され、別の分配装置が任意選択的に、2つのパッキング要素の間、又は、スペーサによって離間された2つの段の間に設けられる。
【0072】
前述のように、本発明によるパッキング要素は、穴のあいたブレードの少なくとも1つの段を備える。本発明によるパッキング要素は、そのブレードに穴のあいていない、1つ又は複数の他の段も備えることができる。これらのブレードは、国際公開第200035575A1号パンフレットに記載されているような単純な固体の平坦な板とすることができる。本発明によるパッキング要素は、米国特許出願公開第20190015808A1号明細書に記載されているような、波形固体板から形成される1つ又は複数の他の段も備えることができる。
【0073】
段の構造が何であろうとも、段の高さは一般に、30~50cm程度、たとえば35cmであることは気付かれるであろう。
【国際調査報告】