(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】流体ポンプ用のバルブプレート
(51)【国際特許分類】
F04B 1/2007 20200101AFI20220824BHJP
【FI】
F04B1/2007
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571536
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2020025303
(87)【国際公開番号】W WO2020259869
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】201911025337
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521523523
【氏名又は名称】ダンフォス・パワー・ソリューションズ・ツー・テクノロジー・エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ラクティム,カシャップ・スラジュ
(72)【発明者】
【氏名】シヴァンク,ガンビル
(72)【発明者】
【氏名】シドラム,サルタギ・シヴァヨギ
(72)【発明者】
【氏名】ニティン,ハンデ
【テーマコード(参考)】
3H070
【Fターム(参考)】
3H070AA00
3H070BB06
3H070BB15
3H070CC01
3H070DD14
3H070DD62
3H070DD69
(57)【要約】
流体ポンプ用のバルブプレートが、第1の表面及び反対側に位置する第2の表面を有する本体を含む。本体は、第1の表面及び第2の表面を通って延びる第1のキドニースロットと、第1の表面及び第2の表面を通って延びる第2のキドニースロットとを画定する。第1のノッチが、本体の第1の表面に配設され、第1のキドニースロットから外方向へ、第2のキドニースロットに向かう方向に延びる。第2のノッチが、第1の表面に配設され、第1のキドニースロットから外方向へ、第2のキドニースロットに向かう方向に延びる。第2のノッチは、第1のノッチから離間されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び反対側に位置する第2の表面を有する本体を備える流体ポンプのバルブプレートであって、前記本体が、
前記第1の表面及び前記第2の表面を通って延びる第1のキドニースロットと、
前記第1の表面及び前記第2の表面を通って延びる第2のキドニースロットと、
前記本体の前記第1の表面に配設され、前記第1のキドニースロットから外方向へ、前記第2のキドニースロットに向かう方向に延びる第1のノッチと、
前記第1の表面に配設され、前記第1のキドニースロットから外方向へ、前記第2のキドニースロットに向かう方向に延びる第2のノッチであって、前記第1のノッチから離間されている第2のノッチと、
を画定する、バルブプレート。
【請求項2】
前記第1のノッチの長さが、前記第2のノッチの長さよりも大きい、請求項1に記載のバルブプレート。
【請求項3】
前記第1のノッチの幅が、前記第2のノッチの幅より大きい、請求項2に記載のバルブプレート。
【請求項4】
前記第1のキドニースロットが、第1の端部及び反対側に位置する第2の端部を含む、請求項1に記載のバルブプレート。
【請求項5】
前記第1のノッチが、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の外側部分から外方向に延びる、請求項4に記載のバルブプレート。
【請求項6】
前記第2のノッチが、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の内側部分から外方向に延び、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の前記内側部分が、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の前記外側部分よりも、径方向で前記バルブプレートの中心軸の近くに配設されている、請求項5に記載のバルブプレート。
【請求項7】
前記第1のノッチと前記第2のノッチとが、前記本体の前記第1の表面の一部分によって離間されている、請求項1に記載のバルブプレート。
【請求項8】
複数のシリンダボア、及び前記複数のシリンダボアと流体連通する複数の流体通路を画定するバレルと、
前記複数のシリンダボアに配設され、前記シリンダボア内で往復運動するように適合された複数のピストンと、
前記バレルと流体連通するバルブプレートと、を備える流体ポンプであって、前記バルブプレートが、本体を含み、前記本体が、
第1の端部及び第2の端部を有する第1のキドニースロットと、
第1の端部及び第2の端部を有する第2のキドニースロットであって、前記第2のキドニースロットの前記第2の端部が前記第1のキドニースロットの前記第1の端部に隣接するように前記本体に配設されている第2のキドニースロットと、
前記第1のキドニースロットの前記第1の端部から外方向に延びる第1のノッチと、
前記第1のキドニースロットの前記第1の端部から外方向に延びる第2のノッチであって、前記第1のノッチが前記第2のノッチから離間されており、前記第1のノッチの長さが前記第2のノッチの長さよりも大きい、第2のノッチと、
を画定する、流体ポンプ。
【請求項9】
前記第1のキドニースロットと前記第2のキドニースロットとが、移行面によって離間されている、請求項8に記載の流体ポンプ。
【請求項10】
前記第1のノッチと前記第2のノッチとが、前記移行面の一部分によって離間されている、請求項9に記載の流体ポンプ。
【請求項11】
前記第1のノッチの幅が、前記第2のノッチの幅よりも大きい、請求項8に記載の流体ポンプ。
【請求項12】
前記第1のノッチが、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の外側部分から外方向に延びる、請求項8に記載の流体ポンプ。
【請求項13】
前記第2のノッチが、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の内側部分から外方向に延び、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の前記内側部分が、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の前記外側部分よりも、径方向で前記バルブプレートの中心軸の近くに配設されている、請求項12に記載の流体ポンプ。
【請求項14】
複数のシリンダボア、及び前記複数のシリンダボアと流体連通する複数の流体通路を画定するバレルと、
前記複数のシリンダボアに配設され、前記シリンダボア内で往復運動するように適合された複数のピストンと、
前記バレルと流体連通するバルブプレートと、を備える流体ポンプであって、前記バルブプレートが、
前記複数の流体通路と間断的に流体連通する第1のキドニースロットと、
前記複数の流体通路と間断的に流体連通する第2のキドニースロットと、
前記第1のキドニースロットと前記第2のキドニースロットとの間に配設された移行面と、
前記第1のキドニースロットから前記移行面へ外方向に延びる第1のノッチと、
前記第1のキドニースロットから前記移行面へ外方向に延び、前記第1のノッチから離間されている第2のノッチと、
を含む、流体ポンプ。
【請求項15】
前記第1のノッチの長さが、前記第2のノッチの長さよりも大きい、請求項14に記載の流体ポンプ。
【請求項16】
前記第1のノッチの幅が、前記第2のノッチの幅よりも大きい、請求項15に記載の流体ポンプ。
【請求項17】
前記移行面の一部分が、前記第1のノッチと前記第2のノッチとの間に配設される、請求項14に記載の流体ポンプ。
【請求項18】
前記第1のノッチが、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の外径部分から外方向に延びる、請求項14に記載の流体ポンプ。
【請求項19】
前記第2のノッチが、前記第1のキドニースロットの前記第1の端部の内径部分から外方向に延びる、請求項18に記載の流体ポンプ。
【請求項20】
前記第1のノッチが前記流体通路の外側部分と間断的に流体連通し、前記第2のノッチが前記流体通路の内側部分と間断的に流体連通する、請求項14に記載の流体ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転グループを有する流体ポンプに関し、より詳細には、そのような流体ポンプで使用するためのバルブプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
バルブプレートは流体ポンプで使用され、流体ポンプの拡張したポンプ室に流体が提供され、収縮したポンプ室から流体を排出するための経路が提供される。流体ポンプでのバルブプレートは、長年にわたって改良されてきたが、ノイズ、及びキャビテーションによる損傷に関連する問題が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様は、流体ポンプ用のバルブプレートに関する。バルブプレートは、第1の表面及び反対側に位置する第2の表面を有する本体を含む。本体は、第1の表面及び第2の表面を通って延びる第1のキドニースロットと、第1の表面及び第2の表面を通って延びる第2のキドニースロットとを画定する。第1のノッチが、本体の第1の表面に配設され、第1のキドニースロットから外方向へ、第2のキドニースロットに向かう方向に延びる。第2のノッチが、第1の表面に配設され、第1のキドニースロットから外方向へ、第2のキドニースロットに向かう方向に延びる。第2のノッチは、第1のノッチから離間されている。
【0004】
本開示の別の態様は、流体ポンプに関する。流体ポンプは、複数のシリンダボア、及び複数のシリンダボアと流体連通する複数の流体通路を画定するバレルを含む。複数のピストンが複数のシリンダボア内に配設されている。ピストンは、シリンダボア内で往復運動するように適合される。バルブプレートは、バレルと流体連通している。バルブプレートは、第1の端部及び第2の端部を有する第1のキドニースロットと、第1の端部及び第2の端部を有する第2のキドニースロットとを含む。第2のキドニースロットは、第2のキドニースロットの第2の端部が第1のキドニースロットの第1の端部に隣接するように本体に配設される。第1のノッチは、第1のキドニースロットの第1の端部から外方向に延びる。第2のノッチは、第1のキドニースロットの第1の端部から外方向に延びる。第1のノッチは、第2のノッチから離間されている。第1のノッチの長さは、第2のノッチの長さよりも大きい。
【0005】
本開示の別の態様は、流体ポンプに関する。流体ポンプは、複数のシリンダボア、及び複数のシリンダボアと流体連通する複数の流体通路を画定するバレルを含む。複数のピストンが複数のシリンダボア内に配設されている。ピストンは、シリンダボア内で往復運動するように適合される。バルブプレートは、バレルと流体連通している。バルブプレートは、複数の流体通路と間断的に流体連通する第1のキドニースロットと、複数の流体通路と間断的に流体連通する第2のキドニースロットとを含む。移行面が、第1のキドニースロットと第2のキドニースロットとの間に配設される。第1のノッチは、第1のキドニースロットから外方向へ、移行面に延びる。第2のノッチは、第1のキドニースロットから外方向へ、移行面に延びる。第2のノッチは、第1のノッチから離間されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の原理に従う態様の例示的な特徴を有する流体ポンプの断面図である。
【
図2】
図1の流体ポンプと共に使用するのに適したバルブプレートの斜視図である。
【
図4】流体ポンプのバレルの単一の流体通路とバルブプレートとの境界面を示す、バルブプレートの正面図である。
【
図5】バレルが前進した回転位置にある、流体ポンプのバレルの単一の流体通路とバルブプレートとの境界面を示す、バルブプレートの正面図である。
【
図6】バレルが前進した回転位置にある、流体ポンプのバレルの単一の流体通路とバルブプレートとの境界面を示す、バルブプレートの正面図である。
【
図7】バレルが前進した回転位置にある、流体ポンプのバレルの単一の流体通路とバルブプレートとの境界面を示す、バルブプレートの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、添付図面に示される本開示の幾つかの例示的な態様を詳細に参照する。可能な限り、図面全体を通して、同一又は同様の構成を表すために同一の参照番号を使用する。
【0008】
ここで
図1を参照すると、流体ポンプ10が示されている。図示される実施形態では、流体ポンプ10は、ポンプハウジング12、回転グループ14、バルブプレート16、スウォッシュプレート18、及びエンドキャップ20を含む。
【0009】
流体ポンプ10のポンプハウジング12は、ポンピング室22を画定する。図示される実施形態では、回転グループ14は、ポンピング室22に配設される。
【0010】
回転グループ14は、第1の端部26及び反対側に位置する第2の端部28を有するバレル24を含む。バレル24は、バレル24の第1の端部26を通って延びる複数のシリンダボア30を画定する。バレル24は、バレル24の第2の端部28を通って延び、シリンダボア30と流体連通する複数の流体通路32をさらに画定し、各流体通路32は、対応するシリンダボア30と流体連通する。
【0011】
回転グループ14は、複数のピストン34をさらに含む。各ピストン34は、第1の軸方向端部36及び反対側に位置する第2の軸方向端部38を含む。ピストン34の第1の軸方向端部36は、シリンダボア30に配設される。ピストン34の第2の軸方向端部38は、スリッパ40と接触して配設される。スウォッシュプレート18の角度がゼロよりも大きいとき、バレル24が回転すると、ピストン34は、シリンダボア30内で往復運動するように適合される。バレル24が回転すると、スリッパ40は、スウォッシュプレート18の表面にわたって摺動する。
【0012】
図示される実施形態では、バレル24の中央穴42は、入力シャフト44と係合されている。図示される実施形態では、バレル24の中央穴42は、入力シャフト44とスプライン係合している。ポンピングモードでは、入力シャフト44の回転に応じて、回転グループ14が中心軸46の周りを回転する。
【0013】
流体ポンプ10は、流体入口及び流体出口(図示せず)を画定する。この一実施形態では、エンドキャップ20は、流体入口及び流体出口を画定する。流体入口及び流体出口は、バルブプレート16を貫いて回転グループ14のシリンダボア30と流体連通し、このバルブプレート16は、図示される実施形態では静止している。スウォッシュプレート18の角度がゼロよりも大きいとき、流体は、流体入口から、バルブプレート16を通って、拡張したシリンダボア30へ入り、入力シャフト44の回転に応じて、拡張したシリンダボア30に対応する流体通路32に入る。入力シャフト44が回転すると、流体は、対応する流体通路及びバルブプレート16を通り、さらに流体出口を通って、収縮したシリンダボア30から排出される。
【0014】
ここで
図2及び3を参照すると、バルブプレート16が示されている。バルブプレート16は、本体50を含む。本体50は、第1の表面52及び反対側に位置する第2の表面54を含む。本体50は、第1の表面52及び第2の表面54を通って延びる中央開口部56を画定する。中央開口部56は、中心軸58を定義する。バルブプレート16が流体ポンプ10に配設されるとき、バルブプレート16の中心軸58は、概して中心軸46と位置合わせされる。
【0015】
バルブプレート16の本体50は、さらに、第1のキドニースロット60及び第2のキドニースロット62を画定する。第1のキドニースロット60及び第2のキドニースロット62は、本体50の第1の表面52及び第2の表面54を通って延びる。図示される実施形態では、第1のキドニースロット60及び第2のキドニースロット62は、概して弧状である。
【0016】
第1のキドニースロット60は、第1の端部64及び反対側に位置する第2の端部66を含む。第2のキドニースロット62は、第1の端部68及び反対側に位置する第2の端部70を含む。本体50は、円周基準線71を含む。円周基準線71は、第1のキドニースロット60及び第2のキドニースロット62の中央を通過するように、第1のキドニースロット60の第1の端部64及び第2の端部66、並びに第2のキドニースロット62の第1の端部68及び第2の端部70を二等分する。第1のキドニースロット60及び第2のキドニースロット62は、バルブプレート16の中心軸58の周りで円周基準線71上に配設される。
【0017】
第1のキドニースロット60と第2のキドニースロット62とは、概して互いに隣接している。図示される実施形態では、第1のキドニースロット60の第1の端部64は、第2のキドニースロット62の第2の端部70に隣接して配設される。
【0018】
第1のキドニースロット60は、流体入口及び流体出口のうちの一方と流体連通し、第2のキドニースロット62は、流体入口及び流体出口のうちの他方と流体連通する。好ましい実施形態では、第1のキドニースロット60は流体出口と流体連通し、第2のキドニースロット62は流体入口と流体連通する。
【0019】
この一実施形態では、第1のキドニースロット60は、複数のキドニースロットを含む。図示される実施形態では、第1のキドニースロット60は、4つのキドニースロットを含む。
【0020】
スウォッシュプレート18がゼロよりも大きい角度で配設されているときに、回転グループ14が入力シャフト44の回転に応じて回転すると、バレル24の流体通路32がバルブプレート16の第1の表面52にわたって摺動し、流体通路32は、ピストン34がシリンダボア30内に後退するときには第1のキドニースロット60と流体連通し、ピストン34がシリンダボア30から延出するときには第2のキドニースロット62と流体連通する。第1のキドニースロット60は、移行面72によって第2のキドニースロット62から離間されている。移行面72は、ピストン34が延出と後退の間で移行しているバルブプレート16の第1の表面52上の位置に配設されている。
【0021】
バルブプレート16の本体50は、さらに、第1のノッチ74及び第2のノッチ76を画定する。第1のノッチ74及び第2のノッチ76は、バルブプレート16の第1の表面52に配設され、第1のキドニースロット60と流体連通する。第1のノッチ74及び第2のノッチ76は、流体ポンプ10のノイズを低減するように構成され、またバルブプレート16の第1の表面52のキャビテーションによる浸食の可能性を低減するように構成されている。
【0022】
第1のノッチ74は、第1のキドニースロット60から外方向へ、第2のキドニースロット62に向かう方向に延びる。第1のノッチ74に関する「第2のキドニースロット62に向かう」という語句は、本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、バレル24が回転するときに及び流体通路32が移行面64を通過するときに、第1のノッチ74がバレル24の流体通路32の一部と重なり、それにより第1のノッチ74と流体通路32との間に間断的な流体連通を確立するような方向であることを理解されたい。
【0023】
図示される実施形態では、第1のノッチ74は、第1のキドニースロット60から直線的に外方向に延びる。他の実施形態では、第1のノッチ74は弧状である。図示される実施形態では、第1のノッチ74は、長さL1だけ、第1のキドニースロット60から外方向に延びる。一実施形態では、第1のノッチ74はU字形ノッチである。別の実施形態では、第1のノッチ74はV字形ノッチである。第1のノッチ74は、幅W1を有する。
【0024】
第2のノッチ76は、第1のキドニースロット60から外方向へ、第2のキドニースロット62に向かう方向に延びる。図示される実施形態では、第2のノッチ76は、第1のキドニースロット60から直線的に外方向に延びる。他の実施形態において、第2のノッチ76は弧状である。第2のノッチ76に関する「第2のキドニースロット62に向かう」という語句は、本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、バレル24が回転するときに及び流体通路32が移行面72を通過するときに、第2のノッチ76がバレル24の流体通路32の一部と重なり、それにより第2のノッチ76と流体通路32との間に間断的な流体連通を確立するような方向であることを理解されたい。
【0025】
第2のノッチ76は、長さL2だけ、第1のキドニースロット60から外方向に延びる。一実施形態では、第2のノッチ76はU字形ノッチである。別の実施形態では、第2のノッチ76はV字形ノッチである。第2のノッチ76は、幅W2を有する。
【0026】
図示される実施形態では、第1のノッチ74の長さL1は、第2のノッチ76の長さL2よりも大きい。図示される実施形態では、第1のノッチ74の幅W1は、第2のノッチ76の幅W2よりも大きい。
【0027】
第2のノッチ76は、第1のノッチ74から離れており別個である。第2のノッチ76は、バルブプレート16の第1の表面52の部分78によって第1のノッチ74から離間され、したがって第1の表面52の部分78は、第1のノッチ74と第2のノッチ76との間に配設される。第1のノッチ74及び第2のノッチ76は、第1のキドニースロット60から外方向へ、移行面72に延びる。
【0028】
図示される実施形態では、第1のノッチ74は、第1のキドニースロット60の第1の端部64の外側部分84から外方向に延びる。第2のノッチ76は、第1のキドニースロット60の第1の端部64の内側部分86から外方向に延びる。第1のキドニースロット60の第1の端部64の外側部分84は、円周半径71の外側に配設され、第1のキドニースロット60の第1の端部64の内側部分86は、円周基準線71の内側に配設され、中心軸58から第1のキドニースロット60の第1の端部64の外側部分84までの距離が、中心軸58から第1の端部64の内側部分86までの距離よりも大きい。
【0029】
ここで
図1及び4~6を参照して、流体ポンプ10の動作を述べる。上述したように、入力シャフト44が回転し、回転グループ14を回転させる。回転グループ14が回転するとき、流体は、バレル24の流体通路32と第2のキドニースロット62との境界面を通って、シリンダボア30に入る。流体は、バレル24の流体通路32と第1のキドニースロット60との境界面を通って、シリンダボア30から排出される。
図4~6は、流体通路32が移行面72を通過するときの、複数の流体通路32の1つと、第1のキドニースロット60及び第2のキドニースロット62との境界面を示す。
【0030】
ここで
図4を参照すると、第2のキドニースロット62と流体連通する流体通路32が示されている。
図5では、流体通路32が移行面72にある位置でバレル24が示されている。移行面72で、流体通路32は、第2のキドニースロット62と流体連通しなくなる。バレル24が回転すると、流体通路32の内径部分に低圧領域90が生じる。この低圧領域90は、一因として遠心力により形成され、遠心力は、バレル24の回転によって引き起こされ、流体通路32内の流体に作用する。第1のノッチ74と流体通路32との境界面で流体通路32に入る高速の流体も、低圧領域90の一因となる。遠心力は、流体を流体通路32の外径部分に向かって再分配し、流体通路32の内径部分での流体の圧力を低下させる。低圧領域90の流体の圧力が流体の蒸気圧未満に低下するとき、流体に蒸気泡が生成される。
【0031】
図6に示される位置で、流体通路32の外径部分は、第1のノッチ74と流体連通する。第1のノッチ74と流体通路32との流体連通は、流体通路32内の流体の圧力上昇率を制御できるように適合される。流体通路32内の圧力上昇率のこの制御により、流体ポンプ10のノイズが低減される。
【0032】
ここで
図7を参照すると、流体通路32が移行面72を引き続き通過するとき、流体通路32の外径部分が第1のノッチ74と流体連通を維持したままで、流体通路32の内径部分が第2のノッチ76と流体連通する。一実施形態では、第2のノッチ76の長さL2は、第1のノッチ74の長さL1よりも小さい。一実施形態では、流体通路32は、ピストン34がボア30内で後退を始めるまで、第2のノッチ76と流体連通を開始しない。ボア30内でのピストン34の後退、及び第2のノッチ76を通る流体通路32への流体の導入の制御により、流体通路32の低圧領域90での流体圧力が漸進的に上昇する。流体中のこの漸進的な上昇は、より低い崩壊率で蒸気泡を崩壊し、このことによりバルブプレート16の第1の表面52の浸食の可能性が低減される。
【0033】
本開示の範囲及び精神から逸脱することなく本開示の様々な修正及び変更が当業者には明らかであり、本開示の範囲は、本明細書に記載される例示的実施形態に不当に限定されないことが理解されるべきである。
【国際調査報告】