(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】車輪のブレーキキャリパ又はサスペンションの検出位置において作用する接線力と法線力を同時に検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/162 20200101AFI20220824BHJP
【FI】
G01L5/162
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573540
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 IB2020055531
(87)【国際公開番号】W WO2020250191
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019000008865
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】カモッツィ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ミラネージ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】バラーレ,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】デ ノヴェッリス,レオナルド
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB10
2F051BA07
2F051DA02
(57)【要約】
車輪のブレーキキャリパ又はサスペンションにおいて作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出するための装置が記載されている。検出装置1は、法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftとの両方を検出するように構成されており、ピエゾ抵抗効果によって、検出される法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftを示す1つ以上の電気信号SA,SBを発信するように構成されている力センサアセンブリ3を含む板状のケーシング2を備える。装置1はまた、ケーシング2に統合されて、且つ発信された1つ以上の電気信号SA,SBを利用できるようにするため、2軸力センサ3に接続されている電気的インターフェース4を備える。装置とシステムはまた、車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するために記載されており、上述の検出装置、及び上述の装置を用いてブレーキ力を推定する機能を有するブレーキキャリパシステムを備える。対応する方法はまた、車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するように、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力、又は車輪のアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる力の接線成分と法線成分を同時に検出するために記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪のブレーキキャリパ(100)又はサスペンション(200)の検出部(Z)において作用する力の法線成分と接線成分を同時に検出するための検出装置(1)であって、
基準面(P)に沿って主に延びる板状のケーシング(2)を備えており、
前記ケーシング(2)は、互いに拘束及び/又は溶接されている2つの部分によって形成されており、
第1の部分(20)は、前記ケーシングの外側に向けて、前記基準面(P)と平行であり、且つ前記検出部(Z)の近くに接して配置されるように構成されている第1平面を有しており、
第2の部分(21)は、前記ケーシングの外側に向けて、前記基準面(P)と平行であり、且つ締結手段(5)の近くに接して配置されるように構成されている第2平面を有しており、
前記検出装置(1)は、
前記ケーシング(2)に収容されて、且つ前記ケーシング(2)の前記第1の部分(20)と前記第2の部分(21)に機械的に拘束及び/又は溶接されている力センサアセンブリ(3)を備えており、
前記力センサアセンブリ(3)は、
前記基準面(P)に垂直な方向において、前記ケーシング(2)において作用する法線力(Fn)を示す、前記ケーシング(2)による接触と圧力により、前記力センサアセンブリ(3)に伝達される法線力の成分(fn)と、
前記基準面(P)によって定められるそれぞれの少なくとも1つの接線方向において、前記ケーシング(2)において作用する横力(Ft)を示す、前記ケーシング(2)による接触と圧力により、前記力センサアセンブリ(3)に伝達される少なくとも1つの接線力の成分(ft)との両方を検出するように構成されており、
前記力センサアセンブリ(3)は、ピエゾ抵抗効果によって、検出される前記法線力の成分(fn)と少なくとも1つの前記接線力の成分(ft)を示す1つ以上の電気信号(SA,SB)を発信するように構成されており、
前記検出装置(1)は、
前記ケーシング(2)に統合されて、且つ発信された1つ以上の前記電気信号(SA,SB)を利用できるようにするため、前記力センサアセンブリ(3)に接続されている電気的インターフェース(4)を備えることを特徴とする、検出装置(1)。
【請求項2】
前記検出装置(1)は、板状の前記ケーシング(2)に設けられる少なくとも1つの開口部(6)を備えており、
前記開口部(6)は、前記検出装置(1)が、車両の車輪、ブレーキキャリパ(100)、及び/又はサスペンション(200)の一部に向けて加圧されて締結されることを保証するため、外部の締結手段(5)と係合するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項3】
前記ケーシング(2)は、外部のねじ状の締結手段(5)によって横断されるように構成されている少なくとも1つの開口部(6)を備える円盤形の板状及び/又はワッシャ状のケーシングであり、
及び/又は前記ケーシング(2)は、互いに取り外されて、互いに再接続され得る2つの部分によって形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項4】
前記検出装置(1)は、正しい互いの締結位置を定めるため、前記検出装置(1)が取り付けられるブレーキ、サスペンション、又は他の車輪の部品の締結領域のそれぞれの部品と結合するように構成されている結合要素(7)を備えることを特徴とする、請求項2又は請求項3のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項5】
前記力センサアセンブリ(3)は、少なくとも1つの2軸力センサアセンブリ(3)を備えており、
前記2軸力センサアセンブリ(3)は、
前記法線力の成分(fn)を検出して、少なくとも1つの第1の電気信号(SA)を発信するように構成されている少なくとも1つの法線力の第1センサ要素(31)と、
前記接線力の成分(ft)を検出して、少なくとも1つの第2の電気信号(SB)を発信するように構成されている少なくとも1つの接線力の第2センサ要素(32)とを備えており、
少なくとも1つの第1の前記電気信号(SA)と少なくとも1つの第2の前記電気信号(SB)の集合は、それぞれの検出された力の成分、すなわち、検出された前記法線力の成分(fn)と、検出された前記接線力の成分(ft)との両方を示すことを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの第1の前記電気信号(SA)は、検出された前記法線力の成分(fn)を示す電気信号(Sn)であり、
少なくとも1つの第2の前記電気信号(SB)は、検出された前記接線力の成分(ft)を示す電気信号(St)であることを特徴とする、請求項5に記載の検出装置(1)。
【請求項7】
センサのグループ(3)、前記力センサアセンブリ(3)、及び/又は少なくとも1つの第1センサ要素(31)と少なくとも1つの第2センサ要素(32)は、微小電気機械システム(MEMS)技術により形成されるピエゾ抵抗センサを備えることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項8】
前記検出装置(1)は、互いに直交する位置に配置される少なくとも1つの第1の2軸力センサアセンブリ(3)、及び少なくとも1つの第2の2軸力センサアセンブリ(3’)を備えており、
前記第1の2軸力センサアセンブリ(3)は、前記基準面(P)に対して垂直である方向(n)に沿うそれぞれの法線力の成分を検出して、前記基準面(P)の第1接線方向(ta)に沿うそれぞれの第1の接線力の成分(fta)を検出するように構成されており、
前記第2の2軸力センサアセンブリ(3’)は、前記基準面(P)に対して垂直である方向(n)に沿うそれぞれの法線力の成分を検出して、前記第1接線方向(ta)と直交する前記基準面(P)の第2接線方向(tb)に沿うそれぞれの第2の接線力の成分(ftb)を検出するように構成されているため、
前記検出装置(1)は、2つのセンサアセンブリによって検出される前記法線力の成分(fn)と、検出される前記第1の接線力の成分(fta)及び前記第2の接線力の成分(ftb)との両方に基づいて、前記検出装置(1)において作用する前記法線力(Fn)と前記接線力(Ft)を判定し得ることを特徴とする、請求項5から請求項7までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項9】
前記検出装置(1)は、複数の前記2軸力センサアセンブリ(3)を備えており、
複数の前記2軸力センサアセンブリ(3)は、それぞれの位置におけるそれぞれの複数の前記法線力の成分(fn)と前記接線力の成分(ft)を検出するため、またそれぞれの複数の第1の電気信号(Sn1)~(Sn4)、及びそれぞれの複数の第2の電気信号(St1)~(St4)を発信するため、前記検出装置(1)の異なる位置に配置されていることを特徴とする、請求項5から請求項8までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項10】
前記力センサアセンブリ(3)のそれぞれのセンサ要素(31),(32)は、直接的又は間接的に、前記検出装置(1)の前記ケーシング(2)の上面(20)と下面(21)の両方に機械的に拘束されており、
前記力センサアセンブリ(3)は、少なくとも1つの第1の前記センサ要素(31)と少なくとも1つの第2の前記センサ要素(32)のそれぞれに動作できるように接続されている第1チップ(38)と第2チップ(39)を備えることを特徴とする、請求項6から請求項9までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項11】
前記検出装置(1)は、電子的処理手段(8)を備えており、
前記電子的処理手段(8)は、
前記力センサアセンブリ(3)によって発信する1つ以上の第1の前記電気信号(SA)と第2の前記電気信号(SB)を受信するため、前記電気的インターフェース(4)に接続されて、
受信される1つ以上の第1の前記電気信号(SA)と第2の前記電気信号(SB)に基づいて、それぞれの1つ以上の検出領域(Z)における前記法線力の成分(fn)と前記接線力の成分(ft)を判定するように構成されており、
前記電子的処理手段(8)は、前記検出装置(1)に統合されていることを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項12】
前記電子的処理手段(8)は、
少なくとも1つの第1の前記電気信号(Sn)と少なくとも1つの第2の前記電気信号(St)に基づいて、前記法線力の成分(fn)と前記接線力の成分(ft)を判定するように、
または前記複数の第1の電気信号(Sn1)~(Sn4)、及び前記複数の第2の電気信号(St1)~(St4)に基づいて、複数の前記法線力の成分(fn)と前記接線力の成分(ft)を判定するように構成されていることを特徴とする、請求項6又は請求項8、及び請求項11に記載の検出装置(1)。
【請求項13】
前記検出装置(1)は、第3センサ要素(33)を備えており、
前記第3センサ要素(33)は、前記検出装置(1)に統合されて、前記検出部(Z)における温度の値を検出して、検出された温度を示す少なくとも1つの第3の電気信号(Sc)を発信するように構成されており、
前記電子的処理手段(8)は、第1の前記電気信号(SA),(Sn)、少なくとも1つの第2の前記電気信号(SB),(St)、及び少なくとも1つの第3の前記電気信号(Sc)に基づいて、少なくとも1つの前記法線力の成分(fn)と少なくとも1つの前記接線力の成分(ft)を判定するように構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項12までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項14】
前記ケーシング(2)の前記第1の部分(20)の前記第1平面、及び前記ケーシング(2)の前記第2の部分(21)の前記第2平面は、それぞれ、前記ブレーキキャリパ(100)の前記検出部(Z)に対して、及び前記締結手段(5)に対して、前記第1平面及び前記第2平面の摩擦を増加するように構成されている表面変質を有しており、
前記第1平面と前記第2平面は、それぞれ、作動状態において接触していることを特徴とする、請求項1から請求項13までのいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項15】
前記ケーシング(2)の前記第1の部分(20)の前記第1平面、及び前記ケーシング(2)の前記第2の部分(21)の前記第2平面の前記表面変質は、
機械的表面処理、例えばローレット切り、
レーザ技術などによって得られる表面のテクスチャリング、
又はコーティングによって得られることを特徴とする、請求項14に記載の検出装置(1)。
【請求項16】
車輪のブレーキキャリパ(100)又はサスペンション(200)の検出部(Z)において作用する力の法線成分(fn)と接線成分(ft)を同時に検出するためのシステム(10)であって、
請求項1から請求項15までのいずれかに記載の法線力の成分(fn)と接線力の成分(ft)を同時に検出するための検出装置(1)と、
電子的処理手段(8)とを備えており、
前記電子的処理手段(8)は、
力センサアセンブリ(3)によって発信する1つ以上の電気信号(SA),(SB)を受信するため、前記検出装置(1)の電気的インターフェース(4)に動作できるように接続されて、
前記力センサアセンブリ(3)のセンサ要素によって発信する1つ以上の前記電気信号(SA),(SB)に基づいて、検出領域における前記法線力の成分(fn)と少なくとも1つの前記接線力の成分(ft)を判定するように構成されていることを特徴とする、システム(10)。
【請求項17】
前記電子的処理手段(8)は、車輪のブレーキキャリパ(100)、ジョイント、及び/又はハーネスに収容される、又は取り付けられることを特徴とする、請求項16に記載のシステム(10)。
【請求項18】
前記検出装置(1)は、請求項8に従っており、
前記電子的処理手段(8)は、それぞれの複数の前記センサ要素によって発信する複数の電気信号(St1)~(St4),(Sn1)~(Sn4)に基づいて、前記センサ要素の位置に対応する前記検出領域における前記法線力の成分(fn)と少なくとも1つの前記接線力の成分(ft)を判定するように構成されていることを特徴とする、請求項16又は請求項17に記載のシステム(10)。
【請求項19】
車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための装置であって、
請求項11に記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための検出装置(1)を備えており、
電子的処理手段(8)は、少なくとも1つの検出位置における力センサアセンブリ(3)によって検出される法線力の成分(fn)と少なくとも1つの接線力の成分(ft)に基づいて、前記ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項20】
車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するためのシステムであって、
請求項16から請求項18までのいずれかに記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するためのシステム(10)を備えており、
電子的処理手段(8)は、少なくとも1つの検出位置における力センサアセンブリ(3)によって検出される法線力の成分(fn)と少なくとも1つの接線力の成分(ft)に基づいて、前記ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項21】
車輪のブレーキキャリパ(100)において作用する力、又は車輪のアクスルとサスペンション(200)との間でやりとりされる力の法線成分と接線成分を同時に検出するための方法であって、
支持及び締結手段(5)によって、少なくとも1つの検出装置(1)を、前記ブレーキキャリパ(100)、前記サスペンション(200)、又は前記サスペンション(200)と前記アクスルとの間のジョイントのそれぞれの検出部(Z)に締結するステップを備えており、
少なくとも1つの前記検出装置(1)は、請求項1から請求項15までのいずれかに記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための検出装置であって、
前記方法は、
前記検出装置(1)に設けられている力センサアセンブリ(3)によって、法線力の成分(fn)を検出するステップを備えており、
前記検出装置(1)のケーシングの第1平面(20)と第2平面(21)は、前記支持及び締結手段(5)と前記検出部(Z)によって与えられる接触と圧力により、前記法線力の成分(fn)が示す法線力(Fn)を受けて、
前記検出装置(1)は、前記支持及び締結手段(5)と前記検出部(Z)との間で締結されており、
前記方法は、
同じ前記力センサアセンブリ(3)によって、少なくとも1つの接線力の成分(ft)を検出するステップを備えており、
前記検出装置(1)の前記ケーシングの前記第1平面(20)と前記第2平面(21)は、前記支持及び締結手段(5)と前記検出部(Z)によって与えられる接触と圧力により、前記接線力の成分(ft)が示す横力(Ft)又はせん断力を受けて、
前記検出装置(1)は、前記支持及び締結手段(5)と前記検出部(Z)との間で締結されており、
前記方法は、
前記検出装置(1)に動作できるように接続されている電子的処理手段(8)によって、前記検出装置(1)によって検出される少なくとも1つの前記接線力の成分(ft)と前記法線力の成分(fn)に基づいて、前記ブレーキキャリパ(100)の前記検出部(Z)において作用する前記接線力(Ft)と前記法線力(Fn)、又は前記アクスルと前記サスペンション(200)との間でやりとりされる前記力を判定するステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項22】
前記方法は、
互いに直交する位置に配置される少なくとも1つの第1の力センサアセンブリ(3)、及び少なくとも1つの第2の力センサアセンブリ(3’)を備える検出装置(1)を用いて、
前記第1の力センサアセンブリ(3)によって、基準面(P)に対して垂直である方向(n)に沿うそれぞれの法線力の成分を検出して、前記基準面(P)の第1接線方向(ta)に沿うそれぞれの第1の接線力の成分(fta)を検出するステップと、
前記第2の力センサアセンブリ(3’)によって、前記基準面(P)に対して垂直である方向(n)に沿うそれぞれの法線力の成分を検出して、前記基準面(P)の第2接線方向(tb)に沿うそれぞれの第2の接線力の成分(ftb)を検出するステップと、
2つのセンサアセンブリによって検出される前記法線力の成分(fn)と、検出される前記第1の接線力の成分(fta)及び前記第2の接線力の成分(ftb)との両方に基づいて、前記検出装置(1)において作用する前記法線力(Fn)と前記接線力(Ft)を判定するステップとを備えることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、車輪のブレーキキャリパ(100)において作用する力の前記接線成分と前記法線成分を同時に検出することを目的としており、
前記支持及び締結手段(5)は、ブレーキキャリパ支持部(51)と少なくとも1つのねじ状締結要素(52)を備えており、
締結する前記ステップは、少なくとも1つの前記ねじ状締結要素(52)によって、前記ブレーキキャリパ支持部(51)の平面部(53)と、ブレーキキャリパボディのそれぞれの少なくとも1つの取り付け位置(54)との間において、少なくとも1つの前記検出装置(1)を締め付けることを備えるため、
前記検出装置(1)の第1の部分(20)の第1平面は、前記ブレーキキャリパボディの近くに接しており、
前記検出装置(1)の第2の部分(21)の第2平面は、前記ブレーキキャリパ支持部(51)の前記平面部(53)の近くに接することを特徴とする、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
締結する前記ステップは、それぞれの検出領域において、複数の前記検出装置(1)をそれぞれの締結位置に締結することを備えており、
判定する前記ステップは、それぞれの位置において、前記検出装置(1)によって検出される前記接線力の成分(ft)と前記法線力の成分(fn)に基づいて、前記検出領域において作用する力の前記接線成分と前記法線成分を判定することを備えることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
締結する前記ステップは、
前記ブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置(54a)において、第1のねじ状締結要素(52a)によって、第1の検出装置(1a)を締結することと、
前記ブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置(54b)において、第2のねじ状締結要素(52b)によって、第2の検出装置(1b)を締結することを備えており、
又は締結する前記ステップは、
前記ブレーキキャリパボディの前記第1の取り付け位置(54a)と前記ブレーキキャリパ支持部(51)の第1平面部(53a)との間において、前記第1のねじ状締結要素(52a)によって、前記第1の検出装置(1a)を締結することと、
前記ブレーキキャリパ支持部(51)の第2平面部(53c)と前記第1のねじ状締結要素(52a)の一端との間において、第2の検出装置(1c)を締結することを備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
締結する前記ステップは、
前記ブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置(54a)において、第1のねじ状締結要素(52a)によって、第1の検出装置(1a)及び第2の検出装置(1b)を締結することと、
前記ブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置(54b)において、第2のねじ状締結要素(52b)によって、第3の検出装置(1c)及び第4の検出装置(1d)を締結することを備えることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、車輪のアクスル(60)とサスペンション(200)との間でやりとりされる前記接線力(Ft)と前記法線力(Fn)を同時に検出することを目的としており、
前記支持及び締結手段(5)は、サスペンションを、少なくとも1つの締結要素(62)を備えるアクスルに取り付けるための手段(61)を備えており、
締結する前記ステップは、サスペンションをアクスルに取り付けるための前記手段(61)において、少なくとも1つの前記締結要素(62)によって、少なくとも1つの前記検出装置(1)を締め付けることを備えることを特徴とする、請求項21又は請求項22のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための方法であって、
請求項11に記載の検出装置によって、請求項21から請求項26までのいずれかに記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための方法を実行するステップと、
電子的処理手段によって、少なくとも1つの検出位置において、前記検出装置によって検出される前記法線力の成分と少なくとも1つの前記接線力の成分に基づいて、前記ブレーキ力及び/又は前記ブレーキトルクを判定するステップとを備えることを特徴とする、方法。
【請求項29】
前記方法は、複数の力の接線成分と法線成分を検出するステップを備えており、
前記力は、車輪のブレーキキャリパの複数の検出領域において作用する力、又は前記車輪のアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる力であって、
判定する前記ステップは、複数の前記検出領域において、前記検出装置によって検出される複数の前記力の前記法線成分と前記接線成分に基づいて、前記ブレーキ力及び/又は前記ブレーキトルクを判定することを備えることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
判定する前記ステップは、
検出される少なくとも1つの接線力の成分(ft)、又は2つの直交する接線力の成分(fta),(ftb)に基づいて、近似のブレーキ力又はブレーキトルクの値を推定すること、
前記ブレーキ力又は前記ブレーキトルクを得るため、法線成分(fn)に基づいて、前記近似のブレーキ力又はブレーキトルクの値のキャリブレーション及び/又は調整を行うことを備えることを特徴とする、請求項28又は請求項29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
ブレーキ力推定機能を有するブレーキキャリパシステム(101)であって、
ブレーキキャリパボディ、及び支持部に対する取り付け部の少なくとも1つの位置(54)を有するブレーキキャリパ(100)と、
ブレーキキャリパ支持部(51)と、
少なくとも1つの検出装置(1)と、
少なくとも1つの取り付けの前記位置(54)において、前記ブレーキキャリパボディを前記ブレーキキャリパ支持部(51)に取り付けるように構成されている締結手段(52,52’)とを備えており、
前記締結手段(52,52’)は、少なくとも1つの取り付けの前記位置(54)において、少なくとも1つの力の前記検出装置(1)を締結するように構成されているため、
前記検出装置(1)は、少なくとも1つの取り付けの前記位置(54)において作用する力の法線成分(fn)と少なくとも1つの接線成分(ft)、又は2つの直交する接線成分(fta),(ftb)を検出して、
少なくとも1つの前記検出装置(1)は、請求項1から請求項15までのいずれかに記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための装置であって、
前記ブレーキキャリパシステム(101)は、電子的処理手段(8)を備えており、
前記電子的処理手段(8)は、
力センサアセンブリ(3)によって発信する1つ以上の電気信号(SA),(SB)を受信するため、前記検出装置(1)の電気的インターフェース(4)に動作できるように接続されて、
前記力センサアセンブリ(3)のセンサ要素によって発信する1つ以上の前記電気信号(SA),(SB)に基づいて、それぞれの少なくとも1つの前記検出装置(1)に作用するブレーキ力、法線力(Fn)、及び/又は接線力(Ft)を判定するように構成されており、
前記電気信号(SA),(SB)は、前記検出装置(1)によって検出される法線力の成分(fn)と少なくとも1つの接線力の成分(ft)、又は2つの直交する接線力の成分(fta),(ftb)を示すことを特徴とする、ブレーキキャリパシステム(101)。
【請求項32】
前記ブレーキキャリパシステム(101)は、単一の検出装置(1)を備えており、
支持及び締結手段(5)は、ブレーキキャリパ支持部(51)とねじ状締結要素(52)とを備えており、
前記支持及び締結手段(5)は、少なくとも1つの前記ねじ状締結要素(52)によって、前記ブレーキキャリパ支持部(51)の平面部(53)と、前記ブレーキキャリパボディのそれぞれの取り付けの前記位置(54)との間において、前記検出装置(1)を締め付けるように構成されているため、
前記検出装置(1)の第1の部分(20)の第1平面は、前記ブレーキキャリパボディの取り付けの前記位置(54)の近くに接しており、
前記検出装置(1)の第2の部分(21)の第2平面は、前記ブレーキキャリパ支持部(51)の前記平面部(53)の近くに接しており、
又は前記ブレーキキャリパシステム(101)は、それぞれの検出領域において、それぞれの締結位置に締結されている複数の前記検出装置(1)を備えており、
又は前記ブレーキキャリパシステム(101)は、第1のねじ状締結要素(52a)によって締結される前記ブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置(54a)における第1の検出装置(1a)、及び第2のねじ状締結要素(52b)によって締結される前記ブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置(54b)における第2の検出装置(1b)の2つの前記検出装置(1)を備えており、
又は前記ブレーキキャリパシステム(101)は、前記ブレーキキャリパボディの前記第1の取り付け位置(54a)と前記ブレーキキャリパ支持部(51)の第1平面部(53a)との間において、前記第1のねじ状締結要素(52a)によって締結される第1の検出装置(1a)、及び前記ブレーキキャリパ支持部(51)の第2平面部(53c)と前記第1のねじ状締結要素(52a)の一端との間において締結される第2の検出装置(1c)の2つの前記検出装置(1)を備えており、
又は前記ブレーキキャリパシステム(101)は、前記ブレーキキャリパボディの前記第1の取り付け位置(54a)において、前記第1のねじ状締結要素(52a)によって締結される第1の検出装置(1a)と第2の検出装置(1c)、及び前記ブレーキキャリパボディの前記第2の取り付け位置(54b)において、前記第2のねじ状締結要素(52b)によって締結される第3の検出装置(1b)と第4の検出装置(1d)の4つの前記検出装置(1)を備えており、
又は前記ブレーキキャリパシステム(101)は、3つの前記検出装置(1)を備えて、
2つの前記検出装置(1)は、前記ブレーキキャリパ支持部(51)の前記第1の取り付け位置(54a)に締結されて、
1つの前記検出装置(1)は、前記ブレーキキャリパ支持部(51)の前記第2の取り付け位置(54b)に締結されており、
又は前記ブレーキキャリパシステム(101)は、ブレーキキャリパパッドのそれぞれの締結ピンに配置されて締結されている1つ以上の前記検出装置(1)を備えることを特徴とする、請求項31に記載のブレーキキャリパシステム(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号又は電子信号を与えることができるセンサに基づいて、力検出装置及びそれに関連する方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、車輪のブレーキキャリパ又はサスペンションの検出位置において作用する接線力と法線力を同時に検出するための装置及び方法である。
【0003】
本発明は、上述の装置を備えるブレーキキャリパシステムに関する。
【0004】
また、本発明は、車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための装置、システム、及び方法に関する。この車両のブレーキキャリパは、上述の検出装置を用いる。
【背景技術】
【0005】
ブレーキシステム、例えば電子制御されたディスクブレーキシステムの制御、モニタ、及び実施のため、ブレーキ動作の間、ブレーキシステムのブレーキキャリパによって発するブレーキ力又はブレーキトルクの値をできる限り正確にリアルタイムで知ることは有用である。
【0006】
一方、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを、直接、正確、且つ確実に測定することは難しい。したがって、このような値は、一般的に推定される、及び/又は間接的に計算されて、このような推定又は計算が、必要な精度要求を完全に満足しないという欠点を伴う。
【0007】
これに関して、背景技術は、間接的である一方、ブレーキトルク及び/又はブレーキ力、例えば、ブレーキキャリパの異なる位置において作用する力に厳密に関連する量に関する測定に基づいて、ブレーキトルク及び/又はブレーキ力を判定するための傾向を示す。
【0008】
一方、できる限り小型のセンサ装置を用いるための別の必要性を考慮する必要がある。したがって、センサ装置は、機能的異常を生じることなく、ブレーキシステムに簡単に統合され得る。
【0009】
これに関して、応力センサを用いることによって、ブレーキキャリパ支持部と車両のハブとの間において作用する横力(せん断力)又は法線力を検出及び/又は測定できる一部の小型のセンサ装置が知られている。
【0010】
一方、この既知の装置は、低い精度により、測定できる力の相対的に限定された範囲において、実行される横力又は軸力の測定に基づいて、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定できる。
【0011】
また、せん断力だけを測定するための装置の場合、この装置によってもたらされる結果は、2つの構成要素を締結するために用いられるねじの締め付けトルクに完全に依存しない。力は、この2つの構成要素の間で測定される。すなわち、この結果は、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクの推定の精度に関する外乱を構成する軸力に依存しない。
【0012】
上述を考慮して、ブレーキトルク及び/又はブレーキ力を正確に判定するための装置と方法を考案する必要性が強く感じられる。
【0013】
上述の要求に密接に関係して、ブレーキシステムの状況で効果的に利用できるような小型と精度の特徴を有する車輪のブレーキキャリパ及び/又はサスペンションにおける1つ以上の検出位置において作用する接線力と法線力を同時に検出するための装置と方法を考案する必要がある。
【0014】
つまり、例えばブレーキキャリパの1つ以上の検出位置において作用する接線力と法線力の正確な測定を得ること自体は、一般的に、ブレーキシステムの電子制御における複数の適用に対して有用である。
【0015】
最も有用な適用の間、上述のいずれかの必要性に応じて、検出される法線力及び接線力の成分に基づいて、ブレーキ動作の間にリアルタイムで作用するブレーキ力及び/又はブレーキトルクを推定及び/又は判定できる。
【0016】
この状況に適用できる、所定の位置において作用する接線力及び法線力を測定するための装置において所望される別の要求は、小型であり、特に軸方向の寸法、厳密な環境条件における動作を保証するようなロバスト性、(例えば、ブレーキキャリパをハブホルダに締結するように既に設けられている締結システムを用いる)組み立ての容易性、このシステムの複数の位置、ジョイント、及び/又はジャンクションにおける軸方向又は径方向のアセンブリを有する固定式又は浮動式キャリパディスクブレーキの状況における利用の多用途性、及び広い温度範囲にわたって信頼できる測定を提供する能力である。
【0017】
上述のように、上述の必要性は、背景技術により、従来において利用できる方法によって、完全に満足されない。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、車輪のブレーキキャリパ又はサスペンションの検出部において作用する法線力(又は法線力のモジュール)及び1つ以上の接線力の成分を同時に検出するための装置を提供することである。この装置により、背景技術に関して上述の欠点を少なくとも部分的に取り除いて、考慮される技術分野において特に感じられる上述の要求を満足し得る。
【0019】
この目的と他の目的は、請求項1に記載の接線力の成分と法線力の成分を検出するための検出装置によって達成される。
【0020】
この検出装置の一部の有利な実施形態は、従属請求項2~15の主題である。
【0021】
本発明の別の目的は、上記検出装置を用いて、接線力の成分と法線力の成分を検出するためのシステムを提供することである。
【0022】
この目的と他の目的は、請求項16に記載の接線力の成分と法線力の成分を検出するための検出装置によって達成される。
【0023】
このシステムの一部の有利な実施形態は、従属請求項17~18の主題である。
【0024】
本発明の別の目的は、請求項1~15に記載の上記装置を用いて、車両のブレーキキャリパの動作により、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための装置を提供することである。
【0025】
この目的と他の目的は、請求項19に記載のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための装置によって達成される。
【0026】
本発明の別の目的は、請求項1~15に記載の上記装置を用いて、車両のブレーキキャリパの動作により、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するためのシステムを提供することである。
【0027】
この目的と他の目的は、請求項20に記載のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するためのシステムによって達成される。
【0028】
本発明の別の目的は、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力、又は車輪のアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる力の接線成分及び法線成分を同時に検出するための方法を提供することである。
【0029】
この目的と他の目的は、請求項21に記載の接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための方法によって達成される。
【0030】
この方法の一部の有利な実施形態は、従属請求項22~27の主題である。
【0031】
本発明の別の目的は、車両のブレーキキャリパの動作により、接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための上述の方法に基づいて、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための方法を提供することである。
【0032】
この目的と他の目的は、請求項28に記載の接線力のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための方法によって達成される。
【0033】
この方法の一部の有利な実施形態は、従属請求項29~30の主題である。
【0034】
最後に、本発明の目的は、ブレーキ力推定機能を備えるブレーキキャリパシステムを提供することである。
【0035】
この目的と他の目的は、請求項31に記載のブレーキ力推定機能を備えるブレーキキャリパシステムによって達成される。
【0036】
このシステムの有利な実施形態は、従属請求項32の目的である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明に記載の装置、方法、及びシステムの別の特徴と利点は、添付図面を参照して、示すと共に、限定することなく、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明に含まれる実施形態に係る、接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための装置の斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の記載の検出装置に含まれる力センサアセンブリの実施形態の斜視図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の記載の検出装置に含まれる力センサアセンブリの実施形態の部分断面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明に記載の検出装置に含まれる力センサアセンブリの実施形態の機能図を示す。
【
図6】
図6は、本発明に従って、接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための装置の別の実施形態の平面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に従って、締結されるブレーキキャリパの取り付け位置の近くの
図1の装置を示す。
【
図8】
図8は、本発明に従って、接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するためのシステムの実施形態の簡略なブロック図を示す。
【
図9】
図9は、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出するための方法の実施形態、及び本発明に含まれるブレーキ力推定機能を有するブレーキキャリパシステム101の実施形態を示す。
【
図10】
図10は、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出するための方法の実施形態、及び本発明に含まれるブレーキ力推定機能を有するブレーキキャリパシステム101の実施形態を示す。
【
図11】
図11は、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出するための方法の実施形態、及び本発明に含まれるブレーキ力推定機能を有するブレーキキャリパシステム101の実施形態を示す。
【
図12】
図12は、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出するための方法の実施形態、及び本発明に含まれるブレーキ力推定機能を有するブレーキキャリパシステム101の実施形態を示す。
【
図13】
図13は、本発明に従って、車輪のアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1~7を参照して、車輪のブレーキキャリパ100又はサスペンション200の検出部Zにおいて作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出するため、検出装置1を示す。
【0039】
装置1は、板状のケーシング2、力センサアセンブリ3、及び、電気的インターフェース4を備える。
【0040】
板状のケーシング2は、(
図2において、装置の平面図を示す平面として示すと共に、平面Pにおいて、以下に示すように、生じる接線力がある)基準面Pに沿って主に延びる。
【0041】
このケーシング2は、互いに拘束及び/又は溶接されている2つの部分によって形成されている。第1の部分20は、ケーシングの外側に向けて、基準面Pと平行であり、且つ(例えば、ブレーキキャリパ、又は支持部に対するブレーキキャリパの取り付け位置に設けられている)上記検出部Zの近くに接して配置されるように構成されている第1平面を有する。第2の部分21は、ケーシングの外側に向けて、基準面Pと平行であり、且つ締結手段5の近くに接して配置されるように構成されている第2平面を有する。
【0042】
力センサアセンブリ3は、ケーシング2に収容されて、且つケーシング2の第1の部分20と第2の部分21に機械的に拘束及び/又は溶接されている。
【0043】
力センサアセンブリ3は、基準面Pに垂直な方向に沿って、ケーシング2による接触と圧力によりセンサに伝達される法線力の成分fnと、基準面Pによって定められる(又は設けられている)それぞれの少なくとも1つの接線方向に沿って、ケーシング2による接触と圧力により伝達される少なくとも1つの接線力の成分ftとの両方を検出するように構成されている。
【0044】
上述の法線力の成分fnは、ケーシング2において作用するそれぞれの法線力Fn(例えば、ケーシング2の第1平面と第2平面が受ける法線力)である。
【0045】
上述の少なくとも1つの接線力の成分ftは、ケーシング2において作用するそれぞれの横力Ft(例えば、ケーシング2の第1平面と第2平面が受ける接線力)である。
【0046】
つまり、ケーシング2において作用する法線力と接線力は、センサをケーシング2のそれぞれの面に接続する機械的拘束又は溶接により、センサにおいて作用する法線力(圧力)と接線力又は横力(せん断力)の成分を定めるこのケーシングの変形を判定する。
【0047】
力センサアセンブリ3は、ピエゾ抵抗効果によって、検出される法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftを示す1つ以上の電気信号SA,SBを発信するように構成されている。
【0048】
電気的インターフェース4は、ケーシング2に統合されて、且つ発信された1つ以上の上記電気信号SA,SBを利用できるようにするため、力センサアセンブリ3に接続されている。
【0049】
以下に詳細に説明するように、また
図1~3に示すように、(以下、「力センサ」と呼称される)「力センサアセンブリ」という用語は、広義で用いられて、装置の複数の位置に配置されている複数のセンサ要素のグループを備えるアセンブリを示し得ることに留意すべきである。センサ要素のそれぞれのグループは、1つ以上のセンサ要素を備えてもよい。同様に、電気的インターフェース4は、複数のインターフェース端子4、例えば、それぞれのセンサアセンブリに対して1つのインターフェース端子、又はそれぞれのセンサ要素に対して1つのインターフェース端子を備えてもよい。
【0050】
(
図4Aに示す)センサ要素3の単一の統合されたグループは、(2軸センサ3の位置及び/又は方向によって判定される)法線方向nに沿う力の成分、及び接線方向tに沿ういずれかの接線力の成分を検出し得るという点で、「2軸力センサ」として形成される。
【0051】
(例えば、
図6に示す一方、
図1及び
図2に示す場合を含む)実施形態によれば、装置1は、(例えば、
図6における符号「S」と「E」で示す位置において、)互いに直角に配置されている少なくとも2つのセンサ要素アセンブリ3,3’を備える。(位置Nと位置E,位置Nと位置O,位置Sと位置Oのような他の組み合わせもできる。)この場合、力センサ3は、全体として、少なくとも2つの上記センサアセンブリを備えて、法線方向nに沿って作用する法線力の成分に加えて、平面Pに設けられている互いに直角な2つの接線方向ta,tbに沿って作用する2つの接線力の成分を検出できる。この点において、この力センサアセンブリ3は、装置1が、2つのセンサアセンブリによって検出される法線力の成分fn、及び検出される第1の接線力の成分ftaと第2の接線力の成分ftbに基づいて、装置1において作用する法線力Fnと接線力Ftを判定できるように、「3軸力センサ」として形成され得る。
【0052】
図1~3に示す実施において、力センサアセンブリ3は、それぞれのインターフェース端子4にそれぞれ接続されている4つのセンサアセンブリ3を備える。それぞれのインターフェース端子4は、(
図1において、符号SA1とSB1、符号SA2とSB2、符号SA3とSB3、符号SA4とSB4でそれぞれ示す)それぞれのセンサ要素3によって発信する1対の信号をそれぞれ送信するように構成されている。
【0053】
実施の選択肢に応じて、装置1は、板状のケーシング2に設けられる少なくとも1つの開口部6を備える。開口部6は、装置1が、車両の車輪、ブレーキキャリパ100、及び/又はサスペンション200の一部に向けて加圧されて締結されることを保証するため、外部の締結手段5と係合するように構成されている。したがって、ケーシング2は、例えば、ブレーキ動作のとき、残りの値に対して変わり得る上記法線力と接線力の動作を受ける。
【0054】
装置1の実施形態によれば、外部のねじ状の締結手段5によって横断されるように構成されている少なくとも1つの開口部6を備える円盤形の板状及び/又はワッシャ状のケーシング2である。
【0055】
実施の選択肢に応じて、装置1は、正しい互いの締結位置を定めるため、装置が取り付けられるブレーキ、サスペンション、又は他の車輪の部品の締結領域のそれぞれの部品と結合するように構成されている結合要素7を備える。
【0056】
図1に示すように、この結合要素は、装置の正しい角度取り付け位置を保証するように、例えば、キャリパボディに対する取り付けの位置において得られる(
図7において、符号90で示す)対応する開口部に取り付けられ得るピン7を備える。代わりに、この結合要素は、ケーシング2とブレーキキャリパ100及び/又は締結手段5との間において結合する形状によって得られる。
【0057】
以下に説明するように、キャリパボディからワッシャ装置に対する締結と荷重伝達は、例えば、ブレーキ又はキャリパボディのそれぞれの支持部に対する通常の締結に対して既に設けられているねじを締め付けることによって有利に得られる。
【0058】
複数の考えられる実施の選択肢において、ケーシング2は、ケーシング自体の内側に向けて、ケーシングにおいて作用する力に十分に抵抗して、該力を伝達するように構成されている場合、異なる材料から形成されている。力センサは、ケーシング自体に収容されている。
【0059】
実施の選択肢に応じて、ケーシング2は金属である。
【0060】
特に好ましい実施の選択肢に応じて、上述のケーシング2は、ステンレス鋼のケーシングである。
【0061】
装置の複数の実施の選択肢に応じて、(それ自体が既知である)異なる種類のセンサが用いられて、上述の機能を実施し得る。
【0062】
好ましい実施形態において、上述のセンサ、センサアセンブリ、又はセンサアセンブリの要素は、微小電気機械システム(MEMS)技術により形成されるピエゾ抵抗センサである。
【0063】
図3において、分解図によって、センサアセンブリ3の1つを示す。この分解図は、(例えば、法線力センサ、接線力センサ、及び温度センサを共に形成する)センサ3の異なる構成要素30を示す。この構成要素30は、装置の座面に配置されて、「インターフェースカード」及びケーシング2から突出する関連の配線4の形態で、インターフェース4に電気的に接続され得る。
【0064】
複数の考えられる実施の選択肢によれば、検出装置1は、互いに拘束されている異なる部品、及び/又は互いに取り外されて、互いに再接続され得る異なる部品から構成され得る。特に、装置のケーシング2は、互いに拘束されている異なる部品、及び/又は互いに取り外されて、互いに再接続され得る異なる部品から構成され得る。
【0065】
装置1の実施によれば、センサ3は、(例えば、
図4Bに示すような)装置のケーシング2の上部20と下部21の両方に機械的に拘束されている。
【0066】
図4と
図5を参照して、さらなる詳細が、2軸力センサアセンブリ3、又は上述の2軸力センサ3に含まれるそれぞれの要素について説明される。
【0067】
図4Bにおいて、2軸センサアセンブリ3が、第1の部分20に対するろう付け又は接着42によって、またケーシング2の第2の部分21に対する接着43によって締結されて、インターフェースカード44(例えば、PCB)及び電気的インターフェースの端子4(例えば、インターフェースカードにはんだ付けされるケーブル)に対する電線の接合41によって接続される実施形態を示す。2軸センサユニット3は、局所的に作用する力の接線成分ftと法線成分fnに反応する。この成分は、既知の方法で、ケーシング2の面において作用する法線力Fnと接線力Ftの成分に応じる。ケーシングは、法線力Fnと接線力Ftの成分を2軸センサ3に機械的に伝達する。
図4Bに示す実施例において、2軸センサアセンブリは、インターフェース端子4において利用できる電気信号SA,SBを生じる。
【0068】
装置1の実施形態によれば、力センサアセンブリ3は、少なくとも1つの2軸力センサアセンブリ3を備える。2軸力センサアセンブリ3は、少なくとも1つの第1の法線力のセンサ要素31と、1つの第2の接線力のセンサ要素32とを備える。
【0069】
少なくとも1つの第1の法線力のセンサ要素31は、上述の法線力の成分fnを検出して、少なくとも1つの第1の電気信号SAを発信するように構成されている。
【0070】
少なくとも1つの第2の接線力のセンサ要素32は、上述の接線力の成分ftを検出して、少なくとも1つの第2の電気信号SBを発信するように構成されている。少なくとも1つの第1の電気信号SAと少なくとも1つの第2の電気信号SBの集合は、それぞれの検出された力の成分、すなわち、検出された法線力の成分fnと、検出された接線力の成分ftとの両方を示す。
【0071】
実施例によれば、センサアセンブリ3は、上述の少なくとも1つの第1センサ要素31と少なくとも1つの第2センサ要素32のそれぞれに動作できるように接続されている第1チップ38と第2チップ39を備える。第1チップ38は、ケーシング2の第1の部分20に対するろう付け又は接着42によって締結されている。また、第2チップ39は、ケーシング2の第2の部分21に対する接着43によって締結されている。第1チップと第2チップの両方が、センサ要素に機械的に拘束されている。
【0072】
特定の実施の選択肢によれば、センサアセンブリ3は、(
図4Bにおいて、符号32a,32bで示す)2つの第2センサ要素を備える。
【0073】
(
図5の機能図に示す)装置の実施の選択肢によれば、上述の少なくとも1つの第1の電気信号SAは、検出された法線力の成分fnを示す電気信号Snである。また、上述の少なくとも1つの第2の電気信号SBは、検出された接線力の成分ftを示す電気信号Stである。したがって、この場合、それぞれの発信された信号とそれぞれの力の成分との間には、対応関係がある。
【0074】
他の実施の選択肢において、この対応関係はなくてもよい。このセンサ又はセンサアセンブリにおいて作用する力の法線成分と接線成分の両方が、既知の方法で、センサ又はセンサアセンブリによって発信する信号から同時に得られてもよい。したがって、発信する信号は、2つ以上であってもよい。または、異なる信号又は別の種類の信号の代わりに、使用されるセンサアセンブリによって、また読込回路図によって発信する特定の種類の信号に応じて、シングルエンド信号があってもよい。(読込回路図は、既知の方法で用いられ得る。)
【0075】
また、この実施形態において、(それぞれの1つ以上のセンサアセンブリ3の)上述の少なくとも1つの第1センサ要素31と少なくとも1つの第2センサ要素32は、例えば、微小電気機械システム(MEMS)技術により形成されるピエゾ抵抗センサである。
【0076】
実施形態によれば、装置1は、上述の複数の2軸力センサアセンブリ3を備える。複数の2軸力センサアセンブリ3は、それぞれの位置におけるそれぞれの複数の法線力と接線力を検出するため、またそれぞれの複数の第1の電気信号(Sn1)~(Sn4)、及びそれぞれの複数の第2の電気信号(St1)~(St4)を発信するため、装置1の異なる位置に配置されている。
【0077】
したがって、複数の考えられる実施によれば、「センサ」又は「センサアセンブリ」は、全体として、複数のN個のセンサのグループを備える。この複数のN個のセンサのグループは、M個の電気信号を発信する(1つ以上の)M個のセンサ要素を備える。(従来、センサ要素は、少なくとも2個であり、少なくとも2つの対応する電気信号SnM,StMを発信する。)以下に詳細に説明するように、装置は、(それぞれのセンサ要素によって発信するM個の電気信号に基づいて)センサ要素が配置されているそれぞれの位置において作用する力の法線成分及び接線成分を判定することと、上述の複数のM×N個の電気信号に基づいて、装置のケーシング2において作用する力全体の法線成分及び接線成分(例えば、この成分から生じる値)を推定することの両方ができる。
【0078】
図1~3に示す実施例において、それぞれのワッシャ装置に対するセンサアセンブリの数Nは4である。(それぞれのセンサアセンブリは、2つ以上のMEMSセンサ要素を備えるMEMSセンサアセンブリである。)
図1~3の実施例において、4個のセンサアセンブリ、及び関連するインターフェースは、ケーシング2の外部円周領域において配置されており、角度的に等しく間隔(この場合、90°の角度による間隔)を空けている。
【0079】
複数の実施の選択肢によれば、アセンブリの数は、1、2、3、又は4以上であってもよい。
【0080】
別の実施例によれば、装置は、装置1の内部に得られる相互接続によって、センサアセンブリ3のそれぞれに接続されて、装置1に含まれるすべてのセンサアセンブリのセンサ要素によって発信するすべての電気信号を送信して利用できるように構成されている単一の電気的インターフェース4を備える。
【0081】
図6に示す実施例において、装置1は、2つのセンサアセンブリ3,3’、及び統合された相互接続35によって、1つのセンサアセンブリ3に局所的に接続されていると共に、他のセンサアセンブリ3’に接続されている単一のインターフェース4を備える。
【0082】
装置1の実施の選択肢によれば、センサアセンブリ3のそれぞれのセンサ要素31,32は、直接又は間接的に、装置のケーシング2の上面20と下面21の両方に機械的に拘束されている(すなわち、他の要素との拘束によって、装置のケーシングに対して拘束されている)。
【0083】
実施の選択肢によれば、センサアセンブリのそれぞれの第2センサ要素32は、ケーシング2の上面20、及びケーシング21の下面においてベースを有する非変形カラム22に機械的に拘束されている。
【0084】
別の実施の選択肢によれば、センサアセンブリのそれぞれの第2センサ要素32は、ケーシングの上面においてベースを有する非変形カラムに機械的に拘束されている。
【0085】
別の実施の選択肢によれば、センサアセンブリのそれぞれの第2センサ要素32は、ケーシングの下面においてベースを有する第1の非変形カラム、及びケーシングの上面においてベースを有する第2の非変形カラムに機械的に拘束されている。
【0086】
実施形態によれば、装置1はまた、力センサアセンブリ3によって送信する1つ以上の電気信号(SA),(SB)を受信するため、上述の電気的インターフェース4に接続されて、且つ受信される上述の1つ以上の電気信号(SA),(SB)又は電気信号(Sn),(St)に基づいて、それぞれの1つ以上の検出領域Zにおける法線力の成分fnと接線力の成分ftを判定するように構成されている電子的処理手段8を備える。
【0087】
装置1が(例えば、
図2における、N,O,S,Eに示す位置において)4つのセンサアセンブリ3を備える実施の選択肢において、処理手段8は、(例えば、平均として)4つのセンサアセンブリから検出される法線成分fnに基づいて、装置において作用する法線力Fnを判定するように構成されている。また、処理手段8は、(位置O,Eにおける2つのセンサアセンブリによって検出されるような)第1接線方向taに沿って作用する接線成分、及び(位置S,Nにおける2つのセンサアセンブリによって検出されるような)第2接線方向tbに沿って作用する接線成分の結果として、装置において作用する接線力Ftを判定するように構成されている。
【0088】
実施の選択肢によれば、電子的処理手段8は、装置1に統合されている。
【0089】
(センサによって発信する信号に関して、上述のそれぞれの実施の選択肢に対応する)複数の実施の選択肢によれば、処理手段8は、(
図5に示すような)上述の少なくとも1つの第1の電気信号Snと少なくとも1つの第2の電気信号Stに基づいて、又は装置に含まれる異なるセンサアセンブリのセンサ要素によって発信する複数の第1の電気信号(Sn1)~(Sn4)と複数の第2の電気信号(St1)~(St4)に基づいて、法線力の成分fnと接線力の成分ftを判定するように構成されている。
【0090】
(
図5に示す)実施の選択肢によれば、装置1はまた、第3センサ要素33を備える。この第3のセンサ要素33は、装置1に統合されて、検出部における温度の値を検出して、検出された温度を示す少なくとも1つの第3の電気信号Scを発信するように構成されている。
【0091】
この場合、電子的処理手段8は、上述の少なくとも1つの第1の電気信号Sn、少なくとも1つの第2の電気信号St、及び少なくとも1つの第3の電気信号Scに基づいて、少なくとも1つの法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftを判定するように構成されている。
【0092】
装置の実施形態によれば、ケーシング2の第1の部分20の第1平面、及びケーシング2の第2の部分21の第2平面は、それぞれ、ブレーキキャリパの検出部に対して、及び締結手段に対して、第1平面及び第2平面の摩擦を増加するように構成されている表面変質を有する。上述の第1平面と前記第2平面は、それぞれ、作動状態において接触している。
【0093】
上述の実施形態の実施の選択肢によれば、上述の平面の表面変質は、既知の「機械的な」表面処理、例えばローレット切りによって得られる。
【0094】
上述の実施形態の別の実施の選択肢によれば、上述の平面の表面変質は、レーザ技術、又はいずれかの金属、例えば、鋼、チタニウム、若しくはアルミニウムの表面に適用できる既知の方法による表面のテクスチャリングによって得られる。
【0095】
上述の実施形態の別の実施の選択肢によれば、上述の平面の表面変質は、コーティングによって得られる。これに関して、既知の異なる処理、例えば、ダイヤモンド粒子の堆積、又は電解ニッケルに埋め込まれた炭化ケイ素SiC、又は炭化タングステン、ステライト(登録商標)、若しくは基質がアルミニウムであるとき、酸化アルミニウムの電気スパーク堆積(ESD)、又は他の既知の方法が用いられ得る。
【0096】
複数の考えられる実施の選択肢によれば、上述の平面の表面変質は、機械的除去による表面処理、又は局所的な材料変形による表面処理(トレーシング、ローレット切り)、又は材料の気化、溶融、若しくは燃焼を生じ得るレーザ除去(又は表面処理)、又はナノテクノロジ、すなわち大きな力のやりとりと大きな摩擦により、接点を生じる高硬度ナノ粉末、「保持部」若しくは他の部分を生じる表面を局所的に形成する硬質介在物に基づいて、複数の考えられるコーティング技術によって得られる。
【0097】
上述の実施形態により、センサとキャリパボディ又はサスペンションとの間の摩擦を増加することに留意すべきである。これは、上述のように、ケーシング2において作用する法線力と接線力が、センサにおいて作用する法線力(圧力)、及び接線力又は横力(せん断力)の成分を定めるこのケーシングの変形を決める本発明の状況で特に有利であってもよい。
【0098】
特に、この実施形態の効果は、車両の動作の反転により、応力の局所的な変化の事象を取り除く、又は大きく減少することである。つまり、得られる測定によって、インターフェース表面の摩擦係数は増加する。したがって、前進と後進との間で変化するとき、局所的な摩擦状態、及びケーシングの表面(すなわち、例えば、ワッシャ)の応力の分布を変化する微調整を避ける、又は大きく減少することができる。これは、局所的な状態が、車両のそれぞれの方向の変化により、変化するとき、ワッシャが異なって変形するため、またセンサ出力特性が再現できないと共に非線形であるため、非常に重要である。代わりに、この実施形態の上述の特性により、前進の状況と後退の状況との間の高感度素子におけるブレーキトルクにより生じる効果は、統一されて、決定論的となるため、センサ出力の特性の再現性と線形性を向上する。
【0099】
車輪のブレーキキャリパ100又はサスペンション200における検出部Zにおいて作用する力の法線成分fnと接線成分ftを同時に検出するためのシステム10を説明する。
【0100】
システムは、上述のいずれかの実施形態に記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための検出装置1と、電子的処理手段8とを備える。この電子的処理手段8は、力センサアセンブリ3によって発信する1つ以上の電気信号SA,SBを受信するため、検出装置1の電気的インターフェース4に動作できるように接続されて、力センサアセンブリ3のセンサ要素によって発信する上述の1つ以上の電気信号SA,SBに基づいて、検出領域における法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftを判定するように構成されている。
【0101】
このシステムは、電子的処理手段8を備える装置の上述の実施形態と異なる。この場合、この電子的処理手段8は、装置に統合されない一方、装置の外部にあり、操作できるように、また物理的に装置に接続されている。
【0102】
例えば、複数の考えられる実施の選択肢において、電子的処理手段8は、車輪のブレーキキャリパ100、ジョイント、及び/又はハーネスに収容される、又は取り付けられる。
【0103】
上述のすべての場合において、電子的処理手段8は、例えば、既知の1つ以上のプロセッサと関連のメモリを備える。この1つ以上のプロセッサと関連のメモリは、メモリに保存されているソフトウェアを実行できて、上述の処理のステップを行うように構成されている。
【0104】
(特に、
図8のブロック図において示す)システムの実施形態によれば、検出装置1は、複数のセンサアセンブリ3を備える。この複数のセンサアセンブリ3は、それぞれの電気信号(例えば、2つの電気信号St,Sn)を発信できる1つ以上のセンサ要素を備える。電子的処理手段8は、それぞれの複数のセンサ要素によって発信する複数の電気信号(St1)~(St4),(Sn1)~(Sn4)に基づいて、センサ要素の位置に対応するそれぞれの検出領域における法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftを判定するように構成されている。
【0105】
(明確に示さない一方、
図3から容易に推論できる)実施の選択肢によれば、それぞれの検出領域における法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftを判定するため、力センサ3によって与えられて、且つ電子的処理手段8によって用いられる上述の電気信号は、力センサアセンブリ3における温度センサ要素33によって検出された温度を示すそれぞれの複数の電気信号を備える。
【0106】
車両のブレーキキャリパの動作により、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための装置が記載されている。この装置は、接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための検出装置1を備える。この検出装置は、電子的処理手段8を含む。
【0107】
この場合、電子的処理手段8はまた、少なくとも1つの検出位置における力センサアセンブリ3によって検出される法線力の成分fnと接線力の成分ftに基づいて、上述のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するように構成されている。
【0108】
車両のブレーキキャリパの動作により、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するためのシステムが記載されている。このシステムは、上述の実施形態のいずれかに記載の法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための検出システム10を備える。
【0109】
この場合、電子的処理手段8はまた、少なくとも1つの検出位置における力センサアセンブリ3によって検出される法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ftに基づいて、上述のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するように構成されている。
【0110】
上述のシステムと装置は、上述のように、センサにおいて作用する法線力の成分と接線力の成分を同時に判定する技術的解決法の特に有利な適用に関する。この適用は、(例えば、ブレーキキャリパのそれぞれの支持部に対する取り付け位置において検出される)上述の「局所的な」力の成分に基づいて、ブレーキ動作の間、ブレーキキャリパにおいて作用するブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定することから構成されている。
【0111】
実施の選択肢によれば、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定する上述のステップは、装置において作用する力の成分と、該力の成分を生じるブレーキキャリパにおいて作用する力及び/又はトルクとの間の予め決められた関係に基づいている。
【0112】
この関係は、例えば、予想される作動状態に類似する状況において、検出装置を備えるブレーキキャリパシステムの初期特性化ステップにおいて定められ得る。
【0113】
上述の実験的関係は、例えば、参照テーブルの形態で、又は特性化ステップにおいて定められるパラメータを用いる1つ以上の数学的関係の形態で、ケーシングの特性化から生じて、電子的処理手段8に保存される。
【0114】
図9~13,14A,14Bを参照して、方法は、車輪のブレーキキャリパにおいて作用する力、又は車輪のアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる力の法線成分と接線成分を同時に検出するために記載されている。
【0115】
方法は、まず、支持及び締結手段5によって、少なくとも1つの検出装置1を、ブレーキキャリパ100、サスペンション200、又はサスペンションとアクスルとの間のジョイントのそれぞれの検出部Zに締結するステップを含む。上述のいずれかの実施形態によれば、上述の少なくとも1つの検出装置1は、法線力と接線力の成分を同時に検出するための検出装置である。
【0116】
方法はまた、装置1に設けられている力センサアセンブリ3によって、法線力の成分fnを検出するステップを備える。この法線力の成分fnは、支持及び締結手段5と検出部Zによって与えられる接触と圧力により、装置1のケーシング2において作用する法線力Fnを示す。装置1は、支持及び締結手段5と検出部Zとの間で締結される。方法はまた、上記力センサアセンブリ3自体によって、少なくとも1つの接線力の成分ftを検出するステップを備える。この接線力の成分ftは、支持及び締結手段5と検出部Zによって与えられる接触と圧力により、装置1のケーシング2において作用する横力又はせん断力Ftを示す。装置は、支持及び締結手段5と検出部Zとの間で締結される。
【0117】
最後に、方法は、装置1に動作できるように接続されている電子的処理手段8によって、装置1によって検出される接線力の成分ftと法線力の成分fnに基づいて、ブレーキキャリパの検出部Zにおいて作用する接線力Ftと法線力Fn、又はアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる力を判定するステップを含む。
【0118】
実施形態によれば、方法は、互いに直交する位置に配置される少なくとも1つの第1の力センサアセンブリ3及び第2の力センサアセンブリ3’を備える装置1を用いる。
【0119】
方法は、第1の力センサアセンブリ3によって、基準面Pに対して垂直である方向nに沿うそれぞれの法線力の成分を検出して、基準面Pの第1接線方向taに沿うそれぞれの第1の接線力の成分ftaを検出するステップを備える。
【0120】
方法はまた、第2の力センサアセンブリ3’によって、基準面Pに対して垂直である方向nに沿うそれぞれの法線力の成分を検出して、第1接線方向taに直交する基準面Pの第2接線方向tbに沿うそれぞれの第2の接線力の成分ftbを検出するステップを含む。
【0121】
方法は、2つのセンサアセンブリによって検出される法線力の成分fnと、検出される第1の接線力の成分fta及び第2の接線力の成分ftbとの両方に基づいて、検出装置1において作用する法線力Fnと接線力Ftを判定するステップを含む。
【0122】
方法の実施の選択肢によれば、上述の判定するステップは、ケーシングにおいて作用する力の成分と、ケーシング内のセンサにおいて作用する局所的な力の成分との間の予め決められた関係に基づいている。この関係は、ケーシング自体の機械的性質と変形特性に応じる。したがって、この機械的性質と変形特性は、予想される作動状態に類似する状況において、ケーシング自体、及びブレーキキャリパと装置を備えるシステムの初期特性化ステップで定められ得る。
【0123】
上述の実験的関係は、例えば、参照テーブルの形態で、又は特性化ステップにおいて定められるパラメータを用いる1つ以上の数学的関係の形態で、ケーシングの特性化から生じて、電子的処理手段8に保存される。
【0124】
(例えば、
図9の簡略な図面に示す)実施形態によれば、方法は、車輪のブレーキキャリパ100において作用する力の接線成分と法線成分を同時に検出することを目的としている。この場合、上述の支持及び締結手段5は、ブレーキキャリパ支持部51と少なくとも1つのねじ状締結要素52を備える。また、締結するステップは、少なくとも1つのねじ状締結要素52によって、ブレーキキャリパ支持部の平面部53と、ブレーキキャリパボディの検出部Zにおけるそれぞれの少なくとも1つの取り付け位置54との間において、上述の少なくとも1つの装置1を締め付けることを備える。したがって、装置の第1の部分20の第1平面は、ブレーキキャリパボディの取り付け位置54の近くに接している。また、装置の第2の部分21の第2平面は、ブレーキキャリパ支持部の平面部53の近くに接する。
【0125】
方法の実施形態によれば、締結するステップは、それぞれの検出領域において、複数の検出装置1をそれぞれの締結位置に締結することを備える。また、判定するステップは、それぞれの位置において、装置によって検出される接線力の成分と法線力の成分に基づいて、それぞれの検出領域において作用する力の接線成分と法線成分を判定することを備える。
【0126】
(例えば、
図10の簡略な図面に示すと共に、
図14Aの詳細斜視図に示す)方法の実施形態によれば、締結するステップは、ブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置54aにおいて、第1のねじ状締結要素52aによって、第1の検出装置1aを締結することと、ブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置54bにおいて、第2のねじ状締結要素52bによって、第2の検出装置1bを締結することを備える。
【0127】
(例えば、
図11の簡略な図面に示す)方法の実施形態によれば、締結する前記ステップは、ブレーキキャリパボディの取り付け位置54aとブレーキキャリパ支持部の第1平面部53aとの間において、ねじ状締結要素52aによって、第1の検出装置1aを締結することと、ブレーキキャリパ支持部の第2平面部53cとねじ状締結要素52aの一端との間において、第2の検出装置1cを締結することを備える。
【0128】
(例えば、
図12の簡略な図面に示す)方法の別の実施形態によれば、締結するステップは、ブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置54aにおいて、第1のねじ状締結要素52aによって、第1の検出装置1a及び第2の検出装置1cを締結することと、ブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置54bにおいて、第2のねじ状締結要素52bによって、第3の検出装置1b及び第4の検出装置1dを締結することを備える。
【0129】
(例えば、
図13の簡略な図面に示す)実施形態によれば、方法は、車輪Wのアクスル60とサスペンション200との間でやりとりされる接線力と法線力を同時に検出することを目的としている。支持及び締結手段5は、サスペンションを、少なくとも1つの締結要素62を備えるアクスルに取り付けるための手段61を備える。締結するステップは、上述のサスペンションをアクスルに取り付けるための手段61において、少なくとも1つの締結要素62によって、上述の少なくとも1つの検出装置1を締め付けることを備える。
【0130】
方法は、車両のブレーキキャリパの動作によるブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するため、記載されている。この方法は、上述のいずれかの実施形態に記載の検出装置によって、上述のいずれかの実施形態に記載の接線力の成分と法線力の成分を同時に検出するための方法を実行するステップと、電子的処理手段によって、少なくとも1つの検出位置において、検出装置によって検出される法線力の成分と接線力の成分に基づいて、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するステップとを備える。
【0131】
実施形態によれば、上述の方法は、複数の力の接線成分と法線成分を検出するステップを備える。この力は、車輪のブレーキキャリパの複数の検出領域において作用する力、又は車輪のアクスルとサスペンションとの間でやりとりされる力である。
【0132】
この場合、判定するステップは、上述の複数の検出領域において、検出装置によって検出される複数の力の法線成分と接線成分に基づいて、ブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定することを備える。
【0133】
上述のように、この方法の実施の選択肢は、与える。上述のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するステップは、装置において作用する力の成分と、力の成分を生じるブレーキキャリパにおいて作用する力及び/又はトルクとの間の予め決められた関係に基づいている。
【0134】
この関係は、例えば、予想される作動状態に類似する状況において、検出装置を備えるブレーキキャリパシステムの初期特性化ステップにおいて定められ得る。
【0135】
上述の実験的関係は、例えば、参照テーブルの形態で、又は特性化ステップにおいて定められるパラメータを用いる1つ以上の数学的関係の形態で、ケーシングの特性化から生じて、電子的処理手段8に保存される。
【0136】
方法の実施形態によれば、判定するステップは、検出される少なくとも1つの接線力の成分ft、又は2つの直交する接線力の成分fta,ftbに基づいて、近似のブレーキ力又はブレーキトルクの値を推定すること、ブレーキ力又はブレーキトルクを得るため、法線成分fnに基づいて、近似のブレーキ力又はブレーキトルクの値のキャリブレーション及び/又は調整を行うことを備える。
【0137】
図1,9~13,14a,14bを再び参照して、ブレーキ力推定機能を有するブレーキキャリパシステム101が記載されている。このブレーキキャリパシステムは、ブレーキキャリパ100と、ブレーキキャリパ支持部51と、締結手段52と、少なくとも1つの検出装置1と、電子的処理手段8とを備える。
【0138】
ブレーキキャリパ100は、ブレーキキャリパボディ、及び支持部に対する取り付け部の少なくとも1つの位置54を備える。
【0139】
締結手段52は、上述の少なくとも1つの取り付けの位置54において、ブレーキキャリパボディ100をブレーキキャリパ支持部51に取り付けるように構成されており、少なくとも1つの取り付けの位置54において、少なくとも1つの検出装置1を締結するように構成されている。したがって、検出装置1は、少なくとも1つの取り付けの位置54において作用する力の法線成分fnと少なくとも1つの接線成分ft(又は2つの直交する接線成分fta,ftb)を検出する。
【0140】
上述のいずれかの実施形態によれば、少なくとも1つの検出装置1は、法線力の成分と接線力の成分を同時に検出するための検出装置である。
【0141】
電子的処理手段8は、力センサ3によって発信する1つ以上の電気信号SA,SBを受信するため、検出装置1の電気的インターフェース4に動作できるように接続されており、力センサアセンブリ3のセンサ要素によって発信する上述の1つ以上の電気信号SA,SBに基づいて、それぞれの少なくとも1つの検出装置1に作用するブレーキ力、法線力Fn、及び/又は接線力Ftを判定するように構成されている。この電気信号SA,SBは、検出装置1によって検出される上述の法線力の成分fnと少なくとも1つの接線力の成分ft(又は2つの直交する接線力の成分fta,ftb)を示す。
【0142】
複数の実施の選択肢によれば、ブレーキキャリパシステム101は、上述のいずれかの実施形態に記載のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための方法を実行するように構成されている。
【0143】
特に、(例えば、
図9の簡略な図面に示す)ブレーキキャリパシステム101の実施形態によれば、ブレーキキャリパシステム101は、単一の検出装置1を備える。この場合、上述の支持及び締結手段5は、ブレーキキャリパ支持部51とねじ状締結要素52を備えており、ブレーキキャリパ支持部の平面部53と、ブレーキキャリパボディの検出部Zにおけるそれぞれの少なくとも1つの取り付け位置54との間において、少なくとも1つのねじ状締結要素52によって、装置1を締め付けるように構成されている。したがって、装置の第1の部分20の第1平面は、ブレーキキャリパボディの取り付け位置54の近くに接している。また、装置の第2の部分21の第2平面は、ブレーキキャリパ支持部の平面部53の近くに接する。
【0144】
ブレーキキャリパシステム101の実施形態によれば、ブレーキキャリパシステム101は、それぞれの検出領域において、それぞれの締結位置に締結されている複数の検出装置1を備える。
【0145】
(例えば、
図10の簡略な図面に示すと共に、
図14A,14Bの詳細斜視図に示す)実施の選択肢によれば、ブレーキキャリパシステム101は、第1のねじ状締結要素52aによって締結されるブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置54aにおける第1の検出装置1a、及び第2のねじ状締結要素52bによって締結されるブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置54bにおける第2の検出装置1bの2つの検出装置を備える。
【0146】
(例えば、
図11の簡略な図面に示す)別の実施の選択肢によれば、ブレーキキャリパシステム101は、ブレーキキャリパボディの取り付け位置54aとブレーキキャリパ支持部の第1平面部53aとの間において、ねじ状締結要素52aによって締結される第1の検出装置1a、及びブレーキキャリパ支持部の第2平面部53cとねじ状締結要素52aの一端との間において締結される第2の検出装置1cの2つの検出装置を備える。
【0147】
(例えば、
図12の簡略な図面に示す)実施の選択肢によれば、ブレーキキャリパシステム101は、ブレーキキャリパボディの第1の取り付け位置54aにおいて、第1のねじ状締結要素52aによって締結される第1の検出装置1aと第2の検出装置1c、及びブレーキキャリパボディの第2の取り付け位置54bにおいて、第2のねじ状締結要素52bによって締結される第3の検出装置1cと第4の検出装置1dの4つの検出装置を備える。
【0148】
別の実施の選択肢によれば、ブレーキキャリパシステム101は、3つの検出装置を備える。2つの検出装置は、ブレーキキャリパ支持部の第1の取り付け位置に締結されている。また、1つの検出装置は、ブレーキキャリパ支持部の第2の取り付け位置に締結されている。
【0149】
別の実施形態によれば、ブレーキキャリパシステム101は、ブレーキキャリパの他の位置に配置されて締結されている1つ以上の検出装置1、例えば、パッドの締結ピンとブレーキキャリパボディとの間に配置されている検出装置を備える。
【0150】
本発明の目的は、分かるように、機能的特徴と構造的特徴により、上述の装置、システム、及び方法によって達成され得る。
【0151】
つまり、上述の検出装置は、良好な精度により、ロバスト性がある小型のケーシング/パッケージに収容されている力センサアセンブリがあることによって、車輪のブレーキキャリパ又はサスペンションの1つ以上の検出位置において作用するそれぞれの接線力と法線力を同時に検出できる。このケーシング/パッケージは、作用する力をケーシング/パッケージに含まれるセンサに伝達できる。
【0152】
したがって、検出装置は、高温の熱サイクル範囲に対して曝される(装置が、例えば250℃の高温までに作動できる)ような、また湿気、水、他の悪天候に曝されるような特定の環境条件であっても、効果的に用いられ得る。
【0153】
また、この検出装置は、小型であり、また「ワッシャ」形状であることにより、既に設けられている締結手段(例えば、支持部に対するブレーキキャリパの取り付け部、すなわち1つ以上の取り付け位置に対して既に設けられているねじ)を用いて、車輪の装置と車両のアクスルとの間に有利且つ容易に挿入され得る。
【0154】
上述のように、車輪のブレーキシステムと車両のアクスルとの間におけるブレーキキャリパ、サスペンション、他の部品、又は接続手段のジョイントに対して考えられる装置の構成は、複数あってもよい。一方では、これにより、多用な構造的選択肢ができる使用の多用途性があり得る。他方では、これにより、例えば、複数の位置に配置されていて、且つ複数のセンサアセンブリを備える複数の装置を含む方法が、複数の検出と、制御システムに対するそれぞれの電気信号とを提供する要求に従って、異なるレベルの精度を得るような自由度をもたらす。これにより、正確な処理と推定ができる。
【0155】
また、力センサアセンブリの特性と上述の構造的特徴の両方により、上述の検出装置は、(例えば、非常ブレーキのような大きなブレーキトルクによる)大きな力から、反対に(例えば、ブレーキシステムにおいて作用する残留トルクによる)小さな力までのワイドダイナミックレンジにわたって、高精度な力測定を提供できる。
【0156】
また、装置は、(例えば、車両の2つの構成要素、例えば、ブレーキキャリパと支持部とを締結するために用いられるねじの締め付け力を測定するための)軸力と、相対的な力学的変動と、(例えば、ブレーキトルクを間接的に測定するために用いられる)横力とを独立して検出できる。
【0157】
本発明に記載の接線力と法線力を測定するための装置の他の利点は、小型であり、ロバスト性があり、(例えば、ブレーキキャリパを締結するために既に設けられている締結システムを用いて)組み立てが容易であり、このシステムの異なる位置、ジョイント、ジャンクションにおける固定式又は浮動式キャリパディスクブレーキの場合において、多用途性がある。
【0158】
同様の利点が、接線力と法線力を検出するためのシステムと方法により、また上述のブレーキキャリパのブレーキ力推定機能を備えるブレーキキャリパシステムにより、得られる。
【0159】
上述の特徴により、例えば、ブレーキキャリパの1つ以上の検出位置において作用する接線力と法線力の正確な測定を得ることができる。これ自体は、一般的に、ブレーキシステムの電子制御における複数の適用に対して有用である。
【0160】
上述のように、有用な適用の内、検出される法線力の成分と接線力の成分に基づいて、ブレーキ動作の間のリアルタイムで作用するブレーキ力及び/又はブレーキトルクを推定及び/又は判定することがある。この結果は、上述のブレーキ力及び/又はブレーキトルクを判定するための装置、システム、及び/又は方法によって得られる。
【0161】
当業者は、付随する特定の要求を満足するため、請求項の範囲から逸脱することなく、他の機能的に同等な上述の実施形態の複数の要素を修正して、適応して、置き換え得る。考えられる実施形態に属して記載されるそれぞれの特徴は、上述の他の実施形態に関わらず、得られる。
【国際調査報告】