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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】化合物及びそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20220824BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20220824BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 33/244 20190101ALI20220824BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20220824BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220824BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C07K7/08
C07K14/00 ZNA
A61P35/00
A61K51/08 200
A61K51/08 100
A61K33/244
A61K33/24
A61K47/64
G01T1/161 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574189
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 GB2020051442
(87)【国際公開番号】W WO2020249980
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】1908573.7
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2004360.0
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521544698
【氏名又は名称】エディンバラ モレキュラー イメージング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EDINBURGH MOLECULAR IMAGING LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ フレデリック ポータル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C188
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA12
4C084MA05
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA07
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085HH03
4C085KA29
4C085KB07
4C085KB12
4C085KB82
4C085LL18
4C086AA01
4C086HA05
4C086HA13
4C086HA28
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA07
4C086NA13
4C086ZB26
4C188EE02
4C188EE03
4C188EE25
4C188EE27
4C188FF04
4C188FF07
4C188KK33
4C188MM08
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA50
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA10
4H045GA21
(57)【要約】
化合物、特にヒト又は動物に投与するためのcMet結合性環状ペプチドを含む化合物及びそれらの使用方法が記載されている。特に、イメージング及び/又は放射線治療に使用する薬剤の調製に適した化合物が記載されている。また、医薬組成物及び該医薬組成物を調製するためのキットも記載されている。該化合物又は医薬組成物を、がんなどの疾患の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングなどにおいて使用するイメージング方法についても記載されている。さらに、該化合物又は医薬組成物を、イメージング剤及び放射線治療剤の少なくとも1つ又は両方として使用することも記載されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング及び/又は放射線治療に使用される薬剤の調製に適した化合物であって、式I
【化1】
を有する、化合物
(式中、
はcMBPのN末端に結合しており、H又はQであり、
はcMBPのC末端に結合しており、OH、OB又はQであり
(Bは生体適合性カチオンである)、
cMBPは17~30アミノ酸のcMet結合性環状ペプチドであり、アミノ酸配列(配列-1)
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
XaaはAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluであり、
Cysa-dはそれぞれシステイン残基であり、残基aとb及びcとdが環状になって2つの別個のジスルフィド結合を形成している)
を含み、
Qの各出現は独立して、
前記ペプチドのin vivo代謝を阻害し、又は抑制する生体適合性基である代謝阻害基(MIG)、
in vivoでの腫瘍細胞等における滞留性を高める生体適合性基である腫瘍滞留基(TRG)並びに
生体内分布を促進させ、及び/又はin vivoでの血中滞留を長くする生体適合性基である生体内分布促進基(DEG
の少なくとも1つであり、
Lは式-(A)-の合成リンカー基であり(各Aは独立して、-CR-、-CR=CR-、-C≡C-、-CRCO-、-COCR-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SONR-、-NRSO-、-CROCR-、-CRSCR-、CRNRCR-、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基、C3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである)、
各Rは独立して、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、
mは値1~20の整数であり、
nは値0又は1の整数あり、
IMは放射性部位を錯化するのに適したキレート剤である)。
【請求項2】
前記放射性部位が、アルファ線(α)放射核種、ベータ線(β)放射核種及びガンマ線(γ)放射核種の少なくとも1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ベータ線放射核種が、電子(β)放射核種及び陽電子(β)放射核種の少なくとも1つである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、シンチグラフィー及び放射線治療の1つ又は複数に使用されるものであり、任意選択で放射線治療に使用されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記放射性部位が、90Y、177Lu、188Re、186Re、67Cu、212Bi、213Bi、211At、225Ac、131I、166Ho、149Pm、199Au、105Rh、227Th、153Sm、89Sr、223Ra、77Br、123I、125I、99mTc、67Ga、111In、68Ga、64Cu、89Zr、11C、15O、13N、82Rb及び18F並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記放射性部位が、90Y、177Lu、188Re、186Re、67Cu、212Bi、213Bi、211At、225Ac、131I、166Ho、149Pm、199Au、105Rh、227Th、153Sm、89Sr、223Ra、77Br、123I及び125I並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記放射性部位が、68Ga、64Cu、89Zr、11C、15O、13N、82Rb及び18F並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記放射性部位が、99mTc、67Ga及び111In並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記放射性部位が、68Ga、18F、89Zr、177Lu、225Ac、213Bi、227Th及び90Y並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記放射性部位が、177Lu又はその好適な塩である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記キレート剤が、サイクレン(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、サイクラム(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン)、TACN(1,4,7-トリアザシクロノナン)、THP(トリス(ヒドロキシピリジノン))、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)、NODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン、1-グルタル酸-4,7-酢酸)、TRAP(1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸)、NOPO(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ビス[メチレン(ヒドロキシメチル)ホスフィン酸]-7-[メチレン(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DATA((6-ペンタン酸)-6-(アミノ)メチル-1,4-ジアゼピントリアセテート))、AAZTA(1,4-ビス(カルボキシメチル)-6-[ビス(カルボキシメチル)]アミノ-6-メチルペルヒドロ-1,4-ジアゼピン)、HBED-CC(N,N’-ビス(2-ヒドロキシ-5-(エチレン-ベータ-カルボキシ)ベンジル)エチレンジアミンN,N’-二酢酸)及びそれらの誘導体からなる群の1つ又は複数より選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記キレート剤が、THP(トリス(ヒドロキシピリジノン))、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)及びNODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン、1-グルタル酸-4,7-酢酸)の少なくとも1つである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記キレート剤が、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)及びDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)の少なくとも1つである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
配列-1に加えて、cMBPがさらに、C-又はN-cMBPペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にAsp又はGlu残基を含み、-(L)IMがアミン基で官能基化され、これが前記Asp又はGlu残基のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
配列-1に加えて、cMBPが、C-又はN-cMBPペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にLys残基を含み、-(L)IMがカルボキシル基で官能基化され、これが前記Lys残基のイプシロンアミン側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
cMBPが、配列-2又は配列-3
Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa(配列-2)、
Ala-Gly-Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Thr(配列-3)
のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
XaaがArgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
配列-1、配列-2又は配列-3に加えて、cMBPがさらに、N又はC末端のいずれかに、-Gly-Gly-Gly-Lys(配列-4)、-Gly-Ser-Gly-Lys-(配列-5)及び-Gly-Ser-Gly-Ser-Lys(配列-6)から選択されるリンカーペプチドを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
cMBPが、アミノ酸配列(配列-7)
Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
及びZの両方が独立してQであり、任意選択でQがMIGである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
がアセチルであり、Zが一級アミドである、化合物。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物であって、nが1である、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
各Aが独立して、アミノ酸又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックであってもよく、任意選択で各Aがアミノ酸であってもよい、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
mが値1~5の整数であってもよく、任意選択でmが2であってもよい、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物であって、放射線治療に使用される薬剤の調製に適する場合があり、式I
【化2】
を有する、化合物
(式中、
はcMBPのN末端に結合しており、Qであり、
はcMBPのC末端に結合しており、Qであり
(Qは代謝阻害基(MIG)であり、前記ペプチドのin vivo代謝を阻害又は抑制する生体適合性基である)、
cMBPは17~30アミノ酸のcMet結合性環状ペプチドであり、アミノ酸配列(配列-1)
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
XaaはAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluであり、
Cysa-dはそれぞれシステイン残基であり、残基aとb及びcとdが環状になって2つの別個のジスルフィド結合を形成している)
を含み、
Lは式-(A)-の合成リンカー基であり(各Aは独立して、-CR-、-CR=CR-、-C≡C-、-CRCO-、-COCR-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SONR-、-NRSO-、-CROCR-、-CRSCR-、CRNRCR-、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基、C3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである)、
各Rは独立して、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、
mは値1~20の整数であり、
nは値0又は1の整数あり、
IMは放射性部位を錯化するのに適したキレート剤である
(該キレート剤は、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)及びDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)の少なくとも1つである))。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物と生体適合性担体とを含む、哺乳動物への投与に適した形態の医薬組成物であって、任意選択でさらに放射性部位を含むものである、医薬組成物。
【請求項27】
一人の患者に対する投与量を有し、好適なシリンジ又は容器で提供される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物を調製するためのキットであって、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物を無菌の固体形態で含んでおり、請求項26又は請求項27に記載の生体適合性担体の無菌供給物と再構成すると、溶解して所望の医薬組成物を与えるものであり、任意選択で、放射性部位をさらに含むものである、キット。
【請求項29】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用することを含む、哺乳動物の体のイメージング方法。
【請求項30】
前記イメージングがin vivoである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記イメージングが、PETイメージング、シンチグラフィ及びSPECTイメージングの少なくとも1つであり、任意選択で、前記イメージングがSPECTイメージングである、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記イメージングが、in vivoでのcMetの過剰発現部位又は局在化部位の画像を取得するためのものである、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物が哺乳動物の体に前もって投与されている、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
a) 請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを投与する工程と、
b) 前記放射性部位の崩壊により発生する放射性部位からの発光を検出する工程と、
c) 工程(b)の発光から、目的の組織の画像を形成する工程と、
を含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングを支援するために使用される、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングを支援するために使用される、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
請求項29~35のいずれか一項に記載のイメージング方法を含む、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング又は治療法のモニタリングの方法。
【請求項38】
哺乳動物の体のイメージングにおけるイメージング剤及び哺乳動物の体の放射線治療における放射線治療剤の少なくとも1つとして使用するためのものであり、任意選択で、哺乳動物の体の放射線治療における放射線治療剤として使用するためのものである、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項39】
哺乳動物の体のイメージングにおけるイメージング剤及び哺乳動物の体の放射線治療における放射線治療剤の両方として使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項40】
医薬品として使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項41】
検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングに使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項42】
がん又は前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングに使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項43】
cMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングに使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項44】
in vivoでのcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の画像の取得及び/又はcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位に関連する症状の治療に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は請求項26若しくは請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項45】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングの方法。
【請求項46】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、哺乳動物の体に対する放射線治療方法。
【請求項47】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用して、哺乳動物の体にイメージングと放射線治療の両方を行う方法。
【請求項48】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングの方法。
【請求項49】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、cMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングの方法。
【請求項50】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、in vivoでのcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の画像の取得及び/又はcMetの過剰発現若しくは局在化に関連する症状の治療の方法。
【請求項51】
請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【請求項52】
検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療のモニタリング、治療法、放射線治療、疾患進行のモニタリング及び治療法のモニタリングの少なくとも1つにおける、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【請求項53】
イメージング剤及び放射線治療剤の少なくとも1つとしての、任意選択で放射線治療剤としての、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【請求項54】
がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び治療法のモニタリングの少なくとも1つにおける、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【請求項55】
cMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び治療法のモニタリングの少なくとも1つにおける、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【請求項56】
In vivoでのcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の画像の取得及びcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位に関連する症状の治療の少なくとも1つにおける、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物及び請求項26又は請求項27に記載の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト又は動物に投与するための化合物及びそれらの使用方法に関するものである。特に、本発明は、放射性核種を使用するイメージング(すなわち、内部放射線学若しくは核医学イメージング)及び/又は放射線治療に使用する薬剤の調製に適した化合物に関するものである。そのようなイメージング技術の例は、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)シンチグラフィー及び陽電子放射断層撮影(PET)である。放射線治療に使用される放射性核種の例としては、α粒子放射核種、β粒子放射核種及びオージェ電子放射核種が挙げられる。さらに、本発明は、核医学イメージング及び/又は放射線治療に使用するためのキット並びにイメージング/放射線治療剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射性標識化合物は、分子イメージング及び放射線治療の両方に有用であり、これらのいくつかは先行技術に記載されている。
【0003】
WO2012/022676には、in vivoでのPETイメージングに適した放射性標識cMet結合ペプチドが記載されている。cMet結合ペプチドは放射性同位元素18Fで標識されている。また、特にがんの管理に使用するための医薬組成物、該薬剤及び組成物の調製方法並びに該組成物を使用したin vivoイメージング方法も記載されている。
【0004】
WO2012/119937には、in vivoでのSPECT又はPETイメージングに適した放射性標識cMet結合ペプチドを含むテクネチウムイメージング剤が記載されている。cMet結合ペプチドは、キレート剤コンジュゲートを介して標識されている。また、特にがんの診断に使用するための医薬組成物、該薬剤及び組成物の調製方法並びに該組成物を使用したin vivoイメージング方法も記載されている。
【0005】
WO2005/030266には、特に大腸がん(CRC)診断用の光イメージングのための造影剤の好ましい生物学的標的としてcMetが開示されている。WO2005/030266には、異常発現した標的に対して親和性のあるベクターと、リンカー部位と、光イメージングで検出可能な1つまたは複数のレポーター部位とを含む光イメージング剤が開示されている。
【0006】
WO2004/078778には、cMet又はcMetとHGFとを含む複合体に結合するポリペプチド又は多量体ペプチド構築物が開示されている。WO2004/078778では、該ペプチドが、in vitro及びin vivoでの応用のために検出可能な標識で、又は治療的な応用のために薬物で標識され得ることが開示されている。
【0007】
Arulappuら(Nucl. Med. 2016, 57, 765-770)は、頭頸部がんのがんイメージング用に開発した18F PET剤を開示している。該薬剤は、2つの内部ジスルフィド結合を有し、cMet受容体に特異的に結合する26アミノ酸ペプチドをベースにしている。該ペプチドのリジン残基は18Fで標識されている。
【0008】
しかしながら、放射性核種が共有結合で導入されたそのような薬剤の合成は複雑で、収率が低く、十分な純度のイメージング剤を得るためには精製工程が必要となる。さらに、そのような合成では、p-18Fベンズアルデヒドなどの補欠分子族を出発物質として使用する必要があり、これは18F-フッ化物から調製する必要がある。そのため、大多数の18F系PET薬剤と同様に、該調製には熟練した放射線化学者と、専用のロボット及びカセット並びに遮蔽された「ホット」セルなどの専用機器とが必要である。このように、この特定のタイプの18F PETイメージング剤の合成を行うには、専門の施設が必要となる。
【0009】
共有結合した18Fを持つ薬剤の調製に関連する問題のため、キレート剤が結合できる代替放射性核種の使用が浮上している。例えば、SPECTイメージング用の67Ga及びPETイメージング用の68Gaが、Al18F塩の使用と同様に普及している。
【0010】
(放射性同位元素をキレートすることができる)キレート剤にコンジュゲートした標的化部位を含むイメージング剤の例が存在する一方で、細胞表面のcMet過剰発現を高親和性結合、好ましい動態プロファイル、特異的取り込み及び/若しくは迅速な全身クリアランスで標的化することができるイメージング剤並びに/又は放射線治療剤があれば、投与後すぐ(おそらく1時間以内)に画像診断が可能になり、及び/又は標的を絞った放射線治療が可能になる(これによりオフターゲット照射によって引き起こされる毒性が軽減される)ため、有益であると考えられる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点の少なくとも一部を回避し、又は軽減することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、cMetの過剰発現部位の標的化及び/又は関連症状において使用するための放射性イメージング及び/又は放射線治療剤を提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本発明の第一の態様によれば、イメージング及び/又は放射線治療に使用される薬剤の調製に適した化合物であって、式I
【化1】
を有する化合物が提供される
(式中、
はcMBPのN末端に結合しており、H又はQであり、
はcMBPのC末端に結合しており、OH、OB又はQであり
(Bは生体適合性カチオンである)、
cMBPは17~30アミノ酸のcMet結合性環状ペプチドであり、アミノ酸配列(配列-1)
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
XaaはAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluであり、
Cysa-dはそれぞれシステイン残基であり、残基aとb及びcとdが環状になって2つの別個のジスルフィド結合を形成している)
を含み、
Qの各出現は独立して、
該ペプチドのin vivo代謝を阻害し、又は抑制する生体適合性基である代謝阻害基(MIG)、
in vivoでの腫瘍細胞等における滞留性を高める生体適合性基である腫瘍滞留基(TRG)並びに
生体内分布を促進させ、及び/又はin vivoでの血中滞留を長くする生体適合性基である生体内分布促進基(DEG
の少なくとも1つであり、
Lは式-(A)-の合成リンカー基であり(各Aは独立して、-CR-、-CR=CR-、-C≡C-、-CRCO-、-COCR-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SONR-、-NRSO-、-CROCR-、-CRSCR-、CRNRCR-、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基、C3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである)、
各Rは独立して、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、
mは値1~20の整数であり、
nは値0又は1の整数あり、
IMは放射性部位を錯化するのに適したキレート剤である)。
【0014】
該化合物は、該放射性部位を含んでいてもよい。
【0015】
基は、最後のアミノ酸残基のアミン基を置換する。したがって、ZがHの場合、cMBPのアミノ末端は、最後のアミノ酸残基の遊離NH基で終了する。Z基は、最後のアミノ酸残基のカルボニル基を置換する。したがって、ZがOHの場合、cMBPのカルボキシ末端は最後のアミノ酸残基の遊離COH基で終了し、ZがOBの場合、その末端カルボキシ基はCO基としてイオン化される。
【0016】
「代謝阻害基」(MIG)という用語は、アミノ末端(Z)又はカルボキシ末端(Z)のいずれかでcMBPペプチドのin vivo代謝を阻害又は抑制する生体適合性基を意味する。そのような基は当業者によく知られており、ペプチドのアミン末端については、N-アシル化基-NH(C=O)R(該アシル基-(C=O)Rは、C1-6アルキル基、C3-10アリール基から選ばれるRを有し、又はポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックを含む)から好適に選択される。好適なPEG基は、リンカー基(L)について以下に記載されている。そのようなPEG基は、式IA又はIBの生物学的修飾剤であり得る。そのようなアミノ末端MIG基は、アセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり得、典型的にはアセチルである。
【0017】
該ペプチドのカルボキシル末端に適した代謝阻害基としては、カルボキサミド、tert-ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール又はポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックが挙げられる。該cMBPペプチドのカルボキシ末端アミノ酸残基に適したM基は、アミノ酸残基の末端アミンがC1-4アルキル基(任意選択でメチル基)でN-アルキル化されたものである。そのようなMIG基は、カルボキサミド又はPEGであり得、典型的にはカルボキサミドである。
【0018】
式Iは、-(L)[IM]部位が、Z、Z又はcMBPの任意の好適な位置に結合され得ることを示す。Z又はZについては、Z/ZのいずれかがMIGである場合、-(L)[IM]部位はいずれもMIG基に結合し得る。ZがHであり、又はZがOHである場合、Z又はZの位置に-(L)[IM]部位が結合すると、それぞれ式[IM]-(L)-[cMBP]-Z又はZ-[cMBP]-(L)-[IM]の化合物が得られる。いずれかのペプチド末端でcMBPの代謝を阻害することは、このように-(L)[IM]部位を結合させることによっても達成され得るが、-(L)[IM]は、本明細書におけるMIGの定義の範囲外である。
【0019】
式Iの-(L)-部位は、IMの任意の好適な位置に結合され得る。-(L)-部位は、IMの既存の置換基の代わりになるか、又はIMの既存の置換基に共有結合する。-(L)-部位は、任意選択で、IMのカルボキシアルキル置換基を介して結合される。
【0020】
「腫瘍滞留基」(TRG)という用語は、in vivoでの腫瘍細胞等における該化合物の滞留性を高め、又は向上させる生体適合性基を意味する。そのような基は、該化合物の全体的なサイズを増加させる部位であり得、該ペプチドのアミン末端又はカルボキシル末端については、ポリアミン、ポリリジン、PEG(単分散)、アルブミン、脂肪直鎖炭素鎖、糖(グリコシル化)から好適に選択される。
【0021】
「生体内分布促進基」(DEG)という用語は、in vivoでの化合物の生体内分布を促進し、又は血中滞留を長くする(その薬物動態を促進し、又は向上させる)生体適合性基を意味する。そのような基は、ペプチドのアミン末端又はペプチドのカルボキシル末端について、ポリアミン、ポリリジン、PEG(単分散)、アルブミン、脂肪直鎖炭素鎖、糖(グリコシル化)から好適に選択され、最も好適にはPEG(単分散)である。
【0022】
「cMet結合性環状ペプチド」(cMBP)という用語は、cMet(c-Met又は肝細胞増殖因子受容体)としても知られる肝細胞増殖因子(HGF)高親和性受容体に結合するペプチドを意味する。好適なcMBPペプチドは、cMetに対するcMet/HGF複合体の見かけのKdが約10μM未満である。cMBPペプチドはプロリン残基を含んでおり、そのような残基は骨格のアミド結合のシス/トランス異性化を示し得ることが知られている。本明細書に記載のcMBPペプチドには、そのような異性体が含まれる。
【0023】
「生体適合性カチオン」(B)という用語は、イオン化した負電荷の基と塩を形成する正電荷の対イオンであって、非毒性でもあり、したがって哺乳動物の体、特に人体への投与に適している正電荷の対イオンを意味する。好適な生体適合性カチオンの例としては、アルカリ金属のナトリウム又はカリウム、アルカリ土類金属のカルシウム及びマグネシウム並びにアンモニウムイオンがある。典型的な生体適合性カチオンはナトリウム及びカリウムであり、典型的にはナトリウムである。
【0024】
「アミノ酸」という用語は、L-若しくはD-アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)又はアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然に存在するものであっても、純粋に合成されたものであってもよく、光学的に純粋なもの、すなわち単一のエナンチオマーであり、したがってキラルなものであってもよく、又はエナンチオマーの混合物であってもよい。本明細書では、アミノ酸の従来の3文字又は1文字の略号が使用されている。使用されるアミノ酸は光学的に純粋であり得る。「アミノ酸模倣体」という用語は、天然化合物の立体構造及び電子構造を模倣するように設計されたアイソステアである、天然に存在するアミノ酸の合成類似体を意味する。そのようなアイソステアは当業者によく知られており、デプシペプチド、レトロインベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5-二置換テトラゾールが含まれるが、これらに限定されない[M. Goodman, Biopolymers, 24, 137, (1985)を参照]。
【0025】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(すなわち、1つのアミノ酸のアミンと他のアミノ酸のカルボキシルとを連結するアミド結合)によって連結された、上記で定義した2つ以上のアミノ酸を含む化合物を意味する。「ペプチド模倣体」又は「模倣体」という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物学的活性を模倣しているが、もはやペプチド的な化学的性質を持たない生物学的活性化合物を指し、すなわち、それらはもはやペプチド結合(すなわち、アミノ酸間のアミド結合)を含んでいない。ここで、ペプチド模倣体という用語は広い意味で使用され、擬ペプチド、半ペプチド及びペプトイドなど、もはや完全にペプチド的な性質を持たない分子を含む。
【0026】
「キレート剤」(IM)という用語は、その特定の原子が単一の金属イオン又は金属イオン塩に対して複数の結合を形成できる物質を意味する。キレート剤は、窒素又は酸素などの電子供与元素を多く含む大環状化合物で構成されることが多い多座配位子である。
【0027】
式Iのリンカー基-(A)-の役割の一つは、IMをcMBPペプチドの活性部位から遠ざけることであると考えられる。これは、該化合物が比較的嵩高い場合に標的タンパク質との相互作用が損なわれないようにするため、特に重要である。これは、嵩高い基が活性部位から離れて自由に配置できるようにする柔軟性(例えば、単純なアルキル鎖)、及び/又はIMを活性部位から遠ざけるシクロアルキル若しくはアリールスペーサーなどの剛性を組み合わせることで達成できる。リンカー基の性質を使用して、該化合物の生体内分布を改変することもできる。したがって、例えば、リンカーへのエーテル基の導入は、血漿タンパク質結合を改変するのに役立つ。-(A)-がポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロック又は1~10アミノ酸残基のペプチド鎖を含む場合、リンカー基は、in vivoでの化合物の薬物動態及び血中クリアランス速度を改変するように機能し得る。そのような「生物学的修飾剤」リンカー基は、筋肉若しくは肝臓などのバックグラウンド組織からの及び/又は血液からの化合物のクリアランス速度を変化させ、バックグラウンド干渉が少なくなるため、より良い診断画像を提供することができる。また、生物学的修飾剤のリンカー基を使用して、特定の排泄経路、例えば、肝臓を介するものではなく腎臓を介するものを選択することもできる。
【0028】
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖としては、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースが挙げられる。任意選択で、糖はアミノ酸と容易にカップリングできるように官能基化されていてもよい。そのため、例えば、アミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートさせることができる。アスパラギンのグルコサミン誘導体(NovaBiochem社から市販されている)は、この一例である。
【化2】
【0029】
イメージング剤の分子量は、好適には最大8,000ダルトンである。任意選択で、分子量は2,800~6,000ダルトンの範囲であり、一般的には3,000~4,500ダルトンであり、3,200~4,000ダルトンが最も一般的である。
【0030】
本発明のイメージング剤は、両方のペプチド末端がMIG基で保護されていてもよく、すなわち、任意選択でZとZの両方がMIGであり、これは通常は異なるものとなる。上述したように、Z/Zのいずれかは、任意選択で-(L)[IM]と同じであってもよい。このようにペプチドの両末端が保護されていることは、in vivoでのイメージング用途には重要であり、なぜなら、そうでなければ急速な代謝が起こり、その結果、cMetに対する選択的な結合親和性が失われることが予想されるためである。ZとZの両方がMIGである場合、任意選択でZはアセチルであり、Zは一級アミドである。Zはアセチルであってもよく、Zは一級アミドであってもよく、-(L)[IM]部位はcMBPのリジン残基のイプシロンアミン側鎖に結合していてもよい。
【0031】
本発明のcMBPペプチドは、cMetのcMet/HGF複合体への結合についてのKが約10nM未満(蛍光偏光アッセイ測定に基づく)であり、最も一般的には1~5nMの範囲であり、3nM未満が理想的であると考えられる。
【0032】
式IのcMBPのペプチド配列(配列-1)
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(配列-1)
は、17merのペプチド配列であり、これが主にcMetとの選択的結合に関与している。本発明のcMBPペプチドが17を超えるアミノ酸残基を含む場合、残りのアミノ酸は、システインを除く任意のアミノ酸であり得る。追加された保護されていないシステイン残基は、定義されたCys-Cys及びCys-Cysジスルフィド架橋の望ましくないスクランブリングを引き起こす可能性がある。追加されたペプチドは、好ましくは、-(L)[IM]部位の容易なコンジュゲーションに適した側鎖を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。そのような残基としては、アミン官能基化された-(L)[IM]基とのコンジュゲーションに適したAsp若しくはGIu残基又はカルボキシ官能基化若しくは活性エステル官能基化された-(L)[IM]基とのコンジュゲーションに適したLys残基が挙げられる。-(L)[IM]のコンジュゲーションのためのアミノ酸残基は、好適には、cMBPペプチド(配列-1)の17mer結合領域から離れた場所に位置し、任意選択でC末端又はN末端に位置する。任意選択で、コンジュゲーションのためのアミノ酸残基はLys残基である。
【0033】
配列-1のトリプトファン残基の置換を、既知のアミノ酸置換体であるフェニルアラニン及びナフチルアラニンで評価した。しかしながら、cMet親和性の喪失が認められ、トリプトファン残基が活性に重要であることが示唆された。任意選択で、cMBPペプチドはN-末端のセリン残基をさらに含み、18-mer(配列-2)が得られる。
Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(配列-2)
【0034】
配列-1又は配列-2に加えて、cMBPはさらに、
(i)cMBPペプチドのC-若しくはN-ペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にAsp若しくはGIu残基若しくはその類似体を含んでいてもよく、-(L)[IM]はアミン基で官能基化され、これが前記Asp若しくはGIu残基若しくはその類似体のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる、又は
(ii)cMBPペプチドのC-若しくはN-ペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にLys残基若しくはその類似体を含んでいてもよく、-(L)[IM]はカルボキシル基で官能基化され、これが前記Lys残基若しくはその類似体のイプシロンアミン側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる。
【0035】
配列-1又は配列-2に加えて、cMBPはさらに、cMBPペプチドのC-又はN-ペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にLys残基又はその類似体を含んでいてもよく、-(L)[IM]はカルボキシル基で官能基化され、これが前記Lys残基又はその類似体のイプシロンアミン側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる。
【0036】
Asp及び/又はGluの類似体としては、2-アミノブタン二酸、2-アミノヘキサン二酸、2-アミノヘプタン二酸、2-アミノオクタン二酸、2-アミノノナン二酸、2-アミノデカン二酸、2-アミノウンデカン二酸及び2-アミノドデカン二酸のうちの1つまたは複数を挙げることができる。
【0037】
Lysの類似体としては、2,3-ジアミノプロパン酸、2,4-ジアミノブタン酸、2,5-ジアミノペンタン酸、2,7-ジアミノヘプタン酸、2,8-ジアミノオクタン酸、2,9-ジアミノノナン酸、2,10-ジアミノデカン酸、2,11-ジアミノウンデカン酸、2,12-ジアミノドデカン酸のうちの1つまたは複数を挙げることができる。
【0038】
合成リンカー基(L)が存在する場合、それは[IM]及びZ-[cMBP]-Zとのコンジュゲーションを容易にする末端官能基を含んでいてもよい。Lが1~10アミノ酸残基のペプチド鎖を含む場合、該アミノ酸残基は独立して、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択され得、任意選択で独立して、グリシン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択されてもよい。任意選択で、Lは1~5アミノ酸のペプチド鎖を含んでいてもよい。任意選択で、Lは2アミノ酸のペプチド鎖を含んでいてもよい。任意選択で、Lは3アミノ酸のペプチド鎖を含んでいてもよい。該アミノ酸残基は独立して、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択され得、任意選択で独立して、グリシン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択されてもよい。該アミノ酸残基はグリシンであってもよい。
【0039】
式-(A)-の合成リンカー基において、各Aはアミノ酸であってもよく、mは値1~5の整数であってもよい。任意選択で、各Aはアミノ酸であってもよく、mは2であってもよい。任意選択で、各Aはアミノ酸であってもよく、mは3であってもよい。該アミノ酸は独立して、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択され得、任意選択で独立して、グリシン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択されてもよい。該又は各アミノ酸はグリシンであってもよい。
【0040】
LがPEG部位を含む場合、それは式IA(17-アミノ-5-オキソ-6-アザ-3,9,12,15-テトラオキサヘプタデカン酸)又はIBの単分散PEG様構造のオリゴマー化から得られるユニットを含んでいてもよい
【化3】
(式IA)

(式中、pは1~10の整数である。あるいは、式IBのプロピオン酸誘導体をベースとしたPEG様構造が使用され得る)
【化4】
(式IB)
(式中、pは式IAについて定義されている通りであり、qは3~15の整数である。式IBでは、pは1又は2であってもよく、qは5~12であってもよい)。
【0041】
Lは、1~10アミノ酸残基のペプチド鎖とPEG部位とを含んでいてもよい。式-(A)-の合成リンカー基において、各Aは独立して、アミノ酸又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックであってもよい。任意選択で、各Aは独立して、アミノ酸であってもよい。mは値1~5の整数であってもよく、任意選択で3、任意選択で2である。
【0042】
リンカー基がPEG又はペプチド鎖を含まない場合、L基は2~10個の原子、最も好ましくは2~5個の原子、特に好ましくは2又は3個の原子の-(A)-部位を構成する連結原子の主鎖を有していてもよい。リンカー基の主鎖が2原子以上であれば、イメージング部位が十分に分離されているため、望ましくない相互作用が最小限に抑えられるという利点がある。
【0043】
式Z-[cMBP]-Zのペプチドは、
(i)所望のcMBPペプチドと同じペプチド配列を有し、Cys及びCysが保護されておらず、Cys及びCys残基がチオール保護基を有する直鎖状ペプチドを固相ペプチド合成する工程と、
(ii)工程(i)のペプチドを固体支持体から切断し、溶液中で水性塩基で処理して、CysとCysを連結する第一ジスルフィド結合を有する単環式ペプチドを得る工程と、
(iii)Cys及びCysのチオール保護基を除去して環化し、CysとCysを連結する第二ジスルフィド結合を与えることで、所望の二環式ペプチド生成物Z-[cMBP]-Zを得る工程と、
を含む調製方法によって得ることができる。
【0044】
「保護基」という用語は、望ましくない化学反応を阻害又は抑制するが、分子の残りの部分を修飾しない程度の穏やかな条件下で、当該官能基から切断することができる十分な反応性を持つように設計された基を意味する。脱保護の後、所望の生成物が得られる。アミン保護基は当業者によく知られており、Boc(Bocはtert-ブチルオキシカルボニルである)、Fmoc(Fmocはフルオレニルメトキシカルボニルである)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[すなわち、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]又はNpys(すなわち、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル)から好適に選択される。好適なチオール保護基は、Trt(トリチル)、Acm(アセトアミドメチル)、t-Bu(tert-ブチル)、tert-ブチルチオ、メトキシベンジル、メチルベンジル又はNpys(3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル)である。さらなる保護基の使用については、’Protective Groups in Organic Synthesis’, Theorodora W. Greene and Peter G. M. Wuts, (John Wiley & Sons, 1991)に記載されている。典型的なアミン保護基はBoc及びFmocであり、最も典型的なものはBocである。他の典型的なチオール保護基はTrt及びAcmである。
【0045】
固相ペプチド合成の詳細は、P. Lloyd-Williams, F. Albericio and E. Girald; Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins, CRC Press, 1997に記載されている。cMBPペプチドは、不活性雰囲気下で冷凍庫に保管するのが最適である。溶液中で使用する場合は、ジスルフィド結合のスクランブリングのリスクがあるため7を超えるpHを避けた方がよく、ペプチドの凝集を誘発してしまうため低pHを避けた方がよい。
【0046】
-[cMBP]-Zでは、ZとZの両方がMIGに等しくてもよい。典型的なcMBPペプチド及びZ/Z基は、上述の通りである。特に、上述の典型的なcMBPペプチドについて説明したように、コンジュゲーションを容易にするために、cMBPペプチドはAsp、GIu又はLys残基を含むことが典型的である。最も典型的なのは、cMBPペプチドがLys残基を含むことである。
【0047】
-[cMBP]-Zの調製は、上述の通りである。Zが活性エステルであるZ-[cMBP]-Zペプチドは、ZがOH又は生体適合性カチオン(B)であるZ-[cMBP]-Zから、従来の方法により調製することができる。
【0048】
「活性化エステル」又は「活性エステル」という用語は、より良好な脱離基を含むことでアミンなどの求核試薬とより容易に反応することができるように設計された関連カルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、スルホスクシンイミジルエステル、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、パラニトロフェノール、ヒドロキシベンゾトリアゾール及びPyBOP(すなわち、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)である。活性エステルは、N-ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールエステル、特にN-ヒドロキシスクシンイミドエステルであってもよい。あるいは、カルボン酸が無水物を形成して分子内で活性化した形態を用いてもよい。
【0049】
放射性部位は、アルファ線(α)放射核種、ベータ線(β)放射核種及びガンマ線(γ)放射核種の少なくとも1つであってもよい。
【0050】
ベータ線放射核種は、電子(β)放射核種及び陽電子(β)放射核種の少なくとも1つであればよい。
【0051】
本化合物は、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、シンチグラフィー及び放射線治療の1つ又は複数に使用され得る。本化合物は、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)及び放射線治療の1つ以上に使用され得る。本化合物は、放射線治療に使用され得る。
【0052】
放射性部位は、90Y、177Lu、188Re、186Re、67Cu、212Bi、213Bi、211At、225Ac、131I、166Ho、149Pm、199Au、105Rh、227Th、153Sm、89Sr、223Ra、77Br、123I、125I、99mTc、67Ga、111In、68Ga、64Cu、89Zr、11C、15O、13N、82Rb及び18F並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0053】
放射性部位は、90Y、177Lu、188Re、186Re、67Cu、212Bi、213Bi、211At、225Ac、131I、166Ho、149Pm、199Au、105Rh、227Th、153Sm、89Sr、223Ra、77Br、123I及び125I並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0054】
放射性部位は、68Ga、64Cu、89Zr、11C、15O、13N、82Rb及び18F並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0055】
放射性部位は、99mTc、67Ga及び111In並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0056】
放射性部位は、68Ga、18F、89Zr、177Lu、225Ac、213Bi、227Th及び90Y並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0057】
放射性部位は、68Ga及び177Lu並びにそれらの好適な塩からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0058】
放射性部位は、177Lu又はその好適な塩であってもよい。
【0059】
キレート剤は、サイクレン(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、サイクラム(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン)、TACN(1,4,7-トリアザシクロノナン)、THP(トリス(ヒドロキシピリジノン))、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)、NODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン、1-グルタル酸-4,7-酢酸)、TRAP(1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸)、NOPO(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ビス[メチレン(ヒドロキシメチル)ホスフィン酸]-7-[メチレン(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DATA((6-ペンタン酸)-6-(アミノ)メチル-1,4-ジアゼピントリアセテート))、AAZTA(1,4-ビス(カルボキシメチル)-6-[ビス(カルボキシメチル)]アミノ-6-メチルペルヒドロ-1,4-ジアゼピン)、HBED-CC(N,N’-ビス(2-ヒドロキシ-5-(エチレン-ベータ-カルボキシ)ベンジル)エチレンジアミンN,N’-二酢酸)及びそれらの誘導体からなる群の1つ又は複数より選択されてもよい。
【0060】
キレート剤は、THP(トリス(ヒドロキシピリジノン))、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)及びNODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン、1-グルタル酸-4,7-酢酸)の少なくとも1つであってもよい。
【0061】
キレート剤は、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)及びDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)の少なくとも1つであってもよい。
【0062】
キレート剤は、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)であってもよい。キレート剤は、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)であってもよい。
【0063】
配列-1に加えて、cMBPはさらに、C-又はN-cMBPペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にAsp又はGlu残基を含み、-(L)IMはアミン基で官能基化され、これが前記Asp又はGlu残基のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる。
【0064】
配列-1に加えて、cMBPは、C-又はN-cMBPペプチド末端のいずれかから4アミノ酸残基以内にLys残基を含んでいてもよく、-(L)IMはカルボキシル基で官能基化されていてもよく、これが前記Lys残基のイプシロンアミン側鎖にコンジュゲートしてアミド結合がもたらされる。
【0065】
cMBPは、配列-2又は配列-3
Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa(配列-2)、
Ala-Gly-Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Thr(配列-3)
のいずれかのアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0066】
XaaはArgであってもよい。
【0067】
配列-1、配列-2又は配列-3に加えて、cMBPはさらに、N又はC末端のいずれかに、-Gly-Gly-Gly-Lys(配列-4)、-Gly-Ser-Gly-Lys-(配列-5)及び-Gly-Ser-Gly-Ser-Lys(配列-6)から選択されるリンカーペプチドを含んでいてもよい。
【0068】
リンカーペプチドのLys残基は、-(L)[IM]部位の典型的なコンジュゲーション位置である。一部のcMBPペプチドは、配列-3を配列-4のリンカーペプチドと一緒に含み、26merのアミノ酸配列(配列-7)
Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
(配列-7)
を有する。
【0069】
cMBPは、アミノ酸配列(配列-7)
Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
を有していてもよい。
【0070】
及びZの両方が独立してQであってもよく、任意選択でMIGであってもよい。
【0071】
はアセチルであってもよく、Zは一級アミドであってもよい。
【0072】
nは1であってもよい。nは0であってもよい。
【0073】
配列-1、配列-2、配列-3及び配列-7のcMBPペプチドでは、Z=Z=MIGであってもよく、Z=アセチル及びZ=一級アミドであってもよい。
【0074】
-(L)[IM]部位は、好適には、Z基若しくはZ基のいずれか又は配列-1のcMet結合配列とは異なるcMBPペプチドのアミノ酸残基に結合している。可能なアミノ酸残基及びコンジュゲーション部位は、上述の通りである。-(L)[IM]部位がZ又はZに結合している場合、N又はC末端にコンジュゲーションすることによってZ又はZに取って代わり、そのようにしてin vivo代謝を遮断し得る。
【0075】
本化合物は放射線治療に使用される薬剤の調製に適する場合があり、式I
【化5】
を有する
(式中、
はcMBPのN末端に結合しており、Qであり、
はcMBPのC末端に結合しており、Qであり
(Qは代謝阻害基(MIG)であり、ペプチドのin vivo代謝を阻害又は抑制する生体適合性基である)、
cMBPは17~30アミノ酸のcMet結合性環状ペプチドであり、アミノ酸配列(配列-1)
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
XaaはAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluであり、
Cysa-dはそれぞれシステイン残基であり、残基aとb及びcとdが環状になって2つの別個のジスルフィド結合を形成している)
を含み、
Lは式-(A)-の合成リンカー基であり(各Aは独立して、-CR-、-CR=CR-、-C≡C-、-CRCO-、-COCR-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SONR-、-NRSO-、-CROCR-、-CRSCR-、CRNRCR-、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基、C3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである)、
各Rは独立して、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、
mは値1~20の整数であり、
nは値0又は1の整数あり、
IMは放射性部位を錯化するのに適したキレート剤である
(該キレート剤は、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)及びDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)の少なくとも1つである))。
【0076】
本化合物は放射線治療に使用される薬剤の調製に適する場合があり、式I
【化6】
を有する
(式中、
はcMBPのN末端に結合しており、Qであり、
はcMBPのC末端に結合しており、Qであり
(Qは代謝阻害基(MIG)であり、ペプチドのin vivo代謝を阻害又は抑制する生体適合性基である)、
cMBPは17~30アミノ酸のcMet結合性環状ペプチドであり、アミノ酸配列(配列-1)
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa
(XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
XaaはAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluであり、
Cysa-dはそれぞれシステイン残基であり、残基aとb及びcとdが環状になって2つの別個のジスルフィド結合を形成している)
を含み、
Lは式-(A)-の合成リンカー基であり(各Aは独立して、アミノ酸又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである)、
mは値1~5の整数であり、
nは1の整数あり、
IMは放射性部位を錯化するのに適したキレート剤である(該キレート剤は、DOTAGA(2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)及びDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)の少なくとも1つである))。
【0077】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様の化合物と生体適合性担体とを含む、哺乳動物への投与に適した形態の医薬組成物が提供される。医薬組成物はさらに、第一の態様に記載の放射性部位を含んでいてもよい。放射性部位は、キレート剤によって錯体を形成することができる。
【0078】
生体適合性担体は、溶媒、典型的には水性溶媒、典型的には水であってもよい。該溶媒は流体であってもよい。
【0079】
「生体適合性担体」は、組成物が生理学的に許容されるように、すなわち毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物の体に投与できるように、イメージング剤を懸濁又は溶解できる流体、特に液体であってもよい。生体適合性担体は、好適には、無菌でパイロジェンフリーの注射用水、生理食塩水などの水溶液(有利には、注射用の最終製品が等張になるように平衡化されていてもよい)、1つ又は複数の等張化物質(例えば、血漿カチオンと生体適合性対イオンの塩)、糖(例えば、グルコース若しくはスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール若しくはマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール材料(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液などの注射用担体液である。生体適合性担体は、パイロジェンフリーの注射用水又は等張生理食塩水であってもよい。イメージング剤及び生体適合性担体は、それぞれ好適なバイアル又は容器に入れて供給される。これらの容器は、無菌完全性及び/又は放射能安全性を維持することができる密閉容器に加えて、任意選択で不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)を含み、一方でシリンジ又はカニューレによる溶液の添加及び回収が可能なものである。そのような容器として好ましいのは、セプタムで密封されたバイアルであり、気密封止部はオーバーシール(通常はアルミニウム)で圧着されている。この封止部は、無菌完全性を維持しつつ、皮下注射針による単一又は複数の穿刺に適している(例えば、圧着型セプタムシール封止部)。そのような容器は、必要に応じて真空に耐えることができ(例えば、ヘッドスペースガスを変更し、若しくは溶液を脱気するために)、酸素又は水蒸気などの外部大気ガスの侵入を許すことなく、減圧などの圧力変化に耐えることができるという利点もある。
【0080】
医薬組成物は、一人の患者に対する投与量を有していてもよく、好適なシリンジ又は容器で提供されてもよい。
【0081】
本発明の第三の態様によれば、第二の態様の医薬組成物を調製するためのキットであって、第一の態様の化合物を無菌の固体形態で含んでおり、第二の態様の生体適合性担体の無菌供給物と再構成すると、溶解して所望の医薬組成物を与えるキットが提供される。
【0082】
キットはさらに、第一の態様に記載の放射性部位を含んでいてもよい。放射性部位は、キレート剤によって錯化することができる。
【0083】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用することを含む哺乳動物の体のイメージング方法が提供される。
【0084】
該イメージングはin vivoで行ってもよい。
【0085】
該イメージングは、PETイメージング、シンチグラフィ及びSPECTイメージングの少なくとも1つであってもよい。
【0086】
該イメージングはSPECTイメージングであってもよい。
【0087】
該イメージングは、in vivoでのcMetの過剰発現部位又は局在化部位の画像を取得するためのものであってもよい。
【0088】
該イメージング方法では、任意選択で、第一の態様の化合物又は第二の態様の医薬組成物が哺乳動物の体に前もって投与されている。
【0089】
該イメージング方法は、
a)第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを投与する工程と、
b)放射性部位の崩壊により発生する放射性部位からの発光を検出する工程と、
c)工程(b)の発光から、目的の組織表面の画像を形成する工程と、
を含んでいてもよい。
【0090】
該イメージング方法は、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングを支援するために使用されてもよい。
【0091】
該イメージング方法は、がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングを支援するために使用されてもよい。
【0092】
該イメージング方法を含む、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング又は治療法のモニタリングの方法。
【0093】
本発明のさらなる態様によれば、哺乳動物の体のイメージングにおけるイメージング剤及び哺乳動物の体の放射線治療における放射線治療剤の少なくとも1つとして使用するための、第一の態様の化合物又は第二の態様の医薬組成物が提供される。
【0094】
本発明のさらなる態様によれば、哺乳動物の体の放射線治療における放射線治療剤として使用するための、第一の態様の化合物又は第二の態様の医薬組成物が提供される。
【0095】
本発明のさらなる態様によれば、哺乳動物の体のイメージングにおけるイメージング剤及び哺乳動物の体の放射線治療における放射線治療剤の両方として使用するための、第一の態様の化合物又は第二の態様の医薬組成物が提供される。
【0096】
本発明のさらなる態様によれば、医薬品として使用するための、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つが提供される。
【0097】
本発明のさらなる態様によれば、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングに使用するための、第一の態様の化合物並びに第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つが提供される。
【0098】
本発明のさらなる態様によれば、がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングに使用するための、第一の態様の化合物並びに第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つが提供される。
【0099】
本発明のさらなる態様によれば、cMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングに使用するための、第一の態様の化合物並びに第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つが提供される。
【0100】
本発明のさらなる態様によれば、in vivoでのcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の画像の取得及び/又はcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位に関連する症状の治療に使用するための、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つが提供される。
【0101】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングの方法が提供される。
【0102】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、哺乳動物の体に対する放射線治療方法が提供される。
【0103】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用して、哺乳動物の体にイメージングと放射線治療の両方を行う方法が提供される。
【0104】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングの方法が提供される。
【0105】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、cMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び/又は治療法のモニタリングの方法が提供される。
【0106】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つを使用した、in vivoでのcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の画像の取得及び/又はcMetの過剰発現若しくは局在化に関連する症状の治療の方法が提供される。
【0107】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0108】
本発明のさらなる態様によれば、検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療のモニタリング、治療法、放射線治療、疾患進行のモニタリング及び治療法のモニタリングの少なくとも1つにおける、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0109】
本発明のさらなる態様によれば、イメージング剤及び放射線治療剤の少なくとも1つとしての、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0110】
本発明のさらなる態様によれば、放射線治療剤としての、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0111】
本発明のさらなる態様によれば、がん若しくは前がん状態の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び治療法のモニタリングの少なくとも1つにおける、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0112】
本発明のさらなる態様によれば、cMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の検出、診断、予後、転帰の予測、手術、病期分類、治療、治療法、放射線治療、治療のモニタリング、疾患進行のモニタリング及び治療法のモニタリングの少なくとも1つにおける、任意の第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0113】
本発明のさらなる態様によれば、in vivoでのcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位の画像の取得及びcMetの過剰発現部位若しくは局在化部位に関連する症状の治療の少なくとも1つにおける、第一の態様の化合物及び第二の態様の医薬組成物の少なくとも1つの使用が提供される。
【0114】
In vivoでの使用の場合、該製剤は、例えば、生体適合性担体での再構成により、哺乳動物への投与に適した形態にされることが理解されよう。
【0115】
記載されている代替の特徴及び異なる実施形態は、それらの各態様及び各実施形態に準用される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
以下、本発明の実施形態を、例示として、下記図面を参照しながら説明する。
図1】NODAGAを含む本発明の化合物(化合物1)及び化合物1を得るための反応スキームを示した図である。
図2】THPを含む本発明の化合物(化合物2)及び化合物2を得るための反応スキームを示した図である。
図3】DOTAを含む本発明の化合物(化合物3)及び化合物3を得るための反応スキームを示した図である。
図4】DOTAGAを含む本発明の化合物(化合物4)及び化合物4を得るための反応スキームを示した図である。
図568Ga-化合物3(注射後1時間及び3時間)並びに18F-FDG(注射後1時間)のin vivo PET/CTイメージングを示した図である。
図6177Lu-化合物3のin vivo SPECTイメージング(注射後1.5時間、17時間、41時間、65時間及び141時間)を示した図である。
図718F-FDGのin vivo PET/CTイメージング(注射後1時間)を示した図である。
図8177Lu-化合物3のin vivo SPECTイメージング(注射後4.5時間、20時間、45時間、67時間及び141時間)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
イメージング剤若しくは放射線治療剤として(又は前駆体として若しくはキットの一部として)有用な化合物を以下に記載のように調製した。
【0118】
(cMet結合ペプチドの調製)
(工程(a):保護された前駆体直鎖ペプチドの合成)
前駆体直鎖ペプチドは、
Ac-Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys(Acm)-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys(Acm)-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys-NH(配列-7を含む)の構造を有する。
【0119】
ペプチジル樹脂H-Ala-Gly-Ser(tBu)-Cys(Trt)-Tyr(tBu)-Cys(Acm)-Ser(tBu)-Gly-Pro-Pro-Arg(Pbf)-Phe-Glu(OtBu)-Cys(Acm)-Trp(Boc)-Cys(Trt)-Tyr(tBu)-Glu(OtBu)-Thr(ΨMe,Mepro)-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Gly-Gly-Gly-Lys(Boc)-ポリマー(配列-7を含む)を、Applied Biosystems 433Aペプチドシンセサイザーで、Fmoc化学を使用して0.1mmolのRink Amide Novagel樹脂から開始して組み立てた。カップリング工程では、過剰な1mmolの予備活性化アミノ酸(HBTUを使用)を適用した。Glu-Thrシュードプロリン(Novabiochem 05-20-1122)を配列中に組み込んだ。この樹脂を窒素バブラー装置に移し、無水酢酸(1mmol)及びNMM(1mmol)をDCM(5mL)に溶解した溶液で60分間処理した。無水物溶液を濾過により除去し、樹脂をDCMで洗浄し、窒素気流下で乾燥させた。
【0120】
側鎖保護基の除去と樹脂からのペプチドの切断とを同時に、2.5%のTIS、2.5%の4-チオクレゾール及び2.5%の水を含有するTFA(10mL)中で2時間30分行った。樹脂を濾過により除去し、TFAを真空除去し、残渣にジエチルエーテルを加えた。形成された沈殿物をジエチルエーテルで洗浄し、風乾して264mgのクルードペプチドを得た。
【0121】
クルードペプチドを分取HPLCにより精製し(グラジエント:A=HO/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFAを40分かけて20-30%B、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)50x21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:30分)、100mgの純粋なcMet結合ペプチド直鎖状前駆体を得た。この純粋な生成物を分析HPLCで分析した(グラジエント:A=H2CVO.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFAを10分かけて10-40%B、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)。さらに、エレクトロスプレー質量分析法を用いて生成物の特性評価を行った(MH 2+計算値:1464.6、MH 2+実測値:1465.1)。
【0122】
(工程(b):単環式Cys4-16ジスルフィド架橋の形成)
Cys4-16;Ac-Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys(Acm)-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys(Acm)-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys-NH(配列-7を含む)。
【0123】
工程(a)の直鎖状前駆体(100mg)を5%DMSO/水(200mL)に溶解し、その溶液をアンモニアを用いてpH6に調整した。この反応混合液を5日間撹拌した。その後、TFAを用いて溶液をpH2に調整し、溶媒の大部分を真空蒸発させて除去した。残渣(40mL)を分取HPLCカラムに分注し、生成物を精製した。
【0124】
残渣を分取HPLCにより精製し(グラジエント:A=HO/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFAを10分かけて0%B、次いで40分かけて0-40%B、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250x21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:44分)、72mgの純粋なcMet結合ペプチド単環式前駆体を得た。この純粋な生成物(異性体P1~P3の混合物)を分析HPLC(グラジエント:A=HO/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFAを10分かけて10-40%B、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:5.37分(P1);5.61分(P2);6.05分(P3))により分析した。さらに、エレクトロスプレー質量分析法を用いて生成物の特性評価を行った(MH 2+計算値:1463.6、MH 2+実測値:1464.1(P1);1464.4(P2);1464.3(P3))。
【0125】
(工程(c):第二Cys6-14ジスルフィド架橋の形成)
工程(b)の単環式前駆体(72mg)を、窒素ブランケット下で75%AcOH/水(72mL)に溶解した。1MのHCl(7.2mL)及びAcOH中0.05MのI(4.8mL)をこの順序で加え、混合液を45分間撹拌した。1Mのアスコルビン酸(1mL)を加え、無色混合液を得た。溶媒の大部分を真空蒸発させ、残渣(18mL)を水/0.1%TFA(4mL)で希釈し、分取HPLCを用いて生成物を精製した。
【0126】
残渣を分取HPLCにより精製し(グラジエント:A=HO/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFAを10分かけて0%B、次いで40分かけて20-30%B、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250x21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:43~53分)、52mgの純粋なcMet結合ペプチドを得た。この純粋な生成物を分析HPLC(グラジエント:A=HO/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFAを10分かけて10-40%B、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)により分析した。さらに、エレクトロスプレー質量分析法を用いて生成物の特性評価を行った(MH 2+計算値:1391.5、MH 2+実測値:1392.5)。
【0127】
(化合物1の調製)
図1の反応スキームを参考に、化合物1を以下のように調製した。
【0128】
Bachem社から入手したGMPグレードのcMet結合ペプチド(150.0mg、49.8μmol)を、窒素下で10mL丸底フラスコ内の乾燥DMF(1.9mL)に溶解した。CheMatec社から入手したNODAGA-NHSエステル(43.80mg、1.2当量)を乾燥DMF(600μL)に溶解し、Sigma Aldrich社から入手した乾燥DIPEA(173μL、20.0当量)(99.5%バイオテクノロジーグレード)を加えた。活性エステル溶液をペプチド溶液に加えたところ、沈殿物が形成された。懸濁液を25℃で1時間撹拌し、その時点でHPLCでサンプルを分析したところ、反応が不完全であることが示された。懸濁液をさらに1時間撹拌し、その時点でさらにサンプルをHPLCで分析したところ、再び反応が不完全であることが示された。NODAGA-NHSエステル(8.7mg、0.52当量)及びDIPEA(34.7μL、4当量)を反応混合液に加えた。3時間30分後、出発ペプチドの生成物への変換は不完全であったが(出発ペプチドは約5%残っていた)、反応を停止させた。反応混合液に氷冷MTBE(15mL)を加え、沈殿物を遠心分離した(2分、3,260rpm、5℃)。クルード生成物を1mLの水に溶解し、二相性液体を得て、これをセミ分取HPLCで精製した(AA 100mm、pH7、AcN、1%/分、10mL/分、カラムZorbax C18 30x250mm、3回注入、t=26.73分)。化合物1は中程度の収率(76.9mg、49%)で、優れた純度(>98%、210及び254nm)で得られた。
【0129】
HPLC及びMALDI/TOFにより、化合物1が得られたことを確認した。
【0130】
(HPLCの結果)
(溶離液A:HO中0.1%TFA、溶離液B:アセトニトリル中0.09%TFA;カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 95A C18、2.1x150mm、3.5um P/N 959763-902;グラジエント:2.5分かけて5%B、次いで85分かけて5%-90%B、次いで2.5分かけて90%B、次いで2.5分後に90%-5%B、次いで2.5分かけて5%B;検出:210nm)
・t cMetペプチド:29.2分;t生成物:30.1分
【0131】
(溶離液A:水中0.1M酢酸アンモニウム、溶離液B:アセトニトリル;カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 95A C18、2.1x150mm、3.5um P/N 959763-902;グラジエント:2.5分かけて5%B、次いで85分後に5%-90%B、次いで2.5分かけて90%B、次いで2.5分後に90%-5%B、次いで2.5分かけて5%B;検出210nm)
・t cMetペプチド:21.0分、t生成物:19.15分
【0132】
(溶離液A:HO中0.1%TFA、溶離液B:アセトニトリル中0.09%TFA;カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 95A C18、2.1x150mm、3.5um P/N 959763-902;グラジエント:2.5分かけて5%B、次いで17分後に5%-90%B、次いで2.5分かけて90%B、次いで2.5分後に90%-5%B、次いで2.5分かけて5%B;検出210nm)
・t生成物=12.6分
【0133】
(MALDI/TOFの結果)
・ペプチド(再分析):2,786.98(M+4H)
・生成物:3,141(計算上の生成物質量=3,140.43)
【0134】
(化合物2の調製)
図2の反応スキームに沿って、以下の説明に従って化合物2を調製した。
【0135】
GMPグレードのc-Metペプチド(30.0mg、9.97μmol)及びCheMatec社から入手したp-NCS-Bz-THP(14.37mg、1.5当量)を、10mL丸底フラスコ内で乾燥DMF(1mL)に溶解した。乾燥DIPEA(26.0μL、15.0当量)を加えたところ、沈殿物が形成された。部分的に可溶化した懸濁液を撹拌した。HPLC分析の結果、2時間後にはペプチドがほぼ完全に変換され、4時間後には完全に変換されたが、その頃には溶液は濁っており、いくらか沈殿物があった。反応混合液に氷冷MTBE(15mL)を加え、沈殿物を遠心分離した(2分、3260rpm、5℃)。冷MTBE(6mL)で洗浄を繰り返し、沈殿物を遠心分離した(2分、3260rpm、5℃)。得られた白色固体をアルゴン気流下で乾燥させた後、真空乾燥させた(31.95mg)。クルード生成物を400μLの水と400μLのAcNに溶解し、セミ分取HPLCで精製した(HO中TFA0.1%、AcN、0.75%/分、20mL/分、カラム:Zorbax C18 21.2x250mm、1回注入、t=34.3分、トレースファイル521)。この化合物は良好な収率と純度で得られた(89% UV254nm)。
【0136】
HPLC、ESI+/MS及びMALDI/TOFにより、化合物2が得られたことを確認した。
【0137】
(HPLCの結果)
(溶離液A:HO中0.1%TFA、溶離液B:アセトニトリル中0.09%TFA;カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 95A C18、2.1x150mm、3.5um P/N 959763-902;グラジエント:2.5分かけて5%B、次いで85分後に5%-90%B、次いで2.5分かけて90%B、次いで2.5分後に90%-5%B、次いで2.5分かけて5%B;検出210nm)
・t生成物=13.7分
【0138】
(ESI+/MSの結果)
・生成物:1,872.8.3(M+2H)2+;1,248.5(M+3H)3+
【0139】
(MALDI/TOFの結果)
・開始ペプチド:2,786.98(M+4H)
・生成物:3,738(計算上の生成物質量=3,741.43)
【0140】
(化合物3の調製)
DOTA-NHSは、アミン標識用の活性種として市販されている。DOTA-NHSは、68Ga及び177Luのキレートにも使用できる。DOTA-NHSを、図3の反応スキームに従ってcMet結合ペプチドとコンジュゲートさせ、化合物3を得た。さらなる詳細は以下の通りである。
【0141】
Bachem社から入手したGMPグレードのcMet結合ペプチド(10mg、3.17μmol)を1.5mLエッペンドルフチューブ内で乾燥DMF(100μL)に溶解し、Sigma Aldrich社から入手したDIPEA(8.26μL、15.0当量)(99.5%バイオテクノロジーグレード)を添加した。CheMatec社から入手したDOTA-NHS(4.10mg、1.7当量)を乾燥DMF(50μL)に溶解し、アミン溶液に添加した。反応混合液をアルゴンガスでフラッシュし、アルゴンガスの陽圧下、20℃で約24時間反応させた。
【0142】
1時間後にサンプルを採取し、HPLCで分析した。約24時間後にさらにサンプルを採取し、ESI+/MS及びMALDI/TOFで分析し、完全に反応したことを確認した。
【0143】
HPLC、ESI+/MS及びMALDI/TOFのいずれにおいても、cMet結合ペプチドが化合物3に完全に変換されていることが確認された。
【0144】
HPLCの結果(溶離液A:HO中0.1%TFA、溶離液B:アセトニトリル中0.09%TFA;カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 95A C18、2.1x150mm、3.5um P/N 959763-902;グラジエント:2.5分かけて5%B、次いで85分後に5%-90%B、次いで2.5分かけて90%B、次いで2.5分後に90%-5%B、次いで2.5分かけて5%B;検出210nm)
・T=t cMetペプチド:29.2分
・T1時間=t cMetペプチド:ピークなし、t生成物:28.9分
【0145】
(ESI+/MSの結果)
・約24時間後の反応混合液-陽イオン化:1,585.3(M+2H)2+;1,056.9(M+3H)3+
【0146】
(MALDI/TOFの結果)
・ペプチド(再分析):2,785.05
・約24時間後の反応混合液:3,170(計算上の生成物質量=3,169.44)
【0147】
(化合物4の調製)
DOTAGA無水物は、アミン標識用の活性種として市販されている。DOTAGA無水物は、68Ga及び177Luのキレートにも使用できる。DOTAGA無水物を、図4の反応スキームに従ってcMet結合ペプチドとコンジュゲートさせ、化合物4を得た。さらなる詳細は以下の通りである。
【0148】
Bachem社から入手したGMPグレードのcMet結合ペプチド(25mg、7.92μmol)を、180℃のオーブンに入れてあらかじめ水分を除去した10mL丸底フラスコ内で乾燥DMF(300μL)に溶解した。Sigma Aldrich社から入手したDIPEA(21μL、15.0当量)(99.5%Biotechグレード)を丸底フラスコに加え、アルゴンガスでフラッシュした。CheMatec社から入手したDOTAGA無水物(7.26mg、2.0当量)をエッペンドルフチューブ内で乾燥DMF(300μL)に溶解し、アミン溶液に加えた。反応混合液を超音波処理して溶解させた後、アルゴンガスでフラッシュし、アルゴンガスの陽圧下で約90℃で約4時間反応させた。
【0149】
30分後、1時間後、1時間30分後、2時間後及び4時間後にサンプルを採取し、HPLCで分析した。採取した各サンプルをMALDI/TOFで分析し、4時間後に採取したサンプルをESI+/MSで分析し、完全に反応したことを確認した。
【0150】
HPLC、ESI+/MS及びMALDI/TOFのいずれにおいても、cMet結合ペプチドが化合物4に完全に変換されていることが確認された。
【0151】
HPLC結果(溶離液A:HO中0.1%TFA、溶離液B:アセトニトリル中0.09%TFA;カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 95A C18、2.1x150mm、3.5um P/N 959763-902;グラジエント:2.5分かけて5%B、次いで85分後に5%-90%B、次いで2.5分かけて90%B、次いで2.5分後に90%-5%B、次いで2.5分かけて5%B;検出210nm)
・T30分=t cMetペプチド:29.214分、t生成物:28.854分
・T1時間=t cMetペプチド:29.105分、t生成物:28.724分
・T1時間30分=t cMetペプチド:29.112分;t生成物:28.745分
・T2時間=t cMetペプチド:29.607分、t生成物:28.796分
・T4時間=t cMetペプチド:29.560分、t生成物:28.747分
【0152】
(ESI+/MSの結果)
・約4時間後の反応混合液-陽イオン化:1,621.4(M+2H)2+、1,632.3(M+Na+H)2+、1,081.0(M+3H)3+
【0153】
(MALDI/TOFの結果)
・約4時間後の反応混合液:3,244.3(M+H);3266(M+Na)(計算上の生成物質量=3,241.50)
【0154】
化合物3及び化合物4について、以下の実験を行った。
・残留溶媒の分析(実験1)、
・対イオン化学量論の決定(実験2)、
・蛍光偏光法による競合結合アッセイ(実験3)、
・化合物3及び化合物4の177Luでの放射性標識(実験4)並びに
・化合物3及び化合物4の68Gaでの放射性標識(実験5)。
【0155】
(実験1:化合物3及び4の残留溶媒の分析)
化合物3及び4を、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、ジクロロメタン(DCM)及びトリフルオロ酢酸(TFA)の残留溶媒について試験した。
【0156】
(a)手順
DMF、MeCN、DIPEA、TBME及びDCMの分析を、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC)により以下の通りに行った。
【0157】
化合物3及び4のサンプルは、各化合物を約10mg正確に秤量し、別々のHPLCヘッドスペースバイアルに入れて二連で調製した。各バイアルに1mLのジメチルアミン(DMA)を加え、バイアルを圧着キャップで封止した。
【0158】
調製したサンプルを、対象となる必要な溶媒を含むスタンダードに対して分析した。
【0159】
スタンダードの溶媒は、表1に概説したワーキングスタンダードの濃度で調製した。
【表1】


:ICH限度値=医薬品規制調和国際会議。
:密度の値はSigma-Aldrich社からの引用で、すべての密度の値は25℃におけるものである。
n/a=該当なし
(表1:ワーキングスタンダードの濃度)
【0160】
分析用に、1mLのスタンダードを20mLのヘッドスペースバイアルに正確にピペットで移し、しっかりとキャップをした。必要なスタンダードの注入ごとに1本のバイアルを用意した。
【0161】
サンプル及びスタンダードは、Tri-Plus 300ヘッドスペースオートサンプラーを備えたThermo Trace 1300 GCで、表2に概説している条件下においてGC分析を行った。
【表2】


(表2:GC及びヘッドスペースのパラメータ)
【0162】
TFA分析を、以下のようにHPLCで行った。
【0163】
TFAのスタンダードストック溶液は、335μLのTFAを100mLの0.008N硫酸にピペットで移して5mg/mLのストックを得ることにより調製した。このストック溶液を0.008N硫酸で希釈し、0.1mg/mL、0.05mg/mL、0.025mg/mL、0.010mg/mL及び0.005mg/mLのスタンダードを得た。
【0164】
このスタンダードを、表3に概説した条件下でHPLCにより分析した。これにより、化合物3及び4に含まれるTFAの量を定量するためのスタンダード曲線が得られた。スタンダード曲線は、500~10,000ppmの範囲をカバーしていた。
【0165】
化合物3及び4のサンプルは、材料が入手できなかったため、各化合物20mgを別個の2mLメスフラスコに正確に量り取って調製した。次に、これらのフラスコに対して0.008N硫酸で容量調整し、10mg/mL溶液を得た。
【0166】
いずれのサンプルも10mg/mLではゲルを形成し、HPLCカラムへの注入には適していなかった。これらのサンプルをさらに2mg/mLに希釈した。これらのサンプルはまだ粘性があったが、HPLCカラムへの注入に適していた。サンプルの希釈率を補うために注入量を増やした。
【0167】
TFA分析のためのHPLC条件を表3に概説する。
【表3】

表3:TFA分析のためのHPLC条件
【0168】
(b)結果
化合物3及び4のガスクロマトグラフィー(GC)による残留溶媒の測定で得られた結果を表4に示す。
【表4】

:ICH限度値=医薬品規制調和国際会議。
:DMFはGCのブランク注入でキャリーオーバーとして検出され、最大の可能性のある結果として報告されているが、これはまだICH限度値を下回っている。
:DIPEAはICHガイドラインQ3C(R5)の残留溶媒に分類されていないため、指定の限度値はない。
nd=検出されない
(表4:残留溶媒の分析結果のまとめ)
【0169】
TFAが塩から解離したため、提案された方法ではTFA残留限度値を決定できなかった。TFAの解離により、サンプルからのTFA反応は、予想されるレベルである<5000ppmをはるかに超えていた。
【0170】
そのため、HPLC分析はサンプル中の残留TFAの測定には適さないと判断した。
【0171】
(c)結論
化合物3及び化合物4から検出された残留溶媒は、それぞれ医薬品規制調和国際会議(ICH)の限度値内であったことから、化合物3及び化合物4はいずれもヒトへの投与に適している。
【0172】
(実験2:化合物3及び4の対イオンの化学量論の決定)
化合物3及び4のトリフルオロ酢酸(TFA)の化学量論を、HPLC分析によって決定した。
【0173】
(a)手順
化合物3と4は、ともにペンタTFA塩とみなされる。そのため、化合物中のTFAの理論上の割合を以下のように計算した。
・TFAの分子量=114.02g/mol
・ペンタTFA塩の分子量=570.1g/mol
・化合物3(ペンタ塩)の分子量=3739.6g/mol
・化合物4(ペンタ塩)の分子量=3811.6g/mol
【0174】
したがって、各化合物におけるTFAの理論上の割合は、
・化合物3=(570.1/3739.6)x100=15.24%TFA
・化合物4=(570.1/3811.6)x100=14.96%TFA
【0175】
化学量論を決定するために、サンプルを1mg/mLに調製し、目的の対イオン含有量(15%)である0.15mg/mLのTFAスタンダードに対して分析した。
【0176】
100μLのTFAを10mLの0.008N硫酸で希釈して15mg/mLのストックとし、これを希釈(0.008N硫酸で1mL→100mL)して約0.15mg/mLのスタンダード溶液を得ることにより、TFAスタンダード溶液を約0.15mg/mLに二連で調製した。
【0177】
化合物3及び4のサンプルは、各化合物を5mgずつ秤量して5mLメスフラスコに入れ、約1mg/mLに調製した。フラスコに0.008N硫酸を入れて容量を調整した。
【0178】
サンプル及びスタンダードを、表5に概説した条件を用いてHPLCで分析した。
【表5】
(表5:TFA分析のためのHPLC条件)
【0179】
スタンダードに対するサンプルの回収率は、使用した重量及び希釈を考慮して計算した。サンプルの回収率によって化学量論が決まり、結果は次のパターンに従うことになる。
・ペンタ塩=100%回収率
・テトラ塩=80%回収率
・トリス塩=60%回収率
・ビス塩=40%回収率
・モノ塩=20%回収率
【0180】
(b)結果
標準回収率は107.0%であった。これは、標準的な調製手順に従ったためである。具体的には、純粋なTFAはその揮発性のために取り扱いが困難であった。このため、純粋な揮発性物質の取り扱い及び計量に問題が生じた。
【0181】
化合物3の回収率は91.86%であった。
【0182】
化合物4の回収率は99.06%であった。
【0183】
これらの回収率は、対イオン測定に設定された通常の信頼限界の範囲内であった。
【0184】
この試験により、化合物3及び化合物4のペンタ化学量論が10%の信頼限界内で確認された。
【0185】
(実験3:蛍光偏光(FP)による化合物3及び4の競合結合アッセイ)
cMet結合性環状ペプチド(非標識)、cMet-DOTA(化合物3)及びcMet-DOTAGA(化合物4)のcMet受容体への結合について、競合蛍光偏光(FP)アッセイにより、半最大阻害濃度(IC50)及び解離定数(K)の値を求めた。
【0186】
蛍光偏光法の原理を簡単に説明すると、次のようになる。
単色光が水平偏光フィルターを通過し、サンプル中の蛍光分子を励起する。垂直偏光面に適切に配向した分子だけが光を吸収し、励起され、その後発光する。放射された光は、水平面と垂直面の両方で測定される。異方性値(A)は、次の式で表される光強度の比率である。
[数1]
A=(水平偏光子での強度-垂直偏光子での強度)/(水平偏光子での強度+2垂直偏光子での強度)
【0187】
蛍光異方性の測定は、Molecular Devices M5マルチモードプレートリーダーを用いて、96ウェル平底プレートで行った。
【0188】
使用したアッセイ緩衝液は、pH7.4の、0.01%Tween20を加えたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であった。
【0189】
(ストックの準備)
蛍光プローブ(cMet結合性環状ペプチドに蛍光標識(Cy5)を施したもの)をアッセイ緩衝液に溶解し、1mMのストックを得た。1μMの親ストックと50nMのワーキングストックも用意した。
【0190】
cMet受容体(100μg)をアッセイ緩衝液(1mL)に溶解し、775nMの親ストックを得た。500nM及び167nMのワーキングストックも調製した。
【0191】
ペプチド(cMet結合性環状ペプチド(非標識)、化合物3及び化合物4)をアッセイ緩衝液に溶解し、0.5mM又は1mMの親ストックを得た。67μMのワーキングストックも調製した。
【0192】
(ペプチド競合アッセイ)
ペプチド(cMet結合性環状ペプチド(非標識)、化合物3及び化合物4;67μMストックの30μL/ウェル)の2倍希釈スクリーンを、最終濃度20μM~20nMとなるようにプレートに添加した。cMet受容体(167μMストックの30μL/ウェル)も、最終濃度50nMとなるように添加した。蛍光プローブ(50nMストックの40μL/ウェル)を最終濃度20nMになるように添加した(総容量100μL)。各ウェルを三連で繰り返した。100μLのアッセイ緩衝液(三連)を非蛍光ブランクとして使用した。スキャンする前に、プレートを30℃で10分間インキュベートした。プレートを室温(25℃)でex/em/カットオフフィルター(COF)640/675/665nmで三連でスキャンした。
【0193】
cMetペプチド(非標識)、化合物3及び化合物4のそれぞれについて、競合ペプチド濃度に対して異方性をプロットした。
【0194】
IC50値は、KaleidaGraph v4.03を用いて以下の式でのデータフィッティングにより求めた。
【数2】
(式中、rは観測された異方性、rは遊離プローブの異方性、rは完全に結合したプローブの異方性、[ペプチド]は競合ペプチド濃度である。)
【0195】
値は、KaleidaGraph v4.03を用いて以下の式でのデータフィッティングにより求めた。
【数3】
(式中、rは観測された異方性、rは遊離プローブの異方性、rは完全に結合したプローブの異方性、[ペプチド]は競合ペプチド濃度、KdPはcMet受容体と蛍光プローブの解離定数、KはcMet受容体に結合する競合ペプチドの解離定数である。)
【0196】
IC50 値とK値の平均値を以下の表6に示す。
【表6】
(表6:cMet結合性環状ペプチド(非標識)、化合物3及び化合物4の平均IC50 値及びK値)
【0197】
結果は、cMet結合性環状ペプチド(非標識)、化合物3及び化合物4がcMet受容体に対して同等の親和性を有し、IC50及びK値の変動が実験誤差の範囲内であることを示した。
【0198】
(実験4:化合物3及び化合物4の177Luでの放射性標識)
化合物3及び4をルテチウム-177(177Lu)で放射性標識することの実現可能性を検討した。
【0199】
(パイロット試験)
様々なペプチド(化合物3及び4)と177Luの比率を試し、HPLC及びインスタント薄層クロマトグラフィー(ITLC)により対応する放射性標識の収率を評価した。
【0200】
放射性標識手順は、pH5.6の0.4M酢酸アンモニウム(試験1~8では緩衝液1)又はpH4の0.4M酢酸アンモニウムと0.325Mゲンチシン酸(試験9~12では緩衝液2)を用いて実行した。放射性標識試験には、比放射能が500MBq/nmolを超える[177Lu]LuClを使用した。規定量(表8のV177LU)の[177Lu]LuClを、好適な緩衝液及び1nmolのペプチド(化合物3又は化合物4)と混合した。この反応混合液を、サーモミキサーシステムにおいて、80℃で10分、20分又は30分間のインキュベーション時間でインキュベートした。化合物3及び化合物4と177Luとの様々な比率での放射性標識試験の概要を表7に示す。各試験の具体的な条件を表8に概説する。インキュベーション終了後、1μLの混合液をHPLCシステムに注入し、表9に概説した条件を使用して分析した。
【表7】
(表7:化合物3及び4と177Luとの様々な比率での放射性標識試験)
【表8】
V=容積
m=分
(表8:表7に概説した各試験の実験条件)
【表9】
(表9:HPLCの条件)
【0201】
放射性標識の収率及び放射化学的純度(RCP)は、HPLC及びITLCを用いて以下のように測定した。放射性標識の収率は、精製前の177Luの取り込み率(すなわち、放射性標識の有効性)を規定するものである。
【0202】
(ITLCによる放射性標識の収率)
ITLCによる放射性標識の収率は、以下の式を使用して求めた。
【数4】
(式中、Rfは保持係数であり、サンプルを塗布した原点から、サンプル中の成分が移動した距離と溶媒先端が移動した距離の比率として定義される。Rfは、成分が塗布点又は原点に留まっている場合は0である。Rfは、成分が溶媒先端とともに移動する場合は1である。
【0203】
(HPLCによる放射性標識の収率と放射化学的純度)
HPLCによる放射性標識の収率は、以下の式を使用して求めた。
【数5】
(式中、面積ピーク#2は遊離177Luであり、面積ピーク#3は副生成物(又は副生成物のピークがない場合は177Luで標識された化合物3若しくは4)であり、面積ピーク#4は177Luで標識された化合物3又は4(副生成物のピークがある場合)である。)
【0204】
放射化学的純度は、以下の式を使用して求めた。
【数6】
(式中、面積ピーク#2は遊離177Luであり、面積ピーク#3は177Luで標識された化合物3又は4である。)
【0205】
放射性標識試験の結果を表10に示す。
【表10】
(表10:試験1~12の放射性標識の収率、放射化学的純度及び比放射能の結果。)
【0206】
化合物3及び4はいずれも、80℃において10分間で、30及び60MBq/nmolの177Luで正常に標識された。
【0207】
インキュベーション時間を20分又は30分と長くすると、放射化学的純度が低下することがわかった。緩衝液1及び緩衝液2は、いずれも化合物3及び4の完全な放射性標識を可能にした。
【0208】
最初の結果は、177Luとの10分間のインキュベーション後、化合物3及び4で99%を超える放射性核種の取り込み(放射性標識収率)及び99%を超える放射化学的純度を示した。
【0209】
(最適化試験)
さらに、比放射能を少なくとも120MBq/nmolまで上げるための試験を行った。
【0210】
放射性標識手順は、pH4の0.4M酢酸アンモニウムと0.325Mゲンチシン酸(緩衝液2)を用いて実行した。放射性標識試験には、比放射能が500MBq/nmolを超える177LuClを使用した。規定量(表12のV177LU)の177LuClを、緩衝液2及び1nmolのペプチド(化合物3又は化合物4)と混合した。この反応混合液を、サーモミキサーシステムにおいて、80℃で10分間インキュベートした。化合物3及び4と177Luとの様々な比率での放射性標識試験の概要を表11に示す。各試験の具体的な条件を表12に概説する。インキュベーション終了後、1μLの混合液をHPLCシステムに注入し、表9に概説した条件を使用して分析した。
【表11】
(表11:化合物3及び4と177Luとの様々な比率でのさらなる放射性標識試験)
【表12】
V=容積
m=分
(表12:表11に概説した各試験の実験条件)
【0211】
放射性標識された化合物3及び4(化合物3-177Lu放射性コンジュゲート及び化合物4-177Lu放射性コンジュゲート)の安定性についても、最初の放射性標識から24時間後にHPLCで分析した。
【0212】
放射性標識の収率及び放射化学的純度(RCP)は、上記定義の通りHPLC及びITLCを用いて測定した。
【0213】
さらなる放射性標識試験の結果を表13に示す。
【表13】
(表13:試験13~24の放射性標識の収率、放射化学的純度及び比放射能の結果。)
【0214】
化合物3及び4はいずれも、pH4の0.4M酢酸アンモニウムと0.325Mゲンチシン酸を緩衝剤として使用して、80℃において10分間で、120及び150MBq/nmolの177Luで正常に標識された。
【0215】
放射化学的収率及び放射化学的純度は、95%を超えていた。
【0216】
溶液中で24時間経過した後のHPLCの結果では、放射化学的純度は依然として90%を超えていた。24時間後に観察された不純物は、放射線分解によるものと思われる。
【0217】
(臨床試験)
臨床環境での放射性標識実験も行った。この実験では、177Luの初期放射能は7.6GBqであった。
【0218】
放射性標識実験は以下のように行った。化合物3(32nmol)を超純水(2μg/μL)及びpH4.8の0.4M酢酸ナトリウム緩衝液1.5mL(8mg/mL)に溶解した。ゲンチシン酸を加え、混合液を177Lu Vバイアルに移した。バイアルを95℃で25分間加熱した。混合液を注射用水で溶解し、その後無菌濾過を行ったところ、177Luにコンジュゲートした6.9GBqの化合物3が得られた。200MBq/nmolを超える比放射能が得られた(n=3)。放射化学的収率と放射化学的純度はともに99%を超えていた。
【0219】
注入溶液の安定性も非常に良好であり、室温で24時間後に放射化学的純度が98%を超え、2種類の未知の不純物が2%未満であることが確認された。
【0220】
(結論)
得られた放射化学的純度と比放射能は、このアプローチを使用した標的放射線治療において、腫瘍(すなわち、cMet過剰発現部位)に適切な量の放射能をもたらすことができることを意味する。適切な量の放射能は、2~8GBq、典型的には7.4GBqとされている。さらに、上述の手順を使用することは、大量の「コールド」ペプチド(すなわち、非標識ペプチド)(cMet受容体を飽和させ、放射能が腫瘍の部位に送達されるのを妨げることになる)を必要としないことを意味する。
【0221】
(実験5:化合物3及び化合物4の68Gaでの放射性標識)
(パイロット試験)
化合物3及び4について、68Gaでの放射性標識の実現可能性を評価するため、パイロット試験を行った。放射性標識の収率と放射化学的純度(RCP)はHPLCで測定した。
【0222】
放射性標識手順は、pH4.5の1M酢酸ナトリウム緩衝液を用いて実行した。放射性標識試験には、カチオン性予備精製を施した[68Ga]GaCl溶出液を使用した。規定量(表15のV68Ga)の[68Ga]GaClを、緩衝液、水、エタノール及び4~16nmolのペプチド(化合物3又は化合物4)と混合した。この反応混合液を、サーモミキサーシステムにおいて、95℃で5~10分間のインキュベーション時間でインキュベートした。化合物3及び4と68Gaとの様々な比率での放射性標識試験の概要を表14に示す。各試験の具体的な条件を表15に概説する。インキュベーション終了後、2.5μLの混合液をHPLCシステムに注入し、表16に概説した条件を使用して分析した。
【表14】
(表14:化合物3及び4と68Gaとの様々な比率での放射性標識試験)
【表15】
V=容積
m=分
(表15:表14に概説した各試験の実験条件)
【表16】
(表16:HPLCの条件)
【0223】
放射性標識の収率及び放射化学的純度(RCP)は、HPLCを用いて測定した。放射性標識の収率は、精製前の68Gaの取り込み率(すなわち、放射性標識の有効性)を規定するものである。
【0224】
(HPLCによる放射性標識の収率及び放射化学的純度)
HPLCによる放射性標識の収率は、以下の式を使用して求めた。
【数7】
(式中、面積ピーク#2は遊離68Gaであり、面積ピーク#3は副生成物(又は副生成物のピークがない場合は68Gaで標識された化合物3若しくは4)であり、面積ピーク#4は68Gaで標識された化合物3又は4(副生成物のピークがある場合)である。)
【0225】
放射化学的純度は、以下の式を使用して求めた。
【数8】
(式中、面積ピーク#2は遊離68Gaであり、面積ピーク#3は68Gaで標識された化合物3又は4である。)
【0226】
放射性標識試験の結果を表17に示す。
【表17】
(表17:試験1~3の放射性標識の収率、放射化学的純度及び比放射能の結果。)
【0227】
化合物3及び4はいずれも、上述の条件を使用して68Gaで正常に標識された。しかしながら、精製後の比放射能は12MBq/nmolにしか達しなかった。
【0228】
パイロット試験では、化合物3及び4を68Gaとインキュベートしたところ、いずれも放射化学的純度が約60%となった。放射線分解は観察されなかった。
【0229】
(標識時間を延長したパイロット試験の繰り返し)
様々なペプチド(化合物3及び4)と68Gaの比率を試し、HPLC及びインスタント薄層クロマトグラフィー(ITLC)により対応する放射性標識の収率を評価した。
【0230】
放射性標識手順は、pH4.5の1M酢酸ナトリウム緩衝液を用いて実行した。放射性標識試験には、68GaCl分画溶出を使用した。マイクロチューブ内で、表19の規定量V68Ga68GaCl(マイクロチューブ内で測定した放射能は約7.3MBq)を、(0.11×V68Ga)の緩衝液及び0.24~1.36nmolのペプチド(化合物3又は化合物4)と混合した。この反応混合液を、サーモミキサーシステムにおいて、95℃で10分間インキュベートした。化合物3及び4と68Gaとの様々な比率での放射性標識試験の概要を表18に示す。各試験の具体的な条件を表19に概説する。
【0231】
インキュベーションの終わりに、マイクロチューブを遠心分離し、2.5μLの混合液をHPLCシステムに注入し、表16に概説した条件を使用して分析した。
【0232】
ITLCについては、以下の手順に従った。
・混合液1μLをITLC-SG紙にスポットし、移動相としてのクエン酸緩衝液(0.1M、pH5)で溶出し(ITLC 1)、
・混合液1μLをITLC-SG紙にスポットし、酢酸アンモニウム(5M)/メタノール1/1の溶液で溶出した(ITLC 2)。
【表18】
(表18:化合物3及び4と68Gaとの様々な比率での放射性標識試験)
【表19】
V=容積
m=分
(表19:表18に概説した各試験の実験条件)
【0233】
放射性標識の収率及び放射化学的純度(RCP)は、上述のようにHPLCを用いて測定した。ITLCによる放射性標識の収率は、以下ように求めた。
【0234】
(ITLCによる放射性標識の収率)
ITLCによる放射性標識の収率は、以下の式を使用して求めた。
【数9】
(式中、Rfは保持係数であり、サンプルを塗布した原点から、サンプル中の成分が移動した距離と溶媒先端が移動した距離の比率として定義される。Rfは、成分が塗布点又は原点に留まっている場合は0である。Rfは、成分が溶媒先端とともに移動する場合は1である。
【0235】
放射性標識試験の結果を表20に示す。
【表20】
(表20:試験4~11の放射性標識の収率、放射化学的純度及び比放射能の結果。)
【0236】
化合物3と4はいずれも、上記の条件を使用して68Gaで正常に標識された。しかしながら、放射性標識された化合物3及び4(化合物3-68Ga放射性コンジュゲート及び化合物4-68Ga放射性コンジュゲート)は、人体への静脈内投与に適した純度ではなかった。放射線分解を防ぐためにエタノールを添加してもよいことがわかった。
【0237】
26MBq/nmol(試験8)の比放射能が達成され、放射化学的純度は約83%であった。
【0238】
(最適化試験)
パイロット試験の結果に基づいて、化合物3及び4への68Gaの組み込みを最適化するために、さらなる試験を行った。最適化試験には化合物3を使用した。
【0239】
放射性標識手順は、1MでpH4.5の酢酸ナトリウム緩衝液(緩衝液1)又は0.5MでpH4.5の酢酸ナトリウム緩衝液(緩衝液2)を用いて実行した。放射性標識試験には、68GaCl分画溶出を使用した。
【0240】
(95℃での加熱)
マイクロチューブ内で、表22の規定量V68Ga68GaCl(マイクロチューブで測定した放射能は約7.3MBq)を、(0.11×V68Ga)の好適な緩衝液、0.24nmolのペプチド(化合物3又は化合物4)及び11.3μLのエタノールと混合した。この反応混合液を、サーモミキサーシステムにおいて、95℃で10分又は15分間のインキュベーション時間でインキュベートした。
【0241】
(110℃で加熱)
密閉ガラスVバイアルに、表22の規定量V68Ga68GaCl(マイクロチューブで測定した放射能は約29.2MBq)を、(0.11×V68Ga)の好適な緩衝液、0.96nmolのペプチド(化合物3又は化合物4)及び45.4μLのエタノールと混合した。この反応混合液を、加熱ブロックにおいて、110℃で10分間のインキュベーション時間でインキュベーションを行った。
【0242】
インキュベーションの終わりに、マイクロチューブを遠心分離し、2.5~5μLの混合液をHPLCシステムに注入し、表16に概説した条件を使用して分析した。
【0243】
化合物3及び4と68Gaとの様々な比率での放射性標識試験の概要を表21に示す。各試験の具体的な条件を表22に概説する。
【0244】
ITLCについては、以下の手順に従った。
・混合液1μLをITLC-SG紙にスポットし、移動相としてのクエン酸緩衝液(0.1M、pH5)で溶出し(ITLC 1)、
・混合液1μLをITLC-SG紙にスポットし、酢酸アンモニウム(5M)/メタノール1/1の溶液で溶出した(ITLC 2)。
【表21】
(表21:化合物3及び4と68Gaとの様々な比率での放射性標識試験)
【表22】
V=容積
m=分
EtOH=エタノール
(表22:表21に概説した各試験の実験条件)
【0245】
放射性標識の収率及び放射化学的純度(RCP)は、上記定義の通りHPLC及びITLCを用いて測定した。
【0246】
最適化試験の結果を表23に示す。
【表23】
(表23:試験12~23の放射性標識の収率、放射化学的純度及び比放射能の結果。)
【0247】
最適化試験から、以下の結論が導き出された。
・インキュベーション温度を110℃に上げると、放射性標識の収率が低下した(試験16~17(110℃)と比較した試験12~15(95℃)を参照)。
・インキュベーション時間を長くしても、放射性標識の収率は有意に増加しなかった(試験13及び15(15分)と比較した試験12及び14(10分)を参照)。
・エタノールを添加しても、放射線分解を有意に防ぐことはできなかった(エタノールを添加してもしなくても、放射線分解が5%を超えることはないという結果が得られた)。
・エタノールを添加すると、68Gaコロイドの形成が促進されるようであった。
・許容できる比放射能に到達するためには、pHが3.8未満であることが必要である。
・好適な放射化学的純度を得るためには、HPLC注入の前に精製工程(SEP-PAK C18カートリッジを使用するのが好ましい)が必要であった。
【0248】
最適化試験中、最大25MBq/nmol(試験18)の比放射能が達成され、放射化学的純度は約83%であった。
【0249】
(結論)
得られた放射化学的純度と比放射能は、このアプローチを使用したイメージングにおいて、腫瘍(すなわち、cMetの過剰発現部位)に適切な量の放射能をもたらすことができることを意味する。開発段階の実験薬では、適切な量の放射能は約12.5~75MBqとされている。
【0250】
化合物3を用いて、以下のさらなる実験を行った。
・In vivo線量測定試験(実験6)。
【0251】
(実験6:化合物3のin vivo線量測定試験)
化合物3を用いて線量測定試験を行い、本明細書に記載の化合物のイメージング及び放射線治療における使用の適合性を調べた。
【0252】
(a)患者の背景
試験に参加した2人のヒト患者の詳細を表24に示す。
【表24】


(表24:In vivo試験の患者の詳細。)
【0253】
(b)手順
化合物3を68Gaで放射性標識し、イメージング剤(68Ga-化合物3)を得た。放射性標識手順は以下の通りである。[68Ga]GaClを、緩衝液(pH4.5の1M酢酸ナトリウム緩衝液)及び化合物3と混合した。この反応混合液を95℃で10分間インキュベートした。25MBq/nmolの比放射能が達成され、放射化学的純度は精製なしで約98%であった。
【0254】
化合物3を177Luで放射性標識し、治療剤(177Lu-化合物3)を得た。使用した放射性標識手順は以下の通りである。化合物3を超純水(2μg/μl)及びpH4.8の0.4M酢酸ナトリウム緩衝液1.5mL(8mg/mL)に溶解した。ゲンチシン酸を加え、混合液を177Lu Vバイアルに移した。バイアルを95℃で25分間加熱した。混合液を注射用水で溶解し、その後無菌濾過を行ったところ、6.9GBqの177Lu-化合物3が得られた。200MBq/nmolを超える比放射能が得られた(n=3)。
【0255】
患者1には、治療剤(177Lu-化合物3)を注射する7日前にイメージング剤(68Ga-化合物3)を投与した。患者1について、68Gaの放射能は240MBqであり、177Luの放射能は835MBqであった。治療前陽電子放射断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)イメージングは、イメージング剤を注射してから1時間後と3時間後に実行した。治療剤投与の1日前に、患者1に18F-18FDGを投与した。18Fの放射能は227MBqであった。18F-FDGを注射してから1時間後にPET/CTイメージングを実施した。その後、患者1に治療剤を投与した。治療前単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングは、治療剤を注射してから1.5時間後、17時間後、41時間後、65時間後及び141時間後に実施した。
【0256】
患者2には、治療剤(177Lu-化合物3)を注射する4日前に18F-FDGを投与した。患者2について、18Fの放射能は208MBqであり、177Luの放射能は959MBqであった。18F-FDGを注射してから1時間後にPET/CTイメージングを実施した。その後、患者2に治療剤を投与した。治療前SPECTイメージングは、治療剤を注射してから4.5時間後、20時間後、45時間後、67時間後及び141時間後に実施した。
【0257】
比較のために、3人目の前立腺がん患者には、現在核医学においてイメージング及び治療の最も成功した標的の1つと考えられている前立腺特異的膜抗原(PSMA)を投与した。使用した手順は以下の通りである。患者に治療剤(177Luで放射性標識されたPSMA)を注射する19日前に、患者にイメージング剤(18Fで標識されたPSMA)を投与した。18Fの放射能は250MBqであり、177Luの放射能は9185MBqであった。177Lu-PSMA治療剤の放射能は、線量測定試験で使用した177Lu-化合物3治療剤の放射能よりも約10倍高かった。これは、PSMA剤についてはすでに線量測定試験が終了しており、高被ばく量でもin vivoで安全に使用できると考えられたためである。PET/CTイメージングは、18F-PSMAを注射してから1時間後に実施した。その後、患者に177Lu-PSMA治療剤を投与した。治療前SPECTイメージングは、治療剤を注射してから19時間後、43時間後及び65時間後に実施した。
【0258】
(c)イメージング
PET/CTイメージングはSiemens Biograph mCT Flow PET/CTを用いて実行した。SPECTイメージングはSiemens Intevo SPECT/CTを用いて実行した。
【0259】
患者1の治療前PET/CTイメージング結果を図5に示す。この画像では、注射後(p.i.)1時間及び3時間の両方で、腫瘍に68Ga-化合物3(画像上では68Ga-cMETと表記)が蓄積していることが示されている。18F-FDGも注射後1時間で腫瘍に蓄積していることが示されている。
【0260】
患者1の治療前SPECTイメージングの結果を図6に示す。この画像では、注射後(p.i.)141時間まで、腫瘍に177Lu-化合物3が蓄積し、保持されていることが示されている。
【0261】
患者2の治療前PET/CTイメージングの結果を図7に示す。この画像では、注射後1時間で腫瘍に18F-FDGが蓄積していることが示されている。
【0262】
患者2の治療前SPECTイメージングの結果を図8に示す。この画像では、注射後(p.i.)141時間まで、腫瘍に177Lu-化合物3が蓄積し、保持されていることが示されている。
【0263】
(d)結果
患者1における治療剤(177Lu-化合物3)の線量測定試験の結果を表25に示す。患者2における治療剤(177Lu-化合物3)の線量測定試験の結果を表26に示す。比較のため、177Lu-PSMA治療剤の結果を表27に示す。
【表25】
Vol=容積
h=時間
(表25:患者1における177Lu-化合物3の線量測定結果(177Lu放射能は835MBqであった)。
【表26】
VOI=対象の容積
Vol=容積
h=時間
(表26:患者2における177Lu-化合物3の線量測定結果(177Lu放射能は959MBqであった)。
【表27】
VOI=対象の容積
h=時間
(表27:177Lu-PSMA治療剤の線量測定結果(177Lu放射能は9185MBqであった)。
【0264】
結果は、主要な組織及び臓器における治療剤の蓄積線量を示している。
【0265】
177Lu-化合物3を用いて腫瘍で得られた平均線量は、177Lu-PSMAを用いて得られた線量よりも低かったが、これは化合物3を用いて患者に提供された177Luの放射能が低かったため、予想されたことである。
【0266】
この結果を評価するために、承認された放射線治療剤の線量測定値に関する文献調査を行った。177Lu-DOTATATEは、全身放射線治療用として承認された化合物である。Brogsitterら(Nuklearmedizin, 2017, Volume 56(1), pages 1-8)は、177Lu-DOTATATEが5.53Gy/GBq(中央値2.70Gy/GBq、範囲0.44-15.3Gy/GBq)の腫瘍線量をもたらしたと報告している。臓器線量は、腎臓(2.03±0.96Gy/GBq)、肝臓(1.67±1.73Gy/GBq)、脾臓(4.50±3.69Gy/GBq)及び全身(0.15±0.08Gy/GBq)と報告されている。腫瘍と腎臓の線量比は2.4±5.6と報告されている。Nicolasら(J Nucl Med, 2017, Volume 58, page 1435, doi: 10.2967/jnumed.117.191684)は、177Lu-DOTATATEが4cmの腫瘍に対して0.333Gy/GBqの腫瘍線量をもたらし、腫瘍滞留時間が6.4時間(範囲5.4~7.3時間)であったと報告している。
【0267】
さらに、Okamotoら(J Nucl Med, 2016, Volume 116, doi: 10.2967/jnumed.116.178483)は、177Lu-PSMA-I&Tが腫瘍病変に3.2±2.6Gy/GBq(範囲0.22~12Gy/GBq)の平均吸収線量/サイクルを送達したことを報告している。
【0268】
文献調査で見つかった典型的な限度は、腎臓に対して23Gy、又は骨髄に対して2Gyであった。
【0269】
(e)結論
177Lu-化合物3によって送達される腫瘍線量は、承認された放射線治療剤である177Lu-DOTATATE及び後期臨床開発中の放射線治療剤である177Lu-PSMAの範囲内である。腫瘍の半減期も177Lu-PSMAと同様の時間枠であり、177Lu-DOTATATEよりも長いことが分かった。さらに、177Lu-化合物3を使用した場合の腎臓、肝臓及び脾臓への臓器線量は、いずれも177Lu-DOTATATEで報告された結果を下回っていた。
【0270】
したがって、今回の線量測定試験では、腫瘍に送達された線量が、既に承認されている、又は臨床開発の後期段階にある放射線治療剤で観察される範囲内であることから、本明細書に記載の化合物が放射線治療での使用に適していることが示された。
【0271】
本発明の記載の実施形態に対する様々な変更及び変形は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明がそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には明らかである、本発明を実施するための記述の態様の様々な変更が本発明に包含されていることが意図されている。
【0272】
(略号)
従来の1文字又は3文字のアミノ酸略号を使用している。

AAZTA:1,4-ビス(カルボキシメチル)-6-[ビス(カルボキシメチル)]アミノ-6-メチルペルヒドロ-1,4-ジアゼピン
Acm:アセトアミドメチル
ACN(又はMeCN):アセトニトリル
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル
Bz:ベンゾイル
サイクラム:1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン
サイクレン:1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン
CRC:大腸がん
CT:コンピュータ断層撮影
DATA:(6-ペンタン酸)-6-(アミノ)メチル-1,4-ジアゼピントリアセテート)
DCM:ジクロロメタン
Dde:1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA:ジメチルアミン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DOTA:1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸
DOTAGA:2,2’,2’’-(10-(1,4-ジカルボキシ-エチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸
ESI+/MS:エレクトロスプレーイオン化質量分析
EtOH:エタノール
FDG:フルオロデオキシグルコース
FP:蛍光偏光
Fmoc:9-フルオレニルメトキシカルボニル
GC:ガスクロマトグラフィー
GBq:ギガベクレル
GMP:適正製造基準
HBED-CC:N,N’-ビス(2-ヒドロキシ-5-(エチレン-β-カルボキシ)ベンジル)エチレンジアミンN,N’-二酢酸
HBTU:O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HGF:肝細胞増殖因子
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
HSPyU:O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチレンウロニウムヘキサフルオロホスフェート
IC50:半最大阻害濃度
ITLC:インスタント薄層クロマトグラフィー
:解離定数
MALDI/TOF:マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析
MBq:メガベクレル
MeCN:アセトニトリル
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
NCS:N-クロロ-スクシンイミド
NHS:N-ヒドロキシ-スクシンイミド
NMM:N-メチルモルホリン
NMP:1-メチル-2-ピロリジノン
NODAGA:1,4,7-トリアザシクロノナン、1-グルタル酸-4,7-酢酸
NOPO:1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ビス[メチレン(ヒドロキシメチル)ホスフィン酸]-7-[メチレン(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸
NOTA:1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸
Npys:3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル
PEG:ポリエチレングリコール
PET:陽電子放射断層撮影
Pbf:2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
PSMA:前立腺特異的膜抗原
PyBOP:ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
RCP:放射化学的純度
SPECT:単一光子放射型コンピュータ断層撮影
tBu:t-ブチル
TACN:1,4,7-トリアザシクロノナン
TBME:tert-ブチルメチルエーテル
TFA:トリフルオロ酢酸
THP:トリス(ヒドロキシピリジノン)
TIS:トリイソプロピルシラン
TRAP:1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸
Trt:トリチル
【配列表フリーテキスト】
【0273】
配列-1
Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa

XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
XaaはAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluである。
(17merのcMET結合ペプチド。)

配列-2
Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa

XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
Xaaは、Ala、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluである。
(18merのcMET結合ペプチド。)

配列-3
Ala-Gly-Ser-Cys-Xaa-Cys-Xaa-Gly-Pro-Pro-Xaa-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Thr

XaaはAsn、His又はTyrであり、
XaaはGly、Ser、Thr又はAsnであり、
XaaはThr又はArgであり、
Xaaは、Ala、Asp、Glu、Gly又はSerであり、
XaaはSer又はThrであり、
XaaはAsp又はGluである。
(22merのcMET結合ペプチド。)

配列-4
Gly-Gly-Gly-Lys
(cMET結合ペプチドの一部であるテトラペプチド配列。)

配列-5
Gly-Ser-Gly-Lys
(cMET結合ペプチドの一部であるテトラペプチド配列。)

配列-6
Gly-Ser-Gly-Ser-Lys
(cMET結合ペプチドの一部である5ペプチド配列。)

配列-7
Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
(26merのcMET結合ペプチド。)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2022537946000001.app
【国際調査報告】