(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】壁建築要素システムおよびそのシステムに使用する壁建築要素
(51)【国際特許分類】
E04B 1/80 20060101AFI20220824BHJP
E04C 2/30 20060101ALI20220824BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20220824BHJP
E04C 2/20 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
E04B1/80 100A
E04C2/30 D
E04B1/80 100P
E04B1/76 500F
E04C2/20 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574215
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 NO2020050150
(87)【国際公開番号】W WO2020251366
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521545477
【氏名又は名称】ラハティ、フランク カトー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラハティ、フランク カトー
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA03
2E001GA12
2E001HC02
2E001HD11
2E162CC03
2E162CD04
(57)【要約】
ソール要素、壁に組み立てられるように適合された基本壁建築要素(11)、および基本壁建築要素の各水平層の間に適合されるように適合された梁(14)を含む壁建築要素システム。基本壁建築要素(11)は、中央の耐荷重コア部材(12)と、その両側に断熱材の形成安定層(13)でプレハブ加工される。コア部材(12)及び断熱層(13)は舌状溝システムにおいて互いに適合され、一方、ビーム(14)はそれに対応する「H」プロファイルで作製される。コアメンバー(12)は、典型的には横方向に延在する垂直方向に配向されたリブを備えた板状の本体からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁建築要素を支持するように配置されたソールに組み立てられるように適合されたソール要素(15)と、
壁に水平および垂直に組み立てられるように適合された基本壁建築要素(11)と、
前記基本壁建築要素(11)の各水平層間に嵌合するようになった梁(14)と、
を備える、壁建築要素システムであって、
前記ソール要素(15)は前記基本壁建築要素(11)の幅に適応する幅と、前記基本壁建築要素(11)の底部側に適応する頂部プロファイルとを有し、
前記基本壁建築要素(11)は両側に中央の耐荷重コア部材(12)及び断熱層(13)が形成されており、前記断熱層はコア部材の頂部側の各側面に沿って延びる直線状の凹部領域(13a)と、前記コア部材の底部側の各側面に沿って延びる直線状の凹部領域(13c)と、を構成し、前記コア部材(12)の頂部(12c)と底部端(12d)は、前記断熱層の凹部レベルから、前記断熱層の凹部レベル(L13a)と前記断熱層の凹部レベル(L13a)との間のレベルまで延び、各基本壁建築要素の一方の垂直側面に沿ってコア部材(12)が突出して、前記基本壁建築要素の反対側に沿っている舌部(12a)を構成しており、前記コア部材(12)は隣接する前記壁建築要素の前記舌部(12a)を受け入れるようになっている溝(12b)を構成するように窪んでおり、
前記梁(14)は、前記コア部材の両側に沿った前記直線状の凹部領域(13a)の全幅に適合した幅と、壁建築要素(11)の頂部凹部領域(13a)と底部凹部領域(13c)の合成高さに適合した高さとを有する「H」プロファイルを有する、
壁建築要素システム。
【請求項2】
前記コア部材(12)は、横方向に延在する垂直方向に配向されたリブ(121)を備えた板状本体(120)を備えることを特徴とする請求項1に記載の壁建築要素システム。
【請求項3】
前記リブ(121)の各々は、前記凹部領域(13a)のレベル(L13a)と一致する上縁を有する、請求項2に記載の壁建築要素システム。
【請求項4】
前記リブ(121)の各々は、前記凹部領域(13a)の最外端において、仮想線に沿って上方への曲がりを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の壁建築要素システム。
【請求項5】
組み立てられた位置において垂直方向を有するプレート形状の本体(120)を有する耐荷重コア部材(12)を含む、プレハブ基本壁建築要素(11)であって、
前記本体(120)は少なくとも一方の側部において断熱層(13)によって直接的または間接的に覆われて、かつ取り付けられ、
前記コア部材(12)は前記本体(120)から横方向に延在するリブ(121)をさらに含み、横方向の延在は前記断熱層(13)の厚さ未満であることを特徴とする、
プレハブ壁建築要素(11)。
【請求項6】
耐荷重コア部材(12)の前記本体(120)の両側に断熱層(13)をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のプレハブ壁建築要素(11)。
【請求項7】
耐荷重コア部材(12)の前記本体(120)の両側から横方向に延在するリブ(121)をさらに備える、請求項5または請求項6に記載のプレハブ壁建築要素(11)。
【請求項8】
前記断熱層(13)が寸法的に安定した材料からなる、請求項5~7のいずれか一項に記載のプレハブ壁建築要素(11)。
【請求項9】
前記コア部材(12)の板状の前記本体(120)は、前記コア部材(12)の両側に沿って前記断熱層(13)の線状凹部領域から垂直に延在することを特徴とする請求項8に記載のプレハブ壁建築要素(11)。
【請求項10】
前記断熱層(13)が、28kg/m
3のような25~35kg/m
3の発泡体リサイクルプラスチック材料で作られている、請求項5~9のいずれか一項に密度のプレハブ壁建築要素(11)。
【請求項11】
前記耐荷重コア部材(12)は80~130kg/m
3の密度を有し、好ましくは再生ポリマー材料、複合材料、合板、またはそれらの組合せを含むハニカムポリマー構造からなる群から選択される材料を主に含む、請求項5~10のいずれか一項に記載のプレハブ壁建築要素(11)。
【請求項12】
前記断熱層(13)の外側の上下端が傾斜131で設計されている、請求項5~10のいずれか一項に記載のプレハブ壁建築要素(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様によれば、本発明は、請求項1のプリアンブルによって示されるような壁建築要素システムに関する。別の態様によれば、本発明は請求項5のプリアンブルによって定義されるような基本壁建築要素またはモジュールに関し、前記壁基本建築要素は、本発明の第1の態様による壁建築要素システムの重要な部分を構成する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、一時的な使用または永久的な使用のための建物を迅速かつ安価に建設する必要がある。このような状況は、難民キャンプ、地震や津波などの大規模な災害状況、貧しい地域の建築物の質の向上など緊急性の低い状況に関連する可能性がある。
【0003】
その一方で、プラスチック廃棄物は、海岸および沖合における、大きくて増大する環境問題となっている。理想的な状況は、第2の問題を構成する廃棄物を原料として使用することによって、第1の問題を解決することである。
【0004】
本発明は適正で信頼性のある基準の建物を最小限の時間で組み立てることを可能にする壁建築要素システムにおいて、プラスチック廃棄物材料を原料として使用することを見出すことを目的とする。
【0005】
多くのモジュール式建築システムが知られており、主に従来の材料に基づいており、高規格の集合住宅または住宅のような永久建築物として適している。スケールの他のエンドでは、標準的なコンテナに基づくテント及びモジュール式建築システムが提案されている。
【0006】
米国特許公開2014/0059961A1は、不燃性、セメント系材料の層及び絶縁材料のコアから成る熱絶縁複合パネルを教示している。
【0007】
米国特許公開2009/0205277A1は5層のパネルシステムを記載しており、中央プレート層、中央層の両側に絶縁層、絶縁層の外側を覆うために再び外側プレート層を備えている。
【0008】
国際公開第2004/076764号パンフレットは、発泡ポリスチレンの層を取り囲む木材の外側プレート形状層を含む壁又は天井要素を教示している。
【0009】
より複雑なビルディングブロックは、中央絶縁層、プレート層、および長手方向に延在する補強要素を含む欧州特許公開EP2966235A1に記載されている。
【0010】
本発明は、従来技術の建築要素とは問題アプローチにおいて、並びに技術的点において異なる。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、請求項1によって定義される壁建築要素システムに関する。
【0012】
第2の態様によれば、本発明は、請求項5によって定義されるようなプレハブ壁建築要素またはモジュールに関する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項によって開示される。
【0014】
本発明による壁建築要素システムでは、一時的または永久的な建築物を、任意の平坦な表面上で迅速かつ低コストで持ち上げることができる。建築システムの主な構成要素は、典型的には剛性の合成材料、好ましくはリサイクルまたは廃プラスチック材料、またはそのようなプラスチック材料、合板などを含む複合製品で作られた耐荷重中心コアを備える壁建築要素である壁建築要素は、好ましくは発泡体リサイクルプラスチック材料または廃プラスチック材料で作られた断熱材料の形状安定層をさらに含む。これらの要素は、同様の要素と水平および垂直に組み合わされて壁を構成するように適合される。これらの壁建築要素の各水平層の間に、特別に適合されたH形断面梁またはレールが、垂直方向に安全で信頼性のある方法で荷重を伝達するように配置される。これらのH形鋼は壁建築要素の最上部側面および最下部側面に特別に適合され、各壁建築要素のコア部材のレベルからレベルに垂直力が正しく伝達されることを確実にし壁建築要素の実質的に堅固ではあるが、比較的弱い断熱層の過負荷がないことを確実にする。
【0015】
完全な建物は常に、少なくとも1つの外側ドアと、必ずしもそう必要はないが、典型的には多数の窓とを備える。窓およびドアは一般に、2つの代替方法のうちの1つで、本発明の原理に従って隆起した建物に適合させることができる。1つの方法は典型的には電気のこ引き/切断機を使用して、必要な開口部を切り出し、多かれ少なかれ標準的なタイプのフレームを含むドアまたは窓に入れることである。このような方法で基本壁建築要素に組み立てられた窓のフレームには、本発明によるHビームの一部の頂部に取り付けられるように適合された壁建築要素の最下側縁部に対応する輪郭を有する、木材、金属、または合成材料の下側ビームを設けることができる。同様に、窓フレームの最上部側縁部は、壁建築要素の最上部側縁部のような輪郭を有していてもよく、したがって、本システムの一部であるH形鋼の最下部に適合されている。このような場合には、切り抜いた開口部の下側及び上側に、組立前にHビームを設けてもよい。これにより、窓枠が十分な耐荷重能力を有する場合、窓/枠は、一旦壁に組み立てられると、壁の耐荷重構造の一部になることが可能になる。
【0016】
ドアおよび窓を本発明に適合させる別の方法はドアフレームまたは窓フレームが既に予め製造された(プレハブ)要素として含まれている、他の基本壁建築要素と同じ寸法を有する製造要素を含むことであり、最終使用者が建築物の組み立て中にいかなる切断も、いかなる種類の適合も行う必要がないことを保証する。他方、この代替案は特に、エンドユーザが異なる窓および/またはドアサイズの間で選択することを許可される場合、より多数の代替的な建築要素を必要とする。ドアおよび窓の組み立ては建物の組み立て中に必要とされる作業であるが、ドアおよび窓の組み立てを行う方法は本発明のそのような要素ではなく、したがって、本明細書ではさらに詳細には説明しない。
【0017】
断熱材料の形状安定層は典型的にはUV耐性および耐湿性を含む特性を示し、基本壁建築要素の外側にUV耐性および/または耐湿性材料のポリマーコーティングを供給して、湿気および太陽光に対する耐性に関して長持ちする特性を確実にすることができる。
【0018】
耐荷重コア部材および断熱層のための特定の材料は様々であるが、典型的には両方ともリサイクルプラスチック材料によって構成される。断熱層のための材料は、その形状安定性を危険にさらすことなく、所望の密度に発泡される。商業ビルでは、使用される材料の約60%がリサイクルプラスチック材料であると推定される。
【0019】
断熱材料は、典型的にはポリエチレン(PE)に富む。他のプラスチック材料も使用することができるが、言及したものはまた、それらが膨大な量で入手可能であるために好ましい。断熱層は高度に発泡され、約28kg/m3(水の密度の3%未満)の密度を有することができる。このような密度の発泡体、または発泡体、ポリエチレンは依然として形状安定性であり、本発明の目的のために良好に機能する。
【0020】
ポリ塩化ビニル(PVC)の材料もまた、本発明に関連して有用であり得、例えば、屋根等に有用であり得るが、本発明によってカバーされるものではない。
【0021】
耐荷重芯部材は典型的には好ましくは再生ポリマー材料、複合材料、合板、またはそれらの組合せを含み、典型的には約80~130kg/m3の密度、すなわち依然として水密度の8~13%の密度を有するハニカムポリマー構造からなる群から選択される材料から構成されてもよい。ASTM C365-57によって定義される圧縮弾性率に関する耐荷力は、約20MPa(約200気圧)であることが分かっている。耐荷重コア部材のためのポリマーは典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1つを含み、後者は、典型的にはコーティング材料としてのみ使用される。
【0022】
好都合な要素の厚さでは、基本壁建築要素の比重が典型的には25~30kg/m2である。このような軽い構造物は強風の損傷を受けやすいと仮定されるかもしれないが、本発明に従って隆起した建物は驚くほど安定していることが試験によって示されている。これは、全ての要素が他の要素と係合する方法によるものと考えられる。また、建物を閉鎖して壁を結びつける屋根構造により、風が内部に入らないようにするなど、建物の安定化を図っている。しかしながら、屋根構造は本発明の一部ではないので、ここでは詳細に説明しない。本発明の壁建築要素のための屋根を提供するために、任意の従来の屋根構造を使用することができる。
【0023】
本発明による基本壁建物要素の正方形寸法は、建物物の種類、場所、輸送及び組立てのために利用可能な手段等に応じて広い範囲内で変化することができる。例えば、クレーン等が要素をそれらの意図された位置及び向きに持ち上げて位置決めするために利用できない状況では、要素が好ましくは2人による手動操作を可能にするよりも大きくてはならない。1つの要素は、床に対応する高さ、例えば2.4メートルを有することができる。このような要素が1.2メートルの幅を有する場合、その正方形寸法は2.9メートルであり、その重量は75kg付近である(25kg/m2の比重量を仮定する)。2人の人々は、このような重量の要素を非常に容易に持ち上げて組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1a】未組立の状態における、本発明の一実施の形態に係る2つの基本壁建築要素の概略上面図である。
【
図1b】組立されたままの
図1からの2つの基本壁建築要素の概略上面図である。
【
図2】
図1a及び
図1bに示すものとは若干異なる本発明の実施の形態に係る2つの基本壁建築要素の概略上面図である。
【
図3a】未組立の状態における、本発明に係る2つの基本壁建築要素の概略側面短端図であり、一方は他方の上方であり、組立されていない。
【
図3c】
図3aに示す要素を、組み立てた側面概略図である。
【
図4a】
図2に示すような基本壁建築要素全体の概略上面図である。
【
図4b】基本壁建築要素の好ましい実施形態の概略上面図である。
【
図4c】基本壁建築要素の別の好ましい実施形態の概略上面図である。
【
図4d】基本壁建築要素のさらに別の好ましい実施形態の概略上面図である。
【
図5a】
図4dに示す基本壁建築要素の側断面図である。
【
図5b】
図4dに示す基本壁建築要素の変形例の側断面図である。
【
図6a】基本壁建築要素およびソール要素の概略的な側端図である。
【
図6b】わずかに異なるソール要素の概略側面図である。
【
図6c】ソール要素のさらに別の変形例の概略側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による組み立てられた壁構造の概略側端面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態による、組み立てられた壁構造の概略側端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aは、本発明の一実施形態による2つの壁建築要素11の端部、1つの要素の右端部、及び隣接する類似要素の左端部を概略的に示す。各要素は、荷重担持要素であるコア部材12と、その両側に断熱層13を有する。コア部材は、要素が完全な壁に組み立てられ、屋根が壁の上に置かれたときに加えられるすべての垂直力を取るのに十分な圧縮強度を有する材料で作られる。断熱層13は、好ましくはリサイクルされたプラスチック材料から作られ、その後、最小密度レベルを超える密度まで発泡される。断熱層は、剛性があり寸法的に安定であるという意味で、完全性を示す。
【0026】
図1aの左端要素の右部分として示される壁建築要素の1つの短辺において、コア部材は断熱層から突出し、それによって舌部12aを形成する。壁構成要素の他方の側では
図1において右端の要素の左部として示されているが、コア部材12は断熱層13に比べて窪んでおり、一部により、耐荷重コア部材12の幅に適応した幅の溝部12bを形成している。
【0027】
図1bに示すように、エレメントは断熱層の固有の剛性および寸法安定性のために、横方向にも舌部および溝原理に従って組み立てることができる。
【0028】
図2は本発明による壁建築要素の一実施形態の上面図を概略的に示しており、この実施形態はむしろ
図1aおよび
図1bに示すものと同様であり、唯一の違いは、溝12bの両側の断熱層13が壁建築要素の組立を容易にするためにテーパ13bであることである。
【0029】
図3aは
図1a、1bに示されたものと類似または等しい、本発明の実施形態による2つの壁建築要素の部分の側面図を概略的に示す。図は各要素の短端からのもので、これは紙面に垂直な要素の最大の水平方向の延長線である。
【0030】
コア部材12の上縁部の両側およびそれに隣接して、断熱層13は凹部領域13aを呈する。これらの凹部領域13aにおいて、断熱層は、コア部材12から遠いほど絶縁層のレベルに比べて凹部、かつコア部材12に比べても凹部となっている。
【0031】
同様の凹部領域13cが、上部エレメントの底部に示されている。
図3aはまた、耐荷重コア部材12が、凹部領域13aの上方に垂直に延在するが、断熱層13の最上位までは延在しないという事実を示している。
【0032】
上壁建築要素を下方のものに接続するために、H形梁14が使用される。
【0033】
図3bは、
図3aに囲まれた細部の拡大図である。上述のレベル差は、
図3bにより明確に示されている。壁建築要素の最上部の3つのレベル、すなわち、断熱層の最上部レベルL13、耐荷重コア部材12の最上部レベルL12、および断熱層13の凹部領域13aのレベルL13aが示されている。H形ビーム14の水平部分はレベルL13とL12との間のレベル差の約2倍の幅又は厚さを有し、一方、H形ビームの垂直方向の延長部分は、レベルL13とL13aとの間の差の約2倍であることが理解される。
【0034】
同様に、各壁建築要素11の底部において、耐荷重コア部材12は断熱層13の凹部領域13cの下に延在するが、断熱層の最下レベルまでは延在しない。
【0035】
本発明の1つの態様による壁建築要素システムは、1つが壁建築要素11の異なる垂直層間に適合するように適合されたH字形梁またはレール14である2つの追加構成要素を含む。H形ビームの寸法は、凹部領域13a、13cの寸法に適合され、耐荷重コア部材12の頂部と断熱層13の頂部レベルとの間のレベル差に適合される。
【0036】
図3cは、
図3aに示す要素を組み立てた位置で、層間の安定化および荷重伝達部材としてHビーム14を使用した側面図である。Hビームは、任意の強力で安定した材料で作ることができる。典型的には、H字形ビーム14が断熱層よりもはるかに高く、かつコア部材12の密度および圧縮強度に少なくとも匹敵する密度および圧縮強度を有する軽金属、複合材料、またはコンパクトプラスチック材料で作られる。各H梁14の長さは壁建築要素の水平方向の延長部とは異なっていてもよく、異なるH梁要素間の接合部は壁建築要素間の接合部と一致しないように典型的に配置される。断熱層はそれ自体が完全性および寸法安定性を有する一方、壁建築要素の各層の間にH形梁が存在することは依然として、完全な組み立てられた建物構造の安定性を著しく高める。
【0037】
図4aは、
図2に部分的に示されたものと同様の壁建築要素全体の上面図を示す。
【0038】
図4bは、本発明による壁建築要素の好ましい実施形態の上面図を概略的に示す。
図4aに示す実施形態との相違点は、コア部材12がコア部材12の板状本体120の両側から延びる横リブ121を呈している点である。本体120およびリブは典型的には単一の一体構造として鋳造され、その垂直方向の延長部は典型的には断熱材の凹部領域13cにおいて、リブ121の垂直方向のレベルが典型的には凹部領域内の断熱層13の垂直方向のレベルL13aと一致することを除いて、本体120と同じである。これにより、リブ121は、梁14を下から直接支持することができる。
【0039】
図4cは
図4bに示されるものと比較して壁建築要素のわずかに異なる変形例を概略的に示しており、唯一の相違点は、コアメンバーの本体120から延びるリブ121の数の増加である。
【0040】
図4dは、コアメンバーの本体120の両側にリブが対称に配置されているさらに別の変形例を示す。
【0041】
図1~4cに示されるリブは、いくつかの機能を有する。それらは、コア部材12をより剛性でねじれに強いようにする役割を果たし、断熱層を支持し、安定させる役割を果たし、H形梁14と相互作用して、構造の垂直層間で伝達される力をより大きな面積にわたって分散させる役割を果たす。さらに、以下で詳述するように、それらは、横方向の力に関してさえ、組み立てられた壁構造の異なる垂直層を安定化させる役割を果たす。
【0042】
好ましくは、リブ121が固定パターンで配置され、等間隔に配置され、全てのリブは互いに平行に配置される。長手方向は、典型的にはコア部材12の本体120に対して垂直かつ垂直である。横方向延長部は典型的には断熱層13の厚さよりも少し小さく、それにより、断熱層がリブを完全に覆い、同時に、断熱層が、リブによって分離された多数の小さな要素ではなく、1つの連続した要素として適用されることを可能にする。
【0043】
図5aは
図4dのV-V線に沿った側断面図であり、一般に、断熱層13に関連して、またはそれと比較して、リブ121の延長を図示する。凹部領域13aにおいて、リブはH字形ビーム14のための空間を許容し、従って断熱層13の凹部領域13aの(少なくとも)幅に対応する平坦な領域を示すことが重要である。リブは凹部領域13aの最も外側に沿った仮想線で断熱層13の上方90度の角度を追うことによって、横方向にさえもHビームの支持を提供し、それによって、その垂直層間の横力に関しても組み立てられた構造の安定性に寄与する。
【0044】
図5bは
図5aに示されるものとはわずかに異なる変形例を示しており、その差は凹部領域13aの外側に沿った曲げ線におけるリブ121の上方角度が90度よりも幾分大きいことであり、横方向の支持を依然として提供しつつ、凹部領域13a内にHビームを嵌め込むことが僅かに容易になることである。
【0045】
図5aおよび
図5bに示されるリブ121のプロファイルは
図4dに基づいているが、
図4bおよび
図4cに示されるリブは典型的には同様のプロファイルを有し、壁構造の各垂直層の間にH形状ビーム14で組み立てられた場合、完全な構造の安定化に寄与する。
【0046】
次に
図6を参照する。壁建築要素11の最下段の垂直列の下には特定のソール要素15が使用され、その頂部には壁建築要素の底面に適合したプロファイルが設けられている。このように、ソール要素15の上面は延長フランジ15aを示し、このフランジはコア部材の下端、より具体的には、コア部材の本体のための空間を可能にするために、そこに溝15bを有する壁建築要素の凹部領域13cに嵌合する。ソール要素の幅は壁建築要素の幅に適合される、すなわち、ソール要素は、典型的には壁建築要素と同じ幅であるか、または壁建築要素よりもいくらか広い。
【0047】
図6bはソール要素の変形例を示しており、その差は、下側の表面がそれが配置された地面をわずかに貫通するように波形にされていることである。
図6cは地面をより深く貫通するために、下部表面に長いスパイクが設けられている変形例をさらに示す。
【0048】
図7は、壁建築要素の短い端部から見た組み立てられた壁構造を示す図である。壁構造は、底部ソール要素15と、H形梁14を介して接合された3層の壁建築要素11とからなる。
図7はリブ(斜線部)が下方から及び上方からH形鋼を取り囲み、それによって壁構造を横方向に安定させながら、H形鋼を介して重り荷重を垂直方向に伝達するという事実を示している。
【0049】
図7はまた、屋根の存在を示すが、これは本発明の一部ではない。
【0050】
階数は
図7には示されておらず、互いの上にある3つの要素で覆われた高さは、1つ以上の階に対応する場合がある。2つ以上の床に遭遇した場合、本発明による壁構造は床を支持するように設計されていないので、柱、棒、および/または梁(図示せず)などの床支持要素(図示せず)が通常存在する。
【0051】
図8は
図7に示される壁の変形を示しており、その差は壁要素が比較的高いが、また、断熱層13の外側の上下の縁が降雨中に壁に水が浸透するのを防ぐ傾斜131を備えて設計されていることである。
【0052】
追加の特徴および実施形態
【0053】
基本壁建築要素は典型的には中央の耐荷重コアの周りで対称であるが、外側の特定の層の耐紫外線性及び/又は耐湿性材料を除いて、可能性がある。図面1~7では、すべての基本壁建築要素がこの点で対称として示されている。
【0054】
壁建築要素の外側および内部は互いに同一であってもよいが、日光による湿度および/または劣化に対してより良好に保護するために、外側に少なくとも1つの余分な層を設ける可能性もある。
【0055】
本発明による壁建築要素は屋根を除いて、完全な建物の組立に適しているが、要素は既存の建物において断熱を提供するためにも使用され得る。
【0056】
既存の建物内の建物として、建物内の建物として、または既存の建物内の断熱材として組み立てるために、基本壁建物要素は、断熱層がコア部材の片側のみに設けられる、より単純な設計を想定することができる。これにより、依然として必要な程度の断熱性を提供するが、同レベルの耐荷力を示す必要がないより軽い要素の組立が可能になる。特に、その内壁は外屋根を担持しないためである。
【国際調査報告】