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特表2022-537998溶媒法を用いた再生繊維紡糸溶液の調製方法および製造装置
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  • 特表-溶媒法を用いた再生繊維紡糸溶液の調製方法および製造装置 図1
  • 特表-溶媒法を用いた再生繊維紡糸溶液の調製方法および製造装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】溶媒法を用いた再生繊維紡糸溶液の調製方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   D01D 1/02 20060101AFI20220824BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20220824BHJP
   D01F 2/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
D01D1/02
B01F23/53
D01F2/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021575066
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020066452
(87)【国際公開番号】W WO2020254232
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116736.1
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549257
【氏名又は名称】リスト テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クンケル、ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェイリー
【テーマコード(参考)】
4G035
4L035
4L045
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AB54
4G035AE02
4G035AE13
4G035AE15
4L035BB11
4L045CA08
(57)【要約】
本発明は、溶媒を使用して再生繊維紡糸溶液を製造するための調製方法および製造装置を開示するものであり、この製造装置は、単一の横型円筒形混練反応器に接続された2つ以上の縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4、...)を備えている。セルロースと溶媒および助剤との水性混合物は、紡糸可能なセルロース紡糸ドープに調製され、これは、材料混合物を2つ以上の縦型拭き取りフィルム蒸発器および横型円筒形混練反応器に注入することを特徴とし、各ユニットは、好ましくは別個の凝縮システムを備え、真空システムは、真空システムを共有するように別個に構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースと溶媒および助剤との水性混合物を紡糸可能なセルロース紡糸ドープに調製する溶媒法により再生セルロース繊維紡糸ドープを調製する方法であって、材料混合物を最初に2つ以上の縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4)に投入し、次いで、該縦型拭き取りフィルム蒸発器に接続された、横型の、好ましくは円筒形の混練反応器(9)に投入し、蒸発させ、真空下で混合することを特徴とする、方法。
【請求項2】
接続部には、配管を介して材料を搬送するために、ポンプもしくは材料を押し出すスクリューか重力ブランキング法が採用されるか、または直接接続方式が採用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個々の縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4)および前記好ましくは円筒形の混練反応器(9)ユニットのそれぞれが、別個の凝縮システムを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記個々の縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4)および前記好ましくは円筒形の混練反応器(9)のそれぞれの真空システムを、別々に構成することも、共有することもでき、または前記拭き取りフィルム蒸発器(3、4)が真空システムのセットを共有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記個々の縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4)および前記好ましくは円筒形の混練反応器(9)ユニットが、異なる真空圧または同じ真空圧で作動する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、NMMOである、またはセルロースを溶解することができる他の溶媒であることを特徴とする、請求項1~5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記混合物が、前記縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4)内の水分を蒸発させ、前記溶媒の濃度を高めるが、セルロースの溶解に必要な濃度未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
NMMOが支配的な前記溶媒、好ましくは、水とNMMOに対するNMMOの比が86.7%未満の前記溶媒を使用して、前記NMMOを一水和物を超えるレベルまで濃縮することを特徴とする、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記混練反応器(9)において、前記拭き取りフィルム蒸発器(3、4)から前記混練反応器(9)に送られた前記材料は、セルロースとの溶解レベルまで水分を蒸発させることによって前記溶媒の溶解濃度を高め、均質化されて紡糸可能な溶液を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記NMMOが、NMMOベースの前記溶媒など一水和物のレベルまで濃縮される、好ましくは、水およびNMMOに対するNMMOの比が86.7%以上である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記拭き取りフィルム蒸発器(3、4)のジャケット蒸気温度が100~180°C、好ましくは100~150°Cであり、前記ジャケットの温水温度が80~105°Cであり、前記混練反応器(9)のジャケット付き熱媒体が90~120°C、好ましくは100~110°Cで作動する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記拭き取りフィルム蒸発器(3、4)および前記混練反応器(9)が、40~100mbarの真空下で、好ましくは45~55mbarの真空運転条件下で運転される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記拭き取りフィルム蒸発器(3、4)および前記混練反応器(9)が異なる真空度で作動する場合、好ましくは、前記混練反応器(9)の真空圧が前記拭き取りフィルム蒸発器(3、4)の真空圧よりも低い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
真空下での前記材料の蒸発は、蒸発した水蒸気を凝縮器に通して凝縮させることが必要であり、計算された凝縮水の量と実際の凝縮水の量とを用いて、ジャケット熱媒体の温度またはローターの速度または真空度またはその組合せを調整して、紡糸ドープ内の水分蒸発量を制御し、前記実際の凝縮量が前記計算に必要な凝縮量より少ない場合、前記熱媒体の温度を上げるか、前記ローターの回転数を上げるか、前記真空圧を下げるか、またはそれらを組み合わせて使用することで調整することができる、請求項1または3に記載の方法。
【請求項15】
単一の横型の、好ましくは円筒形の混練反応器(9)に接続された少なくとも2つの縦型拭き取りフィルム蒸発器(3、4)を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維技術の分野に関し、特に、溶媒法を使用して再生セルロース繊維紡糸ドープを調製するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、再生セルロース繊維溶液を製造するための溶媒法は、主にNMMO溶媒とセルロースとを混合することによって調製されている。ここで、リヨセル繊維溶液の調製プロセスを例として示す。リヨセル繊維溶液の調製は、非毒性溶媒NMMO(N-メチルモルホリン-M-オキシド)を使用したセルロースの直接物理的修飾によって溶解される高粘度の紡糸可能ドープである。このプロセスを達成するために、現在、市場には3つの製造方法/装置が存在する。
【0003】
1.最も広く使用されている装置は、拭き取りフィルム蒸発器(薄膜蒸発器としても知られている)を使用して、真空条件下でセルロース、水およびNMMOを含有する懸濁液中の水を少量の助剤で蒸発させ、NMMOの濃度が約87%に達すると、セルロース接着剤が形成される。全プロセスは、拭き取りフィルム蒸発器内で行われる。設備一式は、凝縮システムを別個に備えている。凝縮水の量を測定することにより、ドープの状態が推定され、対応する温度またはローター回転数または真空度を調整するための根拠として使用される。次いで、ドープは、紡糸のための紡糸機へのパイプ輸送や濾過などの後処理にかけられる。拭き取りフィルム蒸発器の利点は、良好な熱伝達性能を有することであるが、欠点は、装置の消費電力が大きく、材料保持時間が短く、ドープの均質化が十分に制御されないことである。大型の加工設備は、設備の機械的加工の制約から無限に拡大することができない。また、設備が大型化した後は、荷重やサイズが大きくなり、工場建屋への要求も高くなり、過剰な投資コストや低コストパフォーマンスとなる。この設備の単一ユニットの最大容量は、現在15,000トン/年~25,000トン/年である。
【0004】
2.小規模で使用される別の製造装置は、水平に配置された混練反応器を介して真空条件下でセルロース、水およびNMMOを含有する懸濁液を少量の助剤で水和するものである。蒸発の間、NMMOの濃度が約87%に達すると、セルロース接着剤が形成される。全プロセスは、拭き取りフィルム蒸発器内で完了し、ユニット全体は、個別に凝縮システムを備えている。次いで、ドープは、紡糸のための紡糸機へのパイプ輸送や濾過などの後処理にかけられる。混練反応器の利点は、材料の滞留時間が長く、混合効果が良好であることである。欠点は、設備が高価であり、蒸発効率が低いことである。この設備の単一ユニットの最大容量は、現在、5,000トン/年以下である。大規模生産という現在のニーズには適さない。
【0005】
3.上記の2つの装置のそれぞれの利点を組み合わせて利用する製造装置もあり、例えば、中国特許出願公開第104246029号明細書および国際公開第2013156489号パンフレットに開示されている「成形部品の製造方法」と題された発明特許、すなわち、拭き取りフィルム蒸発器と混練反応器を接続して使用するものがある。拭き取りフィルム蒸発器内の材料は、その良好な熱伝達性能を利用して、可能な限り多くの水を蒸発させ、接着剤形成溶液に必要な水蒸発量未満にし、次いで懸濁液は、残りの粒子が溶解して紡糸溶液を生成する混練反応器内で少量蒸発する。所望の状態と、その優れた混合性を利用することで、材料を均一に混合して均質化されたドープにすることができる。この装置は、理論的には以前の2つの装置よりも進化しており、単一セットの容量は改善されるが、拭き取りフィルム蒸発器の処理サイズによって依然として制限されるため、より大きな容量の要件を満たすことができない。単一ユニットの最大容量は年間3万トンを超えない。設備一式は、凝縮システムを別個に備えている。各設備の蒸発効果や状態は、凝縮水の量では決定されない。代わりに、形成溶液および/または希釈剤の濃度は光学指数(屈折率)によって制御され、理想的な光学的屈折率が提案される。この指数は1.45~1.52であるが、この制御方法は、上記1および2で述べた単一の装置を用いてドープ形成工程全体を完了させる場合にのみ適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第104246029号明細書
【特許文献2】国際公開第2013156489号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、溶媒法による再生セルロース繊維紡糸ドープの改良されたシステムおよび調製方法を提供することである。
【0008】
上記の背景技術およびいくつかのタイプの装置を考慮した上で、単一セットの能力では年間3万トンの生産量を達成することはできなかった。接着剤装置の複数の調製セットを整合させることは、必然的に、同じタイプの装置のプロセス制御と処理に起因することになる。ドープの品質には差があり、このことは最終製品の品質の均一性に影響を及ぼす。したがって、より大きな容量を有する複合装置を開発する必要があり、その結果、各生産ラインの容量は年間(計算では330日)6万トンに達することができ、さらに高い、より高い効率を達成し、運転を維持しながら均一な製品品質を確保する。さらに、この装置の別の顕著な利点は、1つの拭き取りフィルム蒸発器のみを開けて、他は開けないなど、ユーザのニーズに応じてスペースを調整することができることである。また、設備の別個の保守および分解点検も容易になる。
【0009】
本発明は、上記方法の利点および欠点の理解に基づく、溶媒法による再生セルロース繊維紡糸ドープのシステムおよび調製方法を提供する。それは、より良好に均質化された溶媒ベースの紡糸溶液を確保しながら、単一ライン容量の大幅な増加を達成するように運転プロセスおよび設備構成を変更する。例えば、各生産ラインの能力は、年間(330日間)4万トン、または年間6万トンに達する可能性がある。
【0010】
これを達成するために、容量要件に応じて、2つ以上(以下では、まとめて複数と呼ぶ)の拭き取りフィルム蒸発器および単一の混練反応器と組み合わせて、装置一式を構成することができる。設備のサイズは容量に応じて最適化される。各拭き取りフィルム蒸発器および混練反応器は、好ましくは別個の凝縮システムを備えている。計量によって、実際の蒸発水の量を理論的計算値と比較することによって、各単一装置のジャケット付き熱媒体の温度を調整することができる。ローター回転数の調整、真空調整、または両方の組合せを使用して、蒸発水の量を制御する、すなわちドープの溶解度を制御することができる。
【0011】
具体的な技術的解決策は、本発明の以下の態様で説明される。
【0012】
1.セルロースと溶媒および助剤との水性混合物を紡糸可能なセルロース紡糸ドープに調製する溶媒法により再生セルロース繊維紡糸ドープを調製する方法であって、材料混合物を最初に2つ以上の縦型拭き取りフィルム蒸発器に投入し、次いで、縦型拭き取りフィルム蒸発器に接続された、横型の、好ましくは円筒形の混練反応器に投入し、蒸発させ、真空下で混合することを特徴とする、方法。
【0013】
2.接続部には、配管を介して材料を搬送するために、ポンプもしくは材料を押し出すスクリューか重力ブランキング法が採用されるか、または直接接続方式が採用される、態様1に記載の方法。
【0014】
3.個々の縦型拭き取りフィルム蒸発器および円筒形混練反応器ユニットのそれぞれが、別個の凝縮システムを備えている、態様1に記載の方法。
【0015】
4.個々の縦型拭き取りフィルム蒸発器および円筒形混練反応器のそれぞれの真空システムを、別々に構成することも、共有することもでき、または拭き取りフィルム蒸発器が真空システムのセットを共有する、態様1に記載の方法。
【0016】
5.個々の縦型拭き取りフィルム蒸発器および円筒形混練反応器ユニットが、異なる真空圧または同じ真空圧で作動する、態様1に記載の方法。
【0017】
6.溶媒が、NMMOである、またはセルロースを溶解することができる他の溶媒であることを特徴とする、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
7.混合物が、縦型拭き取りフィルム蒸発器内の水分を蒸発させ、溶媒の濃度を高めるが、セルロースの溶解に必要な濃度未満である、態様1に記載の方法。
【0019】
8.NMMOが支配的な溶媒、好ましくは、水とNMMOに対するNMMOの比が86.7%未満の溶媒を使用して、NMMOを一水和物を超えるレベルまで濃縮することを特徴とする、態様7に記載の方法。
【0020】
9.混練反応器において、拭き取りフィルム蒸発器から混練反応器に送られた材料は、セルロースとの溶解レベルまで水分を蒸発させることによって溶媒の溶解濃度を高め、均質化されて紡糸可能ドープを形成する、態様1に記載の方法。
【0021】
10.NMMOが、NMMOベースの溶媒など一水和物のレベルまで濃縮される、好ましくは、水およびNMMOに対するNMMOの比が86.7%以上である、態様9に記載の方法。
【0022】
11.拭き取りフィルム蒸発器のジャケットの蒸気温度が100~180°C、好ましくは100~150°Cであり、ジャケットの温水温度が80~105°Cである、態様1に記載の方法。混練反応器のジャケット付き熱媒体が90~120°C、好ましくは100~110°Cで作動する。
【0023】
12.拭き取りフィルム蒸発器および混練反応器が、40~100mbar、好ましくは45~55mbarの真空下で運転される、態様1に記載の方法。
【0024】
13.拭き取りフィルム蒸発器および混練反応器が異なる真空度で作動する場合、好ましくは、混練反応器の真空圧が拭き取りフィルム蒸発器の真空圧よりも低い、態様12に記載の方法。
【0025】
14.真空下での材料の蒸発は、蒸発した水蒸気を凝縮器に通して凝縮させることを必要とし、計算された凝縮水の量と実際の凝縮水の量とを用いて、ジャケット熱媒体の温度またはローターの速度または真空度またはその組合せを調整して、紡糸ドープ内の水分蒸発量を制御し、実際の凝縮量が計算に必要な凝縮量より少ない場合、熱媒体の温度を上げるか、ローターの回転数を上げるか、真空圧を下げるか、またはそれらを組み合わせて使用することで調整することができる、態様1または態様3に記載の方法。
【0026】
15.単一の横型の、好ましくは円筒形の混練反応器に接続された少なくとも2つの縦型拭き取りフィルム蒸発器を備えるシステム。
【0027】
NMMO溶媒を例にとると、NMMOを含有するセルロース懸濁液は、予備蒸発のために複数の縦型拭き取りフィルム蒸発器に別々に注入され、次いで懸濁液は蒸発および混合のために水平混練反応器に輸送される。均質化されたドープが形成され、排出される。
【0028】
3つの既知の装置に基づいて、NMMO中のNMMO含有セルロースパルプの溶解プロセスをプロセス技術の観点から分析した。
【0029】
溶解プロセスは、基本的に3つの工程に分けることができると判断できる。第1の工程は、セルロースの溶解開始点までセルロース-溶媒パルプから水を蒸発させることである。この開始点は、約2.5の水和NMMOに対応する溶解窓に到達することに対応する。この工程は、水を蒸発させるために大量の熱エネルギーを必要とするが、セルロースは追加の滞留時間がなく溶解しておらず、パルプの粘度は低い。
【0030】
溶解窓に達した後、粘度の主な溶解は、第2の工程で著しく増加する。この工程は、比較的少量の水を蒸発させ、約1.5の水和NMMOまで蒸発させる。
【0031】
第3の工程は、紡糸ドープの均質化の程度によって、およびセルロースの濃度に応じて0.8~1.0水和物まで、より少ない水を蒸発させることによって確定される。
【0032】
本発明の利点は、第1の工程において粘度が低く、滞留時間が短い場合に、拭き取りフィルム蒸発器の良好な熱伝導率を利用して大量の水分の蒸発を容易にすることである。粘度が低いため、モータの消費電力も大幅に低減される。混練反応器は、その優れた均質化性能および長い滞留時間、ならびに高粘度材料とより少ない水分の蒸発要件とに対処する能力により、第2および第3の工程に適している。
【0033】
本発明の方法およびシステムの別の主な利点は、丁度1つの混練反応器の上流に丁度1つの拭き取りフィルム蒸発器を含む既知のシステムと比較しても、高い処理能力/性能レートである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】投入ライン1、2、凝縮器5、6、および拭き取りフィルム蒸発器3、4が示されている。
図2】投入ライン1、2、凝縮器5、6、および拭き取りフィルム蒸発器3、4が示されている。参照番号7はオージェ移行部またはストレート移行部のいずれかを指し、参照番号8はトールポンプまたはオージェ移行部またはストレート移行部を指し、参照番号9は混練反応器を指し、参照番号10は凝縮を指す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の実施形態は、混練反応器に対応する2つの拭き取りフィルム蒸発器を例にとることによって本発明の特徴および利点を説明する。本発明の図面は独特ではなく、複数の拭き取りフィルム蒸発は、顧客および容量要件に従って実行することができる。装置は、様々な組合せの混練反応器に対応する。
【0036】
3つ以上の拭き取りフィルム蒸発器を使用する可能性は、各図の右側に参照番号なしで2つの拭き取りフィルム蒸発器を示すことによって図示されている。
【0037】
図1を参照する実施例1は、拭き取りフィルム蒸発器3、4と混練反応器9との間の移行部7、8に関してのみ実施例2/図2と異なる。実施例2とは対照的に、実施例1の移行部7、8は、混練反応器9に入る前に結合されない。
【0038】
実施例2/図2:NMMOおよび助剤と予め混合されたセルロース混合物は、計量され、投入ライン1および2を介して拭き取りフィルム蒸発器3および4に別々に投入されたが、別々に実施することも可能であった。
【0039】
接続部分は、別々に設定することもできるし(図1)、最初に1つまたは複数の主配管に集中させてから混練反応器9に接続することもできる(図2)。
【0040】
拭き取りフィルム蒸発器3、4では、注入された混合材料は水の蒸発と濃縮が行われる。濃縮された材料は、拭き取りフィルム蒸発器3および4(同時にまたは別々に実行することができる)から同じ対応する混練反応器9に移送される。
【0041】
拭き取りフィルム蒸発器3、4では、ジャケットを加熱する場合、拭き取りフィルム蒸発器から混合材料をフィルム状に成形し、真空下で材料を蒸発させ、真空下でセルロースを蒸発させる。このプロセスの間に、溶解は達成されなかった。混練反応器9では、ジャケット加熱の場合、材料を溶媒(NMMO)と完全に混合し、部分的に蒸発させてセルロース溶解を達成し、それによって高粘度の紡糸可能ドープを形成する。次いで、紡糸ドープは、紡糸用排出装置を介して配管およびポンプ本体を通って紡糸機に搬送される。
【0042】
生産性をさらに高めるために、ドープ中のセルロース濃度をわずかに高め、次いで適切な紡糸可能なセルロース紡糸溶液に希釈することも可能である。希釈は、排出装置内の投入ラインを介して行われる。また、排出装置の上流にある混練反応器の上流で希釈してもよく、複数箇所に同時に分散させてもよい。
【0043】
ドープは、排出装置の下流に1つまたは複数のポンプによって下流処理および紡糸装置に搬送される。
【0044】
拭き取りフィルム蒸発器3、4および混練反応器9で発生した二次蒸気は、対応して接続されている凝縮器で凝縮される。
図1
図2
【国際調査報告】