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特表2022-538047可変速コンプレッサおよび冷却装置の動作音響最適化のためのシステムおよび方法
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  • 特表-可変速コンプレッサおよび冷却装置の動作音響最適化のためのシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】可変速コンプレッサおよび冷却装置の動作音響最適化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220824BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021575941
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 BR2020050215
(87)【国際公開番号】W WO2020252549
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】BR1020190124776
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521552534
【氏名又は名称】ニデック グローバル アプライアンス ブラジル リミターダ
【氏名又は名称原語表記】NIDEC GLOBAL APPLIANCE BRASIL LTDA.
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】ソアレス,クラウディオ エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル,エドソン コレア
(72)【発明者】
【氏名】サントス,ガブリエル デッカー ド
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA07
5H770BA05
5H770CA02
5H770DA03
5H770EA02
5H770EA27
(57)【要約】
本発明は、同期モータ(6)を備える可変速コンプレッサ(2)、周波数インバータ(3)、および制御ブロック(5)の動作音響最適化のためのシステムおよび方法に関するものであり、このような最適化は、コンプレッサ(2)に含まれるモータ(6)の供給信号(9)のスイッチング周波数を変更することによって行われる。これにより、コンバータ(2)の性能、インバータ(3)の熱管理、システムの音響性能は損なわれない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期モータ(6)を備える可変速コンプレッサ(2)、周波数インバータ(3)、および制御ブロック(5)を備える、可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステムであって、
前記周波数インバータ(3)は、前記同期モータ(6)および電気ネットワーク(4)に電気的に接続されており、
前記制御ブロック(5)は、前記周波数インバータ(3)に電気的に接続され、前記可変速コンプレッサ(2)に含まれる前記同期モータ(6)の回転速度を制御するように構成され、
前記制御ブロック(5)は、前記同期モータ(6)に電力供給信号(9)を供給するために、前記周波数インバータ(3)の第1のスイッチング周波数(F1)および第2のスイッチング周波数(F2)を確立するようにさらに構成され、
前記制御ブロック(5)は、前記同期モータ(6)が前記第1のスイッチング周波数(F1)を有する前記周波数インバータ信号(3)によって給電される期間(T1)をさらに確立するように構成され、
前記期間(T1)は、前記モータ(6)の少なくとも1つの調整動作期間に対応し、
前記周波数インバータ(3)はさらに、前記期間(T1)の後に前記第2のスイッチング周波数(F2)を有する信号(9)を前記モータ(6)に供給するように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、20Hz~20kHzの範囲の値を有することを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項3】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、5kHzの値を有することを特徴とする、請求項2に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項4】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、12kHzより大きい値を有することを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項5】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、20kHzより大きい値を有することを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項6】
前記モータ(6)の調整段階は、期間(T1)を有する前記モータ(6)の少なくとも1つの調整動作を含むことを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項7】
前記モータ(6)の調整段階は、前記モータ(6)の複数の調整動作を含むことを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項8】
同期モータ(6)を備える可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のための方法であって、前記コンプレッサ(2)は、周波数インバータ(3)および制御ブロック(5)と電気的に関連付けられ、前記方法は、
(a)第1のスイッチング周波数(F1)を確立することと、
(b)第2のスイッチング周波数(F2)を確立することと、
(c)前記同期モータ(6)の少なくとも1つの調整動作の時間に対応する期間(T1)を確立することと、
(d)ステップ(a)で確立された前記第1のスイッチング周波数(F1)を有する信号(9)を、ステップ(c)で確立された前記期間(T1)の間、前記同期モータ(6)に供給することと、
(e)ステップ(c)で確立された前記期間(T1)の後、ステップ(b)で確立された前記第2のスイッチング周波数(F2)を有する信号(9)を前記同期モータ(6)に供給すること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
ステップ(a)、(b)および(c)は、前記ブロック制御(5)によって実行されることを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化のための方法。
【請求項10】
ステップ(d)および(e)は、前記周波数インバータ(3)によって実行されることを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化のための方法。
【請求項11】
ステップ(c)で確立された前記期間(T1)は、前記モータ(6)の複数の調整動作に対応することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化のための方法。
【請求項12】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、20kHzで20Hzの範囲の値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項13】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、5kHzの値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項14】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、12kHzよりも大きい値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項15】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、20kHzよりも大きい値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項16】
請求項1から7に記載のシステムを含むことを特徴とする冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変速コンプレッサは広く使用され、世界中で使用されているいくつかのシステムおよび装置に極めて存在する装置である。
【0003】
簡略化された方法では、可変速コンプレッサは、電気モータ、一般に同期モータを備える。効率上の理由から、このようなモータは、従来技術で既知のように、周波数インバータを使用して始動することができる。
【0004】
動作中、周波数コンバータは、スイッチされた信号を通じてモータに印加される電圧を制御する。このようなスイッチされた信号は、スイッチング周波数とも呼ばれる、所与の周波数における複数の電圧パルスによって構成される。スイッチング周波数の定義は、モータ効率、周波数インバータの熱管理、および音響性能に直接関係する。
【0005】
しかしながら、モータ動作中、異なる発生源からのノイズの放出は、例えば、機械的ノイズ、冷媒流体流動ノイズ、機械的装置に対する電磁力の作用からのノイズなど、かなり一般的である。
【0006】
電磁力により機械的ノイズを発生させるこれらの発生源の一つに、モータの電源のスイッチング周波数がある。これは、モータを供給するために使用されるスイッチされた信号の周波数が、人間の聴覚に敏感な周波数の範囲、すなわち、20Hz~20kHzの範囲内にあるために生じる。
【0007】
また、許容できる動作性能を得て、インバータの熱管理を保証するために、モータの電源のスイッチング周波数は、これらの基準を満たすために計算される。この周波数は通常、上記の範囲にある。
【0008】
いずれにしても、このようなノイズは、周囲のものに対して不快感を生じるので、コンプレッサの動作(運転)によって発生するノイズを低減する必要がある。
【0009】
具体的には、モータの電源のスイッチング周波数によって生成されるノイズは、コンプレッサ動作の第1のモーメントの間、より顕著であり、以下、モータの調整段階(alignment phase)と呼ばれる。これは、モータ動作の一次モーメントにおいて、モータの電力供給信号(電源信号)のスイッチング周波数によって発生するノイズを除いて、他のすべてのノイズ源が存在しないために発生する。この場合、スイッチング周波数によって発生するノイズは、トーンノイズとして特徴付けられる。すなわち、その周波数解析の結果、1/3オクターブの帯域幅で、隣接する周波数帯のレベルよりも少なくとも5dB(A)高いレベルの周波数を示す音である。トーン成分を持つノイズは一般的に、これらの特性を欠く別のノイズよりも不快である。
【発明の概要】
【0010】
したがって、このような調整段階において生成されるトーンノイズを最小限に抑え、その結果、このような時間に生成される知覚可能な音を減少させるために、本発明は以下に説明するように、そのような解決策を達成するための手段を提供する。
発明の目的
【0011】
本発明の第1の目的は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムを提供することにある。
【0012】
本発明の第2の目的は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のための方法を提供することにある。
【0013】
本発明の第3の目的は、以下に説明するような音響最適化のためのシステムを備える冷却装置(refrigerator)を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムを通して達成され、当該システムは、同期モータと、周波数インバータと、制御ブロックとを備え、前記周波数インバータは、前記同期モータと電気ネットワークに電気的に接続され、前記制御ブロックは、前記周波数インバータに電気的に接続され、前記可変速コンプレッサに含まれる同期モータの回転速度制御を行うように構成され、前記制御は、電力供給信号で前記同期モータに電力を供給するために、前記周波数インバータの第1のスイッチング周波数と第2のスイッチング周波数とを確立するようにさらに構成され、前記制御ブロックは、前記第1のスイッチング周波数で前記周波数インバータ信号によって前記同期モータに電力が供給される期間を確立するようにさらに構成され、前記期間は、前記モータの少なくとも1つの調整動作の期間に対応し、前記周波数インバータは、前記期間の後に前記第2のスイッチング周波数を有する信号で前記モータに電力を供給するようにさらに構成される。
【0015】
加えて、本発明の目的は、同期モータを含む可変速コンプレッサの動作音響最適化のための方法を通して達成され、前記コンプレッサは、周波数インバータおよび制御ブロックに電気的に関連付けられ、前記方法は以下のステップを含む:
(a)第1のスイッチング周波数を確立すること;
(b)第2のスイッチング周波数を確立すること;
(c)前記同期モータの調整動作の時間に対応する期間を確立すること;
(d)ステップ(a)で確立された第1のスイッチング周波数を有する信号を、ステップ(c)で確立された期間の間、同期モータに供給すること;
(e)ステップ(c)で確立された期間の後に、ステップ(b)で確立された第2のスイッチング周波数を有する信号を同期モータに供給すること。
【0016】
最後に、本発明の目的は、上記で定義した可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムを含む冷却装置を通して達成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、本発明を、図面に示す実施例に基づいて、より詳細に説明する。図は、以下の通りである。
図1図1は、1/3オクターブの帯域幅の周波数のグラフにおいて、トーンを示す代表的なグラフである。
図2図2は、電気ネットワークに接続され、制御ブロックに関連付けられた周波数インバータと、同期モータを含む可変速コンプレッサから構成されるシステムを示す。
図3図3は、可変速コンプレッサの同期モータに関連付けられた周波数インバータの可能な実施形態を示す図である。
図4図4は、周波数インバータの動作に起因する、同期モータの電力供給信号の可能な実装を示している。
図5図5は、モータの電力供給信号の周波数の関数として同期モータの性能曲線を示す代表的なグラフである。
図6図6は、コンプレッサ動作ステップの簡略図であり、モータの調整動作後に確立された時間に対する同期モータの電力供給信号の周波数変形例を示す。
図7図7は、人間の耳の聴覚閾値を表すグラフであり、知覚される周波数に必要な最小強度(dB)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、可変速コンプレッサ2の最初の動作モーメントの間、すなわちモータ6のいわゆる調整段階の間に発生する音響ノイズを低減する手段を提供する。このようなモータ6の調整段階において、少なくともモータ6の調整動作と呼ばれる動作は、供給信号9が特定のスイッチング周波数をもって、同期モータ6に期間T1だけ供給するものであり、このような期間T1がしたがって、モータ6の調整動作期間である。
【0019】
このようなモータ6の調整動作期間は、供給信号9によって生成される磁界に同期モータ6を調整する結果となり、これにより、その通常動作における同期モータ6のその後の動作、すなわち閉ループでの動作が可能となる。これは、同期モータ6の回転子が磁性体からなるため、電力供給信号9が結果的に磁界を発生させ、同期モータ6がこのような磁界に揃うことを誘起するために生じる。
【0020】
従って、モータ6の調整段階の後に、同期モータ6が電力供給信号9によって発生する磁界に電気的に調整されることが観察される。その結果、モータ6の調整段階は、モータ6の機械的位置を同様に決定することを可能にする。
【0021】
前述のモータ6の機械的位置の決定は、例えば、コンプレッサを備えたモータ6の使用に関連する用途において有利である。なぜなら、そのような用途においては、圧縮システムを構成するようになるかもしれないピストンの機械的位置を決定することが望まれるからである。
【0022】
換言すれば、モータ6の調整段階は、2つの所望の状況をもたらす。第1は、閉ループにおけるモータとその動作の正しい電力供給を可能にするために、モータ6の電気的な調整の決定を指す。一方、第2は、モータ6の機械的な調整を指し、その結果、モータ6に取り付けられた圧縮システムを備えることができるピストンの機械的位置の決定を指す。
【0023】
モータ6の調整段階の間、モータ6の電源のスイッチング周波数によって発生するノイズは、一旦モータが停止すると、他にノイズの発生源がないため、トーンノイズ1として特徴づけられていることで目立っている。
【0024】
先に述べ、図1によって例証されたように、トーンノイズは音であり、その周波数分析の結果、帯域幅が1/3オクターブであり、隣接する周波数帯のレベルより少なくとも5dB(A)高いレベルの周波数を呈する。
【0025】
図2を参照すると、簡略化された方法では、同期モータ6を備える可変速コンプレッサ2は、周波数インバータ3に電気的に関連付けられており、当該周波数インバータ3は、電気ネットワーク4および制御ブロック5に接続されている。
【0026】
コンプレッサ2の動作中、周波数インバータ3は、図3および図4に示すように、コンプレッサ2のモータ6に、直流8の中間源から、交流パルス9と同様に定義された周波数を有するスイッチ信号7を供給する役割を担っている。
【0027】
制御ブロック5は、コンプレッサ2のモータ6の回転数を制御する役割を担い、従来技術から広く使用されかつ公知のような制御システムとして機能する。
【0028】
通常、モータ6の電力供給信号9のスイッチング周波数は、図5に示すように、コンプレッサ2の最適性能を得るために、モータ6の調整段階の後に規定される。しかしながら、この基準により、モータ6に供給するために使用されるこのスイッチング周波数は、人間の可聴周波数範囲、すなわち20Hz~20kHzの間にあることになる。
【0029】
このように、本発明は、コンプレッサ2のモータ6の調整段階で発生するノイズに関する問題を解決するために、コンプレッサ2のモータ6の電力供給信号9のスイッチング周波数をモータの調整段階の間だけ変化させるシステムおよび方法を提供するものである。
【0030】
このシナリオでは、また、本発明の優先的な実施形態によれば、周波数インバータ3およびコンプレッサ2に関連付けられた制御ブロック5も、図6に示すように、少なくとも2つのスイッチング周波数(F1、F2)を確立するように構成される。
【0031】
制御ブロック5により確立された第1のスイッチング周波数F1は、モータ6の調整段階の間の電力供給信号9の周波数である。
【0032】
制御ブロック5によって確立される第2のスイッチング周波数F2は、モータ6の調整段階の後にコンプレッサ2のモータ6に供給する電力供給信号9の周波数となる。
【0033】
さらに、図6を参照すると、制御ブロック5は、周波数インバータ3が制御ブロック5によって確立された第1のスイッチング周波数F1を有する信号9を送らなければならない期間T1を確立するように構成されなければならない。この期間T1は、6の調整段階の時間(持続時間)に対応しており、したがって、モータ6の調整動作時間に対応している。この期間T1の直後に、制御ブロック5は、周波数の変化を周波数インバータ3に指示しなければならず、その結果、コンプレッサ2のモータ6は、制御ブロック5によって確立された第2のスイッチング周波数F2を有する信号9で供給される。
【0034】
しかしながら、上記の説明は、モータ6の調整段階がモータ6のいくつかの調整動作を含むことができるように、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。すなわち、モータ6の調整動作を複数回繰り返すことができる期間T1である。
【0035】
このような繰り返しは、前述したように、電力供給信号9によって生成される磁界に対するモータ6の機械的調整によって発生し得る。モータ6の機械的位置の決定は、モータ6の電気的調整と機械的調整の両方を達成することが望まれるので、上述したように、単一の調整動作を介して、ならびにいくつかの調整動作を介して、両方を達成することができる。
【0036】
換言すれば、モータ6の調整段階は、モータ6の電気的調整と機械的調整の両方を得ることを可能にするために、モータ6のいくつかの調整動作を含むことができる。
【0037】
本発明の優先的な実施形態によれば、第1のスイッチング周波数F1は、第2のスイッチング周波数F2よりも高くなければならない。好ましくは、第2のスイッチング周波数F2は、コンプレッサの最適な動作効率を得るために規定される。この意味で、かつ優先的にのみ、第2のスイッチング周波数F2は、20Hz~20kHzの値を有し、より好ましくは、5kHzの値を有する。
【0038】
図7を参照すると、人間の耳の聴力閾値を表すグラフが図示され、知覚される周波数に対して、最小必要強度をdBで示している。一般的に言えば、最大の聴覚感度は、2kHzと5kHzの周波数の間で生じるので、可聴周波数帯域の両端に関して進行することにつれて、感度の著しい損失がある。特に、12kHzの周波数の後、人間の耳の聴覚感度は著しく低下する。
【0039】
前述のように、第1のスイッチング周波数F1は、人間の耳にほとんど知覚(感知)されない、または全く知覚されないように、第2のスイッチング周波数F2よりも高くなければならない。このシナリオでは、なお図6を参照しても、第1のスイッチング周波数F1は20kHzより高くすることができる。
【0040】
しかしながら、図7に示すように、上述の情報によれば、人間の耳の感度は、12kHzを超える周波数で著しく低下する。このように、技術的に20kHzの第1のスイッチング周波数F1を確立することができない場合には、第1のスイッチング周波数F1を12kHzに確立することは本発明の目的を達成するのに十分で、すなわち、モータ6の調整段階時に発生するノイズを大幅に低減するのに十分である。
【0041】
したがって、優先的な実施形態では、第1のスイッチング周波数F1は、好ましくは12kHzよりも高くすべきである。最も好ましくは、第1のスイッチング周波数F1が20kHzよりも高くなければならない。
【0042】
上記に明らかにされた優先的な構成を仮定すると、第1のスイッチング周波数F1は、好ましくは周波数スペクトル(超音波)の非可聴領域に、またはより好ましくは図6に示される可聴閾値の定義に従って、人間の耳によってほとんど知覚できない領域に位置する(配置される)。したがって、コンプレッサ3のモータ2の電力供給信号9は、そのような第1のスイッチング周波数F1を有する場合、知覚可能な音量を有さないか、または少なくとも人間の耳には実質的に知覚不可能であることが理解される。
【0043】
この意味で、前述した優先的な実施形態によれば、制御ブロック5は、期間T1を確立するように構成されており、この期間T1の直後に、モータ6の電力供給信号9の周波数が変更される。このモーメントは、モータ6の調整段階の終了後、すなわちモータ6が回転を開始したとき、閉ループで動作する瞬間と理解されなければならない。
【0044】
換言すれば、期間T1は、モータ6に第1のスイッチング周波数F1を有する信号9が供給される時間の長さを示す。したがって、期間T1の直後、したがって、モータ6の調整段階の直後に、第2のスイッチング周波数F2を有する信号9が供給される。
【0045】
加えて、上述した優先的な実施形態と調和して、本発明は、同期モータ6を備える可変速コンプレッサ2を動作音響最適化する方法にも関し、コンプレッサ2は、周波数インバータ3および制御ブロック5と電気的に関連付けられており、この方法は、以下のステップを含むことを特徴とする:
(a)第1のスイッチング周波数を確立すること;
(b)第2のスイッチング周波数を確立すること;
(c)同期モータ6の調整動作の時間に対応する期間T1を確立すること;
(d)ステップ(a)で確立された第1のスイッチング周波数を有する信号(9)を、ステップ(c)で確立された期間の間、同期モータ(6)に供給すること;
(e)ステップ(c)で確立された期間T1の後に、ステップ(b)で確立された第2のスイッチング周波数F2を有する信号を同期モータに供給すること。
【0046】
これにより、制御ブロック5は、前述した情報と調和して、ステップ(a)、(b)および(c)を実行するように構成されており、一方、ステップ(d)および(e)は、設定された周波数切換F1、F2とともにコンプレッサ2のモータ6への電源供給を参照して、周波数コンバータ3によって実行される。
【0047】
加えて、ステップ(a)を参照すると、第1のスイッチング周波数F1が確立され、このような第1のスイッチング周波数F1は、好ましくは12kHzよりも高い値を有する。最も好ましくは、第1のスイッチング周波数F1が20kHzよりも高い値を有する。
【0048】
ステップ(b)を参照すると、第2のスイッチング周波数F2が確立され、当該第2のスイッチング周波数F2は、20Hz~20kHzの範囲の値を有する。好ましくは、第2のスイッチング周波数F2は、5kHzの値を有する。
【0049】
加えて、ステップ(c)を参照すると、モータ6の少なくとも調整動作に対応する確立された期間T1は、モータ6の複数の調整動作に対応することができる。
【0050】
最後に、前述の情報と調和して、本発明は、前述の音響最適化のためのシステムを備える冷却装置にも関する。
【0051】
有利なことに、本発明は、モータ6の調整段階中に可変速コンプレッサ2によって生成されるノイズを除去する手段を提供し、コンプレッサ2の性能または周波数インバータ3の熱管理を損なうことはない。これはモータ6の調整中に、モータ6の第1のスイッチング周波数F1が確立され、これは人間に聞こえない、またはほとんど知覚できない周波数の範囲内の値を有するからである。このような調整の後、第2のスイッチング周波数F2が使用され、第1のスイッチング周波数F1よりも低い値を有し、コンプレッサ2の最適な性能を得て、インバータ3の熱管理を確実にするために確立される。
【0052】
したがって、調整段階の間だけ、コンプレッサ2は、最適な性能を得るように確立されていない、指示されたスイッチング周波数で動作し、一過性の段階であるため、熱管理インバータ3に大きな影響を及ぼさない。第2のスイッチング周波数F2を有する信号9が、モータ6に電力を供給するコンプレッサ2の残りの動作中は、この第2の周波数F2を確立する際には、にコンプレッサ2の性能およびインバータ3の熱管理が優先されることになる。
【0053】
優先的な実施形態の記載された例を考慮すると、本発明の技術的範囲は、可能な均等物を含む添付の特許請求の技術的範囲の内容によってのみ限定される、他の可能な変形を包含することが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変速コンプレッサは広く使用され、世界中で使用されているいくつかのシステムおよび装置に極めて存在する装置である。
【0003】
簡略化された方法では、可変速コンプレッサは、電気モータ、一般に同期モータを備える。効率上の理由から、このようなモータは、従来技術で既知のように、周波数インバータを使用して始動することができる。
【0004】
動作中、周波数コンバータは、スイッチされた信号を通じてモータに印加される電圧を制御する。このようなスイッチされた信号は、スイッチング周波数とも呼ばれる、所与の周波数における複数の電圧パルスによって構成される。スイッチング周波数の定義は、モータ効率、周波数インバータの熱管理、および音響性能に直接関係する。
【0005】
しかしながら、モータ動作中、異なる発生源からのノイズの放出は、例えば、機械的ノイズ、冷媒流体流動ノイズ、機械的装置に対する電磁力の作用からのノイズなど、かなり一般的である。
【0006】
電磁力により機械的ノイズを発生させるこれらの発生源の一つに、モータの電源のスイッチング周波数がある。これは、モータを供給するために使用されるスイッチされた信号の周波数が、人間の聴覚に敏感な周波数の範囲、すなわち、20Hz~20kHzの範囲内にあるために生じる。
【0007】
また、許容できる動作性能を得て、インバータの熱管理を保証するために、モータの電源のスイッチング周波数は、これらの基準を満たすために計算される。この周波数は通常、上記の範囲にある。
【0008】
いずれにしても、このようなノイズは、周囲のものに対して不快感を生じるので、コンプレッサの動作(運転)によって発生するノイズを低減する必要がある。
【0009】
文献D1には、少なくとも1つの周波数コンバータを有する機械セットのノイズを低減する方法が開示されている。このような方法によれば、まず、機械セットに起因するノイズレベルがプリセットまたはプリセット可能な騒音レベルを超えているかどうかが判断される。代替的または追加的に、機械セットの周辺にいる人々の存在が、適切なセンサを用いて選択される。
【0010】
しかしながら、モータの電源のスイッチング周波数によって生成されるノイズは、コンプレッサ動作の第1のモーメントの間、より顕著であり、以下、モータの調整段階(alignment phase)と呼ばれる。これは、モータ動作の一次モーメントにおいて、モータの電力供給信号(電源信号)のスイッチング周波数によって発生するノイズを除いて、他のすべてのノイズ源が存在しないために発生する。この場合、スイッチング周波数によって発生するノイズは、トーンノイズとして特徴付けられる。すなわち、その周波数解析の結果、1/3オクターブの帯域幅で、隣接する周波数帯のレベルよりも少なくとも5dB(A)高いレベルの周波数を示す音である。トーン成分を持つノイズは一般的に、これらの特性を欠く別のノイズよりも不快である。
【発明の概要】
【0011】
したがって、このような調整段階において生成されるトーンノイズを最小限に抑え、その結果、このような時間に生成される知覚可能な音を減少させるために、本発明は以下に説明するように、そのような解決策を達成するための手段を提供する。
発明の目的
【0012】
本発明の第1の目的は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムを提供することにある。
【0013】
本発明の第2の目的は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のための方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第3の目的は、以下に説明するような音響最適化のためのシステムを備える冷却装置(refrigerator)を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムを通して達成され、当該システムは、同期モータと、周波数インバータと、制御ブロックとを備え、前記周波数インバータは、前記同期モータと電気ネットワークに電気的に接続され、前記制御ブロックは、前記周波数インバータに電気的に接続され、前記可変速コンプレッサに含まれる同期モータの回転速度制御を行うように構成され、前記制御は、電力供給信号で前記同期モータに電力を供給するために、前記周波数インバータの第1のスイッチング周波数と第2のスイッチング周波数とを確立するようにさらに構成され、前記制御ブロックは、前記第1のスイッチング周波数で前記周波数インバータ信号によって前記同期モータに電力が供給される期間を確立するようにさらに構成され、前記期間は、前記モータの少なくとも1つの調整動作の期間に対応し、前記周波数インバータは、前記期間の後に前記第2のスイッチング周波数を有する信号で前記モータに電力を供給するようにさらに構成される。
【0016】
加えて、本発明の目的は、同期モータを含む可変速コンプレッサの動作音響最適化のための方法を通して達成され、前記コンプレッサは、周波数インバータおよび制御ブロックに電気的に関連付けられ、前記方法は以下のステップを含む:
(a)第1のスイッチング周波数を確立すること;
(b)第2のスイッチング周波数を確立すること;
(c)前記同期モータの調整動作の時間に対応する期間を確立すること;
(d)ステップ(a)で確立された第1のスイッチング周波数を有する信号を、ステップ(c)で確立された期間の間、同期モータに供給すること;
(e)ステップ(c)で確立された期間の後に、ステップ(b)で確立された第2のスイッチング周波数を有する信号を同期モータに供給すること。
【0017】
最後に、本発明の目的は、上記で定義した可変速コンプレッサの動作音響最適化のためのシステムを含む冷却装置を通して達成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本発明を、図面に示す実施例に基づいて、より詳細に説明する。図は、以下の通りである。
図1図1は、1/3オクターブの帯域幅の周波数のグラフにおいて、トーンを示す代表的なグラフである。
図2図2は、電気ネットワークに接続され、制御ブロックに関連付けられた周波数インバータと、同期モータを含む可変速コンプレッサから構成されるシステムを示す。
図3図3は、可変速コンプレッサの同期モータに関連付けられた周波数インバータの可能な実施形態を示す図である。
図4図4は、周波数インバータの動作に起因する、同期モータの電力供給信号の可能な実装を示している。
図5図5は、モータの電力供給信号の周波数の関数として同期モータの性能曲線を示す代表的なグラフである。
図6図6は、コンプレッサ動作ステップの簡略図であり、モータの調整動作後に確立された時間に対する同期モータの電力供給信号の周波数変形例を示す。
図7図7は、人間の耳の聴覚閾値を表すグラフであり、知覚される周波数に必要な最小強度(dB)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、可変速コンプレッサ2の最初の動作モーメントの間、すなわちモータ6のいわゆる調整段階の間に発生する音響ノイズを低減する手段を提供する。このようなモータ6の調整段階において、少なくともモータ6の調整動作と呼ばれる動作は、供給信号9が特定のスイッチング周波数をもって、同期モータ6に期間T1だけ供給するものであり、このような期間T1がしたがって、モータ6の調整動作期間である。
【0020】
このようなモータ6の調整動作期間は、供給信号9によって生成される磁界に同期モータ6を調整する結果となり、これにより、その通常動作における同期モータ6のその後の動作、すなわち閉ループでの動作が可能となる。これは、同期モータ6の回転子が磁性体からなるため、電力供給信号9が結果的に磁界を発生させ、同期モータ6がこのような磁界に揃うことを誘起するために生じる。
【0021】
従って、モータ6の調整段階の後に、同期モータ6が電力供給信号9によって発生する磁界に電気的に調整されることが観察される。その結果、モータ6の調整段階は、モータ6の機械的位置を同様に決定することを可能にする。
【0022】
前述のモータ6の機械的位置の決定は、例えば、コンプレッサを備えたモータ6の使用に関連する用途において有利である。なぜなら、そのような用途においては、圧縮システムを構成するようになるかもしれないピストンの機械的位置を決定することが望まれるからである。
【0023】
換言すれば、モータ6の調整段階は、2つの所望の状況をもたらす。第1は、閉ループにおけるモータとその動作の正しい電力供給を可能にするために、モータ6の電気的な調整の決定を指す。一方、第2は、モータ6の機械的な調整を指し、その結果、モータ6に取り付けられた圧縮システムを備えることができるピストンの機械的位置の決定を指す。
【0024】
モータ6の調整段階の間、モータ6の電源のスイッチング周波数によって発生するノイズは、一旦モータが停止すると、他にノイズの発生源がないため、トーンノイズ1として特徴づけられていることで目立っている。
【0025】
先に述べ、図1によって例証されたように、トーンノイズは音であり、その周波数分析の結果、帯域幅が1/3オクターブであり、隣接する周波数帯のレベルより少なくとも5dB(A)高いレベルの周波数を呈する。
【0026】
図2を参照すると、簡略化された方法では、同期モータ6を備える可変速コンプレッサ2は、周波数インバータ3に電気的に関連付けられており、当該周波数インバータ3は、電気ネットワーク4および制御ブロック5に接続されている。
【0027】
コンプレッサ2の動作中、周波数インバータ3は、図3および図4に示すように、コンプレッサ2のモータ6に、直流8の中間源から、交流パルス9と同様に定義された周波数を有するスイッチ信号7を供給する役割を担っている。
【0028】
制御ブロック5は、コンプレッサ2のモータ6の回転数を制御する役割を担い、従来技術から広く使用されかつ公知のような制御システムとして機能する。
【0029】
通常、モータ6の電力供給信号9のスイッチング周波数は、図5に示すように、コンプレッサ2の最適性能を得るために、モータ6の調整段階の後に規定される。しかしながら、この基準により、モータ6に供給するために使用されるこのスイッチング周波数は、人間の可聴周波数範囲、すなわち20Hz~20kHzの間にあることになる。
【0030】
このように、本発明は、コンプレッサ2のモータ6の調整段階で発生するノイズに関する問題を解決するために、コンプレッサ2のモータ6の電力供給信号9のスイッチング周波数をモータの調整段階の間だけ変化させるシステムおよび方法を提供するものである。
【0031】
このシナリオでは、また、本発明の優先的な実施形態によれば、周波数インバータ3およびコンプレッサ2に関連付けられた制御ブロック5も、図6に示すように、少なくとも2つのスイッチング周波数(F1、F2)を確立するように構成される。
【0032】
制御ブロック5により確立された第1のスイッチング周波数F1は、モータ6の調整段階の間の電力供給信号9の周波数である。
【0033】
制御ブロック5によって確立される第2のスイッチング周波数F2は、モータ6の調整段階の後にコンプレッサ2のモータ6に供給する電力供給信号9の周波数となる。
【0034】
さらに、図6を参照すると、制御ブロック5は、周波数インバータ3が制御ブロック5によって確立された第1のスイッチング周波数F1を有する信号9を送らなければならない期間T1を確立するように構成されなければならない。この期間T1は、6の調整段階の時間(持続時間)に対応しており、したがって、モータ6の調整動作時間に対応している。この期間T1の直後に、制御ブロック5は、周波数の変化を周波数インバータ3に指示しなければならず、その結果、コンプレッサ2のモータ6は、制御ブロック5によって確立された第2のスイッチング周波数F2を有する信号9で供給される。
【0035】
しかしながら、上記の説明は、モータ6の調整段階がモータ6のいくつかの調整動作を含むことができるように、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。すなわち、モータ6の調整動作を複数回繰り返すことができる期間T1である。
【0036】
このような繰り返しは、前述したように、電力供給信号9によって生成される磁界に対するモータ6の機械的調整によって発生し得る。モータ6の機械的位置の決定は、モータ6の電気的調整と機械的調整の両方を達成することが望まれるので、上述したように、単一の調整動作を介して、ならびにいくつかの調整動作を介して、両方を達成することができる。
【0037】
換言すれば、モータ6の調整段階は、モータ6の電気的調整と機械的調整の両方を得ることを可能にするために、モータ6のいくつかの調整動作を含むことができる。
【0038】
本発明の優先的な実施形態によれば、第1のスイッチング周波数F1は、第2のスイッチング周波数F2よりも高くなければならない。好ましくは、第2のスイッチング周波数F2は、コンプレッサの最適な動作効率を得るために規定される。この意味で、かつ優先的にのみ、第2のスイッチング周波数F2は、20Hz~20kHzの値を有し、より好ましくは、5kHzの値を有する。
【0039】
図7を参照すると、人間の耳の聴力閾値を表すグラフが図示され、知覚される周波数に対して、最小必要強度をdBで示している。一般的に言えば、最大の聴覚感度は、2kHzと5kHzの周波数の間で生じるので、可聴周波数帯域の両端に関して進行することにつれて、感度の著しい損失がある。特に、12kHzの周波数の後、人間の耳の聴覚感度は著しく低下する。
【0040】
前述のように、第1のスイッチング周波数F1は、人間の耳にほとんど知覚(感知)されない、または全く知覚されないように、第2のスイッチング周波数F2よりも高くなければならない。このシナリオでは、なお図6を参照しても、第1のスイッチング周波数F1は20kHzより高くすることができる。
【0041】
しかしながら、図7に示すように、上述の情報によれば、人間の耳の感度は、12kHzを超える周波数で著しく低下する。このように、技術的に20kHzの第1のスイッチング周波数F1を確立することができない場合には、第1のスイッチング周波数F1を12kHzに確立することは本発明の目的を達成するのに十分で、すなわち、モータ6の調整段階時に発生するノイズを大幅に低減するのに十分である。
【0042】
したがって、優先的な実施形態では、第1のスイッチング周波数F1は、好ましくは12kHzよりも高くすべきである。最も好ましくは、第1のスイッチング周波数F1が20kHzよりも高くなければならない。
【0043】
上記に明らかにされた優先的な構成を仮定すると、第1のスイッチング周波数F1は、好ましくは周波数スペクトル(超音波)の非可聴領域に、またはより好ましくは図6に示される可聴閾値の定義に従って、人間の耳によってほとんど知覚できない領域に位置する(配置される)。したがって、コンプレッサ3のモータ2の電力供給信号9は、そのような第1のスイッチング周波数F1を有する場合、知覚可能な音量を有さないか、または少なくとも人間の耳には実質的に知覚不可能であることが理解される。
【0044】
この意味で、前述した優先的な実施形態によれば、制御ブロック5は、期間T1を確立するように構成されており、この期間T1の直後に、モータ6の電力供給信号9の周波数が変更される。このモーメントは、モータ6の調整段階の終了後、すなわちモータ6が回転を開始したとき、閉ループで動作する瞬間と理解されなければならない。
【0045】
換言すれば、期間T1は、モータ6に第1のスイッチング周波数F1を有する信号9が供給される時間の長さを示す。したがって、期間T1の直後、したがって、モータ6の調整段階の直後に、第2のスイッチング周波数F2を有する信号9が供給される。
【0046】
加えて、上述した優先的な実施形態と調和して、本発明は、同期モータ6を備える可変速コンプレッサ2を動作音響最適化する方法にも関し、コンプレッサ2は、周波数インバータ3および制御ブロック5と電気的に関連付けられており、この方法は、以下のステップを含むことを特徴とする:
(a)第1のスイッチング周波数を確立すること;
(b)第2のスイッチング周波数を確立すること;
(c)同期モータ6の調整動作の時間に対応する期間T1を確立すること;
(d)ステップ(a)で確立された第1のスイッチング周波数を有する信号(9)を、ステップ(c)で確立された期間の間、同期モータ(6)に供給すること;
(e)ステップ(c)で確立された期間T1の後に、ステップ(b)で確立された第2のスイッチング周波数F2を有する信号を同期モータに供給すること。
【0047】
これにより、制御ブロック5は、前述した情報と調和して、ステップ(a)、(b)および(c)を実行するように構成されており、一方、ステップ(d)および(e)は、設定された周波数切換F1、F2とともにコンプレッサ2のモータ6への電源供給を参照して、周波数コンバータ3によって実行される。
【0048】
加えて、ステップ(a)を参照すると、第1のスイッチング周波数F1が確立され、このような第1のスイッチング周波数F1は、好ましくは12kHzよりも高い値を有する。最も好ましくは、第1のスイッチング周波数F1が20kHzよりも高い値を有する。
【0049】
ステップ(b)を参照すると、第2のスイッチング周波数F2が確立され、当該第2のスイッチング周波数F2は、20Hz~20kHzの範囲の値を有する。好ましくは、第2のスイッチング周波数F2は、5kHzの値を有する。
【0050】
加えて、ステップ(c)を参照すると、モータ6の少なくとも調整動作に対応する確立された期間T1は、モータ6の複数の調整動作に対応することができる。
【0051】
最後に、前述の情報と調和して、本発明は、前述の音響最適化のためのシステムを備える冷却装置にも関する。
【0052】
有利なことに、本発明は、モータ6の調整段階中に可変速コンプレッサ2によって生成されるノイズを除去する手段を提供し、コンプレッサ2の性能または周波数インバータ3の熱管理を損なうことはない。これはモータ6の調整中に、モータ6の第1のスイッチング周波数F1が確立され、これは人間に聞こえない、またはほとんど知覚できない周波数の範囲内の値を有するからである。このような調整の後、第2のスイッチング周波数F2が使用され、第1のスイッチング周波数F1よりも低い値を有し、コンプレッサ2の最適な性能を得て、インバータ3の熱管理を確実にするために確立される。
【0053】
したがって、調整段階の間だけ、コンプレッサ2は、最適な性能を得るように確立されていない、指示されたスイッチング周波数で動作し、一過性の段階であるため、熱管理インバータ3に大きな影響を及ぼさない。第2のスイッチング周波数F2を有する信号9が、モータ6に電力を供給するコンプレッサ2の残りの動作中は、この第2の周波数F2を確立する際には、にコンプレッサ2の性能およびインバータ3の熱管理が優先されることになる。
【0054】
優先的な実施形態の記載された例を考慮すると、本発明の技術的範囲は、付の特許請求の技術的範囲よってのみ限定される、他の可能な変形を包含することが理解されるべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期モータ(6)を備える可変速コンプレッサ(2)、周波数インバータ(3)、および制御ブロック(5)を備えるシステムである、可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のための前記システムであって、
前記周波数インバータ(3)は、前記同期モータ(6)および電気ネットワーク(4)に電気的に接続されており、
前記制御ブロック(5)は、前記周波数インバータ(3)に電気的に接続され、前記可変速コンプレッサ(2)に含まれる前記同期モータ(6)の回転速度を制御するように構成され、
前記制御ブロック(5)は、前記同期モータ(6)に電力供給信号(9)を供給するために、前記周波数インバータ(3)の第1のスイッチング周波数(F1)および第2のスイッチング周波数(F2)を確立するようにさらに構成され、これにより、前記第1のスイッチング周波数(F1)が、周波数スペクトルのうち、人間の耳によってほとんど知覚できない領域、または非可聴領域に位置し、
前記制御ブロック(5)は、前記同期モータ(6)が前記第1のスイッチング周波数(F1)を有する前記周波数インバータ信号(3)によって給電される期間(T1)をさらに確立するように構成され、
前記期間(T1)は、前記モータ(6)の少なくとも1つの調整動作期間に対応し、
前記周波数インバータ(3)は、前記期間(T1)の間、モータ(6)に前記第1のスイッチング周波数(F1)を有する信号(9)を供給することにより、前記可変速コンプレッサ(2)を起動するように構成されており、
前記周波数インバータ(3)はさらに、前記期間(T1)の後に前記第2のスイッチング周波数(F2)を有する信号(9)を前記モータ(6)に供給するように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、20Hz~20kHzの範囲の値を有することを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項3】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、5kHzの値を有することを特徴とする、請求項2に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項4】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、12kHzより大きい値を有することを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項5】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、20kHzより大きい値を有することを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項6】
前記モータ(6)の調整段階は、期間(T1)を有する前記モータ(6)の少なくとも1つの調整動作を含むことを特徴とする、請求項1に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項7】
前記モータ(6)の調整段階は、前記モータ(6)の複数の調整動作を含むことを特徴とする、請求項に記載の可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のためのシステム。
【請求項8】
同期モータ(6)を備える可変速コンプレッサ(2)の動作音響最適化のための方法であって、前記コンプレッサ(2)は、周波数インバータ(3)および制御ブロック(5)と電気的に関連付けられ、前記方法は、
(a)第1のスイッチング周波数(F1)を確立するであって、これにより、前記第1のスイッチング周波数(F1)が、周波数スペクトルのうち、人間の耳ではほとんど知覚できない領域、または非可聴領域に位置する、ことと、
(b)第2のスイッチング周波数(F2)を確立することと、
(c)前記同期モータ(6)の少なくとも1つの調整動作の時間に対応する期間(T1)を確立することと、
(d)ステップ(a)で確立された前記第1のスイッチング周波数(F1)を有する信号(9)を、ステップ(c)で確立された前記期間(T1)の間、前記同期モータ(6)に供給することにより、前記可変速コンプレッサ(2)を起動することと、
(e)ステップ(c)で確立された前記期間(T1)の後、ステップ(b)で確立された前記第2のスイッチング周波数(F2)を有する信号(9)を前記同期モータ(6)に供給すること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
ステップ(a)、(b)および(c)は、前記制御ブロック(5)によって実行されることを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化のための方法。
【請求項10】
ステップ(d)および(e)は、前記周波数インバータ(3)によって実行されることを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化のための方法。
【請求項11】
ステップ(c)で確立された前記期間(T1)は、前記モータ(6)の複数の調整動作に対応することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化のための方法。
【請求項12】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、20kHzで20Hzの範囲の値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項13】
前記第2のスイッチング周波数(F2)は、5kHzの値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項14】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、12kHzよりも大きい値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項15】
前記第1のスイッチング周波数(F1)は、20kHzよりも大きい値を有することを特徴とする、請求項8に記載の可変速コンプレッサ(2)を備えるシステムの動作音響最適化方法。
【請求項16】
請求項1から7に記載のシステムを含むことを特徴とする冷却装置。
【国際調査報告】