(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】動物の皮膚または外皮のケア方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20220824BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575966
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020067990
(87)【国際公開番号】W WO2020260559
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513024281
【氏名又は名称】セヴァ サンテ アニマレ
【氏名又は名称原語表記】CEVA SANTE ANIMALE
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルジェ,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ゼミルライン,クロディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ,エロディ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC541
4C083AC542
4C083CC23
4C083DD08
4C083EE12
(57)【要約】
本発明は、リンスオフシャンプーの適用、続いて非リンスオフフォーム形態の組成物の少なくとも4回の連続した適用を含む、動物の皮膚または外皮をケアするための方法に関する。本発明はまた、特に、動物の皮膚または外皮をケアするため、より具体的には、動物のかゆみの軽減を助けるのに役立つ方法を実施することを目的とするキットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の皮膚または外皮をケアする方法であって、リンスオフシャンプーの前記皮膚への適用、続いて非リンスオフフォーム形態の組成物の前記皮膚または前記外皮への少なくとも4回の連続した適用を含む、方法。
【請求項2】
前記非リンスオフフォーム形態の組成物の各適用が、前の適用から少なくとも24時間、または好ましくは少なくとも48時間の間隔で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リンスオフシャンプーの最初の適用に続く前記連続したフォームの適用の各々が、前の適用の24時間~72時間後、好ましくは48時間~72時間後に実施されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記リンスオフシャンプーの適用、続いて前記非リンスオフフォーム形態の組成物の4、5、6、7または8回の連続した適用を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記リンスオフシャンプーの適用、続いて前記非リンスオフフォーム形態の組成物の8回の連続した適用を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記非リンスオフフォーム形態の組成物の前記少なくとも4回の連続した適用の後に、リンスオフシャンプーの適用からなる少なくとも1つの工程をさらに含み、前記シャンプー適用に続いて前記非リンスオフフォーム形態の組成物の連続した適用が可能であり、特に前記シャンプー適用に続いて前記非リンスオフフォーム形態の組成物の少なくとも4回の連続した適用が続き得ることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シャンプーおよび前記非リンスオフフォーム形態の前記組成物が、特に動物、特にペットのかゆみを軽減するように、前記動物の皮膚または外皮の処置またはケアの手助けを目的とする少なくとも1つの化合物を含む組成物であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が前記皮膚および/または前記外皮を清浄化または洗浄するため、前記動物の前記皮膚または前記外皮の健康を維持するため、皮膚バランスを維持するため、前記皮膚の水分補給を維持または改善するため、前記皮膚を鎮静させるため、または実際に、かゆみもしくは刺激の感覚を軽減するか、または鎮静させるための方法であることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のコンパートメントに、少なくとも1つのリンスオフシャンプーと、非リンスオフフォーム形態の少なくとも1つの組成物と、先行請求項のいずれか一項によって定義される前記方法を記載する説明書と、を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの皮膚または外皮をケアするための方法であって、リンスオフシャンプータイプの組成物の適用、続いて非リンスオフフォーム形態の組成物の少なくとも4回の連続した適用を含む方法に関する。本発明はまた、特に、前述の組成物をコンパートメントに含む、ペットの皮膚および/または外皮をケアするため、特にペットのかゆみを軽減することを助けるための方法を実施することを目的とするキットに関する。
【0002】
先行技術の提示
イヌおよびネコなどのペットは、頻繁に皮膚(skin)および外皮の問題、または皮膚(cutaneous)もしくは外皮の問題、例えば、乾燥肌、皮膚の剥離、掻痒症、かゆみ、皮膚炎、過度の抜け毛、および光沢のない外皮などを有する。皮膚かゆみの問題は、ごくわずかなかゆみまたは時々のかゆみから、非常に激しいかゆみまたはほぼ継続的なかゆみまで多様である。
【0003】
動物において、アトピー性皮膚炎は、複数の起源を有する慢性の炎症性でかゆみのある皮膚疾患である。この障害は、遺伝的素因と環境要因との間の複雑な相互作用から生じる。イヌまたはネコにおけるこの障害の最初の兆候は、一般に6ヵ月から3年の間に現れる。損傷は主に顔、四肢、しわの深部、および腹部に及ぶ。アトピー性皮膚炎の障害またはアレルギー性皮膚炎関連の掻痒型は、通常、シクロスポリン、コルチコイドまたはオクラシチニブなどの鎮痒薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、または免疫調節剤によって処置される。これらの処置は、概して、より良い、より迅速な結果を達成するために、または再発を予防もしくは遅延させるために、シャンプーによる処置などの支持的処置またはケア処置を伴う。
【0004】
しかしながら、一般的な方法では、シャンプーを使用するケアを伴う処置が動物の所有者によって行われることはほとんどないことが判明している。なぜなら、動物が長毛種である場合、または神経質な性質である場合、特に困難になり得るすすぎを必要とするシャンプーを所有者が行うのは、非実際的である。リンスオフシャンプーの繰り返しの適用も、特に、抗寄生虫剤の適用と皮膚ケアとの間のタイムラグを遵守しない場合、ダニおよびノミに対する局所処置の有効性を減少させ得る。
【0005】
したがって、これまでに知られているプロトコルよりも有効であるか、または実際にはより有効でありながら、容易に行える、ペットの皮膚または外皮をケアするためのプロトコルを開発する必要がある。
【0006】
本出願人は、ペットの皮膚または外皮のための組成物の適用のための特定のプロトコルを開発しており、これは、実施することが簡単である。なぜなら、前述のプロトコルの間にリンスオフシャンプーの単回適用のみ、前述のシャンプーの単回適用に続いてすすぎを必要としない組成物の適用で構成されているからである。このプロトコルは、特にかゆみを軽減するという点で、非常に満足のいく結果を得ることが可能になり、一方では所有者にとって処置を使用しやすく、より魅力的なものにし、したがって処置への指示順守度を向上させる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、リンスオフシャンプーの皮膚への適用、続いて非リンスオフフォーム形態の組成物の皮膚または外皮への少なくとも4回の連続した適用を含む、動物の皮膚または外皮のケアのための方法に関する。
特に、方法は、リンスオフシャンプーの適用、続いて非リンスオフフォーム形態の組成物の5、6、7、または8回の連続した適用を含む。いくつかの実施形態では、非リンスオフフォーム形態のシャンプーおよび組成物は、動物、特にイヌまたはネコなどのペットのかゆみを軽減することを目的とする少なくとも1つの化合物を含む組成物である。
【0008】
本発明はまた、1つ以上のコンパートメントに、少なくとも1つのリンスオフシャンプーと、非リンスオフフォーム形態の少なくとも1つの組成物と、任意選択で、本発明で定義される非リンスオフフォーム形態の前述のシャンプーと組成物とを使用するための方法を述べる説明書と、を含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1で実施された「対照」プロトコル(A)および本発明によるプロトコル(B)を示す。
【
図2】実施例の研究(A)および(B)の結果を示す(平均CADESIスコア)。A)2つの試験の平均CADESIスコア。-CADESI-04 0日目に対する変化の%-95%での平均信頼区間(CI))。破線(---)で表される横線は、重症度を区切る値(寛解/平均的/中程度)に対応している。点線(....)で表される曲線は、(A)群の曲線である。実線(_)で表される曲線は(B)群の曲線である。B)実施例の研究の2つの群(A)および(B)のCADESIスコアを、パーセンテージ変化((x日目-0日目/0日目)×100)の形態で示す。破線(---)で表される横線は、40%の閾値スコアに対応している。点線(....)で表される曲線は、(A)群の曲線である。実線(_)による曲線は(B)群の曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、本発明は、動物、特にペットの皮膚または外皮をケアするための方法に関し、動物の皮膚または外皮へのリンスオフシャンプーの適用、続いて前述の動物の皮膚または外皮への非リンスオフフォーム形態の組成物の少なくとも4回の連続した適用を含む。
【0011】
本発明により、動物の皮膚または外皮に適用される本方法は、皮膚もしくは外皮の問題、特にアトピー性皮膚炎または掻痒症または脂漏型の障害を有する動物の処置の前、処置中または処置後に実施され得る。したがって、本発明の方法は、治療的処置のための付随的または支持的処置、特に、鎮痒性剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、または免疫調節剤、例えば、コルチコイド、シクロスポリン、もしくはオクラシチニブを使用する処置であり得る。したがって、本発明の方法により処置される動物は、以前にアトピーと診断されていてもよい。アトピー性皮膚炎の臨床的証拠の寛解期間を有する可能性がある。それらは、アトピー状態のための処置を受けていてもよく、特に、鎮痒薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、または免疫調節剤を使用して処置されていてもよい。
【0012】
本発明による方法は、場合によっては治療的処置とは非依存的に、特に全身的に、または特に注射もしくは経口によって、特に、鎮痒薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、または免疫調節剤を使用して、かゆみを示しているか、またはかゆみを示してきた動物に対して実施することができる。動物のかゆみは、非常にわずかもしくは散発的に、わずかもしくはやや頻繁に、中程度もしくは規則的な間隔で存在する、重症もしくは長期間にわたって存在する、または極めて重症もしくはほぼ継続的に存在することがあり得る。
【0013】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、動物(または非ヒト哺乳動物とも称される)、特にイヌまたはネコなどのペットのかゆみを軽減することを可能にする。
【0014】
特定の実施形態によれば、本発明による方法は、(第1の適用に続いて)各適用が、前の適用から少なくとも24時間、または好ましくは少なくとも48時間の間隔で実施されることを特徴とする。この方法は、好ましくは、リンスオフシャンプーの最初の適用に続いて連続したフォーム適用の各々が、前の適用から24時間~72時間後に行われるように実施される。さらにより好ましくは、リンスオフシャンプーの最初の適用に続いて連続したフォーム適用の各々が、前の適用から36時間~72時間後、特に48時間~72時間後に実施される。したがって、非リンスオフフォームの各適用間の時間間隔は、24時間~72時間、特に36時間~72時間、より具体的には48時間(2日間)~72時間(3日間)で変化し得る。特に
図1に記載のプロトコルであり得る。
【0015】
したがって、より具体的には、本発明による方法は、以下の工程を含む:シャンプーの適用(1日目)、シャンプー(1日目)から48時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(3日目)、続いて3日目から72時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(6日目)、続いて6日目から48時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(8日目)、続いて8日目から48時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(10日目)、続いて10日目から72時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(13日目)、続いて13日目から48時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(15日目)、続いて15日目から48時間後に実施される非リンスオフフォーム形態での組成物の適用(17日目)、続いて17日目から72時間後に実施される非リンスオフフォームの形態での組成物の適用(20日目)。
【0016】
好ましい実施形態によれば、本方法は、リンスオフシャンプーの適用、続いて非リンスオフフォーム形態の組成物の4、5、6、7、または好ましくは8回の連続した適用を含む。したがって、より具体的には、本発明による非リンスオフフォームの4、5、6、7、または好ましくは8回の連続した適用は、シャンプーの適用によって中断されない。
【0017】
本発明による方法は、約18~21日間に及び得る。必要に応じて、1回、2回、もしくは3回、または実際にはより多く繰り返すことができる。
【0018】
したがって、特定の実施形態によれば、本方法は、前述の少なくとも4、5、6、7、または8回の連続した非リンスオフフォーム形態の組成物の適用後、上記のように、リンスオフシャンプーの適用からなる少なくとも1つの工程をさらに含み、前述のシャンプーの適用の後に、非リンスオフフォーム形態の組成物の連続した適用が続いてもよく、特に、前述のシャンプーの適用の後に、本発明に記載の非リンスオフフォーム形態の組成物の少なくとも4回の連続した適用が続いてもよい。より具体的な実施形態によれば、前述の追加の工程は、数回、特に1回、2回、または3回繰り返すことができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「シャンプー」という用語は、非ヒト哺乳動物の毛から皮膚を清浄化することを目的とする任意の組成物を含み、動物への適用後に水ですすぐことを必要とする。一般に、シャンプーは特定の本質的な特徴を有する。もちろん、本発明で使用されるシャンプーは、十分に耐容性があり、非ヒト哺乳動物の場合の局所適用を目的とする組成物でなければならない。シャンプーは、外皮または皮膚を確実に十分に清浄化するために、湿気、発泡、および洗剤の特性を有する。一般的な方法では、本発明のシャンプー組成物は、界面活性剤、好ましくは少なくとも1つのアニオン性、カチオン性、両性、もしくは極性非イオン性界面活性剤、または実際にはそれらの混合物を含有する。
【0020】
アニオン性界面活性剤としては、特に、アルキル硫酸塩(マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムなど)、アルキルエーテル硫酸塩(ラウリルエーテル硫酸塩など)、アルキルポリエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩(8~18個の炭素原子を有するアルキル基)、脂肪酸石鹸、脂肪アルコールのモノスルホコハク酸塩、脂肪酸とメチルタウリンとの縮合生成物、脂肪酸とサルコシンとの縮合生成物、および脂肪酸とタンパク質加水分解物との縮合生成物が挙げられる。
【0021】
カチオン性界面活性剤としては、特に、長鎖四級アンモニウム化合物、脂肪酸エステルおよびアミノ酸エステル、ならびにポリエーテルアミンが挙げられる。
【0022】
極性非イオン性界面活性剤としては、特に、ポリオールエステルおよび糖のエステル、エチレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、脂肪アルコールとの縮合生成物、長鎖アルキルフェノールとの縮合生成物、長鎖メルカプタンとの縮合生成物、および長鎖アミドとの縮合生成物、ならびにポリヒドロキシル脂肪酸のポリエーテルが挙げられる。
【0023】
両性界面活性剤としては、特に、アスパラギン誘導体などのアミノ酸の誘導体、イミダゾリンおよびアルキルアミンプロピオネートとのモノクロロ酢酸の縮合生成物、より具体的には、ベタインまたはイミダゾリンの誘導体が挙げられる。
【0024】
シャンプー組成物において、界面活性剤組成物は、組成物の総重量に対して5~50重量%であることが好ましい。本発明によるシャンプーはまた、粘度増加剤、特にアクリレート/メタクリレートのコポリマー、油、ワックス、植物抽出物、軟化剤、カルボマー、ガム、特にキサンタンガム、ポリエチレングリコール、シクロメチコン、コンディショナー、防腐剤、例えば、パラヒドロキシ安息香酸メチルまたはパラヒドロキシ安息香酸プロピル、着色剤、香料、またはそれらの混合物など、そのような組成物で従来使用されてきた他の成分を含有することができる。
【0025】
したがって、非リンスオフフォームは、非すすぎ適用に好適であり、すなわち、組成物は、適用後に、すすぎ、特に水ですすぐことによって除去されない。非リンスオフフォームは、一般に、組成物の総重量に対して、少ない界面活性剤組成物、一般に1~10重量%、好ましくは2~4重量%を含む。
【0026】
本発明で使用される非リンスオフフォームは、もちろん、十分な耐容性を有し、非ヒト哺乳動物の場合における局所適用を目的とする組成物でなければならない。
【0027】
本発明で使用可能な非リンスオフフォームは、異なるタイプであってもよい。特に次のようであり得る。
-エアゾールであって、プロペラントガス、エアゾールまたはスプレーと称されるフォームによってフォームが生成されるエアゾール、
-特定の製造方法を介して生成物に気泡が導入されるオーバーランクリーム、
-発泡性界面活性剤が少ないが、機械式フォームジェネレータシステム(Pulvorex型の格子付きポンプ)を備えたパッケージにパックされたフォーミング処方。
【0028】
非リンスオフフォームは、好ましくはエアゾールまたはスプレーと称されるフォームである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「非ヒト哺乳動物」または「動物」とは、ヒトを除くすべての哺乳動物を含む。非ヒト哺乳動物は、好ましくはペットであり、非限定的に、特にイヌ、ネコ、ウサギ、フェレット、およびハムスターなどの家畜を含む。本発明のより好ましい実施形態では、非ヒト哺乳動物はネコであり、好ましくはイヌである。
【0030】
本発明により使用されるシャンプー組成物および/または非リンスオフフォーム組成物は、皮膚および/または外皮の清浄化または洗浄を目的とする。これらの組成物は、特に、皮膚バランスを維持することによって、皮膚の水分補給を維持または改善することによって、皮膚を鎮静させることによって、または実際にはかゆみもしくは刺激の感覚を軽減または鎮静させることによって、動物の皮膚または外皮の健康を維持するために使用され得る。したがって、特に、本発明による、動物の皮膚または外皮をケアするための方法は、皮膚および/または外皮を清浄化または洗浄するため、動物の皮膚または外皮の健康を維持するため、皮膚バランスを維持するため、皮膚の水分補給を維持もしくは改善させるため、皮膚を鎮静させるため、または実際にはかゆみもしくは刺激の感覚を軽減もしくは鎮静するための方法である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明により使用されるシャンプー組成物および/または非リンスオフフォーム組成物は、動物の皮膚または外皮の処置またはケアを目的とする少なくとも1つの化合物をさらに含む。化合物は、特に、水分補給または再構築特性を有する少なくとも1つの化合物、皮膚のバリア効果の改善またはそのバリア効果の回復を目的とする、またはフケもしくは過剰な皮脂の除去もしくは軽減を目的とする、または実際にはペットのかゆみの軽減もしくは皮膚炎の軽減の手助けを目的とする化合物であってもよい。本発明により使用されるシャンプー組成物および/または非リンスオフフォーム組成物は、活性化合物として、抗菌剤(細菌、酵母または真菌の拡散を制限する化合物)、または消毒剤、例えばクロルヘキシジンを含み得る。
【0032】
動物の皮膚または外皮の処置またはケアの手助けを目的とした化合物は、例えば、スフィンゴイド塩基を有するタイプの化合物、または実際には植物抽出物化合物であってもよい。
【0033】
特に、本発明による方法の組成物中に存在する活性化合物、すなわち、シャンプーおよび非リンスオフフォーム組成物は、同一であるか、または異なり、好ましくは、それらは同一である。
【0034】
本発明のシャンプー組成物および/または非リンスオフフォーム組成物において、皮膚または外皮の処置またはケアの手助けを目的とする活性化合物の組成物は、組成物の総重量に対して0.001~30重量%であることが好ましい。最も好ましい濃度は、0.005~20重量%、0.01~10重量%、0.02~5重量%、または0.05~3重量%で変化し得る。
【0035】
動物性アトピー性皮膚炎の異なる要因に作用することができる植物から得られる化合物は、特に、動物のかゆみの軽減を助けるのに好適である。特に、特許出願第WO2017/121965号に特に記載されているように、Ophiopogon japonicusから得られる化合物である。前述の化合物は、アトピー性動物のケアに伴う処置において、動物の皮膚または外皮への局所適用による使用に特に好適である。これは、アトピー性皮膚で使用することができ、特に、再発率を減少または遅延させるのを助け、動物におけるアトピー性皮膚炎の重症度スコア(CADESIスコア)を低下させ、かゆみもしくは掻痒の強度および/または頻度を低下させ、より一般的には、動物および/またはその所有者の生活の質を改善するために使用することができる。
【0036】
本発明の意味において、「Ophiopogon japonicusから得られる活性化合物」とは、Ophiopogon japonicusから得られる任意の分子または分子の混合物を意味する。それらは、植物の天然分子、または植物の天然分子の任意の種類の形質転換によって、例えば加水分解によって得られる分子であり得る。本発明による活性化合物は、好ましくは加水分解物である。
【0037】
「加水分解物」とは、Ophiopogon japonicusの酵素または化学加水分解の少なくとも1つの工程、好ましくは、酵素加水分解の少なくとも1つの工程を含む方法によって得られる、Ophiopogon japonicusに由来する任意の抽出物を意味する。「Ophiopogon japonicus」とは、植物のすべてまたは一部を意味する。それは、植物全体、または植物の一部であり得る。Ophiopogon japonicusの塊茎であることが好ましい。
【0038】
Ophiopogon japonicusは、根茎を有する、ユリ科の多年生、低木で豊富な草本種である。
【0039】
スフィンゴイド塩基は、好ましくは、スフィンゴシン、スフィンガニンおよびフィトスフィンゴシンからなる群から選択される。フィトスフィンゴシンが最も特に好ましい。
【0040】
スフィンゴイド塩基の誘導体の好適な例としては、N-ラクチロイル-フィトスフィンゴシン、N-サリシロイル-フィトスフィンゴシンまたはN-レチノイルフィトスフィンゴシン、すなわち、N-置換された化合物が挙げられる。
【0041】
スフィンゴイド塩基の誘導体の他の好適な例としては、スフィンゴイド塩基の塩が挙げられる。塩のアニオンは、任意の好適な酸、すなわち、好適な固体中でスフィンゴイド塩基と混合した後に、水への溶解度が向上した塩を生成する酸に由来し得る。外皮または皮膚に適用するときにそれ自体が効果的である酸が好ましい。本発明の組成物に使用されるスフィンゴイド塩基の好ましい塩は、好適な溶媒中で上述のスフィンゴイド塩基と混合したときに、スフィンゴイド塩基自体の水への溶解度に関して水溶性が増加した塩を生成する酸を使用して得ることができる塩である。フィトスフィンゴシンの塩は、溶解度の向上およびバイオアベイラビリティの向上のために好ましい。
【0042】
好ましい実施形態では、酸は、スフィンゴイド塩基塩を獣医組成物の水相に送達することができる親水性酸である。好適な親水性酸としては、α-ヒドロキシアルカン酸、3-ヒドロキシアルカン酸、α、p-ジヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、または鉱物酸が挙げられる。好ましい親水性有機酸の例は、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、および/またはピログルタミン酸であり、好ましい鉱物酸の例は、塩酸、硝酸、および/またはリン酸である。
【0043】
別の好ましい実施形態では、酸は、スフィンゴイド塩基塩における親油性酸およびスフィンゴイド塩基の有効性を増加させることを可能にするための、親油性有機酸である。
【0044】
本発明による方法は、上で引用した工程に加えて、1つ以上の工程、例えば、前または後の工程を含み得ることは言うまでもない。本発明による方法の連続する工程の繰り返しも想定し得る。したがって、
図1(B)に示されるプロトコルは、適切と思われる場合、中断期間を必要とせずに、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0045】
本発明はさらに、1つ以上のコンパートメントに、少なくとも1つのリンスオフシャンプーおよび非リンスオフフォーム形態の少なくとも1つの組成物、ならびに任意選択で、本発明で定義される前述のシャンプーおよび組成物を使用するための方法を記載する説明書を含むキットに関する。リンスオフフォーム形態の組成物は、1つだけのコンパートメントまたは複数のコンパートメントに存在してもよい。後者の場合、各コンパートメントは好ましくは、少なくとも4回の連続した適用の各々に対応する非リンスオフフォーム形態の組成物を含む。したがって、キットは、少なくとも4つのコンパートメントを含み、各コンパートメントは、非リンスオフフォーム形態の組成物を含み、別のコンパートメントは、リンスオフシャンプーを含む。
【0046】
本発明は、例示的かつ非限定的である以下の実施例からよりよく理解されるであろう。
【0047】
実施例1:従来のプロトコルと比較した本発明によるイヌの処置
この研究の目的は、イヌにおけるアトピー性皮膚炎の再発中、製品のシリーズ(Ceva Sante Animale社によって販売されているDouxo Calm(登録商標))から、フィトスフィンゴシンを含むシャンプーとフォームとの関連性の有効性を評価することであった。これらの試験を実施するために、以前にアトピー性と診断され、併用処置(オクラシチニブまたはシクロスポリン)を受け、アトピー性皮膚炎の臨床的再発を示す各研究の6~9匹のイヌを3週間処置した。
【0048】
試験(A)(対照)については、処置は、1日目、8日目および15日目にシャンプーの適用、ならびに1日目、8日目および15日目のシャンプー適用の間で非リンスオフフォームの週2回の適用で構成された(
図1(A))。
【0049】
(本発明による)研究(B)については、処置は、1日目のシャンプーの単回適用、続いて21日間、2~3日(48~72時間)ごとにフォームの適用で構成された。
【0050】
これらの研究の有効性を評価するために、CADESI-04重症度スコア(Vet Dermatol.2014,Apr;25(2):77-85,e25.doi:10.1111/vde.12107.Epub 2014 Jan.25)および掻痒の視覚的アナログスケールを分析し、毎週記録した。所定の時点で得られた値を、0日目(最初のシャンプーの適用(1日目)の1日前)の開始状況と比較した。
【0051】
21日間の処置後、試験(A)において、処置されたイヌの3/5(60%)は、CADESIスコアにおいて40%の減少を示し、一方、試験(B)のイヌの6/7(85%)が、同じ減少を示した。
【0052】
これらの研究はまた、2つの研究で使用したDouxo Calm(登録商標)シャンプーおよびフォームの有効性を、研究中に変化しなかった長期免疫調節剤処置と並行して示す。2つの群(A)および(B)について、CADESIスコアは、処置の21日後に顕著な減少を示し、(B)群については、(A)群よりも顕著な改善を示した。
【0053】
図2Aは、研究(A)および(B)の各々についてのCADESIスコアの平均変化を示す。2つの研究において、処置中にCADESIスコアの減少が観察された(
図2A)。21日間の処置後、平均減少パーセンテージは、(A)群では-40%の提供された閾値に近く、(B)群では-40%の閾値未満であり、これは、一般に、21日間の処置後に、CADESIが平均して40%未満減少したことを意味する(
図2B)。21日目に、CADESI変動の平均パーセンテージは、(A)群では-39.8±23.1%、(B)群では-75.6±19.0%である。
【0054】
主要な基準は、0日目と21日目との間のCADESI減少パーセンテージに基づいていた。したがって、得られた最も高いパーセンテージを、試験した群を区別する主要な基準として使用することができる。異なるパーセンテージを試験した(表1参照)。表1は、特定のCADESI減少パーセンテージに到達したイヌの数に関する情報を提供する。閾値50%は、2つのプロトコル間で観察された差異レベルに対応し、実際には、(A)群では1匹のイヌのみがこの閾値に達し、一方、(B)群では7匹のイヌのうち6匹が閾値に達した。
【表1】
【国際調査報告】