(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体及び支持要素のアセンブリーを作成する方法
(51)【国際特許分類】
G04B 13/02 20060101AFI20220824BHJP
G04B 35/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G04B13/02 Z
G04B35/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576313
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2020070555
(87)【国際公開番号】W WO2021032388
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス-ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マレ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーシェ,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】キュザン, エム・ピエール
(57)【要約】
本発明は、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体(120)及び支持要素(3)のアセンブリー(130)を作成する方法に関し、弾性保持メンバーは、電気的絶縁材料によって作られており、支持要素(3)は、導電性材料によって作られている。この方法は、支持要素(3)に対する弾性保持メンバー(1)の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)を受けるための少なくとも1つの受容領域(7a、7b)を形成するように意図された、支持要素(3)に集合体(120)を取り付ける取り付けステップ(20)と、及び受容領域(7a、7b)の少なくとも1つ上に少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)をガルバニック金属成長によって作成する作成ステップとを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体(120)及び支持要素(3)のアセンブリー(130)を作成する方法であって、
前記弾性保持メンバーは、電気的絶縁材料によって作られており、
前記支持要素(3)は、導電性材料によって作られており、
前記方法は、
前記支持要素(3)に対する前記弾性保持メンバー(1)の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)を受けるための少なくとも1つの受容領域(7a、7b)の境界を前記支持要素(3)の周壁上にて形成するように、前記支持要素(3)に前記集合体(120)を取り付ける取り付けステップ(20)と、及び
前記受容領域(7a、7b)の少なくとも1つ上に少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)をガルバニック金属成長によって作成する作成ステップとを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記取り付けステップ(20)は、前記集合体(120)の前記弾性保持メンバー(1)内に、前記弾性保持メンバー(1)において前記支持要素(3)の運動をブロックするように保持せずに、前記支持要素(3)を挿入する挿入サブステップ(21)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記挿入サブステップ(21)は、前記弾性保持メンバー(1)と前記支持要素(3)の間に接触界面(8)を作ることを意図して、前記弾性保持メンバー(1)において前記支持要素(3)を弾性的に締め付ける締め付け段階(23)を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記作成ステップ(24)は、前記支持要素(3)の取り付け領域(12)において前記少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)を受けるための前記少なくとも1つの受容領域(7a、7b)の位置を判断する判断サブステップ(25)を含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記判断サブステップ(25)は、接触界面(8)の境界を形成する境界形成領域(10)を識別する識別段階(26)を含む
ことを特徴とする請求項3に従属する場合の請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記作成ステップ(24)は、識別された少なくとも1つの境界形成領域(10)を含む前記支持要素(3)の前記取り付け領域(12)に位置する少なくとも1つの受容領域(7a、7b)において前記少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)をガルバニック金属成長によって構築する構築サブステップ(25)を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記構築サブステップ(27)は、2つの接触界面(8)の境界を形成し対向するように配置される識別された境界形成領域を含む前記支持要素(3)の前記取り付け領域(12)に位置する少なくとも1つの受容領域(7a)において前記少なくとも1つのブロック要素(11a)をガルバニック金属成長によって構築する段階(28)を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構築サブステップ(27)は、前記支持要素(3)の2つの端のうちの一端に対向するように配置される、少なくとも1つの接触界面(8)の境界を形成するための識別された少なくとも1つの境界形成領域(10)を含む、前記支持要素(3)の前記取り付け領域(12)に位置する少なくとも1つの受容領域(7b)において前記少なくとも1つのブロック要素(11b)をガルバニック金属成長によって形成する段階(29)を含む
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
計時器(100)用ムーブメント(110)のためのアセンブリー(130)であって、
前記アセンブリー(130)は、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体(120)と、及び支持要素(3)とを備え、
前記弾性保持メンバー(1)は、電気的絶縁材料によって作られており、
前記支持要素(3)は、導電性材料によって作られており、
前記集合体(120)は、前記支持要素(3)の少なくとも1つの受容領域(7a、7b)上にある少なくとも1つのブロック要素(11a、11b)を介して前記支持要素(3)と連結されている
ことを特徴とするアセンブリー(130)。
【請求項10】
請求項9に記載のアセンブリー(130)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(110)。
【請求項11】
請求項10に記載の計時器用ムーブメント(110)を備える
ことを特徴とする計時器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体及び支持要素のアセンブリーを作成する方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、このようなアセンブリー及びこのような弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体に関する。
【0003】
最後に、本発明は、このようなアセンブリーを備える計時器用ムーブメント、及びこのようなムーブメントを備える計時器に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術において、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体及び支持要素のアセンブリーを作成する方法が知られており、例えば、前記弾性保持メンバーはコレットで、前記支持要素はバランスシャフトであることができる。伝統的に、これらの方法において、この集合体及び支持要素によって形成されるこれらの2つの部品の取り付けは、よく知られた嵌め込み技術によって行われる。
【0005】
しかし、このようなアセンブリーの製造において塑性変形性がない新規ないわゆる「脆弱な」材料を用いることによって、新規な取り付け技術の実装が必要となった。なぜなら、前記新規な材料から製造される部品が壊れやすいために嵌め込みに用いることができないからである。
【0006】
このような新規な材料によって作られるアセンブリーの作成に、より適合する他の方法も知られている。このような方法は、一般的に、このようなアセンブリーを保持メンバーを介して支持要素に取り付ける操作中に、軸方向、半径方向かつ回転方向に、支持要素に対する保持メンバーの運動をブロック/締め付け固定するステップを含む。
【0007】
しかし、このような方法の大きな課題として、支持要素に対する保持メンバーの運動をブロックするステップを行うために多くの複雑な操作を必要とすることに関連するものがある。この複雑な操作としては、例えば、保持メンバーと支持要素の接触面を互いに接着する操作、接着剤を乾燥させているときに支持要素に対する保持メンバーの位置を保持する操作がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、既存の方法に代わる方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体及び支持要素のアセンブリーを作成する方法に関し、前記弾性保持メンバーは、電気的絶縁材料によって作られており、前記支持要素は、導電性材料によって作られており、前記方法は、前記支持要素に対する前記弾性保持メンバーの運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素を受けるための少なくとも1つの受容領域の境界を前記支持要素の周壁上にて形成するように、前記支持要素に前記集合体を取り付ける取り付けステップと、及び前記受容領域の少なくとも1つ上に少なくとも1つのブロック要素をガルバニック金属成長によって作成する作成ステップとを含む。
【0010】
このような特徴によって、特に工業プロセスにおける実装が容易な、前記アセンブリーを作成する方法を提案することができる。これは、支持要素に保持メンバーを取り付ける操作の単純化のおかげであり、この操作においては、支持要素の軸の座に対して前記保持メンバーを特定の方法で配置することを必要としない。
【0011】
他の実施形態においては、以下の特徴がある。
- 前記取り付けステップは、前記集合体の前記弾性保持メンバー内に、前記弾性保持メンバー(1)において前記支持要素(3)の運動をブロックするように保持せずに、前記支持要素を挿入する挿入サブステップを含む。
- 前記挿入サブステップは、前記弾性保持メンバーと前記支持要素の間に接触界面を作ることを意図して、前記弾性保持メンバーにおいて前記支持要素を弾性的に締め付ける締め付け段階を含む。
- 前記作成ステップは、前記支持要素の取り付け領域において前記少なくとも1つのブロック要素を受けるための前記少なくとも1つの受容領域の位置を判断する判断サブステップを含む。
- 前記判断サブステップは、接触界面の境界を形成する境界形成領域を識別する識別段階を含む。
- 前記作成ステップは、識別された少なくとも1つの境界形成領域を含む前記支持要素の前記取り付け領域に位置する少なくとも1つの受容領域において前記少なくとも1つのブロック要素をガルバニック金属成長によって構築する構築サブステップを含む。
- 前記構築サブステップは、2つの接触界面の境界を形成し対向するように配置される識別された境界形成領域を含む前記支持要素の前記取り付け領域に位置する少なくとも1つの受容領域において前記少なくとも1つのブロック要素をガルバニック金属成長によって構築する段階を含む。
- 前記構築サブステップは、前記支持要素の2つの端のうちの一端に対向するように配置される、少なくとも1つの接触界面の境界を形成するための識別された少なくとも1つの境界形成領域を含む、前記支持要素の前記取り付け領域に位置する少なくとも1つの受容領域において前記少なくとも1つのブロック要素をガルバニック金属成長によって形成する段階を含む。
【0012】
本発明は、さらに、計時器用ムーブメントのためのアセンブリーに関し、前記アセンブリーは、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体と、及び支持要素とを備え、前記弾性保持メンバーは、電気的絶縁材料によって作られており、前記支持要素は、導電性材料によって作られており、前記集合体(120)は、前記支持要素の少なくとも1つの受容領域上にある少なくとも1つのブロック要素を介して前記支持要素と連結されている。
【0013】
本発明は、さらに、このようなアセンブリーを少なくとも1つ備える計時器用ムーブメントに関する。
【0014】
本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメントを備える計時器に関する。
【0015】
以下、例として与えられる添付の図面を用いて本発明について詳細に説明する。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る、支持要素に連結された、弾性保持メンバーと計時器コンポーネントの集合体を備えるアセンブリーの断面図である。この集合体は、前記弾性保持メンバーと一体的な歯車を形成している。
【
図2】本発明の実施形態に係る、支持要素に連結された、弾性保持メンバーと計時器コンポーネントの集合体を備えるアセンブリーの断面図であり、この集合体は、前記弾性保持メンバーと一体的な車を形成している。
【
図3】本発明の一実施形態に係る、支持要素に対する保持メンバーの運動をブロックするためのブロック要素がある、
図1及び2に示しているアセンブリーの部分Aの拡大図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、前記ブロック要素がない、
図1及び2に示しているアセンブリーの同じ部分Aの図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る、支持要素に連結された、弾性保持メンバーと計時器コンポーネントの集合体を備えるアセンブリーの断面図であり、前記弾性保持メンバーはコレットであり、前記計時器用コンポーネントはバランスばねである。
【
図6】本発明の実施形態に係る、支持要素に連結された、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体を備えるアセンブリーを備える計時器の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、前記アセンブリーを作成する方法に関連するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~5は、少なくとも1つのブロック要素11a、11bを介して支持要素3に連結された、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体を備えるアセンブリー130の一実施形態を示しており、前記ブロック要素11a、11bは、前記弾性保持メンバー1に対する支持要素3の運動を半径方向、軸方向及び/又は回転方向にブロック/ロックするように設けられる。なお、これに関連して、前記弾性保持メンバーには、アセンブリーのセンタリングを確実にするという唯一の機能がある。このようなブロック要素11a、11bは、ガルバニック金属成長によって、支持要素3の少なくとも1つの受容領域7a、7b上に構築される。したがって、このブロック要素11a、11bは、この受容領域7a、7b上におけるガルバニック金属堆積又は金属成長によって得られる支持要素3の端の周壁に存在する金属材料の生成物であることがわかる。したがって、アセンブリー130は、
図6に示しているように計時器100の計時器用ムーブメント110内に配置される、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体120を備え、また、前記集合体120は、支持要素3に取り付けられるようにされる。この集合体120は、計時器用コンポーネント2を支持要素3に締め付け固定するための弾性保持メンバー1を備える。例として、弾性保持メンバー1は、バランスばねや車のような計時器用コンポーネント2をシャフトのような支持要素3に締め付け固定することを確実にすることができるリング、コレット又は任意の部品であることができる。この弾性保持メンバー1は、電気的絶縁材料によって作られており、これは、いわゆる「脆弱な」材料、好ましくは、微細加工可能な材料であることができる。このような材料は、水晶、コランダム、セラミックス、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、金属性ガラス、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料又は類似の材料を含むことができる。この構成において、集合体120は、一体的な部品であることができ、弾性保持メンバー1の材料と同様の「脆弱な」材料によって作ることができる。なお、この集合体120の1つの変異形態において、弾性保持メンバー1のみが、このようないわゆる「脆弱な」材料によって作られ、計時器用コンポーネント2が、電気的絶縁性である又はそうではない別の材料で製造されるようにすることができる。
【0018】
なお、ここでのアセンブリー130は、携行型時計製造の分野におけるアプリケーションのために考えられたものである。しかし、このアセンブリー130は、航空技術、宝飾品、自動車のような他の分野においても完全に実装することができる。
【0019】
このアセンブリー130において、弾性保持メンバー1には、上面と下面があり、これらはそれぞれ、好ましくは、平坦であり、第1平面P1と第2の平面P2内に含まれる。また、この弾性保持メンバー1は、上面から下面までにわたる厚みを有する。この弾性保持メンバー1において、内面6は、自由端がある少なくとも3つの弾性アーム4が配置される空間5を形成することに寄与する。実際に、これらの弾性アーム4にはそれぞれ、2つの端があり、その第1の端は弾性保持メンバー1の内面6に接続し、第2の端は自由端である。この自由端には、支持要素3の取り付け領域12の対応する接触部分9と連係するように構成/適合している形を有する接触面がある。本実施形態において、例として、断面が円形である支持要素3の部分にこの取り付け領域12が設けられる場合、アームの接触面は、例えばここでは曲がった接触面であることによって、この部分の形の輪郭に沿うことができる整合性のある形を有する。この支持要素3には、弾性保持メンバー1にある弾性アーム4の数と少なくとも同じ数の接触部分9がある。これらのアーム4の自由端どうしは一緒に開口を形成し、この開口内に前記支持要素3が挿入されることとなる。この構成において、これらのアーム4の自由端の接触面は、この開口の内壁を形成する。この開口の断面は、開口内に配置される支持要素3の端にある取り付け領域12の断面よりも小さい。
【0020】
なお、このアセンブリー130において、各アーム4は、自由端が開口の中心軸Dに最も近いアーム4の部分を形成するような本質的に曲がった形又はまっすぐな形を有する。これらの弾性アーム4のそれぞれは、この開口の中心軸Dに対して偏心的に変形することができる。すなわち、これらのアーム4のそれぞれは、下で説明するように支持要素3に起因する応力が与えられると、変形して基本位置から応力発生位置へと移行することができる。これに関連して、この基本位置から応力発生位置へと移行することによって、このアーム4の全部又は一部が、中心軸Dに対して偏心的に、弾性保持メンバー1の内面6の方へと動く。このようなアーム4は、前記開口の中心軸Dに対して偏心的に変形するように構成していることによって、最小限の調整で開口内における支持要素3の弾性締め付けを確実にすることに貢献する。
【0021】
このアセンブリー130において、支持要素3は、導電性材料によって作られている。この支持要素3には、弾性保持メンバー1のアーム4と連係するように意図された接触部分9がある取り付け領域12と、弾性保持メンバー1に対するこの支持要素3の半径方向、軸方向及び/又は回転方向の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素11a、11bを受けることができる少なくとも1つの受容領域7a、7bがある。この支持要素3の断面は、好ましくは円形であるが、1つの変異形態において、この断面は、正多角形であることができ、例えば、少なくとも3つの側面があり、頂点が丸まっていることもできる。なお、この支持要素3の断面の形は、好ましくは開口の形と同様な形である。
【0022】
図7を参照すると、本発明は、さらに、弾性保持メンバーと計時器用コンポーネントの集合体120及び支持要素3を備えるアセンブリー130を作成する方法に関する。
【0023】
この方法は、支持要素3の一端の周壁上に、前記支持要素3に対して前記弾性保持メンバー1の運動をブロックするためのブロック要素11a、11bを受けるための少なくとも1つの受容領域7a、7bの境界を形成する/定めるように、支持要素3に前記弾性保持メンバー1を取り付けるステップ20を含む。言い換えると、この方法は、支持要素3の一端の周壁上に、前記支持要素3に対する前記弾性保持メンバー1の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素11a、11bを受けるための少なくとも1つの領域7a、7bの境界を形成する/少なくとも1つの領域7a、7bを定めることに貢献するように、支持要素3に前記弾性保持メンバー1を取り付けるステップを伴う。また、これは、支持要素3の一端の周壁上に、支持要素3に対する弾性保持メンバー1の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素11a、11bを受けるための少なくとも1つの受容領域7a、7bを定めることに貢献するように、支持要素3に弾性保持メンバー1を取り付ける取り付けステップ20を伴う。この取り付けステップ20は、最小の調整クリアランスしかないように支持要素3を弾性保持メンバー1内に挿入する挿入サブステップ21を含む。この挿入サブステップ21は、弾性保持メンバー1に関連して支持要素3にインデックスを取り付ける取り付け段階22を含む。特に、この取り付け段階22の間に、取り付け領域12を含む支持要素3の一端が、弾性保持メンバー1の弾性アーム4の自由端によって形成される開口内に配置される。この開口内における支持要素3の配置は、この支持要素3の端及び弾性保持メンバー1の開口において共通の軸のまわりに配置されるように行われる。この共通軸は中心軸Dと組み合わさる。このような共通軸のまわりの構成は、開口に対する支持要素3の端のインデクシングに寄与する。また、挿入サブステップ21は、弾性保持メンバー1と支持要素3の間に接触界面8を作るように意図して、弾性保持メンバー1内における支持要素3の弾性締め付けを行う弾性締め付け段階23を含む。実際に、支持要素3を開口内に挿入する間に、支持要素3の端は弾性アーム4と接触し、このときにこの弾性アーム4は、支持要素3の接触部分9が弾性アーム4の接触面と接触するまで、開口の中心軸を中心として半径方向に変形する。この構成において、弾性保持メンバー1と支持要素3の間の接触界面8は、接触面が接触部分と接触することによって作られ、開口内における前記端の配置は、この弾性保持メンバー1の開口内における支持要素3のブロックされていない又はロックされていない保持を確実にすることを意図して、最小の調整クリアランスしかないように行われる。
【0024】
その後に、この方法は、支持要素3の取り付け領域12の少なくとも1つの受容領域7a、7bに少なくとも1つのブロック要素11a、11bをガルバニック金属成長によって作成する作成ステップ24を含む。この作成ステップ24は、支持要素3の取り付け領域12において少なくとも1つのブロック要素11a、11bを受けるための前記少なくとも1つの受容領域7a、7bの位置を判断する判断サブステップ25を含む。実際に、受容領域7a、7bの位置は、弾性保持メンバー1と支持要素3の間の少なくとも1つの接触界面8にしたがって定められる。この判断サブステップ25は、接触界面8の境界を形成するための境界形成領域10を識別する識別段階26を含む。これらの境界形成領域10は、各接触界面8の境界/限界を含む支持要素3の取り付け領域12の部分に対応する。実際に、ブロック要素11a、11bは、接触界面8の境界を形成するための前記境界形成領域10を含む受容領域7a、7b上に構築されることを意図され、この接触界面8は、好ましくは、完全に又は部分的にこれらの各接触界面8の境界/限界の上又は近くにある。
【0025】
この結果、作成ステップ24は、少なくとも1つの識別された境界形成領域10を含む支持要素3の取り付け領域12内に位置する少なくとも1つの受容領域7a、7bに少なくとも1つのブロック要素11a、11bをガルバニック金属成長によって構築する構築サブステップ27を含む。前記少なくとも1つの受容領域7a、7bにおけるこのガルバニック成長は、好ましくは薄く、0.5~20μmの範囲内の、好ましくは3μmである、厚みを有する。
【0026】
このようなガルバニック成長は、支持要素3の受容領域7a、7bの面においてのみ行われ、実際に、電気的絶縁材料によって作られる弾性保持メンバー1の弾性アーム4の自由端においては成長が発生しない。
【0027】
その後に、前記構築サブステップ27は、互いに対向するように配置される、2つの接触界面8の境界を形成するための識別された境界形成領域10を含む支持要素3の取り付け領域12に位置する少なくとも1つの受容領域7a内に少なくとも1つのブロック要素11aを前記ガルバニック金属成長によって構築する構築段階28を含む。この構築段階28の間に、2つの接触界面8の間に、又は弾性アーム4の自由端の接触面と連係するように設けられる支持要素3の取り付け領域12の2つの接触部分9の間にも、ブロック要素11aが構築される。1つの変異形態において、対応する受容領域7aに含まれる2つの判断された境界形成領域10上にのみ、2つのブロック要素11aを構築することもできる。
【0028】
したがって、ここで、この構築段階28は、弾性保持メンバー1に対する支持要素3の回転方向及び/又は半径方向の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素11aの作成に寄与することがわかる。
【0029】
また、前記構築サブステップ27は、さらに、支持要素3の2つの端の1つに対向するように配置される、少なくとも1つの接触界面8の境界を形成するための少なくとも1つの識別された境界形成領域10を含む支持要素3の取り付け領域12に位置する少なくとも1つの受容領域7bに少なくとも1つのブロック要素11bをガルバニック金属成長によって29を形成する形成段階29を含む。この形成段階29の間に、接触界面8と支持要素3の2つの端のうちの一端の間における受容領域7b、又は支持要素3のこの一端と、弾性アーム4の自由端の接触面と連係するように設けられる支持要素3の取り付け領域の接触部分9との間における受容領域7bにも、ブロック要素11bが構築される。1つの変異形態において、支持要素3の2つの対応する端に対向するように構成している、対応する受容領域7bに含まれる2つの判断済みの境界形成領域10上にのみ2つのブロック要素11bを構築することもできる。
【0030】
したがって、この形成段階29は、弾性保持メンバー1に対する支持要素3の軸方向及び/又は半径方向の運動をブロックするための少なくとも1つのブロック要素11bを作成することに寄与することがわかる。
【0031】
本実施形態において、弾性アーム4と支持要素3の取り付け領域12の間に形成される接触界面8の境界を形成するための境界形成領域10のすべてに、ブロック要素11a、11bが構築される。他の変異形態において、例えば構成される弾性保持メンバー1に対する支持要素3の運動のブロックのタイプ、にしたがって判断される特定の所与の数の接触界面8及び/又は境界形成領域10に対してのみ前記ブロック要素11a、11bが構築されることがあることがわかる。
【国際調査報告】