(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】交換可能なブレードを備えた手持ち式医療機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3213 20060101AFI20220824BHJP
B26B 3/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61B17/3213
B26B3/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576514
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020066498
(87)【国際公開番号】W WO2020260054
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】102019117076.1
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル シャーラー
(72)【発明者】
【氏名】アリナ ホフマン
【テーマコード(参考)】
3C061
4C160
【Fターム(参考)】
3C061BB13
3C061EE40
4C160FF06
4C160FF08
(57)【要約】
手持ち式医療機器(1)は、ハンドル側位置決め要素(6)、好ましくは位置決め突出部をその遠位端セクションに有している、好ましくは一体型ハンドル(2)と、ハンドル(2)上に配置されるとともに第2位置決め要素(7)、好ましくは位置決め凹部を有している交換可能なツール、好ましくはブレード(3)であって、第2位置決め要素(7)に、ハンドル側位置決め要素(6)が実質的に精密に嵌合する様式で係合しているブレード(3)と、ハンドル(2)に対してその長手方向に移動させることが可能であるとともに、ハンドル(2)を少なくとも部分的に取り囲む保定スライダ(4)を有しており、保定スライド(4)が、ブレード(3)をツール(3)に対して直接的に且つばね弾性の様式で押圧するとともに、ブレードを、固定位置においてハンドル(2)上に固定し、クリーニング位置において解放する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル側位置決め要素(6)、好ましくは位置決め突起をその遠位端部において有している好ましくは一体型ハンドル(2)と、
前記ハンドル(2)上に配置されるとともに、ツール側位置決め要素(7)、好ましくは位置決め凹部を有している交換可能なツール、好ましくはブレード(3)であって、前記ツール側位置決め要素(7)に前記ハンドル側位置決め要素(6)が実質的に精密嵌合により係合しているブレード(3)と、
前記ハンドル(2)に対して前記ハンドルの長手方向に摺動可能であるとともに、前記ハンドル(2)を少なくとも部分的に取り囲む保定スライダ(4)と、
を備えている手持ち式医療機器(1)、特に解剖刀であって、
前記保定スライダ(4)が、前記ツール(3)上の固定位置において、前記ブレード(3)に直接的に且つ弾力的に接触するとともに前記ブレード(3)を前記ハンドル(2)上に固定し、クリーニング位置において、前記ブレード(3)を解放する、手持ち式医療機器(1)。
【請求項2】
前記保定スライダ(4)が、前記ハンドル(2)に向けて突出する少なくとも1つの固定ナブ(13)を有しており、
前記ハンドル(2)が、前記少なくとも1つの固定ナブ(13)を前記ハンドルの前記長手方向に案内する少なくとも1つの案内溝(8)を有している、請求項1に記載の手持ち式医療機器(1)。
【請求項3】
前記ハンドル(2)が、その遠位端部において、スロープ又はランプ(16)を有しており、
前記少なくとも1つの固定ナブ(13)が、前記固定位置における前記ツール(3)を前記ハンドル(2)に対して、特に前記スロープ又はランプ(16)に対して押圧する、請求項2に記載の手持ち式医療機器(1)。
【請求項4】
前記保定スライダ(4)が、前記固定位置において、前記ハンドル(2)に軸方向止めとして形成されたばねシート溝(9)に係合するばねシート又は可撓性舌片(14)を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の手持ち式医療機器(1)。
【請求項5】
前記ハンドル(2)が、その近位端部において、テーパ部分(10)を有しており、
前記ハンドルの前記長手方向における前記テーパ部分(10)の延びが、前記保定スライダ(4)の長さに実質的に対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載の手持ち式医療機器(1)。
【請求項6】
前記ツール(3)の挿入方向に観察した前記ハンドル側位置決め要素(6)が、アンダーカットを用いずに前記ツール側位置決め要素(7)に係合している、請求項1から5のいずれか一項に記載の手持ち式医療機器。
【請求項7】
前記ツール側位置決め要素(7)が、長穴形状で設計されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の手持ち式医療機器(1)。
【請求項8】
前記保定スライダ(4)が、その外側表面上に複数のナブ(15)を有している、請求項1から7のいずれか一項に記載の手持ち式医療機器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式医療機器、特に解剖刀に関し、この手持ち式医療機器は、ハンドル側位置決め要素、好ましくはラッチのない位置決め突起をその遠位端部において有している好ましくは一体型ハンドルと、このハンドル上に配置されるとともにツール側位置決め要素、好ましくは位置決め凹部又はアパーチャを有している交換可能なツール好ましくはブレードであって、このツール側位置決め要素に、ハンドル側位置決め要素が実質的に精密嵌合により係合しているブレードと、ハンドルに対してハンドルの長手方向に摺動可能であるとともにハンドルを少なくとも部分的に取り囲む保定スライダと、を備えている。
【背景技術】
【0002】
このタイプの解剖刀は先行技術から既に公知であり、この解剖刀においては、ハンドル上におけるブレードの組み付け又は組み付け解除を行うために、ブレードに手動力を印加しなければならない。例えば、GB 265 425 Aは解剖刀ハンドルを備えた解剖刀を示しており、この解剖刀ハンドルは、解剖刀ブレードを受容するために、2つの案内レールを遠位端部に有している。解剖刀ブレードは、組み付け及び組み付け解除のために、押し付けられ及び引き離される。
【0003】
さらに、US 2 708 313 Aは、ハンドルに対する解剖刀ブレードの固定又は解放が回転運動によって行われる解剖刀を開示している。
【0004】
手動力がかけられることにより組み付け又は組み付け解除可能な解剖刀ブレードを備えた解剖刀のさらなる一例が、DE 10 2009 007 292 A1に開示されている。特に、解剖刀ブレード及び解剖刀ハンドルの各々は、互いに対する圧力嵌合及び/又はフォーム嵌合(form-fit)による係合を介して、解剖刀ブレードを解剖刀ハンドルに固定する結合要素を有している。
【0005】
しかしながら、前述の解剖刀の全てによっても、解剖刀ブレードの組み付け又は組み付け解除を行うためには、解剖刀ブレードに手動力を印加しなければならない。ユーザが、接合又は取り外し中に、解剖刀ブレードを滑り落とすことがあるとともに負傷するリスクが存在する。これにより、ユーザは、特に、外科手術での使用後に汚れた又は汚染された解剖刀ブレードを取り外す際に、感染のリスクが増大する。
【0006】
したがって、解剖刀ブレードに手動力をかけることなくその組み付け又は組み付け解除を行うことを可能にする解剖刀が、先行技術から公知である。特に、US 2017 112 522 Aは、解剖刀ブレードに対して解剖刀ハンドルを回転させることにより、解剖刀ブレードの固定を可能にする解剖刀を開示している。しかしながら、解剖刀ブレードと解剖刀ハンドルとの間に形成された旋回接合部に汚染物質が堆積する恐れがあり、解剖刀のクリーニングがより困難になる。
【0007】
EP 2 752 275 Aもまた、手動力をかけることなく解剖刀ブレードの組み付け及び組み付け解除が可能なさらなる解剖刀を示している。この解剖刀ブレードは、まず、解剖刀ブレードのスロット形状の凹部に解剖刀ハンドル上の1つの固定ピン及び1つの可動ピンが係合するように、このハンドル上に載置される。この凹部は本質的に2つの異なる幅を有しており、そのうちの大きい方の幅は、これらのピンの幅に実質的に対応する。摺動可能なピンを摺動させることにより解剖刀ブレードを固定ピンに対して移動させ、解剖刀ブレードが、固定ピンにおいて側方に形成された案内溝内を摺動し、これによって解剖刀ブレードを固定することが可能になる。しかしながら、ここでの短所は、解剖刀ブレードに付加的に張力がかかり、ハンドル内に配置されたスライドとしての摺動機構の設計が解剖刀のクリーニングをより困難にするという点である。
【0008】
解剖刀ブレードに手動力をかけることなく、その組み付け又は組み付け解除が可能な解剖刀のさらなる一例が、US 1 625 778 Aに開示されている。このケースでは、解剖刀ハンドルが、本体と、この本体に対して旋回させることが可能な旋回アームとを有している。解剖刀ブレードは、旋回アームにより、本体内に挿入されるとともに定位置に保持される。旋回アーム及び解剖刀ブレードを解剖刀ハンドル内に固定するために、解剖刀ハンドルに対して摺動可能なリングを、解剖刀ハンドル上で解剖刀ブレードの方向に摺動させる。このリングが解剖刀ハンドルを完全に取り囲むとともに実質的に解剖刀ハンドルに当接しているため、解剖刀のクリーニングの際に、リングと解剖刀の間の空間の洗浄又はクリーニングの実施が不可能、あるいは、不十分にしか実施できないというリスクが存在する。
【0009】
換言すると、外科手術中において解剖刀ブレードを備えた有用な解剖刀ハンドルの使用を可能にするためには、外科手術のスタッフにより、解剖刀ブレードを解剖刀ハンドル上に事前に装着しなければならない。前述の解剖刀ハンドルのケースにおいては、このことは通常、ブレードへの直接的な手動力を必要とする。使用後に汚染された(血液及び組織の残渣で汚染された)ブレードは、その処分のために、ハンドルから取り外さなければならない。ブレードを接合すること及び取り外すことは、共にユーザの負傷という高いリスクを生むが、その理由は、両措置の最中にユーザがにわかに滑り落とすことよって、怪我をする恐れがあるためである。
【発明の概要】
【0010】
よって、この発明の目的は、先行技術の短所を回避するか、又は少なくとも低減することである。特に、ブレード及びハンドルを有している手持ち式医療機器、特に解剖刀であって、ブレードのハンドル上への組み付け及びハンドルからの組み付け解除を、ユーザがブレードに手動力をかけることなく可能にすると同時に、十分なクリーニング可能性も確保する手持ち式医療機器が提供されるべきである。
【0011】
この目的は、請求項1の特徴により、特に、保定スライダ又は保定スリーブが、ブレードとの直接接触によってハンドル上の固定位置においてブレードを固定するとともに、クリーニング位置においてブレードを解放し、クリーニング位置においては、保定スライダとハンドルの間に好ましくは水洗用隙間が存在するということにより、この発明に従った汎用装置において成し遂げられる。
【0012】
このことは、ブレードに手動力をかけることなくハンドル上にブレードを位置決めすることができるとともに、保定スリーブにより固定することができるという利点を有する。同時に、ブレードの組み付け解除時に、ハンドルの十分なクリーニング可能性が確保される。
【0013】
換言すると、解剖刀ハンドルがブレード受容部分を備えて形成されており、このブレード受容部分上に、ブレードと(ラッチ留め又はスナップ留めを行うことなく)相互作用するブレード位置決め要素が配置されていることがこの発明に従ってもたらされる。さらに、好ましくはスリーブ形状の(又はクランプ状の)保定スライダが、解剖刀ハンドル上において長手方向に摺動可能であるように支持されており、この保定スライダは、(前進させた)固定位置において、ブレードに(弾性)押圧力をかけることによって、ブレードをブレード受容部分にしっかりと保持する。最終的に、保定スライダは、固定位置から解放位置又はクリーニング位置に移動させる(戻す)ことができ、この解放位置又はクリーニング位置において、ブレードは、(このブレードにラッチ留めが行われていないが故に)ブレード受容部分から容易に取り外すことができる又は自らから脱落することもできる。解放位置又はクリーニング位置のエリアにおいて、解剖刀ハンドルは、好ましくは、ブレード受容部分と比較して低減されたハンドル強度(ハンドル厚さ)も有しており、結果的に解剖刀ハンドルと保定スライダとの間に洗浄又はクリーニング用間隙を生じる。
【0014】
従属請求項には有利な実施形態が主張されており、これらについて、以降により詳細に解説する。
【0015】
好ましくは、保定スリーブ/保定スライダは、ハンドルに向けて突出する少なくとも1つの固定ナブ(fixing nub)を有することができ、ハンドルは、少なくとも1つの固定ナブをハンドルの長手方向に案内する少なくとも1つの長手方向案内溝を有し得る。ハンドルはさらに、その遠位端部、すなわち、ブレード受容部分において、近位方向に傾斜したスロープ又はランプを有し得る。よって、保定スライダを固定位置の方向に摺動させるときに、少なくとも1つの固定ナブは、ハンドル、特にスロープ又はランプ(ramp)に対して、ブレードを次第に押圧することができる。これにより、ブレード及び固定ナブが固定位置に至って初めてブレードを固定する態様で接触することが確保され、このことは、摺動運動中でさえもブレードの厳密な位置合わせを保証する。
【0016】
好ましい一実施形態において、保定スリーブ/保定スライダは、保定シートを遠位方向におけるさらなる摺動に抗って保定するために、固定位置において、ハンドルに形成されたばねシート溝に係合するばねシート/可撓性舌片を有し得る。このことは、ブレードが、ハンドルに対して所定の位置で、また、規定されたクランプ力で固定され、それにより、ブレードの適正な位置合わせが確保されるという利点を有する。さらに、保定スライダが遠位方向に引き離されることを効果的に防止する。
【0017】
この発明によると、既に上述したように、ハンドルは近位端部においてテーパ部分を有することができ、ハンドルの長手方向におけるこのテーパ部分の延びが、保定スリーブ/保定スライダの長さに実質的に対応し、それにより、保定スリーブがクリーニング位置にあるときに保定スリーブとハンドルの間に隙間が形成される。これにより、クリーニング液がハンドル及び保定スリーブの周囲を完全に流れ得ることとともに、解剖刀の機械処理及び適正なクリーニングが可能となることを確保することができる。
【0018】
好ましいさらなる一展開において、ハンドル側位置決め要素は、ラッチ留め(latching)又はスナップ留め(snapping)を行うことなく、ツール側位置決め要素に係合し得る。
【0019】
この発明に従った手持ち式医療機器において、ツール側位置決め要素は長穴形状で設計することができ、その幅は、好ましくは、第1幅から第2幅へと段階的に変化する。よって、従来の解剖刀ハンドルとの適合可能性を確保することができる。
【0020】
有利なさらなる一展開によると、保定スリーブ/保定スライダは外側表面上に複数のナブを有することができ、これらの複数のナブは、ユーザによる滑り落としを防止することによって解剖刀のハプティクスを改善し、それにより、安全性を増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図を参照して、好ましい構成例に基づき、この発明についてより詳細に以下に説明する。
【
図1】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀の固定位置における透視正面図を示す。
【
図2】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀の固定位置における透視背面図を示す。
【
図3】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀のクリーニング位置における透視正面図を示す。
【
図4】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀ハンドルの透視正面図を示す。
【
図5】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀ハンドルの透視背面図を示す。
【
図6】本開示の好ましい構成例に従った、保定シートの透視正面図を示す。
【
図7】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀のブレード受容部分の一部を示す。
【
図8】本開示の好ましい構成例に従った、解剖刀のブレード受容部分の部分側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、添付の図に基づいた、本開示の好ましい構成例の説明である。これらの図は単に、性質上概略的なものであり、専らこの発明を理解する目的で提供されている。同一の要素は、同じ参照符号で示す。
【0023】
図1及び
図2は、本開示の好ましい構成例に従った解剖刀1の、固定位置における透視正面図及び透視背面図である。解剖刀1は、解剖刀ハンドル2と、解剖刀ハンドル2に脱離可能に取り付けられた解剖刀ブレード3と、解剖刀ブレード3を固定するために使用される保定シート(保定スライダ)4と、を有している。
【0024】
図4及び
図5において視認できるように、解剖刀ハンドル2は、実質的に、細長く平坦な直方体として設計されており、遠位端部(ブレード側の端)には、解剖刀ブレード3を受容するために遠位端部に向けて傾斜したブレード受容部分5が形成されている。ブレード受容部分5上では、ハンドル2の平坦な側面において、解剖刀ハンドル表面から外方に向けて位置決め突起(カム)6が突出している。好ましい構成例において、位置決め突起6は、実質的に精密に、好ましくは挿入方向におけるアンダーカットを用いずに、解剖刀ブレード3に形成された位置決め凹部/位置決め溝7に係合するように設計されている。それにより、位置決め突起6を位置決め凹部7内に挿入することにより、ユーザが解剖刀ブレード3に手動力をかけることなく、解剖刀ブレード3を解剖刀ハンドル2に対して位置合わせすることができる。特に
図7において視認できるように、位置決め凹部7は、細長い穴形状に形成されている。細長い穴形状の位置決め凹部7の幅は、解剖刀ブレード3の先端に向けて第1幅から第2幅へと徐々に減少している。位置決め突起6は、遊びができるだけ少なく位置決め凹部7との嵌合を達成するように、それに対応して形成されている。
【0025】
好ましい構成例では、解剖刀ハンドル2の長手方向に延在する2つの案内溝8が、解剖刀ハンドル2の中央セクションにおける解剖刀ハンドル2の2つの平坦な側面の各々に形成されている。加えて、解剖刀ハンドル2は、案内溝8のエリア内に、ランプ形状のばねシート溝9を有している。ばねシート溝9は、軸方向止めを規定している。解剖刀ハンドル2は、解剖刀ハンドル2の中央部分から近位端部に向けて、低減されたハンドル強度を有するテーパ部分10を有している。テーパ部分10は、好ましくは両側面上において、遠位端においては第1段部11により、近位端においては第2段部12により、解剖刀ハンドル2の正規のハンドル強度からオフセットされている。
【0026】
図6は、好ましい構成例に従った解剖刀の保定シート4の透視図を示す。保定シート4は、平坦なプレートから形成されており、このプレートの長辺/長手方向縁は、(180°分)屈曲させている。それにより、実質的に摺動可能であるとともに溝状の様式で、解剖刀ハンドル2を中央セクションのエリアにおいて取り囲む。よって、保定シート4は、解剖刀ハンドル2に対して解剖刀ハンドルの長手方向に摺動可能である。換言すると、解剖刀ハンドル2は、保定シート4の摺動時に中央セクションのエリアにおけるガイドとして働く。
【0027】
好ましい構成例において、保定シート4は、遠位端部において、保定シート4の内側側面に向けて方向付けられているとともに仮想的な矩形の隅角に位置決めされた4つの案内ナブ13を有している。加えて、
図6において視認できるように、保定シート4上の近位端部において保定シート4の内側側面から内方に突起しているばねシート(可撓性舌片)14が形成されており、中央には保定シート4の外側に向けて突出している複数のナブ15が形成されている。ナブ15は、保定シート4が解剖刀ハンドル2に対して摺動されるときに解剖刀1のハプティクス(haptics)及び取り扱いを改善し、それにより、滑り落ちのリスク及び負傷のリスクを低減させる。
【0028】
好ましい構成例において、保定シート4の設計は、上述のような2つの長辺/長手方向縁のうちの一方のみが保定シート全長にわたって屈曲されて内側摺動溝を形成するような方式で行われている。保定シート4は、他方の辺/長手方向縁上では近位端部においてのみ屈曲されているが、ナブ15のエリアから最大で保定シート4の遠位端部までアーチ形状に切除されている。したがって、
図1において視認できるように、保定シート4の遠位端部の形状は、固定位置におけるブレード受容部分5の形状を実質的に辿っており、それにより、保定シート4はいかなるときも解剖刀ブレード3の刃先を見えにくくすることがない。
【0029】
解剖刀ブレード3が解剖刀ハンドル2内に挿入されるべき際には、
図3に示されるように、ブレード受容部分5が自由にアクセス可能となるように、まず、保定シート4を解剖刀ハンドル2の近位端部に向けて移動させなければならない。その後、ユーザが何ら手動力をかける必要なく、ブレード受容部分5の側面上に解剖刀ブレード3を載置することができる。解剖刀ブレード3を解剖刀ハンドル2上に適正に位置決めするために、解剖刀ブレード3は、解剖刀ハンドル2の位置決め突起6が解剖刀ブレード3の位置決め凹部7に係合/位置決め凹部7を貫通するように配向される。
【0030】
その後、解剖刀ブレード3を解剖刀ハンドル2上に保定及び固定するために、保定シート4を解剖刀ハンドル2に沿って遠位方向の固定位置へと移動させる。保定シート4は、保定シート4の内側から突起しているばねシート14がハンドルのばねシート溝9に最終的に係合するまで、案内ナブ13がハンドル3の案内溝8内を進行/摺動することによって案内される。よって、ばねシート溝9は、ばねシート14のための遠位方向における軸方向止めを形成している。
【0031】
好ましい構成例では、
図8に示されるように、解剖刀ハンドル2には、ブレード受容部分5のエリアにスロープ又はランプ16が設けられている。解剖刀ハンドル表面は、案内ナブ13が解剖刀ブレード3に実質的に固定位置においてのみ最終的に固定する態様で接触するように、解剖刀ハンドル2の遠位端部に向けて上昇しており、案内ナブ13によって解剖刀ブレード3に意図しない摺動/滑動が生じることを防止している。
【0032】
解剖刀ブレード3を外科手術での使用後に解剖刀ハンドル2から脱離させるために、ラッチ留めされたばねシート14をまず解放し、その後、保定シート4をクリーニング位置に移動させる。その後、解剖刀ブレード3に手動力をかけることなく、解剖刀ブレード3をユーザにより取り外すことができる。代替的に、保定シート4を摺動させることによって固定を解除した後に解剖刀ブレード3が解剖刀ハンドル2から自ら脱落するように、解剖刀1を回転させることができる。
【0033】
保定シート4が(テーパ部分10において)クリーニング位置にあるときに、テーパ部分10の低減された断面積/ハンドル厚さは、解剖刀ハンドル2と保定シート4の間の空間にクリーニング流体が流れ込むことを可能にする隙間を保定シート4と解剖刀ハンドル2の間に生じる。これにより、解剖刀1のクリーニング可能性を増大させることができる。
【0034】
換言すると、解剖刀ブレード3は、位置決めのために解剖刀ハンドル2上に載置されているに過ぎず、長手方向にシフトされない(隆起した段/位置決め突起6が位置決め凹部/ブレード溝7に合致する)。これに対し、保定スリーブ4は、解剖刀ブレード3を固定するために前方に押される。保定スリーブ4の端の位置/固定位置に到達するとすぐに、ばねシート14が解剖刀ハンドル2に係合する。保定スリーブ4の内側における4つの窪んだ案内ナブ13と、解剖刀ハンドル2における僅かなスロープ/ランプ16が保定スリーブ4の前方への移動中に解剖刀ブレード3を弾力的にクランプする。これにより、解剖刀ブレード3が使用中に解剖刀ハンドル2から脱離し得ないことが確保される。使用後に、ばねシート14を解放することができ、保定スリーブ4を近位方向に再び押し戻すことができる。使用済みの解剖刀ブレード3の容易な取り外し又は排除が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル側位置決め要
素を遠位端部において有してい
るハンド
ルと、
前記ハンド
ル上に配置されるとともに、ツール側位置決め要
素を有している交換可能なツー
ルであって
、前記ハンドル側位置決め要
素が実質的に精密嵌合により係合している
交換可能なツールと、
前記ハンド
ルに対して前記ハンドルの長手方向に摺動可能であるとともに、前記ハンド
ルを少なくとも部分的に取り囲む保定スライ
ダと、
を備えてい
る解剖刀であって、
前記保定スライ
ダが、前記
ハンドル上の固定位置におい
て前記ツールに直接的に且つ弾力的に接触するとともに
、前記
ツールを前記ハンド
ル上に固定し、クリーニング位置におい
て前記ツールを解放
し、
前記ハンドルは、ブレード受容部分と比較して前記クリーニング位置の空間において低減されたハンドル強度を有している解剖刀。
【請求項2】
前記保定スライ
ダが、前記ハンド
ルに向けて突出する少なくとも1つの固定ナ
ブを有しており、
前記ハンド
ルが、前記少なくとも1つの固定ナ
ブを前記ハンドルの前記長手方向に案内する少なくとも1つの案内
溝を有している、請求項1に記載の
解剖刀。
【請求項3】
前記ハンド
ルが、その遠位端部において、スロープ又はラン
プを有しており、
前記少なくとも1つの固定ナ
ブが、前記固定位置における前記ツー
ルを前記ハンド
ルに対して、特に前記スロープ又はラン
プに対して押圧する、請求項2に記載の
解剖刀。
【請求項4】
前記保定スライ
ダが、前記固定位置において、前記ハンド
ルに軸方向止めとして形成されたばねシート
溝に係合するばねシート又は可撓性舌
片を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の
解剖刀。
【請求項5】
前記ハンド
ルが、その近位端部において、テーパ部
分を有しており、
前記ハンドルの前記長手方向における前記テーパ部
分の延びが、前記保定スライ
ダの長さに実質的に対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載の
解剖刀。
【請求項6】
前記ツー
ルの挿入方向に観察した前記ハンドル側位置決め要
素が、アンダーカットを用いずに前記ツール側位置決め要
素に係合している、請求項1から5のいずれか一項に記載の
解剖刀。
【請求項7】
前記ツール側位置決め要
素が、長穴形状で設計されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の
解剖刀。
【請求項8】
前記保定スライ
ダが、その外側表面上に複数のナ
ブを有している、請求項1から7のいずれか一項に記載の
解剖刀。
【国際調査報告】