(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】光制御フィルムを有する湾曲したディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220824BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220824BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220824BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220824BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220824BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220824BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G09F9/30 308A
G09F9/00 313
G09F9/00 336F
G09F9/00 324
G09F9/00 366A
G09F9/00 338
G02F1/1335
G02F1/1333
G02F1/13357
G02B5/02 B
G02B5/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576565
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2020055503
(87)【国際公開番号】W WO2020261027
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】リウ,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,グレイ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】プァム,トリ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】アンティラ,ガース ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャコブ,キース アール.
【テーマコード(参考)】
2H042
2H189
2H291
2H391
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA12
2H042BA13
2H042BA20
2H189CA13
2H189LA26
2H291FA17X
2H291FA81Z
2H291FC01
2H391AA01
2H391EB08
5C094AA12
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA31
5C094BA43
5C094DA05
5C094DA12
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5C094FA04
5C094GB10
5C094HA01
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5G435AA01
5G435BB04
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5G435KK07
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL17
5G435LL19
(57)【要約】
湾曲したディスプレイが、湾曲した主表面を有するディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムとを含む。湾曲した主表面は、第1の軸の周りで湾曲しており、湾曲した主表面の中央部分が、第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿う面法線を有する。光制御フィルムは、湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する主表面を備え、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を含む。第1の軸に直交する断面において、透過領域及び隣接する吸収領域が、光透過領域を通る中心光線透過方向を画定し、ディスプレイパネルによって放出され透過方向に沿って光透過領域を透過した光線が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸に実質的に平行な方向に屈折する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した主表面を備えるディスプレイパネルであって、前記湾曲した主表面が第1の軸の周りで湾曲しており、前記湾曲した主表面の中央部分が、前記第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿う面法線を有する、ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムであって、前記ディスプレイパネルの前記湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する第1の主表面を備える、光制御フィルムと、
を備える、湾曲したディスプレイであって、前記光制御フィルムが、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域であって、前記第1の軸に平行な長手方向に沿って延びて前記第1の主表面と実質的に同一の広がりを有し、かつ前記第1の軸及び前記第2の軸に直交する方向に沿って配置された、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備え、前記光透過領域が1.2超の屈折率を有し、前記第1の軸に直交する断面において、かつ前記複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における前記光透過領域の少なくとも過半の各光透過領域について、前記光透過領域及び隣接する光吸収領域が、前記光透過領域を通る中心光線透過方向を画定し、前記ディスプレイパネルによって放出され、前記中心光線透過方向に沿って前記光透過領域を透過した光線が、前記湾曲したディスプレイから出る際に前記第2の軸に実質的に平行な方向に屈折する、湾曲したディスプレイ。
【請求項2】
前記湾曲した主表面が、前記ディスプレイパネルの光出力面であり、前記光制御フィルムが、前記光出力面から光を受光するように配置されている、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項3】
前記湾曲した主表面が、前記ディスプレイパネルの光入力面であり、前記光制御フィルムが、前記光入力面へと光を透過させるように配置されている、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項4】
前記ディスプレイパネルを照明するように配置されているバックライトを更に備え、前記バックライトが前記光制御フィルムを備える、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の軸に直交する前記断面において、前記中心光線透過方向が前記湾曲した主表面の法線と角度をなし、前記角度が、前記光制御フィルムの中央領域における5度未満から、前記光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度まで連続的に変化している、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項6】
前記第1の軸に直交する前記断面において、前記中心光線透過方向が前記湾曲した主表面の法線と角度をなし、前記角度が、前記光制御フィルムの中央領域における3度未満から、前記光制御フィルムの縁部領域における少なくとも15度まで単調に増加している、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項7】
観察者に対して画像を表示するように適合されており、前記第1の軸に直交する前記断面において、前記湾曲した主表面が、前記湾曲した主表面の少なくとも過半に沿って前記観察者に向かって凹状である、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項8】
観察者に対して画像を表示するように適合されており、前記第1の軸に直交する前記断面において、前記湾曲した主表面が、前記湾曲した主表面の少なくとも過半に沿って前記観察者に向かって凸状である、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項9】
前記ディスプレイパネルとは反対側で前記光制御フィルム上に配置された追加要素を更に備える、請求項1に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項10】
前記追加要素が、タッチセンサ、光学フィルム、ガラス層、又は拡散体のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項11】
湾曲した主表面を備えるディスプレイパネルであって、前記湾曲した主表面が、第1の軸の周りで湾曲しており、前記湾曲した主表面の中央部分において前記第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿い、かつ前記湾曲した主表面の縁部部分において前記第2の軸と少なくとも15度の角度γをなす、面法線を有する、ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムであって、前記ディスプレイパネルの前記湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する第1の主表面を備える、光制御フィルムと、
を備える、湾曲したディスプレイであって、前記光制御フィルムが、前記第1の軸に平行な長手方向に沿って延び、かつ前記第1の軸及び第2の軸に直交する方向に沿って配置された、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備え、前記第1の軸に直交する断面において、前記複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域がそれぞれ、前記湾曲した主表面の前記面法線と角度φをなしかつ前記第2の軸と角度αをなす中心光線透過方向を画定しており、前記角度φ及びαがそれぞれ、前記光制御フィルムの中央領域における5度未満から、前記光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度まで増加している、湾曲したディスプレイ。
【請求項12】
前記角度φが、前記光制御フィルムの前記中央領域における3度未満から、前記光制御フィルムの前記縁部領域における少なくとも15度まで単調に増加している、請求項11に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項13】
前記光制御フィルムの前記第1の主表面が、前記ディスプレイパネルの前記湾曲した主表面上に配置され、かつ前記湾曲した主表面に適合している、請求項11に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項14】
前記光制御フィルムが、前記複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域のそれぞれについて、前記表示パネルから前記中心光線透過方向に沿って前記光透過領域を透過した光線が、前記湾曲したディスプレイから出る際に前記第2の軸に実質的に平行な方向に屈折するように構成されている、請求項11に記載の湾曲したディスプレイ。
【請求項15】
湾曲した主表面を有するディスプレイパネル用の光制御フィルムを製造する方法であって、
前記ディスプレイパネルの前記湾曲した主表面の形状を決定することと、
複数の交互する光透過層及び光吸収層を備える多層積層体を提供することと、
前記光制御フィルムの少なくとも互いに反対側にある主湾曲面に沿って前記多層積層体から前記光制御フィルムを切り出すことと、
を含む、方法であって、前記湾曲面のそれぞれについて、前記湾曲面の少なくとも過半が、第1の表面と第2の表面との中間にあり、前記第1の表面が、前記ディスプレイパネルの前記湾曲した主表面の形状を有し、前記第2の表面が、前記第1の表面に接する平面である、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光制御フィルムは、光制御フィルムを透過する光の指向性を調節するように構成され得る。
【0002】
ディスプレイは、より広い視野を提供し、観察者の没入体験を向上させるように湾曲され得る。
【発明の概要】
【0003】
本説明のいくつかの態様では、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムとを備える、湾曲したディスプレイが提供される。ディスプレイパネルは、第1の軸線の周りで湾曲した、湾曲した主表面を備える。湾曲した主表面の中央部分が、第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿う面法線を有する。光制御フィルムは、ディスプレイパネルの湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する第1の主表面を備える。光制御フィルムは、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域であって、第1の軸に平行な長手方向に沿って延びて第1の主表面と実質的に同一の広がりを有し、かつ第1の軸及び第2の軸に直交する方向に沿って配置された、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備える。光透過領域は1.2超の屈折率を有する。第1の軸に直交する断面において、かつ複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域の少なくとも過半の各光透過領域について、光透過領域及び隣接する光吸収領域は、光透過領域を通る中心光線透過方向を画定し、ディスプレイパネルによって放出され、中心光線透過方向に沿って光透過領域を透過した光線が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸に実質的に平行な方向に屈折する。
【0004】
本説明のいくつかの態様では、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムとを備える、湾曲したディスプレイが提供される。ディスプレイパネルは、第1の軸の周りで湾曲した、湾曲した主表面を有し、湾曲した主表面は、湾曲した主表面の中央部分において第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿い、かつ湾曲した主表面の縁部部分において第2の軸と少なくとも15度の角度γをなす、面法線を有する。配置された光制御フィルムは、ディスプレイパネルの湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する第1の主表面を備える。光制御フィルムは、第1の軸に平行な長手方向に沿って延び、かつ第1の軸及び第2の軸に直交する方向に沿って配置された、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備える。第1の軸に直交する断面において、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域がそれぞれ、湾曲した主表面の面法線と角度φをなしかつ第2の軸と角度αをなす中心光線透過方向を画定し、角度φ及びαがそれぞれ、光制御フィルムの中央領域における5度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度まで増加している。
【0005】
いくつかの実施形態では、湾曲した主表面を有するディスプレイパネル用の光制御フィルムを製造する方法が提供される。方法は、ディスプレイパネルの湾曲した主表面の形状を決定することと、複数の交互する光透過層及び光吸収層を備える多層積層体を提供することと、光制御フィルムの少なくとも互いに反対側にある主湾曲面に沿って多層積層体から光制御フィルムを切り出すことと、を含む。湾曲面のそれぞれについて、湾曲面の少なくとも過半が、第1の表面と第2の表面との中間にあり、第1の表面は、ディスプレイパネルの湾曲した主表面の形状を有し、第2の表面は、第1の表面に接する平面である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】湾曲したディスプレイの部分の概略断面図である。
【
図4】湾曲したディスプレイの部分の概略断面図である。
【
図6】光制御フィルムの積層体の概略断面図である。
【
図7A】2つの直交軸の周りで湾曲した光制御フィルムの積層体の概略断面図である。
【
図7B】2つの直交軸の周りで湾曲した光制御フィルムの積層体の概略断面図である。
【
図8】異なる形状の湾曲した主表面の概略断面図である。
【
図9】異なる形状の湾曲した主表面の概略断面図である。
【
図10】異なる形状の湾曲した主表面の概略断面図である。
【
図11】光制御フィルムの部分の概略断面図である。
【
図12】光制御フィルムの部分の概略断面図である。
【
図13】光制御フィルムの部分の概略断面図である。
【
図14A】湾曲した主表面を有するディスプレイパネル用の光制御フィルムを製造する方法を概略的に示す。
【
図14B】湾曲した主表面を有するディスプレイパネル用の光制御フィルムを製造する方法を概略的に示す。
【
図15A】連続的な角度変化を示す概略プロットである。
【
図15B】単調な角度変化を示す概略プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0008】
本説明の湾曲したディスプレイは、湾曲した主表面(ディスプレイ表面とも呼ばれる)を有するディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルム(ルーバフィルムとも呼ばれる)とを含む。光制御フィルムは、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備える。吸収領域は、ルーバであってもよく、又はルーバを含んでもよい。ルーバは典型的に、光制御フィルムの一部の領域(例えば、中央領域を除くフィルムの全体)について、ルーバがディスプレイ表面の所定の位置(例えば、中心)において表示面に垂直ではなく、ディスプレイ表面に垂直な軸に平行でもないような、向きの分布を有する。ルーバ傾斜は、所定の分布を有するように選択されてもよく、湾曲したディスプレイの光出力が所望の指向性又は角度分布を有するように、湾曲したディスプレイの幾何学的形状に少なくとも部分的に基づいて選択されてもよい。例えば、所望の光出力分布は、隣接するルーバ間の透過領域を通る中心光線が、湾曲したディスプレイから出る際に、ディスプレイ表面の中心の、ディスプレイ表面に垂直な軸に平行な方向に屈折するようなものであってもよい。本明細書で説明される光制御フィルムは、他の手法(例えば、従来のルーバフィルムを有するレンズを利用する手法)で生じる明帯問題を引き起こすことなく、所望の軸外し遮断(off-axis blocking)を含む所望の性能を提供することが見出されている。
【0009】
図1は、ディスプレイパネル110と、ディスプレイパネル110に近接して配置された光制御フィルム120とを含む、湾曲したディスプレイの概略断面図である。ディスプレイパネル110は、第1の軸(z軸)の周りで湾曲した、湾曲した主表面112を有する。湾曲した主表面112の中央部分114が、第1の軸に実質的に直交する(例えば、直交の20度、10度、又は5度以内の)第2の軸(y軸)に沿う面法線116を有する。光制御フィルム120は、ディスプレイパネル110の湾曲した主表面112と実質的に同じ形状を有する第1の主表面122を有する。例えば、第1の主表面122及び湾曲した主表面112は、実質的に一定の厚さ(例えば、20パーセント未満又は10パーセント未満で変化する厚さ)の層(例えば、接着剤層)によって互いに変位され得るような形状を有してもよい。光制御フィルム120は、第1の軸に平行な長手方向(z方向)に沿って延び、かつ第1の軸及び第2の軸に直交する方向(x方向)に沿って配置された、複数の交互する光透過領域124及び光吸収領域119を含む。光透過領域124は、(例えば、400~700nmの波長範囲で光制御フィルムに垂直入射する光の)少なくとも60パーセント、少なくとも70パーセント、又は少なくとも80%の平均光透過率を有してもよい。光吸収領域119は、(例えば、400~700nmの波長範囲で光制御フィルムに垂直入射する光の)少なくとも50パーセント、少なくとも60パーセント、又は少なくとも70パーセントの平均吸光度を有してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、かつ複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域の少なくとも過半(例えば、光透過領域の少なくとも70%、80%、90%、若しくは95%、又は光透過領域の全て、あるいは場合によっては光制御フィルム120の側縁部付近の透過領域を除く全ての光透過領域)の各光透過領域123について、光透過領域123並びに隣接する光吸収領域121及び光吸収領域125は、光透過領域を通る中心光線透過方向126を画定し、ディスプレイパネルによって放出され、中心光線透過方向126に沿って光透過領域123を透過した光線129が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸に実質的に平行な(例えば、平行の10度以内又は5度以内の)方向128に屈折する。いくつかの実施形態では、ルーバ要素130が、他の箇所で更に説明されるように、光制御フィルム及び任意選択的な追加要素140を含む。図示される実施形態では、光線129は、追加要素140を方向127に沿って伝搬し、湾曲したディスプレイ100の外面である主表面132を通って追加要素140から出る際に方向128に屈折する。
【0011】
中心光線透過方向126は、光透過領域123を通って伝搬する中心光線の方向であり、概ね吸収領域121と、吸収領域125との間の中心線に沿う。光は、中心光線透過方向126を中心とする伝搬方向の範囲で光透過領域123を透過し得ることが理解されるであろう。
【0012】
いくつかの実施形態では、湾曲した主表面112は、湾曲した主表面112の中央部分114において第1の軸に実質的に直交する第2の軸(y軸)に沿い、かつ湾曲した主表面112の縁部部分117において第2の軸と少なくとも15度、少なくとも20度、又は少なくとも25度の角度γをなす、面法線118を有する。いくつかの実施形態では、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域はそれぞれ、第2の軸と角度αをなす中心光線透過方向を画定し、角度αは、光制御フィルム120の中央領域136における5度未満から、光制御フィルム120の縁部領域138における少なくとも10度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度αは、光制御フィルム120の中央領域136における3度未満から、光制御フィルム120の縁部領域138における少なくとも15度又は少なくとも20度まで増加している。更に他の箇所で説明されるように(例えば、
図3及び
図4を参照)、いくつかの実施形態では、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域はそれぞれ、湾曲した主表面112の面法線と角度φをなす中心光線透過方向を画定する。いくつかの実施形態では、角度φは、光制御フィルム120の中央領域136における5度未満から、光制御フィルム120の縁部領域138における少なくとも10度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度φは、光制御フィルム120の中央領域136における3度未満から、光制御フィルム120の縁部領域138における少なくとも15度又は少なくとも20度まで増加している。
【0013】
湾曲した主表面112の中央部分114は、湾曲した主表面の最も近い側縁部よりも湾曲した主表面112の中心に実質的に近い、湾曲した主表面112の部分である(例えば、第1の軸に直交する断面における中心までの距離が、断面における最も近い側縁部までの距離の半分未満であり得る)。湾曲した主表面112の縁部部分117は、湾曲した主表面112の中心よりも湾曲した主表面112の側縁部に実質的に近い、湾曲した主表面112の部分である(例えば、第1の軸に直交する断面における側縁部までの距離が、断面における中心までの距離の半分未満であり得る)。同様に、光制御フィルム120の中央領域136は、光制御フィルム120の最も近い側縁部よりも光制御フィルムの中心に実質的に近い、光制御フィルムの領域であり、光制御フィルム120の縁部領域138は、光制御フィルム120の中心よりも光制御フィルム120の側縁部に実質的に近い、光制御フィルム120の領域である。中央部分及び縁部部分又は中央領域及び縁部領域は、1対以上(例えば、1~10対)の光透過領域及び光吸収領域の幅に対応する幅を有してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域は、例えば、0.1mm未満又は0.07mm未満のピッチ(例えば、隣接する光吸収領域間の中心から中心までの距離)を有する。ピッチは、例えば、0.005mm超であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の交互する光透過領域124及び光吸収領域119は、第1の主表面122と実質的に同一の広がりを有する。例えば、複数の交互する光透過領域1124及び光吸収領域119は、主表面122の総面積の少なくとも70%、80%、90%、又は95%にわたって延びてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、複数の交互する光透過領域124及び光吸収領域119は、湾曲した主表面112の総面積の少なくとも70%、80%、90%、又は95%にわたって延びる。いくつかの実施形態では、複数の交互する光透過領域124及び光吸収領域119は、第1の主表面122又は湾曲した主表面112の長さ及び幅の全体にわたって延びる。
【0016】
図1に示される実施形態では、湾曲した主表面112は、ディスプレイパネル110の光出力面であり、光制御フィルム120は、光出力面から光を受光するように配置されている。他の実施形態では、ディスプレイパネルは、透過型ディスプレイパネルであってもよく、ディスプレイパネルの湾曲した主表面は、光入力面へと光を透過させるように光制御フィルムが配置されている、ディスプレイパネルの光入力面であってもよい。このことは
図2に概略的に示されている。
【0017】
図2は、ディスプレイパネル210と、ディスプレイパネル210に近接して配置された光制御フィルム220とを含む、湾曲したディスプレイ200の概略断面図である。ディスプレイパネル210は、第1の軸(z軸)の周りで湾曲した、湾曲した主表面212を有する。湾曲した主表面212の中央部分214が、第1の軸に実質的に直交する第2の軸(y軸)に沿う面法線216を有する。湾曲した主表面212は、ディスプレイパネル210の光入力面である。ディスプレイパネル210は、湾曲した主表面212とは反対側に湾曲した出力主表面215を有する。光制御フィルム220は、ディスプレイパネル210の湾曲した主表面212と実質的に同じ形状を有する第1の主表面222を有する。光制御フィルム220は、光制御フィルム120に相当してもよく、領域124及び領域119についてそれぞれ説明されたような複数の交互する光透過領域224及び光吸収領域219を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、かつ複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域の少なくとも過半の各光透過領域について、光透過領域及び隣接する光吸収領域は、光透過領域を通る中心光線透過方向226を画定し、ディスプレイパネルによって放出され、中心光線透過方向226に沿って光透過領域を透過した光線229が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸に実質的に平行な方向228に屈折する。図示される実施形態では、光線229は、ディスプレイパネル210内を方向227に沿って伝搬し、湾曲したディスプレイ200の外面である主表面215を通ってディスプレイパネル210から出る際に方向128に屈折する。
【0018】
湾曲したディスプレイ200は、ディスプレイパネル210を照明するように配置されているバックライト213を含む。バックライト213は、光制御フィルム220を含む。図示される実施形態では、バックライト213は、光制御フィルム220を照明するように配置されているバックライト要素217を更に含む。代替的に、いくつかの実施形態では、バックライト要素217はバックライトとみなされてもよく、光制御フィルム220は、バックライトとディスプレイパネル210との間に配置されていると説明することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、光制御フィルムの第1の主表面は、(例えば、直接又は接着剤層によって間接的に)ディスプレイパネルの湾曲した主表面上に配置され、かつ適合している。例えば、光制御フィルム120は、ディスプレイパネル110の湾曲した主表面112上に配置されてもよく、かつ湾曲した主表面112に適合してもよい。別の例として、光制御フィルム220は、ディスプレイパネル210の湾曲した主表面212上に配置されてもよく、かつ湾曲した主表面212に適合してもよい。
【0020】
第2の軸と中心光線透過方向との間の角度αは、湾曲したディスプレイ100について説明したように、光制御フィルム220の中央領域236と縁部領域238との間で変化してもよい。湾曲した主表面212の面法線と中心光線透過方向との間の角度φ(例えば、
図3及び
図4を参照)が、湾曲したディスプレイ100について説明したように、光制御フィルム220の中央領域236と縁部領域238との間で変化してもよい。
【0021】
本明細書で説明される光制御フィルムのいずれについても、光透過領域は、例えば、1.2超、1.3超、又は1.4超の屈折率n1を有してもよい。いくつかの実施形態では、屈折率n1は、例えば、1.9未満又は1.8未満である。いくつかの実施形態では、光吸収領域は、屈折率n2を有し、-0.005≦n2-n1≦0.02又は-0.005≦n2-n1≦0.005である。このように屈折率差が小さい材料を使用することにより、例えば、米国特許第8,213,082号(Gaidesら)及び同第8,503,122号(Liuら)に記載されているように、ゴーストを低減することができる。屈折率は、異なる指示がない限り、波長532nmで求められる屈折率の実数部を指す。
【0022】
透過領域及び吸収領域に好適な材料としては、アクリレート又はメタクリレートなどの重合性樹脂が挙げられる。吸収領域は、例えばカーボンブラックなどの黒色着色剤を更に含むことができる。好適な低屈折率材料としては、例えば、米国特許出願公開第2016/0368019号(Wolkら)及び同第2016/0097895号(Wolkら)に記載されているものなどのナノボイド材料が挙げられる。好適な高屈折率材料としては、屈折率を増加させるためのナノ粒子(例えば、無機ナノ粒子)を含むポリマー材料が挙げられる。光制御フィルムに有用な他の材料が、例えば、米国特許第8,012,567号(Gaidesら)、同第8,213,082号(Gaidesら)、及び同第8,659,829号(Walker,Jr.ら)に記載されている。
【0023】
図3は、ディスプレイパネル310と、ディスプレイパネル310に近接して配置されている光制御フィルム320とを含む、湾曲したディスプレイの一部分の概略断面図である。ディスプレイの湾曲は、
図3に概略的に示されている部分については、この場合に示されている部分の大きさに比べて曲率半径が大きいため、示されていない。ディスプレイパネル310及び光制御フィルム320は、例えば、それぞれ、ディスプレイパネル110及び光制御フィルム120について説明したとおりであってもよい。光制御フィルム320は、他の箇所で説明されたように、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域323及び隣接する光吸収領域はそれぞれ、ディスプレイの湾曲した主表面の面法線318と角度φをなし、ディスプレイパネル310の湾曲した主表面312の中央部分における(例えば、面法線116に相当する)面法線に平行な軸333と角度α(
図1を参照)をなす中心光線透過方向326を画定する。
【0024】
図3に示される実施形態では、ディスプレイパネル310は、発光面309と、発光面309上に配置されている追加要素341とを含む。追加要素341は、ディスプレイパネル310の湾曲した主表面312を有する。いくつかの実施形態では、追加要素341は、例えば、タッチセンサであるか、又はタッチセンサを含む。いくつかの実施形態では、追加要素341は、例えば、接着剤層であるか、又は接着剤層を含む。いくつかの実施形態では、追加要素341は省略される。いくつかの実施形態では、空気空隙が、光制御フィルム320とディスプレイパネル310とを隔てる。
図3に示される実施形態では、ルーバ要素330が、光制御フィルム320と、ディスプレイパネル310とは反対側で光制御フィルム320上に配置された追加要素340とを含む。いくつかの実施形態では、追加要素340は、タッチセンサ、光学フィルム、ガラス層、又は拡散体のうちの1つ以上であるか、又は1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、追加要素340は省略される。
【0025】
追加要素341は、代替的に、ディスプレイパネル310の要素ではなく、ルーバ要素330の層であるとみなされてもよい。いくつかの実施形態では、追加要素340及び/又は追加要素341は、光制御フィルム320の部分とみなされてもよい。
【0026】
ルーバ要素330は、互いに反対側にある第1の主表面322及び第2の主表面332を有する。ディスプレイパネル310によって放出され中心光線透過方向326に沿って光透過領域323を透過した光線329が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸333に実質的に平行な方向328に屈折する。第2の主表面332に隣接する追加要素340内で、光線329は、第2の主表面332の法線334と角度θ1をなす方向327に沿って伝搬する。光線329は、湾曲したディスプレイから出る際に第2の主表面332の法線334と角度θ2をなす方向328に屈折する。第2の軸333と第2の主表面332の法線334との間の角度β1が示されている。いくつかの実施形態では、角度β1は、arcsin(n1sin(φ))の10度以内又は5度以内であり、n1は光透過領域323の屈折率である。いくつかの実施形態では、法線334は、ディスプレイパネル310の湾曲した主表面312の法線318に平行又は実質的に平行であり、それにより、角度β1は、第2の軸333と湾曲した主表面312の法線との間の角度であるか、又は当該角度に実質的に等しい。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル310上に配置されたルーバ要素330が、光制御フィルム320を含み、ルーバ要素は、互いに反対側にある第1の主表面322及び第2の主表面332を有し、第1の主表面322は、ディスプレイパネル310の湾曲した主表面312に面し、かつ主表面に実質的に適合し、各光透過領域は1.2超の屈折率n1を有し、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、かつ各光透過領域について、第2の軸333と第2の主表面の法線334との間の角度β1が、arcsin(n1sin(φ))の10度以内又は5度以内である。
【0027】
他の実施形態では、光制御フィルムは、透過型ディスプレイの光入力側面上に配置されている。
図4は、ディスプレイパネル410と、ディスプレイパネル410に近接して配置されている光制御フィルム420とを含む、湾曲したディスプレイの一部分の概略断面図である。ディスプレイの湾曲は、
図4に概略的に示されている部分については、この場合に示されている部分の大きさに比べて曲率半径が大きいため、示されていない。ディスプレイパネル410及び光制御フィルム420は、例えば、それぞれ、ディスプレイパネル210及び光制御フィルム220について説明したとおりであってもよい。光制御フィルム420は、他の箇所で説明されたように、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域423及び隣接する光吸収領域はそれぞれ、ディスプレイの湾曲した主表面の面法線418と角度φをなし、ディスプレイパネルの湾曲した主表面の中央部分における(例えば、面法線216に相当する)面法線に平行な軸433と角度α(
図2を参照)をなす中心光線透過426方向を画定する。湾曲したディスプレイは、ディスプレイパネル410を照明するように配置されているバックライト413を含む。バックライト413は、光制御フィルム420と、光制御フィルム420を照明するように配置されているバックライト要素417とを含む。
【0028】
ディスプレイパネル410は、発光面409と、発光面409上に配置されている追加要素441とを含み、追加要素441は、ディスプレイパネル410の湾曲した主表面432を有する。追加要素441は、例えば、タッチセンサであってもよい。光制御フィルム420は、追加要素439及び追加要素440を含む(代替的に、追加要素439は、バックライト要素417の一部分であってもよく、及び/又は追加要素440は、ディスプレイパネル410の一部分であってもよい)。追加要素439と追加要素440は、タッチセンサ、光学フィルム、ガラス層、接着剤層、又は拡散体のうちの1つ以上であるか、又は1つ以上を含むように、独立して選択されてもよい。追加要素439、追加要素440、及び追加要素441は任意選択的であり、いくつかの実施形態では、これらの層のいずれか又は全てが省略されてもよい。いくつかの実施形態では、空気空隙が、ディスプレイパネル410をバックライト413から隔てる。図示される実施形態では、湾曲した主表面412は、ディスプレイパネル410の光入力面であり、光制御フィルム420は、光入力面へと光を透過させるように配置されている。光制御フィルム420は、ディスプレイパネル410の湾曲した主表面412と実質的に同じ形状を有する第1の主表面422を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル410によって放出され、中心光線透過方向426に沿って光透過領域423を透過した光線429が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸433に実質的に平行な方向428に屈折する。湾曲した主表面432に隣接するディスプレイパネル410内で、光線429は、湾曲した主表面432の法線434と角度θ1をなす方向427に沿って伝搬する。光線429は、湾曲したディスプレイから出る際に湾曲した主表面432の法線434と角度θ2をなす方向428に屈折する。第2の軸433と湾曲した主表面432の法線434との間の角度β1が示されている。いくつかの実施形態では、角度β1は、arcsin(n1sin(φ))の10度以内又は5度以内であり、n1は光透過領域423の屈折率である。いくつかの実施形態では、各光透過領域は1.2超の屈折率n1を有し、第1の軸に直交する断面(x-y平面)において、かつ各光透過領域について、第2の軸433と湾曲した主表面の法線434との間の角度β1は、arcsin(n1sin(φ))の10度以内又は5度以内である。
【0030】
いくつかの実施形態では、角度φは、光制御フィルム320(420それぞれ)の中央領域における5度未満から、光制御フィルム320(420それぞれ)の縁部領域における少なくとも10度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度φは、光制御フィルム320(420それぞれ)の中央領域における3度未満から、光制御フィルム320(420それぞれ)の縁部領域における少なくとも15度又は少なくとも20度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度αは、光制御フィルム320(420それぞれ)の中央領域における5度未満から、光制御フィルム320(420それぞれ)の縁部領域における少なくとも10度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度αは、光制御フィルム320(420それぞれ)の中央領域における3度未満から、光制御フィルム320(420それぞれ)の縁部領域における少なくとも15度又は少なくとも20度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度φ及びαはそれぞれ、光制御フィルム320(420それぞれ)の中央領域における5度未満から、光制御フィルム320(420それぞれ)の縁部領域における少なくとも10度まで増加している。いくつかの実施形態では、角度φ及びαはそれぞれ、光制御フィルム320(420それぞれ)の中央領域における3度未満から、光制御フィルム320(420それぞれ)の縁部領域における少なくとも15度又は少なくとも20度まで増加している。
【0031】
角度α及び/又は角度φの変化は、連続的であり得る(例えば、光制御フィルムの中央領域における5度未満又は3度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度又は少なくとも15度まで連続的に変化する)。光制御フィルムの中心からの(例えば、x軸に沿った)距離に応じた(例えば、α又はφに対応する)角度の連続的な変化の例が、
図15A及び
図15Bに概略的に示されている。別個の点は、別個の光透過領域についての角度の値を表す。別個の点が、光透過領域間の間隔の長さスケールで急に変化しない連続曲線に概ね従う(例えば、最大で通常の製造ばらつきに従う)場合に、変化は連続的である。角度α及び/又は角度φの変化は単調であり得る(例えば、光制御フィルムの中央領域における5度未満又は3度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度又は少なくとも15度まで単調に増加している)。光制御フィルムの中心からの(例えば、x軸に沿った)距離に応じた(α又はφに対応する)角度の単調な変化の例が、
図15Bに概略的に示されている。別個の点が、単調な曲線に概ね従う(例えば、最大で通常の製造のばらつきに従う)場合に、変化は単調である。
【0032】
いくつかの好ましい実施形態では、複数の交互する複数の光透過領域及び光吸収領域における各光透過領域について、角度φは、全反射の臨界角φc未満である。内部全反射は典型的に、光が空気中へと屈折する湾曲したディスプレイの最外面で生じる可能性が最も高い。この場合に、臨界角φcは、湾曲したディスプレイと空気との境界における内部全反射の臨界角である(湾曲したディスプレイの最外面の法線に対して測定される)。湾曲したディスプレイと空気との境界における光の内部全反射の臨界角φcが、
図7Aに概略的に示されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、湾曲したディスプレイは、第1の軸に沿ってのみ湾曲している。例えば、湾曲したディスプレイ100及び200は、z軸の周りでのみ湾曲していてもよく、z軸を含む断面において実質的に平坦又は実質的に平面状であってもよい。これに対応して、いくつかの実施形態では、光制御フィルムは、第1の軸に沿ってのみ湾曲している。
図5は、第1の軸(z軸)の周りでのみ湾曲した(例えば、光制御フィルム120又は220に相当する)光制御フィルム520の概略断面図である。いくつかのこのような実施形態では、又は他の実施形態では、湾曲したディスプレイは、長手方向に実質的に直交する第2の長手方向に沿って延びる、第2の複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を含む第2の光制御フィルムを更に含む。このことは
図6に概略的に示されている。
【0034】
図6は、例えば、光制御フィルム120、220、又は520に相当し得る光制御フィルム620上に配置された第2の光制御フィルム670の概略断面図である。第2の光制御フィルム670は、光制御フィルム620の長手方向(z方向)に実質的に直交する第2の長手方向(図示される断面においてx方向に平行な曲線方向)に沿って延びる、複数の交互する光透過領域624及び光吸収領域619を含む。第2の光制御フィルム670は、(例えば、従来の光制御フィルムのように)第2の光制御フィルム670の主表面に垂直な中心光線透過方向を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、湾曲したディスプレイは、第1の軸及び第2の軸(例えば、
図1及び
図2のz軸及びy軸)に直交する第3の軸(例えば、x軸)に沿っても湾曲している。いくつかのこのような実施形態では、湾曲したディスプレイは、光制御フィルム上に配置された第2の光制御フィルムを含む。このことは
図7A及び
図7Bに概略的に示されている。光制御フィルム720は、例えば、光制御フィルム120又は220に相当してもよい。第2の光制御フィルム770は、(例えば、
図1に示される実施形態では、光制御フィルム120と追加要素140との間で)ディスプレイパネルとは反対側で光制御フィルム720上に配置されてもよく、又は(例えば、
図2に示される実施形態では、光制御フィルム220とディスプレイパネル210との間で)光制御フィルム720とディスプレイパネルとの間に配置されてもよい。光制御フィルム720は、長手方向(
図7Aの断面においてz方向に平行な曲線方向)に沿って延びる、交互する光透過領域724及び光吸収領域719を含み、第2の光制御フィルム770は、光制御フィルム720の長手方向に実質的に直交する第2の長手方向(
図7Bの断面においてx方向に平行な曲線方向)に沿って延びる、複数の交互する第2の光透過領域774及び光吸収領域769を含む。第2の光制御フィルム770は、他の箇所で説明されたように、傾いたルーバを有してもよい。光制御フィルム720及び第2の光制御フィルム770は、湾曲したディスプレイの光出力が所望の分布を有するように、所定の分布を有するよう選択されたルーバ傾斜を有するルーバを有してもよい。例えば、所望の光出力分布は、光制御フィルムのそれぞれにおける隣接するルーバ間の透過領域を通る中心光線が、湾曲したディスプレイから出る際にディスプレイ表面の中心でディスプレイ表面に垂直な軸に平行な方向に屈折するようなものであってもよい。
【0036】
ディスプレイは、観察者に向かう若しくは観察者から離れるいずれかの方向に湾曲させることができ、又は観察者に向かうか若しくは観察者から離れる方向の組み合わせで湾曲させることができる。いくつかの実施形態では、湾曲したディスプレイ100は、観察者170に対して画像188を表示するように適合され、第1の軸に直交する断面(例えば、軸に直交する、
図1のx-y平面)において、湾曲した主表面112は、湾曲した主表面112の少なくとも過半(例えば、断面における湾曲した主表面112の全弧長の50%超、70%超、又は80%超)に沿って、観察者170に向かって凸状である。同様に、いくつかの実施形態では、湾曲したディスプレイ200は、観察者270に対して画像288を表示するように適合され、第1の軸に直交する断面(例えば、軸に直交する、
図2のx-y平面)において、湾曲した主表面212は、湾曲した主表面212の少なくとも過半に沿って、観察者270に向かって凸状である。他の実施形態では、
図8に概略的に示されるように、第1の軸(z軸)の周りで湾曲し、湾曲した主表面812を有するディスプレイパネルを含む、湾曲したディスプレイ800が、観察者870に対して画像888を表示するように適合され、第1の軸に直交する断面(x-y断面)において、湾曲した主表面812は、湾曲した主表面812の少なくとも過半に沿って観察者870に向かって凹状である。いくつかの実施形態では、
図9に概略的に示されるように、第1の軸(z軸)の周りで湾曲し、湾曲した主表面912を有するディスプレイパネルを含む、湾曲したディスプレイ900が、観察者970に対して画像988を表示するように適合され、第1の軸に直交する断面(x-y断面)において、湾曲した主表面912は、湾曲した主表面912の第1の部分991に沿って観察者970に向かって凹状であり、湾曲した主表面912の異なる第2の部分992に沿って観察者970に向かって凸状である。
【0037】
いくつかの実施形態では、ディスプレイは、観察者に対して非対称な向きを有する。このことは、湾曲した主表面1012を有するディスプレイパネルを備える湾曲したディスプレイ1000を概略的に示す、
図10に概略的に示され、湾曲した主表面1012は、ディスプレイ1000に対して好ましい観察位置に位置する観察者1070に対して非対称な向きを有する。ディスプレイ1000の光制御フィルムのルーバは、光制御フィルムを通って伝搬する中心光線が、湾曲したディスプレイ1000から出る際に主に観察者1070に向けられるような、傾斜分布を有してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、光吸収領域は、(例えば、
図1及び
図2に概略的に示されるような)実質的に一定の厚さを有するルーバによって画定される。他の実施形態では、光吸収領域は、テーパ状断面を有するルーバによって画定される。テーパ状ルーバは、例えば、
図11に概略的に示されている。
【0039】
図11は、光制御フィルム1120の一部分の概略断面図であり、光制御フィルム1120は、複数の交互する光透過領域1124及び光吸収領域1119をそれぞれ含むルーバ要素としても説明されてもよい。光制御フィルム1120は、光制御フィルム1120’と、光制御フィルム1120’上に配置された追加要素1140とを含む。いくつかの実施形態では、追加要素1140は、タッチセンサ、光学フィルム(例えば、多層光学フィルム)、ガラス層、又は拡散体のうちの1つ以上を含む。図示される実施形態では、追加要素1140は、多層光学フィルム1143と、多層光学フィルム1143上に配置された拡散体1147とを含む。追加要素1140は、接着剤層1149によって光制御フィルム1120’に接合されている。図示される実施形態では、光制御フィルム1120’は、ベース基材1142上に配置されたルーバ層1144を含む。光透過領域1124を通る中心光線透過方向は、光制御フィルム1120の図示される部分において(y軸に沿って)実質的に垂直である。しかし、中心光線透過方向が、本明細書の他の箇所で説明されたように、光制御フィルム1120にわたって変化することが理解されるであろう。追加要素1140は、例えば、米国特許第8,503,122号(Liuら)及び同第8,659,829号(Walker,Jr.ら)に記載されているように、光制御フィルムを通る光出力を調整するように含めることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、拡散体1147は主に体積拡散体(例えば、拡散のほとんどが層のバルク内で生じる、ビーズ状の(beaded)拡散層)である。いくつかの実施形態では、拡散体1147は主に表面拡散体(例えば、拡散のほとんどが表面で生じる、構造化表面を有する拡散層)である。好適な拡散体は、例えば、米国特許第8,659,829号(Walker,Jr.ら)及び米国特許出願公開第2012/0064296号(Walker,Jr.ら)に記載されている。
【0041】
図12は、本明細書の他の箇所で説明されたような中心光線透過方向の分布を有し得る、複数の交互する光透過領域1224及び光吸収領域1219を含む光制御フィルム1220の一部分の概略断面図である。いくつかの実施形態では、一体型フィルム1244が光透過領域1224を含む。透過領域及び吸収領域のための溝を含む一体型フィルムを含む光制御フィルムは、例えば、米国特許第8,213,082号(Gaidesら)に記載されている。いくつかの実施形態では、吸収領域1219は、複数の粒子1248を含む。粒子1248は、光の散乱又は吸収の少なくとも一方に適合されてもよい。いくつかの実施形態では、光散乱粒子と光吸収染料との組み合わせが、吸収領域1219に使用される。いくつかの実施形態では、複数の粒子1248は、カーボンブラック粒子を含む。いくつかの実施形態では、カーボンブラック粒子は、10マイクロメートル未満又は1マイクロメートル未満(例えば、5nm又は10nm~10マイクロメートル又は1マイクロメートル)の平均粒径(例えば、D
50)を有する。
【0042】
図13は、本明細書の他の箇所で説明されたような中心光線透過方向の分布を有し得る、複数の交互する光透過領域1324及び光吸収領域1319を含む光制御フィルム1320の一部分の概略断面図である。いくつかの実施形態では、各吸収領域1319は、複数の層1361、1366を含む。いくつかの実施形態では、複数の層は、外側層1361同士の間に配置されている中心層1366を含み、中心層は、外側層よりも(例えば、少なくとも1.5倍)高い消光係数を有する。このような層状吸収領域は、例えば、米国特許第5,254,388号(Melbyら)に記載されているように、ゴーストを低減するために使用することができる。
【0043】
湾曲したディスプレイのディスプレイパネルは、任意の好適な種類のディスプレイパネルであり得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネルは、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)ディスプレイパネル、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、又は静的ディスプレイパネルである。湾曲したディスプレイは、例えば、消費者向け電子機器又は自動車用ディスプレイに使用され得る。湾曲したディスプレイは、例えば、ハンドヘルドディスプレイ(例えば、スマートフォンディスプレイ)、テレビディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、又は看板ディスプレイ(例えば、広告のための静的看板)とすることができる。
【0044】
光制御フィルムは、任意の好適な技術によって作製することができる。例示的な技術としては、スカイビング、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ技術、成形、注型及び硬化、又は他のマイクロレプリケーション技術が挙げられる。例えば、交互する光透過層及び光吸収層の多層積層体からフィルムをスカイビングすることにより、光制御フィルムを作製することができる。別の例として、(例えば、レーザーアブレーション又はツールに対する樹脂の注型及び硬化によって)光透過性フィルムに溝を形成することができ、その後に、溝に光吸収材料を充填することができる。光制御フィルム及び関連物品の製造方法は、例えば、米国特許第2,122,135号(Freeman)、Re.27,617(Olsen)、同第8,213,082号(Gaidesら)、同第8,503,122号(Liuら)、及び同第8,659,829号(Walker,Jr.ら)に記載されている。
【0045】
所望のルーバ傾斜(ルーバとディスプレイの面法線との間の角度)は、以下のように決定することができる。光制御フィルム上の箇所における中心光線透過方向を、(例えば、y方向に沿う)所望の出力方向から逆光線トレースによって決定することができる。この中心光線透過方向は、ディスプレイ表面に沿って計算することができ、ディスプレイ表面の形状及び光透過領域の屈折率に概ね依存する。これにより、ルーバ(又は中心光線透過方向)とディスプレイの面法線との間の角度をディスプレイ表面に沿って決定することができる。このために、所望の成形型若しくはツールの幾何学的形状を決定することができ、又は多層積層体から光制御フィルムを切り出し若しくはスカイビングできる所望の曲線形状を決定することができる。いくつかの実施形態では、光制御フィルムは、湾曲したディスプレイの表面の形状を有する湾曲面と、湾曲面の中心にある接平面との中間にある曲線に沿って多層積層体からフィルムをスカイビングすることによって形成される。
【0046】
図14Aは、交互する光透過層1424及び光吸収層1419を含む多層積層体1490の概略図である。多層積層体から切り出され得る光制御フィルム1420が概略的に示され、ディスプレイパネルの湾曲した主表面1412が、多層積層体に重ねて概略的に示されている。
図14Bは、光制御フィルムの主表面に対応する湾曲面1462と、第1の表面1402及び第2の表面1493との概略図であり、第1の表面1402は、ディスプレイパネルの湾曲した主表面1412の形状を有し、第2の表面1493は、第1の表面1402の中心において第1の表面1402に接する平面である。いくつかの実施形態では、湾曲した主表面1412を有するディスプレイパネル用の光制御フィルム1420を製造する方法が、ディスプレイパネルの湾曲した主表面1412の形状を決定することと、複数の交互する光透過層1424及び光吸収層1419を含む多層積層体1490を提供することと、光制御フィルム1420の少なくとも互いに反対側にある主湾曲面1422、1432に沿って多層積層体1490から光制御フィルム1420を切り出すことと、を含む。湾曲面1422、1432のそれぞれについて、湾曲面の少なくとも過半(湾曲面の総面積の50%超)が、第1の表面1402と第2の表面1493との中間にあり、第1の表面1402は、ディスプレイパネルの湾曲した主表面1412の形状を有し、第2の表面1493は、(例えば、第1の表面1402の中心において)第1の表面1402に接する平面である。多層積層体1490から光制御フィルム1420を切り出すことは、光制御フィルム1420の主表面を越えて多層積層体1490の縁部まで切断することを含んでもよく、及び/又は光制御フィルム1420の副側面に沿って切断することも含んでもよい。代替的に、多層積層体1490(例えば、
図14Aのx方向の)の幅が、光制御フィルム1420の副側面が多層積層体1490の側面の部分と一致するように、選択されてもよい。
【0047】
図14Bでは、湾曲面1462は、湾曲面1422又は湾曲面1432のいずれかに対応してもよい。湾曲面1422の第1及び第2の表面は、y軸(第2の表面に垂直な軸)に沿う平行移動でのみ湾曲面1432の第1及び第2の表面と異なってもよい。湾曲面1462が、第1の表面1402の中心付近を除いて第1の表面1402及び第2の表面1493のいずれにも沿うことなく第1の表面1402と第2の表面1493との間にあるため、湾曲面1462の少なくとも過半が、第1の表面1402と第2の表面1493との間にある。いくつかの実施形態では、湾曲面1462の面積の少なくとも80パーセント又は少なくとも90パーセントが、第1の表面1402と第2の表面1493との中間にある。いくつかの実施形態では、方法は、光制御フィルム1420が、湾曲したディスプレイを提供するために、ディスプレイパネルの湾曲した主表面1412に概ね適合するように光制御フィルム1420の曲げを大きくすることを更に含む。
【0048】
ディスプレイパネルの湾曲面1412の形状を決定することは、例えば、形状を測定することにより、又はディスプレイパネルの製造業者から形状に関する仕様若しくはデータを受け取ることにより、実施することができる。多層積層体は、例えば、積層体を押し出すことにより、当該技術分野で知られている他の加工手段によって積層体を形成することにより、又は積層体を供給元から購入することにより、提供され得る。
【0049】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0050】
第1の実施形態は、
湾曲した主表面を備えるディスプレイパネルであって、湾曲した主表面が第1の軸の周りで湾曲しており、湾曲した主表面の中央部分が、第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿う面法線を有する、ディスプレイパネルと、
ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムであって、ディスプレイパネルの湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する第1の主表面を備える光制御フィルムと、を備える、湾曲したディスプレイであって、光制御フィルムが、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域であって、第1の軸に平行な長手方向に沿って延びて第1の主表面と実質的に同一の広がりを有し、かつ第1の軸及び第2の軸に直交する方向に沿って配置された、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備え、光透過領域が1.2超の屈折率を有し、第1の軸に直交する断面において、かつ複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域の少なくとも過半の各光透過領域について、光透過領域及び隣接する光吸収領域が、光透過領域を通る中心光線透過方向を画定し、ディスプレイパネルによって放出され、中心光線透過方向に沿って光透過領域を透過した光線が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸に実質的に平行な方向に屈折する、湾曲したディスプレイである。
【0051】
第2の実施形態は、湾曲した主表面が、ディスプレイパネルの光出力面であり、光制御フィルムが、光出力面から光を受光するように配置されている、第1の実施形態の湾曲したディスプレイである。
【0052】
第3の実施形態は、湾曲した主表面が、ディスプレイパネルの光入力面であり、光制御フィルムが、光入力面へと光を透過させるように配置されている、第1の実施形態の湾曲したディスプレイである。
【0053】
第4の実施形態は、ディスプレイパネルを照明するように配置されているバックライトを更に備え、バックライトが光制御フィルムを備える、第1~第3の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0054】
第5の実施形態は、第1の軸に直交する断面において、中心光線透過方向が湾曲した主表面の法線と角度をなし、角度が、光制御フィルムの中央領域における5度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度まで連続的に変化している、第1~第4の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0055】
第6の実施形態は、第1の軸に直交する断面において、中心光線透過方向が湾曲した主表面の法線と角度をなし、角度が、光制御フィルムの中央領域における3度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも15度まで単調に増加している、第1~第5の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0056】
第7の実施形態は、観察者に対して画像を表示するように適合されており、第1の軸に直交する断面において、湾曲した主表面が、湾曲した主表面の少なくとも過半に沿って観察者に向かって凹状である、第1~第6の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0057】
第8の実施形態は、観察者に対して画像を表示するように適合されており、第1の軸に直交する断面において、湾曲した主表面が、湾曲した主表面の少なくとも過半に沿って観察者に向かって凸状である、第1~第6の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0058】
第9の実施形態は、ディスプレイパネルとは反対側で光制御フィルム上に配置された追加要素を更に備える、第1~第8の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0059】
第10の実施形態は、追加要素が、タッチセンサ、光学フィルム、ガラス層、又は拡散体のうちの1つ以上を含む、第9の実施形態の湾曲したディスプレイである。
【0060】
第11の実施形態は、
湾曲した主表面を備えるディスプレイパネルであって、湾曲した主表面が第1の軸の周りで湾曲しており、湾曲した主表面の中央部分において第1の軸に実質的に直交する第2の軸に沿い、かつ湾曲した主表面の縁部部分において第2の軸と少なくとも15度の角度γをなす、面法線を有する、ディスプレイパネルと、
ディスプレイパネルに近接して配置された光制御フィルムであって、ディスプレイパネルの湾曲した主表面と実質的に同じ形状を有する第1の主表面を備える、光制御フィルムと、を備える、湾曲したディスプレイであって、光制御フィルムが、第1の軸に平行な長手方向に沿って延び、かつ第1の軸及び第2の軸に直交する方向に沿って配置された、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域を備え、第1の軸に直交する断面において、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域がそれぞれ、湾曲した主表面の面法線と角度φをなし、かつ第2の軸と角度αをなす、中心光線透過方向を画定しており、角度φ及びαがそれぞれ、光制御フィルムの中央領域における5度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも10度まで増加している、湾曲したディスプレイである。
【0061】
第12の実施形態は、角度φが、光制御フィルムの中央領域における3度未満から、光制御フィルムの縁部領域における少なくとも15度まで単調に増加している、第11の実施形態の湾曲したディスプレイである。
【0062】
第13の実施形態は、光制御フィルムの第1の主表面が、ディスプレイパネルの湾曲した主表面上に配置され、かつ湾曲した主表面に適合している、第11又は第12の実施形態の湾曲したディスプレイである。
【0063】
第14の実施形態は、光制御フィルムが、複数の交互する光透過領域及び光吸収領域における光透過領域及び隣接する光吸収領域のそれぞれについて、ディスプレイパネルから中心光線透過方向に沿って光透過領域を透過した光線が、湾曲したディスプレイから出る際に第2の軸に実質的に平行な方向に屈折するように構成されている、第11~第13の実施形態のいずれか1つの湾曲したディスプレイである。
【0064】
第15の実施形態は、湾曲した主表面を有するディスプレイパネル用の光制御フィルムを製造する方法であって、
ディスプレイパネルの湾曲した主表面の形状を決定することと、
複数の交互する光透過層及び光吸収層を備える多層積層体を提供することと、
光制御フィルムの少なくとも互いに反対側にある主湾曲面に沿って多層積層体から光制御フィルムを切り出すことと、を含む、方法であって、湾曲面のそれぞれについて、湾曲面の少なくとも過半が、第1の表面と第2の表面との中間にあり、第1の表面が、ディスプレイパネルの湾曲した主表面の形状を有し、第2の表面が、第1の表面に接する平面である方法である。
【0065】
前述の参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0066】
図内の要素についての記載は、別段の指示がない限り、他の図内の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることを意図する。
【国際調査報告】