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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】自動車投光器の照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20220824BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220824BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20220824BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220824BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220824BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220824BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/143
F21S41/16
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W102:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576907
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020065793
(87)【国際公開番号】W WO2020259993
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】19182830.0
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ミッターレーナー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】カーリンガー、ギュンター
(57)【要約】
【課題】複雑で高価な位置決め装置を用いないで調整を行うことのできる照射装置を創作する。
【解決手段】自動車投光器の照射装置であって、該照射装置は、レンズシステム(1, 10)と、少なくとも1つの光源(2)とを含み、この際、少なくとも1つの光源(2)により光像(LI)が生成可能であり、この際、光源(2)により生成可能な光像(LI)は、レンズシステム(1, 10)を用いて配光のかたちで該照射装置の前方に投射可能であり、この際、レンズシステム(1, 10)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)と、投射光学系ホルダ(4, 40)とを有し、この際、投射光学系ホルダ(4, 40)内には、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)が構成されており、この際、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)に対応し、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)は、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内に受容されており、この際、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内に受容された投射光学系(3, 30, 31)のポジションを、光像(LI)が実質的にレンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内には、基準点システム(6, 60, 61)が規定されており、この際、基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則に従って配設されており、この際、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、閉鎖要素(7, 70)を用い、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)が、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内で基準点システム(6, 60, 61)により固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器の照射装置であって、該照射装置は、
- レンズシステム(1, 10)と、少なくとも1つの光源(2)とを含み、少なくとも1つの光源(2)により光像(LI)が生成可能であり、光源(2)により生成可能な光像(LI)は、レンズシステム(1, 10)を用いて配光のかたちで該照射装置の前方に投射可能であり、
- レンズシステム(1, 10)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)と、投射光学系ホルダ(4, 40)とを有し、
- 投射光学系ホルダ(4, 40)内には、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)が構成されており、
- 少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)に対応し、
- 少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)は、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内に受容されており、
- 少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内に受容された投射光学系(3, 30, 31)のポジションを、光像(LI)が実質的にレンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内には、基準点システム(6, 60, 61)が規定されており、
- 基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則に従って配設されており、
- 少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、閉鎖要素(7, 70)を用い、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)が、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内で基準点システム(6, 60, 61)により固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられていること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
レンズシステム(1, 10)は、少なくとも2つの投射光学系(3, 30, 31)を含み、投射光学系ホルダ(4, 40)内には、少なくとも2つの受容部(5, 50, 51)が構成されており、各受容部(5, 50, 51)は、それぞれ1つの投射光学系(3, 30, 31)に対応し、異なる受容部(5, 50, 51)は、異なる投射光学系(3, 30, 31)に対応し、
各投射光学系(3, 30, 31)は、この投射光学系(3, 30, 31)に対応する受容部(5, 50, 51)内に受容されており、異なる投射光学系(3, 30, 31)は、異なる受容部(5, 50, 51)内に受容されており、
各受容部(5, 50, 51)内には、この受容部(5, 50, 51)内に受容された投射光学系(3, 30, 31)のポジションを固定するために、それぞれ基準点システム(6, 60, 61)が規定されており、
各基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則に従って配設されており、
異なる基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、異なる投射光学系(3, 30, 31)の光軸線が一致し且つ光像(LI)がレンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置するよう、投射光学系(3, 30, 31)の全ての固定されたポジションが互いに調整されているように構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
各受容部(5, 50, 51)は、それぞれ1つの閉鎖要素(7, 70)により閉じられており、閉鎖要素(7, 70)のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの投射光学系(3, 30, 31)のうちの1つとして構成されていること、
を特徴とする、請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則による、面の原理、又は並進-回転-ストップの原理に従って配設されていること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項5】
少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、受容部底部(5a, 50a, 51a)を有し、基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)のうちの少なくとも3つが基準化要素(6-1から6-3, 60-1から60-4, 61-1から61-4)として構成されており、これらの少なくとも3つの基準化要素(6-1から6-3, 60-1から60-4, 61-1から61-4)は、受容部底部(5a, 50a, 51a)と、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)との間に配設されており、受容部底部(5a, 50a, 51a)と投射光学系(3, 30, 31)の双方に接触し、基準点システム(6, 60, 61)の一次面(YZ)を規定し、該一次面(YZ)は、好ましくは実質的に受容部底部(5a, 50a, 51a)と平行に配設されていること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、側壁部(5b, 50b, 51b)を有し、基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)のうちの少なくとも2つの更なる基準点がセンタリング要素(6-4から6-6, 60-5から60-16, 61-5から61-10)として構成されており、これらの少なくとも2つのセンタリング要素(6-4から6-6, 60-5から60-16, 61-5から61-10)は、側壁部(5b, 50b, 51b)の内周部と、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)との間に配設されており、側壁部(5b, 50b, 51b)と投射光学系(3, 30, 31)の双方に接触し、一次面(YZ)に沿った少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)の運動を制限すること、
を特徴とする、請求項5に記載の照射装置。
【請求項7】
少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、受容開口部(5c, 50c, 51c)を有し、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)を閉じる閉鎖要素(7, 70)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)から出射する光が閉鎖要素(7, 70)を通過可能であるように、受容開口部(5c, 50c, 51c)内に構成されていること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
閉鎖要素は、固定留め具(70)として構成されていること、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
固定留め具(70)は、該固定留め具(70)が、投射光学系ホルダ(4, 40)内に受容された少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)を少なくともレンズシステム(1, 10)の光軸線(X)の方向とは反対の方向に押し付けるように、投射光学系ホルダ(4, 40)に取り付けられていること、
を特徴とする、請求項8に記載の照射装置。
【請求項10】
固定留め具は、ロック結合部により投射光学系ホルダ(4, 40)と結合されていること、
を特徴とする、請求項8又は9に記載の照射装置。
【請求項11】
少なくとも1つの光源(2)は、面状光変調器、特にDMDチップを含み、該面状光変調器上に光像(LI)を生成し、好ましくは、該面状光変調器のミラーアレイが、レンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置すること、
を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項12】
レンズシステム(1, 10)は、更に少なくとも1つの、好ましくは面状の、特に平坦な絞り装置(11, 12)を含むこと、
を特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項13】
少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)は、2つの部分レンズ(30a, 30b)から成り、好ましくはアクロマート作用を有すること、
を特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項14】
レンズシステム(1, 10)は、弾性要素を含み、該弾性要素は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)を少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内で締め付けるように構成されており、該弾性要素は、好ましくは投射光学系ホルダ(4, 40)内に配設されていること、
を特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器(例えば自動車前照灯)の照射装置に関し、特に所定の投射原理に従って機能する照射装置に関する。
【0002】
該照射装置は、少なくとも1つの光源と、この少なくとも1つの光源を用いて生成可能な光像を配光のかたちで該照射装置の前方に投射するためのレンズシステム(ないしオブジェクティブ)とを含んでいる。該照射装置が自動車投光器に取り付けられているのであれば、スイッチオンされた該照射装置は、配光を自動車投光器の前方に形成し、ないし自動車投光器が既に自動車内に取り付けられているのであれば自動車の前方に形成する。好ましくは、少なくとも1つの光源は、該光源が光像を生成することのできる面部を含み、該光源がスイッチオンされている場合にこの光像を前記面部において生成する。特に少なくとも1つの光源は、レンズシステムの方を向いた前記面部の側において光像を生成することができる。レンズシステムは、少なくとも1つの投射光学系と、投射光学系ホルダとを含み、この際、投射光学系ホルダ内には、少なくとも1つの受容部が構成されており、この際、少なくとも1つの受容部は、少なくとも1つの投射光学系に対応し、少なくとも1つの投射光学系は、少なくとも1つの受容部内に受容されている。
【0003】
更に本発明は、そのような照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0004】
少なくとも1つの投射光学系は、1つのレンズとしてよく、例えば、両凹レンズ、両凸レンズ、平凹レンズ、平凸レンズ、又は複数のそのようなレンズから成る1つのレンズ系としてよい。本発明の関連で「レンズシステム(オブジェクティブ Objektiv)」との概念のもとでは、対象(光像)の実際の光学的な結像(照射装置の前方の配光)を生成する散乱光学システムとして理解される。最も単純なレンズシステムは、単一のレンズだけを含むことができる。光源がスイッチオンされていない場合には、レンズシステムは、スイッチオフされた光源による結像を生成し、好ましくは光源が前記の光像を生成することのできる面部による結像を生成することは、自明である。
【0005】
上記の形式の照射装置は、従来技術から公知である。例えば下記特許文献1(AT 517126 B1)及び下記特許文献2(DE 10 2012 213842 A1)を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】オーストリア国特許第517126号
【特許文献2】独国特許出願公開第102012213842号
【特許文献3】独国特許発明第102010046626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術から公知の照射装置では、レンズシステムないしレンズシステム内の投射光学系を正確に位置決めするための複雑で高価な位置決め装置が使用される。この際、製造に際して高いプロセスコストをもたらすことになる長いトレランスチェーン(許容差の積み重ね)が発生する。また上記特許文献1から公知の位置決め装置は、回転対称レンズのためだけに設計されている。
【0008】
従って、本発明の課題は、複雑で高価な位置決め装置を用いないで調整を行うことのできる照射装置を創作することであり、この際、該照射装置のレンズシステムでは、回転対称レンズだけが使用されるのではなく、また該照射装置では、特にレンズシステム内のトレランスチェーンが短くされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明に従い、少なくとも1つの受容部内に受容された投射光学系のポジションを、光像が実質的にレンズシステムの焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部内には、基準点システムが規定されており、この際、基準点システムの基準点は、3-2-1規則に従って配設されており、この際、少なくとも1つの受容部は、閉鎖要素を用い、少なくとも1つの投射光学系が、少なくとも1つの受容部内で基準点システムにより固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられていること、により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
本発明との関連で「実質的にレンズシステムの焦点面に位置する光像」との概念のもとでは、焦点面と少なくとも平行に配置されており且つ好ましくは焦点面と一致する面内に位置する光像として理解される。この際、とりわけ配光内の明暗移行部のある程度の不鮮明さが達成されるべき場合は、位置決めについて本専門分野で許される小さい不正確さは容認される。
【0012】
本発明との関連で「3-2-1規則」との概念のもとでは、許容差管理(トレランスマネージメント)から知られている規則として理解される。(三次元空間内で一固体のポジションを6つの自由度(3つの並進運動方向と3つの回転運動方向)を制限して固定可能とするための3-2-1規則では、一次面と二次面と三次面が規定される。一次面は3点により固定され、二次面は2点により固定され、三次面は1点により固定される。それらの面は、理想的には互いに直角に位置する。)
【0013】
前記の閉鎖要素(クローズ要素)は、構造上適切に構成されていることが可能であり、例えば、対応の受容部を閉じるために対応の形状を有することができる。閉鎖要素は、例えば、対応の受容部を投射光学系ホルダに関して内側で閉じる、投射光学系のうちの1つとして構成されていることが可能である。しかしまた閉鎖要素は、投射光学系ホルダを開放端部において例えばフレーム状で囲み且つ対応の受容部を投射光学系ホルダに関して外側で閉じる固定留め具(固定クランプ部材)として構成されていることも可能である(図面を参照)。
【0014】
また閉鎖要素は、受容部から投射光学系が脱落することを防ぐこともできる。しかしながらこの投射光学系に対応する受容部内に位置固定されて保持される少なくとも1つの投射光学系の遊びは、排除されていない。この遊びは、例えば、受容部内への投射光学系の挿入を簡単にし、投射光学系ホルダ内の複数の投射光学系の組み立てを容易にすることができる。
【0015】
好ましい一実施形態において、投射光学系ホルダは、一体的に構成されていることが可能である。特に有利な一実施形態において、投射光学系ホルダは、マグネシウムダイカストから製造されていることができる。しかしまた投射光学系ホルダがプラスチック射出成形部材として構成されていることも考えられる。それに加え、投射光学系ホルダがチクソモールディングないしチクソフォーミングにより製造されていることも考えられる。投射光学系ホルダのための製造法の選択は、精度要求がどれだけ高いか、或いは製造における許容差変動がどれだけ小さくあるべきかに依存する。この際、プラスチック射出成形は、極めて好ましい方法である。ダイカスト法は、プラスチック射出成形よりも高価であるが、より小さい許容差を可能にする。チクソモールディングは、ダイカストよりも高価であるが、ダイカストよりも更に小さい許容差を可能にする。それに加え、オーバーミリング(フライス加工)は、固有のプロセスステップとして可能であろう。しかしながらオーバーミリングは、極めて高価であるが、予設定された規定寸法のフレキシブルな適合を可能にする。
【0016】
投射光学系ホルダが、投射光学系ホルダの互いに対向位置する側面部から突出するハンドリング領域を有することは、目的に適い得る。このハンドリング領域は、投射光学系ホルダの簡単で好ましくは自動的なハンドリング(係合)ないし簡単な把持を可能にするために設けられていることができる。そのためにハンドリング領域は、例えば、投射光学系ホルダから側方に延在する側板部材ないし側板形状の要素を有することができる。ハンドリング領域は、例えば、照射装置の軸方向又は光軸線の方向における精密な縦方向位置調節を可能にする産業ロボットにより(自動的に)把持されることが可能である。このように構成されたレンズシステムを備えた照射装置では、光学的な結像の品質を特に簡単に改善することができる。特にそれにより結像鮮明度をより正確に設定することができ、レンズ形状のずれ、レンズ厚さの許容差などにより引き起こされる結像欠陥(収差)を少なくとも部分的に補償することができる。このことは、ロゴ投影を生成するために使用され且つ従って高い結像鮮明度を必要とする照射装置において特に有利であり得る。
【0017】
特に好ましい一実施形態において、レンズシステムは、少なくとも2つの投射光学系を含み、投射光学系ホルダ内には、少なくとも2つの受容部が構成されていることができ、この際、各受容部は、それぞれ1つの投射光学系に対応し、異なる受容部は、異なる投射光学系に対応し、この際、各投射光学系は、この投射光学系に対応する受容部内に受容されており、異なる投射光学系は、異なる受容部内に受容されている。この際、各受容部内には、この受容部内に受容された投射光学系のポジションを固定するために、それぞれ基準点システムが規定されている。異なる受容部内には、好ましくは異なる基準点システムが規定されている。この際、既述したように、各基準点システムの基準点は、3-2-1規則に従って配設されており、またこの際、異なる基準点システムの基準点は、異なる投射光学系の光軸線が一致し且つ光像がレンズシステムの焦点面内に位置するよう、投射光学系の全ての固定されたポジションが互いに調整されているように構成されている。
【0018】
複数の受容部が異なる大きさであると、有利であり得る。この際、各受容部は、それ自体一定の大きさを有する(先細りも拡大もしない)ことができる。
【0019】
更に、受容部の大きさが、少なくとも1つの光源に向かい、例えば段階的に減少すると、有利であり得る。例えば、少なくとも1つの光源の最も近くに位置する受容部の大きさが最小であり得る。
【0020】
更に有利には、各受容部がそれぞれ1つの閉鎖要素により閉じられていることができ、この際、閉鎖要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの投射光学系のうちの1つとして構成されている。異なる投射光学系、従って異なる受容部は、異なる大きさとすることができる。例えば、投射光学系のうちの1つは、2つ以上の例えば異なる大きさの部分レンズから成ることができ、それにより対応の受容部は、2つ以上の部分受容部から成り、この際、部分受容部の各々は、対応の部分レンズを受容するように構成されている。それに加え、部分レンズの間には、例えば光軸線の方向に部分レンズを互いに基準化する(referenzieren;即ち光軸線の方向において互いの位置合わせを行う)複数の更なる基準点を設けることができる。
【0021】
レンズシステムがアポクロマート作用(赤青緑の三波長の色収差を補正する作用)を有するように少なくとも2つの投射光学系が構成されていると、更に光技術的な利点が得られる。それにより例えばロービーム配光における明暗境界の周りの色縁、又は色横収差を減少させることもできる。
【0022】
基準点システムの基準点が、3-2-1規則による、面の原理(x面、y面、z面内の面により支承箇所が表される)、又は並進-回転-ストップ(回転軸線において支承箇所がそれぞれ2つの第1基準と第2基準を構成し、回転ストップが第3の第1基準を構成し、並進ストップが第3基準を構成する)の原理に従って配設されていると、更なる利点が得られる。
【0023】
更に有利には、少なくとも1つの受容部が受容部底部を有し、基準点のうちの少なくとも3つが基準化要素(即ち光軸線の方向における位置合わせ要素)として構成されていることができ、この際、これらの少なくとも3つの基準化要素は、受容部底部と、少なくとも1つの受容部内に受容された少なくとも1つの投射光学系との間に配設されており、受容部底部と投射光学系の双方に接触し、基準点システムの一次面を規定し、該一次面は、好ましくは実質的に受容部底部と平行に配設されている。このことは、受容部が複数ある場合には、好ましくは各受容部に対して該当する。この際、受容部底部は(少なくとも部分的に)投射光学系により又は投射光学系ホルダの底部により構成されていることが可能である。この際、例えば少なくとも1つの投射光学系は、基準化要素上に載置することができる。更に基準化要素は、少なくとも1つの投射光学系に、部分レンズのうちの1つに、又は投射光学系ホルダに構成されていることが可能である。投射光学系が複数ある場合には、複数の対応の一次面は、好ましくは互いに平行である。
【0024】
本発明との関連で「投射光学系ホルダの底部」との概念のもとでは、投射光学系ホルダの開口部に向き合って位置し光軸線に対して直角に配置された面として理解される。この際、この開口部は、投射光学系(単数又は複数)が投射光学系ホルダ内に挿入されるための投射光学系ホルダの開口部として理解される。従って「受容部底部」との概念は、光軸線に対して直角に配置されている面として理解される。
【0025】
更に有利には、少なくとも1つの受容部内に4つの基準化要素が設けられている(そして全ての4つの基準化要素は同じ一次面を規定する)ことができる。第4の基準化要素は、例えば、受容部内で投射光学系が傾くことを防ぐのに役立つ。受容部が複数ある場合には、各受容部内に4つの基準化要素が配設されていることが目的に適い得る。
【0026】
特に有利な一実施形態において、基準化要素は、光軸線の方向に延在する突出部、好ましくは隆起部、特に凸状の隆起部として構成されていることができる。例えば、基準化要素は、その上面部が平坦にされた半球体として構成されていることが可能である。この際、前記の基準面又は一次面は、基準化要素の端部により規定されていることが可能である。
【0027】
基準化要素が投射光学系ホルダに及び/又は少なくとも1つの投射光学系に形成されており、好ましくは投射光学系ホルダとともに及び/又は少なくとも1つの投射光学系とともにモノリシック構造体を構成すると、格別の利点が得られる。この際、1つ又は複数の投射光学系(又は部分レンズ)が6個、8個、又はそれよりも多くの基準化要素を有すると、とても有利であり得る。また基準化要素が投射光学系に形成され、例えば投射光学系の光学的に作用しない面部に形成されていると、特に好ましい。
【0028】
それに加え、基準化要素が間隔保持器(スペーサ)として構成されていると、有利で有り得る。
【0029】
投射光学系ホルダ及び/又は少なくとも1つの投射光学系が、基準化要素に対応する対向要素を有すると、更なる構造技術的な利点を得ることができる。これらの対向要素は、例えば、突出部又は間隔保持器に対応する窪み部、凹部、穴部(有底穴部又は貫通穴部)として構成されていることが可能であり、突出部又は間隔保持器は、これらに少なくとも部分的に係合することができる。
【0030】
この際、少なくとも1つの受容部が、例えば受容部底部に接続する側壁部を有すると、、目的に適い得て、この際、基準点のうちの少なくとも2つの更なる基準点(基準化要素としては構成されていないもの)がセンタリング要素として構成されており、ないしセンタリング要素により固定されている。側壁部は、一体的に構成されている必要はない。例えば、受容部の側壁部は、投射光学系ホルダの側壁部により、又は部分的に投射光学系ホルダの側壁部により且つ部分的に閉鎖要素により構成されていることが可能である。
【0031】
この際、少なくとも2つのセンタリング要素が、側壁部の内周部と、少なくとも1つの受容部内に受容された少なくとも1つの投射光学系との間に配設されており、側壁部と投射光学系の双方に接触し、一次面に沿った少なくとも1つの投射光学系の運動を制限すると、有利であり得る。この際、レンズシステムが組み立てられた状態では、全ての投射光学系が対応のセンタリング要素に接触する必要はないことを付言する。つまり投射光学系とセンタリング要素の間にはある程度の遊びが許されている。しかし必要に応じてこの遊びは、例えば、ばね部材(弾性要素)を用いて減少され、むしろ完全に無くすことができる。
【0032】
この際、センタリング要素が投射光学系ホルダの側壁部の内周部に形成されており、好ましくは投射光学系ホルダとともにモノリシック構造体を構成すると、目的に適い得る。
【0033】
特に好ましい一実施形態において、センタリング要素は、光軸線の方向に延在し且つ好ましくは上面部が平坦にされたセンタリング隆起部として構成されていることが可能である。これらの隆起部の縦方向は、光軸線の方向と一致することができる。それに加え、これらのセンタリング隆起部は、レンズシステムの中央部に向かい、好ましくは光軸線に対して直角に投射光学系ホルダの内面部から突出することができる。
【0034】
またセンタリング要素は、光軸線と直交する断面において三角形状でありブリッジ部(Steg)により接続されたセンタリング隆起部として構成されていることも可能であり、これらのセンタリング隆起部は、回転対称の投射光学系を特に良好に挿入することのできるV字形状部を形成する。つまりそのようなブリッジ部により(下側で)V字形状の受容部を形成することができ、該受容部は、回転対称レンズに特に良好に適している。
【0035】
それに加え、少なくとも1つの投射光学系が、センタリング要素に対応する対向要素、例えば窪み部を有すると、目的に適い得る。
【0036】
更に、少なくとも1つの受容部は、受容開口部を有することができ、この際、少なくとも1つの受容部を閉じる閉鎖要素は、少なくとも1つの受容部内に受容された少なくとも1つの投射光学系から出射する光が閉鎖要素を通過可能であるように、構成され且つ受容開口部内に配設されている。このことは、受容部が複数ある場合には、好ましくは各受容部及び各閉鎖要素に対して該当する。この際、閉鎖要素は、例えば開口部を有することができる。
【0037】
閉鎖要素は、固定留め具(固定クランプ部材)として構成されていることが可能である。
【0038】
この際、固定留め具は、該固定留め具が、投射光学系ホルダ内に受容された少なくとも1つの投射光学系を少なくともレンズシステムの光軸線の方向(光の出射方向)とは反対の方向に押し付けるように、投射光学系ホルダに取り付けられていると、目的に適い得る。それにより好ましくは、少なくとも1つの投射光学系は、少なくとも1つの投射光学系が光軸線に沿ってもはや運動できないように、投射光学系ホルダ内で位置固定される。投射光学系が複数ある場合には、全ての投射光学系は、固定留め具により光軸線の方向において固定されることが可能である。つまり固定留め具は、複数の投射光学系を投射光学系ホルダ内で締付固定し、それにより光軸線の方向において、光学系の間の遊びは、もはや可能ではない。
【0039】
好ましい一実施形態において、受容開口部は、少なくとも1つの光源から最も離れて位置する投射光学系ホルダの端部に構成されていることが可能である。この場合、固定留め具は、投射光学系ホルダのこの端部に取り付けられていることが可能である。例えば、固定留め具は、該固定留め具が投射光学系ホルダにロック可能であるために、投射光学系ホルダの前記端部に形成されたロックノーズ部に適合するロック開口部を有することができる。これらのロックノーズ部は、例えば、投射光学系ホルダの端部の外周部に形成されていることが可能である。固定留め具は、例えば、投射光学系ホルダの(開いた)端部をフレーム状に囲むことができる。投射光学系が複数ある場合には、固定留め具が、全ての投射光学系を、光源に向かい、即ち光源の方向に、ないし光軸線とは反対の方向に押し付けることは、目的に適い得る。この際、固定留め具は、例えば2つの突出部を有することができる。
【0040】
この際、有利には、固定留め具は、少なくとも1つの光源の方を向いた側で、隆起部の形式の少なくとも2つの突出部を有し、これらの突出部は、固定留め具から、好ましくは光軸線の方向とは反対の方向に突出することができる。従って投射光学系ホルダ内への投射光学系の押し付け(押圧)の精度が向上される。所定数の隆起部(少なくとも2つ)は、隆起部と接触状態にある投射光学系が傾きにくいという利点をもたらす。
【0041】
それに加え、少なくとも1つの光源は、面状光変調器、特にDMD(デジタルミラーデバイス)チップを含み、該面状光変調器上に光像を生成することができる。この際、面状光変調器のミラーアレイは、レンズシステムの焦点面内に位置することができる。従って光像を形成することのできる面部は、ミラーアレイとして構成されていることが可能である。しかしまた面部は、1つ又は複数のLEDの発光面として、又はレーザ光源を用いて照射可能な光変換手段プレート部材(ライトコンバージョン手段プレート部材)として構成されていることも可能である。
【0042】
少なくとも1つの光源は、半導体を基礎にした半導体ベースの要素、例えばレーザダイオード及び/又はLEDを含むことができる。
【0043】
好ましい一実施形態において、有利には、レンズシステムは、更に少なくとも1つの、好ましくは面状の、特に平坦な絞り装置(シェード装置)を含むことができる。この際、絞り装置は、光軸線に対して直角に延在することができる。
【0044】
少なくとも1つの絞り装置がそれ自体閉じた絞り縁部(シェードエッジ)を有すると、目的に適い得る。
【0045】
有利には、少なくとも1つの絞り装置は、受容部底部として構成されている。
【0046】
少なくとも1つの絞り装置が、好ましくはレンズシステムの光軸線に対して直角に配設されている別個のプレート部材として構成されていると、更なる利点が得られる。
【0047】
少なくとも1つの絞り装置を用いることにより、配光の品質を更に改善することができる。複数の絞り装置が設けられている場合には、様々な光学的な収差ないし誤差を除去するためにこれらの絞り装置を使用することができる。
【0048】
一実施形態において、別個のプレート部材が通過開口部を有すると、目的に適い得る。これらの通過開口部は、例えば、隆起部として構成された基準化要素に適合するように構成されていることが可能である。組み立てられた状態でこれらの隆起部は、通過開口部内に受容されていることが可能である。それにより投射光学系に関してレンズシステム内のプレート部材のポジションを固定することができる。
【0049】
少なくとも1つの絞り装置が少なくとも1つの(好ましくは2つの)ばね板部材を有すると、更なる利点を得ることができる。それにより投射光学系(単数又は複数)を投射光学系ホルダ内でより良く締付固定することができる。 2つのばね板部材は、傾きを少なくさせる。一般的には、傾きを少なくさせることにより偏心収差が減少される。2つのばね板部材は、例えばそれ自体閉じた絞り縁部の側方に配設されていることが可能である。
【0050】
少なくとも1つの投射光学系が2つの部分レンズから成り、好ましくはアクロマート作用(色収差補正作用)を有すると、特に有利な一実施形態が得られる。それにより例えば色縦収差を減少させることができる。この際、部分レンズの間には、少なくとも3つの更なる基準化要素(Referenzierelement)を設けることができる。ここでは、所謂アクロマート(上記特許文献3(DE 10 2010 046 626 B4)の特に段落[0009]から[0013])に関する。2つの部分レンズのうちの一方は、例えば両凸状又は平凸状に構成されていることが可能であり、この際、他方は、両凹状ないし平凹状に構成されていることが可能である。
【0051】
更に有利には、レンズシステムは、弾性要素を含み、該弾性要素は、少なくとも1つの投射光学系を少なくとも1つの受容部内で締め付けるように構成されている。それらの弾性要素は、例えば、投射光学系ホルダ内に配設され、特に投射光学系ホルダと一体的に構成されていることが可能である。
【0052】
好ましい一実施形態において、照射装置は、光モジュールとして構成されていることが可能である。つまり組み立てられた状態の照射装置は、1つの構成ユニットを構成し、構造的に互いに別個の要素ないしサブユニットから成るわけではない。
【0053】
それに加え、「水平方向」、「垂直方向」、「上方」、「下方」などのような方向に関する概念は、本発明との関連では相対的な意味として理解され、自動車内の本発明の対象の上述の専門的に見て正しい取付位置に関するか、又は光像内ないし交通空間内の放射された配光について本分野での通常の配向に関することが明らかであろう。
【0054】
以下、図面に具体的に示されている例示の実施形態に基づき、更なる利点と共に本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1a】一投射光学系を備えた一照射装置を斜視図として示す図である。
図1b図1aの照射装置を閉鎖要素のない状態で斜視図として示す図である。
図1c図1aの照射装置を閉鎖要素のない状態で且つ投射光学系のない状態で斜視図として示す図である。
図2】3つのレンズを備えた一照射装置を分解図として示す図である。
図3図2の照射装置の投射光学系ホルダを示す図である。
図4】第1投射光学系を備えた図3の投射光学系ホルダを示す図である。
図5図2の照射装置のレンズシステムの断面図を示す図である。
【実施例
【0056】
先ず図1aから図1cを参照する。これらの図は、光モジュールとして構成されてレンズシステム(オブジェクティブ)1と光源2を備えた自動車投光器用の照射装置(照明装置)を示している。光源2は、光像LIを生成することができる。図1aから図1cで見てとれるように、光源2は、該光源2が光像LIを生成することのできる面部を含んでいる。特に少なくとも1つの光源2は、レンズシステム1の方を向いた前記面部の側において光像LIを生成することができる。この面部は、例えば、DMDチップのような面状光変調器のマイクロミラーアレイの面として、レーザダイオード源の光を実質的に白色光に変換することのできる光変換手段(蛍光体)の面として、LEDの光放出層として、或いはまた(シリコンから成る)前置光学系の光出射面、例えばTIRレンズ(内部全反射レンズ)の光出射面として構成されていることが可能である。つまり照射装置がスイッチオンされた状態で光源2は、光像LIを生成し、光像LIは、レンズシステム1により配光のかたちで照射装置の前方に投射される。またレンズシステム1は、少なくとも1つの投射光学系3と、投射光学系ホルダ4とを有する。投射光学系ホルダ4内には、投射光学系3に対応する受容部5が構成されている。投射光学系3は、少なくとも1つの受容部5内に受容されている。投射光学系3は、例えば1つのレンズ、例えば1つの回転対称レンズ(図1aから図1cを参照)としてよい。少なくとも1つの受容部5内には、基準点システム6が規定されており、つまり受容部5内に受容された投射光学系3のポジションを固定する基準点6-1から6-6のシステムである。この際、そのポジションは、光像が実質的にレンズシステム1の焦点面内に位置するように固定される。ここで「実質的に焦点面内に位置する」との概念のもとでは、光像が、少なくとも、焦点面と平行に配置され且つ好ましくは焦点面と一致する1つの面内に位置するとして理解され、この際、焦点面の前後における光像の位置決めの不可避の通常の小さい不正確さもこの概念に同時に含まれている。
【0057】
基準点システムの基準点6-1から6-6は、3-2-1規則により配設されている。3-2-1規則とは、許容差管理(トレランスマネージメント)の分野から知られている3-2-1規則として理解され、まれに3-2-1原理とも呼ばれる。
【0058】
受容部5内で基準点システム6により固定されたポジションに投射光学系3を位置固定し且つ保持するために、閉鎖要素(クローズ要素)7が設けられている。好ましくは、閉鎖要素7は、受容部5から投射光学系3が脱落することを防ぐ。閉鎖要素7は、投射光学系3を受容部5内で次のように閉じ込め、即ち閉鎖要素7が好ましくは上記のポジションにある投射光学系3が受容部5から「脱落」できる2つの方向から(図1bでは矢印Fで示されている)投射光学系3を押し付け、それにより投射光学系3を基準点システム6により固定されたポジションに位置固定し且つ保持するように閉じ込める。それにもかかわらず当該専門分野で許容可能なYZ面内のある程度の遊びは許されているとしてよい。
【0059】
投射光学系ホルダ4は、一体的に構成されていることが可能である。例えば、投射光学系ホルダ4は、マグネシウムダイカストから製造されていることが可能である。しかしプラスチック射出成形部材やチクソモールディングも考えられる。これらは、光学系設計が要求する必要な精度要求(製造における許容差変動)に応じて決定される。要求が極めて高い場合には、後処理も考えられ、例えば基準面のオーバーミリング(フライス加工)も考えられる。
【0060】
図2は、光源2とレンズシステム10を備えた照射装置の分解図を示し、この際、レンズシステム10内には、1つよりも多くの投射光学系が受容されている。具体的に図2は、2つの投射光学系30、31が受容されている投射光学系ホルダ40を備えたレンズシステム10を示し、この際、投射光学系30、31のうちの1つ、ここでは投射光学系30は、2つの部分レンズ30a、30bから成る。これらの投射光学系30、31は、回転対称ではない。 2つの部分レンズ30a、30bから成る投射光学系30を用い、例えば色縦収差のような色収差を低減させることができる。
【0061】
投射光学系ホルダ40は、ハンドリング領域40aを有する。ハンドリング領域40aは、例えば光源2の最も近くに位置する投射光学系ホルダ40の端部に配設されている。またハンドリング領域40aは、投射光学系ホルダ40の縦方向Xに沿った他の箇所に配設されていることも可能である。ハンドリング領域40aは、既述したように、レンズシステム10の自動化された把持係合を容易にするのに用いられ、上方に突出するバー状部材を備えた横方向に張り出す側板部材を含むことができる。
【0062】
投射光学系30、31を受容するために、投射光学系ホルダ40内には、2つの受容部50、51が構成されている。各受容部50、51は、それぞれ投射光学系30、31に対応し、これらの異なる受容部50、51は、異なる投射光学系30、31に対応している。この際、各投射光学系30、31は、各投射光学系30、31に対応する受容部50、51内に受容されている。 異なる投射光学系30、31は、異なる受容部50、51内に受容されている。
【0063】
各受容部50、51内には、それぞれの受容部50、51内に受容された投射光学系30、31のポジションを固定するために、それぞれ基準点システム60、61が規定されている。既に上述したように、各基準点システム60、61の基準点60-1から60-16(図3を参照)、61-1から61-10(図4を参照)は、3-2-1規則に従って配設されている。この際、異なる基準点システム60、61の基準点60-1から60-16、61-1から61-10は、投射光学系30、31の全ての固定されたポジションが互いに適合されているように構成されており、それにより異なる投射光学系30、31の光軸線は一致し、光像LIは、実質的にレンズシステム10の焦点面内に位置する。この際「実質的に焦点面内に位置する」とは、光像LIが、少なくとも、焦点面と平行に配置され且つ好ましくは焦点面と一致する1つの面内に位置することを意味する。焦点面の前後における位置決めの小さい不正確さは、もちろん許される。
【0064】
この際、各受容部50、51は、それぞれ閉鎖要素を用いて閉じられている。またこの際、図2図4も参照)では、閉鎖要素の1つ、即ち第1投射光学系30をその受容部50内に閉じる閉鎖要素は、第2投射光学系31として構成され得ることが分かる。
【0065】
更に図2から図4では、投射光学系30、31並びに受容部50、51は異なる大きさであることが分かる。つまり例えば、受容部50は、受容部51よりも小さくてよい(図2から図4)。この際、受容部50、51の大きさは、少なくとも1つの光源2に向かって減少することができる。それに加え、図2から図4では、受容部50が2つの部分受容部から成ることを見てとれ、この際、これらの部分受容部の各々は、対応の部分レンズ30a、30bを受容するように構成/形成されている。それに加え、部分レンズ30a、30bの間には、例えば3つ又は4つの基準化要素(即ち光軸線の方向における位置合わせ要素;図面では非図示)が配設されており、これらの基準化要素は、X方向において部分レンズ30bを部分レンズ30aに対して基準化する(即ち光軸線の方向において互いの位置合わせを行う;referenzieren)ことができる。第1部分レンズ30aのための部分受容部は、第2部分レンズ30bのための部分受容部よりも小さくてよい。
【0066】
2つの投射光学系30、31は、レンズシステム10がアポクロマート作用を有するように構成されていることが可能である。
【0067】
更に図1から図4では、各受容部の各々は、受容部底部を有し、この際、基準点のうちの少なくとも3つは、対応の受容部底部と、対応の受容部内に受容される少なくとも1つの投射光学系との間に配設された基準化要素として構成されていることを見ることができる。これらの基準化要素は、受容部底部と投射光学系の双方に接触し、3-2-1規則の意味で一次面YZを規定するように構成されている。
【0068】
具体的には、例えば図2から図4では、2つの受容部50、51の各々は、受容部底部50a、51aを有することが分かる(図1aから図1cの受容部5も同様に底部5aを有する)。それぞれの受容部50、51の底部は、例えば、図2図4の受容部51の場合のように前置された投射光学系によるか、又は、受容部50の場合のように投射光学系ホルダ40(図3を参照)により構成されていることが可能である。このことは、必要に応じて変更を加え、上述の部分受容部にも該当する(図2から図4を参照)。基準点のうちの少なくとも3つは、それぞれの受容部底部50a、51aとそれぞれの投射光学系30、31との間に配設された基準化要素60-1から60-4、61-1から61-4として構成されている。この際、それぞれの受容部底部50a、51aとそれぞれの投射光学系30、31の双方は、基準化要素60-1から60-4、61-1から61-4により接触される。つまり例えば、第2投射光学系31は、基準化要素61-1から61-4上に載置され、この際、基準化要素61-1から61-4は、第1投射光学系30に形成されている。第1投射光学系30、特に第1部分レンズ30aは、基準化要素60-1から60-4上に載置され、これらの基準化要素は、投射光学系ホルダ40に形成されている。図2では、基準化要素61-1から61-4が第2部分レンズ30bに形成されていることが見てとれる。基準化要素60-1から60-4、61-1から61-4は、それぞれ異なる一次面YZを規定する。これらの異なる一次面は、好ましくは互いに平行である。それに加え、全ての一次面YZが少なくとも(光源から見て)第1受容部50の受容部底部50aと実質的に平行に配置されていると有利である。
【0069】
図3図4は、基準化要素60-1から60-4(図3)及び61-1から61-4(図4)が、光軸線Xの方向に延在する突出部として構成されていてよいことを示している。それに加え、図3図4では、各受容部内には4つの基準化要素が設けられていることを見ることができる。4番目の基準化要素は、例えば受容部50、51内でそれぞれの投射光学系30、31が傾くことを防ぐのに役立つ。より多くの基準化要素(5つ、6つ、又はそれよりも多く)が設けられていることも十分に考えられる。
【0070】
図示された基準化要素60-1から60-4(図3)、61-1から61-4(図4)は、例えば、上面部が平坦にされた半球体の形状を有する。基準化要素の他の幾何学形状も十分に考えられる。
【0071】
つまり基準化要素6-1から6-3、60-1から60-4、61-1から61-4は、投射光学系ホルダ4、40に、及び/又は、1つ又は複数の投射光学系3、30、31に形成されていることが可能である。これらの基準化要素は、投射光学系ホルダ4、40及び/又は少なくとも1つの投射光学系3、30、31とともにモノリシック構造体を構成することができる。基準化要素が投射光学系に形成されている場合には、これらの基準化要素が投射光学系の光学的に作用しない面部に形成されていると、目的に適う。
【0072】
更に図1から図4では、基準化要素6-1から6-3、60-1から60-4、61-1から61-4が間隔保持器(スペーサ)として構成されていてよいことを見ることができる。
【0073】
更に図1から図4では、受容部5、50、51は、それぞれ側壁部5b、50b、51bを有することが分かる。図1aから図1cの側壁部5bは、部分的に投射光学系ホルダ4により、また部分的に閉鎖要素7により構成されている。図2から図4における側壁部50b、51bは、投射光学系ホルダ40により構成されている。基準点のうちの少なくとも2つの更なる基準点、即ち基準化要素としては構成されていない基準点は、センタリング要素6-4から6-6、60-5から60-16、61-5から61-10として構成されており、この際、少なくとも2つのセンタリング要素6-4から6-6、60-5から60-16、61-5から61-10は、側壁部5b、50b、51bの内周部と、対応の受容部5、50、51内に受容された投射光学系3、30、31との間に配設されている。センタリング要素6-4から6-6、60-5から60-16、61-5から61-10は、側壁部5b、50b、51bと投射光学系3、30、31の双方に接触し、一次面YZに沿った少なくとも1つの投射光学系3、30、31の運動を制限する。
【0074】
この際、レンズシステム1、10が組み立てられた状態では、必ずしも全ての投射光学系3、30、31が対応のセンタリング要素6-4から6-6、60-5から60-16、61-5から61-10に接触する必要はないことを付言する。つまり一次面YZに沿って受容部5、50、51内の投射光学系3、30、31には、ある程度の遊びが許されている。しかしながら遊びがない状況も考慮可能である。例えば、遊び補償の目的で投射光学系ホルダ4、40内に(ここでは非図示の)ばね要素を設けることができる。これらのばね要素は、例えば、投射光学系ホルダ4、40と一体的に構成され、又は別個のインサート部材として構成されていることが可能である。
【0075】
好ましくは、センタリング要素6-4から6-6、60-5から60-16、61-5から61-10は、投射光学系ホルダ4、40に形成されている。図1aから図1cの投射光学系ホルダ4では、2つのセンタリング要素6-4及び6-6が2つの隆起部として構成されており、これらの隆起部は、YZ面と平行に位置する横断面においてほぼ三角形状で形成されており、投射光学系ホルダ4の下側領域において(前方から見て)V字形状部を形成するためにブリッジ部を介して接続されている。このV字形状部内には、回転対称の投射光学系3、例えばレンズを挿入することができる。説明したV字形状部は、回転対称の投射光学系を使用する場合に特に有利である。一緒にV字形状部を構成するセンタリング要素は、複数の回転対称の投射光学系を受容する投射光学系ホルダにおいても使用することができる。
【0076】
図2から図4に示された投射光学系ホルダ40において、センタリング要素60-5から60-16、61-5から61-10は、対応の受容部50、51において投射光学系ホルダ40により構成された側壁部50b、51bの内周部に形成されている。好ましくは、センタリング要素60-5から60-16、61-5から61-10は、投射光学系ホルダ40とともにモノリシック構造体を構成する。
【0077】
具体的には、投射光学系ホルダ40においてセンタリング要素60-5から60-16、61-5から61-10は、光軸線Xの方向に延在し且つ好ましくは上面部が平坦にされたセンタリング隆起部として構成されている。
【0078】
これらの隆起部の縦方向は、X方向であり、即ちレンズシステム10の光軸線の方向である。それに加え、センタリング要素60-5から60-16、61-5から61-10は、レンズシステム10の中央部に向かい、好ましくは光軸線Xに対して直角に投射光学系ホルダ40の内面部から突出している。
【0079】
少なくとも1つの投射光学系30、31は、センタリング要素60-5から60-16、61-5から61-10に対応する対向要素60-17から60-22、61-11から61-13を有することができる。全てのレンズ30a、30b、31の対向要素60-17から60-22、61-11から61-13は、センタリング隆起部に対応する窪み部として構成されている。このことは、図2において特に良く分かる。
【0080】
受容部5、50、51は、それぞれ受容部開口部5c、50c、51cを有する。既述したように、各受容部5、50、51は、閉鎖要素7、70により閉じることができ或いは閉じられている。図1aから図1cの閉鎖要素7は、側方から見てほぼギリシャ語の大文字のガンマの形状を有し且つ正面から見て中央に配置された開口部を有する(矩形の)留め具(クランプ部材)として構成されており、投射光学系3から出射する光は、前記開口部を介してレンズシステム1を通過することができる。留め具(閉鎖要素)7の形状は、他の形状であってもよい。閉鎖要素7は、例えば、噛合い、ねじ込み、締め付け、接着などの方式により投射光学系ホルダ4に固定されている。
【0081】
図2から図4のレンズシステム10では、第1受容部50が第2投射光学系31により閉じられる。第2受容部51は、第2投射光学系31が通って張り出す開口部を中央に有する固定留め具70により閉じられる。
【0082】
閉鎖要素7、70は、光が対応の投射光学系3、30、31から出射してレンズシステム1、10を通過することができるように構成されている。
【0083】
図2から図4を参照すると、固定留め具70は、固定留め具70が、投射光学系ホルダ40内に受容された投射光学系30、31をレンズシステム10の光軸線Xの方向(光の出射方向)とは反対の方向に押し付けるように、投射光学系ホルダ40に取り付けられていることが分かる。それにより投射光学系30、31は、これらの投射光学系30、31が光軸線Xに沿ってもはや運動できないように、投射光学系ホルダ40内で位置固定され、従ってレンズシステム10の焦点距離が固定される。つまり固定留め具70は、投射光学系30、31を投射光学系ホルダ40内で締付固定し、それにより光軸線Xの方向において、光学系30、31の間の遊びは、もはや可能ではない。図2に示された有利な一実施形態において、固定留め具70には、2つの突出部70aが形成されており、これらの突出部70aは、好ましくは水平方向に延在するラインを規定し、該ラインは、光軸線Xに対して直角に延在している。突出部70aないし隆起部は、固定留め具70から、光軸Xの方向とは反対の方向に突出している。しかしまた2つよりも多くの突出部70が設けられていてもよい。
【0084】
それに加え、固定留め具70は、投射光学系ホルダ40に形成されたロックノーズ部40bに適合するロック開口部(複数)70bを有し、これらのロック開口部70bを用い、固定留め具70は、投射光学系ホルダ40と係止することができる。ロックノーズ部40bは、投射光学系ホルダ40の外周部に形成されている。
【0085】
レンズシステム10は、任意選択的に2つの、好ましくは面状の、特に平坦な絞り装置(シェード装置)11、12を含み、これらの絞り装置11、12は、光軸線Xに対して直角(YZ面内)に配設されている。各絞り装置11、12は、それ自体閉じた絞り縁部(シェードエッジ)11a、12aを有する。この際(第1)絞り装置11は、受容部底部50aと一体的に構成され、ないし受容部底部50aとして構成されている。また(第2)絞り装置12は、別個のプレート部材12として構成されている。このプレート部材12には、通過開口部12dが設けられており、これらの通過開口部12dは、隆起部として構成された基準化要素61-1から61-4に適合する。レンズシステム10の組み立てられた状態でこれらの隆起部61-1から61-4は、貫通開口部12d内に受容される。それにより投射光学系30、31に関してレンズシステム10内のプレート部材12のポジションが固定される。更に絞り装置11、12の両方は、又は一方だけは、1つ又は複数(好ましくは2つ)のばね板部材12b、12cを有することができる。図2は、プレート部材12だけがばね板部材12b、12c(ここでは例として2つ)を有することを示している。これらのばね板部材により、例えばばね板部材12b、12cにより、投射光学系30、31は、対応の受容部50、51内でより良く締付固定され、YZ面内の投射光学系30、31の遊びは減少される。また傾く可能性も2つのばね板部材により減少される。2つのばね板部材12b、12cは、好ましくは、それ自体閉じた絞り縁部12aの側方に配設されている。
【0086】
既述したように、図2から図4の第1投射光学系30は、2つの部分レンズ30a、30bから成る。図5は、XZ面において、即ち光軸線Xと垂直方向Zが規定する面において、図2のレンズシステムの断面を示している。部分レンズ30a、30bは、共同で少なくとも色縦収差を補正するように構成されており、即ちアクロマート作用を有する。つまり投射光学系30は、所謂エアアクロマート(Luftachromat)に関するものである(上記特許文献3(DE 10 2010 046 626 B4)の特に段落[0009]から[0013]による従来技術の説明を参照)。この際、エアアクロマートは、色縦収差のより正確な補正を可能にする複数のパラメータが提供されているという利点を有する。これらのパラメータは、例えば、空隙d1の大きさ、部分レンズ30a、30bの光入射面及び光出射面の曲率、並びに部分レンズ30a、30bを構成する材料の種類である。また3レンズシステムは、照射装置を用いて生成される配光の品質を更に改善することを目的として、色縦収差及び/又は色横収差を減少させるために間隔d1、d2を変更できるという利点を有する。
【0087】
上述の照射装置は、有利には自動車投光器内で使用されることが可能である。
【0088】
上記の説明の役割は、具体的な例を提供し、本発明の更なる利点と特殊性を示すことだけにある。従って上記の説明は、発明の適用分野の制限としてないし請求項で請求される特許権の制限として解釈されてはならない。上記の詳細な説明では、例えば本発明の様々な特徴が、開示内容の合理化の目的で1つ又は複数の実施形態にまとめられている。この種の開示内容は、特許請求された発明が、各請求項で明示的に言及されるよりも多くの特徴を必要とする旨の意図を反映していると理解されるべきではない。むしろ添付の請求項が反映しているように、発明の視点は、上述の単独の実施形態の全ての特徴よりも少ないものとして存在する。(従って添付の請求項は、この詳細な説明に取り込まれ、この際、各請求項自体は、本発明の別個の有利な一実施形態として存在する。)
【0089】
それに加え、本発明の説明が、1つ又は複数の実施形態と、所定の変形形態及び修正形態の説明とを含むにもかかわらず、他の変形形態及び修正形態は、本発明の範囲内にあり、例えば本開示内容を理解した当業者の能力と知識の範囲内にある。
【0090】
請求項における参照符号は、本発明のより良い理解のためだけに用いられ、決して本発明の限定を意味するものではない。
【符号の説明】
【0091】
図1
1 レンズシステム(オブジェクティブ)
2 光源
3 投射光学系
4 投射光学系ホルダ
5 受容部
5a 受容部底部
5b 側壁部
5c 受容部開口部
6 基準点システム
7 閉鎖要素

6-1から6-6 基準点
6-1から6-3 基準化要素
6-4から6-6 センタリング要素

LI 光像
F 投射光学系を押し付ける方向

図2図3図4
2 光源
10 レンズシステム(オブジェクティブ)
11 絞り装置(第1絞り装置)
11a 絞り縁部
12 絞り装置(第2絞り装置;プレート部材)
12a 絞り縁部
12b ばね板部材
12c ばね板部材
12d 通過開口部
30 投射光学系(第1投射光学系)
30a 部分レンズ
30b 部分レンズ
31 投射光学系(第2投射光学系)
40 投射光学系ホルダ
40a ハンドリング領域
40b ロックノーズ部
50 受容部
50a 受容部底部
50b 側壁部
50c 受容部開口部
51 受容部
51a 受容部底部
51b 側壁部
51c 受容部開口部
60 基準点システム
61 基準点システム
70 閉鎖要素
70a 突出部
70b ロック開口部

60-1から60-16 基準点
60-1から60-4 基準化要素
60-5から60-16 センタリング要素
60-17から60-22 対向要素

61-1から61-10 基準点
61-1から61-4 基準化要素
61-5から61-10 センタリング要素
61-11から61-13 対向要素

LI 光像

図5
2 光源
30 投射光学系(第1投射光学系)
30a 部分レンズ
30b 部分レンズ
31 投射光学系(第2投射光学系)

d1 空隙
d2 空隙
図1a-1c】
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器の照射装置であって、該照射装置は、
- レンズシステム(1, 10)と、少なくとも1つの光源(2)とを含み、少なくとも1つの光源(2)により光像(LI)が生成可能であり、光源(2)により生成可能な光像(LI)は、レンズシステム(1, 10)を用いて配光のかたちで該照射装置の前方に投射可能であり、
- レンズシステム(1, 10)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)と、投射光学系ホルダ(4, 40)とを有し、
- 投射光学系ホルダ(4, 40)内には、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)が構成されており、
- 少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)に対応し、
- 少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)は、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内に受容されており、
- 少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内に受容された投射光学系(3, 30, 31)のポジションを、光像(LI)が実質的にレンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内には、基準点システム(6, 60, 61)が規定されており、
- 基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則に従って配設されており、
- 少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、閉鎖要素(7, 70)を用い、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)が、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内で基準点システム(6, 60, 61)により固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられていること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
レンズシステム(1, 10)は、少なくとも2つの投射光学系(3, 30, 31)を含み、投射光学系ホルダ(4, 40)内には、少なくとも2つの受容部(5, 50, 51)が構成されており、各受容部(5, 50, 51)は、それぞれ1つの投射光学系(3, 30, 31)に対応し、異なる受容部(5, 50, 51)は、異なる投射光学系(3, 30, 31)に対応し、
各投射光学系(3, 30, 31)は、この投射光学系(3, 30, 31)に対応する受容部(5, 50, 51)内に受容されており、異なる投射光学系(3, 30, 31)は、異なる受容部(5, 50, 51)内に受容されており、
各受容部(5, 50, 51)内には、この受容部(5, 50, 51)内に受容された投射光学系(3, 30, 31)のポジションを固定するために、それぞれ基準点システム(6, 60, 61)が規定されており、
各基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則に従って配設されており、
異なる基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、異なる投射光学系(3, 30, 31)の光軸線が一致し且つ光像(LI)がレンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置するよう、投射光学系(3, 30, 31)の全ての固定されたポジションが互いに調整されているように構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
各受容部(5, 50, 51)は、それぞれ1つの閉鎖要素(7, 70)により閉じられており、閉鎖要素(7, 70)のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの投射光学系(3, 30, 31)のうちの1つとして構成されていること、
を特徴とする、請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
基準点システム(6, 60, 61)の基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)は、3-2-1規則による、面の原理、又は並進-回転-ストップの原理に従って配設されていること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項5】
少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、受容部底部(5a, 50a, 51a)を有し、基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)のうちの少なくとも3つが基準化要素(6-1から6-3, 60-1から60-4, 61-1から61-4)として構成されており、これらの少なくとも3つの基準化要素(6-1から6-3, 60-1から60-4, 61-1から61-4)は、受容部底部(5a, 50a, 51a)と、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)との間に配設されており、受容部底部(5a, 50a, 51a)と投射光学系(3, 30, 31)の双方に接触し、基準点システム(6, 60, 61)の一次面(YZ)を規定し、該一次面(YZ)は、質的に受容部底部(5a, 50a, 51a)と平行に配設されていること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、側壁部(5b, 50b, 51b)を有し、基準点(6-1から6-6, 60-1から60-16, 61-1から61-10)のうちの少なくとも2つの更なる基準点がセンタリング要素(6-4から6-6, 60-5から60-16, 61-5から61-10)として構成されており、これらの少なくとも2つのセンタリング要素(6-4から6-6, 60-5から60-16, 61-5から61-10)は、側壁部(5b, 50b, 51b)の内周部と、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)との間に配設されており、側壁部(5b, 50b, 51b)と投射光学系(3, 30, 31)の双方に接触し、一次面(YZ)に沿った少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)の運動を制限すること、
を特徴とする、請求項5に記載の照射装置。
【請求項7】
少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)は、受容開口部(5c, 50c, 51c)を有し、少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)を閉じる閉鎖要素(7, 70)は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)から出射する光が閉鎖要素(7, 70)を通過可能であるように、受容開口部(5c, 50c, 51c)内に構成されていること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
閉鎖要素は、固定留め具(70)として構成されていること、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
固定留め具(70)は、該固定留め具(70)が、投射光学系ホルダ(4, 40)内に受容された少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)を少なくともレンズシステム(1, 10)の光軸線(X)の方向とは反対の方向に押し付けるように、投射光学系ホルダ(4, 40)に取り付けられていること、
を特徴とする、請求項8に記載の照射装置。
【請求項10】
固定留め具は、ロック結合部により投射光学系ホルダ(4, 40)と結合されていること、
を特徴とする、請求項8又は9に記載の照射装置。
【請求項11】
少なくとも1つの光源(2)は、面状光変調器含み、該面状光変調器上に光像(LI)を生成し、面状光変調器のミラーアレイが、レンズシステム(1, 10)の焦点面内に位置すること、
を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項12】
レンズシステム(1, 10)は、更に少なくとも1つのり装置(11, 12)を含むこと、
を特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項13】
少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)は、2つの部分レンズ(30a, 30b)から成り、クロマート作用を有すること、
を特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項14】
レンズシステム(1, 10)は、弾性要素を含み、該弾性要素は、少なくとも1つの投射光学系(3, 30, 31)を少なくとも1つの受容部(5, 50, 51)内で締め付けるように構成されており、該弾性要素は、射光学系ホルダ(4, 40)内に配設されていること、
を特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記課題は、本発明に従い、少なくとも1つの受容部内に受容された投射光学系のポジションを、光像が実質的にレンズシステムの焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部内には、基準点システムが規定されており、この際、基準点システムの基準点は、3-2-1規則に従って配設されており、この際、少なくとも1つの受容部は、閉鎖要素を用い、少なくとも1つの投射光学系が、少なくとも1つの受容部内で基準点システムにより固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられていること、により解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器の照射装置であって、該照射装置は、
- レンズシステムと、少なくとも1つの光源とを含み、少なくとも1つの光源により光像が生成可能であり、光源により生成可能な光像は、レンズシステムを用いて配光のかたちで該照射装置の前方に投射可能であり、
- レンズシステムは、少なくとも1つの投射光学系と、投射光学系ホルダとを有し、
- 投射光学系ホルダ内には、少なくとも1つの受容部が構成されており、
- 少なくとも1つの受容部は、少なくとも1つの投射光学系に対応し、
- 少なくとも1つの投射光学系は、少なくとも1つの受容部内に受容されており、
- 少なくとも1つの受容部内に受容された投射光学系のポジションを、光像が実質的にレンズシステムの焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部内には、基準点システムが規定されており、
- 基準点システムの基準点は、3-2-1規則に従って配設されており、
- 少なくとも1つの受容部は、閉鎖要素を用い、少なくとも1つの投射光学系が、少なくとも1つの受容部内で基準点システムにより固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられていること、
を特徴とする照射装置が提供される。
更に本発明の第2の視点により、
前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器の照射装置であって、該照射装置は、
- レンズシステムと、少なくとも1つの光源とを含み、少なくとも1つの光源により光像が生成可能であり、光源により生成可能な光像は、レンズシステムを用いて配光のかたちで該照射装置の前方に投射可能であり、
- レンズシステムは、少なくとも1つの投射光学系と、投射光学系ホルダとを有し、
- 投射光学系ホルダ内には、少なくとも1つの受容部が構成されており、
- 少なくとも1つの受容部は、少なくとも1つの投射光学系に対応し、
- 少なくとも1つの投射光学系は、少なくとも1つの受容部内に受容されており、
- 少なくとも1つの受容部内に受容された投射光学系のポジションを、光像が実質的にレンズシステムの焦点面内に位置するように固定するために、少なくとも1つの受容部内には、基準点システムが規定されており、
- 基準点システムの基準点は、3-2-1規則に従って配設されており、
- 少なくとも1つの受容部は、閉鎖要素を用い、少なくとも1つの投射光学系が、少なくとも1つの受容部内で基準点システムにより固定されたポジションに位置固定されて保持されているように閉じられていること、が好ましい。
(形態2)
レンズシステムは、少なくとも2つの投射光学系を含み、投射光学系ホルダ内には、少なくとも2つの受容部が構成されており、各受容部は、それぞれ1つの投射光学系に対応し、異なる受容部は、異なる投射光学系に対応し、
各投射光学系は、この投射光学系に対応する受容部内に受容されており、異なる投射光学系は、異なる受容部内に受容されており、
各受容部内には、この受容部内に受容された投射光学系のポジションを固定するために、それぞれ基準点システムが規定されており、
各基準点システムの基準点は、3-2-1規則に従って配設されており、
異なる基準点システムの基準点は、異なる投射光学系の光軸線が一致し且つ光像がレンズシステの焦点面内に位置するよう、投射光学系の全ての固定されたポジションが互いに調整されているように構成されていること、が好ましい。
(形態3)
各受容部は、それぞれ1つの閉鎖要素により閉じられており、閉鎖要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの投射光学系のうちの1つとして構成されていること、が好ましい。
(形態4)
基準点システムの基準点は、3-2-1規則による、面の原理、又は並進-回転-ストップの原理に従って配設されていること、が好ましい。
(形態5)
少なくとも1つの受容部は、受容部底部を有し、基準点のうちの少なくとも3つが基準化要素として構成されており、これらの少なくとも3つの基準化要素は、受容部底部と、少なくとも1つの投射光学系との間に配設されており、受容部底部と投射光学系の双方に接触し、基準点システムの一次面を規定し、該一次面は、好ましくは実質的に受容部底部と平行に配設されていること、が好ましい。
(形態6)
少なくとも1つの受容部は、側壁部を有し、基準点のうちの少なくとも2つの更なる基準点がセンタリング要素として構成されており、これらの少なくとも2つのセンタリング要素は、側壁部の内周部と、少なくとも1つの投射光学系との間に配設されており、側壁部と投射光学系の双方に接触し、一次面に沿った少なくとも1つの投射光学系の運動を制限すること、が好ましい。
(形態7)
少なくとも1つの受容部は、受容開口部を有し、少なくとも1つの受容部を閉じる閉鎖要素は、少なくとも1つの投射光学系から出射する光が閉鎖要素を通過可能であるように、受容開口部内に構成されていること、が好ましい。
(形態8)
閉鎖要素は、固定留め具として構成されていること、が好ましい。
(形態9)
固定留め具は、該固定留め具が、投射光学系ホルダ内に受容された少なくとも1つの投射光学系を少なくともレンズシステムの光軸線の方向とは反対の方向に押し付けるように、投射光学系ホルダに取り付けられていること、が好ましい。
(形態10)
固定留め具は、ロック結合部により投射光学系ホルダと結合されていること、が好ましい。
(形態11)
少なくとも1つの光源は、面状光変調器、特にDMDチップを含み、該面状光変調器上に光像を生成し、好ましくは、該面状光変調器のミラーアレイが、レンズシステムの焦点面内に位置すること、が好ましい。
(形態12)
レンズシステムは、更に少なくとも1つの、好ましくは面状の、特に平坦な絞り装置を含むこと、が好ましい。
(形態13)
少なくとも1つの投射光学系は、2つの部分レンズから成り、好ましくはアクロマート作用を有すること、が好ましい。
(形態14)
レンズシステムは、弾性要素を含み、該弾性要素は、少なくとも1つの投射光学系を少なくとも1つの受容部内で締め付けるように構成されており、該弾性要素は、好ましくは投射光学系ホルダ内に配設されていること、が好ましい。
(形態15)
前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【国際調査報告】