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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】火工品ガス発生組成物
(51)【国際特許分類】
   C06D 5/00 20060101AFI20220824BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20220824BHJP
   C09K 5/18 20060101ALI20220824BHJP
   C06B 31/06 20060101ALI20220824BHJP
   C06B 43/00 20060101ALI20220824BHJP
   A62C 3/07 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C06D5/00 Z
B01J7/00 A
C09K5/18 L
C06B31/06
C06B43/00
A62C3/07 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577076
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 FR2020051086
(87)【国際公開番号】W WO2020260817
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】1906803
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516257464
【氏名又は名称】アリアーヌグループ ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク マルラン
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン ドイヨン
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068DA08
4G068DA10
4G068DB13
(57)【要約】
本発明は、凝縮性種の発生の低減及び制限燃焼温度を有しながらも高いガス発生量を有するガス発生火工品組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記を含有している、ガス発生火工品組成物:
- 10%~30%の間に含まれる質量含有率で存在する、還元剤5-アミノテトラゾール、
- 30%~75%の間に含まれる質量含有率で存在する、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩又はこれらの混合物から選択される酸化剤、及び
- 10%~50%の間に含まれる質量含有率で存在する、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸ストロンチウム、シュウ酸銅又はこれらの混合物から選択される吸熱剤。
【請求項2】
前記酸化剤が、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム又はこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸化剤が、硝酸ストロンチウムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記吸熱剤が、シュウ酸ナトリウムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
1%~6%の間に含まれる質量含有率で存在する凝集剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
- 前記還元剤が、10%~25%の間に含まれる質量含有率で存在し、
- 前記酸化剤が、35%~55%の間に含まれる質量含有率で存在し、
- 前記吸熱剤が、30%~50%の間に含まれる質量含有率で存在する
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のガス発生火工品組成物、及び前記組成物の燃焼を開始することが可能である開始剤を含む、ガス発生器。
【請求項8】
請求項7に記載のガス発生器、及び前記ガス発生器の出口と連通している内容積を画定する膨張対象物を備える、膨張デバイス。
【請求項9】
請求項7に記載のガス発生器、及び消火剤を含有する本体を備える消火器であって、前記ガス発生器が、前記消火剤を前記本体から放出させるように加圧するようになっている、前記消火器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮性種のレベルが低いガスを発生しかつ制限燃焼温度を有する火工品組成物に関する。本発明はまた、かかる火工品組成物を組み込んでいるデバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
火工品組成物の燃焼から発生するガスは、特に、エアバッグを膨張させて自動車の乗員を保護するために、又は、タンク中に存在する消火剤を火炎ゾーンへ放出をもたらすために加圧する解決策として、様々な用途を有している。
【0003】
にもかかわらず、充分なガス発生量を維持しながらも経時的に生成する気相の圧力を安定させることによって既存のガス発生火工品組成物を改良することが望ましい。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、少なくとも下記を含む、ガス発生火工品組成物に関する:
- 10%~30%の間に含まれる質量含有率で存在する、還元剤5-アミノテトラゾール、
- 30%~75%の間に含まれる質量含有率で存在する、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩又はこれらの混合物から選択される酸化剤、及び
- 10%~50%の間に含まれる質量含有率で存在する、アルカリ金属シュウ酸塩、アルカリ土類金属シュウ酸塩、遷移金属シュウ酸塩又はこれらの混合物から選択される吸熱剤。
【0005】
以下では、5-アミノテトラゾールを5-ATと称する。
【0006】
本発明による火工品組成物は、凝縮性種の発生の低減及び制限燃焼温度に起因して、その燃焼の際に充分なガス発生量を有し、かつ経時的に高いガス圧力を維持する。この火工品組成物の構成要素は、凝縮性種である水の形成を低減する限定量の水素、並びに充分なガス発生量を維持する多量の窒素及び酸素を有する。特に、還元剤を形成する5-ATは、高い窒素含有率及び低い水素含有率を有することにより、例えば硝酸グアニジンなどの他の剤の使用と比較して、発生する凝縮性種の量を低減することを可能にする。吸熱剤は、温度降下に関連する圧力損失の影響を限定するために、火工品組成物の燃焼温度を低減する。
【0007】
例示の実施形態において、酸化剤は、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム又はこれらの混合物から選択される。
【0008】
特に、酸化剤は、硝酸ストロンチウムであってよい。
【0009】
硝酸ストロンチウムは、有利なことに、火工品組成物が使用されているデバイスを結局は腐食し得る腐食性の種、例えばNaO又はNaOHを形成するあらゆるリスクを回避する。
【0010】
例示の実施形態において、吸熱剤は、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸ストロンチウム、シュウ酸銅又はこれらの混合物から選択される。
【0011】
これらの吸熱剤は、火工品組成物の燃焼温度をさらに低減し、かつこれにより、経時的に、高いガス圧力の維持をさらに促進するように選択され得る。
【0012】
特に、吸熱剤は、シュウ酸ナトリウムであってよい。
【0013】
シュウ酸ナトリウムは、特に高い吸熱力を有するため、火工品組成物の燃焼温度を低下させる。
【0014】
例示の実施形態において、上記組成物は、1%~6%の間に含まれる質量含有率で存在する凝集剤をさらに含む。
【0015】
本文献において「スラグ除去剤」とも称される凝集剤の使用は、燃焼の間に発生する残渣を凝集させて保持することを助ける。特に、このことは、燃焼残渣の拡散によりプロセスを混乱させるあらゆるリスクを回避して、フィルタの使用を不必要とすることにより解決策を簡潔にする。
【0016】
凝集剤は、還元剤、酸化剤及び吸熱剤のそれぞれとは異なる。凝集剤は、アルミナ、無機チタネート又はこれらの混合物から選択されてよい。
【0017】
例示の実施形態において、火工品組成物は:
- 還元剤が、10%~25%の間に含まれる質量含有率で存在し、
- 酸化剤が、35%~55%の間に含まれる質量含有率で存在し、
- 吸熱剤が、30%~50%の間に含まれる質量含有率で存在する
ようになっている。
【0018】
これらの含有率での種々の構成要素の存在は、高いガス発生量を得ることと、経時的に発生するガスの圧力を維持することとの間の妥協策をさらに改良する。
【0019】
火工品組成物は、様々な形態、例えば、並んだ顆粒若しくはペレット、又はモノリスブロックの形態であってよい。
【0020】
本発明はまた、上記に記載されているガス発生火工品組成物、及び、上記組成物の燃焼を開始することが可能である開始剤を含むガス発生器にも関する。
【0021】
本発明はまた、上記に記載されているガス発生器、及び当該ガス発生器の出口と連通している内容積を画定する膨張対象物を備える、膨張デバイスにも関する。
【0022】
膨張対象物は、自動車の乗員を保護するためのクッションパッドであってよい。代替的には、膨張可能な対象物は、膨張可能な緊急事態用対象物、例えば、飛行機から乗客を退避させるための膨張可能なスライドであってよい。
【0023】
本発明はまた、上記に記載されているガス発生器、及び、消火剤を含有する本体を備える消火器であって、ガス発生器が、消火剤を本体から放出させるように加圧するようになっている、上記消火器にも関する。
【0024】
消火器は、火工品組成物の燃焼の結果として発生するガスの影響下で動くことにより消火剤を加圧してその放出を引き起こすように構成されているピストンを備えていてよい。代替的には、発生したガスは、泡になって消火剤内に入ることによりその加圧及び放出を引き起こし得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明者らは、Ophelia計算コードを使用して種々の火工品組成物の熱力学的特徴を評価した。評価した火工品組成物の配合及び関連する結果を以下の表に付与する。
【0026】
【表1】
【0027】
例1による組成物は、本発明の範囲外の組成物に相当する。例2~5による組成物は、本発明による組成物に相当する。本発明による組成物は、充分なガス発生量を維持しながらも、例1の組成物よりも低い凝縮性HO含有率及び低い燃焼温度を有する。
【0028】
表現「…~…の間に含まれる」は、境界を含むと理解されるべきである。
【国際調査報告】