(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】回転プラットフォーム上にキュアリングモジュールを有する3Dプリンタ印刷ヘッドシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/245 20170101AFI20220824BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20220824BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20220824BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20220824BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20220824BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20220824BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220824BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220824BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220824BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220824BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/106
B29C64/209
B29C64/241
B29C64/264
B29C64/321
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577129
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020039519
(87)【国際公開番号】W WO2020264094
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521473077
【氏名又は名称】マイティ ビルディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ベロルスツェフ,セルジ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲーヴィチ,トルーシン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ダボフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】スタロドゥプツェフ,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ソロニーツィン,スラヴァ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP05
4F213AP06
4F213AQ01
4F213AR06
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL35
4F213WL43
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL76
4F213WL85
(57)【要約】
印刷システムの印刷ヘッドは、押出機、ノズル、回転プラットフォーム、駆動機構を有する発動機、及び少なくとも1つのキュアリングモジュールを含み得る。印刷ヘッドは、ノズルから押し出される樹脂材料を受け入れる供給システムと流体的に連絡される。回転プラットフォームは、少なくとも1つの軸における回転のために構成されるロータリシステムを備える。発動機及び駆動機構は、回転プラットフォームの回転の回転を駆動する。キュアリングモジュールは、回転プラットフォームとともに回転するように連結される。キュアリングモジュールは、押し出された樹脂材料のキュアリングを促進するように構成される。キュアリングモジュール及び回転プラットフォームは、キュアリングモジュール及び回転プラットフォームの動作を制御するための制御システムに対して動作可能に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムと、
印刷ヘッドであって、
印刷材料を供給する供給システムとの流体的な連絡と、
前記供給システムと流体的に連絡される押出機と、
前記押出機と流体的に連絡されるノズルと、
少なくとも1つの軸における回転のために構成される回転プラットフォームであって、
少なくとも1つのキュアリングモジュールと、
前記少なくとも1つのキュアリングモジュールに電力及び制御信号を供給するロータリシステムと
を備える回転プラットフォームと、
前記制御システムに対する動作的な接続と
を備える印刷ヘッドと、
前記回転プラットフォームを動作させる駆動機構に接続される発動機と
を備える、印刷システム。
【請求項2】
前記制御システムは、キュアリングモジュール制御システムと回転プラットフォーム制御システムとを備える、請求項1の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷ヘッドは、材料キュアリングをモニタリングし、情報を前記制御システムに伝達するアクティブフィードバックシステムを備える、請求項1の印刷システム。
【請求項4】
前記アクティブフィードバックシステムは、材料重合反応の熱強度を測定するためのセンサを備える、請求項3の印刷システム。
【請求項5】
前記アクティブフィードバックシステムは、押し出された材料層の高さ、キュアリングモジュールの温度、キュアリングモジュールの光強度のうち少なくとも1つを測定し、前記押し出された材料層の形成を特定するためのセンサを備える、請求項3の印刷システム。
【請求項6】
前記アクティブフィードバックシステムは、前記供給システムと通信し、前記供給システムの動作を制御する、請求項3の印刷システム。
【請求項7】
前記キュアリングモジュールは、少なくとも2つの発光モジュールを備える、請求項1の印刷システム。
【請求項8】
前記少なくとも2つの発光モジュールは、紫外光を出射するLEDモジュールである、請求項7の印刷システム。
【請求項9】
印刷ヘッドであって、
印刷材料を供給する供給システムとの流体的な連絡と、
前記供給システムと流体的に連絡される押出機と、
前記押出機と流体的に連絡されるノズルと、
少なくとも1つの軸における回転のために構成される回転プラットフォームであって、
少なくとも1つのキュアリングモジュールと、
前記少なくとも1つのキュアリングモジュールに電力及び制御信号を供給するロータリシステムと
を備える回転プラットフォームと、
前記回転プラットフォームを動作させる駆動機構に接続される発動機と、
制御システムに対する動作的な接続と
を備える印刷ヘッド
を備える、印刷ヘッド。
【請求項10】
前記制御システムは、キュアリングモジュール制御システム及び回転プラットフォーム制御システムを備える、請求項9の印刷ヘッド。
【請求項11】
前記印刷ヘッドは、材料キュアリングをモニタリングし、情報を前記制御システムに伝達するアクティブフィードバックシステムを備える、請求項9の印刷ヘッド。
【請求項12】
前記アクティブフィードバックシステムは、材料重合反応の熱強度を測定するためのセンサを備える、請求項11の印刷ヘッド。
【請求項13】
前記アクティブフィードバックシステムは、押し出された材料層の高さ、キュアリングモジュールの温度、キュアリングモジュールの光強度のうち少なくとも1つを測定し、前記押し出された材料層の形成を特定するためのセンサを備える、請求項11の印刷ヘッド。
【請求項14】
前記アクティブフィードバックシステムは、前記供給システムと通信し、前記供給システムの動作を制御する、請求項11の印刷ヘッド。
【請求項15】
前記キュアリングモジュールは、少なくとも2つの発光モジュールを備える、請求項9の印刷ヘッド。
【請求項16】
前記少なくとも2つの発光モジュールは、紫外光を出射するLEDモジュールである、請求項15の印刷ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
アディティブ製造法としても知られる三次元(3D)印刷は、必要される場所にのみ材料を積層していく手法であり、このため、典型的には大きな材料から材料を削減又は除去することにより部品を形成する、これまでの製造手法よりも材料の消耗が著しく少ない。3D印刷された物は一般的に模型であったが、ヒンジや工具、構造的な要素のような、より複雑なシステムにおける機能的部品になり得る3D印刷物を生成することにより産業界が急速に進歩している。
【0002】
既存の3D印刷プロセスにおいては、型込めすることなくコンピュータ制御の下で材料層を形成することにより3Dの物体が生成される。例えば、コンピュータ3Dモデリングフラグメンテーションを用いて、ある構造の3D情報が決定され、調製された混合物を機械制御によってノズルから供給してその構造を印刷することができる。
【0003】
3D印刷における1つの大きな問題及び課題は、ある用途における条件を満たす印刷材料が非常に乏しいことがある点である。例えば、既存の印刷材料は主に有機材料である。有機材料が高温で溶融した状態で1層ごとの積層によって印刷される。有機材料のキュアリングは酸化分解の傾向があり、調製及び印刷プロセスにおいては、環境や人間の健康を害する、好ましくない有害ガスが生じ得る。加えて、有機材料は、高コストな要求の多い条件下で印刷されることがある。有機材料を用いて印刷された構造は、機械的特性に劣ることがあるため、住居の建築のような用途には適しておらず、このため、3D印刷技術の用途をある程度制限するものとなっている。
【0004】
印刷材料の他の例は、コンクリートのようなセメント系材料である。セメント系材料は、一般的に固化するのに長い時間を必要とする。このため、そのような材料は、一般的に、短期間で材料を急速に固化させることを求める性能条件を満たすことができない。調合を変えることにより固化の速度を上げることができるが、そのような上昇は通常限られているか、制御することが難しく、建設現場で建物を建てるときのような状況に対して3D印刷は不可能なものとなっている。
【0005】
上記の観点から、改良及び/又は3D印刷材料及びプロセスを改良するための別の解決法又は追加の解決法に対する需要が存在する。
【概要】
【0006】
押出機は、供給システムと流体的に連絡していてもよい。ノズルは、押出機と流体的に連絡していてもよい。回転プラットフォームは、少なくとも1つのキュアリングモジュールと、キュアリングモジュールの少なくとも1つに電力及び制御信号を供給するロータリシステムとを含み得る。回転プラットフォームは、少なくとも1つの軸における回転のために構成され得る。また、回転プラットフォームは、発動機と、制御システムに対する動作的な接続とを含み得る。発動機は、回転プラットフォームを動作させる駆動機構に接続され得る。
【0007】
ある構成においては、制御システムは、キュアリングモジュール制御システム及び回転プラットフォーム制御システムを含み得る。
【0008】
ある構成においては、印刷ヘッドは、材料キュアリングをモニタリングし、情報を制御システムに伝達するアクティブフィードバックシステムを含み得る。ある構成においては、アクティブフィードバックシステムは、材料重合反応の熱強度を測定するためのセンサを含み得る。また、アクティブフィードバックシステムは、押し出された材料層の高さ、キュアリングモジュールの温度、キュアリングモジュールの光強度のうち少なくとも1つを測定し、押し出された材料層の形成を特定するためのセンサを含み得る。アクティブフィードバックシステムは、供給システムと通信し、供給システムの動作を制御してもよい。
【0009】
ある構成においては、キュアリングモジュールは、少なくとも2つの発光モジュールを備える。ある構成においては、少なくとも2つの発光モジュールは、紫外光を出射するLEDモジュールである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
特定の要素又は行為の議論を簡単に特定するために、参照番号における最上位の数字は、その要素が最初に言及される図番を意味している。
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態による印刷ヘッド100を示すものである。
【0012】
【
図2】
図2は、一実施形態による印刷ヘッド100を示すものである。
【0013】
【
図3】
図3は、一実施形態による印刷ヘッド300を示すものである。
【0014】
【
図4】
図4は、一実施形態による印刷システム400を示すものである。
【0015】
【
図5】
図5は、一実施形態による印刷システム500を示すものである。
【0016】
【
図6】
図6は、一実施形態による制御システム600を示すものである。
【詳細な説明】
【0017】
印刷システムの印刷ヘッドは、押出機、ノズル、回転プラットフォーム、駆動機構を有する発動機、及び少なくとも1つのキュアリングモジュールを含み得る。印刷ヘッドは、ノズルから押し出される樹脂材料を受け入れる供給システムと流体的に連絡される。回転プラットフォームは、少なくとも1つの軸における回転のために構成されるロータリシステムを備える。発動機及び駆動機構は、回転プラットフォームの回転を駆動する。キュアリングモジュールは、回転プラットフォームとともに回転するように連結される。キュアリングモジュールは、押し出された樹脂材料のキュアリングを促進するように構成される。キュアリングモジュール及び回転プラットフォームは、キュアリングモジュール及び回転プラットフォームの動作を制御するための制御システムに対して動作可能に接続される。
【0018】
ある構成においては、印刷ヘッドは、材料キュアリングをモニタリングし、情報を制御システムに伝達するアクティブフィードバックシステムを含み得る。アクティブフィードバックシステムは、材料重合反応の熱強度を測定するためにしようされるセンサを介して実現され得る。
【0019】
印刷システムは、材料貯留タンク、材料供給ホッパ、及びホッパから供給ホースを介して印刷ヘッドシステムに材料を供給するためのポンプを有する供給システムを含み得る。ある構成においては、アクティブフィードバックシステムは、供給システムと通信し、供給システムの動作を制御し得る。アクティブフィードバックシステムは、材料流量を制御するために使用され得る印刷ジョブの進行に関する情報を供給システムに伝達し得る。
【0020】
材料押出プロセスにおいては、積層ノズルを介して材料供給システムにより印刷材料が供給される。紫外(UV)光システム(キュアリングモジュール)が粘性材料をキュアリングして1層ずつ硬い構造を形成しつつ、ノズルが対象物を作り上げるために位置決めシステムを介して左右に移動する。UV光システムの動作は、制御システムを介して構成され得る。制御システムは、ユーザによりロードされたプログラム命令から変換された印刷プロセスの変数をモニタリングし、制御し得る。印刷プロファイルを構成し得る重要なプロセス変数は、材料、ノズル径、印刷速度(材料の供給速度と位置決めシステムの移動速度とから構成される複合パラメータ)、キュアリングモジュール電力使用量、UV光強度、回転プラットフォーム及びキュアリングモジュールの回転及び位置、及び層の厚さを含み得る。
【0021】
また、制御システムは、印刷ヘッドの動作及び移動を制御し得る。印刷ヘッドは、XY平面上でプログラムされたラインセグメントに沿って移動し、UV光システムからの照射によりキュアリングされる粘性印刷材料を押し出す。キュアリングされた材料は硬化し、前層に付着する。現在の層に対する指令のすべてを実行した後、プリンタガントリは、1層の高さだけ(ZY平面及びZX平面)上方に移動し、次の層の印刷を開始する。このプロセスをすべての層に対して繰り返すことにより、設計された対象物が形成され得る。印刷ヘッドを制御するために利用されるプログラム命令の例が以下に示される。
【0022】
Gコード
2018年9月S午前11時40分43秒
設定の概要
; processName, top_l
; applyToModels, test_1.O
; profileName, Container
; profileVersion, 2018-06-26 11:29:58
; baseProflle, Default
; printMaterial.FS
; printOuality, Fast
; printExtruders,
; extruderName, extruder 1
; extruderDiameter, 20
; layerHeight, 4
; exportFileFormat, geode
; defaultSpeed, 1800
; rapidXYspeed, 18000
; rapidZspeed,3000
G90
M82
M106 S255
M104 SO TO
G28; home all axes
G1 Z4.000 F3000
process top_l
layer 1, Z = 4.000
TO
; tool H4.000 W20.400
; external single extrusion
G1 X53.606 Y 234.319 F18000
G92 E0
; tool H4.000 W20.823
G1 X57.672 Y233.605 E3.0405 F1800
; tool H4.000 W20.055
G1 X61.738 Y 233.551 ES.9250
【0023】
ある構成においては、印刷された要素の形成の際に印刷ヘッドを位置決め及び方向付けするために、印刷ヘッドは、非ガントリ型の印刷システムに動作可能に連結されていてもよい。例えば、印刷ヘッドは、印刷された要素の押し出された材料層を形成するために印刷領域の3次元空間内で印刷ヘッドを移動し、位置決めする関節アーム(例えば、スパイダ、ロボットアームなど)に動作可能に連結されていてもよい。この構成においては、プログラム命令は、異なるシステムにより提供される異なる範囲の運動を実現するために、ガントリシステムにおいて用いられるプログラム命令と異なり得る。
【0024】
ある構成においては、有線通信方法(例えば、イーサネット、USB、光ファイバケーブルなど)を通じて制御信号が印刷ヘッドに伝達され得る。有線通信方法は、キュアリングモジュールのLEDに電力を伝達し、回転プラットフォームの移動を駆動するケーブルと組み合わされていてもよい。ある構成においては、制御システムは、キュアリングモジュール及び回転プラットフォームを制御するための別個のサブシステムを利用してもよい。この構成においては、キュアリングモジュール及び回転プラットフォーム用の制御信号は、異なる有線接続であってもよい。キュアリングモジュール用の有線接続は、配線ハーネス/アセンブリ内でキュアリングモジュール用の電力ケーブルと組み合わされていてもよく、回転プラットフォーム用の有線接続は、配線ハーネス/アセンブリ内で回転プラットフォーム用の電力ケーブルと組み合わされていてもよい。
【0025】
ある構成においては、制御信号は、無線通信システムを介して印刷ヘッドに伝達され得る。印刷ヘッドと制御システムとの間で制御信号を伝達し、受信するために無線通信システムを利用することにより、軽量化のような硬い配線に関連付けられる欠点や配線が印刷プロセスや押し出された材料層などと干渉する可能性がなくなり得る。
【0026】
ある構成においては、制御システムは、ポリマ材料を印刷ヘッドに移送する際に用いられるポンプ、撹拌機、空気圧縮機などの動作を制御する供給システムを動作させ得る。
【0027】
図1から
図3を参照すると、印刷ヘッド100は、コネクタ102と、ロータリシステム104と、回転プラットフォーム106と、シールユニット108と、キュアリングモジュール110と、押出機112と、ノズル114と、駆動機構120として動作する発動機116及びベルトドライブ118とを備えている。
【0028】
コネクタ102は、印刷ヘッドと供給システムとの迅速な接続を提供するノードである。
【0029】
押出機112は、供給システムから押出ノズル114に複合樹脂を流す機構の一部である。ノズル114は、材料を印刷可能領域に押し出すための交換可能工具である。これは、シリコーン混合物から形成され得る。印刷モードに応じて、ノズルは異なる構成及び幾何的寸法を有し得る。回転プラットフォーム106は、押出機112の軸を中心に回転するすべてのモジュール及び部品が取り付けられる機構の一部である。発動機116は、駆動機構120として動作させるためにベルトドライブ118を用いている。発動機116は、サーボモータ、遊星歯車機構、歯付ベルトドライブ及び回転プラットフォームの回転を駆動するモータを制御するための電子デバイスを利用し得る。ロータリシステム104は、印刷中に電力と制御信号を回転する照明モジュールに供給する電気モジュールである。シールユニット108は、押出機の静止要素と回転要素との間を封止するためのユニットである。これは、複合樹脂が漏れるのを防止し得る。1つの又は複数のキュアリングモジュール110は、押し出された樹脂のキュアリングを促進する機構である。ある構成においては、キュアリングモジュール110は、押し出された樹脂のキュアリングに関連付けられた反応条件を改善し得る(例えば、照射、加熱、乾燥など)。
【0030】
ある構成においては、キュアリングモジュールは、UV照明モジュール302を含み得る。
【0031】
図3においては、印刷ヘッド300は、押し出された材料の重合のためのUV照射源として作用する照明モジュール302を利用している。電子部品は、最適なモードを確保するために印刷中に照射パワーを動的に調整することができる。
【0032】
印刷ヘッド300は、押し出される層の必要パラメータで供給システムから印刷可能領域に材料を供給する機能を有する。また、これは、印刷分野における材料の重合のためのUV照射の最適なモードを提供する。このために、印刷ヘッドの一部のモジュール及び機構は、押出機-回転プラットフォームの軸、照明モジュール、ノズルを中心として回転する。
【0033】
印刷ヘッドシステムは、所定の形状及びプロファイルのアパーチャを介して材料を押し出すためのデバイス-積層ノズルと、Z軸を中心としてノズルを回転させるための機構と、材料をキュアリングするための紫外光源であるUV光システムとを備えている。
【0034】
紫外光(UV)照射の作用により、単量体に溶解している開始剤は、重合プロセスを開始する。ラジカル重合のプロセスが起こり、フィラー含有物を有するポリママトリックスが形成される。ポリマが分枝し架橋するので、ポリママトリックスは硬い(ゴムやポリエチレンほど弾性を有していない)。全体が重合する前に層間の付着が生じる。印刷されたポリマの前層上に樹脂が体積し、そこが樹脂で濡れる。その後、紫外光照射の影響を受けて樹脂が重合される。
【0035】
UV光システムは、2以上のUV照明モジュールと、積層された材料ラインの上面及び側部をUV光に曝すように設計された回転機構とを含み得る。実施形態において、それぞれの別個のモジュールは、最大110ワットの光エネルギーを0%から100%の間で制御可能な状態で出射する。UV光線は、主として直径20mmのスポットに集束され、そのスポットの周囲で放散する光は中心から離れるにつれて次第に少なくなり、直径90mmでゼロになる。したがって、ちょうどノズル排出点にアクティブキュアリングのゾーンと、より下の層の2次的(散漫)キュアリングのゾーンとがあり得る。
【0036】
図4を参照すると、印刷システム400は、材料供給システム422、印刷ヘッド402、及び制御システム420を備えている。材料供給システム422は、材料貯留タンク408からの入力、材料供給ホッパ406、ホッパから材料を供給するためのポンプ(供給ポンプ410及び供給ポンプ412)、及び供給ホース404とともに、印刷ヘッド402への材料の移動を促進するための補助装備(補助装備418、補助装備414、及び補助装備416)を備えている。印刷ヘッドシステムは、コネクタ102と、ロータリシステム104と、回転プラットフォーム106と、シールユニット108(図示せず)と、キュアリングモジュール110と、押出機112と、ノズル114と、駆動機構120として動作する発動機116及びベルトドライブ118とを備えている。
【0037】
制御システム420は、キュアリングモジュール110に対して動作可能に接続され得る。これにより、制御システム420がキュアリングモジュール110の動作を制御することが可能になる。制御システム420は、回転プラットフォーム106に対して動作可能に接続され得る。これにより、制御システム420が回転プラットフォーム106の動作を制御することが可能になる。
【0038】
ある構成においては、印刷ヘッドは、材料キュアリングと制御システム420の通信情報をモニタリングするためのアクティブフィードバックシステム428を含んでいる。
【0039】
ある構成においては、制御システム420は、キュアリングモジュール制御システム424及び回転プラットフォーム制御システム426のようなキュアリングモジュールと回転プラットフォームとを独立して制御する制御システムを含み得る。この構成においては、キュアリングモジュール制御システム424は、LEDの駆動及び出力強度などのキュアリングモジュールの動作を制御し得る。回転プラットフォーム制御システム426は、プラットフォームの回転の動作を制御し得る。システムを分離することにより、メンテナンスが容易になり、異なる印刷ジョブに対してモジュールの交換及び置換が可能になり得る。例えば、特定の印刷ジョブにより好適な異なる動作パラメータを有するキュアリングモジュール及び制御システムに代えて、対応する制御システムにキュアリングモジュールを交換してもよい。この構成においては、アクティブフィードバックシステム428が、キュアリングモジュール制御システム424及び回転プラットフォーム制御システム426に情報を伝達してもよい。
【0040】
図5を参照すると、印刷システム500は、バレルポンプ502と、主容器514と、供給オーガ532と、供給ポンプ512と、投入ポンプ504と、中間容器506と、遮断システム508と、印刷ヘッド510と、制御システム420とを備えている。
【0041】
バレルポンプ502は、貯留及び移送容器(バレル)から複合樹脂を主容器514に汲み上げるために使用され得る。構成によっては、バレルポンプ502は、プログレッシブキャビティポンプであってもよく、モータ528及びポンプ530を備えていてもよい。
【0042】
主容器514は、複合樹脂用の容器として機能し、材料の液状態と均一性を維持し、その後材料供給ライン518にさらに材料を排出する機構を有している。主容器514は、撹拌機、振動器522、及び少なくとも1つのレベルセンサ524を駆動するためのモータ528を有するように構成されていてもよい。主容器514は、材料を供給オーガ532に供給してもよい。
【0043】
供給オーガ532は、材料を主容器514から材料供給ライン518に一定速度で供給するために利用され得る。
【0044】
供給ポンプ512は、ポンプ530と、モータ528と、少なくとも1つの圧力センサ526とを含み得る。供給ポンプ512は、高い液体抵抗を有する長いパイプラインの場合に複合樹脂を主容器514から投入ポンプ504に汲み上げるために利用され得る。ある構成においては、一連の供給ポンプは、材料供給ライン518の全長を簡単に封止することを可能にする。
【0045】
投入ポンプ504は、ポンプ530と、モータ528と、少なくとも1つの圧力センサ526とを含み得る。投入ポンプ504は、一定の圧力及び予め設定した容量で均一かつ制御された方法で供給材料を取得し、これを印刷ヘッド510に排出し得る。ある構成においては、投入ポンプ504は、プログレッシブキャビティポンプ(偏心スクリューポンプ)であってもよい。
【0046】
中間容器506は、振動器522と、圧力センサ526と、少なくとも1つのレベルセンサ524とを含み得る。中間容器506は、材料供給ライン518において材料をより均一に分配するために用いられ、材料バッファとしても機能し得る。中間容器506は、圧力センサ526の利用に加えて、過度な流れ、あるいは逆にキャビテーションを生じ得る連続的に置かれたポンプの脱同期を防止するために利用され得る。
【0047】
遮断システム508は、印刷プロセスの休止(移動、印刷面加工など)中に材料流れを遮断するための遮断弁を利用し得る。ある構成においては、遮断弁は、空気圧縮機516により駆動され、空気供給ライン520上の電磁弁により作動され得る。
【0048】
印刷ヘッド510は、ロータリシステム104と、回転プラットフォーム106と、キュアリングモジュール110と、押出機112と、ノズル114と、駆動機構120とを備えている。キュアリングモジュール110及びロータリシステム104は、制御システム420に対して動作可能に連結されている。
【0049】
ある構成においては、制御システム420は、キュアリングモジュール制御システム424及び回転プラットフォーム制御システム426のようなキュアリングモジュール及び回転プラットフォームを独立して制御する制御システムを含み得る。
【0050】
振動器522は、パイプライン及びデバイス内の樹脂を液化する(樹脂の粘度を下げる)ために利用され得る。振動器の利用により、ポンプに対する負荷が下がり、パイプラインを長くすることができる。ある構成においては、振動器522は、それぞれのポンプ及びパイプラインのエルボに取り付けられ得る。
【0051】
レベルセンサ524は、容器(主容器及び中間容器のいずれか)における複合樹脂のレベルをモニタリングするために利用され得る。このデータは、その後、ポンプを制御するために制御システム420により利用され、アーカイブデータとしてデータ保存システムにより保存され得る。
【0052】
圧力センサ526は、パイプライン内の複合樹脂の圧力レベルをモニタリングするために利用され得る。このデータは、その後、ポンプを制御するために自動制御システムにより利用され、科学データとしてデータ保存システムにより保存され得る。
【0053】
ある構成においては、アクティブフィードバックシステム428は、様々な入力デバイスを介して動作情報を取得し、その情報を制御システム420に通信で返す。
【表1】
【0054】
表1は、印刷システムが利用し得るセンサデバイスの考えられる取得方法と数とともに、アクティブフィードバックシステム428により収集され得る測定パラメータを示している。印刷システムは、任意の液体流れセンサを利用して供給システムを通過する材料の液体流量を検出し得る。印刷システムは、PCBで受ける電力を測定してLEDドライバの前に消費される電力を決定することにより、LEDモジュールにより利用されるプリント回路基板(PCB)上の埋込センサを介してLEDモジュールへの電力伝達をモニタリングしてもよい。また、印刷システムは、ポンプの動作をモニタリングするためにポンプ内の埋込センサを介して供給システムのポンプの周波数を測定してもよい。
【0055】
制御システムは、赤外温度センサを介して現在の印刷層及び以前の印刷層における押し出されたポリマの温度をモニタリングしてもよい。現在の印刷材料層及び以前の印刷材料層における温度示度は、2つの材料層の間の適切な付着を示し得る、異なる層における重合反応の反応速度を決めるために利用される。例えば、押し出されたポリマの前層の温度がある温度範囲を下回る場合には、重合反応が完了しており、より新しい材料層との付着を制限する場合がある。さらに、現在の層における押し出されたポリマの温度がキュアリングモジュールの動作に続くある温度範囲よりも低い場合には、現在の層が完全に反応しない場合があり、これにより、以前の材料層との付着が不完全になることがある。ある構成においては、赤外温度センサは、Raytek社のRAYCMLTVMであり得る。
【0056】
また、制御システムは、スペクトロメータを介してキュアリングモジュールのLEDから出射された光強度をモニタリングしてもよい。スペクトロメータの示度は、キュアリングモジュールの動作を決定するための較正点として利用され得る。制御システムは、適切な動作を保証し、キュアリングモジュールにおける故障を検出するために強度に関するチェックを頻繁に行ってもよい。ある較正においては、スペクトロメータは、浜松ホトニクス社のC10082MD(TM-UV/VIS-MOS)であり得る。
【0057】
また、制御システムは、キュアリングモジュールが安全な動作パラメータ内にあることを保証するために、温度センサを介してキュアリングモジュールのLEDの温度をモニタリングしてもよい。ある構成においては、温度センサは、Microchip Technology社のTC74A0-5.0VATシリアルEEPROM及び温度検知デバイスであり得る。
【0058】
また、制御システムは、光距離センサの動作を介して印刷ヘッドによる次の層又はポリマの塗布を可能にするために、押し出されたポリマの現在の層の高さをモニタリングしてもよい。ある構成においては、光距離センサは、Leuze electronics社の光距離センサODSL 9/V6-450-512であってもよい。
【0059】
また、制御システムは、印刷環境が適切な動作パラメータ内にあるか否かを判断するために、温度及び湿度センサを介して印刷領域の温度、プリンタの周囲環境の温度、及び印刷領域における湿度をモニタリングしてもよい。ある構成においては、制御システムは、Banner Engineering社のM12FTH3Q温度及び湿度センサを利用してもよい。
【0060】
また、制御システムは、デジタルカメラを介して印刷プロセスの動画像をモニタリングしてもよい。動画像は、それぞれの層の幅を計算するために利用され得る。利用されるデジタルカメラは、60fps以上の速度で印刷プロセスの画像を取得し得る。デジタルカメラに加えて、制御システムのソフトウェアにより層の幅を計算することを可能にするための線を印刷面上に投影するためにレーザを利用してもよい。ある構成においては、デジタルカメラは、少なくとも1つのメガピクセル解像度と制御システムに対するUSB接続とを有する任意のデジタルカメラであってもよく、レーザは、デジタルカメラにより視認可能なレーザ出射ダイオードにより実現され得る。
【0061】
また、制御システムは、印刷された要素の温度をすべての方向から決定するために、サーマルイメージングカメラからのサーモグラフ画像をモニタリングしてもよい。
【0062】
図6を参照すると、制御システム600は、コントローラパネル626と通信する自動コントローラ628と、モータドライバ608と通信するモーションコントローラ632と、リミットスイッチ602、補助装備604、及び周波数変換器606と通信する入力/出力モジュール630とを備えている。モータドライバ608は、印刷領域内で印刷ヘッドを位置決めするためのZ軸モータ610、X軸モータ612、及びY軸モータ614と通信する。モータドライバ608は、印刷ヘッドの回転プラットフォームの押出機及びノズルを中心とする回転を制御するC軸モータ616を付加的に制御する。また、制御システム600は、オペレータモニタ620と、セイフティセンサ624と通信するセイフティコントローラ622と通信する。
【0063】
制御システム600は、UV光学部品モジュール618と付加的に通信し、注入された樹脂に照射してキュアリングするためにUV光学部品モジュール618の動作を制御する。
【0064】
制御システム600は、手動動作モード及び自動動作モード用のソフトウェアを有する電子部品ユニットを含んでいてもよい。制御システム600は、位置決めシステム、材料供給システム、印刷ヘッドシステム、及び(CNCミリング/平滑システムのような)補助装備のような被制御システムの動作をモニタリング及び制御するように動作し得る。位置決めシステムの制御は、計算機数値制御(CNC)の原理に基づいていてもよい。材料供給システム及び印刷ヘッドシステムの制御は、自動制御の原理に基づいていてもよく、プロセスのリアルタイムモニタリングと制御を提供するためのソフトウェアアルゴリズムを利用してもよい。補助装備の制御は、安全動作センサ、緊急事態センサ及び付加的なセイフティシステム及び装備を含み得る。
【0065】
人間のモニタリング及び制御システムは、3Dプリンタのオペレータによるモニタリング機能と手動制御動作を提供し得る。通信インタフェイスは、異なるデバイス間のデータ通信を提供し、制御システムのGコードプログラム用にも使用される。
【0066】
位置決めシステムは、貨物コンテナの内部に堅く固定された工業用アルミニウムプロファイルから組み立てられる剛結フレームを含み得る。建築プラットフォームは、貨物コンテナの内側床面により表される。4軸リニアモーションシステムは、リニアガイド、減速ギアを有するステッピングモータ、ボールネジ、ベルトドライブ、及びエンドポジションセンサを含み得る。
【0067】
材料供給システムは、材料貯留タンクからの入力、材料供給ホッパ、ホッパから材料を供給するためのポンプ、印刷ヘッドシステムに材料を運ぶ補助装備を有する供給ホースを含み得る。
【0068】
印刷ヘッドシステムは、所定の形状及びプロファイルのアパーチャを通じて材料を押し出すためのデバイス、すなわち積層ノズルと、Z軸を中心としてノズルを回転させる機構と、材料をキュアリングするための紫外光源であるUV光システムとを含み得る。
【0069】
本開示における方法及び組成が、いくつかの好ましい実施形態を基礎として上記で述べられている。本文書を基礎とする分野における当業者が読んだときに、本発明の概念内にあると読めるすべての組み合わせのように、異なる変形例の異なる側面が互いに組み合わせたものとして述べられているものと考えられる。好ましい実施形態は、本文書の保護の範囲を制限するものではない。
【0070】
本出願の本発明の実施形態を詳細に、また例示的な実施形態を参照して述べてきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、改良及び変形が可能であることは明らかであろう。
【国際調査報告】