(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】P型有機半導体材料及びN型半導体材料を含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 65/00 20060101AFI20220824BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20220824BHJP
C01B 32/156 20170101ALI20220824BHJP
H01L 51/42 20060101ALI20220824BHJP
H01L 51/48 20060101ALI20220824BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C08L65/00
C08K3/04
C01B32/156
H01L31/08 T
H01L31/04 182A
H05B33/14 A
H05B33/22 B
H05B33/22 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577164
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020067379
(87)【国際公開番号】W WO2020260213
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ルルー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】サラッコ,エメリン
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
3K107
4G146
4J002
5F151
5F849
【Fターム(参考)】
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5F151AA11
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5F849FA04
5F849FA05
5F849XA02
5F849XA63
(57)【要約】
【解決手段】本明細書は、共役アリール化合物、共役ヘテロアリール化合物又はこれらの化合物の2以上の混合物を含むP型有機半導体ポリマと、フラーレン、置換フラーレン又はこれらの化合物の2以上の混合物を含むN型半導体材料と、非水溶媒とを含む組成物に関する。P型有機半導体ポリマの濃度は、非水溶媒の1mL当たり8mg/mL ~12 mg/mLの範囲内であり、N型半導体材料の濃度は、非水溶媒の1mL当たり18 mg/mL~22 mg/mLの範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 共役アリール化合物、共役ヘテロアリール化合物、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含むP型有機半導体ポリマと、
- フラーレン、置換フラーレン、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含むN型半導体材料と、
- 非水溶媒と
を含んでおり、
前記P型有機半導体ポリマの濃度は、非水溶媒の1mL当たり8mg/mL ~12 mg/mLの範囲内であり、前記N型半導体材料の濃度は、非水溶媒の1mL当たり18 mg/mL~22 mg/mLの範囲内であり、
前記非水溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール、アルキルアニソール、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アルキルナフタレン、又はこれらの溶媒の少なくとも2つの混合物を含んでいる、組成物。
【請求項2】
8mPa・s ~12 mPa・sの範囲内の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記P型有機半導体ポリマはアリール基及びチオフェン基を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記N型半導体材料はPCBM-C
60である、請求項1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記非水溶媒はテトラヒドロナフタレンである、請求項1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の組成物を、光電子デバイスを調製するための被覆用又は印刷用のインクとして使用する方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つに記載の組成物を調製する方法であって、
P型有機半導体ポリマ及びN型半導体材料を粉末の形態で混合し、
混合物に非水溶媒を加えて組成物を得て、
前記組成物を加熱し、
前記組成物を濾過する、方法。
【請求項8】
前記P型有機半導体ポリマは、目標とする分子量を有し、
前記目標とする分子量より大きい第1の分子量を有するポリマの第1の粉末と、前記目標とする分子量より小さい第2の分子量を有する同一のポリマの第2の粉末とを混合することにより、前記P型有機半導体ポリマを得る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物を加熱する際に、前記組成物を30分間~2時間、50℃~70℃の範囲内の温度で加熱する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物を濾過する際に、0.2 μm~1μmの範囲内の孔径を有するフィルタを前記組成物に通過させる、請求項7~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1つに記載の組成物から調製された光電子デバイス。
【請求項12】
有機フォトダイオード、有機発光フォトダイオード、及び有機太陽電池から選択されている、請求項11に記載の光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、有機半導体(OSC) を含む組成物、有機電子デバイスを調製するためのインク、及びこのような組成物を用いて有機電子デバイスを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間、有機半導体(OSC) は学術的且つ産業的に強い関心を集めている。有機半導体が既に使用されている適用例には、例えば光センサのための有機フォトダイオード(OPD) 、例えばディスプレイ及び照明のための有機発光ダイオード(OLED)、並びに有機太陽電池(OPV) がある。
【0003】
無機半導体の堆積には一般に真空技術が必要であるが、有機半導体は、比較的簡単で安価な堆積法及び被覆法、特にスピンコーティング法又拡散法によって適用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような方法によって適用されるインク及び組成物は一般に、実施される方法に特有の粘性を必要とする。インクの粘性が、インク成分の性質、例えば有機半導体成分の分子量又は溶媒の性質などの多くの変数、及び成分の夫々の濃度によって決まるため、インクの粘度の調節は複雑になる。更に、有機半導体成分は、溶解性を考慮せずに、例えば電荷担体の可動性などの電子特性を最大化するように構成されていることが多いため、可能性がある溶媒の選択が制限される。
【0005】
従って、実施形態の目的は、有機半導体化合物を含むインクの前述した不利点を少なくとも部分的に克服することである。
【0006】
実施形態の目的は、インクの粘性が実施される堆積法に適合することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態は、
- 共役アリール化合物、共役ヘテロアリール化合物、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含むP型有機半導体ポリマと、
- フラーレン、置換フラーレン、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含むN型半導体材料と、
- 非水溶媒と
を含んでおり、
前記P型有機半導体ポリマの濃度は、非水溶媒の1mL当たり8mg/mL ~12 mg/mLの範囲内であり、前記N型半導体材料の濃度は、非水溶媒の1mL当たり18 mg/mL~22 mg/mLの範囲内である、組成物を提供する。
【0008】
実施形態によれば、前記非水溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール、アルキルアニソール、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アルキルナフタレン、又はこれらの溶媒の少なくとも2つの混合物を含んでいる。
【0009】
実施形態によれば、前記組成物は、8mPa・s ~12 mPa・sの範囲内の粘度を有する。
【0010】
実施形態によれば、前記P型有機半導体ポリマはアリール基及びチオフェン基を有する。
【0011】
実施形態によれば、前記N型半導体材料はPCBM-C60である。
【0012】
実施形態によれば、前記非水溶媒はテトラヒドロナフタレンである。
【0013】
実施形態は、上記に定められているような組成物を、光電子デバイスを調製するための被覆用又は印刷用のインクとして使用する方法を更に提供する。
【0014】
実施形態は、上記に定められているような組成物を調製する方法であって、P型有機半導体ポリマ及びN型半導体材料を粉末の形態で混合し、混合物に非水溶媒を加えて組成物を得て、前記組成物を加熱し、前記組成物を濾過する、方法を更に提供する。
【0015】
実施形態によれば、前記P型有機半導体ポリマは、目標とする分子量を有し、前記目標とする分子量より大きい第1の分子量を有するポリマの第1の粉末と、前記目標とする分子量より小さい第2の分子量を有する同一のポリマの第2の粉末とを混合することにより、前記P型有機半導体ポリマを得る。
【0016】
実施形態によれば、前記組成物を加熱する際に、前記組成物を30分間~2時間、50℃~70℃の範囲内の温度で加熱する。
【0017】
実施形態によれば、前記組成物を濾過する際に、0.2 μm~1μmの範囲内の孔径を有するフィルタを前記組成物に通過させる。
【0018】
実施形態は、上記に定められているような組成物から調製された光電子デバイスを更に提供する。
【0019】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、有機フォトダイオード、有機発光フォトダイオード、及び有機太陽電池から選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0021】
【
図1】P型有機半導体材料及びN型半導体材料を含む半導体層を製造する方法の実施形態をブロックで示すフローチャートである。
【
図2】光センサの実施形態を示す部分的な断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用な工程及び要素のみが示されて詳細に記載されている。特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0023】
本願では、「インク」及び「組成物」という用語は、少なくとも1つのP型有機半導体材料、1つのN型半導体材料、及び少なくとも1つの溶媒を含む組成を表すために使用されている。本願の文中では、「有機半導体材料」という用語は、少なくとも1つの有機半導体材料を含む半導体材料を表すために使用されている。従って、このような有機半導体材料は、一又は複数の無機半導体化合物を更に含んでもよい。
【0024】
特に示されていない場合、分子量は、数平均分子量Mn又は重量平均分子量Mwで与えられ、テトラヒドロフラン、トリクロロメタン、クロロベンゼン又は1,2,4-トリクロロベンゼンなどの溶離液中の標準ポリスチレンに対してゲル透過クロマトグラフィ(GCP) によって決定される。特に示されていない場合、クロロベンゼンが、測定のための溶媒として使用される。重合体の多分散指数(PDI) とも称され得る分子量分布(MWD) は、比Mw/Mn として定められる。反復単位の総数とも称される重合度mという用語は、m=Mn/MU として示される平均重合度を表し、ここで、Mnは重合体の数平均分子量であり、MUは反復単位の分子量である。J. M. G. Cowie, Polymers: Chemistry & Physics of Modern Materials, Blackie, Glasgow, 1991参照。
【0025】
以下の記載では、「反復単位」又は「繰り返し単位」という表現は、重合体化合物のバックボーンを形成する単量体単位を表し、少なくとも1つが重合体化合物に存在する構造単位である。「n価複素環基」(nは1又は2である)という表現は、複素環化合物(特に芳香族複素環化合物)からn個の水素原子を除去して調製された基を表し、これらの画分は他の原子と結合を形成する。「複素環化合物」という表現は、炭素原子だけでなく、環を形成する元素の中で酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子又はホウ素原子などのヘテロ原子も環に含む環状構造を有する有機化合物を表す。
【0026】
実施形態によれば、本願に係る組成物は、
a) 少なくとも1つのN型有機半導体材料及び少なくとも1つのP型有機半導体材料と、
b) 少なくとも1つの溶媒と、
c) 場合によっては粒子の形態の少なくとも1つの重合体と、
d) 場合によっては少なくとも1つの導電性添加剤と
を含んでいる。
【0027】
P型有機半導体材料
組成物は、一又は複数のP型有機半導体化合物及び一又は複数のN型半導体化合物を含んでもよい。半導体化合物、好ましくはP型有機半導体化合物は、例えば一又は複数の光活性化合物であってもよい。「光活性化合物」という用語は、入射光を電力に変換するのに役立つ化合物を表すために使用されている。
【0028】
一又は複数のP型有機半導体化合物は、重合体、オリゴマー又は小分子であってもよく、以下の式(I)で表されてもよい。
-[M-]m- (I)
ここで、Mは以下に定められているようなものであり、本開示のために、mは小分子の場合には1であり、オリゴマーの場合には2~10の範囲内であり、重合体の場合には少なくとも11である。P型有機半導体化合物は夫々重合体であることが好ましい。
【0029】
適合されたP型有機半導体化合物の例では全て、共役のアリール化合物及びヘテロアリール化合物が含まれ、場合によっては一又は複数のエテン-2,1- ジイル(*-(R1)C=C(R2)-*)基及びエチンジイル(*-C≡C-*)基を更に含み、R1及びR2は、以下に定められているような基である。
【0030】
R1基及びR2基は、1~20の炭素原子を有するアルキル基と、1~20の炭素原子を有して部分的若しくは完全にフッ素化されたアルキル基と、フェニル基と、1~20の炭素原子を有するアルキル基又は1~20の炭素原子を有して部分的若しくは完全にフッ素化されたアルキル基で置換されたフェニル基とによって形成された群から好ましくは選択されるカルビル基である。
【0031】
P型有機半導体化合物の例は、共役のアリール化合物及びヘテロアリール化合物、例えば、好ましくは2以上、より好ましくは少なくとも3つの芳香環を含む芳香族化合物であってもよい。P型有機半導体化合物の好ましい例には、5員環、6員環又は7員環の芳香環から選択された芳香環が含まれ、より好ましくは5員環又は6員環の芳香環から選択された芳香環が含まれる。
【0032】
P型有機半導体化合物の芳香環は、場合によってはSe、Te、P、Si、B、As、N、O又はSから選択され、一般にはN、O又はSから選択された一又は複数のヘテロ原子を夫々含んでもよい。
【0033】
更に、芳香環は、場合によってはアルキル基、アルコキシ基、ポリアルコキシ基、チオアルキル基、アシル基、アリール基、又は置換アリール基、ハロゲン基、特にフッ素、シアノ、ニトロ、又は、場合によっては置換して-N(R3)(R4)(ここでR3及びR4は夫々独立してHである)によって表現される2級若しくは3級のアルキルアミン又はアリールアミン、場合によっては置換したアルキル基、アリール基、アルコキシル基、又は場合によっては置換したポリアルコキシ基で置換されてもよい。更に、R3及びR4がアルキル基又はアリール基である場合、アルキル基又はアリール基は場合によってはフッ素化されてもよい。
【0034】
上記の芳香環は凝縮されてもよく、又は-C(T1)=C(T2)-、-C≡C-、-N(R'")-、-N=N-、(R'")=N-、-N=C(R'")-などの共役連結基に結合されてもよく、ここで、T1及びT2はH、Cl、F、-CN 又は1~4の炭素原子を有するアルキル基などの低級アルキル基を独立して夫々表し、R'" はH、場合によっては置換したアルキル基、又は場合によっては置換したアリール基を表す。更に、R'" がアルキル基又はアリール基である場合、アルキル基又はアリール基はフッ素化されてもよい。
【0035】
本願に適合されたP型有機半導体の好ましい例には、共役炭化水素重合体、例えばポリアセン、ポリフェニル、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン(このような共役炭化水素重合体のオリゴマーを含む);縮合芳香族炭化水素、例えばテトラセン、クリセン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、コロネン、又はこれらの可溶性置換誘導体;p-クアテルフェニル(p-4P)、p-キンキフェニル(p-5P)、p-セキシフェニル(p-6P)などのオリゴマーでパラ置換されたフェニレン、又はこれらの可溶性置換誘導体;共役複素環重合体、例えば3-置換ポリ(チオフェン)、3,4-二置換ポリ(チオフェン)、場合によっては置換したポリチエノ[2,3-b] チオフェン、場合によっては置換したポリチエノ[3,2-b] チオフェン、3置換ポリ(セレノフェン)、ポリベンゾチオフェン、ポリイソチアナフテン、N-置換ポリ(ピロール)、3-置換ポリ(ピロール3)、3,4-二置換ポリ(ピロール)、ポリフラン、ポリピリジン、ポリ-1,3,4- オキサジアゾール、ポリイソチアナフテン、N-置換ポリ(アニリン)、2-置換ポリ(アニリン)、3-置換ポリ(アニリン)、2,3-二置換ポリ(アニリン)、ポリアズレン、ポリピレン;ピラゾリン化合物;ポリセレノフェン;ポリベンゾフラン;ポリインドール;ポリピリダジン;ベンジジン化合物;スチルベン化合物;トリアジン;ポルフィン、フタロシアニン、フルオロフタロシアニン、ナフタロシアニン、無金属及び金属含有の置換フルオロナフタロシアニン;N,N'- ジアルキル、置換ジアルキル、ジアリール及び置換ジアリールの1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、及びフッ素化された誘導体;N, N'-ジアルキル、置換ジアルキル、ジアリール及び置換ジアリールの3,4,9,10- ペリレンテトラカルボン酸ジイミド;バソフェナントロリン;ジフェノキノン;1,3,4-オキサジアゾール;11,11,12,12-テトラシアノナフト-2,6- キノジメタン;α,α′-ビス(ジチエノ[3,2-b-2', 3T-d]チオフェン);2,8-ジアルキル、置換ジアルキル、ジアリール及び置換ジアリールのアントラジチオフェン;2,2'- ビスベンゾ[1,2-b : 4,5-b']ジチオフェンから形成された群から選択された化合物、オリゴマー及び化合物の誘導体が含まれている。
【0036】
更に、本発明に係る特定の好ましい実施形態では、P型有機半導体化合物は、チオフェン-2,5- ジイル、3-置換チオフェン-2,5- ジイル、場合によっては置換したチエノ[2,3-b] チオフェン-2,5- ジイル、場合によっては置換したチエノ[3,2-b] チオフェン-2,5- ジイル、セレノフェン-2,5- ジイル又は3-置換セレノフェン-2,5- ジイルから選択された一又は複数の反復単位を含む重合体又は共重合体である。
【0037】
P型有機半導体成分の他の好ましい例は、一又は複数の電子受容体単位及び一又は複数の電子供与体単位を含む共重合体である。この好ましい実施形態の好ましい共重合体は、例えば、場合によっては4,8-二置換された一又は複数のベンゾ[1,2-b:4,5-b']ジチオフェン-2,5- ジイル単位を含んで、基A及び基Bから選択された一又は複数のアリール単位又はヘテロアリール単位を更に含み、好ましくは少なくとも1つの基A単位及び少なくとも1つの基B単位を含む共重合体であり、基Aは、電子供与体特性を有するアリール基又はヘテロアリール基で形成されており、基Bは、電子受容体特性を有するアリール基又はヘテロアリール基で形成されている。
【0038】
基Aは、場合によっては一又は複数、好ましくは1つ又は2つの既に定められているような基R1で置換した、セレノフェン-2,5- ジイル、チオフェン-2,5- ジイル、チエノ[3,2-b] チオフェン-2,5- ジイル、チエノ[2,3-b] チオフェン-2,5- ジイル、セレノフェノ[3,2-b] セレノフェン-2,5- ジイル、セレノフェノ[2,3-b] セレノフェン-2,5- ジイル、セレノフェノ[3,2-b] チオフェン-2,5- ジイル、セレノフェノ[2,3-b] チオフェン-2,5- ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5-b']ジチオフェン-2,6- ジイル、2,2-ジチオフェン、2,2-ジセレノフェン、ジチエノ[3,2-b:2', 3'-d]シロール-5,5- ジイル、4H- シクロペンタ[2,1-b:3,4-b']ジチオフェン-2,6- ジイル、2,7-di- チエン-2-yl-カルバゾール、2,7-di- チエン-2-yl-フルオレン、インダセノ[1,2-b:5,6-b']ジチオフェン-2,7- ジイル、ベンゾ[1", 2":4,5 ;4", 5":4',5']ビス(シロール[3,2-b:3', 2'-b']チオフェン)-2,7- ジイル、2,7-di- チエン-2-yl-インダセノ[1,2-b:5,6-b']ジチオフェン、2,7-di- チエン-2-yl-ベンゾ[1", 2": 4, 5 ; 4", 5": 4', 5']ビス(シロール[3,2-b: 3', 2'-b']チオフェン)-2,7- ジイル、及び、2,7-di- チエン-2-yl-フェナントロ[1,10,9,8-c, d, e, f, g]カルバゾールで形成されている。
【0039】
基Bは、場合によっては一又は複数、好ましくは1つ又は2つの、既に定められているような基R1で全て置換した、ベンゾ[2,1,3] チアジアゾール-4,7- ジイル、5,6-ジアルキル-ベンゾ[2,1,3] チアジアゾール-4,7- ジイル、5,6-ジアルコキシベンゾ[2,1,3] チアジアゾール-4,7- ジイル、ベンゾ[2,1,3] セレナジアゾール-4,7- ジイル、5,6-ジアルコキシ-ベンゾ[2,1,3] セレナジアゾール-4,7- ジイル、ベンゾ[1,2,5] チアジアゾール-4,7- ジイル、ベンゾ[1,2,5] セレナジアゾール-4,7- ジイル、ベンゾ[2,1,3] オキサジアゾール-4,7- ジイル、5,6-ジアルコキシベンゾ[2,1,3] オキサジアゾール-4,7- ジイル、2H- ベンゾトリアゾール-4,7- ジイル、2,3-ジシアノ-1,4- フェニレン、2,5-ジシアノ、1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ-1,4- フェニレン、2,5-ジフルオロ-1,4- フェニレン、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4- フェニレン、3,4-ジフルオロチオフェン-2,5- ジイル、チエノ[3,4-b] ピラジン-2,5- ジイル、キノキサリン-5,8- ジイル、チエノ[3,4-b] チオフェン-4,6- ジイル、チエノ[3,4-b] チオフェン-6,4- ジイル、及び、3,6-ピロロ[3,4-c] ピロール-1,4- ジオンで形成されている。
【0040】
本発明の他の望ましい実施形態では、P型有機半導体化合物は置換オリゴアセンである。このようなオリゴアセンの例は、例えば、ペンタセン、テトラセン又はアントラセン、及びこれらの複素環誘導体で形成された群から選択されてもよい。例えば米国特許第6690029 号明細書、国際公開第2005/055248号パンフレット又は米国特許第7385221 号明細書の特許又は特許出願に記載されているようなビス(トリアルキルシリルエチニル)オリゴアセン又はビス(トリアルキルシリルエチニル)ヘテロアセンが更に使用されてもよい。
【0041】
N型半導体材料
適合されたN型半導体化合物の例は当業者に広く知られており、無機化合物及び有機化合物が含まれる。
【0042】
N型半導体化合物は、例えば、酸化亜鉛(ZnOx)、酸化亜鉛スズ(ZTO) 、酸化チタン(TiOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化ニッケル(NiOx)、セレン化カドミウム(CdSe)、及びこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含む群から選択された無機半導体化合物であってもよい。
【0043】
N型半導体化合物は、例えば、グラフェン、フラーレン、置換フラーレン、及びこれらの化合物の少なくとも2つのあらゆる混合物を含む群から選択されてもよい。
【0044】
適合されたフラーレン及び置換フラーレンの例は、インデン-C60- ビス付加体、つまりICBA、及び、例えばG. Yu, J. Gao, JC Hummelen, F. Wudl, AJ Heeger, Science 1995, vol. 270, p. 1789及び下記に記載されているような「PCBM-C60」又は「C60PCBM」としても知られている、(6,6)-フェニル-酪酸のメチルエステル由来のメタノ-C60フラーレン、並びに、例えばC61 フラーレン基、C70 フラーレン基及びC71 フラーレン基と同様の構造化合物及び有機重合体(例えば、Coakley, K.M. 及びMcGehee, M.D. Chem. Mater. 2004, 16, 4533参照)を含む群から選択されてもよい。
【0045】
N型半導体成分の他の例が、Zhang らの「Nonfullerene Acceptor Molecules for Bulk Heterojunction Organic Solar Cells」という題名の刊行物(Chemical Reviews, 2018 April 11; 118(7):3447-3507. doi: 10.1021/acs.chemrev.7b00535. Epub 2018 March 20)に記載されている。
【0046】
P型有機半導体化合物を、N型半導体、例えばフラーレン又は置換フラーレン、例えばPCBM-C60、PCBM-C70、PCBM-C61、PCBM-C71、ビス-PCBM-C61 、ビス-PCBM-C71 、ICMA-C60(1%4'-ジヒドロナフト[2%3':1,2][5,6]フラーレン-C60)、ICBA-C60、oQDM-C60(1%4'-ジヒドロナフト[2',3':1,9][5,6]フラーレン-C60-1h )、ビス-oQDM-C60 、グラフェン、又は金属酸化物、例えばZnOx、TiOx、ZTO 、MoOx、NiOx、又は、OPV デバイス若しくはOPD デバイスにアクティブ層を形成すべく、例えばPbS 、CdSe若しくはCdS で形成された量子ドットと混合することが好ましい。
【0047】
粒子状の重合体
実施形態によれば、本組成物は重合体粒子を含み、前記重合体粒子の直径は最大でも2μmである。前記重合体粒子の直径は、最大1.5 μmであり、より好ましくは最大1.0 μm、0.9 μm、0.8 μm、0.7 μm又は0.6 μmであり、更により好ましくは最大0.5 μmであることが好ましい。前記重合体粒子の直径は、最小10nmであり、より好ましくは最小15nmであり、更により好ましくは最小20nmであることが好ましい。
【0048】
前記重合体粒子は、架橋結合を示す重合体、すなわち、架橋度を有する重合体を含むことが好ましい。
【0049】
重合体は、安定した分散を生じさせることができる。本願の文中では、「重合体粒子の安定した分散」という用語は、上記で定められているような一又は複数の溶媒中の重合体粒子の分散を表し、前記重合体粒子は、一又は複数の溶媒に分散した後に少なくとも24時間、好ましくは少なくとも48時間、分散したままである。
【0050】
重合体粒子は、好ましくは重合体粒子の総重量に対して少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、97重量%又は99重量%の架橋性重合体を含むか、又は好ましくはこのような架橋性重合体である。
【0051】
本願で使用され得る架橋性重合体の例は、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(メタクリル酸メチル)、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニル重合体、及びこれらの化合物の少なくとも2つのあらゆる混合物で形成された群から選択されてもよく、ポリスチレン及びポリアクリル酸が好ましく、ポリスチレンがとりわけ好ましい。
【0052】
架橋性重合体又は既に架橋結合した重合体は、一般に当業者に知られており、例えばSpherotech Inc., Lake Forest, IL, USA又はSigma-Aldrichなどの商業的供給源によって入手可能である。
【0053】
重合体粒子に含まれる重合体の(例えばGPC によって決定されるような)数平均分子量Mnは、少なくとも50,000 g/mol、好ましくは少なくとも100,000 g/mol 、より好ましくは少なくとも150,000 g/mol 、更により好ましくは少なくとも200,000 g/mol であることが好ましい。重合体粒子に含まれる重合体の(例えばGPC によって決定されるような)数平均分子量Mnは、多くとも2,000,000 g/mol 、好ましくは多くとも1,500,000 g/mol 、より好ましくは多くとも1,000,000 g/mol であることが好ましい。
【0054】
本発明の重合体粒子は、本組成物に含まれる溶媒に可溶性ではないことが好ましい。
【0055】
導電性添加剤
実施形態によれば、組成物は、揮発性化合物、及び有機半導体材料(OSC) と化学的に反応できない化合物を含む群から選択された少なくとも1つの導電性添加剤を更に含む。特に、導電性添加剤は、(例えば酸化又はOSC 材料との化学的な反応によって)OSC 材料に永続的なドーパント効果がない化合物、又は揮発性化合物、又はその両方から選択される。従って、実施形態によれば、組成物は、イオン産物を形成することによりOSC 材料と反応する、例えば酸化剤又はプロトン酸又はルイス酸などの添加剤を含まない。更に、実施形態によれば、組成物は、処理後に固体のOSC 材料から除去され得ない揮発性ではない添加剤を含まない。カルボン酸などの、OSC 材料を電気的にドープすることができる添加剤を使用する場合、添加剤は、堆積後にOSC 膜から除去され得る揮発性成分から選択されるべきであることが好ましい。
【0056】
添加剤はまた、例えば酸化剤、ルイス酸、プロトン無機酸又は不揮発性のプロトンカルボン酸などの導電性添加剤を組成物に添加するための耐性を有してもよい。しかしながら、組成物中のこれらの添加剤の総濃度は、好ましくは0.5 重量%未満とすべきであり、より好ましくは0.1 重量%未満とすべきであり、更により好ましくは0.01重量%未満とすべきである。しかしながら、組成物は、この群から選択されたドーパントを含まないことが好ましい。
【0057】
従って、導電性添加剤はOSC を常時ドープしないように選択されている、及び/又は、導電性添加剤は、処理後にOSC 材料から除去される(ここで、処理は、例えばOSC 材料を基板に堆積する、若しくはその層若しくは膜を形成することを意味する)、及び/又は、導電性添加剤は、例えば永続的なドーピングによって生じる、OSC 材料の特性への著しい影響を回避すべく十分低い濃度で存在することが好ましい。更に好ましい方法では、導電性添加剤はOSC 材料、又はOSC 材料を含む膜又は層に化学的に接合されない。
【0058】
好ましい導電性添加剤は、OSC 材料を酸化させず、OSC 材料と化学的に反応しない化合物で形成された群から選択される。上記及び以下で使用される「酸化」及び「化学的に反応する」という用語は、組成物及びOEデバイスの製造、貯蔵、輸送及び/又は使用のために使用される条件下で起こり得る酸化又はOSC 材料と導電性添加剤の他の化学反応に関連する。
【0059】
他の好ましい導電性添加剤は、揮発性化合物で形成された群から選択されている。本明細書で使用されている「揮発性」という用語は、OSC 材料がOE 基板又はデバイスに堆積した後に、OSC 材料又はOEデバイスを著しく損傷しない(温度及び/若しくは圧力低下などの)条件下で蒸発によりOSC 材料から添加剤が除去されてもよいことを意味する。これは、添加剤が、使用される圧力で、最も好ましくは大気圧(1,013 hPa) で300 ℃より低く、より好ましくは135 ℃より高く、更により好ましくは120 ℃より高い沸点又は昇華温度を有することを意味することが好ましい。例えば加熱及び/又は圧力低下によって、蒸発を更に促進してもよい。
【0060】
酸化しないか又はOSC 材料と化学的に反応しない適合された好ましい導電性添加剤は、可溶性有機塩、例えば恒常的な4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩、イミダゾリウム塩及び他の複素環塩で形成された群から選択されており、ここで、陰イオンは、例えばハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸塩)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドなどで形成された群から選択されており、陽イオンは、例えば、複素環アンモニウム塩(例えばイオン性液体)、プロトン化したアルキルアンモニウム及びアリールアンモニウムの塩、及び他の窒素系の塩、例えばアンモニウムジラウリル塩に加えて、テトラアルキルアンモニウム、混合したテトラアリールアンモニウム及びテトラアルキルアリールアンモニウムのイオン(ここで、アルキル基又はアリール基は同一であってもよく又は互いに異なってもよい)の群から選択されている。他の好ましい導電性添加剤は、アルカリ金属の塩、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアルカリ金属の塩、及び無機塩によって形成された群から選択されている。
【0061】
最も好ましい有機塩は、例えば、テトラ-n- ブチルアンモニウム塩化物、テトラオクチルアンモニウム臭化物、ベンジルトリデシルアンモニウムベンゼン硫酸塩、ジフェニルジドデシルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、N-メチル-N- トリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物である。
【0062】
揮発性有機塩がより好ましい。適合された好ましい揮発性有機塩は、例えば、酢酸塩、ギ酸塩、トリフラート又はアンモニウムメタンスルホン酸塩、例えばトリメチルアンモニウム酢酸塩、トリエチルアンモニウム酢酸塩、ジヘキシルアンモニウムメタンスルホン酸塩、オクチルアンモニウムギ酸塩、DBN (1,5- ジアザビシクロ[4.3.0] ノン-5- エン)酢酸塩、又はこれらの混合物若しくは前駆体である。このタイプの好ましい添加剤は、例えば、組成物にトリブチルアンモニウムトリフルオロ酢酸塩を与える、トリブチルアミン及びトリフルオロ酢酸の混合物であるか、又は、(好ましくは200 ℃より低く、より好ましくは135 ℃より低い沸点を有する)短鎖トリアルキルアミン及び(好ましくは200 ℃より高く、より好ましくは135 ℃より高い沸点を有して酢酸のpKa 値以上のpKa 値を有する)揮発性有機酸の混合物である。
【0063】
更なる好ましい導電性添加剤は、アルコール、好ましくは揮発性アルコール、揮発性カルボン酸、及び有機アミン、好ましくは揮発性有機アミン、より好ましくはアルキルアミンである。
【0064】
適合された好ましいアルコール又は揮発性アルコールは、例えばイソプロピル酸、イソブタノール(2-ブタノール)、ヘキサノール、メタノール又はエタノールである。
【0065】
適合された好ましい揮発性カルボン酸は、例えば(大気圧で)135 ℃より低く、より好ましくは120 ℃より低い沸点を有する揮発性カルボン酸であり、例えばギ酸、酢酸、ジフルオロ酢酸又はトリフルオロ酢酸である。他のカルボン酸、例えばプロピオン酸又は高級酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、又はメタンスルホン酸が更に許容可能であり、濃度がOSC 材料の著しいドーピングを避けるために十分低く選択されて、好ましくは0重量%より大きく0.5 重量%より小さく、より好ましくは0.25重量%より小さく、更により好ましくは0.1 重量%より小さい場合に使用されてもよい。
【0066】
適切で好ましい有機アミン又は揮発性有機アミンは、アルキルアミン、例えば1級アルキルアミン又は2級アルキルアミン、例えばn-ジブチルアミン、エタノールアミン又はオクチルアミンである。
【0067】
OSC 層の堆積後にOSC 材料から除去されない導電性添加剤、例えば上述したような可溶性有機塩、アルコール又は不揮発性アミンの場合、これらの化合物の一部は、例えばデバイスを横切る電荷を捕捉することにより、酸化しないか又はOSC 層と反応しない場合でさえも永続的なドーピング効果を更に有してもよい。従って、これらの添加剤の濃度は、デバイスの性能に大きな影響を与えないように十分低く維持されるべきである。組成物の添加剤毎の最大許容濃度は、OSC 材料を常時ドープする能力に応じて選択されてもよい。
【0068】
可溶性有機塩から選択された導電性添加剤の場合、組成物中の導電性添加剤の濃度は、好ましくは1ppm ~2重量%の範囲内であり、より好ましくは50 ppm~0.6 重量%の範囲内であり、更により好ましくは50 ppm~0.1 重量%の範囲内である。
【0069】
揮発性有機塩から選択された導電性添加剤の場合、組成物中の導電性添加剤の濃度は、好ましくは1ppm ~2重量%の範囲内であり、より好ましくは50 ppm~0.6 重量%の範囲内であり、更により好ましくは50 ppm~0.1 重量%の範囲内である。
【0070】
アルコール又は揮発性アルコールから選択された導電性添加剤の場合、組成物中の導電性添加剤の濃度は、1重量%~20重量%の範囲内であり、より好ましくは2重量%~20重量%の範囲内であり、更により好ましくは5重量%~10重量%の範囲内である。
【0071】
揮発性カルボン酸から選択された導電性添加剤の場合、組成物中の導電性添加剤の濃度は、好ましくは0.001 %以上であり、より好ましくは0.01%以上であり、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下であり、更により好ましくは0.5 %未満である(全てのパーセントは重量パーセントである)。
【0072】
アミン及び揮発性アミンから選択された導電性添加剤の場合、組成物中の導電性添加剤の濃度は、好ましくは0.001 %以上であり、より好ましくは0.01%以上であり、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下であり、更により好ましくは0.5 %未満である(全てのパーセントは重量パーセントである)。
【0073】
ヨウ素及びヨウ素化合物などの導電性添加剤、例えばIBr 、+3の酸化状態のヨウ素、又は固体のOSC 膜のドーピングを避けるために、例えば乾燥工程での加熱及び/又は真空下により固体のOSC 膜から除去され得る他の穏やかな酸化剤を更に使用してもよい。しかしながら、このような添加剤は、0より大きい値から0.5 重量%未満の範囲内、好ましくは0.1 重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満の濃度で使用されることが好ましい。
【0074】
組成物は、1~5の導電性添加剤、より好ましくは1つ、2つ又は3つの導電性添加剤、更により好ましくは1つの導電性添加剤を含んでいることが好ましい。
【0075】
本発明の組成物の導電率は、好ましくは10-4 S/m~10-10S/m の範囲内であり、より好ましくは10-5S/m~10-9S/mの範囲内であり、より好ましくは2×10-6S/m~10-9S/mの範囲内であり、より好ましくは10-7S/m~10-8S/mの範囲内である。
【0076】
特に示されていない場合、導電率はパラメータアナライザによって決定される。テストするサンプルは、既知の寸法のセルに置かれる。セル定数が、これらの寸法から決定される。パラメータアナライザを使用して、状況に応じて電圧が-1Vから1V又は0Vから2Vに変わるときに流れる電流を記録する。標準液に関して記録されるデータはオームである。この場合、オーム線の勾配を得ることにより、抵抗を学習してもよい。抵抗をセル定数で割ることにより抵抗率が得られ、抵抗率の逆数が導電率である。
【0077】
一又は複数の溶媒
本開示の組成物に含まれる溶媒は、一又は複数の非水溶媒であってもよい。溶媒は有機溶媒又は2以上の有機溶媒の混合物であることが好ましい。インク組成物に使用される溶媒は、インク組成物中の固体成分を均一に溶解又は分散させることができる溶媒であることが好ましい。
【0078】
溶媒の例として、塩素化溶媒、例えばクロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン及びo-ジクロロベンゼンと、エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン及びアニソールと、芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、ベンズアルデヒド、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)及び1,3-ジメトキシベンゼンと、脂肪族炭化水素溶媒、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン及びn-デカンと、ケトン溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルヘキサノン、ベンゾフェノン及びアセトフェノンと、エステル系溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチルセロソルブ、安息香酸メチル、フェニル酢酸ベンジル及び酢酸フェニルと、多価アルコール及びこれらの誘導体、例えばエチレングリコール、モノブチルエーテルエチレングリコール、モノエチルエーテルエチレングリコール、モノメチルエーテルエチレングリコール、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール及び1,2-ヘキサンジオールと、アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びシクロヘキサノールと、スルホキシド溶媒、例えばジメチルスルホキシドと、アミド溶媒、例えばN-メチル-2- ピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドとがある。
【0079】
これらの溶媒は単独で又は2以上組み合わせて使用されてもよい。組成物中のP型半導体材料及びN型半導体材料の濃度は0.1 重量%~10重量%の範囲内である。
【0080】
これらの内、芳香族炭化水素溶媒、エーテル溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エステル系溶媒及びケトン溶媒は、組成物の膜の形成中に優れた溶解性、粘度特徴及び均一性を与えるので好ましい。特に、トルエン、o-キシレン、p-キシレン、m-キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、安息香酸ベンジル、1-メチルナフタレン、テトラリン、アニソール、エトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン、シクロヘキサン、ジシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n-ヘプチルシクロヘキサン、n-ヘキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロヘキサノン、2-プロピルシクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、ジシクロヘキシルセノン、アセトフェノン及びベンゾフェノンが好ましい。
【0081】
デバイスの膜形成特性及び特徴が改善されるので、2以上の溶媒を組み合わせて使用することが好ましく、2又は3の溶媒を組み合わせて使用することが好ましく、2つの溶媒を組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0082】
2つの溶媒が組み合わされる場合、優れた膜形成特性が得られるので、主溶媒とも称される第1の溶媒は好ましくは140 ℃と200 ℃との間の沸点を有し、共溶媒とも称される第2の溶媒は、好ましくは180 ℃以上、更に好ましくは200 ℃以上の沸点を有する。優れた粘性が得られるので、2つの溶媒は好ましくは60℃で1重量%以上の芳香族重合体を溶解させ、特に2つの溶媒の一方が好ましくは25℃で1重量%以上の芳香族重合体を溶解させる。
【0083】
そのため、第1の溶媒は、好ましくはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール、アルキルアニソール、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アルキルナフタレン、又はこれらの溶媒の少なくとも2つの混合物である。第2の溶媒は、好ましくはアセトフェノン、ジメトキシベンゼン、安息香酸ベンジル、アルキルナフタレン、又はこれらの溶媒の少なくとも2つの混合物である。
【0084】
更に、2以上の溶媒が組み合わされる場合、優れた粘性及び膜形成特性が得られるので、混合溶媒の中で最も高い沸点を有する溶媒の割合は、溶媒の総重量に対して、好ましくは1重量%~30重量%の範囲内であり、より好ましくは2重量%~20重量%の範囲内であり、更により好ましくは2重量%~15重量%の範囲内である。
【0085】
P型有機半導体材料の濃度は、溶媒の1mL当たり4mg/mL ~25 mg/mLの範囲内である。P型有機半導体材料の濃度は溶液の10重量%未満である。P型有機半導体材料とN型有機半導体材料との比は重量で1:1~1:2の範囲内である。
【0086】
揮発性添加剤が使用される場合、溶媒は、好ましくは同一の処理工程中に添加剤と同時的に堆積する半導体材料を含む半導体層から蒸発するように選択されるべきである。溶媒及び揮発性添加剤を除去するために使用される処理温度は、半導体層の損傷を避けるように選択されるべきである。堆積処理温度は室温と135 ℃との間であり、より好ましくは60℃と110 ℃との間であることが好ましい。
【0087】
製造方法
本開示は、上記に定められているようなP型有機半導体材料及びN型有機材料を含む層を調製する方法に更に関する。
【0088】
図1は、このような層を製造する方法の実施形態をブロックで示すフローチャートである。
【0089】
前記方法は、a)P型有機半導体材料、N型有機材料、少なくとも1つの溶媒及び場合によっては添加剤を含む組成物を準備する工程、b)組成物を基板上に堆積させる工程、並びに、c)溶媒を基本的に除去する工程を有する。
【0090】
本方法の工程b)をスピンコーティング又は拡散によって行うことが好ましい。堆積した組成物を加熱することにより、又は、大気圧より低い圧力の筐体内に組成物を置いて真空蒸発を行うことにより、又は、加熱と真空蒸発とを組み合わせることにより、工程c)を行ってもよい。工程b)及び工程c)を少なくとも部分的に一体化してもよい。溶媒が、前述したように第1の溶媒及び第2の溶媒を含む場合、工程c)での加熱温度は、第1の溶媒の沸騰温度より高く第2の溶媒の沸騰温度より低くてもよい。変形例として、溶媒が、前述したように第1の溶媒及び第2の溶媒を含む場合、工程c)での加熱温度は、第1の溶媒の沸騰温度及び第2の溶媒の沸騰温度より低くてもよい。しかしながら、最も低い沸騰温度を有する第1の溶媒は、第2の溶媒より早く蒸発する。工程c)を大気圧又は真空下で行ってもよい。
【0091】
本願の文中では、「溶媒を基本的に除去する」という表現は、溶媒の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%又は70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%又は90重量%、更により好ましくは少なくとも92重量%又は94重量%又は96重量%又は98重量%、特に少なくとも99重量%又は少なくとも99.5重量%を除去することを示すために使用され、重量パーセントは、工程a)での組成物中の溶媒の重量に対する値である。
【0092】
使用される組成物の粘度は、20℃で少なくとも1mPa・s であることが好ましい。溶液の20℃での粘度は最大100 mPa・s であり、より好ましくは最大50 mPa・sであり、更により好ましくは最大30 mPa・sであることが好ましい。スピンコーティング又は拡散による堆積のために、使用される溶液の粘度は4cPo (4mPa・s )~15 cPo(15 mPa・s)の範囲内であることが好ましい。
【0093】
実施形態によれば、特に工程a)での組成物の調製温度は20℃~90℃の範囲内であり、好ましくは50℃~70℃の範囲内である。
【0094】
実施形態によれば、組成物を調製する工程a)では、P型有機半導体材料に相当する粉末をN型有機半導体材料、及び場合によっては添加剤に混合し(工程a1)、溶媒を追加し(工程a2)、撹拌して加熱する(工程a3)。
【0095】
工程a1を、P型有機半導体材料の粉末及びN型有機半導体材料の粉末を混合することにより行ってもよい。
【0096】
工程a1では、P型有機半導体材料は、目標とする分子量によって特徴付けられる重合体であり、目標とする分子量より大きい第1の分子量を有する、例えば粉末の形態の重合体と、目標とする分子量より小さい第2の分子量を有する、例えば粉末の形態の同一の重合体とを混合することにより、P型有機半導体材料を得る。このため、所望の粘度を有する溶液を再現可能に得ることが可能である。
【0097】
実施形態によれば、工程a3では、3時間~24時間、好ましくは6時間~15時間、組成物を加熱する。
【0098】
本発明に係る重合体の混合物及び組成物は、例えば表面活性化合物、潤滑剤、疎水剤、接着剤、流れ改良剤、消泡剤、脱気剤、反応性又は非反応性の希釈剤、染料、顔料、安定剤、ナノ粒子及び抑制剤から選択された一又は複数の他の成分又は添加剤を更に含んでもよい。
【0099】
組成物を製造する工程a)では、工程a3で得られた組成物を貯蔵してもよい(工程a4)。
【0100】
工程b)の前に組成物を貯蔵する必要がある場合、製造工程a)は、工程b)の前に、例えば30分間~2時間、50℃~70℃の範囲内の温度で、組成物を場合によっては撹拌しながら加熱する工程a5と、その後の濾過工程とを更に有する。加熱工程の後に濾過工程を行うことが好ましい。組成物にフィルタを通過させることにより、濾過工程を行ってもよい。フィルタは、酢酸セルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PFTE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、再生セルロース又はガラス繊維に基づいてもよい。フィルタの孔径は、0.2 μm~1μmの範囲内であってもよく、好ましくは略0.45μmであってもよい。
【0101】
電子デバイス
一般に、本願は、上記に定められているようなP型有機半導体材料及びN型半導体材料を含む層を備えた光電子デバイスに更に関する。好ましいデバイスはOPD 、OLED及びOPV である。
【0102】
特に好ましい電子デバイスはOPD デバイス、OLEDデバイス及びOPV デバイス、特にバルクヘテロ接合(BHJ) OPD デバイスである。
【0103】
本OPV デバイス又は本OPD デバイスは、アクティブ層と第1の電極又は第2の電極との間に、例えば金属酸化物、例えばZTO 、MoOx、NiOx、共役高分子電解質、例えばPEDOT:PSS 、共役高分子、例えばポリトリアリールアミン(PTAA)、有機化合物、例えばN,N'- ジフェニル-N,N'-ビス(1-ナフチル)(1,1'- ビフェニル)-4,4'-ジアミン(NPB) 、N,NT- ジフェニル-N,N'-(3-メチルフェニル)-1,1T-ビフェニル-4,4T-ジアミン(TPD) などの材料を含んで正孔輸送層及び/又は電子遮断層として使用される一又は複数の追加のバッファ層を有してもよく、或いは、例えば金属酸化物、例えばZnOx、TiOx、塩、例えばLiF 、NaF 、CsF 、共役高分子電解質、例えばポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、ポリ(9,9-ビス(2-エチルヘキシル)-フルオレン)-b- ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、又はポリ(9,9-ビス(3"-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7- フルオレン)-alt-2,7- (9,9-ジオクチルフルオレン)、又は有機化合物、例えばトリス(8-キノリノラト)-アルミニウム(III) (Alq3)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、ポリエチレンイミン(PEI) 及びポリ(エチレンイミン)エトキシルなどの材料を含んで正孔輸送層及び/又は電子遮断層として使用される一又は複数の追加のバッファ層を有してもよい。
【0104】
フラーレン又は修飾フラーレンを含む本発明に係る重合体の混合物では、重合体:フラーレン比は重量で1:1~1:2の範囲内である。5重量%~95重量%の重合体バインダを更に含んでもよい。バインダの例として、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)がある。
【0105】
図2は、OPD デバイス10の第1の実施形態を示す部分的な断面略図である。OPD デバイス10は、(下から上の順番に)
- 場合によっては基板12、
- 好ましくは金属酸化物、例えばITO を含みアノードとして使用される、高仕事関数の電極14、
- 場合によっては、有機重合体又は重合体の混合物、例えばPEDOT:PSS (ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸塩))又はTBD (N,N'- ジフェニル-N-N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1' ビフェニル-4,4'-ジアミン)又はNBD (N,N'- ジフェニル-N-N'-ビス(1-ナフチルフェニル)-1,1' ビフェニル-4,4'-ジアミン)を好ましくは含む導電性の重合体層16又は正孔輸送層、
- P型及びN型の有機半導体を含んで、例えばP型/N型二層の形態、別個のP型層及びN型層の形態、又はBHJ を形成するP型半導体及びN型半導体の混合物の形態で存在することができ、「アクティブ層」とも称される層18、
- 場合によっては、例えばLiF を含んで電子輸送特性を有する層20、並びに
- 金属、例えばアルミニウムを好ましくは含みカソードとして使用される、低仕事関数の電極22
の層を備えている。ここで、電極の少なくとも1つ、好ましくはアノードは可視光線を通す。
【0106】
本発明に係る好ましいOPD デバイスに対応する第2の実施形態は逆OPD であり、(下から上に)
- 場合によっては基板、
- 例えばITO を含みカソードとして使用される、高仕事関数の金属又は金属酸化物の電極、
- 金属酸化物、例えばTiOx、ZnOx、PEI 、PEIEを好ましくは含み、正孔遮断特性を有する層、
- P型及びN型の有機半導体を含んで、電極間に配置され、例えばP型/N型二層の形態、別個のP型層及びN型層の形態、又はBHJ を形成するP型半導体及びN型半導体の混合物の形態で存在することができるアクティブ層、
- 場合によっては、有機重合体又は重合体の混合物、例えばPEDOT:PSS 又はTBD 又はNBD を好ましくは含む導電性の重合体層又は正孔輸送層、並びに
- 例えば銀などの高仕事関数の金属を含み、アノードとして使用される電極
の層を備えている。ここで、電極の少なくとも1つ、好ましくはカソードは可視光線を通す。
【0107】
変形例として、本発明に係る材料は、OLEDに使用されてもよく、例えばフラットディスプレイ用途のアクティブディスプレイ材料として、又はフラットディスプレイ、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして使用されてもよい。現在のOLEDは多層構造によって形成されている。発光層が一般に、一又は複数の電子輸送層及び/又は正孔輸送層間に配置されている。電圧を印加することにより、電荷担体としての電子及び正孔が発光層に向かって移動して、発光層では再結合により励起が生じ、ひいては発光層に含まれる発光団ユニットの発光が生じる。本発明の化合物、材料及び膜は、電気特性及び/又は光学特性に対応する発光層に使用されてもよい。更に、発光層での使用は、本発明に係る化合物、材料及び膜自体が発光特性を有しているか又は発光群若しくは発光化合物を有する場合に特に有利である。
【0108】
OLEDでの使用に適した化合物又は単量体材料、オリゴマー材料及び高分子材料の選択、特徴付け及び処理は、一般に当業者に公知である。例えばMuller等著、Synth. Metals, 2000, 111-112, 31-34, Alcala, J. Appl. Phys., 2000, 88, 7124-7128及びこの刊行物に挙げられている文献参照。
【0109】
別の使用法によれば、本発明に係る材料、特に光輝性特性を有する材料は、欧州特許出願公開第0889350 号明細書又はC. Weder等著、Science, 1998, 279, 835-837の文献に記載されているように、例えばディスプレイ装置の光源の材料として使用されてもよい。
【0110】
組成物が得られた。これら全ての組成物に関して、米国特許第9601695 号明細書に記載されているようにチオフェン及びアリールの構造単位を含むことができるP型重合体が使用されている。
【0111】
実施例1
第1の解決策が実施されている。P型重合体の粉末をPC60BM粉末と混合した。第1の溶媒及び第2の溶媒を粉末混合物に追加した。第1の溶媒はo-キシレンであった。第1の溶媒の割合は、第1の溶媒及び第2の溶媒の総重量に対して97重量%であった。第2の溶媒はアセトフェノンであった。第2の溶媒の割合は、第1の溶媒及び第2の溶媒の総重量に対して3重量%であった。溶液中の重合体の濃度は略6g/L であった。溶液中のPC60BMの濃度は略12 g/Lであった。第1の溶液の粘度を測定し、第1の溶液の粘度は略5cPo であった。第1の溶液の層が被覆によって堆積した。
【0112】
実施例2
第2の解決策が実施されている。P型重合体の粉末をPC60BM粉末と混合した。溶媒を粉末混合物に追加した。溶媒は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンであった。溶液中の重合体の濃度は略10 g/Lであった。溶液中のPC60BMの濃度は略20 g/Lであった。第2の溶液の粘度を測定し、第2の溶液の粘度は略10 cPoであった。第2の溶液の層が被覆によって堆積した。
【0113】
実施例3
第3の解決策が実施されている。P型重合体の粉末をPC60BM粉末と混合した。第1の溶媒及び第2の溶媒を粉末混合物に追加した。第1の溶媒は1,2,4-トリメチルベンゼンであった。第1の溶媒の割合は、第1の溶媒及び第2の溶媒の総重量に対して90重量%であった。第2の溶媒は1,3-ジメトキシベンゼンであった。第2の溶媒の割合は、第1の溶媒及び第2の溶媒の総重量に対して10重量%であった。溶液中の重合体の濃度は略15 g/Lであった。溶液中のPC60BMの濃度は略26.25 g/Lであった。第1の溶液の粘度を測定し、第1の溶液の粘度は略8cPo (8mPa・s )であった。第1の溶液の層がスピンコーティングによって堆積した。
【0114】
様々な実施形態及び変形例が記載されている。当業者は、これらの実施形態のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に容易に想起される。最後に、本明細書に記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上述されている機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0115】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第19/06821 号明細書の優先権を主張している。
【国際調査報告】