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特表2022-5381762型糖尿病の治療のための線維芽細胞及びその誘導体の投与
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  • 特表-2型糖尿病の治療のための線維芽細胞及びその誘導体の投与 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】2型糖尿病の治療のための線維芽細胞及びその誘導体の投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/33 20150101AFI20220824BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/50 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/32 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/34 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/36 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/35 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/37 20150101ALI20220824BHJP
   A61K 35/48 20150101ALI20220824BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220824BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220824BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20220824BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20220824BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61K35/33
A61K35/51
A61K35/14 Z
A61K35/50
A61K35/32
A61K35/34
A61K35/36
A61K35/28
A61K35/35
A61K35/37
A61K35/48
A61P3/10
A61P43/00 105
A61L27/36 100
A61L27/36 110
A61L27/36 300
A61L27/38 100
A61L27/38 200
A61L27/38 300
A61L27/40
A61K45/00
A61K45/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577225
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 US2020039904
(87)【国際公開番号】W WO2020264356
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/867,976
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4C081
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C081AB11
4C081CD34
4C081CE02
4C084AA19
4C084AA23
4C084NA05
4C084ZB112
4C084ZC352
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB34
4C087BB44
4C087BB46
4C087BB47
4C087BB48
4C087BB49
4C087BB58
4C087BB59
4C087BB61
4C087BB63
4C087CA04
4C087MA02
4C087MA65
4C087NA14
4C087ZB21
4C087ZC35
(57)【要約】
本開示の実施形態は、それを必要とする個体におけるインスリン感受性を増加させる方法を含む。インシュリン感受性の増加は、糖尿病、加齢、軽度の炎症、肥満、妊娠、メタボリックシンドロームX、先天性異常、又はそれらの組合せを有する個体に由来し得る。特定の実施形態では、この方法は、特定の種類の線維芽細胞の有効量を個体に提供することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の線維芽細胞を個体に送達する工程を含む、個体におけるインスリン抵抗性を処置又は予防する方法。
【請求項2】
前記線維芽細胞は、CD105+、CD34+、CD133+、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線維芽細胞は、CD90+、CD45及び/又はCD14-である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記線維芽細胞は、再生活性を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記線維芽細胞は、エリスロポエチン、プロラクチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ガストリン、EGF、FGF、及び/又はVEGFに曝露されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記インスリン抵抗性は、糖尿病、加齢、低悪性度炎症、肥満、妊娠、メタボリックシンドロームX、先天性異常、又はそれらの組み合わせの結果である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記線維芽細胞は、臍帯血(cord blood)、末梢血、月経血、胎盤基質、子宮内膜、臍帯血(umbilical cord blood)、乳歯、筋肉組織、胎盤、皮膚、骨髄、羊水、脂肪、臍帯基質、大網、腸下粘膜、又はこれらの混合物に由来する、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記線維芽細胞は、DMEM培地中の10%ウシ胎仔血清中の96ウェルプレートにおいてウェル当たり20,000細胞の濃度で培養された場合、24時間当たり2倍を超える速度で増殖する能力を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記線維芽細胞は、個体に全身的又は局所的に送達される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記線維芽細胞は、筋肉内で個体に送達される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記線維芽細胞は、個体に膵臓の中又は近くに送達される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
治療有効量の1つ以上の抗炎症剤を個体に提供する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
治療有効量の1つ以上の糖尿病治療を個体に提供する工程をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
治療有効量の線維芽細胞を個体に送達する工程を含む、それを必要とする個体における血中グルコースレベルを低下させる方法。
【請求項15】
前記線維芽細胞は、CD105+、CD34+、CD133+、又はそれらの混合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記線維芽細胞は、CD90+、CD45及び/又はCD14-である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記線維芽細胞は、再生活性を有する、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記線維芽細胞は、エリスロポエチン、プロラクチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ガストリン、EGF、FGF、及び/又はVEGFに曝露されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記個体は、糖尿病を有し、高齢であり、軽度の炎症を有し、肥満であり、妊娠しており、メタボリックシンドロームXを有し、先天性異常を有し、又はそれらの組合せを有する、請求項14~18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記線維芽細胞は、臍帯血(cord blood)、末梢血、月経血、胎盤基質、子宮内膜、臍帯血(umbilical cord blood)、乳歯、筋肉組織、胎盤、皮膚、骨髄、羊水、脂肪、臍帯基質、大網、腸下粘膜、又はそれらの混合物に由来する、請求項14~19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記線維芽細胞は、DMEM培地中の10%ウシ胎仔血清中の96ウェルプレートにおいてウェル当たり20,000細胞の濃度で培養された場合、24時間当たり2倍を超える速度で増殖する能力を有する、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記線維芽細胞は、個体に全身的又は局所的に送達される、請求項14~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記線維芽細胞は、筋肉内で個体に送達される、請求項14~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記線維芽細胞は、個体に膵臓の中又は近くに送達される、請求項14~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
治療有効量の1つ以上の抗炎症剤を個体に提供する工程をさらに含む、請求項14~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
治療有効量の1つ以上の糖尿病治療を個体に提供する工程をさらに含む、請求項14~25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、令和1年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/867,976号の優先権を主張する。
(技術分野)
開示の実施形態には、少なくとも細胞生物学、分子生物学、細胞治療、及び医学の分野が含まれる。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は高血糖の疾患である。糖尿病には、主に1型糖尿病と2型糖尿病の2つの病型がある。インスリン依存性糖尿病(IDDM)又は若年性糖尿病としても知られる1型糖尿病では患者の膵臓は、ほとんどインスリンを産生しないか、まったく産生しないが、これは一部はインスリンが膵臓でβ細胞を産生するインスリンに自己免疫が付着した結果であると考えられている。それは、小児期の最も費用のかかる慢性疾患の1ち、成長しないものである。100万人以上のアメリカ人がIDDMを持っていると信じられている。本格的なIDDM患者は毎日複数回のインスリン注射を行うか、又はポンプを通して持続的にインスリンを注入し、1日6回以上、血液を指で刺して血糖を検査しなければならない。食事療法も経口血糖降下薬による治療も有効ではなく、インスリンによる治療のみが有効である。インスリン分泌能の喪失によるケトン血症やアシドーシス、また治療しないと糖尿病性昏睡に陥ることがある。ストレス、ホルモン、成長、身体活動、投薬、病気/感染、疲労などの多数の因子がインスリン利用に影響するため、インスリン投与の厳密に監視されたプログラムでさえ、膵臓の内因性機能を模倣せず、結果として多数の合併症が発生する。
【0003】
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)又は成人発症型糖尿病としても知られる2型糖尿病は、インスリンに対する末梢組織反応の障害と関連している。NIDDMは米国で約1820万人が罹患していると考えられており、肥満の流行の結果、実質的に若い患者がこの疾患と診断され始めている。NIDDMの経済的負担は、平均的にはNIDDM患者の医療費が高額であることを示す統計で目撃されている。
【0004】
インスリン抵抗性はほとんどすべての肥満者に存在する[1]。しかし、β細胞による代償性のインスリン産生が通常起こるため、高血糖を予防する。長期のインスリン抵抗性、ならびに他の因子に応答して、β細胞インスリン産生は最終的にインスリン要求の増加に対処する能力を失い、食後高血糖が起こり、正常な耐糖能と異常な耐糖能との間の移行を特徴づける。その後、肝臓では肝糖形成(グリコーゲンからではなく、糖ではない基質からのグルコースの生成)を介してグルコースの分泌が始まり、空腹時でも高血糖が観察される。IDDMとは対照的に、NIDDMはインスリン作用が正常から低下しているにもかかわらず、ケトン血症及びアシドーシスの程度がごくわずかであり、インスリンによる治療が必ずしも必要とされるわけではない。
【0005】
この疾患における最大の臨床的課題は長期合併症の予防であり、その多くは血管系、眼及び腎臓系が関与している。グルコース感受性を増加させるため、又はインスリン分泌を刺激するために様々な薬物が利用されるが、これらのアプローチは食後インスリン分泌の生理学的制御を正確に模倣しないため、最適ではない。したがって、グルコースの変動ならびに下流の代謝結果は最終的に、冠動脈アテローム性動脈硬化症などの大血管病理、及び脳卒中のリスク増加、ならびに黄斑変性及び腎不全などの微小血管病理を引き起こす。さらに、高血糖に伴う神経障害がしばしば認められる。
【0006】
NIDDMに利用できる治療法は数多くあり、これらは疾患の重症度だけでなく、患者特有の特徴に依存する。糖尿病治療における治療目標は血漿グルコースレベルを正常レベルに近づけることであり、例えば、食事前に80~120ミリグラム/デシリットル(mg/dl)、夜間に100~140mg/dlである。グルコース、並びにコレステロール及び脂質レベルをモニターするための多くの医学的試験が、当該分野で公知である。正常な血糖値を維持するという目標は、網膜症、神経障害、血管疾患、脳卒中などの二次的な合併症を予防する能力によって、いくつかの方法で判断される。
【0007】
NIDDMの初期段階では、患者は様々な経口薬で治療され、糖尿病が進行することにつれて、様々な形態のインスリンが投与されることがある。厳格な血糖コントロールは糖尿病性合併症の割合を低下させることが知られているが、このようなコントロールを達成することは非常に困難であり、いつ達成されたとしても、かなりの罹患率及び死亡率が依然として生じる。以下に、NIDDMのための非インスリン治療のいくつかを列挙する。
【0008】
糖尿病の主な経口治療薬は、作用機序により、β細胞のインスリン分泌を誘導するスルホニル尿素やメグリチニドなどの血糖降下薬と、グルコースの取り込みを引き起こすビグアナイドやα-グルコシダーゼ阻害剤などの抗高血糖薬の2つのグループ分けられる。
【0009】
スルホニル尿素薬は、β細胞からのインスリン放出を刺激する薬の一種である。本質的に、これらの薬物は膵β細胞膜のATP感受性カリウムチャネルを遮断することによって作用する。この作用は、薬物がチャネルのスルホニル尿素受容体(SUR)サブユニットに結合することによって媒介される。カリウムチャネルが阻害されると、細胞膜の脱分極とインスリン分泌が起こるが、これはあたかもグルコースが細胞に加えられたかのような方法で起こる。グリブリドは、Micronase、DiaBeta、又はGlynaseの名称で販売されている第2世代スルホニル尿素化合物である。Glucotrol及びGlucotrol XLの名称で販売されているグリピジドも、第2世代のスルホニル尿素薬である。第3世代スルホニル尿素薬にはグリメピリド(アマリール)がある。本剤は、他のスルホニルウレア系薬剤と比較して、虚血性心疾患患者における安全性が高いと考えられている。グリメピリドは、インスリン又はメトホルミンとの併用が承認されている唯一のスルホニル尿素系薬剤である。一般に、スルホニル尿素薬は、誘発されるインスリン分泌量が薬物投与のタイミングと用量に依存し、血糖値によってではないという欠点に悩まされている。これは、血糖値の様々な変動のみならず、食欲不振などの消化器症状を引き起こす患者もいる。
【0010】
メグリチニド系薬剤(通称グリニド系薬剤)は、短時間作用型のインスリン分泌促進薬の一種で、食後に投与する。スルホニル尿素薬は、ATP依存性カリウムチャネルの閉塞によりインスリン分泌を誘導するというメカニズムが類似しているが、グリニドはより短期間の活性を有すると考えられる。理論的には、これらの薬物は低クリセミアを誘発するリスクが少なく、生理学的に似たインスリン放出パターンを引き起こす。Prandinの名称で販売されているレパグリニド、及びStarlixの名称で販売されているNateglinideは、2つのグリニドの例である。スルホニルウレア系薬剤と比較した場合、グリニド系薬剤は食後高血糖のコントロールが良好であり、低血糖を誘発することはなく、安全性プロファイルも概ね良好であることが示されており、特に腎不全患者ではその傾向が強い[2]。
【0011】
ビグアナイド薬は、肝臓でのグルコース産生を減少させ、インスリン感受性を増加させる薬物の一種である。グルコファージ、グルコファージXR、メトホルミンXRという名称で販売されているメトホルミンは、ビグアナイド薬の一例である。また、世界で最も広く処方されている経口糖尿病治療薬であり、ほとんどの場合、軽度から中等度の高血糖を伴う典型的な2型DMの肥満患者の初回治療の第一選択薬である[3]。メトホルミン投与は、体重減少及び脂質プロフィールの改善に関連する。メトホルミンは単独療法として有効であり、インスリン分泌促進薬とチアゾリジンジオン(TZD)の両方と併用することで、インスリン治療の必要性を軽減できる可能性がある[4]。メトホルミンはグルコース利用の増加とレプチン濃度の低下を誘導することが知られている[5]。さらに、メトホルミンはジペプチジルペプチダーゼ-IV活性の阻害を誘発し、GLP-1の半減期を延長させる[6]。古典的な作用機序には、嫌気的解糖によるグルコース利用の増加、肝臓での糖形成の阻害、グルコースの腸管吸収の抑制などがある。様々なビグアナイド薬に関連する1つの有害作用は、乳酸アシドーシスである。
【0012】
チアゾリジンジオン(グリタゾン)は、筋肉と脂肪組織の両方でインスリン抵抗性を低下させる薬物のファミリーである。それらはインスリン分泌を誘発しない。Avandiaの名称で販売されているRosiglitazone、及びActosの名称で販売されているPioglitazoneは、2つのチアゾリジンジオンである。これらの薬剤はインスリン受容体キナーゼの活性化を介してインスリン感受性を誘導し、それにより末梢組織によるグルコースの取り込みを促進し、肝臓でのグルコース産生増加を改善する。既知の副作用には、消化器症状や浮腫、血液学的変化、血漿LDHのアップレギュレーションなどがある。グリタゾンは、インスリンシグナル伝達を増加させる能力だけでなく、抗炎症作用によっても興味深い。例えば、ロシグリタゾンはCD40を介した刺激後に樹状細胞のインターロイキン-12分泌能を抑制することが知られている[7]。これはPPAR-γ経路の活性化を介して起こると考えられている。さらに、ロシグリタゾンによる治療はTh2サイトカイン産生を優先的に誘導することにより、動物モデルにおける大腸炎の発症を抑制することができる[8]。
【0013】
α-グルコシダーゼ阻害剤は、糖吸収速度を遅らせるために使用される。Precoseの名称で販売されているアカルボース、及びGlysetの名称で販売されているMiglitolは、このファミリーにおける薬物の2つの例である。
【0014】
インクレチン模倣薬は、グルコース依存性インスリン分泌を反映し、グルカゴン分泌抑制を引き起こし、胃内容排出を遅延させる。エキセナチドはByettaという名称で販売されており、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であり、β細胞からのインスリン分泌を刺激する。対照臨床試験から、エキセナチド5~10マイクログラムを1日2回投与した場合の血糖コントロールは、従来のインスリン療法に劣らないことを示すエビデンスが得られた。
【0015】
NIDDMの現在利用可能な治療法は、内因性インスリン分泌及びインスリン利用反応を模倣する能力を欠いている。従って、合成膵島を生成するための細胞治療の利用を目的とした種々のアプローチが追求されてきた。これらのアプローチには、GLP及びエキセンジン-4が細胞のインスリン産生細胞又はアミラーゼ産生細胞への分化を誘導する能力を開示する米国特許第7,056,734号が含まれている。この特許は、非インスリン産生細胞又はアミラーゼ産生細胞のいずれかをインスリン産生細胞に作製するためのGLP-1又は関連分子の使用、ならびに非インスリン産生細胞又はアミラーゼ産生細胞のいずれかをインスリン産生細胞に作製するためのエキセンジン-4の使用を包含する。
【0016】
米国特許第6,903,073号は、インスリン産生を増加させるためのヘッジホッグ発現の刺激に取り組んでいる。これはヘッジホッグシグナル伝達を阻害するとインスリン産生が低下し、ヘッジホッグをトランスフェクションするとインスリン産生が増加するという知見に基づいている[9]。
【0017】
米国特許第6,967,019号は、インビボでの導入のために概念的に、胃腸器官細胞及び膵臓細胞をインビトロでインスリンを発現させる方法を開示する。上記特許は、神経内分泌クラスB塩基性ヘリックス‐ループ‐ヘリックス(bHLH)転写因子遺伝子又はneurogenin3(Ngn3)遺伝子をそれぞれ胃腸器官細胞又は膵臓細胞に導入すると、インスリン産生能が得られることを本質的に教示している。残念ながら、グルコース調節の証拠は提供されなかった。
【0018】
米国特許第7,033,831号は、最初にヒト胚幹細胞をアクチビンAと共にインキュベートし、次いで細胞をニコチンアミドと共にインキュベートするプロセスを通して、ヒト胚幹細胞からインスリン産生細胞を生成する方法を示す。アクチビンは創傷治癒と形態形成に関与するペプチドであるが、ニコチンアミドはビタミンB3の一種であり、β細胞の機能を改善する。この特許は、インスリン産生細胞を生成する方法として、最初にアクチビンA中で、次いでニコチンアミド中でES細胞を培養することを包含する。また、最初に胚様体を成長させ、次いで、TGF-bアンタゴニストを用いて胚様体を1つ以上のマイトジェンと共に処理し(増殖を刺激するために)、続いて、細胞をニコチンアミド中で培養する、インスリン分泌細胞を産生する方法も含まれる。さらに、カバーされているのは、インシュリン産生細胞の生成のための出発組織としての胚性幹細胞の使用であり、胚様体の使用ではない。
【0019】
米国特許第7,169,608号は、低濃度のグルコース中での初期培養(少なくとも3日間)と、その後の高濃度のグルコース中での培養(少なくとも7日間)とを含む単純な2段階培養アプローチによって、骨髄の膵島への分化を誘導する単純な方法を記載している。この特許によれば、得られた細胞は糖に応答してインシュリンを生成し、動物にインビボで投与すると糖尿病を予防することができる。この特許は、著者らが特許からのデータのいくつかを実際に公開したので興味深い[10]。公表されたデータについての注目すべき点は、骨髄由来細胞がインビボで投与された場合に、正常な膵島で認められる構造と類似した構造をとるように見えることである。移植された細胞はインスリン(IとII)、グルカゴン、ソマトスタチンと膵ポリペプチド、Cペプチドを産生する。さらに、糖尿病の種々の動物モデルは、本発明に従って操作された骨髄細胞の投与によって治癒された。
【0020】
米国特許第7,138,275号は、末梢血単球をIL-3及びM-CSFの存在下で約6日間培養することにより、単球に幹細胞様の能力を与える脱分化のプログラムを誘導することを提供している。特許はこれらの単球が膵島に変換され得ることを実証し、糖尿病のストレプトゾシン処理糖尿病マウスモデルにおいて有効性を示すために続いている。
【0021】
上記特許については、インビトロでインスリン産生細胞のいくらかの生成が報告されているが、場合によってはインビボではこの治療的適用は限定されていることが明らかである。NIDDMでは、インスリン抵抗性を克服するのに必要なインスリン要求が高いため、β細胞に大きなストレスがかかる。この高インスリン産生の「必要性」は、高血糖に関連する他の因子と同様に、Fas、ATP感受性K+チャネル、インスリン受容体基質2、酸化ストレス、核因子-κB、小胞体ストレス、ミトコンドリア機能不全などの機序を介してβ細胞のアポトーシスを加速させることが多い[11]。したがって、上記特許で述べたように適切なベータ細胞源を生成できたとしても、もともと糖尿病発症を開始した根底にある原因要素のために、長期的に有益な臨床結果をもたらす可能性は低い。
【0022】
本開示は、2型糖尿病の治療及び予防のための、当技術分野において長年感じられてきた必要性に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0023】
本開示の実施形態は、代謝疾患及びその治療又は予防の分野に関する。特定の実施形態では、本開示がインスリン抵抗性を治療し、インスリン産生細胞機能の回復に適した環境を提供する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示が細胞療法を使用してインスリン抵抗性を治療及び/又は予防する方法を包含し、少なくとも特定の場合には線維芽細胞療法、及びいくつかの実施形態では線維芽細胞と1つ以上の様々な薬理学的及び医学的介入との組み合わせを含む。2型糖尿病を治療する方法は、重症度を減少させること及び/又はその発症を遅延させることを含めて、本明細書に含まれる。方法はまた、インスリン産生細胞機能の回復に関するものも含まれる。本開示の実施形態は、2型糖尿病からの1つ以上の合併症の重症度を予防、遅延、又は軽減する方法に関する。本明細書に包含される方法はまた、インスリン感受性を増加させる方法、血中グルコースを正常レベル(50~110mg/dL)に維持する方法、骨格筋潅流を増加させる方法、インスリン応答性を付与する方法、炎症性メディエーターを減少させる方法などを含む。少なくともいくつかの実施形態では、本明細書で利用される方法及び組成物が1型糖尿病ではない。
【0024】
本開示の実施形態は、治療有効量の線維芽細胞を個体に送達する工程を包含する、個体におけるインスリン抵抗性を処置又は予防する方法を包含する。線維芽細胞は、CD105+、CD34+、CD133+、又はそれらの混合物であってもよい。線維芽細胞は、CD90+、CD45及び/又はCD14-であり得る。特定の実施形態では、線維芽細胞は再生活性を有する。ある場合には、線維芽細胞は、エリスロポエチン、プロラクチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ガストリン、EGF、FGF、及び/又はVEGFに曝露されており、ある場合にはこの結果、線維芽細胞は再生活性を有する。特に、インシュリン抵抗性は、糖尿病、加齢、低グレード炎症、肥満、妊娠、メタボリックシンドロームX、先天性異常、又はそれらの組合せの結果である。本明細書中で利用される線維芽細胞は、臍帯血、末梢血、月経血、胎盤基質、子宮内膜、臍帯血、乳歯、筋肉組織、胎盤、皮膚、骨髄、羊水、脂肪、臍帯基質、大網、腸下粘膜、又はそれらの混合物から誘導され得る。線維芽細胞は、DMEM培地中の10%ウシ胎仔血清中の96ウェルプレート中で、ウェル当たり20,000細胞の濃度で培養した場合、24時間当たり2倍を超える速度で増殖する能力を有し得る。線維芽細胞は、個体に全身的又は局所的に送達され得る。線維芽細胞は筋肉内に個体に送達されてもよく、及び/又は線維芽細胞は膵臓内又は膵臓付近に個体に送達されてもよい。いくつかの場合において、この方法は個体に治療有効量の1つ以上の抗炎症剤を提供する工程をさらに包含し、そして/又はこの方法は、個体に治療有効量の任意の種類の1つ以上の糖尿病治療を提供する工程をさらに包含し得る。
上記は以下の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び特定の実施形態は本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。また、そのような同等の構成は、添付の特許請求の範囲に記載される精神及び範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示される設計の特徴であると考えられる新規な特徴はさらなる目的及び利点とともに、動作の構成及び方法の両方に関して、添付の図面と関連して考慮される場合、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、各図は、例示及び説明の目的のためだけに提供され、本開示の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、コントロール(生理食塩水)、骨髄MSC、脂肪MSC、又は線維芽細胞(棒グラフでは左から右へ)を与えられた糖尿病のマウスモデルにおける血糖値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
I.定義例
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味し得る。請求項において本明細書で使用されるように、用語「含む」と共に使用される場合、用語「a」又は「an」は、1つ又は2つ以上を意味することができる。本明細書で使用される「別の」は、少なくとも2又はそれ以上を意味することができる。特定の実施形態では、本開示の態様が例えば、本発明の1つ又は複数のシーケンスから「本質的になる」又は「からなる」ことができる。いくつかの実施形態は、本発明の1つ以上の要素、方法ステップ、及び/又は方法から構成されてもよく、又は本質的にそれらから構成されてもよい。本明細書中に記載されるいずれの方法又は組成物も、本明細書中に記載される任意の他の方法又は組成物に関して使用され得ることが意図される。本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「又は」及び「及び/又は」は、複数の構成要素を組み合わせて、又は互いに排他的に説明するために利用される。例えば、「x、y、及び/又はz」は「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、y、及びz」、「(x及びy)又はz」、「x又は(y及びz)」又は「x又はy又はz」を意味することができ、具体的にはx、y、又はzは実施形態から特に除外され得ることが企図される。
【0028】
本明細書全体を通して、文脈が別段の要求をしない限り、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は記載されたステップ又は要素、又はステップ又は要素のグループの包含を意味するが、他のステップ又は要素、又はステップ又は要素のグループの排除を意味しないことが理解されるのであろう。「consisting of」とは、「consisting of」という語句の後に続くものを含むことを意味し、これに限定されるものではない。したがって、用語「consisting of」は、列挙された要素が必須又は必須であること、及び他の要素が存在しないことを示す。「から本質的になる」とは、語句の後に列挙される任意の要素を含むことを意味し、列挙される要素についての開示において特定される活性又は作用を妨害しないか、又はそれに寄与しない他の要素に限定される。したがって、用語「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であることを示すが、他の要素は任意ではなく、列挙された要素の活動又は作用に影響を及ぼすかどうかに応じて存在しても存在しなくてもよい。
【0029】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「特定の実施形態」、「追加の実施形態」、又は「さらなる実施形態」、又はそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の機能、構成、又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを手段する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0030】
用語「投与される」又は「投与する」は、本明細書中で使用される場合、組成物が患者に対して意図される効果を有するように、組成物を個体に提供する任意の方法をいう。例えば、投与の1つの方法はカテーテル、アプリケーターガン、シリンジなどの医療デバイスを使用する間接機構によるものであるが、これらに限定されない。第2の例示的な投与方法は、直接機構、例えば、局所組織投与、経口摂取、経皮パッチ、局所、吸入、坐薬などによる。
【0031】
本明細書で使用される用語「同種異系」は、宿主の細胞と遺伝的に異なる同じ種の細胞を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語「自己」は、同じ対象に由来する細胞を指す。本明細書で使用される「移植片」という用語は、組織の既存の細胞との接触を介して、インビボで関心のある組織に幹細胞を組み込むプロセスを指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「約」又は「およそ」は、参照量、レベル、数、頻度、パーセンテージ、寸法、量、重量、又は長さに対して30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%ほど変化する量、レベル、数、パーセンテージ、サイズ、パーセンテージ、寸法、量、重量又は長さを指す。特定の実施形態では、用語「約」又は「約」が数値に先行する場合、15%、10%、5%、又は1%の範囲をプラス又はマイナスする値を示す。生物学的系又はプロセスに関して、この用語は、値のオーダー内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特に明記しない限り、「約」という語は、特定の数値に対する許容誤差範囲内に手段する。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「活性化線維芽細胞」は、細胞における1つ以上の変化:代謝、免疫学的、増殖因子分泌、表面マーカー発現、及び/又は微小胞の産生を誘導し得る1つ以上の薬剤及び/又は刺激で処置された線維芽細胞をいう。薬剤の例としては、上皮成長因子(EGF;(Peprotech)、形質転換成長因子-α(TGF-α;Peprotech)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF;Peprotech)、脳由来神経栄養因子(BDNF;R&Dシステムズ)、及びケラチノサイト成長因子(KGF;Peprotech)が挙げられる。EGFは、様々な培養外胚葉及び中胚葉細胞の強力な分裂促進因子であり、インビボ及びインビトロでの特定の細胞の分化、並びに細胞培養での一部の線維芽細胞に重大な影響を及ぼす。EGF前駆体は、膜結合型分子として存在し、タンパク質分解により切断され、細胞を刺激する53アミノ酸ペプチドホルモンを生成する。好ましい分裂促進成長因子は、EGFである。EGFは、好ましくは5~500ng/ml又は少なくとも5~500ng/mlの濃度で基礎培養培地に添加される。好ましい濃度は、少なくとも10、20、25、30、40、45、又は50ng/mlであり、500、450、400、350、300、250、200、150、又は100ng/ml以下である。より好ましい濃度は、少なくとも50ng/mlであり、100ng/ml以下である。さらにより好ましい濃度は、約50ng/ml又は50ng/mlである。同じ濃度をFGF、好ましくはFGF10又はFGF7に使用することができる。2つ以上のFGF(例えば、FGF7及びFGF10)が使用される場合、FGFの濃度は上記で定義される通りであり、使用されるFGFの総濃度を指す。幹細胞の培養の間、分裂促進成長因子は、好ましくは2日毎に培養培地に添加され、一方、培養培地は好ましくは4日毎にリフレッシュされる。bFGFファミリーの任意のメンバーが使用され得る。場合によっては、FGF7及び/又はFGF10が使用される。FGF7は、KGF(ケラチノサイト成長因子)としても知られている。
【0035】
「細胞培養物」は、静止、老化、又は(活発に)分裂しているかどうかにかかわらず、生存細胞を含有する人工インビトロ系である。細胞培養では、細胞を成長させ、適当な温度、典型的には37℃の温度で、典型的には酸素及びCOを含む大気中で維持する。培養条件は各細胞型について広範に変動し得るが、特定の細胞型についての条件の変動は発現される異なる表現型を生じ得る。培養系において最も一般的に変化する因子は増殖培地である。増殖培地は、栄養素、増殖因子、及び他の成分の存在のうちの1つ以上の濃度において変化し得る。培地を補充するために使用される増殖因子はしばしば、ウシ血清のような動物血液に由来する。
【0036】
本明細書中で使用される場合、用語「線維芽細胞再生細胞の調整培地」は、細胞と接触している液体培地をいい、ここで、細胞は培地に入る1つ以上の因子を産生し、したがって、培地上に少なくとも1つの治療活性を与える。
【0037】
本明細書で使用される用語「線維芽細胞誘導体」は、脱分化線維芽細胞、又はアポトーシス体、又は線維芽細胞に由来するエキソソームを指す。
【0038】
本明細書で使用される用語「個体」は、医療施設に収容されてもされなくてもよく、医療施設の外来患者として治療されてもよい、ヒト又は動物を指す。個体は医師から、及び/又はインターネットを介して、1つ以上の医療組成物を受け取っていても、受け取っていなくてもよい。個体はヒト又は非ヒト動物の任意の年齢を含み得、したがって、成人及び幼児(すなわち、子供)ならびに乳児の両方を含む。用語「個体」は、医学的治療の必要性を意味することは意図されておらず、従って、個人は、臨床的なものであろうと基礎科学の研究を支持するものであろうと、自発的に又は非自発的に実験の一部であろう。用語「対象」又は「個体」は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、七面鳥、及びニワトリ)、家庭用ペット(例えばイヌ、ネコ、及びげっ歯類)、ウマ、及びトランスジェニック非ヒト動物を含む、方法及び/又は材料の対象である任意の生物又は動物対象を指す。
【0039】
本明細書中で使用される用語「薬学的に」又は「薬理学的に許容される」は、動物又はヒトに投与された場合に、有害な、アレルギー性の、又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物をいう。
【0040】
本明細書中で使用される用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、ならびに植物油、コーティング、等張性及び吸収遅延剤、リポソーム、商業的に入手可能な洗浄剤などを含むが、これらに限定されない、任意の及び全ての溶媒、又は分散媒体を含む。補助的な生物活性成分もまた、このようなキャリアに組み込まれ得る。
【0041】
用語「予防する」又は「予防する」は、その少なくとも1つの症状の医学的状態又は発症が起こらないようにする方法を指す。
【0042】
本明細書で使用される用語「対象」又は「個体」は、医療施設に収容されてもされなくてもよく、医療施設の外来患者として治療されてもよい、ヒト又は動物を指す。個体は、インターネットを介して1つ以上の医療組成物を受けていてもよい。個体は、ヒト又は非ヒト動物の任意の年齢を含み得、したがって、成人及び幼児(すなわち、子供)ならびに乳児の両方を含む。用語「個体」は、医学的治療の必要性を意味することは意図されておらず、従って、個人は、臨床的なものであろうと基礎科学の研究を支持するものであろうと、自発的に又は非自発的に実験の一部であろう。用語「対象」又は「個体」は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、七面鳥、及びニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、及びげっ歯類)、ウマ、ならびにトランスジェニック非ヒト動物を含む、方法又は材料の対象である任意の生物又は動物対象を指す。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、「有効量」、「治療有効量」及び/又は「有効量」と同義であり、そしてそれを必要とする個体において当業者によって求められる生物学的、美容的又は臨床的応答を誘発する化合物の量をいう。一例として、有効量は、新しい血管及び関連する血管系(血管形成)の形成を促進するのに十分な量、及び/又は既存の血管及び関連する血管系の修復又はリモデリングを促進するのに十分な量である。開示される方法の特定の適用のために投与されるべき適切な有効量は、本明細書中に提供されるガイダンスを使用して、当業者によって決定され得る。例えば、有効量は本明細書に記載されるように、インビトロ及びインビボアッセイから外挿され得る。当業者は、個体の状態が治療の過程を通してモニターされ得ること、及び投与される本明細書中に開示される化合物又は組成物の有効量がそれに従って調節され得ることを認識する。
【0044】
「治療」、「治療」、又は「治療」は、疾病又は状態の影響を低減する手法を手段する。治療とは、単なる症状ではなく、病気や状態そのものを軽減する方法を指すこともできる。治療は、治療前のレベルからの任意の減少であり得、疾患、状態、又は疾患もしくは状態の症状の完全なアブレーションに限定することはできない。したがって、開示された方法において、「治療」は、疾患の少なくとも1つの症状の重症度の減少を含む、確立された疾患又は疾患進行の重症度における10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指すことができる。例えば、細胞の免疫原性を減少させるための開示された方法は、同じ被験体又は対照被験体における処置前レベルと比較した場合に、細胞の免疫原性の検出可能な減少が存在する場合の処置であると考えられる。したがって、減少は、天然又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の減少であり得る。「治療」は、必ずしも疾患又は状態の治癒を指すものではなく、疾患又は状態の見通しの改善を指すことが理解され、本明細書で企図される。特定の実施形態では、治療が少なくとも1つの症状の重症度又は程度の減少を指し、代替的に又は追加的に、少なくとも1つの症状の発症の遅延を指すことができる。
【0045】
II.製造方法及び使用方法
開示されるのは、インスリン感受性を増加させるため、及び/又はそれを必要とする宿主におけるインスリン産生の欠如を改善するために有用な方法、組成物、及び細胞である。本開示の1つの態様は、線維芽細胞及び/又は線維芽細胞様細胞及び/又はその微小胞の投与によって、血管形成及び/又は血管応答性を直接的及び/又は間接的に刺激し得る細胞の投与を通して骨格筋潅流を増加させる方法を包含する。別の態様は、宿主インスリン応答性組織に組み込むことができる細胞組成物の投与を介してインスリンに対する感受性を増加させ、インスリンに応答することができる宿主細胞の動員、他の宿主細胞上でインスリン応答性を付与することができる宿主細胞の動員、インスリン応答性の役割をとる外因性投与細胞、及び/又は他の宿主細胞上でインスリン応答性を内在する外因性投与細胞のいずれかを介して応答性をアップレギュレートする手段を提供する。別の態様は、同時のインスリン感作及びインスリンのアップレギュレートされた産生を可能にするために宿主を改変することを包含する。本明細書に包含されるのは2型糖尿病を治療する方法であり、これには重症度の低下及び/又は発症の遅延が含まれる。方法はまた、インスリン産生細胞機能の回復に関するものを含んだ。本開示の実施形態は、2型糖尿病からの1つ以上の合併症の重症度を予防、遅延、又は軽減する方法に関する。本明細書に包含される方法はまた、インスリン感受性を増加させる方法、血中グルコースを正常レベルに維持する方法、骨格筋潅流を増加させる方法、インスリン応答性を付与する方法、炎症性メディエーターを減少させる方法などを含む。少なくともいくつかの実施形態では、本明細書で利用される方法及び組成物が1型糖尿病ではない。
【0046】
本開示の実施形態は、治療有効量の線維芽細胞集団及び/又は線維芽細胞誘導体を投与することによって、哺乳動物におけるインスリン感受性を増加させる方法を含む。特定の実施形態では、線維芽細胞は、マーカーCD34及び/又はCD133を発現する。本明細書中の任意の方法のための線維芽細胞は、任意の供給源に由来し得るが、特定の実施形態において、線維芽細胞集団は、臍帯血、胎盤、皮膚、骨髄、羊水、脂肪、臍帯マトリックス、大網、及び腸下粘膜からなる群より選択される組織の群に由来し;線維芽細胞誘導体もまた、それに由来し得る。
【0047】
特定の場合において、線維芽細胞集団は、DMEM培地中の10%ウシ胎仔血清中の96ウェルプレートにおいて、1ウェルあたり20,000細胞の濃度で培養された場合、24時間あたり2倍を超える速度で増殖する能力を有する。
【0048】
特定の実施形態では、インスリン感受性を増大させることができる線維芽細胞集団は、骨格筋の潅流を増強する能力を有する。特定の実施形態では、線維芽細胞集団は、骨格筋の潅流を増大させることができる。
【0049】
インスリン感受性を増加させることができる細胞は、マーカーCD90、CD105、CD34、CD133又はそれらの組み合わせを発現する自己又は同種線維芽細胞であってもよく、及び/又はCD45及び/又はCD14発現を実質的に欠いていてもよい。特定の場合には、細胞は、接着性表現型を有し、a)骨髄、b)末梢血、c)子宮内膜、d)月経血、e)臍帯血、f)乳歯、g)羊膜、h)胎盤基質、i)筋組織、及びj)皮膚からなる群より選択される供給源に由来する。
【0050】
線維芽細胞を個体に提供する場合、線維芽細胞は、一例として、筋肉内に投与され得る。特定の実施形態において、線維芽細胞集団は、全身的に又は局所的に投与され、そして特定の場合において、膵臓に近接して投与される。
【0051】
線維芽細胞及び/又はその誘導体を必要とする本明細書中の任意の方法において、個体はまた、1つ以上のさらなる治療剤(例えば、1つ以上の抗炎症剤)を受容し得る。
【0052】
本開示の実施形態は、細胞は、抗炎症活性を含む細胞集団の投与によって、哺乳動物におけるインスリン感受性を、少なくともいくつかの場合において、1つ以上の炎症プロセスの阻害を通して増加させる方法を包含する。
【0053】
インスリン抵抗性を治療する方法に関して、インスリン抵抗性は、糖尿病、加齢、軽度の炎症、肥満、妊娠、メタボリックシンドロームX、及び先天性異常を含む多数の因子によって引き起こされ得る。一態様では、開示が骨格筋の潅流を刺激することができる細胞を提供し、これは血流を増加させる目的で、全身的に又は局所的に前記骨格筋に投与され得る。
【0054】
本開示の1つの態様において、胎盤線維芽細胞が利用され、それらは、商業的に入手され得るか、又は胎盤構造から単離され得、そして骨格筋の潅流を増加させる目的で投与され得る。胎盤線維芽細胞は、Oct-4、Rex-1、CD9、CD13、CD29、CD44、CD166、CD90、CD105、SH-3、SH-4、TRA-1-60、TRA-1-81、SSEA-4、Sox-2、及びこれらの組合せからなる群より選択される1以上の抗原の発現に基づいて同定され得る。
【0055】
本開示の別の態様において、骨髄線維芽細胞が利用され、そして骨髄から商業的に得られるか又は単離され得、そして骨格筋の潅流を増加させる目的のために投与され得る。骨髄線維芽細胞は、内皮細胞、平滑筋細胞、及びニューロン細胞の1つ以上の細胞型に分化可能な集団を含む、骨髄由来単核細胞から生成され得る。1つの実施形態において、骨髄線維芽細胞は、以下の抗原:CD34、c-kit、flk-1、Stro-1、CD105、CD73、CD31、CD56、CD146、血管内皮-カドヘリン、CD133、CXCR-4、及びこれらの組合せの1つ又は複数の発現に基づいて選択され得る。さらに、インスリン感受性授与活性は、マーカーCD133を発現する細胞を選択することによって増強され得る。
【0056】
本開示の別の態様では、羊水線維芽細胞を利用することができ、例えば、商業的に入手するか、又は羊水から単離し、骨格筋潅流の刺激及び/又はインスリン感受性の増強に使用することができる。単離は、羊水から単核細胞及び/又はc-kit発現細胞を精製することによって達成され得、流体は超音波誘導の利用を含む、当業者に公知の手段によって抽出され得る。羊水線維芽細胞は、以下の抗原:SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54、HLAクラスI、CD13、CD44、CD49b、CD105、Oct-4、Rex-1、DAZL、Runx-1の1つ以上の発現、又はそれらの組合せ、及び/又は以下の抗原:CD34、CD45、HLAクラスII、又はそれらの組合せの1つ以上の有意な発現の欠如に基づいて選択され得る。
【0057】
本開示の別の態様において、循環末梢血線維芽細胞は、インスリン感受性の刺激のために利用される。末梢血線維芽細胞は1、2、3、4、5、6、又はそれ以上の月にわたって、一定期間、インビトロで増殖する能力を特徴とすることができ、及び/又はCD34、CXCR4、CD117、CD113、c-met、又はそれらの組合せの発現を特徴とすることができ、かつ/又は1以上の分化関連マーカーの欠如を特徴とすることができる。マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD11、CD11a、Mac-1、CD14、CD16、CD19、CD24、CD33、CD36、CD38、CD45、CD56、CD64、CD68、CD86、CD66b、HLA-DR、又はこれらの組み合わせの1つ又は複数から選択され得る。
【0058】
本開示の別の態様において、組織線維芽細胞は、骨格筋の潅流の刺激のために利用される。組織線維芽細胞は、以下のマーカー:STRO-1、CD105、CD54、CD106、HLA-Iマーカー、ビメンチン、ASMA、コラーゲン-1、フィブロネクチン、LFA-3、ICAM-1、PECAM-1、P-セレクチン、L-セレクチン、CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD61、CD18、CD29、トロンボモジュリン、テロメラーゼ、CD10、CD13、STRO-2、VCAM-1、CD146、THY-1、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数を発現し得る。組織線維芽細胞は、検出可能なレベルのHLA-DR、CD117、CD45、又はそれらの組合せを発現することも、発現しないこともできる。線維芽細胞は、骨髄、脂肪組織、子宮内膜、月経血、臍帯血、胎盤組織、末梢血単核細胞、分化胚性幹細胞、分化前駆細胞、又はそれらの組合せから選択される基に由来してもよい。
【0059】
開示の別の態様において、胚線維芽細胞は骨格筋の潅流の刺激に利用され、該細胞は、Oct4、Nanog、Dppa5 Rbm、サイクリンA2、Tex18、Stra8、Dazl、β1-及びα6-インテグリン、Vasa、Fragilis、Nobox、c-Kit、Sca-1、Rex1、及びこれらの組合せからなる群より選択される1以上のマーカーを発現し得る。
【0060】
開示の別の態様において、脂肪組織由来線維芽細胞は、例えば、骨格筋の潅流の刺激を利用し、ここで、脂肪組織由来線維芽細胞は、CD13、CD29、CD44、CD63、CD73、CD90、CD166、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)、ABCG2、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数から選択される1つ又は複数のマーカーを発現することができる。特定の実施形態では、脂肪組織由来線維芽細胞は、一例として、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、又はそれ以上培養で増殖することができる脂肪組織から抽出された精製単核細胞の集団を含むことができる。
【0061】
本開示の別の態様において、剥離した歯由来線維芽細胞は、骨格筋の潅流の刺激のために利用され、ここで、剥離した歯由来線維芽細胞はSTRO-1、CD146(MUC18)、アルカリホスファターゼ、MEPE、bFGF、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上のマーカーを発現し得る。
【0062】
本開示の別の態様において、皮膚線維芽細胞は、骨格筋の潅流の刺激のために利用され、ここで、この細胞はCD44、CD13、CD29、CD90、CD105、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される1つ以上のマーカーを発現し、そして少なくとも1、2、3、又はそれ以上の期間、培養物中で増殖し得る。
【0063】
本開示の別の態様では、側集団線維芽細胞(例えば、多剤耐性輸送タンパク質(ABCG2)の発現、及び/又はローダミン-123及び/又はヘキスト33342などの細胞内色素を流出する能力に基づいて同定され得るような、当技術分野で公知の用語)は、インスリン感受性の刺激及び骨格筋の潅流に利用され、側集団細胞は例えば、多剤耐性輸送タンパク質(ABCG2)の発現、及び/又はローダミン-123及び/又はヘキスト33342などの細胞内色素を流出する能力に基づいて同定され得る。サイドポピュレーション細胞は、例として、膵臓組織、肝臓組織、平滑筋組織、横紋筋組織、心筋組織、骨髄組織、軟骨組織、骨髄組織、軟骨組織、肝臓組織、膵臓組織、膵管組織、脾臓組織、胸腺組織、パイエル板組織、リンパ節組織、表皮組織、真皮組織、皮下組織、心臓組織、肺組織、血管組織、内皮組織、血球細胞、膀胱組織、腎臓組織、消化管組織、食道組織、胃組織、小腸組織、大腸組織、脂肪組織、子宮組織、眼組織、肺組織、精巣組織、卵巣組織、前立腺組織、結合組織、内分泌組織、腸間膜組織などの組織に由来することができる。
【0064】
本開示の別の態様において、線維芽細胞前駆細胞は、骨格筋の潅流の刺激のために利用される。ある態様において、線維芽細胞前駆細胞は、動員された末梢血から採取される。動員は、1つ以上の動員剤又は療法の投与によって達成され得る。動員剤は、G-CSF、M-CSF、GM-CSF、5-FU、IL-1、IL-3、ヒアルロン酸フラグメント、キット-L、VEGF、Flt-3リガンド、PDGF、EGF、FGF-1、FGF-2、TPO、IL-11、IGF-1、MGDF、NGF、HMG CoA)レダクターゼ阻害剤、SDF-1の低分子アンタゴニスト、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。動員療法は、運動、高圧酸素、末梢血のエクスビボのオゾン処理による自己血液療法、及び/又は骨髄の外側の解剖学的領域におけるSDF-1分泌の誘導の1つ以上から選択され得る。開示のいくつかの態様において、線維芽細胞前駆細胞は、CD31、CD34、AC133、CD146及び/又はflk1などの1以上のマーカーを発現する。
【0065】
本開示の1つの態様において、線維芽細胞又は線維芽細胞前駆細胞として本明細書中に包含される細胞は、インスリン産生細胞の再生のための細胞性及び/又は栄養性支持を提供するために、全身的に、又は1つ以上の特定の組織及び/又は器官に近接して投与され得る。特定の実施形態では、それらは膵臓に近接して提供される。また、静脈内、筋肉内、腹腔内、リンパ管内に投与することもできる。
【0066】
本開示の1つの態様において、骨格筋潅流を増加させる線維芽細胞を受容する個体に、及び/又はインスリン産生細胞の再生のために、1つ以上の抗炎症剤が投与され得る。抗炎症薬は、NF-カッパB経路、MyD88経路、TNFシグナル伝達経路、MHC発現のアップレギュレーションに関連するToll様受容体シグナル伝達経路、C反応性タンパク質産生のアップレギュレーション、及び/又はTNFα産生のアップレギュレーションなどの分子経路を阻害する可能性がある。開示方法に役立つ抗炎症剤には、少なくとも、アルクロフェナク;アルクロメタゾンジプロピオネート;アルゲストンアセトニド;αアミラーゼ;αリポ酸;αトコフェロール;アムシナファル;アムシナフィド;アンフェナクナトリウム;アミプリロースヒドロクロライド;アナキンラ;アニロラック;アニトラザフェン;アパゾン;アスコルビン酸;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;ベンジーダミン塩酸;ブロメライン;ブロペアモール;ブデソニド;カルプロフェン;クロロゲン酸;シクロプロフェン;シンタゾン;クリップロフェン;プロピオン酸クロベタゾール;酪酸クロベタゾン;クロピラック;プロピオン酸クロチカゾン;酢酸コルメタゾン;コルトドクソン;デフラザコート;デソニド;デキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;ジフロラゾンジアセテート;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサル;ジフルプレドネート;ディフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシント;エラグ酸;エンドリソン;エンリモアブ;エンリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナマート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラック;フェンドサル;フェンピパロン;フェンティアザック;フェンティアザック;フラザロン;フルアザコート;フルフェナム酸;フルミゾール;フルニソリド酢酸;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルコルチンブチル;フルオロメトロン酢酸;フルカゾン;フルルビプロフェン;フルルタジン;フルレトーフェン;プロピオン酸フルチカソン;フラプロフェン;フロブフェン;グルタチオン;ハルシノニド;ハロベタゾールプロピオン酸;ハロプレドン酢酸;ヘスペリン;イブフェナク;イブプロフェンアルミ;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;イソフルプレドン酢酸;イソセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ロフェミゾール塩酸塩、ロモキシカム、ロテプレドノールエタボネート、リコピン、メクロフェナム酸ナトリウム、メクロフェナム酸、メクロリゾンジブチレート、メフェナム酸、メサラミン、メセラゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、モーニフルマート;エタボネート;リコピン;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロンスレプタン酸;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキシール;ニマゾン;オレロペイン;オルスサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;パラニリン塩酸塩;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセレート;ピルフェニドン;ピロキシカム;ピロキシカムシンナメート;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;ピクノジェノール;ポリフェノール;プレナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロカゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;ケルセチン;レスベラトロール;リメキソロン;ロマザリット;ロスマリン酸;ルチン;サルコレックス;サルナセディン;サルサレート;塩化サングイニウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキカム;スリンダック;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメイト;タロサレート;テブフェロン テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトラヒドロクルクミン;テトリダミン;チオピナク;ピバレートチクソコルトール;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;ゾメピラックナトリウム、IL-4、IL-10、IL-13、IL-20、IL-1受容体拮抗剤、TGF-ベータおよびそれらの組合せが含まれる。
【0067】
本発明は、筋潅流の増強、及び/又は炎症の減少、及び/又は膵島再生のための手段の提供によって増加され得るインシュリン感受性を包含する。本開示は、妊娠糖尿病;炭水化物及び脂質代謝異常;グルコース尿症;微小血管疾患;多発性神経障害及び糖尿病性網膜症;糖尿病性腎症;インシュリン抵抗性;グルコース耐性障害(又はグルコース不耐性);肥満;高血糖症;高インシュリン血症;高脂血症;高脂血症;アテローム性動脈硬化症;高血圧症;吸収不良症候群を含む先天性又は後天性消化吸収障害;腸の粘膜バリア機能の喪失によって引き起こされる疾患;及び/又は蛋白喪失性胃腸症を含むIDDM及びNIDDM以外のインシュリン抵抗性に関連する種々の状態を治療する手段を提供する。
【0068】
急性又は慢性形態のいずれかにおける正常を超える血中グルコース濃度に関連する他の状態もまた、本開示によって包含される。したがって、本開示の実施形態は、上昇した血中グルコース濃度を有する個体に、治療有効量の線維芽細胞及び/又は線維芽細胞誘導体を投与することによって、血中グルコース濃度を低下させる方法を含む。一実施形態では、上昇したグルコースレベルが100mg/dLより高い空腹時レベルである。
【0069】
本開示は、筋潅流を刺激する目的、炎症メディエーター産生を減少させる目的、及びいくつかの状況において膵臓再生を可能にする目的のために、細胞を利用する方法、及び特定の態様において、他の細胞に分化する能力を有する線維芽細胞を利用する方法を包含する。また、膵島又はその成分の生存率及び機能の維持に役立つ周囲において膵島再生を誘導する手段も提供される。
【0070】
本開示の一態様では、対象の血管形成能の増大が膵臓の血管分布を増大させる目的で行われ、線維芽細胞及び/又はその誘導体の送達を含んでもよい。血管形成能の増加は、1つ以上の血管形成因子、血管形成能力を有する細胞、又はそれらの組み合わせの投与によって行われ得る。血管形成は、インスリン産生細胞に分化可能な細胞の投与の有無にかかわらず、抗炎症介入との関連で刺激され得る。
【0071】
本開示の1つの態様において、個体は、内因性インスリン産生細胞の生成を刺激すると同時に、抗炎症活性及び/又は血管形成活性を増加させることが公知の1つ以上の薬剤で処置される。内因性インスリン産生細胞分化を増加させるための方法は、当該分野で公知である。このような方法の一例は、内因性幹細胞のインスリン産生細胞への分化を介してインスリン分泌を誘導することが実証されているEGFとガストリンの併用投与である[12~14]。
【0072】
本開示の1つの態様において、1つ以上の抗炎症剤は、血管形成を増加させ得、そして/又は膵島形成を誘導し得る線維芽細胞及び/又はその誘導体とともに使用される。
【0073】
本開示の一実施形態では、NIDDMの状態を有するインスリン抵抗性を患う患者は、線維芽細胞及び/又はその誘導体の筋肉内投与によって治療される。食後グルコースの70~80%が骨格筋によって代謝されることが知られている[15]。NIDDM患者の多くでは、重度のアテローム硬化性沈着物が四肢の循環を阻害することが知られている。理論に拘束されることなく、循環の阻害は、大腿動脈、膝窩動脈及び/又は脛骨動脈などの血管で起こっている可能性がある。さらに、循環の阻害は、様々な筋肉を供給する毛細血管のレベルで起こっている可能性がある。循環障害は、アテローム性動脈硬化によるだけでなく、血管拡張機構の阻害によっても起こることが知られている[16]。循環及び血管拡張反応が阻害されるため、GLUT4膜局在のインスリン活性化及び一般的なインスリン応答性が鈍化する。従って、本開示の1つの実施形態において、インスリンに応答する筋肉の能力は、内皮機能を回復し得、そして血管形成を誘導し得る線維芽細胞の投与によって改善される。この目的のために有用な線維芽細胞は、自家性、内因性、又は同種起源であり得る。
【0074】
1つの特定の実施形態では、NIDDMを有する個体は、胃筋に約1.5cmの深さで投与することによって線維芽細胞で処置される。注射は、1000万~100億個の単核細胞の範囲の総数の線維芽細胞を送達するために行われ得る。好ましい実施形態では、約1~30億個の単核細胞の注射が投与される。注射は、10~50mlの総注射容量で実施され得、注射は胃筋上に配置されたグリッド上に分配される。注射の回数は、1~100回の注射の範囲であり得、最適な回数は約10~50回の注射の範囲であり、より最適には20~30回の注射の間である。線維芽細胞単核細胞の注射は、デジタルサブトラクティブ血管造影法、ドップラーイメージング、陽電子放出断層撮影法、及び超音波などの当技術分野で知られている方法によって同定された閉塞領域において特異的に実施することができる。代わりに、線維芽細胞の投与は、確立されていないことにより閉塞が疑われる領域において実施してもよい。さらに、経皮的パルスオキシメトリーのような組織酸素化を評価する手段は、酸素化が欠乏している筋肉領域を同定するために使用され得る。全身循環の欠乏は、足指脈拍などの測定値、又は足関節上腕血圧比によっても同定できる。1つの実施形態において、腓腹筋において骨髄線維芽細胞の投与は、足関節上腕血圧比が0.9を下回ることで行われる。他の実施形態において、線維芽細胞の投与は、潅流状態にかかわらず、種々の筋肉において行われる。例えば、NIDDMの患者は、主要骨格筋における骨髄の多数のアリコートを注射され得る。注射に適した主要な骨格筋の例としては、三角筋、大胸筋、二頭筋、腹直筋、外腹斜筋、中殿筋、大殿筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋、大腿直筋、縫工筋が挙げられる。
【0075】
線維芽細胞は、少なくとも骨格筋潅流を含む筋潅流を増加させるために利用される実施形態において、効果は、モニターされてもされなくてもよい。筋肉内線維芽細胞投与の効果は、一例として、潅流を増加させる能力だけでなく、血流媒介性拡張反応(内腔血流の増加及び内壁せん断応力に続く動脈の任意の血管拡張)を増大させる能力によっても観察され得る。具体的な実施形態では、セル投与の影響は、インシュリン感受性の定量のために当技術分野で知られている様々な手段によって評価される。例えば、高インスリン血症-正常血糖クランプ技術は、この目的のための黄金標準と考えられるが、時間及び費用のような非実用性のために、他の技術もまた使用され得る。そのような技術には、頻繁にサンプリングされるIVグルコース負荷試験(FSIVGTT)、インシュリン負荷試験(ITT)、インシュリン感受性試験(IST)、モデル評価によるグルコースの持続注入(CIGMA)及び経口グルコース負荷試験(OGTT)が含まれる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態では、内因性線維芽細胞を動員することが知られているサイトカインと組み合わせて、骨髄単核細胞による治療を行うことができる。骨髄単核球の筋肉内投与により、骨髄から内因性CD34線維芽細胞が全身に動員されることが知られている[17]。従って、本開示は、NIDDMを有する患者の筋肉への骨髄単核細胞の投与後に、内因性線維芽細胞動員の増大が、増強された治療効果を引き起こす方法を包含する。筋肉内投与された線維芽細胞は、走化性活性を有するため、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、及び/又はモキシビルなどの因子の投与を介した骨髄線維芽細胞の動員は、治療効果を増大させるのであろう。G-CSFの投与は、骨髄細胞の筋肉内注射と同時に行われてもよく、又はCD34細胞の最大動員に関連する時点近くで行われてもよい。時点は、実験的に決定されてもよく、又は以前に公表されたデータに基づいてもよい。例えば、骨髄細胞の筋肉内投与に続く最大CD34動員が30日目前後に起こることが報告されている。従って、本開示の方法の1つの実施形態において、G-CSFは、内因性CD34動員を誘発するのに十分な濃度で、30日前に投与される。一実施形態では、G-CSFが5日間皮下注射するために、1日当たり約60マイクログラムの濃度で投与される。投与は例えば、骨髄細胞の筋肉内注射に続いて25日目に開始して行うことができる。いくつかの実施形態では、G-CSF注射によって引き起こされる高い全身性白血球数のために塞栓症を引き起こす可能性を回避するように、ヘパリンを同時に投与することができる。これは、一般集団と比較してすでに塞栓症のリスクが高いNIDDM患者において有用である。抗凝固法は当技術分野で周知であり、ヘパリン以外の薬剤を利用することができる。しかしながら、ヘパリン抗凝固が使用される場合、一例として、1日当たり約10,000単位の用量が有用であり得る。
【0077】
別の実施形態では、線維芽細胞が再生活性を増加させることが知られている1つ以上の薬剤と組み合わせて、本明細書に包含されるように投与される。このような薬剤としては、例えば、エリスロポエチン[18]、プロラクチン[19]、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(米国特許第5968513号に記載され、参照により組み込まれる)、ガストリン[20]、EGF[12]、FGF[21]、及び/又はVEGF[22]が挙げられ得る。1つの実施形態において、TNFαの中和剤の投与は循環する線維芽細胞に対するこのサイトカインの阻害効果を抑制解除するために、線維芽細胞と同時に投与される[23]。
【0078】
III.線維芽細胞及びその改変及び調製物
本開示の方法において利用される線維芽細胞は、調製され得、そしてそれを必要とする個体に提供され得る。線維芽細胞は、治療される個体に関して、自家又は同種又は異種であり得る。
【0079】
特定の実施形態において、潅流を増大させる能力、インスリン感受性を増大させる能力、インスリン抵抗性を処置する能力、インスリン産生細胞機能の回復に適切な環境を提供する能力などを有する線維芽細胞は、本開示の方法における使用のために改変及び/又は調製される。本開示の線維芽細胞は、特定の発現プロフィールを有していても有していなくてもよい。いくつかの実施形態において、本開示の線維芽細胞は、1つ以上の特定のマーカーを発現する。特定の実施形態において、線維芽細胞は、CD34、CD133、又はその両方を発現する。特定の実施形態では、線維芽細胞がCD34、c-kit、flk-1、Stro-1、CD105、CD73、CD31、CD56、CD146、血管内皮カドヘリン、CD133、CXCR-4、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現する。特定の実施形態では、線維芽細胞がCD34、CD133、ならびにc-kit、flk-1、Stro-1、CD105、CD73、CD31、CD56、CD146、血管内皮カドヘリン、及びCXCR-4の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又はすべてを発現する。特定の実施形態において、線維芽細胞は、CD34+、CD133+、又はその両方である。特定の実施形態では、線維芽細胞がCD90+、CD105+であり、CD45及び/又はCD14発現を実質的に欠く。
【0080】
特定の実施形態では、線維芽細胞は再生活性を有する。
【0081】
特定の実施形態において、線維芽細胞は、保存及び/又は調製のためであろうと、培養物中に存在する。様々な用語が、培養中の細胞を記載するために使用される。細胞培養は一般に、生体から採取され、制御された条件下(「培養」又は「培養」)で増殖される細胞を指す。初代培養細胞とは、最初の継代培養の前に生物から直接採取した細胞、組織、又は器官の培養である。細胞は、細胞の増殖及び/又は分裂を容易にする条件下で増殖培地中に置かれる場合、培養物中で増殖され、細胞のより大きな集団を生じる。細胞を培養で増殖させる場合、細胞増殖速度は、細胞が倍数になるのに必要な回量によって測定されることがある。これは、倍加時間と呼ばれる。
【0082】
細胞系は、初代細胞培養物の1つ以上のサブ培養によって形成される細胞の集団である。継代培養の各ラウンドは継代と呼ばれる。細胞が継代培養される場合、それらは継代されたと呼ばれる。特定の細胞集団、又は細胞株は時に、それが継代された回数に言及されるか、又は特徴付けられる。例えば、10回継代された培養細胞集団は、P10培養物と呼ぶことができる。初代培養、すなわち組織から細胞を単離した後の最初の培養をP0とする。最初の継代培養に続いて、細胞を二次培養(P1又は継代1)として記載する。2回目の継代培養後、細胞は三次培養(P2又は継代2)になり、以下同様である。継代の期間中に多くの集団倍加があり得ること;したがって、培養物の集団倍加の数は継代数よりも多いことが、当業者によって理解される。継代間の期間中の細胞の増殖(すなわち、集団倍加の数)は、播種密度、ガラス基板、培地、増殖条件、及び継代間の時間を含むがこれらに限定されない多くの因子に依存する。
【0083】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞がならし培地中に含まれるか、又はならし培地中にあるか、もしくはそれに曝露されている。条件培地は、特定の細胞又は細胞集団が培養され、次いで除去された培地である。細胞を培地で培養すると、他の細胞に栄養支持を与えたり、別の機能をもつ細胞因子を1つ以上分泌することがある。一般に、栄養因子は、細胞の生存、成長、増殖及び/又は成熟を促進又は少なくとも支持するか、又は細胞の増加した活性を刺激する物質として定義される。このような栄養因子にはホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、及び顆粒が含まれるが、これらに限定されない。細胞因子を含有する培地は、ならし培地である。線維芽細胞は単独で、又は1つ以上の他の成分と組み合わせて、医療目的のために利用される1つ以上の因子又は実体(例えば、エキソソーム)を分泌し得る。
【0084】
本明細書中で使用される場合、用語「増殖培地」は、一般に、任意の種類の線維芽細胞の培養に十分な培地をいう。特に、本明細書中の本発明の細胞の培養のための1つの培地は、ダルベッコの改変必須培地(本明細書中でDMEMとも略される)を含む。特に好ましいのは、DMEM-低グルコース(本明細書中ではDMEM-LGも)(Invitrogen,Carlsbad,CA)である。DMEM低グルコースは好ましくは15%(v/v)ウシ胎仔血清(例えば、規定ウシ胎仔血清、Hyclone、Logan Utah)、抗生物質/抗真菌薬(好ましくは、ペニシリン(100単位/ミリリットル)、ストレプトマイシン(100ミリグラム/ミリリットル)、及びアンホテリシンB(0.25マイクログラム/ミリリットル)、(Invitrogen、Carlsbad、CA)、並びに0.001%(v/v)2-メルカプトエタノール(Sigma、St.Louis Mo)で補充される。いくつかの場合において、異なる増殖培地が使用されるか、又は異なる補充物が提供され、そしてこれらは、通常、増殖培地への補充物として本文中に示される。
【0085】
また、本発明に関連して、本明細書で使用される用語「標準増殖条件」は、5%のCOを含む標準大気中で37℃で細胞を培養することを指す。相対湿度を約100%に維持する。前述の条件は培養に有益であるが、このような条件は細胞を培養するために当業者が利用可能な選択肢、例えば、体温、CO、相対湿度、酸素、増殖培地などを変化させることによって変化させることができることを理解されたい。
【0086】
細胞は薬学的に許容される担体、例えば、滅菌生理食塩水等張溶液中での投与のために調製され得る。いくつかの実施形態において、薬学的に受容可能なキャリアは、FASリガンド、IL-2R、IL-2、IL-4、IL-8、IL-10、IL-20、IL-35、HLA-G、PD-L1、I-309、IDO、iNOS、CD200、ガレクチン3、sCR1、アルギナーゼ、PGE-2、アスピリン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ピタバスタチン、ラパマイシン、IVIG、ナルトレキソン、TGF-β、VEGF、PDGF-4、抗CD45RB抗体、ヒドロキシクロロキン、レフルノフィン、ジシアノ金、スルファサラジン、メトトレキサート、グルココルチコイド、エタネルセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セタネルセプト-スズ、ゴリムマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、シクロスポリン、IFN-γ、エベロリムス、ラパマイシン、VEGF-1、FGF-2、アンジオポエチン、HIF-1-α、又はこれらの組み合わせなどの1つ以上のさらなる薬剤を含み得る。
【0087】
本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞は、低酸素領域を含む、注射(筋肉内注射など)によることを含む任意の適切な経路によって被験体に投与される。適切な経路には、静脈内、皮下、髄腔内、経口、直腸内、髄腔内、網内、脳室内、肝内、及び腎内がある。
【0088】
ある実施態様において、線維芽細胞は、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、脂肪組織、包皮、胎盤、及び/又は臍帯を含む組織に由来してもよい。特定の実施形態では、線維芽細胞が胎盤、胎児、新生児、又は成人、又はそれらの混合物である。
【0089】
個体への細胞の投与の数は、本明細書中に記載される因子に少なくとも部分的に依存し、そして当該分野で慣用的な方法を使用して最適化され得る。特定の実施形態では、単回投与が必要である。他の実施形態では、細胞の複数回の投与が必要とされる。当然のことながら、この系は、時間及び状況によって変化し得る個体の特定の必要性、細胞の喪失又は個々の細胞の活性の結果としての細胞活性の喪失速度などのような変数に従属する。従って、各個体は適切な投薬量についてモニターされ得、そして個体をモニターするこのような実施は当該分野で日常的であることが予想される。
【0090】
いくつかの実施形態において、細胞は、ロスウェルパーク記念研究所(RPMI-1640)、Dubleccoの改変必須媒体(DMEM)、Eagleの改変必須媒体(EMEM)、Optimem、Iscoveの媒体、又はそれらの組み合わせを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる1つ以上の培地組成物に供される。
【0091】
本開示の一実施形態では、線維芽細胞は羊水又は羊膜から採取される。羊膜由来線維芽細胞は、場合によりマッチングに続いて、未精製の様式で治療的に利用され得る。羊膜線維芽細胞は、インシュリン抵抗性に罹患している患者において、局所的に、筋肉内に、又は全身的に投与され得る。他の実施形態では、羊膜線維芽細胞は、SSEA-3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81及びTra-2-54などのマーカーの発現に基づいて実質的に精製され、続いて投与される。他の実施形態において、細胞は、例えば、米国特許出願公開第2005/0054093号に記載されるように培養され、増殖され、次いで、患者に注射される。羊膜線維芽細胞は、以下の参考文献[24~26]に記載されている。羊膜線維芽細胞の特定の態様の1つは、間葉系前駆細胞及び内皮前駆細胞としての両表現型プロフィールであり、これにより抗炎症機能、ならびに血管形成機能が可能となる[25、27]。この特性はインスリン抵抗性を有する患者及び血管形成から恩恵を受けるのであろう関連疾患の治療に有用であるが、線維芽細胞の抗炎症作用からも有用である。羊水線維芽細胞の使用は、低酸素が変性過程を持続させることが知られている虚血関連病態及び/又は炎症状態などの状況において特に有用である。
【0092】
一実施形態では、HLA又は混合リンパ球反応に適合させた同種異系又は自己ドナーを、2~7日間、例えば4~5日間の皮下注射による約10ug/kg/日の濃度のG-CSF(フィルグラスチム:ニューポゲン)の投与によって動員する。末梢血単核細胞を、AS104細胞分離器(Fresenius Medical)のようなアフェレーシスデバイスを使用して採取する。1-40x10の単核細胞を採取し、集中させ、局所的に投与し、全身的に、又は所与の変性疾病に関連する部位病理に近い領域に注射する。虚血が局所化される状況において、細胞投与は、本発明の文脈内で行われ得る。このような虚血領域の同定方法は、当技術分野で日常的に知られており、核イメージング又はMRIイメージングなどの技術の使用を含む。この手順のバリエーションは、血管形成及び/又は抗炎症及び/又は抗リモデリング及び/又は再生特性を有することが知られている種々の集団を濃縮するための、細胞のその後の培養のような工程を含み得る。さらに、細胞は、培養の前及び/又は後に、特定のサブタイプについて精製され得る。処理は、特定のサブタイプ及び/又は機能特性を生成及び/又は拡大するために、培養の間に、又はエクスビボ培養の間の特定の時点で、しかし注入の前に、細胞に対して行われ得る。本開示に記載される他の線維芽細胞のための本発明の種々の実施形態はまた、循環末梢血線維芽細胞に適用され得る。
【0093】
本開示の1つの実施形態において、同種又は自己脂肪組織由来線維芽細胞が、細胞供給源として使用される。脂肪組織由来線維芽細胞は、CD9;CD29(インテグリンβ1);CD44(ヒアルロン酸受容体);CD49d、e(インテグリンα4、5);CD55(崩壊促進因子);CD105(エンドグリン);CD106(VCAM-1);CD166(ALCAM)などのマーカーを発現する。これらのマーカーは同定のためだけでなく、所望の細胞集団の純度を増大させるために、培養の前及び/又は後に、陽性選択の手段として使用され得る。精製及び単離に関して、細胞脂肪組織の迅速な抽出及び精製のためのデバイスが当業者に公知である。米国特許第6,316,247号には、GMP/GTP細胞処理ラボを設置する必要なく、閉鎖環境で単核脂肪由来線維芽細胞を精製し、患者を多種多様な設定で治療できるようにする装置が記載されている。開示の一実施形態は、10~200mlの原リポスパイラートを達成し、リン酸緩衝塩中で前記リポスパイラートを洗浄し、前記リポスパイラートを0.075%コラゲナーゼタイプIで30~60分間37℃で消化し、緩やかな撹拌で前記コラゲナーゼを中和し、好ましくは10%v/vの濃度で前記コラゲナーゼをDMEM又は他の自己ロガスを含む媒体で中和し、処理したリポスパイラートを約700~2000gで5~15分遠心分離し、その後、DMEMなどの適切な媒体中で前記細胞を再浮遊させることを含む。続いて、細胞ストレーナー、例えば100μmナイロン細胞ストレーナーを用いて細胞を濾過し、破片を除去する。続いて、濾過した細胞を約700~2000gで5~15分間再度遠心分離し、約1×10/cmで培養フラスコ又は同様の容器に再懸濁する。10~20時間の培養後、PBSで洗浄することによって非接着細胞を除去し、臍帯血由来線維芽細胞の培養について記載したのと同様の条件で残存細胞を培養する。臨床使用に望ましい濃度に達したら、細胞を採取し、純度について評価し、それを必要とする患者に上記のように投与する。
【0094】
独特の組織特異的線維芽細胞は、本開示の方法の実施のために、自己又は同種異系設定において使用され得る。これらの細胞は、内皮又は内皮前駆細胞への分化のために、完全に使用され得るか、又は誘導され得る。特定の色素(ローダミン-123を含むが、これに限定されない)を排出する能力を発現する細胞は幹細胞様特性[28]に関連し、そして細胞は排出特性に基づいて、細胞解離に続いて組織から精製され得る。従って、本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞と組み合わせて使用される組織由来の側集団細胞は変性状態の処置のために、新たに単離されるか、亜集団に分類されるか、又はエクスビボ培養の後のいずれかで利用され得る。開示における使用のために、サイドポピュレーション細胞は、膵臓組織、肝臓組織、平滑筋組織、横紋筋組織、骨組織、骨髄組織、海綿組織、骨組織、軟骨組織、肝臓組織、膵臓組織、膵管組織、脾臓組織、胸腺組織、パイエル板組織、リンパ節組織、甲状腺組織、表皮組織、真皮組織、皮下組織、心臓組織、肺組織、血管組織、内皮組織、血球組織、膀胱組織、腎臓組織、消化管組織、食道組織、胃組織、小腸組織、大腸組織、脂肪組織、子宮組織、眼組織、肺組織、精巣組織、卵巣組織、前立腺組織、結合組織、内分泌組織、及び腸間膜組織などの組織から誘導され得る。一実施形態では、側集団細胞の精製が解離した心臓弁細胞を10細胞/mlで再懸濁し、カルシウム及びマグネシウムを含まないHBSS+(2% FCS、10mM Hepes、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)培地中の6.0μg/mlのHoechst 33342で37℃で90分間染色することによって行うことができる。次いで、細胞をフローサイトメーター上で泳動し、Hoechst 33342の流出について評価する。精製された細胞は、心臓球を形成する能力について評価され得、これはインスリン(25μg/ml)、トランスフェリン(100μg/ml)、プロゲステロン(20nM)、セレン酸ナトリウム(30nM)、プトレシン(60nM)、組換えマウスEGF(20ng/ml)、及び組換えヒトFGF2を含有するDME/M199(1:1)無血清増殖培地中で、1~2×106細胞/mlの密度で、10cmのコーティングされていない皿に前記側集団細胞を懸濁することによって行われ得る。培地の半分を3日ごとに交換する。継代は、7~14日毎に0.05%トリプシン及び0.53mM EDTA-4Naを使用して行うことができる。次いで、心臓球を単細胞懸濁液に解離し、次いで、治療目的のために、又は臨床使用前にインビトロもしくは動物モデルにおいて治療能力を評価するために使用する。心臓球は投与に先立って血管形成因子中で培養することにより、内皮細胞に分化するように誘導することができる。これらの方法は、本開示の方法の実施者が言及される刊行物において、他の組織の側集団細胞について記載されている[29~31]。本開示に記載される他の線維芽細胞のための本発明の種々の実施形態はまた、側集団線維芽細胞に適用され得る。
【0095】
本開示の1つの実施形態において、「若い」線維芽細胞は、老化組織の機能の悪化を補うために使用される。用語「若い」は、レシピエントより若い年齢のドナーに由来する細胞を示すために使用される。いくつかの実施形態では、若い細胞が細胞の注入までより早い日に採取された同じレシピエントの細胞であり得る。本開示の方法を実施するための若い細胞の利用には、特定の利点がある。例えば、老齢動物は、より若い動物と比較して、損なわれた生理学的応答を有することが知られている。加齢はインスリン反応性の障害と関連することが知られている[32,33]。一部の症例では、老化は、インスリン抵抗性を引き起こすTNF-αなどの炎症性サイトカインの産生増加と関連している。例えば、TNF-αに対する抗体は、Sprague-Dawleyラットの筋肉の加齢関連インスリン抵抗性を阻害することができることが実証された[34]。例えば、Edelbergのグループによる実験では、3カ月齢のROSAβガラクトシダーゼトランスジェニック骨髄細胞を18カ月齢のレシピエントに移入すると、レシピエントの前処置がなくても骨髄に入り、キメラ造血を引き起こすことができることが実証された[35]。さらに興味深いことに、若い3か月齢の骨髄ドナー由来の内皮前駆細胞は、異所性に移植された新生児心臓の血管形成を持続させる18か月齢のレシピエントマウス能力を「若返らせる」能力があることが実証された。具体的には、18か月齢のレシピエントが新生児心臓とともに移植された場合、ドナー心臓は血管形成の欠如のために生存能力を失った。18か月齢の骨髄細胞を18か月齢のレシピエントに投与した場合、新生児心臓の血管形成能は依然として障害されていた。しかし、3か月齢の骨髄注入は、用量依存的かつPDGF‐B依存的に血管形成を確立することができた。
【0096】
本開示の一実施形態では、レシピエントよりも実質的に若い線維芽細胞は、インスリンに対する応答性を直接的又は間接的に増加させる細胞の産生のために、前記レシピエントに投与される。先に述べたように、臍帯血、骨髄、脂肪組織に由来する線維芽細胞は、骨格筋に分化する能力がある。より若い細胞がより古い組織と統合し、より古い組織の機能を再確立することができるという観察を考慮すると、本発明は、インスリンに対する応答性を増加させるためのより若い線維芽細胞の使用を教示する。一実施形態において、臍帯血線維芽細胞は、インスリン抵抗性を減少させるために、インビボで骨格筋細胞に類似する細胞を生成するための「若い」線維芽細胞の供給源として利用される。これは、筋肉様細胞への分化が本発明が臍帯血線維芽細胞のインスリン抵抗性を逆転させる能力を開示するいくつかのメカニズムの1つため、理論に縛られると解釈されるべきではない。一実施形態では、臍帯血線維芽細胞が健康な妊娠から得られた臍帯血試料から得られる。臍帯血をルーチンの方法に従って精製する[36]。一実施形態では、CPD A抗凝固剤(クエン酸塩/リン酸塩/デキストロース/アデニン)(Baxter Health Care,Deerfield,IL)を含有する標準的なバクスター450ml血液ドナーセットからの16ゲージ針を挿入し、国際ドナー基準に従ってウイルス及び細菌感染について試験した母親から得た胎盤の臍静脈に穿刺するために使用する。臍帯血は、血液バッグ内に滴下するように、重力によって排出される。胎盤は、採取を可能にし、母体の血液及び他の分泌物による汚染を減少させるために、特別に構築された支持フレームから懸濁されたプラスチック裏打ちされた吸収性綿パッド中に置かれ、450mlの血液について計算された標準的な輸血バッグ中で使用される63mlのCPD Aは、採取の直前に40mlをメスシリンダー中に排出することによって23mlに減少される。臍帯血のアリコートを、National Marrow Donor Program(NMDP)ガイドラインの基準に従って安全性試験のために除去する。安全性試験には、ヒト免疫不全ウイルス1及び2、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルスI及びII、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス及び梅毒のルーチンの臨床検査による検出が含まれる。続いて、6%(wt/vol)ヒドロキシエチルデンプンを抗凝固臍帯血に最終濃度1.2%まで添加する。次いで、元の採血バッグ中の臍帯血ヒドロキシエチルデンプン混合物を遠心分離することによって(50×g、10℃で5分間)、白血球に富む上清を分離する。白血球に富む上清をバッグから150mlの血漿移入バッグ(Baxter Health Care)に移し、遠心分離(400×g、10分間)して細胞を沈降させる。余分な上清血漿は、接続チューブを切断することなく、第2の血漿移送バッグに移送される。最後に、沈降した白血球を上清血漿中に再懸濁して、総体積を20mlにする。臍帯ごとに、約5x10-7x10の有核セルが取得される。細胞を、Rubinsteinら[36]によって記載される方法に従って凍結保存する。
【0097】
いくつかの実施形態では、ドナー細胞とレシピエントとのマッチングが行われ、他の状況ではマッチングは行われない。一例として、上述のように精製され、凍結保存された複数の臍帯血線維芽細胞源の基を、線維芽細胞治療を必要とする患者の治療に利用することができる。多数の臍帯血線維芽細胞源の各々からの単核細胞のアリコートを採取し、該アリコートは約10細胞を含む。細胞を、Nunc 96ウェルプレートに、ウェル当たり100uLの体積で9ウェル中、ウェル当たり10細胞の濃縮でプレーティングする。プレーティングの前に、細胞を洗浄し、10%熱不活化ウシ胎仔血清を補充したDMEM-LG培地(Life Technologies)中で再構成する。前記臍帯血細胞は、マッチング手順の目的のために「刺激因子」と考えられる。「応答」細胞を生成するために、20mlの末梢血が、静脈穿刺を介して線維芽細胞治療を必要とする患者から抽出される。20mlの末梢血を、ヘパリン化Vacutainer(登録商標)に採血し、ヘパリン化し、Ficoll(登録商標)密度勾配上に層状にし、500gで約60分間遠心分離する。単核層を回収し、3%ウシ胎仔血清を補充したリン酸緩衝食塩水で洗浄する。刺激細胞の9ウェルごとに、3ウェルに、10応答細胞の濃度を添加し、3ウェルに、10応答細胞の濃度を添加し、3ウェルに、刺激細胞の自然活性のための対照を有するために、細胞を含まない培地を添加する。応答細胞を、刺激細胞に添加する前に、10%熱不活化ウシ胎仔血清を補充したDMEM-LG培地中で再構成する。応答細胞及び培地は、刺激細胞に添加される前に100uLの体積を含む。さらに、応答細胞の自発的活性についての対照を有するために、100uLの体積中の10及び10応答細胞を、刺激細胞を含まない100uLの培地に3連で添加する。バックグラウンド又は他の汚染のコントロールを得るために、3ウェルを200uLの培地単独でプレーティングする。従って、全培養物は25個の線維芽細胞源×9個のウェル=225個のウェルからなり、すなわち、合計3個の96ウェルプレートが使用される。さらに、刺激細胞を添加しないか、又は細胞を全く添加しない9ウェルをレスポンダー対照に使用する。72時間の混合リンパ球反応を行い、細胞に1μCi[3H]チミジンを最後の18時間パルスした。培養物をガラス繊維フィルター(Wallac,Turku,Finland)上に収穫する。Wallac 1450 Microbeta液体シンチレーションカウンターを用いて放射能を計数し、データをUltraTerm 3ソフトウェア(Microsoft,Seattle,WA)で分析した。リンパ球増殖が、刺激細胞なしで培養されたリンパ球と比較して2倍以上高い場合、刺激因子のみのバックグラウンド増殖を差し引いた場合、臍帯血バッチは治療に使用されない。この基準によれば、線維芽細胞供給源の複数のバッチのうちの2つ以上が、患者への投与のために選択され得る。精製された細胞は、送達のために利用され得る。
【0098】
一実施形態では臍帯血を使用して、レシピエントとのマッチングの有無にかかわらず線維芽細胞を得るが、宿主対移植片を引き起こし得る特異的免疫原性成分を臍帯血から枯渇させるように工程をとってもよく、及び/又は代替的に、移植片対宿主を引き起こす可能性を有し得る免疫細胞を中和するように移植片を操作する。具体的には、臍帯血線維芽細胞を、GMP(Good Manufacturing Practices)グレードのハンクス平衡食塩水(Ca2+を含む)に濃縮する。細胞が血漿を実質的に含まず、赤血球及び顆粒球が枯渇するように、細胞を予め濃縮するまで洗浄する。単核細胞懸濁液の体積は細胞密度が約3×10/mLとなるように調整し、CAMPATH-1M又はCAMPATH-1Hを最終濃度0.1mg/mLとなるように添加する。混合物を室温で15分間インキュベートし、次いでレシピエント血清を添加して、25%(vol/vol)の最終濃度を達成する。その後、混合物を37℃でさらに30分間インキュベートする。処理された臍帯血細胞を1回洗浄し、生存率について評価し、治療を必要とする患者に注射する。
【0099】
線維芽細胞が種々の組織に分化する能力は周知であるが、種々の線維芽細胞のより少ない公知の能力はそれらの抗炎症機能である。NIDDMは、炎症性メディエーターの上昇と関連することが立証されている。これは、インスリン抵抗性の発現及びその後のNIDDMに関連する過程の一部として「軽度の炎症」を記述したPickupらのレビューにおいて、エレガントに概観された。これは、C反応性蛋白及びインターロイキン-6などの循環炎症マーカーの上昇が2型糖尿病の発症を予測し、抗炎症特性を有するいくつかの薬物は、急性期反応物質及び血糖(アスピリン及びチアゾリジンジオン)の両方を低下させ、おそらく2型糖尿病(スタチン)の発症リスクを低下させるという観察に基づいている。さらにPickupは、疲労、睡眠障害、うつ病などの2型糖尿病の特徴は線維芽細胞性「高サイトカイン血症」の結果である可能性があると仮定している[37]。TNF-α及びIL-6は脂肪コンパートメントによって基礎レベルで分泌されることが知られており、これらのサイトカインのレベルとインスリンに対する抵抗性との間に相関がなされている。例えば、Kernらは、非糖尿病性の除脂肪及び肥満患者におけるTNF及びIL-6レベルを測定した。除脂肪[body mass index(BMI)<25kg/m(2)]と肥満(BMI 30~40kg/m(2))の被験者を比較すると、TNF分泌の7.5倍の増加が認められ、TNF分泌は静脈内ブドウ糖負荷試験で測定したインスリン感受性と逆相関していた[38]。他の多数の研究では、インスリン抵抗性の患者の血漿中TNF濃度が高いことが実証されている[39,40]。さらに、TNF-αの減少は、種々のインスリン感作物質に対する応答に関連する[41]。TNF-αのインスリン抵抗性誘導能は、インスリン受容体基質-1(IRS-1)のセリンリンリン酸化の誘導に基づくと考えられている。IRS-1 セリンがリン酸化されると、IRSタンパク質がインスリン受容体から解離するため、インスリンシグナル伝達が遮断される[42]。インスリン抵抗性におけるTNF-αの重要な役割にもかかわらず、唯一の原因因子ではない。TNF-α遮断薬による治療は、インスリン感受性を増大させないよう[43,44]。しかし、これは、脂肪組織から分泌され、TNF-αに加えてインスリン抵抗性と関連するレプチン、IL-6、レジスチン、ビスファチン及びIL-1などの炎症性物質が多量に存在するためである可能性が最も高い[45,46]。関節リウマチにおいて、TNF-αは産生される主要なサイトカインの1ち、その結果、インスリン抵抗性が発現する。興味深いことに、RA患者においてインフリキシマブを用いてTNF-αを遮断すると、インスリン感受性が上昇する[47]。この所見はRAが1つの主要な炎症メディエーターと関連しているのに対し、肥満はいくつかのメディエーターと関連しているという事実によって説明できる可能性がある。従って、本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞はNIDDMを有する患者において抗炎症状態を誘導するために、又は炎症を減少させるために使用される。炎症状態は、C反応性蛋白質濃度、IL-1、IL-6、TNF、レプチン、及びIL-18の評価を含む、当業者が入手可能な多くの手段によって診断することができる。様々な線維芽細胞源を本発明の実施に使用することができる。さらに、血管形成の生成のための線維芽細胞と、抗炎症状態の誘導のための線維芽細胞との組み合わせが、本開示において開示される。有用な細胞は、いくつかの実施形態において、線維芽細胞を含み得る。これらの細胞は、免疫抑制及び抗炎症機能を有することが示されている。
【0100】
本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞集団は、インスリンの産生を刺激するか、又は損傷から島を保護することが知られている1つ以上の薬剤と一緒に使用される。例えば、このような薬剤はアミリン類似体であってもよい。これらの化合物は、胃内容排出を遅延させ、食後グルカゴン放出を減少させ、食欲を調節することによってアミリンの効果を再現する。酢酸プラムリンタイドは「シムリン」の名称で販売されており、1型及び2型糖尿病の治療のための食事時インシュリンの補助薬として適応されている。多数の治験において、補助的プラムリンタイド治療は、インシュリン単独と比較して、食後血糖管理の改善、及びA1Cと体重の有意な減少をもたらした。インスリン分泌を刺激し、及び/又は末梢組織をインスリン活性に対して感作することができる種々の薬剤について、多数の特許が発行されている。これらには、例えば、米国特許番号6,121,282号、6,057,343号、6,048,842号、6,037,359号、6,030,990号、5,990,139号、5,981,510号、5,980,902号、5,955,481号、5,929,055号、5,925,656号、5,925,647号、5,916,555号、5,900,240号、5,885,980号、5,849,989号、5,837,255号、5,830,873号、5,830,434号、5,817,634号、5,783,556号、5,756,513号、5,753,790号、5,747,527号、5,731,292号、5,728,720号、5,708,012号、5,691,386号、5,681,958号、5,677,342号、5,674,900号、5,545,672号、5,532,256号、5,531,991号、5,510,360号、5,480,896号、5,468,762号、5,444,086号、5,424,406号、5,420,146号、RE34,878号、5,294,708号、5,268,373号、5,258,382号、5,019,580号、4,968,707号、4,845,231号、4,845,094号、4,816,484号、4,812,471号、4,740,521号、4,716,163号、4,695,634号、4,681,898号、4,622,406号、4,499,279号、4,467,681号、4,448,971号、4,430,337号、4,421,752号、4,419,353号、4,405,625号、4,374,148号、4,336,391号、4,336,379号、4,305,955号、4,262,018号、4,220,650号、4,207,330号、4,195,094号、4,172,835号、4,164,573号、4,163,745号、4,141,898号、4,129,567号、4,093,616号、4,073,910号、4,052,507号、4,044,015号、4,042,583号、4,008,245号、3,992,388号、3,987,172号、3,961,065号、3,954,784号、3,950,518号、3,933,830号が含まれ、これらは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
IV.開示のキット
本開示の特定の態様はまた、本開示の組成物又は本開示の方法を実施するための組成物を含むキットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、又はその条件培地を含む線維芽細胞を提供するために使用され得る。いくつかの場合において、キットは、再生細胞を含む線維芽細胞を産生及び/又は同定するための1つ以上の試薬を含む。
【0102】
キットは、チューブ、ボトル、バイアル、シリンジ、又は他の適切な容器手段のような、個々に包装され得るか、又は容器中に配置され得る構成要素を含み得る。
【0103】
個々の成分はまた、濃縮された量でキット中に提供されてもよく;いくつかの実施形態では、成分が他の成分との溶液中にあるのと同じ濃度で個々に提供される。成分の濃度は、1x、2x、5x、10x、又は20x以上とすることができる。
【0104】
特定の態様において、陰性及び/又は陽性コントロール剤は、いくつかのキットの実施形態に含まれる。対照分子は、線維芽細胞の増強された再生活性を検証するために使用することができる。
【0105】
キットは、ラベルを有する容器を含んでもよい。適当な容器には、例えば、ビン、バイアル及び試験管を包含する。容器は、ガラスやプラスチックなど種々の材料で作ることができる。容器は、上記のような予後又は非予後の適用に有用なプローブを含む組成物を保持し得る。容器上のラベルは、組成物が特定の予後又は非予後適用のために使用されることを示し得、そしてまた、上記のようなインビボ又はインビトロ使用のいずれかのための方向を示し得る。キットは、上述の容器と、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、及び使用説明書を伴う添付文書を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい材料を含む1つ以上の他の容器とを含んでもよい。
【0106】
キットは、メトホルミン、1つ以上のスルホニル尿素、1つ以上のメグリチニド、1つ以上のチアゾリジンジオン、1つ以上のDPP-4阻害剤、1つ以上のGLP-1受容体アゴニスト、1つ以上のSGLT2阻害剤、及び/又はインスリンなどの糖尿病を含む、治療される病状のための1つ以上の追加の治療を含んでも、含まなくてもよい。キットは、糖尿病の診断及び/又は血糖値のモニタリングのための1つ以上のデバイス及び/又は試薬を含んでも、含まなくてもよい。
【実施例
【0107】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は開示される材料の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を表し、したがって、その実施のための特定の形態を構成すると考えることができることを、当業者には理解されるべきである。しかしながら、当業者は本開示に照らして、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0108】
〔実施例1〕
2型糖尿病におけるインスリン反応性の亢進
【0109】
1日にインスリン注射を受けている2型糖尿病患者群100例が募集される。50人の患者はプラセボ対照で治療され、50人の患者は同種臍帯血由来線維芽細胞を投与される。文献(Durduら.J Vasc Surg.2006 Oct;44(4):732-9)に記載されているように、四肢あたり4000万細胞の濃度で細胞を胃筋肉に筋肉内注射する。臍帯血CD34の抽出及び拡張については後述する。臍帯血は慣用的な方法(Rubinsteinら、Processing and cryopreservation of placental/Umbilical cord blood for unrelated bone marrow reconstitution.Proc Natl Acad Sci USA 92:10119-10122)に従って精製される。簡単に述べると、CPD A抗凝固剤(クエン酸塩/リン酸塩/デキストロース/アデニン)(Baxter Health Care,Deerfield,IL)を含有する標準Baxter 450ml血液ドナーセットからの16ゲージ針を挿入し、国際ドナー標準に従ってウイルス及び細菌感染について試験した母親からの健康な送達から得られた胎盤の臍静脈を穿刺するために使用する。臍帯血は、血液バッグ内に滴下するように、重力によって排出される。胎盤は、採取を可能にし、母体の血液及び他の分泌物による汚染を減少させるために、特別に構築された支持フレームから懸濁されたプラスチックで裏打ちされた吸収性綿パッド中に置かれ、450mlの血液について計算された、標準的な輸血バッグ中で使用される63mlのCPD Aは、採取の直前に40mlをメスシリンダー中に排出することによって23mlに減少される。この抗凝固剤の体積は、通常回収される索の体積(<170ml)により良く一致する。
【0110】
National Marrow Donor Program(NMDP)ガイドラインの基準に従って、安全性試験のために血液のアリコートを取り出す。安全性試験には、ヒト免疫不全ウイルス1及び2、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルスI及びII、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス及び梅毒のルーチンの臨床検査による検出が含まれる。続いて、6%(wt/vol)ヒドロキシエチルデンプンを抗凝固臍帯血に最終濃度1.2%まで添加する。次いで、元の採血バッグ中の臍帯血ヒドロキシエチルデンプン混合物を遠心分離することによって(50×g、10℃で5分間)、白血球に富む上清を分離する。白血球が豊富な上清をバッグから150mlの血漿移入バッグ(Baxter Health Care)に押し出し、遠心分離(400×g、10分間)して細胞を沈降させる。余分な上清血漿を、接続チューブを切断することなく、第2の血漿移送バッグに移す。最後に、沈降した白血球を上清血漿中に再懸濁し、総体積を20mlとする。1本の臍帯につき、約5x10-7x10の有核セルが取得される。細胞はRubinsteinら(Rubinsteinら、Processing and cryopreservation of placental/umbilical cord blood for unrelated bone marrow reconstitution.Proc Natl Acad Sci USA 92:10119-10122)によって記載される方法に従って、その後の細胞治療のために凍結保存される。CD105細胞は、培養によって増殖され、そして本開示の方法のために利用され得る。CD105+細胞を、製造業者の推奨に従って、Magnetic Activated Cell Sorting(MACS)CD34+プロジェニター細胞分離キット(Miltenyi-Biotec,Auburn,CA)を使用する免疫磁気分離によって、単核細胞画分から精製する。得られたCD34+細胞の純度は、フローサイトメトリー評価(FACScanフローサイトメーター、Becton-Dickinson,Immunofluorometry systems,Mountain View,CA)に基づいて95%~98%の範囲である。細胞を、サイトカインカクテル20ng/ml IL-3、250ng/ml IL-6、10ng/ml SCF、250ng/ml TPO及び100ng/ml flt-3L及びLPCMの50%混合物を添加したDMEM中の24ウェル培養プレート(ファルコン;Becton Dickinson Biosciences)中最終容量0.5ml中に10.sup.4細胞/mlの濃度で平板(プレート)培養する。LPCMは、膣分娩から新鮮なヒト胎盤を得て、それを滅菌プラスチック容器に入れることによって生成される。胎盤を、1:1000濃度のヘパリン(1%w/w)(American Pharmaceutical Partners,Schaumburg,IL)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(Gibco-Invitrogen,Grand Island,NY)を含む抗凝固溶液ですすぐ。次いで、胎盤を、無菌容器中のDMEM培地(Gibco)で覆って、胎盤の全体を前記培地に浸漬し、加湿した5% COインキュベーター中で37℃で24時間インキュベートする。24時間の終わりに、生胎盤条件培地(LPCM)を容器から単離し、市販の無菌0.2ミクロンフィルター(VWR)を用いて無菌濾過する。細胞を増殖させ、CD34特異的フローサイトメトリーを用いて純度をチェックし、混合リンパ球反応を用いてレシピエントに免疫学的に適合させる。レシピエントリンパ球に対する低レベルの同種刺激活性を誘発する細胞は、移植のために選択される。細胞を上記のように投与する。治療群の患者は、細胞の注射の2週間後に始まるインスリンへの応答性の増加を示す。
【0111】
〔実施例2〕
同種線維芽細胞再生細胞後のインスリン応答性の増加
本開示の実施形態は、特定の線維芽細胞を含む線維芽細胞の投与時にインスリン応答性及び/又はインスリン感受性を増加させる方法を含む。特定の実施形態において、線維芽細胞は、CD34+及び/又はCD133+である。
【0112】
1つの研究では、2型糖尿病を有し、毎日インスリン注射を受けている患者100人のグループが利用されている。50人の患者はプラセボ対照で治療され、50人は線維芽細胞の例として、同種皮膚由来線維芽細胞を投与される。処置群の患者は例えば、細胞の注射の1、2、3、4週間又はそれ以上後に開始して、インスリンに対する増加した応答性を示す。
【0113】
〔実施例3〕
線維芽細胞の静脈内投与は耐糖能を増加させる
5週齢のC57BL/6マウスに、60%のカロリーが脂肪から得られる高脂肪食(HFD)を、合計24週間与えた。23週間のHFD給餌で、マウスに40mg/kgのストレプトゾシン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を3日間連続して毎日注射した。ストレプトゾシンは膵臓細胞を殺し、マウスにおける2型糖尿病(T2D)を含む糖尿病のモデルを生じる。
【0114】
ヒト皮膚線維芽細胞、骨髄間葉系幹細胞(BM-MSC)又は脂肪MSC、継代3代を、10%ウシ胎児血清を含むOpti-MEM培地で培養した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄し、24週間のHFD後にHFD及びSTZ注射によって生成されたT2Dレシピエントに尾静脈を介して静脈内(5×10/マウス、0.2ml PBS中)注射した。処置当たり10匹のマウスの基を使用した。
【0115】
非空腹時血中グルコースレベルを、Freestyle Lite血液グルコメーター(Abbott)を使用して毎日測定した。腹腔内ブドウ糖負荷試験は、ベースライン(0分)と30分と120分で採取した血液サンプルで、細胞注射の2週間後に(2g/kgブドウ糖)を投与して行った。線維芽細胞を投与した動物では、他の2種類のMSCと比較して、血糖値のコントロールが有意に改善したことが示された。
【0116】
参考文献
本明細書において言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示す。すべての特許及び刊行物はあたかも各個々の刊行物が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
(特許および特許出願)
米国特許第3,933,830号
米国特許第3,950,518号
米国特許第3,954,784号
米国特許第3,961,065号
米国特許第3,987,172号
米国特許第3,992,388号
米国特許第4,008,245号
米国特許第4,042,583号
米国特許第4,044,015号
米国特許第4,052,507号
米国特許第4,073,910号
米国特許第4,093,616号
米国特許第4,129,567号
米国特許第4,141,898号
米国特許第4,163,745号
米国特許第4,172,835号
米国特許第4,195,094号
米国特許第4,207,330号
米国特許第4,220,650号
米国特許第4,262,018号
米国特許第4,374,148号
米国特許第4,305,955号
米国特許第4,336,379号
米国特許第4,336,391号
米国特許第4,405,625号
米国特許第4,419,353号
米国特許第4,421,752号
米国特許第4,430,337号
米国特許第4,448,971号
米国特許第4,467,681号
米国特許第4,499,279号
米国特許第4,622,406号
米国特許第4,681,898号
米国特許第4,695,634号
米国特許第4,716,163号
米国特許第4,740,521号
米国特許第4,812,471号
米国特許第4,816,484号
米国特許第4,845,094号
米国特許第4,845,231号
米国特許第4,968,707号
米国特許第5,019,580号
米国特許第5,258,382号
米国特許第5,268,373号
米国特許第5,294,708号
米国特許第5,420,146号
米国特許第5,424,406号
米国特許第5,444,086号
米国特許第5,468,762号
米国特許第5,480,896号
米国特許第5,510,360号
米国特許第5,531,991号
米国特許第5,532,256号
米国特許第5,545,672号
米国特許第5,691,386号
米国特許第5,674,900号
米国特許第5,677,342号
米国特許第5,681,958号
米国特許第5,708,012号
米国特許第5,728,720号
米国特許第5,731,292号
米国特許第5,747,527号
米国特許第5,753,790号
米国特許第5,756,513号
米国特許第5,783,556号
米国特許第5,817,634号
米国特許第5,830,434号
米国特許第5,830,873号
米国特許第5,837,255号
米国特許第5,849,989号
米国特許第5,885,980号
米国特許第5,900,240号
米国特許第5,916,555号
米国特許第5,925,647号
米国特許第5,925,656号
米国特許第5,929,055号
米国特許第5,955,481号
米国特許第5,980,902号
米国特許第5,981,510号
米国特許第5,990,139号
米国特許第6,030,990号
米国特許第6,037,359号
米国特許第6,048,842号
米国特許第6,057,343号
米国特許第6,121,282号
米国特許第6,903,073号
米国特許第6,967,019号
米国特許第7,033,831号
米国特許第7,056,734号
米国特許第7,138,275号
米国特許第7,169,608号
米国特許出願第2005/0054093号
【0118】
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【0119】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を本明細書で行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示から容易に理解するように、本明細書で説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップを、本開示に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲はその範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことが意図される。
図1
【国際調査報告】