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特表2022-538245付加製造又は他の産業用レーザー処理用途向けの機能的に均質化された強度分布
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  • 特表-付加製造又は他の産業用レーザー処理用途向けの機能的に均質化された強度分布 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(54)【発明の名称】付加製造又は他の産業用レーザー処理用途向けの機能的に均質化された強度分布
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20220825BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20220825BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20220825BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
G02B6/26
G02B6/036
G02B26/10 109Z
G02B6/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576714
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020039463
(87)【国際公開番号】W WO2020264056
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/865,902
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/882,442
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518172129
【氏名又は名称】エヌライト, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NLIGHT, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ルーゴ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ダブリュー ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ スモール
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ マルティンセン
(72)【発明者】
【氏名】ダーブ エイ ブイ クリナー
【テーマコード(参考)】
2H045
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H045AE05
2H137AA13
2H137AB06
2H137BA04
2H137BA13
2H250AC37
2H250AD14
2H250AD15
2H250AD24
2H250AD43
2H250AE72
(57)【要約】
機能的に均質化された強度分布を有するレーザー出力ビームを生成する方法が開示されている。一部の実施形態によると、多モード閉じ込めにおけるいくつかのモードの分布が低モード源ビームを前記多モード閉じ込めコアへ印加することによって励起され、その結果前記分布は不安定な強度分布を示す。前記不安定な強度分布は、前記多モード閉じ込めコアにおける位相変位の変調及び前記低モード源ビームの前記多モード閉じ込めコアへの放出条件の変化の一方又は両方を行うことによって機能的に均質化される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能的に均質化された強度分布を有するレーザー出力ビームを生成する方法であって、
低モード源ビームを多モード閉じ込めコアへ印加することによって前記多モード閉じ込めコア内において少数モードの母集団を、不均質強度分布を示すように励起する段階と、
少数励起モードの母集団を変化させるため、前記多モードにおける位相変化の変調及び前記低モード源ビームの発出条件の変化の一方又は両方を供することで前記不均質強度分布を機能的に均質化することで前記レーザー出力ビームを生成する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、方法。前記低モード源ビームは3以下のモードを有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記低モード源ビームは単一モードを有する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記低モード源ビームは、前記多モード閉じ込めコアによって維持されるモードの50%以下を励起する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記低モード源ビームは、前記多モード閉じ込めコアによって維持されるモードの10%以下を励起する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記多モード閉じ込めコア内の前記少数モードの母集団は10以下のモードを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記多モード閉じ込めコアを含む光ファイバーへ摂動装置を結合することによって位相変化を変調させる段階をさらに有する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記摂動装置は、前記光ファイバーの被覆体に適合する筐体内にボイルコイルを有する、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記摂動装置は、前記光ファイバーの被覆体に適合する筐体内に回転電気モーターを有する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、摂動装置を可変ビーム特性(VBC)ファイバーの接合部へ結合することによって前記低モード源ビームの発出条件を変化させる段階をさらに有する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記多モード閉じ込めコアは環状閉じ込めコアである、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記レーザー出力ビームを付加製造ワークピースへ当てる段階をさらに有する、方法。
【請求項13】
機能的に均質化された強度分布を有するレーザー出力ビームを生成する装置であって、
低モード源ビームを案内する第1長さの光ファイバーと、
前記低モード源ビームを受けることで前記多モード閉じ込めコア内の少数モードの母集団を、不均質強度分布を示すように励起するように構成される第2長さの光ファイバーと、
少数励起モードの母集団を変化させるため、前記多モードにおける位相変化の変調及び前記多モード閉じ込めコアへの前記低モード源ビームの発出条件の変化の一方又は両方を供することで前記不均質強度分布を機能的に均質化することで前記レーザー出力ビームを生成する摂動装置と、
を備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記第1長さのファイバーと前記第2長さのファイバーは可変ビーム特性(VBC)ファイバーを含む、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、前記第1長さのファイバーと前記第2長さのファイバーはオフセット接合されたファイバーを含む、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、前記第1長さのファイバーと前記第2長さのファイバーは、該第1長さのファイバーと該第2長さのファイバーの自由端間の自由空間光学系によって分離される第1ファイバーと第2ファイバーをそれぞれ含む、装置。
【請求項17】
請求項13に記載の装置であって、前記摂動装置は、前記第2長さのファイバーに結合されるボイスコールを有する、装置。
【請求項18】
請求項13に記載の装置であって、前記摂動装置は、前記第2長さのファイバーの内部幾何学形状を有する、装置。
【請求項19】
請求項13に記載の装置であって、前記第1長さのファイバーは単一モードファイバーである、装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2019年6月24日に出願された米国特許仮出願第62/865902号及び2019年8月2日に出願された米国特許仮出願第62/882442号の優先権を主張する。両関連出願は参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の分野は概して、付加製造に用いられる光ビームを供給するファイバーレーザー及びファイバー結合レーザーシステムに関し、特に改善された粉末床溶融結合用途向け環状レーザービームプロファイルに関する。
【背景技術】
【0003】
金属ワークピースを処理する機能を有する付加製造には複数の種類が存在する。付加製造の2つのそのようなカテゴリーには、粉末床溶融結合と指向性エネルギー堆積(DED)が含まれる。
【0004】
粉末床溶融結合は、光ビーム又は電子ビームによって供される熱エネルギーを用いた溶融粉末を必要とする型の付加製造である。現在のところ、光ビームを用いる粉末床溶融結合には2つの型が存在する。
【0005】
第1型の粉末床溶融結合は、選択的レーザー焼結法(SLS)と呼ばれる。SLSでは、レーザービームは、粉末材料-たとえばプラスチック、ナイロン、及びセラミックス-を焼結する。直接金属レーザー焼結法(DMLS)は、粉末が金属である同様の技術である。
【0006】
第2型の粉末床溶融結合は、選択的レーザー溶融法(SLM)と呼ばれる。SLMプロセスでは、レーザーは、粉末床内で溶融プールを生成する。溶融プールは、急速に冷却及び固化することで部品を形成する。
【0007】
DEDは、レーザー直接積層法(LENS)及び電子ビーム付加製造(EBAM)を含む。粉末層を焼結又は溶融する代わりに、供給原料は堆積と同時に熱エネルギーによって硬化される。
【0008】
付加製造における環状の強度分布の利用を評価する取り組みがなされてきた。たとえば2015年の「選択的レーザー溶融法における熱分布の様々なレーザービーム強度プロファイルの効果のシミュレーション」と題された論文において、ウィッシャーロップ(Wischeropp)他は、固体TiAlの上部でのTiAl粉末の溶融の熱分布を定性的に模擬実験する2次元FEMモデルについて述べている。単一トラックの溶融中での熱分布が、様々な走査速さ及びレーザー出力で3つの異なるレーザービーム強度プロファイルについて模擬実験された。論文で宣伝されている結果は、ガウシアン形状のレーザービーム強度プロファイルとは対照的にドーナッツ形状のレーザービーム強度プロファイルを用いるときにエネルギー効率が増加し、かつ、揮発材料の量が減少することを示している。著者らは、ドーナッツ形状のレーザービーム強度プロファイルが粉末床溶融結合の生成速さを大きくすることを示唆している。
【0009】
ドーナッツ形状のレーザービーム強度プロファイル-より一般的には環状強度分布(鞍型形状を含む。)と呼ばれる-は、多くのモードが存在する母集団を励起することによって試みられてきた。換言すると多モード入力が、環状コアを有するファイバー光学セグメントに本質的に充満することで、そのセグメントの出力に供給される多くのモードを励起するのに用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は多モード環状閉じ込めコア(つまりリング形状の断面プロファイルを有するコア)内の少数モードの低モード源励起について述べている。出力へ供給される高モード母集団とは対照的に、前記少数モードが、BPP及びレイリー範囲の点でより高品質のビームを提供し、このことは処理速さの増大、揮発材料の減少(煙及び煤の生成の低下)、及び製造可能な特徴部のサイズの減少の点で性能を劇的に改善するというのが、本願発明者の信念である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一部の実施形態では、少数モードは、出力にて供給される不均一な強度分布を生成する。よって本開示はまた、付加製造用に相対的に広いレイリー範囲を有する機能的に均質化された環状強度分布を生成ために外部から加えられる摂動を含む実施形態も記載している。前記開示された実施形態は、前記環状強度分布を均質化する様々な光学特性及び機構に依拠する。従って前記実施形態(及びその基礎となる機構)は概して、位相変化実施形態及び可変モード励起実施形態と呼ばれる。
【0012】
より詳細には、第1実施形態では、急速な振動が、前記少数モードの干渉パターンを急速に変化させる(たとえば約70Hzの)機械振動を導入するように光ファイバー-の自由端へ加えられる。前記干渉パターンの変化は、前記粉末材料から見て前記環状強度分布を機能的に均質化するように前記環状強度分布内の高強度領域を急速に動かす。換言すると、所謂ホットスポットが、相対的に低いBPP及び高いレイリー範囲を供給しながら過剰な煙及び煤を回避するように急速に分配される。
【0013】
第2実施形態では、少数モードが励起される発出条件を変調させる外部摂動が加えられる。従って源ビームは、励起されるモードの母集団を急速に変化させる。前記発出条件が十分に急速に変化するとき、前記の急速な変調は、前記出力にて供給される前記環状強度分布を(前記粉末材料から見て)均質化させる効果を有する。
【0014】
追加の態様及び利点は、以降の実施形態の詳細な説明から明らかである。以降の実施形態の詳細な説明は添付図面を参照しながら進められる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】光ファイバーの出力に供給される環状強度分布の注釈付き画像である。
図2】可変ビーム特性を有するビームを供給する典型的なファイバー構造の断面図である。
図3】可変ビーム特性を有するビームを供給する典型的なファイバー構造の断面図である。
図4】可変ビーム特性を有するビームを供給する典型的なファイバー構造の断面図である。
図5】光ファイバーの出力で供給される機能的に均質化された環状強度分布の画像である。
図6】外部摂動装置の斜視図である。
図7】外部摂動装置の等角投影図である。また外部摂動装置の内部部品を二点鎖線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、光ファイバーセグメントのリング閉じ込めコアの出力で供される環状強度分布の実験結果を示している(後述するセグメントの図示した図2図4を参照のこと。)。環状強度分布100は、ファイバーセグメントへ入力される単一モード源(SM)に応じて生成されることで、リング閉じ込めコア内の少数モードの少数母集団が励起される。本願発明者等は、少数モードを含む環状強度分布100を生成することで、不均等なエネルギー分布110にかかわらず付加製造の性能を改善するのに望ましいレーザービームが供され得ることを認識した。
【0017】
しかしさもなければ多モード導波路内で維持される完全に占めないモードは、出力でこぶのある不均一な強度分布(浅裂構造とも呼ばれる。)を生じさせる傾向にある。不均等なエネルギー分布110は相対的に低強度領域と高強度領域又は所謂ホットスポットによって特徴づけられる。開示されたシステムで励起される少数モードが存在するとき、静的摂動及びモード励起条件の状態下にある少数モードの分布は、出力ではある程度塊を持つように見える。このこぶのある状態は、ホットスポットに対して感受性を持たない材料と走査速さを有する実施形態においては許容(つまり静的に供給)され得る。この不均質性は時間依存性を有し得る。この時間依存性はビームを不安定にさせる。
【0018】
しかし他の用途では、少数励起モードの母集団を変化させるため、位相変化の変調及び発出条件の急速な変化の一方又は両方を動的に供する外部から加えられた摂動によって不均質なエネルギー分布110は機能的に均質化される。得られたビームが依然として特定のときに瞬間的に不均質であり得るとしても、摂動は、ビームはあたかも均質かつ安定しているかのようにワークピース(粉末床等)と相互作用するように振る舞うことを可能にする程度に充分速い。よって本開示は、産業用のレーザー処理用途で使用するのに(たとえば被照射体深度及びレイリー範囲の観点で)相対的に高品質を保持するように不均質、不均一、又は非対称な強度分布を生成する方法を記載している。
【0019】
環状強度分布100を生成する機能を有するファイバー光学装置が複数存在する。そのような3つの実施形態は以下で説明される。とはいえ当業者は、本開示に照らして他の実施形態も可能であることを理解する。以降の例は環状強度分布の文脈で説明されるが、開示された方法は、完全に占められないため、様々な形状(たとえばホットスポットを有するトップハットビーム)の不均質、不均一、又は非対称のビームに係るモードを有する様々な型の多モード導波路構造(たとえば長方形、六角形等)の適用可能性を広げてきた。
【0020】
図2は、環状強度分布100を生成する機能を有する第1実施形態がクライナー他の米国特許第10295845号公報に記載されたものと同様の可変ビーム特性(VBC)ファイバー200を有することを示している。米国特許第10295845号の図7図10は、VBCファイバー200の実験結果、及び、摂動アセンブリ210がVBCファイバー200を曲げるように作用するときにVBCファイバー200の摂動に応じたビームを表している。米国特許第10295845号の図4図6は模擬実験で、図7図10は、SM1050nm源からのビームが、40μコア直径の入力ファイバー(不図示)へ発出された実験結果である。入力ファイバーは、第1屈折率プロファイル(RIP)212を有する第1長さのファイバー204に接合された。第1ファイバーーーーーーーーーーーーーァイバー204は、第1RIPとは異なる第2RIP214を有する第2長さのファイバー20ファイバーバーバーバーバーバーバーバーバーバーバーバーバーバー接合部材、屈折率一致接着剤等)にて接合された。よって第1長さのファイバー204は、第2長さのファイバー208内でモードの母集団を励起するビームを運ぶ。第2長さのファイバー208は、外側リング、任意の内側リング、及び任意の中心リングを構成する同軸配置された閉じ込め領域を有する。米国特許第10295845号の図6に示されているように横方向変位を導入することによって、外側(又は内側)リングでのモードは、第2長さのファイバー-208の出力にて環状強度分布を生成するように励起される。環状強度分布の生成についてのさらなる詳細はマーティンセン他の米国特許第10663768号公報に記載されている。
【0021】
付加製造で用いられるために得られたビームをさらに改善するため、本願発明者等は、第2長さのファイバー208内で少数モード286を励起するSM入力280の試験を行った。換言すると、接合部206にて第1長さのファイバー204によって供給される低モード入力280は小母集団モード286を導波する導波路として機能する第2長さのファイバー208内で小母集団モード286を励起する。代表的な実験では、単一モードビームは、内径が約40μmで外径が約60μmである環状導波領域へ発出された。環状領域のすべてのモードを占めることでM2の値が約30となる一方で、実際の環状ビームについて測定されたM2の値は(低モード励起のため)約8となる。このようなビーム品質が3.8倍改善される結果、集束ビームの被照射深度(レイリー範囲)が3.8倍増大する。その結果実質的な処理の利点(プロセスウインドウの広がり、光学位置合わせに対する感受性の低下)が供される。
【0022】
小母集団での厳密なモード数は過去の結果に基づいて変化し得る。維持可能なモードの約半分(つまり50%)以下の励起は、粉末床融合結合に関して望ましい利点を供するというのが本願発明者の信念である。他の実施形態では、励起されるモード数は2~10の範囲のモードを含み得る。励起されるモード数は、導波路によって実際に導波可能な取り得るモードの約10%以下であってよい。他の割合及び範囲の励起(相対して維持されている)モードもまた本開示の技術的範囲内に属すると考えられる。同様に源のモード数の少なさは、出力で励起される少数モードの比率で表され得る。たとえばSM源は10以下のモードを励起するのに適している。より一般的には低モード源(たとえば4モード)は、維持されたモードの10%以下を励起するのに適している。実際の割合は、様々な設計についての広い範囲に及ぶ多モードファイバー内で維持されるモード数に依存して変化し得る。設計の中には10~20のモードを維持するものもあり、その場合低モード入力はこれらのモードのうちの約80%を励起する。その一方で、1000を超えるモードを維持するものもあり、低モード入力ははるかに少ない割合を励起する。
【0023】
図3は、環状強度分布100を生成する機能を有する第2実施形態を示している。オフセット接合されたファイバー300は、第1長さのファイバー304と、オフセット接合部306と、第2長さのファイバー308を有する。第1長さのファイバー304は第1RIP312を有する。第2長さのファイバー308は、1つ以上の環状コアによって画定される第2RIP314を有する。具体的には環状コア320は、第1長さのファイバー304の中心SM閉じ込めコア322から横方向にオフセットされる。それにより環状閉じ込めコア320は中心SM閉じ込めコア322と対向する。それにより中心SM閉じ込めコア322を伝播するビーム332は、オフセット接合部306によって環状閉じ込めコア320の少なくとも一部へ直接発出される。
【0024】
図4は、環状強度分布100を生成する機能を有する第3実施形態を示している。この例では、2つのファイバーが、該2つのファイバー間に存在する自由空間光学系410によって分離されている。光学系410は、リング閉じ込めコアへビームを発出するのに用いられる。
【0025】
図5は、機能的に均一化された環状強度分布500の例を示している。これは、図1のホットスポットがどのようにして、平均出力が環510(又は閉じ込め領域の他の形状)にわたって滑らかになるように急速に移動し得るのかを表している。そのような均一化を実現するために本開示で提案された実施形態は少なくとも2つ存在する。
【0026】
第1実施形態では、本願発明者等によって実行される研究室での実験は、図1で示された出力の分布がリング閉じ込めコアを有するファイバーの運動に対して感受性を有することを示した。よって本願発明者等は、リング閉じ込めコアを有するファイバーの出力は、明確に均質な出力分布を生成するように急速に摂動を受け得ることを認識した。いかなる場合でも、出力は不均等に分布するが、急速に摂動を与えることで、均質化ビームが照射される材料に対して外見が均質なビームが実現される。換言すると、材料-つまり材料の熱容量特性-から見て、少数モードを有する機能的に均質化されたビームは、本質的にビームが実際に方位方向に乱されているかのように振る舞う。
【0027】
機能的な結果を生じさせる基礎となる機構については、出力で外部印加される摂動が少数モード間での位相を変化させ、励起されるモード数を変化させないことに留意して欲しい。よって位相変化の結果、第2長さのファイバー内のモード間での最大と最少及び正と負の干渉が急激に変化する。これは、ホットスポットの方位方向位置を急激に変化させる。従って平均強度は、位相変化が十分に速いときに均質化されて見える。
【0028】
図6図7は、レーザーシステムケース内部又はビクター他の国際特許出願第US2018/0180803A1号公報に示された型若しくは他の型の付加製造のプロセスヘッド付近でいかにして外部摂動装置600が被覆ファイバー610へ直接外部から与えているのかの例を示している。装置600は、出力ファイバー―(つまり図2のVBCファイバーの第2長さのファイバー208)の外側表面に固着される一対のクリップを用いて被覆ファイバー610に適合し、かつ、小さな電源(不図示)によって電力供給される。他の実施形態では、第2長さのファイバー208は、保護被覆体若しくはケーブルを介したファイバーの振動に代わって又は加えて、直接的に振動される。
【0029】
図7は、ファイバー導管に留められる3Dプリント筐体720内に格納された市販の5V DCの電気振動モーター710を有する装置600を示している。装置600はまた、結束機又は他の取付手段-たとえばクランプ-によって固着されてもよい。モーター710は、約70Hz(4200RPM)で釣合い重りを回転させる。回転させることで、(前述したように)ファイバー610内部での位相関係を変化させる振動が生じる。聴取可能な範囲外の周波数が用いられてもよい。
【0030】
他の様々な型の摂動装置もまた可能である。たとえば他の多くの装置はレーザーボックス内部又は外部で用いられてよい。たとえばピエゾ、ボイスコール、ソレノイドアクチュエータ、交流電磁場、ファイバーを振動させるファン/空気、又は他の振動装置及び振動源である。米国特許第10295845号の図24は、励起モードの母集団を変化させる様々な型の摂動装置の例を示している。これらの型の装置もまたファイバー610内部での位相関係を変化させるのに適している。他の機械アクチュエータは、直接的又は周波数を変化させる連結部(たとえば偏心回転体)を介して振動を駆動する線形又は回転モーター、ニューマティックアクチュエータ、及び電歪又は磁歪装置を含む。摂動はまた、リングファイバーを押す又は圧縮する、小さな微小曲がりをリングファイバーへ導入する、及び、一部の幾何学構造をファイバークラッドに含めることによって与えられてもよい。
【0031】
第2実施形態では、本願発明者等は、発出条件の急速な変化もまた機能的に均質化された結果を生成するのに用いられ得ることを認識した。たとえばブラウン他の米国特許第10677984号公報は、様々なコア内のモードを励起するようにVBCファイバーで急速に外部印加される摂動によって一時的に明確な強度分布を生成する方法を記載していている。この方法は、この方法はまた、同一コア内で励起される少数モードの各異なる小母集団間でディザリングすることで、粉末床溶融結合を改善する高品質ビームを供給するホットスポットを急速に変化させる。ディザリングは、(たとえば、クラッドと導波路部との間でビームを移動させることによって、又は、単一リングコア内に発出されるビームの急速な横方向変位を与えることによって)2つの同軸コア間又は単一リングコア内での発出条件を変化させ得る。一部の実施形態では、静的摂動は横方向変位を与えるように加えられ、かつ、高周波動的補助摂動は単一リングコア内での発出条件を変化させるように加えられる。
【0032】
最後に、当業者は、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述した実施形態の細部に多くの変更を加えることができることを理解するであろう。例えば、外部から印加された摂動を導入するための第1及び第2の実施形態の特徴は、位相関係及びモード励起の均質化の両方を有する第3の実施形態に組み合わせることが可能である。さらに、当業者は、発射条件における変調周波数及び変動速度が、所望の平均強度分布、レーザー加工の種類、及び熱伝導率、熱拡散率、比熱、融点、又は他の特性のようなワークピース熱材料特性の関数であることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】