(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(54)【発明の名称】回転電気機械用の電気巻線
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20220825BHJP
H02K 3/28 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K3/28 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577460
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2020067460
(87)【国際公開番号】W WO2020260260
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】マクシム、グロスポー
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ド、クレール
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、シュミット
(72)【発明者】
【氏名】クレマン、ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ、ゴトル
(72)【発明者】
【氏名】ウォイチェフ、マンドック
(72)【発明者】
【氏名】ポール、アルミロリ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ファブロール
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603AA12
5H603AA15
5H603BB01
5H603BB02
5H603BB07
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB03
5H603CB18
5H603CC05
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD11
5H603CD12
5H603CD22
5H603CE02
5H603CE05
5H603EE01
(57)【要約】
本発明は、回転電気機械(10)のアクティブ部品用の電気巻線に関する。電気巻線(24)は、エルボージョイント(30C、31C)により接続された2つの導電性セグメント(30A、30B、31A、31B)を備える複数の導電性ピン(30、31)を備え、各エルボージョイント(30C、31C)は、アクティブ部品の本体の第1軸方向端面から最大の軸方向距離に、前記エルボージョイントの部分に対応する頂点(30E、31E)を有する。巻線は、2つの導電性セグメント(32A、32B)を備える少なくとも1つの接続ピン(32)をさらに備え、導電性セグメントは、頂点(32E)を有するエルボージョイント(32C)により互いに接続される。頂点(32E)は、前記第1軸方向端面と前記頂点との間の軸方向距離(D2)が、前記面と頂点(30E、31E)との間のそれぞれの軸方向距離(D0、D1)以下となるように配設される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(10)の特にステータまたはロータにより形成されるアクティブ部品用の電気巻線であって、
前記アクティブ部品は、軸(X)を中心とした環状のヨーク(27)と、前記ヨークの側面から径方向に延びてスロット(22)を規定する複数の歯(28)と、を有する本体(21)を備え、
前記スロットは、前記本体の第1軸方向端面(29a)および第2軸方向端面(29b)に開口し、
前記電気巻線(24)は、互いに電気的に接続された複数の導電性ピン(30、31)を備え、
各ピンは、エルボージョイント(30C、31C)により接続された2つの導電性セグメント(30A、30B、31A、31B)を備え、
同一の前記ピンの前記導電性セグメントは、2つの別個のスロットに配設されることが意図され、
前記エルボージョイント(30C、31C)は、前記本体の前記第1軸方向端面から最大の軸方向距離に、前記エルボージョイントの前記部分に対応する頂点(30E、31E)を各々有し、
前記巻線は、2つの別個のスロットに配設されることが意図された2つの導電性セグメント(32A、32B)を備える少なくとも1つの接続ピン(32)をさらに備え、
前記導電性セグメントは、それらの端部の一方において、エルボージョイント(32C)により互いに接続されるとともに、それらの他方の端部において、それぞれの導電性ピン(30、31)に各々接続され、
前記接続ピンの前記エルボージョイント(32C)は、前記本体の第1軸方向端面から最大の軸方向距離に、前記エルボージョイントの前記部分に対応する頂点(32E)を有し、
前記接続ピンの前記エルボージョイントの前記頂点(32E)は、前記第1軸方向端面と前記頂点との間の前記軸方向距離(D2)が、前記軸方向端面と前記導電性ピンの前記エルボージョイントの前記頂点(30E、31E)との間のそれぞれの前記軸方向距離(D0、D1)以下となるように配設される、
ことを特徴とする電気巻線。
【請求項2】
前記接続ピンの前記エルボージョイントの前記頂点(32E)は、前記導電性ピンの前記エルボージョイントのそれぞれの前記頂点(30E、31E)により規定される前記第2角度以上である第1角度を規定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気巻線。
【請求項3】
同一の前記スロット(22)に収容されることが意図された前記ピンの前記導電性セグメントは、N個の層(Ci)を形成し、
前記巻線は、第1グループの導電性ピン(30)と、第2グループの導電性ピン(31)と、を備え、
前記第1グループの導電性ピン(30)の前記導電性セグメント(30A、30B)は、2つの別個の層に各々配置され、
前記第2グループの導電性ピン(31)の前記導電性セグメント(31A、31B)は、2つの別個の層に各々配置され、
前記第1グループのピンを備える前記層は、前記第2グループのピンを備える前記層から離間しており、
前記接続ピン(32)は、前記第1グループのピンを前記第2グループのピンに接続させ得る、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気巻線。
【請求項4】
前記接続ピンの前記導電性セグメント(32A、32B)は、2つの隣接する層に配設される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気巻線。
【請求項5】
前記接続ピンの前記導電性セグメント(32A、32B)が配置された隣接する前記層は、中央層である、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電気巻線。
【請求項6】
前記電気巻線は、入力と出力とを形成する少なくとも2つの電源ピン(33、34)を備え、
各電源ピンは、その端部の一方において導電性ピン(30、31)に接続された導電性セグメント(33A、34A)を備え、
各導電性セグメントは、接続ピンの導電性セグメント(32A、32B)を備える前記スロットのうちの1つに配置されることが意図される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電気巻線。
【請求項7】
前記電源ピンの前記導電性セグメント(33A、34A)は、縁部層に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載の電気巻線。
【請求項8】
前記電気巻線は、複数の相を形成し、
各相は、複数の導電性ピン(30、31)と、少なくとも1つの接続ピン(32)と、前記接続ピンの個数の二倍に等しい個数の電源ピン(33、34)と、を備える、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の電気巻線。
【請求項9】
同一の前記スロットに収容されることが意図された前記ピンの前記セグメントは、N個の層を形成し、
同一の前記導電性ピンの前記導電性セグメント(30A、30B、31A、31B)は、2つの別個の層に配設されるとともに、少なくとも1つの中間層により互いから隔てられる、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の電気巻線。
【請求項10】
特にステータまたはロータにより形成されるアクティブ部品を備える回転電気機械であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気巻線(24)を備える回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、回転電気機械のステータやロータ等のアクティブ部品用の電気巻線に関する。本発明は、より具体的には、導電性ピンを使用して製造される電気巻線に関する。
【0002】
本発明は、オルタネータ、スタータ-オルタネータ、さらには可逆機械や電気モータ等の回転電気機械の分野に特に有利に適用され得る。可逆機械とは、一方でオルタネータとしての発電機として、他方で例えば自動車の内燃機械を始動させるための電気モータとして、可逆的に動作可能な回転電気機械であることに留意されたい。
【背景技術】
【0003】
回転電気機械は、軸を中心として回転自在なロータと、固定されたステータと、を備えている。オルタネータモードにおいて、ロータの回転中に、ロータはステータに磁界を誘導し、ステータはこれを電流に変換する。この目的は、車両の電力消費部品に電力を供給し、かつバッテリを再充電することである。モータモードにおいて、例えば、内燃機関を始動させるために、ステータは電力供給を受けて、ロータを回転させる磁界を誘導する。
【0004】
ステータは、ステータの中心を通る軸を中心として回転する部品を形成するヨークを有する本体を備えている。本体は、ヨークからステータの中心に向かって径方向に延びる歯を備えており、歯の周囲に電気巻線が配置されている。より具体的には、歯同士がともにスロットを規定する。スロットには、ステータの巻線の形成に関与する導電性要素が貫通している。
【0005】
巻線は、本体のスロットに部分的に収容された複数の導電性ピンであって、連続した電気経路を形成するように端部を介して対となって電気的に接続された導電性ピンにより形成されている。例えば、各ピンは、互いに実質的に平行である2つの導電性セグメントであって、U字形状を形成するようにエルボージョイントにより接続された2つの導電性セグメントを備えている。導電性セグメントは、導電性セグメントがステータの回転軸と実質的に平行になるようにして、ステータの第1軸方向端面において2つの別個のスロットに挿入されている。同一のスロットは、ピンに属する複数のセグメントを収容することができ、したがって、種々の導電性セグメントの層が形成される。ピンのエルボージョイントは、ステータの第1軸方向端面において突出している。
【0006】
ステータの第2軸方向端面を超える導電性セグメントの自由端部は、次いで、電流が流れるときに本体の歯に沿って磁場を生成する電気経路を形成するように互いに接続される。換言すれば、導電性ピンは、異なるセットを形成するように対となって接続される。各セットは、特に電力供給相に対応可能である。例えば、ステータは、巻線に三相電流が供給され得るように、3つの別個の相を備えている。このような巻線では、特に種々の導電性層を接続するとともに、同一のスロットに存在するセグメントの各々に電流が同一の方向に流れることを保証するように、導電性ピンの間で一定数の接続が要求される。
【0007】
これらの接続は、導電性ピンの間に配置された接続部品によりなされる。接続部品は、例えば、電流の流れの方向を反転させるためのピンである。前記反転ピンは、2つの導電性セグメントと、前記セグメントを互いに接続する接合部品と、を各々有している。2つの導電性セグメントは、ステータ本体の各スロットに挿入されるとともに、それらの自由端部を介して導電性ピンに接続されている。接合部品は、その形状を理由として、従来の導電性ピンのエルボージョイントの上方および/または隣に配置されている。接続部品は、同一の相の種々のコイル間の接続セグメントでもあり得る。各接続セグメントは、スロットに挿入されるとともに、バンドル上に例えば溶接により形成された、他方の接続セグメントとの接続ポイントを有している。これにより、機械の軸方向および/または径方向の空間的要件が増大する。ならびに、溶接接続ステップを追加することにより、巻線の製造時間が増加する。また、機械の構成によっては、冷却空気が接合部品により乱されたときに、空気騒音が増大し得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の欠点を回避することである。したがって、この目的のために、本発明は、回転電気機械の特にステータまたはロータにより形成されるアクティブ部品用の電気巻線であって、前記アクティブ部品は、軸を中心とした環状のヨークと、前記ヨークの側面から径方向に延びてスロットを規定する複数の歯と、を有する本体を備え、前記スロットは、前記本体の第1軸方向端面および第2軸方向端面に開口する電気巻線に関する。本発明によれば、前記電気巻線は、互いに電気的に接続された複数の導電性ピンを備え、各ピンは、エルボージョイントにより接続された2つの導電性セグメントを備え、同一の前記ピンの前記導電性セグメントは、2つの別個のスロットに配設されることが意図され、前記エルボージョイントは、前記本体の前記第1軸方向端面から最大の軸方向距離に、前記エルボージョイントの前記部分に対応する頂点を各々有する。さらに本発明によれば、前記巻線は、2つの別個のスロットに配設されることが意図された2つの導電性セグメントを備える少なくとも1つの接続ピンをさらに備え、前記導電性セグメントは、それらの端部の一方において、エルボージョイントにより互いに接続されるとともに、それらの他方の端部において、それぞれの導電性ピンに各々接続され、前記接続ピンの前記エルボージョイントは、前記本体の第1軸方向端面から最大の軸方向距離に、前記エルボージョイントの前記部分に対応する頂点を有し、前記接続ピンの前記エルボージョイントの前記頂点は、前記第1軸方向端面と前記頂点との間の前記軸方向距離が、前記軸方向端面と前記導電性ピンの前記エルボージョイントの前記頂点との間のそれぞれの前記軸方向距離以下となるように配設される。
【0009】
本発明により、接続ピンは、軸方向においても径方向においても導電性ピンを超えない。したがって、このことは、巻線の空間的要件を増大させる必要がないということを意味するとともに、空気騒音の増大につながり得る冷却流の乱れの発生を防止する。さらに、接続ピンは、そのエルボージョイントによりU字形状を有しているため、巻線の製造時に追加の接続ステップを設ける必要がない。
【0010】
一実施形態によれば、前記接続ピンの前記エルボージョイントの前記頂点は、前記導電性ピンの前記エルボージョイントのそれぞれの前記頂点により規定される前記第2角度以上である第1角度を規定する。本実施形態により、接続ピンの単純な形状を維持しつつ、接続ピンのエルボージョイントの頂点と本体の第1軸方向端面との間の距離を、導電性ピンのエルボージョイントの頂点と前記第1面との間の距離に比較して短くすることができる。
【0011】
一実施形態によれば、同一のスロットに収容されることが意図された前記ピンの前記導電性セグメントは、N個の層を形成する。したがって、各スロットは、異なるピンに属するN個のセグメントを備える。例えば、層は、ピンの単一のセグメントにより形成される。
【0012】
本実施形態によれば、前記巻線は、第1グループの導電性ピンと、第2グループの導電性ピンと、を備え、前記第1グループの導電性ピンの前記導電性セグメントは、2つの別個の層に各々配置され、前記第2グループの導電性ピンの前記導電性セグメントは、2つの別個の層に各々配置され、前記第1グループのピンを備える前記層は、前記第2グループのピンを備える前記層から離間しており、前記接続ピンは、前記第1グループのピンを前記第2グループのピンに接続させ得る。例えば、接続ピンの第1導電性セグメントは、第1グループの導電性ピンに関連する層のうちの1つに配置され、前記ピンの第2導電性セグメントは、第2グループの導電性ピンに関連する層のうちの1つに配置される。
【0013】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンのエルボージョイントの頂点は、本体の第1軸方向端面と頂点との間のそれぞれの軸方向距離が、前記軸方向端面と第2グループのピンである導電性ピンのエルボージョイントの頂点との間のそれぞれの軸方向距離以上となるように配設される。
【0014】
一実施形態によれば、前記接続ピンの前記導電性セグメントは、2つの隣接する層に配設される。「隣接する層」とは、別の層により隔てられていない連続的な層であると理解される。これにより、巻線を製造するための方法において、ピンの挿入が簡略化され得るとともに、接続ピンの形状が簡略化され得る。
【0015】
一実施形態によれば、前記接続ピンの前記導電性セグメントが配置された隣接する前記層は、中央層である。「中央層」とは、2つの他の層により囲まれることにより、スロットの縁部にない層であると理解される。
【0016】
一実施形態によれば、前記巻線は、入力と出力とを形成する少なくとも2つの電源ピンを備え、各電源ピンは、その端部の一方において導電性ピンに接続された導電性セグメントを備え、各導電性セグメントは、接続ピンの導電性セグメントを備える前記スロットのうちの1つに配置されることが意図される。電源ピンにより、巻線を電力および/または制御モジュールに接続することができる。
【0017】
一実施形態によれば、前記電源ピンの前記導電性セグメントは、縁部層に配置される。「縁部層」とは、巻線の内側径方向端部または外側径方向端部に位置する層、すなわち、中央でない層であると理解される。
【0018】
一実施形態によれば、前記電気巻線は、複数の相を形成し、各相は、複数の導電性ピンと、少なくとも1つの接続ピンと、前記接続ピンの個数の二倍に等しい個数の電源ピンと、を備える。
【0019】
一実施形態によれば、各接続ピンについて、電気巻線は、第1電源ピンと第2電源ピンとを備える。前記第1ピンの形状は、前記第2ピンの形状とは異なる。例えば、各電源ピンは、単一の導電性セグメントと、2つの自由端部と、を有する。また例えば、第1電源ピンの2つの自由端部は、互いに対して反対の周方向に延び、第2電源ピンの2つの自由端部は、同一の周方向に延びる。
【0020】
一実施形態によれば、同一の導電性ピンの前記導電性セグメントは、2つの別個の層に配設されるとともに、少なくとも1つの中間層により互いから隔てられる。換言すれば、同一の導電性ピンの導電性セグメントは、隣接していない層に配置される。
【0021】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを備える層は、第2グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを備える層と相互に配置される。例えば、内側径方向層は、第1グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを備え、外側径方向層は、第2グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを備える。
【0022】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンは、第2グループのピンである導電性ピンの形状とは異なる形状をそれぞれ有する。
【0023】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンは、2つの導電性セグメントをそれぞれ延長する2つの自由端部を各々備える。前記端部は、周方向に互いに接近するように湾曲している。
【0024】
一実施形態によれば、第2グループのピンである導電性ピンは、2つの導電性セグメントをそれぞれ延長する2つの自由端部を各々備える。前記端部は、周方向に互いから分岐するように湾曲している。
【0025】
また本発明は、特にステータまたはロータにより形成される回転電気機械のアクティブ部品であって、上述のような電気巻線を備えるアクティブ部品に関する。
【0026】
さらに本発明は、特にステータまたはロータにより形成されるアクティブ部品を備える回転電気機械であって、上述のような電気巻線を備える回転電気機械に関する。回転電気機械は、有利には、オルタネータ、スタータ-オルタネータ、可逆機械または電気モータを形成し得る。
【0027】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態についての以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照することでより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による回転電気機械の断面図を概略的かつ部分的に示す。
【
図3】
図3は、
図2のステータの一部の径方向平面に沿った断面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、
図2のステータの改良部分の側面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、
図2のステータの第1グループのピンである導電性ピンの斜視図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、
図2のステータの第2グループのピンである導電性ピンの斜視図を概略的に示す。
【
図7】
図7は、
図2のステータの接続ピンの斜視図を概略的に示す。
【
図8】
図8は、
図2のステータの第1電源ピンの斜視図を概略的に示す。
【
図9】
図9は、
図2のステータの第2電源ピンの斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
全ての図を通じて、同一、類似または同等の要素には同じ参照番号が付されている。種々の図は、必ずしも同じ縮尺ではないことにも留意されたい。
【0030】
図1は、特に自動車用のコンパクトで多相の回転電気機械10の一例を示す。この機械10は、オルタネータモードにおいて機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するとともに、モータモードにおいて電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換するように動作し得る。この回転電気機械10は、例えば、オルタネータ、スタータ-オルタネータ、可逆機械または電気モータである。
【0031】
本例において、機械10は、ケーシング11を備えている。このケーシング11の内部において、機械は、シャフト13と、シャフト13と回転的に一体のロータ12と、ロータ12を取り囲むステータ15と、をも備えている。ロータ12の回転運動は、軸Xを中心として生じる。以下の説明では、軸方向は、シャフト13の中心を通る軸Xに対応し、径配向は、軸Xに集中する面、特に軸Xに対して垂直な面に対応する。径方向に関して、「内側」という表記は、軸に向かう要素、すなわち第2要素に比べて軸により近い要素に対応し、「外側」という表記は、軸から離れていることを指す。
【0032】
本例において、ケーシング11は、ともに組み立てられた前方フランジ16および後方フランジ17を備えている。これらのフランジ16、17は、中空であり、中央にベアリングを各々支持している。ベアリングは、シャフト13の回転を可能とするように、それぞれのボールベアリング18、19に結合されている。さらに、ケーシング11は、回転電気機械10を車両に装着可能とする固定手段14を備えている。
【0033】
プーリやスプロケット等の駆動部品20が、シャフト13の前端部に固定され得る。この部品により、回転運動がシャフトに伝達され得る、またはシャフトがその回転運動を伝達し得る。以下の説明では、前/後という表記は、この部品に準拠する。したがって、前面とは、この部品に向く面であり、後面とは、前記部品に対して反対方向に向く面である。
【0034】
前方フランジ16および後方フランジ17は、この場合、水やオイル等の冷却剤が流れるためのチャンバを形成するように配置されている。あるいは、フランジは、ロータまたはシャフトと回転的に一体の少なくとも1つのファンの回転により生成される冷却気流が通過するための開口部を備え得る。
【0035】
本例において、ロータ12は、磁極を形成する永久磁石を収容するシートのパックにより形成されている。あるいは、ロータは、2つの極ホイールとロータコイルとを備えるクローロータであり得る。
【0036】
本実施形態において、ステータ15は、スロット22が設けられたシートのパックにより形成された本体21を備えている。スロット22には、電気巻線24を装着するためのスロット絶縁体23が設けられている。巻線は、本体21のスロットを通過して、ステータの本体の両側に前方バンドル25aおよび後方バンドル25bを形成している。さらに、巻線24は、単数または複数の相により形成されている。相は、少なくとも1つの導電体を備えるとともに、電子アセンブリ26に電気的に接続されている。
【0037】
ここではケーシング11に装着されている電子アセンブリ26は、巻線24の少なくとも1つの相を制御可能とする少なくとも1つの電力モジュールを備えている。電力モジュールは、生成された交流電圧を直流電圧に、かつ直流電圧を交流電圧に変換するための電圧整流器ブリッジを形成している。あるいは、電子アセンブリは、機械から離れて配置され得る。
【0038】
図2および
図3は、ステータ15をより詳細に示す。ステータの本体21は、軸Xを中心とした環状形状のヨーク27と、ヨークから、ここでは特にヨーク27の内壁を形成する側面からステータの中心に向かって径方向に延びる複数の歯28と、により形成されている。歯28は、環状本体の外周に角度的に均等に分散配置されている。ステータの環状本体の外周の周囲に亘って直列に延びるスロット22を規定するように、歯の間に連続した空間が設けられている。各スロットは、2つの連続する歯により規定されている。本例によれば、歯48は、ステータ本体の円周に沿って分散配置されたスロットを規定し、これらのスロットは、電気巻線24用の支持体を形成するように配置されている。変形例として、異なる個数のスロット、例えば96個、84個、72個、60個のスロットが使用され得る。この個数は、特に、機械の用途、ステータの直径およびロータの極数に依存することが理解される。
【0039】
軸方向において、すなわち軸Xに平行な方向において、スロット22は、ステータ本体21の第1軸方向端面29aおよび第2軸方向端面29bに開口している。換言すれば、スロットは、本体を軸方向に貫通して、ステータの2つの対向する軸方向端面に開口している。「軸方向端面」という用語は、ステータの回転軸Xに対して垂直または実質的に垂直な面として理解される。
【0040】
巻線24は、互いに電気的に接続されて巻線の相を形成する電気経路を形成する複数のピンにより形成されている。本例において、各相は、複数の導電性ピン30、31と、接続ピン32と、2つの電源ピン33、34と、を備えている。
図5および
図6を参照して後述するように、各導電性ピン30、31は、2つの導電性セグメント30A、30B、31A、31Bにより形成されている。これらの導電性セグメント30A、30B、31A、31Bは、スロット22内で軸方向に延びるとともに、この目的のために互いに実質的に平行である。前記導電性セグメントは、電気的連続性を形成すべく同様に導電性であるエルボージョイント30C、31Cによって互いに接続されている。
図7を参照して後述するように、接続ピン32は、2つの導電性セグメント32A、32Bにより形成されている。これらの導電性セグメント32A、32Bは、スロット22内で軸方向に延びるとともに、この目的のために互いに実質的に平行である。前記導電性セグメントは、電気的連続性を形成すべく同様に導電性であるエルボージョイント32Cによって互いに接続されている。同一のピン30、31、32の導電性セグメント30A、30B、31A、31B、32A、32Bは、互いから離れた2つのスロットに配置されている。
図8および
図9を参照して後述するように、電源ピン33、34は、スロット22内で軸方向に延びる導電性セグメント33A、34Aにより各々形成されている。
【0041】
図4は、さらなる明瞭性を期して2つの導電性ピン30、31、接続ピン32および2つの電源ピン33、34のみを示すステータの一部を示す。各エルボージョイント30C、31C、32Cは、頂点30E、31E、32
E(
図5、
図6および
図7に示す)を形成するように互いに接合する2つの傾斜部分30D、31D、32Dを有している。したがって、傾斜部分は、導電性セグメントと対応する頂点との間で延びている。各頂点は、ステータ本体21の第1軸方向端面29aから最大の軸方向距離にあるエルボージョイントの部分として定義される。接続ピン32の頂点32Eは、導電性ピン30、31のそれぞれの頂点30E、31Eよりもステータ本体21に軸方向に近い。換言すれば、接続ピン32の頂点32Eとステータ本体21の第1軸方向端面29aとの間の軸方向距離D2は、導電性ピン30の頂点30Eと前記面29aとの間の軸方向距離D0以下であり、かつ、導電性ピン31の頂点31Eと前記面29aとの間の軸方向距離D1以下である。
【0042】
ピン30、31、32の頂点間の高さの差は、例えば、関連する導電性セグメントに対する傾斜部分30D、31D、32Dの傾斜の差により得られる。換言すれば、同一のエルボージョイントの傾斜部分は、それらの互いに対する傾斜によって、ステータ本体に面する前記ジョイントの頂点の角度を規定する。接続ピン32の傾斜部分32Dにより規定される角度は、導電性ピン30の傾斜部分30Dにより規定される角度以上であり、かつ、導電性ピン31の傾斜部分31Dにより規定される角度以上である。
【0043】
図3に示すように、同一のスロットに配置された種々の導電性セグメントは、N個の層Ciの積層体を形成するように重ね合わされている。これらのN個の層がスロットの各々に存在することにより、互いに実質的に同軸である環状円がステータの外周に形成されることが理解される。例えば、これら4つの層が存在し、スロット22内での積層順に従ってC1~C4とナンバリングされている。第1層C1は外側層に対応し、第2層C2は第1層C1に直接隣接する外側中央層に対応し、第3層C3は第2層C2に直接隣接する内側中央層に対応し、第4層は内側層に対応している。したがって、ヨーク27に最も近い導電性セグメントが第1層C1を占め、スロット開口部に最も近い、すなわち軸Xに最も近い導電性セグメントが第4層C4を占める。当然ながら、本発明は、この単一の実施形態に限定されず、より多くの個数の導電性セグメント、例えば6個、8個または10個の導電体が各スロットに積層され得る。例えば、単一の導電性セグメントによって層が形成される。したがって、各スロット22は、半径方向に互いに対して一列に整列配置されたN個の導電性セグメントであって、各々が層Ciを形成する導電性セグメントを備える。図示例において、導電性セグメントは、スロット内での積層を容易とするように、実質的に矩形の断面を各々有している。
【0044】
図5、
図6、
図7および
図8は、電気巻線24を形成するピンの種々の形状を示す。以下の説明は、電気巻線の相についてなされるが、当業者には全ての相が同様に形成されることが理解されるであろう。第1または第2グループのピンを形成する導電性ピン30、31は、エルボージョイント30C、31Cに軸方向に対向する導電性セグメントの自由端部30F、31Fにおいて異なっている。
【0045】
図5は、第1グループのピンである導電性ピン30を示す。第1グループのピン30の全ては、同じ形状を有している。この導電性ピン30は、互いに接近するように湾曲した導電性セグメントの2つの自由端部30Fを特徴とする。より具体的には、導電性セグメントの自由端部30Fは、径方向に互いに重なるように屈曲している。同一のピン30の導電性セグメントの2つの自由端部30Fの間の間隔は、スロットに収容されたこれら2つの導電性セグメント30A、30Bの直線部分の間の間隔よりも小さい。
【0046】
図6は、第2グループのピンである導電性ピン31を示す。第2グループのピン31の全ては、同じ形状を有している。この導電性ピン31は、互いから分岐するように湾曲した導電性セグメントの2つの自由端部31Fを特徴とする。同一のピン31の導電性セグメントの2つの自由端部31Fの間の間隔は、スロットに収容されたこれら2つの導電性セグメント31A、31Bの直線部分の間の間隔よりも大きい。より具体的には、同一のピンの導電性セグメント31A、31Bは、スロットEおよびスロットE+Pにそれぞれ挿入されるようにステップPだけ間隔を空けており、これらの導電性セグメントの自由端部31Fは、ステップ2Pだけ間隔を空けている。
【0047】
図7は、接続ピン32を示す。接続ピン32は、特に、導電性セグメント32A、32Bの間隔と同一の間隔を維持するように湾曲した導電性セグメントの2つの自由端部32Fを特徴とする。同一のピン32の導電性セグメントの2つの自由端部32Fの間の間隔は、スロットに収容されたこれら2つの導電性セグメント32A、32Bの直線部分の間の間隔と同様である。より具体的には、同一のピンの導電性セグメント32A、32Bは、スロットEおよびスロットE+Pにそれぞれ挿入されるようにステップPだけ間隔を空けており、これらの導電性セグメントの自由端部32Fは、同一のステップPだけ間隔を空けている。
【0048】
図8は、第1電源ピン33を示す。第1電源ピン33は、単一の導電性セグメント33Aと、2つの自由端部33F、33Gと、を備えている。自由端部33Fは、他のピンの自由端部30F、31F、32Fと同じステータの側に配置され、自由端部33Gは、軸方向において反対側に、すなわちエルボージョイント30C、31C、32Cの側に配置される。自由端部33F、33Gは、対向する周方向に屈曲している。すなわち、前記端部は、軸方向に重ね合わされていない。
【0049】
図9は、第2電源ピン34を示す。第2電源ピンは、単一の導電性セグメント34Aと、2つの自由端部34F、34Gと、を備えている。自由端部34Fは、他のピンの自由端部30F、31F、32Fと同じステータの側に配置され、自由端部34Gは、軸方向において反対側に、すなわちエルボージョイント30C、31C、32Cの側に配置される。自由端部34F、34Gは、同一の方向に屈曲している。すなわち、前記端部は、軸方向に重ね合わされている。
【0050】
特に
図2および
図10に示すように、各ピン31、31、32、33、34は、以下の態様で配置されている。一方で、その導電性セグメントがステップPだけ離間した2つの別個のスロットEおよびスロットE+P内で延びている。他方で、各エルボージョイントが第1軸方向端面29aに配置されつつ、自由端部が第2軸方向端面29bに配置されて、あるピンから次のピンへと巻線における電気的連続性を生じさせるように互いに接続されている。
図10を特に参照して後述するように、第1層C1に配置された導電性セグメントの自由端部と第2層C2に配置された導電性セグメントの自由端部とが互いに接続され、第3層C3に配置された導電性セグメントの自由端部と第4層C4に配置された導電性セグメントの自由端部とが互いに接続される。これらの接続は、例えば溶接によってなされる。したがって、同一のピンの導電性セグメント30A、30B、31A、31B、32A、32B、33A、34Aは、エルボージョイント30C、31C、32Cによってそれらの端部のうちの一方において互いに接続されるとともに、それらの自由端部30F、31F、32F、33F、34Fにおいて別のピンに各々接続される。
【0051】
第1グループの導電性ピン30は、外側グループと称されるグループを形成する。外側グループは、導電性セグメント30A、30Bが第1外側層C1および第3内側中央層C3を形成するようにスロットに収容されるピン30を備えている。第2グループの導電性ピン31は、内側グループと称されるグループを形成する。内側グループは、導電性セグメント31A、31Bが第4内側層C4および第2外側中央層C2を形成するようにスロットに収容されるピン31を備えている。
【0052】
図2および
図10に示すように、2つのピンのグループは、連結されている。すなわち、外側グループのピン30の導電性セグメントのうちの1つが、内側グループのピン31の導電性セグメントのうちの1つよりもさらに内側に位置するようにスロットに配置されている。より具体的には、第1グループに属する導電性ピン30は、スロットEにおいて第1層C1を占める1つの導電性セグメント30Aと、スロットE+Pにおいて第3層C3を占める1つの導電性セグメント30Bとを有するように、ステータに配置される。同様に、第2グループに属する導電性ピン31は、スロットEにおいて第2層C2を占める1つの導電性セグメント31Aと、スロットE+Pにおいて第4層C4を占める1つの導電性セグメント31Bとを有するように、ステータに配置される。換言すれば、導電性ピン30、31は、同一の導電性ピンの導電性セグメントが、あるスロットから次のスロットまでの2つの層が径方向にオフセットした状態で、換言すれば、この同一のピンの導電性セグメントが占める2つの層の間に中間層が挿入された状態で、別個のスロットを占めるように配置される。この径方向のオフセットは、他のグループの導電性ピンに属する導電性セグメントの挿入に相当する。この特定の配置の結果、ステータ本体21の第1軸方向端面29aにおけるエルボージョイントが整列し、隣接するエルボージョイントが互いに実質的に平行となる。これにより、バンドルのコンパクト性が向上する。
【0053】
これら2つのグループの導電性ピン30、31は、互いに独立した連続する電気経路をそれぞれ形成する。相内の電気的連続性を確保するため、第1グループの導電性ピン30を第2グループの導電性ピン31に電気的に接続するように接続ピン32が配置される。これにより、単一の電気経路が形成されるとともに、電気巻線24の相が形成される。したがって、この接続ピン32は、電気回路を閉じて、コイルを通過する電流の適切な流れを可能とする。特に、これにより、一方で、電流が同一のスロットに収容された導電性セグメントの各々において同一の方向に流れ、他方で、電流があるスロットにおいて全体として一方向に流れるが、このスロットからステップPおよびステップ-Pだけ間隔を空けたスロットにおいては反対方向に流れる。
【0054】
図10に示す例において、接続ピン32の第1導電性セグメント32Aは、第1グループの導電性ピン30に関連付けられた層のうちの1つに配置され、前記ピンの第2導電性セグメント32Bは、第2グループの導電性ピン31に関連付けられた層のうちの1つに配置される。この配置により、巻線の電気的接続に利点がもたらされる。実際に、これにより、2つの導電性セグメントがエルボージョイントによって互いに接続された状態で、全ての導電性ピン30、31がU字形状の接続ピン32、すなわち、導電性ピンの形状に類似した形状の接続ピンを介して接続され得る。したがって、この配置では、電気巻線24は、スロットにおける電流の流れ方向に従うために電流の方向を反転させ得る特別なピンを備えない。したがって、これにより、電気巻線およびその組立方法が簡略化され得る。
【0055】
特に本例において、接続ピン32の第1導電性セグメント32Aは第3層C3に配置され、前記ピンの第2導電性セグメント32Bは第2層C2に配置される。したがって、接続ピンの導電性セグメント32A、32Bは、2つの異なるスロットの径方向に隣接した2つの層に配置される。すなわち、この同一のピン32の導電性セグメントが占める2つの層の間には中間層が挿入されない。これにより、接続ピンのエルボージョイント32Cがバンドルに組み込まれ得るとともに、バンドルの高さがピンの他の部分上を通過することにより増加することが防止される。
【0056】
図2、
図4および
図10に示すように、電源ピン33、34は、それらのそれぞれの導電性セグメント33A、34Aが接続ピン32の導電性セグメント32A、32Bを備える同一のスロットの層に隣接する層に配置されるように、スロットに配置される。換言すれば、スロットEにおいて第2層C2を占める接続ピン32の各導電性セグメントについて、電源ピン33の導電性セグメント33Aが前記スロットEにおいて第1層C1を占めるように設けられる。同様に、スロットE+Pにおいて第3層C3を占める接続ピン32の各導電性セグメントについて、電源ピン34の導電性セグメント34Aが、前記スロットEに対してステップPだけ距離を空けた前記スロットE+Pにおいて第4層C4を占めるように設けられる。したがって、電源ピン33、34は、同一の相の接続ピン32であって、その導電性セグメント32A、32Bが中央層に配置された接続ピン32を囲むように縁部層に配置される。
【0057】
特に
図2に示すように、各接続ピン32は、一対の電源ピン33、34に関連付けられることが理解される。したがって、6個の相を備える電気巻線24は、6個の第1電源ピン33と、6個の第2電源ピン34と、6個の接続ピン32とを含む6対の電源ピン33も備える。第1グループの導電性ピン30の個数と同じ個数の第2グループの導電性ピン3が存在することを念頭に置きつつ、導電性ピン30、31の個数は、ステータのスロットの個数、ひいては所望の回転電気機械の用途、特に所望の性能および利用可能なスペースに依存することが理解される。
【0058】
電源ピン33、34の自由端部33G、34Gは、対応する相の電流入力および/または電流出力を形成する。より具体的には、ある相について、電源ピンの一方の自由端部33G、34Gは、図示しない電力および/または制御モジュールに特に含まれる電流源に、直接的にまたは相互接続装置を介して接続される。一方、他方の電源ピンの自由端部33G、34Gは、電気的結合をなすように、巻線の別の相の電源ピンの自由端部33G、34Gに、直接的にまたは相互接続装置を介して接続される。
【0059】
図10は、上記の説明に従った巻線の一部の概略図を示す。説明を解釈しやすくするためにスロットの個数は限定されているが、当業者は以下の説明を容易に敷衍して、ステータの他のスロットも導電性セグメントの積層体を備えた、完全な巻線を製造できることが理解される。さらに説明の解釈のしやすさを目的として、同一の相のピンは太字で示し、他の相のピンは透かして示している。
【0060】
より具体的には、
図10に示す電気回路について、電流は、第1配向方向において、第1軸方向端面29aの側に示される相の電流の入力を形成する第1電源ピン34の第1自由端部34Gを介して巻線24に導入される。電流の流路をナンバリングされた矢印Fiを介してより詳細に説明する。この目的は、電流が積層された導電性セグメントを通過して任意のスロットで同一の方向に流れ、そこからステップPまたは-Pだけ間隔を空けたスロットでは反対方向に流れるという事実を示すことである。スロットE+Pは、第1配向方向においてスロットEから所定のステップPだけ離間していることに留意されたい。極毎および相毎に1つのスロットを有する二重三相電気巻線の本例において、ステップPは、スロットEとスロットE+Pとの間に5つのスロットを挿入することに相当する。
【0061】
電流は、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに、スロットEに収容された導電性セグメント34Aを通過して流れる(矢印F1)。このスロットEにおいて第4層C4の一部を形成するように配置されたこの導電性セグメント34Aは、第2軸方向端面29b側のその自由端部34Fに、それ自体で折り返された形状であって、この層において代わる第1グループのピンである導電性ピン30の導電性セグメント30Fと同様の形状を有している。
【0062】
電源ピンの自由端部34Fは、ステータの第2軸方向端面29bにおいて、第2グループのピンである導電性ピン31の自由端部31Fに接続されており、その導電性セグメントのうちの1つが、スロットE-Pにおいて第3層C3を占めている。2つの自由端部34F、31Fは、特に径方向において隣り合って配置されているとともに、接点35において電気的に接続されて電流が各スロットにおいて同一の方向に導電性セグメントを通過して流れ得るようになっている。この接点は、溶接により製造され得る。電流の流れ方向は、導電性ピンに重ねた矢印で示されている。この結果、電流は、矢印F2で示すように、第2軸方向端面29bから第1軸方向端面29aに、スロットE-Pの第3層C3における導電性セグメント31Bを介して流れるようにされる。
【0063】
スロットE-Pにおいて第3層C3を占める導電性セグメント31Bは、第2グループのピンに属する導電性ピン31の一部を形成している。これにより、この導電性セグメントは、第1軸方向端面29aにおいて、エルボージョイント31Cにより、導電性セグメント31Aに延びている。導電性セグメント31Aは、第1配向方向とは反対の方向において、スロットE-Pに対してスペースPだけ離間したスロットE-2Pにおいて第1層C1を占めている。したがって、電流は、矢印F4で示すように、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに、スロットE-2Pの第1層C1における導電性セグメント31Aを介して流れるようにされる。
【0064】
任意の相について、ピンは、ステータの外周全体の周囲に連続的に連結されており、
図10の説明を解釈しやすくするため、電流が実質的にステータを一周した後、
図10におけるスロットE+PとスロットE+2Pとの間に配置された実線において、上述の説明が続くものとする。
【0065】
この段階において、巻線の連続性は、スロットE+2Pにおいて第1層C1を占める導電性セグメント31Aの自由端部31Fを、スロットE+Pにおいて第2層C2を占める導電性セグメント30Aの自由端部30Fに接続することにより達成されている。前記端部31F、30Fは、径方向において並んで配置されるとともに、第2軸方向端面29bにおいて接点35により電気的に接続されている。
【0066】
こうして、電流は、第1配向方向においてループに追従するようにされるとともに、矢印F3で示すように、スロットE+Pの第2層C2において、第1グループのピンである導電性ピン30の導電性セグメント30Aを介して、第2軸方向端面29bから第1軸方向端面29aに向かって流れ、次いで、前記導電性ピン30のエルボージョイント30Cに流れ、そして、スロットE+2Pの第4層C4において、前記導電性ピン30の導電性セグメント30Bを介して、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに向かって流れるようにされる。上記から、スロットE+2Pにおいて、第1層C1および第4層C4に流れる電流は、両者とも同一の方向に流れることが分かる。
【0067】
次いで、電流は、第1配向方向とは反対の方向において、接点35を介してスロットE+Pの第3層C3に収容された導電性セグメント31Bに、次いでエルボージョイント30Cを介してスロットEの第1層C1における同一の導電性ピン31の導電性セグメント31Aに連続的に流れる。
【0068】
この段階において、電流は、接点35に続いて、スロットEの第2層C2において、接続ピン32の導電性セグメント32Aを介して、第2軸方向端面29bから第1軸方向端面29aに向かって第1配向方向に流れ、次いで、エルボージョイント32Cに続いて、スロットE+Pの第3層C3において、前記接続ピン32の導電性セグメント32Bを介して、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに向かって流れるようにされる。
【0069】
巻線の連続性は、上述の内容にしたがって、導電性ピンの一部を形成するエルボージョイントの側において、第1層C1の導電性セグメントから第3層C3に、および第4層C4から第2層C2に移行することにより、かつ、第2軸方向端面29bにおいて、接点35、特に溶接部を介して、第2層C2から第1層C1に、および第3層C3から第4層C4に移行することにより達成される。これにより、各スロットにおける同一の方向の電流の流れが達成される。
【0070】
次いで、電流は、上述の内容にしたがって、第1層C1においてスロットE-Pに流れるまで、一方の導電性ピンから他方の導電性ピンへと流れるようにされる。スロットE-P内には、電源ピン33の導電性セグメント33Aが配置され、その自由端部33Gを介して図示の相の電流出力が形成されている。
【0071】
本発明は、特にオルタネータ、スタータ-オルタネータ、電気モータ、または可逆機械の分野に適用され得るが、あらゆるタイプの回転機械にも適用され得る。
【0072】
当然ながら、上述の説明は、例示のみを目的としてなされたものであり、本発明の範囲を限定しない。種々の要素を他の同等品に代えても、前記範囲からの逸脱にはならない。
【国際調査報告】