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▶ フイルメニツヒ ソシエテ アノニムの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(54)【発明の名称】濃縮フレーバー組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220825BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20220825BHJP
【FI】
A23L27/00 C
A23L27/00 D
A23L27/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577568
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2020068032
(87)【国際公開番号】W WO2020260587
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/093704
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】19187026.0
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロン チェン
(72)【発明者】
【氏名】カ ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ユー
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LF02
4B047LF05
4B047LF07
4B047LF09
4B047LG05
4B047LG06
4B047LG07
4B047LG08
4B047LG09
4B047LG63
4B047LP01
4B047LP07
4B047LP20
(57)【要約】
本発明は、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスによってフレーバー組成物を処理するステップを含む、フレーバー組成物から水及びエタノールを低減する又は除去することによって、脱水及び脱アルコールされたフレーバー組成物を調製するための方法、並びにこの方法によって得られるフレーバー組成物、それらを含むフレーバー付与した消費者製品、並びにそれらの方法及び使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水プロセス及び脱アルコールプロセスによってフレーバー組成物を処理するステップを含む、フレーバー組成物から水及びエタノールを低減又は除去することによって、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物を製造するための方法。
【請求項2】
フレーバー組成物が溶液又は分散液の形であり、好ましくはフレーバー組成物が溶液の形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フレーバー組成物が、フレーバー組成物の合計量に対して、5~95質量%、好ましくは40~90質量%、より好ましくは50~80質量%の量でエタノールを、及び5~95質量%、好ましくは10~40質量%、より好ましくは20~30質量%の量で水を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
フレーバー組成物が、脱アルコールプロセスの生成物であり、好ましくはフレーバー組成物が、脱アルコールプロセスの副流生成物であり、より好ましくは、フレーバー組成物が、飲料産業からの脱アルコールプロセスの副流生成物である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
フレーバー組成物が、逆浸透プロセスによって得られる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
脱水プロセスが、吸着プロセス又はパーベーパレーションプロセス、好ましくはパーベーパレーションプロセスである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
脱水プロセスを親水性膜を使用して実施し、好ましくは吸着プロセスを有機材料又は無機材料、好ましくは無機材料を含む膜を使用して実施し、より好ましくは膜がゼオライトを含み、さらにより好ましくはゼオライトがNaAゼオライトである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
脱アルコールプロセスが、蒸留プロセス、好ましくは真空蒸留プロセスである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
フレーバー組成物からの水及びアルコールの量が、フレーバー組成物中で少なくとも2分の1に、より好ましくは少なくとも20分の1に、より好ましくは少なくとも40分の1に、さらにより好ましくは少なくとも60分の1に、最も好ましくは少なくとも70分の1に低減される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項において定義した方法により得られるフレーバー組成物。
【請求項11】
請求項10において定義した組成物を含む、フレーバー付与した消費者製品。
【請求項12】
フレーバー付与した消費者製品が、焼き菓子、乳製品ベースの製品、乳製品の類似製品、油脂又は油脂エマルションをベースとした製品、乳製品、デザート、チョコレート及びコンパウンドコーティング、シリアル製品、菓子、及び糖の非アルコール飲料、アルコール飲料又はインスタント飲料をベースとした製品である、請求項11に記載のフレーバー付与した消費者製品。
【請求項13】
フレーバー付与した消費者製品が、パン、ドライビスケット、ケーキ、ライスケーキ、ライスクラッカー、クッキー、クラッカー、ドーナツ、マフィン、ペストリー、フルーツヨーグルト又はフレーバー付与したヨーグルト、アイスクリーム、フルーツアイス、冷凍デザート、スプレッド、通常の又は低脂肪マーガリン、バター/マーガリンブレンド、フレーバー付与したオイル、ショートニング、ドレッシング、スパイス調製物、ピーナッツバター、フレッシュチーズ、ソフトチーズ、ミルクドリンク、ホエイ、バター、部分的又は全体的に加水分解した乳タンパク質含有製品、発酵乳製品、コンデンスミルク及び類似の製品、ゼラチン、プリン、デザートクリーム、チョコレート、スプレッド、菓子、フィリング及びクーベルチュール製品、糖ベースの製品、水性飲料、強化された/わずかに甘味のある水飲料、フレーバー付与した炭酸水、スティルミネラルウォーター、卓上ミネラルウォーター、炭酸ソフトドリンク、非炭酸飲料、炭酸水、スティルウォーター、ソフト、ボトル入りの水、スポーツ/エネルギードリンク、ジュースドリンク、野菜ジュース、野菜ジュース調製物、ビール及びモルト飲料、アルコール性飲料、ワイン、酒、インスタント野菜ドリンク、粉末ソフトドリンク、インスタントコーヒー及びインスタントティー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ハーブ浸出液、カカオ、茶ベースのドリンク、コーヒーベースのドリンク、カカオベースのドリンク、浸出液、シロップ、冷凍フルーツ、冷凍フルーツジュース、水ベースのアイス、フルーツアイス、ソルベ、朝食用シリアル、シリアルバー、エネルギーバー/栄養バー、グラノーラ、調理加工済み米製品、米粉製品、キビ及びモロコシ製品、生又は調理済みの麺及びパスタ製品である、請求項11又は12に記載のフレーバー付与した消費者製品。
【請求項14】
以下のステップ、
(a)食品キャリヤーもしくはベース又は飲料キャリヤーもしくはベースをそれぞれ準備するステップ、
(b)食品キャリヤーもしくはベース又は飲料キャリヤーもしくはベースに、請求項1から9までのいずれか1項において定義した方法により得られるフレーバー組成物をそれぞれ添加するステップ
を含む、フレーバー付与した食品又は飲料製品を製造する方法。
【請求項15】
フレーバー付与した食品又は飲料製品を製造するための、請求項1から9までのいずれか1項において定義した方法により得られるフレーバー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスによってフレーバー組成物を処理するステップを含む、フレーバー組成物から水及びエタノールを低減又は除去することによって、脱水及び脱アルコールされたフレーバー組成物を調製するための方法、並びにこの方法によって得られるフレーバー組成物、それらを含むフレーバー付与した消費者製品、並びにそれらの方法及び使用に関する。
【0002】
背景技術
水及びエタノールは、例えば飲料産業において例えばビール、酒などを調製する間の製造プロセスによって、又は特定のフレーバー化合物を得る又は濃縮するための天然資源、例えば植物からフレーバーをエタノール抽出することによって、フレーバー付与した製品又は組成物中に存在しうる。フレーバー付与した製品又は組成物から水及び/又はエタノールを低減又は除去することが好ましく、それというのもエタノールを低減させて得られたフレーバー付与した製品又は組成物が、健康の観点から望ましく、及び/又はフレーバー付与した製品又は組成物内のフレーバー化合物による濃縮が、官能的観点から望まれうるからである。
【0003】
国際公開第2008/099325号(WO 2008/099325)は、元の飲料からパーベーパレーションを使用してアロマを抽出し、その後、抽出したアロマを完全又は部分的な脱アルコール後の飲料へ添加することによって、飲料、例えばビール及びワインのアロマのプロフィールを濃縮するプロセスを記載している。
【0004】
しかしながら、先行技術は、本発明によるプロセスを開示または示唆していない。
【0005】
本発明の1つの目的は、フレーバー組成物中に存在する揮発性アロマ化合物の損失を回避しながら、フレーバー組成物中のフレーバー化合物を濃縮するために、フレーバー組成物からエタノール及び水を低減又は好ましくは除去する方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、水とエタノールとを含む当初のフレーバー組成物のフレーバー化合物の割合を含み、及び/又は食品組成物及び製品並びに飲料組成物及び製品にフレーバー付与するためのフレーバー組成物である。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスによってフレーバー組成物を処理するステップを含む、フレーバー組成物から水及びエタノールを低減又は除去することによって、脱水及び脱アルコールされたフレーバー組成物を調製するための方法、並びにこの方法によって得られるフレーバー組成物、それらを含むフレーバー付与した消費者製品、並びにそれらの方法及び使用に関する。言い換えれば、本発明は、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスによってフレーバー組成物を処理するステップを含む、フレーバー組成物から水及びエタノールを低減又は除去することによって、フレーバー組成物におけるフレーバー付与成分量を濃縮するための方法に関する。
【0008】
「フレーバー付与成分」、「フレーバー化合物」又はその類似する語句に関しては、ここでは、心地よい効果を付与するためのフレーバー付与もしくは付香調製物又は組成物において使用される化合物を意味する。言い換えれば、フレーバー付与成分又は付香成分であると考えられるべきかかる成分は、ポジティブな又は好ましい方法で組成物の味又はにおいを付与又は改質することができ、かつ単に1つの味又はにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。
【0009】
フレーバー組成物は、水、エタノール及びフレーバー付与成分を含む。
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、溶液又は分散液の形である。好ましくは、フレーバー組成物は、溶液の形である。
【0010】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、フレーバー組成物の全量に対して、5~95質量%、好ましくは40~90質量%、より好ましくは50~80質量%の量でエタノールを含む。それにより、フレーバー組成物は、フレーバー組成物の全量に対して、少なくとも5質量%、少なくとも40質量%及び少なくとも50質量%、及び/又は95質量%以下、90質量%以下、及び80質量%以下の量でエタノールを含む。
【0011】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、フレーバー組成物の全量に対して、5~95質量%、好ましくは10~40質量%、より好ましくは20~30質量%の量で水を含む。この結果、フレーバー組成物は、フレーバー組成物の全量に対して、少なくとも5質量%、少なくとも10質量%及び少なくとも20質量%、及び/又は95質量%以下、90質量%以下、及び80質量%以下の量で水を含む。
【0012】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、フレーバー組成物の全量に対して、5~95質量%、好ましくは40~90質量%、より好ましくは50~80質量%の量でエタノールを、及び5~95質量%、好ましくは10~40質量%、より好ましくは20~30質量%の量で水を含む。この結果、フレーバー組成物は、フレーバー組成物の全量に対して、少なくとも5質量%、少なくとも40質量%及び少なくとも50質量%及び/又は95質量%以下、90質量%以下、及び80質量%以下の量でエタノールを、及び少なくとも5質量%、少なくとも10質量%及び少なくとも20質量%及び/又は95質量%以下、90質量%以下及び80質量%以下の量で水を含む。
【0013】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、脱アルコールプロセス又は発酵プロセスからの生成物又は蒸留における生成物である。それにより、フレーバー組成物は、エタノール生成物、中間生成物及び/又は副流生成物であってよいことが理解される。
【0014】
アルコール生成物は、脱アルコールプロセス、発酵プロセス、又は蒸留所において、好ましくは飲料又は食品産業において、出発物質と比較して増加したエタノール含有量を有する所望の最終生成物として理解される。中間製品は、飲料又は食品産業自体において使用できないが、飲料又は食品産業の追加プロセスによってさらに処理されなければならない、脱アルコールプロセス又は発酵プロセスの製品として、又は蒸留所、好ましくは飲料又は食品産業における製品として理解される。中間生成物は、脱アルコールプロセスからの出発物質と比較して、増加又は減少したエタノール含有量を含みうる。
【0015】
脱アルコールプロセスからの副流生成物は、非局在化プロセス、好ましくは飲料又は食品産業において、脱アルコールプロセスからの出発物質と比較してエタノール含有量が減少した望ましくない生成物として理解される。特定の実施形態において、フレーバー組成物は、脱アルコールプロセスの副流生成物である。
【0016】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、飲料又は食品産業における脱アルコールプロセスからの副流生成物である。
【0017】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、飲料産業における脱アルコールプロセスからの副流生成物、例えばノンアルコールビール又はアルコールフリービール(すなわち、1.0質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、又はより好ましくは0.1質量%未満のエタノール含有量を有するビール)又は低アルコールビール(すなわち4質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1.0質量%未満のエタノール含有量を有するビール)の製造における脱アルコールプロセスにおける副流生成物である。
【0018】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、逆浸透プロセス、スピニングコーンカラムプロセスもしくは蒸留プロセスにより、又は発酵プロセスにより、又は蒸留所で得られる。
【0019】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、逆浸透プロセス、スピニングコーンカラムプロセス又は蒸留プロセスによって、エタノール生成物、中間生成物又は副流生成物として、好ましくは副流生成物として得られる。
【0020】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、逆浸透プロセスによって、エタノール生成物、中間生成物又は副流生成物として、好ましくは副流生成物として得られる。
【0021】
逆浸透は、浸透圧よりも高い静水圧にさらされた場合に、溶媒が自然浸透の方向とは反対の方向に多孔質膜を通過するプロセスとして理解される。
【0022】
特定の実施形態において、脱水プロセスは、吸着プロセス、パーベーパレーションプロセス又は正浸透プロセスである。好ましくは、脱水プロセスは、パーベーパレーションプロセスである。
【0023】
パーベーパレーション又はパーベーパレーションプロセスは、非多孔質膜又は多孔質膜を介した部分気化によって液体の混合物を分離するための処理方法と理解される。
【0024】
特定の実施形態において、脱水プロセス、好ましくはパーベーパレーションプロセスは、膜、好ましくは親水性膜を使用して実施される。
【0025】
親水性膜に関しては、膜を解して水を移動又は輸送でき、同時に、親水性の低い化合物及び疎水性化合物の移動又は輸送を妨げることができる膜と理解される。
【0026】
特定の実施形態において、親水性膜は、多孔質の親水性膜である。
【0027】
特定の実施形態において、親水性膜は、0.20~0.50nmの範囲、好ましくは0.23~0.42nmの範囲、より好ましくは0.30~0.42nmの範囲の細孔直径を有する。
【0028】
特定の実施形態において、脱水プロセス、好ましくはパーベーパレーションプロセスは、有機金属又は無機金属を含む膜、好ましくは親水性膜を使用して実施される。膜、好ましくは親水性膜のために適した無機材料の制限のない例は、ゼオライトから構成され、かつ膜、好ましくは親水性膜のために適した有機材料の制限のない例は、ポリビニルアルコール(PVA)、キトサン、セルロース又はその誘導体、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリ(1-(トリメチルシリル)-1-プロピン)(PTMSP)、ポリ(スチレンブタジエンスチレン)(SBS)又はそれらの混合物を含む。膜の選択は、フレーバー組成物の組成、特にフレーバー組成物に含まれる水の量の作用であり、当業者は、脱水プロセスを最適化するためにそれぞれの場合に最も適した膜を十分に選択することができる。
【0029】
特定の実施形態において、膜、好ましくは親水性膜は、無機材料を含む。
【0030】
特定の実施形態において、親水性膜は、ゼオライトを含む。
【0031】
ゼオライトは、分子寸法を有する細孔及び空洞のネットワークを生じる三次元四面体ユニットのオープンフレームワーク構造を有する結晶性マイクロ細孔アルミノシリケートである。
【0032】
特定の実施形態において、ゼオライトは、0.20~0.50nmの範囲、好ましくは0.23~0.42nmの範囲、より好ましくは0.30~0.42nmの範囲の細孔直径を有する。
【0033】
特定の実施形態において、親水性膜は、NaAゼオライトを含む。
【0034】
NaAゼオライトは、Na+型、Na12Al12Si1248≦27H2Oで通常合成される非常に小さい細孔を有する合成ゼオライトとして理解され、かつ三次元細孔構造を有する。
【0035】
特定の実施形態において、NaAは、0.20~0.50nmの範囲、好ましくは0.23~0.42nmの範囲、より好ましくは0.30~0.42nmの範囲の細孔直径を有する。
【0036】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、脱水プロセス、好ましくはパーベーパレーションプロセスに供する前に加熱される。
【0037】
特定の実施形態において、フレーバー組成物は、25~100℃、好ましくは40~100℃、より好ましくは60~100℃の温度に加熱される。
【0038】
他の特定の実施形態において、フレーバー組成物は、25~100℃、好ましくは30~80℃、より好ましくは35~70℃の温度に加熱される。
【0039】
それにもかかわらず、当技術分野の当業者は、このプロセスステップにおいて使用するために適した温度を十分に認識している。
【0040】
特定の実施形態において、脱水画分は、全脱水画分に対して、50質量%未満、40質量%未満、25質量%未満、5質量%未満、1質量%未満の水を含む。
【0041】
特定の実施形態において、脱水画分は、フレーバー組成物のフレーバー化合物及び/又はエタノールを含み、すなわち、全脱水画分の全質量に対して、フレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも50質量%、フレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも60質量%、フレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも75質量%、及びフレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも95質量%を含む。
【0042】
特定の実施形態において、水和物画分は、フレーバー組成物の水を含み、すなわち、全水和物画分に対して、少なくとも50質量%の水、少なくとも60質量%の水、少なくとも75質量%の水、少なくとも95質量%の水を含む。
【0043】
特定の実施形態において、脱水プロセス、好ましくはパーベーパレーションプロセスは、全水和物画分に対して、少量の水、例えば50質量%未満、40質量%未満、25質量%未満、5質量%未満、1質量%未満の水を含み、かつ全水和物画分に対して、多量の水、例えば少なくとも50質量%を超える水、少なくとも60質量%の水、少なくとも75質量%の水、少なくとも95質量%の水を含む水和物画分をもたらす。
【0044】
特定の実施形態において、脱水画分は、フレーバー組成物のフレーバー化合物及び/又はエタノールを含み、すなわち、全フレーバー組成物の全質量に対して、フレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも50%、フレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも60%、フレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも75%、及びフレーバー化合物及び/又はエタノールの少なくとも95%を含む。
【0045】
特定の実施形態において、脱水画分は、全フレーバー組成物に対して、50質量%未満、40質量%未満、25質量%未満、5質量%未満、2質量%未満の水を含む。
【0046】
特定の実施形態において、水和物画分は、フレーバー組成物の水を含み、すなわち、全フレーバー組成物に対して、少なくとも50%の水、少なくとも60%の水、少なくとも75%の水、少なくとも95%の水を含む。
【0047】
脱水プロセスがパーベーパレーションプロセスによって行われる場合に、パーベーパレーションモジュールの水和物側は大気圧以下の圧力下にある。
【0048】
特定の実施形態において、パーベーパレーションモジュールの水和物側は、1mbar~500mbar、好ましくは1~200mbarの範囲の大気圧未満の圧力を有する。当業者は、このプロセスステップにおいて適した圧力を選択する方法について周知である。
【0049】
特定の実施形態において、脱アルコール化プロセスは、蒸留プロセス、好ましくは真空蒸留プロセスである。
【0050】
これにより、脱水工程からの脱水画分に含まれるエタノールが除去され、その結果フレーバー化合物が脱水画分に残り、それにより脱アルコール画分が形成され、エタノールが脱水画分からアルコール画分に移動することが理解される。
【0051】
特定の実施形態において、脱アルコール化プロセス、好ましくは蒸留プロセスは、25~100℃、好ましくは30~100℃の温度で実施される。
【0052】
特定の実施形態において、脱アルコール化プロセス、好ましくは蒸留プロセスは、1mbar~1bar、好ましくは50mbar~500mbarの圧力で実施される。
【0053】
好ましくは、脱アルコールプロセス、好ましくは真空蒸留プロセスは、大気圧未満の圧力で、好ましくは1~500mbarの範囲で、好ましくは50~500mbarで実施される。
【0054】
特定の実施形態において、脱アルコール画分は、全脱アルコール画分に対して、90質量%未満、85質量%未満、80質量%未満、75質量%未満、70質量%未満、65質量%未満、60質量%未満、55質量%未満、50質量%未満、45質量%未満、40質量%未満、質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満のエタノールを含む。
【0055】
特定の実施形態において、脱アルコール画分は、フレーバー組成物のフレーバー化合物を含み、すなわち、全脱アルコール画分の全質量に対して、フレーバー化合物の少なくとも5質量%、フレーバー化合物の少なくとも15質量%、フレーバー化合物の少なくとも25質量%、及びフレーバー化合物の少なくとも35質量%を含む。
【0056】
特定の実施形態において、アルコール画分は、フレーバー組成物からのエタノールを含み、すなわち、全アルコール画分に対して、少なくとも50質量%のエタノール、少なくとも60質量%のエタノール、少なくとも75質量%のエタノール、少なくとも95質量%のエタノールを含む。
【0057】
特定の実施形態において、脱アルコールプロセス、好ましくは蒸留プロセスは、少量のエタノール、例えば全脱アルコール画分に対して、90質量%未満、85質量%未満、80質量%未満、75質量%未満、70質量%未満、65質量%未満、60質量%未満、55質量%未満、50質量%未満、45質量%未満、40質量%未満、質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満のエタノールを含む脱アルコール画分、及び多量のエタノール、例えば全アルコール画分に対して、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも75質量%、少なくとも95質量%のアルコール画分をもたらす。
【0058】
特定の実施形態において、脱アルコール画分は、フレーバー組成物のフレーバー化合物を含み、すなわち、全フレーバー組成物に対して、フレーバー化合物の少なくとも5%、フレーバー化合物の少なくとも15%、フレーバー化合物の少なくとも25%、及びフレーバー化合物の少なくとも35%を含む。
【0059】
特定の実施形態において、脱アルコール画分は、フレーバー組成物に対して、90質量%未満、85質量%未満、80質量%未満、75質量%未満、70質量%未満、65質量%未満、60質量%未満、55質量%未満、50質量%未満、45質量%未満、40質量%未満、質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満のエタノールを含む。
【0060】
特定の実施形態において、アルコール画分は、フレーバー組成物からのエタノールを含み、すなわち、全フレーバー組成物に対して、少なくとも50%のエタノール、少なくとも60%のエタノール、少なくとも75%のエタノール、少なくとも95%のエタノールを含む。
【0061】
特定の実施形態において、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスによるフレーバー組成物の処理は、脱水及び脱アルコールフレーバー組成物をもたらし、その際、脱水及び脱アルコールフレーバー組成物は、フレーバー組成物と比較して、前記フレーバーに富む。
【0062】
これにより、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物は、フレーバー組成物と比較して、同一のフレーバー化合物を含むが、全フレーバー組成物に対してより高い質量パーセントを有することが理解される。
【0063】
特定の実施形態において、フレーバー組成物からの水及びエタノールの量は、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物と比較して、前記フレーバー化合物が少なくとも1.5分の1に、より好ましくは少なくとも20分の1に、より好ましくは少なくとも40分の1に、さらにより好ましくは少なくとも60分の1に、最も好ましくは少なくとも70分の1に減少する。
【0064】
言い換えれば、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物は、前記フレーバー化合物が少なくとも1.5倍に、より好ましくは少なくとも20倍に、より好ましくは少なくとも40倍に、さらにより好ましくは少なくとも60倍に、最も好ましくは少なくとも70倍に濃縮される。それにより、フレーバー化合物の少なくとも3つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは少なくとも7つは、フレーバー組成物と比較して、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物において前記の係数で濃縮されなければならない、すなわち、参照物は、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物の中で最も濃縮率が低いフレーバー化合物であることが理解される。
【0065】
特定の実施形態において、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物は、フレーバー組成物として、フレーバー化合物相互に関して、同じ比率のフレーバー化合物を含む。これにより、主要な2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つのフレーバー化合物相互の比率は、脱水及び脱アルコールしたフレーバー組成物と比較して、フレーバー組成物から変化しないことが理解される。
【0066】
特定の実施形態において、フレーバー化合物は、1-プロパノール、イソブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、エチルオクタノエート、リナロール、エチルデカノエート、フェニルエチルアセテート、オクタン酸、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、ドデカン酸、3-メチルブチルアセテート、エチルヘキサノエート、エチルオクタノエート、エチルドデカノエート、ヘキシルアセテート、3-メチルブチルブタノエート、3-メチルブチルヘキサノエート、3-メチルブチルオクタノエート、3-メチルブチルデカノエート、プロピルヘキサノエート、プロピルオクタノエート、プロピルデカノエート、ヘキシルヘキサノエート、ヘキシルオクタノエート、イソブチルヘキサノエート、イソブチルデカノエート、ジイソペンチルカーボネート、1-ヘキサノール、1-ブタノール、酢酸、ヘキサン酸、乳酸、2-フェニルエタノール、ジエチルフタレート及び/又は3-ヒドロキシ-2-ブタノンである。
【0067】
特定の実施形態において、フレーバー化合物は、1-プロパノール、イソブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、エチルオクタノエート、リナロール、エチルデカノエート、フェニルエチルアセテート、オクタン酸、2-メチルオキシ-4-ビニルフェノール及び/又はデカン酸である。
【0068】
特定の実施形態において、1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノールの割合は、1:2.5~8、好ましくは1:3~6.5、より好ましくは3.5~6の範囲である。
【0069】
特定の実施形態において、1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノール:イソブタノールの割合は、1:2.5~8.0:0.2~1.0、好ましくは1:3.0~6.5:0.35~0.9、より好ましくは1:3.5~6.0:0.4~0.75の範囲である。
【0070】
特定の実施形態において、フレーバー化合物は、3-メチルブチルアセテート、エチルヘキサノエート、エチルオクタノエート、エチルデカノエート、ヘキシルアセテート、3-メチルブチルブタノエート、3-メチルブチルヘキサノエート、3-メチルブチルオクタノエート、3-メチルブチルデカノエート、プロピルヘキサノエート、プロピルオクタノエート、プロピルデカノエート、ヘキシルヘキサノエート、ヘキシルオクタノエート、イソブチルヘキサノエート、イソブチルデカノエート、ジイソペンチルカーボネート、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、1-プロパノール、1-ヘキサノール、イソブタノール、1-ブタノール、酢酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ドデカン酸、乳酸、2-フェニルエタノール、フェニルエチルアセテート、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、ジエチルフタレート及び/又は3-ヒドロキシ-2-ブタノンである。
【0071】
特定の実施形態において、1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノールの割合は、1:2.5~16、好ましくは1:3~13、より好ましくは3.5~10である。
【0072】
特定の実施形態において、1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノール:3-メチルブチルアセテートの割合は、1:2.5~16:0.2~6、好ましくは1:3.0~13:1~5、より好ましくは1:3.5~10:1.2~4.8の範囲である。
【0073】
特定の実施形態において、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスは、連続する2つのプロセスによって実施される。
【0074】
それにより、第1のステップとして、フレーバー組成物の脱水プロセス、好ましくはパーベーパレーションプロセスを実施し、続く第2のステップとして、脱水プロセスからの脱水画分の脱アルコール、好ましくは蒸留を、2つのプロセス間で追加のプロセスなしに実施することが理解される。
【0075】
特定の実施形態において、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスは、連続する2つのプロセスによって実施され、1つの生産ラインに含まれている。
【0076】
これにより、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスは、互いに間隔を置いて配置されているが、同時に互いに流体で接続されていることが理解される。
【0077】
特定の実施形態において、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスは、連続する2つのプロセスによって実施され、飲料産業からの先行する脱アルコールプロセスと流体で接続された1つの生産ラインに含まれている。
【0078】
代替的な実施形態において、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスは、1つの単一のプロセスで実施される。
【0079】
これにより、フレーバー組成物の脱水プロセス及び脱アルコールプロセスが1つの単一プロセスで実施されることが理解される。これは、例えば、フレーバー組成物から水及びエタノールの双方を低減又は除去することができる特定の親水性膜を選択することによって実施できる。
【0080】
特定の実施形態において、脱水プロセス及び脱アルコールプロセスは、1つの単一プロセスで実施され、飲料産業からの先行する脱アルコールプロセスと流体で接続された1つの生産ラインに含まれている。
【0081】
本発明は、上記で定義した方法によって得られるフレーバー組成物にも関する。
【0082】
特定の実施形態において、本発明による方法によって得られるフレーバー組成物は、少量の水、例えば全フレーバー組成物に対して、50質量%未満、40質量%未満、25質量%未満、5質量%未満、1質量%未満の水を含む。
【0083】
特定の実施形態において、本発明による方法によって得られるフレーバー組成物は、少量のエタノール、例えば全フレーバー組成物に対して、90質量%未満、85質量%未満、80質量%未満、75質量%未満、70質量%未満、65質量%未満、60質量%未満、55質量%未満、50質量%未満、45質量%未満、40質量%未満、質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満のエタノールを含む。
【0084】
特定の実施形態において、本発明による方法によって得られるフレーバー組成物は、多量のフレーバー化合物、例えば全フレーバー組成物に対して、少なくとも5質量%のフレーバー化合物、少なくとも15質量%のフレーバー化合物、少なくとも25質量%のフレーバー化合物及び少なくとも35質量%のフレーバー化合物を含む。
【0085】
特定の実施形態において、本発明による方法によって得られるフレーバー組成物は、1-プロパノール、イソブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、エチルオクタノエート、リナロール、エチルデカノエート、フェニルエチルアセテート、オクタン酸、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、ドデカン酸、3-メチルブチルアセテート、エチルヘキサノエート、エチルオクタノエート、エチルドデカノエート、ヘキシルアセテート、3-メチルブチルブタノエート、3-メチルブチルヘキサノエート、3-メチルブチルオクタノエート、3-メチルブチルデカノエート、プロピルヘキサノエート、プロピルオクタノエート、プロピルデカノエート、ヘキシルヘキサノエート、ヘキシルオクタノエート、イソブチルヘキサノエート、イソブチルデカノエート、ジイソペンチルカーボネート、1-ヘキサノール、1-ブタノール、酢酸、ヘキサン酸、乳酸、2-フェニルエタノール、ジエチルフタレート及び/又は3-ヒドロキシ-2-ブタノンからなる群から選択されるフレーバー化合物の少なくとも1つを含む。
【0086】
特定の実施形態において、本発明による方法によって得られるフレーバー組成物は、1-プロパノール、イソブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、エチルオクタノエート、リナロール、エチルデカノエート、フェニルエチルアセテート、オクタン酸、2-メチルオキシ-4-ビニルフェノール及び/又はデカン酸フレーバー化合物の少なくとも1つを含む。
【0087】
好ましくは、本発明によって得られるフレーバー組成物は、前記フレーバー化合物の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも7つ及び少なくとも9つを含む。特に好ましい実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、前記レーバー化合物の全てを含む。
【0088】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも2.5質量%、好ましくは少なくとも3質量%及びより好ましくは4質量%の1-プロパノールを含む。
【0089】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも1.5質量%及びより好ましくは少なくとも2質量%のイソブタノールを含む。
【0090】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも12.5質量%及びより好ましくは少なくとも15質量%の2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノールを含む。
【0091】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%のエチルオクタノエートを含む。
【0092】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%のリナロールを含む。
【0093】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%のデカノエートを含む。
【0094】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%のフェニルエチルアセテートを含む。
【0095】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%のオクタン酸を含む。
【0096】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%の2-メトキシ-4-ビニルフェノールを含む。
【0097】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、全フレーバー組成物に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%及びより好ましくは少なくとも0.02質量%のデカン酸を含む。
【0098】
特定の実施形態において、フレーバー化合物の1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノールの割合は、1:2.5~8、好ましくは1:3~6.5、より好ましくは3.5~6である。
【0099】
特定の実施形態において、フレーバー化合物の1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノール:イソブタノールの割合は、1:2.5~8.0:0.2~1.0、好ましくは1:3.0~6.5:0.35~0.9、より好ましくは1:3.5~6.0:0.4~0.75の範囲である。
【0100】
特定の実施形態において、本発明によって得られるフレーバー組成物は、3-メチルブチルアセテート、エチルヘキサノエート、エチルオクタノエート、エチルデカノエート、ヘキシルアセテート、3-メチルブチルブタノエート、3-メチルブチルヘキサノエート、3-メチルブチルオクタノエート、3-メチルブチルデカノエート、プロピルヘキサノエート、プロピルオクタノエート、プロピルデカノエート、ヘキシルヘキサノエート、ヘキシルオクタノエート、イソブチルヘキサノエート、イソブチルデカノエート、ジイソペンチルカーボネート、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、1-プロパノール、1-ヘキサノール、イソブタノール、1-ブタノール、酢酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ドデカン酸、乳酸、2-フェニルエタノール、フェニルエチルアセテート、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、ジエチルフタレート及び/又は3-ヒドロキシ-2-ブタノンからなる群から選択されるフレーバー化合物の少なくとも1つを含む。
【0101】
特定の実施形態において、1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノールの割合は、1:2.5~16、好ましくは1:3~13、より好ましくは3.5~10である。
【0102】
特定の実施形態において、1-プロパノール:2-メチル-1-ブタノール及び3-メチル-1-ブタノール:3-メチルブチルアセテートの割合は、1:2.5~16:0.2~6、好ましくは1:3.0~13:1~5、より好ましくは1:3.5~10:1.2~4.8の範囲である。
【0103】
本発明の任意の実施形態に従って、少なくとも1つのフレーバーキャリヤーを、本発明によって得られるフレーバー組成物に添加してよい。「フレーバーキャリヤー」という用語は、フレーバー付与成分の感覚刺激性の特性を著しく変更しない限りは、フレーバーの観点から実質的に中性である材料を示す。キャリヤーは、液体又は固体であってよい。
【0104】
適した液体キャリヤーは、例えば、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又はフレーバーもしくは香料において慣用的に使用される溶剤を含む。フレーバー又は香料において通常使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。フレーバーにおいて使用される適した溶媒は、例えば、プロピレングリコール、トリアセチン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(neobee(登録商標))、トリエチルシトレート、ベンジルアルコール、エタノール、植物油、例えばアマニ油、ヒマワリ油もしくはココヤシ油、又はテルペンを含む。香料の溶媒の制限のない例として、溶剤、例えばブチレン又はプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール及びそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、又はトリエチルシトレート、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標名Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば商標名Dowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)、又は硬化ヒマシ油、例えば商標名Cremophor(登録商標)RH 40(供給元:BASF)で公知のもの、又はそれらの混合物を挙げられる。
【0105】
適した固体キャリヤーは、例えば、吸収性ゴム又はポリマー、又はさらに封入材料を含む。かかる材料の例は、造壁材料及び可塑材料、例えば単糖類、二糖類又は多糖類、天然デンプン又は化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質又はペクチン、又はさらに、参考文献、例えばH. Scherz,Hydrokolloid:Stabilisatoren,Dickungs-und Geliermittel in Lebensmitteln,Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie,Lebensmittelqualitaet,Behr’s VerlagGmbH&Co.,Hamburg,1996において挙げられている材料を含んでよい。カプセル化は、当業者に周知の方法であり、かつ例えば噴霧乾燥、凝集、押し出し、コーティング、プレーティング、コアセルベーション等のような技術を使用して実施されてよい。
【0106】
本発明の任意の実施形態に従って、本発明によって得られるフレーバー組成物に少なくとも1つのフレーバー補助剤を添加してよい。「フレーバー補助剤」に関しては、ここでは、追加の付加効果、例えば色(例えばキャラメル)、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。フレーバー付与組成物において慣用的に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。それにもかかわらず、かかる補助剤は、その一般的な知識に基づいて及び意図された使用又は適用に従ってそれらを選択することができるであろう当業者に周知である。特定の制限のない例として以下を挙げることができる:粘性剤(例えば、乳化剤、増粘剤、ゲル化及び/又はレオロジー改質剤)、安定剤(例えば、酸化防止剤、熱/光及び又は緩衝剤)、着色剤(例えば、色を付与する天然物又は合成物又は天然抽出物)、防腐剤(例えば、抗菌剤又は抗微生物剤又は抗真菌剤)、ビタミン及びそれらの混合物。
【0107】
さらに、本発明によって得られるフレーバー組成物は、フレーバーの分野において、前記組成物に付加される消費者製品の味をポジティブに付与する又は改良するために有利に使用することができる。したがって、本発明は、本発明によって得られるフレーバー組成物を含むフレーバー付与した消費者製品に関する。
【0108】
明確性の観点から、「フレーバー付与した消費者製品」とは、食用製品又は経口組成物、例えば、医薬組成物、食用ゲル混合物及び組成物、歯科用組成物、食品飲料及び飲料製品を示すことを意味する。フレーバー付与した消費者製品は、種々の形であってよい。フレーバー付与した消費者製品の適した形の網羅的でないリストは、揚げ物、冷凍マリネしたもの、衣付けしたもの、冷蔵したもの、脱水したもの、粉末ブレンドしたもの、缶詰再構成したもの、レトルト、焼いたもの、調理したもの、発酵したもの、マイクロフィルター処理したもの、低温殺菌したもの、ブレンドしたもの又は保存したものが含まれ得る。したがって、本発明に従ってフレーバー付与した消費者製品は、本発明により得られるフレーバーの組成物、及び所望の食用品の味覚及びフレーバープロフィールに対応する任意に有効物質、例えばアルコールフリーのビールを含む。
【0109】
食料又は飲料品の構成物の性質及びタイプは、ここでこれ以上詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般的な知識に基づいて、及び該製品の性質に従って、性質及びタイプを選択することができる。
【0110】
前記フレーバー付与した消費者製品の典型的な例は、以下のものを含む:
・ 焼き菓子(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、ライスケーキ、ライスクラッカー、クッキー、クラッカー、ドーナツ、マフィン、ペストリー、プレミックス、その他の焼き菓子)、
・ 非アルコール飲料(例えば、アルコールフリービール、水性飲料、強化された/わずかに甘くした水飲料、フレーバー付与した炭酸水及びスティルミネラルウォーター(炭酸が入っていないミネラルウォーター)及び食卓用水、炭酸飲料、非炭酸飲料、炭酸水、スティルウォーター(炭酸が入っていない水)、ソフト、ボトル入り飲料、スポーツ/エネルギードリンク、ジュースドリンク、野菜ジュース、野菜ジュース調製物、出し汁)、
・ アルコール飲料(例えば、ビール及び麦芽飲料、低アルコールビール、アルコール性飲料、ワイン、リカー)、
・ インスタント又はすぐに飲める飲料(例えば、インスタント野菜飲料、粉末ソフトドリンク、インスタントコーヒー及びインスタントティー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ハーブを煎じた液、カカオ(例えば水ベース)、茶ベースの飲料、コーヒーベースの飲料、カカオベースの飲料、煎じた液、シロップ、冷凍フルーツ、冷凍フルーツジュース、水ベースの氷、フルーツ氷、ソルベ)、
・ シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、シリアルバー、エネルギーバー/栄養バー、グラノーラ、調理加工済みの米製品、米粉製品、キビ及びモロコシ製品、生又は調理済みの麺及びパスタ製品)、
・ 乳製品ベースの製品(例えば、フルーツヨーグルト又はフレーバー付与したヨーグルト、アイスクリーム、フルーツアイス、冷菓、フレッシュチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、ミルクドリンク、ホエイ、バター、部分的又は全体的に加水分解された乳タンパク質含有製品、発酵乳製品、凝縮したミルク及び類似製品)
・ 非乳成分(植物ベースのタンパク質、植物性脂肪)を含む乳製品類似製品(模造乳製品)、
・ 菓子製品(例えば、フィリング、トッピング、チューインガム、ハードキャンディー及びソフトキャンディー)、
・ チョコレート及びコンパウンドコーティング(例えば、チョコレート、スプレッド)、
・ 脂肪及び油又は油脂エマルションをベースとした製品(例えば、マヨネーズ、スプレッド、通常の又は低脂肪のマーガリン、バター/マーガリンブレンド、フレーバー付与したオイル、ショートニング、レムラード、ドレッシング、サラダドレッシング、スパイス製品、ピーナッツバター)、
・ 卵又は卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄、カスタード)、
・ デザート(例えば、ゼラチン、プリン、デザートクリーム)、
・ 大豆タンパク質又はその他の大豆成分で作られた製品(例えば、豆乳及びそれから作られた製品、大豆レシチン含有製品、発酵製品、例えば豆腐もしくはテンペ又はそれから製造された製品、醤油)、
・ 野菜製品(例えば、ケチャップ、ソース、加工した及び再構成した野菜、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、酢漬け野菜、野菜濃縮物又はペースト、調理済み野菜、ジャガイモ製品)、
・ フルーツ製品(例えば、ジャム、マーマレード、缶詰フルーツ)
・ ベジタリアン用の代替肉又は肉代替品、ベジタリアン用のハンバーガー
・ スパイス又はスパイス製品(例えば、マスタード製品、西洋ワサビ製品、ピクルス)、スパイス混合物、及び特に、例えばスナックの分野で使用される調味料
・ スナック製品(例えば、焼いた又は揚げたポテトチップス又はポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシ、米もしくは落花生をベースにした押出成形製品)、
・ 即席の料理(例えば、インスタントヌードル、米、パスタ、ピザ、トルティーヤ、ラップ)並びにスープ及び煮出し汁(例えば、ストック、セイボリーキューブ、ドライスープ、インスタントスープ、調理済みスープ、レトルトスープ)、ソース(インスタントソース、ドライソース 、既製ソース、グレービー、スイートソース、レリッシュソース、サワーソース)、
・ オーラルケア製品、例えば、練り歯磨き、マウスウォッシュ、デンタルケア製品(例えば、デンタル接着剤)、デンタルリンス、マウススプレー、デンタルパウダー、デンタルジェル、デンタルフロス、
・ ペットフード又は動物用フード。
【0111】
好ましくは、フレーバー付与した消費者製品は、ノンアルコール飲料、アルコール飲料又はインスタントもしくはすぐに飲める飲料であってよい。
【0112】
好ましくは、フレーバー付与した消費者製品は、ドリンク水性飲料、強化された/わずかに甘味のある水飲料、フレーバー付与した炭酸水及びスティルミネラルウォーター及び食卓用ミネラルウォーター、炭酸ソフト飲料、非炭酸飲料、炭酸水、スティルウォーター、ソフト、ボトル入りの水、スポーツ/エネルギー飲料、ジュース飲料、野菜ジュース、野菜ジュース製品、フリーアルコールビール、低アルコールビール、ビール及びモルト飲料、アルコール性飲料、ワイン、酒、インスタント野菜飲料、粉末ソフトドリンク、インスタントコーヒー及びインスタントティー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ハーブ浸出液、カカオ、茶ベースのドリンク、コーヒーベースのドリンク、カカオベースのドリンク、浸出液及びシロップであってよい。
【0113】
いくつかの前記フレーバー付与した消費者製品は、本発明によって得られるフレーバー組成物にとってアグレッシブな媒体であることもあるため、例えばカプセル化によって早すぎる分解から保護する必要がある場合がある。
【0114】
種々の前記製品中に組込まれてよい本発明によって得られるフレーバー組成物の割合は、広い範囲の値で変動する。これらの値は、フレーバー付与されるべき消費者製品の性質に、並びに所望の感覚受容性効果及び本発明による組成物が、フレーバー付与成分、溶剤又は先行技術において慣用的に使用される添加剤と混合される場合に、所与のベースにおける補助成分の性質に依存する。
【0115】
例えば、フレーバー付与した消費者製品の場合に、典型的な濃度は、組み込まれる消費者製品の質量に対して、本発明の抽出物又は組成物の0.001ppm~10000ppm、より好ましくは0.1ppm~8000ppm、さらにより好ましくは10ppm~5000ppmである。
【0116】
本発明は、
a)食品キャリヤーもしくはベース又は飲料キャリヤーもしくはベースをそれぞれ準備するステップ、
b)食品キャリヤーもしくはベース又は飲料キャリヤーもしくはベースに、上記で定義した方法によって得られるフレーバー組成物をそれぞれ添加するステップ
を含む、フレーバー付与した食品又は飲料品を製造する方法に関する。
【0117】
それにより、本発明による方法によって得られるフレーバー組成物は、食品キャリヤーもしくはベース又は飲料キャリヤーもしくはベースに添加した場合に、食品キャリヤーもしくはベース又は飲料キャリヤーもしくはベースの官能プロフィールを増加、増強、付与又は改質できることを理解する。
【0118】
特定の実施形態において、食品キャリヤー又はベースは、油で揚げられるか揚げられていないか、及び冷凍されているか冷凍されていないか、低脂質であるか低脂質でないか、マリネにされるか、衣を付けられるか、冷蔵されるか、水分を抜かれるか、インスタントであるか、缶詰めにされるか、もどされるか、レトルトにされるか、又は保存されてよい。
【0119】
特定の実施形態において、食品キャリヤー又はベースは、調味料又は香辛料、例えば煮出し汁、風味付けキューブ(savory cube)、パウダーミックス、フレーバー付けしたオイル、ソース(例えば、レリッシュ、バーベキューソース、ドレッシング、グレービーソース又は甘い及び/又は酸味のあるソース)、サラダドレッシング又はマヨネーズ;肉ベースの製品、例えば家禽、牛肉もしくは豚肉ベースの製品、シーフード、すり身、又は魚肉ソーセージ;スープ、例えば澄ましスープ、クリームスープ、チキン又はビーフスープ、トマト又はアスパラガススープ;炭水化物ベースの製品、例えばインスタント麺、米、パスタ、ポテトフレーク又はフライ、麺、ピザ、トルティーヤ、ラップ;乳製品又は脂製品、例えばスプレッド、チーズ、普通のマーガリン、低脂肪マーガリン、バター/マーガリンブレンド、バター、ピーナッツバター、ショートニング、加工又は味付けチーズ;風味付けした製品、例えばスナック、ビスケット(チップスもしくはクリスプなど)又は卵製品、ポテト/トルティーヤチップ、電子レンジ用ポップコーン、ナッツ、プレッツェル、餅、煎餅など;人工製品、例えば乳製品(例えば、油、脂肪及び増粘剤から製造された改良チーズ(reformed cheese))又は海産物又は肉(例えば、ベジタリアン用の代替肉、野菜バーガー)類似品;又はペット又は動物の食品を含む。
【0120】
特定の実施形態において、飲料キャリヤー又はベースは、ソフトドリンク、例えばコーラ、レモン-ライム、ルートビア、ヘビーシトラス(「デュータイプ」)、フルーツフレーバー及びクリームソーダ及びダイエットドリンクを含む炭酸ソフトドリンク;粉末ソフトドリンク、並びに液体濃縮物、例えばファウンテンシロップ及びコーディアル;コーヒー及びコーヒー系ドリンク、コーヒー代用品及びシリアル系飲料;ドライミックス製品及びすぐ飲める紅茶(ハーブ及び茶葉ベース)を含む茶;フルーツジュース及び野菜ジュース及びジュースフレーバー飲料並びにジュースドリンク、ネクター、濃縮物及びパンチ;炭酸及びスチルの加糖及びフレーバー水;スポーツ/エネルギー/健康ドリンク;ビール及び麦芽飲料、サイダー及びワイン(スチル、スパークリング、酒精強化ワイン及びワインクーラー)を含むアルコール飲料とアルコールフリー及び他の低アルコール製品;加熱(煎じ出し、加熱殺菌、超高温度、オーム加熱又は工業用無菌殺菌)及び熱充填包装で加工した他の飲料;並びに濾過又は他の保存技術を介して製造した清涼充填製品を含む。
【0121】
特定の実施形態において、前記方法は、好ましくは、フレーバー付与した飲料製品を製造することを対象とする。
【0122】
本発明は、フレーバー付与した食品又は飲料物品を製造するための、前記で定義した方法によって得られるフレーバー組成物の使用にも関する。
【0123】
フレーバー付与した食品又は飲料物品を製造する方法に関する特定の実施形態は、必要な変更を加えて、フレーバー組成物の使用に適用される。
【0124】
実施例
1. パーベーパレーションプロセス
パーベーパレーション膜は、均一で非常に小さい細孔径を示す、高度に秩序化された多孔質及び結晶性のシリカ含有材料の種類であるNaAゼオライトからできている。
【0125】
供給混合物と接触している300cm2の有効膜面積を有する管状の実験室用ステンレス鋼透過セルでパーベーパレーション実験を実施した。膜モジュールにポンプで供給液体混合物を送る前に、最初にヒーターで加熱した。真空ポンプは、膜モジュールの透過側を大気圧未満の圧力下に保ち、供給側から透過側に水を移送するための駆動力を提供する。透過液を、液体窒素により冷却した2つの平行なガラス製コールドトラップで凝縮させて、全ての透過液を完全に収集できるようにした。
【0126】
2. 蒸留プロセス
蒸留実験は、標準的な実験室ユニットを使用した。磁気撹拌器で攪拌した1Lの三ツ口丸底フラスコを蒸留ポットとして使用した。カラムは直径25mmを有し、かつ詰め物33cmを含んだ。全てのプロセスパラメータを手動で制御した。
【0127】
3. 結果と考察
3.1. 出発フレーバー組成物の組成物
出発物質である、逆浸透を使用した飲料産業(ビール)における脱アルコールプロセスからの副流をGC-MSで分析した。
【0128】
脱アルコールプロセスから得られた副流に存在する主なフレーバー化合物を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
出発物質において、水及びエタノールの量はそれぞれ約74%及び25%であり、合計のアロマ化合物は約600ppmであった。
【0131】
3.2. 直接蒸留によるアロマ濃縮
エタノール及び水を除去することによってアロマ又はフレーバー化合物を濃縮するために、副流を直接蒸留にかけた。蒸留プロセス中に、真空と還流との割合を調整した。最初に、真空を125mbarに設定し、還流比を1に設定し、ポット温度を37℃に設定した。この段階で、この結果は、1-プロパノール及びイソブタノールをエタノール及び水で除去したことを明確に示す。後の蒸留段階において真空が低下しポット温度が上昇するにつれて、ますます多くのアロマ又はフレーバー化合物を蒸留させた。これらの結果は、直接蒸留によるアロマ濃縮がこの場合には機能しなかったことを示す。
【0132】
3.3. パーベーパレーションによる水分除去
副流から水を除去するために、パーベーパレーション実験を実施例1で報告したプロセスを使用して実施した。脱水の結果を表2に示す。実験をバッチモードで実施したため、供給物中の水の濃度は実験時間とともに減少した。30分後に、含水率は0.2%に減少した。
【0133】
この結果は、パーベーパレーションプロセスが副流から水を効率的に除去できることを示す。
【0134】
【表2】
【0135】
3.4. 蒸留によるさらなる濃縮
脱水後に、得られた混合物を蒸留により濃縮した。蒸留条件を、実施例2において報告した設定を使用して表3に挙げる。合計857グラムの脱水材料を蒸留にかけた。蒸留後に、蒸留物832グラム及び残留物7.8グラムを収集した。
【0136】
【表3】
【0137】
蒸留物部分においてはエタノール及び微量の水のみがあり、芳香化合物はGCにより検出されなかった。表4に示すように、パーベーパレーション及び蒸留の後に、出発副流中の主要な芳香化合物のほとんどが80倍以上になった。この結果は、脱水処理が必要であり、かつさらなる濃縮に有益であることを示す。
【0138】
【表4】
【0139】
4. フレーバー組成物を得るためのさらなる実施例
出発材料はワインである。脱水及び脱アルコールプロセスを、実施例1~3に記載したように実施した。
【0140】
【表5】
【0141】
5. 温度の影響
膜の性能に対する温度の影響を理解するために、80℃及び100℃でそれぞれ2つの実験を実施した。使用した材料はウィスキーであった。
【0142】
実験結果を以下の表6及び7に示す。これは、より高い操作温度が流量を高められることを示し、より詳述すれば、流量が、最初の状態でほぼ2倍になった。一方、原料の含水率が一定レベルまで低下すると、流量が急激に低下することが見出された。
【0143】
【表6】
【0144】
【表7】
【国際調査報告】