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特表2022-538325ブレーキヘッドに取り付けられる部分に対する固定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ブレーキヘッドに取り付けられる部分に対する固定システム
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20220825BHJP
   F16D 65/095 20060101ALI20220825BHJP
   B61H 5/00 20060101ALI20220825BHJP
   F16D 65/092 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
F16D65/00 C
F16D65/095 C
B61H5/00
F16D65/092 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577618
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 FR2020051179
(87)【国際公開番号】W WO2021001639
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】1907417
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287580
【氏名又は名称】タラノ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・メストル
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA62
3J058BA52
3J058BA78
3J058CA47
3J058CA49
3J058DD02
3J058DD06
3J058DD20
3J058FA21
(57)【要約】
本発明は、鉄道車両のための鉄道ディスクブレーキシステムに対する摩擦組立体(1)に関し、摩擦組立体(1)は、一方におけるブレーキヘッド(3)と、他方における、摩擦面である第1の面(21)、及び第1の面(21)とは反対側の第2の面(22)を備える、摩擦材料から作られた少なくとも1つの摩耗プレート(2)とを備え、摩耗プレート(2)は、ブレーキヘッド(3)に一体に固定されるために適しており、摩擦組立体(1)は、前記摩耗プレート(2)により放出される粒子を収集できる部分(8)をさらに備える。部分(8)は、摩擦組立体(1)をブレーキシュー(200)に締結するように働く締結要素(210)と係合できる接続部(90)を備え、締結要素(210)が、摩擦組立体(1)をブレーキシュー(200)に締結しているとき、部分(8)が、前記ブレーキヘッド(3)に一体に固定される位置に保持されるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両のための鉄道ディスクブレーキシステムのための摩擦組立体(1)であって、ブレーキヘッド(3)と、摩擦材料から作られる少なくとも1つの摩耗プレート(2)であって、摩擦面である第1の面(21)及び前記第1の面(21)の反対側の第2の面(22)を具備する少なくとも1つの前記摩耗プレート(2)と、を備えており、
前記摩耗プレート(2)は、前記ブレーキヘッド(3)に一体となって固定されるように構成されており、
前記摩擦組立体(1)は、前記摩耗プレート(2)により放出される粒子を収集可能とされる部分(8)をさらに備えており、
前記締結要素(210)が前記摩擦組立体(1)を前記ブレーキシュー(200)に締結している場合に、前記部分(8)が前記ブレーキヘッド(3)に一体となって固定される位置に保持されるように、前記部分(8)は、前記摩擦組立体(1)をブレーキシュー(200)に締結するように働く締結要素(210)と係合可能とされる接続部(90)を備えていることを特徴とする、摩擦組立体(1)。
【請求項2】
前記接続部(90)は、前記締結要素(210)を少なくとも部分的に囲んでいる、請求項1に記載の摩擦組立体(1)。
【請求項3】
前記締結要素(210)は、ロッドであり、
前記接続部(90)は、前記ロッドが摺動する際に通過する少なくとも1つのリングから構成されている、請求項2に記載の摩擦組立体(1)。
【請求項4】
前記接続部(90)は、2つの前記リングから構成されている、請求項3に記載の摩擦組立体(1)。
【請求項5】
前記摩耗プレート(2)は、前記第1の面(21)から前記第2の面(22)に至るまで前記摩耗プレート(2)を横断している少なくとも1つのチャネル(28)を備えており、
前記ブレーキヘッド(3)は、中心軸Aを有する少なくとも1つの貫通孔(38)であって、少なくとも1つの前記チャネル(28)のうち一のチャネルに面して配置されている少なくとも1つの前記貫通孔(38)を備えており、
前記部分(8)は、プレート(84)と、前記プレート(84)に取り付けられた少なくとも1つの連結ブッシング(80)を備えており、
少なくとも1つの前記連結ブッシング(80)は、少なくとも1つの前記貫通孔(38)に挿入され、且つ、少なくとも1つの前記チャネル(28)との接続を確立しており、
前記部分(8)は、少なくとも1つの前記連結ブッシング(80)が少なくとも1つの前記貫通孔(38)に挿入されている場合に、前記ブレーキヘッド(3)に一体となって固定される位置に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の摩擦組立体(1)。
【請求項6】
前記摩擦組立体(1)が、2つの前記連結ブッシング(80)、2つの前記チャネル(28)、及び2つの前記貫通孔(38)を備える、請求項5に記載の摩擦組立体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の制動に関し、詳細には、鉄道車両の制動システムの摩擦組立体に関する。車両は、列車、路面電車、及び地下輸送など、レール上を走行するように構成されたすべての乗物を意味するものと理解される。
【背景技術】
【0002】
制動システムは、一般に、鉄道車両の車輪又は車軸と一体のディスクを備える。制動システムは、摩擦摩耗プレート102を支持するブレーキヘッド103を備える摩擦組立体をさらに備える。このような摩擦組立体が、従来技術を表す図6及び図7に示される。ブレーキヘッド103は、長手方向Zへと長手方向に、且つ横方向Xへと横方向に延びる。ブレーキヘッド103は、X-Z平面において、摩擦摩耗プレート102を収容するように意図された上面131と、下面132とを備える。これらの2つの面及びX-Z平面に直角な軸はY軸である。
【0003】
摩擦摩耗プレート102は、摩擦パッドを担持する摩擦面121を備える。この摩擦パッドは、運転者が、制動システムを作動させたとき、制動力を加えるために、車輪又は車軸と一体のディスク(図示せず)と摩擦接触するように意図されている。概して、鉄道車両は、ディスクを両側から圧縮するために、ディスクを把持する、言い換えると、挟むように、ディスクの各側に1つずつ配置された2つの摩擦組立体を有する。摩擦摩耗プレート102はまた、反対側の面122を備える。この反対側の面122は、締結手段により、ブレーキヘッド103に固定される。この場合、これらの締結手段は、反対側の面122上に凸状の鳩尾形の突起部104を有する輪郭のあるセクションと、ブレーキヘッド103の上面131に受入れスライド105とを備え、この輪郭のあるセクション104は、受入れスライド105と係合するように構成される。受入れスライド105は、長手方向Zに延びる。
【0004】
摩擦摩耗プレート102がディスクに摩擦を加えたとき、摩擦パッド及びディスクからの材料の粒子が、摩擦組立体付近の周囲の大気に放出される。したがって、制動システムは、多かれ少なかれ微粒子の形態の大気汚染を放出する。上記で述べた摩擦組立体は、制動中に放出される材料のこれらの粒子を捕捉するようにする。
【0005】
このために、摩擦摩耗プレート102は、Y軸に沿って方向付けられた2つのチャネル128を備える。摩擦摩耗プレート102は、1つ又は2つの部分とすることができる。後者の場合、これらの部分のそれぞれが、チャネル128を備える。ブレーキヘッド103は、2つの貫通孔138を有する。摩擦摩耗プレート102が、上記で述べたように、使用時にブレーキヘッド103に固定された場合、2つのチャネル128のそれぞれは、孔138に面して配置される。チャネル128、及びそれに面して位置する孔138の主軸は、A軸として示され、したがってこのチャネル128とこの孔138とは同軸である。各チャネル128は、したがって、ブレーキヘッド103に形成された貫通孔138の1つと管路を形成し、それは、制動中に、摩擦摩耗プレート102により放出される粒子を吸引できるようにする。
【0006】
管181と、その端部の1つにおいてこの管181から半径方向外側に延びるフランジ182とからなる連結ブッシング180が、孔138に取り付けられる。管181は孔138に挿入され、管181の外径は、確実に最も可能な封止を行うために孔138の内径に等しい。フランジ182は、ブレーキヘッド103の環状ハウジング139に収容される、このハウジング139は、主軸Aに中心があり、且つ摩耗プレート102の反対側の面122に面している。フランジ182は、したがって、摩耗プレート102の輪郭のあるセクション104の下面122と、ブレーキヘッド103のスライド105の底部151との間に挟まれる。
【0007】
連結ブッシング180は、ブレーキヘッド103を完全に貫通し、その下面132においてそこから突き出す。ブッシング180の管181のこの端部に、パイプ160は固定され、パイプ160は、吸引デバイス(図示せず)に接続され、チャネル128及び孔138を介して、鉄道車両の制動から生ずる粒子を吸引することを可能にする。図6は、主軸Aを含むXY平面における横断面を、すなわち、チャネル128及び孔138における横断面を示している。
【0008】
連結ブッシング180は、制動から生ずる粒子を、摩耗プレート102のチャネル128から、ブレーキヘッド103の貫通孔138へとガイドするように働く。連結ブッシング180はしたがって、チャネル128及び孔138を通って起こり得る漏れを阻止することを目指している。
【0009】
特に、連結ブッシング180は、摩擦摩耗プレート102とブレーキヘッド103の間の境界面における間隙の中に滑り込む可能性のある、制動から生ずる粒子の量を制限し、且つ吸引デバイスによる吸引を低下させることになる、この間隙を介して外部から孔138に入る空気流を特に阻止することを目標としている。このために、フランジ182は、その半径方向の外側端部に、管181に向けて折り返されたリップ部を有する。環状のハウジング139の深さ(主軸Aに沿った)は、座しているフランジ182の高さ未満であり、したがって、フランジ182は、スライド105の底部151の上に突き出ている。摩耗プレート102の輪郭のあるセクション104がスライド105の中に挿入されたとき、この輪郭のあるセクション104は、ブッシング180を軸Aに沿って押し付けて、フランジ182のリップ部が変形してハウジング39を満たすようにする。フランジ182は、したがって、輪郭のあるセクション104を受けるようになり、摩擦摩耗プレート102とブレーキヘッド103の間を確実に封止する。フランジ182は、したがって、輪郭のあるセクション104に対してフランジ182を押し付ける戻し機構109を構成する。
【0010】
有利には、管181は、ブレーキヘッド103の下面132に嵌合するプレート184により、フランジ182を担持する端部に対して反対側のその端部において延ばされる。管181が孔138に収容されたとき、プレート184は、したがって、下面132を受ける。この構成の利点は、ブレーキヘッド103と摩耗プレート102の間の封止の生成が、別個の戻し機構を使用する必要なく、管181及びフランジ182を孔138に挿入することにより、簡単な方法で達成されることである。
【0011】
加えて、ブッシング180は、プレート184により孔138内の定位置に保持される。
【0012】
図7に示されるように、プレート184は、2つの連結ブッシング180を担持する。ブッシング180のそれぞれの管181は、したがって、プレート184により、フランジ182を担持する端部の反対側のその端部において延ばされる。
【0013】
ブレーキヘッド103は、スライド105の中間を意味するその中間において斜視長手方向断面図(垂直平面Y-Zにおいて)で示されている。プレート184及び連結ブッシング180の組立体が、分解斜視図で示されている。2つのブッシング180は、垂直軸Yの方向に、主軸Aに沿って孔138の中に挿入されるように意図される。
【0014】
この変形形態の利点は、プレート184及び連結ブッシング180からなる単一の組立体を用いて、ブレーキヘッド103全体と摩耗プレート102全体の間の封止を作成することが可能であることである。
【0015】
プレート184は、図7に概略的に示されるように、例えば、4本のボルト300によるなど、機械的手段によりブレーキヘッド103に固定される。
【0016】
摩擦組立体は、このように、鉄道車両に対する鉄道ディスクブレーキシステムに対して知られており、摩擦組立体は、一方におけるブレーキヘッドと、他方における、摩擦面である第1の面、及び前記第1の面とは反対側の第2の面を備える、摩擦材料から作られる少なくとも1つの摩耗プレートとを備え、摩耗プレートは、ブレーキヘッドに一体に固定されるために適しており、摩擦組立体は、前記摩耗プレートにより放出される粒子を収集できる部分をさらに備える(上記の場合、この部分は、プレート184及び連結ブッシング180からなる組立体である)。
【0017】
使用中に、摩耗プレート及びブレーキヘッドにより受ける力からの振動の影響下で、その部分がブレーキヘッドから緩む危険がある。この部分を失うことは、特に乗物の速度を考えると有害になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、この不利な点に対処することを目的とする。
【0019】
本発明は、その部分とブレーキヘッドの間の接続を確実にする摩擦組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、その部分が、摩擦組立体をブレーキシューに締結するように働く締結要素と係合できる接続部を備え、それにより、締結要素が摩擦組立体をブレーキシューに締結しているとき、その部分がブレーキヘッドに一体に固定される位置に保持されるようにすることにより達成される。
【0021】
これらの構成により、その部分は、ブレーキヘッドに一体に固定されるその位置に保持され、締結要素が、摩擦組立体をブレーキシューに締結している限り、この位置から離れることはできない。その部分は、したがって、この締結要素によりその固定位置に保持され、この部分とブレーキヘッドの間の任意の機械的な接続に対して特別の安全性を構成する。この特別な安全性は、単に、その部分に接続部を加えるように変更することにより達成される。
【0022】
例えば、接続部は、少なくとも部分的に締結要素を囲む。
【0023】
例えば、締結要素はロッドであり、接続部は、ロッドが摺動して中を通ることのできる少なくとも1つのリングからなる。
【0024】
接続部は、2つのリングからなると有利である。
【0025】
その部分は、したがって、ブレーキヘッドに一体に固定されるその位置において、より有効に保持される。
【0026】
有利には、摩耗プレートは、摩耗プレートを第1の面から第2の面へと横断する少なくとも1つのチャネルを備え、ブレーキヘッドは、少なくとも1つのチャネルのうちの1つに面して位置する、中心軸Aの少なくとも1つの貫通孔を備え、その部分は、プレート、及びプレートに取り付けられた少なくとも1つの連結ブッシングを備え、少なくとも1つの連結ブッシングは、少なくとも1つの貫通孔の中に挿入され、且つ少なくとも1つのチャネルとの接続を確立し、その部分は、少なくとも1つの連結ブッシングが、少なくとも1つの貫通孔に挿入されたとき、ブレーキヘッドに一体に固定される位置にある。
【0027】
したがって、摩擦摩耗プレートにより放出される粒子の連結ブッシングにおける吸引が、より効率的になる。
【0028】
有利には、摩擦組立体は、2つの連結ブッシング、2つのチャネル、及び2つの貫通孔を備える。
【0029】
本発明は、非限定的な例として示される諸実施形態の以下の詳細な記述を読むことにより、よく理解することができ、その利点がより明らかになろう。本記述は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるブレーキシュー及び摩擦組立体の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による摩擦組立体の斜視図である。
図3図2の摩擦組立体の分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による摩擦組立体のブレーキヘッド及び摩耗プレートの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による摩擦組立体のブレーキヘッド、摩耗プレート、及び部分の分解斜視図である。
図6】従来技術による摩擦組立体のブレーキヘッド、摩耗プレート、及び部分のすでに述べられた横断面図である。
図7】従来技術による摩擦組立体のブレーキヘッド、及び部分のすでに述べられた斜視横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図5を参照すると、摩擦摩耗プレート2を支持するブレーキヘッド3を備える摩擦組立体1が描かれている。ブレーキヘッド3は、長手方向Zへと長手方向に、且つ横方向Xへと横方向に延びる。ブレーキヘッド3は、X-Z平面において、摩擦摩耗プレート2を収容するように意図された上面31と、下面32とを備える。これらの2つの面に、且つX-Z平面に直角な軸は、Y軸である。
【0032】
摩擦摩耗プレート2は、摩擦パッドを担持する摩擦面21を備える。この摩擦パッドは、運転者が、制動システムを作動させたとき、制動力を加えるために、車輪又は車軸と一体のディスク(図示せず)と摩擦接触するように意図される。概して、鉄道車両は、ディスクを両側で圧縮するために、ディスクを把持する、言い換えると、挟むように、ディスクの各側に1つずつ配置された2つの摩擦組立体を有する。摩擦摩耗プレート2はまた、反対側の面22を備える。摩擦摩耗プレート2は、固定手段によりブレーキヘッド3に一体に固定され、したがって、反対側の面22は、上面31に面しており、それに対して少なくとも部分的に嵌合する。この場合、これらの固定手段は、反対側の面22上の凸形状の鳩尾形の突起部4を有する輪郭のあるセクション、及びブレーキヘッド3の上面31の受入れスライド5を有する輪郭のあるセクションからなり、この輪郭のあるセクション4は、受入れスライド5と係合するように構成される。受入れスライド5は、長手方向Zに延びる。図5では、摩耗プレート2は、スライド5の中間を意味する、その中間における斜視長手方向横断面図で(垂直平面Y-Zで)示されている。分かりやすくするために、摩耗プレート2は点線で示される。摩耗プレート2は、輪郭のあるセクション4が受入れスライド5に部分的に係合された状態で示されている。
【0033】
摩擦摩耗プレート2をブレーキヘッド3に一体に固定するための他の手段(4、5)も可能である。これらの固定手段は、摩擦摩耗プレート2をブレーキヘッド3に取外し可能に固定できると有利である。
【0034】
摩擦摩耗プレート2が、ディスクに対して摩擦を加えたとき、摩擦パッド及びディスクからの材料の粒子が、摩擦組立体付近の周囲の大気中に放出される。
【0035】
これらの粒子を捕捉するために、摩擦摩耗プレート2は、部分8を備える。部分8は、粒子を収集することができ、ブレーキヘッド3の下面32側に位置する。例えば、部分8は、下面32に対して押し付けられる。例えば、部分8は、下面32に固定される。
【0036】
本発明は、部分8が、ブレーキヘッド3を横断する1つ又は複数の連結ブッシング80を備える実施形態において以下で述べられる。有利には、部分8は、連結ブッシング80がその上に取り付けられるプレート84をさらに備える。しかし、部分8は、任意の他の幾何形状を有することができ、また述べられたこれらのもの以外の要素から構成することもできる。
【0037】
材料の粒子を捕捉するために、摩擦摩耗プレート2は、Y軸に沿って方向付けられた2つのチャネル28を備える。摩擦摩耗プレート2は、1つ又は2つの部分になり得る、後者の場合、これらの部分のそれぞれは、チャネル28を備える。ブレーキヘッド3は、2つの貫通孔38を有する。使用時に、上記で述べたように、摩擦摩耗プレート2がブレーキヘッド3に固定されたとき、2つのチャネル28のそれぞれが、孔38に面して配置される。A軸という用語は、チャネル28の主軸及びそれに面する孔38の主軸を示し、したがってこのチャネル28とこの孔38とは同軸である。したがって、各チャネル28は、貫通孔38の1つと管路を形成し、管路は、以下で説明するように、制動中に摩擦パッド2により放出された粒子を吸引できるようにする。
【0038】
管81と、その端部の一方において、この管81から半径方向外側に延びるフランジ82とからなる連結ブッシング80が、孔38に取り付けられる。管81は、孔38の中に挿入され、管81の外径は、最良の可能な封止を確実に行うために、孔38の内径と等しい。フランジ82は、ブレーキヘッド3の環状ハウジング39内に収容され、このハウジング39は、主軸A上に中心があり、且つ摩耗プレート2の反対側の面22に面している。フランジ82は、したがって、摩耗プレート2の輪郭のあるセクション4の下面22と、ブレーキヘッド3のスライド5の底部51の間に挟まれる。
【0039】
連結ブッシング80は、ブレーキヘッド3を完全に横断しており、そこからその下面32上に突き出す。ブッシング80の管81のこの端部に、吸引デバイス(図示せず)に接続され、且つ鉄道車両を制動することから生ずる粒子を、チャネル28及び孔38を通して吸引できるパイプ(図示せず)が固定される。
【0040】
連結ブッシング80は、制動により生ずる粒子を、摩耗プレート2のチャネル28から、ブレーキヘッド3の貫通孔38へとガイドするように働く。連結ブッシング80は、したがって、チャネル28及び孔38を通り得る漏れを阻止するようにする。
【0041】
特に、連結ブッシング80は、摩擦摩耗プレート2とブレーキヘッド3の間の境界面における間隙の中に滑り込む可能性のある、制動から生ずる粒子の量を制限し、且つ何よりもまず、吸引デバイスによる吸引を低下させることになるこの間隙を介して外部から孔38に入る空気流を阻止するように努める。この目的のために、フランジ82は、その半径方向外側の端部に、管81に向けて折り返されたリップ部を有する。環状ハウジング39の深さ(主軸Aに沿った)は、座しているフランジ82の高さ未満であり、フランジ82が、スライド5の底部51の上に突き出るようになる。摩耗プレート2の輪郭のあるセクション4が、スライド5の中に挿入されたとき、この輪郭のあるセクション4は、軸Aに沿ってブッシング80上を押し付け、フランジ82のリップ部が、変形してハウジング39を満たすようにする。フランジ82は、したがって、輪郭のあるセクション4を受けて、摩擦摩耗プレート2とブレーキヘッド3の間を確実に封止することになる。フランジ82は、したがって、フランジ82を輪郭のあるセクション4に押し付ける戻し機構9を構成する。代替的に、フランジ82とは別個の戻しデバイス9(例えば、ばね)が、確実にこの封止を行うために、フランジ82を輪郭のあるセクション4に対して押し付けることができる。
【0042】
有利には、管81は、ブレーキヘッド3の下面32に嵌合するプレート84により、フランジ82を担持する端部に対して反対側のその端部において延ばされる。管81が孔38の中に収容されたとき、プレート84は、したがって、下面32を受ける。この構成の利点は、ブレーキヘッド3と摩耗プレート2の間の封止の生成が、管81及びフランジ82を孔38の中に挿入することにより、別個の戻し機構を使用する必要なく、簡単な方法で達成されることである。加えて、ブッシング80は、プレート84により、孔38内の定位置に保持される。部分8は、したがって、1つ又は複数のブッシング80及びプレート84を備える。
【0043】
図5に示されるように、摩耗プレート2は、2つのチャネル28を備え、ブレーキヘッド3は、2つの孔38を備える。摩耗プレート2の輪郭のあるセクション4が、ブレーキヘッド3の受入れスライド5に完全に係合されたとき、すなわち、摩耗プレート2がブレーキヘッド3に一体に固定されたとき、2つのチャネル28は、2つの孔38と位置合せされる(軸Aと同軸)。チャネル28のうちの1つだけが孔38の1つと位置合せされるように、輪郭のあるセクション4が受入れスライド5の中に部分的に係合された状態で、摩耗プレート2が示されている。
【0044】
プレート84は、2つの連結ブッシング80を担持する。ブッシング80のそれぞれの管81は、したがって、プレート84により、フランジ82を担持する端部に対して反対側のその端部において延ばされる。ブッシング80のそれぞれは、孔38の1つに配置され、且つ収容されるように意図される。
【0045】
一般的な場合では、摩耗プレート2は、摩耗プレート2の第1の面21から第2の面22へと摩耗プレート2を横断する少なくとも1つのチャネル28を備え、ブレーキヘッド3は、少なくとも1つのチャネル28のうちの1つに面して位置する、中心軸Aの少なくとも1つの貫通孔38を備え、また少なくとも1つの連結ブッシング80が、少なくとも1つの貫通孔38の中に配置され、且つ少なくとも1つのチャネル28との接続を確立し、少なくとも1つの連結ブッシング80は、プレート84に取り付けられる。
【0046】
部分8が、ブレーキヘッド3に一体に固定される位置にあるとき、少なくとも1つの連結ブッシング80は、少なくとも1つの貫通孔38の中に挿入される。プレート84は、図5に概略的に示されるように、例えば、4本のボルト300によるなど、機械的な手段によりブレーキヘッド3に固定される。プレート84は、その場合、チャネル28の主軸Aに対して直角である。これらの機械的な手段は、したがって、部分8とブレーキヘッド3の間の機械的な接続を構成する。
【0047】
図3は、摩擦組立体1を示す分解斜視図であり、摩耗プレート2は、ブレーキヘッド3に一体に固定され、プレート84は、ブレーキヘッド3から分離されている(Y軸に沿って、又は等価的に主軸Aに沿って平行移動されている)。2つの連結ブッシング80は、プレート84の隠れた側から延びているので、直接見ることはできない。
【0048】
締結要素210は、図3において点線で概略的に示されたブレーキシュー200に、摩擦組立体1を締結するように働く。このブレーキシュー200を構成する要素は、図1で見ることができる。例えば、この締結要素210はロッドであり、ロッドは、ブレーキヘッド3の輪、及びブレーキシュー200の輪を貫通する(輪を図1で見ることができる)。図3では、このロッドは、ブレーキヘッド3の輪に係合しないように、その長手方向軸に沿って平行移動的にオフセットして示されている。図1に示されるように、締結要素210は、ブレーキヘッド3の輪、及びブレーキシュー200の輪の中に、その形状(平坦化されたロッドヘッド)により、且つ/又はブレーキシューの別の要素により、挿入状態に保持される。
【0049】
図3では、摩耗プレート2は、ブレーキヘッド3に固定される。ブレーキヘッド3の下面32における貫通孔38の開口部だけが見られる。ブレーキヘッド3を横断する貫通孔38、及び摩耗プレート2を横断し、且つ孔38の延長に位置するチャネル28は、直接見ることはできず、図3の点線により示される。
【0050】
部分8は、この締結要素210に係合できる接続部90を備え、したがって、部分8は、締結要素210が、摩擦組立体1をブレーキシュー200に締結するとき、ブレーキヘッド3に一体に固定されるその位置に保持される。接続部90は、ブレーキヘッド3から離れて、プレート84から実質的に直角に延びる2つのリングによって形成される。2つのリングは、したがって、2つの平行面(Y、Z)に位置する。
【0051】
この場合、ロッドである締結要素210は、接続部90の2つのリングを貫通し、プレート84が、このロッドとブレーキヘッド3の間で挟まれるようにする。このロッドがまた、ブレーキヘッド3の輪を貫通すると仮定すると、部分8は、締結要素210により、ブレーキヘッド3に一体に固定されるその位置に保持される。
【0052】
図2は、同じ摩擦組立体1を示しており、部分8は、ブレーキヘッド3に一体に固定された位置にあり、また締結要素210は、プレート84の接続部90と係合して、部分8がこの一体に固定された位置に保持された状態にある。
【0053】
図4は、部分8及び締結要素210を省略した同一の摩擦組立体1を示す。
【0054】
以下で述べられるもの以外の接続部90も可能である。例えば、接続部90を形成するリングは、円周の一部だけにわたって延びることができる、又は接続部90は、1つのリングだけを有することができる。
【0055】
より一般的に、接続部90は、締結要素210を少なくとも部分的に囲む。したがって、接続部90が、締結要素210を部分的に囲むだけの場合において、接続部90は、締結要素210の円周を囲むことなく、すなわち、リングを形成することなく、締結要素210の一部を囲むために「C」形状を有する。代替的に、接続部90が、締結要素210を完全に囲む場合では、接続部90は、その完全な円周の周りで締結要素210の一部を囲む(したがって、リングを形成する)ために、「O」形状を有する。
【0056】
すべての場合において、接続部90と締結要素210の間の機械的な協動(機械的な係合)は、締結要素210が摩擦組立体1をブレーキシュー200に締結しているとき、部分8は、ブレーキヘッド3に一体に固定される位置に保持され、外すことができないように実施される。
【0057】
接続部90は、プレート84を変更することにより形成される。例えば、この変更は、機械的な接続により、プレート84に取り付けられ、且つその上に保持される部分の追加である。したがって、接続部90を形成するリングは、プレート84上に機械的に固定することができる(例えば、ボルト/ナットにより)。
【0058】
接続部90が、プレート84の形状を変更することにより、すなわち、追加部分を加えることなく、形成されると有利である。
【0059】
概して、部分8(例えば、プレート84)は、締結要素210とブレーキヘッド3の間に挟まれ、それにより、部分8を、ブレーキヘッド3に一体に固定されるその位置に保持する。
【0060】
接続部90は、プレート84の剛性をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 摩擦組立体
2 摩擦摩耗プレート
3 ブレーキヘッド
4 鳩尾形の突起部、輪郭のあるセクション
5 受入れスライド
8 部分
9 戻し機構
21 第1の面、摩擦面
22 第2の面、反対側の面、下面
28 チャネル
31 上面
32 下面
38 貫通孔
39 環状ハウジング
51 底部
80 連結ブッシング
81 管
82 フランジ
84 プレート
90 接続部
102 摩擦摩耗プレート
103 ブレーキヘッド
104 鳩尾形の突起部、輪郭のあるセクション
105 受入れスライド
109 戻し機構
121 摩擦面
122 反対側の面、下面
128 チャネル
131 上面
132 下面
138 貫通孔
139 環状ハウジング
151 底部
160 パイプ
180 連結ブッシング
181 管
182 フランジ
184 プレート
200 ブレーキシュー
210 締結要素
300 ボルト
A 主軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
特に、連結ブッシング180は、摩擦摩耗プレート102とブレーキヘッド103の間の境界面における間隙の中に滑り込む可能性のある、制動から生ずる粒子の量を制限し、且つ吸引デバイスによる吸引を低下させることになる、この間隙を介して外部から孔138に入る空気流を特に阻止することを目標としている。このために、フランジ182は、その半径方向の外側端部に、管181に向けて折り返されたリップ部を有する。環状のハウジング139の深さ(主軸Aに沿った)は、座しているフランジ182の高さ未満であり、したがって、フランジ182は、スライド105の底部151の上に突き出ている。摩耗プレート102の輪郭のあるセクション104がスライド105の中に挿入されたとき、この輪郭のあるセクション104は、ブッシング180を軸Aに沿って押し付けて、フランジ182のリップ部が変形してハウジング139を満たすようにする。フランジ182は、したがって、輪郭のあるセクション104を受けるようになり、摩擦摩耗プレート102とブレーキヘッド103の間を確実に封止する。フランジ182は、したがって、輪郭のあるセクション104に対してフランジ182を押し付ける戻し機構109を構成する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
摩擦摩耗プレート2は、摩擦パッドを担持する摩擦面21を備える。この摩擦パッドは、運転者が、制動システムを作動させたとき、制動力を加えるために、車輪又は車軸と一体のディスク(図示せず)と摩擦接触するように意図される。概して、鉄道車両は、ディスクを両側で圧縮するために、ディスクを把持する、言い換えると、挟むように、ディスクの各側に1つずつ配置された2つの摩擦組立体を有する。摩擦摩耗プレート2はまた、反対側の面22を備える。摩擦摩耗プレート2は、固定手段によりブレーキヘッド3に一体に固定され、したがって、反対側の面22は、上面31に面しており、それに対して少なくとも部分的に嵌合する。この場合、これらの固定手段は、反対側の面22上の凸形状の鳩尾形の突起部4を有する輪郭のあるセクション、及びブレーキヘッド3の上面31の受入れスライド5を有する輪郭のあるセクションからなり、この輪郭のあるセクション4は、受入れスライド5と係合するように構成される。受入れスライド5は、長手方向Zに延びる。図5では、ブレーキヘッド3は、スライド5の中間を意味する、その中間における斜視長手方向横断面図で(垂直平面Y-Zで)示されている。分かりやすくするために、摩耗プレート2は点線で示される。摩耗プレート2は、輪郭のあるセクション4が受入れスライド5に部分的に係合された状態で示されている。
【国際調査報告】