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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(54)【発明の名称】演算増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/30 20060101AFI20220825BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H03F1/30 220
H03F3/45
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577672
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2020113754
(87)【国際公開番号】W WO2021047475
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910846512.2
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 毅 強
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA47
5J500AC18
5J500AC46
5J500AC54
5J500AF17
5J500AH10
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK01
5J500AK02
5J500AK06
5J500AK09
5J500AM12
5J500AM17
5J500AT01
5J500DN14
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
5J500NF08
(57)【要約】
一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路とを含む演算増幅器であって、前記一段目ゲイン回路は、前記二段目ゲイン回路に接続され、前記一段目ゲイン回路には入力端が設けられ、前記二段目ゲイン回路には出力端が設けられ、前記一段目ゲイン回路は、少なくともテール電流源を含み、前記テール電流補償回路の第一端は、前記テール電流源に接続され、前記テール電流補償回路の第二端は、前記二段目ゲイン回路の出力端に接続され、前記テール電流補償回路は、前記二段目ゲイン回路の出力端の出力信号を前記テール電流源に補償するように設けられている演算増幅器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路とを含む演算増幅器であって、
前記一段目ゲイン回路は、前記二段目ゲイン回路に接続され、前記一段目ゲイン回路には入力端が設けられ、前記二段目ゲイン回路には出力端が設けられ、前記一段目ゲイン回路は、少なくともテール電流源を含み、前記テール電流補償回路の第一端は、前記テール電流源に接続され、前記テール電流補償回路の第二端は、前記二段目ゲイン回路の出力端に接続され、前記テール電流補償回路は、前記二段目ゲイン回路の出力端の出力信号を前記テール電流源に補償するように設けられている、演算増幅器。
【請求項2】
前記テール電流補償回路は、補償コンデンサを含む、請求項1に記載の演算増幅器。
【請求項3】
前記テール電流補償回路は、前記補償コンデンサに直列に接続された補償抵抗をさらに含む、請求項2に記載の演算増幅器。
【請求項4】
正帰還同調回路をさらに含み、
前記正帰還同調回路の第一端が前記一段目ゲイン回路に接続され、前記正帰還同調回路の第二端が接地され、前記正帰還同調回路は、前記テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制するように設けられている、請求項1に記載の演算増幅器。
【請求項5】
前記正帰還同調回路は、
コンデンサと、
抵抗と、
インダクタンスと、
能動デバイスとのうちの一つ又は少なくとも二つの直並列組み合わせを含む、請求項4に記載の演算増幅器。
【請求項6】
前記一段目ゲイン回路は、一段目増幅回路とカレントミラー負荷回路とをさらに含み、前記一段目増幅回路は、前記カレントミラー負荷回路に接続され、前記一段目増幅回路は、前記テール電流源と前記テール電流補償回路とに接続されている、請求項1に記載の演算増幅器。
【請求項7】
前記一段目増幅回路は、
差動入力、シングルエンド出力のカスコード増幅回路と、
差動入力、シングルエンド出力の共通ソース増幅回路とのうちの一つを含む、請求項6に記載の演算増幅器。
【請求項8】
前記二段目ゲイン回路は、
シングルエンド入力、シングルエンド出力の共通ソース増幅回路と、
シングルエンド入力、シングルエンド出力のカスコード増幅回路とのうちの一つを含む、請求項7に記載の演算増幅器。
【請求項9】
前記一段目増幅回路は、差動入力、差動出力の増幅回路を含み、
前記二段目ゲイン回路は、差動入力、シングルエンド出力の増幅回路を含む、請求項6に記載の演算増幅器。
【請求項10】
前記カレントミラー負荷回路は、カスコードカレントミラー回路を含む、請求項6に記載の演算増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年9月9日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910846512.2である中国特許出願の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、本出願に参照として取り込まれる。
[技術分野]
本明細書は、演算増幅器に関するが、それに限らない。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補型金属酸化物半導体)プロセスの発展とシステムオンチップSoC(System-on-a-Chip、集積システムチップ)のシステム化の度合いの向上に伴い、無線送受信チップとしてのSoCチップは、無線周波数送受信機、デジタルアナログ変換器、アナログデジタル変換器を集積しただけでなく、デジタルシグナルプロセッサなどの大規模なデジタル回路も集積している。無線周波数回路は、電源ノイズ干渉に比較的に敏感であり、電源ノイズは、直接的に無線周波数回路の性能に影響を与える。特に、比較的に高い周波数での電源ノイズは、有効周波数点に変調され、最終的には受信及び送信性能に影響を与える。
【0003】
低消費電力、低ドロップアウトのLDO(Low Dropout Regulator、低ドロップアウトリニアレギュレータ)回路は、キー回路に電力を供給し、電源ノイズを抑制することを図るキーデバイスである。現在では、一般的には電源抑制比を用いてLDOのノイズ抑制能力を判定する。演算増幅器は、LDO内のコアモジュールとして、その電源抑制比が直接的にLDO回路全体の電源抑制性能に影響を与えるため、演算増幅器の電源抑制特性を向上させることでシステム性能を確保する必要がある。
【0004】
現在では、主にカスコード、負帰還、追加的電源抑制回路などの技術を採用して演算増幅器の電源抑制特性を改善する。同時に、演算増幅器が正常に作動できることを確保するために、さらにミラー補償、カスコード補償を採用して演算増幅器の安定性を向上させる。しかし、ミラー補償、カスコード補償は、電源抑制の悪化を引き起こし、特に比較的に高い周波数での電源抑制の悪化を引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施例は、高周波数での電源抑制の悪化を回避するための演算増幅器を提供する。
【0006】
本出願の実施例は、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路とを含む演算増幅器であって、前記一段目ゲイン回路は、前記二段目ゲイン回路に接続され、前記一段目ゲイン回路には入力端が設けられ、前記二段目ゲイン回路には出力端が設けられ、前記一段目ゲイン回路は、少なくともテール電流源を含み、前記テール電流補償回路の第一端は、前記テール電流源に接続され、前記テール電流補償回路の第二端は、前記二段目ゲイン回路の出力端に接続され、前記テール電流補償回路は、前記二段目ゲイン回路の出力端の出力信号を前記テール電流源に補償するように設けられている演算増幅器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本出願の一実施例による演算増幅器の構造概略図である。
図2】本出願の別の実施例による演算増幅器の構造概略図である。
図3】本出願による演算増幅器の例示的な回路の構造図である。
図4】本出願による演算増幅器の別の例示的な回路の構造図である。
図5】本出願による演算増幅器のさらに別の例示的な回路の構造図である。
図6】本出願による演算増幅器のさらに別の例示的な回路の構造図である。
図7】本出願による演算増幅器のさらに別の例示的な回路の構造図である。
図8】ミラー補償に基づく演算増幅器の回路構造概略図である。
図9】カスコード補償に基づく演算増幅器の回路構造概略図である。
図10】本出願の一実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器の電源抑制原理図である。
図11】本出願の一実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器の正帰還抑制原理図である。
図12】異なる補償方式に基づく演算増幅器がLDOを構築する電源抑制シミュレーション結果比較概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
出願の関連技術では、演算増幅器が正常であることを確保するために、ミラー補償、カスコード補償を採用して増幅器の安定性を向上させる。このとき、電源ノイズは、補償コンデンサを介して直接的に演算増幅器の出力端に結合され、これにより、演算増幅器の電源抑制特性を低下させ、電源抑制の悪化、特に、比較的に高い周波数での電源抑制の悪化を引き起こす。換言すれば、ミラー補償、カスコード補償を採用した演算増幅器は、電源抑制の悪化を引き起こし、特に比較的に高い周波数での電源抑制の悪化を引き起こす。
【0009】
本出願の一実施例は、図1に示すように、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路とを含む演算増幅器を提供する。
【0010】
そのうち、一段目ゲイン回路は、二段目ゲイン回路に接続され、前記一段目ゲイン回路には入力端が設けられ、前記二段目ゲイン回路には出力端が設けられ、前記一段目ゲイン回路は、少なくともテール電流源を含む。
【0011】
前記テール電流補償回路の第一端は、前記テール電流源に接続され、前記テール電流補償回路の第二端は、前記二段目ゲイン回路の出力端に接続され、前記テール電流補償回路は、二段目ゲイン回路の出力端の出力信号を前記テール電流源に補償するように設けられている。
【0012】
本出願の実施例は、従来の極分離のミラー補償技術の代わりに、テール電流補償回路を採用して、高周波数での補償コンデンサの導入により引き起こされる電源抑制の悪化を緩和し、テール電流補償回路により、回路安定性を確保すると共に、演算増幅器の電源抑制特性を向上させる。
【0013】
図1に示すように、一実施例では、前記演算増幅器は、正帰還同調回路をさらに含み、前記正帰還同調回路の第一端が前記一段目ゲイン回路に接続され、前記正帰還同調回路の第二端が接地され、正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制するように設けられている。
【0014】
本実施例では、一段目ゲイン回路は、差動信号の入力と増幅を実現する。二段目ゲイン回路は、一段目ゲイン回路の出力信号の増幅を実現すると共に、回路負荷を駆動する。テール電流補償回路は、追加的ゼロポールを引き込み、演算増幅器の正常の閉ループ動作を実現する。正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還の経路を遮断する。
【0015】
図2に示すように、前記入力端は、非反転入力端と、反転入力端とを含んでもよく、前記一段目ゲイン回路は、この非反転入力端と反転入力端とを接続する。
【0016】
図2に示すように、本出願による演算増幅器は、電源端をさらに含んでもよく、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路は、いずれも前記電源端に接続され、前記電源端には、電源が外付けされ、前記電源端は、この外付けされた電源により演算増幅器に電力を供給する。
【0017】
本出願の実施例では、演算増幅器の主増幅回路は、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路とを含んでもよく、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路とによって主信号経路を形成し、テール電流補償回路に基づいて左半平面ゼロ点を形成し、位相余裕を改善して増幅器の安定性を向上させ、正帰還抑制回路によってテール電流補償回路が引き込む正帰還信号を抑制する。
【0018】
図2に示すように、一実施例では、前記一段目ゲイン回路は、一段目増幅回路とカレントミラー負荷回路とをさらに含み、一段目増幅回路は、カレントミラー負荷回路に接続され、前記一段目増幅回路は、前記テール電流源と前記テール電流補償回路とに接続される。
【0019】
一実施例では、前記正帰還同調回路は、一段目増幅回路に接続される。別の実施例では、前記正帰還同調回路は、一段目増幅回路とカレントミラー負荷回路とに接続される。
【0020】
前記一段目増幅回路は、入力差動ペアトランジスタを含んでもよく、前記テール電流補償回路の第一端は、前記入力差動ペアトランジスタの共通ソース端と前記テール電流源との接続箇所に接続され、前記テール電流補償回路の第二端は、前記二段目ゲイン回路の前記出力端に接続されている。このように、テール電流補償の作用を果たすことができる。
【0021】
前記入力差動ペアトランジスタとは、一段目ゲイン回路においてそれぞれ演算増幅器の非反転入力端、反転入力端に接続された二つの金属酸化物半導体(Metal Oxide Semiconductor、MOS)トランジスタである。これら二つのMOSトランジスタは、いずれもN型金属酸化物半導体(Negative channel Metal Oxide Semiconductor、NMOS)トランジスタであってもよいし、いずれもP型金属酸化物半導体(Positive channel Metal Oxide Semiconductor、PMOS)トランジスタであってもよい。テール電流源は、一段目ゲイン回路の一部として、一定のテール電流の生成を担当し、少なくとも一つのMOSトランジスタによって実現されてもよい。例えば、以下の図3図6に示す回路構造では、入力差動ペアトランジスタは、NMOSトランジスタM3とNMOSトランジスタM4である。さらに例えば、以下の図3に示す回路構造では、NMOSトランジスタM1、M2を含む構造は、一段目ゲイン回路のテール電流源であり、以下の図6に示す回路構造では、NMOSトランジスタM2を含む構造は、一段目ゲイン回路のテール電流源である。
【0022】
以上のように、本出願の実施例は、テール電流補償に基づく演算増幅器を提供し、テール電流補償回路を採用して、二段目ゲイン回路の出力端における出力信号を、入力差動ペアトランジスタの共通ソース端とテール電流源との接続箇所に補償し、テール電流補償回路は、左半平面ゼロ点を形成することができ、これにより、位相余裕を改善し、比較的に高い周波数で電源ノイズが直接的に二段目ゲイン回路の出力端に結合されることを回避し、それにより電源抑制の悪化を回避する。
【0023】
本出願の一実現形態では、一段目増幅回路は、差動入力、シングルエンド出力のカスコード増幅回路であってもよい。それ以外、この一段目増幅回路は、回路ゲインを提供可能であり、かつ差動入力、シングルエンド出力を有する他の回路構造であってもよい。例えば、一段目増幅回路は、さらに、差動入力、シングルエンド出力の共通ソース増幅回路、又は、差動入力、差動出力の増幅回路であってもよい。本明細書は、一段目増幅回路の構造を限定しない。
【0024】
本出願の一実現形態では、二段目ゲイン回路は、シングルエンド入力、シングルエンド出力の共通ソース増幅回路であってもよい。それ以外、この二段目ゲイン回路は、回路ゲインを提供可能であり、かつシングルエンド入力、シングルエンド出力を有する他の回路構造であってもよい。例えば、二段目ゲイン回路は、さらに、シングルエンド入力、シングルエンド出力のカスコード増幅回路、又は、差動入力、シングルエンド出力の増幅回路であってもよい。本明細書は、二段目ゲイン回路の構造を限定しない。
【0025】
そのうち、一段目増幅回路が差動入力、シングルエンド出力のカスコード増幅回路、又は、差動入力、シングルエンド出力の共通ソース増幅回路である場合、前記二段目ゲイン回路は、シングルエンド入力、シングルエンド出力の共通ソース増幅回路、又は、シングルエンド入力、シングルエンド出力のカスコード増幅回路であってもよい。
【0026】
一段目増幅回路が差動入力、差動出力の増幅回路である場合、前記二段目ゲイン回路は、差動入力、シングルエンド出力の増幅回路であってもよい。
【0027】
本出願の実施例では、一段目増幅回路の信号出力端は、二段目ゲイン回路の信号入力端に接続されている。例えば、以下の図3図4図6に示す回路構造では、M6のドレイン端とPMOSトランジスタM8のドレイン端との接続箇所が一段目増幅回路の信号出力端OUT1とされ、それが二段目ゲイン回路の信号入力端であるM11のゲート端に接続されている。さらに例えば、以下の図5に示す回路構造では、M4のドレイン端とM8のドレイン端との接続箇所が一段目増幅回路の信号出力端とされ、それが二段目ゲイン回路の信号入力端であるM11のゲート端に接続されている。
【0028】
本出願の実施例では、正帰還同調回路は、正帰還同調コンデンサを含んでもよく、この正帰還同調コンデンサの正端が一段目ゲイン回路に接続され、この正帰還同調コンデンサの負端がグランドGNDに接続されることにより、テール電流補償回路により形成される、一段目ゲイン回路へ出力される正帰還信号を抑制する。一実現形態では、この正帰還同調コンデンサの正端は、一段目ゲイン回路の入力差動ペアトランジスタのうち、演算増幅器の非反転入力端に接続されたMOSトランジスタのドレイン端に接続されている。なお、本出願の実施例による正帰還同調回路は、コンデンサ、抵抗、インダクタンス、能動デバイスのうちの一つ又は以上の四つのデバイスのうちの少なくとも二つの直並列組み合わせを含んでもよい。本明細書は、正帰還同調回路の構造を限定しない。
【0029】
本出願の実施例では、前記テール電流補償回路は、補償コンデンサを含んでもよく、そのうち、この補償コンデンサの負端は、前記一段目ゲイン回路における入力差動ペアトランジスタとテール電流源との接続箇所に接続され、前記補償コンデンサの正端は、前記二段目ゲイン回路の出力端に接続されている。なお、本出願の実施例によるテール電流補償回路は、図7に示すように、補償コンデンサと補償抵抗の直列構造を採用して実現されてもよい。また、テール電流補償回路もコンデンサ、抵抗、インダクタのうちの一種類又は以上の三種類のデバイスのうちの少なくとも二種類の直並列組み合わせであってもよく、同様に能動デバイスで実現されてもよい。
【0030】
以上から分かるように、本出願の実施例による演算増幅器は、テール電流補償により、ミラー補償回路の補償コンデンサと電源ノイズとを分離し、比較的に高い周波数でのミラー補償回路の補償コンデンサにより引き起こされる電源抑制の悪化を回避した。また、入力差動ペアトランジスタと入力共通ゲートトランジスタとにより、より大きな電流ゲインを提供できるので、同じ位相余裕のミラー補償、カスコード補償回路よりも、テール電流補償に基づくテール電流補償回路の方が補償コンデンサの容量値に対する要求が小さい。
【0031】
以下は、本出願の実施例による演算増幅器の実現形態について説明する。
一実施例では、演算増幅器は、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路と、正帰還同調回路とを含んでもよい。そのうち、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路を主信号経路とし、テール電流補償回路は、増幅器の位相余裕を向上させ、正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制する。
【0032】
図3は、本実施例における演算増幅器の例示的な回路構造図である。
図3に示すように、本例の演算増幅器は、電源端VDD、非反転入力ポートVIP、反転入力ポートVIN、出力ポートVout、及びバイアス電圧ポートVbias0/Vbias1/Vbias2/Vbias3を有する。
【0033】
図3に示すように、本例における一段目ゲイン回路は、NMOSトランジスタM1、M2、M3、M4、M5、M6と、PMOSトランジスタM7、M8、M9、M10とを含んでもよい。そのうち、M1、M2はテール電流源であり、M3~M6は一段目増幅回路(入力差動ペアトランジスタ)であり、M7~M10はカレントミラー負荷回路である。
【0034】
NMOSトランジスタM3のゲート端は、演算増幅器の非反転入力ポートVIPに接続され、NMOSトランジスタM4のゲート端は、演算増幅器の反転入力ポートVINに接続されており、M3、M4のソース端は、NMOSトランジスタM2のドレイン端と補償コンデンサCtailの負端に接続されており、M3のドレイン端は、NMOSトランジスタM5のソース端、正帰還同調コンデンサCaddの正端に接続されており、M4のドレイン端は、NMOSトランジスタM6のソース端に接続されている。NMOSトランジスタM5、M6のゲート端は、バイアス電圧端Vbias2に接続されており、M5のドレイン端は、PMOSトランジスタM7のドレイン端及びPMOSトランジスタM9、M10のゲート端に接続されており、M6のドレイン端とPMOSトランジスタM8のドレイン端との接続箇所は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1とされ、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1は、PMOSトランジスタM11のゲート端に接続されている。
【0035】
PMOSトランジスタM7、M8のゲート端は、バイアス電圧端Vbias3に接続されており、M7のソース端は、PMOSトランジスタM9のドレイン端に接続されており、M8のソース端は、PMOSトランジスタM10のドレイン端に接続されている。PMOSトランジスタM9、M10のゲート端は、NMOSトランジスタM5のドレイン端及びPMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、M9、M10のソース端は、電源端VDDに接続されている。
【0036】
NMOSトランジスタM2のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M2のソース端は、NMOSトランジスタM1のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM1のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続されており、M1のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0037】
図3に示すように、本例における二段目ゲイン回路は、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12、M13とを含んでもよい。そのうち、PMOSトランジスタM11のゲート端は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1(即ち、M6のドレイン端とM8のドレイン端との接続箇所)に接続されており、M11のソース端は、電源端VDDに接続されており、M11のドレイン端は、演算増幅器の出力端Vout、NMOSトランジスタM12のドレイン端、及び補償コンデンサCtailの正端に接続されている。NMOSトランジスタM12のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M12のソース端は、NMOSトランジスタM13のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM13のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M13のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0038】
図3に示すように、本例における補償回路は、補償コンデンサCtailを含んでもよい。そのうち、補償コンデンサCtailの正端は、演算増幅器の出力端Voutに接続され、かつPMOSトランジスタM11のドレイン端とNMOSトランジスタM12のドレイン端に接続されており、補償コンデンサCtailの負端は、NMOSトランジスタM3、M4のソース端及びNMOSトランジスタM2のドレイン端に接続されている。
【0039】
図3に示すように、本例における正帰還同調回路は、正帰還同調コンデンサCaddを含んでもよい。そのうち、正帰還同調コンデンサCaddの正端は、NMOSトランジスタM3のドレイン端、NMOSトランジスタM5のソース端に接続されており、正帰還同調コンデンサCaddの負端は、グランドGNDに接続されている。
【0040】
一実施例では、演算増幅器は、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路と、正帰還同調回路とを含んでもよい。そのうち、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路を主信号経路とし、テール電流補償回路は、増幅器の位相余裕を向上させ、正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制する。
【0041】
図4は、本例における演算増幅器の例示的な回路構造図である。
図4に示すように、本例における演算増幅器は、電源端VDD、非反転入力ポートVIP、反転入力ポートVIN、出力ポートVout、及びバイアス電圧ポートVbias0/Vbias1/Vbias2を有する。
【0042】
図4に示すように、本例における一段目ゲイン回路は、NMOSトランジスタM1、M2、M3、M4、M5、M6と、PMOSトランジスタM7、M8とを含んでもよい。そのうち、M1、M2はテール電流源であり、M3~M6は一段目増幅回路(入力差動ペアトランジスタ)であり、M7~M8はカレントミラー負荷回路である。
【0043】
NMOSトランジスタM3のゲート端は、演算増幅器の非反転入力ポートVIPに接続され、NMOSトランジスタM4のゲート端は、演算増幅器の反転入力ポートVINに接続されており、M3、M4のソース端は、NMOSトランジスタM2のドレイン端及び補償コンデンサCtailの負端に接続されており、M3のドレイン端は、NMOSトランジスタM5のソース端及び正帰還同調コンデンサCaddの正端に接続されており、M4のドレイン端は、NMOSトランジスタM6のソース端に接続されている。NMOSトランジスタM5、M6のゲート端は、バイアス電圧端Vbias2に接続されており、M5のドレイン端は、PMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、M6のドレイン端は、PMOSトランジスタM8のドレイン端に接続されており、この接続箇所は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1とされ、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1は、二段目ゲイン回路の信号入力端(即ち、PMOSトランジスタM11のゲート端)に接続されている。
【0044】
PMOSトランジスタM7、M8のゲート端は、NMOSトランジスタM5、PMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、M7、M8のソース端は、それぞれ電源端VDDに接続されている。
【0045】
NMOSトランジスタM2のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M2のソース端は、NMOSトランジスタM1のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM1のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M1のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0046】
図4に示すように、本例における二段目ゲイン回路は、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12、M13とを含んでもよい。そのうち、PMOSトランジスタM11のゲート端は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1(即ち、M6のドレイン端とM8のドレイン端との接続箇所)に接続されており、M11のソース端は、電源端VDDに接続されており、M11のドレイン端は、演算増幅器の出力端Vout、NMOSトランジスタM12のドレイン端、及び補償コンデンサCtailの正端に接続されている。NMOSトランジスタM12のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M12のソース端は、NMOSトランジスタM13のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM13のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M13のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0047】
図4に示すように、本例における補償回路、正帰還同調回路の構造及びその接続関係は、図3に対応する例と同じであり、説明を省略する。
【0048】
一実施例では、演算増幅器は、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路と、正帰還同調回路とを含んでもよい。そのうち、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路を主信号経路とし、テール電流補償回路は、増幅器の位相余裕を向上させ、正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制する。
【0049】
図5は、本例における演算増幅器の例示的な回路構造図である。
図5に示すように、本例における演算増幅器は、電源端VDD、非反転入力ポートVIP、反転入力ポートVIN、出力ポートVout、及びバイアス電圧ポートVbias0/Vbias1/Vbias3を有する。
【0050】
図5に示すように、本例における一段目ゲイン回路は、NMOSトランジスタM1、M2、M3、M4と、PMOSトランジスタM7、M8、M9、M10とを含んでもよい。そのうち、M1、M2はテール電流源であり、M3~M4は一段目増幅回路(入力差動ペアトランジスタ)であり、M7~M10はカレントミラー負荷回路である。
【0051】
NMOSトランジスタM3のゲート端は、演算増幅器の非反転入力ポートVIPに接続され、NMOSトランジスタM4のゲート端は、演算増幅器の反転入力ポートVINに接続されており、M3、M4のソース端は、NMOSトランジスタM2のドレイン端と補償コンデンサCtailの負端に接続されており、M3のドレイン端は、NMOSトランジスタM7のドレイン端、正帰還同調コンデンサCaddの正端に接続されており、M4のドレイン端は、NMOSトランジスタM8のドレイン端に接続されている。M4のドレイン端は、PMOSトランジスタM8のドレイン端に接続されており、かつこの接続箇所は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1とされ、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1は、二段目ゲイン回路の信号入力端(即ち、PMOSトランジスタM11のゲート端)に接続されている。
【0052】
PMOSトランジスタM7、M8のゲート端は、バイアス電圧端Vbias3に接続されており、M7のソース端は、PMOSトランジスタM9のドレイン端に接続されており、M8のソース端は、PMOSトランジスタM10のドレイン端に接続されている。PMOSトランジスタM9、M10のゲート端は、NMOSトランジスタM3、PMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、M9、M10のソース端は、電源端VDDに接続されている。NMOSトランジスタM2のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M2のソース端は、NMOSトランジスタM1のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM1のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M1のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0053】
図5に示すように、本例における二段目ゲイン回路は、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12、M13とを含んでもよい。そのうち、PMOSトランジスタM11のゲート端は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1(即ち、M4のドレイン端とPMOSトランジスタM8のドレイン端との接続箇所)に接続されており、M11のソース端は、電源端VDDに接続されており、M11のドレイン端は、演算増幅器の出力端Vout、NMOSトランジスタM12のドレイン端、及び補償コンデンサCtailの正端に接続されている。NMOSトランジスタM12のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M12のソース端は、NMOSトランジスタM13のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM13のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M13のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0054】
図5に示すように、本例における補償回路は、補償コンデンサCtailを含んでもよい。そのうち、補償コンデンサCtailの正端は、演算増幅器の出力端Voutに接続され、かつPMOSトランジスタM11のドレイン端とNMOSトランジスタM12のドレイン端に接続されており、補償コンデンサCtailの負端は、NMOSトランジスタM3、M4のソース端及びNMOSトランジスタM2のドレイン端に接続されている。
【0055】
図5に示すように、本例における正帰還同調回路は、正帰還同調コンデンサCaddを含んでもよい。そのうち、正帰還同調コンデンサCaddの正端は、NMOSトランジスタM3のドレイン端、NMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、正帰還同調コンデンサCaddの負端は、グランドGNDに接続されている。
【0056】
一実施例では、演算増幅器は、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路と、正帰還同調回路とを含んでもよい。そのうち、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路を主信号経路とし、テール電流補償回路は、増幅器の位相余裕を向上させ、正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制する。
【0057】
図6は、本例における演算増幅器の例示的な回路構造図である。
図6に示すように、本例における演算増幅器は、電源端VDD、非反転入力ポートVIP、反転入力ポートVIN、出力ポートVout、及びバイアス電圧ポートVbias1/Vbias2/Vbias3を有する。
【0058】
図6に示すように、本例における一段目ゲイン回路は、NMOSトランジスタM2、M3、M4と、PMOSトランジスタM7、M8、M9、M10とを含んでもよい。そのうち、M2はテール電流源であり、M3~M6は一段目増幅回路(入力差動ペアトランジスタ)であり、M7~M10はカレントミラー負荷回路である。
【0059】
NMOSトランジスタM3、M4のゲート端は、演算増幅器の非反転入力ポートVIPに接続され、NMOSトランジスタM4のゲート端は、演算増幅器の反転入力ポートVINに接続されており、M3、M4のソース端は、NMOSトランジスタM1のドレイン端及び補償コンデンサCtailの負端に接続されており、M3のドレイン端は、NMOSトランジスタM5のソース端、正帰還同調コンデンサCaddの正端に接続されており、M4のドレイン端は、NMOSトランジスタM6のソース端に接続されている。NMOSトランジスタM5、M6のゲート端は、バイアス電圧端Vbias2に接続されており、M5のドレイン端は、PMOSトランジスタM7のドレイン端及びPMOSトランジスタM9、M10のゲート端に接続されており、M6のドレイン端は、PMOSトランジスタM8のドレイン端に接続されており、その接続箇所は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1とされ、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1は、二段目ゲイン回路の信号入力端(即ち、PMOSトランジスタM11のゲート端)に接続されている。
【0060】
PMOSトランジスタM7、M8のゲート端は、バイアス電圧端Vbias3に接続されており、M7のソース端は、PMOSトランジスタM9のドレイン端に接続されており、M8のソース端は、PMOSトランジスタM10のドレイン端に接続されている。PMOSトランジスタM9、M10のゲート端は、NMOSトランジスタM5、PMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、M9、M10のソース端は、電源端VDDに接続されている。NMOSトランジスタM2のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続され、M2のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0061】
図6に示すように、本例における二段目ゲイン回路は、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とを含んでもよい。そのうち、PMOSトランジスタM11のゲート端は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1(即ち、M6のドレイン端とM8のドレイン端との接続箇所)に接続されており、M11のソース端は、電源端VDDに接続されており、M11のドレイン端は、演算増幅器の出力端Vout、NMOSトランジスタM12のドレイン端、及び補償コンデンサCtailの正端に接続されている。NMOSトランジスタM12のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続され、M12のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0062】
図6に示すように、本例における補償回路は、補償コンデンサCtailを含んでもよい。そのうち、補償コンデンサCtailの正端は、演算増幅器の出力端Voutに接続され、かつPMOSトランジスタM11のドレイン端とNMOSトランジスタM12のドレイン端に接続されており、補償コンデンサCtailの負端は、NMOSトランジスタM3、M4のソース端及びNMOSトランジスタM2のドレイン端に接続されている。
【0063】
図6に示すように、本例における正帰還同調回路は、正帰還同調コンデンサCaddを含んでもよい。そのうち、正帰還同調コンデンサCaddの正端は、NMOSトランジスタM3のドレイン端、NMOSトランジスタM5のソース端に接続されており、正帰還同調コンデンサCaddの負端は、グランドGNDに接続されている。
【0064】
一実施例では、演算増幅器は、一段目ゲイン回路と、二段目ゲイン回路と、テール電流補償回路と、正帰還同調回路とを含んでもよい。そのうち、一段目ゲイン回路と二段目ゲイン回路を主信号経路とし、テール電流補償回路は、増幅器の位相余裕を向上させ、正帰還同調回路は、テール電流補償回路によって引き込まれる正帰還信号を抑制する。
【0065】
図7は、本実施例における演算増幅器の例示的な回路構造図である。
図7に示すように、本例における演算増幅器は、電源端VDD、非反転入力ポートVIP、反転入力ポートVIN、出力ポートVout、及びバイアス電圧ポートVbias0/Vbias1/Vbias2/Vbias3を有する。
【0066】
図7に示すように、本例における一段目ゲイン回路は、NMOSトランジスタM1、M2、M3、M4、M5、M6と、PMOSトランジスタM7、M8、M9、M10とを含んでもよい。そのうち、M1、M2はテール電流源であり、M3~M6は一段目増幅回路(入力差動ペアトランジスタ)であり、M7~M10はカレントミラー負荷回路である。
【0067】
NMOSトランジスタM3、M4のゲート端は、演算増幅器の非反転入力ポートVIPに接続され、NMOSトランジスタM4のゲート端は、演算増幅器の反転入力ポートVINに接続されており、M3、M4のソース端は、NMOSトランジスタM2のドレイン端及び補償コンデンサCtailの負端に接続されており、M3のドレイン端は、NMOSトランジスタM5のソース端、正帰還同調コンデンサCaddの正端に接続されており、M4のドレイン端は、NMOSトランジスタM6のソース端に接続されている。NMOSトランジスタM5、M6のゲート端は、バイアス電圧端Vbias2に接続されており、M5のドレイン端は、PMOSトランジスタM7のドレイン端及びPMOSトランジスタM9、M10のゲート端に接続されており、M6のドレイン端とPMOSトランジスタM8のドレイン端との接続箇所は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1とされ、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1は、PMOSトランジスタM11のゲート端に接続されている。
【0068】
PMOSトランジスタM7、M8のゲート端は、バイアス電圧端Vbias3に接続されており、M7のソース端は、PMOSトランジスタM9のドレイン端に接続されており、M8のソース端は、PMOSトランジスタM10のドレイン端に接続されている。PMOSトランジスタM9、M10のゲート端は、NMOSトランジスタM5、PMOSトランジスタM7のドレイン端に接続されており、M9、M10のソース端は、電源端VDDに接続されている。
【0069】
NMOSトランジスタM2のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M2のソース端は、NMOSトランジスタM1のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM1のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M1のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0070】
図7に示すように、本例における二段目ゲイン回路は、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12、M13とを含んでもよい。そのうち、PMOSトランジスタM11のゲート端は、一段目ゲイン回路の信号出力端OUT1(即ち、M6のドレイン端とM8のドレイン端との接続箇所)に接続されており、M11のソース端は、電源端VDDに接続されており、M11のドレイン端は、演算増幅器の出力端Vout、NMOSトランジスタM12のドレイン端、及び補償抵抗Rtailの正端に接続されている。NMOSトランジスタM12のゲート端は、バイアス電圧端Vbias1に接続されており、M12のソース端は、NMOSトランジスタM13のドレイン端に接続されている。NMOSトランジスタM13のゲート端は、バイアス電圧端Vbias0に接続され、M13のソース端は、グランドGNDに接続されている。
【0071】
図7に示すように、本例における補償回路は、補償コンデンサCtailと補償抵抗Rtailとを含んでもよい。そのうち、補償抵抗Rtailの正端は、演算増幅器の出力端Voutに接続され、かつPMOSトランジスタM11のドレイン端とNMOSトランジスタM12のドレイン端に接続されており、補償コンデンサCtailの負端は、NMOSトランジスタM3、M4のソース端及びNMOSトランジスタM2のドレイン端に接続され、補償コンデンサCtailの正端は、補償抵抗Rtailの負端に接続されている。なお、実際の応用において、補償コンデンサCtailと補償抵抗Rtailの接続順番を限定しない。換言すれば、上記の接続方式以外に、以下の接続方式を採用してもよい。補償抵抗Rtailの負端は、NMOSトランジスタM3、M4のソース端及びNMOSトランジスタM2のドレイン端に接続され、補償コンデンサCtailの正端は、演算増幅器の出力端Voutに接続され、かつPMOSトランジスタM11のドレイン端とNMOSトランジスタM12のドレイン端に接続されており、補償抵抗Rtailの正端は、補償コンデンサCtailの負端に接続されている。
【0072】
図7に示すように、本例における正帰還同調回路は、正帰還同調コンデンサCaddを含んでもよい。そのうち、正帰還同調コンデンサCaddの正端は、NMOSトランジスタM3のドレイン端、NMOSトランジスタM5のソース端に接続されており、正帰還同調コンデンサCaddの負端は、グランドGNDに接続されている。
【0073】
以下は、図8に示すミラー補償に基づく演算増幅器、図9に示すカスコード補償に基づく演算増幅器と、本出願の実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器とを比較して、本出願の実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器の方が高周波数で電源抑制性能が良い理由を説明する。
【0074】
図8に示すように、ミラー補償に基づく演算増幅器であり、出力トランジスタのサイズが一般的に比較的に大きく、高周波数の時、M11のゲート-ソース寄生コンデンサCgs11によって引き起こされる電源抑制の悪化を考慮する必要がある。周波数が高くなるにつれて、電源上の干渉は、Cgs11を介してM11のゲート端に結合され、そして、ミラー補償抵抗Rmcとミラー補償コンデンサCmcを介して出力端Voutに結合されることで、演算増幅器の高周波数での電源抑制を悪化させる。
【0075】
図9に示すように、図9は、カスコード補償に基づく演算増幅器であり、補償コンデンサCcasはPMOS出力トランジスタM11のゲート端に接続されないため、高周波数分析の時、M11のゲート-ソース寄生コンデンサCgs11を考慮する必要がない。例示的に、周波数が高くなるにつれて、電源上の干渉は、PMOSトランジスタM10、M8と、NMOSトランジスタM6を介して、M4のドレイン端に結合され、同時に、M10とカスコード補償コンデンサCcasから出力端Voutに結合される。M10、M8、M6はゲート-ソース寄生コンデンサCgs11に比べて電源ノイズの抑制が高いため、カスコード補償コンデンサCcasを介して出力端Voutに結合される電源ノイズは、ミラー補償構造よりも遥かに小さい。そのため、演算増幅器の高周波数での電源抑制を向上させた。
【0076】
図10に示すように、図10は、本出願の実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器の例示的な回路構造であり、補償コンデンサCtailはPMOS出力トランジスタM11のゲート端に接続されないため、高周波数分析の時、同様にM11のゲート-ソース寄生コンデンサCgs11を考慮する必要がない。周波数が高くなるにつれて、電源上の干渉は、PMOSトランジスタM10、M8と、NMOSトランジスタM6、M4を介して、M2のドレイン端に結合され、そして、テール電流補償コンデンサCtailを介して出力端Voutに結合される。M5のソース端は、対地のフィードフォワード同調コンデンサCaddを有しているため、M9、M7とM5から結合される電源ノイズは、グランドにショートし、出力端に結合されることがない。このように、テール電流補償コンデンサは、より多くの抑制経路を通過したので、補償コンデンサを介して出力端に結合される電源ノイズは、カスコード補償構造よりも低い。そのため、高周波数での電源抑制特性は、より良好である。
【0077】
図11に示すように、本出願の実施例による演算増幅器は、補償コンデンサCtailを導入した後、出力信号がM3、M5、M10、M8とM11を通る正帰還ループが存在する。このように、正帰還同調回路を導入することにより、正帰還ループゲインを減衰させることができる。本出願の実施例では、図11に示すように、正帰還同調回路の一実現形態は、対地コンデンサCaddを採用し、この対地コンデンサCaddは、M3のドレイン端とM5のソース端に接続され、演算増幅器の安定性を確保することができる。
【0078】
以下は、ミラー補償、カスコード補償、テール電流補償に基づく演算増幅器がLDO回路を構築する場合の回路安定性について説明する。
【0079】
ミラー補償、カスコード補償、テール電流補償に基づく演算増幅器における補償デバイス値と補償結果の比較を下記表1に示す。表1は、位相余裕が同じである場合、補償デバイスの値と補償結果との比較を示す。位相余裕が等しいか又はほぼ等しい条件で、テール電流補償の補償コンデンサが最も小さく、ゲイン余裕が最も高く、ミラー補償の補償コンデンサが最も大きく、ゲイン余裕が最も低いことが分かる。
【0080】
【表1】
【0081】
図12は、異なる補償方式に基づく演算増幅器がLDOを構築する場合の、電源抑制性能のシミュレーション結果を示しており、そのうち、実線はテール電流補償(Tail Compensation)に対応し、2本の破線はそれぞれカスコード補償(Cascode Compensation)及びミラー補償(Miller Compensation)に対応する。図12から分かるように、ミラー補償に基づく演算増幅器が構築するLDOの最大電源抑制比(PSRR、Power Supply Rejection Ratio)は、-4.90dBであり、カスコード補償に基づく演算増幅器が構築するLDOの最大PSRRは、-12.64dBである。これに対して、本出願の実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器が構築するLDOの最大PSRRは、-25.19dBである。これからわかるように、本出願の実施例によるテール電流補償に基づく演算増幅器が構築するLDOでは、比較的に高い周波数での最大PSRRは、ミラー補償に基づく演算増幅器が構築するLDOと比較して、約20dB向上させることができる。
【0082】
当業者であれば理解できるように、上記明細書に開示された方法における全て又はなんらかのステップ、システム、装置における機能モジュール、ユニットは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実施されてもよい。ハードウェア実施形態では、上記の記述で言及された機能モジュール、ユニット間の分割は、必ずしも物理コンポーネントの分割に対応しない。例えば、一つの物理コンポーネントは、複数の機能を有してもよく、又は、一つの機能又はステップは、若干の物理コンポーネントによって協働して実行されてもよい。なんらかのコンポーネント又は全てのコンポーネントは、プロセッサ、例えば、デジタル信号プロセッサ又はマイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアとして実施され、又はハードウェアとして実施され、又は集積回路、例えば、特定用途向け集積回路として実施されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ可読媒体上に分散されてもよく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)と通信媒体(又は一時的媒体)を含んでもよい。当業者がよく知っているように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ可読指令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術で実施される揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不可な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory、EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、コンパクトディスクリードオンリメモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(Digital Video Disc、DVD)又は他の光ディスクメモリ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクメモリ又は他の磁気記憶装置、又は、所望の情報を記憶するために使用可能であり、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、それらに限定されない。なお、当業者がよく知っているように、通信媒体は、一般的に、コンピュータ可読指令、データ構造、プログラムモジュール、又はキャリアや他の伝送メカニズムのような変調されたデータ信号における他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含んでもよい。
図1
図2
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図7
図8
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図10
図11
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【国際調査報告】