(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(54)【発明の名称】歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 37/02 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
F16H37/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512713
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-23
(86)【国際出願番号】 CN2020109151
(87)【国際公開番号】W WO2022027723
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】202010766109.1
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405840
【氏名又は名称】江▲蘇▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 鎮
(72)【発明者】
【氏名】蔡 英鳳
(72)【発明者】
【氏名】陳 龍
(72)【発明者】
【氏名】田 翔
(72)【発明者】
【氏名】夏 長高
(72)【発明者】
【氏名】王 駿騁
(72)【発明者】
【氏名】韓 江義
(72)【発明者】
【氏名】朱 建国
(72)【発明者】
【氏名】▲ゾウ▼ 栄
(72)【発明者】
【氏名】曽 令新
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB06
3J062AB35
3J062AB40
3J062AC03
3J062BA31
3J062CG03
3J062CG15
3J062CG38
3J062CG46
(57)【要約】
【課題】本発明は、歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置を提供する。
【解決手段】該装置は、入力機構、二重環状タンデム伝動機構、液圧式伝動機構、出力部材、前部遊星歯車機構、中部遊星歯車機構、後部遊星歯車機構、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれる。上記の二重環状タンデム伝動機構の出力は、中部遊星歯車機構に接続され、上記の入力機構は、上記のクラッチ部品によりそれぞれ二重環状タンデム伝動機構に接続され、液圧式伝動機構の出力は、液圧式伝動機構と前部遊星歯車機構により中部遊星歯車機構に接続され、後部遊星歯車機構の出力は、出力部材に接続される。上記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力機構と出力部材との間の連続的なギア比を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力機構(1)、二重環状タンデム伝動機構(2)、液圧式伝動機構(4)、出力部材、前部遊星歯車機構(6)、中部遊星歯車機構(7)、後部遊星歯車機構(8)、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、前記の前部遊星歯車機構(6)、中部遊星歯車機構(7)、及び後部遊星歯車機構(8)は、タンデムで接続され、前記の二重環状タンデム伝動機構(2)の出力は、中部遊星歯車機構(7)に接続され、前記の入力機構(1)は、前記のクラッチ部品により二重環状タンデム伝動機構(2)、液圧式伝動機構(4)、及び前部遊星歯車機構(6)にそれぞれ接続され、液圧式伝動機構(4)の出力は、中部遊星歯車機構(7)に接続され、後部遊星歯車機構(8)の出力は、出力部材に接続され、前記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力機構(1)と出力部材との間の連続的なギア比を提供し得ることを特徴とする、歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項2】
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びに前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力機構(1)と出力部材との間の伝動方式を提供するには、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、液圧のシングルフロー伝動、歯車-二重環状の複合伝動、歯車-液圧の複合伝動、及び二重環状-液圧の複合伝動が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項3】
前記の前部遊星歯車機構(6)の遊星キャリアは、中部遊星歯車機構(7)の遊星キャリアに接続され、前記の前部遊星歯車機構(6)の太陽歯車は、二重環状タンデム伝動機構(2)の出力に接続され、前記の中部遊星歯車機構(7)の遊星キャリアは、後部遊星歯車機構(8)の太陽歯車に接続され、前記の後部遊星歯車機構(8)のリングギアは、出力部材に接続され、
前記のクラッチ部品は、クラッチL
1(13)、クラッチL
6(72)、及びクラッチL
7(85)が含まれ、前記のクラッチL
1(13)は、入力機構(1)と前部遊星歯車機構(6)のリングギアを選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のクラッチL
6(72)は、中部遊星歯車機構(7)のリングギアと前部遊星歯車機構(6)の太陽歯車を選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のクラッチL
7(85)は、後部遊星歯車機構(8)の太陽歯車と後部遊星歯車機構(8)の遊星キャリアを選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のブレーキ部品は、ブレーキB
2(71)とブレーキB
3(84)が含まれ、前記のブレーキB
2(71)は、中部遊星歯車機構(7)のリングギアを取り付け具に選択的に接続されるために使用され、前記のブレーキB
3(84)は、後部遊星歯車機構(8)の遊星キャリアを取り付け具に選択的に接続するために使用され、
前記のクラッチL
1(13)、クラッチL
6(72)、クラッチL
7(85)、及びブレーキB
2(71)を接合して、入力機構と出力部材との間で前進方向の歯車のシングルフロー伝動を提供し、前記のクラッチL
1(13)、クラッチL
6(72)、ブレーキB
2(71)、及びブレーキB
3(84)を接合して、入力機構と出力部材との間で反対方向の歯車のシングルフロー伝動を提供する
ことを特徴とする、請求項2に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項4】
前記のクラッチ部品は、さらにクラッチL
2(16)とクラッチL
3(22)が含まれ、前記のクラッチL
2(16)とクラッチL
3(22)は、共に入力機構(1)と二重環状タンデム伝動機構(2)の入力端を選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のブレーキ部品は、さらにブレーキB
1(61)が含まれ、前記のブレーキB
1(61)は、前部遊星歯車機構(6)のリングギアを取り付け具に選択的に接続されるために使用され、
二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びに前記のクラッチL
2(16)、クラッチL
3(22)、クラッチL
7(85)、及びブレーキB
1(61)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の二重環状のシングルフロー伝動を提供し、
二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びに前記のクラッチL
2(16)、クラッチL
3(22)、ブレーキB
1(61)、及びブレーキB
3(84)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の二重環状のシングルフロー伝動を提供する
ことを特徴とする、請求項3に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項5】
前記のクラッチ部品は、さらにクラッチL
4(42)とクラッチL
5(48)が含まれ、前記のクラッチL
2(16)とクラッチL
4(42)は、共に入力機構(1)と液圧式伝動機構(4)の入力端を選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のクラッチL
5(48)は、液圧式伝動機構(4)の出力端と中部遊星歯車機構(7)の太陽歯車を選択的に接続して共同回転させるために使用され、
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、並びに前記のクラッチL
2(16)、クラッチL
4(42)、クラッチL
5(48)、クラッチL
6(72)、クラッチL
7(85)、及びブレーキB
2(71)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の液圧のシングルフロー伝動を提供し、
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、並びに前記のクラッチL
2(16)、クラッチL
4(42)、クラッチL
5(48)、クラッチL
6(72)、ブレーキB
2(71)、及びブレーキB
3(84)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の液圧のシングルフロー伝動を提供する
ことを特徴とする、請求項4に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項6】
二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びにクラッチL
1(13)、クラッチL
2(16)、クラッチL
3(22)、及びクラッチL
7(85)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の歯車-二重環状の複合伝動を提供し、
二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びにクラッチL
1(13)、クラッチL
2(16)、クラッチL
3(22)、及びブレーキB
3(84)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の歯車-二重環状の複合伝動を提供する
ことを特徴とする、請求項4に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項7】
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、並びに前記のクラッチL
1(13)、クラッチL
2(16)、クラッチL
4(42)、クラッチL
5(48)、クラッチL
6(72)、及びクラッチL
7(85)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の歯車-液圧の複合伝動を提供し、
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、並びに前記のクラッチL
1(13)、クラッチL
2(16)、クラッチL
4(42)、クラッチL
5(48)、クラッチL
6(72)、及びブレーキB
3(84)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の歯車-液圧の複合伝動を提供する
ことを特徴とする、請求項5に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項8】
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、調整二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びにクラッチL
2(16)、クラッチL
3(22)、クラッチL
4(42)、クラッチL
5(48)、クラッチL
6(72)、及びクラッチL
7(85)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の二重環状-液圧の複合伝動を提供し、
液圧式伝動機構(4)の排気量比を調整すること、調整二重環状タンデム伝動機構(2)のギア比を調整すること、並びにクラッチL
2(16)、クラッチL
3(22)、クラッチL
4(42)、クラッチL
5(48)、クラッチL
6(72)、及びブレーキB
3(84)を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の二重環状-液圧の複合伝動を提供する
ことを特徴とする、請求項5に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項9】
前記の液圧のシングルフロー伝動は、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、歯車-二重環状のダブルフロー伝動、歯車-液圧のダブルフロー伝動のいずれか一つに同期的に切り替えることができ、前記の液圧のシングルフロー伝動は、任意の点で二重環状-液圧ダブルフロー伝動に切り替えることができることを特徴とする、請求項2に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【請求項10】
前記の二重環状のシングルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができ、前記の二重環状のシングルフロー伝動は、任意の点で歯車-二重環状のダブルフロー伝動に切り替えることができ、前記の歯車-二重環状のダブルフロー伝動と歯車-液圧のダブルフロー伝動と二重環状-液圧ダブルフロー伝動との間では、互いに同期的に切り替えることができることを特徴とする、請求項2に記載の歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速装置の分野に関し、特に歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯車による伝動は、効率が高いが、無段階速度調整に対する要求が満たされず、液圧式伝動は、無段階速度調整に対する要求が満たされるが、効率と精度が低く、環状の伝動は、効率と精度が高いが、ギア比の調整範囲が限られている。これに基づいて、複数の伝動方式を統合し、異なる作動状態に適応できる変速伝動装置は、良い開発の見通しがある。
【0003】
複合伝動は、シングルフロー伝動の利点を生かすことと共に、その欠陥を排除することができるため、変速伝動装置の発展動向になっている。複数の伝動方式を統合し、複合伝動に自由に組み合わせることができる伝動装置は、変速伝動装置の設計の新しい動向になる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、先行技術の不足について、歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置を提供し、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、液圧のシングルフロー伝動、歯車-二重環状の複合伝動、歯車-液圧の複合伝動、及び二重環状-液圧の複合伝動を統合して、様々な伝動方式の間で切り替えることができる。
【0005】
本発明は、以下の技術的手段により上記の技術目的を達成する。
【0006】
歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置は、入力機構、二重環状タンデム伝動機構、液圧式伝動機構、出力部材、前部遊星歯車機構、中部遊星歯車機構、後部遊星歯車機構、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、上記の前部遊星歯車機構、中部遊星歯車機構、及び後部遊星歯車機構は、タンデムで接続され、上記の二重環状タンデム伝動機構の出力は、中部遊星歯車機構に接続され、上記の入力機構は、上記のクラッチ部品によりそれぞれ二重環状タンデム伝動機構に接続され、液圧式伝動機構の出力は、液圧式伝動機構と前部遊星歯車機構により中部遊星歯車機構に接続され、後部遊星歯車機構の出力は、出力部材に接続され、上記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力機構と出力部材との間で連続的なギア比を提供し得る。
【0007】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びに上記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力機構と出力部材との間の伝動方式を提出することには、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、液圧のシングルフロー伝動、歯車-二重環状の複合伝動、歯車-液圧の複合伝動、及び二重環状-液圧の複合伝動が含まれる。
【0008】
さらに、上記の前部遊星歯車機構の遊星キャリアは、中部遊星歯車機構の遊星キャリアに接続され、上記の前部遊星歯車機構の太陽歯車は、二重環状タンデム伝動機構の出力に接続され、上記の中部遊星歯車機構の遊星キャリアは、後部遊星歯車機構の太陽歯車に接続され、上記の後部遊星歯車機構のリングギアは、出力部材に接続される。
【0009】
上記のクラッチ部品は、クラッチL1、クラッチL6、及びクラッチL7が含まれ、上記のクラッチL1は、入力機構と前部遊星歯車機構のリングギアを選択的に接続して共同回転させるために使用され、上記のクラッチL6は、中部遊星歯車機構のリングギアと前部遊星歯車機構の太陽歯車を選択的に接続して共同回転させるために使用され、上記のクラッチL7は、後部遊星歯車機構の太陽歯車と後部遊星歯車機構の遊星キャリアを選択的に接続して共同回転させるために使用され、上記のブレーキ部品は、ブレーキB2とブレーキB3が含まれ、上記のブレーキB2は、中部遊星歯車機構のリングギアを取り付け具に選択的に接続され、上記のブレーキB3は、後部遊星歯車機構の遊星キャリアを取り付け具に選択的に接続される。
【0010】
上記のクラッチL1、クラッチL6、クラッチL7、及びブレーキB2を接合し、入力機構と出力部材との間で前進方向の歯車のシングルフロー伝動を提供し、上記のクラッチL1、クラッチL6、ブレーキB2、及びブレーキB3を接合し、入力機構と出力部材との間で反対方向の歯車のシングルフロー伝動を提供する。
【0011】
さらに、上記のクラッチ部品は、さらにクラッチL2とクラッチL3が含まれ、上記のクラッチL2とクラッチL3は、共に入力機構と二重環状タンデム伝動機構の入力端を選択的に接続して共同回転させるために使用され、上記のブレーキ部品は、さらにブレーキB1が含まれ、上記のブレーキB1は、前部遊星歯車機構のリングギアを取り付け具に選択的に接続される。
【0012】
二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びに上記のクラッチL2、クラッチL3、クラッチL7、及びブレーキB1を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の二重環状のシングルフロー伝動を提供する。
【0013】
二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びに上記のクラッチL2、クラッチL3、ブレーキB1、及びブレーキB3を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の二重環状のシングルフロー伝動を提供する。
【0014】
さらに、上記のクラッチ部品は、さらにクラッチL4とクラッチL5が含まれ、上記のクラッチL2とクラッチL4は、共に入力機構と液圧式伝動機構の入力端を選択的に接続して共同回転させるために使用され、上記のクラッチL5は、液圧式伝動機構の出力端と中部遊星歯車機構の太陽歯車を選択的に接続して共同回転させるために使用される。
【0015】
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、並びに上記のクラッチL2、クラッチL4、クラッチL5、クラッチL6、クラッチL7、及びブレーキB2を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の液圧のシングルフロー伝動を提供する。
【0016】
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、並びに上記のクラッチL2、クラッチL4、クラッチL5、クラッチL6、ブレーキB2、及びブレーキB3を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の液圧のシングルフロー伝動を提供する。
【0017】
さらに、二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びにクラッチL1、クラッチL2、クラッチL3、及びクラッチL7を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の歯車-二重環状の複合伝動を提供する。
【0018】
二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びにクラッチL1、クラッチL2、クラッチL3、及びブレーキB3を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の歯車-二重環状の複合伝動を提供する。
【0019】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、並びに上記のクラッチL1、クラッチL2、クラッチL4、クラッチL5、クラッチL6、及びクラッチL7を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の歯車-液圧の複合伝動を提供する。
【0020】
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、並びに上記のクラッチL1、クラッチL2、クラッチL4、クラッチL5、クラッチL6、及びブレーキB3を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の歯車-液圧の複合伝動を提供する。
【0021】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、調整二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びにクラッチL2、クラッチL3、クラッチL4、クラッチL5、クラッチL6、及びクラッチL7を接合することにより、入力機構と出力部材との間で前進方向の二重環状-液圧の複合伝動を提供する。
【0022】
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、調整二重環状タンデム伝動機構のギア比を調整すること、並びにクラッチL2、クラッチL3、クラッチL4、クラッチL5、クラッチL6、及びブレーキB3を接合することにより、入力機構と出力部材との間で反対方向の二重環状-液圧の複合伝動を提供する。
【0023】
さらに、上記の液圧のシングルフロー伝動は、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、歯車-二重環状のダブルフロー伝動、歯車-液圧のダブルフロー伝動のいずれか一つに同期的に切り替えることができ、上記の液圧のシングルフロー伝動は、任意の点で二重環状-液圧ダブルフロー伝動に切り替えることができる。
【0024】
さらに、上記の二重環状のシングルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができ、上記の二重環状のシングルフロー伝動は、任意の点で歯車-二重環状のダブルフロー伝動に切り替えることができ、上記の歯車-二重環状のダブルフロー伝動と歯車-液圧のダブルフロー伝動と二重環状-液圧ダブルフロー伝動との間では、互いに同期的に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有益な効果は、次の通りである。
1.本発明に係る歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置は、二重環状のシングルフロー伝動が前部環状伝動機構と後部環状伝動機構をタンデムで用いられてなることにより、ギア比の調整範囲が拡大され、調整の精度と自由度が向上する。
2.本発明に係る歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置は、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、液圧のシングルフロー伝動、歯車-二重環状の複合伝動、歯車-液圧の複合伝動、及び二重環状-液圧の複合伝動を統合するマルチモードの複合伝動装置であり、異なる作動状態の要求に適する。
3.本発明に係る歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置では、様々な伝動方式を自由的に切り替えることが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明における歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置の構造原理図である。
【
図2】本発明における正の歯車のシングルフロー伝動の動力流れの模式図である。
【
図3】本発明における正の二重環状のシングルフロー伝動の動力流れの模式図である。
【
図4】本発明における正の液圧のシングルフロー伝動の動力流れの模式図である。
【
図5】本発明における正の歯車-二重環状の複合伝動の動力流れの模式図である。
【
図6】本発明における正の歯車-液圧の複合伝動の動力流れの模式図である。
【
図7】本発明における正の二重環状-液圧の複合伝動の動力流れの模式図である。
【
図8】本発明における負の歯車のシングルフロー伝動の動力流れの模式図である。
【
図9】本発明における負の二重環状のシングルフロー伝動の動力流れの模式図である。
【
図10】本発明における負の液圧のシングルフロー伝動の動力流れの模式図である。
【
図11】本発明における負の歯車-二重環状の複合伝動の動力流れの模式図である。
【
図12】本発明における負の歯車-液圧の複合伝動の動力流れの模式図である。
【
図13】本発明における負の二重環状-液圧の複合伝動の動力流れの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されない。
【0028】
図1に示すように、本発明に係る歯車-二重環状-液圧の複合伝動装置は、入力機構1、二重環状タンデム伝動機構2、液圧式伝動機構4、出力軸5、前部遊星歯車機構6、中部遊星歯車機構7、後部遊星歯車機構8、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれる。
【0029】
上記の入力機構1は、主クラッチL0 11、入力軸12、クラッチL1 13、入力機構の歯車対14、前車軸15、及びクラッチL2 16が含まれる。電源は、主クラッチL011に介して入力軸12接続され、上記の入力軸12は、クラッチL2 16に介して前部遊星歯車機構のリングギア62に接続され、上記の入力軸12は、入力機構の歯車対14に介して前車軸15に接続される。電源は、主クラッチL011に介して入力軸12に伝達された後で分路し、その一つの分路がクラッチL113に介して前部遊星歯車機構リングギア62に伝達され、もう一つの分路が入力機構の歯車対14とクラッチL216に介して前車軸15に伝達され、前車軸15に伝達された動力は、クラッチL322に介して二重環状タンデム伝動機構2の入力端に伝達されてもよく、クラッチL442に介して液圧式伝動機構4の入力端に伝達されてもよい。
【0030】
上記の二重環状タンデム伝動機構2は、二重環状タンデム伝動機構の歯車対21、クラッチL322、前部環状伝動機構23、後部環状伝動機構24、及び二重環状タンデム伝動機構の出力歯車対25が含まれる。前部環状伝動機構23と後部環状伝動機構24は、直列に接続され、上記の前部環状伝動機構23又は後部環状伝動機構24は、円環状面が軸方向に移動すると、2つの環状面間のローラーが曲面に沿ってスライドし、さらに伝動軸の夾角を変化させてギア比の変化を実現する。上記の前車軸15は、二重環状タンデム伝動機構の歯車対21に介して前部環状伝動機構23の入力に接続され、上記の後部環状伝動機構24の出力は、二重環状タンデム伝動機構の出力歯車対25に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車64に接続される。上記のクラッチL2 16とクラッチL3 22は、共に入力機構1と二重環状タンデム伝動機構2の入力端を選択的に接続して共同回転させるために使用される。
【0031】
上記の液圧式伝動機構4は、液圧式伝動機構の入力歯車対41、クラッチL4 42、ポンプ軸43、可変ポンプ44、定量モーター45、モーター軸46、液圧式伝動機構の出力歯車対47、及びクラッチL5 48が含まれる。上記の前車軸15は、液圧式伝動機構の入力歯車対41に介してポンプ軸43に接続され、上記のポンプ軸43は、可変ポンプ44を駆動して作動させ、上記の可変ポンプ44は、定量モーター45のモーター軸46を回転させるように駆動し、上記のモーター軸46は、液圧式伝動機構の出力歯車対47に介して中部遊星歯車機構の太陽歯車75に接続される。上記のクラッチL2 16とクラッチL4 42は、共に入力機構1と液圧式伝動機構4の入力端を選択的に接続して共同回転させるために使用され、上記のクラッチL5 48は、液圧式伝動機構4の出力端と中部遊星歯車機構7の太陽歯車を選択的に接続して共同回転させるために使用される。
【0032】
上記の中間軸3は、それぞれ前部遊星歯車機構の遊星キャリア63、中部遊星歯車機構の遊星キャリア74、及び後部遊星歯車機構の太陽歯車81に固定接続される。上記の前部遊星歯車機構6は、ブレーキB1 61、前部遊星歯車機構のリングギア62、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63、及び前部遊星歯車機構の太陽歯車64が含まれる。上記の前部遊星歯車機構のリングギア62は、クラッチL1 13に介して入力軸12接続され、ブレーキB1 61により取り付け具に接続され得る。上記の前部遊星歯車機構の太陽歯車64は、二重環状タンデム伝動機構2の出力端に接続されてもよく、クラッチL6 72に介して中部遊星歯車機構のリングギア73に接続されてもよい。上記の中部遊星歯車機構7は、ブレーキB2 71、クラッチL6 72、中部遊星歯車機構のリングギア73、中部遊星歯車機構の遊星キャリア74、及び中部遊星歯車機構の太陽歯車75が含まれる。上記の中部遊星歯車機構のリングギア73は、ラッチL6 72に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車64に接続されてもよく、ブレーキB2 71に介して取り付け具に接続されてもよい。上記の中部遊星歯車機構の太陽歯車75は、液圧式伝動機構4の出力端に接続される。上記の後部遊星歯車機構8は、後部遊星歯車機構の太陽歯車81、後部遊星歯車機構の遊星キャリア82、後部遊星歯車機構のリングギア83、ブレーキB3 84、及びクラッチL7 85が含まれる。上記の後部遊星歯車機構の遊星キャリア82は、クラッチL7 85に介して後部遊星歯車機構の太陽歯車81に接続されてもよく、ブレーキB3 84に介して取り付け具に接続されてもよい。上記の後部遊星歯車機構のリングギア83は、出力軸5に接続される。
【0033】
二重環状タンデム伝動機構2のギア比と液圧式伝動機構4の排気量比を調整すること、及び上記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力機構と出力部材との間の伝動を提供する方式は、歯車のシングルフロー伝動、二重環状のシングルフロー伝動、液圧のシングルフロー伝動、歯車-二重環状の複合伝動、歯車-液圧の複合伝動、及び二重環状-液圧の複合伝動が含まれる。以下、表1を参照して、具体的な例を挙げて説明する。
【0034】
図2と
図8に示すように、歯車のシングルフロー伝動は、前進方向と反対方向の歯車のシングルフロー伝動が含まれる。
【0035】
図2に示すように、前進方向の歯車のシングルフロー伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
1 13、クラッチL
6 72、クラッチL
7 85、及びブレーキB
2 71を接合すると、動力が主クラッチL
0 11、入力軸12、クラッチL
1 13、前部遊星歯車機構のリングギア62、及び前部遊星歯車機構の遊星キャリア63に介して中間軸3に伝達され、一体に固定接続された後部遊星歯車機構8に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、
【数1】
であり、式中、n
0は、出力軸5の回転速度であり、n
Iは、入力軸12の回転速度であり、k
1は、前部遊星歯車機構の特性パラメーターである。
【0036】
図8に示すように、反対方向の歯車のシングルフロー伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
1 13、クラッチL
6 72、ブレーキB
2 71、及びブレーキB
3 84を接合すると、動力が主クラッチL
0 11、入力軸12、クラッチL
1 13、前部遊星歯車機構のリングギア62、及び前部遊星歯車機構の遊星キャリア63に介して中間軸3に伝達され、後部遊星歯車機構の太陽歯車81と後部遊星歯車機構のリングギア83に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、
【数2】
であり、式中、k
3は、後部遊星歯車機構の特性パラメーターである。
【0037】
図3と
図9に示すように、二重環状のシングルフロー伝動は、前進方向と反対方向の二重環状のシングルフロー伝動が含まれる。
【0038】
図3に示すように、前進方向の二重環状のシングルフロー伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
2 16、クラッチL
3 22、クラッチL
7 85、及びブレーキB
1 61を接合すると、動力が入力機構1、二重環状タンデム伝動機構2、前部遊星歯車機構の太陽歯車64、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63に介して中間軸3に伝達され、一体に固定接続された後部遊星歯車機構8に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、
【数3】
であり、式中、i
1i
2は、入力軸12と前車軸15との間のギア比であり、i
3は、二重環状タンデム伝動機構の歯車対21のギア比であり、i
4は、二重環状タンデム伝動機構の出力歯車対25のギア比であり、i
T1は、前部環状伝動機構23のギア比であり、
【数4】
は、後部環状伝動機構のギア比であり、
【数5】
である。
【数6】
【0039】
図9に示すように、反対方向の二重環状のシングルフロー伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
2 16、クラッチL
3 22、ブレーキB
1 61、及びブレーキB
3 84を接合すると、動力が入力機構1、二重環状タンデム伝動機構2、前部遊星歯車機構の太陽歯車64、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63に介して中間軸3に伝達され、後部遊星歯車機構の太陽歯車81と後部遊星歯車機構のリングギア83に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数7】
【0040】
図4と
図10に示すように、液圧のシングルフロー伝動は、前進方向と反対方向の液圧のシングルフロー伝動が含まれる。
【0041】
図4に示すように、前進方向の液圧のシングルフロー伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
2 16、クラッチL
4 42、クラッチL
5 48、クラッチL
6 72、クラッチL
7 85、及びブレーキB
2 71を接合すると、動力が入力機構1、液圧式伝動機構4、中部遊星歯車機構の太陽歯車75、中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に介して中間軸3に伝達され、一体に固定接続された後部遊星歯車機構8に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、
【数8】
であり、式中、i
5は、液圧式伝動機構の入力歯車対41のギア比であり、i
6は、液圧式伝動機構の出力歯車対47のギア比であり、k
2は、中部遊星歯車機構の特性パラメーターであり、eは、液圧式伝動機構の排気量比であり、
【数9】
である。
【0042】
図10に示すように、反対方向の液圧のシングルフロー伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
2 16、クラッチL
4 42、クラッチL
5 48、クラッチL
6 72、ブレーキB
2 71、及びブレーキB
3 84を接合すると、動力が入力機構1、液圧式伝動機構4、中部遊星歯車機構の太陽歯車75、中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に介して中間軸3に伝達され、後部遊星歯車機構の太陽歯車81と後部遊星歯車機構のリングギア83に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数10】
【0043】
図5と
図11に示すように、歯車-二重環状の複合伝動は、前進方向と反対方向の歯車-二重環状の複合伝動が含まれる。
【0044】
図5に示すように、前進方向の歯車-二重環状の複合伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
1 13、クラッチL
2 16、クラッチL
3 22、及びクラッチL
7 85を接合すると、動力が主クラッチL
0 11と入力軸12に介して分路し、一つの分路が入力機構の歯車対14、クラッチL
2 16、前車軸15、及び二重環状タンデム伝動機構2に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車64に伝達され、もう一つの分路がクラッチL
1 13に介して直接前部遊星歯車機構のリングギア62に伝達され、ハイブリッド動力が前部遊星歯車機構の遊星キャリア63に介して中間軸3に伝達され、一体に固定接続された後部遊星歯車機構8に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数11】
【0045】
図11に示すように、反対方向の歯車-二重環状の複合伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
1 13、クラッチL
2 16、クラッチL
3 22、及びブレーキB
3 84を接合すると、動力が主クラッチL
0 11と入力軸12に介して分路し、一つの分路が入力機構の歯車対14、クラッチL
2 16、前車軸15、及び二重環状タンデム伝動機構2に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車64に伝達され、もう一つの分路がクラッチL
1 13に介して直接前部遊星歯車機構のリングギア62に伝達され、ハイブリッド動力が前部遊星歯車機構の遊星キャリア63に介して中間軸3に伝達され、後部遊星歯車機構の太陽歯車81と後部遊星歯車機構のリングギア83に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数12】
【0046】
図6と
図12に示すように、歯車-液圧の複合伝動は、前進方向と反対方向の歯車-液圧の複合伝動が含まれる。
【0047】
図6に示すように、前進方向の歯車-液圧の複合伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
1 13、クラッチL
2 16、クラッチL
4 42、クラッチL
5 48、クラッチL
6 72、及びクラッチL
7 85を接合すると、前部遊星歯車機構の太陽歯車64は、中部遊星歯車機構のリングギア73に接続され、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63は、中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に接続され、動力が主クラッチL
0 11と入力軸12に介して分路し、一つの分路がクラッチL
1 13に介して直接前部遊星歯車機構のリングギア62に伝達され、もう一つの分路が入力機構の歯車対14、クラッチL
2 16、前車軸15、及び液圧式伝動機構4に介して中部遊星歯車機構の太陽歯車75に伝達され、その時に再び分路し、第一の分路が中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に伝達され、第二の分路が中部遊星歯車機構のリングギア73に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車64に伝達され、前部遊星歯車機構に伝達されたリングギア62の機械動力フローと前部遊星歯車機構に伝達された太陽歯車64の液圧動力フローは、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63で合流した後、再び中部遊星歯車機構に伝達された遊星キャリア74の液圧動力フローと合流し、中間軸3に伝達され、一体に固定接続された後部遊星歯車機構8に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数13】
【0048】
反対方向の歯車-液圧の複合伝動
図12に示すように、主クラッチL
0 11、クラッチL
1 13、クラッチL
2 16、クラッチL
4 42、クラッチL
5 48、クラッチL
6 72、及びブレーキB
3 84を接合すると、前部遊星歯車機構の太陽歯車64と中部遊星歯車機構のリングギア73接続され、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63と中部遊星歯車機構の遊星キャリア74接続され、動力が主クラッチL
0 11と入力軸12に介して分路し、一つの分路がクラッチL
1 13に介して直接前部遊星歯車機構のリングギア62に伝達され、もう一つの分路が入力機構の歯車対14、クラッチL
2 16、前車軸15、及び液圧式伝動機構4に介して中部遊星歯車機構の太陽歯車75に伝達され、その時に再び分路し、第一の分路が中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に伝達され、第二の分路が中部遊星歯車機構のリングギア73に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車64に伝達され、前部遊星歯車機構に伝達されたリングギア62の機械動力フローと前部遊星歯車機構に伝達された太陽歯車64の液圧動力フローは、前部遊星歯車機構の遊星キャリア63で合流した後、再び中部遊星歯車機構に伝達された遊星キャリア74の液圧動力フローと合流し、中間軸3に伝達され、後部遊星歯車機構の太陽歯車81と後部遊星歯車機構のリングギア83に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数14】
【0049】
図7と
図13に示すように、二重環状-液圧の複合伝動は、前進方向と反対方向の二重環状-液圧の複合伝動が含まれる。
【0050】
図7に示すように、前進方向の二重環状-液圧の複合伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
2 16、クラッチL
3 22、クラッチL
4 42、クラッチL
5 48、クラッチL
6 72、及びクラッチL
7 85を接合すると、動力が入力機構1に介して分路し、一つの分路が二重環状タンデム伝動機構2に介して中部遊星歯車機構のリングギア73に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構4に介して中部遊星歯車機構の太陽歯車75に伝達され、ハイブリッド動力が中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に介して中間軸3に伝達され、一体に固定接続された後部遊星歯車機構8に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数15】
【0051】
図13に示すように、反対方向の二重環状-液圧の複合伝動は、主クラッチL
0 11、クラッチL
2 16、クラッチL
3 22、クラッチL
4 42、クラッチL
5 48、クラッチL
6 72、及びブレーキB
3 84を接合すると、動力が入力機構1に介して分路し、一つの分路が二重環状タンデム伝動機構2に介して中部遊星歯車機構のリングギア73に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構4に介して中部遊星歯車機構の太陽歯車75に伝達され、ハイブリッド動力が中部遊星歯車機構の遊星キャリア74に介して中間軸3に伝達され、後部遊星歯車機構の太陽歯車81と後部遊星歯車機構のリングギア83に介して出力軸5から出力される。このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係は、次の通りである。
【数16】
【0052】
【0053】
表中、1.「B」はブレーキを示し、「L」はクラッチを示す。
2.「▲」はギアシフト素子が接合することを示し、「△」はギアシフト素子が分離することを示す。
【0054】
実施例の中で選ばれたパラメーターは、
【数17】
である。
【0055】
このとき、出力軸の回転速度と入力軸の回転速度との関係の数式及びその速度調整範囲は、表2に示される。
【0056】
【0057】
図1の実施例の中で、
【数18】
は、入力軸12と二重環状タンデム伝動機構2のギア比であり、
【数19】
は、二重環状タンデム伝動機構2と前部遊星歯車機構太陽歯車のギア比であり、
【数20】
は、入力軸12と液圧式伝動機構4のギア比であり、
【数21】
は、液圧式伝動機構出力と後部遊星歯車機構太陽歯車のギア比である。
【0058】
液圧のシングルフロー伝動で起動し、
【数22】
である場合は、
【数23】
である。
【0059】
【数24】
が満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、歯車のシングルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【数25】
が共に満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、二重環状のシングルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【数26】
が共に満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、歯車-二重環状のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【数27】
が満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。任意の点で、液圧のシングルフロー伝動は、二重環状-液圧ダブルフロー伝動に切り替えることができ、その時に同期的に切り替えることはできないが、速度調整範囲が拡大された。
【0060】
任意の点で、二重環状のシングルフロー伝動は、歯車-二重環状のダブルフロー伝動に切り替えることができ、その時に同期的に切り替えることができないが、速度調整範囲が拡大された。
【数28】
が共に満たされた場合、二重環状のシングルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【0061】
【数29】
が満たされた場合、歯車-二重環状のダブルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【0062】
【数30】
が満たされた場合、歯車-二重環状のダブルフロー伝動は、二重環状-液圧ダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【0063】
【数31】
が満たされた場合、歯車-液圧のダブルフロー伝動は、二重環状-液圧ダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【実施例1】
【0064】
液圧のシングルフロー伝動で起動し、
【数32】
である場合は、
【数33】
である。
【0065】
e=0.75が満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、歯車のシングルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【数34】
が共に満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、二重環状のシングルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【数35】
が共に満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、歯車-二重環状のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。e=0.75が満たされた場合、液圧のシングルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。任意の点で、液圧のシングルフロー伝動は、二重環状-液圧ダブルフロー伝動に切り替えることができに、その時に同期的に切り替えることができないが、速度調整範囲が拡大された。
【0066】
任意の点で、二重環状のシングルフロー伝動は、歯車-二重環状のダブルフロー伝動に切り替えることができ、その時に同期的に切り替えることができないが、速度調整範囲が拡大された。
【数36】
が共に満たされた場合、二重環状のシングルフロー伝動は、歯車-液圧のダブルフロー伝動に同期的に切り替えることができる。
【0067】
【数37】
が満たされた場合、歯車-二重環状のダブルフロー伝動、歯車-液圧のダブルフロー伝動、及び二重環状-液圧ダブルフロー伝動間は、互いに同期的に切り替えることができる。
【0068】
上記の実施例が本発明の好ましい実施形態であるが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の実質的な内容から逸脱することなく、当業者になられ得る任意の明らかな改進、置換、又は変化は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0069】
1 入力機構
11 主クラッチL0
12 入力軸
13 クラッチL1
14 入力機構の歯車対
15 前車軸
16 クラッチL2
2 二重環状タンデム伝動機構
21 二重環状タンデム伝動機構の歯車対
22 クラッチL3
23 前部環状伝動機構
24 後部環状伝動機構
25 二重環状タンデム伝動機構の出力歯車対
3 中間軸
4 液圧式伝動機構
41 液圧式伝動機構の入力歯車対
42 クラッチL4
43 ポンプ軸
44 可変ポンプ
45 定量モーター
46 モーター軸
47 液圧式伝動機構の出力歯車対
48 クラッチL5
5 出力軸
6 前部遊星歯車機構
61 ブレーキB1
62 前部遊星歯車機構のリングギア
63 前部遊星歯車機構の遊星キャリア
64 前部遊星歯車機構の太陽歯車
7 中部遊星歯車機構
71 ブレーキB2
72 クラッチL6
73 中部遊星歯車機構のリングギア
74 中部遊星歯車機構の遊星キャリア
75 中部遊星歯車機構の太陽歯車
8 後部遊星歯車機構
81 後部遊星歯車機構の太陽歯車
82 後部遊星歯車機構の遊星キャリア
83 後部遊星歯車機構のリングギア
84 ブレーキB3
85 クラッチL7
【国際調査報告】