(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】包装部材用のガス排出バルブ機構
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20220826BHJP
F16K 15/14 20060101ALI20220826BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
B65D81/26 C
F16K15/14 D
B65D65/40 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571523
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2020005190
(87)【国際公開番号】W WO2020246704
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0065640
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521523132
【氏名又は名称】ソ ユン ソブ
(74)【代理人】
【識別番号】100086335
【氏名又は名称】田村 榮一
(72)【発明者】
【氏名】ソ ユン ソブ
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
3H058
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067BC03A
3E067CA04
3E067EA05
3E067FA01
3E067FC01
3E067GB02
3E067GD01
3E067GD02
3E086BA04
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3E086BB01
3E086BB47
3E086CA01
3H058AA13
3H058BB03
3H058BB33
3H058CA38
3H058CB04
3H058CC05
3H058EE05
3H058EE19
(57)【要約】
本発明は、密閉容器のガス排出用バルブ機構に関し、特に密閉容器の内部に発生するガスは排出し、外部ガスの流入は阻止する包装部材用の単方向ガス排出バルブ機構であり、包装部材の外表面に付着され、通気孔の縁に沿って、長手方向に延長して粘着された強粘着層とこの強粘着層の内方側に形成され、前記通気孔の上面を覆って粘着される弱粘着層を有し、強粘着層と弱粘着層の幅の調整、または弱粘着層の粘着の強度を調整し、包装部材内部に収容される内容物に適切なバルブの解放力の調整を行うことを可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物が収納された包装部材1の一の面に形成された通気孔を覆うように、前記包装材の外表面に取り付けられ、前記収容部が収容された包装部材内部のガスのみを外部に排出するように構成されていることを特徴とする包装部材用のガス排出バルブ機構であって、
前記包装部材用のガス排出バルブ機構Aは、
前記包装部材の外表面の前記通気孔1aに近接した位置に、長手方向の側縁を粘着して配設された強粘着層10と、
前記強粘着層10の内方側に位置して、前記通気孔1aの上面側を覆って粘着された弱粘着層20を有し、
前記包装部材1の内部にガスが発生したとき、前記強粘着層10は前記包装部材に粘着された状態で、前記弱粘着層20が加圧されて膨らみ、その一部を隆起させてガスを排出し、前記ガスの排出による加圧の解除により前記弱粘着層20が初期状態に復帰し、前記通気孔1aを密閉し、包装部材内部への外部空気の流入を遮断することを特徴とする
包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項2】
前記強粘着層10と前記弱粘着層20は、フィルムの形態に形成され、前記包装部材1の通気孔1aが形成された領域に付着されていることを特徴とする請求項1記載の包装部材用ガス排出バルブ機構。
【請求項3】
前記弱粘着層20と前記包装部材1の間に形成され、前記通気孔1aと中心を一致させて連通する更なる通気孔31が形成されている補助粘着層30を更に備え、
前記包装部材1が粗面化された素材で形成され、または前記包装部材に折り畳みじわが形成され平滑面が失われた前記包装部材の表面に粘着された状態を維持し、前記弱粘着層20による前記通気孔30の解放と閉鎖が円滑に行われるようにすることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項4】
前記強粘着層10は、前記弱粘着層20の両側にそれぞれ延在する部分の幅を、前記弱粘着層20の幅10に対し5の比率で構成されることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項5】
前記弱粘着層20は、シリコン性の粘着剤であることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項6】
前記弱粘着層20は、低比重PE、メタロセン、EVA、PB、EMA、EAA、EMAA、EMMAの中から選択されるいずれか一つであって、自己粘着性を有する樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項7】
前記弱粘着層20は、PEまたはPPのオレフィン樹脂に可塑剤と防曇剤が混合されていることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項8】
前記強粘着層10は、アクリル樹脂、ラバー樹脂、シリコン樹脂、ブチル樹脂の中から選択される一つであって、事項粘着性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項9】
弱粘着層20は、内部に低分子ポリイソブチレン(Polyisobutylene:PIB)を添加し、粘着状態が維持される同時に、時間の経過による外部転移による粘性を有するゲル状態を維持していることを特徴とする請求項1記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【請求項10】
前記弱粘着層20は、低比重PE、メタロセン、EVA、PB、EMA、EAA、EMAA、EMMAの中から選択されるいずれか一つであって、自己粘着力を有する樹脂により形成され、その一面にシリコン性の薄膜層をさらに形成されていることを特徴とする請求項8記載の包装部材用のガス排出バルブ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉容器内のガスを外部に排出するために用いられる逆止弁を備えるバルブ機構であり、特に、具体的には、密閉容器の内部に発生するガスを容器の外部に排出し、容器外部からのガスの流入は防止する一方向のガス排出バルブ機構であって、このガス排出バルブ機構は、密閉容器を構成する包装部材の外周面に付着されて用いられる。ガス排出バルブ機構は、包装部材に設けられた通気孔の側縁に長手方向の部分を粘着し前記包装部材の外周面に粘着される強粘着層と、この強粘着層の内方側に配設され、前記通気孔の上部面を覆って前記包装部材の外周面に粘着された弱粘着層とを備える。この包装部材用のガス排出バルブ機構は、強粘着層と弱粘着層の幅を適宜選択することにより、前記弱粘着層の包装部材に対する粘着強度を適宜調整することにより、包装部材の内部に収容された内容物とって、適切なガス排出を可能とする。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食品は、生産後、最終消費者に搬送され使用されるまでに、様々な流通過程を経ていく。
【0003】
食品は、流通過程及び保管中に、温度や湿度、熱、光、食品自体の化学的変化、微生物など、多様な内外的な影響を受ける。このような内外からの要因によって、流通及び保管過程で、食品としての機能、食品としての商品価値を喪失することがある。
【0004】
一方、ある種の食品は、流通過程及び保管時のため、その種類や形態、さらにはその特性などにより、多様な形態、材質の包装部材に収納される。食品を収納した包装部材は、外部から空気が流入し収納した収納した食品に接触することを防止するため、空気の流入を完全に遮断する密封構造を採用し、あるいは、包装部材の内部に生ずるガスを外部に排出可能とする煙突構造などが採用されている。
【0005】
特に、包装部材に、コーヒー豆や、発酵食品等の食品が収納し、保管したような場合、外部環境の変化や、経年変化により食品自体の熟成や発酵の進行等により化学変化が生ずる。このときに発生するガスより食品を収納した包装部材の内部の高圧となり、食品を収納した包装部材が損傷されるばかりか、収納された食品を変質させてしまう。
【0006】
上述したような問題を解決するため、韓国特許登録第10-1395609号(登録日:2014年5月9日)において、密閉容器のガス排出用の逆止弁機構が提案されている。
【0007】
ここで提案される密閉容器のガス排出用の逆止弁機構は、バルブハウジングと、このバルブハウジングに挿入設置された弾性体からなるディスクと、バルブハウジングに挿入設置され、上記ディスクを加圧支持するバルブカバーを備える。
【0008】
逆止弁機構を構成するバルブハウジングは、内部に、ディスクを固定支持するディスク支持部と、ディスク支持部の上部に設けられ、ディスクの外面を受容するディスク受容凹溝と、ディスク支持部の中央部とバルブカバーの加圧部により圧縮されるディスクの半径方向に放射状に多数される排出孔と、ディスク受容凹溝に連なって形成され、バルブカバーの突出部を受容する円柱溝と、この円柱溝と連なって形成され、バルブカバーの突出部を支持するバルブカバー離脱防止突起を備える。
【0009】
ディスクは、ガスが排出されるディスクホールが中心部に形成されている。
【0010】
バルブカバーは、上記突出部から中心の内側にはディスクの平坦面を加圧するための平坦面を持つ加圧部と、平坦面の終点から中央に亘って平坦面の断面の厚さより薄いフレームと、中央部に形成されガスを排出するための排出口と、外側に設けられた半円形状の突出部を備えている。
【0011】
また、他の従来の技術として、韓国特許登録第10-1655281号(登録日:2016年9月1日)において開示された包装パッケージ用のガス排出キャップがある。
【0012】
このガス排出キャップは、包装パッケージの片面に気密に結合される。ガス排出キャップは、中央部をくぼみとされた基底面を有し、この基底面の中央にガスを排出するための第1の排出孔が形成された本体と、基底面に固定され第1の排出孔を介して排出されるガスにより開閉されるスリットが形成されたフィルム部材と、このフィルム部材の上部に配置され、フィルム部材が本体側から離脱しないようにするため、フィルム部材の縁側が破れるよう、本体の基底面の縁側に結合され、中央に、第1の排出孔とスリットを介して排出されるガスを最終的に排出するための第2の排出孔が形成された蓋部材を備える。
【0013】
ガス排出キャップに備えるフィルム部材は、スリットがガスの圧力により、上側へ解放された後、フィルム部材自体が有する弾性によって原形の状態に復帰する性質を有する材料により構成されている。
【0014】
フィルム部材の上面には、スリットの気密性を維持するため、スリットを覆うテープが接着されるが、このテープは、ガス排出ができるようにスリットを基準に片側方向だけ接着され、第1の排出孔の底面にはガス以外の内容物の排出を防止できるフィルター部材が設けられ、本体の基底面上には、フィルム部材が基底面上に気密に配置され、微細な空気の流れを防止できるよう、粘液質層がコーティング処理されている。
【0015】
しかし、上述したような従来提案されている食品包装部材のガス排出用の機構は、微細な孔を利用し、包装部材の内部で発生したガスを外部へ排出する構成を備え、収納した食品の特性によって微細な孔が簡単に塞がり、本来の機能を発揮できなくなる問題点が頻繁に発生した。特に、上述したような複雑な構造のガス排出キャップを包装部材に付着することにより、別途の部品制作による費用の上昇をもたらし、経済性が劣る問題点が発生した。
【0016】
また、微細な孔を密閉するためにオイルのような粘液質層を形成し、バルブの開閉ができるよう構成しているが、包装部材に受容される食品の性質によって、バルブを解放する圧力と閉鎖する圧力が各々異なることにより、オイルを通じた(油膜を通じた)バルブの開閉が一定ではなく、食品包装部材が任意に破損されるほか、高温または高圧の環境下でオイルの染みや汚染により、外部の酸素が包装部材内部に流入し、収納された食品の変質をもたらす問題点が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記のような問題点を解決するため、案出されたものであり、本発明の目的は、コーヒー豆やその他の発酵食品などの物品を包装する包装部材に取り付けられ、搬送中に包装収容した物品から発生するガスを円滑に外部に排出し、外部からの空気の流入を遮断することにより、収容した物品の商品価値が毀損されることが防止できる新規形態の包装部材用のガス排出バルブ機構を提供することにある。
【0018】
特に、本発明は、フィルム形態で構成された強粘着層と強粘着層の下部の一部に形成される弱粘着層で構成され、包装部材の内部に発生するガスにより包装部材が膨張する場合、弱粘着剤が包装部材から離間して、ガス排出孔を解放し、包装部材内部のガスを外部に排出し、ガスを排出した後には、弱粘着層が排出孔を閉鎖する過程が自然と行われるようにすることで、ガスによる包装部材内部の圧力を除去し、外部酸素の流入は防止することにより、内部に収納保存された食品の変質を防止することができる新規形態の包装部材用ガス排出バルブ機構を提供することにある。
【0019】
また、本発明は、強粘着層と弱粘着層の大きさ、幅、厚さなどが簡単に調整可能であって、包装部材に収容されたコーヒー豆のような食品など、それぞれ異なったガス排出量、排出速度を有する食品に容易に対応することができるので、コーヒー豆や、その他各種発酵食品の包装品質を向上することができる新規形態の包装部材用ガス排出バルブ機構を提供することにある。
【0020】
さらに、本発明は、包装部材に収容された食品自体の熟成や発酵のような化学的な変化により発生するガスの円滑な排出と、内部への酸素の流入の遮断を保証し、包装部材に収容されたコーヒー豆やその他各種の発酵食品の収容包装した状態を安定的に維持できる新規な包装部材用ガス排出バルブ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述の技術課題を解決するために提案される本発明の一実施の形態に係るガス排出バルブ機構は、収容物を収容した包装部材に用いられるものであって、このガス排出バルブ機構Aは、包装部材1の一の面に形成された通気孔1aを覆って包装部材の一の外表面に付着され、包装部材内部に発生したガスのみを包装部材外部に排出する。この包装部材用のガス排出バルブ機構Aは、通気孔1aに近接した位置に、長手方向の側縁を粘着して配設された強粘着層10を備える。
【0022】
強粘着層10の内方側に位置して、通気孔1aの上方側を覆って弱粘着層20が粘着さている。
【0023】
包装部材1の内部にガスが発生したとき、強粘着層10は包装部材1の表面に接合された状態を維持したまま、弱粘着層20がそのガス圧により膨張する。この弱粘着層20の膨張により、強粘着層10の一部が持ち上げられて通気孔aを解放し、包装部材1の内部のガスを外部に排出する。ガスが排出されて包装部材1の内部の圧力が除去されると、強粘着層10の力により弱粘着層20が初期状態に復帰し、通気孔1aを密閉し、外部空気の包装部材1内部へ流入を遮断する。
【0024】
強粘着層10と弱粘着層20は、フィルムの形態であり、包装部材1の通気孔1aが形成された領域に粘着される。
【0025】
弱粘着層20と包装部材1の間には、さらに、包装部材1に形成され通気孔1aと中心を一致させて、更なる通気孔31が形成された補助強粘着層30を配設するようにしてもよい。
【0026】
補助粘着層30を設けることにより、包装部材1の表面が粗い材質である場合、または包装部材のしわなどにより、表面の平滑性の維持が難しい場合でも、弱粘着層20が包装部材1の表面に粘着された状態を維持し、弱粘着層20による通気孔1aの解放と閉鎖が円滑に行われる。
【0027】
強粘着層10は、弱粘着層20の両側にそれぞれ延在する部分の幅を、弱粘着層20の幅10に対し5の比率で構成される。
【0028】
弱粘着層20には、シリコン製の粘着剤を用いることができる。
【0029】
弱粘着層20は、低比重PE、メタロセン、EVA、PB、EMA、EAA、EMAA、EMMAの中から選択されるいずれか一つであって、自己粘着力を有する樹脂が用いられる。
【0030】
弱粘着層20は、PEまたはPPのオレフィン樹脂に可塑剤と防曇剤を混合したものが用いられる。
【0031】
強粘着層10は、アクリル樹脂、ラバー樹脂、シリコン樹脂、ブチル樹脂の中から選択される一つであって、粘着性を有する樹脂からなっていることを特徴とする。
【0032】
弱粘着層20は、内部に低分子ポリイソブチレン(Polyisobutylene:PIB)を添加し、粘着状態を維持させると同時に、時間の経過による外部転移により粘性を有するゲル形態を維持することが望ましい。
【0033】
弱粘着層20は、低比重PE、メタロセン、EVA、PB、EMA、EAA、EMAA、EMMAの中から選択されるいずれか一つであって、自己粘着力を有する樹脂により形成され、その一面にシリコン製の薄膜層が形成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0034】
上述したように、本発明の一実施の形態としての包装部材用のガス排出バルブ機構は、コーヒー豆やその他の発酵食品のごとく、包装されて輸送される物品の包装部材に取り付けられ、輸送中に物品から発生するガスを、円滑に排出し外部空気の流入を遮断することで、物品の商品価値が毀損されることを防止するができる。
【0035】
また、本実施の形態に係る包装部材用ガス排出バルブ機構は、フィルム形態に構成された強粘着層と強粘着層の下部の一部に形成される弱粘着層で構成され、弱粘着層が包装部材に形成されたガス排出の通気孔の上面に粘着される形態で、この通気孔を密閉することにより、内部にガスが発生して包装部材が膨張したとき、弱粘着層がガスの圧力により包装部材から離間され、通気孔を解放することでガスを排出し、ガスの排出後は弱粘着層が通気孔を閉鎖する工程が自然と行われることで、包装部材に収容された食品自体の熟成や発酵などのような化学的変化により発生するガスの円滑な排出と酸素流入の遮断を保証することができ、包装部材に収容されたコーヒー豆やその他の各種発酵食品などの食品の包装状態を安定的に維持できる。
【0036】
さらに、本実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構は、強粘着層と弱粘着層の大きさ、幅、厚さなどを適宜に調整することが可能であり、包装部材に収容されたコーヒー豆のような食品の各々異なったガス排出量、排出速度に応じて適宜対応することが容易であり、コーヒー豆やその他の各種発酵食品の包装品質を向上させることができる。
【0037】
特に本実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構は、包装部材内部のコーヒー豆や発酵食品のように食品自体の化学的変化により発生するガスの排出はもちろん、即席食品の調理時に発生する蒸気の排出にも簡単に適用し使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す斜視図である。
【0039】
【
図2a】
図2aは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す
図1のA-A線断面図である。
【0040】
【
図2b】
図2bは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す
図1のB-B線断面図である。
【0041】
【
図2c】
図2cは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構がガスにより解放された状態を示す
図1のA-A線断面図である。
【0042】
【
図2d】
図2dは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構がガスにより解放された状態を示す
図1のB-B線断面図である。
【0043】
【
図3a】
図3aは、本発明の第2の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す
図1のA-A線断面図である。
【0044】
【
図3b】
図3bは、本発明の第2の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す
図1のB-B線断面図である。
【0045】
【
図3c】
図3cは、本発明の第2の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構がガスにより解放された状態を示す
図1のA-A線断面図である。
【0046】
【
図3d】
図3dは、本発明の第2の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構がガスにより解放された状態を示す
図1のB-B線断面図である。
【0047】
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る包装部材用ガス排出バルブ機構を示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下は、本発明の実施例を、図面を参照して、本発明が属する技術分野の通常の知識を持つ者が容易に実施できるように詳細を説明する。
なお、以下の本発明に関する説明は、本発明の構造的ないし機能を説明するための一つの例に過ぎないものであって、本発明の技術的範囲は、以下に説明される実施例により制限されるものではない。すなわち、本発明の実施例は、様々な変更が可能であり、様々な形態を持つことが可能であるため、本発明の技術的範囲は、本発明の技術的思想を実現できる均等物を含めているものと理解されるべきである。また、本発明で提示された目的、または効果は特定の実施例がこれらを全て含むものでもなく、そのような効果のみに制限されるものでもなく、これにより本発明の技術的範囲がこれによって制限されるものでもない。
【0049】
一方、本発明の説明で用いる用語の意味は、次のように理解しなければならない。
【0050】
「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するためのものであり、これらの用語により権利範囲が限定されるものではない。
例えば、第1の構成要素は、第2の構成要素で命名することができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素で命名することができる。
【0051】
ある構成要素が他の構成要素に「繋がって」いると言及された場合は、その他の構成要素へ直接繋がることもできるが、その間に他の構成要素が存在することも可能と理解されるべきである。その反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接繋がって」いると言及された場合は、その間に他の構成要素が存在していないと理解されるべきである。一方、構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「~間に」と「すぐ~間に」または、「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども同様に解釈されるべきである。
【0052】
単数の表現は、文脈上明白に異なった意味を表していない限り、複数の表現を含めていることと理解されるべきであり、「含める」または「持つ」などの用語は、設置、装備された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、または、これらを組み合わせたものが存在していることを指すためであり、一つまたはそれ以上の異なる特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、またこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を、先に排除しないことと理解されるべきである。
【0053】
ここで使用される全ての用語は、異なった定義をしない限り、本発明が属する分野の通常の知識を持つ者により、一般的に理解されるものと同一の意味を持つ。一般的に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上の持つ意味と一致するものと解釈されるべきであり、本発明で明白に定義していない限り、字義通りに、あるいは過度に形式的意味に解釈されるものではない。
【0054】
【0055】
以下、本発明の実施の形態に係る包装部材用ガス排出バルブ機構について図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
添付図面の
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構を包装部材に付着した状態を示す斜視図であり、
図2aは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す
図1のA-A線断面図であり、
図2bは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構が包装部材に付着された状態を示す
図1のB-B線断面図であり、
図2cは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構がガスにより解放された状態を示す
図1のA-A線断面図であり、
図2dは、本発明の第1の実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構がガスにより解放された状態を示す
図1のB-B線断面図である。
【0057】
【0058】
従来提案されている包装部材のガス排出を制御するためのバルブ機構は、複雑な構造のプラスチック成型部品を包装部材に付着し、ガスの排出を制御するか、オイルを利用し油膜を形成し、包装部材の内部に発生するガスを除去している。本発明は、従来の技術が有する構造の複雑性による製造不良、生産原価の上昇などの問題点と、油膜を利用して外部酸素の進入を遮断する過程で発生する油膜の汚染、オイルの外部流出のような問題を防止し、低コストで、様々な食品の包装部材に簡単に適用し使用可能とする包装部材用のガス排出バルブ機構100であり、このガス排出バルブ機構100は、それぞれ異なった強さの粘着性を有するフィルムを積層して構成され、各々のフィルムが有する自己粘着性を適宜選択することにより、包装部材の内部に収容される食品から発生するガスの量によって粘着性を変更、またはバルブの大きさを調整することにより、適切にガス排出バルブ機構の解放と閉鎖を実現するものである。さらに、ガス排出バルブ機構は、包装部材とこの包装部材に粘着されるフィルムに改質剤を添加することにより、粘弾性を有するゲルの形態を構成し、高圧はもちろん低圧でも問題なくバルブ機構が開閉される構成を実現することで、包装部材に収容された食品の包装状態での汚染をなくし安定した包装状態を維持できるようにするとともに、高圧環境や高温環境でも安定的な包装状態を維持可能とするものである。
【0059】
【0060】
本発明に係る包装部材用のガス排出バルブ機構100は、
図1に示すように、内部に収容物が保管される包装部材1の一つの面に形成された通気孔1aに付着され、包装部材1の内部に発生するガスのみを外部に排出できるようにした包装部材用のガス排出バルブ機構100である。この包装部材用のガス排出バルブ機構100は、通気孔1aに近接した位置に、長手方向の側縁を粘着して配設された強粘着層10と、強粘着層10の内方側に位置して、通気孔1aの上面側を覆って粘着された弱粘着層20を有し、包装部材1の内部にガスが発生したとき、そのガス圧により弱粘着層1aによる通気孔1aを閉塞した状態が開放され、包装部材1の内部のガスを外部に排出し、包装部材1内からガスが排出され、包装部材1内部の圧力が除去されると、弱粘着層20が初期状態に復帰し、通気孔1aを密閉し、外部空気の包装部材1内部への流入を遮断する。
【0061】
強粘着層10と弱粘着層20は、フィルムにより構成され、包装部材1の通気孔1aが形成された位置に粘着されている。これら強粘着層10と弱粘着層20は、図示しない離型紙により覆われ保護されている。
【0062】
また、弱粘着層20の両側に位置して補助強粘着層30が形成され、弱粘着層20の一部が包装部材の内部圧力により上昇されたとき、強粘着層10の縁部分の付着状態をしっかりと維持する。
【0063】
さらに、強粘着層10と弱粘着層20の幅は、弱粘着層20の幅が10である場合、弱粘着層20の両側に形成された強粘着層10の部分の幅は、弱粘着層10の幅に対し5の割合で構成することができるが、包装部材の内部に収容される食品内容物により、その幅と長さは適宜調整される。
【0064】
一例として、包装部材用のガス排出バルブ機構100の幅を20mmとしたとき、弱粘着層20の幅は10mmとされ、弱粘着層20の上部に形成される強粘着層10は、20mmで弱粘着層20の両側に5mmずつ拡張された状態で包装部材1に粘着される。この時、粘着の強度は、弱粘着層20が2gf~200gfの粘着強度を有し、強粘着層10は1000gf~3000gfの粘着強度を有する。
【0065】
さらに、本発明に係る包装部材用のガス排出バルブ機構は、フィルム形態の強粘着層と弱粘着層が積層されて構成されていることで、包装部材内部に収容される食品から発生するガスの量、包装部材内のガスの圧力の圧力環境、または温度環境によってガス排出バルブ機構を構成する弱粘着層の粘着力を化学的に調整することにより、解放圧力と閉鎖圧力、並びにガスの排出速度などの調整が可能であって、包装された食品によって適切な開閉圧力を持つガス排出バルブ機構を提供することができる。
【0066】
一方、弱粘着層20は、包装部材の表面に粘着できるようシリコン粘着剤で形成され、ゲル形態が維持できるように構成され、包装部材内部の圧力によるガスの外部排出を容易に可能となし、内部圧力が除去された後は、ゲル形態の弱粘着層20が、再び包装部材の表面に粘着されることで外部酸素の流入を物理的に遮断する。
【0067】
弱粘着層20の他の例として、この弱粘着層20は、低比重PE、メタロセン、EVA、PB、EMA、EAA、EMAA、EMMAの中から選択されるいずれか一つであって、自己粘着力を有する樹脂により形成することができる。
【0068】
弱粘着層20のさらに他の例として、PEまたはPPのオレフィン樹脂に可塑剤と防曇剤を混合したもので構成することができ、包装部材と密着される面にシリコンの薄膜層を形成し、粘着性を持続させると同時に粘着力を向上させることができる。
【0069】
さらに、弱粘着層20は、内部に低分子のポリイソブチレン(Polyisobutylene:PIB)を添加し、粘着した状態を維持すると同時に経時変化により低分子ポリイソブチレン(Polyisobutylene:PIB)が外部に転移するマイグレーション効果によって粘性を有するゲル形態を維持することができる。
【0070】
実施例
【0071】
一方、強粘着層10は、アクリル樹脂、ラバー樹脂、シリコン樹脂、ブチル樹脂の中から選択される一つの粘着性を有する樹脂により形成される。
【0072】
上述したように構成された本発明に係る包装部材用のガス排出バルブ機構の動作状態を
図2aないし
図2dを参照とし説明する。
【0073】
図2aないし
図2dは、包装部材1の通気孔1aが形成された部分の外周面に包装部材用のガス排出バルブ機構100が粘着された状態を示すものであって、
図1のA-A線とB-B線に沿った断面を表したものである。
【0074】
図2aないし
図2dに示すように、包装部材1に設けた通気孔1aの上部を覆うようにして排出バルブ機構100が配設されている。この排出バルブ機構100を構成する弱粘着層20が、包装部材1の外表面に粘着され、包装部材1の通気孔1aを密閉する。このとき、強粘着層10が、弱粘着層20を覆い、弱粘着層20の長手方向の両縁に位置する部分を包装部材1の外表面に粘着し、その下側である包装部材1側に位置する弱粘着層20を保護する形態で設置されている。
【0075】
上述したように、ガス排出バルブ機構100が設置された包装部材の内部に収容されたコーヒー豆やその他の発酵食品のごとく、食品自体の化学的変化により包装部材内部にガスが発生すると、
図2cないし
図2dに示すように、包装部材がガスの圧力により膨らむ。そして、包装部材内部のガスは通気孔1aを通じて包装部材の外部に排出される。このとき、通気孔1aに流入したガスにより、弱粘着層20は、この弱粘着層20の外側を長手方向に亘って覆い固定する強粘着層10に覆われた状態で、通気孔1aに対応する部分が膨出され、包装材の外部に連通する解放部分A(
図2C及び
図2d参照)を形成し、ガスを包装部材の外部に排出する。
【0076】
また、解放部分Aによって、包装部材内部のガス圧力が開放されると、膨らんでいた包装部材は元の状態に戻り、内部圧力が除去されると同時に膨出していた弱粘着層20も原状に復帰して通気孔1aの外周面に密着し、解放部分Aが閉鎖されることで、外部の酸素が包装部材1の内部に流入されることを物理的に遮断し、包装部材内部に収容されたコーヒー豆やその他の発酵食品など食品の汚染及び変質を防止することができる。
【0077】
さらに、
図3aないし
図3dに示すように、弱粘着層20を覆う強粘着層10の下方側に補助強粘着層30を形成するようにしてもよい。補寿粘着層30を設けることにより、包装部材1と強粘着層10の粘着状態をより強固にすることができ、紙製の包装部材のように表面が粗い場合や、包装部材を折りたたんでしわが生じ平滑な面の維持が難しい場合でも、包装部材の表面に付着された補助強粘着層30によって、弱粘着層20の安定した変形が可能となる。
【0078】
従って、包装部材1を紙などのような表面が粗い材質で構成した場合、自己粘着性を有するゲル状の補助強粘着層30を包装部材1の粗い表面に粘着し、この補助粘着層20上に弱粘着層20を形成して通気孔1aを閉鎖した状態で、さらにその上部に強粘着層10を形成することで、強粘着層10の一層強固な粘着状態を保証することができる。
【0079】
すなわち、補助強粘着層30には、
図3a、
図3bに示すように、中央部分に包装部材1に形成した通気孔1aと中心を一致させて更なる通気孔31を形成した状態で、包装部材1に粘着され、その上部に弱粘着層20と強粘着層10が積層された構成を備える。
【0080】
上述したように構成されたガス排出バルブ機構において、包装部材内部にガスが発生し、内部圧力が高くなると、包装部材内部のガスが通気孔1aと更なる通気孔31を貫通し、弱粘着層20を加圧し、このガスにより加圧された部分が膨出され、
図3c、
図3dに示すように、ガスが排出される排出空間Aを形成する。
【0081】
そして、ガスが排出され包装部材内部の圧力が解放されると、前述したと同様に、弱粘着層20が原状復帰し補助強粘着層30の表面に粘着し、排出空間Aを閉鎖することで、包装部材内部に収容されたコーヒー豆やその他の発酵食品の包装状態を安定的かつ衛生的に維持できる。
【0082】
さらに、本発明に係る包装部材用のガス排出バルブ機構100は、
図4に示すように、包装部材の形や包装部材1の内部に発生するガスの圧力に応じて、円型または長方形の形状に構成するようにしてもよい。
【0083】
図4に示す実施の形態においても、強粘着層10は、包装部材1に形成した通気孔1aの上面に粘着された弱粘着層20を覆い、その両側縁に延在する部分を包装部材1の外表面に粘着する構造は前述した実施の形態と同様である。
【0084】
上述したように構成された本発明に係る包装部材用のガス排出バルブ機構100は、使用する現場の設備状況により、強粘着層10と弱粘着層20をフィルムにより構成し、このフィルムをロール状に巻取りした状態で製造し、このロール状に巻かれた状態の部材を自動化ラインのパンチング工程で個々のガス排出バルブ機構に打ち抜き加工し、包装部材表面に粘着してこのガス排出バルブ機構100を完成するするようにしてもよい。また、ロール状に巻回した部材から一枚一枚を打ち抜き加工する工程から、ガス排出バルブ機構を組み立てる工程を自動化ラインで行うことを可能とする。
【0085】
上述したように、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して開示した。ここで、本発明を説明する目的で、本明細書の全体を通じて、特定の用語が使用されたが、これは単に本発明を説明するために使用するものであって、意味を限定するほか特許請求範囲に記載された本発明の技術的な範囲を限定するために使用したものではない。従って、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これにより種々の修正や、他の同等の実施の形が可能である点を理解することができるであろう。その結果、本発明の技術的範囲は、添付した特許請求範囲の記載で定義される技術的思想により決定されるべきである。
【0086】
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上で説明したように、本発明の望ましい一実施の形態に係る包装部材用のガス排出バルブ機構は、コーヒー豆やその他の発酵食品のごとく、包装され搬送される物品の包装部材に取り付けることにより、搬送中に収容物品から発生されるガスを、円滑に排出し、外部空気の流入を遮断することにより、収容物品の商品価値が毀損されることを防止できる。
【0088】
また、本発明に係る包装部材用ガス排出バルブ機構は、フィルム形態で構成された強粘着層と強粘着層の下方側の一部に形成された弱粘着層を備え、弱粘着層が包装部材に形成されたガス排出用の通気孔の上面に粘着される形態でこの通気孔を密閉し、包装部材の内部にガスが発生し、包装部材が膨張した場合、弱粘着層が圧力により包装部材から離間され通気孔を解放することによってガスを排出し、ガスの排出後には弱粘着層が通気孔を閉鎖する工程が自ずと行われることで、包装部材に収容された食品自体の熟成や発酵などによる化学的な変化によって発生すガスの円滑な排出と酸素流入の遮断を保証することができ、包装部材に収容されたコーヒー豆やその他の発酵食品などの包装状態を安定的に維持できる。また、包装部材用のガス排出バルブは、強粘着層と弱粘着層の大きさ、幅、厚さなどを簡単に調整することができ、包装部材に収容されたコーヒー豆のような食品の各々異なったガス排出量、排出速度に容易に対応することができ、コーヒー豆やその他発酵食品の包装品質を向上させることができるため、産業上利用可能性がある発明と言える。
【国際調査報告】