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特表2022-538392電子医療記録データブロックチェーンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】電子医療記録データブロックチェーンシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20220826BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575237
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020038781
(87)【国際公開番号】W WO2020257677
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/863,637
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/863,655
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/906,946
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.JAVASCRIPT
3.Dojo
(71)【出願人】
【識別番号】521550183
【氏名又は名称】エレクトロニック・ヘルス・レコード・データ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONIC HEALTH RECORD DATA, INC.
【住所又は居所原語表記】101 Jim Wright Freeway, Suite 200, Fort Worth, TX 76108, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】オーストリング、ロナルド・レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ヒル・シニア、ケネス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】クロスリン、ブラド・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン・ザ・サード、クリントン・エス
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
複数のエンティティ(例えば、データ、サービス、製品提供者として行動することができる薬局業界エンティティ及び消費者)が電子健康記録(EHR)患者トランザクションブロックチェーン(例えば、EHRデータ-BC)及びEHRデータ患者ポータル(例えば、EHRデータ-PP)に接続して、メッセージ及び続く編集の中央ロケーションを提供して、ユニフォームメッセージデータを保証することを可能にするよう構成されたEHRデータブロックチェーンシステムが提示される。EHRデータブロックチェーンシステムは、EHRデータAPI、EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI及びEHR患者トランザクションブロックチェーンを含むことができる。EHRデータAPIは、患者識別可能情報(PII)にアクセスし且つそれを取得し、及び特定の患者の非患者識別可能単一目的患者ID(SPPID)を生成することができる。EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI(例えば、EHRデータ-BC-API)は、機能の中でもとりわけ、SPPIDを記憶し、患者についてEHRから取得された特定の離散データを記憶し、スマートコントラクトを実行し、且つデジタル通貨送金の実行を制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンベースの患者トランザクションを提供するためのシステムであって、
ブロックチェーンを記憶するように構成された1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体と、
コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むデータアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムであって、前記コンピュータプログラム命令は、実行されると、前記データAPIシステムに、
患者に関する新しいブロックチェーントランザクションの要求を受信することと、
患者電子健康記録が存在するか否かを判断するために患者ルックアップクエリを開始することと、
前記患者電子健康記録と関連付けられた単一目的患者ID(SPPID)を生成することと
を行わせる、データアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムと、
コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされたクライアントコンピュータであって、前記コンピュータプログラム命令は、実行されると、前記クライアントコンピュータに、
患者に関する患者ルックアップクエリを、前記患者の電子健康記録が存在するか否かを判断するためにクライアントから受信することと、
患者識別情報なしに、前記ブロックチェーン上で前記患者に関する新しいブロックチェーントランザクションを開始するために、前記SPPIDを受信することと、
前記クライアントコンピュータを操作しているエンティティが、ブロックチェーントランザクションに関するデータ、製品及び/又はサービスを提供することができるか否かを判断することと
を行わせる、クライアントコンピュータと、
コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むブロックチェーンAPIシステムであって、前記コンピュータプログラム命令は、実行されると、前記ブロックチェーンAPIシステムに、
前記ブロックチェーントランザクションを生成し、及び記録を前記ブロックチェーンから読み出し且つそれに書き込むことと、
1つ又は複数のスマートコントラクトを前記ブロックチェーントランザクションと関連付けることと
を行わせる、ブロックチェーンAPIシステムと
を含むシステム。
【請求項2】
前記スマートコントラクトは、前記スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨を交換する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デジタル通貨は、ユーティリティトークン又はバウチャーを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記SPPIDは、患者ブロックチェーントランザクションが完了した後、前記ブロックチェーンに情報を書き込むために使用され得ない、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブロックチェーンAPIシステムは、前記ブロックチェーントランザクションが生成されるときに通知を生成することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ブロックチェーンAPIシステムは、前記通知を1つ又は複数の提供者に送信することができる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記クライアントコンピュータは、前記ブロックチェーントランザクションに関するデータ、製品及び/又はサービスに関する情報を前記ブロックチェーンAPIシステムに提供することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ブロックチェーンAPIシステムは、前記ブロックチェーン上で前記ブロックチェーントランザクションを編集する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ブロックチェーンベースの電子健康記録データ患者トランザクションを提供する方法であって、コンピュータプログラム命令を実行する1つ又は複数のプロセッサを含むサーバシステムによって実施され、前記コンピュータプログラム命令は、実行されると、前記方法を実行し、前記方法は、
単一目的患者ID(SPPID)を電子健康記録と関連付けることと、
クライアントが、患者識別情報なしに、ブロックチェーン上で患者に関する新しいブロックチェーン患者トランザクションを開始することができるように、前記SPPIDを前記クライアントに提供することと、
患者トランザクションを薬局から受信することと、
前記患者トランザクションを前記ブロックチェーンに書き込むことと、
1つ又は複数のクライアントデバイスに前記患者トランザクションを通知することと、
前記患者トランザクションに関するデータ、製品又はサービスについての1つ又は複数のオファーを受信することと、
前記患者トランザクション及び前記1つ又は複数のオファーに関するスマートコントラクトを生成することと、
前記スマートコントラクトの実行に基づいて前記患者トランザクションを改変することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記スマートコントラクトは、前記スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨を交換する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記デジタル通貨は、ユーティリティトークン又はバウチャーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記SPPIDは、患者ブロックチェーントランザクションが完了した後、前記ブロックチェーンに情報を書き込むために使用され得ない、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記患者トランザクションが生成されるときに通知を生成することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記通知を1つ又は複数の提供者に送信することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者トランザクションは、前記ブロックチェーン上で改変される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記患者トランザクションは、前記ブロックチェーン上においてリアルタイムで改変される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ブロックチェーンベースの患者トランザクションのために電子健康記録データを提供するためのシステムであって、
ブロックチェーンを記憶するように構成された1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体と、
コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むデータアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムであって、前記コンピュータプログラム命令は、実行されると、前記データAPIシステムに、
患者に関する新しいブロックチェーントランザクションの要求を受信することと、
前記患者の電子健康記録を1つ又は複数のデータベースから取得することと、
前記患者の前記電子健康記録と関連付けられた単一目的患者ID(SPPID)を生成することと
を行わせる、データアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムと、
コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むブロックチェーンAPIシステムであって、前記コンピュータプログラム命令は、実行されると、前記ブロックチェーンAPIシステムに、
前記ブロックチェーントランザクションを生成し、及び記録を前記ブロックチェーンから読み出し且つそれに書き込むことと、
1つ又は複数のスマートコントラクトを前記ブロックチェーントランザクションと関連付けることと
を行わせる、ブロックチェーンAPIシステムと
を含むシステム。
【請求項18】
前記スマートコントラクトは、前記スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨を交換する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記デジタル通貨は、ユーティリティトークン又はバウチャーを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ブロックチェーンAPIシステムは、1つ又は複数の提供者からの入力に基づいて前記ブロックチェーン上で前記ブロックチェーントランザクションを編集する、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ブロックチェーン対応患者データシステムに関し、より詳細には、複数のエンティティ間の匿名患者データトランザクションを促進するように構成されたブロックチェーン対応患者データシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子患者記録システムでは、システムは、従来のクライアント-サーバモデルに従って構成される。従来のクライアント-サーバモデルでは、全米処方薬プログラム協議会(NCPDP)によって公布される規格及び形式に従い、メッセージがサーバに送信され、サーバが応答を送信する。多くの場合、クライアント及びサーバは、Oracle(登録商標)及びMS SQL(登録商標)データベース等の不適切なデータベースを有することがある。更に、送受信される各メッセージは、クライアント及びサーバによって記録される。多くの場合、システム問題等に起因して、メッセージの実際の内容に関してクライアントとサーバとの間で不一致が生じる。
【0003】
特に、薬局患者情報メッセージは、それらが支払いのために薬局から支払人に向かう際、複数のエンティティによって編集され得る。チェーン内の各エンティティがメッセージを編集する際、追加のメッセージ不一致を生じさせ得る追加の複雑性が付加される。これは、メッセージ完全性が変化するメッセージを有する複数のデータベースを生じさせ得る。そのような不一致は、その不一致の解決に向けられる無駄な労力、時間及び金銭を生じさせる。
【0004】
更に、データベースに記憶された完全な患者識別可能データの可用性は、HIPPA違反及びそのようなデータの正しくない取り扱いの危険性及び危険性の増大を招く。処方を監視し、編集を提供し、オファーを提供し、薬剤適格性を判断し、遂行オプションを識別し、価格を確定するために複数のシステムが必要とされ得、貴重なリソースを無駄にし、複雑性を付加し、追加コストを生じさせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、複数のエンティティ(例えば、データ、サービス又は製品の提供者として行動することができる薬局業界エンティティ及び医療提供者並びに消費者)が電子健康記録(EHR)患者トランザクションブロックチェーン(例えば、EHRデータ-BC)及びEHRデータ患者ポータル(例えば、EHRデータ-PP)に接続して、メッセージ及び続く編集の中央ロケーションを提供して、ユニフォームメッセージデータを保証することを可能にするよう構成されたEHRデータブロックチェーンシステムとしての技術的利点を教示する。全エンティティは、予め定義されるブロックチェーンアプリケーションプログラミングインターフェース(例えば、EHRデータ-BC-API)を通してEHR患者トランザクションブロックチェーンと直接通信することができる。本システムは、以下を含む複数のエンティティ間の匿名患者データの転送を促進することができる。
・医師
・薬局
〇独立
〇チェーン
〇中央調剤施設
〇メールオーダー
・製薬会社
・薬剤卸売業者
・以下を含む処方編集提供者
〇薬剤利用レビュー
〇ゲノム
〇価格設定
・処方給付管理会社
・薬局ソフトウェアベンダー
・ナショナルファシリテータ
・出荷サービス(Federal Express、DHL等)
・配送サービス
・処方コールセンタ
・政府機関
・その他
【0006】
EHRデータブロックチェーンシステムは、EHRデータAPI、EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI及びEHR患者トランザクションブロックチェーンを含むことができる。EHRデータAPIは、患者識別可能情報(PII)にアクセスし且つそれを取得し、及び離散トランザクションで使用するために特定の患者の非患者識別可能単一目的患者ID(SPPID)を生成するように構成することができる。EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI(例えば、EHRデータ-BC-API)は、機能の中でもとりわけ、SPPIDを記憶し、患者についてEHRから取得された特定の離散データを記憶し、スマートコントラクトを実行し、且つデジタル通貨トランザクションの実行(例えば、各患者のデジタルウォレット情報を使用して暗号通貨トランザクションを行う)を制御するように構成することができる。
【0007】
患者の氏名、住所、電話番号、社会保障番号、保険情報、病歴、臨床情報及び他の関連情報を含め、患者のプライベート情報は、ときに電子患者結果記録(「EPOR」)と呼ばれるもの、ソリッドPOD、XMLファイル又は他の適したデータ記憶要素等の電子健康記録(EHR)データベースに記憶することができる。したがって、患者データの匿名性を保証するために、患者識別可能情報は、EHR患者トランザクションブロックチェーンに記憶されない。代わりに、特定の患者についての新しいブロックチェーントランザクションがエンティティによって開始されるとき、EHRデータベースを照会して、その患者が既に記録を有しているか否かを判断する。患者がEHRデータベースに記録を有している場合、単一目的患者ID(SPPID)を生成し、関連するデータと共に要求側エンティティに返すことができる。SPPIDは、任意の患者識別可能情報の代わりにトランザクションに使用することができる。SPPIDは、クエリのトランザクションが完了するまでのみ使用可能である。その患者に関するブロックチェーントランザクションが次回提出されるとき、患者に新しいSPPIDが発行される。それにより、全ての将来のトランザクションについてその患者にSPPIDが無期限に関連付けられないことを保証する。この技法は、患者の識別可能情報(PII)を特定することができるように単一SPPIDが不正アクセスされる場合でも、不正アクセスが1つのトランザクションのみに限定されることを保証する。
【0008】
トランザクションが完了すると、SPPIDは、ブロックチェーンからのそのトランザクションと関連付けられた情報の読み出しのみに使用することができる。患者によって認められた許可に基づいて、EHRデータは、報告、分析、薬剤研究等のために、トランザクションデータを患者と関連付けられた他のトランザクション、医療デバイスデータ等とグループ化し得る。例えば、薬剤会社は、特定の薬剤が患者の心拍数にどのように影響したかを理解することを望む場合がある。EHRデータから製薬会社に送信されるリポートは、患者が指定された薬剤を服用していた間、患者に蓄積された心拍数デバイスデータと共に、指定された薬剤についての患者の全てのトランザクションを含む。
【0009】
EHR患者トランザクションブロックチェーンは、トランザクションが完了し、署名され、同意に向けて配布されるまで、トランザクションを処理するワークフロー空間として使用することができる。スマートコントラクトを実施して、データ要素の中でもとりわけ、ワークフロープロセス、薬剤相互作用、遂行、予期される結果、トリガー事象及び価格設定を決定及び定義することができる。
【0010】
例示的な一実施形態では、ブロックチェーンベースの患者トランザクションを提供するためのシステムは、ブロックチェーンを記憶するように構成された1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体と、コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むデータアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムであって、コンピュータプログラム命令は、実行されると、データAPIシステムに、患者に関する新しいブロックチェーントランザクションの要求を受信することと、患者電子健康記録が存在するか否かを判断するために患者ルックアップクエリを開始することと、患者電子健康記録と関連付けられた単一目的患者ID(SPPID)を生成することとを行わせる、データアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムと、コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされたクライアントコンピュータであって、コンピュータプログラム命令は、実行されると、クライアントコンピュータに、患者に関する患者ルックアップクエリを、患者の電子健康記録が存在するか否かを判断するためにクライアントから受信することと、患者識別情報なしに、ブロックチェーン上で患者に関する新しいブロックチェーントランザクションを開始するために、SPPIDを受信することと、クライアントコンピュータを操作しているエンティティが、ブロックチェーントランザクションに関するデータ、製品及び/又はサービスを提供することができるか否かを判断することとを行わせる、クライアントコンピュータと、コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むブロックチェーンAPIシステムであって、コンピュータプログラム命令は、実行されると、ブロックチェーンAPIシステムに、ブロックチェーントランザクションを生成し、及び記録をブロックチェーンから読み出し且つそれに書き込むことと、1つ又は複数のスマートコントラクトをブロックチェーントランザクションと関連付けることとを行わせる、ブロックチェーンAPIシステムとを含むことができる。スマートコントラクトは、スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨を交換する。デジタル通貨は、ユーティリティトークン又はバウチャーを含む。SPPIDは、患者ブロックチェーントランザクションが完了した後、ブロックチェーンに情報を書き込むために使用され得ない。ブロックチェーンAPIシステムは、ブロックチェーントランザクションが生成されるときに通知を生成することができる。ブロックチェーンAPIシステムは、通知を1つ又は複数の提供者に送信することができる。クライアントコンピュータは、ブロックチェーントランザクションに関するデータ、製品及び/又はサービスに関する情報をブロックチェーンAPIシステムに提供することができる。ブロックチェーンAPIシステムは、ブロックチェーン上でブロックチェーントランザクションを編集することができる。
【0011】
別の例示的な実施形態では、ブロックチェーンベースの電子健康記録データ患者トランザクションを提供する方法であって、コンピュータプログラム命令を実行する1つ又は複数のプロセッサを含むサーバシステムによって実施され、コンピュータプログラム命令は、実行されると、本方法を実行する、方法は、単一目的患者ID(SPPID)を電子健康記録と関連付けることと、クライアントが、患者識別情報なしに、ブロックチェーン上で患者に関する新しいブロックチェーン患者トランザクションを開始することができるように、SPPIDをクライアントに提供することと、患者トランザクションを薬局から受信することと、患者トランザクションをブロックチェーンに書き込むことと、1つ又は複数のクライアントデバイスに患者トランザクションを通知することと、患者トランザクションに関するデータ、製品又はサービスについての1つ又は複数のオファーを受信することと、患者トランザクション及び1つ又は複数のオファーに関するスマートコントラクトを生成することと、スマートコントラクトの実行に基づいて患者トランザクションを改変することとを含み得る。スマートコントラクトは、スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨を交換する。デジタル通貨は、ユーティリティトークン又はバウチャーを含む。SPPIDは、患者ブロックチェーントランザクションが完了した後、ブロックチェーンに情報を書き込むために使用され得ない。本方法は、患者トランザクションが生成されるときに通知を生成することを更に含む。本方法は、通知を1つ又は複数の提供者に送信することを更に含む。患者トランザクションは、ブロックチェーン上で改変される。患者トランザクションは、ブロックチェーン上においてリアルタイムで改変される。
【0012】
別の例示的な実施形態では、ブロックチェーンベースの患者トランザクションのために電子健康記録データを提供するためのシステムは、ブロックチェーンを記憶するように構成された1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体と、コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むデータアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムであって、コンピュータプログラム命令は、実行されると、データAPIシステムに、患者に関する新しいブロックチェーントランザクションの要求を受信することと、患者電子健康記録を1つ又は複数のデータベースから取得することと、患者電子健康記録と関連付けられた単一目的患者ID(SPPID)を生成することとを行わせる、データアプリケーションプログラミングインターフェース(API)システムと、コンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサを含むブロックチェーンAPIシステムであって、コンピュータプログラム命令は、実行されると、ブロックチェーンAPIシステムに、ブロックチェーントランザクションを生成し、及び記録をブロックチェーンから読み出し且つそれに書き込むことと、1つ又は複数のスマートコントラクトをブロックチェーントランザクションと関連付けることとを行わせる、ブロックチェーンAPIシステムとを含むことができる。スマートコントラクトは、スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨を交換する。デジタル通貨は、ユーティリティトークン又はバウチャーを含む。ブロックチェーンAPIシステムは、1つ又は複数の提供者からの入力に基づいてブロックチェーン上でブロックチェーントランザクションを編集する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による電子健康記録データブロックチェーンシステムの概略図を示す。
図2】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、ブロックチェーンシステムにアクセスすることができる第三者のタイプを示す概略図を示す。
図3】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムトランザクションのブロック図を示す。
図4A】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムRxNewトランザクションのブロック図を示す。
図4B】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムRxNewトランザクションのブロック図を示す。
図4C】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムRxNewトランザクションのブロック図を示す。
図4D】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムRxNewトランザクションのブロック図を示す。
図4E】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムRxNewトランザクションのブロック図を示す。
図5】本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムプロセスフロー500のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明の文書に提示される本開示の好ましい変形形態並びにその種々の特徴及び有利な詳細について、添付図面に含まれ、以下の説明に詳述される非限定的な例を参照してより詳細に説明する。周知の構成要素の説明は、本明細書に記載の主特徴を不必要に曖昧にしないように省かれている。以下の説明で使用する例は、本開示を実施及び実践することができる方法の理解の促進を目的とする。したがって、これらの例は、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【0015】
図1は、本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による電子健康記録(EHR)データブロックチェーン(EHRデータ-BC)システム100を示す。EHRデータ-BCシステム100は、サーバ102、第三者データベース106、分散台帳125、ネットワーク130及び外部システム140を含むことができる。
【0016】
サーバ102は、1つ又は複数のプロセッサ(又はコア)104、メモリ106及び機械可読命令108を含むことができる。例示的な一実施形態では、機械可読命令108は、EHRデータAPI110、トランザクションブロックチェーンAPI112、編集前及び編集後モジュール114、相互作用分析モジュール116、適格性分析モジュール118並びに支払いモジュール120を含むことができる。更に、サーバ102は、ログイン認証後、システム100へのアクセスを患者に提供することができるEHRデータ患者ポータル(EHRデータPP)をホストすることができる。サーバ102は、ハードウェア、ソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアとの適した組合せで実施することができ、メモリへのアクセスを有する1つ又は複数のプロセッサを有する1つ又は複数のサーバで動作する1つ又は複数のソフトウェアシステムを含み得る。サーバは、電子記憶装置、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は他の構成要素を含むことができる。サーバは、ネットワーク及び/又は他の計算プラットフォームと情報を交換できるようにする通信回線又はポートを含むことができる。サーバは、一緒に動作して、本明細書においてサーバに寄与する機能を提供する複数のハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含むこともできる。例えば、サーバは、一緒にサーバとして動作する計算プラットフォームのクラウドによって実施することができる。更に、サーバは、メモリ106を含むことができる。
【0017】
サーバは、電子記憶装置、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は他の構成要素を含むことができる。サーバは、ネットワーク及び/又は他の計算プラットフォームと情報を交換できるようにする通信回線又はポートを含むことができる。サーバは、一緒に動作して、本明細書においてサーバに寄与する機能を提供する複数のハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含むこともできる。例えば、サーバは、一緒にサーバとして動作する計算プラットフォームのクラウドによって実施することができる。
【0018】
メモリ106は、情報を電子的に記憶する非一時的記憶媒体を含むことができる電子記憶装置を含み得る。電子記憶装置の電子記憶媒体は、サーバと一体的に(すなわち実質的に取り外し不可能)提供することができるシステム記憶装置及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、ファイアワイヤポート等)若しくはドライブ(例えば、ディスクドライブ等)を介してサーバに取り外し可能に接続可能であり得るリムーバブル記憶装置の一方又は両方を含み得る。電子記憶装置は、光学可読記憶媒体(例えば、光ディスク等)、磁気可読記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EEPROM、RAM等)、固体状態記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)及び/又は他の電子的可読記憶媒体の1つ又は複数を含み得る。電子記憶装置は、1つ又は複数の仮想記憶リソース(例えば、クラウドストレージ、仮想私設ネットワーク及び/又は他の仮想記憶リソース)を含むことができる。電子記憶装置は、機械可読命令、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサによって決定された情報、サーバから受信された情報、計算プラットフォームから受信された情報及び/又はサーバが本明細書に記載のように機能できるようにする他の情報を記憶することができる。電子記憶装置は、ネットワーク接続を介してアクセス可能でもあり得る。
【0019】
プロセッサ104は、情報処理性能をサーバに提供するように構成することができる。したがって、プロセッサは、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態機械及び/又はFPGA若しくはASIC等、情報を電子的に処理する他の機構の1つ又は複数を含むことができる。プロセッサは、単一のエンティティであり得るか又は複数の処理ユニットを含み得る。これらの処理ユニットは、同じデバイス内に物理的に配置され得るか、又は協働する複数のデバイスの処理機能若しくはソフトウェア機能を表し得る。
【0020】
プロセッサ104は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアの何らかの組合せ及び/又は他の機構によって機械可読命令108又は学習モジュールを実行するように構成することができる。本明細書で使用するとき、「機械可読命令」という用語は、機械可読命令構成要素に寄与する機能を実行する任意の構成要素又は構成要素の組を指し得る。これは、プロセッサ可読命令の実行中の1つ又は複数の物理的なプロセッサ、プロセッサ可読命令、回路、ハードウェア、記憶媒体又は任意の他の構成要素を含むことができる。
【0021】
サーバ102は、1つ又は複数の機能モジュールを有する機械可読命令108を有して構成され得る。機械可読命令は、メモリへのアクセスを有する1つ又は複数のプロセッサを有する1つ又は複数のサーバで実施することができる。機械可読命令は、単一のネットワーク接続されたノード又は複数のネットワーク接続されたノードの分散アーキテクチャを含むことができる機械クラスタであり得る。機械可読命令は、より詳細に後述するように、種々の機能を実施する制御論理を含むことができる。機械可読命令は、EHRデータ患者ポータル(EHRデバイスPP)、EHRデータAPI(第1のサーバ側コンピュータシステム)110、EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI(第2のサーバ側コンピュータシステム)、編集前及び編集後モジュール114、相互作用分析モジュール116、適格性分析モジュール118並びに支払いモジュール120と関連付けられた特定の機能を含むことができる。外部データベース106及び外部システム140並びにEHRデータブロックチェーンクライアント(クライアントコンピュータシステム)も、メモリ106へのアクセスを有する1つ又は複数のプロセッサ104を有する1つ又は複数のサーバ102で実施することができる。
【0022】
例示的な一実施形態では、EHRデータAPI110は、複数のソフトウェア構成要素間の相互作用を定義するインターフェースを提供することができる。例えば、EHRデータAPI110は、行うことができる呼び出し又は要求の種類、呼び出し又は要求の方法、使用されるデータフォーマット、順守される規約及び他の適した機能を定義することができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータAPI110は、患者識別可能情報(PII)にアクセスし且つそれを取得し、及び特定の患者の非患者識別可能単一目的患者ID(SPPID)を生成することができる。
【0023】
例示的な一実施形態では、EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI112(例えば、EHRデータ-BC-API)は、複数のソフトウェア構成要素間の相互作用を定義するインターフェースを提供することができる。例えば、EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI112は、行うことができる呼び出し又は要求の種類、呼び出し又は要求の方法、使用されるデータフォーマット、順守される規約及び他の適した機能を定義することができる。別の例示的な実施形態では、トランザクションブロックチェーンAPI112は、とりわけ、SPPID及び患者についてEHRから取得された特定の離散データを記憶し、スマートコントラクトを実行し、且つデジタル通貨送金の実行を制御するように構成することができる。
【0024】
例示的な一実施形態では、編集前及び編集後モジュール114は、外部システム140、第三者データベース106又は他の適したシステムから受信された入力に従い、受信された分散台帳トランザクションを編集することができる。別の例示的な実施形態では、トランザクションは、薬局が処方を調剤している間、リアルタイムで処理することができる。例えば、「編集前」及び「編集後」処理は、クレーム処理のための所定のデータ及びルールを使用して、正確性及び一貫性について処方クレームを調べるために、業界において薬局及び支払人によって使用することができる。別の例示的な実施形態では、編集前及び編集後モジュール114は、提出された処方箋及び処方された医薬品についての情報に照らして患者臨床データを分析し、編集前プロセスを完了することができる。例えば、モジュール114は、第三者データベース106から患者臨床データを受信し、処方情報を患者臨床データと相関付けて、患者の身長、体重又は他の患者要因を所与として、正しくない投与又はタイミングが処方されているか否かを判断することができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータAPI110は、編集前及び編集後モジュール114に動作可能に結合されて、トランザクションに関する関連患者情報を編集前及び編集後モジュール114に提供することができる。別の例示的な実施形態では、EHR患者トランザクションブロックチェーンAPI112は、編集前及び編集後モジュール114に動作可能に結合されて、トランザクションに関する、患者についてEHRから取得された特定の離散データを記憶することができる。
【0025】
例示的な一実施形態では、相互作用分析モジュール116は、潜在的な薬剤相互作用に関する情報を受信し、そのデータを分散台帳125に対して読み書きすることができる。例えば、相互作用分析モジュール116は、他の薬剤との潜在的な薬剤相互作用についての情報並びに患者研究所データ、ゲノムデータ、予防接種及びアレルギーからなる群から選択される情報を含む患者危険因子の少なくとも1つ又は複数を含む、第三者データベース106から抽出された患者臨床データと共にトランザクション情報を分析することができる。例示的な一実施形態では、適格性分析モジュール118は、トランザクションに関する患者適格性判断を行うことができる。例えば、適格性分析モジュール118は、患者の保険情報を受信し、その情報をトランザクションデータと相関付けて、割引及び他の関連する内容への適格性を判断することができる。
【0026】
例示的な一実施形態では、支払いモジュール120は、処方調剤中、スマートコントラクトが利用され、スマートコントラクトに関わる当事者間でデジタル通貨(例えば、EHRCash(商標)、Bitcoin(登録商標)等)、ユーティリティトークン、バウチャー又は他の適した手形が交換されることになり得るか否かを判断することができる。例えば、EHRCash(商標)トークンの交換は、即時であり得(1ミリ秒未満の遅延)、金銭を取引相手から回収するための標準会計プロセス(すなわち代金請求、計算書、売掛及び買掛)の必要性をなくすことができる。別の例示的な実施形態では、EHRCash(商標)と呼ばれるユーティリティトークン及びスマートコントラクトプラットフォームを使用して、ステークホルダと患者との間の支払いを簡易化し、売掛及び買掛システムの必要性をなくすことができる。EHRCash(商標)は、複数の形態で存在することができる。しかし、特定の形態を特定のトランザクションに使用することができる。別の例示的な実施形態では、EHRCash(商標)は、土台をなす支払いブロックチェーン(BSV)にネイティブであり得るか、又はFIATステーブルコイン(例えば、USD、EUR、GBP等)に基づき得る。別の例示的な実施形態では、支払いモジュール120は、記憶されたデジタルウォレット情報を利用して、デジタル通貨トランザクションを行うことができる。本明細書に記載のモジュールは、サーバ、制御論理、API又は他の適した手段を介して実行、呼び出し又は他の方法で実施することができる。
【0027】
分散台帳125は、BigChainDB、nChain、Ethereum、Hyperledger、R3、Ripple、EOS又は他の適したブロックチェーンプラットフォームを含め、1つ又は複数のプラットフォームで実施される1つ又は複数のEHRデータブロックチェーンであり得る。EHRデータブロックチェーンは、一般人がアクセス可能なパブリックブロックチェーン又はアクセス資格を有する当事者のみがアクセス可能なプライベートブロックチェーンであり得る。別の例示的な実施形態では、全てのデータは、グラフ/階層構造としてブロックチェーンに記憶することができる。各ノードは、それ自体の暗号鍵を用いて暗号化することができるグラフ/階層に特定の情報(例えば、患者の氏名、住所、投薬等)を含むことができる。このグラフ/階層構造は、ブロックチェーンで可視ではなく、それによりデータ構造の難読化を提供し得る。別の例示的な実施形態では、患者/ユーザのマスタ秘密鍵のみが構造を理解することができる。
【0028】
上記のシステム構成要素、API及びモジュールは、インターネット、イントラネット、システムバス又は他の適したネットワーク130を介して互いに通信可能に結合することができる。通信は、暗号化、非暗号化、VPNトンネル又は他の適した通信手段を介したものであり得る。ネットワーク130は、WAN、LAN、PAN又は他の適したネットワークであり得る。システム構成要素102、104、106、108、110及び112間のネットワーク通信は、PGP、Blowfish、AES、3DES、HTTPS又は他の適した暗号化を使用して暗号化することができる。ネットワーク通信は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ヘルスレベル7(HL7)規格、ANSI-X12、Ethernet、PCI、PCIe、InfiniBand、Wi-Fi、Bluetooth又は他の適した通信プロトコルを介して行うことができる。
【0029】
第三者データベース106は、ネットワーク130を介してシステム構成要素に動作可能に結合することができる。例示的な一実施形態では、第三者データベース106は、電子医療記録システム(EMR)、電子患者結果記録(EPOR)データベース、薬局データベース、複数の患者データベース、臨床データベース、ゲノムデータベース、研究所データベース、疾患データベース、標準化薬剤データベース、研究データベース及び他の適したデータベースを含むことができる。別の例示的な実施形態では、第三者データベースは、アーカイブノードとして機能することができる。アーカイブノードは、分散台帳125のリアルタイム(1m秒未満)で暗号化されるコピーを保持することができる。アーカイブノードは、フォールトトレランスを提供することができ、分散台帳125の内容をホストに容易に提供し、それにより追加のデータ処理、報告及び分析を達成することができる。EHRデータAPI110を巡回する必要がある代わりに、ホストは、それ自体の機械に照会して、データを取得することができる。任意の第三者が薬剤アーカイブノードをホストすることができる。別の例示的な実施形態では、アーカイブノードは、分散台帳125にデータ復元を提供することができる。別の例示的な実施形態では、生産分散台帳がその全性能を現在トランザクションに向けることができるように、アーカイブノードは、より古い分散台帳データを非生産システムでアクセス可能に維持することができる。別の例示的な実施形態では、分散台帳トランザクションが閉じられると、分散台帳は、アーカイブノードに転送することができる。
【0030】
外部システム140は、ネットワーク130を介してシステム構成要素に動作可能に結合することができる。外部システム140は、患者デバイス、薬局デバイス、支払人デバイス、金融機関デバイス、保険デバイス、医療デバイス、IoTデバイス又は他の適したシステム若しくはデバイスを含むことができる。そのようなシステム及びデバイスは、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、サーバ、家電又は他の適したデバイスを含むことができる。例示的な一実施形態では、外部システム140は、EHRデータ-BC-クライアントであり得る。
【0031】
図2は、本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態によるブロックチェーンシステム100にアクセスすることができる第三者のタイプを示す概略図200を示す。EHRデータブロックチェーンシステム100は、薬局業界エンティティ(データ、サービス、製品提供者として行動する)及び消費者が、EHRデータAPI(予め定義されるアプリケーションプログラミングインターフェース)202を使用して、サーバ102でホストされるEHRデータ-BC125及びEHRデータ患者ポータル(EHRデータ-PP)に接続できるようにし得る。接続することができるエンティティのタイプの一例は、
・医師216、
・薬局218であって、
〇独立、
〇チェーン、
〇中央調剤、及び
〇メールオーダー
を含む薬局218、
・製薬会社214、
・薬剤卸売業者、
・処方編集提供者210であって、
〇薬剤利用レビュー、
〇ゲノム、及び
〇価格設定
を含む処方編集提供者210、
・処方給付管理会社212、
・薬局ソフトウェアベンダー、
・ナショナルファシリテータ、
・出荷サービス(Federal Express(登録商標)、DHL(登録商標)等)、
・配送サービス206、
・処方コールセンタ、
・政府機関、及び
・他の関連エンティティ208
を含む。
【0032】
ブロックチェーン動作
例示的な一実施形態では、EHRデータ-BC125と対話するとき、エンティティは、EHRデータブロックチェーンクライアント(EHRデータ-BC-クライアント)を使用して、EHRデータ-BC-APIを使用して動作を開始することができる。そのような動作は、
・新しいトランザクションの作成であって、
〇RxNew - 新しい処方を示すトランザクション、
〇RxRefill - 処方が調剤中であることを示すトランザクション、
〇RxTransfer - 処方が異なるストアに転送されたことを示すトランザクション、
〇RxComplete - 処方が確定したことを示すトランザクション、
〇RxDeactivate - 処方が非アクティブ化されたことを示すトランザクション、及び
〇RxUpdate - 処方が更新されたことを示すトランザクション
等の新しいトランザクションの作成、
・既存のトランザクションへのスマートコントラクトの添付、
・既存のスマートコントラクトへの親スマートコントラクトの添付、
・既存のスマートコントラクトへの子スマートコントラクトの添付、
・既存のトランザクションへのメタデータの添付であって、そのようなメタデータは、元トランザクションの改変又は既存のトランザクションへの新しいデータ要素の追加に使用することができる、既存のトランザクションへのメタデータの添付。メタデータの詳細は、元トランザクションのタイプに固有であり得、APIによって制御することができ、及び
・既存のコントラクトのクローズ
を含むことができる。
【0033】
プロセスフロー
図5は、本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による電子健康記録データブロックチェーンシステムプロセスフロー500のブロック図を示す。例示的な一実施形態では、新しいトランザクションをEHRデータブロックチェーン(EHRデータ-BC)125に配置できるようにするには、先にトランザクションを患者に関連付ける必要があり得る。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-BC-クライアント902は、外部デバイス140であり得る。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-BC-API110は、EHRデータ-BC125に動作可能に結合されて、EHRデータ-BC125上のデータにアクセスし、データをEHRデータ-BC125に記憶し、EHRデータ-BC125上のデータを処理し、EHRデータ-BC125に関連することができる。EHRデータ-BC-API110は、公開ブロックチェーンでのようにネットワーク130を通して又はプライベートブロックチェーンでのようにサーバ102を介して直接、EHRデータ-BC125にアクセスすることができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-PP-API906は、ユーザインターフェースをEHRデータ-BC-クライアント902に提供することができる。これにより、EHRデータ-BC-クライアント902は、サーバ102、EHRデータ-PP-API906、EHRデータ-BC-API110及びEHRデータ-BC125とデータを送受信することができる。
【0034】
単一目的患者ID(SPPID)の決定
別の例示的な実施形態では、EHRデータ-BC125は、公に閲覧可能であり得る。したがって、患者識別可能情報(PII)は、EHRデータ-BC125に記憶することができない。別の例示的な実施形態では、患者の識別情報を特定するために、EHRデータ-BC-クライアント902を介してEHRデータ-PP-API906にAPI呼び出しを発行することにより、PIIの記憶を回避することができる。このAPI呼び出しは、患者についての一般クエリデータ904(例えば、名、姓、電話番号、住所、識別番号等)を含むことができ、患者が、システムに記憶された記録を有するか否かの判断に使用することができる。患者がシステム記録を有する場合、関連する患者データを「単一目的患者ID」(SPPID)912と共に返すことができる。その名称が示すように、SPPID912は、患者と関連付けられる一時的なIDであり得る。例示的な一実施形態では、SPPID912は、サーバ102又はEHRデータ-PP-API906によってランダムに生成される十進値、十六進値、テキスト値又は他の適したIDであり得る。別の例示的な実施形態では、セッション毎に新しいSPPID912を生成することができる。別の例示的な実施形態では、新しいSPPID912を定期的(1時間毎、1日毎、1週間毎又は他の適した周期)に生成することができる。別の例示的な実施形態では、患者と関連付けられたメトリック(クエリ数、トランザクション数又は他の適したメトリック)を満たすことに基づいて新しいSPPID912を生成することができる。SPPID912は、トランザクションと共に又はトランザクションと関連付けられたEHRデータ-BC125に記憶することができる。SPPID912が生成され、トランザクションに記憶されると、EHRデータ-BC-クライアント902は、SPPID912を使用して、患者の識別情報を明らかにすることなく、患者についての情報(例えば、ゲノム情報、アレルギー情報、処方プロファイル等)を取得することができる。
【0035】
新しい患者記録
例示的な一実施形態では、患者がデータ記録を有さないとサーバ102が判断する場合、EHRデータ-BC-クライアント902は、サーバ102が新しい患者記録を生成することを要求することができる。例えば、新しい患者記録は、サーバ102によりEHRデータ-PP-API906を介して作成することができる。SPPID912は、その患者のEHRデータ-BC-クライアント902に返すことができる。
【0036】
例示的な一実施形態では、EHRデータ-BC-クライアント902は、クエリ904を生成し、EHRデータ-PP-API906に提出することができる。EHRデータ-PP-API906は、SPPID912を要求及び/又は生成し、SPPID912をEHRデータ-BC-クライアント902に返すことができる。EHRデータ-PP-API906は、サーバ102のメモリ106に記憶された患者記録を取得することができるか、又はネットワーク130を介して第三者データベース106内の記録を取得することができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-PP-API906は、SPPID912をEHRデータ-BC-API110に提供して、SPPID912をEHRデータ-BC125に記憶することができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-BC-クライアント902は、EHRデータ-BC-クライアント902によって生成されたトランザクションをEHRデータ-BC-API110に提供して、トランザクションをEHRデータ-BC125に記憶することができる。
【0037】
患者情報
患者記録は、患者に関する種々のタイプの情報を含むことができる。例示的な一実施形態では、患者記録は、関連情報の中でもとりわけ、名、姓、ミドルネーム、住所、生年月日、物理的属性、識別番号、電話番号、アレルギー情報、ゲノム情報、処方プロファイル、処方履歴、処方トランザクション履歴、医師情報、住所履歴を含むことができる。
【0038】
図3は、本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による電子健康記録データブロックチェーンシステムトランザクションの特徴を実施する制御論理を例示するフローチャート図300を示す。トランザクション制御論理306は、サーバ上のアルゴリズム、機械学習モジュール又は他の適したシステム若しくは構成要素として実施することができる。トランザクション制御論理306は、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ネットワーク接続、ネットワーク転送プロトコル、HTML、DHTML、JavaScript、Dojo、Ruby、Rails、他の適したアプリケーション又はそれらの適した組合せを用いて実施することができる。トランザクション関連データは、EHRデータ-BC-API306を介して1つ又は複数のEHRデータ-BC-クライアントとEHRデータ-BC302との間を流れることができる。例示的な一実施形態では、サーバ102は、EHRデータ-BC302へのアクセスについて1つ又は複数のEHRデータ-BC-クライアントを許可し、認証することができる。例えば、サーバ102は、ユーザ名/パスワード又はユーザ若しくはデバイスを認証する他の適した手段を確立し、妥当性確認することができる。サーバは、本明細書に記載の1つ又は複数の機能について、ユーザ又はデバイスへの読み出し/書き込み/実行許可を認可することもできる。例示的な一実施形態では、各エンティティは、そのエンティティが、ブロックチェーンに含まれる特定のデータ項目又はある範囲のデータ項目の第三者による使用許可を認可できるようにすることができるポータルを有し得る。別の例示的な実施形態では、ユーザ/エンティティが各自のEHRデータの特定のデータ要素への読み出し及び/又は書き込みアクセスの許可を認可した後、「認証トークン」(例えば、authToken)をユーザ/エンティティの代理として作成することができる。例えば、「認証トークン」は、特定のライフスパン(すなわち生存時間)を有することができ、ユーザ/エンティティからの認証がある場合にのみ延長することができる。
【0039】
トランザクション制御論理306は、データを同時に処理することにより複数のプロセス及びスレッドを生成するコンピュータプラットフォームの能力を利用することができる。トランザクション制御論理300の速度及び効率は、2つ以上のプロセスをインスタンス生成して、患者のデータを有するトランザクションを生成し、処理することによって大幅に改善する。しかしながら、単一の処理スレッドの使用が利用され得、本発明の範囲内であることをプログラミング分野の当業者であれば理解するであろう。例示的な一実施形態では、トランザクション制御論理306は、EHRデータ-BC-API306であり得る。別の例示的な実施形態では、トランザクション制御論理306は、サーバ102の種々のモジュールをインスタンス生成することができる。
【0040】
BC-トランザクションの追加
本実施形態のトランザクション制御論理306のプロセスフローは、制御論理306が新しいBC-トランザクション304を受信するときに開始される。例示的な一実施形態では、第1のEHRデータ-BC-クライアント308は、新しいBC-トランザクション304をEHRデータ-BC302に追加する許可を有する。別の例示的な実施形態では、BC-トランザクション304は、医師の実施管理ソフトウェア、eスクリプトソフトウェアエージェント又は薬局の処方調剤ソフトウェアにより制御論理306に送信することができる。別の例示的な実施形態では、第1のEHRデータ-BC-クライアント308は、新しいe処方等の新しいBC-トランザクション304を生成し、ネットワーク130を介してBC-トランザクション304を制御論理306に送信することができる。制御論理306は、次いで、BC-トランザクション304をEHRデータ-BC302に記憶することができる。
【0041】
BC-トランザクションの削除
トランザクション制御論理306は、EHRデータ-BC302上の新しいBC-トランザクション304の通知を削除及び生成することができる。例示的な一実施形態では、種々の薬局業界エンティティは、新しいBC-トランザクション304がEHRデータ-BC302に記憶されている等の事象が発生すると、EHRデータ-BC302から通知を受信することができる。制御論理306は、BC-トランザクション304、BC-メタデータ、BC-スマートコントラクト又はBC-クローズがEHRデータ-BC302に追加又はリンクされたとき、1つ又は複数のEHRデータ-BC-クライアント310に通知することができる。別の例示的な実施形態では、通知が受信されるとき、EHRデータ-BC-クライアント310は、トランザクションタイプが、ベンダーが提供することができる任意のデータ、製品及び/又はサービスに適格であるか否かを判断することができる。EHRデータ-BC-クライアント310は、トランザクション情報を前に記憶されたオファーと相関付けて、一致があるか否かを判断することができる。例示的な一実施形態では、トランザクション情報は、薬剤タイプ、保険情報又は他の適したデータ等の情報を有することができる。別の例示的な実施形態では、トランザクション情報は、トランザクションに関する情報を表すコードを含むことができ、それによりEHRデータ-BC-クライアント310によりコードを迅速に相関付けて、製品/サービスの一致があるか否かを判断することができる。通知は、電子メール、テキストメッセージ、ソフトウェアアラート又は他の適した通知であり得る。
【0042】
スマートコントラクトの追加
トランザクション制御論理306は、BC-トランザクション304に関するスマートコントラクトを生成することができる。例示的な一実施形態では、新しいBC-トランザクション304の通知を受信しているEHRデータ-BC-クライアント310の1つが、第2のEHRデータ-BC-クライアント312が提供することができるBC-トランザクション304に関するデータ、製品及び/又はサービスをそれ(第2のEHRデータ-BC-クライアント312)が有すると判断した場合、第2のEHRデータ-BC-クライアント312は、制御論理306がBC-トランザクション304のBC-スマートコントラクト314を生成することができるように、情報を制御論理306に送信することができる。
【0043】
例示的な一実施形態では、BC-スマートコントラクト314は、BC-トランザクション304に動作可能に結合することができ、指定された価格と共に提供することができるデータ、製品又はサービスを指定することができる(プログラム及び人間可読概要に関して)。別の例示的な実施形態では、BC-スマートコントラクト314は、それぞれ契約書、同意書又は交渉の条件に従って法関連事象及び行為をそれぞれ自動的に実行、制御又は文書化することを目的とすることができるコンピュータプログラム又はトランザクションプロトコルであり得る。別の例示的な実施形態では、BC-スマートコントラクト314は、それぞれユーザ入力(又はマルチユーザ入力)に基づいて実行、制御又は文書化することができるコンピュータプログラム又はトランザクションプロトコルであり得る。別の例示的な実施形態では、BC-スマートコントラクト314は、当事者間でのデジタル通貨320(例えば、EHRCash)の交換をトリガーすることができる。
【0044】
スマートコントラクトのタイプは、
・SC_DrugOfferPatient - 患者がその薬剤を選択することに対してクーポンを提供するスマートコントラクト、
・SC_EditDUR - 患者が、選択された薬剤と何らかの形態の相互作用を有すると薬剤利用レビュー編集が判断したことを示すスマートコントラクト、
・SC_EditClinical - 患者が、選択された薬剤と何らかの形態の相互作用を有すると臨床編集が判断したことを示すスマートコントラクト、
・SC_FillCentral - 処方を中央で調剤できることを示すスマートコントラクト
を含むことができる。
【0045】
メタデータの追加
トランザクション制御論理306は、受け入れられる場合、BC-スマートコントラクト314の条件を記憶することができる。例示的な一実施形態では、第1のEHRデータ-クライアント308は、第2のEHRデータ-クライアント312によって提供されるデータ、製品又はサービスを利用する第2のEHRデータ-クライアント312からのオファーを受け入れるか否かの判断を送信することができる。別の例示的な実施形態では、複数のBC-スマートコントラクト314は、第1のEHRデータ-クライアント308によって受け入れることができる。別の例示的な実施形態では、制御論理は、ネットワーク130を介して、BC-スマートコントラクト314を受け入れるか又は断る通知を第1のEHRデータ-クライアント308に送信することができる。別の例示的な実施形態では、制御論理306は、患者の好み(患者の記録に記憶されるか又は決定と共に送信される)に基づいて予め決定された判断を受信することができる。別の例示的な実施形態では、制御論理306は、メタデータ(BC-メタデータ316)をEHRデータ-BCに追加し、それを元のBC-トランザクション304と関連付けることができる。
【0046】
メタデータタイプは、以下を含むことができる。
・MD_DrugDetermine - 処方は、薬剤決定の準備ができている。医師のソフトウェアは、このメタデータタイプを追加して、製薬会社からの薬剤推奨を募ることができる。
・MD_DrugRecommend - 処方に薬剤を推奨するために追加される。医師のソフトウェアは、このメタデータタイプを追加して、薬剤用量推奨を募ることができる。
・MD_DosageDetermine - 処方は、用量決定の準備ができている。
・MD_DosageRecommend - 処方の用量を推奨するために追加される。
・MD_Eligible - 患者が、選択された薬剤又は推奨された薬剤を受け取るのに適格であることを示すために支払人によって追加される。
・MD_Acquired - 処方を取得したことを示すために薬局によって追加される。
【0047】
BC-クローズの追加
トランザクション制御論理306は、BC-トランザクション304を確定しクローズすることができる。例示的な一実施形態では、第1のEHRデータ-BC-クライアント308は、BC-トランザクション304のクローズを決定する場合、制御論理をトリガーして、BC-クローズ318ステートメントをEHRデータ-BC302に書き込むことができる。BC-クローズ318ステートメントは、BC-トランザクション304へのいかなる追加の行為の実行も阻止することができ、制御論理305をトリガーしてBC-スマートコントラクト314を履行することができる。
【0048】
コントラクト履行
トランザクション制御論理306は、いずれのBC-スマートコントラクト314を利用すべきであるか、及びいずれのBC-スマートコントラクト314が第1のEHRデータ-BC-クライアント308と第2のEHRデータ-BC-クライアント312との間にデジタル通貨トランザクションを生じさせることができるかを判断することができる。例示的な一実施形態では、第1のEHRデータ-BC-クライアント308が、BC-クローズ318をEHRデータ-BC302に書き込むことによりBC-トランザクション304をクローズする場合、制御論理306は、自動入力又はユーザ受信入力をチェックすることにより、BC-トランザクション304と関連付けられた任意のコントラクトを履行することができるか否かを判断することができる。別の例示的な実施形態では、BC-スマートコントラクト314が履行されるべき場合、制御論理306は、各当事者のデジタルウォレット情報を使用して、デジタル通貨トランザクションを生じさせることができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータ患者ポータル(EHRデータ-PP)は、システム100に関連して使用するために、患者のデジタル通貨アカウントを維持することができる。
【実施例
【0049】
この以下の実施形態は、典型的なEHRデータブロックチェーン(EHRデータ-BC)RxNewトランザクションワークフローの例を示す。
【0050】
RxNewプロセスフロー
新しい処方は、以下の1つによって医師により作成することができる。
1)医師が実施管理ソフトウェアを通して。このソフトウェアは、EHRデータ-BCに動作可能に結合することができるEHRデータ-BC-クライアントソフトウェアを含むことができる。
2)eスクリプトエージェントであって、処方をeスクリプトネットワークから取得することができ、EHRデータ-BC-クライアントソフトウェアを使用してBC-トランザクション(RxNew)EHRデータ-BCに追加することができる、eスクリプトエージェント。
【0051】
図4A図4Eは、本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態による、電子健康記録データブロックチェーンシステムRxNewトランザクションの特徴を実施する制御論理を例示するフローチャート図400を示す。RxNewトランザクション制御論理306は、サーバ上のアルゴリズム、機械学習モジュール又は他の適したシステム若しくは構成要素として実施することができる。RxNewトランザクション制御論理306は、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ネットワーク接続、ネットワーク転送プロトコル、HTML、DHTML、JavaScript、Dojo、Ruby、Rails、他の適したアプリケーション又はそれらの適した組合せを用いて実施することができる。トランザクション関連データは、制御論理306を介して1つ又は複数のEHRデータ-BC-クライアントとEHRデータ-BC302との間を流れることができる。例示的な一実施形態では、サーバ102は、EHRデータ-BC302へのアクセスについて1つ又は複数のEHRデータ-BC-クライアントを許可し、認証することができる。例えば、サーバ102は、ユーザ名/パスワード又はユーザ若しくはデバイスを認証する他の適した手段を確立し、妥当性確認することができる。サーバは、本明細書に記載の1つ又は複数の機能について、ユーザ又はデバイスへの読み出し/書き込み/実行許可を認可することもできる。
【0052】
BC-トランザクションの追加
図4Aに示すように、本実施形態のRxNewトランザクション制御論理306のプロセスフローは、制御論理306が新しい処方の新しいBC-トランザクション404を受信するときに開始される。例示的な一実施形態では、BC-トランザクション404は、医師の実施管理ソフトウェア、eスクリプトソフトウェアエージェント、薬局の処方調剤ソフトウェア又は他の適したソフトウェアにより制御論理306に送信することができる。別の例示的な実施形態では、第1のEHRデータ-BC-クライアント402は、新しいe処方等の新しいBC-トランザクション404を生成し、ネットワーク130を介してBC-トランザクション404を制御論理306に送信することができる。制御論理306は、次いで、BC-トランザクション404をEHRデータ-BC302に記憶することができる。
【0053】
医師 - 新しいトランザクションの追加
例示的な一実施形態では、医師は実施管理ソフトウェア(PMS)を使用して新しい処方を生成することができる。PMSは、EHRデータ-BC-クライアント402を利用して、BC-トランザクション(RxNew)404をEHRデータ-BC302に追加することができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-BC-クライアント402は、PMSに統合することができる。別の例示的な実施形態では、EHRデータ-BC-クライアント402は、スタンドアロンソフトウェアであり得る。
【0054】
スマートコントラクトの追加
RxNewトランザクション制御論理306は、RxNewトランザクション404に関するデータ、製品又はサービスを供給することができると判断した1つ又は複数のEHRデータ-BC-クライアントから1つ又は複数のBC-スマートコントラクトを受信することができる。例示的な一実施形態では、複数の薬局業界エンティティは、EHRデータ-BC-クライアント406を使用してEHRデータ-BC302を監視することができ、RxNewトランザクション404に関するデータ、製品又はサービスを提供することができる。そのような機能を示すために、各エンティティは、製品/サービス、条件/規約及び履行価格を記述するBC-スマートコントラクトを作成することができる。例示的な一実施形態では、薬剤コード(例えば、NDC-G-1)は、RxNewトランザクション404に含めることができる。例えば、
・ジェネリック製薬会社(例えば、DM-1)は、処方に書かれたブランド薬剤(例えば、NDC-B-1)に相当するジェネリック薬剤(例えば、NDC-G-1)を提供することができ、プログラムに関して、ジェネリック薬剤コード(例えば、NDC-G-1)と、処方がEHRデータ-BC-クライアント408を介して調剤された場合、その薬剤でブランド薬剤(例えば、NDC-B-1)が置き換えられる場合のクーポン価値(例えば、$5)とを示すことができるBC-スマートコントラクト410を開始することができる。
・ジェネリック製薬会社(例えば、DM-2)は、処方に書かれたブランド薬剤(例えば、NDC-B-1)に相当するジェネリック薬剤(例えば、NDC-G-2)を提供することができ、プログラムに関して、ジェネリック薬剤コード(例えば、NDC-G-2)と、処方がEHRデータ-BC-クライアント412を介して調剤された場合、その薬剤でブランド薬剤(例えば、NDC-B-1)が置き換えられる場合のクーポン価値(例えば、$4)とを示すことができるBC-スマートコントラクト414を開始することができる。
・DUR編集サービス(例えば、DURES-1)は、患者DM-1によって提供されるジェネリック薬剤(例えば、NDC-G-1)に対してアレルギーを有することを検出することができ、プログラムに関して、EHRデータ-BC-クライアント416を介してこの相互作用の詳細を示すことができるBC-スマートコントラクト418を開始することができる。
・臨床編集サービス(CES-1)は、患者がブランド薬剤(NDC-B-1)を代謝できないことを検出することができ、プログラムに関して、EHRデータ-BC-クライアント420を介してこの相互作用の詳細を示すことができるBC-スマートコントラクト422を開始することができる。患者が、支払人の処方集上にあり得るジェネリック薬剤を代謝できないことを支払人に知らせることができる。
・中央調剤(CF-1)は、示された薬剤をストックしていることを検出することができ、中央施設で処方を調剤し、調剤した処方を薬局に又は患者に直接出荷することができ、プログラムに関して、EHRデータ-BC-クライアント424を介してこの遂行の詳細を示すことができるBC-スマートコントラクト426を開始することができる。
【0055】
別の例示的な実施形態では、制御論理306は、各EHRデータ-BC-クライアントによって開始されるBC-スマートコントラクトを生成することができる。
【0056】
処方給付管理会社 - 患者適格性メタデータを追加する
図4B図4Aから続く)に示すように、例示的な一実施形態では、処方給付管理会社(PBM)は、処方給付を、RxNewトランザクション404に示される患者に供給できることを検出し、EHRデータ-BC-クライアント502を介して、患者が特定の給付に適格であることを示すEHRデータ-BC302へのBC-メタデータ508トランザクションを開始することができる。別の例示的な実施形態では、制御論理306は、EHRデータ-BC-クライアント502によって開始されたBC-メタデータ508トランザクションを生成し、それをEHRデータ-BC302に書き込むことができる。
【0057】
薬局 - 処方を取得する
例示的な一実施形態では、患者は、薬局に入り、処方を調剤することを望むことを示し得る。EHRデータ-BC-クライアント506を使用して、薬局は、薬局が処方を取得し、調剤プロセスを開始したことを示す、EHRデータ-BC302へのBC-メタデータ508トランザクションを開始することができる。別の例示的な実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント502において、任意の法的要件を満たすために個人の識別情報の妥当性確認を行ったことを示すことができる。
【0058】
薬局 - 薬剤を選択し、処方に価格を付ける
例示的な一実施形態では、DUR BC-スマートコントラクト418の結果及び臨床BC-スマートコントラクト422の編集出力に基づいて、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント510を介して製薬会社2(DM-2)からのジェネリック薬剤(例えば、NDC-G-2)を選択し、処方に価格を付け(例えば、$22)、EHRデータ-BC302へのBC-メタデータ512を開始することができる。例示的な一実施形態では、代替の均等な薬剤を代わりに選択することができる。
【0059】
価格設定編集 - スマートコントラクトを追加する
例示的な一実施形態では、処方薬剤価格設定サービス(PE-1)は、薬局が処方を誤って価格付けした($22)ことを検出し、EHRデータ-BC-クライアント514を介して、プログラムに関して、価格設定エラーの理由、正しい価格(例えば、$48)及び推奨される価格が使用される場合のコントラクト履行価格($0.05)を示すことができるEHRデータ-BC302へのBC-スマートコントラクト516を開始した。
【0060】
薬局 - 価格を修正する - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント518を介して、価格設定問題を修正し、処方の価格を変更し、EHRデータ-BC302へのBC-メタデータ520トランザクションを開始した。
【0061】
薬局 - 裁定の準備ができている
図4C図4Bからの続き)に示すように、例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント602を介して、EHRデータ-BCに対して、裁定の準備ができたことを示す新しいBC-メタデータ604トランザクションを開始することができる。
【0062】
処方給付管理会社 - 裁定 - スマートコントラクトを追加する
例示的な一実施形態では、処方給付管理会社(PBM)は、処方を裁定し、EHRデータ-BC-クライアント606を介して、処方の金額(例えば、$46)を支払う意思があることを示すBC-スマートコントラクト608を開始することができる。
【0063】
薬局 - 裁定を受け入れる - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント610を介して、EHRデータ-BCに対して、裁定された価格(例えば、$46)を受け入れたことを示すBC-メタデータ612トランザクションを開始することができる。
【0064】
薬局 - 調薬準備ができている - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント614を介して、調薬準備ができていることを示すEHRデータ-BC302へのBC-メタデータ616を開始することができる。
【0065】
薬局計粒器 - 調薬完了 - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、薬局は、処方を自動的に調薬する自動計粒器を組み込むことができる。完了すると、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント618を介してEHRデータ-BC302へのBC-メタデータ620トランザクションを開始することができる。
【0066】
薬局 - 品質管理の準備ができている - メタデータを追加する
図4C図4Bから続く)に示すように、例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント702を介して、処方が品質管理レビューに向けて準備ができたことを示す、EHRデータ-BC302へのBC-メタデータ704トランザクションを開始することができる。
【0067】
薬局 - 品質管理完了 - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント706を介して、薬剤師による品質管理レビューが完了し、受け入れられ、署名されたことを示すEHRデータ-BC302へのBC-メタデータ708トランザクションを開始することができる。
【0068】
薬局 - ピックアップの準備ができている - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント710を介して、処方のピックアップの準備ができたことを示すEHRデータ-BC302へのBC-メタデータ712トランザクションを開始することができる。
【0069】
患者 - ピックアップする - メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、スマートフォン、タブレット、ラップトップ又は他の適したデバイス等の申請患者の電子デバイスは、処方のピックアップの準備ができたことの通知を受信することができる。別の例示的な実施形態では、患者は、ユーザデータ(例えば、スマートフォン)を介して、処方をピックアップすることの肯定応答を送信することができる。ユーザデバイスは、次いで、EHRデータ-BC-クライアント714を介して、患者が処方をピックアップすることになることを示すBC-メタデータ716トランザクションを開始することができる。
【0070】
患者 - 暗号チェックアウト - スマートコントラクトを追加する
例示的な一実施形態では、患者は、EHRデータ患者ポータル(EHRデータ-PP)デジタル通貨アカウントの残高を使用して、処方に関連付けられた患者負担金の支払いを選択することができる。患者は、自らのスマートフォンを使用して、EHRデータ-BC-クライアント718を介してトランザクションを完了することができる。患者のスマートフォンは、EHRデータ-BC302に関するBC-スマートコントラクト720を開始することができる。
【0071】
薬局 - 患者が処方をピックアップした - メタデータを追加する
図4C図4Bから続く)に示すように、例示的な一実施形態では、患者が暗号通貨アカウントを使用して処方の支払いをした後、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント802を介して、ユーザが処方をピックアップしたことを示すEHRデータ-BC302へのBC-メタデータ804トランザクションを開始することができる。
【0072】
薬局 - 処方をクローズする - BC-メタデータを追加する
例示的な一実施形態では、患者は、処方をピックアップすることができる。したがって、薬局は、EHRデータ-BC-クライアント806を介して、処方が現時点でクローズされており、処方調剤プロセスが完了したことを示すBC-メタデータ808トランザクションを開始することができる。
【0073】
コントラクト履行
例示的な一実施形態では、BC-トランザクション404のクローズに続き、制御論理306は、履行されたスマートコントラクト810の暗号通貨支払い812を開始することができる。したがって、システムは、続くレビュー及び監査に向けてトランザクションの不変記録を生成する。
【0074】
本開示は、少なくとも以下の利点を達成する。
1.トランザクションが完了し、署名され、同意に向けて配布されるまで、EHR患者トランザクションブロックチェーンをトランザクション処理のワークフロー空間として利用することにより、従来のシステムの性能を改善する。
2.データ要素の中でもとりわけ、ワークフロープロセス、薬剤相互作用、遂行、予期される結果、トリガー事象及び価格設定を決定及び定義するためにスマートコントラクトを実施する。
3.計算的に高価なデータストレージ、データボトルネック及びシステムクエリからの追加の処理リソースの利用及びネットワーク利用を低減する。
4.続くレビュー及び監査に向けてトランザクションの不変記録を生成する。
5.容易且つ有効な処方の編集、処理及び支払い、暗号通貨の利用並びにトランザクションを促進するAPIを提供するプラットフォームを提供する。
6.離散トランザクションに使用するために、特定の患者の患者識別可能情報(PII)にアクセスし且つそれを取得し、及び非患者識別可能単一目的患者ID(SPPID)を生成する。
【0075】
このシステムのこれらの利点(及び概要に示される利点)並びに目的は、コンピュータハードウェアと、本発明のシステムで組み立てられ、本明細書に記載された他の構造的構成要素及びメカニズムとの特定の組合せなしでは可能でないことを当業者であれば容易に理解するであろう。既知の多様なプログラミングツールが上記の資料に記載の特徴及び動作の制御の実施に利用可能であることが当業者に更に理解されるであろう。更に、プログラミングツールの特定の選択は、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の概念の実現のために選択された実施計画への特定の目的及び制約によって支配され得る。特に、民生(COTS)機器の統合を本明細書に記載の新しく非従来的な様式で利用して、特許請求の範囲の1つ又は複数の態様を達成し得る。
【0076】
本特許文献においける説明は、いかなる特定の要素、ステップ又は機能も、特許請求の範囲に含まれなければならない必須又は重要な要素であり得ることを暗示するものとして読まれるべきではない。また、特許請求の範囲のいずれも、機能を識別する特定の語句に続く厳密な用語「する手段」又は「するステップ」が特定の請求項で明確に使用されない限り、いずれの添付の特許請求の範囲又は請求項要素に関しても米国特許法第112条(f)の実施を意図され得ない。(限定ではなく)請求項内の「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、「処理デバイス」又は「コントローラ」などの用語の使用は、特許請求の範囲自体の特徴によって更に改変又は強化され、米国特許法第112条(f)の実施を意図され得ないため、既知の構造を指すものと当業者に理解され、当業者に既知の構造を指すことを意図し得る。
【0077】
本開示は、本開示の趣旨又は基本特性から逸脱せずに他の特定の形態で実施され得る。例えば、本明細書に記載の新しい構造の各々は、基本構成若しくは互いとの構造的関係を保持しながら又は本明細書に記載の同じ若しくは同様の機能を実行しながら、特定の地域の違い又は要件に合うように改変され得る。したがって、本実施形態は、全ての点において、限定ではなく、例示として見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって確立され得る。したがって、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内にある全ての変更形態は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。更に、特許請求の範囲の個々の要素は、明確に理解されたルーチン又は従来のものではない。代わりに、特許請求の範囲は、本明細書に記載の非従来的な本発明の概念に向けられている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
【国際調査報告】