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特表2022-538421リンクの巻き取り及び巻き解きを行うリール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】リンクの巻き取り及び巻き解きを行うリール
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/14 20060101AFI20220826BHJP
   B65H 75/18 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
B65H75/14
B65H75/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576789
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2020068546
(87)【国際公開番号】W WO2021001436
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】1907258
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513112876
【氏名又は名称】コンダクティクス ヴァンプフラー フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マルクレス,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】サヴァリーノ,エルヴェ
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AB03
3F058AC07
3F058AC14
3F058BB12
3F058CA09
3F058CA11
3F058DA05
3F058DC01
3F058DC05
3F058DC08
(57)【要約】
【要約】
本発明は、ワインダ用リールに関し、リールの回転軸(X)の周囲において延びるマンドレル(10)と;マンドレル(10)の両側に延び、相互の間にリンクの巻き体積を規定するフランクとして一緒に作用する複数対の側方のアーム(20a,20b)とを備え;このリールは、閉じたフランジ(40)を備え、閉じたフランジは、上述のフランクのうちの1つを構成するアーム(20a)に取り付けられ、このフランジは、10mm及び40mmの間の厚みを有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクの巻き取り及び巻き解きを行うリールであって、
リールの回転軸の周囲において延びるマンドレルと、
前記マンドレルの両側に延び、相互の間に前記リンクの巻き体積を規定するフランクとして一緒に作用する複数対の側方のアームとを備え、
リールは、閉じたフランジを備え、閉じた前記フランジは、前記フランクのうちの1つを構成する前記アームに取り付けられ、前記フランジは、10mm及び40mmの間の厚みを有し、前記マンドレルは、20mm及び40mmの間の厚みを有することを特徴とする、リール。
【請求項2】
前記フランジは、レーザによって切断されることに適合した厚み、例えば10mm及び25mmの間の厚みを有する、請求項1記載のリール。
【請求項3】
前記フランジは、前記マンドレルの厚みと同一の厚みを有する、請求項1又は2記載のリール。
【請求項4】
前記マンドレルの外側の形状は、前記フランジの内側の形状と一致する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリール。
【請求項5】
前記フランジは、30mm及び100mmの間の幅を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリール。
【請求項6】
前記フランジは、ねじ付きロッド又はねじによって、前記フランクのうちの1つを構成する各アームに取り付けられ、
各ねじ付きロッド又はねじは、前記フランジの伸長孔と各アームの伸長孔とを通過し、伸長孔は、実質的に直交する方向に沿って配向されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のリール。
【請求項7】
前記フランジは環状の形状を有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のリール。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリールを製造する方法であって、
(a)前記マンドレルと前記フランジとを供給するステップと、
(b)前記マンドレルの両側に前記アームを取り付け、2つのフランクを形成するステップと、
(c)前記フランクのうちの1つを構成する前記アームに、前記フランジを取り付けるステップとを備えている、方法。
【請求項9】
請求項3記載のリールを製造するために、前記ステップ(a)は、前記マンドレルと前記フランジとを同一の金属シートから切断することを含み、前記フランジは前記マンドレルの周囲において延びる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)の切断はレーザによって行われる、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル、パイプ、光ファイバ又はその他のような、特に、エネルギーの伝送及び/又はデータの伝送のためのリンク(LIEN,長尺材)の巻き取り及び巻き解きを行うことを可能にするリール、及びそのようなリールを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本出願人の名義による国際公開第2014/167105号、及び国際公開第2015/071341号の文書によれば、リールは、リンク、例えば、エネルギーの伝送及び/又はデータの伝送を可能にするタイプのリンクの巻き取り及び巻き解きを行うことを意図していることが知られている。
【0003】
図1ないし4を参照すると、このリールは、
リールの回転軸に沿って延びるマンドレル10と、
リンクの巻き体積を規定し、リンクの巻き線を横方向に収容する構成であり、マンドレル10の両側に取り付けられている2セットの側方のアーム20a,20bとを備えている。各アームセットはフランクを形成する。
【0004】
リールの構造は、フェルールによって次のように剛性が高くされている。
マンドレルから第1距離に配置された内部フェルール30を有する。
一対の外部フェルール31a,31bを有し、各フェルールは、マンドレルから第1距離よりも大きい第2距離で、それぞれのフランクのアームに取り付けられる。
【0005】
リールは、リンクの巻き線を受けるように構成された支持面を備え、内部巻き線は、この支持面と接触している。支持面は、特に、マンドレルの一部又は内部フェルールの一部であってよい。
【0006】
フランク間の空間、即ち、2つのフランク間の距離は、リールに巻かれるリンクの幅に従って定義される。リンクの正確な巻き取り/巻き解きを可能にするために、特に、単一巻き線リールの場合に、フランク間の距離がアームの近位端及び遠位端で巻かれたリンクに適合されるように、フランク間の空間が調整される。
【0007】
現在の傾向は、リンクの幅及び/又は厚みを減少させることであり、これは、同一のリール直径に対して、さらに長いリンク及びさらに多くの巻き線数を支持面に巻くことを可能にする。フランクによってガイドされるリンクの規則的な巻き取り/巻き解きを保持するために、リンクの寸法を減少させることは、フランク間の空間を減少させることを伴う。
【0008】
フランク間の空間の減少を制限する要素は、マンドレルの厚み、即ち、リールの回転軸に平行な寸法である。
【0009】
実際、マンドレルの厚みの減少は、リールの剛性の減少をもたらす。これは、特に、それが静的であるか、風のように動的であるかにかかわらず、軸方向応力の影響下で、マンドレルに対するアームの遠位端の変位振幅の増加をもたらす。
【0010】
さらに、マンドレルの相当な厚みは、マンドレルの製造を高価にする。実際、典型的には25mmを超える厚みの場合に、シートをレーザで切断する方法は、適用されない。酸素切断又はドリルプレスでのドリル加工のような、技術的な限界を有する方法、及び/又はさらに高価な方法に置き換える必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、さらに安いコストで製造されつつ、改良された剛性と削減された質量とを有するリールを構成することである。
【0012】
特に、そのようなリールは、既知のリールに対して剛性が劣化することなく、小さな幅(例えば、約20mmないし40mm)のリンクを受け入れるように構成することができる。
【0013】
この趣旨のために、本発明は、リンクの巻き取り及び巻き解きを行うリールを提案し、リールは、
リールの回転軸の周囲において延びるマンドレルと、
マンドレルの両側に延び、相互の間にリンクの巻き体積を規定するフランクとして一緒に作用する複数対の側方のアームとを備え、
リールは、閉じたフランジを備え、閉じたフランジは、フランクのうちの1つを構成するアームに取り付けられ、フランジは、10mm及び40mmの間の厚みを有することを特徴とする。
【0014】
「閉じた」という用語は、フランジがそれ自体で閉じる連続した形状を有することを意味する。このフランジはリールを取り巻いて延びるが、フランジは、リールの回転軸に直交する平面における横断面で考えると、従って、フランジは、閉じた内側輪郭と、閉じた外側輪郭とによって区切られ、2つの輪郭の間の距離は、フランジの幅として定義される。フランジは、環状の形状、即ち、同心円形の内側及び外側輪郭を有してよいが、輪郭のこの特定の形状に限定されない。さらに一般的には、フランジの内側及び外側輪郭は、湾曲部分及び/又は直線部分を含んでよい。
【0015】
特に有利なこととしては、フランジは、レーザによって切断されることに適合した厚み、例えば10mm及び25mmの間の厚みを有する。
【0016】
好ましくは、フランジは、マンドレルの厚みと同一の厚みを有する。
【0017】
実施形態によれば、マンドレルは、20mm及び40mmの間の厚みを有する。
【0018】
好ましい実施形態によれば、マンドレルの外側の形状は、フランジの内側の形状と一致する。
【0019】
フランジは、30mm及び100mmの間の幅を有してよい。
【0020】
好ましい実施形態によれば、フランジは、ねじ付きロッド又はねじによって、フランクのうちの1つを構成する各アームに取り付けられ;各ねじ付きロッド又はねじは、フランジの伸長孔と各アームの伸長孔とを通過し、伸長孔は、実質的に直交する方向に沿って配向されている。
【0021】
本発明の別の目的は、上述のようなリールを製造する方法に関する。
【0022】
この方法は、以下のステップ、即ち
(a)マンドレルとフランジとを供給するステップと、
(b)マンドレルの両側にアームを取り付け、2つのフランクを形成するステップと、
(c)フランクのうちの1つを構成するアームに、フランジを取り付けるステップとを備えている。
【0023】
好ましい実施形態によれば、ステップ(a)は、マンドレルとフランジとを同一の金属シートから切断することを含み、フランジはマンドレルの周囲において延びる。
【0024】
特に有利なこととしては、ステップ(a)の切断はレーザによって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明の中で述べる。
【0026】
図1】既知のリールの斜視図である。
図2図1のリールの正面図である。
図3図1のリールの断面図である。
図4】本発明の実施形態によるリールの斜視図である。
図5図4のリールの断面図である。
図6図4のリールの詳細図である。
図7A】デジタルシミュレーションによって計算された、マンドレルの厚みが20mmである、既知のタイプのリールでのアームの変位(mm)を示す。
図7B】デジタルシミュレーションによって計算された、マンドレルの厚みが20mmである、本発明によるリールでのアームの変位(mm)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図5以降を参照すると、リールは、リールの回転軸Xの周囲において延びるマンドレル10を備えている。
【0028】
好ましい実施形態によれば、マンドレル10は、円筒形の回転体形状を有し、その軸は、軸Xと一致する。これに代えて、マンドレルの外側の形状は、複数のファセットから構成されてよく、各ファセットは、軸Xに平行な平面内に延び、好ましくは、異なるファセットは、全て、軸Xから等距離に配置される。
【0029】
マンドレル10は、軸Xに直交する2つの互いに反対側の面を有する。
【0030】
マンドレルは、典型的には、金属シートから切り取られる。
【0031】
マンドレルの厚み、即ち、2つの互いに反対側の面間の距離は、典型的には、20mm及び40mmの間である。
【0032】
それ自体既知の方法では、リールはさらに、マンドレルの両側に延びる2つのフランクを備えている。両フランクは、相互の間にリンクの巻き体積を規定し、該リンクの巻き線を横方向に収容するようになっている。フランク間の空間(ENTREFLASQUE)は、リールに巻き取られるリンクの幅に応じて定義される。さらに正確には、単一巻き線のリールの場合に、フランク間の空間は、リンクの製造に関連する寸法公差を考慮に入れるために、リンクの幅よりもわずかに大きい。複数巻き線のリールの場合に、いくつかの隣接する巻き線を受け入れることを意図して、フランク間の空間は、隣接するリンクの幅の合計よりもわずかに大きい。従って、フランクは、リンクの巻き取り及び巻き解きをガイドする。
【0033】
各フランクは、マンドレルから半径方向に延びる一組の側方のアーム20a又は20bによって構成される。各アームの近位部分は、例えば、ねじ付きロッドによって、マンドレルのそれぞれの面と堅固に一体化されている。実際には、フランクの一方を形成するアームは、マンドレルの面に直接取り付けてよく、他方のフランクのアームは、所望のフランク間の空間を得るために、マンドレルの反対面から所定の距離に取り付けてよい。この距離は、特に、国際公開第2014/167105号の文書に記載されているようなフランク間の空間を調整する装置によって調整してよい。
【0034】
各フランクは平坦である、即ち、マンドレルに対向するアームの面は互いに同一平面上にあり、マンドレルの回転軸Xに直交する平面内で延びている。
【0035】
この文書では、「近位」及び「遠位」という用語は、マンドレルに比較的近い、又は遠い要素を表す。
【0036】
アームは、例えば、金属シートを折り畳むことにより形成される。又は金属プロファイルから形成されてよい。
【0037】
リンクは、丸い断面部(この場合に、リンクの幅及び厚みは、その直径に等しい)、特にマルチ巻き線リールの場合に、実質的に長方形の断面部(この場合に、リンクの幅は、軸Xに沿って延びる寸法であり、厚みは、幅に垂直な寸法である)、又はターゲットとする用途に依存する他の任意の断面部を有してよい。
【0038】
リールの構造は、フェルールによって次のように剛性が高くされている。
マンドレルから第1距離に配置された内部フェルール30を有する。
一対の外部フェルール31a,31bを有し、各フェルールは、マンドレルから第1距離よりも大きい第2距離で、それぞれのフランクのアームに取り付けられる。例えば、アームの遠位端に外部フェルールを取り付けることができる。
【0039】
各フェルールは、軸Xの周りの角度区間に沿って各々延びる単一片又は複数の部分から構成してよい。
【0040】
有利な実施形態によれば、各フェルールは、国際公開第2015/071341号の文書に記載されるように、取り外し可能部分を含んでよい。
【0041】
リールは、リンクの巻き線を受けるように構成された支持面を備え、内部巻き線は、この支持面と接触している。支持面は、概括的に、円筒形又は螺旋形を有する。支持面は、特に、マンドレルの一部(マンドレルの円筒面、又はマンドレルと堅固に一体化した付加面)又は内部フェルールの一部(フェルールの各部分は、円筒形又は螺旋形の一部の形態の表面を有し、異なる部分のアセンブリは、支持面である連続する円筒面又は螺旋面を形成する)であってよい。
【0042】
本発明によれば、閉じたフランジ40がさらに、アーム20aに取り付けられている。フランジは、例えば、金属シートを切断することによって形成されてよい。従って、フランジは平坦である。フランジは、一定の厚みを有することが好ましい。
【0043】
フランジは、典型的には10mm及び40mmの間、好ましくは10mm及び25mmの間の厚みを有する。
【0044】
特に有利なこととしては、フランジは、マンドレルと同じシートから切断される(DECOUPEE DANS)。従って、フランジの外側に位置するシートに対応する生じ得るスクラップ以外の材料を失うことなく、マンドレルとフランジの両方を形成するためには、フランジの内側の形状と一致するマンドレルの外側の形状に従った切断(例えば、レーザによる切断)と、フランジの外側の形状に従った切断(例えば、レーザによる切断)とを行うことが十分である。
【0045】
マンドレルとフランジとは、ステンレス鋼シートから形成してよい。これに代えて、マンドレルとフランジとは、鋼シートから形成され、次いで、例えば、亜鉛めっき又は塗料による保護処理を受けてよい。
【0046】
フランジには、アームにフランジを取り付けるために必要なねじ付きロッド又はねじ41を通すためのオリフィス400が設けられている。同様に、各アームは、フランジに対して与えられた位置に、上述のねじ付きロッド又はねじの通過のためのオリフィス200を備えている。好ましくは、あらゆる寸法のばらつきを考慮に入れるために、オリフィス200及び400は伸長した形状である。さらに好ましくは、図6に示すように、各伸長オリフィス200は、対応する伸長オリフィス400に対して実質的に垂直に配向され、これにより、寸法のばらつきを2方向に吸収することを可能にする。典型的には、伸長オリフィス200は、フランジの中央円に接線に沿って延び、伸長オリフィス400は、アーム20aの長さの方向に延びる。
【0047】
フランジの幅は、ねじ付きロッドの通過を可能にし、十分な機械的強度を有するように十分大きい幅を選択する。典型的には、フランジの幅は、1000mmないし3000mmの外径に対して30mm及び100mmの間である。フランジの幅は一定であることが好ましい。
【0048】
このようなフランジは、同じフランクのアームを互いに連結することによって、アームに働く力を取り出す機能を有し、これは、リールの剛性を増大させる効果を有し、また、水平位置(典型的には、リールが組み立てられる位置)から縦位置(リールの通常の使用位置)への持ち上げの際に、その安定性を増大させる効果を有する。このように、フランジは補強材として作用する。
【0049】
従って、フランジの存在は、リールの質量とコストとを大幅に増加させる原因となるリールの剛性を損なうことなく、マンドレルの厚みを減少させることを可能にする。この剛性の付与は、比較的厚みが小さいシート、特に25mm未満のシートで得ることができるので、レーザにより切断する方法の使用を可能にする。
【0050】
実施例
リールの剛性に及ぼされる上述の閉じたフランジの効果が、デジタルシミュレーションを用いて検証された。
【0051】
これらのシミュレーションの対象となるリールは、厚みが20mmのマンドレルを有する。マンドレルが40mmの厚みを有する既知のリールに関しては、このリールは、質量が小さく、コストが低く、そして、幅の狭い、即ち幅が約20mmのケーブルを巻くことが可能である。
【0052】
シミュレーションは、風の力に応答するリールの抵抗を検証することをねらうものである。
【0053】
マンドレル上の風によって加えられる風の力Fは、次式で定義される。
【数1】
ここでρは、流体、ここでは空気の密度であり、ρ=1.28kg/mであり、
は、リールの抗力係数であり、Cは、ディスクの抗力係数である1.2に等しく、
Vは、風速(m/s)であり、シミュレーションでは最高速度70m/sが許容され、
Sは、リールに巻かれたリンクの面積(SURFACE)である。
【数2】
【0054】
=160756Nが得られる。
【0055】
この力は全てのアームに作用する。外部フェルールでの最大変位を計算する。以下が得られる。
【0056】
マンドレルが40mmのリールの場合に、最大変位が60mmであり、
マンドレルが20mmのリール(フランジなし)の場合に、最大変位は508mmである(図7A参照)。
【0057】
これは、マンドレルの厚みの減少は、アームの遠位端の変位を実質的に増加させる効果を有することを示す。これは、リールの機械的強度、及び特に強風の影響下でのその使用に有害である。
【0058】
次いで、本発明によるリールを用いてシミュレーションを行う。このリールは、厚みが20mmのマンドレルで構成されている。フランジとマンドレルとは、2m×2mの同一シートから切断されている(DECOUPES DANS)。このシミュレーションでは、マンドレルは円形の形状を有し、フランジは、内側の形状がマンドレルの形状と一致する環状の形状を有する。マンドレルの外径はフランジの内径に相当する1850mm、フランジの外径は1975mmである。
【0059】
この補強フランジがあるため、70m/sの風の下でのアームの遠位端での最大変位は27mm(図7B参照)であり、即ち、フランジがないリールに対して18倍だけ減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】国際公開第2014/167105号
【特許文献2】国際公開第2015/071341号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】