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特表2022-538443加熱調理器用の装置、加熱調理器、および加熱調理器を清掃する方法
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  • 特表-加熱調理器用の装置、加熱調理器、および加熱調理器を清掃する方法 図1
  • 特表-加熱調理器用の装置、加熱調理器、および加熱調理器を清掃する方法 図2
  • 特表-加熱調理器用の装置、加熱調理器、および加熱調理器を清掃する方法 図3A
  • 特表-加熱調理器用の装置、加熱調理器、および加熱調理器を清掃する方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】加熱調理器用の装置、加熱調理器、および加熱調理器を清掃する方法
(51)【国際特許分類】
   F24C 14/00 20060101AFI20220826BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
F24C14/00 C
H05B6/12 305
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577704
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019000200
(87)【国際公開番号】W WO2021004597
(87)【国際公開日】2021-01-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】トゥナイ・エルカン
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA68
(57)【要約】
【課題】加熱調理器の加熱調理面からの固化した汚れの除去を容易にできる、加熱調理器用の装置、該装置を備えた加熱調理器、および該加熱調理器を清掃する方法を提供する。
【解決手段】加熱調理器用の装置100は、調理器具を支持するように構成された面112を有し当該面112に1つ以上の流体出口114を有する可撓部110と、可撓部110を機械的に変形させるように構成された少なくとも1つの励起装置120と、清掃用流体を1つ以上の流体出口114から可撓部110の面112へと押し出すように構成された清掃部130と、面112の前記流体を収集するように構成された流体収集構造140と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器用の装置(100)であって、
調理器具を支持するように構成された面(112)を有し、当該面(112)に1つ以上の流体出口(114)を有する可撓部(110)と、
前記可撓部(110)を機械的に変形させるように構成された少なくとも1つの励起装置(120)と、
清掃用流体を前記1つ以上の流体出口(114)から前記可撓部(110)の前記面(112)へと押し出すように構成された清掃部(130)と、
前記面(112)の前記流体を収集するように構成された流体収集構造(140)と、
を備える、装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(100)において、前記可撓部(110)が、弾性材料、特には弾性ポリマーを含むか、あるいは、弾性材料、特には弾性ポリマーからなる、装置(100)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置(100)において、前記1つ以上の出口(114)が、前記可撓部(110)のスリットである、装置(100)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(100)において、前記少なくとも1つの励起装置(120)が、前記可撓部(110)に埋設されている、装置(100)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)において、前記少なくとも1つの励起装置(120)は、電流が印加されると膨張するように構成された金属を含むか、あるいは、電流が印加されると膨張するように構成された金属からなる、装置(100)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(100)において、前記少なくとも1つの励起装置(120)が、渦巻き形状である、装置(100)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(100)において、前記清掃部(130)は、前記可撓部(110)の中央部分を膨らませることで、前記清掃用流体を前記1つ以上の流体出口(114)から圧力で押し出すように構成されている、装置(100)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(100)において、前記流体収集構造(140)が、前記可撓部(110)の縁部に設けられている、装置(100)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(100)において、前記流体収集構造(140)が、流体収集路(142)を有する、装置(100)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(100)において、前記流体収集路(142)が、前記可撓部(110)を少なくとも部分的に囲む、装置(100)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(100)において、さらに、制御部を備え、
前記制御部は、
前記可撓部(110)を機械的に変形させるように構成された前記少なくとも1つの励起装置(120)を作動させて前記可撓部(110)の前記面(112)の汚れを前記可撓部(110)の前記面(112)から機械的に脱離させ、
前記清掃部(130)を作動させて前記清掃用流体を前記1つ以上の流体出口(114)から押し出すことで、脱離した汚れを前記流体収集構造(140)へと運ぶように構成されている、装置(100)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(100)を備えた、加熱調理器。
【請求項13】
請求項12に記載の加熱調理器において、前記装置(100)が当該加熱調理器の加熱プレート(10)を覆う、加熱調理器。
【請求項14】
請求項12または13に記載の加熱調理器において、当該加熱調理器が誘導加熱調理器である、加熱調理器。
【請求項15】
加熱調理器を清掃する方法(200)であって、
少なくとも1つの励起装置(120)によって可撓部(110)を機械的に変形させて、当該可撓部(110)のうちの調理器具を支持するように構成された面(112)の汚れを、当該可撓部(110)の当該面(112)から機械的に脱離させる過程(210)と、
清掃部(130)によって清掃用流体を前記可撓部(110)の前記面(112)の1つ以上の流体出口(114)から押し出すことで、脱離した汚れを流体収集構造(140)へと運ぶ過程と、
を備える、方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、加熱調理器用の装置、該装置を備えた加熱調理器、および該加熱調理器を清掃する方法に関する。本開示の実施形態は、特には、誘導加熱調理器などの加熱調理器の加熱調理面の汚れの除去に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱調理器は、ガスを必要とせず使用が安全なことからますます普及している。一般的に、誘導加熱調理器は、鍋や容器を載置して調理を行うことができる平滑なガラス面又はガラスセラミックス面を有する。同加熱調理器の当該面は、その鍋や容器を定位置に保持するための金属製の鍋受けやその他の備品を必要としない。さらに、当該ガラス面が平滑なので、鍋のバランスの問題が生じることもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような誘導加熱調理器の使用時には、鍋や容器の内容物が飛び出して加熱用ガラス面に付着する場合がある。このような汚れが固化すると、同ガラス面からの除去が困難になる。固化した汚れは、刃状体を用いて上記ガラス面から削り取ることが可能である。しかし、これは煩雑であり得ると共に、上記ガラス面を傷付ける可能性がある。ガラス面を清掃する別の方法には、磁場を利用するものがある。さらなる別の方法には、化学物質を用いて汚れを除去するものがある。これらの方法は高価であると共に、家電機器に用いるには危険である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑みると、当該技術分野の問題の少なくとも一部を克服した、加熱調理器用の新しい装置(清掃装置)、および加熱調理器を清掃する方法が有用となる。
【0005】
上記を踏まえて、加熱調理器用の装置、該装置を備えた加熱調理器、および該加熱調理器を清掃する方法を提供する。
【0006】
本発明の目的は、誘導加熱調理器などの加熱調理器の加熱調理面からの固化した汚れの除去を容易にできる、加熱調理器用の装置、該装置を備えた加熱調理器、および該加熱調理器を清掃する方法を提供することである。
【0007】
本開示のその他の態様、利点および構成は、特許請求の範囲、明細書および添付の図面から明らかである。
【0008】
本開示の独立態様の一つでは、加熱調理器用の装置が提供される。同装置は、調理器具を支持するように構成された面を有し当該面に1つ以上の流体出口を有する可撓部と、前記可撓部を機械的に変形させるように構成された少なくとも1つの励起装置と、清掃用流体を前記1つ以上の流体出口から前記可撓部の前記面へと押し出すように構成された清掃部と、前記面の前記流体を収集するように構成された流体収集構造と、を備える。
【0009】
本開示の他の独立態様では、加熱調理器が提供される。同加熱調理器は、調理器具を支持するように構成された面を有し当該面に1つ以上の流体出口を有する可撓部、前記可撓部を機械的に変形させるように構成された少なくとも1つの励起装置、清掃用流体を前記1つ以上の流体出口から前記可撓部の前記面へと押し出すように構成された清掃部、および前記面の前記流体を収集するように構成された流体収集構造を含む、装置を備える。
【0010】
本開示のさらなる他の独立態様では、加熱調理器を清掃する方法が提供される。同方法は、少なくとも1つの励起装置によって可撓部を機械的に変形させて、当該可撓部のうちの調理器具を支持するように構成された面の汚れを、当該可撓部の当該面から機械的に脱離させる過程と、清掃部によって清掃用流体を前記可撓部の前記面の1つ以上の流体出口から押し出すことで、脱離した汚れを流体収集構造へと運ぶ過程と、を備える。
【0011】
また、実施形態は、本開示の方法を実行する装置にも向けられており、前記方法の各工程を実施する装置部分も含む。これらの方法工程は、ハードウェアコンポーネント、適切なソフトウェアでプログラムされたコンピュータ、これら2種の任意の組合せ、またはその他の任意の様式によって実施され得る。さらに、本開示の実施形態は、前記装置を動作させる方法にも向けられている。同方法は、当該装置の各機能を実行する方法工程を備えている。
【0012】
本開示の上記構成についての具体的な理解を可能にするために、先ほど簡単にまとめた本開示についての詳細な説明を、実施形態を参照しながら行う。添付の図面は、本開示の実施形態に関するものであり、その内容は次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器用の装置を示す概略斜視図である。
図2】本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器を清掃する方法を示すフローチャートである。
図3A】本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器の清掃の様子を示す図である。
図3B】本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器の清掃の様子を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本開示の各実施形態を具体的に参照する。図面には、同実施形態の1つ以上の例が示されている。図面についての後述の説明では、同じ参照符号は同じ構成を指すものとする。基本的には、各実施形態の相違点のみを説明する。各例は、あくまでも本開示を説明するためのものであって、本開示を制限するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示された又は記載した構成を他の実施形態に適用したり他の実施形態と組み合わせたりすることで、さらなる他の実施形態を作り出すということも可能である。本記載には、そのような変更、変形が包含されるものとする。
【0015】
加熱調理器の使用時には、鍋や容器の内容物が飛び出して加熱用ガラス面に付着する場合がある。このような汚れが固化すると、同ガラス面からの除去が困難になる。固化した汚れは、刃状体を用いて上記ガラス面から削り取ることが可能である。しかし、これは煩雑であり得ると共に、上記ガラス面を傷付ける可能性がある。
【0016】
本発明は、可撓部および励起装置を用いて加熱調理面の形状を変化させることにより、固化した汚れを機械的に砕く又は割ることで前記加熱調理面から脱離させる。そして、流体流によって当該汚れを前記加熱調理面から取り除いて流体収集構造で収集する。このようにして、加熱調理面の効率的な自動清掃を行うことができると共に、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0017】
図1は、本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器用の装置100を示す概略斜視図である。
【0018】
装置100は、調理器具(図示せず)を支持するように構成された面112を有し当該面112に1つ以上の流体出口114を有する可撓部110と、可撓部110を機械的に変形させるように構成された少なくとも1つの励起装置120と、清掃用流体を1つ以上の流体出口114から可撓部110の面112へと押し出すように構成された清掃部130と、面112の前記流体を収集するように構成された流体収集構造140と、を備える。
【0019】
装置100は、誘導加熱調理器などの前記加熱調理器に組み込まれるものである。前記加熱調理器は、誘導加熱体などの加熱体を1つ以上具備し得る。誘導加熱体は、電流を用いて鍋や容器の一部に電磁場を発生させる。結果として誘導電流が発生して熱が生じ、この熱がその鍋や容器の内部に伝達されることによって、中に配置された食品を加熱することが可能となっている。
【0020】
しかし、本開示は誘導加熱調理器に限定されるものではなく、本開示の清掃装置はそれ以外の加熱調理器、特には平坦な加熱調理面を有する別の加熱調理器との組合せで使用することも可能である。このようなものには、伝導加熱及び/又はガスを利用した加熱調理器が含まれ得る。
【0021】
装置100の面112は、鍋や容器などの調理器具を支持するように構成されており、「加熱調理面」とも称され得る。面112は、使用(すなわち、調理)時には滑らかな平坦面であり得るのに対し、清掃時には固化した汚れを除去するように変形させることが可能であり得る。
【0022】
一部の実施形態において、前記加熱調理器は、加熱プレート10を備える。加熱プレート10は、ガラス製またはガラスセラミックス製であり得る。加熱プレート10は、鍋や容器を載置して調理を行うことが可能であるように構成された少なくとも1つのコンロ部を具備し得る。例えば、当該少なくとも1つのコンロ部は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、あるいは、6つ以上のコンロ部であり得る。各コンロ部は、加熱調理面112のうちの所定の領域に相当し得る。
【0023】
一部の応用例では、装置100が、加熱プレート10の少なくとも一部を覆い、特には、加熱プレート10のうちの、前記少なくとも1つのコンロ部を有する領域を覆う。好ましくは、装置100が、加熱プレート10の全体を覆う。さらなる応用例では、装置100が、加熱プレート10に組み込まれている。換言すると、装置100と加熱プレート10とが単一物を構成してもよい。
【0024】
一部の実施形態では、可撓部110が、弾性材料、特には弾性ポリマーを含むか、あるいは、可撓部110が、弾性材料、特には弾性ポリマーからなる。可撓部110の素材には、固化した汚れを面112から脱離させるように当該可撓部110を少なくとも1つの励起装置120で変形させることが可能なものが選択される。一部の実施形態では、可撓部110が、ポリマー製の可撓性カバー、特にはポリマー製の透明な可撓性カバーとされる。可撓部110は、調理時に発生する熱に耐えるように構成されたものであり得る。
【0025】
可撓部110は、その外縁において装置110又は加熱プレート10と連結され得て、その中央部分においては装置110又は加熱プレート10とは連結され得ない。前記清掃用流体が可撓部110の下側、例えば、可撓部110と加熱プレート10との間に導入されると、当該可撓部110の前記中央部分が膨らむ。
【0026】
この膨らみには、少なくとも2種類の有利な効果があり得る。第一に、可撓部110内外に通じ得る1つ以上の流体出口114が拡幅することになり、流体が当該1つ以上の流体出口114から流出できるようになる。第二に、前記清掃用流体が、可撓部110の外縁にある流体収集構造140に向かって前記膨らみを流れ落ち得る。
【0027】
一部の応用例では、1つ以上の出口114が、可撓部110内外に通じ得て、すなわち、可撓部110を貫通し得る。例えば、可撓部110はシート状体であり得て、1つ以上の出口114が可撓部110の厚さ方向で当該可撓部110内外に通じ得る。1つ以上の出口114は、可撓部110のスリット又は孔であり得る。
【0028】
1つ以上の出口114は、図1の例に示すように、互いに平行な仮想線に沿って面112に設けられた複数の出口114であり得る。複数の出口114は、脱離後の汚れを取り除くのに十分な量の清掃用流体が面112に供給されるように設けられ得る。
【0029】
一部の実施形態では、少なくとも1つの励起装置120が、可撓部110に埋設されている。例えば、少なくとも1つの励起装置120は、前記弾性ポリマーなどの前記弾性材料に埋設されたものとされ得る。他の実施形態では、少なくとも1つの励起装置120が、可撓部110のうちの加熱調理面112とは反対側の面に設けられ得る。
【0030】
少なくとも1つの励起装置120は、当該少なくとも1つの励起装置120を駆動したときに1つ以上の出口114が拡張又は拡幅するように設置されたものであり得る。これにより、1つ以上の出口114から面112への前記清掃用流体の流体流を向上させることができる。例えば、少なくとも1つの励起装置120は、図1の例に示すように、1つ以上の出口114のうちの少なくとも2つの間に設けられ得る。
【0031】
一部の実施形態において、可撓部110は、少なくとも1つの励起装置120が作動又は駆動されていない状態では1つ以上の出口114が実質的に閉じているように構成され得る。少なくとも1つの励起装置120が作動又は駆動されると、1つ以上の出口114が拡張又は拡幅して開き得る。これにより、調理時に汚れが1つ以上の出口114に流れ込むのを防止することができる。
【0032】
一部の応用例において、少なくとも1つの励起装置120は、電流が印加されると膨張するように構成された金属を含むか、あるいは、電流が印加されると膨張するように構成された金属からなる。少なくとも1つの励起装置120は、高い膨張係数を有する金属からなるものとされ得る。少なくとも1つの励起装置120に電流が印加されると、この少なくとも1つの励起装置120が膨張し、可撓部110が変形するか又は皺むことで、固化した汚れが面112から脱離して前記清掃用流体によって運び出され得る。
【0033】
一部の実施形態では、少なくとも1つの励起装置120が渦巻き形状である。この渦巻き形状体は、電源への、かつ/あるいは、少なくとも1つの励起装置120を作動又は駆動するように構成された制御部への電気接続用の2つのピン122を具備したものであり得る。
【0034】
一部の応用例では、清掃部130が、流入弁150および流出弁152を有する。流入弁150は、清掃部140への清掃用流体の供給(例えば、上水の供給)を制御するように構成されている。流出弁152は、清掃部130からの清掃用流体の排出(例えば、汚水の排出)を制御するように構成されている。前記清掃用流体は、水、特には水道水であり得る。例えば、流入弁150は、水道水供給部20に接続され得る。これに加えて又はこれに代えて、流出弁152は、排出ポンプ30に接続され得る。排出ポンプ30は、装置100に含まれたものであり得るか、あるいは、装置100とは別個に設けられるものであり得る。
【0035】
一部の実施形態において、清掃部130は、可撓部110の中央部分を膨らませることで、前記清掃用流体を1つ以上の流体出口114から圧力で押し出すように構成されている。この圧力は、水道水供給部20により生成され得て、かつ/あるいは、流入弁150で制御され得る。流入弁150は、前記清掃用流体を清掃部130に供給して清掃作業を実行するように制御部によって制御され得る。
【0036】
一部の実施形態では、流体収集構造140が、可撓部110の縁部又は周部に設けられている。
【0037】
一部の応用例では、流体収集構造140が、流体収集路142を有する。例えば、流体収集路142は、可撓部110を少なくとも部分的に囲むものとされ得る。好ましくは、流体収集路142は、可撓部110の周囲全体を囲む。流体収集路142は、1つ以上の出口114を通り抜けて面112に沿って流れることにより脱離後の汚れを当該面112から取り除いた後の清掃用流体を受け取る。流体収集路142は、流体用孔156を介して流出弁152と流体連通し得る。
【0038】
一部の実施形態では、流体収集構造140が、可撓部110の縁部又は周部に設けられた流体遮断部144を有する。流体遮断部144は、清掃用流体が面112から落下するのを阻止し得て、かつ/あるいは、当該清掃用流体を流体収集路142に案内し得る。例えば、流体遮断部144は、流体収集路142の外周に設けられ得る。一部の実施形態では、流体遮断部144が、流体収集路142を少なくとも部分的に又はその全体を囲む。
【0039】
流体遮断部144は、加熱調理面112から突出し且つ/或いは加熱調理面112よりも高く突出した凸部又はリブであり得る。流体遮断部144は、清掃用流体が流体遮断部144を越えて流出しないように十分高く突出したものとされ得る。
【0040】
以下では、装置100の動作の詳細について、図2図3A及び図3Bを参照しながら説明する。
【0041】
図2は、本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器を清掃する方法200を示すフローチャートである。図3A及び図3Bは、本明細書に記載した実施形態に係る加熱調理器の清掃の様子を示す図である。
【0042】
方法200は、少なくとも1つの励起装置によって可撓部を機械的に変形させて、当該可撓部のうちの調理器具を支持するように構成された面の汚れを、当該可撓部の当該面から機械的に脱離させる過程(ブロック210)と、清掃部によって清掃用流体を前記可撓部の前記面の1つ以上の流体出口から押し出すことで、脱離した汚れを流体収集構造へと運ぶ過程(ブロック220)と、を備える。
【0043】
一部の実施形態では、前記少なくとも1つの励起装置が周期的に駆動されることにより、前記可撓部の膨張と収縮が所定回数行われる。これにより、可撓部110の前記面から汚れを確実に脱離させることができる。
【0044】
本明細書に記載した実施形態において、加熱調理器を清掃する方法200は、コンピュータプログラム、ソフトウェア、コンピュータソフトウェアプロダクト及び相互に関係し合う(CPUを有し得る)制御部、メモリ、ユーザインターフェース、ならびに前記装置のうちの対応するコンポーネントと通信する入出力手段によって実施され得る。
【0045】
図3A及び図3Bに、本開示の作用原理のうちの重要な2つの部分を示す。第一の部分は、前記少なくとも1つの励起装置を励起させて前記可撓部に皺301を形成し、当該可撓部の面の汚れを機械的に脱離させるという部分である。第二の部分は、前記1つ以上の出口から清掃対象の面へと清掃用流体302を押し出し、当該清掃用流体302によって脱離後の汚れを取り除き且つ当該脱離後の汚れを流体収集構造140へと運ぶという部分である。流体収集構造140で収集した汚水は、前記流出弁に接続された前記排出ポンプを用いて排出され得る。
【0046】
本発明の方法や作用原理は、前記装置の制御部を用いて実施され得る。当該制御部は、前記可撓部を機械的に変形させるように構成された前記少なくとも1つの励起装置を作動させて前記可撓部の前記面の汚れを前記可撓部の前記面から機械的に脱離させるように構成されている。当該制御部は、さらに、前記清掃部(例えば、前記流入弁および/または前記流出弁および/または前記排出ポンプ)を作動させて前記清掃用流体を前記1つ以上の流体出口から押し出すことで、脱離した汚れを前記流体収集構造へと運ぶように構成されている。
【0047】
一部の実施形態において、前記制御部は、前記少なくとも1つの励起装置を周期的に制御又は駆動することにより、前記可撓部に膨張と収縮を所定回数行わせるように構成されている。これにより、前記可撓部の前記面から汚れを確実に脱離させることができる。
【0048】
マイクロコントローラであり得る前記制御部は、以下の動作アルゴリズムを実行し得る。
【0049】
第一に、清掃作業が開始される。例えば、手動制御の清掃作業であれば、清掃用ボタンが用いられ得る。一方で、この清掃作業が自動制御なのであれば、前記制御部が用いられ得る。
【0050】
第二に、前記少なくとも1つの励起装置が図3Aに示すように駆動される。例えば、高い熱膨張係数を有する金属製の渦巻き形状体同士がランダムに又は一つずつ電流で励起されて、弾性を有する前記カバーが伸張・収縮する。このようにして、前記加熱調理面から汚れを機械的に脱離させる。
【0051】
第三に、前記少なくとも1つの励起装置の駆動が停止される。
【0052】
第四に、水道網の水栓であり得る前記流入弁が開放される。冷水の水道水が可撓性の前記カバーの下側に注入されると、図3Bに示すように可撓性の当該カバーの中央に反りが生じる。可撓性の当該カバーが伸びることにより、カバー表面の孔が開く。水が表面に漏れ出すと共に、前記膨らみにより、当該水が汚れと共に可撓性の前記カバーの縁へと流れる。
【0053】
第五に、前記排出ポンプおよび流出弁を動作させることにより、排水作業が行われる。
【0054】
本発明は、前記可撓部および前記励起装置を用いて前記加熱調理面の形状を変化させることにより、固化した汚れを機械的に砕く又は割ることで前記加熱調理面から脱離させる。そして、流体流によって当該汚れを前記加熱調理面から取り除いて流体収集構造で収集する。このようにして、加熱調理面の効率的な自動清掃を行うことができると共に、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。このシステムは、マイクロコントローラ又は簡単なセンサ-アクチュエータ機構で動かされ得る。
【0055】
前述の内容は本開示の実施形態に向けられたものであるが、後述の特許請求の範囲で定まる基本的な範囲を逸脱することなく、本開示のそれ以外のさらなる実施形態を作り出すことも可能である。
図1
図2
図3A
図3B
【国際調査報告】