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特表2022-538445異種材料を使用する選択的堆積ベースの付加製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】異種材料を使用する選択的堆積ベースの付加製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/336 20170101AFI20220826BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220826BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220826BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220826BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20220826BHJP
   G03G 15/22 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
B29C64/336
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/40
G03G15/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577823
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2020040317
(87)【国際公開番号】W WO2021003166
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/870,451
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520233249
【氏名又は名称】エボルブ アディティブ ソリューションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バッチェルダー ジェイ. サミュエル
【テーマコード(参考)】
2H078
4F213
【Fターム(参考)】
2H078AA15
2H078DD03
2H078DD38
2H078DD45
2H078DD59
2H078FF02
4F213AC04
4F213AR06
4F213AR17
4F213WA25
4F213WB01
4F213WK03
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL62
4F213WL74
(57)【要約】
選択的堆積付加製造プロセスに従って3D部品をプリントする方法において、流動性材料の第1の像部分が第1の電子写真エンジンを使用して現像される。弾性材料の第2の像部分が第2の電子写真エンジンを使用して現像される。第1の像部分は第2の像部分と位置合わせされて、第1及び第2の像部分を含む結合像層を転写媒体上に形成する。結合像層は、転写媒体から3D部品の部品構築面に定着する。弾性材料の粘度(Vr)は、流動性材料の粘度(Vf)の3倍以上であり、且つ/又は弾性材料の貯蔵弾性率(Er)は、流動性材料の貯蔵弾性率(Ef)の3倍以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的堆積付加製造プロセスに従って3D部品をプリントする方法であって、
第1の電子写真エンジンを使用して流動性材料の第1の像部分を現像することと、
第2の電子写真エンジンを使用して弾性材料の第2の像部分を現像することと、
前記第1の像部分を前記第2の像部分と位置合わせして、前記第1及び第2の像部分を含む結合像層を転写媒体上に形成することと、
ニップローラを使用して前記結合像層を前記転写媒体から3D部品の部品構築面に定着させることと、
を含み、
前記弾性材料は、前記ニップローラにおける前記結合像層の表面温度に対応するニップ入口温度において粘度Vrを有し、
前記流動性材料は前記ニップ入口温度において粘度Vfを有し、Vr≧3Vfである、方法。
【請求項2】
前記ニップ入口温度は180~380℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弾性材料及び前記流動性材料の粘度は、振動プレートレオメータを使用して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記弾性材料及び前記流動性材料の粘度は、周波数20Hz~20kHzで振動する振動プレートレオメータを使用して測定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記弾性材料及び前記流動性材料の粘度は、周波数30~100Hzで振動する振動プレートレオメータを使用して測定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記結合像層を部品構築面に定着させることは、前記部品構築面を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記弾性材料は、前記部品構築面から約50~100ミルの深さでの前記3D部品の平均温度に対応するバルク温度において貯蔵弾性率Erを有し、
前記流動性材料は前記バルク温度において貯蔵弾性率Efを有し、Er≧3Efである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記バルク温度は60~180℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記弾性材料及び前記流動性材料の前記貯蔵弾性率は、振動板リオメータを使用して決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
選択的堆積付加製造プロセスに従って3D部品をプリントする方法であって、
第1の電子写真エンジンを使用して流動性材料の第1の像部分を現像することと、
第2の電子写真エンジンを使用して弾性材料の第2の像部分を現像することと、
前記第1の像部分を前記第2の像部分と位置合わせして、前記第1及び第2の像部分を含む結合像層を転写媒体上に形成することと、
前記結合像層を前記転写媒体から3D部品の部品構築面に定着させることと、
を含み、
前記弾性材料は、前記部品構築面から約50~100ミルの深さでの前記3D部品の平均温度に対応するバルク温度において貯蔵弾性率Erを有し、
前記流動性材料は前記バルク温度において貯蔵弾性率Efを有し、Er≧3Efである、方法。
【請求項11】
前記バルク温度は60~180℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記弾性材料及び前記流動性材料の前記貯蔵弾性率は、振動板リオメータを使用して決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記弾性材料及び前記流動性材料の前記貯蔵弾性率は、周波数20Hz~20kHzで振動する振動板リオメータを使用して決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記弾性材料及び前記流動性材料の前記貯蔵弾性率は、周波数30~100Hzで振動する振動板リオメータを使用して決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結合像層を前記転写媒体から3D部品の部品構築面に定着させることは、ニップローラを使用して前記結合像層を前記転写媒体から前記3D部品の前記部品構築面に定着させることを含み、
前記弾性材料は、前記ニップローラにおける前記結合像層の表面温度に対応するニップ入口温度において粘度Vrを有し、
前記流動性材料は前記ニップ入口温度において粘度Vfを有し、Vr≧3Vfである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ニップ入口温度は180~380℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記弾性材料及び前記流動性材料の粘度は、振動板リオメータを使用して測定される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
選択的堆積付加製造プロセスに従って3D部品をプリントする方法であって、
第1の電子写真エンジンを使用して流動性材料の第1の像部分を現像することと、
第2の電子写真エンジンを使用して弾性材料の第2の像部分を現像することと、
前記第1の像部分を前記第2の像部分と位置合わせして、前記第1及び第2の像部分を含む結合像層を転写媒体上に形成することと、
ニップローラを使用して前記結合像層を前記転写媒体から3D部品の部品構築面に定着させることと、
を含み、
前記弾性材料は、前記ニップローラにおける前記結合像層の表面温度に対応するニップ入口温度において粘度Vrを有し、
前記流動性材料は前記ニップ入口温度において粘度Vfを有し、Vr≧3Vfであり、
前記弾性材料は、前記部品構築面から約50~100ミルの深さでの前記3D部品の平均温度に対応するバルク温度において貯蔵弾性率Erを有し、
前記流動性材料は前記バルク温度において貯蔵弾性率Efを有し、Er≧3Efである、方法。
【請求項19】
前記ニップ入口温度は180~380℃であり、
前記バルク温度は60~180℃である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記弾性材料及び前記流動性材料の粘度及び貯蔵弾性率は、振動プレートレオメータを使用して決定される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、各国での指定出願人である米国国内企業Evolve Additive Solutions,Inc.及び各国での指定発明者である米国市民J.Samuel Batchelderの名において2020年6月30日付けでPCT国際特許出願として出願されており、2019年7月3日付けで出願された米国仮特許出願第62/870,451号明細書の優先権を主張するものであり、その内容は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、三次元(3D)部品及びサポート構造をプリントする付加製造システムに関する。特に、本開示は、異種材料を使用する選択的堆積付加製造プロセスに関する。
【0003】
付加製造は一般に、物体のコンピュータモデルを利用して三次元(3D)物体を付加的に製造するプロセスである。付加製造システムの基本動作は、三次元コンピュータモデルを薄い断面にスライスし、その結果を位置データに翻訳し、位置データ、1つ又は複数の付加製造技法を使用して層単位で三次元構造を製造する機器を制御することからなる。付加製造は、溶融堆積モデリング、インクジェット、選択的レーザ焼結、粉体/バインダジェット、電子ビーム溶融、電子写真イメージング、及び立体リソグラフィプロセスを含め、作製方法に多くの異なる手法を伴う。
【0004】
部品材料の層を堆積することによって3D部品を作製するに当たり、サポート層又は構造が典型的には、部品材料自体によって支持されない構築中の物体の突き出た部分の下又はキャビティ内に構築される。サポート構造は、部品材料を堆積するのと同じ堆積技法を利用して構築し得る。ホストコンピュータは、形成中の3D部品の突き出た又は自由空間セグメント及び幾つかの場合、形成中の3D部品の側壁のサポート構造として働く追加のジオメトリを生成する。サポート材料は、作製中、部品材料に接着し、プリントプロセスが完了したとき、完成した3D部品から取り外し可能である。
【0005】
静電複写3Dプリントプロセスでは、3D部品及びそのサポート構造のデジタル表現のスライスは、電子写真エンジンを使用してプリント又は現像される。静電複写エンジンは一般に、3D部品の構築で使用されるように調合された帯電粉体材料(例えば、高分子トナー材料)を使用して2D静電写真プリントプロセスに従って動作する。静電複写エンジンは典型的には、感光材料層が成膜された支持ドラムを使用し、静電潜像が光源による感光層の像毎の露光に続く静電帯電によって形成される。静電潜像は次いで現像ステーションに移され、そこで、高分子トナーが帯電エリア又は代替的には感光性絶縁体の放電エリアに塗布されて、3D部品のスライスを表す帯電粉体材料の層を形成する。現像された層は転写媒体に転写され、そこから層は、前にプリントされた層に熱及び圧力を用いて定着して、3D部品を構築する。
【0006】
上述した市販の付加製造技法に加えて、粒子がまずイメージングプロセスで選択的に堆積して、サポート材料で形成されるサポート部分を含み得る、作製すべき部品のスライスに対応する層を形成する新規の付加製造技法が出現した。層は次いで互いに接合されて、部品及びサポート構造を形成する。これは、例えば選択的焼結とは対照的に、イメージング及び部品形成が同時に行われる選択的堆積プロセスである。選択的堆積プロセスでのイメージングステップは電子写真法を使用して行うことができる。二次元(2D)プリントでは、電子写真(すなわちゼログラフィ)は、プリント用紙等の平坦基板上に2D像を作成する普及した技術である。電子写真システムは、感光材料層が成膜された導電性支持ドラムを含み、そこで、感光層を帯電させ、次いで光源によって像毎に露光することによって静電潜像が形成される。静電潜像は次いで現像ステーションに移され、そこで、トナーが感光性絶縁体の帯電エリアに塗布されて、可視像を形成する。形成されたトナー像は次いで基板(例えばプリント用紙)に転写され、熱又は圧力を用いて基板に固定される。
【0007】
先に開示された選択的堆積プロセスは、層構築プロセスを適宜実行するために、部品及びサポート構造の形成に使用される材料が適合性を有することの決定的重要性を強調していた。具体的には、先に開示された選択的堆積プロセスでは、部品材料及びサポート材料が、動作温度範囲内で同様の粘度及び同様の貯蔵弾性率を含め同様のレオロジーを有する必要がある。その結果、選択的堆積プロセスで使用される材料のタイプは、非常に似たレオロジーを有するものに大幅に制限されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態は、部品及び/又はサポート構造を形成する選択的堆積プロセスにおいて異種レオロジーを有する材料を使用することに関する。選択的堆積付加製造プロセスを通して3D部品をプリントする方法の一実施形態では、流動性材料の第1の像部分は第1の電子写真エンジンを使用して現像される。弾性材料の第2の像部分は第2の電子写真エンジンを使用して現像される。第1の像部分は第2の像部分と位置合わせされて、第1の及び第2の像部分を含む結合像層を転写媒体上に形成する。結合像層は、転写媒体から3D部品の部品構築面に定着する。
【0009】
本方法の一態様では、結合像層は、ニップローラを使用して転写媒体から部品構築面に定着する。弾性材料は、ニップローラにおける結合像層の表面温度に対応するニップ入口温度において粘度Vrを有し、流動性材料はニップ入口温度において粘度Vfを有する。さらに、弾性材料の粘度(Vr)は、流動性材料の粘度(Vf)の3倍以上である。すなわち、Vr≧3Vfである。
【0010】
別の態様によれば、弾性材料は、部品構築面から約50~100ミルの深さでの3D部品の平均温度に対応するバルク温度において貯蔵弾性率Erを有する。流動性材料はバルク温度において貯蔵弾性率Efを有する。弾性材料の貯蔵弾性率(Er)は、流動性材料の貯蔵弾性率(Ef)の3倍以上である。すなわち、Er≧3Efである。
【0011】
定義
別記される場合を除き、本明細書で使用される以下の用語は以下に提供される意味を有する。
【0012】
「コポリマー」という用語は、2つ以上のモノマー種を有するポリマーを指す。
【0013】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の恩恵を提供し得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で他の実施形態が好ましいこともある。さらに、1つ又は複数の好ましい実施形態という記載は、他の実施形態が有用ではないことを暗示せず、他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図しない。
【0014】
「1つの(a)」化学化合物への言及は、化学化合物の単一分子に限定されるのではなく、化学化合物の1つ又は複数の分子を指す。さらに、1つ又は複数の分子は、その化学化合物のカテゴリに入る限り、同一であってもよく、又は同一でなくてもよい。
【0015】
「少なくとも1つ」の要素及び要素「の1つ又は複数」という用語は同義で使用され、1つの要素及び複数の要素を含む同じ意味を有し、要素の末尾における接尾辞「(s)」によって表すこともできる。
【0016】
「上」、「下」、「上部」「下部」等の方向向きは、3D部品のプリント軸に沿った方向を参照してなされている。プリント軸が垂直z軸である実施形態では、層プリント方向が垂直z軸に沿った上向き方向である。これらの実施形態では、「上」、「下」、「上部」、「下部」等の用語は、垂直z軸に基づく。しかしながら、3D部品の層が異なる軸に沿ってプリントされる実施形態では、「上」、「下」、「上部」、「下部」等の用語は所与の軸に相対する。
【0017】
「材料を提供する」等の「提供する」という用語は、特許請求の範囲に記載されるとき、提供される物品のいかなる特定の送達又は受け取りの必要も意図しない。むしろ、「提供する」という用語は単に、明確化且つ読みやすさを目的として、請求項の後続要素において参照される項目の記載に使用される。
【0018】
「選択的堆積」という用語は、熱及び圧力を利用して粒子の1つ又は複数の層が前に堆積した層と経時的に融合する付加製造技法を指し、ここで、粒子は一緒に融合して、部品の層を形成すると共に、前にプリントされた層と融合もする。
【0019】
「静電複写」という用語は、部品、指示構造、又は両方の層の像を表面上に形成するための静電潜像パターンの形成及び利用を指す。静電複写は、限定されないが、光学エネルギーを使用して潜像を形成する電子写真法、イオンを使用して潜像を形成するイオノグラフィ、及び/又は電子を使用して潜像を形成する電子ビームイメージングを含む。
【0020】
「弾性材料」及び「流動性材料」という用語は、3D部品及びサポートのプリントに使用される別個の材料を記述する。弾性材料は、流動性材料と比較して高い粘度及び/又は貯蔵弾性率を有する。
【0021】
別記される場合を除き、本明細書で参照される温度は、大気圧(すなわち1気圧)に基づく。
【0022】
「約」及び「実質的に」という用語は、本明細書では、当業者に既知の予期される変動(例えば、測定の制限及びばらつき)に起因して、測定可能な値及び範囲に関して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態による、部品材料及びサポート材料から3D部品及びサポート構造をプリントする例示的な電子写真ベースの付加的製造システムの正面図である。
図2】本開示の実施形態による、部品材料及びサポート材料の層を現像するシステムの一対の電子写真エンジンの概略正面図である。
図3】本開示の実施形態による、中間ドラム又はベルトを含む代替の電子写真エンジンの概略正面図である。
図4】本開示の実施形態による、現像層との層定着ステップを実行するシステムの層定着組立体の概略正面図である。
図5】先に開示された選択的堆積プロセスによる、3D部品への転写前及び後の転写媒体上の例示的な結合像層を示す簡易図である。
図6】本開示の実施形態による、3D部品への転写前及び後の転写媒体上の例示的な結合像層を示す簡易図である。
図7】本開示の実施形態による、プリントされた層を位置合わせする例示的なプロセスを示す簡易図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態は、高解像度及び高速プリントレートで3D部品及び/又はサポート構造をプリントする静電複写ベースの付加製造システム等の選択的堆積ベースの付加製造システムに関する。プリント動作中、静電複写エンジンは、静電複写プロセスを使用して部品材料及びサポート材料の各層を現像又は他の方法で像形成し得る。現像された層は次いで層定着組立体に転写され、そこで定着して(例えば熱及び/又は圧力を経時使用して)、1つ又は複数の3D部品及びサポート構造を層ごとにプリントする。
【0025】
プリント用紙を通して電位を配置することにより、現像されたトナー粒子をプリント用紙に静電的に転写することができる2Dプリントと比較して、3D環境での複数のプリントされた層は、所与の数の層がプリントされた後(例えば、約15層)、部品材料及びサポート材料の静電転写を事実上妨げる。その代わり、3D部品の各層及び/又は前にプリントされた部分は、高い転写温度に加熱され得、次いで先にプリントされた層(又は構築プラットフォーム)に押しつけられて、定着ステップにおいて層を一緒に定着させ得る。これにより、静電転写を介しては達成可能ではないものを超えて、3D部品及びサポート構造の多くの層を構築することができる。
【0026】
本開示の実施形態は、先に開示された選択的堆積プロセスで使用される材料と比較して、3D部品及びサポート構造の形成に実質的に異種の材料を利用する。これは、3D部品及びサポート構造の形成に使用し得る材料の拡張並びに更に詳細に後述する他の利点を含め、先に開示された選択的堆積プロセスを凌ぐ幾つかの利点に繋がる。
【0027】
本開示は任意の静電複写ベースの付加製造システムと共に利用することができるが、本開示については電子写真ベース(EP)の付加製造システムに関連して説明する。しかしながら、本開示はEPベースの付加製造システムに限定されず、任意の静電複写ベースの付加製造システムと共に利用することができる。
【0028】
図1は、本開示の実施形態による、選択的堆積プロセスを実行して3D部品及び関連するサポート構造をプリントするように構成された例示的な電子写真ベースの付加製造システム10の簡易図である。図1に示すように、システム10は、EPエンジン12p及び12s等の全体的に12と呼称される1つ又は複数のEPエンジンと、転写組立体14と、バイアス機構16と、定着組立体20とを含む。システム10の適した構成要素及び機能動作の例には、Hansonらによる米国特許第8,879,957号明細書及び同第8,488,994号明細書並びにCombらによる米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書に開示されるものがある。
【0029】
EPエンジン12p及び12sは、粉体ベースの部品材料及びサポート材料の、全体的に22と参照される層をそれぞれイメージング又は他の方法で現像するイメージングエンジンであり、部品材料及びサポート材料は各々、好ましくは、特定のアーキテクチャのEPエンジン12p又は12sと併用するように工学的に設計される。後述するように、現像層22は転写組立体14の転写媒体(例えばベルト24)に転写され、転写媒体は層22を定着組立体20に送る。定着組立体20は、層22を構築プラットフォーム28上に一緒に定着させることにより、サポート構造及び他の特徴を含み得る3D部品26を層ごとに構築するように動作する。
【0030】
幾つかの実施形態では、図1に示すように、転写媒体はベルト24を含む。転写媒体の適した転写ベルト(ベルト24等)の例には、Combらによる米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書に開示されるものがある。幾つかの実施形態では、ベルト24は前面24a及び後面24bを含み、前面24aはEPエンジン12に面し、後面24bはバイアス機構16に接触する。
【0031】
幾つかの実施形態では、転写組立体14は、例えばモータ30及び駆動ローラ33又は他の適した駆動機構を含み及び転写媒体又はベルト24を供給方向32に駆動するように操作する、1つ又は複数の駆動機構を含む。幾つかの実施形態では、転写組立体14は、ベルト24に支持を提供するアイドラローラ34を含む。図1に示す例示的な転写組立体14は高度に簡易化され、他の構成をとることもできる。さらに、転写組立体14は、説明を簡易化するために示されていない追加の構成要素、例えばベルト24の所望の張力を維持する構成要素、層22を受け取る表面24aからデブリを除去するベルトクリーナ、及び他の構成要素等を含むこともできる。
【0032】
EPエンジン12sは、粉体ベースのサポート材料の層又は像部分22sを現像し、EPエンジン12pは、粉体ベースの部品/構築材料の層又は像部分22pを現像する。幾つかの実施形態では、EPエンジン12sは、図1に示すように、供給方向32に関してEPエンジン12pの上流に位置する。代替の実施形態では、EPエンジン12p及び12sの配置は、EPエンジン12pが供給方向32に関してEPエンジン12sの上流にあるように逆にし得る。更なる代替の実施形態では、システム10は、図1に示すように、追加の材料の層をプリントする3つ以上のEPエンジン12を含み得る。
【0033】
システム10はコントローラ36も含み、コントローラ36は、ローカルにシステム10のメモリ又はシステム10からリモートのメモリに記憶し得る命令を実行して、本明細書に記載の1つ又は複数の機能を実行するようにシステム10の構成要素を制御するように構成された1つ又は複数のプロセッサを表す。幾つかの実施形態では、コントローラ36は、1つ又は複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、及び/又はデジタル制御されるラスタイメージングプロセッサシステムを含み、ホストコンピュータ38又はリモートロケーションから受信するプリント命令に基づいてシステム10の構成要素を同期して動作させるように構成される。幾つかの実施形態では、ホストコンピュータ38は、コントローラ36と通信してプリント命令(及び他の動作情報)を提供するように構成された1つ又は複数のコンピュータベースのシステムを含む。例えば、ホストコンピュータ38は、3D部品及びサポート構造のスライスされた層に関する情報をコントローラ36に転送し得、それにより、システム10が3D部品26及びサポート構造を層毎にプリントできるようにする。コントローラ36はまた、1つ又は複数のセンサからの信号を使用して、部品又は像部分22p及び/又はサポート構造又は像部分22sのプリントをベルト24上の前にプリントされた対応するサポート構造部分22s又は部品部分22pと適宜位置合わせして、個々の層22を形成することを助けることもできる。
【0034】
システム10の構成要素は、1つ又は複数のフレーム構造(簡明にするために図示せず)によって保持し得る。さらに、システム10の構成要素は、動作中、システム10の構成要素が周囲光に露出されないようにする囲繞可能な筐体(簡明にするために図示せず)内に保持し得る。
【0035】
図2は、本開示の実施形態例によるシステム10のEPエンジン12s及び12pの概略正面図である。図示の実施形態では、EPエンジン12p及び12sは、導電性ドラム本体44と、感光面46とを有する感光体ドラム42等の同じ構成要素を含み得る。導電性ドラム本体44は、電気的に接地され、シャフト48の回りを回転するように構成された導電性ドラム(例えば、銅、アルミニウム、スズ等から作製される)である。シャフト48は対応して駆動モータ50に接続され、駆動モータ50は、方向52(矢印で示される)に一定速度でシャフト48(及び感光体ドラム42)を回転させるように構成される。
【0036】
感光面46は、導電性ドラム本体44の円周面の周りに延びる薄膜として示され、好ましくは、非晶質シリコン、セレン、酸化亜鉛、有機材料等の1つ又は複数の感光材料から導出される。後述するように、表面46は、3D部品又はサポート構造のスライス層の帯電潜像(又はネガ像)を受け取り、部品材料又はサポート材料の帯電粒子を帯電又は放電像エリアに引きつけ、それにより、3D部品又はサポート構造の層を作成するように構成される。
【0037】
更に示されるように、一例のEPエンジン12p及び12sの各々は、電荷誘導器54、イメージャ56、現像ステーション58、クリーニングステーション60、及び放電デバイス62も含み、これらは各々、コントローラ36と信号通信し得る。電荷誘導器54、イメージャ56、現像ステーション58、クリーニングステーション60、及び放電デバイス62はしたがって、表面46の像形成組立体を定義し、一方、駆動モータ50及びシャフト48は感光体ドラム42を方向52に回転させる。
【0038】
EPエンジン12の各々は、本明細書では全体的に参照文字66と参照される粉体ベース材料(例えば、高分子トナー又は熱可塑性トナー)を使用して層22を現像又は形成する。幾つかの実施形態では、EPエンジン12sの表面46の像形成組立体は、粉体ベースのサポート材料66sのサポート層22s(例えば像部分)を形成するのに使用され、そこにサポート材料66sの供給源をキャリア粒子と共に現像ステーション58(EPエンジン12sの)によって保持し得る。同様に、EPエンジン12pの表面46の像形成組立体は、粉体ベースの部品材料66pの部品層22p(例えば像部分)を形成するのに使用され、そこに部品材料66pの供給源をキャリア粒子と共に現像ステーション58(EPエンジン12pの)によって保持し得る。
【0039】
電荷誘導器54は、表面46が電荷誘導器54を通過して方向52に回転するにつれて、表面46上に均一な静電荷を生成するように構成される。電荷誘導器54に適したデバイスには、コロトロン、スコロトロン、帯電ローラ、及び他の静電帯電デバイスがある。
【0040】
各イメージャ56は、表面46がイメージャ56を通過して方向52に回転するにつれて、表面46上の均一な静電荷に向けて電磁放射を選択的に放射するように構成されたデジタル制御されるピクセル単位の露光装置である。表面46への電磁放射の選択的露光は、コントローラ36によって指示され、離散したピクセル単位のロケーションの静電電荷を除去(すなわち対地放電)させ、それにより、表面46上に潜像電荷パターンを形成する。
【0041】
イメージャ56に適したデバイスには、走査型レーザ(例えば、ガス又は固体状態レーザ)光源、発光ダイオード(LED)アレイ露光デバイス、及び2D電子写真システムで従来使用されている他の露光デバイスがある。代替の実施形態では、電荷誘導器54及びイメージャ56に適したデバイスには、荷電イオン又は電子を表面46に選択的に直接堆積させて、潜像電荷パターンを形成するように構成されたイオン堆積システムがある。
【0042】
各現像ステーション58は、キャリア粒子と共に部品材料66p又はサポート材料66sの供給源を保持する静電及び磁気現像ステーション又はカートリッジである。現像ステーション58は、2D電子写真システムで使用される一成分又は二成分現像システム及びトナーカートリッジと同様に機能し得る。例えば、各現像ステーション58は、部品材料66p又はサポート材料66s及びキャリア粒子を保持するエンクロージャを含み得る。攪拌されると、キャリア粒子は、部品材料66p又はサポート材料66sの粉体を引きつける摩擦電荷を生成し、これは、後述するように、引きつけられた粉体を所望の符号及び大きさに帯電させる。
【0043】
各現像ステーション58は、コンベア、ファーブラシ、パドルホイール、ローラ、及び/又は磁気ブラシ等の、帯電した部品材料66p又はサポート材料66sを表面46に転写させる1つ又は複数のデバイスを含むこともできる。例えば、表面46(帯電潜像を含む)がイメージャ56から現像ステーション58まで方向52に回転するにつれて、帯電した部品材料66p又はサポート材料66sは、帯電エリア現像又は放電エリア現像のいずれか(利用されている電子写真モードに依存する)を利用して、表面46上の潜像の適宜帯電した領域に引きつけられる。これは、感光体ドラム42が方向52に引き続き回転するにつれて、連続した層22p又は22sを作成し、連続した層22p又は22sは、3D部品又はサポート構造のデジタル表現の連続したスライス層に対応する。
【0044】
連続した層22p又は22sは次いで、表面46と共に転写領域まで方向52に回転され、転写領域において、後述するように、層22p又は22sは感光体ドラム42からベルト24又は別の転写媒体に連続して転写される。感光体ドラム42とベルト24との直接係合として示されるが、幾つかの好ましい実施形態では、更に後述するように、EPエンジン12p及び12sは中間転写ドラム及び/又はベルトを含んでもよい。
【0045】
所与の層22p又は22sが感光体ドラム42からベルト24(又は中間転写ドラム若しくはベルト)に転写された後、駆動モータ50及びシャフト48は、層22p又は22sを前に保持していた表面46の領域がクリーニングステーション60を通過するように、感光体ドラム42を方向52に引き続き回転させる。クリーニングステーション60は、部品材料66p又はサポート材料66sの残留している転写されなかったいかなる部分も除去するように構成されたステーションである。クリーニングステーション60に適したデバイスには、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、静電クリーナ、真空ベースのクリーナ、及びそれらの組合せがある。
【0046】
クリーニングステーション60を通過した後、次のサイクルの開始に先立って、表面46のクリーニングされた領域が放電デバイス62を通過して、表面46上の任意の残留静電荷をいずれも除去するように、表面46は方向52に引き続き回転する。放電デバイス62に適したデバイスには、光学システム、高電圧交流コロトロン及び/又はスコロトロン、高電圧交流が印加される導電性コアを有する1つ又は複数の回転誘電ローラ、及びそれらの組合せがある。
【0047】
バイアス機構16は、ベルト24を通して電位を誘導して、層22s及び22pをEPエンジン12p及び12sからベルト24に静電的に引きつけるように構成される。層22s及び22pの厚さは各々、プロセスのこの時点では単層のみの増分であるため、層22p及び22sのEPエンジン12p及び12sからベルト24への転写には静電引力が適する。
【0048】
コントローラ36は好ましくは、ベルト24のライン速度及び/又は任意の中間転写ドラム又はベルトと同期される同じ回転速度でEPエンジン12p及び12sの感光体ドラム42の回転を制御する。これにより、システム10は、別個の現像器像から互いと協調して層22p及び22sを現像且つ転写することができる。特に、示すように、層22pの各部品は、各サポート層22sと適宜位置合わせされてベルト24に転写され、結合部品及びサポート材料層又は結合イメージ層を生成し得、これは全体的に層22と呼ばれる。理解できるように、層定着組立体20に転写された層22によっては、特定のサポート構造及び3D部品のジオメトリ並びに層スライスに応じて、サポート材料66sのみを含むものもあれば、又は部品材料66pのみを含むものもある。
【0049】
代替の実施形態では、部品層22p及びサポート層22sは任意選択的に、層22p及び22sを交互になど、別個にベルト24に沿って現像且つ転写し得る。これらの交互になった連続層22p及び22sは次いで層定着組立体20に転写し得、層定着組立体20において、層22p及び22sは別個に定着して、層22を形成し、3D部品26及びサポート構造をプリント又は構築し得る。
【0050】
更なる代替の実施形態では、EPエンジン12p及び12sの一方又は両方は、1つ又は複数の中間転写ドラム及び/又はベルトを感光体ドラム42とベルト又は転写媒体(ベルト24等)との間に含むこともできる。例えば、図3に示すように、EPエンジン12pは、モータ50aの回転力下で、ドラム42が回転する方向52の逆の方向52aに回転する中間ドラム42aを含むこともできる。中間ドラム42aは感光体ドラム42と係合して、感光体ドラム42から現像された層22pを受け取り、次いで受け取った現像された層22pを搬送し、ベルト24に転写する。
【0051】
EPエンジン12sは、現像された層22sを感光体ドラム42からベルト24に搬送する、同じ配置の中間ドラム42aを含み得る。EPエンジン12p及び12sへのそのような中間転写ドラム又はベルトの使用は、所望であれば、ベルト24から感光体ドラム42を熱的に分離するのに有益であることができる。
【0052】
図4は層定着組立体20の一実施形態を示す。示すように、例示的な定着組立体20は、構築プラットフォーム28、ニップローラ70、並びに定着前ヒータ72及び74を含む。幾つかの実施形態では、定着組立体は、図1及び図4に示すように、任意選択的な定着後ヒータ76及び/又は冷却器(例えば、エアジェット78又は他の冷却ユニット)を含む。構築プラットフォーム28は、加熱された結合層22(又は別個の層22p及び22s)を受け取り、部品層22pで形成された3D部品26p及びサポート層22sで形成されたサポート構造26sを含む部品26を層ごとにプリントするように構成されたシステム10のプラットフォーム組立体又はプラテンである。幾つかの実施形態では、構築プラットフォーム28は、プリントされた層22を受け取る取り外し可能なフィルム基板(図示せず)を含み得、取り外し可能なフィルム基板は、任意の適した技法(例えば真空引き)を使用して構築プラットフォームに対して拘束し得る。
【0053】
構築プラットフォーム28は、図1に概略的に示すように(y軸は図1の紙面に入って出る軸であり、z軸、x軸、及びy軸は右手の法則に従って相互に直交する)、z軸及びx軸(及び任意選択的にy軸も)に沿って構築プラットフォーム28を移動させるように構成することができるガントリ84又は他の適した機構によって支持し得る。ガントリ84は、図4の破線86で示されるように、ニップローラ70及び他の構成要素に対して円柱形移動パターンを生成し得る。ガントリ84の特定の移動パターンは基本的に、所与の用途に適した任意の所望のパスを辿ることができる。ガントリ84は、コントローラ36からのコマンドに基づいてモータ88によって動作し得、モータ88は電気モータ、油圧システム、空気圧システム等であり得る。一実施形態では,ガントリ84は、z及びx軸方向(及び任意選択的にy軸方向)の構築プラットフォーム28の移動を精密に制御する統合された機構を含むことができる。代替の実施形態では、ガントリ84は、各々が1つ又は複数の方向における構築プラットフォーム28の移動を制御する複数の動作可能に結合された機構を含むことができ、例えば、第1の機構はz軸及びx軸の両方に沿った移動を生み出し、第2の機構はy軸のみに沿った移動を生み出す。複数の機構の使用により、ガントリ84は異なる軸に沿って異なる移動分解能を有することができる。さらに、複数の機能の使用により、3軸よりも少ない軸に沿って動作可能な既存の機構に追加の機構を追加することができる。
【0054】
図示の実施形態では、構築プラットフォーム28は加熱要素90(例えば電気ヒータ)を用いて加熱可能であることができる。加熱要素90は、Combらの米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書で考察されるように、3D部品26p及び/又はサポート構造26sの所望の平均部品温度等の室温(25℃)よりも高い高温で構築プラットフォーム28を加熱し、その温度に維持するように構成される。これにより、構築プラットフォーム28は、3D部品26p及び/又はサポート構造26sをこの平均部品温度に維持するのを助けことができる。
【0055】
ニップローラ70は、ベルト24の移動に伴って固定軸の周りを回転するように構成された加熱可能な要素又は加熱可能な層定着要素の一例である。特に、ニップローラ70は、ベルト24が供給方向32に回転する間、矢印92の方向に後面22sに当接して転がり得る。図示の実施形態では、ニップローラ70は加熱要素94(例えば電気ヒータ)を用いて加熱可能である。加熱要素94は、層22に望ましい転写温度等の室温(25℃)よりも高い高温にニップローラ70を加熱し維持するように構成される。
【0056】
定着前ヒータ72は、ニップローラ70への到達に先立って、ベルト24上の層22を部品材料66p及びサポート材料66sの溶融温度まで等の層22の選択された温度に加熱するように構成された1つ又は複数の加熱デバイス(例えば赤外線ヒータ及び/又は加熱エアジェット)を含む。各層22は望ましくは、層22を意図される転写温度まで加熱するのに十分な滞留時間にわたってヒータ72の付近を通過する(又はヒータ72を通過する)。定着前ヒータ74はヒータ72と同じように機能し得、構築プラットフォーム28上の3D部品26p及びサポート構造26sの上面を高温に加熱し、一実施形態では、接触時に熱を層に供給し得る。
【0057】
層22p及び22sの部品材料66p及びサポート材料及び66sは、ヒータ72を用いて実質的に同じ温度まで一緒に加熱され得、3D部品26p及びサポート構造26sの上面における部品材料66p及びサポート材料66sは、ヒータ74を用いて実質的に同じ温度に一緒に加熱され得る。これにより、部品層22p及びサポート層22sを一緒に単一の定着ステップで結合層22として3D部品26p及びサポート構造26sの上面に定着させることができる。任意選択的な定着後ヒータ76は、ニップローラ70の下流且つエアジェット78の上流に提供し得、単一の定着後ステップで定着層22を高温に加熱するように構成される。
【0058】
上述したように、幾つかの実施形態では、部品26を構築プラットフォーム28上に構築するに先立って、構築プラットフォーム28及びニップローラ70は、それらの選択された温度に加熱し得る。例えば、構築プラットフォーム28は、3D部品26p及びサポート構造26sの平均部品温度(例えばバルク温度)に加熱し得る。これと比較して、ニップローラ70は、層22に所望の転写温度又はニップ入口温度に加熱し得る。
【0059】
図4に更に示すように、動作中、ガントリ84は構築プラットフォーム28を(3D部品26p及びサポート構造26sと共に)破線86で移動させ得る。特に、ガントリ84は、ヒータ74の下、ヒータ74に沿って、又はヒータ74を通って構築プラットフォーム28をx軸に沿って移動させ得る。ヒータ74は、部品材料及びサポート材料の転写温度等の高温に3D部品26p及びサポート構造26sの上面を加熱する。Combらの米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書で論考されるように、ヒータ72及び74は、概ね同じ温度に層22並びに3D部品26p及びサポート構造26sの上面を加熱して、一貫した定着界面温度を提供し得る。代替的には、ヒータ72及び74は、層22並びに3D部品26p及びサポート構造26sの上面を異なる温度に加熱して、所望の定着界面温度を達成し得る。
【0060】
引き続くベルト24の回転及び構築プラットフォーム28の移動により、加熱された層22(例えば結合像層)を3D部品26p及びサポート構造26sの加熱された上面とx軸に沿って適切な位置合わせで並べるか、又は位置合わせする。ガントリ84は、供給方向32においてベルト24の回転速度と同期した速度でx軸に沿って構築プラットフォーム28を(すなわち、同じ方向及び速度で)移動させ続け得る。これにより、ベルト24の後面24bをニップローラ70の周りで回転させて、ベルト24及び加熱された層22を3D部品26p及びサポート構造26sの上面に対して挟む。これはニップローラ70の場所において、加熱された層22を、3D部品26pの加熱された上面とサポート構造26sの上面との間で押圧し、加熱された層22を3D部品26p及びサポート構造26sの上層に少なくとも部分的に定着させる。
【0061】
定着層22がニップローラ70のニップを通過するにつれて、ベルト24はニップローラ70に巻き付いて、構築プラットフォーム28から定着層22を分離させて解放する。これは、定着層22をベルト24からリリースするのを助け、定着層22が3D部品26p及びサポート構造26sに接着した状態を保てるようにする。定着界面温度をガラス遷移温度よりも高いが、溶融温度よりも低い転写温度に維持することにより、ベルト24から容易にリリースするのに十分に冷却しながらも、被加熱層22を、3D部品26p及びサポート構造26sに接着するのに十分に高い温度にすることができる。さらに、先に論考したように、部品材料及びサポート材料の近い溶融レオロジーは、部品材料及びサポート材料を同じステップで定着できるようにする。
【0062】
リリース後、ガントリ84は構築プラットフォーム28をx軸に沿って定着後ヒータ76まで引き続き移動させる。任意選択的な定着後ヒータ76において、3D部品26p及びサポート構造26sの最上層(転写された層22を含む)を次いで、溶融後又は加熱設定ステップにおいて熱可塑性ベースの粉体の少なくとも溶融温度まで加熱し得る。これは任意選択的に、定着層22のポリマー分子が素早く相互拡散して、3D部品26p及びサポート構造26sとの高レベルの界面交絡を達成するような高度に溶融可能な状態まで定着層22の材料を加熱する。
【0063】
さらに、ガントリ84が構築プラットフォーム28をx軸に沿って定着後ヒータ76を過ぎてエアジェット78まで引き続き移動させると、エアジェット78は冷却空気を3D部品26p及びサポート構造26sの上面に向かって吹く。これは、Combらの米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書で論考されるように、能動的に定着層22を平均部品温度まで下げる。
【0064】
3D部品26p及びサポート構造26sを平均部品温度に維持するのを助けるために、幾つかの好ましい実施形態では、ヒータ74及び/又はヒータ76は、3D部品26p及びサポート構造26sの最上層のみを加熱するように動作し得る。例えば、ヒータ72、74、及び76が赤外線放射を放射するように構成される実施形態では、3D部品26p及びサポート構造26sは、赤外線波長の侵入を最上層内に制限するように構成された吸熱剤及び/又は他の着色剤を含み得る。代替的には、ヒータ72、74、及び76は、加熱された空気を3D部品26p及びサポート構造26sの上面にわたり吹くように構成し得る。いずれの場合でも、熱侵入を3D部品26p及びサポート構造26sに制限することにより、最上層を十分に定着させることができ、その上、3D部品26p及びサポート構造26sを平均部品温度に保つために必要な冷却量も低減する。
【0065】
ガントリ84は次いで、構築プラットフォーム28を下方に作動させ、破線86を辿り、構築プラットフォーム28をx軸に沿って、x軸に沿った開始位置に戻すことができる。構築プラットフォーム28は望ましくは、次の層22との適宜位置合わせのために開始位置に達する。幾つかの実施形態では、ガントリ84はまた、構築プラットフォーム28及び3D部品26p及びサポート構造26sを上方に作動させて、次の層22と適宜位置合わせすることもできる。次いで、3D部品26p及びサポート構造26sの残りの各層22に対して同じプロセスを繰り返し得る。
【0066】
定着動作が完了した後、その結果生成された3D部品26p及びサポート構造26sはシステム10から取り外し、1つ又は複数のプリント後動作を受けることができる。例えば、サポート構造26sは、アルカリ水溶液等の水性ベースの溶液を使用して3D部品26pから犠牲的に取り外し得る。この技法下では、サポート構造26sは溶液中に少なくとも部分的に溶解して、ハンズフリーで3D部品26pからサポート構造26sを分離し得る。
【0067】
これと比較して、部品材料は、アルカリ水溶液に対して化学的耐性を有する。これにより、3D部品26pの形状又は品質を低下させずに犠牲的サポート構造26sを取り外すために、アルカリ水溶液の使用を利用することができる。このようにしてサポート構造26sを取り外すのに適したシステム及び技法の例には、Swansonらの米国特許第8,459,280号明細書、Hopkinsらの米国特許第8,246,888号明細書、及びDunnらの米国特許出願公開第2011/0186081号明細書に開示されるものがあり、これらの各々は、本開示と競合しない程度まで参照により援用される。
【0068】
さらに、サポート構造26sが取り外された後、3D部品26pは、表面処理プロセス等の1つ又は複数の追加のプリント後プロセスを受け得る。適した表面処理プロセスの例には、Priedemanらの米国特許第8,123,999号明細書及びZinnielの米国特許第8,765,045号明細書がある。
【0069】
先に述べたように、先に開示された選択的堆積プロセスでは、サポート層22s及びサポート構造26sの形成に使用されるサポート材料66s並びに部品層22p及び3D部品26pの形成に使用される部品材料66pは、動作温度範囲内で実質的に同じ又は同様のレオロジー(例えば粘度及び貯蔵弾性率)を有する必要があることが求められた。これは、先に開示された選択的堆積プロセスで使用することができる材料66に厳しい制限を課す。
【0070】
本開示の幾つかの実施形態は、先に開示された選択的堆積プロセスで使用される材料と比べて、部品構造26p及びサポート構造26sの形成に実質的に異種の材料66を利用する。これは、部品構造26p及びサポート構造26sの形成に使用し得る材料66の拡張並びに更に詳細に後述する他の利点を含め、先に開示された選択的堆積プロセスを凌ぐ幾つかの利点に繋がる。
【0071】
本開示の実施形態は部分的に、ニップ入口温度及びバルク温度を参照して定義し得る。ニップ入口温度は一般に、層22がニップローラ70によって部品表面に接合される際の層22の上部10ミルの温度に関連する。幾つかの実施形態では、ニップ入口温度は、層22の形成に使用される材料66p及び66sに応じて180~380℃の範囲である。例えば、部品材料66pがABSである場合、ニップ温度は210~280℃の範囲であり得る。
【0072】
バルク温度とは、部品26の上面から約50~100ミルの深さでの部品の平均温度を指す。幾つかの実施形態では、バルク温度は、使用される材料66p及び66sに応じて約60~180℃の範囲である。部品材料66pがABSである場合、バルク温度は一般に110~120℃に維持される。
【0073】
ニップ入口温度を測定する種々の技法を使用し得る。一例では、温度センサを含むサポート又は層22をベルト24上でニップローラ70に供給して、ニップ入口温度を検出する。温度センサは、サーモカプラ等の任意の適した形態をとり得る。別の適した温度センサは、銅トレースの温度依存抵抗に基づいてニップ入口温度を検出する露出銅トレースを上面に有するプリント回路基板を使用して形成し得る。高温計を使用して、ニップ入口における赤外線放射に基づいてニップ入口温度を検出してもよい。
【0074】
部品26のバルク温度を測定するのに種々の技法を使用し得る。部品26のバルク温度を直接測定する例示的な一技法は、サーモカプラ、上述したプリント回路基板、又は別の適した温度センサ等の温度センサを含むサポート上に部品26を構築することを含む。サポート上に構築された層22の厚さが約50~100ミル(例えば約100つの層22)に達した後、サポートの温度センサによって部品26のバルク温度を検出することができる。バルク温度は、層22が部品26に定着して、短時間冷却された後数秒(例えば1~4秒)後且つ次の層22が部品26の表面に定着する前、部品26の上面温度を測定することによって間接的に測定することもできる。この温度を使用して、部品26のバルク温度を近似し得る。したがって、高温計又は他の適した温度センサを使用して部品26の表面温度を測定することにより、バルク温度を推定し得る。
【0075】
本開示の実施形態はまた、部品材料66p及びサポート材料66s等の材料66の粘度及び/又は貯蔵弾性率を参照して部分的に定義することもできる。材料の粘度は一般に、流れに対する材料の抵抗を示す。粘度が低いほど、材料の流動性は高い。定着プロセス中、材料66がニップ入口温度において、材料のポリマー鎖を交絡させる(レプテーション)のに十分な流動性がある粘度を有することが一般に望ましい。
【0076】
材料の貯蔵弾性率とは一般に、定着プロセス中、ニップローラ70によって印加される等の圧力印加に応答して、プリントされた形状及び位置を保持する材料66p及び66sの復元力を示す。したがって、貯蔵弾性率が低いほど、材料の展性は高い。貯蔵弾性率の測定が、材料66の剪断弾性率の測定を通して決定又は推定し得ることが理解される。部品26を形成する材料の貯蔵弾性率が、定着プロセス中、ニップローラ70によって印加される圧力に応答して、バルク温度においてプリントされた形状及び位置を維持するのに十分に高いことが一般に望ましい。
【0077】
材料66の貯蔵弾性率(又は剪断弾性率)及び粘度の値は、振動プレートレオメータを使用して所与の温度で測定し得る。振動プレートレオメータは好ましくは、層22が概ね30~50ミリ秒間にわたり部品26の上面に押し当てられる定着プロセス中、条件をシミュレートするように構成される。幾つかの実施形態では、所与の温度での材料の粘度及び剪断弾性率は、20Hz~2kHz、例えば30~100Hz等の周波数でプレートレオメータを振動させることによって測定される。貯蔵弾性率は、従来の変換技法を使用して、測定された剪断弾性率に基づいて決定し得る。
【0078】
先に開示された選択的堆積プロセスでは、サポート層22sの形成に使用されるサポート材料66s並びに部品層22p及び3D部品26pの形成に使用される部品材料66pは、ニップ入口温度において実質的に同様の粘度及びバルク温度において実質的に同様の貯蔵弾性率を有する必要があった。これは、部品層22p及びサポート層22sを3D部品26p及びサポート構造26sの上面に結合層22として1つの定着ステップで定着させるために必要であると考えられた。さらに、部品材料66p及びサポート材料66sの溶融レオロジーが近いことが、ニップローラ70の下流且つエアジェット78の上流に配置される任意選択的な定着後ヒータ76が3D部品26p及びサポート構造26sの上面を1つの溶融後ステップで一緒に事後加熱できるようにするために必要であると考えられた。
【0079】
本開示の幾つかの実施形態は、材料66を利用して、先に開示された選択的堆積プロセスで使用される材料と比べて、動作温度範囲にわたり実質的に異種の貯蔵弾性率及び/又は粘度を有する3D部品26p及びサポート構造26sの層22を形成する。一実施形態では、材料66は、選択的堆積プロセスの動作温度において一般に流動性材料66fと呼ばれる比較的流動性の材料及び一般に弾性材料66rと呼ばれる比較的弾性の(例えば流動性がより低い)材料を含む。幾つかの実施形態では、流動性材料66fは、バルク温度範囲にわたり弾性材料66rよりも低い貯蔵弾性率を有し、且つ/又は流動性材料66fは、ニップ入口温度範囲にわたり弾性材料66rよりも低い粘度を有する。部品材料66p及び/又はサポート材料66sとしてのこれらの異種材料の使用は、実質的に同様のレオロジーを有する材料を使用する先に開示した選択的堆積技法を凌ぐ利点を提供する。
【0080】
図5は、同じ又は実質的に同様のレオロジーを有する材料66p及び66sを利用する先に開示された選択的堆積プロセスによる、部品26への転写前且つニップローラ(図示せず)を使用して部品26に層22が定着した後の転写媒体(例えばベルト24)上の層22を示す簡易図である。先に開示したプロセスでは、部分22p及び22sは、x方向及びy方向において厳しい許容差で転写媒体(例えばベルト24)にプリントされる。さらに、ベルト24にプリントされる部分22p及び22sは同じ厚さ96(z方向で測定される)を有する。定着プロセス中、部分22p及び22sは、ニップローラ70(図4)によって印加される熱及び圧力に応答して、部分22pと22sとの間のギャップ内の中間点に向かって移動すると予期される。転写媒体(例えばベルト24)上の部分22pと22sとの間の厳しい許容差により、層部分22p及び22sがベルト24に正確にプリントされており重複していない場合、部品26への定着後、層22の厚さは実質的に均一なままである。
【0081】
しかしながら、図5に示すようにx方向等に、転写媒体(例えばベルト24)にプリントされた部分22pと22sとの間に位置合わせずれがある場合、部分22p及び22sは重複し得、層22にバンプ98を生じさせると共に、部分22pと22sとの間にギャップ100を生じさせる。定着プロセスに続き、定着層22’の重複した部分22p及び22sは一緒に混合し、部品26の上面102上にバンプ98を形成し、層22におけるギャップ100は、部品26の上面102に窪み100’を生じさせる。これは部品26上に不均一な構築面102’を生じさせ、不均等面102に定着する追加の層22を通して伝播し得、欠陥部品26を生じさせる。さらに、部分22p及び22sがバンプ98’において一緒に混合するエリアは、部品26内のクラック伝播開始部位を助長し得る。
【0082】
本開示の幾つかの実施形態は、先に開示された選択的堆積プロセスと比較して、異種の流動性材料及び弾性材料によって形成される層22の部分間の許容差を拡大することによってこれらの問題に対処する。幾つかの実施形態では、部分22p及び22sは、転写媒体上でx方向及び/又はy方向においてギャップによって隔てられるように、互いに対してプリント又は位置合わせされる。これらのギャップは、先に開示された選択的堆積プロセスよりも大きな間隔を部分22pと22sとの間に生み出し、異種の流動性材料及び弾性材料で形成された部分22pと22sとが重複する可能性を低下させる。これは一般に図6の簡易図に示され、図6は、部品26に転写される前且つニップローラ(図示せず)を使用して層22が部品26に定着した後、転写媒体(例えばベルト24)上に結合層22を形成するための部分22pと22sとの位置合わせを示す。x方向におけるベルト24上の部分22pと22sとの間の大きなギャップ104及び106は、それらの部分が重複するのを防ぐ。ギャップ104及び106の各々によって提供される層22pと層22sとの間の間隔は、先に開示された選択的堆積プロセスで許されるよりも大きい。
【0083】
図6に示す例示的な選択的堆積プロセスでは、サポート部分22sは流動性材料66fで形成され(比較的流動性の形態のサポート材料66s)、部品部分22pは比較的弾性の材料66rで形成される(比較的弾性の形態の部品材料66p)。しかしながら、比較的流動性の材料66fを部品部分22pの形成に使用してもよく、比較的弾性の材料66rをサポート部分22sの形成に使用してもよいことが理解される。
【0084】
幾つかの実施形態では、図6に示すように、層22の流動性層部分22sは、層22の比較的弾性の層部分22pの厚さ110よりも大きな厚さ108(z方向で測定される)でプリントされる。幾つかの実施形態では、部分22pの厚さに対する部分22sの厚さの増大は、x方向に延びるギャップ104及び106並びにy方向に延びる部分22pと22sとの間のギャップを埋めるのに十分な容量の材料66fを提供するように選択される。幾つかの実施形態では、図6の例では層部分22s等の流動性材料66fで形成された層部分は、弾性層部分22pの厚さ110よりも例えば約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、及び/又は50%大きい厚さ108を有する。
【0085】
定着プロセス中、部分22sの流動性材料66fは流れてギャップ104及び106を埋め、一方、部分22pの弾性材料66rは概してそのプリント位置に留まり、その結果、定着層22’は実質的に均一な厚さ112を有する。幾つかの実施形態では、流動性材料66fは、定着プロセス中、ギャップ(例えばギャップ104及び106)によって形成された層部分22pと22sとの間の間隔の50%超、例えば60%超、70%超、80%超、及び90%超等を埋める。その結果生成される部品26上の定着層22’の均一な厚さ112は、クラック伝播開始部位の発生及び上述した先に開示した選択的堆積プロセスに伴う他の問題を低減しながら、平らな構築面102’に起因して部品26のより正確なプリントを促進する。
【0086】
幾つかの実施形態では、流動性材料66fは、先に開示された選択的堆積プロセスで使用される材料と比較して、ニップ入口温度において弾性材料66rよりも実質的に低い粘度を有するように選択される。一実施形態では、弾性材料66rは、ニップ入口温度において流動性材料66fの粘度の3倍超の粘度を有する。したがって、流動性材料66fの粘度がVfである場合、比較的弾性の材料66sの粘度Vrは、選択的堆積プロセスのニップ入口温度又はニップ入口温度範囲において粘度Vfの3倍以上である。すなわち、ニップ入口温度においてVr≧3Vfである。
【0087】
幾つかの実施形態では、弾性材料66rは、より低温のポリマーが、定着プロセス中、バックリング及び非弾性歪みに耐えて、ニップローラ70により印加される圧力に耐えるのに十分な剛性を有する限り、流動性材料66fよりも部品のバルク温度においてはるかに高い剛性を有することができる。一実施形態では、材料66r及び66fは、バルク温度範囲にわたって3倍超異なる貯蔵弾性率を有する。したがって、弾性材料66rは、貯蔵弾性率Erを有するように選択され、比較的流動性の材料66fは貯蔵弾性率Efを有するように選択され、ここで、選択的堆積プロセスのバルク温度において又はバルク温度範囲にわたりEr≧3Efである。
【0088】
例示的な弾性材料66rは、Arkema Pebax9002ブラック、ポリイミドとポリエーテルの半結晶組合せ、又は他の適した熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーを含む。Arkema Pebax9002ブラックとペアにすることができる1つの適した流動性材料66fは、ミネソタ州Eden Prairieに所在のStratasys,Inc.販売のSS94熱可塑性物質である。SS94熱可塑性物質は、ニップ入口温度範囲にわたりSS94熱可塑性物質と実質的に同様の粘度及びバルク温度範囲にわたりSS94熱可塑性物質と実質的に同様の貯蔵弾性率を有するStratasys,Inc.販売のABS MG94等のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のサポート材料として使用されてきている。使用し得る他の比較的弾性の材料66rは、PA11ナイロン、熱可塑性ポリウレタン、ABS及びポリエーテルスルホン(PES)組合せ、ABS及びポリカーボネート(PC)組合せ、及び他の適した材料等のナイロンを含む。
【0089】
部品材料66p及び/又はサポート材料66sを形成する弾性材料66r及び/又は流動性材料66fは、EPエンジン12p又は他の静電複写エンジンの特定のアーキテクチャと併用されるように設計し得る。材料66r及び/又は66fは組成的に、熱可塑性ポリウレタン(TPU)ポリマー、電荷制御剤、好ましいが任意選択的に、吸熱剤(例えば、カーボンブラック又は赤外線吸収剤)及び任意選択的に、2018年9月20日付けで出願された国際公開出願第PCT/US2018/051941号明細書に記載のように、流れ調整剤等の1つ又は複数の追加の材料を含み、この国際特許出願は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【0090】
本開示の追加の実施形態は、層22が部品26の構築面に定着するとき、図5に示すように、部品部分22pを形成する部品材料66p及び部品部分22sを形成するサポート材料66s等のプリントされた層22における材料の重複を避けるための代替の技法を提供する。図7は、本開示の実施形態による、転写媒体(例えばベルト24)上にプリントされた層22を部品26の構築面120と位置合わせする例示的なプロセスと、部品26’上のその結果定着した層22’とを示す簡易図である。
【0091】
プリントされた層22の部品部分22p及びサポート部分22sは、定着プロセス中、材料66p及び66sが完全に焼結するとき、増分部品厚変化が厚さ122であるような単位面積質量(M/A)及び濃度で材料66p及び66sによって形成される。例えば、転写媒体(例えばベルト24)上の部品部分22pの標準部分123p及びサポート部分22sの標準部分123sはそれぞれ、定着プロセスにより、定着された部分22p’及び22s’が所望の厚さ122を有するように、標準厚124p及び124sを有するように構成される。
【0092】
幅127を有するギャップ126をx方向(図示)及び/又はy方向においてプリント層22の部品部分22pとサポート部分22sとの間に形成して、先に論考したように、部分22pと22sとが重複する可能性を低減し得る。定着プロセス中、ギャップ126は部品部分22p及びサポート部分22sの部品材料66p及びサポート材料66sによって埋められ、その結果、定着層22’は均一な厚さ122を有する。これには、定着プロセス中、層22pの部品材料66pをサポート部分22sに向かって距離128だけギャップ126中に移動させ、層22sのサポート材料66sを部品部分22pに向かって距離130だけギャップ126中に移動させる必要がある。
【0093】
材料66p及び66sは互いと実質的に同様(例えば同じ粘度)である場合、距離128及び130は概ね同じであり得、材料66p及び66sが異なる(例えば異なる粘度である)場合、距離128及び130は異なる。一般に、比較的流動性の材料は、先に論考したように、比較的弾性の材料よりもギャップ126中に大きな距離、移動する傾向を有する。例えば、部品材料66pが比較的弾性であり、サポート材料66sが比較的流動性である場合、図7に示す例示的なプロセスに示されるように、距離128は距離130未満である。
【0094】
幾つかの実施形態では、定着プロセス中、部品材料66p及び/又はサポート材料66sによって充填するギャップ126の容積は、ギャップ126から変位した部分22p及び22sの標準部分123p及び123sよりも高いM/Aでプリントされる部分22p及び22sの周縁エリアに対応する、部品部分22pのバンド132p及び/又はサポート部分22sのバンド132s等の、ギャップ126に隣接するエッジ強化バンド132によって収容される。したがって、バンド132は標準部分123よりも大きな厚さを有する。部品材料66p及びサポート材料66sが各々、定着プロセス中、材料がギャップ126に流れ込むような十分に低い粘度を有する場合、部品部分22p及びサポート部分22sは各々、対応するエッジ強化バンド132p及び132sを有する。しかしながら、材料66p又は66sの一方が、定着プロセス中、図6を参照して上述したように定位置に残りがちであるような十分な弾性を有する場合、比較的流動性の材料66p又は66sで形成された部分22p又は22sのみがエッジ強化バンド132を含まなければならない。
【0095】
バンド132p及び132sの容量は、定着プロセス中、ギャップ126を埋める。バンド132p及び132sは、バンド厚134p及び134sで転写媒体124にプリントされる。さらに、部品部分バンド132pは幅136pを有し、サポート部分バンド132sは幅136sを有する。バンド132p及び132sの厚さ134及び幅136のパラメータは、バンド132p及び132sにおける付加質量が距離128及び130に対応するギャップの部分を埋めるのに十分であるように選択される。したがって、部品部分バンド132pの面積(厚さ134pを幅136pで乗じたもの)は、定着プロセス中にそれが埋めるように構成されたギャップ126の対応する面積(距離128を厚さ124pで乗じたもの)に等しい。同様に、サポート部分バンド132sの面積(厚さ134sを幅136sで乗じたもの)も、定着プロセス中にそれが埋めるように構成されたギャップ126の対応する面積(距離130を厚さ124sで乗じたもの)に等しい。
【0096】
したがって、3D部品をプリントする方法の実施形態は、ギャップ126を設定した後、対応する材料66p及び66sがギャップ126に流れ込むことになる距離128及び130を決定(例えば、計算又は推定)することを含む。幾つかの実施形態では、距離128は、ニップ入口温度及びギャップ126の長さにおける材料66p及び66sの特性(例えば粘度)に基づいて決定される。距離128及び130に基づいて、材料66p及び66sの各々によって埋められるギャップ126の面積を決定し得る。さらに、方法は、決定された距離128及び130に基づいて、バンド132p及び132sの厚さ134p及び134s(又はバンドの総厚)を決定(例えば計算又は推定)することと、バンド132p及び132sの幅136p及び136sを決定(例えば計算又は推定)することとを含む。
【0097】
エッジ強化バンド132は、ギャップ126を埋めるように特に構成され、任意の適した技法を使用して形成し得る。幾つかの実施形態では、バンド132は、グレースケール若しくはルミナンス制御を通して又はハーフトーン処理により、バンド132p及び132sを隣接する標準部分123p及び123sよりも高いM/AでプリントするようにEPエンジン12p及び12sを構成することによって形成される。代替的には、エッジ強化バンド132は、材料66p及び66sの複数の層をプリントして、まず、均一な厚さ128及び130を有する部分22p及び22sをそれぞれ形成し、その後、1つ又は複数の追加の層でバンド132p及び132sをプリントすることによってプリントし得る。例えば、部品部分22pは、部品材料66pのn層を一定のM/Aでプリントし、その後、バンド132pを形成する部品材料66pの単層をプリントすることによって形成し得る。ここで、層数nは、厚さ128を厚さ134pで除したものに概ね等しく、幅136pは、埋めるギャップ126の容積(例えば、距離128を厚さ134pで乗じたもの)に基づいて可変である。
【0098】
本開示は好ましい実施形態を参照して説明されたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに形態及び詳細に変更を行い得ることを当業者は認識しよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】