(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】リルピビリンを用いて小児患者におけるHIVを治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/505 20060101AFI20220826BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220826BHJP
A61K 31/5365 20060101ALI20220826BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20220826BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20220826BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
A61K31/505
A61P31/18
A61K31/5365
A61K31/675
A61K31/513
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577871
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2020068913
(87)【国際公開番号】W WO2021001568
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】クラウウェルス,ヘルタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンヴェッケル,シモン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン アイゲン,フィールレ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086CB22
4C086DA38
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB33
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は、小児対象におけるHIV感染症を治療するためのリルピビリン又はその塩の使用を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIVウイルスに感染した小児対象を治療する方法であって、前記対象に、1日1回、25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象は、11kg以上の体重であり、治療を経験しており、且つ中断された第1の抗レトロウイルスレジメンを投与されており、
前記対象は、少なくとも24週間の前記リルピビリン又は等量の、前記リルピビリンの薬学的に許容される塩の前記1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIVウイルス粒子のウイルス量を示す、方法。
【請求項2】
前記対象は、リルピビリンの薬学的に許容される塩を投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リルピビリンの薬学的に許容される塩は、リルピビリンの塩酸塩である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記小児対象にドルテグラビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン又はこれらの組み合わせを投与することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記小児対象は、≧2~<12歳である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記小児対象は、<25kgの体重を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記小児対象は、≦70kgの体重を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記小児対象は、前記リルピビリン又は等量の、前記リルピビリンの薬学的に許容される塩の前記1日1回の投与前に、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIVウイルス粒子のウイルス量を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記HIVウイルスは、HIV-1である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤又は前記等量の、前記リルピビリンの薬学的に許容される塩は、単回単位剤形として投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤又は前記等量の、前記リルピビリンの薬学的に許容される塩は、複数の単回単位剤形において投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象は、少なくとも48週間の前記リルピビリン又は前記リルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIV-1ウイルス粒子のウイルス量を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、小児対象におけるHIV感染症を治療するためのリルピビリン又はその塩の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
HIVに感染した対象は、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(N[t]RTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、薬物動態(PK)ブースター、インテグラーゼ阻害剤及び融合阻害剤を含む複数の薬剤の組み合わせ(高活性抗レトロウイルス薬(ARV)療法)で定期的に治療される。この治療は、相当な割合の対象においてHIV-1リボ核酸(RNA)を検出不可能なレベルまで低減させ、ウイルス抵抗性が発生するリスクを弱める。
【発明の概要】
【0003】
ジアリールピリミジン誘導体であるリルピビリン(RPV、旧名TMC278[R278474])は、野生型(WT)HIV1及びNNRTI抵抗性HIV1変異体に対するインビトロ活性を備える強力な非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)である。青年及び小児における年齢/体重に適した療法の開発に対する医学的必要性が依然として存在する。
【0004】
本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療する方法を対象とする。対象は、11kg以上の体重であり、且つ治療を経験しており、且つ中断された第1の抗レトロウイルスレジメンを投与されている。方法は、1日1回、25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を投与することを含む。記載される方法によれば、対象は、少なくとも24週間のリルピビリン又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIVウイルス粒子のウイルス量を示す。
【0005】
本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療するための薬剤を製造するための、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の使用を対象とする。本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象の治療に使用するための、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩を対象とする。対象は、11kg以上の体重であり、且つ治療を経験しており、且つ中断された第1の抗レトロウイルスレジメンを投与されている。使用は、1日1回、25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を投与することを含む。記載される使用によれば、対象は、少なくとも24週間のリルピビリン又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIVウイルス粒子のウイルス量を示す。
【0006】
本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療する方法を対象とする。対象は、11kg以上の体重であり、且つ抗レトロウイルス薬にナイーブである、HIV-1に感染した小児対象、特に≧6~<18歳の年齢の青年及び子供である。方法は、1日1回、25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を投与することを含む。記載される方法によれば、対象は、少なくとも24週間のリルピビリン又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIVウイルス粒子のウイルス量を示す。
【0007】
本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療するための薬剤を製造するための、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の使用を対象とする。本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象の治療に使用するための、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩を対象とする。対象は、11kg以上の体重であり、且つ抗レトロウイルス薬にナイーブである、HIV-1に感染した小児対象、特に≧6~<18歳の年齢の青年及び子供である。使用は、1日1回、25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩を投与することを含む。記載される使用によれば、対象は、少なくとも24週間のリルピビリン又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下(≦50c/mL)のHIVウイルス粒子のウイルス量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、本開示の一部を形成する、添付の実施例に関連して解釈される以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができる。本開示は、本明細書に記載され、且つ/又は示される特定の装置、方法、用途、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は、単に例として特定の実施形態を説明することを目的とし、特許請求される本開示を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0009】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、複数形を包含し、特定の数値の参照は、文脈が明確に指示する場合を除いて、少なくともその特定の値を包含する。
【0010】
値の範囲が表されている場合、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを包含する。全ての範囲は、包括的且つ組み合わせ可能である。更に、範囲内に記載される値の参照は、その範囲内のあらゆる値を含む。値が、先行詞「約」を用いることによって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。量、時間の長さなどの測定可能な値に言及する場合に本明細書で使用するとき、用語「約」は、その値の適度の変動、例えば指定された値から±10%などを包含するものとする。例えば、「約50%」という表現は、50の±10%、すなわち45%~55%を含み得る。
【0011】
明確さのために、個別の実施形態に関連して本明細書に記載される本開示の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせても提供され得ることを理解されたい。反対に、簡潔さのために、単一の実施形態に関連して説明される本開示の種々の特徴は、個別に又は任意の副組み合わせでも提供され得る。
【0012】
本発明は、本開示の一部分を形成する以下の詳細な説明を参照することで理解することができる。本発明は、本明細書に記載され、且つ/又は示される特定の方法、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は、単に例として特定の実施形態を説明することを目的とし、特許請求される本発明を限定することを意図するものではない。
【0013】
本出願に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、本明細書で別段定義されない限り、当業者によって共通して理解される意味を有するものとする。
【0014】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容されるものであり、且つ所望の親化合物の薬理学的活性を保持する、本開示の化合物の塩を指す。特に、こうした塩は、非毒性であり、無機又は有機の酸付加塩及び塩基付加塩であり得る。具体的には、こうした塩としては、以下のものが挙げられる:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸及び同様のものなどの無機酸により形成されるか若しくは酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酒石酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸及び同様のものなどの有機酸により形成される酸付加塩;又は(2)親化合物中に存在する酸プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン若しくはアルミニウムイオンによって置換されるか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン及び同様のものなどの有機塩基と配位するときに形成される塩。塩としては、一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、また化合物が塩基官能性を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの非毒性の有機又は無機酸の塩が更に挙げられる。
【0015】
1日1回の25mgの用量のリルピビリンは、米国、カナダ、日本及び欧州連合諸国を含む複数の国においてで、単剤25mg錠剤(EDURANT)として又はいくつかの固定用量の組み合わせ(すなわちインテグラーゼ阻害剤ドルテグラビル[DTG]、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン[TDF/FTC]及びテノホビルアラフェナミド/FTC[TAF/FTC]との)の一部としてのいずれかで、抗レトロウイルス(ARV)治療にナイーブなHIV1に感染した成人の治療に認可されている。リルピビリン含有製品の商標としては、COMPLERA(エムトリシタビン/リルピリリング/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)、ODEFSEY及びJULUCA(ドルテグラビル/リルピビリン)が挙げられる。
【0016】
本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療する方法又はHIVウイルスに感染した小児対象を治療するために使用される方法を対象とする。好ましい態様では、小児対象は、HIV-1ウイルスに感染している。小児対象は、18歳未満、好ましくは≧2歳~<12歳である。他の態様では、小児対象は、≧6歳~<12歳である。いくつかの態様では、小児対象は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17歳である。
【0017】
本開示によれば、記載される方法又は使用を用いて治療される小児対象は、11kg以上の体重である。いくつかの態様では、記載される方法又は使用を用いて治療される小児対象は、11kg~25kg、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25kgの体重である。他の態様では、記載される方法を用いて治療される小児対象は、25kg超、例えば26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70kgの体重である。
【0018】
本開示によれば、小児対象は、「治療を経験しており」、すなわち、対象は、抗レトロウイルス薬を過去に投与されている。同様に本開示によれば、小児対象は、1つ以上の抗レトロウイルス薬からなる第1の(例えば、事前)抗レトロウイルスレジメンを過去に投与されており、第1の抗レトロウイルスレジメンは、本明細書に開示される方法のいずれかを開始する前に中断されている。いくつかの態様では、第1の抗レトロウイルスレジメンは、本明細書に開示される任意の方法を開始する12時間以上前に中断される。
【0019】
一態様によれば、小児対象は、「治療にナイーブ」であり、すなわち、対象は、抗レトロウイルス薬を過去に投与されていない。
【0020】
記載される方法又は使用によれば、小児対象(好ましくは≧2歳~<12歳)は、約25mg以下、好ましくは25mg以下の、リルピビリンである非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤を投与される。好ましくは、本開示の方法又は使用において、小児対象に投与される唯一の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、リルピビリン又はその塩である。いくつかの態様では、小児対象(好ましくは≧2歳~<12歳)は、リルピビリンの薬学的に許容される塩を、25mg以下のリルピビリンに同等の量で投与される。リルピビリン塩としては、例えば、リルピビリン塩酸塩が挙げられる。
【0021】
いくつかの態様では、小児対象は、11kg~25kgの体重である。これらの態様のいくつかでは、小児対象は、15mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を1日1回投与される。
【0022】
いくつかの態様では、小児対象は、11kg~25kg(11kg~<25kg)の体重である。これらの態様のいくつかでは、小児対象は、15mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を1日1回投与される。いくつかの態様では、小児対象は、治療にナイーブである。いくつかの態様では、小児対象は、治療を経験している。
【0023】
いくつかの態様では、小児対象は、25kg超の体重である。これらの態様のいくつかでは、小児対象は、25mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を1日1回投与される。
【0024】
いくつかの態様では、小児対象は、25kg以上(≧25kg)の体重である。これらの態様のいくつかでは、小児対象は、25mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を1日1回投与される。いくつかの態様では、小児対象は、治療にナイーブである。いくつかの態様では、小児対象は、治療を経験している。
【0025】
いくつかの態様では、小児対象は、2.5mg~約25mg、例えば2.5、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5又は25mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩)を1日1回投与される。
【0026】
いくつかの態様では、その量のリルピビリン又はその薬学的に許容される塩は、単回単位剤形として投与される。すなわち、リルピビリン又はその薬学的に許容される塩の1日量の全ては、錠剤又はカプセルである単回用量で投与される。例えば、リルピビリンの1日量の全ては、25mgの錠剤若しくはカプセル又は15mgの錠剤若しくはカプセルとして投与される。
【0027】
いくつかの態様では、その量のリルピビリン又はその薬学的に許容される塩は、複数の単位剤形として投与される。すなわち、リルピビリン又はその薬学的に許容される塩の1日量の全ては、いくつかの投薬単位として投与される。例えば、15mgの1日のリルピビリン用量が6個の錠剤又はカプセルとして投与され、各錠剤又はカプセルは、2.5mgのリルピビリンを含有する。別の例では、17.5mgの1日のリルピビリン用量が7個の錠剤又はカプセルとして投与され、各錠剤又はカプセルは、2.5mgのリルピビリンを含有する。別の例では、7.5mgの1日のリルピビリン用量が3個の錠剤又はカプセルとして投与され、各錠剤又はカプセルは、2.5mgのリルピビリンを含有する。
【0028】
本開示のいくつかの態様では、リルピビリンの投与(又は等量の、リルピリリングの薬学的に許容される塩)の投与)は、対象が食事摂取状態にあるときのものである。本開示のいくつかの態様では、リルピビリンの投与(又は等量の、リルピリリングの薬学的に許容される塩の投与)は、対象が絶食状態にあるときのものである。
【0029】
記載される方法によれば、小児対象は、少なくとも24週間のリルピビリン(又はリルピビリン塩)の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下のHIVウイルス粒子(例えば、HIV-1ウイルス粒子)のウイルス量を示す。
【0030】
本開示のいくつかの態様では、小児対象は、少なくとも48週間のリルピビリン(又はリルピビリン塩)の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下のHIVウイルス粒子(例えば、HIV-1ウイルス粒子)のウイルス量を示す。
【0031】
本開示のいくつかの態様では、小児対象は、24~48週間(例えば24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47又は48週間)のリルピビリン(又はリルピビリン塩)の1日1回の投与後、血漿1mLあたり50コピー以下のHIVウイルス粒子(例えば、HIV-1ウイルス粒子)のウイルス量を示す。
【0032】
いくつかの態様では、リルピビリン又はリルピビリン塩の投与に加えて、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリン塩ではない1つ以上の薬物を含む抗レトロウイルス(ARV)バックグラウンドレジメンを投与される。ARVバックグラウンドレジメンは、例えば、HIV-1ウイルスなどのHIVウイルスに感染した対象を治療するために当技術分野で使用される任意の1つ以上の活性薬剤成分(API)を含み得る。HIVウイルスに感染した対象の治療に有用なAPIとしては、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤及びヌクレオチド逆転写酵素阻害剤が挙げられる。いくつかの態様では、ARVバックグラウンドレジメンは、2つ又は3つ以上のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤及び/又はヌクレオチド逆転写酵素阻害剤を含む。ARVバックグラウンドレジメンで使用するためのAPIの例としては、例えば、アジドチミジン(AZT)、アバカビル(ABC)、ラミブジン(3TC)、ドルテグラビル、テノホビル、テノホビルの薬学的に許容される塩、テノホビルプロドラッグ(例えば、テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド)、テノホビルプロドラッグの薬学的に許容される塩(例えば、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩)、エムトリシタビン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
本開示のいくつかの態様では、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の投与前にウイルス抑制されている。例えば、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与前に、血漿1mLあたり50コピー以下のHIVウイルス粒子(例えば、HIV-1ウイルス粒子)のウイルス量を示し得る。いくつかの態様では、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与前に少なくとも12ヶ月ウイルス抑制されている。いくつかの態様では、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与前に2~12ヶ月ウイルス抑制されている。いくつかの態様では、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の1日1回の投与前に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12ヶ月ウイルス抑制されている。
【0034】
本開示のいくつかの態様では、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の投与前にウイルス抑制されていない。本開示のいくつかの態様では、小児対象は、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の投与前に治療にナイーブである。
【0035】
本開示のいくつかの態様では、小児対象を治療するための方法又は使用は、思春期発育、例えばタナー段階によって査定した思春期発育に有意な影響を及ぼさない。本開示の他の態様では、小児対象を治療するための方法又は使用は、青年期の成長に有意な影響を及ぼさない。
【0036】
本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療方法と比較して、グレード3又は4の医薬品副作用(ADR)の発生率が低下する。ADRとしては、例えば、頭痛、悪心、不眠、めまい、異常な夢、発疹、腹痛、抑うつ、疲労及び嘔吐が挙げられる。
【0037】
本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療方法と比較して、グレード2のADRの発生率が低下する。ADRとしては、例えば。抑うつ、頭痛、不眠、トランスアミナーゼの増加、発疹及び腹痛が挙げられる。
【0038】
本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療方法と比較して、ウイルス学的失敗の発生率が低下する。本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療方法と比較して、治療耐性の発生率が低下する。本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療方法と比較して、薬物・薬物相互作用の発生率が低下する。本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療法と比較して、体脂肪再分布及び/又は体脂肪蓄積(例えば、中心性肥満、頸背部脂肪肥大(野牛肩)、末梢部の痩せ、顔の痩せ、乳房肥大及び「クッシング様外観」)の発生率が低下する。本開示のいくつかの態様では、方法又は使用の結果、従来の治療法と比較して、免疫再構成炎症症候群(例えば、無症候性又は症候性の日和見感染症(マイコバクテリウムアビウム複合体、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス・ジロヴェシ(Pneumocystis jiroveci)肺炎及び結核など)に対する炎症反応)の発生率が低下する。
【0039】
いくつかの態様では、本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療するための薬剤を製造するための、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の使用を対象とし、ここで、小児対象は、11kg~25kg(11kg~<25kg)の体重であり、小児対象は、15mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩、具体的にはリルピビリン塩酸塩)を1日1回投与されるか又は投与されることになり、小児対象は、治療にナイーブである。いくつかの態様では、小児対象は、治療を経験している。
【0040】
いくつかの態様では、本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象の治療に使用するためのリルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩を対象とし、ここで、小児対象は、11kg~25kg(11kg~<25kg)の体重であり、小児対象は、15mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩、具体的にはリルピビリン塩酸塩)を1日1回投与されるか又は投与されることになり、小児対象は、治療にナイーブである。いくつかの態様では、小児対象は、治療を経験している。
【0041】
いくつかの態様では、本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象を治療するための薬剤を製造するための、リルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩の使用を対象とし、ここで、小児対象は、25kg以上(≧25kg)の体重であり、小児対象は、25mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩、具体的にはリルピビリン塩酸塩)を1日1回投与されるか又は投与されることになり、小児対象は、治療にナイーブである。いくつかの態様では、小児対象は、治療を経験している。
【0042】
いくつかの態様では、本開示は、HIVウイルスに感染した小児対象の治療に使用するためのリルピビリン又はリルピビリンの薬学的に許容される塩を対象とし、ここで、小児対象は、25kg以上(≧25kg)の体重であり、小児対象は、25mgのリルピビリン(又は等量の、リルピビリンの薬学的に許容される塩、具体的にはリルピビリン塩酸塩)を1日1回投与されるか又は投与されることになり、小児対象は、治療にナイーブである。いくつかの態様では、小児対象は、治療を経験している。
【0043】
以下の実施例は、本発明の例示であり、限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0044】
これは、≧2歳~<12歳で体重が少なくとも11kgのHIV1感染参加者(男児及び女児)における、他の調査研究者が選択したARVと組み合わせた、1日1回のRPVへの切り替えのPK、安全性、耐容性及び効力を評価するための第2相非盲検シングルアーム多施設介入研究である。
【0045】
全ての参加者は、6週間以内に完了されるスクリーニング段階を有する。スクリーニング段階は、予測不可能な状況が起きた場合、最大で2週間延長され得る。全ての参加者は、研究介入段階において48週間の非盲検の治療を受ける。スクリーニング及び研究介入段階を含む各参加者の合計研究期間は、約54週間である。独立データモニタリング委員会()がこの研究に任命される。
【0046】
介入群及び期間
リルピビリン(25mg若しくは体重に基づく用量又は等量のリルピビリン塩)は、N(t)RTIなどの他のARV及びインテグラーゼ阻害剤を含有する調査研究者が選択したバックグラウンドレジメンと組み合わせて1日1回経口投与される。しかしながら、PKブースターを必要とするプロテアーゼ阻害剤及びARVは、ベースライン以降では許可されない。
【0047】
参加者は、全員が48週間の合計治療期間に到達する(又はそれより前に中断する)まで研究介入及びARVバックグラウンドレジメンを継続する(妥当な場合にはデータ評価期間を通して)。妥当な場合、体重の変化に起因するRPVの用量調節が許可される。
【0048】
効力の評価
重要な効力査定としては、血漿HIV-1RNAウイルス量の判定及びCD4+細胞計数の測定が挙げられる。
【0049】
薬物動態学的評価
薬物動態
個々の血漿濃度-時間データに基づき、実際に取られた用量及び実施のPKサンプリング時間を用いて、以下のRPVのPKパラメータを導出する:C0h、Cmin、Cmax、Css,av、tmax、AUC24h、CL/F、Vss/F及びFI。
【0050】
集団薬物動態
個々の血漿濃度-時間データに基づき、実際に取られた用量及び実施のPKサンプリング時間を用いて、集団PKモデリングを用いてRPVのPKパラメータ及び曝露情報を導出する。
【0051】
薬物動態/薬力学的評価
薬物動態/PD評価は、PKと安全性/効力変数との関係を研究するために実施される。
【0052】
安全性評価
重要な安全性査定としては、(S)AE及びHIV関連事象の監視(HIV感染症におけるAIDS指標疾患及びステージ3指標日和見疾患[2014年からの判定基準によれば、ステージ3疾患のカットオフは、6歳である]を含む)、臨床検査室試験(≧6歳~<12歳の参加者における内分泌査定を含む)、心血管安全性の監視(バイタルサイン及び12誘導心電図)並びに理学的検査(成長を含む)が挙げられる。加えて、この集団に対する現地の標準治療の一部として、質問表又は他の手段(現場で利用可能な)を用いた抑うつの評価が実施される。
【0053】
他の評価
他の査定及び手順としては、PBMC中のRAMのHIV-1遺伝子型判定及び遡及評価による耐性試験、日記を完成することによるRPV摂取量の文書化、治療の遵守が挙げられる。
【0054】
統計的方法
一次分析(正式なデータベースロックを用いた)は、全ての参加者が第24週に到達したときに完了する(又はそれより前に中断される)。最終分析(正式なデータベースロックを用いた)は、全ての参加者が第48週に到達したときに完了する(又はそれより前に中断される)。各分析に対する詳細な統計分析プラン(SAP)は、データベースロックの前に記述されてサインオフされる。
【0055】
効力分析
効力分析
血漿ウイルス量
転帰分析(すなわち血漿ウイルス量が<50及び<400HIV-1RNAコピー/mLの参加者の割合)を、スナップショットアプローチを用いて実施する。スナップショット分析は、訪問ウインドウ(すなわち第24週及び48週)内で最後に観察された血漿ウイルス量データに基づいている。スナップショットアプローチあたりのウイルス学的失敗(すなわちHIV-1RNA≧50及び≧400コピー/mL)を伴う参加者の割合が提供される。プロトコルによって許可されない耐容性を理由にARVを切り替えた参加者は、このスナップショットアプローチに対してウイルス学的失敗であるとみなされる。割合は、各時点におけるClopper Pearson95%信頼区画(CI)の百分率として表される。
【0056】
時間対事象データ(すなわちウイルス学的反応喪失までの時間)は、カプラン・マイヤー曲線によって図示される。
【0057】
CD4+細胞計数
分析は、観察された値及びNC=Fを用いた帰属値に基づき、すなわち、研究を早期中断した参加者は、中断後にベースライン値を代入したそれらのCD4+細胞計数を有し(0の変化をもたらす)、且つ中間の欠測値に対する最後の観察が繰り越された代入を有する。
【0058】
実際のデータ及びベースラインからの変化は、記述的且つ図式的に示される。
【0059】
安全性分析
有害事象/HIV関連事象
各治療中に発現したAE/HIV関連事象に関して、所与の事象の少なくとも1回の発生を経験した参加者の百分率を研究段階ごとに集計する(すなわちスクリーニング段階、介入段階及びフォローアップ)。個別の集計は、必要に応じて、重症度及び研究介入との関係ごとに行われる。
【0060】
死亡したか、AEのために研究介入を中断したか又はグレード3/4のAE、特に興味深いAEの若しくはSAEを経験した参加者の要約、リスト化、データセット又は参加者の談話は、適宜提供され得る。
【0061】
臨床検査室試験
検査室データは、検査室試験の種類ごとに要約される。記述統計は、それぞれの予定された時点において、ベースラインにおける各検査室分析質に関して且つ観察された値及びベースラインからの変化に関して計算される。記述統計は、観察数(n)、平均、標準偏差(SD)、中央値、最小値及び最大値を含む。
【0062】
ベースラインからの変化の頻度の集計は、介入前対介入後クロス集計(平均範囲未満、平均範囲内及び平均範囲超の分類を含む)で示される。利用可能な試験に関して、検査室異常は、エイズ治療研究部(、DAIDS)等級表を用いて判定される。ベースライン後の最悪の異常グレードの頻度集計が生成される。必要に応じて、グレード3/4検査室異常を生じた参加者に関して頻度集計及びリスト化が提供される。
【0063】
心電図
ECG値及びベースラインからの変化の記述統計は、それぞれの予定された時点で要約される。記述統計は、観察数(n)、平均、SD、中央値、最小値及び最大値を含む。異常の頻度集計が行われる。
【0064】
バイタルサイン
脈拍数及び血圧(収縮期及び拡張期)(背臥位及び起立位)値並びにベースラインからの変化の記述統計は、それぞれの予定された時点で要約される。記述統計は、観察数(n)、平均、SD、中央値、最小値及び最大値を含む。臨床的に問題となる限界値を超えた値を有する参加者の百分率は、各時点で要約される。
【0065】
理学的検査
体組織あたりの理学的検査の所見は、それぞれの予定された時点で要約される。理学的検査の異常は、リスト化される。
【0066】
成長は、定期的に追跡され、標準化成長曲線を用いて連続的に評価される。身長、対年齢身長比、体重、対年齢体重比、肥満指数(BMI)及び対年齢BMI比の記述統計は、ベースラインと、観測される値及びベースラインからの変化に関してそれぞれの予定された時点とにおいて計算される。記述統計は、観察数(n)、平均、SD、中央値、最小値及び最大値を含む。
【0067】
タナー段階(恥毛及び生殖器/胸部に関する)は、年齢ごとのベースラインに対してクロス集計される。加えて、女児では、治療中における初回月経の発生もベースラインに対してクロス集計され、初経の日付がリスト化される。
【0068】
薬物動態分析
同サイズ(n)、算術平均、SD、変動係数(の百分率)([%]CV)、幾何平均、中央値、最小値及び最大値を含む記述統計は、RPVのPKパラメータから導出された全ての個体に関して計算される。
【0069】
効力及び安全性パラメータは、PK/PD分析に供する。様々な効力及び安全性パラメータは、RPVのPKにリンクして、グラフィカルツール及び可能な場合には統計モデルを適用する。
【0070】
他の分析
頻度の集計及びリスト化が生成される。
【0071】
エンドポイント
主要エンドポイント
投与時間からRPV投与後24時間までの血漿濃度-時間曲線下の領域。
グレード3/4のAE、SAE、HIV関連事象(HIV感染症における後天性免疫不全症候群(AIDS)指標疾患及びステージ3指標日和見疾患を含む)及び24週間の研究治療を通して研究介入の中断につながるAEの発生率。
【0072】
副次的エンドポイント
24及び48週間の研究治療を通したAE/HIV関連事象の発生率及び重症度並びにこれらのRPVに対する関連性。
24及び48週間の研究治療を通した、毒性グレード/異常対臨床検査室パラメータ、ECGパラメータ、バイタルサイン及び理学的検査の基準におけるベースラインからの経時的な変化及び推移。
24及び48週間の研究治療を通した、米国食品医薬品局(FDA)スナップショットアプローチを用いてHIV-1RNA<50及び≧50コピー/mLを有する参加者の割合。
24及び48週間の研究治療を通した、CD4+細胞計数(絶対的及び合計リンパ球に対する百分率)によって測定した免疫学的変化。
RPVの薬物動態パラメータ(血漿濃度-時間曲線(AUC)下の領域以外)。
24及び48週間の研究治療を通した、集団PKモデリングによって導出されるRPVの薬物動態パラメータ。
24及び48週間の研究治療を通した、ウイルス学的失敗時点でのウイルス遺伝子型。
Pediatric European Network for the Treatment of AIDS(PENTA)遵守質問表並びに24及び48週間の研究治療を通した研究介入の報告義務によって査定した治療の遵守。
24及び48週間の研究治療を通した、遡及的な末梢血単核球(PBMC)又は血漿ベース分析によって査定した、HIV-1DNA又はHIV-1RNAの変異。
【0073】
研究の設計
これは、≧2歳~<12歳で体重が少なくとも11kgのHIV-1感染参加者(男児及び女児)における、他の調査研究者が選択したARVと組み合わせた1日1回のRPVへの切り替えのPK、安全性、耐容性及び効力を評価するための第2相非盲検シングルアーム多施設介入研究である。
【0074】
全体的な規制上の要件に従うため、約40人の参加者(ベースラインで体重が<25kgの約12人の参加者を含む)がこの研究に登録される。標的の約25~30人の参加者がこの研究に登録される。この研究の参加者の実数は、登録された参加者の数に応じて変わる。体重が<25kg及び≧25kgの参加者が並行して登録される。
【0075】
各参加者は、スクリーニング時に少なくとも6ヶ月間の安定したARVレジメン上でウイルス学的に抑制される必要があり(すなわちHIV-1 RNA<50コピー/mL)、またウイルス学的失敗の経歴がない必要がある。加えて、参加者は、入手可能であれば、そのヒストリカルなHIV1遺伝子型判定の結果によって証明して、いかなるRPV耐性関連変異(RAM)も欠いているべきである。しかしながら、≧2歳~<6歳の参加者は、治験依頼者に提供される、スクリーニング時点で入手可能なヒストリカルなHIV-1遺伝子型判定の結果を有しているべきである。ヒストリカルなHIV-1遺伝子型判定結果及び亜型の入手可能性は、CRFに記録する必要がある。≧6歳~<12歳の参加者の場合、ヒストリカルなHIV-1遺伝子型判定結果の入手可能性は、CRFに記録するべきである。
【0076】
リルピビリン(25mg若しくは体重に基づく用量又は等量のリルピビリン塩)は、N(t)RTIなどの他のARV及びインテグラーゼ阻害剤を含有する調査研究者が選択したバックグラウンドレジメンと組み合わせて1日1回経口投与される。しかしながら、PKブースターを必要とするプロテアーゼ阻害剤及びARVは、ベースライン以降では許可されない。
【0077】
参加者は、全員が48週間の合計治療期間に到達する(又はれより前に中断する)まで研究介入及びARVバックグラウンドレジメンを継続する(妥当な場合にはデータ評価期間を通して)。妥当な場合、体重の変化に起因するRPVの用量調節が許可される。
【0078】
全ての参加者は、6週間以内に完了することを目的としたスクリーニング段階を有する。しかしながら、スクリーニング段階は、予測不可能な状況が起きた場合、最大で2週間延長され得る。全ての参加者は、研究介入段階において48週間の非盲検の治療を受ける。研究完了時、RPVによる治療からの臨床的利益を経験し続けている参加者は、研究治療を継続する機会が与えられる。スクリーニング及び研究介入段階を含む各参加者の合計研究期間は、約54週間である。
【0079】
重要な安全性査定としては、(S)AE及びHIV関連事象の監視(HIV感染症におけるAIDS指標疾患及びステージ3指標日和見疾患[2014年からの判定基準によれば、ステージ3疾患のカットオフは、6歳である]を含む)、臨床検査室試験(≧6歳~<12歳の参加者における内分泌査定を含む)、心血管安全性の監視(バイタルサイン及び12誘導心電図)並びに理学的検査(成長を含む)が挙げられる。加えて、この集団に対する現地の標準治療の一部として、質問表又は他の手段(現場で利用可能な)を用いた抑うつの評価が実施される。
【0080】
重要な効力査定としては、血漿HIV-1RNAウイルス量の判定及びCD4+細胞計数の測定が挙げられる。
【0081】
他の査定及び手順としては、PBMC中のRAMのHIV-1遺伝子型判定及び遡及評価による耐性試験、日記を完成することによるRPV摂取量の文書化、治療の遵守などが挙げられる。
【0082】
一次分析(正式なデータベースロックを用いた)は、全ての参加者が第24週に到達したときに完了し(又はそれより前に中断され)、続いて、最終分析(正式なデータベースロックを用いた)は、全ての参加者が第48週に到達したときに完了する(又はそれより前に中断される)。
【0083】
研究集団
小児における新規の強力なARV及び年齢/体重に適した製剤を開発することの医学的必要性のために、HIV-1に感染した≧2歳~<12歳の小児(男児及び女児)が登録される。
【0084】
HIV感染症を患う小児は、健康な小児と比較して成長不全及び低体重を呈する場合が多く、更なる成長障害のリスク因子が存在する場合にはなおさらであることが知られている。HIV-1に感染した小児集団の代表的な分画が研究され得ることを確実にするため、体重11kgの子供(すなわち2歳の健康な女児の体重の成長曲線の10パーセンタイル値)は、研究に参加することが認められる。
【0085】
臨床研究では、アバカビル(ABC)を投与された成人及び小児参加者の約5%で過敏性反応が報告されている。こうした反応が発生するリスクは、ヒト白血球抗原(HLA)-B*5701対立遺伝子の存在と関係しているため、過敏性反応のリスクを制限するために、過去の文書化されたHLA-B*5701陰性結果のない参加者(これらに対して調査研究者がバックグラウンドレジメンにABCを検討する)は、スクリーニング時にHLA-B*5701検査で陰性反応が出るべきである。ABC含有バックグラウンドレジメンへの切り替えが研究中に計画された場合、ABC治療を開始する適格性を判定するためにHLA-B*5701検査が実施されなければならない(過去の文書化された陰性結果が入手可能である場合を除く)。
【0086】
研究介入投与
HIV-1に感染した参加者における複数のARVの組み合わせ使用は、固有の高いHIV変異率のために現在推奨されている。したがって、全ての参加者は、RPVに加えて、調査研究者の選択するバックグラウンドレジメンを投与される。ARTの治療ガイドラインに従い、選択されたARVに対する感受性は、ヒストリカルなHIV-1遺伝子型判定結果を用いてスクリーニング時に確立される。≧6歳~<12歳の参加者は、この年齢群の参加者が、特に発展途上国においてヒストリカルなHIV-1遺伝子型判定結果の入手可能性が限られ、またHIV-1変異の消滅が予期されるため、スクリーニング時に入手可能なヒストリカルなHIV-1遺伝子型判定結果を有することを必要とされない。
【0087】
研究の査定
PK査定は、少なくとも4週間の研究治療後に実施される。血液試料回収スキームは、回収される最小限の血液試料数で正確且つ完全にRPVのPKを記述するように設計された。
【0088】
ウイルス学的反応を喪失した場合、RAMの蓄積を回避し、適時の研究中止を可能にするために、リアルタイムの血漿ベースウイルス耐性試験に加えて、頻繁な血漿ウイルス量の監視が実施される。CD4+細胞計数を判定するための試料は、血漿ウイルス量試料に加えて取られる。
【0089】
非臨床研究は、副腎ホルモンの変化を示した。予防措置として、臨床検査室査定は、RPVの任意の臨床的に関連する副腎又は生殖腺の効果が観察されるか否かを検証するために、≧6歳~<12歳の参加者における内分泌評価も含む。
【0090】
認可されたNNRTIを投与された参加者において、主に精神疾患又は物質乱用の経歴を有する参加者において妄想及び不適当行動が報告された。RPVで治療される参加者における抑うつのリスクを査定するために、この集団に対する現地の標準治療の一部として、質問表又は他の手段(現場で利用可能な)を用いた評価が実施される。これは、誰が精神保健の専門家による完全な精神保健査定を受ける必要があるかを判定する。研究中に発生する任意の臨床的に関連する変化は、AEとして報告される。
【0091】
服薬の遵守は、全ての治療レジメンの成功に不可欠である。更に、本研究において、RPVに対する準最適な遵守は、RPVのPK査定に対して影響を有する。更に、RPVのみを維持しながら(すなわち実質上の単剤療法)バックグラウンドARVレジメンに対する遵守が不十分であると、ウイルス複製の抑制が不完全となり治療に失敗するだけでなく、潜在的に薬剤耐性ウイルスの発生をもたらす可能性がある。これは、小児において遵守の問題が頻繁に起きることの証拠である。無作為化治療研究では、介護者は、小児の30%が、過去3日間に1回以上のARVの用量を投与し損ねたことを報告した。これらの所見は、高い遵守レベルを維持することの困難さを示し、家族と協力して遵守査定、教育に取り組むことの必要性を強調し、ケアの不可欠な要素を支援する。本研究では、RPV及びバックグラウンドARVに対する服薬順守は、PENTA遵守質問表によって査定される。RPVに対する服薬順守は、錠剤数によっても査定される(研究介入の報告義務)。参加者によるRPV又はバックグラウンドARV摂取がプロトコルに従っていない場合、調査研究者は、将来においてプロトコルに遵守することを確実にするために必要な手段を取る。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
バックグラウンドレジメン
N(t)RTI(例えば、FTC又は3TCと組み合わせたAZT、ABC、TAF又はTDF)が挙げられるが、これらに限定されない調査研究者の選択するARVは、特定の国で≧2歳~<12歳の小児に対して認可及び販売されるか、又は現地の標準治療とみなされるかのいずれかであっても、国内における現地の利用可能性及び使用に従い、共製剤として又は個別の成分として投与される(例えば、Combivir(登録商標)又は3TC/AZT、Epzicom(登録商標)/Kivexa(登録商標)、又はABC/3TC、Truvada(登録商標)、又はFTC/TDF)。インテグラーゼ阻害剤(例えば、DTG又はラルテグラビル)も必要に応じてRPVと組み合わせて投与され得る。DTGとRPVとの2部組み合わせは、現在、成人において唯一認可されている。しかしながら、PKブースターを必要とするプロテアーゼ阻害剤及びARVは、ベースライン以降で許可されない。
【0098】
選択されたバックグラウンドARVは、個々の添付文書で指定されるか、又はこの年令群における使用に関する十分な基礎資料が利用可能である用量で使用される。添付文書に基づいて適用可能な手順及びガイダンスは、尊重されるべきである(例えば、用量を投与し損ねた場合)。バックグラウンドARVの摂取量は、現地の適用可能な手順及び添付文書に従うが、1日1回のレジメンでのARVに対してRPVと同時であることが好ましい。1日2回のレジメンでのARVに対して、用量の一方は、好ましくは、RPVと共に摂取され、もう一方の用量は、添付文書に従って摂取される。全てのARVは同じ日(すなわち第1日)に開始されるべきである。バックグラウンドARVの貯蔵条件に関しては、対応する添付文書を参照されたい。
【0099】
研究介入段階中の全てのARVの一時的中断は、毒性が疑われる場合にのみ許可される。
【0100】
選択されたバックグラウンドARVを耐容しない参加者に関して、いくつかの所定の毒性に対して、代替的なARV(商標を有する変形[すなわち米国FDAにより暫定的に承認され、且つ/又はWHOによる事前資格審査済みの薬剤のジェネリック]又は用できない場合、治験依頼者の承認下において、現地の保健機関により承認されるか若しくは国連国際機関により製造されるジェネリック医薬品)への切り替えが許可されている。
【0101】
効力査定
抗ウイルス活性を査定するための血漿HIV-1RNAウイルス量を判定するための血液試料及びCD4+細胞計数(絶対的及び合計リンパ球に対する百分率)を判定するための試料を取る。
【0102】
血漿ウイルス量レベルは、中央検査室で標準化HIV-1ウイルス量アッセイを用いて、血漿中のHIV-1RNAの濃度として測定される。CD4+細胞計数は、中央検査室でフローサイトメトリによって測定される。試験片調製手順は、検査室のマニュアル内で定義される。
【0103】
血漿ウイルス量又はCD4+細胞計数におけるベースラインからの変化(増加又は低減のいずれか)は、(S)AEとして報告されない。
【0104】
安全性査定
安全性及び耐容性は、ICFの署名から最後の研究関連活動まで、研究全体を通して評価される。
【0105】
有害事象は、調査研究者によって報告及び追求される。関心対象の有害事象は、標的集団におけるこれらの適合性、他のARVとのこれらの既知の関連性及び/又はRPVを伴う非臨床及び臨床データによって実証されたこれらの潜在的重要性に基づいており、これとしては、関心対象の内分泌事象、関心対象の潜在的QTc間隔を長引かせる事象、関心対象の肝臓事象、関心対象の神経精神病学的事象及び関心対象の皮膚事象が挙げられる。
【0106】
研究中に発生するあらゆる臨床的に関連する変化は、CRFのAEの項に記録されるべきである。最後の研究訪問時に残存するあらゆる臨床的に有意な異常は、解決するまで又は臨床的に安定した状態に達するまで調査研究者によって追究される。
【0107】
所定の時点でRPVの血漿濃度を測定するために、約1mLの静脈血試料が回収される。
【0108】
分析手順
血漿PK試料は、RPVの濃度を決定するために、治験依頼者によって又は治験依頼者の監督下において、有効であり、特異的であり且つ高精度な液体クロマトグラフィー(質量分析/質量分析法)を用いて分析される。
【0109】
必要に応じて、正規の調査法を用いて血中代謝物の存在を記録するためにいくつかの血漿試料が分析され得る。
【0110】
薬物動態パラメータ及び評価
個々の血漿濃度-時間データに基づき、実際に取られた用量及び実施のPKサンプリング時間を用いて、以下のRPVのPKパラメータを導出する:C0h、Cmin、Cmax、Css,av、tmax、AUC24h、CL/F、Vss/F及びFI。
【0111】
必要に応じて、他のPKパラメータがデータの調査のために推測され得る。
【0112】
PKパラメータの場合、定義及び計算方法は、以下の通りである。
【0113】
【0114】
効力分析
血漿ウイルス量
転帰分析(すなわち漿ウイルス量が<50及び<400HIV-1RNAコピー/mLである参加者の割合)を、スナップショットアプローチを用いて実施する。スナップショット分析は、訪問ウインドウ(すなわち第24週及び48週)内で最後に観察された血漿ウイルス量データに基づいている。スナップショットアプローチあたりのウイルス学的失敗(すなわちHIV-1RNA≧50及び≧400コピー/mL)を伴う参加者の割合が提供される。プロトコルによって許可されない耐容性を理由にARVを切り替えた参加者は、このスナップショットアプローチに対してウイルス学的失敗であるとみなされる。割合は、各時点におけるClopper Pearson95%CIの百分率として表される。
【0115】
時間対事象データ(すなわちウイルス学的反応喪失までの時間)は、カプラン・マイヤー曲線によって図示される。
【0116】
CD4+細胞計数
分析は、観察された値及びNC=Fを用いた帰属値に基づき、すなわち、研究を早期中断した参加者は、中断後にベースライン値を代入したそれらのCD4+細胞計数を有し(0の変化をもたらす)、且つ中間の欠測値に対する最後の観察が繰り越された代入を有する。
【0117】
実際のデータ及びベースラインからの変化は、記述的且つ図式的に示される。
【0118】
安全性分析
有害事象/HIV関連事象
AEを特定するために調査研究者によりCRFにおいて使用される逐語的用語は、Medical Dictionary for Regulatory Activitiesを使用して符号化される。治療により発現したAE(HIV関連事象を含む)は、介入期中に開始するAEであるか、又はベースラインから悪化した既往症の結果であるAEである。全ての報告されるAEが分析に含まれる。各治療中に発現したAE/HIV関連事象に関して、所与の事象の少なくとも1回の発生を経験した参加者の百分率を研究段階ごとに集計する(すなわちスクリーニング段階、介入段階及びフォローアップ)。個別の集計は、必要に応じて、重症度及び研究介入との関係ごとに行われる。
【0119】
死亡したか、AEのために研究介入を中断したか又はグレード3/4のAE、特に興味深いAEの若しくはSAEを経験した参加者の要約、リスト化、データセット又は参加者の談話は、適宜提供され得る。
【0120】
臨床検査室試験
検査室データは、検査室試験の種類ごとに要約される。記述統計は、それぞれの予定された時点において、ベースラインにおける各検査室分析質に関して且つ観察された値及びベースラインからの変化に関して計算される。記述統計は、観察数(n)、平均、標準偏差(SD)、中央値、最小値及び最大値を含む。
【0121】
ベースラインからの変化の頻度の集計は、介入前対介入後クロス集計(平均範囲未満、平均範囲内及び平均範囲超の分類を含む)で示される。利用可能な試験に関して、検査室異常は、DAIDS等級表を用いて判定される。ベースライン後の最悪の異常グレードの頻度集計が生成される。必要に応じて、グレード3/4検査室異常を生じた参加者に関して頻度集計及びリスト化が提供される。
【0122】
内分泌査定(コルチゾール、卵胞刺激ホルモン[FSH]、黄体形成ホルモン[LH]、アンドロステンジオン、テストステロン及びデヒドロエピアンドロステロンサルフェート[DHEAS])の実効値及びベースラインからの変化の記述統計が生成される。
【0123】
ACTH刺激から60分後の内分泌査定(コルチゾール及び17-ヒドロキシプロゲステロン)の実効値及びベースラインからの変化の記述統計が示される。加えて、ACTH刺激前及びACTH刺激から60分後にコルチゾール値が<500nmol/L(18.1μg/dL)の参加者の割合が集計される。
【0124】
心電図
ECG値及びベースラインからの変化の記述統計は、それぞれの予定された時点で要約される。分析されるECGパラメータは、心拍数、PR間隔、QRS間隔、RR間隔、QT間隔、QTcB及びQTcFである。記述統計は、観察数(n)、平均、SD、中央値、最小値及び最大値を含む。異常の頻度集計が行われる。
【0125】
バイタルサイン
脈拍数及び血圧(収縮期及び拡張期)(背臥位及び起立位)値並びにベースラインからの変化の記述統計は、それぞれの予定された時点で要約される。記述統計は、観察数(n)、平均、SD、中央値、最小値及び最大値を含む。臨床的に問題となる限界値を超えた値を有する参加者の百分率は、各時点で要約される。
【0126】
理学的検査
体組織あたりの理学的検査の所見は、それぞれの予定された時点で要約される。理学的検査の異常は、リスト化される。
【0127】
成長は、定期的に追跡され、標準化成長曲線を用いて連続的に評価される。身長、対年齢身長比、体重、対年齢体重比、肥満指数(BMI)及び対年齢BMI比の記述統計は、ベースラインと、観測される値及びベースラインからの変化に関してそれぞれの予定された時点とにおいて計算される。記述統計は、観察数(n)、平均、SD、中央値、最小値及び最大値を含む。
【0128】
タナー段階(恥毛及び生殖器/胸部に関する)は、年齢ごとのベースラインに対してクロス集計される。加えて、女児では、治療中における初回月経の発生もベースラインに対してクロス集計され、初経の日付がリスト化される。
【0129】
実施例2
抗レトロウイルスにナイーブなHIV-1に感染した≧6歳~<18歳の青年及び小児における、リルピビリンの薬物動態、安全性、耐容性及び抗ウイルス活性を評価するための第2相非盲検シングルアーム治験(TMC278)。
【0130】
本研究の目的は、抗レトロウイルス(ARV)治療にナイーブな6歳以上(≧)~18歳未満(<)の青年及び小児における、2つのヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(N[t]RTI)を含有する調査研究者が選択したバックグラウンドレジメン(ラミブジン[3TC]又はエムトリシタビン[FTC]と組み合わせたジドブジン[AZT]、アバカビル[ABC]又はテノホビルジソプロキシルフマル酸塩[TDF])と組み合わせた、1日1回の、25ミリグラム(mg)又は調整された用量のリルピビリンの薬物動態、安全性及び抗ウイルス活性を評価することである(TMC278)。
【0131】
詳細な説明:
これは、第2相非盲検(関与する全員が割り当てられた薬剤の正体を知っている)シングルアーム研究である。本研究は、最大8週間のスクリーニング期間、48週間の初期治療期間、4年間の第48週後治療延長期間(コホート1のみ)及び4週間フォローアップ(コホート2のみ)期間からなる。第48週の訪問若しくはその前に治験から離脱する参加者又は延長期間中の最後の治療中訪問において継続中の(重篤な)有害事象([S]AE)、検査室異常若しくはウイルス量の増加を有する対象は、4週間後にフォローアップ訪問で診察を受ける。初期の48週間の治療期間は、コホート1(年齢が12歳以上[≧]~18歳未満[<])及びコホート2(年齢が≧6歳~<12歳の小児)の2つの年齢コホートに構造化される。この治験は、リルピビリン(RPV)の安定状態薬物動態(PK)プロファイル(集中的PK分析に基づく)並びに短期安全性及び抗ウイルス活性を評価するように設計されている。参加者は、240週にわたり、25ミリグラム(mg)又は体重により調節した用量のRPVを1日1回経口投与され、このとき、2つのヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)との組み合わせで投与される。この治験は、2つのNRTIのバックグラウンドレジメンと組み合わせたリルピビリンの長期(48週間及び240週間[コホート1])の安全性、効力及び薬物動態も評価する。患者の安全性は、研究全体を通して、且つフォローアップ訪問中に監視される。
【0132】
【0133】
【0134】
主要転帰の測定:
1.最大血漿濃度(Cmax)によって測定したリルピビリン(TMC278)の薬物動態(PK)[時間枠:最大48週間]
【0135】
2.血漿濃度曲線下の領域(AUC24)により測定したリルピビリンの薬物動態[時間枠:最大48週間]
AUC24は、リルピビリン投与後0~24時間の血漿濃度時間曲線下に画定される領域である。
【0136】
二次転帰の測定:
1:有害事象を有する患者の数[時間枠:最大244週間(コホート1のみ)(4週間のフォローアップ訪問を含む)]
安全測定値としては、有害事象、バイタルサイン、理学的検査、血液学、生化学及び心電図が挙げられる。
【0137】
2.ウイルス学的反応喪失までの時間(TLOVR)アルゴリズムによって定義される血漿ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)リボ核酸(RNA)レベルが50コピー/mL未満(<)の参加者の百分率[時間枠:第48週及び第240週(コホート1のみ)]
ウイルス学的反応喪失までの時間アルゴリズム(TLOVR)は、持続したHIV-1RNA<50コピー/mLを必要とし;50コピー/mL以上(≧)の確認されたHIV-1RNAは、無反応(リバウンド)とみなされ;参加者は、永久的な中断後に非反応者であるとみなされる。
【0138】
3.FDAスナップショットアプローチによって血漿HIV-1RNAが<50コピー/mLである参加者の百分率[時間枠:第48週及び第240週(コホート1のみ)]
FDAスナップショットアプローチは、第48週のウインドウ内で最後に観察されたウイルス量データに基づき、ウイルス学的反応は、<50コピー/mLのHIV-1RNAと定義され(観察された事例);欠測したHIV-1RNAは、無反応とみなされる。
【0139】
4.ウイルス遺伝子型及び表現型の進化[時間枠:最大48週間及び240週間(コホート1のみ)]
血漿ウイルス量に基づくウイルス学者のプロトコル(Protocol Virologist)により、HIV-1遺伝子型及び表現型を判定するために血液試料が回収される。
【0140】
5.研究遵守質問表により測定される治療遵守[時間枠:最大48週間及び240週間(コホート1のみ)]
このエンドポイントは、小児及び10代の若者に対する研究遵守質問表によって測定される。遵守質問表は、患者によって全て記入されるべきである。質問表は、薬剤、その色及び投与量に関する質問を含む。
【0141】
6.分化抗原(CD4+)細胞における変化[時間枠:第48週及び第240週(コホート1のみ)]
CD4+細胞における変化は、リルピビリンによる治療の第48週及び第240週における免疫学的変化を評価する。
【0142】
適格性基準
研究に適格な年齢:6歳~17歳(小児)
研究に適格な性別:全て
健康な志願者を受け入れる:いいえ
【0143】
包含基準:
文書化されたヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)感染症を有すること
以下の基準を満たす患者;a)コホート1:年齢が12歳以上(≧)~18歳未満(<)、体重が≧32キログラム(kg)の患者、b)コホート2:年齢が≧6歳~<12歳、体重が≧17kg
スクリーニング時に500HIV-1リボ核酸(RNA)コピー/mL以上のHIV-1血漿ウイルス量を有さなければならない
治療的HIVワクチン又はHIV薬剤の治療を受けたことがないこと(但し、母子感染(MTCT)を予防するための、単回用量のネビラピン(NVP)(コホート1及びコホート2)又はスクリーニング前に最大6週間のジドブジン(AZT)の使用(コホート2のみ)は、例外とする)
調査研究者の判断で、患者の医学的状態に基づき、且つ本年齢群の小児におけるHIV-1感染症の治療ガイドラインを考慮して、抗レトロウイルス療法(ARV)療法を開始することが適切である。
【0144】
除外基準:
過去におけるあらゆるARVの使用(但し、MTCTを予防するための、単回用量のNVP(コホート1及びコホート2)又は最大6週間のAZT(コホート2のみ)は、例外とする)
スクリーニング時の血漿ウイルス量が100,000HIV-1RNAコピー/mL超である
スクリーニング時又は原始文書で入手可能なヒストリカルデータからの、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)耐性の文書化された遺伝子型の証拠
ベースライン訪問の4週間前から許可されない併用療法の使用
患者が任意の現在活性な後天性免疫不全症候群(AIDS)指標疾患を有する
患者がスクリーニング時に活性な結核を有し、且つ/又は結核の治療を受けている
心臓病(先天性心疾患を含む)又は症候性不整脈の既往歴(但し、洞性不整脈は例外とする);調査研究者の見解において無症候性不整脈が臨床的に有意である場合、無症候性不整脈の既往歴は、除外される。
【0145】
予備分析のデータを以下の表に示す。
【0146】
【国際調査報告】