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特表2022-538452湿度が制御された高水親和性型生成物の調製のための方法
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  • 特表-湿度が制御された高水親和性型生成物の調製のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】湿度が制御された高水親和性型生成物の調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/04 20060101AFI20220826BHJP
   B01D 1/18 20060101ALI20220826BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20220826BHJP
【FI】
B01J2/04
B01D1/18
C12N15/10 Z ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577881
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2020068318
(87)【国際公開番号】W WO2021001329
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19183894.5
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リンデル デビッド
(72)【発明者】
【氏名】プエンテネル カート
(72)【発明者】
【氏名】オルブリッヒ マーティン
【テーマコード(参考)】
4D076
4G004
【Fターム(参考)】
4D076AA24
4D076BA24
4D076EA02Z
4D076EA04Z
4D076EA12Z
4D076FA20
4D076HA11
4D076JA03
4G004EA07
4G004EA08
(57)【要約】
本発明は、特定の噴霧乾燥パラメータを適用した適切な噴霧乾燥装置における噴霧乾燥によって湿度を制御した高水親和性型生成物の調製のための新しい方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度が制御された高水親和性型生成物の調製のための方法であって、前記高水親和性型生成物の水溶液が、以下の噴霧乾燥パラメータ:
を適用して適切な噴霧乾燥装置において噴霧乾燥され、それによって、噴霧乾燥された前記高水親和性型生成物の含水量を1%w/w~20%w/wの範囲に制御することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記噴霧乾燥パラメータが、以下:
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記噴霧乾燥パラメータが、以下:
である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ガス速度乾燥対供給速度の比が1~200、好ましくは10~150である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ガス速度ノズル対供給速度の比が0.5~10、好ましくは1~8である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記適切な噴霧乾燥装置が、噴霧チャンバと、圧力滴もしくは2流体ノズルから、または回転噴霧器から選択される噴霧器とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記適切な噴霧乾燥装置が、噴霧チャンバと、2流体ノズルから選択される噴霧器とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
以下のさらなる噴霧乾燥パラメータ:
が適用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記噴霧乾燥パラメータ:
が適用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
噴霧乾燥された前記高水親和性型生成物の残留含水量が、5%w/w~15%w/wの範囲、より好ましくは10%w/w~15%w/wの範囲にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
噴霧乾燥されたオリゴヌクレオチドのバルク密度が、0.1g/ml~0.5g/mlの範囲、好ましくは0.3g/ml~0.5g/mlの範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記高水親和性型生成物がオリゴヌクレオチドである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが、任意に改変されたDNA、RNAまたはLNAヌクレオシドモノマーまたはその組合せからなり、10~40、好ましくは10~25ヌクレオチドの長さである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13に記載の噴霧乾燥方法によって得られる、高水親和性型生成物。
【請求項15】
前記高水親和性型生成物がオリゴヌクレオチドであり、残留含水量が、1%w/w~20%w/wの範囲、好ましくは5%w/w~15%w/wの範囲、より好ましくは10%w/w~15%w/wの範囲にある、請求項14に記載の高水親和性型生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な噴霧乾燥装置における噴霧乾燥によって湿度を制御した高水親和性型生成物の調製のための方法であって、以下の噴霧乾燥パラメータ:
を適用し、それによって、噴霧乾燥された高水親和性型生成物の含水量を1%w/w~20%w/wの範囲に制御する、方法を含む。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチド等の高水親和性型生成物は、しばしば凍結乾燥された固体形態の生成物を得るためのものである。その高い吸湿性のために、高水親和性型生成物の凍結乾燥粉末は、静電的に帯電し、自由流動しない傾向があり、したがって管理が非常に困難である。一定の湿度および管理可能な形態の粉末を達成するために、凍結乾燥粉末は、原則として、一定の温度および湿度の気候チャンバ内で水蒸気に暴露される追加のコンディショニング手順を受ける(国際公開第2018/215391号、第69頁、5行目(特許文献1)参照)。
【0003】
この余分な工程は、時間およびリソースを消費し、そのような生成物の大規模製造にとって不利である。
【0004】
したがって、本発明の目的は、この余分なコンディショニング工程を回避し、湿度が制御された高水親和性型生成物を製造することを可能にする方法を見出すことであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/215391号、第69頁、5行目
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、湿度が制御された高水親和性型生成物の調製のための方法であって、高水親和性型生成物の水溶液が以下の噴霧乾燥パラメータ:
を適用して適切な噴霧乾燥装置において噴霧乾燥され、それによって、噴霧乾燥された高水親和性型生成物の含水量を1%w/w~20%w/wの範囲に制御することを特徴とする、方法によって達成できることが見出された。
【0007】
以下の定義は、本明細書において本発明を説明するために使用される種々の用語の意味および範囲を例示し、定義するために記載されている。
【0008】
高水親和性型生成物という用語は、その分子構造に起因して高い極性、ならびに、したがって水に対して高い親和性を示す(およびそれによって、非常に高い吸湿性を示す)生成物を意味する。そのような生成物の例は、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドである。
【0009】
好ましい実施形態において、高水親和性型生成物という用語はオリゴヌクレオチドを表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、水を吸収し、それによって非吸湿性化合物と比較して相対湿度に関して重量を増加させる高水親和性オリゴヌクレオチドの特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合したヌクレオチドを含む分子として当業者によって一般的に理解されるように定義される。治療的に価値のあるオリゴヌクレオチドとして使用するために、オリゴヌクレオチドは、典型的には、10~40ヌクレオチド、好ましくは10~25ヌクレオチドの長さとして合成される。
【0012】
オリゴヌクレオチドは、任意に改変されていてもよいDNA、RNAまたはLNAヌクレオシドモノマーまたはそれらの組合せからなり得る。
【0013】
LNAヌクレオシドモノマーは、ヌクレオチドのリボース糖環のC2’とC4’との間のリンカー基(ビラジクルまたは架橋と称される)を含む、改変ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドは、文献において、架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも称される。
【0014】
本明細書で使用される場合、任意に改変されていてもよいとは、糖部分または核酸塩基部分の1つ以上の改変の導入によって、等価なDNA、RNAまたはLNAヌクレオシドと比較して改変されているヌクレオシドを指す。好ましい実施形態において、改変ヌクレオシドは改変糖部分を含み、例えば、1つ以上の2’置換ヌクレオシドおよび/または1つ以上のLNAヌクレオシドを含む。改変ヌクレオシドという用語はまた、「ヌクレオシド類似体」または改変「ユニット」または改変「モノマー」という用語と互換的に使用されてもよい。
【0015】
DNA、RNAまたはLNAヌクレオシドは、原則として、2つのヌクレオシドを互いに共有結合するホスホジエステル(P=O)またはホスホロチオエート(P=S)ヌクレオシド間結合によって連結される。
【0016】
したがって、いくつかのオリゴヌクレオチドにおいて、全てのヌクレオシド間結合がホスホジエステル(P=O)からなっていてもよく、他のオリゴヌクレオチドにおいては、全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート(P=S)からなっていてもよく、または他のオリゴヌクレオチドにおいては、ヌクレオシド間結合の配列が異なっており、ホスホジエステル(P=O)とホスホロチオエート(P=S)の両方のヌクレオシド間結合を含む。
【0017】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、CまたはUにより示されてもよく、ここで、各文字は、任意に等価機能の改変された核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示されるオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、LNAヌクレオシドについては大文字のA、T、GおよびMeC(5-メチルシトシン)を用いて、DNAヌクレオシドについては小文字のa、t、g、cおよびMeCを用いて記載される。改変核酸塩基としては、保護基を有する核酸塩基、例えば、tert-ブチルフェノキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、アセチル、イソブチリルまたはジメチルホルムアミジノ(WikipediaのPhosphoramidit-Synthese、https://de.wikipedia.org/wiki/Phosphoramidit-Synthese、2016年3月24日を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
好ましくは、オリゴヌクレオチドは、任意に改変されていてもよいDNA、RNAまたはLNAヌクレオシドモノマーまたはそれらの組合せからなり、10~40、好ましくは10~25ヌクレオチドの長さである。
【0019】
オリゴヌクレオチドは、アミノリンカーがオリゴヌクレオチドの5’末端基に結合していることを示すように5’アミノ改変されていてもよい。リンカーは、好ましくは、2~12個の炭素原子の脂肪族アルキル基、または1~10個のエチレングリコールユニットを含むエチレングリコールリンカーである。
【0020】
好ましい5’アミノ改変剤は、アミノ基で保護されていてもよいアミノC2-12-アルキルリンカーまたは1~10個のエチレングリコールユニットを含有するアミノエチレングリコールリンカーから選択される。
【0021】
5’アミノ改変オリゴヌクレオチドに適切なアミノ保護基は、トリフルオロアセチル(TFA)またはモノメトキシトリチル(MMT)である。
【0022】
原則として、アミノリンカーは、市販のアミノリンカーホスホラミダイトを介して、例えば、Sigma AldrichのTFA-またはMMT-C-リンカーホスホラミダイトを介して、またはGlen Researchの5’アミノ改変剤TEG(トリエチレングリコール)CEホスホラミダイトを介して導入される。
【0023】
オリゴヌクレオチド合成の原理は、当技術分野で周知である(例えば、無料百科事典であるWikipediaのOligonucleotide synthesis、https://en.wikipedia.org/wiki/Oligonucleotide synthesis、2016年3月15日を参照のこと)。
【0024】
現在、大規模なオリゴヌクレオチド合成は、コンピュータ制御合成装置を使用して自動的に行われている。
【0025】
原則として、オリゴヌクレオチド合成は固相合成であり、ここで、組み立てられるオリゴヌクレオチドは、その3’末端ヒドロキシ基を介して固体支持体材料に共有結合し、鎖組み立ての全過程にわたってそこに結合したままである。適切な支持体は、GE HealthcareのPrimer support 5GまたはKinovateのNittoPhase(登録商標)HL supportのような市販のマクロ多孔質ポリスチレン支持体である。
【0026】
オリゴヌクレオチド合成は、原則として、所望の配列が組み立てられるまで、伸長中の鎖の5’末端にヌクレオチド残基を段階的に付加することである。
【0027】
一般的に、各添加は合成サイクルと呼ばれ、原則として以下の化学反応、
a1)固体支持体上の保護されたヒドロキシル基を脱ブロックすること、
a2)第1のヌクレオシドを活性化ホスホラミダイトとして前記固体支持体上の遊離ヒドロキシル基とカップリングさせること、
a3)それぞれのP結合ヌクレオシドを酸化または硫化して、それぞれのホスホジエステル(P=O)またはそれぞれのホスホロチオエート(P=S)を形成すること、
a4)任意に、固体支持体上の任意の未反応ヒドロキシル基をキャッピングすること、
a5)固体支持体に結合した第1のヌクレオシドの5’ヒドロキシル基を脱ブロックすること、
a6)第2のヌクレオシドを活性化ホスホラミダイトとしてカップリングして、それぞれのP結合二量体を形成すること、
a7)それぞれのP結合ジヌクレオシドを酸化または硫化して、それぞれのホスホジエステル(P=O)またはそれぞれのホスホロチオエート(P=S)を形成すること、
a8)任意に、任意の未反応の5’ヒドロキシル基をキャッピングすること、
a9)所望の配列が組み立てられるまで、前述の工程a5~a8を繰り返すこと
からなる。
【0028】
その後の樹脂からの切断は、濃アンモニア水を用いて行うことができる。リン酸塩基およびヌクレオチド塩基上の保護基もこの切断手順内で除去される。
【0029】
さらなる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを所与の受容体、例えばアシアロ糖タンパク質(asyalglycoprotein)に標的化するための細胞標的化部分を含み得る(X.Huang et al,Bioconjugate.Chem.2017,28,283-295参照)。
【0030】
好ましい実施形態において、細胞標的化部分は、1~3個のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)リガンドを含む。
【0031】
細胞標的化部分を含む典型的なGalNAcは、以下:
または式
(式中、Rは水素またはヒドロキシ保護基であり、nは0~10の整数、好ましくは0~5の整数、より好ましくは1~3の整数であるが、最も好ましいのは2である)の部分、その鏡像異性体および/または立体異性体から選択され得る。
【0032】
適切なヒドロキシ保護基は、アシル、特にC1-12-アルキルカルボニル基、より具体的にはC1-6-アルキルまたはフェニルで置換されていてもよいC1-6-アルキルカルボニル基である。アセチル、ピバロイルまたはベンゾイルがより好ましく、アセチルが最も好ましいヒドロキシ保護基である。
【0033】
より好ましい実施形態において、細胞標的化部分を含むGalNAcは、式Vの部分から選択され得る。
【0034】
さらに好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、上記の5’アミノ改変オリゴヌクレオチドを含むGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートである。
【0035】
高水親和性型生成物の精製は、原則として生成物の種類について当業者に公知の方法に従う。
【0036】
典型的には、精製はクロマトグラフィー、濃縮および単離の工程を含むが、クロマトグラフィーおよび濃縮工程は繰り返し適用することができる。
【0037】
好ましい高水親和性型生成物としてのオリゴヌクレオチドについての、適切な精製手順は、一連の工程
a)クロマトグラフィー
b)濃縮
c)単離
または好ましくは、
d)陰イオン交換クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィー
e)接線流濾過
f)凍結乾燥
を含む。
【0038】
クロマトグラフィーという用語は、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーおよびそれらの組合せの方法を含む。
【0039】
陰イオン交換クロマトグラフィーは、試料溶液の荷電イオンと使用される緩衝媒体との競合的相互作用に基づく。これは、従来の市販の陰イオン交換樹脂、好ましくはトリメチルアンモニウム官能化を有する陰イオン交換樹脂を用いて行うことができる。これらの相材料は、例えばGE Healthcare、Tosoh Bioscience、Bio-RadまたはMerckから得ることができる。Tosoh Bioscienceから入手可能な陰イオン交換樹脂TSKgel Super Q-5 PW(QAE)で特に良好な結果が達成された。
【0040】
逆相クロマトグラフィーは、固定相としての改変シリカゲル吸着剤等の従来の市販の相材料、ならびにアセトニトリル等の適切な有機溶媒、および適用可能であれば緩衝液を用いて行うことができる。適切な改変シリカゲル型相材料は、Kromasil(商標)C18、Kromasil(商標)C8、YMC Triart C18およびYMC Triart C8から選択することができる。YMC製のTriart Prep C8-Sを用いて、特定の良好な結果が達成された。
【0041】
濃縮という用語は、接線流濾過または蒸発およびそれらの組合せの方法を含む。
【0042】
接線流濾過またはクロスフロー濾過では、供給液は透過側に対して正圧で(接線方向に)フィルタ膜を通過する。膜孔径より小さい材料の部分は、透過液または濾液として膜を通過し、その他はすべて、保持液として膜の供給液側に保持される。接線流濾過の原理は、ナノ濾過、限外濾過、ダイアフィルトレーションおよび精密濾過方法においても使用される。適切な膜は、例えばMerck MilliporeからPellicon(商標)の商品名で市販されている。適切な膜は、3kDA以下の分子量カットオフ(MWCO)を有する。MWCOがそれぞれ1kDAまたは3kDAのMerck Millipore Pellicon 2および3膜が好ましい。
【0043】
上記で概説したように、湿度が制御された高水親和性型生成物の調製のための方法は、高水親和性型生成物の水溶液が、以下の噴霧乾燥パラメータ:
を適用して適切な噴霧乾燥装置において噴霧乾燥され、それによって、噴霧乾燥された高水親和性型生成物の含水量を1%w/w~20%w/wの範囲に制御することを特徴とする。
【0044】
好ましい実施形態において、噴霧乾燥パラメータは以下の通りである:
【0045】
より好ましい実施形態において、噴霧乾燥パラメータは以下の通りである:
【0046】
方法パラメータは、原則として、適用される噴霧乾燥装置に依存する。
【0047】
しかしながら、ガス速度乾燥/供給速度の比およびガス速度ノズル/供給速度の比は、乾燥チャンバのサイズおよび噴霧器の種類から独立した無次元パラメータである。
【0048】
したがって、典型的には、ガス速度乾燥対供給速度の比は、1~200、好ましくは10~150で選択され、ガス速度ノズル対供給速度の比は、0.5~10、好ましくは1~8である。
【0049】
本発明の方法に適用される噴霧乾燥装置は、噴霧器を備えた噴霧チャンバと、噴霧乾燥粉末を収集するための例えばサイクロン等の可能な後続装置と、残存粒子からガスを洗浄するためのフィルタユニットとを備える、一般的な最新技術の装置である。
【0050】
噴霧器は、供給溶液を小さな液滴の形態で噴霧チャンバ内に微細に分散させ、高温ガスに曝露する目的を果たす。
【0051】
ガスは、原則として不活性ガス、典型的には窒素である。
【0052】
噴霧器は、通常、圧力滴もしくは2流体ノズルまたは回転噴霧器から選択される。
【0053】
一般的な噴霧乾燥装置は、例えば、Gea(Niro SD Micro)、Anhydro(SPX)またはBuechi(Buechi Mini)から市販されている。
【0054】
パラメータの組合せは、分散液滴の乾燥を決定し、最終的に噴霧乾燥された生成物の湿度を制御する。
【0055】
好ましい実施形態において、2流体ノズルが使用される。
【0056】
典型的なさらなる乾燥パラメータは以下の通りである:
【0057】
噴霧乾燥された高水親和性型生成物の残留含水量は、好ましくは5%w/w~15%w/wの範囲、より好ましくは10%w/w~15%w/wの範囲に制御することができる。
【0058】
噴霧乾燥された高水親和性型生成物のバルク密度は、0.1g/ml~0.5g/mlの範囲、好ましくは0.3g/ml~0.5g/mlの範囲に調整することができる。
【0059】
上記に概説したように、好ましい高水親和性型生成物は、オリゴヌクレオチド、好ましくは、任意に改変されたDNA、RNAもしくはLNAヌクレオシドモノマーまたはそれらの組合せからなり、10~40、好ましくは10~25ヌクレオチドの長さであり、任意に5’アミノ改変され、上記で定義した細胞標的化部分を含むGalNAcを含むオリゴヌクレオチドである。
【0060】
例示として、以下のオリゴヌクレオチドを選択し:
GN2-AM-C6-5`-caG*MeC*G*t*a*a*a*g*a*g*a*G*G-3`
5’-T*G*G*c*a*a*g*c*a*t*c*c*T*G*T*a-3’
GN2-AM-C6-5`-caC*C*t*a*t*t*t*a*a*c*a*t*c*A*G*A*C-3`
式中、AM-C6はC6アミノリンカーを意味し、*はホスホロチオエート架橋を表し、A、G、TおよびMeC(5-メチルシトシン)はLNAヌクレオシドモノマーであり、a、t、c、gはDNAヌクレオシドモノマーであり、GN2は上記の式VのGalNAcクラスター部分である(n=2;R=アセチル)。
【0061】
本明細書に開示される化合物は、以下の核酸塩基配列
配列番号1:cagcgtaaagagagg’
配列番号2:tggcaagcatcctgta
配列番号3:cacctatttaacatcagac
を有する。
【実施例
【0062】
GN2-AM-C6-5’-caG*MeC*G*t*a*a*a*g*a*g*a*G*G-3’の調製
表題生成物を国際公開第2018/215391号の実施例3Bにしたがって調製し、実施例4B1にしたがって精製した。
【0063】
実施例1
GN2-AM-C6-5’-caG*MeC*G*t*a*a*a*g*a*g*a*G*G-3’の噴霧乾燥
13gの表題オリゴヌクレオチドを室温で117gの水に溶解した。この溶液を、並流2流体ノズル(φ0.5mm、温度50℃、窒素霧化流速0.8kg/時間)を介してNiro SDMICRO(商標)(GEA Process Engineering A/S,Soeborg Denmark)に供給した。供給液を、10g/分の液体供給速度および15kg/時間の窒素流速で、高温窒素流(入口温度220℃)に微粒化した。約70℃の出口温度が得られた。生成した固体を、乾燥チャンバに接続されたサイクロンによってガス流からガラス瓶に分離した:11.4gの固体を、12.3%w/wの残留含水量(含水量90%について補正した単離収率)および0.45g/mLのバルク密度で回収した。
【0064】
実施例2~31
以下の実施例は、実施例1にしたがって行われているが、重要なパラメータは変更されている。
*ガス速度乾燥/供給速度比およびガス速度ノズル/供給速度比は、乾燥チャンバおよび噴霧器のサイズから独立した無次元パラメータである。
【0065】
選択されたバルク密度:
【0066】
比較例
表題生成物を国際公開第2018/215391号の実施例3Bにしたがって調製し、実施例4B1にしたがって精製し、実施例4B2にしたがって凍結乾燥した。
【0067】
得られた材料は、非常に吸湿性があり、静電的に帯電し、自由流動性がなく、したがって管理が困難である。
【0068】
したがって、この材料を21℃、50%相対湿度の気候チャンバで重量が一定になるまでコンディショニングし、これは48時間後に達成された。
【0069】
実施例32~34
実施例32~34は、以下のLNA
5’-T*G*G*c*a*a*g*c*a*t*c*c*T*G*T*a-3’(実施例32および33)
GN2-AM-C6-5’-caC*C*t*a*t*t*t*a*a*c*a*t*c*A*G*A*C-3’(実施例34)
を用いて、実施例1にしたがって行った。
図1
【配列表】
2022538452000001.app
【国際調査報告】