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特表2022-538462少なくとも1つの監視区域において対象物の対象物情報を決定するための光学測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】少なくとも1つの監視区域において対象物の対象物情報を決定するための光学測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578046
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2020068336
(87)【国際公開番号】W WO2021001339
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】102019118029.5
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】トシュテン、ブース
(72)【発明者】
【氏名】ユルス、ズィビーツ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA19
5J084BA36
5J084BA39
5J084BA48
5J084BB02
5J084BB20
5J084BB28
5J084CA03
5J084EA01
5J084EA16
5J084EA22
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの監視区域において対象物の対象物情報を決定するための光学測定装置であって、少なくとも1つの対象物から来る光信号を受信するための少なくとも1つの受信装置を有する光学測定装置を説明する。少なくとも1つの受信装置は、光信号を電気信号へと変換するための少なくとも1つの電気光学受信機(34)を備える。少なくとも1つの光回折要素(52)は、少なくとも1つの受信機(34)の上流の少なくとも1つの受信装置の受光路に配置される。少なくとも1つの受信機(34)は、少なくとも1つの受信機の軸(42)の方向に見られる前後に配置され、且つ、各受信された光の強度に関して別個に評価され得る複数の受信区域(40)を有する。少なくとも1つの光回折要素(52)の少なくとも1つの境界縁(54)は、少なくとも1つの受信機(34)への投影に見られる受信機の軸(42)に、少なくとも局所的には垂直に延びない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの監視区域(16)において対象物(18)の対象物情報を決定するための光学測定装置(14)であって、少なくとも1つの対象物(18)から来る光信号(32)を受信するための少なくとも1つの受信装置(26)を有し、
-前記少なくとも1つの受信装置(26)は、光信号(32)を電気信号へと変換するための少なくとも1つの電気光学受信機(34)を備え、
-少なくとも1つの光回折要素(44,52)は、前記少なくとも1つの受信機(34)の上流の前記少なくとも1つの受信装置(26)の受光路(38)に配置される、光学測定装置において、
-前記少なくとも1つの受信機(34)は、少なくとも1つの受信機の軸(42)の方向に見られる前後に配置され、且つ、各受信された光の強度に関して別個に評価され得る複数の受信区域(40)を有し、
-少なくとも1つの光回折要素(44,52)の少なくとも1つの境界縁(50,54)は、前記少なくとも1つの受信機(34)への投影に見られる前記受信機の軸(42)に、少なくとも局所的には垂直に延びない、
ことを特徴とする、光学測定装置。
【請求項2】
-少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁は、少なくとも1つの光学レンズの少なくとも1つの縁であり、及び/又は、
-少なくとも1つの光回折要素(44)の少なくとも1つの境界縁(50)は、絞りまたはマスクの縁であり、及び/又は、
-少なくとも1つの光回折要素(52)の少なくとも1つの境界縁(54)は、電熱線の縁であり、及び/又は、
-少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁は、前記測定装置のハウジングの窓の縁である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
少なくとも1つの光回折要素(44,52)の少なくとも1つの境界縁(50,54)の範囲の7/10以上は、前記少なくとも1つの受信機(34)への投影に見られる前記少なくとも1つの受信機の軸に垂直には延びない、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の光学測定装置。
【請求項4】
少なくとも1つの光回折要素(44,52)の少なくとも1つの境界縁(50,54)は、少なくとも局所的にジグザグ形状に、及び/又は、少なくとも局所的には波形状に、及び/又は、少なくとも局所的には平坦な及び/又は丸まった先端を有するジグザグ形状に延びる、及び/又は、少なくとも局所的に自由曲線の外形を有する、ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記光学測定装置(14)は、少なくとも1つの受信装置(26)に配置されたハウジング(20)を有し、前記ハウジング(20)は、少なくとも1つの窓(22)を有し、光信号(32)は、監視区域(16)から前記少なくとも1つの受信装置(26)まで当該窓を介して通過できる、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
少なくとも1つの受信機(34)は、各場合での少なくとも1つの受信区域(40)を有する複数の個々の受信要素を有する、及び/又は、少なくとも1つの受信機(34)は、複数の受信区域(40)の少なくとも1つのライン型又はエリア型の配置を有する、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項7】
少なくとも1つの長方形または正方形の光学レンズ(36)は、受光路(38)に配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項8】
前記光学測定装置(14)は、当該光学測定装置(14)に関して少なくとも1つの捕捉された対象物(18)の少なくとも1つの方向を決定するために設計される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの監視区域において対象物の対象物情報を決定するための光学測定装置であって、少なくとも1つの対象物から来る光信号を受信するための少なくとも1つの受信装置を有し、
-前記少なくとも1つの受信機は、電気信号へと光信号を変換するための少なくとも1つの電気光学受信機を備え、
-少なくとも1つの光回折要素は、前記少なくとも1つの受信機の上流の前記少なくとも1つの受信装置の受光路に配置されている、
光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 10 2011 107 585 A1は、ハウジングを備える光学測定装置を開示している。送信窓は、ハウジングの正面壁に形成されている。パルス化されたレーザー光は、送信窓を介して外側へ放たれる。さらに、ハウジングは、送信窓の下の正面壁に受信窓を備えている。対象物によって反射されて車両の周囲に検出されたレーザービームは、受信窓を介して受信されてハウジングに配置された受信ユニットによって処理される。受信ユニットは、例えば検出器の型式の光学受信機が配置された受信機用プリント基板を備え、さらには受信レンズと受信偏向ミラーとしての偏向ミラーとを有し得る受信光学ユニットを有する。光学受信機は、好ましくはAPDダイオードである。受信レンズは、その縁の外形に関して四角形の実施の形態を有する。
【0003】
特に四角形の受信レンズの真っ直ぐな外周での回折の効果は、光信号での光学受信機の最大照明に影響し得る。
【0004】
知られているように、線及び縁は、アラインメントにしたがって回折パターンを生成する。この効果は、単一スリット実験から知られている。したがって、回折の効果は、不透明な対象物に起因して生じる。結果として、受光路での光開口と不透明な対象物との境界は、回折パターンを生じさせる。
【0005】
本発明は、対象物情報、特に光信号で光学受信機の全照明の決定を改善できる導入部で述べられた型式の測定装置を設計するという目的に基づく。
【発明の概要】
【0006】
この目的は、
-少なくとも1つの受信機が、少なくとも1つの受信機の軸の方向の前後に見られるように配置され、それぞれ受信した光の強度に関して別個に評価できる複数の受信区域を有し、
-少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁が、少なくとも1つの受信機への投影に見られる少なくとも1つの受信機の軸に、少なくとも局所的に垂直には延びない、
という本発明にしたがって達成される。
【0007】
本発明によれば、少なくとも1つの受信機は、光信号が入射でき別個に評価され得る複数の受信区域を有する。空間分解能測定は、複数の受信区域を用いて可能である。捕捉された光信号が来る方向であって対応する対象物が位置する方向は、受信区域に光信号の各割り当てにより確認されることができる。
【0008】
本発明の意味における光は、人の目に見える及び見えないの両方の電磁放射を意味すると理解される。
【0009】
受信区域は、少なくとも1つの受信機の軸に沿って前後に配置される。少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁が少なくとも1つの受信機の軸に少なくとも局所的に垂直には延びないので、少なくとも1つの受信機の軸の方向での回折の効果は、低減される。このため、隣接する受信区域の間のいわゆる「クロストーク」は、低減される。
【0010】
本発明によれば、光学測定装置の対称性は、回折の効果の回折の方向に影響するため及び複数の受信区域に光信号のクロストークをこの方法で減少させるために利用される。
【0011】
さらに、光学測定装置は、有利には、少なくとも1つの発信装置を有し得る。発信装置は、光信号を生じさせるために使用され得る。
【0012】
加えて、光学測定装置は、有利には、少なくとも1つの光信号偏向装置を有し得る。光信号偏向装置は、少なくとも1つの発信装置から少なくとも1つの監視区域へ光信号を向ける及び/又は少なくとも1つの監視区域から少なくとも1つの受信装置へ光信号を向けるために使用され得る。
【0013】
さらに、光学測定装置は、有利には、少なくとも1つの制御評価装置を有し得る。制御評価装置は、少なくとも1つの発信装置及び/又は少なくとも1つの受信装置及び/又は少なくとも1つの光信号偏向装置を制御するために使用され得る。さらに、制御評価装置の使用により、少なくとも1つの受信装置から来る電気信号であって特に対象物情報を特徴付けることができる電気信号は、受信され、評価され、及び/又はあるいは特に運転者補助システムに伝達され得る。
【0014】
少なくとも1つの測定装置は、有利には、飛行時間法、特に光パルス飛行時間法にしたがって作動し得る。光パルス飛行時間法にしたがって作動する光学測定装置は、飛行時間(TOF)システム、光検出及び測距(LiDAR)システム、レーザー検出及び測距(LaDAR)システム等として設計され言及され得る。ここでは、発信機を用いた発信信号、特に光パルスの発信及び受信機を用いた対応する反射した発信信号の受信から飛行時間を測定し、測定装置と認知された対象物との間の距離がそこから確認される。
【0015】
有利には、測定装置は、走査システムとして設計され得る。この場合、監視区域は、発信信号を用いて標本抽出され得る、すなわち走査され得る。この目的のため、対応する発信信号、特に発信ビームは、監視区域を越えて電波方向に関して旋回され得る。この場合、少なくとも1つの偏向装置、特に走査装置、偏向ミラー等が、使用され得る。代替的に、測定装置は、フラッシュLiDARとして設計され得る。監視区域は、この場合、少なくとも1つの光信号で完全に同時に照明され得る。
【0016】
有利には、測定装置は、レーザーに基づく距離測定システムとして設計され得る。レーザーに基づく距離測定システムは、光源として少なくとも1つのレーザーを有し得る。少なくとも1つのレーザーは、特に発信信号としてパルス化された発信ビームを発信するために使用され得る。レーザーに基づく距離測定システムは、有利には、レーザー走査機であり得る。レーザー走査機は、特にパルス化されたレーザービームで監視区域を標本抽出するために使用され得る。
【0017】
本発明は、車両、特には自動車両に使用され得る。本発明は、有利には、地上配備の車両、特には旅客車両、トラック、バス、オートバイ等、航空機及び/又は船舶に使用され得る。また、本発明は、自律してあるいは少なくとも部分的に自律して作動され得る車両に使用され得る。しかしながら、本発明は、車両に限定されない。本発明は、据え付けの作動物にも使用され得る。
【0018】
測定装置は、有利には、車両の少なくとも1つの電気制御装置、特に運転手補助システム及び/又は車台制御システム及び/又は運転者情報装置及び/又は駐車補助システム及び/又はジェスチャー認知等に接続され得る、あるいは、このような装置やシステムの一部であり得る。このように、少なくとも部分的に自律した車両の作動は、可能にされ得る。
【0019】
光学測定装置は、止まっている又は動いている対象物、特に車両、人、動物、植物、障害物、道の凹凸、特に窪みや岩、車線の境界、交通標識、空いている空間、特に空いている駐車空間等を捕捉するために使用され得る。
【0020】
有利な実施の形態において、
-少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁は、少なくとも1つの光学レンズの少なくとも1つの縁であり得て、
-及び/又は少なくとも1つの光回折要素の境界縁は、絞りやマスクの縁であり得て、
-及び/又は少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁は、電熱線の縁であり得て、
-及び/又は少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁は、測定装置のハウジングの窓の縁であり得る。
【0021】
このように、光信号での影響が本発明を用いて適合され得る光回折要素を表す測定装置の機能的な構成要素、特に光学レンズ、絞り、マスク、電熱線、窓等は、受光路に配置され得る。
【0022】
有利には、少なくとも1つの光学レンズの少なくとも1つの縁は、本発明による外形を有し得る。これにより、光回折の影響は、容易にレンズに直接的に適合され得る。
【0023】
少なくとも1つの絞り又はマスクは、有利には、少なくとも1つの光学レンズに配置され得る。少なくとも1つの絞り又はマスクは、光学レンズの少なくとも1つの縁を覆うことができる。これにより、光学レンズの縁での光回折は、妨げられる。それどころか、光回折は、少なくとも1つの絞り又はマスクの縁に生じる。少なくとも1つの絞り又はマスクの少なくとも1つの縁は、本発明による外形を有し得る。
【0024】
有利には、少なくとも1つの電熱線は、測定装置のハウジングの窓に配置され得る。これにより、窓は、温度が制御され得る。したがって、窓の曇る危険性が低下し得る。
【0025】
有利には、測定装置のハウジングでの窓の縁は、本発明による外形を有し得る。これにより、光回折の栄光は、容易に窓に直接的に適合され得る。
【0026】
測定装置のハウジングでの窓は、有利には、受光路に配置され得る。光信号は、監視区域から少なくとも1つの受信機に窓を通過し得る。
【0027】
さらなる有利な実施の形態において、少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁の範囲の7/10以上が、少なくとも1つの受信機への投影に見られる少なくとも1つの受信機の軸に、垂直には延びないことが可能である。これにより、複数の受信区域のクロストークは減少し、少なくとも1つの受信機の軸の横方向の少なくとも1つの境界縁の範囲は、達せられる。
【0028】
有利には、少なくとも1つの境界縁の部分は、少なくとも1つの受信機の軸に垂直に延びていなくてもよい。これにより、少なくとも1つの受信機の軸の方向のクロストークを最小化できる。
【0029】
さらなる有利な実施の形態において、少なくとも1つの光回折要素の少なくとも1つの境界縁は、少なくとも局所的にジグザグ形状に、及び/又は、少なくとも局所的に波形状に、及び/又は、少なくとも局所的に平坦な及び/又は丸まった先端を有するジグザグ形状に延び得る、及び/又は、少なくとも局所的に自由曲線の外形を有し得る。これにより、少なくとも1つの受信機の軸の横方向の少なくとも1つの光回折要素の範囲は、達せられ得る。少なくとも1つの受信機の軸に垂直な延長部は、最小化され得る。
【0030】
有利には、少なくとも1つの境界縁の外形は変化してもよい。これにより、外形は、特に測定装置の幾何学的配置に、より柔軟に適応し得て、クロストークに関して回折パターンの影響を減少する。
【0031】
さらなる有利な実施の形態において、光学測定装置は、少なくとも1つの受信装置に配置されたハウジングを有し得て、ハウジングは、少なくとも1つの窓を有し得て、光信号は、監視区域から少なくとも1つの受信装置まで当該窓を介して通過できる。少なくとも1つの受信装置及びおそらくはさらなる構成要素は、ハウジング内に収容され得て、保護され得る。少なくとも1つの窓は、光信号、特に受信光信号を透過できる。さらに、少なくとも1つの窓は、少なくとも1つの加熱装置、特に少なくとも1つの電熱線を有し得る。加熱装置、特に少なくとも1つの電熱線を用いて、少なくとも1つの窓が曇ることを防ぐことが可能である。
【0032】
さらなる有利な実施の形態において、少なくとも1つの受信機は、各場合での少なくとも1つの受信区域を有する複数の個々の受信要素を有し得る、及び/又は、少なくとも1つの受信機は、複数の受信区域のライン型またはエリア型の配置を有し得る。個々の受信要素は、別々に容易に読み取られ得て、対応する情報が評価され得る。複数の受信区域のライン型またはエリア型の配置は、一緒に製造され得る。
【0033】
少なくとも1つの受信機は、有利には、少なくとも1つの検出器、特にラインセンサ又はエリアセンサ、特に複数のアバランシェフォトダイオード、フォトダイオード線、CCDセンサ等を有し得る、又は構成し得る。光信号は、このような受信機を使用する対応する電気信号に素早く正確に変換され得る。
【0034】
さらなる有利な実施の形態において、少なくとも1つの長方形または正方形の光学レンズは、受光路に配置され得る。光信号は、丸い光学レンズを用いてできるであろうより、長方形または正方形の光学レンズを用いたライン型またはエリア型配置を有する受信区域により良く映し出される。光学レンズの縁は、回折パターンが製造され得る境界縁であると考えられ得る。
【0035】
さらなる有利な実施の形態において、光学測定配置は、測定装置に関して少なくとも1つの捕捉された対象物の少なくとも1つの方向を決定するために設計され得る。これにより、特に少なくとも1つの受信機の軸の方向における対象物の位置及び/又は寸法は、確認され得る。対象物の高さ及び/又は幅は、光学測定装置を用いて決定され得る。
【0036】
追加的に、光学測定装置は、有利には、測定装置に関連した少なくとも1つの距離及び/又は捕捉される対象物の速度の決定のために設計され得る。この対象物情報を用いて、対象物は、より特徴付けられ、特に特定され得る。対象物情報は、ことによると光学測定装置を携行する車両の運転者補助システムに伝達されてもよい。その結果、車両が自律して又は少なくとも部分的に自律して作動され得る。
【0037】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、本発明の例示的な実施の形態が図を参照してより詳細に説明されるであろう以下の説明から明らかである。当業者は、図、説明及び請求の範囲に開示された特徴を便宜上個別に考慮し、それらを組み合わせてさらなる意味のある組み合わせを形成するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、運転方向における自動車両の正面の監視区域を監視する光学測定装置を有する自動車両の正面図を示す。
図2図2は、図1の車両に使用され得る第1の例示的な実施の形態による光学測定装置の長手方向の断面を示す。
図3図3は、図2の光学測定装置の窓を介した視界を示す。
図4図4は、図1の車両に使用され得る第2の例示的な実施の形態による光学測定装置の窓を介した視界を示す。
図5図5は、図1の車両に使用され得る第3の例示的な実施の形態による光学測定装置の窓を介した視界を示す。
図6図6は、図2の光学測定装置の受信レンズを介した視界を示す。
図7図7は、図の車両に使用され得る第4の例示的な実施の形態による光学測定装置の受信レンズを介した視界を示す。
図8図8は、本発明に使用されない光学測定装置の長手方向の断面を示す。
図9図9は、図8の光学測定装置の窓を介した視界を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図において、同一の構成要素には同じ参照符号が設けられている。
【0040】
図1は、乗用車の型式での例として、自動車両10の正面図を示す。自動車両10は、運転者補助システム12を有している。ここではこれ以上関心は無いが、自動車両10は、運転者補助システム12を用いて自律した又は部分的に自律した態様で作動され得る。
【0041】
自動車両10は、さらに、光学測定装置14を有している。光学測定装置14は、例として、前方バンパーに配置されている。光学測定装置14は、図2に示されているように、対象物18に対する運転方向における自動車両10の正面の監視区域16を監視するために使用され得る。また、光学測定装置14は、自動車両10の異なる位置に異なるアラインメントで配置され得る。
【0042】
光学測定装置14は、止まっている又は動いている対象物18、例えば車両、人、動物、植物、障害物、特に窪みや岩といった道の凹凸、車線の境界、交通標識、特に空いている駐車空間等の空いている空間を捕捉するために使用され得る。
【0043】
光学測定装置14は、対象物情報、例えば光学測定装置14に関して、すなわち自動車両10に関して、捕捉された対象物18の距離、方向及び速度を確認するために使用され得る。測定装置14は、例えばレーザーに基づく測距システムとして、例えばLiDARシステムとして設計され得る。
【0044】
光学測定装置14は、信号の伝達のために運転者補助システム12に接続されている。光学測定装置14に捕捉された対象物18の対象物情報は、運転者補助システム12に伝達される。対象物情報は、運転者補助システム12で処理されて、自動車両10の制御機能ために使用され得る。
【0045】
図2は、第1の例示的な実施の形態による光学測定装置14の長手方向の断面を示す。
【0046】
光学測定装置14は、ハウジング20を備えている。ハウジング20は、監視区域16に面した側に、窓22を有している。
【0047】
発信装置24、受信装置26及び制御評価装置28は、ハウジング20に配置されている。
【0048】
測定装置14の作動中に、例えばレーザーパルスの型式での発信光信号30は、発信装置24を使用して生み出される。発信光信号30は、例えば、人の目に見えなくてもよい。窓22は、発信光信号30を伝達可能である材料からなる。発信光信号30は、窓22を介して監視区域16へと伝達される。
【0049】
発信光信号30が監視区域16へと向けられ得る例えば偏向ミラー装置等の光信号偏向装置(図示せず)は、ハウジング20に選択的に配置され得る。
【0050】
発信光部分30は、監視区域16内の対象物18で反射される。測定装置14の方向に反射された発信光信号30は、より良い識別を目的として以下では受信光信号32として参照される。受信光信号32は、受信装置26へと窓22を通過する。ハウジング20内の受信光信号22は、偏向ミラー装置を用いて選択的に偏向され得る。
【0051】
受信装置26を用いて、受信光信号32は、電気信号に変換されて制御評価装置28に伝達される。対象物情報、特に測定装置14に関連した捕捉された対象物18の距離、方向及び速度は、捕捉された受信光信号32から確かめられる。対象物情報は、制御評価装置28を使用する運転者補助システム12に伝達される。
【0052】
受信装置26は、例として、受信機34と、受信レンズ36と、を備えている。受信レンズ36及び窓22は、受信機34の受光路38に位置している。本発明の意味における受光路38は、対象物18から来る受信光信号32が進む経路である。明確性のため、図2は、受光路38を単に破線軸として示している。この軸は、受光路38の中心を示すことが意図されている。受光路38は、実際には、図2において例として軸の上向きに延びる、下向きに延びる、図示面へ延びる及び図示面から離れて延びる、三次元空間を意味するように理解される。
【0053】
受信レンズ36は、窓22と受信機34との間に位置している。受信光信号32は、受信レンズ36を用いて受信機34に焦点を合わせられている。
【0054】
受信機34は、複数の受信区域40を有している。受信区域40は、各場合において、例としてアバランシェフォトダイオードとして実施され得る。受信区域40は、受信機の軸42の方向の前後に見られるように配置されている。示されている例示的な実施の形態において、受信機の軸42は、図2に示されているように、自動車両10の通常のアラインメントで、空間的には垂直に延びており、その結果、受信区域40は、上下に配置されている。例示的な実施による受信区域40の垂直な配置で、捕捉された対象物18に関する空間的な高さの上方は、受信機34を用いて確かめられ得る。
【0055】
また、分離したアバランシェフォトダイオードを用いるのではなく、受信機34は、受信機の軸42に沿って対応して配置された複数の画像点を有するラインセンサの型式で実施され得る。
【0056】
受信レンズ36は、例えば、四角形、特に正方形や長方形の設計を有している。受信レンズ36は、図6において受信機34の正面に示されている。図6において、窓22の図示は、明確性の理由のため省略されていた。受信レンズ36は、その縁の2つ、特に上部縁46と下部縁48が受信機34への投影に見られる受信機の軸42に、垂直に延びるように並べられる。
【0057】
2つのマスク44は、受信レンズ36に配置されている。マスク44は、例として、受信レンズ36の受信機34に対面する側に位置している。一方のマスクは、受信レンズ36の上部縁46に沿って延びており、上部縁46を覆っている。他方のマスク44は、受信レンズ36の下部縁48に沿って延びており、下部縁48を覆っている。互いに対面する側で、マスク44はそれぞれジグザグ形状の境界縁50を有している。
【0058】
各場合におけるマスク44は、受信光信号32のための光回折要素として機能する。線と縁とがアラインメントによる回折パターンを生成することが知られている。受信区域40において受信機の軸42の方向に拡大する回折パターンは、受信区域40間でのクロストークをもたらし得る。マスク44のジグザグ形状の境界縁50には、受信機34への投影に見られる受信機の軸に、垂直に延びるものはない。これにより、境界縁50によって引き起こされる受信機の軸42の方向における受信区域40での回折パターンの拡大が減少することが保証される。
【0059】
例として、2つの電熱線52が、窓22に配置されている。電熱線52は、環境に関して保護されるよう、例えばハウジング20の内部に対面する窓22の内側に配置されている。電熱線52は、明確性のために図示されていない電源に接続されている。電熱線52は、例えば窓22が曇ったり氷で覆われたりすることを防止するために、窓22の温度を制御するように使用され得る。
【0060】
電熱線52は、受光路38に位置しており、したがって同様に受信光信号32のための光回折要素として機能する。図2及び図3の各場合における電熱線52の上部縁は、境界縁54を形成する。電熱線52及び境界縁54は、ジグザグ形状の外形を有している。境界縁54は、どの部分においても、受信機34への投影に見られる受信機の軸42に、垂直には延びていない。これにより、受信機の軸42の方向における受信区域40での回折パターンの拡大が減少することが保証される。
【0061】
発信光信号30及び受信光信号32のための1つの共通の窓22ではなく、分離した発信窓及び受信窓が設けられてもよい。
【0062】
測定装置14を用いた測定の間、発信光信号30は、発信装置24で生成されて、窓22を通って監視区域16に伝達される。
【0063】
対象物18で反射した受信光信号32は、最初に窓22を通過する。その過程において、回折パターンは、電熱線52の境界縁54で生成される。境界縁52のジグザグ形状の外形のため、回折パターンは、受信機の軸42に関してほぼ斜めに延びている。
【0064】
受信光信号32は、受信レンズ36を用いて受信機34に焦点を合わせられている。その過程において、回折パターンは、マスク44の境界縁50で生成される。境界縁50のジグザグ形状の外形のため、回折パターンは、受信機の軸42に関してほぼ斜めに延びている。
【0065】
対象物18が位置する高さにより、対応する受信光信号32は、図2に示されている全照明区域56での対応する高さに受信機34を照明する。全照明区域56の形状は、境界縁50及び54で生成される回折パターンに影響される。図3は、例として、単に星の形状での図示を目的とする全照明区域56を示唆しており、各場合で星のスパイクは、受信機の軸42に関して斜めに延びている。全照明区域56の実際の形状は、とりわけ境界縁50及び54の外形及び配置に依存する。図3において、受信レンズ36の図示及び発信装置24の図示は、明確性のために省略されている。
【0066】
本発明による上述の受信機の軸42の方向での回折パターンの拡大の減少のため、全照明区域56は、示されている例示的な実施の形態において、頂部から第2受信区域40のみを完全に照明する。各場合での境界縁50及び54のジグザグ形状の外形は、隣り合った、特に頂部から第1及び第3の受信区域40へのクロストークが発生しないか、少なくともかなり減少したクロストークが発生することを保証する。
【0067】
対象物18に関する高さの情報は、受信光信号32から取得され得る。それは、全照明区域56によって照らされた受信区域40で捕捉される。
【0068】
図4は、第2の実施の形態による電熱線52を有する窓22を示している。図2及び図3からの第1の実施の形態のものと類似している要素には、同一の参照符号が設けられている。第2の実施の形態は、電熱線52が鋸歯形状で延びていることにおいて第1の実施の形態とは異なる。
【0069】
図5は、第3の実施の形態による電熱線52を有する窓22を示している。図2及び図3からの第1の実施の形態のものと類似している要素には、同一の参照符号が設けられている。第3の実施の形態は、ジグザグ形状の電熱線52が折り返し点で平坦な頂部を有することにおいて第1の実施の形態とは異なる。例として、各境界縁54の範囲の7/10以上は、受信機34への投影に見られる受信機の軸42に、垂直に延びていない。
【0070】
図7は、第4の実施の形態による測定装置14のマスク44を有する受信レンズ36及び受信機34を示している。図2及び図3からの第1の実施の形態のものと類似している要素には、同一の参照符号が設けられている。第4の実施の形態は、受信機34の受信区域40が行及び列の二次元に配置されていることについて第1の実施の形態とは異なる。受信機34は、鉛直受信軸42aと水平受信軸42bとを有している。2次元の受信機34を用いることで、測定装置14に比べて、対象物18に関する空間的な水平方向及び空間的な鉛直方向の情報が確認され得る。
【0071】
各測定において各全照明区域の範囲での受信レンズ22の側方縁58によってもたらされる回折パターンの影響を減らすために、側方縁58は、各場合において鉛直に延びているマスク44で覆われている。側方マスク44は、上部縁46及び下部縁48での水平に延びるマスク44に類似して、各場合においてジグザグ形状の境界縁54を有している。
【0072】
図8及び図9は、本発明によらない測定装置14を単に比較を目的として示している。そこでは、電熱線52は、ジグザグ形状でなく真っ直ぐで、投影に見られる受信機の軸42に、垂直に延びており、すなわち本発明によるものではない。マスク44なしに、投影に見られる受信機の軸42に、垂直に延びる上部縁46及び下部縁48は、例えば3つの受信区域40を超えて受信機の軸42の方向に全照明区域56を拡大する回折パターンをもたらす。このことは、例えば頂部からの第1及び第3受信区域40への受信光信号32のクロストークという結果になり、したがって対象物18の高さの情報を決定する際の正確性の喪失という結果になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】