(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】統合されたエアコンコンプレッサーを有する、自動車のためのハイブリッドトランスミッション、および自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20220826BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20220826BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20220826BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20220826BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K17/04 G ZHV
B60K6/442
B60K6/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578148
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 DE2020100450
(87)【国際公開番号】W WO2021000984
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】102019117758.8
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ホッペ
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ピーパー
【テーマコード(参考)】
3D039
3D202
【Fターム(参考)】
3D039AA03
3D039AB01
3D039AB27
3D039AC39
3D202AA02
3D202EE13
3D202EE18
3D202EE23
3D202FF12
(57)【要約】
本発明は、内燃機関(3)のクランクシャフト(2)と回転可能に結合可能な入力シャフト(4)と、第1のロータシャフト(5)を有する第1の電気モータ(6)と、自動車(20)の少なくとも1つのホイール(7a,7b)と回転可能に結合可能な駆動部分(8)と、入力シャフト(4)と第1のロータシャフト(5)と駆動部分(8)との間で作用するように構成される切換可能なギヤユニット(9)と、を有する、自動車(20)のためのハイブリッドトランスミッション(1)において、エアコンコンプレッサー(10)の駆動シャフト(11)と回転不能に結合された駆動歯車(12)が、入力シャフト(4)に対して同軸に配置された、ギヤユニット(9)の中間歯車(13)と直接的に噛合係合するように、エアコンコンプレッサー(10)が配置される、ハイブリッドトランスミッション(1)に関する。さらに本発明は、このようなハイブリッドトランスミッション(1)を有する自動車(31)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(3)のクランクシャフト(2)と回転可能に結合可能な入力シャフト(4)と、第1のロータシャフト(5)を有する第1の電気モータ(6)と、自動車(20)の少なくとも1つのホイール(7a,7b)と回転可能に結合可能な駆動部分(8)と、前記入力シャフト(4)と前記第1のロータシャフト(5)と前記駆動部分(8)との間で作用するように構成される切換可能なギヤユニット(9)と、を有する、前記自動車(20)のためのハイブリッドトランスミッション(1)において、エアコンコンプレッサー(10)の駆動シャフト(11)に対して回転不能に結合された駆動歯車(12)が、前記入力シャフト(4)に対して同軸に配置された、前記ギヤユニット(9)の中間歯車(13)と直接的に噛合係合するように、前記エアコンコンプレッサー(10)が配置されることを特徴とする、ハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項2】
前記エアコンコンプレッサー(10)は取付位置において、前記内燃機関(3)のクランクシャフト回転軸(24)の上方または下方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項3】
前記駆動シャフト(11)は前記第1のロータシャフト(5)に対して同軸に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項4】
前記第1の電気モータ(6)は取付位置において、前記入力シャフト(4)に沿って見たときに前記内燃機関(3)に対してオフセットされて配置され、前記エアコンコンプレッサー(10)は、前記第1の電気モータ(6)の、前記内燃機関(3)と対向する側(14a)に、または、前記第1の電気モータ(6)の、前記内燃機関(3)と反対の側(14b)に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項5】
前記エアコンコンプレッサー(10)は、前記第1の電気モータ(6)の、前記内燃機関(3)と対向する前記側(14a)に配置される場合、軸方向で前記第1の電気モータ(6)と前記駆動歯車(12)との間に配置されるか、または軸方向で前記駆動歯車(12)の、前記第1の電気モータ(6)と反対の側に配置されることを特徴とする、請求項4に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項6】
前記第1のロータシャフト(5)に対して径方向にオフセットされて配置された第2のロータシャフト(15)を有する第2の電気モータ(16)がさらに設けられ、前記第1の電気モータ(6)は主動作状態のときに発電機として作動するように構成されて制御可能であり、前記第2の電気モータ(16)は主動作状態のときに駆動モータとして作動するように構成されて制御可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項7】
前記ギヤユニット(9)の切換位置を制御する切換装置(17)が、入力シャフト(4)と、前記駆動歯車(12)と、さらなるプラネタリギヤ段(18)を介して前記第2のロータシャフト(15)と恒常的に回転可能に結合されたさらなる歯車(19)と、の間で作用するように構成され、それにより、前記切換装置(17)は、第1の切換位置では前記入力シャフト(4)を前記第1のロータシャフト(5)と回転可能に結合する一方、前記第2のロータシャフト(15)は前記入力シャフト(4)から回転可能な結合は解除され、前記切換装置(17)は、第2の切換位置では前記入力シャフト(4)を前記第1のロータシャフト(5)と前記第2のロータシャフト(15)との両方と回転可能に結合し、前記切換装置(17)は、第3の切換位置では両方の前記ロータシャフト(5,15)を互いに回転可能に結合する一方、前記入力シャフト(4)は両方の前記ロータシャフト(5,15)から回転可能な結合は解除されることを特徴とする、請求項6に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項8】
前記駆動部分(8)はディファレンシャルギヤ(21)の入力歯車として構成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスミッション(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスミッション(1)と内燃機関(3)とを有する自動車(20)において、前記内燃機関(3)の前記クランクシャフト(2)が前記入力シャフト(4)に対して回転不能に結合され、前記駆動部分(8)が前記自動車(20)のホイール(7a,7b)と回転可能に結合されている、自動車(20)。
【請求項10】
前記内燃機関(3)は、そのクランクシャフト(2)が車両長軸と交差するように配置され、かつ/または前記駆動部分(8)は駆動アクスル(22)のホイール(7a,7b)と回転可能に結合されることを特徴とする、請求項9に記載の自動車(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトと結合可能であり回転可能な入力シャフトと、第1のロータシャフトを有する第1の電気モータと、自動車の少なくとも1つのホイールと回転可能に結合可能な駆動部分と、入力シャフトと第1のロータシャフトと駆動部分との間で作用するように構成される切換可能なギヤユニットと、を有する、(ハイブリッド化された)自動車のためのハイブリッドトランスミッションに関する。さらに本発明は、このようなハイブリッドトランスミッションを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
当分野に属するハイブリッドトランスミッションは、従来技術からすでに十分に知られている。たとえばドイツ特許出願公開第102017206510A1号明細書は、シリアル/パラレルハイブリッド車両のためのトランスミッション構造を開示している。さらに出願人には、ドイツ特許出願第102019110046.1号明細書として2019年4月16日付けをもってすでにドイツ特許・商標庁にすでに提出されている、ホイールへの変換可能な直結駆動部を有するハイブリッド自動車のための駆動システムを開示した内部的な先行技術が周知となっている。
【0003】
このように、可能な限りコンパクトな設計形態を促進することを目的としたハイブリッドトランスミッションがすでに知られている。しかし、エアコンコンプレッサーをも巧みな方式で配置するためには、このようなコンパクト性をいっそう高め、ハイブリッドトランスミッションの構造を簡素化する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、従来技術から知られている欠点を取り除き、特に、いっそうコンパクトで簡素化された構造を有するハイブリッドモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このことは本発明によると、エアコンコンプレッサーの駆動シャフトに対して回転不能に結合された駆動歯車が、入力シャフトに対して同軸に配置された、ギヤユニットの中間歯車と直接的に噛合係合するように、エアコンコンプレッサーが配置されることによって解決される。
【0006】
このようにして、エアコンコンプレッサーがハイブリッドトランスミッションに巧みに統合され、従来のように別個のベルトドライブを介して結合されるのではなくなる。設計スペースの明らかな節減が、その帰結である。ベルトドライブが省略されることで、構造も簡素化される。
【0007】
その他の好ましい実施形態は従属請求項に記載されており、以下において詳しく説明する。
【0008】
エアコンコンプレッサーが取付位置において、内燃機関のクランクシャフト回転軸の(作用する重力を基準として見たときに)上方または下方に配置されると、エアコンコンプレッサーが空いた設計スペースへ特別に巧みに統合される。しかしながら原則として、別の実施形態では、クランクシャフトの円周に沿ったエアコンコンプレッサーの代替的な配置も好ましい。
【0009】
駆動シャフトが第1のロータシャフトに対して同軸に配置されるのも好ましい。このようにして第1の電気モータの側方への、設計スペースを節減するエアコンコンプレッサーの配置が促進される。
【0010】
さらにこの関連で、第1の電気モータが取付位置において、入力シャフトに沿って見たときに内燃機関に対してオフセットされて配置され、エアコンコンプレッサーは、第1の電気モータの、内燃機関と対向する側に、または、第1の電気モータの、内燃機関と反対の側に配置されると好都合である。内燃機関と対向する側への配置の場合、空いた設計スペースが効果的に利用されるという利点がある。内燃機関と反対の側への配置の場合、エアコンコンプレッサーの良好なアクセス性とモジュール性の両方を具体化可能であるという利点がある。
【0011】
このときエアコンコンプレッサーは、第1の電気モータの、内燃機関と対向する側に配置される場合、軸方向で第1の電気モータと駆動歯車との間に配置されるか、または軸方向で駆動歯車の、第1の電気モータと反対の側に配置されると特に好ましい。第1の電気モータと駆動歯車の間へのエアコンコンプレッサーの配置の場合、エアコンコンプレッサーが支承部に対して可能な限り直接的にオフセットされて配置される。それにより、ハイブリッドトランスミッションの特別に巧みな、摩耗の少ない構成がもたらされる。
【0012】
さらに、エアコンコンプレッサーがハイブリッドトランスミッションのハウジングの内部に配置されるか、またはハイブリッドトランスミッションのハウジングの外部に位置決めされ、好ましくはハウジングに取り付けられると好ましいことが判明している。それにより、エアコンコンプレッサーを独自の設計単位として特別に容易に製造し、組み付けることができる。
【0013】
さらにハイブリッドトランスミッションの構造については、第1のロータシャフトに対して径方向にオフセットされて配置された第2のロータシャフトを有する第2の電気モータをさらに有していると好ましいことが判明しており、第1の電気モータは主動作状態のときに発電機として作動するように構成されて制御可能であり、第2の電気モータは主動作状態のときに駆動モータとして作動するように構成されて制御可能である。
【0014】
それに応じて、ギヤユニットの切換位置を制御する切換装置が、入力シャフトと、駆動歯車と、さらなるプラネタリギヤ段を介して第2のロータシャフトと恒常的に結合され回転可能なさらなる歯車と、の間で作用するように構成され、それにより、切換装置は、第1の切換位置では入力シャフトを第1のロータシャフトと回転可能に結合する一方、第2のロータシャフトは入力シャフトから回転可能に結合解除され、切換装置は、第2の切換位置では入力シャフトを第1のロータシャフトと第2のロータシャフトとの両方と回転可能に結合し、切換装置は、第3の切換位置では両方のロータシャフトを互いに回転可能に結合する一方、入力シャフトは両方のロータシャフトから回転可能な結合は解除されるのも好都合である。
【0015】
さらに駆動部分はディファレンシャルギヤの入力歯車として、巧みな方式で構成される。
【0016】
さらに本発明は、上に説明した各実施形態のうちの少なくとも1つに基づく本発明のハイブリッドトランスミッションと内燃機関とを有する(ハイブリッド)自動車に関し、内燃機関のクランクシャフトが入力シャフトに対して回転不能に結合され、駆動部分が自動車のホイールと回転可能に結合される。
【0017】
内燃機関は、そのクランクシャフトが(自動車の)車両長軸と交差するように配置され、かつ/または駆動部分が駆動アクスルのホイールと回転可能に結合されていると、自動車の特別に効率的な設計形態が保証される。
【0018】
換言すれば、このようにして本発明により、統合されたエアコンコンプレッサーを有するハイブリッドトランスミッション構造が具体化される。製造コストと設計スペースを削減するために、本発明によると、エアコンエアコンコンプレッサーは、ハイブリッドトランスミッション構造の(既存の)第2の歯車と結合された歯車(駆動歯車)を有する。このような歯車を利用することで、エアコンコンプレッサーから内燃機関までのギヤ伝達比を自由に選択することができる。
【0019】
次に、以下において図面を参照しながら本発明について詳しく説明し、その文脈においてさまざまな実施例も示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明によるハイブリッドトランスミッションの模式的な断面図を示しており、3つの異なる実施例に基づく統合されたエアコンコンプレッサーのそれぞれ異なる位置を見ることができる。
【
図2】
図2は、図示している車両長手方向に向く紙面の外部へのエアコンコンプレッサーの配置によって実質的に
図1と相違する、別の実施例に基づく本発明のハイブリッドトランスミッションの模式的な断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2のハイブリッドトランスミッションの簡略化した側面図を示し、2つのロータシャフト、クランクシャフト、およびエアコンコンプレッサーの駆動シャフトの相対的な配置を特別に良く見ることができる。
【
図4】
図4は、別の実施例に基づく本発明のハイブリッドトランスミッションの簡略化した側面図を示し、
図2と比べたとき、車両内で長手方向に延びる平面の上方にエアコンコンプレッサーが配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各図面は模式的な性格のものにすぎず、本発明の理解にのみ資するものである。同じ部材には同じ符号が付されている。異なる実施例の異なる構成要件も、原則として互いに自由に組合せ可能である。
【0022】
図1との関連で、それぞれ異なる実施例に基づく本発明のハイブリッドトランスミッション1の原理的な構造が図解されている。ハイブリッドトランスミッション1は、符号20で示唆されているハイブリッド自動車に統合される。特に、自動車20の駆動アクスル22(ここではフロントアクスル、代替的にリヤアクスル)も共に示されており、駆動アクスル22のホイール7a,7bを、ハイブリッドトランスミッション1のさまざまな機械(内燃機関3および電気モータ6,16)を介して駆動可能である。ハイブリッドトランスミッション1の内燃機関3は、この実施形態では、内燃機関3の長軸が、すなわち内燃機関3のクランクシャフト2のクランクシャフト軸24が、車両20の長軸(車両長軸/車両長手方向)に対して横向きに、ここでは垂直にアライメントされる、好ましいフロント横置き配置になっている。
【0023】
シリアルハイブリッドドライブとしてのハイブリッドトランスミッション1の構成に基づき、ハイブリッドトランスミッション1は、内燃機関3に加えて2つの電気モータ6,16も有している。第1の電気モータ6は、主動作状態のときに発電機として作用するように構成されている。しかしながら第1の電気モータ6は、原則として、たとえば純粋に電気式のリバース走行のために、駆動モータとして切換可能である。第1の電気モータ6によって生成される電気出力を消費する第2の電気モータ16が、駆動モータ/走行モータとして具体化されている。
【0024】
両方の電気モータ6,16は、それぞれのロータシャフト5,15の回転軸23a,23bをもって、径方向で互いにオフセットされて配置されている。第1の電気モータ6は、(第1の)回転軸23aを中心として回転可能に支承された第1のロータシャフト5を有する。第2の電気モータ16は、(第2の)回転軸23bを中心として回転可能に支承された第2のロータシャフト15を有する。第1の電気モータ6は総体として、すなわち図面の見やすさのためにここには示さないステータ、およびステータに対して回転可能に配置されて第1のロータシャフト5に対して回転不能に結合されるロータを含めて、第1の回転軸23aの径方向で、ステータおよびステータに対して相対的に回転可能に配置されて第2のロータシャフト15と回転不能に結合されたロータも含めた第2の電気モータ16に対して、オフセットされて配置されている。両方の電気モータ6,16は、図示している取付位置では、クランクシャフト回転軸24に対しても相対的に径方向にオフセットされて配置される。車両長軸に沿って見たとき、クランクシャフト回転軸24は第1の回転軸23aと第2の回転軸23bとの間にある。
【0025】
ハイブリッドトランスミッション1のさまざまに異なる動作状態を具体化するために、内燃機関3/クランクシャフト2に対して回転不能に結合された入力シャフト4と、両方の電気モータ6,16およびこれらの両方のロータシャフト5,15と、ハイブリッドトランスミッション1の駆動部分8との間に、ギヤユニット9が設けられている。ギヤユニット9は切換ギヤとして具体化されており、さまざまな動作状態を具体化するためにさまざまな切換位置にすることが可能である。ギヤユニット9は、切換装置17によって制御可能である。
【0026】
ギヤユニット9は、クランクシャフト2と回転不能に連結される、もしくはクランクシャフト2の1つの領域によって直接的に具体化される、中央に配置された入力シャフト4(簡略にシャフトとも呼ぶ)を有する。入力シャフト4はクランクシャフト2に対して同軸に配置され、したがって、共通のクランクシャフト回転軸24を中心として回転可能である。さらにギヤユニット9は、第1のロータシャフト5と恒常的に回転不能に結合/連結された中間歯車13を有する。中間歯車13は、入力軸4に対して同軸に配置されている。中間歯車13は中空軸歯車として構成されており、入力軸4に径方向外側から回転可能に支承されている。第1のロータ軸5と中間歯車13を回転不能に結合するために駆動歯車12が設けられており、この駆動歯車12は第1のロータシャフト5と回転不能に結合されるとともに、中間歯車13と噛合係合している。
【0027】
さらにギヤユニット9は、第2のロータシャフト15との連結のための役目を果たす歯車19を有する。歯車19は、入力シャフト4の軸方向で中間歯車13と並んで配置されている。歯車19も中空軸歯車として具体化されており、入力軸4に径方向外側から回転可能に支承されている。歯車19は、この実施形態では、さらなる(第2の)中間歯車25を介してプラネタリギヤ段18と結合されている。プラネタリギヤ段18は、さらに第2のロータシャフト15と回転結合されている。さらに
図1に見られるとおり、歯車19と噛み合うさらなる中間歯車25は、プラネタリ部分ギヤを形成するプラネタリギヤ段18のプラネタリキャリア26と直接的に回転不能に結合されている。さらにギヤユニット9のプラネタリ部分ギヤは、典型的には、第2のロータシャフト15と直接的に回転不能に結合されるサンギヤ27を有する。プラネタリキャリア26の上で回転可能に受容された、円周方向に配分されて配置されているプラネタリピニオン28が、サンギヤ27とさらに噛合係合している。プラネタリピニオン28とさらに噛合係合するリングギヤ29が、ブレーキ装置30と協同作用する。ハウジング固定された、すなわち車両フレーム固定されたブレーキ装置30は、作動化した状態にあるとき、リングギヤ29を車両フレームに対して相対的に固定する。不作動化した状態では、車両フレームに対するリングギヤ29の自由回転が可能となり、それにより、ブレーキ装置30がリングギヤ29を回転に関してリリースする。
【0028】
さらに歯車19は、さらなる中間歯車25を介在させたうえで、駆動部分8と回転不能に結合されている。駆動部分8は、ここでは駆動アクスル22のディファレンシャルギヤ21の入力歯車として構成されている。したがって駆動部分8は、自動車20の2つの図示するホイール7a,7bと恒常的に回転可能に結合される。
【0029】
入力シャフト4と、両方のロータシャフト5,15との間で、すなわちロータシャフト5,15と連結された両方の歯車13および19との間で、切換装置17が作用するように構成されている。切換装置17は、原理的に、第1の切換位置では入力シャフト4を第1のロータシャフト5と回転連結/結合する一方、第2のロータシャフト15が入力シャフト4(および第1のロータシャフト5)から回転可能な結合は解除されるように構成されている。切換装置17の第2の切換位置では、入力シャフト4が第1のロータシャフト5と第2のロータシャフト15との両方に回転可能に結合/連結される。切換装置17の第3の切換位置では、両方のロータシャフト5,15が互いに回転可能に結合/連結される一方、入力シャフト4は両方のロータシャフト5,15から回転可能な結合は解除される。切換装置17は、少なくとも部分的に中間ギヤ13に直接的に統合される。
【0030】
本発明による構成に関して、
図1との関連では、ハイブリッドトランスミッション1に追加的に統合されたエアコンコンプレッサー10の3つの異なる配設位置が示唆されている。エアコンコンプレッサー10は、原則として、本発明に基づいてハイブリッドトランスミッション1に統合され、好ましくは、図面の見やすさのために詳しくは図示しないハイブリッドトランスミッション1のハウジングの内部に配置される。さらに別の構成では、エアコンコンプレッサー10をハイブリッドトランスミッション1のハウジングの外部に配置し、好ましくはハウジングに取り付けることも原則としてできる。
【0031】
エアコンコンプレッサー10は、特にそのハウジングおよび当該ハウジングから突出する駆動シャフト11を示す
図1に見ることができる。エアコンコンプレッサー10はその駆動シャフト11の側で、常に駆動歯車12を介して中間歯車13と直接的に噛み合う。したがって、
図1では第1のロータシャフト5に対して同軸に配置されている駆動シャフト11は、クランクシャフト回転軸24に対して径方向にオフセットされるとともに、中間歯車13と恒常的に噛合係合している。
図1に示す第1の好ましい位置では、エアコンコンプレッサー10は第1の実施例において、駆動歯車12の、軸方向で第1の電気モータ6と反対の側に配置される。
図1に示す第2の好ましい位置では、エアコンコンプレッサー10は第2の実施例において、軸方向で駆動歯車12と第1の電気モータ6との間に配置される。
図1に示す第3の好ましい位置では、エアコンコンプレッサー10は第3の実施形態において、第1および第2の実施形態のように第1の電気モータ6の、内燃機関3と対向する軸方向の側14aにではなく、第1の電気モータ6の、内燃機関3と反対の側14bに配置される。
【0032】
最後に
図2から4との関連で、実質的に第1の実施例に準じて具体化される、2つの別の好ましい実施例が具体化される。したがって簡略化のために、第1の実施例との相違点のみを説明する。
図3および
図4に詳細に見られるように、原則として、車両長手方向(符号矢印32)に延びている
図1および
図2の紙面31の上方(
図4)または下方(
図3)に、エアコンコンプレッサー10を配置することも可能である。その場合にエアコンコンプレッサー10は、第1の実施例の駆動歯車12とは別個に構成される、中間歯車13と噛合係合するさらなる駆動歯車を介して連結されるのが好ましい。
【0033】
換言すると、本発明による課題の解決法は、エアコンコンプレッサー10を歯車(駆動歯車12)によって、トランスミッション構造9の既存の中間歯車13に結合することにある。それにより、従来のフロントエンド側のベルトドライブ(FEAD)の機能を、ハイブリッドトランスミッション構造1で完全に表現することができる。歯車12によって少なくともコスト中立的に具体化を行うことができる;それにより、さらに費用も節減されると想定される。さらに歯車12を利用することで、内燃機関3に対するエアコンコンプレッサー10の伝達比を自由に選択することができる。
【0034】
電気モータ6,16の配置に応じて(スタータ/発電機および走行モータ)、エアコンコンプレッサー10がさまざまに異なる位置に配置されていてよい。第1の実施形態(
図3)では、エアコンコンプレッサー10は中間歯車13-下側に配置される:したがってエアコンコンプレッサー10は、電気モータ6,16のうちの1つの下方にある。ハイブリッドトランスミッション構造1を運転席側から横方向に見た場合(左ハンドル車)、エアコンコンプレッサー10は、内燃機関3のクランクシャフト2を通る仮想的な水平軸(平面31)の下方に配置される。このとき、エアコンコンプレッサー10は図示した歯車13に連結される。
【0035】
考えられる第2の実施形態(
図4)では、エアコンコンプレッサー10は、内燃機関3のクランクシャフト2を通る仮想的な水平軸31の上方にある(「中間歯車13-上側」)。ここでも、エアコンコンプレッサー10は図示する歯車13に連結される。あるいは原則として歯車13での、クランクシャフト軸24の全周にわたるその他のあらゆる位置が考えられる。
【0036】
さらに別の実施形態は、エアコンコンプレッサー10の発電機シャフト5への連結である(
図1)。これは同軸に、または軸平行に行うことができる。軸平行の態様については、さらなる歯車と新たな支承部が必要になるため、同軸の配置のほうが好ましいと考えられる。このとき、シャフト5の上での3つの位置を区別することができる。第3の実施形態では、エアコンコンプレッサー10は発電機軸5でエンジン3の方向に位置決めされる。この位置は、スタータの省略によって空いた設計スペースを発電機6が利用できるという利点を提供する。エアコンコンプレッサー10は、このようにトランスミッションハウジングの外部にあるので別個の構造ユニットとして製作され、このことは良好なモジュール性を保証する。配管のためのアクセスも、この位置ではギヤボックス/ギヤハウジング自体の中よりも容易に具体化される。第4の実施形態では、エアコンコンプレッサー10は発電機軸5に歯車12と発電機6との間で配置される。この位置は、シャフト5の支承と施工に関して利点を有する。歯車12がシャフト5の端部で軸受のすぐ隣であるからである。これに加えて、かつ第3の実施形態とは対照的に、この位置は、場合により存在するダブルマスフライホイールによる設計スペースのボトルネックを回避する。第5の実施形態では、エアコンコンプレッサー10は発電機軸5に、発電機6の後側で内燃機関3と反対の側に配置される。この位置は、第3の実施形態の良好なアクセス性およびモジュール性と、第4の実施形態のダブルマスフライホイールへの設計スペースのボトルネックの回避とを組み合わせる。
【符号の説明】
【0037】
1 ハイブリッドトランスミッション
2 クランクシャフト
3 内燃機関
4 入力シャフト
5 第1のロータシャフト
6 第1の電気モータ
7a 第1のホイール
7b 第2のホイール
8 駆動部分
9 ギヤユニット
10 エアコンコンプレッサー
11 駆動シャフト
12 駆動歯車
12 切換装置
13 中間歯車
14a 第1の軸方向の側
14b 第2の軸方向の側
15 第2のロータシャフト
16 第2の電気モータ
17 切換装置
18 プラネタリギヤ段
19 歯車
20 自動車
21 ディファレンシャルギヤ
22 駆動アクスル
23a 第1の回転軸
23b 第2の回転軸
24 クランクシャフト回転軸
25 中間歯車
26 プラネタリキャリア
27 サンギヤ
28 プラネタリピニオン
29 リングギヤ
30 ブレーキ装置
31 平面
32 符号矢印
33 ディファレンシャル軸/駆動部分の軸
【国際調査報告】