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特表2022-538480リチウム電池を加熱するための2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】リチウム電池を加熱するための2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6567 20140101AFI20220826BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220826BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20220826BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220826BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220826BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20220826BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220826BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20220826BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20220826BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
H01M10/6567
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6569
H01M10/613
H01M10/6571
C09K5/04 F
B60H1/22 651Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500003
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 FR2020050946
(87)【国際公開番号】W WO2021005277
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】1907557
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, グレゴリー
【テーマコード(参考)】
3L211
5H029
5H031
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA21
3L211DA21
3L211EA83
5H029AJ12
5H029AK02
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ14
5H031AA00
5H031AA09
5H031HH03
5H031HH06
5H031KK03
(57)【要約】
本発明は、負極、正極及び電解質を含む少なくとも1つの電気化学セルを含む電気車両の電池を加熱するための、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む冷媒の使用であって、電解質がリチウム塩を含み、負極が金属リチウムを電気化学的活物質として含む、使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極、正極及び電解質を含む少なくとも1つの電気化学セルを含む電気車両の電池を加熱するための、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む冷媒の使用であって、電解質はリチウム塩を含み、負極は金属リチウムを電気化学的活物質として含む、使用。
【請求項2】
電解質のリチウム塩が、LiPF、LiFSI、LiTDI、LiPOF、LiB(C、LiFB(C、LiBF、LiNO、LiClO及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
電池が、最低温度tと最高温度tの間の温度に維持される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
最低温度tが10℃以上であり最高温度tが40℃以下である、好ましくは最低温度tが15℃以上であり最高温度tが30℃以下である、より好ましくは最低温度tが16℃以上であり最高温度tが28℃以下である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
冷媒が、蒸気圧縮回路を循環する、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
蒸気圧縮回路が、車両の客室を加熱する、及び/又は車両の客室を空調する、及び/又は車両の電池を冷却するのにも好適である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
冷媒が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンから本質的になる、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
冷媒が、約78.5重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及び約21.5重量%のジフルオロメタンを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
電気車両の電池を調節するための方法であって、前記電池が、負極、正極及び電解質を含む少なくとも1つの電気化学セルを含み、電解質がリチウム塩を含み、負極は黒鉛又はリチウム含有材料を電気化学的活物質として含み、方法が、
- 2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む冷媒を用いて電池を加熱すること
を含む、方法。
【請求項10】
電解質のリチウム塩が、LiPF、LiFSI、LiTDI、LiPOF、LiB(C、LiFB(C、LiBF、LiNO、LiClO及びこれらの混合物から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
- 車両の電池を、最低温度tと最高温度tの間の温度に維持すること
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
最低温度tが10℃以上であり最高温度tが40℃以下である、好ましくは最低温度tが15℃以上であり最高温度tが30℃以下である、より好ましくは最低温度tが16℃以上であり最高温度tが28℃以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
車両の電池をtとtの間の温度で維持することが、冷媒を用いて電池を冷却することによって及び電池を加熱することによって交互に実行される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
電池の加熱が、部分的に電気抵抗によっても実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
冷媒が蒸気圧縮回路を循環する、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
冷媒が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンから本質的になる、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
冷媒が、約78.5重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及び約21.5重量%のジフルオロメタンを含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池、すなわち電解質としてリチウム塩を含む電池を加熱するための、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、加熱又は冷却を提供するために、蒸気圧縮回路(vapor compression circuit)を使用することは公知である。冷媒はこの回路を循環し、従ってエバポレーションを経て、圧縮、凝縮(condensation)及び膨張が続いて、サイクルが完了する。
【0003】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)は、特に冷却、空調、(特にランキンサイクルによる)電力生産及び熱ポンプ用途において冷媒として使用するのに非常に好ましい、熱力学的及び熱物理的特性を示すヒドロフルオロオレフィンである。加えて、この製品は低い地球温暖化係数(GWP)も示すので、特に有利である。
【0004】
電気車両(electric vehicle)は、電気化学セルを含む電池を含む。各電気化学セルは、負極、正極、セパレーター及び電解質を含む。セルに存在する材料の性質によって、電池の働きは、温度に依存して多かれ少なかれ影響される可能性があり、実際には電池が多かれ少なかれ劣化さえする可能性がある。
【0005】
文献FR2937906は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む冷媒が循環する可逆的冷却ループを使用した、電動車両の客室を加熱及び/又は空調する方法を記述している。この方法は、熱機関及び電動モータ上で交互に作動するように設計された、ハイブリッド車に対しても好適である。
【0006】
文献EP2880739は、車両の電池の温度及び客室の温度を制御することを同時に可能にする、電気車両電池を充電するシステムを開示している。
【0007】
文献米国特許第5305613号は、ドライバーの快適性を増加させるために車両を始動させる前に操作される、電気車両の客室を加熱及び空調するためのシステムを記述している。
【0008】
文献米国特許出願公開第2015/0191072号は、加熱又は空調機能を実施することを可能にする、特に電池に熱気を吹き付けることを可能にする、冷却サイクルを記述している。
【0009】
文献米国特許出願公開第2011/0139397号は、冷媒回路によって、電気車両の室の温度を制御する方法を記述している。冷媒回路は、特に電池と連結されている。
【0010】
電気車両の電池の最適な働きを確実にし、電池の劣化を防止する需要が存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、第1に、負極、正極及び電解質を含む少なくとも1つの電気化学セルを含む電気車両の電池を加熱するための、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む冷媒の使用であって、電解質がリチウム塩を含み、負極は金属リチウムを電気化学的活物質として含む、使用に関する。
【0012】
一部の実施形態では、電解質のリチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTDI、LiPOF、LiB(C、LiFB(C、LiBF、LiNO、LiClO及びこれらの混合物から選択される。
【0013】
一部の実施形態では、電池は、最低温度tと最高温度tの間の温度に維持される。
【0014】
一部の実施形態では、最低温度tは10℃以上及び最高温度tは40℃以下であり、好ましくは最低温度tは15℃以上及び最高温度tは30℃以下であり、より好ましくは最低温度tは16℃以上及び最高温度tは28℃以下である。
【0015】
一部の実施形態では、冷媒は蒸気圧縮回路を循環する。
【0016】
一部の実施形態では、蒸気圧縮回路は、車両の客室を加熱する、及び/又は車両の客室を空調する、及び/又は車両の電池を冷却するのにも好適である。
【0017】
一部の実施形態では、冷媒は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンから本質的になる。
【0018】
一部の実施形態では、冷媒は、約78.5重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及び約21.5重量%のジフルオロメタンを含む。
【0019】
本発明はまた、電気車両の電池を調節する方法であって、前記電池が、負極、正極及び電解質を含む少なくとも1つの電気化学セルを含み、電解質がリチウム塩を含み、負極が鉛又はリチウム含有材料を電気化学的活物質として含み、方法が、
- 2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む冷媒を用いて、電池を加熱すること
を含む、方法に関する。
【0020】
一部の実施形態では、電解質のリチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTDI、LiPOF、LiB(C、LiFB(C、LiBF、LiNO、LiClO及びこれらの混合物から選択される。
【0021】
一部の実施形態では、この方法は、
- 車両の電池を、最低温度tと最高温度tの間の温度に維持すること
を含む。
【0022】
一部の実施形態では、最低温度tは10℃以上及び最高温度tは40℃以下であり、好ましくは最低温度tは15℃以上及び最高温度tは30℃以下であり、より好ましくは最低温度tは16℃以上及び最高温度tは28℃以下である。
【0023】
一部の実施形態では、車両の電池をtとtの間の温度に維持するのは、冷媒を用いて電池を冷却すること及び電池を加熱することによって交互に実行される。
【0024】
一部の実施形態では、電池の加熱は、部分的に電気抵抗によっても実行される。
【0025】
一部の実施形態では、冷媒は蒸気圧縮回路を循環する。
【0026】
一部の実施形態では、冷媒は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンから本質的になる。
【0027】
一部の実施形態では、冷媒は、約78.5重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及び約21.5重量%のジフルオロメタンを含む。
【0028】
本発明は、上述の需要を満たすことを可能にする。これは、本発明が、電気車両の電池、より具体的には、電池の電気化学セルが、リチウム塩に基づく電解質、及び黒鉛又は金属リチウム含有材料を電気化学的活物質として含む負極を含む電池の、最適な働きを確実にし、電池の劣化を防止することを可能にするためである。この材料は、従来の負極材料より大きなエネルギー密度を付与するという利点を示す。これは、金属リチウムが、約3860mAh/gの容量を有するためである。
【0029】
こうしたセルでは、比較的低温で、負極の黒鉛上に金属リチウムが沈着しやすい、又は材料の場合にはデンドライトを形成しやすいということが観察されてきた。この現象は、短絡をもたらしやすく、不可逆的な損傷を電池にもたらし、さらに火災、実際には爆発さえ引き起こしやすい。
【0030】
こうした電池を加熱するための冷媒に、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを使用することが、この電池の機能及び保全性を維持する際に特に効果的であることが、見出された。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、以下に続く説明において、これからよりいっそう詳細に、かつ非限定的な方法で記述される。
【0032】
電気車両の電池
「電気車両」(任意選択で「ハイブリッド」)という用語は、人々又は物質を移動又は輸送することができる電動装置であって、そのモータには、モータ電池によって(好ましくは全てのだが、場合によりハイブリッド電気車両の場合のみ部分的に)電気エネルギーが供給される、電動装置を意味すると理解される。モータ電池は、本特許出願の文脈ではより簡単に「電池」と呼ばれる。
【0033】
電気車両は、好ましくは電気自動車である。代わりに、電気車両は電気トラック又は電気バスであり得る。
【0034】
電池は少なくとも1つの電気化学セル、好ましくは複数を含む。各電気化学セルは、負極、正極、並びに負極と正極の間に挿入された電解質を含む。
【0035】
各電気化学セルは、電解質が含侵されたセパレーターも含むことができる。
【0036】
電池中で、電気化学セルを、直列に及び/又は並列に組み立てることができる。
【0037】
「負極」という用語は、電池が電流を運ぶ場合(すなわち、電池が放電の過程にある場合)はアノードとして作用し、電池が充電の過程にある場合はカソードとして作用する、電極を意味すると理解される。
【0038】
負極は、典型的には電気化学的活物質、任意選択で電子伝導性材料、及び任意選択でバインダーを含む。
【0039】
「正極」という用語は、電池が電流を運ぶ場合(すなわち、電池が放電の過程にある場合)はカソードとして作用し、電池が充電の過程にある場合はアノードとして作用する、電極を意味すると理解される。
【0040】
正極は、典型的には電気化学的活物質、任意選択で電子伝導性材料、及び任意選択でバインダーを含む。
【0041】
「電気化学的活物質」という用語は、可逆的にイオンを挿入することができる材料を意味すると理解される。
【0042】
「電子伝導性材料」という用語は、電子を伝導することができる材料を意味すると理解される。
【0043】
電気化学セルの負極は、金属リチウムを電気化学的活物質として特に含むことができる。この金属リチウムは、本質的に純粋な形態又は合金の形態にあり得る。例えば、使用することができるリチウム系合金の中で、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-シリカ合金(lithium-silica alloy)、リチウム-スズ合金、Li-Zn、LiBi、LiCd及びLiSBを挙げることができる。上記材料の混合物も、用いることができる。
【0044】
負極は、膜又はロッドの形態であり得る。負極の一例は、リチウムの帯状物(strip)をローラー間で圧延することによって調製された、活性リチウム膜を含むことができる。
【0045】
正極は、好ましくは酸化物タイプの、好ましくは、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウム/マンガン複合酸化物(例えば、Lin2又はLiMnO)、リチウム/ニッケル組成酸化物(composition oxide)(例えば、LiNiO)、リチウム/コバルト組成酸化物(例えば、LiCoO)、リチウム/ニッケル/コバルト複合酸化物(例えば、LiNi1-yCo)、リチウム/ニッケル/コバルト/マンガン複合酸化物(例えば、x+y+z=1であるLiNiMnCo)、リチウム富化リチウム/ニッケル/コバルト/マンガン複合酸化物(例えば、Li1+x(NiMnCo1-x)、リチウム/遷移金属複合酸化物、スピネル構造のリチウム/マンガン/ニッケル複合酸化物(例えば、LiMn2-yNi)、酸化バナジウム及びそれらの混合物から選択される電気化学的活物質を含む。
【0046】
好ましくは、正極は、高いニッケル含有量を有するリチウム/ニッケル/マンガン/コバルト複合酸化物[LiNiMnCo(式中、x+y+z=1である)、NMCと略記、x>yかつx>zである]、又は高いニッケル含有量を有するリチウム/ニッケル/コバルト/アルミニウム複合酸化物[LiNix’Coy’Alz’(式中、x’+y’+z’=1である)、NCAと略記、x’>y’かつx’>z’である]である電気化学的活物質を含む。
【0047】
これらの酸化物の具体例は、NMC532(LiNi0.5Mn0.3Co0.2)、NMC622(LiNi0.6Mn0.2Co0.2)及びNMC811(LiNi0.8Mn0.1Co0.1)である。
【0048】
各電極の材料は、電気化学的活物質に加えて、例えば、カーボンブラック、Ketjen(登録商標)カーボン、Shawiniganカーボン、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維(例えば、気相成長炭素繊維若しくはVGCF)、有機前駆体の炭化によって得られる非粉末状炭素、又はこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを含む、炭素源などの電子伝導性材料も含むことができる。正極の材料には、他の添加剤、例えば、リチウム塩又はセラミックもしくはガラスタイプの無機粒子、又はさらに他の適合性活物質(例えば、硫黄)も存在し得る。
【0049】
各電極の材料は、バインダーも含むことができる。バインダーの非限定的な例は、直鎖、分岐及び/又は架橋ポリエーテルポリマーバインダー(例えば、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、もしくはポリ(プロピレンオキシド)(PPO)又は2つの混合物(もしくはEO/PO共重合体)に基づき、任意選択で架橋性単位を含むポリマー)、水溶性バインダー(例えば、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル/ブタジエンゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリレートゴム))、又はフルオロポリマータイプのバインダー(例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))、並びにそれらの組み合わせを含む。一部のバインダー、例えば、水に可溶性であるものは、CMC(カルボキシメチルセルロース)などの添加剤も含むことができる。
【0050】
セパレーターは、多孔質ポリマー膜であり得る。非限定的な例として、セパレーターは、ポリオレフィン、例えば、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メタクリレート共重合体の多孔質膜、又は上記ポリマーの多層構造からなり得る。
【0051】
電解質は、溶媒、又は溶媒と1種又は複数の添加剤との混合物に溶解した、1種又は複数のリチウム塩からなり得る。
【0052】
非限定的な例として、リチウム塩又は複数のリチウム塩は、LiPF(リチウムヘキサフルオロホスフェート)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiTDI(リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート)、LiPOF、LiB(C、LiFB(C、LiBF、LiNO又はLiClOから選択され得る。
【0053】
溶媒は以下の非網羅的なリスト:エーテル、エステル、ケトン、アルコール、ニトリル及びカーボネートから選択され得る。
【0054】
エーテルの中で、直鎖又は環状のエーテル、例えば、ジメトキシエタン(DME)、2~5個のオキシエチレン単位のオリゴエチレングリコールのメチルエーテル、ジオキソラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
エステルの中で、リン酸エステル又は亜硫酸エステルが挙げられる。例えば、蟻酸メチルの、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0056】
ケトンの中で、シクロヘキサノンが特に挙げられる。
【0057】
アルコールの中で、例えば、エチルアルコール又はイソプロピルアルコールが挙げられる。
【0058】
ニトリルの中で、例えば、アセトニトリル、ピルボニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアミノプロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ピバロニトリル、イソバレロニトリル、グルタロニトリル、メトキシグルタロニトリル、2-メチルグルタロニトリル、3-メチルグルタロニトリル、アジポニトリル、マロノニトリル及びそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
カーボネートの中で、例えば、環状カーボネート、例えば、エチレンカーボネート(EC)(CAS:96-49-1)、プロピレンカーボネート(PC)(CAS:108-32-7)、ブチレンカーボネート(BC)(CAS:4437-85-8)、ジメチルカーボネート(DMC)(CAS:616-38-6)、ジエチルカーボネート(DEC)(CAS:105-58-8)、エチルメチルカーボネート(EMC)(CAS:623-53-0)、ジフェニルカーボネート(CAS 102-09-0)、メチルフェニルカーボネート(CAS:13509-27-8)、ジプロピルカーボネート(DPC)(CAS:623-96-1)、メチルプロピルカーボネート(MPC)(CAS:1333-41-1)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ビニレンカーボネート(VC)(CAS:872-36-6)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)(CAS:114435-02-8)、トリフルオロプロピレンカーボネート(CAS:167951-80-6)又はそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート、4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ピリダジン、ビニルピリダジン、キノリン、ビニルキノリン、ブタジエン、セバコニトリル、アルキルジスルフィド、フルオロトルエン、1,4-ジメトキシテトラフルオロトルエン、t-ブチルフェノール、ジ(t-ブチル)フェノール、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、オキシム、脂肪族エポキシド、ハロゲン化ビフェニル、メタクリル酸、アリルエチルカーボネート、酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、プロパンスルトン、アクリロニトリル、2-ビニルピリジン、無水マレイン酸、桂皮酸メチル、ホスホネート、ビニル含有シラン化合物、及び2-シアノフランからなる群から選択され得る。
【0061】
冷媒
本発明の文脈では、「HFO-1234yf」は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを指す。
【0062】
「冷媒」という用語は、蒸気圧縮回路において、検討中の用途に応じて、低温低圧でエバポレートすることによって熱を吸収し、高温高圧で凝縮することによって熱を放出することができる流体を意味すると理解される。一般に、冷媒は、単一の化合物から本質的になり得る、又は、いくつかの化合物の混合物であり得る。
【0063】
本発明は、HFO-1234yfを含む冷媒を使用する。他の熱伝導化合物は、HFO-1234yfと組み合わせて、冷媒中に存在し得る、又は存在し得ない。
【0064】
冷媒は、熱伝導組成物を形成するために、潤滑剤及び/又は添加剤と組み合わせることができる。
【0065】
熱伝導組成物は、蒸気圧縮回路に存在し循環する。
【0066】
ある実施形態では、本発明の冷媒は、HFO-1234yfから本質的になり、実際にはHFO-1234yfからなりさえする。
【0067】
他の実施形態では、この冷媒は、1種又は複数の他の熱伝導化合物、例えば、ヒドロフルオロカーボン及び/又はヒドロフルオロオレフィン及び/又は炭化水素及び/又はヒドロクロロフルオロオレフィン及び/又はCOとの混合物として、HFO-1234yfを含む。
【0068】
ヒドロフルオロカーボン中で、ジフルオロメタン(HFC-32)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1-トリフルオロプロパン(HFC-263fb)及びそれらの混合物が特に挙げられる。
【0069】
ヒドロフルオロオレフィンの中で、シス及び/又はトランス型、好ましくはトランス型の1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、及びトリフルオロエチレン(HFO-1123)が特に挙げられる。
【0070】
ヒドロクロロフルオロオレフィン中で、シス及び/又はトランス型、好ましくはトランス型の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)が特に挙げられる。
【0071】
ある実施形態では、この冷媒は、少なくとも50重量%のHFO-1234yf、又は少なくとも60重量%のHFO-1234yf、又は少なくとも70重量%のHFO-1234yf、又は少なくとも80重量%のHFO-1234yf、又は少なくとも90重量%のHFO-1234yf、又は少なくとも95重量%のHFO-1234yfを含む。
【0072】
特定の実施形態では、冷媒は、HFO-1234yf及びHFC-32から本質的になり、実際にはHFO-1234yf及びHFC-32からなりさえする。HFO-1234yfの含有量は、好ましくは約60重量%~約95重量%、より好ましくは約70重量%~約90重量%、より好ましくは約75重量%~約85重量%、より好ましくは約78.5重量%であり;HFC-32の含有量は、好ましくは約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約30重量%、より好ましくは約15重量%~約25重量%、より好ましくは約21.5重量%である。
【0073】
熱伝導組成物を形成するために、冷媒に添加することができる添加剤は、ナノ粒子、安定化剤、界面活性剤、トレース剤、蛍光剤、臭気剤(odorous agent)及び可溶化剤から特に選択することができる。
【0074】
添加剤の全量は、冷媒の5重量%、特に4重量%、より特別には3重量%、非常に特別には2重量%、実際には1重量%さえ超えない。
【0075】
ある実施形態では、HFO-1234yfは不純物を含有する。不純物が存在する場合、それらはHFO-1234yfに対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、好ましくは0.01重量%未満を示すことができる。
【0076】
1種又は複数の潤滑剤が、熱伝導組成物中に存在することができる。これらの潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)又はポリビニルエーテル(PVE)から選択することができる。
【0077】
潤滑剤は、熱伝導組成物の1重量%~50重量%、好ましくは2重量%~40重量%、より好ましくは5重量%~30重量%を示すことができる。
【0078】
蒸気圧縮回路
本発明による電池の加熱は、好ましくは(少なくとも部分的に)設備によって実行され、設備は蒸気圧縮回路を含む。蒸気圧縮回路は上記冷媒を含有し、冷媒は熱伝導を提供する。
【0079】
ある実施形態では、蒸気圧縮回路は車両の電池を冷却するのにも好適である。
【0080】
ある実施形態では、蒸気圧縮回路は、車両の客室を加熱するのにも好適である。
【0081】
ある実施形態では、蒸気圧縮回路は、車両の客室を空調する(冷却する)のにも好適である。
【0082】
この目的のために、蒸気圧縮回路は、分離した熱交換器を備えた異なる分岐を含むことができ、冷媒は、運転モードに応じて、これらの分岐中を循環するか又は循環しない。任意選択で、蒸気圧縮回路は、例えば、1個又は複数個の3方向又は4方向弁を含む、冷媒循環の方向を変更するための手段を、代わりに又は加えて含むことができる。
【0083】
熱伝導プロセスの主な段階は周期的に実行され、
- エバポレーターでの冷媒のエバポレーション;
- 圧縮機での冷媒の圧縮;
- 凝縮器での冷媒の凝縮;
- 膨張モジュールでの冷媒の膨張
を含む。
【0084】
冷媒のエバポレーションは、液相から又は二相の液体/蒸気混合物から開始して実行することができる。
【0085】
圧縮機は、密閉型、半密閉型又は開放型であり得る。密閉型圧縮機は、解体不可能な(nondismantlable)密閉型筐体内に閉じ込められたモータ部位及び圧縮部位を含む。半密閉型圧縮機は、互いに対して直接的に組み立てられたモータ部位及び圧縮部位を含む。モータ部位と圧縮部位の間の連結機(coupling)は、解体することによって2つの部位を分離する際にアクセスできる。開放型圧縮機は、分離したモータ部位及び圧縮部位を含む。それらは、ベルト伝動によって、又は直接連結機によって作動することができる。
【0086】
特に、圧縮機として、動圧縮機又は容積式圧縮機を使用してもよい。
【0087】
動圧縮機は、軸流圧縮機及び遠心圧縮機を含み、これらは1つ又は複数のステージを有することができる。小型遠心圧縮機も用いることができる。
【0088】
容積式圧縮機は、回転圧縮機及び往復圧縮機を含む。
【0089】
往復圧縮機は、ダイヤフラム圧縮機及びピストン圧縮機を含む。
【0090】
回転圧縮機は、スクリュー圧縮機、ローブ圧縮機、スクロール(又は螺旋状)圧縮機、液封圧縮機及びベーン圧縮機を含む。スクリュー圧縮機は、好ましくは二軸スクリュー又は一軸スクリューであり得る。
【0091】
本発明の実施は、スクロール圧縮機を使用すると、電動車両の典型的な条件下でのその良好な効率に起因して、特に有利である。
【0092】
使用される設備において、圧縮機は、蒸気又は液体を噴射するための装置を含むことができる。噴射は、液体又は蒸気の状態にある冷媒を、圧縮の開始と終了との中間のレベルで圧縮機の中へ導入することで成り立つ。
【0093】
使用される設備において、圧縮機は、電動モータによって、又は(例えば、車両の排気ガスによって供給される)ガスタービンによって又はギヤリングによって駆動され得る。
【0094】
エバポレーター及び凝縮器は、熱交換器である。本発明では、任意のタイプの熱交換器、特に並流熱交換器、又は好ましくは、向流熱交換器が使用され得る。
【0095】
「向流熱交換器」という用語は、交換器の入口の第1の流体が交換器の出口の第2の流体と熱を交換し、交換器の出口の第1の流体が交換器の入口の第2の流体と熱を交換して、第1の流体と第2の流体の間で熱が交換される熱交換器を意味すると理解される。
【0096】
例えば、向流熱交換器は、第1流体の流れ及び第2の流体の流れが、反対又は事実上反対方向にある装置を含む。向流の傾向とともに逆流モードで作動する交換器も、向流熱交換器の中に含まれる。
【0097】
熱交換器は、特に、U字型管、水平もしくは垂直管の束、螺旋、板又はフィンを有する交換器であり得る。
【0098】
設備は、熱伝導組成物の回路と電池の間で、(状態変化を伴い、又は伴わず)熱を輸送するために使用される、少なくとも1つの熱伝導流体回路も任意選択で含むことができる。好ましくは、設備は、熱伝導組成物回路と電池の間で熱を輸送するのに使用される、熱伝導流体回路を含まない。冷媒と空気の間の熱の交換を確実にするために、熱伝導組成物を含有する回路の熱交換器を提供することも可能であり、続いて空気は、電池自体との熱の交換を確実にするために、電池に吹き付けられる。しかしながら、好ましくは、熱伝導組成物を含有する回路の熱交換器は、電池と接する又は電池に組み込まれる。
【0099】
設備は、同一又は異なる熱伝導組成物を含有する、2つ(又はそれ以上)の蒸気圧縮回路も任意選択で含むことができる。例えば、複数の蒸気圧縮回路は互いに連結され得る。しかしながら、好ましくは、設備は単一の蒸気圧縮回路を含む。
【0100】
本発明によれば、冷媒はエバポレーションと圧縮の間で過熱され得る、すなわち、エバポレーションと圧縮の間で、冷媒をエバポレーションの終了温度より高い温度にもたらすことができる。
【0101】
「エバポレーション開始温度」という用語は、エバポレーターの入口における冷媒の温度を意味すると理解される。
【0102】
「エバポレーション終了温度」という用語は、液体形態にある冷媒の最後の一滴がエバポレーションの間の冷媒の温度(飽和蒸気温度又は露点)を意味すると理解される。
【0103】
冷媒が、HFO-1234yf単独、又はHFO-1234yfを含有する共沸混合物である場合、一定圧力下で、エバポレーション開始温度はエバポレーション終了温度と等しい。
【0104】
「過熱」(本明細書では「エバポレーターにおける過熱」と同等)という用語は、圧縮前に冷媒が到達する最高温度(すなわち、過熱段階の終結時に冷媒が到達した最高温度)とエバポレーション終了温度との温度差を意味する。この最高温度は、一般に圧縮機の入口における冷媒の温度である。それは、エバポレーターの出口における冷媒の温度に相当し得る。代わりに、冷媒は、(例えば、内部交換器によって)エバポレーターと圧縮機の間で少なくとも部分的に過熱され得る。過熱は、設備のパラメータの適切な管理によって、特に膨張モジュールの管理によって、調整され得る。
【0105】
本発明の方法では、過熱は1~25℃、好ましくは2~10℃、好ましくは3~7℃、より好ましくは4~6℃であり得る。
【0106】
本発明によれば、冷媒は凝縮と膨張の間で過冷却され得る、すなわち、凝縮と膨張の間で、冷媒を凝縮の終了温度より低い温度にもたらすことができる。
【0107】
「凝縮開始温度」という用語は、凝縮器において冷媒の最初の一滴が出現する間の冷媒の温度を意味すると理解され、蒸気飽和温度又は露点と呼ばれる。
【0108】
「凝縮終了温度」という用語は、ガス状形態にある冷媒の最後の泡が凝縮する間の冷媒の温度を意味すると理解され、液体の飽和温度又は泡立ち点と呼ばれる。
【0109】
「過冷却」(本明細書では「凝縮器における過冷却」と同等)という用語は、膨張前に冷媒が到達する最低温度(すなわち、過冷却段階の終結時に冷媒が到達する最低温度)と、凝縮終了温度との間の、あり得る(絶対値での)温度差を意味する。この最低温度は、一般に、膨張モジュールの入口における冷媒の温度である。それは、凝縮器の出口における冷媒の温度に相当し得る。代わりに、冷媒は、凝縮器と膨張モジュールの間で、(例えば、内部交換器によって)少なくとも部分的に過冷却され得る。
【0110】
本発明の方法では、過冷却が存在する場合、過冷却は、1~50℃、好ましくは1~40℃、好ましくは1~30℃、好ましくは1~20℃、1~15℃、好ましくは1~10℃、より好ましくは1~5℃であり得る。
【0111】
膨張モジュールは、1つもしくは複数のオリフィスを有するサーモスタット膨張弁もしくは電子膨張弁、又は圧力を管理するプレソスタチック(pressostatic)膨張弁と呼ばれる、サーモスタット弁であり得る。膨張モジュールは、管内の圧力低下によって流体の膨張が得られる、キャピラリー管でもあり得る。
【0112】
冷媒の使用
本発明は、上記電池を加熱するための、HFO-1234yfを含む冷媒の使用に関する。
【0113】
「電池の温度」という用語は、一般に、電池の1つ又は複数の電気化学セルの外壁の温度を意味すると理解される。
【0114】
電池の温度は、温度センサーによって測定することができる。いくつかの温度センサーが電池に存在する場合、電池の温度は、測定した異なる温度の平均値であると見なすことができる。
【0115】
上記加熱は、車両の電池が充電している時に実行され得る。代わりに、電池が放電している時、特に車両のエンジンをスタートする時に上記加熱が実行され得る。そうすることによって、電池の温度が、外の温度に起因して低すぎることを防ぐことができる
【0116】
ある実施形態では、当該加熱によって、電池の温度を少なくとも5℃、又は少なくとも10℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は少なくとも30℃上げることができる。
【0117】
ある実施形態では、電池加熱中の外の温度は、5℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、より好ましくは-15℃以下、より好ましくは-20℃以下である。
【0118】
「外の温度」という用語は、車両外部の周囲温度を意味すると理解される。
【0119】
ある実施形態では、電気抵抗は、蒸気圧縮回路による加熱と異なる瞬間に、又は同時に、電池の加熱に部分的に貢献する。
【0120】
他の実施形態では、蒸気圧縮回路のみが電池の加熱を担う。
【0121】
ある実施形態では、電池の加熱はある期間にわたって連続的である。
【0122】
ある実施形態では、電池の加熱は、中断期間と、実際には電池が冷却される期間さえと、交互に行われる。電池が冷却される場合、電池は、特に上述の蒸気圧縮回路によって冷却され得る。
【0123】
ある実施形態では、加熱及び任意選択の冷却によって、特に車両が運転(エンジン稼働)中の場合、ことに車両が移動している場合に、電池の温度を適温範囲内に維持することができる。これは、電池の温度が高すぎると、電池性能が低下し、電池が劣化しやすいためである。
【0124】
ある実施形態では、車両の電池の温度は、従って最低温度tと最高温度tの間に維持される。
【0125】
ある実施形態では、最低温度tは10℃以上であり最高温度tは40℃以下である、好ましくは最低温度tは15℃以上であり最高温度tは30℃以下である、より好ましくは最低温度tは16℃以上であり最高温度tは28℃以下である。
【0126】
所望の温度を確実に維持する目的で、測定した電池の温度の関数として設備の運転パラメータを修正するために、フィードバックループが存在することは有利である。
【国際調査報告】