(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】2-アミノピリミジン化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 239/48 20060101AFI20220826BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20220826BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20220826BHJP
C07D 239/95 20060101ALI20220826BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20220826BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20220826BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20220826BHJP
C07D 239/50 20060101ALI20220826BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220826BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220826BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220826BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220826BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220826BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
C07D239/48 CSP
C07D401/12
C07D495/04 105Z
C07D239/95
C07D403/12
C07D403/04
C07D401/04
C07D239/50
A61K31/5377
A61K31/506
A61P43/00 111
A61P7/00
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500082
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2020099683
(87)【国際公開番号】W WO2021000884
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】201910598383.X
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504122398
【氏名又は名称】沈陽薬科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ヤンファン
(72)【発明者】
【氏名】リ,インシュウ
(72)【発明者】
【氏名】チン,ミンゼ
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ユンレイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ヤジン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ピン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063BB09
4C063CC29
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD10
4C063EE01
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC02
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF05
4C071FF10
4C071HH17
4C071JJ01
4C071JJ08
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086BC73
4C086CB26
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、下記一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はプロドラッグ、これらの製造方法及び前記化合物を含有する医薬組成物に関し、置換基R
1、R
2、R
3、R
4、X、Y、Z、Q、m、nは明細書に与えられる意義を有する。本発明は、下記一般式Iの化合物の、悪性血液疾患とその他の増殖性疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造における使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【化10】
式中、
XとYは、同じ又は異なり、それぞれ独立してN、CH及びCHNHから選択され、
QはNH、CH
2であり、
ZはNH、NCH
3、O又は化学結合であり、
mとnは、同じ又は異なり、1~3の間の整数であり、
R
1とR
2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基から選択され、又は、R
1とR
2は、ともに(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基、4~10員の複素環基を形成し、前記複素環基は、オプションで0~3個の二重結合を含み、
R
3は、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
8で置換され、
R
8は、水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、シアノ基、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-NHCONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6、-SO
2(CH
2)
pNR
5R
6、-SO
2(CH
2)
pCONR
5R
6であり、
R
5とR
6は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、(C
1-C
6)アルキル基、(C
3-C
7)シクロアルキル基、(C
2-C
6)アルケニル基、(C
2-C
6)アルキニル基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)アルコキシ基から選択され、
又は、R
5とR
6は、それらが接続する窒素原子とともに4~10員の複素環基又は5~10員のヘテロアリール基を形成し、前記複素環基又はヘテロアリール基は、R
5とR
6とに接続される窒素原子の他に、オプションでN、O及び/又はSから選択された0~4個のヘテロ原子を含有し、前記複素環基は、オプションで0~3個の二重結合を含み、前記複素環基又はヘテロアリール基は、オプションで0~3個の同じ又は異なるR
7で置換され、
R
7は、(C
1-C
6)アルキル基、(C
3-C
7)シクロアルキル基であり、
pは0~4の整数であり、
R
4は、(C
1-C
6)アルキル基、(C
3-C
7)シクロアルキル基、(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基、(C
6-C
10)アリールメチル基、5~10員のヘテロアリールメチル基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
9で置換され、
R
9は、水素、ハロゲン、ハロゲン化(C
1-C
6)アルキル基、ハロゲン化(C
1-C
6)アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、(C
1-C
6)アルキル基、(C
2-C
6)アルケニル基、(C
2-C
6)アルキニル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、オプションでヒドロキシル基、アミノ基又はハロゲン化の(C
1-C
6)アルキル基又は(C
1-C
6)アルコキシ基、1~2個の(C
1-C
6)アルキル基で置換されたアミノ基、(C
1-C
6)アルキルアミド基、遊離、塩形成、エステル化及びアミド化されたカルボキシル基、(C
1-C
6)アルキルスルフィニル基、(C
1-C
6)アルキルスルホニル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、1~2個の(C
1-C
6)アルキル基で置換されたカルバモイル基、(C
1-C
3)アルキレンジオキシ基、アリル基である。
【請求項2】
XとYは、同じ又は異なり、それぞれ独立してNとCHから選択され、
Zは、NH、NCH
3又は化学結合から選択され、
R
1とR
2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基から選択され、又は、R
1とR
2とは、ともに(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基を形成し、
R
3は、(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
8で置換された、請求項1に記載の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【請求項3】
mとnは、同じ又は異なり、1、2であり、
R
3は、フェニル基、5~6員のヘテロアリール基であり、前記フェニル基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
8で置換され、
R
8は、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-NHCONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6、-SO
2(CH
2)
pNR
5R
6であり、
R
5とR
6は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、(C
1-C
4)アルキル基、(C
3-C
6)シクロアルキル基、(C
1-C
4)アルキルアシル基から選択され、
又は、R
5とR
6とは、それらが接続する窒素原子とともに
【化11】
を形成し、
R
4は、フェニル基、5~6員のヘテロアリール基であり、前記フェニル基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
9で置換された、請求項2に記載の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【請求項4】
Zは、NH又は化学結合であり、
R
1とR
2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、シクロプロピル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基から選択され、又は、R
1とR
2とは、ともにフェニル基、5~6員のヘテロアリール基を形成し、
R
8は、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-NHCONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6であり、
R
5とR
6は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、(C
1-C
4)アルキル基、(C
3-C
6)シクロアルキル基から選択され、
又は、R
5とR
6とは、それらが接続する窒素原子とともに
【化12】
を形成する、請求項3に記載の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【請求項5】
QはNHであり、
XとYはNであり、
Zは化学結合であり、
mとnは2であり、
R
1とR
2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基から選択され、
R
3はフェニル基であり、前記フェニル基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
8で置換され、
R
8は、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6であり、
pは1~4の整数であり、
R
4は、フェニル基であり、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
9で置換された、請求項4に記載の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【請求項6】
R
2は水素であり、
R
8は、-NR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6であり、
pは2、3である、請求項5に記載の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【請求項7】
R
1は、水素、フッ素、塩素、メチル基、トリフルオロメチル基であり、
R
5とR
6は、それらが接続する窒素原子とともに、
【化13】
を形成する、請求項6に記載の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
【請求項8】
下記一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグ。
N-(4-メトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-トリフルオロメトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-エチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-フェニル-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-メトキシホルミルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-ニトロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-シアノ-3-フルオロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-イソプロポキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-メチルカルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセトアミノフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-メタンスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[2-({4-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペリジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[2-(モルホリン-4-イル)エトキシ]フェニル}アミノ]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[2-({4-[3-(モルホリン-4-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-シアノフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-シアノフェニル)-4-(6-メチル2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(6-メチル2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}キナゾリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-トリフルオロメチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-アミノ-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[5-メチル-2-({4-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド。
【請求項9】
前記製薬上許容可能な塩は、酸とともに形成された塩であり、前記酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸およびアスパラギン酸である、請求項1~8に記載の一般式I化合物。
【請求項10】
前記酸とともに形成された塩は、塩酸塩とメタンスルホン酸塩である、請求項9に記載の一般式I化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の一般式I化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグを含有する医薬組成物。
【請求項12】
JAK2キナーゼ阻害剤に関連する疾患の予防または治療のための薬物の製造における請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物及びその製薬上許容可能な塩、水合物、溶媒和物又はプロドラッグの使用。
【請求項13】
FLT3キナーゼ阻害剤に関連する疾患の予防または治療のための薬物の製造における請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物及びその製薬上許容可能な塩、水合物、溶媒和物又はプロドラッグの使用。
【請求項14】
JAK2/FLT3デュアルターゲットキナーゼ阻害剤に関連する疾患の予防または治療のための薬物の製造における請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物及びその製薬上許容可能な塩、水合物、溶媒和物又はプロドラッグの使用。
【請求項15】
増殖性疾患及び悪性血液疾患を治療するための薬物の製造における請求項1~10のいずれか一項に記載の一般式I化合物及びその製薬上許容可能な塩、水合物、溶媒和物若しくはそのプロドラッグ又は請求項12に記載の組成物の使用。
【請求項16】
前記増殖性疾患は、骨髄線維症、多発性骨髄腫、真性赤血球増加症、原発性血小板増加症を含む請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記悪性血液疾患は、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病を含む請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年7月4日に出願された「2-アミノピリミジン化合物及びその使用」という発明の名称の中国特許出願第201910598383.X号の優先権を主張し、その全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、薬物化学分野に関し、特に一連の新型の2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はプロドラッグ、それらの製造方法、及び前記化合物を含有する医薬組成物に関する。本発明は、当該系の化合物が、悪性血液疾患とその他の増殖性疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造に用いる使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
悪性血液疾患は、造血系障害に起因する血液系腫瘍性疾患であり、主に白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群及び多発性骨髄腫等の疾患を含む。悪性血液疾患患者は、造血機能が異常であるため、化学療法又は放射線療法は、患者の骨髄造血及び免疫の機能を抑制し、かつ病院感染を合併しやすく、それによって病状が悪化し、さらに死亡する。
【0004】
JAKキナーゼ(janus kinase)は細胞内の非受容体型チロシンプロテインキナーゼであり、JAK2はJAKキナーゼファミリーにおける重要なメンバーの一つである。JAK2はSTATファミリーの複数のメンバーとともに細胞シグナル伝達経路を構成することができ、例えばJAK2-STAT3及びJAK2-STAT5などである。正常な生理的状況で、エリスロポエチン、インターロイキン、トロンボポエチン等の様々なサイトカインは、受容体と結合され、受容体に同一又は異種のオリゴマー化を発生させることにより、受容体と結合されたJAK2キナーゼの自己リン酸化を活性化する。活性化されたJAK2は、受容体上のチロシン残基のリン酸化を触媒し、周囲のアミノ酸とともに「ドッキングサイト」を形成し、SH2ドメインを含有するSTATタンパク質をそれと結合しリン酸化させる。活性化されたSTATsは、同種又は異種の二量体を形成し、細胞核内に迅速に入り、遺伝子の転写を誘導することができる。JAK2-STATs信号経路は、細胞信号伝達の重要な経路であり、人体の正常な生理学的及び病理学的反応を調整することに重要な役割を果たす。JAK2の異常に上昇した活性は、JAK2-STATs信号経路の調整制御を異常にさせることで、様々な悪性疾患の発生をもたらす。
【0005】
FLT3はIII型受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーの一つであり、造血細胞及びリンパ球の増殖、分化及びアポトーシス過程において重要な役割を果たす。FLT3遺伝子変異は、キナーゼの異常活性化を引き起こし、リガンドに依存しない状況で、自身のリン酸化が発生することで、一連の下流シグナル経路を活性化し、造血細胞及びリンパ球の異常増殖を引き起こし、様々な悪性血液疾患を引き起こす。従って、FLT3キナーゼ及びその突然変異体を抑制することは、関連する血液疾患、特にAMLを治療する有効な方法である。
【0006】
JAK2及びFLT3キナーゼの異常に上昇した活性は、悪性血液疾患の発生と密接に関連し、かつMF、リンパ腫及びAMLの悪性血液疾患での医療需要を満たさない。従って、JAK2/FLT3阻害剤の研究はこのような疾患を治療する新たな分野となる。
【0007】
現在、JAK2/FLT3阻害剤に対する関連文献報告が少なく、かつ市販が承認されているJAK2/FLT3小分子阻害剤がないが、いくつかの活性が突出し治療効果が高い化合物は既に臨床前及び臨床研究段階にあり、例えば、Pacritinib(J.Med.Chem.,54(2011)4638-4658)、Fedratinib(CancerCell,13(2008)311-320)、Lestaurtinib(Blood,103(2004)3669-3676)等。文献に報告されたMomelotinibはギリアド社により開発された2-アミノピリミジンのJAK1及びJAK2キナーゼ阻害剤であり、IC50はそれぞれ11nM及び18nMである。当該薬は現在臨床III期の研究段階にあり、骨髄線維症、赤血球増加症及び血小板増加症を治療するために用いられる。
【0008】
【化1】
本発明者らは、参考文献を基に、一連の2-アミノピリミジン類誘導体を設計して合成し、インビトロJAK2及びFLT3キナーゼ阻害活性試験を経て、結果はいずれも阻害活性を有することを示す。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、下記一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグに関するものであり、
【化2】
式中、
XとYは、同じ又は異なり、それぞれ独立してNとCHから選択され、
QはNH、CH
2であり、
ZはNH、NCH
3、O又は化学結合であり、
mとnは、同じ又は異なり、1~3の間の整数であり、
R
1とR
2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基から選択され、又は、R
1とR
2は、ともに(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基、4~10員の複素環基を形成し、前記複素環基は、オプションで0~3個の二重結合を含み、
R
3は、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
8で置換され、
R
8は、ヒドロキシル基、ハロゲン、シアノ基、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-NHCONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6、-SO
2(CH
2)
pNR
5R
6、-SO
2(CH
2)
pCONR
5R
6であり、
R
5とR
6は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、(C
1-C
6)アルキル基、(C
3-C
7)シクロアルキル基、(C
2-C
6)アルケニル基、(C
2-C
6)アルキニル基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)アルコキシ基から選択され、
又は、R
5とR
6は、それらが接続する窒素原子とともに4~10員の複素環基又は5~10員のヘテロアリール基を形成し、前記複素環基又はヘテロアリール基は、R
5とR
6とに接続される窒素原子の他に、オプションでN、O及び/又はSから選択された0~4個のヘテロ原子を含有し、前記複素環基は、オプションで0~3個の二重結合を含み、前記複素環基又はヘテロアリール基は、オプションで0~3個の同じ又は異なるR
7で置換され、
R
7は、(C
1-C
6)アルキル基、(C
3-C
7)シクロアルキル基であり、
pは0~4の整数であり、
R
4は、(C
1-C
6)アルキル基、(C
3-C
7)シクロアルキル基、(C
6-C
10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基、(C
6-C
10)アリールメチル基、5~10員のヘテロアリールメチル基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
9で置換され、
R
9は、ヒドロキシル基、ハロゲン、ハロゲン化(C
1-C
6)アルキル基、ハロゲン化(C
1-C
6)アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、(C
1-C
6)アルキル基、(C
2-C
6)アルケニル基、(C
2-C
6)アルキニル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、オプションでヒドロキシル基、アミノ基又はハロゲン化の(C
1-C
6)アルキル基又は(C
1-C
6)アルコキシ基、1~2個の(C
1-C
6)アルキル基で置換されたアミノ基、(C
1-C
6)アルキルアミド基、遊離、塩形成、エステル化及びアミド化されたカルボキシル基、(C
1-C
6)アルキルスルフィニル基、(C
1-C
6)アルキルスルホニル基、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキル基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、1~2個の(C
1-C
6)アルキル基で置換されたカルバモイル基、(C
1-C
3)アルキレンジオキシ基、アリル基である。
【0010】
本発明は、好ましくは、一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグであり、
式中、
Zは、NH、NCH3又は化学結合から選択され、
R1とR2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基から選択され、又は、R1とR2とは、ともに(C6-C10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基を形成し、
R3は、(C6-C10)アリール基、5~10員のヘテロアリール基であり、前記アリール基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR8で置換された。
【0011】
本発明は、好ましくは、一般式Iの2-アミノピリミジン化合物の化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグに更に関し、
式中、
mとnは、同じ又は異なり、1、2であり、
R
3は、フェニル基、5~6員のヘテロアリール基であり、前記フェニル基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
8で置換され、
R
8は、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-NHCONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6、-SO
2(CH
2)
pNR
5R
6であり、
R
5とR
6は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、(C
1-C
4)アルキル基、(C
3-C
6)シクロアルキル基、(C
1-C
4)アルキルアシル基から選択され、
又は、R
5とR
6とは、それらが接続する窒素原子とともに
【化3】
を形成し、
R
4は、フェニル基、5~6員のヘテロアリール基であり、前記フェニル基又はヘテロアリール基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR
9で置換された。
【0012】
本発明は、一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグがより好ましく、
Zは、NH又は化学結合であり、
R
1とR
2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、シクロプロピル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基から選択され、又は、R
1とR
2とは、ともにフェニル基、5~6員のヘテロアリール基を形成し、
R
8は、(C
1-C
6)アルコキシ基、(C
1-C
6)アルキルアシル基、(C
1-C
6)カルバモイル基、-NR
5R
6、-(CH
2)
pNR
5R
6、-CONR
5R
6、-NHCONR
5R
6、-O(CH
2)
pNR
5R
6であり、
R
5とR
6は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、(C
1-C
4)アルキル基、(C
3-C
6)シクロアルキル基から選択され、
又は、R
5とR
6とは、それらが接続する窒素原子とともに
【化4】
を形成する。
【0013】
本発明は、一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグがさらに好ましく、
式中、
QはNHであり、
XとYはNであり、
Zは化学結合であり、
mとnは2であり、
R1とR2は、同じ又は異なり、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基から選択され、
R3はフェニル基であり、前記フェニル基は、オプションで1~3個の同じ又は異なるR8で置換され、
R8は、-NR5R6、-(CH2)pNR5R6、-CONR5R6、-O(CH2)pNR5R6であり、
pは1~4の整数であり、
R4は、フェニル基であり、オプションで1~3個の同じ又は異なるR9で置換された。
【0014】
本発明は、特に好ましくは、一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグに関し、
式中、
R2は水素であり、
R8は、-NR5R6、-O(CH2)pNR5R6であり、
pは2、3であり。
【0015】
本発明は、特に好ましくは、一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグに更に関し、
式中、
R
1は、水素、フッ素、塩素、メチル基、トリフルオロメチル基であり、
R
5とR
6は、それらが接続する窒素原子とともに、
【化5】
を形成する。
【0016】
本発明は、下記の一般式Iの2-アミノピリミジン化合物及びその立体異性体、製薬上許容可能な塩、溶媒和物又はそのプロドラッグが特に好ましく、
N-(4-メトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-トリフルオロメトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-エチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-フェニル-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-メトキシホルミルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-ニトロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-シアノ-3-フルオロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-イソプロポキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-メチルカルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセトアミノフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-メタンスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[2-({4-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペリジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[2-({4-[2-(モルホリン-4-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[2-({4-[3-(モルホリン-4-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-シアノフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-シアノフェニル)-4-(6-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(6-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}キナゾリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-トリフルオロメチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-アミノ-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキサミド、
N-(4-アセチルフェニル)-4-[5-メチル-2-({4-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミド。
【0017】
本発明の属する分野のいくつかの一般的な方法で、本発明の一般式Iの化合物は酸とともにその製薬上許容可能な塩を形成することができる。好ましい酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸及びアスパラギン酸である。
【0018】
JAK2及びFLT3に対する酵素活性試験により、本発明の化合物はJAK2及びFLT3キナーゼ活性を顕著に抑制し、JAK2又はFLT3の発現が高い血液癌細胞に対して強い抑制作用を有することを発見した。
【0019】
ヒト赤白血病細胞HEL及びヒト骨髄単球性白血病細胞MV4-11の活性をインビトロで抑制する試験により、本発明の化合物は顕著な抗腫瘍活性を有することを発見したため、本発明の化合物は、様々な増殖性疾患又は悪性血液疾患、例えば骨髄線維症、多発性骨髄腫、真性赤血球増加症、原発性血小板増加症、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病等を治療するか又は予防する薬物の製造に用いることができる。
【0020】
増殖性疾患又は悪性血液疾患を治療するのに必要な本発明の化合物の正確量は治療者によって異なり、治療者の種類、年齢及び一般的な条件、治療された疾患の重篤性、使用される特定の化合物及び投与方式、例えば投与の経路及び頻度等に依存する。当業者は、一般的な実験方法を用いて適切な有効量を決定することができる。
【0021】
化合物の投与量は約0.1~100mg/kg体重/日、好ましくは1~50mg/kg体重/日である。理解できるように、用量は患者の需要、治療された増殖性疾患又は悪性血液疾患の重篤性及び使用される特定の化合物によって異なってもよい。また、理解できるように、投与される最初の用量は上限を超えて増加することができ、目的は、所要の血液レベルに迅速に達することであり、又は最初の用量は最適値より小さくてもよく、毎日の用量は治療期間において徐々に増加することができ、これは具体的な状況に依存する。必要であれば、毎日の用量は複数の投与量に分けられてもよく、例えば毎日2~4回である。
【0022】
哺乳動物はヒト又は動物を表す。
【0023】
活性成分、すなわち本発明に係る化合物の医薬組成物及びその単位剤形での量はそれぞれ互いに異なり、特定の使用、特定の化合物の効力及び所要の濃度に依存する。一般的には、活性成分の含有量は0.5%~90%にあり、組成物の総重量に応じて計算される。
【0024】
併用療法において、本発明の化合物及び他の化合物は同時に又は間隔をおいて投与されることができ、同時に投与する場合、本発明の化合物及び他の化合物は単一の医薬組成物に結合されてもよく、又は分離された組成物に結合されてもよい。
【0025】
下記で提供される実施例及び製造例は、本発明の化合物及びその製造方法を更に説明し、例示的に説明する。理解すべきことは、下記の実施例及び製造例の範囲はいずれの方式で本発明の範囲を限定するものではない。
【0026】
以下の合成ルートは、本発明の一般式Iの誘導体の製造を説明し、全ての原料はこれらの模式図に記載の方法、有機化学分野の当業者に周知される方法により製造可能、又は購入可能である。本発明の全ての最終的な化合物は、これらの模式図に記載される方法、又はそれと類似する方法により製造されるものであり、これらの方法は有機化学分野の当業者に周知されるものである。これらの模式図に適用される全ての可変係数は、下記、又は請求項における定義のとおりである。
【0027】
本発明に係る一般式Iの化合物は、ルートA、ルートB、ルートC及びルートDにおいて、下記の化合物を例とする。R1及びR2は水素又はメチル基である。置換基R4、R8、m、nの定義は、特許請求の範囲と同じである。
【0028】
【化6】
ルートAにおいて、2,4-ジクロロピリミジンを出発原料とし、炭酸カリウムをアルカリとしてN-Bocピペラジンと置換反応を行い中間体Bを取得し、更にR
8で置換されたアニリンEと置換反応が発生して中間体Fを取得し、更にトリフルオロアセテートと脱Boc保護基反応を行い中間体Gを取得し、更にR
4で置換されたフェニルカーバメートHと置換反応が発生して一般式Iの化合物I-iを製造する。
【0029】
【化7】
ルートBにおいて、5-メチル-2,4-ジクロロピリミジン(J)を出発原料とし、炭酸カリウムをアルカリとしてBoc保護中間体Kと求核置換反応を行い中間体Lを取得し、更に塩酸メタノール溶液でBoc脱保護反応を行い中間体Mを取得し、更にR
4で置換されたフェニルカーバメートHと反応して中間体Nを取得し、その後、R
8で置換されたアニリンEと置換反応が発生して一般式Iの化合物I-iiを製造する。
【0030】
【化8】
ルートCにおいて、R
4で置換されたフェニルカーバメートHと、Boc保護中間体Kとは付加反応を行い中間体Oを取得し、更に塩酸メタノール溶液でBoc脱保護反応を行い中間体Pを取得し、更に5-メチル-2,4-ジクロロピリミジン(J)と求核置換反応を行い中間体Qを取得し、その後、R
8で置換されたアニリンEと置換反応が発生して一般式Iの化合物I-iiiを製造する。
【0031】
【化9】
ルートDにおいて、5-メチル-2,4-ジクロロピリミジン(J)を出発原料とし、DIPEAをアルカリとする条件下で、4-ピペリジンカルボン酸メチルと求核置換反応が発生して中間体Rを取得し、更にR
8で置換されたアニリンEと反応して中間体Sを取得し、更にNaOH溶液で加水分解反応が発生して中間体Tを取得し、その後、R
4で置換されたアミンと縮合反応が発生して、一般式Iの化合物I-ivを製造する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の実施例において、一部の前記化合物を製造する方法を説明する。理解されるように、以下の方法及び当業者に知られている他の方法は、いずれも本発明に記載の全ての化合物の製造に適用することができる。実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、説明することを意図する。化合物の水素核磁気共鳴スペクトルをBrukerARX-400又はBrukerARX-600で測定し、質量スペクトルをAgilent1100LC/MSDで測定するが、使用される試薬は、いずれも分析用試薬又は化学用試薬である。
【0033】
実施例1.N-(4-メトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
1.1.tert-ブチル 4-(2-クロロピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成(B)
室温で、20.0g(134mmol)の2,4-ジクロロピリミジン(A)を200mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、22.0g(161mmol)の炭酸カリウムを加え、アイスバスの下で26.0g(140mmol)のN-Boc-ピペラジンをバッチで加入し、加入終了後、室温で2時間反応させた。反応終了後、反応液に1Lの水を加入し、撹拌し、吸引濾過し、100mLの水でフィルターケーキを洗浄し、乾燥させて中間体Eの粗生成物を取得した。カラムクロマトグラフィーにより精製して30.0gの白色固体を取得し、収率75%であった。
【0034】
1.2.4-(4-ニトロフェニル)モルホリンの合成(D)
室温で、20.0g(142mmol)のP-フルオロニトロベンゼン(C)を200mLのアセトニトリルに溶解し、反応液に17.2g(170mmol)のトリエチルアミンと18.5g(212mmol)のモルホリンを加入し、加入終了後、80oCまで昇温して3時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、溶媒を減圧し濃縮し、残留物に200mLの水を加え、室温で20分撹拌し、吸引し濾過し、100mLの水でフィルターケーキを洗浄し、乾燥後に26.9gの黄色固体を取得し、収率91%であった。
【0035】
1.3.4-(4-アミノフェニル)モルホリンの合成(E)
26.9g(129mmol)の中間体Dと1.34g(5%m/m)の10%パラジウム炭素を500mLの90%エタノール溶液に加入し、水素ガスを添加し、室温で5時間反応させた。反応終了後、吸引し濾過し、フィルターケーキを100mLの90%エタノールで洗浄し、濾液を減圧し濃縮して、22.0gのフクシア固体を取得し、収率96%であった。
【0036】
1.4.tert-ブチル 4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成(F)
5.0g(16.8mmol)の中間体Cと、3.6g(20.2mmol)中間体Eを、50mLのノルマルブタノールに加入し、室温で5.7g(50.4mmol)のトリフルオロアセテートをゆっくり加え、加入終了後、120oCまで昇温して2時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧し濃縮し、残留物に50mLの水を加え、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpH8まで調節し、吸引し濾過し、20mLの水でフィルターケーキを洗浄し、乾燥後に6.9gの青白固体を取得し、収率91%であった。
【0037】
1.5.4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジンの合成(G)
室温で、6.9g(15.6mmol)の中間体Gを70mLのジクロロメタンに加入し、70mLのトリフルオロアセテートをゆっくり加え、室温で4時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧し濃縮し、残留物に50mLの水を加え、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpH8まで調節し、吸引し濾過し、20mLの水でフィルターケーキを洗浄し、乾燥後に4.1gの灰色固体を取得し、収率77%であった。
【0038】
1.6.フェニル N-(4-メトキシフェニル)カーバメートの合成(H)
室温で、1.4g(11.2mmol)の4-メトキシアニリンと、0.7g(6.7mmol)の炭酸ナトリウムを、10mLの酢酸エチル-テトラヒドロフラン-水(3:1:1)の混合溶液に加入し、アイスバスの下で、1.9g(12.3mmol)のクロロギ酸フェニルの酢酸エチル(3mL)溶液を加え、終了後、室温で2時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧し濃縮し、残留物に10mLの水を加え、1Mの塩酸溶液でpH5まで調節し、吸引し濾過し、10mLの水でフィルターケーキを洗浄し、乾燥後に2.5gの白色固体を取得し、収率91%であった。
【0039】
1.7.N-(4-メトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミド(I)の合成
室温で、0.20g(0.6mmol)の中間体Gと、0.17g(0.7mmol)の中間体Hを、4mLの1,4-ジオキサンに加入し、反応液に0.30g(2.3mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加え、終了後、80oCまで昇温して3時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧し濃縮し、残留物に10mLの水を加え、2.5%のNaOH溶液でpH10まで調節し、吸引し濾過し、粗生成物を取得した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)により精製して0.15gの白色固体を取得し、収率62%であった。
【0040】
実施例2.N-(4-トリフルオロメトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-トリフルオロメトキシアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-トリフルオロメトキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率65%であった。
【0041】
実施例3.N-(4-エチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-エチルアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-エチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率57%であった。
【0042】
実施例4.N-フェニル-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
アニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-フェニル-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率64%であった。
【0043】
実施例5.N-(4-メトキシホルミルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-アミノ安息香酸メチルを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-メトキシホルミルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率64%であった。
【0044】
実施例6.N-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率62%であった。
【0045】
実施例7.N-(4-ニトロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-ニトロアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-ニトロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率45%であった。
【0046】
実施例8.N-(4-シアノ-3-フルオロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-シアノ-3-フルオロアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-シアノ-3-フルオロフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率71%であった。
【0047】
実施例9.N-(4-イソプロポキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-イソプロポキシアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-イソプロポキシフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを取得した。収率70%であった。
【0048】
実施例10.N-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-アミノベンズアミドを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率52%であった。
【0049】
実施例11.N-(4-メチルカルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-アミノ-N-メチルベンズアミドを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-メチルカルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率61%であった。
【0050】
実施例12.N-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-アミノベンゼンスルホンアミドを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率47%であった。
【0051】
実施例13.N-(4-アセトアミノフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-アミノアセトアニリドを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトアミノフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率53%であった。
【0052】
実施例14.N-(4-メタンスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-メチルスルホニルアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-メタンスルホニルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率68%であった。
【0053】
実施例15.N-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
N-メチルピペラジンを原料とし、実施例1の1.1~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノベンズアミドを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-カルバモイルフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率56%であった。
【0054】
実施例16.N-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジンを原料とし、実施例1の1.1~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率42%であった。
【0055】
実施例17.N-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペリジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-メチルピペリジンを原料とし、実施例1の1.1~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(4-メチルピペリジン-1-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率51%であった。
【0056】
実施例18.N-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[2-(モルホリン-4-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンを原料とし、実施例1の1.1~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[2-(モルホリン-4-イル)エトキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率52%であった。
【0057】
実施例19.N-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[3-(モルホリン-4-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
4-(3-ヒドロキシプロピル)モルホリンを原料とし、実施例1の1.1~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-[2-({4-[3-(モルホリン-4-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率41%であった。
【0058】
実施例20.N-(4-シアノフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-シアノアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-シアノフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率70%であった。
【0059】
実施例21.N-(4-シアノフェニル)-4-(6-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
6-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-シアノアニリンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-シアノフェニル)-4-(6-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率51%であった。
【0060】
実施例22.N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率64%であった。
【0061】
実施例23.N-(4-アセチルフェニル)-4-(6-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
6-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(6-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率62%であった。
【0062】
実施例24.N-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
2,4-ジクロロチエノ[3,2-d]ピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率60%であった。
【0063】
実施例25.N-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}キナゾリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
2,4-ジクロロキナゾリンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-(2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}キナゾリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率65%であった。
【0064】
実施例26.N-(4-アセトフェニル)-4-(5-トリフルオロメチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
5-トリフルオロメチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-(5-トリフルオロメチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率61%であった。
【0065】
実施例27.N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-アミノ-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
5-ニトロ-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(5-ニトロ-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成し、その後、実施例1の1.2における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(5-アミノ-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率30%であった。
【0066】
実施例28.N-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミドの製造
28.1.tert-ブチル 3-[(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキシレートの合成(L)
室温で、20.0g(125mmol)の5-メチル-2,4-ジクロロピリミジン(J)を200mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、20.5g(150mmol)の炭酸カリウムを加入し、アイスバスの下で26.0g(138mmol)のtert-ブチル 3-アミノピロリジン-1-カルボキシレート(K)をバッチで加入し、加入終了後、室温で2時間反応させた。反応終了後、反応液に1Lの水を加入し、撹拌し、吸引濾過し、100mLの水でフィルターケーキを洗浄し、乾燥させて中間体Lの粗生成物を取得した。カラムクロマトグラフィーにより精製して29.3gの白色固体を取得し、収率75%であった。
【0067】
28.2.3-[(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン塩酸塩の合成(M)
室温で、7g(22.4mmol)の中間体Lを70mLの塩酸メタノール溶液に加入し、室温で12時間反応させた。反応終了後、溶液を減圧し濃縮し、吸引し濾過し、10mLのエタメールでフィルターケーキを洗浄し、乾燥後に4.1gの灰色固体を取得し、収率86%であった。
【0068】
28.3.N-(4-アセチルフェニル)-3-[(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミドの合成(N)
4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成し、その後、3-[(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン塩酸塩(M)を原料として、実施例1の1.7における合成方法で重要な中間体であるN-(4-アセチルフェニル)-3-[(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミドを合成した。収率60%であった。
【0069】
28.4.N-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミドの合成
N-(4-アセチルフェニル)-3-[(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミド(N)を原料とし、実施例1の1.4における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピロリジン-1-カルボキサミドを合成した。収率81%であった。
【0070】
実施例29.1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル]尿素の製造
29.1.1-(4-アセチルフェニル)-3-(1-Tert-ブトキシカルボニルピロリジン-3-イル)尿素の合成(O)
4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成し、室温で、5.0g(26.8mmol)の3-アミノピロリジン-1-tert-ブチルカルボキシレート(K)と7.5g(29.5mmol)の中間体Hを、50mLの1,4-ジオキサンに加入し、反応液に14.0g(107.2mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加え、終了後、80oCまで昇温して3時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧し濃縮し、残留物に10mLの水を加え、2.5%のNaOH溶液でpH10まで調節し、吸引し濾過し、粗生成物を取得した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)により精製して5.8gの白色固体を取得し、収率62%であった。
【0071】
29.2.1-(4-アセチルフェニル)-3-(ピロリジン-3-イル)尿素塩酸塩の合成(P)
中間体Oを原料とし、実施例28の28.2における合成方法で1-(4-アセチルフェニル)-3-(ピロリジン-3-イル)尿素塩酸塩を合成した。収率89%であった。
【0072】
29.3.1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル]尿素の合成(Q)
中間体Pと5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3における合成方法で1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル]尿素を合成した。収率74%であった。
【0073】
29.4.1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル]尿素の合成
中間体Qを原料とし、実施例1の1.4における合成方法で1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル]尿素を合成した。収率65%であった。
【0074】
実施例30.N-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]アゼチジン-1-カルボキサミドの製造
tert-ブチル 3-アミノアゼチジン-1-カルボキシレートを原料とし、実施例28の28.1~28.4における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-3-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]アゼチジン-1-カルボキサミドを合成した。収率68%であった。
【0075】
実施例31.1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]尿素の製造
tert-ブチル 3-アミノアゼチジン-1-カルボキシレートを原料とし、実施例29の29.1~29.4における合成方法で1-(4-アセチルフェニル)-3-[1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]尿素を合成した。収率61%であった。
【0076】
実施例32.N-(4-アセトフェニル)-4-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキサミドの製造
tert-ブチル 4-アミノピペリジン-1-カルボキシレートを原料とし、実施例28の28.1~28.4における合成方法でN-(4-アセトフェニル)-4-[(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキサミドを合成した。収率71%であった。
【0077】
実施例33.N-(4-アセチルフェニル)-1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキサミドの製造
33.1.エチル 1-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキシレートの合成(R)
2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(J)とエチル ピペリジン-4-カルボキシレートを原料とし、実施例1の1.3における合成方法でエチル 1-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキシレートを合成し、収率90%であった。
【0078】
33.2.エチル 1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキシレートの合成(S)
エチル 1-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(R)を原料とし、実施例1の1.4における合成方法でエチル 1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキシレートを合成し、収率92%であった。
【0079】
33.3.1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸の合成(T)
室温で、5.0g(11.8mmol)の中間体Sを50mLのメタノールに溶解し、反応液に10mL(1mol/L)の水酸化ナトリウム溶液をゆっくり加え、終了後、60℃まで昇温して2時間反応させ、反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液を減圧し濃縮し、残留物に50mLの水を加入し、10%の塩酸でpH3まで調節して、大量の固形物が析出し、吸引し濾過し、水でフィルターケーキを洗浄し、真空で乾燥させて0.63gの淡黄色固体を取得し、収率75%であった。
【0080】
33.4.N-(4-アセチルフェニル)-1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキサミドの合成
室温で、2.0g(5.0mmol)の中間体Tを100mLの1,4-ジオキサンに溶解し、反応液に0.9g(7.5mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミン、2.8g(7.5mmol)のHATU、及び0.8g(6.0mmol)の4-アミノアセトフェノンを加入し、加入終了後、室温で8時間反応させ、反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液を減圧し濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して淡黄色固体であるN-(4-アセチルフェニル)-1-(5-メチル-2-{[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキサミドを取得し、収率55%であった。
【0081】
実施例34.N-(4-アセチルフェニル)-4-[5-メチル-2-({4-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジンを原料とし、実施例1の1.1~1.2における合成方法で重要な中間体Eを合成し、5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-[5-メチル-2-({4-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]フェニル}アミノ)ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率45%であった。
【0082】
実施例35.N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[3-フルオロ-4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
2,4-ジフルオロニトロベンゼンを原料とし、実施例1の1.1~1.2における合成方法で重要な中間体Eを合成し、5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[3-フルオロ-4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率61%であった。
【0083】
実施例36.N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[3-アセチルアミノ-4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
2-アセチルアミノ-4-フルオロニトロベンゼンを原料とし、実施例1の1.1~1.2における合成方法で重要な中間体Eを合成し、5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[3-アセチルアミノ-4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率60%であった。
【0084】
実施例37.N-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[3-メトキシ-4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドの製造
2-メトキシ-4-フルオロニトロベンゼンを原料とし、実施例1の1.1~1.2における合成方法で重要な中間体Eを合成し、5-メチル-2,4-ジクロロピリミジンを原料とし、実施例1の1.3~1.5における合成方法で重要な中間体Gを合成し、4-アミノアセトフェノンを原料とし、実施例1の1.6における合成方法で重要な中間体Hを合成してから、実施例1の1.7における合成方法でN-(4-アセチルフェニル)-4-(5-メチル-2-{[3-メトキシ-4-(モルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキサミドを合成した。収率60%であった。
【0085】
実施例化合物の構造及び1H-NMR、MSデータは表1に示す。
【0086】
【表1】
本発明の化合物に対してインビトロ酵素活性と細胞増殖抵抗活性の研究を行い、結果は以下のとおりである。
【0087】
本発明の上記式Iに従う2-アミノピリミジン骨格の化合物(濃度0.1μM)に対してMobility Shift Assayを用いてインビトロJAK2及びFLT3キナーゼ活性試験を行った。対照品Pacritinib及びFedratinibは本研究グループが自分で製造されたものであった。
【0088】
キナーゼ緩衝液は50mMのHEPEs(pH7.5)、0.0015%のBRIJ-35で構成された。停止緩衝液は100mMのHEPES(pH7.5)、0.015%のBRIJ-35、0.2%のコーティング試薬#3及び50mMのEDTAの混合物を含有した。測定対象化合物を100%のDMSOで反応に必要な最高濃度の50倍に希釈した。測定対象化合物希釈液(100μL)を96ウェルプレートの穴に移し、次に、二つの穴に100mLのDMSOを添加して対照群とし、ソースプレートと標識した。ソースプレートから新たな96ウェルプレートに10μLの化合物を移行して中間板を作製した。中間板において、各穴に90μLのキナーゼ緩衝液を追加して添加した。中間板を10分揺動し、その後に96穴の中間板上の各穴の5μLを分析板として384ウェルプレートにコピーした。384ウェルプレート内の各穴に調製された酵素溶液を添加してから、室温で10分培養し、その後、10μLの調製されたペプチド溶液(FAMで標識されたペプチド及びキナーゼ基緩衝液におけるATP)を添加した。サンプルを28℃で1時間インキュベートしてから、25μLの緩衝液を添加した。Caliperプログラムから変換データをコピーし、それを阻害率に変換した。
【0089】
阻害率(%)=(max-conversion)/(max-min)×100。
【0090】
一部の化合物のJAK2及びFLT3のインビトロキナーゼ試験結果は表2に示す。
【0091】
【表2】
本発明の上記式Iに従う2-アミノピリミジン骨格の化合物に対してヒト赤白血病細胞HEL及びヒト骨髄単球性白血病細胞Molm-13の活性をインビトロで抑制する試験を行った。対照品Pacritinib及びFedratinibは本研究グループが自分で製造されたものであった。
【0092】
細胞が蘇生し2~3回継代して安定した後、10μLの細胞懸濁液を吸引して細胞カウントプレートに添加してカウントし、細胞濃度を10×104個/mLに調整した。96ウェルプレートの最外周に細胞液を添加せず、残りはいずれも100μLの細胞懸濁液を添加し、B2~B7穴に100μLの培地を添加して対照群とし、他の穴に異なる濃度の試験対象化合物を添加した。インキュベータで72時間インキュベートした後、A1穴に200μLの新鮮な培地を添加してブランク群としてから、各穴に20μLのCCK-8溶液を添加し、4時間インキュベートし続けた。96ウェルプレートを室温で3分振動してから、マイクロプレートリーダーで450nm波長での吸光度を測定し、以下の式に基づいて細胞増殖の阻害率を計算した。
【0093】
阻害率(%)=[(A対照-A投与)/(A対照-Aブランク)]×100
IC50は半分の細胞の増殖を抑制する時に必要な薬物濃度であり、薬物濃度及び阻害率の結果に基づいて、GraphPadPrism5ソフトウェアを用いて量的効果曲線によりIC50を算出した。
【0094】
一部の化合物のヒト赤白血病細胞HEL及びヒト骨髄単球性白血病細胞Molm-13の試験結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
キナーゼ及び腫瘍細胞増殖活性をin vitroで阻害したプライマリー結果は、本発明の保護しようとする一般式Iの化合物が、良好なJAK2及びFLT3の阻害活性を有し、一部の化合物が陽性対照薬Pacritinib及びFedratinibと同等またはそれ以上であることを示した。
【0096】
上記した具体的な実施例は、本発明の目的、技術的解決手段及び有益な効果をさらに詳細に説明し、理解すべきことは、上記したものは本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の思想及び原則内において、行われたいかなる補正、同等置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】